説明

貴金属担持粉末の製造方法、貴金属担持粉末及び排気ガス浄化用触媒

【課題】 従来の触媒粉末では、粉末の内部に埋没した貴金属粒子が排気ガスの浄化に有効に寄与していなかった。
【解決手段】 貴金属担持粉末粒子3とバインダー4とを液中で混合してスラリを形成し、このスラリに振動を付加して貴金属担持粉末粒子3を分散させた後、この貴金属担持粉末粒子3が分散した状態のままスラリを噴霧乾燥させる。これにより、貴金属担持粉末1には排気ガスが流通する細孔2が適切に形成され、排気ガス浄化性能を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貴金属担持粉末の製造方法、貴金属担持粉末及び排気ガス浄化用触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から排出される排気ガス中に含まれる炭化水素系化合物(HC),一酸化炭素(CO),窒素酸化物(NO)等の有害物質を除去するために、排気ガス浄化用触媒が広く利用されるようになっている。
【0003】
排気ガス浄化用触媒は、アルミナ(Al)等の多孔質無機材料を主成分とする担体に白金(Pt)等の貴金属粒子を担持した粉末が、モノリス状やその他の各種形状を有するセラミックス製又は金属箔製の耐火性無機担体の内壁面上にコートされ、かくして形成された触媒層が、1層又はそれ以上積層されてなる触媒である。耐火性無機担体にコートされる貴金属担持粉末は、平均粒径1[μm]〜20[μm]程度の粒子であって、排気ガス中の有害ガス成分を浄化する活性中心となる貴金属を、ガス拡散性に対して無関係に粉末の表面及び内部に分散担持している。
【0004】
このような排気ガス浄化用触媒に関し、コート層(触媒層)は、孔径 0.1〜20[μm]の細孔が全体の細孔容積の60%以上を占め、孔径10〜20[μm]の細孔が全体の細孔容積の20%以上を占めるものがある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−191988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
貴金属を担持した粉末は、多孔質な無機粉末粒子に貴金属粒子が担持された一次粒子又はその一次粒子が凝集して形成された二次粒子からなり、平均粒径が1〜20[μm]程度のものである。このような貴金属担持粉末において、排気ガス浄化の作用を有する貴金属粒子は、貴金属担持粉末の内部及び表面に存在している。ここに、貴金属担持粉末の内部には、ガス拡散に有効な細孔が非常に少ないことから、排気ガスが、細孔を通して貴金属担持粉末の内部の貴金属に達するのが困難である。したがって、貴金属担持粉末に存在する貴金属のうち、粉末内部の貴金属は、有害ガス成分が効率よく到達せず、排気ガスの浄化に有効に機能していなかった。
【0006】
貴金属担持粉末の内部に、ガス拡散に有効な細孔を形成することが可能であれば、粉末内部の貴金属を、排気ガスの浄化に有効に機能させることができるが、従来は、貴金属担持粉末の内部にガス拡散に有効な細孔を形成する方法がなかった。
【0007】
また、貴金属を担持する化合物担体を、平均粒径1[μm]以下の粒子としてバインダーを含むスラリ中に混合すると、化合物担体粒子が再凝集してしまうため、化合物担体同士を離隔した状態で固定化することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一つの様相である貴金属担持粉末の製造方法は、貴金属担持粉末粒子とバインダーとを液中で混合してスラリを形成し、このスラリに振動を付加して貴金属担持粉末粒子を分散させた後、この貴金属担持粉末粒子が分散した状態のままスラリを噴霧乾燥させることを要旨とする。
【0009】
また、本発明の別の様相である貴金属担持粉末は、複数の貴金属粉末粒子とバインダーとを備え、当該複数の貴金属担持粉末粒子の平均粒径が1[μm]以下であることを要旨とする。
【0010】
更に、本発明の別の様相である排気ガス浄化用触媒は、上記本発明の貴金属担持粉末の製造方法で製造された貴金属担持粉末を含むスラリを耐火性無機担体に塗布して少なくとも1層の触媒層が形成されていることを要旨とする。
【0011】
また更に、本発明の別の様相である排気ガス浄化用触媒は、耐火性無機担体に少なくとも1層の触媒層を備え、この触媒層に上記本発明の貴金属担持粉末を含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る貴金属担持粉末の製造方法によれば、貴金属担持粉末の内部に、ガス拡散に有効な細孔を形成した貴金属担持粉末を製造することができる。
【0013】
本発明に係る貴金属担持粉末によれば、貴金属担持粉末の内部に、ガス拡散に有効な細孔を多く備えているので、浄化性能を向上させた排気ガス浄化用触媒を製造できる。
【0014】
本発明に係る排気ガス浄化用触媒によれば、粉末内部の貴金属をも排気ガスの浄化に有効に利用して浄化性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の貴金属担持粉末の製造方法、貴金属担持粉末及び排気ガス浄化用触媒の実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の貴金属担持粉末の製造方法の一例を説明するフロー図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る貴金属担持粉末の製造方法によって貴金属担持粉末1を製造するためには、まず、貴金属担持粉末粒子3とバインダー4とを用意する。貴金属としては白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)などの、排気ガスを浄化する触媒作用を有する貴金属の1種又は2種以上を用いることができる。また、貴金属を担持する担体についても、アルミナなどの多孔質無機材料の1種又は2種以上を用いることができる。そして、貴金属を担体に担持させる方法についても特に限定されず、例えば含浸法などを用いることができる。
【0017】
バインダーは、例えばアルミナを主成分とするものを用いることができる。
【0018】
次にこの貴金属担持粉末粒子3とこのバインダー4とを液中で混合してスラリを形成する(ステップS1)。貴金属担持粉末粒子3は、少なくとも1種類が必要であるが、貴金属及び/又は担持粉末が異なる2種類以上の貴金属担持粉末粒子3を備えていてもよい。なお、このスラリには、貴金属担持粉末粒子3とバインダー4の他に、Mn,Fe,Co,Ni,Y,Ba,Zr,La,Ce,Pr及びNdより選ばれる少なくとも1種類の金属の酸化物を含ませてもよい。
【0019】
次いで、このスラリに振動を付加してスラリ中の貴金属担持粉末粒子3を分散させる(ステップS2)。次に、このスラリ中の貴金属担持粉末粒子3が分散した状態のまま、このスラリを噴霧乾燥させる(ステップS3)。このようにして貴金属担持粉末粒子3とバインダー4とを備える貴金属担持粉末1が製造される。
【0020】
本発明の実施形態に係る貴金属担持粉末の製造方法に従って、スラリを噴霧乾燥(ステップS3)によって急速乾燥させることによって、貴金属担持粉末1の内部に、ガス拡散に有効な細孔を形成できる。この細孔の形成により、粉末内部の貴金属をも排気ガスの浄化に有効に利用できるため、浄化性能を向上させた排気ガス浄化用触媒を製造することができる。
【0021】
また、噴霧乾燥(ステップS3)によるスラリの急速乾燥の直前に、高分散処理(ステップS2)をすることによって、貴金属担持粉末粒子3同士を隔離した状態で固定化することができる。このため、高温、長時間の使用によっても触媒性能の劣化が少ない排気ガス浄化用触媒を製造することができる。
