説明

貯湯式給湯装置

【課題】使用パターンに応じた沸き増し運転を実行して省エネルギ性を向上できる貯湯式給湯装置を実現する。
【解決手段】制御装置200には、出湯量をデータとして記憶する出湯量記憶手段246と、出湯量記憶手段246で記憶されたデータから沸き上げ目標熱量を算出する沸き上げ目標熱量算出手段203と、沸き上げ目標熱量から貯湯タンク1の貯湯側に貯える必要貯湯量を算出する必要貯湯量算出手段205と、出湯量記憶手段246で記憶されたデータから学習制御を行うことによって大出湯を予測する出湯予測手段202と、出湯予測手段202で予測された大出湯を出湯する前に、ヒートポンプユニット2を作動させて必要貯湯量の給湯用の湯を貯湯タンク1の貯湯側に貯える沸き増し運転を行う第1沸き増し手段233とを有する。これにより、省エネルギ性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱手段により沸き上げられた給湯用の湯を貯える貯湯タンクを備える貯湯式給湯装置に関するものであり、特に、過去の出湯データから学習制御によって求めた予測される大出湯するときの沸き上げ運転の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の貯湯式給湯装置として、例えば、特許文献1に示すように、給湯用の湯を貯える貯湯タンクと、貯湯タンク内の給湯用の湯を沸き上げる加熱手段とを備えて、単位期間内における出湯側から給湯用として使用した出湯熱量を記憶し、その出湯熱量から学習制御を行って一日に使用する必要熱量を予測し、その必要熱量を出湯する前の深夜時間帯に加熱手段を作動させる沸き上げ運転を行って貯湯タンク内に貯えるようにしている。
【0003】
そして、深夜時間帯以外においては、貯湯タンク内の貯湯量が所定量以下となったときに加熱手段を作動させる沸き増し運転を行って湯切れを起こさないようにしている。
【特許文献1】特開2002−168524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1によれば、貯湯タンク内に必要熱量の給湯用の湯を貯えてから使用するまでの保管する時間が長くなる場合がある。このような場合には貯湯タンクからの熱損失が増加して省エネルギ性が低下する問題がある。
【0005】
また、予測が外れて残湯量が増加したときは、次の日のための沸き増し運転によって2度沸き上げることになり省エネルギ性とCOP(成績係数)とが低下する問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、使用パターンに応じた沸き増し運転を実行して省エネルギ性を向上できる貯湯式給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1ないし請求項16に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、給水源から水が給水側に供給され、貯湯側に給湯用の湯を貯湯する貯湯タンク(1)と、給水側から取水し、沸き上げた湯を貯湯側もしくは出湯側に送り込む加熱手段(2)と、この加熱手段(2)を制御する制御手段(200)とを備え、
制御手段(200)には、少なくとも単位期間内における出湯側から給湯用として使用した所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量を算出し、その出湯量もしくは出湯熱量をデータとして記憶する出湯量記憶手段(246)と、
出湯量記憶手段(246)で記憶されたデータから沸き上げ目標熱量を算出する沸き上げ目標熱量算出手段(203)と、
沸き上げ目標熱量算出手段(203)で求められた沸き上げ目標熱量に基づいて、貯湯タンク(1)の貯湯側に貯える必要貯湯量を算出する必要貯湯量算出手段(205)と、
出湯量記憶手段(246)で記憶されたデータから学習制御を行うことによって大出湯を予測する出湯予測手段(202)と、
出湯予測手段(202)で予測された大出湯を出湯する前に、加熱手段(2)を作動させて必要貯湯量算出手段(205)で求めた必要貯湯量の給湯用の湯を貯湯タンク(1)の貯湯側に貯える沸き増し運転を行う第1沸き増し手段(233)とを有することを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、出湯予測手段(202)によって大出湯を予測し、その大出湯による出湯熱量の不足分を、大出湯を出湯する前に、貯湯タンク(1)の貯湯側に貯えることができる。つまり、使用実績に応じた必要な出湯熱量を事前に必要貯湯量として貯湯タンク(1)内に確保することができる。
【0009】
従って、貯湯タンク(1)内に貯湯する保管時間を短縮できることで熱損失の低減ができて省エネルギ性の向上が図れる。また、大出湯を出湯するときの出湯熱量の不足分のみを大出湯を出湯する前に、貯湯タンク(1)内に貯湯すれば良いので必要貯湯量を大幅に低下させることができる。これにより、容積の小さい貯湯タンク(1)にすることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、制御手段(200)には、出湯予測手段(202)で予測された大出湯を出湯するときに、加熱手段(2)を作動させて沸き上げた湯を出湯側に送り込む沸き増し運転を行う第2沸き増し手段(243)と、この第2沸き増し手段(243)によって出湯する出湯量もしくは出湯熱量の予測熱量を算出する予測熱量算出手段(204)とを有し、
必要貯湯量算出手段(205)は、沸き上げ目標熱量算出手段(203)で求めた出湯量もしくは出湯熱量と予め設定された最低貯湯量との和から、予測熱量算出手段(204)で求めた予測熱量を差し引いて必要貯湯量を求めることを特徴としている。
【0011】
この発明によれば、大出湯が必要なときに第2沸き増し手段(243)によって沸き増し運転を行うことで、大出湯を出湯する前に貯える必要貯湯量を少なくすることができる。これにより、上述した請求項1よりも、さらに熱損失の低減ができより省エネルギ性の向上が図れる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、制御手段(200)には、出湯予測手段(202)で予測された大出湯を出湯する前以外のときに、予め設定された最低貯湯量を維持するように加熱手段(2)を作動させて沸き上げた湯を貯湯側に送り込む沸き増し運転を行う第3沸き増し手段(213)を有することを特徴としている。この発明によれば、大出湯以外の出湯が頻繁にあっても最低貯湯量で賄うことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、第1、第2、第3沸き増し手段(233、243、213)は、料金設定が異なる時間帯があるときにおいて、少なくとも料金設定が高い時間帯に、加熱手段(2)を作動させることを特徴としている。この発明によれば、大出湯で出湯するときは、概して料金設定が高い時間帯であるため料金設定が安い時間帯で運転させて保管するよりも省エネルギ性の向上が図れる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、第1沸き増し手段(233)は、現在の貯湯量もしくは残湯熱量から沸き上げ目標熱量算出手段(203)で求めた出湯量もしくは出湯熱量を差し引いて不足量もしくは不足熱量を求めて、その沸き増しに必要な時間を、出湯予測手段(202)で予測された大出湯を出湯する出湯時刻から引き算し、その時刻前から沸き増し運転を開始することを特徴としている。この発明によれば、大出湯を出湯する前に確実に必要貯湯量として貯湯タンク(1)内に確保することができる。これにより、湯切れを起こすことがない。
【0015】
請求項6に記載の発明では、第1沸き増し手段(233)は、現在の貯湯量もしくは残湯熱量から沸き上げ目標熱量算出手段(203)で求めた出湯量もしくは出湯熱量を差し引き、それに予測熱量算出手段(204)で求めた予測熱量を加算して不足量もしくは不足熱量を求めて、その沸き増しに必要な時間を、出湯予測手段(202)で予測された大出湯を出湯する出湯時刻から引き算し、その時刻前から沸き増し運転を開始することを特徴としている。
【0016】
