説明

貸借仲介システム及び貸借仲介方法

【課題】安全性の高い貸借仲介システム及び貸借仲介方法を提供すること。
【解決手段】借り手側SIP端末から第1のネットワーク100を介して借り手情報が送信されると、借り手情報管理部531は借り手情報を借り手情報記憶部54に記憶させる。貸し手側SIP端末から第1のネットワーク100を介して貸し手情報が送信されると、貸し手情報管理部532は貸し手情報を貸し手情報記憶部55に記憶させる。借り手情報及び貸し手情報に含まれる加入者識別情報は匿名情報に変換され、情報公開処理部533は、変換された借り手情報及び貸し手情報をウェブサーバ60へ送信して第2のネットワーク200上に公開させる。マッチング制御部535は、貸し手情報に含まれる貸し付け条件と借り手情報に含まれる借り入れ条件を照合し、結果通知部537は、その照合結果を表す情報を借り手側及び貸し手側の各SIP端末へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信網を介して貸借を成約させる貸借仲介システム及び貸借仲介方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際電気通信連合(ITU)等では、IPネットワークを経てサービスが提供されるネットワークアーキテクチャを次世代ネットワーク(NGN)として想定している。また、第三世代の移動ネットワークの標準化団体である3GPPは、IPマルチメディアサブシステム(IMS)の採用を決めており、IMSを用いたネットワークサービスの提供が検討されている。IMSについては例えば非特許文献1に詳しい記述がある。IMSはIPネットワーク上で電話の発着信を制御するためのプロトコルであるSIP(session initiation protocol)をベースとしており、SIPをベースとすることで、端末間のセッション制御や、帯域制御のための情報、認証情報、課金情報等のやりとりを行うことができる。SIPベースのIMSでは、例えば電話番号のような端末固有のIDを利用して通信を行うことができ、基本的に偽装したユーザとして通信することはできない。また、プレゼンス機能によって、ユーザの現在のステータスを知ることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Miikka Poikselka, ”The IMS IP Multimedia Concepts and Services in the Mobile Domain” John Wiley & Sons, Ltd, 2004年発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、インターネットのようなIPネットワークでは、ユーザに割り当てられるのはIPアドレスである。このため、例えばインターネットを介して個人間の金銭の貸し借りを成約させるサービスでは、IPアドレスレベルでしかユーザを特定できず、個人認証が難しいという課題があった。
【0005】
これに対して、事業者によって管理されているSIPベースのIMSにおいて貸し借りを成約させるサービスが行われれば、ユーザの端末まで特定することができ、安全性の向上が期待される。
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたもので、事業者によって管理されている通信網を介した安全性の高い貸借仲介システム及び貸借仲介方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る貸借仲介システムは以下のような態様の構成とする。
