説明

貯湯式給湯装置

【課題】貯湯タンク内に発生した中温水が貯湯タンク内のどの高さにあっても、この中温水をすばやく外部に取り出して給湯水として利用でき、貯湯タンク内の高温水の不足を低減でき、またCOPが高い貯湯式給湯装置を得る。
【解決手段】本発明の貯湯式給湯装置は、湯水が貯留される貯湯タンク2と、貯湯タンク2に配管を介して接続され貯湯タンク2から送られた湯水を加熱する加熱手段3と、貯湯タンク2内に鉛直方向に延在して設けられ湯水を外部に取り出す取水管38と、貯湯タンク2の外部に取り出された湯水が導かれる給湯栓4とを備え、取水管38は、貯湯タンク2内から湯水を内部に取り入れる取水口12を有し、取水口12の鉛直方向の位置を連続的に変化するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばヒートポンプサイクルを用いて湯水を加熱し、加熱した湯を貯湯タンクに貯留する貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の貯湯式給湯装置として、貯湯タンクの下側から低温水(例えば5℃)の湯水を取り出し、ヒートポンプサイクルを用いて加熱した高温水(例えば90℃)の湯水を、貯湯タンクの上側から貯湯タンクに戻すとともに、貯湯タンク内の湯水が温度拡散して生じた中温水を、貯湯タンク内に上下方向に延びて設けられた取水管により外部に取り出して給湯へ利用したものが知られている(例えば特許文献1)。
このものの場合、取水管は外筒または中筒が回転自在な二重管構造であり、外筒及び中筒の周囲に所定の回動位置で互いに連通可能な取水口を異なる高さ位置に設け、外筒または中筒が回動することにより貯湯タンク内の所定高さに貯留する中温水を取り出すようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−57916号公報(第5頁〜第8頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような貯湯式給湯装置は、所定の高さに取水口を離散的に設けているため、貯湯タンク内の中温水の位置が取水口の位置と一致しない場合、取水口から高温水を取り出しながら、中温水が取水口の位置に到達するまで待つ必要があり、中温水取り出しまでに時間がかかるとともに、給湯の使用時間が短いと、そのまま密閉された貯湯タンク内に貯留されてしまう。そのため、貯湯タンク内では要求給湯温度以下の中温水の割合が占める割合が大きくなってしまい、それだけ貯湯タンク内に占める高温水の割合が低下し、高温水が不足するという問題点があった。
また、高温水の不足を低減すべく、この中温水をヒートポンプによりおよそ90℃まで加熱するときには、加熱量/消費電力量で示されるエネルギー消費効率(COP)は、低温水を加熱する場合と比較して温度差が小さく、COPが低いという問題点もあった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、貯湯タンク内に発生した中温水が貯湯タンク内のどの高さにあっても、この中温水をすばやく外部に取り出して給湯水として利用でき、貯湯タンク内の高温水の不足を低減でき、またCOPが高い貯湯式給湯装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の貯湯式給湯装置は、湯水が貯留される貯湯タンクと、貯湯タンクに配管を介して接続され貯湯タンクから送られた湯水を加熱する加熱手段と、貯湯タンク内に鉛直方向に延在して設けられ湯水を外部に取り出す取水管と、貯湯タンクの外部に取り出された湯水が導かれる給湯栓とを備え、取水管は、貯湯タンク内から湯水を内部に取り入れる取水口を有し、取水口の鉛直方向の位置を連続的に変化するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る貯湯式給湯装置によれば、貯湯タンク内に発生した中温水が、貯湯タンク内のどの高さにあっても、この中温水をすばやく外部に取り出して給湯水として利用できるため、貯湯タンク内の高温水不足を低減でき、また高いCOPが確保されるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の各実施の形態を図に基づいて説明するが、各図において同一、または相当部材、部位については、同一符号を付して説明する。
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置を示す構成図である。
この貯湯式給湯装置は、湯水が貯留される貯湯タンク2を有する貯湯タンクユニット1と、貯湯タンク2内の湯水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプユニット3と、台所や洗面所などで使用する給湯栓4とを備えている。
【0010】
ヒートポンプユニット3のヒートポンプ冷媒回路は、圧縮機、凝縮機である冷媒−水熱交換器、電子膨張弁、及び強制空冷式の蒸発器で構成されている。
圧縮機で圧縮された自然冷媒である二酸化炭素は、冷媒−水熱交換器で放熱し、電子膨張弁で減圧膨張した後、蒸発器で大気熱により気化蒸発され、再び圧縮機に流入して1サイクルの運転となる。
貯湯タンク2の下部とヒートポンプユニット3との間は、低温水取り出し配管9で接続されている。また、貯湯タンク2の上部とヒートポンプユニット3との間は、高温水戻り配管10で接続されている。高温水戻り配管10には、沸き上げ温度センサ23及び高温水流入弁6が取り付けられている。
ヒートポンプ冷媒回路では、低温水(例えば5℃)は、冷媒−水熱交換器を介して高温水(例えば90℃)まで沸き上げられる。
【0011】
貯湯タンク2内には、略鉛直方向に延びた下面が封止された円筒形状の取水管38が設けられている。貯湯タンク2の外周面には、貯湯タンク2内の湯水の温度を検出する湯温センサ34が貯湯タンク2の高さ方向(略鉛直方向)に複数設けられている。この実施の形態では5個の湯温センサ34a、34b、34c、34d、34eが貯湯タンク2の高さ方向に所定の間隔をおいて取り付けられている。
【0012】
また、取水管38の上端部には取水流通配管27の一端部が接続されている。取水流通配管27の他端部は高温水混合三方弁28の第1の弁部と接続されている。この高温水混合三方弁28の第2の弁部は出湯配管7の一端部と接続されている。出湯配管7の他端部は貯湯タンク2の上部に接続され、この出湯配管7を通じて貯湯タンク2内の高温水が外部に流出する。高温水混合三方弁28の第3の弁部は第1の弁下流配管5の一端部と接続されている。この第1の弁下流配管5には、第1の弁下流配管5を流通する湯水の温度を検出する湯水温度センサ29が取り付けられている。