この発明によれは、上記請求項5と同じように、大出湯を出湯する前に確実に必要貯湯量として貯湯タンク(1)内に確保することができる。これにより、湯切れを起こすことがない。
【0017】
請求項7に記載の発明では、出湯量記憶手段(246)は、出湯側から給湯用として使用した出湯が、一回あたり所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量の出湯として記憶し、出湯開始から出湯終了までを一回としており、断続的な出湯のときは所定時間内であれば一回あたりの出湯として記憶していることを特徴としている。
【0018】
この発明によれは、大出湯を或る範囲の群として捉えることができる。例えば、大出湯を浴槽内へのお湯張り、多量に消費するシャワー使用などの加熱手段(2)で沸き上げることができない出湯を検知することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明では、出湯量記憶手段(246)は、出湯側から給湯用として使用した出湯が、単位時間当たりの所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量の出湯として記憶していることを特徴としている。
【0020】
この発明によれば、例えば、大出湯を浴槽内へのお湯張り、多量に消費するシャワー使用などの加熱手段(2)で沸き上げることができない出湯を検知することができる。
【0021】
請求項9に記載の発明では、出湯量記憶手段(246)には、単位期間が一日における所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量のデータであって、かつ過去所定期間分のデータが記憶されており、出湯予測手段(202)は、過去所定期間分のデータから一回あたりの大出湯を一日単位の出湯量もしくは出湯熱量の多い順に求め、かつそれらの出湯量もしくは出湯熱量を過去所定期間分の平均値〜最大値として学習制御を行うことによって大出湯を予測することを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、例えば、過去所定期間を一週間とすると、その一週間における大出湯のデータに基づいて、予測する一日単位の大出湯が正確に予測することができる。また、平均値のほかに標準偏差を含めた最大値で捉えることで湯切れのない大出湯を出湯することができる。
【0023】
請求項10に記載の発明では、出湯予測手段(202)は、一回あたりの大出湯の出湯時間を過去所定期間分のデータから平均値〜最大値として学習制御を行うことによって予測することを特徴としている。
【0024】
この発明によれば、出湯時間によって第2沸き増し手段(243)によって沸き増し運転を行う出湯熱量の予測ができる。例えば、出湯時間が比較的長ければ、その間に加熱手段(2)による沸き増し運転で出湯熱量を補うことができる。
【0025】
請求項11に記載の発明では、出湯予測手段(202)は、一回あたりの大出湯の出湯時刻を過去所定期間分のデータから最も早い出湯時刻として学習制御を行うことによって予測することを特徴としている。この発明によれば、最も早い出湯時刻を越える確率が小さいことで湯切れとなる大出湯の発生が慨してない。
【0026】
請求項12に記載の発明では、出湯予測手段(202)は、過去所定期間分のデータから時間帯別に区分させて学習制御を行うことによって大出湯を予測することを特徴としている。この発明によれば、大出湯の予測が正確にできる。また、容積の小さい貯湯タンク(1)にすることができる。
【0027】
請求項13に記載の発明では、制御手段(200)は、第1、第2、第3沸き増し手段(233、243、213)による沸き上げ運転のときに、加熱手段(2)の沸き上げ温度を必要に応じて可変できることを特徴としている。この発明によれば、予測された大出湯に応じた沸き上げ温度で加熱手段(2)の沸き上げ運転ができる。また、COPの向上が図れる。
【0028】
請求項14に記載の発明では、制御手段(200)は、第1、第2、第3沸き増し手段(233、243、213)による沸き上げ運転のときに、加熱手段(2)の沸き上げ能力を必要に応じて可変できることを特徴としている。この発明によれば、予測された大出湯に応じた沸き上げ能力で加熱手段(2)の沸き上げ運転ができる。また、COPの向上が図れる。
【0029】
請求項15に記載の発明では、第2沸き増し手段(243)は、単位時間当たりの所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量を出湯する大出湯のときで、かつ予め設定された最低貯湯量以下のときに、加熱手段(2)を作動させて沸き上げた湯を出湯側に送り込む沸き増し運転を開始することを特徴としている。この発明によれば、予測外の大出湯があったときに、現在の貯湯量に応じて湯切れを起こさずに対応することができる。
【0030】
請求項16に記載の発明では、制御手段(200)は、予測された大出湯の出湯時刻が経過したときか、もしくはその予測された出湯時刻に所定比率の以上の出湯量もしくは出湯熱量の大出湯を出湯したときに、現在時刻以降の大出湯の予測を実行することを特徴としている。この発明によれば、次の予測された大出湯のための切り替えがスムーズに移行できる。
【0031】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(第1実施形態)
以下、本発明を加熱手段としてヒートポンプサイクルからなるヒートプユニット2と貯湯タンク1とを組み合わせた貯湯式給湯装置に適用しており、図1ないし図5に基づいて説明する。図1は第1実施形態における貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図である。
【0033】
本実施形態の貯湯式給湯装置は、一般家庭用として使用されるものであり、貯湯タンク1内に貯えられた給湯水を台所、洗面所、浴室などへの給湯機能を備えている。貯湯式給湯装置は、図1に示すように、貯湯タンク1、給水経路である給水用配管12、導出経路である第1、第2導出管14、19、出湯経路である給湯用配管17、混合手段である混合弁15、16、加熱手段であるヒートポンプユニット2、制御手段である制御装置200などから構成されている。
【0034】
1は耐食性に優れた金属製(例えばステンレス製)の貯湯タンクであり、外周部に図示しない断熱材が配置されており、高温の給湯用の湯を保温することができるようになっている。貯湯タンク1は縦長形状であり、その底面には導入口11が設けられ、この導入口11には貯湯タンク1内に水道水を導入する給水経路である給水用配管12が接続されている。
【0035】
この給水用配管12には温度検出手段である給水サーミスタ75が設けられており、給水用配管12内の温度情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。また、給水用配管12には導入される水道水の水圧が所定圧となるように調節する減圧弁51が設けられている。そして、給水用配管12の給水サーミスタ75および減圧弁51が設けられた位置より下流側で分岐されて後述する給湯用混合弁16に繋がれている。
【0036】
一方、貯湯タンク1の最上部には第1導出口13が設けられ、第1導出口13には貯湯タンク1内の高温の湯を導出するための導出経路である導出管14が接続されている。この導出管14の経路途中には逃がし弁53を配設した排出配管52が接続しており、貯湯タンク1内の圧力が所定圧以上に上昇した場合には、貯湯タンク1内の湯を外部に排出して、貯湯タンク1等にダメージを与えないようになっている。
【0037】
また、貯湯タンク1の中間部には第2導出口18が設けられ、この第2導出口18には貯湯タンク1内の高温の湯よりも湯温の低い中温の湯を導出するための導出経路である導出管19が接続されている。そして、導出管14と導出管19との下流側合流部位に、混合手段である高中温混合弁15が設けられている。
【0038】
高中温混合弁15は、混合比率である開口面積比(導出管14に連通する湯側の開度と導出管19に連通する湯側の開度の比率)を調節することにより、導出管14からの高温の湯と導出管19からの中温の湯との混合比を調節できるようになっている。
【0039】