(1)通信プロトコルとしてSIP(Session Initiation Protocol)を使用するネットワークであってかつ当該ネットワークに収容される複数のSIP端末に対し固有に割り当てられた加入者識別情報及び加入者個人情報を管理する加入者情報データベースが接続される第1のネットワークと、通信プロトコルとしてIP(Internet Protocol)を使用しかつ情報公開サーバが接続される第2のネットワークにそれぞれ接続可能な貸借仲介システムであって、前記加入者情報データベースで管理される各SIP端末の加入者識別情報に対応付けてその加入者の匿名情報を記憶する匿名情報記憶手段と、借り手側のSIP端末から前記第1のネットワークを介して送られる、借り手を特定する加入者識別情報及び借り入れ条件を含む借り手情報を受信し記憶する手段と、貸し手側のSIP端末から前記第1のネットワークを介して送られる、貸し手を特定する加入者識別情報及び貸し付け条件を含む貸し手情報を受信し記憶する手段と、前記記憶された借り手情報及び貸し手情報に含まれる加入者識別情報を前記匿名情報記憶手段をもとに匿名情報に変換し、この変換された借り手情報及び貸し手情報を前記情報公開サーバへ送信して公開させる手段と、前記記憶された貸し手情報に含まれる貸し付け条件と前記借り手情報に含まれる借り入れ条件とを照合し、その照合結果を表す情報を当該借り手情報及び貸し手情報に含まれる加入者識別情報に基づいて借り手側及び貸し手側の各SIP端末へ送信する手段を具備する態様とする。
この態様によれば、個人情報を公開することなく、貸し手に適した借り手を照合することができる。
【0007】
(2)(1)の構成において、前記照合結果を、前記匿名情報記憶手段に記憶された匿名情報を付与して前記情報公開サーバへ送信して公開させる手段をさらに具備する態様とする。
この態様によれば、個人情報以外の貸し手と借り手の照合結果も、公開することができる。
【0008】
(3)(1)又は(2)の構成において、前記借り手情報及び貸し手情報の公開後に、前記借り手側のSIP端末との間及び貸し手側のSIP端末との間にそれぞれセッションを確立し、この確立された各セッション間を接続して前記匿名情報を用いた直接通信を可能にするメディアブリッジ手段をさらに具備する態様とする。
この態様によれば、借り手と貸し手で直接通信して、互いの信用を確認することができる。
【0009】
(4)(3)の構成において、前記メディアブリッジ手段は、前記借り手側のSIP端末及び貸し手側のSIP端末との間でそれぞれ、前記直接通信を行うための時刻を予約設定する手段と、前記予約設定された時刻に従い、前記借り手側のSIP端末との間及び貸し手側のSIP端末との間にそれぞれセッションを確立し、この確立された各セッション間を接続して前記匿名情報を用いた直接通信を可能にする手段とを備える態様とする。
この態様によれば、借り手と貸し手の間の直接通信を予め予約しておくことができる。
【0010】
また、本発明に係る貸借仲介方法は以下のような構成とする。
(5)通信プロトコルとしてSIP(Session Initiation Protocol)を使用するネットワークであってかつ当該ネットワークに収容される複数のSIP端末に対し固有に割り当てられた加入者識別情報及び加入者個人情報を管理する加入者情報データベースが接続される第1のネットワークと、通信プロトコルとしてIP(Internet Protocol)を使用しかつ情報公開サーバが接続される第2のネットワークにそれぞれ接続可能な貸借仲介システムを用いて実行される貸借仲介方法であって、前記加入者情報データベースで管理される各SIP端末の加入者識別情報に対応付けてその加入者の匿名情報を登録する過程と、借り手側のSIP端末から前記第1のネットワークを介して送られる、借り手を特定する加入者識別情報及び借り入れ条件を含む借り手情報を受信し記憶する過程と、貸し手側のSIP端末から前記第1のネットワークを介して送られる、貸し手を特定する加入者識別情報及び貸し付け条件を含む貸し手情報を受信し記憶する過程と、前記記憶された借り手情報及び貸し手情報に含まれる加入者識別情報をそれぞれ、前記登録された匿名情報に変換する過程と、前記変換された借り手情報及び貸し手情報を前記情報公開サーバへ送信して公開させる過程と、前記記憶された貸し手情報に含まれる貸し付け条件と前記借り手情報に含まれる借り入れ条件とを照合する過程と、前記照合結果を表す情報を、当該借り手情報及び貸し手情報に含まれる加入者識別情報に基づいて借り手側及び貸し手側の各SIP端末へ送信する過程とを具備する態様とする。
この態様によれば、個人情報を公開することなく、貸し手に適した借り手を照合することができる。
【0011】
(6)(5)の構成において、前記照合結果を表す情報を、前記登録された匿名情報を付与して前記情報公開サーバへ送信して公開させる過程をさらに具備する態様とする。
