説明

貯蔵安定な発酵乳製品及びその製造方法

貯蔵安定な発酵乳製品及び貯蔵安定な発酵乳製品を製造する方法を提供している。貯蔵安定な発酵乳製品は、改善された味、粘性及び食感の特徴を備えて貯蔵安定であってよい。一般的な実施形態では、本開示は、貯蔵安定な発酵乳成分、安定剤、及びピューレ組成物を含む貯蔵安定な発酵乳製品を提供する。貯蔵安定な発酵乳成分は、例えば、ヨーグルト、サワークリーム、バターミルク又はその組合せであってよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[優先権の主張]
[0001]本出願は、その全内容を参照により本明細書に明確に組み込む、2009年4月24日出願の米国特許仮出願第61/172,443号の優先権及び利益を主張する。
【0002】
[背景]
[0002]本開示は一般に、健康及び栄養に関する。より具体的には、本開示は、貯蔵安定な発酵乳製品及び貯蔵安定な発酵乳製品を製造する方法に関する。
【0003】
[0003]現在市場に出回っている多くの冷蔵食品がある。冷蔵は、食品の寿命を延ばすために、食品をより低い温度に冷却又は凍結するプロセスである。貯蔵中、食品内の細菌が、時間とともに食品を腐らせる可能性がある。冷蔵することによって、何週間又は何カ月間といった長期間、食品を腐らせずに維持することができる。冷蔵を必要とする代表的な食品には、肉及びヨーグルトなどの発酵乳製品を含めた乳製品がある。しかし、冷蔵を必要とする食品は一般に、冷蔵又は冷凍に伴うエネルギーコストによって、非冷蔵食品よりも保存するのにコストがかかる。
【0004】
[0004]貯蔵安定な食物は、通常は冷蔵保存するはずだが、加工され、それにより室温又は周囲温度で長い貯蔵期間安全に保存できる食物である。食物の貯蔵寿命を延ばすために種々の食品保存及び包装技術が使用されている。これらの技術には、食品中の有効水分量を減らすこと、食品の酸性度を上げること、又は食品に放射線を照射し、若しくは食品を殺菌し、次いで気密容器中に密封することも含まれる。食物によっては、代替の原料を使用することもできる。しかし、食物の味又は食感を容認できないほど変えることなく食物の貯蔵寿命を増やすために、異なるタイプの食品はそれぞれ特有の技術を必要とした。
【0005】
[0005]ヨーグルトなどの発酵乳製品は、発酵プロセス後に加熱した場合、タンパク質凝固の影響を極めて受けやすい。さらに、発酵乳製品は、適切な味及び食感の特徴を提供しながら貯蔵安定性を維持するのに数多くの課題を提起する。したがって、消費者に魅力的で、且つ冷蔵する必要がない貯蔵安定な発酵乳製品が求められている。
【0006】
[概要]
[0006]貯蔵安定な発酵乳製品及び貯蔵安定な発酵乳製品を製造する方法を提供している。一般的な実施形態では、本開示は、発酵乳成分、安定剤、及びピューレ組成物を含む貯蔵安定な発酵乳製品を提供する。
【0007】
[0007]本方法の実施形態では、貯蔵安定な発酵乳製品は、定量的セントラルロケーションテストの9点快不快尺度に基づいて、風味嗜好スコアが少なくとも5である。貯蔵安定な発酵乳製品は、定量的セントラルロケーションテストの9点快不快尺度に基づいて、甘味嗜好スコアが少なくとも5であってよい。貯蔵安定な発酵乳製品は、定量的セントラルロケーションテストの9点快不快尺度に基づいて、酸味嗜好スコアが少なくとも5であってよい。その上、貯蔵安定な発酵乳製品は、定量的セントラルロケーションテストの9点快不快尺度に基づいて、食感嗜好スコアが少なくとも5であってよい。
【0008】
[0008]本方法の実施形態では、剪断下で発酵乳成分に安定剤を加えることは、安定剤で被覆することによって発酵乳成分中のタンパク質を安定化させることを含む。発酵乳混合物は、200°Fを超える温度まで加熱することができる。その上、本方法は、無菌状態下で行うことができる。
【0009】
[0009]本開示の利点は、少なくとも3カ月以上貯蔵安定な、改善された貯蔵安定な発酵乳製品を提供することである。
【0010】
[0010]本開示のさらに別の利点は、貯蔵安定な発酵乳製品を製造する改善された方法を提供することである。
【0011】
[0011]本開示のさらに別の利点は、ざらざらしておらず、且つこの特徴を製品の貯蔵寿命の間維持する商業的に無菌の製品を提供することである。
【0012】
[0012]本開示の別の利点は、通常加熱加工した乳系製品(例えば、そのようなプディング)の代わりに商業的なプロセスに容易に適合する貯蔵安定な発酵乳製品を製造するための方法を提供することである。
【0013】
[0013]本開示のさらに別の利点は、貯蔵安定な発酵乳製品のタンパク質マトリックスに関連するので、最終製品の安定性に影響を与えずに貯蔵安定な発酵乳製品に種々の他の原料を加える能力を有する、貯蔵安定な発酵乳製品を製造するための方法を提供することである。
【0014】
[0014]追加の特徴及び利点は、本明細書に記載されており、以下の詳細な説明から明らかになるはずである。