また、高中温混合弁15は、サーボモータ等の駆動源により弁体を駆動して各経路の開度を調節する電動弁であり、後述する貯湯サーミスタ32、湯温サーミスタ73、沸き上げ温度サーミスタ74より検出される温度情報に基づいて後述する制御装置200からの制御信号により作動するとともに、作動状態を制御装置200に出力するようになっている。
【0040】
湯温サーミスタ73は、高中温混合弁15の出口側に設けられ、高中温混合弁15で混合された給湯水の湯温を検出している。そして、高中温混合弁15の出口側には、給湯用配管17が接続されている。給湯用配管17は、下流側の使用端末に設けられた図示しない給湯水栓、シャワー水栓等へ設定温度に温度調節された給湯水の湯を導く出湯配管であって、その流路の中途に混合手段である給湯用混合弁16、給湯サーミスタ71および流量カウンタ73が設けられている。
【0041】
給湯用混合弁16は、混合比率である開口面積比(高中温混合弁15から導出される湯側の開度と給水用配管12から給水される水側の開度の比率)を調節することにより、高中温混合弁15からの湯と給水用配管12から水との混合比を調節できるようになっている。
【0042】
また、給湯用混合弁16は、サーボモータ等の駆動源により弁体を駆動して各経路の開度を調節する電動弁であり、給水サーミスタ75、湯温サーミスタ73、給湯サーミスタ71より検出される温度情報に基づいて、後述する貯湯サーミスタ32、湯温サーミスタ73、沸き上げ温度サーミスタ74より検出される温度情報に基づいて後述する制御装置200からの制御信号により作動するとともに、作動状態を制御装置200に出力するようになっている。
【0043】
そして、給湯用混合弁16の出口側には蛇口、シャワー、風呂等への出湯経路である給湯用配管17が接続している。給湯用配管17には、給湯温度検出手段である給湯サーミスタ71と出湯量検出手段である流量カウンタ72が設けられており、給湯サーミスタ71は給湯用配管17内の温度情報を、流量カウンタ72は給湯用配管17内の流量情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。
【0044】
流量カウンタ72からは、給湯用配管17を流れる混合湯の出湯量を検出するとともに、その出湯量により給湯用配管17を流れる混合湯の供給の有無を検出するものであり、給湯用配管17内の流量情報をパルス信号の速度により制御装置200に出力するようにしている。
【0045】
また、貯湯タンク1の上部外壁面には、貯湯タンク1内上部の高温の湯温を検出する出湯サーミスタ32が設けられており、導出口13から導出される給湯水の温度情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。
【0046】
また、貯湯タンク1の外壁面には複数の(本例では6つの)水位サーミスタ33a〜33fが縦方向にほぼ等間隔に配置され、貯湯タンク1内に満たされた水の各水位レベルでの温度情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。
【0047】
従って、制御装置200は、水位サーミスタ33a〜33fからの温度情報に基づいて、貯湯タンク1内上方の沸き上げられた湯と貯湯タンク1内下方の沸き上げられる前の水との境界位置を検出できるようになっている。また、水位サーミスタ33cは、第2導出口18とほぼ同一の高さ方向に設けられており、貯湯タンク1内の中間部の湯温を検出する手段である。
【0048】
一方、貯湯タンク1の下部には、貯湯タンク1内の水を吸入するための吸入口21が設けられ、貯湯タンク1の上部側面には、貯湯タンク1内に湯を吐出する吐出口22が設けられている。吸入口21と吐出口22とは循環水回路20で接続されており、循環水回路20の一部はヒートポンプユニット2内に配置されている。
【0049】
そして、循環水回路20のヒートポンプユニット2内に配置された部分には、図示しない循環ポンプと水冷媒熱交換器が設けられている。循環ポンプは、貯湯タンク1の下部に設けられた吸入口21から水を吸い込んで水冷媒熱交換器に通水させて貯湯タンク1の上部に設けられた吐出口22に戻すように水流を発生させるポンプである。
【0050】
循環ポンプは、内蔵するモータの回転数に応じて流量を調節することができ、制御装置200により制御される。一方の水冷媒熱交換器は、吸入口21から吸入した貯湯タンク1内の水を高温冷媒との熱交換により加熱して、吐出口22から貯湯タンク1内に戻すことにより貯湯タンク1内の水を高温の湯に沸き上げることができる。
【0051】
さらに、ヒートポンプユニット2の下流側の循環水回路20には、分配器である三方弁25が設けられている。三方弁25は、ヒートポンプユニット2で沸き上げた湯を貯湯タンク1の貯湯側に送り出すか、または貯湯タンク1を迂回して直接出湯側に送り出すかのいずれか一方に切り替えるようにしている。
【0052】
より具体的には、三方弁25の一方の出口は、吐出口22に連通するように接続され、他方の出口が高中温混合弁15と第2導出口18とを接続する導出管19に接続されている。つまり、導出管19の中途を分岐し、その分岐点と三方弁25の他方の出口とを接続配管26により接続する。
【0053】
これにより、ヒートポンプユニット2で沸き上げた湯が貯湯タンク1内に貯えられるとともに、ヒートポンプユニット2で沸き上げた湯が出湯側である給湯用配管17に送り込むことができる。なお、図中に示す符号74は、ヒートポンプユニット2で沸き上げられた湯の沸き上げ温度を検出する沸き上げ温度サーミスタであり、その温度情報を後述する制御装置200に出力するようになっている。
【0054】
次に、貯湯タンク1の給水側から取り入れた水を加熱するヒートポンプユニット2は、例えば、炭酸ガスを冷媒として使用することにより、高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界ヒートポンプサイクルを使用している。
【0055】
このヒートポンプサイクルは、周知のように図示しない圧縮機、水冷媒熱交換器、膨張弁、蒸発器、およびアキュムレータ等の冷凍サイクル機能部品より構成されている。因みに、圧縮機(図示しない)は、内蔵する電動モータ(図示しない)によって駆動され、アキュムレータより吸引した気相冷媒を臨界圧力以上まで圧縮して吐出する。
【0056】
水冷媒熱交換器(図示しない)は、冷媒と給湯水とを熱交換するもので、例えば、冷媒が流れる冷媒通路と給湯水が流れる加熱用流体通路とが二重管構造に設けられ、かつ冷媒の流れ方向と給湯用水の流れ方向とが対向するように構成された対向流式の熱交換器である。
【0057】
膨張弁(図示しない)は、水熱交換器から流出する冷媒を減圧して蒸発器(図示しない)に供給する。蒸発器(図示しない)は、膨張弁(図示しない)で減圧された冷媒を大気との熱交換によって蒸発させる。アキュムレータ(図示しない)は、蒸発器より流出する冷媒を気液分離して、気相冷媒のみ圧縮機に吸引させるとともに、サイクル中の余剰冷媒を蓄えている。
【0058】
また、ヒートポンプユニット2は後述する制御装置200からの制御信号により作動されるとともに、作動状態を制御装置200に出力するようになっている。
【0059】
そして、動力源として交流電力を用い、主に料金設定の安い深夜時間帯(例えば、23:00〜翌朝7:00)における深夜電力を用いて、貯湯タンク1内の給湯水を沸き上げて貯湯タンク1の貯湯側に貯えるとともに、大出湯(後述する)のときに、ヒートポンプユニット2で沸き上げた給湯水を出湯側に送るようにしている。
【0060】
制御手段である制御装置200は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵のROM(図示せず)には、予め設定された制御プログラムが設けられており、図示しない操作パネルからの操作情報、各種センサ類からの温度情報、流量情報、圧力情報、ヒートポンプユニット2からの信号などを受信する。
【0061】
そして、これら各サーミスタ32、33a〜33f、71、73、74、75からの温度情報、流量カウンタ72からの流量情報などの信号に基づいてヒートポンプユニット2、混合弁15、16、三方弁25等を制御するように構成されている。なお、図示しない操作盤は、浴室内や台所等の湯を使用する場所の近傍に設置され、操作盤以外は、屋外等の適所に設置されている。
【0062】