この態様によれば、個人情報以外の貸し手と借り手の照合結果も、公開することができる。
【0012】
(7)(5)又は(6)の構成において、前記借り手情報及び貸し手情報の公開後に、前記借り手側のSIP端末との間及び貸し手側のSIP端末との間にそれぞれセッションを確立し、この確立された各セッション間をメディアブリッジ手段により接続して前記匿名情報を用いた直接通信を可能にする過程をさらに具備する態様とする。
この態様によれば、借り手と貸し手で直接通信して、互いの信用を確認することができる。
【0013】
(8)(7)の構成において前記直接通信を可能にする過程は、前記借り手側のSIP端末及び貸し手側のSIP端末との間でそれぞれ、前記直接通信を行う時刻を予約設定する過程と、前記予約設定された時刻に従い、前記借り手側のSIP端末との間及び貸し手側のSIP端末との間にそれぞれセッションを確立し、この確立された各セッション間を接続して前記匿名情報を用いた直接通信を可能にする過程とを備える態様とする。
この態様によれば、借り手と貸し手の間の直接通信を予め予約しておくことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、貸借仲介システムは、通信プロトコルとしてSIP(Session Initiation Protocol)を使用するネットワークであってかつ当該ネットワークに収容される複数のSIP端末に対し固有に割り当てられた加入者識別情報及び加入者個人情報を管理する加入者情報データベースが接続される第1のネットワークと、通信プロトコルとしてIP(Internet Protocol)を使用しかつ情報公開サーバが接続される第2のネットワークにそれぞれ接続可能である。貸借仲介システムは、加入者情報データベースで管理される各SIP端末の加入者識別情報に対応付けてその加入者の匿名情報を記憶する匿名情報記憶手段と、借り手側のSIP端末から前記第1のネットワークを介して送られる、借り手を特定する加入者識別情報及び借り入れ条件を含む借り手情報を受信し記憶する手段と、貸し手側のSIP端末から前記第1のネットワークを介して送られる、貸し手を特定する加入者識別情報及び貸し付け条件を含む貸し手情報を受信し記憶する手段を有し、借り手情報及び貸し手情報に含まれる加入者識別情報を匿名情報に変換し、この変換された借り手情報及び貸し手情報を前記情報公開サーバへ送信して公開させる。また、貸し手情報に含まれる貸し付け条件と借り手情報に含まれる借り入れ条件とを照合し、その照合結果を表す情報を当該借り手情報及び貸し手情報に含まれる加入者識別情報に基づいて借り手側及び貸し手側の各SIP端末へ送信する。このため、借り手及び貸し手の個人情報を公開しない安全性の高い貸借仲介システムが構築される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る貸借仲介システムの概略を示す図。
【図2】SIPアプリケーションサーバの構成の詳細を示すブロック図。
【図3】借り手情報の登録処理及び借り手情報の公開処理の手順を示す図。
【図4】貸し手情報の登録処理及び貸し手情報の公開処理の手順を示す図。
【図5】マッチング処理、通信予約処理、直接通信処理、及び通信結果登録処理の手順を示す図。
【図6】結果通知処理、及び結果の公開処理の手順を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る貸借仲介システムの概略を示す図である。このシステムは、貸し手と借り手の個人間(ピアツーピア:P2P)での金銭貸借の成約を仲介する。以下では、第1のユーザU1が金銭の借り手であり、第2のユーザU2が金銭の貸し手である例について説明する。図1では、第1のユーザU1一人が金銭の借り手として、また第2のユーザU2一人が貸し手として図示されているが、借り手及び貸し手は複数いてもよい。
【0017】