この第1の弁下流配管5の他端部は低温水混合三方弁30の第1の弁部と接続されている。低温水混合三方弁30の第2の弁部は第2の弁下流配管32と接続されている。この第2の弁下流配管32の低温水混合三方弁30近傍では、給湯温度センサ33が取り付けられており、また下流には給湯栓4が取り付けられている。低温水混合三方弁30の第3の弁部は給湯用給水管31と接続されている。
【0013】
この給湯用給水管31は、貯湯タンクの底部に接続されている給水管8と連結されている。給水管8には加圧ポンプ(図示せず)が取り付けられており、この加圧ポンプの駆動により、低温水は、貯湯タンク2内に圧送されるともに、給湯用給水管31内にも流れる。この低温水の温度は、給水管8に取り付けられた給水温度センサ37で検知される。
【0014】
図2は、この発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の取水管を示す斜視図である。また、図3は、図2に示す取水管の外筒を示す斜視図であり、図4は、図2に示す取水管の中筒を示す斜視図である。さらに、図5は、図2に示す取水管を示す断面図である。
【0015】
図2〜図5に示すように、取水管38は、円筒形状の外筒25とこの外筒25の内側に中心軸を同一に設けられた円筒形状の中筒81とから構成されている。中筒26は、側面に鉛直方向に延びるとともに周方向に360度より小さい角度で延びるらせん状の中筒連通口41を有し、外筒25は、鉛直方向に直線状に延びる外筒連通口39を有しており、中筒連通口41と外筒連通口39との重なりによって、貯湯タンク内から湯水を内部に取り入れる取水管38の取水口12が形成される。中筒26の上部は、上側連通穴42が形成されるとともに、外周を上側連通部21で覆われている。上側連通部21の側面には、中温水上側配管27の先端部が貫通している。また、中筒26の天部には、駆動モータ35が取り付けられている。この駆動モータ35の駆動で中筒26が周方向に回転し、回転角度が調整され、取水口12の高さ方向(略鉛直方向)の位置を連続的に調整することができる。
【0016】
次に、上記構成の貯湯式給湯装置の動作について説明する。
貯湯タンク2内には湯水が満たされており、上から高温水15、中温水16、低温水17が貯留される。例えば、高温水15の温度は、ヒートポンプユニット3によって加熱された温度でおよそ90℃、低温水17の温度は、給水管8を流通する湯水の温度でおよそ5℃である。中温水16は、高温水15からの熱拡散によって約5℃〜約90℃の温度勾配を有する。
ここで、中温水16は、低温水17を高温水まで加熱する場合と比較して温度差が小さく、ヒートポンプユニット3のCOPが低い。
そのため、中温水16については、ヒートポンプユニット3に送られ、そこで加熱されるのではなく、給湯水として利用することによって高いCOPが確保される。
【0017】
給湯の利用者が要求する要求給湯温度を例えば40℃に設定すると、貯湯タンク2の側面に、高さ方向に設けられた湯温センサ34aから34eを用いて、中温水16が貯湯タンク2のどの高さに存在するか調べる。
例えば、湯温センサ34bが90℃、湯温センサ34cが50℃、湯温センサ34dが5℃であれば、湯温センサ34cの温度が5℃より大きく、90℃よりも小さいことから、湯温センサ34cの高さ近くに中温水が存在すると判断できる。また、複数の温度センサ34において、5℃より大きく、90℃よりも小さい場合は、要求給湯設定温度に近い値を示す温度センサ34の位置に、中温水が存在すると判断してもよい。さらに、湯温センサ34cが90℃で、湯温センサ34dが5℃となるような場合で、温度が5℃よりも大きく、90℃よりも小さい値を示す湯温センサ34が存在しない場合には、温度差が最も大きくなる湯温センサ34cと湯温センサ34dの中間に中温水が存在すると判断してもよい。
その後、駆動モータ35によって中筒26を回転させて、外筒連通口39と中筒連通口41の重なりによってできる、取水管38の取水口12を、中温水16が存在する位置に移動させ、すばやく取水口12から中温水16を取水し、中筒26の上側連通穴42、上側連通口21を介して、貯湯タンク2から中温水を取り出す。
湯水温度センサ29で、貯湯タンク2から取り出した湯水の温度を検知しながら、湯水の温度が要求給湯温度より低くならないように、駆動モータ35によって中筒26を回転させて、取水管38の取水口12の位置を貯湯タンク2内の高さ方向に連続的に移動させる。
【0018】
例えば、貯湯タンク2内では、貯湯タンク2の上部から下部に向かって、高温水15、中温水16、低温水17が形成されているため、湯水温度センサ29で測定した温度が要求給湯温度よりも低い場合は、駆動モータ35によって中筒26を回転させて、取水管38の取水口12の位置を貯湯タンク内の上側へ連続的に変化させ、湯水温度センサ29で測定した温度が要求給湯温度より高くなるように調整する。逆に、湯水温度センサ29で測定した温度が要求給湯温度よりも高い場合は、駆動モータ35によって中筒26を回転させて、取水管38の取水口12の位置を貯湯タンク内の下側へ連続的に変化させ、湯水温度センサ29で測定した温度が要求給湯温度に近づくように、また、要求給湯温度より低下しないように調整する。このとき、取水口12の高さ方向の位置を連続的に変化させることができるため、取水管38から取り出す湯水の温度を細かく調整することができる。
【0019】
弁下流入配管5を通過する湯水は、低温水混合三方弁30において、給湯用給水管8から供給される低温水と混合され、混合された湯水は、第2の弁下流配管32、給湯栓4を通じて給湯水に供される。
なお、要求給湯温度の調整は、給湯温度センサ33で測定した温度に基づいて低温水混合三方弁30が作動し、湯水と低温水との混合比を変えることで行われる。
【0020】
貯湯タンク2内には、貯湯タンク2から取り出された湯水の分だけ、給水管8により貯湯タンク2の下側から低温水17が供給される。
また、所定の湯温センサ34(例えば、湯温センサ34b)の温度が90℃よりも低くなり、貯湯タンク2内の高温水15の量が低下したと判断したとき、貯湯タンク2の下側から、低温水取り出し配管9を介して低温水17を取り出し、ヒートポンプユニット3で加熱した高温水を、高温水戻り配管10、高温水流入弁6を介して、貯湯タンク2の上側から戻す。