【0015】
[詳細な説明]
[0015]貯蔵安定な発酵乳製品及び貯蔵安定な発酵乳製品を製造する方法を提供している。貯蔵安定な発酵乳製品は、貯蔵安定で、適切に発達した食感及び味の特徴を備えていてよい。一般的な実施形態では、本開示は、発酵乳成分、物理的又は化学的な安定剤、及びピューレ組成物を含む貯蔵安定な発酵乳製品を提供する。発酵乳成分は、例えば、脱水した若しくは新鮮なヨーグルト、サワークリーム、バターミルク、ケフィア、チーズ、又はその組合せであってよい。他の適当な貯蔵安定な発酵乳成分も、本開示の実施形態において貯蔵安定な発酵乳製品を製造するのに使用することができる。
【0016】
[0016]本明細書では、「貯蔵安定な」という用語は、腐らない又は腐敗しないで長期間(例えば、3カ月より長く)室温(例えば、約20℃〜約25℃)で保存できることを表す。通常の発酵乳製品は、一般に冷蔵して保存する必要があるが、本開示の実施形態における貯蔵安定な発酵乳製品は、それらの味又は食感を容認できないほど変えることなく、実用的に長い貯蔵期間、室温又は周囲温度で密封容器内に安全に保存できるように加工している。製造した発酵乳製品は、例えば、3カ月、6カ月、12カ月、18カ月などよりも長期にわたって貯蔵安定であってよい。
【0017】
[0017]一実施形態では、本発明の貯蔵安定な発酵乳製品は、他の貯蔵安定な乳組成物及び冷蔵された乳組成物よりも著しく高い嗜好スコア(例えば、消費者から得る又は受ける)、定量的セントラルロケーションテストの9点快不快尺度に基づいて少なくとも5、6、7、8又は9の風味嗜好スコアを官能的な観点からもたらす味及び風味の特徴を有する。9点快不快尺度は、食物受容性を測定するのに最も広く使用されている尺度の1つである。例えば、9点快不快尺度は、以下のように食品に対して消費者の好みに基づいて1〜9点を割り当てる:非常に好き−9;とても好き−8;適度に好き−7;少し好き−6;好きでも嫌いでもない−5;少し嫌い−4;適度に嫌い−3;とても嫌い−2;及び非常に嫌い−1。
【0018】
[0018]セントラルロケーションテストは、ホームユーザーテストとは反対に、製品を実際に使用する場所で行う、制御環境で実施する製品市場テストである。セントラルロケーションテストは、ショッピングモール内の一室などの店舗で行ってもよい。消費者は、ショッピングモールで調査製品に関与するために集められ、調査をその時に行い、且つ完了することができる。消費者は、子供でも大人でもよい。消費者の人数は、実施する統計的分析に応じて異なっていてよい。消費者の人数は、統計的に適切なテストを提供するのに十分であるべきであることが理解されよう。
【0019】
[0019]貯蔵安定な発酵乳製品は、定量的セントラルロケーションテストの9点快不快尺度に基づいて他の特徴について少なくとも5、6、7、8又は9のスコアを有していてよい。例えば、この特徴には、外観嗜好、色嗜好、風味嗜好、果物風味嗜好、甘味嗜好、酸味嗜好、食感嗜好又は堅さ嗜好が含まれていてよい。
【0020】
[0020]一実施形態では、安定剤は、物理的又は化学的な安定剤であり、親水コロイド又は高ゲル化乳清タンパク質濃縮物である。親水コロイドは、ペクチン、ゼラチン、カラギーナン、寒天、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその組合せであってよい。安定剤は、約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.01重量%〜5重量%及び最も好ましくは約0.2重量%〜約0.5重量%の範囲であってよい。
【0021】
[0021]一実施形態では、貯蔵安定な発酵乳製品のpHは、約3.8〜約4.3、好ましくは約3.9〜4.3、最も好ましくは約4.1〜4.3の範囲である。
【0022】
[0022]本発明は、以下の表1〜4に見られるように、粘性及び食感の驚くほど著しい差及び好みを提供する。粘性は、Brookfield RV #6 Spindleを用いて5RPM、10秒で測定し、少なくとも約20000センチポアズ、好ましくは約30000センチポアズ〜約70000センチポアズ、最も好ましくは約35000センチポアズ〜約60000センチポアズの範囲である。食感は、TMS−Pro Texture Analyzer−Serial #07−1066−08を用いて測定し、約3.000ニュートン〜約5.000、好ましくは約3.200〜約4.800、最も好ましくは約3.400〜約4.500の範囲である。
【0023】
[0023]本発明のフレーバーヨーグルト(A)と、別の貯蔵安定なヨーグルト製品中の同様の風味のヨーグルト(B)、及び冷蔵されたヨーグルト製品(C)の比較分析では、結果は、以下の表1〜4に詳述しているように、本発明の粘性及び食感と他の2つの製品との間に統計的に有意な差を示した。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