【0022】
そして、上述したスラリの高分散処理と、急速乾燥との組み合わせにより、図2に示すような、本発明の実施形態に係る貴金属担持粉末を得ることができる。
【0023】
図2は、本発明の貴金属担持粉末の一例の模式図である。図2(a)は一つの貴金属担持粉末を示しており、この貴金属担持粉末1は、直径が1〜20[μm]程度の粒子である。貴金属担持粉末1には、内部に通じる複数の細孔2が形成されている。この細孔2は、例えば30〜100[nm]程度の細孔径を有している。貴金属担持粉末1は、平均粒径1[μm]以下である複数の貴金属担持粉末粒子3が集合してなる二次粒子よりなっている。つまり、貴金属担持粉末1は、所定の細孔2が形成されるように貴金属担持粉末粒子3が集合した構造となっている。
【0024】
図2(a)の貴金属担持粉末1を部分的に拡大した模式図を図2(b)に示す。貴金属担持粉末1を構成する貴金属担持粉末粒子3は、平均粒径1[μm]以下の微粒であり、各貴金属担持粉末粒子3はバインダー4により結合されている。貴金属担持粉末粒子3のそれぞれの表面上には貴金属粒子5が担持されている。図示したように、微粒の貴金属担持粉末粒子3がバインダー4により結合されて、二次粒子として貴金属担持粉末1が形成され、かつ、この貴金属担持粉末1は、この貴金属担持粉末1の内部に通じる30〜100[nm]程度の細孔径の細孔2を有している。
【0025】
図2に示すような貴金属担持粉末を製造するための本発明の貴金属担持粉末の製造方法においては、振動を付加してスラリ中の貴金属担持粉末粒子の分散度を33%以上にすることが好ましい。分散度は、粒度分布測定装置を用いたスラリの分散測定結果と、そのスラリに含まれる粒子の平均粒子径とから、次(1)式で算出される。
【0026】
[分散度] (%)=[平均粒子径] ÷[分散状態測定結果]×100 ……(1)
スラリの急速乾燥の直前に、分散度33%以上の状態に高分散させるような振動付加処理をすることによって、貴金属担持粉末粒子同士を隔離した状態で固定化することができる。このため、貴金属担持粉末粒子間での貴金属の移行及び凝集・粒子成長が起きない。このため、貴金属表面積の低下ひいては触媒性能の劣化が少ない排気ガス浄化用触媒を製造することができる。
【0027】
図3は、液中に貴金属担持粉末粒子を分散させたスラリについて、分散後の経過時間と貴金属担持粉末粒子の分散度との関係について計測した結果をグラフで示す。図3に示されるように、分散直後から時間が経過するにつれて、貴金属担持粉末粒子の分散度は低くなっていく。
【0028】
そして、乾燥させる直前の分散度を、特に33%以上の高分散な状態とすることにより、理想的な状態で貴金属担持粉末粒子同士が離隔する状態で構造を維持し、固定化することが可能となる。
【0029】
スラリを高分散状態にするための振動付加には、スラリ分散機を用いることができる。ここで、スラリ分散機として高速攪拌機を用いると、分散処理がバッチ処理方式となり、分散処理と急速乾燥との連続処理ができないため、生産効率が低い。それに対して、スラリ分散機として超音波分散機を用いると、高分散処理と急速乾燥との連続処理が可能であるため、高速攪拌機を用いる場合よりも生産効率が高い。したがって、本発明の貴金属担持粉末の製造方法において、振動を付加するためには、超音波分散機を用いることが特に好ましい。
【0030】
噴霧乾燥(ステップS3)は、直径1[mm]以下の液滴を1個あたり0.6秒以内で水分を蒸発させる条件で行うことが好ましい。スラリを直径1[mm]以下の液滴とし、液滴1個あたり0.6秒以内で水分を蒸発させることによって、貴金属担持粉末の内部に、ガス拡散に有効な細孔を多く形成できる。この細孔の形成により、粉末内部の貴金属をも排気ガスの浄化に有効に利用できるため、浄化性能を向上させた排気ガス浄化用触媒を製造することができる。
【0031】
バインダーは、無機酸化物を主成分とし平均粒子径が貴金属担持粉末粒子の1/10から10倍の範囲内であるものを用い、貴金属担持粉末粒子とバインダーとの混合比が10:90から90:10の範囲内とすることが好ましい。貴金属担持粉末粒子と混合するバインダーに、無機酸化物を主成分とし平均粒子径が貴金属担持粉末粒子の1/10から10倍の範囲内であるバインダーを用い、この貴金属担持粉末粒子とバインダーとの混合比が10:90から90:10の範囲内とし、スラリの急速乾燥の直前に高分散処理をすることによって、貴金属担持粉末粒子同士を隔離した状態で固定化することができる。このため、高温、長時間の使用によっても触媒性能の劣化が少ない排気ガス浄化用触媒を製造することができる。
【0032】
バインダーの材料には、例えば、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)などがある。
【0033】
貴金属担持粉末粒子とバインダーとが混合されるスラリには、前述したようにMn,Fe,Co,Ni,Y,Ba,Zr,La,Ce,Pr及びNdより選ばれる少なくとも1種類の金属の酸化物を含ませてもよい。なかでも、Ce含有酸化物粉末粒子を更に加えることは好ましい。Ce含有酸化物は、助触媒としての機能を果たし、かつ酸素吸放出能を有している。したがって、Ce含有酸化物を含む貴金属担持粉末粒子により製造された排気ガス浄化用触媒は、排気ガス浄化性能が向上する。なお、このCe含有酸化物粉末には、Mn,Fe,Co,Ni,Y,Ba,Zr,La,Pr及びNdより選ばれる少なくとも1種類の金属の酸化物及び/若しくは、Au,Pt,Ir,Os,Ag,Pd,Rh及びRuより選ばれる少なくとも1種類の貴金属を担持してもよい。
【0034】
次に、本発明の貴金属担持粉末について述べる。図2を用いて既に説明したように、貴金属担持粉末1は、その内部に通じる細孔2を有しているので、浄化すべき排気ガスが貴金属担持粉末1の内部にまで十分に到達することができ、よって、貴金属担持粉末1の内部に存在する貴金属粒子粉末粒子3に担持された貴金属粒子5によっても浄化されるので、排気ガス浄化性能が向上する。
【0035】
本発明の貴金属担持粉末1は、上述した本発明の貴金属担持粉末の製造方法によって製造することができる。
【0036】
貴金属担持粉末1は、貴金属担持粉末粒子の平均粒径が1[μm]以下であることが好ましい。貴金属担持粉末粒子の平均粒径が1[μm]以下であることにより、貴金属担持粉末の内部に、ガス拡散に有効な細孔を確保することができる。より好ましくは、貴金属担持粉末粒子の平均粒径は90[nm]以上550[nm]以下である。貴金属担持粉末粒子の平均粒径が90[nm]に満たない場合、550[nm]を超える場合のいずれも、ガス拡散に有効な細孔を十分に確保することが難しい。貴金属担持粉末粒子を平均粒径90[nm]以上550[nm]以下とすることによって、貴金属担持粉末の内部に、ガス拡散に有効な細孔を多く形成できる。この細孔の形成により、粉末内部の貴金属をも排気ガスの浄化に有効に利用できるため、浄化性能をいっそう向上させた排気ガス浄化用触媒を製造することができる。
【0037】
貴金属担持粉末粒子の微細化は、粉砕メディアを用いた湿式粉砕機を用いることができるが、粉砕加工に限定されるものではない。
【0038】
貴金属担持粉末1は、バインダーが、無機酸化物を主成分とし平均粒子径が貴金属担持粉末粒子の1/10から10倍の範囲内であるものであり、貴金属担持粉末粒子とバインダーとの混合比が10:90から90:10の範囲内であることが好ましい。
【0039】
本発明の貴金属担持粉末1は、Ce含有酸化物粉末粒子を更に備えることができる。Ce含有酸化物粉末粒子を更に備えることにより、排気ガス浄化用触媒の浄化特性が向上する。
【0040】