なお、本実施形態では、導出管14と導出管19との下流側合流部位に、混合手段である高中温混合弁15を設けたが、これに限らず、流れ方向を切り替える三方弁であっても良い。これによれば、貯湯タンク1内の高温の湯もしくは中温の湯のいずれか一方に切り替えるとともに、貯湯タンク1内の高温の湯もしくはヒートポンプユニット2で沸き上げた湯のいずれか一方を選択することができる。
【0063】
次に、以上の構成による貯湯式給湯装置の作動を図2ないし図5に基づいて説明する。図2は一日の前半(2:00〜14:00)における貯湯式給湯装置の作動を示すタイムチャートであり、図3は一日の後半(14:00〜2:00)における貯湯式給湯装置の作動を示すタイムチャートである。
【0064】
また、図4はヒートポンプユニット2の予測による制御装置200の沸き増し運転における制御処理を示すフローチャートである。図5(a)は大出湯の学習制御における出湯量記憶手段246の設定基準を示す説明図であり、図5(b)はその作動形態を示すタイムチャートである。
【0065】
本実施形態では、貯湯タンク1の貯湯側に最低貯湯量以上の給湯の湯を貯めておかないと湯切れになるような大出湯を学習制御によって予測し、その予測された大出湯のときに、ヒートポンプユニット2を作動させる沸き増し運転を行うように制御している。
【0066】
より具体的には、単位期間(例えば、一日)内における所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量を出湯する大出湯の少なくとも出湯量もしくは出湯熱量、出湯時刻、および出湯時間などを出湯データとして記憶しておく。このときに、ヒートポンプユニット2による沸き増し運転のみで賄えるような出湯と、貯湯タンク1内に貯えられた貯湯量で賄えられる少量の出湯とは記憶はしない。
【0067】
そして、記憶された過去の所定期間(例えば、一週間)分の出湯データから当日の大出湯の出湯時刻、出湯量もしくは出湯熱量を予測して、その予測された大出湯で必要な貯湯量を大出湯の出湯前に、ヒートポンプユニット2で沸き上げた湯を貯湯タンク1の貯湯側に貯湯する第1沸き増し手段である沸き増し運転を行うようにしている。
【0068】
言い換えると、本実施形態では、その日に消費する使用熱量相当分の大容量の貯湯量を一度に貯える方式と異なる方式であって、貯湯タンク1内には、可能な限り、必要なときに必要な貯湯量を貯湯するようにしている。そして、その貯湯量の容量を可能な限り少なくするように大出湯するときに、ヒートポンプユニット2で沸き上げた湯を出湯側である給湯用配管17に送り込ませる第2沸き増し手段である沸き増し運転を行うようにしている。
【0069】
さらに、貯湯タンク1内の最低貯湯量を監視し、その最低貯湯量が所定量未満となったときに、ヒートポンプユニット2で沸き上げた湯を貯湯タンク1の貯湯側に貯湯する第3沸き増し手段である沸き増し運転を行うようにしている。
【0070】
ところで、家族が4人程度の一般的な家庭において、所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量を出湯する大出湯のときは、浴槽内にお湯張りを行うときとか、シャワーによる大量の給湯水を出湯するときである。また、その大出湯の使用パターンは、概して夕方以降に集中している。
【0071】
そこで、図2および図3は、家族が4人程度の一般的な家庭において、一日あたりに全出湯量が500Lもしくは出湯熱量を15000Kcal(42℃出湯で給水温度12℃のとき)を給湯用として使用するときに学習させた作動パターンをタイムチャートで示したものであって、一日を2:00〜14:00と14:00〜2:00との2分割している。
【0072】
そして、毎日2:00になると、その日の大出湯の出湯を予測する。本例では、一日の前半(2:00〜14:00)では大出湯の機会がなく夕方以降に大出湯がある。そこで、一日の前半では、図2に示すように、料金設定の安い時間帯の終了時刻が午前7:00であった場合、その日に予想される使用量の半分を料金設定の安い時間帯にヒートポンプユニット2を作動させて第1沸き増し手段による沸き増し運転を行って貯湯するようにしている。
【0073】
より具体的には、半日分の出湯熱量(7500Kcal以上)を料金設定の安い時間帯の終了時刻(午前7:00)前に沸き増し運転を行って必要貯湯量として貯湯量150Lを確保する。なお、このときの図中(b)に示す沸き上げ温度は65℃で沸き上げる(例えば、(65℃−12℃)×150L=7950Kcal)。また、ヒートポンプユニット2の図中(a)に示す運転能力は、最大能力の半分である6kWで運転する。
【0074】
これは、料金設定の安い時間帯の終了時刻(午前7:00)前に沸き上げれば良いことなのでCOP(成績効率)の良い方となる低能力で運転させている。なお、ここでは、半日分の出湯熱量(7500Kcal以上)を沸き上げたが、これに限らず、もっと多く沸き上げても良いし、もっと少なく沸き上げても良い。
【0075】
また、ここでは、沸き上げ温度を65℃で沸き上げたが、これに限らず、沸き上げ温度を90℃で高めの沸き増し運転を行うと電力料金を安くすることができる。また、図中(e)および(f)に示す積算出湯量および出湯量は、大出湯以外の出湯状態を示しており、このときは貯えられた貯湯量で賄われている。
【0076】
そして、図3に示すように、一日の後半(14:00〜2:00)になると、予測された大出湯の出湯時刻は20:00と23:00の2回あって、20:00のときは、例えば、浴槽内にお湯張りを行うときの出湯であり、23:00のときは、シャワーによる大量の出湯である。
【0077】
そして、予測された大出湯の出湯時刻前、例えば19:00にその大出湯で必要な貯湯量をヒートポンプユニット2で沸き上げた湯を貯湯タンク1の貯湯側に貯湯する第1沸き増し手段である沸き増し運転を行うようにしている。
【0078】
そして、予測された大出湯の出湯時刻(20:00)に達したときに、所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量があれば、ヒートポンプユニット2で沸き上げた湯を出湯側である給湯用配管17に送り込ませる第2沸き増し手段である沸き増し運転を行うなってお湯張りを補っている。
【0079】
そして、その後の予測された2番目の大出湯において、大出湯の出湯時刻前にその大出湯で必要な貯湯量を貯えるとともに、予測された大出湯の出湯時刻(23:00)に達したときに、第2沸き増し手段である沸き増し運転でシャワーによる大量の出湯を補っている。
【0080】
なお、大出湯以外のときに、例えば、17:00、1:00の最低貯湯量(例えば、50L)以下となったときは、ヒートポンプユニット2を作動させて第3沸き増し手段である沸き増し運転を行って貯湯タンク1内に最低貯湯量以上を貯湯するようにしている。
【0081】
次に、図4に示すフローチャートは、図2および図3による作動パターンを実現するための制御装置200による沸き増し運転の制御処理であって、その手順を説明する。まず、図4に示すように、ステップ201にて、学習制御開始時刻に達した否かを判定する。ここでは、2:00に達することで沸き増し運転の制御処理が開始する。
【0082】
ステップ202にて、記憶された過去の所定期間(例えば、一週間)分の出湯データから学習制御を行って少なくとも当日の大出湯の出湯時刻、出湯量もしくは出湯熱量、出湯時間を予測する。ここでは、過去所定期間(例えば、一週間)分のデータから一回あたりの大出湯を一日単位の出湯量もしくは出湯熱量の多い順に求め、かつそれらの出湯量もしくは出湯熱量を過去所定期間(例えば、一週間)分の平均値〜最大値として学習制御を行うと良い。
【0083】
そのときに、出湯時刻の予測は、過去所定期間(例えば、一週間)分のデータから最も早い出湯時刻を学習制御して採用する。また、出湯時間の予測は、過去所定期間(例えば、一週間)分のデータから平均値〜最大値として学習制御を行うと良い。なお、以上のステップ202の制御処理を請求項では出湯予測手段と称している。
【0084】
そして、ステップ203にて、予測された大出湯の目標熱量を算出する。具体的には、記憶された過去の所定期間(例えば、一週間)分の出湯データの出湯熱量から平均値もしくは標準偏差を含めた最大値を算出する。そして、ステップ204にて、予測された大出湯の予測熱量を算出する。
