説明

貯湯給湯装置

【課題】貯湯タンクに接続されている管路の水回り装備品の保守作業を貯湯タンクの水を空に抜かずに行う。
【解決手段】貯湯タンク21の給湯側通路25の出口と給水側通路26の出口間に管路接続部30にてユニット通路32を接続する。ユニット通路32には給湯側開閉弁28と湯水混合器35と逆止弁36を水回り装備品として設ける。水回り装備品の保守作業時には、給水路15に介設された給水側開閉弁27と給湯側開閉弁28を閉じ、排水路41の排水弁42を開け、手動によって圧力逃し弁33を大気に開放してユニット通路32内の湯水を貯湯タンク21内に戻してユニット通路32内を空気に置換してから、排水弁42を閉め、ユニット通路32を管路接続部30から取り外して水回り装備品の保守作業を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、太陽光の熱を利用して貯湯タンクに湯を蓄熱し、給湯需要に応じて貯湯タンク内の湯を給湯する貯湯給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光の熱や、発電装置の排熱や、外部の給湯器等を利用して貯湯タンク内に湯を貯湯し、給湯需要に応じて貯湯タンク内の湯を台所、浴槽等の所望の給湯先に給湯する貯湯給湯装置は広く利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−190357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貯湯給湯装置の貯湯タンクには給湯運転を制御するための電磁弁等の各種弁や湯水混合器等の機能部品が介設された水回り系統の通路(水路)が接続されている。しかしながら、これらの水回り系統の通路を取り外して各種弁等の部品の点検修理を行なう場合には、水漏れの害を防止するために、貯湯タンク内の湯水を排水して、貯湯タンク内を空にしてからでないと、その水回り系統の通路の取り外しを行うことができない構成のものが一般的であった。
【0005】
しかし、貯湯タンク内の湯水を排水して空にするまでに多くの時間を費やさなければならないので、作業効率が悪く、また、蓄熱されている貯湯タンク内の湯を捨てるのはエネルギの浪費となり、省エネを勧める社会的要請にも逆行する。
【0006】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、貯湯タンク内に蓄熱されている湯を捨て去ることなく、貯湯タンクに接続されている水回り系統の通路を取り外して当該通路に介設されている各種弁等の部品の点検修理を支障なく効率的に行なうことができ、しかも、それに加えて、マンション等の建物のベランダに設置するのに適した構成を備えた貯湯給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決するための手段としている。すなわち、第1の発明は、外部の熱取得手段で得た熱を受けて湯にして蓄熱する貯湯タンクを備え、該貯湯タンクの下部には給水側開閉弁が介設された給水路と、排水弁が介設された排水路とが接続され、前記給水路からは前記給水側開閉弁と前記貯湯タンクの下部間の位置で給水側通路が分岐接続され、前記貯湯タンクの上部には給湯側通路が接続され、前記給水側通路の出口と給湯側通路の出口とは着脱接続可能にユニット通路が接続され、該ユニット通路には少なくとも湯水混合器を含む水回り装備品が設けられ、前記貯湯タンクの上部から前記給湯側通路およびユニット通路を通って前記湯水混合器に至る通路区間には貯湯タンクの上部側から湯水混合器に向う方向に、手動で大気開放を可能とする圧力逃し弁と、給湯側開閉弁とが順次設けられており、前記湯水混合器には前記給水側通路を通して導入された給水と前記給湯側通路を通して導入された湯の混合湯水を外部へ給湯するタンク側給湯通路が接続されている構成をもって前記課題を解決するための手段としている。
【0008】
また、第2の発明は前記第1の発明の構成を備えた上で、前記貯湯タンクおよびユニット通路はケース内に収容されて貯湯ユニットとして構成され、当該ケースは平面状の背面から前面までのケース内収容空間幅が下方側よりも上方側を広幅とした逆L字形状の収容空間を有しており、前記貯湯タンクはケース内の背面側に下方側の狭幅収容空間と上方側の広幅収容空間にわたって収容され、前記上方側の広幅収容空間には貯湯給湯装置の運転を制御するための電気制御系統の基板を含む電装品が収容され、前記下方側の狭幅収容空間にはユニット通路を含む水回り系統の通路の管が集約されて収容されている構成をもって前記課題を解決するための手段としている。