この貸借仲介システムは、第1のネットワーク(IMS網)100及び第2のネットワーク(インターネット)200の2つのネットワークを利用する。第1のネットワーク100は、SIP(session initiation protocol)に基づくIMSネットワークである。SIPは、アプリケーション層で2つ以上の相手に対し、音声や映像、テキストメッセージの交換などを行うために必要なセッションの生成・変更・切断を行うプロトコルであり、第1のネットワーク100では、このSIPに基づいて通信が行われる。第1のネットワーク100に接続する各端末には、それぞれの端末を識別するための固有の識別情報(電話番号又はSIP−URL)が割当てられる。第2のネットワーク200は従来のインターネット等である。
【0018】
PC11は、金銭の借り手である第1のユーザU1が操作する通常のパーソナルコンピュータである。PC11は、デスクトップコンピュータであってもモバイルコンピュータであってもよい。PC11は、LCD等のディスプレイ装置を備え、Web閲覧機能を有する。
【0019】
SIP端末12は、携帯型又は固定型のIP電話機等の端末装置であり、第1のユーザU1によって操作される。SIP端末12はSIPに基づく通信を行い、VoIP技術によってIPネットワークを介した音声通話を行うことができる。またSIP端末12は、ネットワークを介して、データや映像による通信を行うこともできる。SIP端末12には、固有の識別ID(図1では、電話番号03−1111−2222)が割当てられている。SIP端末12は、IP電話機に限らず、IP電話アダプタを介してIPネットワークに接続する電話機や、IP電話用のソフトウェアをインストールされたPCであってもよい。同一の端末装置内で、PC11とSIP端末12の機能が実現されてもよい。
【0020】
PC21は、金銭の貸し手である第2のユーザU2が操作する通常のパーソナルコンピュータである。PC21は、デスクトップコンピュータであってもモバイルコンピュータであってもよい。PC21は、LCD等のディスプレイ装置を備え、Web閲覧機能を有する。
【0021】
SIP端末22は、携帯型又は固定型のIP電話機等の端末装置であり、第2のユーザU2によって操作される。SIP端末22はSIPに基づく通信を行い、VoIP技術によってIPネットワークを介した音声通話を行うことができる。またSIP端末22は、ネットワークを介して、データや映像による通信を行うこともできる。SIP端末22には、固有の識別ID(図1では、電話番号03−2222−3333)が割当てられている。SIP端末22は、IP電話機に限らず、IP電話アダプタを介してIPネットワークに接続する電話機や、IP電話用のソフトウェアをインストールされたPCであってもよい。同一の端末装置内で、PC21とSIP端末22の機能が実現されてもよい。
【0022】
加入者データベース30は、第1のネットワークに接続されたHSS(home subscriber server)である。加入者データベース30は、第1のネットワークへの接続が許された端末の情報を格納している。加入者データベース30には、例えば端末固有の識別情報(電話番号又はSIP−URL)、所有者の氏名、住所等の加入者情報が記憶されている。
【0023】
匿名データベース40は、第1のネットワーク100に接続する端末の加入者識別情報(電話番号又はSIP−URL)に関連付けて、当該端末固有の匿名情報(特定の匿名をあらわす文字列)を格納している。加入者データベース30に記憶された所有者の本名をそのまま表示しては安全性が確保できない恐れがある場合には、匿名データベース40から対応する匿名情報が読み出されて表示される。この匿名情報は、端末の所有者が自ら設定してもよいが、匿名データベース40の設置者、あるいは第1のネットワーク100の設置者が設定してもよい。
【0024】
SIPアプリケーションサーバ(SIP−AS)50は、第1のネットワーク100に接続されている。SIPアプリケーションサーバ50は、第1のネットワーク100を介して、第1のユーザU1及び第2のユーザU2の間で貸借の成約を仲介する。
ウェブサーバ60は、SIPアプリケーションサーバ50及び第2のネットワーク200に接続されている。ウェブサーバ60は、ネットワーク200を介してWebブラウザ等のクライアントからの要求を受け付け、要求されたファイル又はスクリプトをHTTPによってクライアントに供給する。
図1では、加入者データベース30及び匿名データベース40がSIPアプリケーションサーバ50の外部に設けられているが、これらのデータベースはSIPアプリケーションサーバ50に内蔵されていてもよい。また、ウェブサーバ60の機能がSIPアプリケーションサーバ50に備えられてもよい。