ここで、ヒートポンプユニット3には、自然冷媒である二酸化炭素が用いられており、ヒートポンプ冷媒回路に設けた冷媒−水熱交換器を介して低温水をおよそ90℃の高温水まで加熱する。超臨界となる二酸化炭素をヒートポンプサイクルに用いることによって、エネルギー効率が高い状態で低温水を高温水まで加熱することができる。
【0021】
以上のように、貯湯タンク2の内部に、貯湯タンク2の高さ方向に連続的に取水口12の位置を変化させることが可能な取水管38を設けることによって、貯湯タンク2内に発生した中温水16をすばやく取り出すことができる。その結果、貯湯タンク2内に存在する中温水16を短時間で減少させることができ、中温水16の割合が増大することでその分高温水15の割合が低下することはなく、貯湯タンク2内の高温水15の不足が低減され、またヒートポンプユニット3は高いCOPが確保される。
【0022】
なお、この実施の形態1に示す貯湯式給湯装置では、湯温センサ34で測定した貯湯タンク2内の湯水の温度と湯水温度センサ29で測定した貯湯タンク2の外部に取り出された湯水の温度とに基づいて、取水管38の取水口12の位置を貯湯タンク2の高さ方向に連続的に調整したが、湯温センサ34で測定した貯湯タンク2内の湯水の温度または湯水温度センサ29で測定した貯湯タンク2の外部に取り出された湯水の温度のいずれか一方に基づいて、取水管38の取水口12の位置を貯湯タンク2の高さ方向に連続的に調整してもよい。また、この実施の形態1では、貯湯タンク2の外周面(側面)に設置した湯温センサ34で測定した貯湯タンク2の壁面の温度を貯湯タンク2内の湯水の温度としたが、湯温センサ34を貯湯タンク2の内周面(側面)に設置し、貯湯タンク2内の湯水の温度を直接的に測定してもよい。
【0023】
なお、この実施の形態1に示す貯湯式給湯装置では、取水管38を用いて貯湯タンク2から取り出す湯水を要求給湯温度以上にすることを説明したが、高温水混合三方弁28の作動によって、取水管38から取り出した湯水と、出湯配管7から取り出した高温水とを高温水混合三方弁28で混合することで、要求給湯温度以上の給湯水を得ることもできる。この場合、取水管38から取り出した湯水の温度が、要求給湯温度以下であっても、高温水混合三方弁28の作動によって、出湯配管7からの高温水15を増量させることで、要求給湯温度以上まで温度を上げることができる。そのため、貯湯タンク2内の中温水16のほとんどを取り出して給湯水に利用することができ、貯湯タンク2内の高温水15の不足がさらに低減され、ヒートポンプユニット3は高いCOPがさらに確保される。
また、高温水混合三方弁28、低温水混合三方弁30などの三方弁を用いて、貯湯タンク2から取り出した湯水と高温水または低温水との流量比を調整することを説明したが、三方弁の変わりに、2つの弁を用いてそれぞれの流量比を調整してもよい。
【0024】
また、この実施の形態1に示す貯湯式給湯装置の取水管38では、駆動モータ35によって中筒26を回転させて、中筒26と外筒25とを相対移動させ、中筒連通口41と外筒連通口39との重なりによって形成される取水管38の取水口12の位置を貯湯タンク2の高さ方向に連続的に変化させたが、駆動モータ35によって外筒25を回転させて、中筒26と外筒25とを相対移動させて、中筒連通口41と外筒連通口39との重なりによって形成される取水管38の取水口12の位置を貯湯タンク2の高さ方向に連続的に変化させてもよい。
【0025】
さらに、この実施の形態1に示す貯湯式給湯装置の取水管38では、中筒連通口41および外筒連通口39を貯湯タンク2の上部から下部まで形成したが、中温水の存在する高さにのみに形成し、取水管38の取水口12の位置を中温水の存在する範囲でのみ貯湯タンク2の高さ方向に連続的に変化させてもよい。
【0026】
図6〜図8は、この発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の取水管の他の例を示す斜視図である。
この実施の形態1に示す貯湯式給湯装置の取水管38では、中筒26の側面に、鉛直方向に延びるとともに周方向に延びるらせん状の中筒連通口41を形成し、外筒25の側面に鉛直方向に直線状に延びる外筒連通口39を形成した。しかしながら、図6に示すように、外筒25の側面に、鉛直方向に延びるとともに周方向に延びるらせん状の外筒連通口39を形成し、中筒26の側面に鉛直方向に直線状に延びる中筒連通口41を形成してもよい。また、図7に示すように、外筒25の側面に鉛直方向に延びるとともに周方向に延びるらせん状の外筒連通口39を形成し、また、中筒26の側面に鉛直方向に延びるとともに周方向に延びるらせん状の中筒連通口41を形成してもよい。
さらに、中筒連通口41または外筒連通口39の幅を高さ方向に変化させてもよく、中筒連通口41または外筒連通口39の形状を楕円、三角形などの多角形としてもよい。
【0027】
また、図8に示すように、外筒連通口39または中筒連通口41に上下方向に区切るリブ43を設けてもよい。このとき、中筒26と外筒25とが相対移動することで、中筒連通口41と外筒連通口39との重なりによって形成される取水管38の取水口12の位置が、短い距離であっても、貯湯タンク2の高さ方向に連続的に変化すればよい。外筒連通口39または中筒連通口41に上下方向に区切るリブ43を設けることによって、外筒25または中筒26の強度を向上することができる。
【0028】
また、図1に示す貯湯式給湯装置では、貯湯タンク2の側面に5個の湯温センサ34a、34b、34c、34d、34eを設けた場合を示したが、より多くの湯温センサ34を設けることで、中温水16の位置と温度を精度よく検知することができる。例えば、代表的な中温水の層厚みであるおよそ100mmに合わせて、湯温センサ34を100mm以下の間隔で高さ方向に設置することで、中温水16の位置と温度を精度よく検知することができる。また、湯温センサ34を高さ方向に一定間隔で配置しても、高さ方向にランダムに配置してもかまわない。
【0029】
また、取水管38を、貯湯タンク2の底部まで延ばして、貯湯タンク2の底部で支持するようにしてもよい。さらに、貯湯タンク2の底部を貫通して、貯湯タンク2の外側で取水管38を支持するようにしてもよい。
【0030】
実施の形態2.