【0009】
さらに、第3の発明は前記第2の発明の構成を備えた上で、前記貯湯ユニットは部屋の外のベランダ上に設置され、ケースの狭幅収容空間に収容されている水回り系統の通路に接続される外部の配管通路は部屋の床下を通り部屋とベランダの境界に設けられる壁の穴を通してベランダ側に引き出され、そのベランダ側への引き出し先端側が狭幅収容空間に収容されている貯湯ユニット側の水回り系統における接続対応の通路に接続されている構成をもって前記課題を解決するための手段としている。
【0010】
さらに、第4の発明は、前記第1乃至第3のいずれか1つの発明の構成を備えた上で、前記外部の熱取得手段は、太陽光の熱を受けて温水を得る集熱器であり、該集熱器の温水の熱を貯湯タンク内の水に伝達し、貯湯タンク内に湯として蓄熱する構成をもって前記課題を解決するための手段としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、給水側開閉弁と給湯側開閉弁を閉じ、次に、排水弁を開け、手動で圧力逃し弁を開動作してすることにより、貯湯タンク内の湯水は排水路を通して排水されるが、このとき、外部から圧力逃し弁に空気が吸引され、ユニット通路内の湯水は貯湯タンク内に入り込んで、ユニット通路内はほぼ湯水が抜けた空の状態となる。この状態で、排水弁を閉じてから、ユニット通路を取り外すことにより、貯湯タンク内の湯水を排水することなくユニット通路を取り外して、ユニット通路に介設されている湯水混合器等の水回り装備品の点検、修理、交換を効率的に行うことができる。しかも、ユニット通路はほぼ湯水が抜けた空の状態で取り外すので、その取り外し時にユニット通路から漏れる湯水の量を少なくできる。
【0012】
また、第2の発明においては、逆L字形状(上下が逆のL字形状)をした収容空間のうち、上方側の広幅収容空間内に電気制御系統の基板および電装部品が収容され、下方側の狭幅収容空間にユニット通路が収容されているので、ユニット通路を取り外す際に、ユニット通路内から水が漏れ出しても、その漏水が上方側の広幅収容空間内に収容されている電気制御系統の基板や、電装部品に掛かることはなく、電気系統の回路のショート等の不具合発生を防止できる。
【0013】
さらに、第3の発明においては、貯湯給湯装置に接続される外部の配管(配管通路)は部屋の床下を通ってベランダ側に引き出されるが、貯湯給湯装置側の水回り系統の通路(管路)は貯湯ユニットのケースの下方側の狭幅収容空間内に集約配置されているので、ベランダ側に引き出された配管通路(外部配管)の立ち上げ長さを短くして貯湯給湯装置側の対応する水回り系統の通路に接続できるので、配管接続施工のコスト低減を図ることができる。
【0014】
さらに、第4の発明は、外部の熱取得手段を集熱器としており、この集熱器はベランダ、屋根等の適宜の位置に配置できる上に、太陽光を利用するので、COの発生のないクリーンな給湯環境を構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の全体的なシステム構成図である。
【図2】本実施形態の各装置(ユニット)間の外部配管による接続関係の説明図である。
【図3】本実施形態における各装置(ユニット)間の電気接続関係の説明図である。
【図4】熱源ユニット20と貯湯ユニット40を一体化した本実施形態における複合ユニット53の構成説明図である。
【図5】貯湯ユニット40を構成するケース47の説明図であり、(a)はケース47を前方から見た図であり、(b)はケース47を左側面から見た図である。
【図6】ケース47の広幅収容空間49に基板52等の電装品が収容されている状態を示す説明図である。
【図7】本実施形態における複合ユニット53と集熱器23との各種設置例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1、図2は、本実施形態の全体的なシステム構成を示すもので、図1は主として、システム全体の配管接続関係を示しており、図2は各装置間の外部配管を用いた管路接続関係を示している。本実施の形態のシステムは、貯湯ユニット40を主要部とするシステムであり、熱源ユニット20と、貯湯ユニット40と、集熱器23とを備えている。貯湯ユニット40は貯湯給湯装置をユニットとして構成したものである。