【0085】
この予測熱量は予測された大出湯するときに、ヒートポンプユニット2を作動させて第2沸き増し手段である沸き増し運転を行って、ヒートポンプユニット2で沸き上げた湯を出湯側である給湯用配管17に送り込ませる出湯熱量である。なお、以上のステップ203の制御処理を請求項では沸き上げ熱量算出手段と称し、ステップ204の制御処理を請求項では予測熱量算出手段と称している。
【0086】
次に、ステップ205にて、予測された大出湯する出湯時刻の前に貯湯する必要貯湯量を算出する。この必要貯湯量は、ステップ203にて算出した目標熱量と予め設定された最低貯湯量との和からステップ204で算出した予測熱量を差し引いて算出する。これによれば、必要貯湯量を可能な限り少なくすることができる。なお、以上のステップ205の制御処理を請求項では必要貯湯量算出手段と称している。
【0087】
そして、ステップ206にて、ステップ204で算出した必要貯湯量を貯湯するための開始時刻を算出する。この開始時刻は予測された大出湯する出湯時刻から必要貯湯量を貯湯タンク1内に貯える貯湯時間を差し引いて求める。つまり、沸き増し開始時刻=出湯時刻−Twから求める。
【0088】
そして、Tw=(目標熱量−Qa×860×(出湯時間−5分))−現在の貯湯量+最低貯湯量)/QaからTwを求める。ここで、Qaはヒートポンプユニット2の運転能力であって、この大出湯を賄うためヒートポンプユニット2の最大能力である12kwを用いる。
【0089】
ここで、5分はヒートポンプユニット2の立ち上がり時の遅れ分であって、この種のヒートポンプユニット2で沸き上げた湯を出湯側に送るときには、沸き上げ温度が安定となるまでヒートポンプユニット2の運転開始後5分程度の遅れがあるため、これを含めてTwを求める。なお、本実施形態では、(目標熱量−Qa×860×(出湯時間−5分))としたが、これに限らず、Qa×860×(出湯時間−5分)の予測熱量を省いてTwを求めても良い。
【0090】
そして、ステップ210にて時間帯を判定する。ここで現在の時刻が一日の前半の2:00〜14:00であればステップ211に移行する。ここで現在の時刻が一日の後半の14:00〜2:00であればステップ230に移行する。つまり、このステップで図2もしくは図3に示す作動パターンを判定している。
【0091】
そして、ステップ211にて現在の貯湯量を検出するとともに、その貯湯量における残湯熱量を算出する。そして、ステップ212にて、検出された貯湯量が予め設定された最低貯湯量に対してあるか否かを判定する。
【0092】
ここで、最低貯湯量は、給湯用配管17から出湯と同時にヒートポンプユニット2を作動させても、ヒートポンプユニット2で沸かす温度が所定温度になるまで所定時間必要なため、その所定時間分を貯湯タンク1内に貯えたお湯で賄うための貯湯量であるとともに、湯切れ防止のための担保量である。本実施形態では、例えば、50Lを最低貯湯量としている。
【0093】
従って、ステップ212にて、現在の貯湯量が最低貯湯量を下回っておれば、ステップ213にて沸き増し運転を開始する。具体的には、分配器である三方弁25を貯湯タンク1の貯湯側に送り出す方向に切り替えてヒートポンプユニット2を作動させて沸き増し運転を行う。
【0094】
これにより、ヒートポンプユニット2で沸き上げた湯が貯湯タンク1内に送り出される。そして、ステップ214にて、沸き増し停止条件が成立するまでヒートポンプユニット2の沸き増し運転を継続して貯湯量を増加させる。
【0095】
ここで、沸き増し停止条件として、例えば、現在の貯湯量にプラス30L貯湯量が増加すればステップ215にて、沸き増し運転を停止する。言い換えれば、予測された大出湯以外のときは、現在の貯湯量を監視して予め設定された貯湯量を下回ったときに、ステップ213にて沸き増し運転を開始する。なお、このステップ213の制御処理を請求項では第3沸き増し手段と称している。
【0096】
そして、ステップ212にて、最低貯湯量以上あれば、ステップ220にて現在の時刻がAM2:00〜AM7:00ないであるか否かを判定する。ここでこの時刻内であれば、ステップ221にて目標熱量を算出する。ここでは、上述したように一日の半日分の出湯熱量(7500Kcal以上)を求める算出手段である。
【0097】
ここでは、ヒートポンプユニット2の運転能力を最大能力の半分である6kWで、かつ沸き上げ温度を65℃で沸き上げる出湯熱量(例えば、(65℃−12℃)×150L=7950Kcal)である。そして、ステップ222にて沸き増し運転を開始する開始時刻を算出する。ここでは、料金設定の安い時間帯が、例えばAM7:00に終了してしまうので、AM7:00に達する前に目標熱量分を沸き上げる開始時刻とする。
【0098】
そして、ステップ223にて、開始時刻に達したか否かを判定する。ここで開始時刻に達したら、ステップ224にて沸き増し運転を開始する。具体的には、三方弁25を貯湯タンク1の貯湯側に送り出す方向に切り替えてヒートポンプユニット2を作動させて沸き増し運転を行う。
【0099】
そして、ステップ225にて、沸き増し停止条件が成立するまでヒートポンプユニット2の沸き増し運転を継続して目標熱量分貯湯量を増加させる。ここで、沸き増し停止条件として、目標熱量分の貯湯量が増加すればステップ226にて、沸き増し運転を停止する。これにより、AM7:00前に、14:00までに使用される半日分の目標熱量相当の貯湯量(図2参照)が貯湯タンク内に貯湯できる。
【0100】
次に、ステップ210にて、現在の時刻が一日の後半の14:00〜2:00であればステップ230に移行する。ここでは、ステップ206にて算出した開始時刻を判定する判定手段であって、ここで、開始時刻に達すればステップ231にて現在の貯湯量を検出するとともにその貯湯量における残湯熱量を算出する。
【0101】
そして、ステップ232にて、現在の貯湯量とステップ205にて算出した必要貯湯量とを比較し、現在の貯湯量が必要貯湯量よりも小さければステップ233にて沸き増し運転を開始する。
【0102】
具体的には、三方弁25を貯湯タンク1の貯湯側に送り出す方向に切り替えてヒートポンプユニット2を作動させて沸き増し運転を行う。ここでは、ヒートポンプユニット2の運転能力を最大能力の12kWで、かつ沸き上げ温度を50℃で沸き上げると良い。これにより、ヒートポンプユニット2で沸き上げられた湯が貯湯タンク1内に送り込まれる。
【0103】
そして、ステップ234にて、沸き増し停止条件が成立するまでヒートポンプユニット2の沸き増し運転を継続する。ここで、沸き増し停止条件として、例えば、必要貯湯量まで貯湯量が増加すればステップ235にて、沸き増し運転を停止する。これにより、予測された大出湯する前に、それ以後に予測される大出湯のときの必要貯湯量を貯湯することができる。なお、ステップ233の制御処理を請求項では第1沸き増し手段と称している。
【0104】
一方、ステップ230にて、現在の時刻が予測された開始時刻に達していなければ、ステップ241にて、予測された大出湯の時間帯であるか否かを判定する。ここで、予測された大出湯の時間帯であれば、ステップ242にて大出湯の出湯中であるか否かを判定する。
【0105】
この制御処理は、流量カウンタ72からの流量情報を判定する判定手段であって、所定値以上の出湯量を出湯する大出湯なのか、または大出湯以外の出湯かのいずれかを判定している。つまり、流量カウンタ72からの流量情報が予測された出湯量もしくは出湯熱量の設定比率(例えば、80%)以上であれば大出湯を出湯中と判定する。
【0106】
ここで、予測された大出湯の出湯中であれば、ステップ243にて沸き増し運転を開始する。ここでは、ヒートポンプユニット2の運転能力を最大能力の12kWで、かつ沸き上げ温度を50℃で沸き上げると良い。
【0107】
具体的には、三方弁25を出湯側に送り出す方向に流れ方向を切り替えて、ヒートポンプユニット2を作動させて沸き上げた湯を導出管19に送り出して給湯用配管17から出湯させるようにしている。つまり、ヒートポンプユニット2で沸き上げたお湯で大出湯の出湯を補うことができる。
【0108】
そして、ステップ244にて、沸き増し停止条件として、例えば、予測された出湯時間が経過するまでヒートポンプユニット2の沸き増し運転を継続する。ここで、沸き増し停止条件が成立すればステップ245にて沸き増し運転を停止する。