この実施の形態2に示す貯湯式給湯装置の取水管は、高さが異なる複数の取水口12を有している点が、実施の形態1に示す取水管と異なっている。その他の構成及び機能は、実施の形態1に示す貯湯式給湯装置および取水管と同一である。
【0031】
図9は、この発明の実施の形態2による貯湯式給湯装置の取水管を示す斜視図である。また、図10は、図9に示す取水管の外筒を示す斜視図であり、図11は、図9に示す取水管の中筒を示す斜視図である。
図9〜図11に示すように、中筒26は、側面に鉛直方向に延びるとともに周方向に延びるらせん状の中筒連通口41を1個有し、外筒25は、鉛直方向に直線状に延びる2個の外筒連通口39a、39bを周方向に並んで有する。駆動モータ35の駆動によって、中筒26が回転し、中筒連通口41と外筒連通口39aの重なりによって形成される取水管38の取水口12aの位置と、中筒連通口41と外筒連通口39bの重なりによって形成される取水管38の取水口12bの位置とを、貯湯タンク2の高さ方向に連続的に変化させることができる。ここでは、取水口12aは、取水口12bよりも低い位置にある。
【0032】
次に、上記構成の取水管38を搭載した貯湯式給湯装置の動作について、図1を用いて説明する。湯温センサ34a、34b、34c、34d、34eによって、例えば、貯湯タンク2内の中温水16が、湯温センサ34dの位置に存在すると判断された場合、駆動モータ35によって取水口12aを湯温センサ34dと同じ高さの位置に移動させる。取水口12aから中温水16を取水し、取水口12aより高い位置にある取水口12bから、取水口12aよりも高い温度の湯水を取水して、中筒26の上側連通口42、上側連通口21を介して貯湯タンク2から湯水を取り出す。
【0033】
湯水温度センサ29で、貯湯タンク2から取り出した湯水の温度を検知しながら、湯水の温度が要求給湯温度より低くならないように、駆動モータ35によって取水口12aの位置と取水口12bの位置とを貯湯タンク2内の高さ方向に連続的に変化させ、調整する。
取り出された湯水は、取水流通配管27、高温水混合三方弁28を通って低温水混合三方弁30に達する。この低温水混合三方弁30では、取り出された湯水と給湯用給水管8から供給される低温水と混合され、混合された湯水は、第2の弁下流配管32、給湯栓4を通じて給湯水に供される。
なお、要求給湯温度の調整は、給湯温度センサ33で測定した温度に基づいて低温水混合三方弁30が作動し、湯水と低温水との混合比を変えることで行われる。
【0034】
図12は、この発明の実施の形態2による貯湯式給湯装置の湯水温度センサで測定した湯水の温度の経時変化を示す図である。
この実施の形態2に示す貯湯式給湯装置では、取水口12aから中温水16を、取水口12aから取り出す中温水16よりも高い温度の湯水を取水口12bから取り出すことで、図12に示すように、取水口12aのみから中温水を取り出す場合に比べて、取水管38を用いて取り出す湯温の経時変化をより小さくできるため、要求給湯温度に調整するための低温水混合三方弁30による温度制御をさらに容易にすることができる。
【0035】
図13は、この発明の実施の形態2による貯湯式給湯装置の取水管の他の例を示す斜視図である。また、図14は、図13に示す取水管の外筒を示す斜視図であり、図15は、図13に示す貯湯式給湯装置の取水管の中筒を示す斜視図である。
また、図13〜図15に示すように、中筒26の側面に鉛直方向に延びるとともに周方向に延びるらせん状の中筒連通口41a、41bを高さ位置が異なるように2個形成し、外筒25の側面に鉛直方向に延びるとともに周方向に延びるらせん状の外筒連通口39を1個形成してもよい。駆動モータ35の駆動によって、中筒26が回転し、中筒連通口41aと外筒連通口39との重なりによって形成される取水管38の取水口12aの位置と、中筒連通口41bと外筒連通口39との重なりによって形成される取水管38の取水口12bの位置とを、貯湯タンク2の高さ方向に連続的に変化することができる。
また、中筒26に形成する中筒連通口41および外筒25に形成する外筒連通口39の数や形状は任意であり、中筒26と外筒25とが相対移動することで、中筒連通口41と外筒連通口39との重なりによって、複数の取水口12を形成し、貯湯タンク2の高さ方向に複数の取水口12の位置を連続的に変化することができればよい。
【0036】
なお、この発明の実施の形態2による貯湯式給湯装置の取水管38においては、外筒連通口39または中筒連通口41を複数有することによって、高さの異なる複数の取水口を形成したが、らせん状の外筒連通口39または中筒連通口41の周方向に延びる角度を360度より大きくすることによって高さの異なる複数の取水口を形成してもよい。
【0037】
実施の形態3.