【0017】
本実施形態のシステムは制御装置(図示せず)によって運転が制御される。図3に示されるように、熱源ユニット20と、貯湯ユニット(貯湯給湯装置)40と、集熱器23は電気配線によって接続されており、制御装置には、暖房運転を遠隔操作する暖房リモコン44と給湯の運転を遠隔操作する熱源機リモコン45とが接続されており、熱源ユニット20と貯湯ユニット40の運転は対応する暖房リモコン44と熱源機リモコン45の操作によって運転が行われる。以下、制御装置による熱源ユニット20と、貯湯ユニット40との運転制御例を簡単に説明する。
【0018】
熱源ユニット20は暖房運転と追い焚き運転と給湯運転を行う。暖房運転は、暖房循環路11の暖房循環ポンプ9を駆動することによって行われる。暖房循環ポンプ9の駆動(オン駆動)によって、暖房循環路11内の温水は暖房装置10、暖房循環ポンプ9、流路切替手段19、給湯熱交換器12、流路切替手段38を順に通って暖房循環路11に戻る通路(流路)を通って循環し、その循環温水は給湯熱交換器12を通るときに給湯バーナ13の燃焼火炎の熱を受けて加熱され、その熱を、暖房装置10を通るときに室内に放出して暖房を行う。
【0019】
追い焚き運転は、追い焚き循環路6の風呂循環ポンプ4を駆動(オン駆動)することにより行われる。追い焚き循環路6が駆動されると、浴槽5内の湯水は、浴槽5、風呂循環ポンプ4、追い焚き熱交換器1を順に通り、浴槽5に戻る通路(流路)を通って循環し、その循環湯水が追い焚き熱交換器1を通るときに、追い焚きバーナ2の燃焼火炎の熱を受けて加熱され、その熱が浴槽5内の湯水に加えることで浴槽湯水が加熱される。浴槽湯水の温度が設定温度に高められたときに風呂循環ポンプ4の駆動が停止され、追い焚き運転が終了する。
【0020】
給湯運転は給湯通路16の給湯先の給湯栓7(図2参照)が開けられることにより開始する。給湯栓7が開けられると、給水路15から供給される給水が流路切替手段19を介して給湯熱交換器12に入り込む。制御装置は、給湯熱交換器12への入水を流水スイッチや、流量センサ等の図示されていない入水検知手段によって検出したときに、給湯バーナ13を燃焼し、給湯熱交換器12を通る水を加熱して給湯設定温度の湯にし、その湯を給湯通路16を通して給湯栓7等の給湯先に供給する。給湯栓7が閉められると給湯熱交換器12への入水が停止する。制御装置はこの入水停止を前記入水検知手段によって検出したときに、給湯バーナ13の燃焼を停止、給湯運転を終了する。
【0021】
なお、これらの熱源ユニット20の運転は、実際には、流路の適宜の位置に温度センサ、流量センサ等の各種センサが設けられて、その検出情報(検出値)に基いて行われるが、これらのセンサを使用しての上記暖房運転や、追い焚き運転や、給湯運転自体は周知であることから、温度センサ等の詳細な装備品のこまごまとした図示は省略してある。
【0022】
上記追い焚きバーナ2と給湯バーナ13へのガスの供給は基幹ガス通路43(図2参照)を通して供給される。基幹ガス通路43の先端側はガス通路3とガス通路14に分岐されており、これらの分岐されたガス通路3、14には、通路開閉の電磁弁、ガス供給量を開弁量によって制御する比例弁等の適宜の弁が介設されるがこれらのガス供給系統の構成も周知であり、その図示は省略する。また、追い焚きバーナ2、給湯バーナ13は燃焼ファンから供給される空気を利用して燃焼が行われるが、これも周知の技術事項であるので、その燃焼ファンの図示も省略する。
【0023】
貯湯ユニット40は給湯運転を行う。給湯運転は給湯栓7が開けられたときに給水圧(水道圧)によって貯湯タンク21内の湯を給湯側通路25を通して湯水混合器35へ導入する。その導入される湯の温度が給湯設定温度よりも高い場合は、湯水混合器35は給水側通路26から導入される給水と混合して給湯設定温度の湯を作り出し、その混合湯水をタンク側給湯通路39を通し、給湯栓7に直接的に供給するか、又は、タンク側給湯通路39からの混合湯水を図1の破線で示すように、流路切替手段19を介して給湯熱交換器12を通過させ、流路切替手段38を介して給湯通路16を通して給湯栓7へ供給する。
【0024】