本実施形態に係る貴金属担持粉末の製造方法に用いる製造装置の一例の模式図を図4に示す。この貴金属担持粉末の製造装置は、スラリに振動を付加して高分散処理するスラリ分散機50と、このスラリ分散機により高分散化されたスラリを噴霧乾燥させる瞬間乾燥装置60とを備えている。
【0041】
図4において、貴金属担持粉末用容器10内に貴金属担持粉末粒子スラリ11が収容され、またバインダー用容器20内にバインダースラリ21が収容されている。貴金属担持粉末粒子スラリ11中の貴金属担持粉末は、貴金属を担持する工程及び微細化する工程を経て、平均粒径が1[μm]以下になっているものである。また、バインダースラリ21中のバインダーは、前述したような、貴金属担持粉末粒子スラリ11中の貴金属担持粉末粒子の粒径に応じた粒径を有するものである。貴金属担持粉末用容器10及びバインダー用容器20はそれぞれ撹拌手段を有していて、容器に収容された貴金属担持粉末粒子スラリ11やバインダースラリ21の凝集を抑制している。
【0042】
貴金属担持粉末粒子スラリ11はポンプ30により混合機40に供給され、バインダースラリ21も同様にポンプ30により当該混合機40に供給されて、この混合機40により貴金属担持粉末粒子とバインダーとが混合されたスラリが形成される。貴金属担持粉末粒子スラリ11とバインダースラリ21との混合比は、上述した適切な範囲となるように調節される。
【0043】
混合機40で混合された貴金属担持粉末粒子スラリ11及びバインダースラリ21は、スラリ分散機50に導かれる。このスラリ分散機50は、好ましくは図中にスラリ分散機50として示した超音波分散機であり、スラリ中に浸漬された超音波振動子51によってスラリに振動が付加されることにより、スラリ中の貴金属担持粉末粒子及びバインダーが均一に分散される。超音波分散機により、スラリ中の分散度を33%以上とすることができる。
【0044】
スラリ分散機50によって十分に分散している状態のスラリは、ポンプを介して瞬間乾燥装置60に供給され、瞬間乾燥装置60により短時間で乾燥される。この瞬間乾燥装置60は、スラリを直径1[mm]以下の液滴とし、その液滴1個当たり10[秒]以内で水分を蒸発させることができる装置である。瞬間乾燥装置60は、噴霧乾燥装置が好ましい。噴霧乾燥装置の中でも図中に瞬間乾燥装置60として示したスプレードライヤは、乾燥室上部にスラリ分散機50から導かれたスラリを噴出するアトマイザ61を備え、アトマイザ61上部から供給されたスラリを、所定の高温雰囲気中でアトマイザ61先端の回転ディスク62が高速回転してスラリを微粒化噴霧することにより噴霧乾燥させる装置である。回転ディスク式アトマイザは、液滴径や乾燥室内温度の制御が特に容易で均質な粉末を得ることができるので本発明の貴金属担持粉末を製造するのに好適である。なお、アトマイザは、スラリを微粒化噴霧することができるノズル式でもよい。このような瞬間乾燥装置60を用いて急速乾燥させることにより、貴金属担持粉末粒子とバインダーとで構成された貴金属担持粉末を形成することができる。
【0045】
スラリ分散機50が超音波分散機であり、瞬間乾燥装置60がスプレードライヤである組み合わせは、分散処理と急速乾燥との連続処理が可能であり、生産効率が高い点でも製造装置として望ましい組み合わせである。
【0046】
本発明の貴金属担持粉末を含むスラリを、耐火性無機担体に塗布して少なくとも1層の触媒層が形成されて本発明の排気ガス浄化用触媒が製造される。
【0047】
かかる本発明の排気ガス浄化用触媒は、本発明の貴金属担持粉末の製造方法で製造された貴金属担持粉末を含むスラリを耐火性無機担体に塗布して少なくとも1層の触媒層が形成されているもの、又は、耐火性無機担体に少なくとも1層の触媒層を備え、この触媒層に本発明の貴金属担持粉末を含むものである。
【0048】
図2に示した、本発明の実施形態に係る貴金属担持粉末の優位性を明らかにするために、比較として、従来の貴金属担持粉末の模式図を図5に示す。図5に示される貴金属担持粉末100は、平均粒径1〜20[μm]程度の貴金属担持粉末100の内部のガス流通の良くない部分に貴金属粒子300が存在していると共に、貴金属担持粉末100の表面に貴金属粒子500が形成されているものである。よって、貴金属粒子300は、浄化すべき排気ガスが十分に到達しないので排気ガスの浄化に有効に機能していなかった。これに対して図2に示した本実施形態に係る貴金属担持粉末1は、貴金属担持粉末1の内部まで、ガス拡散に有効な細孔2が形成され、粉末内部の貴金属をも有効にできる。このことは、図5及び図2に図示された粉末の構造の相違から明白である。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0050】
<実施例1>
Pt担持粉末を平均粒径150[nm]となるように粉砕し、Pt担持粉末粒子とした。Ptを担持させる粉末の材料には、アルミナ(Al2O3)を用いた。また、Pt担持粉末の粉砕には、粉砕メディアを用いた湿式粉砕機を用いた。
【0051】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを重量比50:50で混合し、固形分濃度が10%程度のスラリとした。ここで、バインダーはアルミナを主成分とし、平均粒子径がPt担持粉末粒子の1/2のものを使用した。
【0052】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを混合したスラリを乾燥する直前に、スラリを分散度91%とした。これは、瞬間乾燥装置の直前に超音波分散機を配置して高分散出力を目標の分散度となるように調整してスラリを分散させ、高分散処理後1分以内で瞬間乾燥装置に供給されるようにして行った。ここで、分散度を算出するための測定には、動的光散乱方式の粒度分布測定装置を用い、分散度は次式(1)により算出した。
【0053】
[分散度] (%)=[平均粒子径] ÷[分散状態測定結果]×100 ……(1)
次に、Pt担持粉末粒子とバインダーとを混合し、高分散処理したスラリを、液滴1個あたり約1.8[msec]で瞬間乾燥した。スラリの乾燥には、瞬間乾燥装置としての噴霧乾燥装置を用い、入口温度を350度とし、出口温度を140度となるように、印加熱量及びスラリ処理速度を調整した。ここで、液滴の平均粒径は、約10[μm]とした。
【0054】
スラリを乾燥して得られた粉末を550℃にて3時間加熱処理した。加熱処理にはマッフル炉を用いた。このようにして、Pt担持粉末を得た(粉末A)。
【0055】
得られた粉末の細孔分布を測定し、次式(2)により粒子内部のガス拡散に有効な細孔容積比を算出した。
【0056】
[ガス拡散に有効な細孔容積比]=[30〜100nm細孔容積]/[粉末容積]・・・・・・(2)
式(2)において、100[nm]未満の細孔内におけるガス拡散は、クヌーセン拡散と呼ばれ、式(3)で示される。
【0057】
q=(4/3)・rε(2RT/πM)1/2・{(p1−p2)/(l・RT)}・・・・・・(3)
ここに、qは単位面積、単位時間あたりのガス流通量、rは細孔の半径、εは多孔度、Rは気体定数、Tは絶対温度、Mは気体の分子量、p1,p2は細孔の両側の気体の圧力、lは細孔の長さである。
【0058】
クヌーセン拡散における細孔径とガス流通量との関係をグラフで表すと、図6に示したとおりになる。図6から、粉末細孔のうち30〜100[nm]の細孔がガス拡散に有効であることが分かる。このため、ガス拡散に有効な細孔容積比を式(2)のように定義した。
【0059】
実施例1における、上記ガス拡散に有効な細孔容積比は、23.8%であった。
【0060】
<実施例2>
実施例2は、実施例1の貴金属担持粉末を用いた排気ガス浄化用触媒の例である。
【0061】