この実施の形態3に示す貯湯式給湯装置の取水管は、らせん状の外筒連通口またはらせん状の中筒連通口の上方に周方向に延在する周方向連通口を有している点が、実施の形態1に示す取水管と異なっている。その他の構成及び機能は、実施の形態1に示す貯湯式給湯装置および取水管と同一である。
【0038】
図16は、この発明の実施の形態3による貯湯式給湯装置の取水管を示す斜視図である。また、図17は、この発明の実施の形態3による貯湯式給湯装置の取水管の外筒を示す斜視図であり、図18は、この発明の実施の形態2による貯湯式給湯装置の取水管の中筒を示す斜視図である。
この実施の形態3に示す貯湯式給湯装置の取水管38では、中筒26の側面に、鉛直方向に延びるとともに周方向に延びるらせん状の中筒連通口41aが形成され、この中筒連通口41aの上方であって、貯湯タンク2の上部に対応した位置に周方向に延びる中筒周方向連通口41bが中筒連通口41aと連結して形成されている。また、外筒25の側面には、鉛直方向に直線状に延びる外筒連通口39が形成されている。駆動モータ35の駆動によって中筒26が回転し、回転角度が調整され、らせん状の中筒連通口41aと外筒連通口39との重なりによって形成される取水管38の取水口12aの位置を貯湯タンク2の高さ方向に連続的に変化させることができる。このとき、中筒周方向連通口41bと外筒連通口39との重なりによって形成される取水管38の取水口12bの高さは、一定である。
【0039】
次に、上記構成の取水管38を搭載した貯湯式給湯装置の動作について、図1を用いて説明する。湯温センサ34a、34b、34c、34d、34eによって、例えば、貯湯タンク2内の中温水16が、湯温センサ34cの位置に存在すると判断された場合には、駆動モータ35によって取水口12aを湯温センサ34cと同じ高さの位置に移動させる。取水口12aから中温水16を取水し、貯湯タンク2の上部に位置する取水口12bから、高温水15を取水して、中筒26の上側連通口42、上側連通口21を介して貯湯タンク2から湯水を取り出す。
【0040】
湯水温度センサ29で、貯湯タンク2から取り出した湯水の温度を検知しながら、湯水の温度が要求給湯温度より低くならないように、駆動モータ35によって取水口12aの位置を貯湯タンク内の高さ方向に連続的に移動させ、調整する。
取り出された湯水は、取水流通配管27、高温水混合三方弁28を通って低温水混合三方弁30に達する。この低温水混合三方弁30では、取り出された湯水と給湯用給水管8から供給される低温水と混合され、混合された湯水は、第2の弁下流配管32、給湯栓4を通じて給湯水に供される。
なお、要求給湯温度の調整は、給湯温度センサ33で測定した温度に基づいて低温水混合三方弁30が作動し、湯水と低温水との混合比を変えることで行われる。
【0041】
この実施の形態3に示す貯湯式給湯装置では、取水口12aから中温水16を取り出し、取水口12bから高温水15を取り出すことで、取水管38を用いて取り出す湯温の経時変化をさらに小さくできる。そのため、要求給湯温度に調整するための低温水混合三方弁30による温度制御をさらに容易にすることができる。
【0042】
図19は、この発明の実施の形態3による貯湯式給湯装置の取水管の他の例を示す斜視図であり、図20は、この発明の実施の形態3による貯湯式給湯装置の取水管の中筒の他の例を示す斜視図である。
図19および図20に示すように、中筒26の側面に、らせん状の中筒連通口41aと、中筒周方向連通口41bを連結させず、分割して形成してもよい。
【0043】
また、中筒26の側面に形成する中筒連通口41aおよび外筒25に形成する外筒連通口39の数や形状は任意である。中筒26と外筒25とが相対移動ことで、中筒連通口41aおよび中筒周方向連通口41bと外筒連通口39との重なりによって、複数の取水口12を形成し、少なくとも1つの取水口12から高温水を取り出すことができるとともに、貯湯タンク2の高さ方向に取水口12を連続的に変化できればよい。
また、取水口12bから高温水15を取り出すことが可能であるため、湯水温度センサ29で検知される湯水の温度が要求給湯温度以上になるように、駆動モータによって取水口12aの位置を調整できれば、出湯配管7および高温水混合三方弁28を省略することが可能となり、貯湯式給湯装置の簡素化、低コスト化を図ることができる。
【0044】
なお、この実施の形態3に示す貯湯式給湯装置では、中筒26の側面にらせん状の中筒連通口41aを形成し、この中筒連通口の上方に周方向に延びる中筒周方向連通口41bを形成するとともに、外筒25の側面に鉛直方向に直線状の外筒連通口39を形成した。しかしながら、外筒25の側面にらせん状の外筒連通口を形成し、この外筒連通口の上方に周方向に延びる外筒周方向連通口を形成するとともに、中筒26の側面に鉛直方向に直線状の中筒連通口を形成してもよい。
【0045】
実施の形態4.