【表3】

【0027】
【表4−1】

【表4−2】

【0028】
[0025]本発明では、官能検査は、100ポイントUnstructured Line Scaleを用いた記述分析で訓練された官能パネリストによって実施された。食感の官能分析の結果を以下の表5に提供している。
【0029】
[0026]貯蔵安定な発酵乳製品は、それだけに限定されるが、乳酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、グルコノデルタラクトンを約0.01重量%〜約2重量%、好ましくは約0.1重量〜1重量%の量で含む酸味料も含んでいてよい。
【0030】
[0027]一実施形態では、本発明の組成物は、約20重量%以下、好ましくは約3重量%〜15重量%、最も好ましくは約5重量%〜約10重量%の量で砂糖を含んでいてよい。貯蔵安定な発酵乳製品は、無糖であってもよく、且つ砂糖の入っていない甘味料、例えばマルチトール、マンニトール、キシリトール、水素添加デンプン加水分解物、ソルビトール、ラクチトール、エリトリトールなどを単独で又は組み合わせて含む。
【0031】
[0028]高強度人工又は天然甘味料も、貯蔵安定な発酵乳製品に使用することができる。好ましい甘味料には、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムの塩、アリテーム、サッカリン及びその塩、シクラミン酸及びその塩、グリシルリシン、ステビオシド、ジヒドロカルコン、タウマチン、モネリンなどが単独又は組み合わせて含まれるが、それだけには限定されない。
【0032】
[0029]一実施形態では、ピューレ組成物には、それだけには限らないが、リンゴ、オレンジ、梨、桃、イチゴ、バナナ、サクランボ、パイナップル、キウイ、ブドウ、ブルーベリー、ラズベリー、マンゴー、グアバ、クランベリー、クロイチゴ又はその組合せを含む、ピューレ状にした果物が含まれる。果物は、約0重量%〜約80重量%、好ましくは約3重量%〜約20重量%、最も好ましくは約5重量%〜約10重量%の範囲の量で存在することができる。風味成分は一般に、約0重量%〜約10重量%、好ましくは約0.001重量%〜約5重量%、最も好ましくは約0.1重量%〜約4重量%の範囲であってよい。
【0033】
[0030]一実施形態では、本発明の組成物は、それだけには限らないが、サツマイモ、ニンジン、エンドウマメ、インゲンマメ及びカボチャを含む群から選択される野菜原料を含んでいてよい。
【0034】
[0031]一実施形態では、貯蔵安定な発酵乳製品は、1種又は複数のプレバイオティックをさらに含む。本明細書では、プレバイオティックは、宿主の健康及び健康状態に利益を与える特定の変化を、組成物及び/又は胃腸のミクロフローラ内での活性の両方にもたらす、選択的に発酵させた原料である。プレバイオティックの非限定的な例には、フラクトオリゴ糖、イヌリン、ラクツロース、ガラクトオリゴ糖、アラビアゴム、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ラクトスクロース、グルコオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、耐性デンプン、糖アルコール又はその組合せがある。
【0035】
[0032]一実施形態では、貯蔵安定な発酵乳製品は、1種又は複数のプロバイオティックをさらに含む。本明細書では、プロバイオティックは、十分な量を投与した場合、宿主に健康上の利益を与え得る微生物(例えば、生きている)と定義される。プロバイオティックの非限定的な例には、サッカロミセス属(Saccharomyces)、デバリオマイセス属(Debaromyces)、カンジダ属(Candida)、ピチア属(Pichia)、トルロプシス属(Torulopsis)、アスペルギルス属(Aspergillus)、リゾープス属(Rhizopus)、ムコール属(Mucor)、ペニシリウム属(Penicillium)、トルロプシス属(Torulopsis)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、バクテロイデス属(Bacteroides)、クロストリジウム属(Clostridium)、フゾバクテリウム属(Fusobacterium)、メリソコッカス属(Melissococcus)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostrepococcus)、バチルス属(Bacillus)、ペジオコックス属(Pediococcus)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、リューコノストック属(Leuconostoc)、ウィッセラ属(Weissella)、アエロコッカス属(Aerococcus)、オエノコッカス属(Oenococcus)、ラクトバシラス属(Lactobacillus)又はその組合せがある。