実施例1で得られた粉末Aを98.2g,アルミナゾルを13.5g,更に水を177.6g,10%硝酸水溶液を10.8g加えたスラリを、粉砕メディアを用いた湿式粉砕機で粉砕し、平均粒径3[μm]のスラリとした(スラリA)。
【0062】
このスラリAをセラミックス製ハニカム担体にコーティング、乾燥した後、400℃で1時間焼成して触媒とした(触媒A)。
【0063】
この触媒Aについて耐久試験を行った。耐久試験は、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒Aを装着し、触媒入口温度を900℃とし、30時間運転した。
【0064】
耐久後の触媒Aについて、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒を装着し、触媒入口温度400℃における転化率を次式に従って求めた。
【0065】
HC転化率(%)=[(触媒入口HC濃度)−(触媒出口HC濃度)]/(触媒入口HC濃度)×100
このとき、HC転化率は44%であり、目標性能(平成17年排出ガス規制値−75%)を達成するために、本評価条件で必要な転化率(40%)以上であった。
【0066】
耐久後の触媒Aについて、触媒コート層から粉末を採取し、Pt(111)のXRD反射ピーク半値幅から結晶子径を算出した。このとき、結晶子径は12[nm]であった。
【0067】
<実施例3>
実施例3は、Ceを含む貴金属担持粉末及びそれを用いた排気ガス浄化用触媒の例である。
【0068】
実施例1の2倍の担持濃度としたPt担持粉末を、平均粒径150[nm]となるように粉砕し、Pt担持粉末粒子とした。Ptを担持させる粉末の材料には、アルミナ(Al2O3)を用いた。また、Pt担持粉末の粉砕には、粉砕メディアを用いた湿式粉砕機を用いた。
【0069】
また、Ceを含む酸化物粉末を平均粒径150[nm]となるように粉砕し、Ce含有酸化物粉末粒子とした。Ce含有酸化物粉末の粉砕には、粉砕メディアを用いた湿式粉砕機を用いた。なお、このCe含有酸化物粉末には、Mn,Fe,Co,Ni,Y,Ba,Zr,La,Pr及びNdより選ばれる少なくとも1種類の金属の酸化物及び/若しくは、Au,Pt,Ir,Os,Ag,Pd,Rh及びRuより選ばれる少なくとも1種類の貴金属を担持してもよい。
【0070】
上記Pt担持粉末粒子及び上記Ce含有酸化物粉末粒子と、バインダーとを重量比25:25:50で混合し、固形分濃度が10%程度のスラリとした。ここで、バインダーはアルミナを主成分とし、平均粒子径がPt担持粉末粒子の10倍のものを使用した。
【0071】
Pt担持粉末粒子及びCe含有酸化物粉末粒子とバインダーとを混合したスラリを乾燥する直前に、スラリを分散度91%とした。これは、瞬間乾燥装置の直前に超音波分散機を配置して高分散出力を目標の分散度となるように調整し、高分散処理後1分以内で瞬間乾燥装置に供給されるようにして行った。ここで、分散度を算出するための測定には、動的光散乱方式の粒度分布測定装置を用い、分散度は前出の式(1)により算出した。
【0072】
高分散処理したスラリの乾燥から加熱処理までは、実施例1と同じである。このようにして、Pt担持粉末を得た(粉末B)。
【0073】
得られた粉末の細孔分布を測定し、前出の式(2)により粒子内部のガス拡散に有効な細孔容積比を算出した。このとき、ガス拡散に有効な細孔容積比は、23.8%であった。
【0074】
粉末Bを含むスラリ(スラリB)の作成から、コーティング、乾燥、焼成して触媒(触媒B)とするまでは、実施例2と同じである。
【0075】
この触媒Bについて耐久試験を行った。耐久試験は、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒Bを装着し、触媒入口温度を900℃とし、30時間運転した。
【0076】
耐久後の触媒Bについて、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒を装着し、触媒入口温度400℃における転化率を次式に従って求めた。
【0077】
HC転化率(%)=[(触媒入口HC濃度)−(触媒出口HC濃度)]/(触媒入口HC濃度)×100
このとき、HC転化率は46%であり、目標性能(平成17年排出ガス規制値−75%)を達成するために、本評価条件で必要な転化率(40%)以上であった。
【0078】
<実施例4>
実施例4は、実施例1及び2とはスラリの分散度が異なる例である。
【0079】
Pt担持粉末粒子とバインダーとの混合スラリ作成までは、実施例1と同じである。
【0080】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを混合したスラリを乾燥する直前に、スラリを分散度50%とした。これは、瞬間乾燥装置の直前に超音波分散機を配置して高分散出力を目標の分散度となるように調整し、高分散処理後1分以内で瞬間乾燥装置に供給されるようにして行った。ここで、分散度を算出するための測定には、動的光散乱方式の粒度分布測定装置を用い、分散度は前出の式(1)により算出した。
【0081】
高分散処理したスラリの乾燥から加熱処理までは、実施例1と同じである。このようにして、Pt担持粉末を得た(粉末C)。
【0082】
粉末Cを含むスラリ(スラリC)の作成から、コーティング、乾燥、焼成して触媒(触媒C)とするまでは、実施例2と同じである。
【0083】
この触媒Cについて耐久試験を行った。耐久試験は、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒Cを装着し、触媒入口温度を900℃とし、30時間運転した。
【0084】
耐久後の触媒Cについて、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒を装着し、触媒入口温度400℃における転化率を次式に従って求めた。
【0085】
HC転化率(%)=[(触媒入口HC濃度)−(触媒出口HC濃度)]/(触媒入口HC濃度)×100
このとき、HC転化率は42%であり、目標性能(平成17年排出ガス規制値−75%)を達成するために、本評価条件で必要な転化率(40%)以上であった。
【0086】
<実施例5>
実施例5は、実施例1及び2とはスラリの分散度が異なる例である。
【0087】
Pt担持粉末粒子とバインダーとの混合スラリ作成までは、実施例1と同じである。
【0088】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを混合したスラリを乾燥する直前に、スラリを分散度33%とした。これは、瞬間乾燥装置の直前に高速攪拌機を配置して攪拌羽根の回転数を目標の分散度となるように調整し、高速攪拌処理後1分以内で瞬間乾燥装置に供給されるようにして行った。ここで、分散度を算出するための測定には、動的光散乱方式の粒度分布測定装置を用い、分散度は前出の式(1)により算出した。
【0089】
高速攪拌処理したスラリの乾燥から加熱処理までは、実施例1と同じである。このようにして、Pt担持粉末を得た(粉末D)。
【0090】
粉末Dを含むスラリ(スラリD)の作成から、コーティング、乾燥、焼成して触媒(触媒D)とするまでは、実施例2と同じである。
【0091】
この触媒Dについて耐久試験を行った。耐久試験は、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒Dを装着し、触媒入口温度を900℃とし、30時間運転した。
【0092】
耐久後の触媒Dについて、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒を装着し、触媒入口温度400℃における転化率を次式に従って求めた。
【0093】
HC転化率(%)=[(触媒入口HC濃度)−(触媒出口HC濃度)]/(触媒入口HC濃度)×100