この実施の形態4に示す貯湯式給湯装置の取水管は、らせん状の外筒連通口またはらせん状の中筒連通口の下方に周方向に延在する周方向連通口を有している点が、実施の形態1に示す取水管と異なっている。その他の構成及び機能は、実施の形態1に示す貯湯式給湯装置および取水管と同一である。
【0046】
図21は、この発明の実施の形態4よる貯湯式給湯装置の取水管を示す斜視図である。また、図22は、この発明の実施の形態4による貯湯式給湯装置の取水管の外筒を示す斜視図であり、図23は、この発明の実施の形態4による貯湯式給湯装置の取水管の中筒を示す斜視図である。
この実施の形態3に示す貯湯式給湯装置の取水管38では、中筒26の側面に、鉛直方向に延びるとともに周方向に延びるらせん状の中筒連通口41aが形成され、この中筒連通口41aの下方であって、貯湯タンク2の下部に対応した位置に周方向に延びる中筒周方向連通口41cが中筒連通口41aと連結して形成されている。また、外筒25の側面には、鉛直方向に直線状に延びる外筒連通口39が形成されている。駆動モータ35の駆動によって中筒26が回転し、回転角度が調整され、らせん状の中筒連通口41aと外筒連通口39との重なりによって形成される取水管38の取水口12aの位置を貯湯タンク2の高さ方向に連続的に変化させることができる。このとき、中筒周方向連通口41cと外筒連通口39との重なりによって形成される取水管38の取水口12cの高さは、一定である。
【0047】
次に、上記構成の取水管38を搭載した貯湯式給湯装置の動作について、図1を用いて説明する。湯温センサ34a、34b、34c、34d、34eによって、例えば、貯湯タンク2内の中温水16が、湯温センサ34cの位置に存在すると判断された場合には、駆動モータ35によって取水穴12aを湯温センサ34cと同じ高さの位置に移動させる。取水穴12aから中温水16を取水し、貯湯タンク2の下部に位置する取水穴12cから、低温水17を取水して、中筒26の上側連通口42、上側連通口21を介して貯湯タンク2から湯水を取り出す。
【0048】
湯水温度センサ29で、貯湯タンク2から取り出した湯水の温度を検知しながら、湯水の温度が要求給湯温度より低くならないように、駆動モータ35によって取水穴12aの位置を貯湯タンク2内の高さ方向に連続的に移動させるとともに、高温水混合三方弁28を用いて、取水流通配管27を通過する湯水と、出湯配管7を通過する高温水との量を調整する。
高温水混合三方弁28で調整された湯水は、第1の弁下流配管5を通って,低温水混合三方弁30に達する。この低温水混合三方弁30では、取り出された湯水と給湯用給水管8から供給される低温水と混合され、混合された湯水は、第2の弁下流配管32、給湯栓4を通じて給湯水に供される。
なお、要求給湯温度の調整は、給湯温度センサ33で測定した温度に基づいて低温水混合三方弁30が作動し、湯水と低温水との混合比を変えることで行われる。
この実施の形態4に示す貯湯式給湯装置では、取水穴12aから中温水16を、取水穴12cから低温水17を取り出し、さらに、高温水混合三方弁28を用いて、出湯配管7から取り出した高温水15と混合することによって、高温水混合三方弁28において、要求給湯温度に近い湯水の温度に調整することができるため、要求給湯温度に調整するための低温水混合三方弁30による温度制御をさらに容易にすることができる。
【0049】
図24は、この発明の実施の形態4よる貯湯式給湯装置の取水管の他の例を示す斜視図であり、図25は、この発明の実施の形態4による貯湯式給湯装置の取水管の中筒の他の例を示す斜視図である。
図24および図25に示すように、中筒26の側面に、らせん状の中筒連通口41aと中筒周方向連通口41cとを連結させず、分割して形成してもよい。
【0050】
また、中筒26に形成する中筒連通口41および、外筒25に形成する外筒連通口39の数や形状は任意であり、中筒26と外筒25が相対移動ことで、中筒連通口41aおよび中筒周方向連通口41cと該当連通口39との重なりによって、複数の取水穴12を形成し、少なくとも1つの取水穴12から低温水を取り出すことができるとともに、貯湯タンク2の高さ方向に取水穴を連続的に変化できればよい。
また、取水穴12cから低温水17を取り出すことが可能であるため、湯水温度センサ29で検知される湯水の温度を要求給湯温となるように制御できれば、給湯用給水管31および低温水混合三方合弁30を省略することが可能となり、貯湯式給湯装置の簡素化、低コスト化をはかることができる。
【0051】
実施の形態5.