【0109】
これにより、貯湯タンク1内に貯湯した必要貯湯量と予測された大出湯をヒートポンプユニット2で沸き上げたお湯で補うことで湯切れなく出湯することができる。なお、ステップ243の制御処理を請求項では第2沸き増し手段と称している。
【0110】
そして、ステップ246にて大出湯のときの出湯量もしくは出湯熱量、出湯時間、出湯時刻を記憶する。つまり、流量カウンタ72からの流量情報が所定値以上の出湯量で出湯する大出湯であれば、このときの少なくとも出湯量もしくは出湯熱量、出湯時間、出湯時刻を記憶するようにしている。
【0111】
具体的には、図5(a)および図5(b)に示す大出湯の設定基準によって設定しているので以下説明する。図5(a)に示すように、一回あたりの出湯を1に示す所定値以上の給湯量(出湯熱量)、2に示す単位時間当たりの出湯量が所定値以上のみを記憶する。
【0112】
より具体的には、図5(b)に示すように、1に示す所定値以上の給湯量(出湯熱量)の所定値は最低貯湯量以下の40L程度、2に示す単位時間当たりの出湯量の所定値はヒートポンプユニット2の最大運転能力以下の4L/分程度としている。
【0113】
そして、3に示すように一回あたりの出湯で記憶するが、所定時間(例えば、5分程度)内の断続出湯の場合は1回あたりの出湯として記憶する。これの理由はこれらの出湯を群として捉えるようにしている。より具体的にはヒートポンプユニット2が停止して再起動して沸き上げ温度に達するまで5分程度時間を要することでこのようにしている。
【0114】
そして、4に示す単位期間(例えば、1日)内における出湯量の多い順に、その出湯量を記憶し、過去の所定期間(例えば、一週間)分のデータから出湯量もしくは出湯熱量の平均値および標準偏差から求める最大値を算出して記憶する。この理由として、お湯張りや大量のシャワー使用など大出湯の機会が単位期間(例えば、1日)内に何回かある使用者の場合を想定して出湯量の多い順に記憶すると良い。
【0115】
そして、5に示すように、このときの出湯時間も併せて記憶し、過去の所定期間(例えば、一週間)分のデータから出湯時間の平均値および標準偏差から求める最大値を算出して記憶する。この出湯時間は、ヒートポンプユニット2で沸き上げたお湯で大出湯の出湯を補うときの時間であって、図5(b)に示すように、ヒートポンプユニット2がONしている間のa+bの時間を記憶する。
【0116】
そして、6に示すように、大出湯を出湯する出湯時刻をも併せて記憶し、過去の所定期間(例えば、一週間)分のデータから最も早い時刻を予測に用いる。なお、過去の所定期間(例えば、一週間)分のばらつきから予想される最短時刻を予測しても良い。なお、このステップ246の制御処理を請求項では出湯量記憶手段と称している。
【0117】
そして、ステップ246にて大出湯のデータを記憶した後は、ステップ210に戻り、ステップ230にて、次の大出湯の開始時刻を監視し、予測された大出湯がないときは、ステップ212にて最低貯湯量を監視し、ステップ213の第3沸き増し手段によってその最低貯湯量を維持する。
【0118】
ところで、予測された大出湯が予測された出湯時刻になっても実行されなかったときは、次の予測された大出湯の開始時刻に進行するようになっている。そして、次の開始時刻になったときに、ステップ232にて、現在の貯湯量を次の予測される大出湯のときの必要貯湯量と比較した後に、ヒートポンプユニット2を作動させるため、現在の貯湯量が必要貯湯量よりも大のときはステップ233に移行しない。
【0119】
なお、ステップ233およびステップ243にて、沸き増し運転の沸き上げ温度を50℃と設定したが、これに限らず、45℃程度であっても良い。例えば、沸き上げ温度が50℃程度であればお湯張りの適温であり、45℃程度であれば一般的な給湯の最適温度である。
【0120】
また、ステップ230では、一日の時間帯を2:00〜14:00と14:00〜2:00との2分割にしたが、これに限ることなく、使用者の使用パターンに応じて2分割以上に分けても良い。さらに、以上の実施形態では、過去の所定期間(一週間)分のデータから平均値〜最大値などを予測したが、これに限らず、平日の大出湯を予測するときには、過去の所定期間分の平日からのデータから予測しても良い。
【0121】
以上の制御処理により、貯湯タンク1内には、可能な限り、必要なときに必要な貯湯量を貯湯することができるとともに、その貯湯量の容量を可能な限り少なくするようにヒートポンプユニット2で沸き上げた湯を出湯することができる。そして、大出湯以外のときは貯湯タンク1内の最低貯湯量を監視し、その最低貯湯量が所定量未満となったときに、ヒートポンプユニット2で沸き上げた湯を貯湯タンク1の貯湯側に貯湯することができる。
【0122】
以上の第1実施形態による貯湯式給湯装置によれば、制御装置200には、少なくとも単位期間(例えば、1日)内における出湯側から給湯用として使用した所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量を算出し、その出湯量もしくは出湯熱量をデータとして記憶する出湯量記憶手段246と、この出湯量記憶手段246で記憶されたデータから沸き上げ目標熱量を算出する沸き上げ目標熱量算出手段203と、この沸き上げ目標熱量算出手段203で求められた沸き上げ目標熱量に基づいて、貯湯タンク1の貯湯側に貯える必要貯湯量を算出する必要貯湯量算出手段205と、出湯量記憶手段246で記憶されたデータから学習制御を行うことによって大出湯を予測する出湯予測手段202と、この出湯予測手段202で予測された大出湯を出湯する前に、ヒートポンプユニット2を作動させて必要貯湯量算出手段205で求めた必要貯湯量の給湯用の湯を貯湯タンク1の貯湯側に貯える沸き増し運転を行う第1沸き増し手段233とを有する。
【0123】
これによれば、出湯予測手段202によって大出湯を予測し、その大出湯による出湯熱量の不足分を、大出湯を出湯する前に、貯湯タンク1の貯湯側に貯えることができる。つまり、使用実績に応じた必要な出湯熱量を事前に必要貯湯量として貯湯タンク1内に確保することができる。
【0124】
従って、貯湯タンク1内に貯湯する保管時間を短縮できることで熱損失の低減ができて省エネルギ性の向上が図れる。また、大出湯を出湯するときの出湯熱量の不足分のみを大出湯を出湯する前に、貯湯タンク1内に貯湯すれば良いので必要貯湯量を大幅に低下させることができる。これにより、容積の小さい貯湯タンク1にすることができる。
【0125】
また、制御装置200には、出湯予測手段202で予測された大出湯を出湯するときに、ヒートポンプユニット2を作動させて沸き上げた湯を出湯側に送り込む沸き増し運転を行う第2沸き増し手段243と、この第2沸き増し手段243によって出湯する出湯量もしくは出湯熱量の予測熱量を算出する予測熱量算出手段204とを有し、必要貯湯量算出手段205は、沸き上げ目標熱量算出手段203で求めた出湯量もしくは出湯熱量と予め設定された最低貯湯量との和から、予測熱量算出手段204で求めた予測熱量を差し引いて必要貯湯量を求める。
【0126】
これによれば、大出湯が必要なときに第2沸き増し手段243によって沸き増し運転を行うことで、大出湯を出湯する前に貯える必要貯湯量を少なくすることができる。これにより、さらに熱損失の低減ができより省エネルギ性の向上が図れる。
【0127】
また、制御装置200には、出湯予測手段202で予測された大出湯を出湯する前以外のときに、予め設定された最低貯湯量を維持するようにヒートポンプユニット2を作動させて沸き上げた湯を貯湯側に送り込む沸き増し運転を行う第3沸き増し手段213を有することにより、大出湯以外の出湯が頻繁にあっても最低貯湯量で賄うことができる。
【0128】
また、第1、第2、第3沸き増し手段233、243、213は、料金設定が異なる時間帯があるときにおいて、少なくとも料金設定が高い時間帯に、ヒートポンプユニット2を作動させることにより、大出湯で出湯するときは、概して料金設定が高い時間帯であるため料金設定が安い時間帯で運転させて保管するよりも省エネルギ性の向上が図れる。
【0129】