【0025】
図2は、SIPアプリケーションサーバ50の構成の詳細を示すブロック図である。
SIPアプリケーションサーバ50は、SIP受信部51、SIP送信部52、制御部53、借り手情報記憶部54、貸し手情報記憶部55、SOAP/HTTP送信部56、及びSOAP/HTTP受信部57を備えている。
【0026】
SIP受信部51及びSIP送信部52は、SIPに基づいて第1のネットワーク100と通信するためのインタフェースである。SIP受信部51は、第1のネットワーク100を介して送られてきたデータを受信する。また、SIP送信部52は、第1のネットワーク100へデータを送信する。
【0027】
制御部53は、図示しないCPUを有し、SIPアプリケーションサーバ50の各ブロックの動作を制御する。制御部53は、制御プログラム等が書きこまれたROM、プログラム実行に必要なワークエリアを提供するためのRAM等を備えている。制御部53は、この発明に係わる制御機能として、借り手情報管理部531、貸し手情報管理部532、情報公開処理部533、マッチング制御部534、通信予約処理部535、直接通信制御部536、及び結果通知部537を備えている。これらの機能は、いずれも上記制御プログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
【0028】
借り手情報管理部531は、SIP受信部51を介して受信した金銭の借り手(図1に示す第1のユーザU1)の情報を、借り手情報記憶部54に記憶させる。また、借り手情報に変更が生じた場合は、借り手情報記憶部54の記憶内容を更新する。
貸し手情報管理部532は、SIP受信部51を介して受信した金銭の貸し手(図1に示す第2のユーザU2)の情報を、貸し手情報記憶部55に記憶させる。また、貸し手情報に変更が生じた場合は、貸し手情報記憶部55の記憶内容を更新する。
【0029】
情報公開処理部533は、借り手情報、貸し手情報、及びマッチング制御部534によるマッチング処理結果等各種の情報を、SOAP/HTTP送信部56を介してウェブサーバ60に送信する。ウェブサーバ60に送信された情報は、第2のネットワーク上で公開される。
【0030】
マッチング制御部534は、借り手情報記憶部54に記憶された借り手情報と貸し手情報記憶部55に記憶された貸し手情報とを比較して、最適な借り手と貸し手の組み合わせを選択するマッチング(照合)処理を行う。
通信予約処理部535は、SIPのプレゼンス機能を利用して、貸し手と借り手の間の直接通信の予約を行う。また直接通信制御部536は、メディアブリッジ機能により、貸し手と借り手の間のSIPレベルの直接通信を制御する。
【0031】
結果通知部537は、マッチング制御部534によって選択された借り手と貸し手に、マッチングの結果を通知する。
貸し手情報記憶部54は、ハードディスクドライブ等の記憶装置の所定の領域に備えられ、金銭の借り手(図1に示す第1のユーザU1)の情報を記憶する。貸し手情報記憶部54は、SIPアプリケーションサーバ50の外部に独立のデータベースとして設けられてもよい。借り手情報記憶部55も同様に記憶装置の所定の領域に備えられ、金銭の貸し手(図1に示す第2のユーザU2)の情報を記憶する。借り手情報記憶部55は、SIPアプリケーションサーバ50の外部に独立のデータベースとして設けられてもよい。
【0032】
SOAP/HTTP送信部56及びSOAP/HTTP受信57は、SOAP又はHTTPに基づいてウェブサーバ60と通信するためのインタフェースである。SOAP/HTTP送信部56は、ウェブサーバ60へのデータ送信に用いられる。SOAP/HTTP受信部57は、ウェブサーバ60から送られてきたデータを受信する。ここでは、SIPアプリケーションサーバ50とウェブサーバ60との間の通信プロトコルの例としてSOAP又はHTTPを用いるとしたが、SIPアプリケーションサーバ50とウェブサーバ60との間の通信プロトコルはSOAP又はHTTPに限定されず、他の通信プロトコルが用いられてもよい。
【0033】