この実施の形態5に示す貯湯式給湯装置の取水管は、らせん状の外筒連通口またはらせん状の中筒連通口の上方および下方に周方向に延在する周方向連通口を有しており、外筒または中筒の少なくとも一方が鉛直方向に移動する点が、実施の形態1に示す取水管と異なっている。その他の構成及び機能は、実施の形態1に示す貯湯式給湯装置および取水管と同一である。
【0052】
図26は、この発明の実施の形態5による貯湯式給湯装置を示す構成図であり、図27は、この発明の実施の形態5による貯湯式給湯装置の取水管を示す斜視図である。また、図28は、この発明の実施の形態5による貯湯式給湯装置の取水管の外筒を示す斜視図であり、図29は、この発明の実施の形態5による貯湯式給湯装置の取水管の中筒を示す斜視図である。
【0053】
この実施の形態5による貯湯式給湯装置の取水管38では、中筒26の側面に、鉛直方向に延びるとともに周方向に延びるらせん状の中筒連通口41aが形成され、この中筒連通口41aの上方および下方に周方向に延びる中筒周方向連通口41bおよび中筒周方向連通口41cが形成されている。中筒連通口41aと中筒周方向連通口41bとは連結して形成されているとともに、中筒連通口41aと中筒周方向連通口41cとは連結して形成されている。また、外筒25の側面に、鉛直方向に直線状に延びる外筒連通口39が形成され、外筒連通口39の高さL(鉛直方向の距離)は、中筒連通口41bの下端から中筒連通口41cの上端までの高さH(鉛直方向の距離)よりも短い。ここで、中筒26を回転することで、らせん状の中筒連通口41aと外筒連通口39との重なりによって形成される取水管38の取水口12aの位置を、貯湯タンク2の高さ方向に連続的に変化させることができる。
【0054】
また、取水管38は、中筒26を鉛直方向に移動できるスライド機構を有しており、中筒26を鉛直下方向に移動することによって、中温水のみを取り出したり、中温水と高温水とを取り出したり、中温水と低温水とを取り出したりすることができる。
【0055】
図30は、この発明の実施の形態5による貯湯式給湯装置の取水管において、中筒を鉛直下方向に移動させた場合を示す斜視図である。また、図31は、この発明の実施の形態5による貯湯式給湯装置の取水管において、中筒を鉛直上方向に移動させた場合を示す斜視図である。
次に、上記構成の取水管38を搭載した貯湯式給湯装置の動作について、図27、図30および図31を用いて説明する。湯温センサ34a、34b、34c、34d、34eによって、例えば、貯湯タンク2内の中温水16が、湯温センサ34cの位置に存在すると判断された場合には、図27に示すように、駆動モータ35によって取水口12aを湯温センサ34cと同じ高さの位置に移動させ、取水口12aから中温水16を取水し、中筒26の上側連通口42、上側連通口21を介して貯湯タンク2から湯水を取り出す。
ここで、湯水温度センサ29で測定した湯水の温度が、要求給湯温度より低い場合には、図30に示すように、スライド機構を用いて、中筒26を鉛直下方向に移動させ、取水口12bから高温水15を取り出し、取水口12aから取り出す湯水と混合する。湯水温度センサ29で測定した湯水の温度が要求給湯温度となるように、中筒42を鉛直方向に調整することで、適正な取水口12bの開口面積を決定する。
一方、湯水温度センサ29で測定した湯水の温度が、要求給湯温度より高い場合には、図31に示すように、スライド機構を用いて、中筒26を鉛直上方向に移動させ、取水口12cから低温水17を取り出し、取水口12aから取り出す湯水と混合する。湯水温度センサ29で測定した湯水の温度が要求給湯温度となるように、中筒42を鉛直方向に調整することで、適正な取水口12cの開口面積を決定する。
取り出された湯水は、取水流通配管27を通って、給湯栓4を通じて給湯水に供される。
【0056】
ここで、中筒26を鉛直下方向に移動させて、中筒周方向連通口41bと外筒連通口39とが重なる長さTを変化させることで、中筒周方向連通口41bと外筒連通口39との重なりによって形成される取水口12bの開口面積を変化させることができる。ここでは、取水口12bの開口面積は、長さTと外筒連通口の幅Wの積となる。
一方、中筒26を鉛直上方向に移動させて、中筒周方向連通口41cと外筒連通口39とが重なる長さBを変化させることで、中筒周方向連通口41cと外筒連通口39との重なりによって形成される取水口12cの開口面積を変化させることができる。ここでは、取水口12cの開口面積は、長さBと外筒連通口の幅Wの積となる。
【0057】
この実施の形態5に示す貯湯式給湯装置の取水管38では、取水口12aから中温水16を取り出しながら、取水口12bから高温水15を取り出すことができる。また、取水口12aから中温水16を取り出しながら、取水口12cから低温水17を取り出すこともできる。さらに、取水口12bから取り出す高温水15の流量、または、取水口12cから取り出す低温水17の流量を調整することができるため、要求給湯温度となる湯水を取水管38のみを用いて取り出すことができ、高温水混合三方弁28や低温水混合三方弁30を省略して、貯湯式給湯装置の簡素化、低コスト化を図ることができる。
【0058】
なお、この実施の形態5に示す貯湯式給湯装置では、中筒26の側面にらせん状の中筒連通口41aを形成し、この中筒連通口の上方および下方に周方向に延びる中筒周方向連通口41b,41cを形成するとともに、外筒25の側面に鉛直方向に直線状の外筒連通口39を形成した。しかしながら、外筒25の側面にらせん状の外筒連通口を形成し、この外筒連通口の上方および下方に周方向に延びる外筒周方向連通口を形成するとともに、中筒26の側面に鉛直方向に直線状の中筒連通口を形成してもよい。
【0059】
なお、上記各実施の形態では、加熱手段として、ヒートポンプユニット3を用いた場合について説明したが、加熱手段はヒートポンプユニット3に限定されるものではなく、ガス、或いは電気ヒータを用いてもよい。
また、ヒートポンプユニット3で使用する冷媒として、二酸化炭素を用いた場合について説明したが、冷媒は二酸化炭素に限定されるものではなく、その他の自然冷媒である炭化水素や、フロンなどを用いてもよい。
また、取水管38を金属のような熱伝導率の高い材料ではなく、樹脂材料のような熱伝導性の低い材料で構成してもよい。取水管38に樹脂材料を用いた場合には、取水管38を介して、貯湯タンク2内の高温水45、中温水46、低温水47のそれぞれの領域間を熱が移動しにくくなるので、高温水45の温度低下を防ぐことができ、貯湯タンク2内の高温水不足を低減することができる。また、低温水47の温度上昇を防ぐことができ、高いCOPが確保される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の取水管を示す斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の取水管の外筒を示す斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の取水管の中筒を示す斜視図である。
【図5】この発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の取水管を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の取水管の他の例を示す斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の取水管の他の例を示す斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の取水管の他の例を示す斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態2による貯湯式給湯装置の取水管を示す斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態2による貯湯式給湯装置の取水管の外筒を示す斜視図である。