また、第1沸き増し手段233は、現在の貯湯量もしくは残湯熱量から沸き上げ目標熱量算出手段203で求めた出湯量もしくは出湯熱量を差し引いて不足量もしくは不足熱量を求めて、その沸き増しに必要な時間を、出湯予測手段202で予測された大出湯を出湯する出湯時刻から引き算し、その時刻前から沸き増し運転を開始することにより、大出湯を出湯する前に確実に必要貯湯量として貯湯タンク1内に確保することができる。これにより、湯切れを起こすことがない。
【0130】
また、第1沸き増し手段233は、現在の貯湯量もしくは残湯熱量から沸き上げ目標熱量算出手段203で求めた出湯量もしくは出湯熱量を差し引き、それに予測熱量算出手段204で求めた予測熱量を加算して不足量もしくは不足熱量を求めて、その沸き増しに必要な時間を、出湯予測手段202で予測された大出湯を出湯する出湯時刻から引き算し、その時刻前から沸き増し運転を開始することにより、大出湯を出湯する前に確実に必要貯湯量として貯湯タンク(1)内に確保することができる。これにより、湯切れを起こすことがない。
【0131】
また、出湯量記憶手段246は、出湯側から給湯用として使用した出湯が、一回あたり所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量の出湯として記憶し、出湯開始から出湯終了までを一回としており、断続的な出湯のときは所定時間内であれば一回あたりの出湯として記憶している。
【0132】
これによれは、大出湯を或る範囲の群として捉えることができる。例えば、大出湯を浴槽内へのお湯張り、多量に消費するシャワー使用などのヒートポンプユニット2で沸き上げることができない出湯を検知することができる。
【0133】
また、出湯量記憶手段246は、出湯側から給湯用として使用した出湯が、単位時間当たりの所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量の出湯として記憶していることにより、大出湯を浴槽内へのお湯張り、多量に消費するシャワー使用などのヒートポンプユニット2で沸き上げることができない出湯を検知することができる。
【0134】
また、出湯予測手段202は、過去所定期間分のデータから一回あたりの大出湯を一日単位の出湯量もしくは出湯熱量の多い順に求め、かつそれらの出湯量もしくは出湯熱量を過去所定期間分の平均値〜最大値として学習制御を行うことによって大出湯を予測することにより、過去所定期間を一週間とすると、その一週間における大出湯のデータに基づいて、予測する一日単位の大出湯が正確に予測することができる。また、平均値のほかに標準偏差を含めた最大値で捉えることで湯切れのない大出湯を出湯することができる。
【0135】
また、出湯予測手段202は、一回あたりの大出湯の出湯時間を過去所定期間分のデータから平均値〜最大値として学習制御を行うことによって予測することにより、出湯時間によって第2沸き増し手段243によって沸き増し運転を行う出湯熱量の予測ができる。例えば、出湯時間が比較的長ければ、その間にヒートポンプユニット2による沸き増し運転で出湯熱量を補うことができる。
【0136】
また、出湯予測手段202は、一回あたりの大出湯の出湯時刻を過去所定期間分のデータから最も早い出湯時刻として学習制御を行うことによって予測することにより、最も早い出湯時刻を越える確率が小さいことで湯切れとなる大出湯の発生が慨してない。
【0137】
また、出湯予測手段202は、過去所定期間分のデータから時間帯別に区分させて学習制御を行うことによって大出湯を予測することにより、大出湯の予測が正確にできる。また、容積の小さい貯湯タンク1にすることができる。
【0138】
また、制御装置200は、第1、第2、第3沸き増し手段233、243、213による沸き上げ運転のときに、ヒートポンプユニット2の沸き上げ温度を必要に応じて可変できることにより、予測された大出湯に応じた沸き上げ温度でヒートポンプユニット2の沸き上げ運転ができる。また、COPの向上が図れる。
【0139】
また、制御装置200は、第1、第2、第3沸き増し手段233、243、213による沸き上げ運転のときに、ヒートポンプユニット2の沸き上げ能力を必要に応じて可変できることにより、予測された大出湯に応じた沸き上げ能力でヒートポンプユニット2の沸き上げ運転ができる。また、COPの向上が図れる。
【0140】
また、第2沸き増し手段243は、単位時間当たりの所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量を出湯する大出湯のときで、かつ予め設定された最低貯湯量以下のときに、ヒートポンプユニット2を作動させて沸き上げた湯を出湯側に送り込む沸き増し運転を開始することにより、予測外の大出湯があったときに、現在の貯湯量に応じて湯切れを起こさずに対応することができる。
【0141】
また、制御装置200は、予測された大出湯の出湯時刻が経過したときか、もしくはその予測された出湯時刻に所定比率の以上の出湯量もしくは出湯熱量の大出湯を出湯したときに、現在時刻以降の大出湯の予測を実行することにより、次の予測された大出湯のための切り替えがスムーズに移行できる。
【0142】
(第2実施形態)
以上の第1実施形態では、図4に示すように、ステップ230で時間帯を判定させて、その時間帯の予測される出湯に応じてヒートポンプユニット2の沸き上げ運転を行うように構成したが、これに限らず、具体的には、図6に示すように、ステップ230を設けずに予測される大出湯に応じてヒートポンプユニット2の沸き上げ運転を行うように構成しても良い。
【0143】
(他の実施形態)
以上の実施形態では、予測された大出湯の出湯量が多い順に並べて説明したが、実際の予測パターンでは大出湯の大小の順序は異なるため、それぞれの予測された大出湯における開始時刻を監視するとともに、出湯量の多い大出湯順に必要貯湯量を貯湯するようにすれば良い。
【0144】
また、以上の実施形態では、ヒートポンプユニット2を高温側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界ヒートポンプサイクルから構成させたが、これに限らず、例えば、フロン冷媒を用いた一般的なヒートポンプサイクルで構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の第1実施形態における貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】一日の前半(2:00〜14:00)における貯湯式給湯装置の作動を示すタイムチャートである。
【図3】一日の後半(14:00〜2:00)における貯湯式給湯装置の作動を示すタイムチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態における制御装置200の沸き増し運転における制御処理を示すフローチャートである。
【図5】(a)は大出湯の学習制御における出湯量記憶手段246の設定基準を示す説明図、(b)はその作動形態を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態における制御装置200の沸き増し運転における制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0146】
1…貯湯タンク
2…ヒートポンプユニット(加熱手段)
200…制御装置(制御手段)
202…出湯予測手段
203…沸き上げ目標算出手段
204…予測熱量算出手段
205…必要貯湯量算出手段
213…第3沸き増し手段
233…第1沸き増し手段
243…第2沸き増し手段
246…出湯量記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水源から水が給水側に供給され、貯湯側に給湯用の湯を貯湯する貯湯タンク(1)と、
前記給水側から取水し、沸き上げた湯を貯湯側もしくは出湯側に送り込む加熱手段(2)と、
前記加熱手段(2)を制御する制御手段(200)とを備え、
前記制御手段(200)には、少なくとも単位期間内における出湯側から給湯用として使用した所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量を算出し、その出湯量もしくは出湯熱量をデータとして記憶する出湯量記憶手段(246)と、
前記出湯量記憶手段(246)で記憶されたデータから沸き上げ目標熱量を算出する沸き上げ目標熱量算出手段(203)と、