このとき、HC転化率は40%であり、目標性能(平成17年排出ガス規制値−75%)を達成するために、本評価条件で必要な転化率(40%)以上であった。
【0094】
耐久後の触媒Dについて、触媒コート層から粉末を採取し、Pt(111)のXRD反射ピーク半値幅から結晶子径を算出した。このとき、結晶子径は15[nm]であった。
【0095】
<実施例6>
実施例6は、実施例1とはスラリの乾燥時間が異なる例である。
【0096】
Pt担持粉末粒子とバインダーとの混合スラリ作成までは、実施例1と同じである。
【0097】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを混合したスラリを乾燥する直前に、スラリを分散度91%とした。これは、瞬間乾燥装置の直前に超音波分散機を配置して高分散出力を目標の分散度となるように調整し、高分散処理後1分以内で瞬間乾燥装置に供給されるようにして行った。ここで、分散度を算出するための測定には、動的光散乱方式の粒度分布測定装置を用い、分散度は前出の式(1)により算出した。
【0098】
次に、Pt担持粉末粒子とバインダーとを混合し、高分散処理したスラリを、液滴1個あたり約600msecで乾燥した。スラリの乾燥には、瞬間乾燥装置としての噴霧乾燥装置を用い、入口温度を200度とし、出口温度を70度となるように、印加熱量及びスラリ処理速度を調整した。ここで、液滴の平均粒径は、約120[μm]とした。
【0099】
スラリを乾燥して得られた粉末を550℃にて3時間加熱処理した。加熱処理にはマッフル炉を用いた。このようにして、Pt担持粉末を得た(粉末E)。
【0100】
得られた粉末の細孔分布を測定し、前出の式(2)により粒子内部のガス拡散に有効な細孔容積比を算出した。このとき、ガス拡散に有効な細孔容積比は、22.0%であった。
【0101】
<実施例7>
実施例7は、実施例6の貴金属担持粉末を用いた排気ガス浄化用触媒の例である。
【0102】
粉末Eを含むスラリ(スラリE)の作成から、コーティング、乾燥、焼成して触媒(触媒E)とするまでは、実施例2と同じである。
【0103】
この触媒Eについて耐久試験を行った。耐久試験は、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒Eを装着し、触媒入口温度を900℃とし、30時間運転した。
【0104】
耐久後の触媒Eについて、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒を装着し、触媒入口温度400℃における転化率を次式に従って求めた。
【0105】
HC転化率(%)=[(触媒入口HC濃度)−(触媒出口HC濃度)]/(触媒入口HC濃度)×100
このとき、HC転化率は40%であり、目標性能(平成17年排出ガス規制値−75%)を達成するために、本評価条件で必要な転化率(40%)以上であった。
【0106】
<実施例8>
実施例8は、実施例1及び2とは、バインダーの粒子径が異なる例である。
【0107】
Pt担持粉末を平均粒径150[nm]となるように粉砕し、Pt担持粉末粒子とした。Ptを担持させる粉末の材料には、アルミナ(Al2O3)を用いた。また、Pt担持粉末の粉砕には、粉砕メディアを用いた湿式粉砕機を用いた。
【0108】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを重量比50:50で混合し、固形分濃度が10%程度のスラリとした。ここで、バインダーはアルミナを主成分とし、平均粒子径がPt担持粉末粒子の10倍のものを使用した。
【0109】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを混合したスラリを乾燥する直前に、スラリを分散度91%とした。これは、瞬間乾燥装置の直前に超音波分散機を配置して高分散出力を目標の分散度となるように調整し、高分散処理後1分以内で瞬間乾燥装置に供給されるようにして行った。ここで、分散度を算出するための測定には、動的光散乱方式の粒度分布測定装置を用い、分散度は前出の式(1)により算出した。
【0110】
高分散処理したスラリの乾燥から加熱処理までは、実施例1と同じである。このようにして、Pt担持粉末を得た(粉末F)。
【0111】
粉末Fを含むスラリ(スラリF)の作成から、コーティング、乾燥、焼成して触媒(触媒F)とするまでは、実施例2と同じである。
【0112】
この触媒Fについて耐久試験を行った。耐久試験は、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒Fを装着し、触媒入口温度を900℃とし、30時間運転した。
【0113】
耐久後の触媒Fについて、触媒コート層から粉末を採取し、Pt(111)のXRD反射ピーク半値幅から結晶子径を算出した。このとき、結晶子径は15[nm]であった。
【0114】
<実施例9>
実施例9は、実施例1及び2とは、貴金属担持粉末粒子とバインダーとの混合比が異なる例である。
【0115】
Pt担持粉末を平均粒径150[nm]となるように粉砕し、Pt担持粉末粒子とした。Ptを担持させる粉末の材料には、アルミナ(Al2O3)を用いた。また、Pt担持粉末の粉砕には、粉砕メディアを用いた湿式粉砕機を用いた。
【0116】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを重量比90:10で混合し、固形分濃度が10%程度のスラリとした。ここで、バインダーはアルミナを主成分とし、平均粒子径がPt担持粉末粒子の1/2のものを使用した。
【0117】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを混合したスラリを乾燥する直前に、スラリを分散度91%とした。これは、瞬間乾燥装置の直前に超音波分散機を配置して高分散出力を目標の分散度となるように調整し、高分散処理後1分以内で瞬間乾燥装置に供給されるようにして行った。ここで、分散度を算出するための測定には、動的光散乱方式の粒度分布測定装置を用い、分散度は前出の式(1)により算出した。
【0118】
高分散処理したスラリの乾燥から加熱処理までは、実施例1と同じである。このようにして、Pt担持粉末を得た(粉末G)。
【0119】
粉末Gを含むスラリ(スラリG)の作成から、コーティング、乾燥、焼成して触媒(触媒G)とするまでは、実施例2と同じである。
【0120】
この触媒Gについて耐久試験を行った。耐久試験は、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒Gを装着し、触媒入口温度を900℃とし、30時間運転した。
【0121】
耐久後の触媒Gについて、触媒コート層から粉末を採取し、Pt(111)のXRD反射ピーク半値幅から結晶子径を算出した。このとき、結晶子径は15[nm]であった。
【0122】
<実施例10>
実施例10は実施例1及び2とは貴金属担持粉末粒子の粒子径が異なる例である。
【0123】
Pt担持粉末を平均粒径105[nm]となるように粉砕し、Pt担持粉末粒子とした。Ptを担持させる粉末の材料には、アルミナ(Al2O3)を用いた。また、Pt担持粉末の粉砕には、粉砕メディアを用いた湿式粉砕機を用いた。
【0124】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを重量比50:50で混合し、固形分濃度が10%程度のスラリとした。ここで、バインダーはアルミナを主成分とし、平均粒子径がPt担持粉末粒子の1/2のものを使用した。