【図11】この発明の実施の形態2による貯湯式給湯装置の取水管の中筒を示す斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態2による貯湯式給湯装置の湯水温度センサで測定した湯水の温度の経時変化を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態2による貯湯式給湯装置の取水管の他の例を示す斜視図である。
【図14】この発明の実施の形態2による貯湯式給湯装置の取水管の外筒の他の例を示す斜視図である。
【図15】この発明の実施の形態2による貯湯式給湯装置の取水管の中筒の他の例を示す斜視図である。
【図16】この発明の実施の形態3による貯湯式給湯装置の取水管を示す斜視図である。
【図17】この発明の実施の形態3による貯湯式給湯装置の取水管の外筒を示す斜視図である。
【図18】この発明の実施の形態3による貯湯式給湯装置の取水管の中筒を示す斜視図である。
【図19】この発明の実施の形態3による貯湯式給湯装置の取水管の他の例を示す斜視図である。
【図20】この発明の実施の形態3による貯湯式給湯装置の取水管の中筒の他の例を示す斜視図である。
【図21】この発明の実施の形態4による貯湯式給湯装置の取水管を示す斜視図である。
【図22】この発明の実施の形態4による貯湯式給湯装置の取水管の外筒を示す斜視図である。
【図23】この発明の実施の形態4による貯湯式給湯装置の取水管の中筒を示す斜視図である。
【図24】この発明の実施の形態4による貯湯式給湯装置の取水管の他の例を示す斜視図である。
【図25】この発明の実施の形態4による貯湯式給湯装置の取水管の中筒の他の例を示す斜視図である。
【図26】この発明の実施の形態5による貯湯式給湯装置を示す構成図である。
【図27】この発明の実施の形態5による貯湯式給湯装置の取水管を示す斜視図である。
【図28】この発明の実施の形態5による貯湯式給湯装置の取水管の外筒を示す斜視図である。
【図29】この発明の実施の形態5による貯湯式給湯装置の取水管の中筒を示す斜視図である。
【図30】この発明の実施の形態5による貯湯式給湯装置の取水管において、中筒を鉛直下方向に移動させた場合を示す斜視図である。
【図31】この発明の実施の形態5による貯湯式給湯装置の取水管において、中筒を鉛直上方向に移動させた場合を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
1 貯湯タンクユニット、2 貯湯タンク、3 ヒートポンプユニット(加熱手段)、4 給湯栓、5 第1の弁下流配管(弁下流配管)、6 高温水流入弁、7 出湯配管、8 給水管、9 低温水取り出し配管、10 高温水戻り配管、12,12a,12b,12c 取水口、15 高温水、16 中温水、17 低温水、21 上側連通口、23 沸き上げ温度センサ、25 外筒、26 中筒、27 取水流通配管、28 高温水混合三方弁、29 湯水温度センサ、30 低温水混合三方合弁、31 給湯用給水管、32 第2の弁下流配管(弁下流配管)、33 給湯温度センサ、34a,34b,34c,34d,34e 湯温センサ、35 駆動モータ、37 給水温度センサ、38 取水管、39,39a,39b 外筒連通口、41,41a 中筒連通口、41b,41c 中筒周方向連通口、42 上側連通穴、43 リブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水が貯留される貯湯タンクと、
前記貯湯タンクに配管を介して接続され前記貯湯タンクから送られた前記湯水を加熱する加熱手段と、
前記貯湯タンク内に鉛直方向に延在して設けられ前記湯水を外部に取り出す取水管と、
前記貯湯タンクの外部に取り出された湯水が導かれる給湯栓とを備え、
前記取水管は、前記貯湯タンク内から前記湯水を内部に取り入れる取水口を有し、
前記取水口の鉛直方向の位置を連続的に変化することを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記取水管は、高さの異なる複数の取水口を有することを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記取水管は、鉛直方向の位置が固定されている位置固定取水口を有することを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項4】
前記取水管は、側面に外筒連通口を有する外筒と、前記外筒の内側に設けられ側面に中筒連通口を有し上面に上側連通口を有する中筒とを有し、
前記外筒連通口および前記中筒連通口のうちの一方は、鉛直方向に延在して開口し、
前記外筒連通口および前記中筒連通口のうちの他方は、らせん状に開口し、
前記外筒または前記中筒の少なくとも一方が軸中心に回転することを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項5】
前記取水管は、側面に外筒連通口を有する外筒と、前記外筒の内側に設けられ側面に中筒連通口を有し上面に上側連通口を有する中筒とを有し、
前記外筒連通口および前記中筒連通口は、らせん状に開口し、
前記外筒または前記中筒の少なくとも一方が軸中心に回転することを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項6】
前記外筒連通口または前記中筒連通口が周方向に複数あることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項7】
前記外筒連通口または前記中筒連通口が鉛直方向に複数あることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項8】
らせん状の外筒連通口またはらせん状の中筒連通口の上方または下方に周方向に延在する周方向連通口を有することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項9】
前記外筒または前記中筒が鉛直方向に移動することを特徴とする請求項8に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項10】
前記周方向連通口の開口面積を調整することを特徴とする請求項9に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項11】
前記貯湯タンクは、側面に前記貯湯タンク内の湯水の温度を測定する湯温センサを有し、
前記温度センサで測定した温度に基づいて前記取水口の鉛直方向の位置を調整することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項12】
前記貯湯タンクの外部に取り出された湯水の温度を測定する湯水温度センサを有し、
前記湯水温度センサで測定した温度に基づいて前記取水口の鉛直方向の位置を調整することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項13】
前記取水管は、樹脂材料で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項14】
前記加熱手段は、冷媒として二酸化炭素を用いたヒートポンプユニットであることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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