【0036】
[0033]別の実施形態では、貯蔵安定な発酵乳製品は、1種又は複数のアミノ酸をさらに含む。アミノ酸の非限定的な例には、イソロイシン、アラニン、ロイシン、アスパラギン、リシン、アスパラギン酸塩、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸塩、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、セリン、チロシン、アルギニン、ヒスチジン又はその組合せがある。
【0037】
[0034]一実施形態では、貯蔵安定な発酵乳製品は、1種又は複数のシンバイオティック(symbiotic)、植物栄養素、酸化防止剤、ビタミン及び/又はミネラルをさらに含む。本明細書では、シンバイオティックは、一緒に働いて腸のミクロフローラを改善するプレバイオティックとプロバイオティックのどちらも含有する栄養補助食品である。植物栄養素の非限定的な例には、ケルセチン、クルクミン及びリモニンがある。酸化防止剤は、他の分子の酸化を遅らせる又は防ぐことができる分子である。酸化防止剤の非限定的な例には、ビタミンA、カロテノイド、ビタミンC、ビタミンE、セレン、フラボノイド、ポリフェノール、リコペン、ルテイン、リグナン、補酵素Q10(「CoQ10」)及びグルタチオンがある。
【0038】
[0035]ビタミンの非限定的な例には、ビタミンA、B複合体(B−1、B−2、B−6及びB−12など)、C、D、EとK、ナイアシンとパントテン酸及び葉酸などの酸ビタミンとビオチンが含まれていてもよい。ミネラルの非限定的な例には、カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウム、ヨウ素、銅、リン、マンガン、カリウム、クロム、モリブデン、セレン、ニッケル、スズ、ケイ素、バナジウム及びホウ素が含まれていてもよい。
【0039】
[0036]代替の実施形態では、本開示は、貯蔵安定な発酵乳製品を製造する方法を提供する。この方法は、33〜65Fの温度範囲で、10〜1000rpm、好ましくは約50〜500rpm、最も好ましくは約100〜約300rpmの混合範囲で、剪断下で発酵乳成分に物理的又は化学的な安定剤を加えて、貯蔵安定な発酵乳混合物を形成すること、約33F〜約165F、好ましくは約33F〜約100F、最も好ましくは約33F〜約60Fの温度範囲と、一又は二段階ホモジナイザー中、約500psi〜約4000psi、好ましくは約500psi〜約3000psi、最も好ましくは約500psi〜約1500psiの圧力範囲で発酵乳混合物をホモジナイズすること、約33F〜約165Fの温度範囲で、10〜1000rpmの混合範囲でピューレ組成物を発酵乳混合物に加えること、並びに貯蔵安定な発酵乳混合物を加熱加工して貯蔵安定な発酵乳混合物を商業的に無菌にして、約10秒〜約40分の範囲で、約185F〜約240Fの温度範囲で貯蔵安定な発酵乳製品を生成することを含む。この方法は、無菌状態下で行うことができる。
【0040】
[0037]本方法は、改善された味、粘性及び食感を備えた改善された貯蔵安定な乳製品を予想外に形成する。特に、冷蔵された乳製品は時間及び温度によって凝固し、最終生成物が適切な粘性を得るように制御しなければならない。凝固し、マトリックスを生成して最終生成物の食感及び粘性を作る天然のタンパク質は、粘性及び厚さを形成するので、従来技術の方法による高剪断及び加熱は必要なく、且つ好ましくない。本発明の方法は、改善された粘性、食感及び味を驚くほど提供した。粘性単独では従来技術の冷蔵方法で調製可能なことがあるが、本発明の粘性と食感の組合せは、驚くほど改善された及び好ましい組成物を提供する。
【0041】
[0038]本方法の最初の部分は、貯蔵安定な発酵乳成分中のタンパク質を、適当な親水コロイド(例えば、ペクチン)又は高ゲル化乳清タンパク質濃縮物で被覆することによって「安定化」させ、続いて貯蔵安定な発酵乳混合物を均質化することを含む。これによって、タンパク質を凝固させずに貯蔵安定な発酵乳混合物を滅菌温度(例えば、185°F超)まで加熱することが可能になり、それによって滑らかな食感の発酵乳製品が得られる。
【0042】
[0039]本方法の一実施形態では、一種又は複数の増粘剤は、コメ、コムギ、オートムギ、オオムギ、タピオカ、キノア、ライムギ、アマランス、トウモロコシ、又はジャガイモなどの供給源由来の物理的若しくは化学的に改変した穀粉及び/又はデンプンを含むことができるが、それだけには限定されない。香味料及び/又は着色剤は、加熱加工する前に発酵乳混合物に加える。貯蔵安定な発酵乳成分は、ヨーグルト、サワークリーム、バターミルク又はその組合せであってよい。
【0043】