このように、給湯熱交換器12を通す通路構成とする場合には、湯水混合器35から送水される湯水温度が給湯設定温度以上の場合には、給湯バーナ13を非燃焼状態にして混合湯水を、給湯熱交換器12に通して給湯し、湯水混合器35から送水される湯水温度が給湯設定温度よりも低い場合は、給湯バーナ13の燃焼により給湯設定温度の湯に加熱して給湯するようにする。
【0025】
この場合、例えば装置の設置初期の運転の場合で、貯湯タンク21内の湯水が空の状態で給湯需要が生じた場合等には、熱源ユニット20は、給水路15から直接給湯熱交換器12に導入される給水を給湯バーナ13で燃焼加熱して給湯する。
【0026】
この貯湯ユニット40の図1の構成においても、温度センサ等の図示は省略している。
【0027】
貯湯タンク21は蓄熱循環路24によって外部の熱取得手段としての集熱器23に連通されている。蓄熱循環路24の蓄熱循環ポンプ22を駆動(オン駆動)することにより、貯湯タンク21内の湯水は蓄熱循環路24を通して貯湯タンク21と集熱器23間を循環する。この湯水の循環時に、湯水が集熱器23を通るときに太陽熱を受けて湯温が上昇することで、貯湯タンク21内の湯水の温度が上昇する。このように、貯湯タンク21内の湯水を蓄熱循環路24を通して循環させることにより、太陽光の熱が集熱器23から貯湯タンク21内に伝達されて湯として貯湯タンク21内に蓄熱される。
【0028】
なお、図1において、流路の切替を行う流路切替手段19、38の内部構成は周知であるので、その説明は省略する。この流路切替手段19、38の流路切替は制御装置によって制御される。また、図1中の符号30は通路(管路)の接続部(管路接続部)を示している。
【0029】
本実施の形態において特徴的なことは、貯湯タンク21内の湯水を排水廃棄して貯湯タンク21内を空にすることなく、ユニット通路32に介設されている水回り部品(装備品)の修理や交換を可能とする構成を構築したことである。
【0030】
そのため、本実施形態においては、貯湯タンク21の下部に給水側開閉弁27が介設された給水路15を接続し、給水路15の給水側開閉弁27と貯湯タンク21の下部間の位置で、給水側通路26を分岐している。また、貯湯タンク21の上部には給湯側通路25を接続し、給湯側通路25の出口と、給水側通路26の出口との間に給湯通路ユニット31のユニット通路32を管路接続部30において着脱可能に接続している。
【0031】
ユニット通路32には給湯側通路25との管路接続部30側から給水側通路26との管路接続部30側に向けて、圧力逃し弁33、給湯側開閉弁28、湯水混合器35、逆止弁36が順に設けられている。圧力逃し弁33は貯湯タンク21内に通じる通路25、32内の圧力が過剰圧力となったときに自動的に弁を開いて過剰圧力を大気に放出させてユニット通路32内の圧力を自動調整する機能を有する他に、手動の操作部を備え、その操作部を手動により操作して、ユニット通路32内を大気に開放させる構成を備えている。
【0032】
逆止弁36は給水側通路26から湯水混合器35へ向かう方向を順方向としており、逆方向への通水は阻止される。湯水混合器35は前記したように、給湯側通路25から導入される貯湯タンク21内の湯水と給水側通路26から導入される給水とを混合して設定温度の湯を作り出すものであり、この作り出した設定温度の混合湯水はタンク側給湯通路39を通して送水される。このタンク側給湯通路39には流量計37が介設されている。なお、湯水混合器35や、手動によって大気開放を可能とする圧力逃し弁33自体の構成も周知であるので、それらの内部構成の説明は省略する。
【0033】
なお、図1の例では、圧力逃し弁33は給湯側通路25に設けられているが、これをユニット通路32側に設けてもよく、また、図1の例では、給湯側開閉弁28はユニット通路32側に設けられているがこれを給湯側通路25側に設けてもよく、さらに、逆止弁36はユニット通路32に設けずに給水路15の適宜の位置に設けてもよく、給湯通路ユニット31においての自在の設計変更が可能である。また、ユニット通路32の複数箇所に管路接続部30を設ければ、各管路接続部30位置でユニット通路32を部分的に着脱接続できるので、水回り装備品を単品ごとに容易に取り外しできるメリットが得られる。
【0034】