【0125】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを混合したスラリの高分散処理から加熱処理までは実施例1と同じである。
【0126】
このようにして、Pt担持粉末を得た(粉末O)。
【0127】
得られた粉末の細孔分布を測定し、前出の式(2)により粒子内部のガス拡散に有効な細孔容積比を算出した。このとき、ガス拡散に有効な細孔容積比は、22.3%であった。
【0128】
<比較例1>
比較例1は、貴金属担持粉末粒子の平均粒径が大きい例である。
【0129】
実施例1の2分の1の担持濃度としたPt担持粉末を平均粒径3[μm]となるように粉砕した。Pt担持粉末の粉砕には、粉砕メディアを用いた乾式粉砕機を用いた。このようにして、Pt担持粉末を得た(粉末H)。
【0130】
得られた粉末の細孔分布を測定し、前出の式(2)により粒子内部のガス拡散に有効な細孔容積比を算出した。このとき、ガス拡散に有効な細孔容積比は、10.8%であった。
【0131】
<比較例2>
比較例2は、比較例1の貴金属担持粉末を排気ガス浄化用触媒とした例である。
【0132】
粉末Hを含むスラリ(スラリH)の作成から、コーティング、乾燥、焼成して触媒(触媒H)とするまでは、実施例2と同じである。
【0133】
この触媒Hについて耐久試験を行った。耐久試験は、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒Hを装着し、触媒入口温度を900℃とし、30時間運転した。
【0134】
耐久後の触媒Hについて、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒を装着し、触媒入口温度400℃における転化率を次式に従って求めた。
【0135】
HC転化率(%)=[(触媒入口HC濃度)−(触媒出口HC濃度)]/(触媒入口HC濃度)×100
このとき、HC転化率は5%であった。
【0136】
耐久後の触媒Hについて、触媒コート層から粉末を採取し、Pt(111)のXRD反射ピーク半値幅から結晶子径を算出した。このとき、結晶子径は100[nm]であった。
【0137】
<比較例3>
比較例3は、スラリを分散処理することなく、かつ、ゆっくり乾燥した例である。
【0138】
Pt担持粉末粒子とバインダーとの混合スラリ作成までは、実施例1と同じである。
【0139】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを混合したスラリを、分散処理することなく、平均粒径が約1000[μm]の液滴1個あたり約150secに相当する速度で乾燥した。これは、エバポレータ中で減圧乾燥した後、120℃の乾燥機中で乾燥することで行った。
【0140】
スラリを乾燥して得られた粉末を550℃にて3時間加熱処理した。加熱処理にはマッフル炉を用いた。このようにして、Pt担持粉末を得た(粉末I)。
【0141】
得られた粉末の細孔分布を測定し、前出の式(2)により粒子内部のガス拡散に有効な細孔容積比を算出した。このとき、ガス拡散に有効な細孔容積比は、20.3%であった。
【0142】
<比較例4>
比較例4は比較例3の貴金属担持粉末を排気ガス浄化用触媒とした例である。
【0143】
粉末Iを含むスラリ(スラリI)の作成から、コーティング、乾燥、焼成して触媒(触媒I)とするまでは、実施例2と同じである。
【0144】
この触媒Iについて耐久試験を行った。耐久試験は、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒Iを装着し、触媒入口温度を900℃とし、30時間運転した。
【0145】
耐久後の触媒Iについて、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒を装着し、触媒入口温度400℃における転化率を次式に従って求めた。
【0146】
HC転化率(%)=[(触媒入口HC濃度)−(触媒出口HC濃度)]/(触媒入口HC濃度)×100
このとき、HC転化率は10%であった。
【0147】
<比較例5>
比較例5は、スラリの分散度が小さい例である。
【0148】
Pt担持粉末粒子とバインダーとの混合スラリ作成までは、実施例1と同じである。
【0149】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを混合したスラリを乾燥する直前に、スラリを分散度25%とした。これは、瞬間乾燥装置の直前に高速攪拌機を配置して攪拌羽根の回転数を目標の分散度となるように調整し、高速攪拌処理後1分以内で瞬間乾燥装置に供給されるようにして行った。ここで、分散度を算出するための測定には、動的光散乱方式の粒度分布測定装置を用い、分散度は前出の式(1)により算出した。
【0150】
高速攪拌処理したスラリの乾燥から加熱処理までは、実施例1と同じである。このようにして、Pt担持粉末を得た(粉末J)。
【0151】
粉末Jを含むスラリ(スラリJ)の作成から、コーティング、乾燥、焼成して触媒(触媒J)とするまでは、実施例2と同じである。
【0152】
この触媒Jについて耐久試験を行った。耐久試験は、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒Jを装着し、触媒入口温度を900℃とし、30時間運転した。
【0153】
耐久後の触媒Jについて、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒を装着し、触媒入口温度400℃における転化率を次式に従って求めた。
【0154】
HC転化率(%)=[(触媒入口HC濃度)−(触媒出口HC濃度)]/(触媒入口HC濃度)×100
このとき、HC転化率は30%であった。
【0155】
<比較例6>
比較例6は、スラリの分散度が小さい例である。
【0156】
Pt担持粉末粒子とバインダーとの混合スラリ作成までは、実施例1と同じである。
【0157】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを混合したスラリを、分散処理することなく、液滴1個あたり約1.8msecで瞬間乾燥した。スラリの乾燥には、瞬間乾燥装置としての噴霧乾燥装置を用い、入口温度を350度とし、出口温度を140度となるように、印加熱量及びスラリ処理速度を調整した。ここで、液滴の平均粒径は、約10[μm]とした。
【0158】
なお、スラリを乾燥する直前に測定した、スラリの分散度は19%であった。ここで、分散度を算出するための測定には、動的光散乱方式の粒度分布測定装置を用い、分散度は前出の式(1)により算出した。
【0159】
スラリを乾燥して得られた粉末を550℃にて3時間加熱処理した。加熱処理にはマッフル炉を用いた。このようにして、Pt担持粉末を得た(粉末K)。
【0160】
粉末Kを含むスラリ(スラリK)の作成から、コーティング、乾燥、焼成して触媒(触媒K)とするまでは、実施例2と同じである。
【0161】
この触媒Kについて耐久試験を行った。耐久試験は、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒Kを装着し、触媒入口温度を900℃とし、30時間運転した。
【0162】
耐久後の触媒Kについて、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒を装着し、触媒入口温度400℃における転化率を次式に従って求めた。
【0163】
HC転化率(%)=[(触媒入口HC濃度)−(触媒出口HC濃度)]/(触媒入口HC濃度)×100
このとき、HC転化率は15%であった。
【0164】
耐久後の触媒Kについて、触媒コート層から粉末を採取し、Pt(111)のXRD反射ピーク半値幅から結晶子径を算出した。このとき、結晶子径は29[nm]であった。