[0040]本開示の実施形態は、ざらざらしておらず、またこの特徴を製品の貯蔵寿命の間維持する、商業的に無菌の貯蔵安定な発酵乳製品を製造する能力を有利に提供する。通常加熱加工した乳系製品(例えば、そのようなプディング)の代わりに利用可能な商業的なプロセスは、貯蔵安定な発酵乳製品を製造するのに使用することができる。貯蔵安定な発酵乳製品のタンパク質マトリックスに関連するので、最終製品の安定性に影響を与えずに製造プロセス中に種々の原料を貯蔵安定な発酵乳製品に加えることができる。
【実施例】
【0044】
[0041]限定するものではなく一例として、以下の実施例は、本開示の種々の実施形態の例示である。以下の配合は、例示のために提供しているに過ぎず、求める特別な特徴に応じて必要な範囲まで当業者によって改変してよい。
【0045】
実施例1
【表5】

【0046】
[0042]本明細書に記載されている現時点で好ましい実施形態に対する種々の変更及び修正形態が当業者に明らかであろうことが理解されたい。このような変更及び修正形態は、本主題の精神及び範囲から逸脱することなく、且つ対象とする利点を減らすことなく作ることができる。したがって、このような変更及び修正形態は、添付の特許請求の範囲に包含されることになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵乳成分、安定剤、及びピューレ組成物を含む貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項2】
定量的セントラルロケーションテストの9点快不快尺度に基づいて少なくとも5の風味嗜好スコアを有する、請求項1に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項3】
定量的セントラルロケーションテストの9点快不快尺度に基づいて少なくとも5の甘味嗜好スコアを有する、請求項1に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項4】
定量的セントラルロケーションテストの9点快不快尺度に基づいて少なくとも5の酸味嗜好スコアを有する、請求項1に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項5】
定量的セントラルロケーションテストの9点快不快尺度に基づいて少なくとも5の食感嗜好スコアを有する、請求項1に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項6】
前記貯蔵安定な発酵乳成分が、ヨーグルト、サワークリーム、バターミルク及びその組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項7】
前記安定剤が、物理的又は化学的な安定剤であり、親水コロイド又は高ゲル化乳清タンパク質濃縮物からなる群から選択される、請求項1に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項8】
前記安定剤が、ペクチン、ゼラチン、カラギーナン、寒天、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロース、高ゲル化乳清タンパク質濃縮物及びその組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項9】
前記物理的な安定剤が、0.001重量%〜10重量%の範囲である、請求項1に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項10】
3.8〜4.3の範囲のpHを含む、請求項1に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項11】
前記ピューレ組成物が、リンゴ、オレンジ、梨、桃、イチゴ、バナナ、サクランボ、パイナップル、キウイ、ブドウ、ブルーベリー、ラズベリー、マンゴー、グアバ、クランベリー、クロイチゴ及びその組合せからなる群から選択されるピューレ状にした果物を含む、請求項1に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項12】
プレバイオティックをさらに含む、請求項1に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項13】
前記プレバイオティックが、部分加水分解グアーガム、フラクトオリゴ糖、イヌリン、ラクツロース、ガラクトオリゴ糖、アラビアゴム、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ラクトスクロース、グルコオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、耐性デンプン、糖アルコール及びその組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項14】
プロバイオティックをさらに含む、請求項1に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項15】