前記沸き上げ目標熱量算出手段(203)で求められた沸き上げ目標熱量に基づいて、前記貯湯タンク(1)の貯湯側に貯える必要貯湯量を算出する必要貯湯量算出手段(205)と、
前記出湯量記憶手段(246)で記憶されたデータから学習制御を行うことによって大出湯を予測する出湯予測手段(202)と、
前記出湯予測手段(202)で予測された大出湯を出湯する前に、前記加熱手段(2)を作動させて前記必要貯湯量算出手段(205)で求めた必要貯湯量の給湯用の湯を前記貯湯タンク(1)の貯湯側に貯える沸き増し運転を行う第1沸き増し手段(233)とを有することを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記制御手段(200)には、前記出湯予測手段(202)で予測された大出湯を出湯するときに、前記加熱手段(2)を作動させて沸き上げた湯を出湯側に送り込む沸き増し運転を行う第2沸き増し手段(243)と、
前記第2沸き増し手段(243)によって出湯する出湯量もしくは出湯熱量の予測熱量を算出する予測熱量算出手段(204)とを有し、
前記必要貯湯量算出手段(205)は、前記沸き上げ目標熱量算出手段(203)で求めた出湯量もしくは出湯熱量と予め設定された最低貯湯量との和から、前記予測熱量算出手段(204)で求めた予測熱量を差し引いて前記必要貯湯量を求めることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記制御手段(200)には、前記出湯予測手段(202)で予測された大出湯を出湯する前以外のときに、予め設定された最低貯湯量を維持するように前記加熱手段(2)を作動させて沸き上げた湯を貯湯側に送り込む沸き増し運転を行う第3沸き増し手段(213)を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項4】
前記第1、第2、第3沸き増し手段(233、243、213)は、料金設定が異なる時間帯があるときにおいて、少なくとも料金設定が高い時間帯に、前記加熱手段(2)を作動させることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項5】
前記第1沸き増し手段(233)は、現在の貯湯量もしくは残湯熱量から前記沸き上げ目標熱量算出手段(203)で求めた出湯量もしくは出湯熱量を差し引いて不足量もしくは不足熱量を求めて、その沸き増しに必要な時間を、前記出湯予測手段(202)で予測された大出湯を出湯する出湯時刻から引き算し、その時刻前から沸き増し運転を開始することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項6】
前記第1沸き増し手段(233)は、現在の貯湯量もしくは残湯熱量から前記沸き上げ目標熱量算出手段(203)で求めた出湯量もしくは出湯熱量を差し引き、それに前記予測熱量算出手段(204)で求めた予測熱量を加算して不足量もしくは不足熱量を求めて、その沸き増しに必要な時間を、前記出湯予測手段(202)で予測された大出湯を出湯する出湯時刻から引き算し、その時刻前から沸き増し運転を開始することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項7】
前記出湯量記憶手段(246)は、出湯側から給湯用として使用した出湯が、一回あたり所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量の出湯として記憶し、出湯開始から出湯終了までを一回としており、断続的な出湯のときは所定時間内であれば一回あたりの出湯として記憶していることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項8】
前記出湯量記憶手段(246)は、出湯側から給湯用として使用した出湯が、単位時間当たりの所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量の出湯として記憶していることを特徴とする請求項7に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項9】
前記出湯量記憶手段(246)には、前記単位期間が一日における所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量のデータであって、かつ過去所定期間分のデータが記憶されており、
前記出湯予測手段(202)は、前記過去所定期間分のデータから一回あたりの大出湯を一日単位の出湯量もしくは出湯熱量の多い順に求め、かつそれらの出湯量もしくは出湯熱量を前記過去所定期間分の平均値〜最大値として学習制御を行うことによって大出湯を予測することを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項10】
前記出湯予測手段(202)は、一回あたりの大出湯の出湯時間を前記過去所定期間分のデータから平均値〜最大値として学習制御を行うことによって予測することを特徴とする請求項9に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項11】
前記出湯予測手段(202)は、一回あたりの大出湯の出湯時刻を前記過去所定期間分のデータから最も早い出湯時刻として学習制御を行うことによって予測することを特徴とする請求項9に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項12】
前記出湯予測手段(202)は、前記過去所定期間分のデータから時間帯別に区分させて学習制御を行うことによって大出湯を予測することを特徴とする請求項1または請求項9に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項13】
前記制御手段(200)は、前記第1、第2、第3沸き増し手段(233、243、213)による沸き上げ運転のときに、前記加熱手段(2)の沸き上げ温度を必要に応じて可変できることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項14】
前記制御手段(200)は、前記第1、第2、第3沸き増し手段(233、243、213)による沸き上げ運転のときに、前記加熱手段(2)の沸き上げ能力を必要に応じて可変できることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項15】
前記第2沸き増し手段(243)は、単位時間当たりの所定値以上の出湯量もしくは出湯熱量を出湯する大出湯のときで、かつ予め設定された最低貯湯量以下のときに、前記加熱手段(2)を作動させて沸き上げた湯を出湯側に送り込む沸き増し運転を開始することを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか一項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項16】
前記制御手段(200)は、予測された大出湯の出湯時刻が経過したときか、もしくはその予測された出湯時刻に所定比率の以上の出湯量もしくは出湯熱量の大出湯を出湯したときに、現在時刻以降の次の大出湯の予測を実行することを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか一項に記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−285607(P2007−285607A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113738(P2006−113738)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成17年度独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 エネルギー使用合理化技術戦略的開発/エネルギー使用合理化技術実用化開発/エジェクタ技術を用いたCO2ヒートポンプ給湯器の小型化開発に係る共同研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】