本実施形態において、ユニット通路32側に連結されている給湯側開閉弁28、湯水混合器35、逆止弁36、流量計37等の水回り装備品(水回り部品)の点検、修理、交換等のメンテナンス作業を、ユニット通路32を取り外して行う場合は、給水側開閉弁27と給湯側開閉弁28を閉にした状態で、排水弁42を開け、手動により圧力逃し弁33を大気開放する。そうすると、貯湯タンク21内の湯の排水による吸引力によって、外部の空気が圧力逃し弁33を通してユニット通路32内に入り込むことで、ユニット通路32内の湯水は貯湯タンク21内に戻され、ユニット通路32内はほぼ湯水のない空の状態となる。
【0035】
次に、排水弁42を閉じ、ユニット通路32を管路接続部30から取り外す。この取り外したユニット通路32は持ち運びが可能であるから、必要に応じ、ユニット通路32を作業のし易い場所に運んで、ユニット通路32に設けられている各種の装備品(図1の例では、給湯側開閉弁28、湯水混合器35、逆止弁36、流量計37)の点検、修理、交換等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。なお、ユニット通路32を取り外す際に、ユニット通路32内を空気と置換するために貯湯タンク2内の湯水の排水動作を行なうが、この排水動作は短時間であり、貯湯タンク21からの排水による湯水の蓄熱エネルギの損失は無視できる程度に小さい。
【0036】
この点検等のメンテナンス作業が完了した後に、ユニット通路32を再び管路接続部30に取り付け接続し、給水側開閉弁27と給湯側開閉弁28を開状態にすれば、貯湯ユニット40は運転可能状態となる。
【0037】
貯湯ユニット40と熱源ユニット20はそれぞれ独立的に別個の位置に設置してもよいが、本実施の形態においては、図4に示されるように、貯湯ユニット40と熱源ユニット20は一体化されて複合ユニット53として構成されている。貯湯ユニット40は各構成要素が縦置きタイプの縦長のケース内に収容されている。図5にはそのケース47が示されている。ケース47は背面48が平面状の板面によって形成されており、背面48に対向する前面側は下側よりも上側が前方向(前側の方向)に突き出す段差面と成している。
【0038】
つまり、背面48から前面までの上方側の幅Wは下方側の幅Wよりも広幅と成し、ケース47内の収容空間は上方側の広幅収容空間49と下方側の狭幅収容空間50とを具備した構成と成している。この広幅収容空間49と狭幅収容空間50との段差によって狭幅収容空間50の手前側には空間部51が形成されている。狭幅収容空間50の一方又は両方の側面の側板は着脱可能に取り付けられており、広幅収容空間49の前面にはメンテナンス扉57が取り付けられている。なお、「背面」、「前面」の用語は、図5に示すケース47の状態で定義されるものであり、実際のケース47の設置状況においての背面、前面の概念とは必ずしも一致するとは限らない。
【0039】
このケース47の収容空間内には、背面48側(背面48寄り)に狭幅収容空間50と広幅収容空間49の両空間にわたって縦長形状の貯湯タンク21が給湯側通路25との接続側を上側にして背面48に沿って収容設置されている。そして、広幅収容空間49には、図6に示されるように、電気回路を有する基板52等の電装品が収容配置されている。下側の狭幅収容空間50にはユニット通路32と共に、貯湯ユニット40の各管路の接続側となる管路部位が集約収容されており、図4に示されるように、貯湯ユニット40の管路と外部配管との接続、および貯湯ユニット40の管路と熱源ユニット20の管路との接続は狭幅収容空間50側において集中的に行われている。
【0040】
本実施の形態では、電装品が収容されている広幅収容空間49の下側となる狭幅収容空間50にユニット通路32が収容されているので、ユニット通路32に設けられている水回り部品の修理等を行うために、ユニット通路32を取り外すときに、ユニット通路32から多少の水漏れが生じても、その水漏れの水が基板等の電装品に掛かって電気回路がショート(短絡)する等の問題発生を引き起すことがなく、メンテナンス作業の信頼性を高めることができる。
【0041】
図4に示されるように、熱源ユニット20は据置台46に載置固定された状態で貯湯ユニット40の側面側に取り付けられている。据置台46は縦長の筒状の箱形状を呈しており、箱形状の底面と上面は開口されている。熱源ユニット20の管路に接続される外部配管、および熱源ユニット20と貯湯ユニット40を接続する外部配管は据置台46の内部空間と貯湯ユニット40側のケース47の空間部51を通って配管されている。このように、広幅収容空間49の下側の前面側に形成される段差の空間部51を接続配管の集中収容部として活用できるので、多数の配管を整然と纏めることができるうえに、多数の管の接続作業を同一場所で行えるので、作業効率を図る上でも有利である。