前記プロバイオティックが、サッカロミセス属、デバリオマイセス属、カンジダ属、ピチア属、トルロプシス属、アスペルギルス属、リゾープス属、ムコール属、ペニシリウム属、トルロプシス属、ビフィドバクテリウム属、バクテロイデス属、クロストリジウム属、フゾバクテリウム属、メリソコッカス属、プロピオニバクテリウム属、ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属、ラクトコッカス属、スタフィロコッカス属、ペプトストレプトコッカス属、バチルス属、ペジオコックス属、ミクロコッカス属、リューコノストック属、ウィッセラ属、アエロコッカス属、オエノコッカス属、ラクトバシラス属及びその組合せからなる群から選択される、請求項14に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項16】
シンバイオティック、植物栄養素及びその組合せからなる群から選択される成分をさらに含む、請求項1に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項17】
アミノ酸をさらに含む、請求項1に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項18】
前記アミノ酸が、イソロイシン、アラニン、ロイシン、アスパラギン、リシン、アスパラギン酸塩、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸塩、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、セリン、チロシン、アルギニン、ヒスチジン及びその組合せからなる群から選択される、請求項17に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項19】
酸化防止剤をさらに含む、請求項1に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項20】
ビタミンをさらに含む、請求項1に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項21】
ミネラルをさらに含む、請求項1に記載の貯蔵安定な発酵乳製品。
【請求項22】
貯蔵安定な発酵乳製品を製造する方法であって、
剪断下で発酵乳成分に安定剤を加えて貯蔵安定な発酵乳混合物を形成するステップと、
前記発酵乳混合物をホモジナイズするステップと、
ピューレ組成物を前記発酵乳混合物に加えるステップと、
前記発酵乳混合物を加熱加工して前記発酵乳混合物を商業的に無菌にして、前記貯蔵安定な発酵乳製品を生成するステップと
を含む方法。
【請求項23】
剪断下で前記発酵乳成分に前記安定剤を加えることが、前記物理的な安定剤で被覆することによって前記発酵乳成分中のタンパク質を安定化させることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記発酵乳混合物を185°Fを超える温度まで加熱する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
無菌状態下で行う、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記混合物に、増粘剤、香味料、甘味料、酸味料及び着色剤のうち少なくとも1種を加えてから加熱加工する、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記貯蔵安定な発酵乳製品が、定量的セントラルロケーションテストの9点快不快尺度に基づいて少なくとも5の風味嗜好スコアを有する、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記貯蔵安定な発酵乳製品が、定量的セントラルロケーションテストの9点快不快尺度に基づいて少なくとも5の甘味嗜好スコアを有する、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記貯蔵安定な発酵乳製品が、定量的セントラルロケーションテストの9点快不快尺度に基づいて少なくとも5の酸味嗜好スコアを有する、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記貯蔵安定な発酵乳製品が、定量的セントラルロケーションテストの9点快不快尺度に基づいて少なくとも5の食感嗜好スコアを有する、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記発酵した乾燥又は新鮮な乳成分が、ヨーグルト、サワークリーム、バターミルク、ケフィアチーズ及びその組合せからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記安定剤が、物理的又は化学的な安定剤である、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記安定剤が、ペクチン、ゼラチン、カラギーナン、寒天、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロース、高ゲル化乳清タンパク質濃縮物及びその組合せからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記安定剤が、0.001重量%〜10重量%の範囲である、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