【0165】
<比較例7>
比較例7は、バインダーの平均粒子径が貴金属担持粉末粒子の20倍の例である。
【0166】
Pt担持粉末を平均粒径150[nm]となるように粉砕し、Pt担持粉末粒子とした。Ptを担持させる粉末の材料には、アルミナ(Al2O3)を用いた。また、Pt担持粉末の粉砕には、粉砕メディアを用いた湿式粉砕機を用いた。
【0167】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを重量比50:50で混合し、固形分濃度が10%程度のスラリとした。ここで、バインダーはアルミナを主成分とし、平均粒子径がPt担持粉末粒子の20倍のものを使用した。
【0168】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを混合したスラリを乾燥する直前に、スラリを分散度91%とした。これは、瞬間乾燥装置の直前に超音波分散機を配置して高分散出力を目標の分散度となるように調整し、高分散処理後1分以内で瞬間乾燥装置に供給されるようにして行った。ここで、分散度を算出するための測定には、動的光散乱方式の粒度分布測定装置を用い、分散度は前出の式(1)により算出した。
【0169】
高分散処理したスラリの乾燥から加熱処理までは、実施例1と同じである。このようにして、Pt担持粉末を得た(粉末L)。
【0170】
粉末Lを含むスラリ(スラリL)の作成から、コーティング、乾燥、焼成して触媒(触媒L)とするまでは、実施例2と同じである。
【0171】
この触媒Lについて耐久試験を行った。耐久試験は、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒Lを装着し、触媒入口温度を900℃とし、30時間運転した。
【0172】
耐久後の触媒Lについて、触媒コート層から粉末を採取し、Pt(111)のXRD反射ピーク半値幅から結晶子径を算出した。このとき、結晶子径は35[nm]であった。
【0173】
<比較例8>
実施例8は、貴金属担持粉末に比べてバインダーの量が少ない例である。
【0174】
Pt担持粉末を平均粒径150[nm]となるように粉砕し、Pt担持粉末粒子とした。Ptを担持させる粉末の材料には、アルミナ(Al2O3)を用いた。また、Pt担持粉末の粉砕には、粉砕メディアを用いた湿式粉砕機を用いた。
【0175】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを重量比95:5で混合し、固形分濃度が10%程度のスラリとした。ここで、バインダーはアルミナを主成分とし、平均粒子径がPt担持粉末粒子の1/2のものを使用した。
【0176】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを混合したスラリを乾燥する直前に、スラリを分散度91%とした。これは、瞬間乾燥装置の直前に超音波分散機を配置して高分散出力を目標の分散度となるように調整し、高分散処理後1分以内で瞬間乾燥装置に供給されるようにして行った。ここで、分散度を算出するための測定には、動的光散乱方式の粒度分布測定装置を用い、分散度は前出の式(1)により算出した。
【0177】
高分散処理したスラリの乾燥から加熱処理までは、実施例1と同じである。このようにして、Pt担持粉末を得た(粉末M)。
【0178】
粉末Mを含むスラリ(スラリM)の作成から、コーティング、乾燥、焼成して触媒(触媒M)とするまでは、実施例2と同じである。
【0179】
この触媒Mについて耐久試験を行った。耐久試験は、排気量3500ccのガソリンエンジンの排気系に触媒Mを装着し、触媒入口温度を900℃とし、30時間運転した。
【0180】
耐久後の触媒Mについて、触媒コート層から粉末を採取し、Pt(111)のXRD反射ピーク半値幅から結晶子径を算出した。このとき、結晶子径は42[nm]であった。
【0181】
<比較例9>
比較例9は、貴金属担持粒子の平均粒径が小さい例である。
【0182】
Pt担持粉末を平均粒径50[nm]となるように粉砕し、Pt担持粉末粒子とした。Ptを担持させる粉末の材料には、アルミナ(Al2O3)を用いた。また、Pt担持粉末の粉砕には、粉砕メディアを用いた湿式粉砕機を用いた。
【0183】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを重量比50:50で混合し、固形分濃度が10%程度のスラリとした。ここで、バインダーはアルミナを主成分とし、平均粒子径がPt担持粉末粒子の1/2のものを使用した。
【0184】
Pt担持粉末粒子とバインダーとを混合したスラリの高分散処理から加熱処理までは実施例1と同じである。
【0185】
このようにして、Pt担持粉末を得た(粉末N)。
【0186】
得られた粉末の細孔分布を測定し、前出の式(2)により粒子内部のガス拡散に有効な細孔容積比を算出した。このとき、ガス拡散に有効な細孔容積比は、20.9%であった。
【0187】
以上述べた実施例及び比較例についての特性を図7〜15に示す。
【0188】
図7は、貴金属担持粉末について液滴1個当たりの乾燥時間と、ガス拡散に有効な細孔容積比との関係を示すグラフである。図7から明らかなように、液滴1個当たりの乾燥時が短い実施例1及び実施例6は、乾燥時間が約150[sec]の比較例3と比べて、貴金属担持粉末の内部に、ガス拡散に有効な細孔をより多く形成できた。特に、液滴1個当たりの乾燥時間を0.6[sec]とした実施例6は、ガス拡散に有効な細孔容積比を22%以上とすることができた。また、液滴1個当たりの乾燥時間を1.8msecした実施例1は、ガス拡散に有効な細孔容積比が23.8%と格段に向上していた。
【0189】
図8は、貴金属担持粉末におけるガス拡散に有効な細孔容積比と排気ガス浄化用触媒における耐久後のHC転化率との関係を示すグラフである。図8から明らかなように、貴金属担持粉末についてガス拡散に有効な細孔容積比の大きい方が、浄化性能が高い。本発明で目標とする耐久後のHC転化率、40%を得るために必要な、ガス拡散に有効な細孔容積比は、22%以上である。したがって、図7に示した乾燥時間と細孔容積比との関係と合わせて考慮すると、スラリーを0.6[sec]以内で急速乾燥させることが、本発明で目標の耐久後のHC転化率を得るために必要であることが分かる。
【0190】
また、図8における実施例2と実施例3との比較から、貴金属担持粉末にCe含有酸化物粉末粒子を含ませることによって、浄化性能を更に向上させることができた。
【0191】
図9は、スラリの分散度と耐久後の排気ガス浄化用触媒のPt結晶子径との関係を示すグラフである。図9から明らかなように、貴金属担持粉末粒子の分散度が高い方が、耐久後のPt結晶子径が小さい。これは、急速乾燥直前の高分散処理によって、貴金属担持粉末粒子同士を隔離した状態で固定化しているため、耐久後に貴金属の移行及び凝集・粒子成長が少ないことを示している。そして、実施例5と比較例6との対比により、分散度を33%以上とすることにより、比較例6よりも耐久後のPt結晶子径を格段に小さくすることができた。
【0192】
図10はスラリの分散度と耐久後の排気ガス浄化用触媒のHC転化率との関係を示すグラフである。図10から明らかなように、本発明で目標とする耐久後のHC転化率、40%を得るために必要な、貴金属担持粉末粒子の分散度は33%以上であった。そして、実施例5、4及び実施例2は、40%以上という、耐久後の排気ガス浄化用触媒のHC転化率が優れていた。
【0193】
図11は、耐久後の排気ガス浄化用触媒のPt結晶子径と、耐久後の排気ガス浄化用触媒のHC転化率との関係を示すグラフである。図11から明らかなように、本発明で目標とするHC転化率、40%を得るために必要な、耐久後のPt結晶子径は、15[nm]以下であることが分かる。