【0042】
また、熱源ユニット20と貯湯ユニット40を一体化して複合ユニット53としているので、熱源ユニット20と貯湯ユニット40を接続する外部配管の長さも短くて済み、費用の削減を図るうえでも有利である。
【0043】
なお、図4においては、配管の接続状況を分かり易くするために配管が露出しているが、実際には、据置台46の外周面とケース47の空間部51の外面には化粧板が着脱自在に取り付けられて、集約収容されている配管が目隠しされている。
【0044】
図7は複合ユニット53の各種設置例を上側から見た状態で示す。複合ユニット53はベランダ54上に設置されている。複合ユニット53の寸法は奥行きBが650mmであり、横幅Cが480mmである。符号の56は部屋とベランダ54との境界に設けられている壁であり、壁56と複合ユニット53との距離をA(A=150mm以上)としている。図7(a)、(b)はベランダ54の通路長さ方向の幅(部屋の幅)が狭い場合を想定しており、図7(a)は複合ユニット53のメンテナンススペース(空間部51およびメンテナンス扉57側)を、ベランダ54の外側から部屋側を見て右側となるように設置したものであり、この場合は、空間部51側から見て貯湯ユニット40の左側面に熱源ユニット20が取り付けられる。
【0045】
また、図7(b)は複合ユニット53のメンテナンススペースを左側となるように設置したものであり、貯湯ユニット40の右側側面に熱源ユニット20が取り付けられている。このように、メンテナンススペースの向きに応じて貯湯ユニット40に対する熱源ユニット20の左右取り付け位置を異にしている。
【0046】
図7(c)、(d)はベランダ54の通路幅(部屋とベランダの外側端との幅)が狭い場合であり、この場合は、幅寸法の小さいCの寸法側をベランダ54の通路幅方向として、通路幅をできるだけ広くする設置態様としている。この場合も、複合ユニット53をベランダ54の右側に設置するか左側に設置するかに応じて貯湯ユニット40に対する熱源ユニット20の左右取り付け位置を異にしている。
【0047】
集熱器23はベランダ54の外端側にベランダ54の手摺を兼用する形態で縦置き態様に取り付けられており、貯湯ユニット40と集熱器23間の蓄熱循環路24は邪魔にならないようにベランダ54の外端縁を通る経路で配置されている。
【0048】
複合ユニット53と接続される外部配管(給水、給湯、ガス等の外部配管)55は部屋側の床下を通り、壁56に設けた穴(図示せず)を通してベランダ54側に引き出されて図4に示されるように、空間部51の位置まで立ち上げられて対応する複合ユニット53側の管路に接続されている。本実施の形態においては、貯湯ユニット40はケース47の狭幅収容空間50の前面側の空間部51で、複合ユニット53の内部側の管路と外部配管を接続する構成としているので、ベランダ54に引上げた外部配管の立ち上げ長さを短くできるので、その分、配管接続施工の低コスト化を達成できる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な実施の態様をとり得る。例えば、熱源ユニット20のシステム構成は図1に示されたものとは異なるシステム形態としてもよい。例えば、図1のシステムでは、追い焚き熱交換器1と給湯熱交換器12を二缶二水タイプの形態としたが、一缶二水タイプの形態としてもよく、追い焚き熱交換器1と給湯熱交換器12の一方のみのシステム構成としてもよく、場合によっては、熱源ユニット20を除外して貯湯ユニット40と集熱器23のみのシステム構成としてもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、集熱器23はベランダ54に設けたが、ベランダ以外の例えば屋根等に設けてもよい。また、集熱器23には貯湯タンク21内の湯水を循環させたが、これとは異なり、例えば不凍液等の他の液体を循環させるようにしてもよい。この場合は、循環液体と貯湯タンク21内の湯水を熱交換させて循環液側の熱を貯湯タンク21側へ伝達する手段を別途設けることになる。また、本実施の形態では、外部の熱取得手段を集熱器23によって構成したが、発電装置や、タービンエンジン等の排熱を利用して貯湯タンク21内の湯水を加熱する構成のものでもよく、あるいは、外部の給湯器や、ボイラー等の熱源機を外部の熱取得手段として利用してもよい。