前記貯蔵安定な発酵乳製品が、約3.8〜約4.3の範囲のpHを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記ピューレ組成物が、リンゴ、オレンジ、梨、桃、イチゴ、バナナ、サクランボ、パイナップル、キウイ、ブドウ、ブルーベリー、ラズベリー、マンゴー、グアバ、クランベリー、クロイチゴ及びその組合せからなる群から選択されるピューレ状にした果物を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項37】
前記貯蔵安定な発酵乳製品が、プレバイオティックをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項38】
前記プレバイオティックが、部分加水分解グアーガム、フラクトオリゴ糖、イヌリン、ラクツロース、ガラクトオリゴ糖、アラビアゴム、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ラクトスクロース、グルコオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、耐性デンプン、糖アルコール及びその組合せからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項39】
前記貯蔵安定な発酵乳製品が、プロバイオティックをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項40】
前記プロバイオティックが、サッカロミセス属、デバリオマイセス属、カンジダ属、ピチア属、トルロプシス属、アスペルギルス属、リゾープス属、ムコール属、ペニシリウム属、トルロプシス属、ビフィドバクテリウム属、バクテロイデス属、クロストリジウム属、フゾバクテリウム属、メリソコッカス属、プロピオニバクテリウム属、ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属、ラクトコッカス属、スタフィロコッカス属、ペプトストレプトコッカス属、バチルス属、ペジオコックス属、ミクロコッカス属、リューコノストック属、ウィッセラ属、アエロコッカス属、オエノコッカス属、ラクトバシラス属及びその組合せからなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記貯蔵安定な発酵乳製品が、シンバイオティック、植物栄養素及びその組合せからなる群から選択される成分をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項42】
前記貯蔵安定な発酵乳製品が、アミノ酸をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項43】
前記アミノ酸が、イソロイシン、アラニン、ロイシン、アスパラギン、リシン、アスパラギン酸塩、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸塩、スレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、セリン、チロシン、アルギニン、ヒスチジン及びその組合せからなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記貯蔵安定な発酵乳製品が、酸化防止剤をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項45】
前記貯蔵安定な発酵乳製品が、ビタミンをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項46】
前記貯蔵安定な発酵乳製品が、ミネラルをさらに含む、請求項22に記載の方法。

【公表番号】特表2012−524549(P2012−524549A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507437(P2012−507437)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/032263
【国際公開番号】WO2010/124224
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】