【0194】
図12は、貴金属担持粉末粒子と混合されるバインダーの粒子径と、排気ガス浄化用触媒の耐久後のPt結晶子径との関係を示すグラフである。
【0195】
上述のように本発明で目標とするHC転化率、40%を得るために必要な、耐久後のPt結晶子径は、15[nm]以下であるところ、図12から、このような耐久後のPt結晶子径が15[nm]以下とするためのバインダー粒子径は、1500[nm]以下であることが分かる。つまり、バインダー粒子径は、貴金属担持粉末粒子の10倍以下とするのが望ましいことが分かる。
【0196】
図13は、スラリのバインダー量と耐久後のPt結晶子径との関係を示すグラフである。上述のように本発明で目標とするHC転化率、40%を得るために必要な、耐久後のPt結晶子径は、15[nm]以下であるところ、図13から、耐久後のPt結晶子径が15[nm]以下とするためのバインダー量は10%以上である。つまり、貴金属担持粉末粒子とバインダーとの混合比が90:10以下とするのが望ましいことが分かる。
【0197】
図14は、実施例1と実施例10と比較例9との対比により得られたPt担持粉末粒子の粒子径と、ガス拡散に有効な細孔容積比との関係を示すグラフである。図14から分かるように、目標の耐久後のHC転化率、40%を得るために必要な、ガス拡散に有効な細孔容積比が22%以上となる、貴金属担持粉末粒子径は、90[nm]以上である。
【0198】
図15は、実施例1と比較例1との対比により得られたPt担持粉末粒子の粒子径と、ガス拡散に有効な細孔容積比との関係を示すグラフである。図15から分かるように、目標の耐久後のHC転化率、40%を得るために必要な、ガス拡散に有効な細孔容積比が22%以上となる、貴金属担持粉末粒子径は、550[nm]以上である。
【0199】
また、前述した図8及び図10より、ガス拡散に有効な細孔容積を十分に有し、かつ、貴金属担持粉末粒子同士を隔離した状態で固定化することにより、粉末内部の貴金属をも排気ガスの浄化に有効に利用できるため、目標の耐久後のHC転化率を有する触媒が得られた。
【0200】
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、上記実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付加しておく。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】本発明の貴金属担持粉末の製造方法の一例を説明するフロー図である
【図2】本発明の一実施形態の貴金属担持粉末の模式図である。
【図3】分散させたスラリにおける分散後の経過時間と貴金属担持粉末粒子の分散度との関係を示すグラフである。
【図4】本実施形態に係る貴金属担持粉末の製造方法に用いる製造装置の一例の模式図である。
【図5】従来の貴金属担持粉末の模式図である。
【図6】クヌーセン拡散における細孔径とガス流通量との関係を示すグラフである。
【図7】貴金属担持粉末について液滴1個当たりの乾燥時間と、ガス拡散に有効な細孔容積比との関係を示すグラフであるである。
【図8】貴金属担持粉末におけるガス拡散に有効な細孔容積比と排気ガス浄化用触媒における耐久後のHC転化率との関係を示すグラフである。
【図9】スラリの分散度と耐久後の排気ガス浄化用触媒のPt結晶子径との関係を示すグラフである。
【図10】スラリの分散度と耐久後の排気ガス浄化用触媒のHC転化率との関係を示すグラフである。
【図11】耐久後の排気ガス浄化用触媒のPt結晶子径と、耐久後の排気ガス浄化用触媒のHC転化率との関係を示すグラフである。
【図12】貴金属担持粉末粒子と混合されるバインダーの粒子径と、排気ガス浄化用触媒の耐久後のPt結晶子径との関係を示すグラフである。
【図13】スラリのバインダー量と耐久後のPt結晶子径との関係を示すグラフである。
【図14】実施例1と実施例10と比較例9との対比により得られたPt担持粉末粒子の粒子径と、ガス拡散に有効な細孔容積比との関係を示すグラフである。
【図15】実施例1と比較例1との対比により得られたPt担持粉末粒子の粒子径と、ガス拡散に有効な細孔容積比との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0202】
1 貴金属担持粉体
3 貴金属担持粉体粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貴金属担持粉末粒子とバインダーとを液中で混合してスラリを形成し、
このスラリに振動を付加して貴金属担持粉末粒子を分散させた後、この貴金属担持粉末粒子が分散した状態のままスラリを噴霧乾燥させることを特徴とする貴金属担持粉末の製造方法。
【請求項2】
振動を付加してスラリ中の貴金属担持粉末粒子の分散度を33%以上にすることを特徴とする請求項1に記載の貴金属担持粉末の製造方法。
【請求項3】
前記噴霧乾燥を、直径1[mm]以下の液滴を1個あたり0.6秒以内で水分を蒸発させる条件で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の貴金属担持粉末の製造方法。
【請求項4】
前記バインダーは、無機酸化物を主成分とし平均粒子径が貴金属担持粉末粒子の1/10から10倍の範囲内であるものを用い、貴金属担持粉末粒子とバインダーとの混合比が10:90から90:10の範囲内とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の貴金属担持粉末の製造方法。
【請求項5】
振動を付加する前のスラリに、Ce含有酸化物粉末粒子を加えて混合することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の貴金属担持粉末の製造方法。
【請求項6】
複数の貴金属粉末粒子とバインダーとを備え、当該複数の貴金属担持粉末粒子の平均粒径が1[μm]以下であることを特徴とする貴金属担持粉末。
【請求項7】
前記複数の貴金属担持粉末粒子の平均粒径が90[nm]以上550[nm]以下であることを特徴とする請求項6に記載の貴金属担持粉末。
【請求項8】
前記バインダーは、無機酸化物を主成分とし平均粒子径が貴金属担持粉末粒子の1/10から10倍の範囲内であるものであり、貴金属担持粉末粒子とバインダーとの混合比が10:90から90:10の範囲内であることを特徴とする請求項6又は7に記載の貴金属担持粉末。
【請求項9】
Ce含有酸化物粉末粒子を更に備えることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の貴金属担持粉末。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法で製造された貴金属担持粉末を含むスラリを耐火性無機担体に塗布して少なくとも1層の触媒層が形成されていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
【請求項11】
耐火性無機担体に少なくとも1層の触媒層を備え、この触媒層に請求項6〜9のいずれか1項に記載の貴金属担持粉末を含むことを特徴とする排気ガス浄化用触媒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−131839(P2009−131839A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283480(P2008−283480)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】