【0051】
さらに、本実施の形態では、ユニット通路32に設ける水回りの装備品を給湯側開閉弁28と、湯水混合器35と、逆止弁36としたが、湯水混合器以外の水回り装備品はユニット通路32以外の場所に設けてもよく、他の装備品をユニット通路32に追加したものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の貯湯給湯装置は、貯湯タンク内に外部の熱取得手段によって取得した熱を湯として蓄熱して、給湯需要に応じて給湯先に貯湯タンク内の湯を給湯する装置に適用できる。
【符号の説明】
【0053】
20 熱源ユニット
21 貯湯タンク
22 蓄熱循環ポンプ
23 集熱器
24 蓄熱循環路
31 給湯通路ユニット
32 ユニット通路
33 圧力逃し弁
35 湯水混合器
36 逆止弁
47 ケース
49 広幅収容空間
50 狭幅収容空間
52 基板
54 ベランダ
55 外部配管
56 壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の熱取得手段で得た熱を受けて湯にして蓄熱する貯湯タンクを備え、該貯湯タンクの下部には給水側開閉弁が介設された給水路と、排水弁が介設された排水路とが接続され、前記給水路からは前記給水側開閉弁と前記貯湯タンクの下部間の位置で給水側通路が分岐接続され、前記貯湯タンクの上部には給湯側通路が接続され、前記給水側通路の出口と給湯側通路の出口とは着脱接続可能にユニット通路が接続され、該ユニット通路には少なくとも湯水混合器を含む水回り装備品が設けられ、前記貯湯タンクの上部から前記給湯側通路およびユニット通路を通って前記湯水混合器に至る通路区間には貯湯タンクの上部側から湯水混合器に向う方向に、手動で大気開放を可能とする圧力逃し弁と、給湯側開閉弁とが順次設けられており、前記湯水混合器には前記給水側通路を通して導入された給水と前記給湯側通路を通して導入された湯の混合湯水を外部へ給湯するタンク側給湯通路が接続されていることを特徴とする貯湯給湯装置。
【請求項2】
貯湯タンクおよびユニット通路はケース内に収容されて貯湯ユニットとして構成され、当該ケースは平面状の背面から前面までのケース内収容空間幅が下方側よりも上方側を広幅とした逆L字形状の収容空間を有しており、前記貯湯タンクはケース内の背面側に下方側の狭幅収容空間と上方側の広幅収容空間にわたって収容され、前記上方側の広幅収容空間には貯湯給湯装置の運転を制御するための電気制御系統の基板を含む電装品が収容され、前記下方側の狭幅収容空間にはユニット通路を含む水回り系統の通路の管が集約されて収容されていることを特徴とする請求項1記載の貯湯給湯装置。
【請求項3】
貯湯ユニットは部屋の外のベランダ上に設置され、ケースの狭幅収容空間に収容されている水回り系統の通路に接続される外部の配管通路は部屋の床下を通り部屋とベランダの境界に設けられる壁の穴を通してベランダ側に引き出され、そのベランダ側への引き出し先端側が狭幅収容空間に収容されている貯湯ユニット側の水回り系統における接続対応の通路に接続されていることを特徴とする請求項2記載の貯湯給湯装置。
【請求項4】
外部の熱取得手段は、太陽光の熱を受けて温水を得る集熱器であり、該集熱器の温水の熱を貯湯タンク内の水に伝達し、貯湯タンク内に湯として蓄熱することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の貯湯給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−158128(P2011−158128A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18308(P2010−18308)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000129231)株式会社ガスター (277)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】