次に、上述の構成による貸借仲介システムの動作について説明する。図3〜図6は、この貸借仲介システムによって行われる貸借仲介処理を示すシーケンス図である。
まず図3を参照して、金銭の借り入れを希望する第1のユーザU1についての借り手情報の登録、及び登録された借り手情報の公開について説明する。図3は、借り手情報の登録処理P1、及び借り手情報の公開処理P2の手順を示す図である。
【0034】
借り手情報の登録処理P1では、まず、第1のユーザU1によるSIP端末12の操作に応じて、SIP端末12とSIPアプリケーションサーバ50との間にSIPレベルのセッションが確立される(ステップS11)。セッションが確立されると、SIP端末12とSIPアプリケーションサーバ50との間でデータ、音声、及び映像の通信が可能となる。
【0035】
そして、SIP端末12からSIPアプリケーションサーバ50へ借り手情報が送信され、SIPアプリケーションサーバ50では、借り手情報の登録が行われる(ステップS12)。ここで、借り手情報には、SIP端末12固有の電話番号、第1のユーザU1がSIP端末12を操作して入力した借入金額、いつまでに貸借を成約したいかの成約期限等の借入条件情報が含まれる。借り手情報は、借りた金銭の使用目的や返済予定等の情報を含んでもよい。SIPアプリケーションサーバ50では、送られてきた借り手情報をSIP受信部51が受信し、借り手情報管理部531に送る。借り手情報管理部531は、送られてきた借り手情報を借り手情報記憶部54に記憶する。借り手情報記憶部54が第1のユーザU1の借り手情報をすでに記憶している場合には、送信されてきた借り手情報によって記憶された情報を上書きして、借り手情報を修正することができる。SIP端末12からは、借り手情報記憶部54に記憶されている借り手情報を削除する指示を送信することもでき、この場合には、借り手情報管理部531は借り手情報記憶部54から情報を削除する。
【0036】
借り手情報管理部531は、第1のネットワーク100を介して匿名データベース40にアクセスし、SIP端末12の電話番号に対応する匿名(図1の例では“XXX”)を取得する(ステップS13)。
借り手情報管理部531は、借り手情報の登録が終了したことを、SIP送信部52を介してSIP端末12に通知する(ステップS14)。この際に、借り手情報記憶部54に記憶された借り手情報及び匿名データベース40から読み出した匿名を、確認のためにSIP端末12に送信してもよい。SIP端末12のユーザU1は、送信されてきた情報に基づいて、借り手情報が正しく登録されたかを確認することができる。
【0037】
第1のユーザU1がSIP端末12を操作して、登録された借り手情報に従った金額の借入申し込みを確定すると、SIP端末12からSIPアプリケーションサーバ50に申し込み確定指示が送信される(ステップS15)。SIPアプリケーションサーバ50では、SIP受信部51が確定指示を受信し、借り手情報管理部531に送る。借り手情報管理部531は、借り手情報記憶部54に記憶された借り手情報にフラグをセットする等して、借り手情報を有効化して確定する。
【0038】
有効化された借り手情報のうち公開可能な項目は、借り手情報の公開処理P2によって公開される。
SIPアプリケーションサーバ50の情報公開処理部533は、有効化された借り手情報のうち公開可能な項目を、SOAP/HTTP送信部56を介してウェブサーバ60に送信する(ステップS21)。公開可能な項目としては、SIP端末12に対応する匿名、借入金額、成約期限、使用目的、返済予定等がある。安全性を確保するため、SIP端末12の所有者名、電話番号、住所等の個人情報は公開されなくてもよい。ウェブサーバ60に送信された情報は、第2のネットワーク上に公開される。
【0039】
第1のユーザU1は、PC11によって第2のネットワークに接続し、公開された借り手情報を閲覧することができる(ステップS22)。同様に、第2のユーザU2は、PC21によって第2のネットワークに接続し、公開された借り手情報を閲覧することができる(ステップS23)。公開された借り手情報は、PC11及びPC21に限らず、第2のネットワークに接続された装置のブラウザから閲覧することもできる。
以上のようにして、借り手情報の登録処理P1及び借り手情報の公開処理P2が行われる。
【0040】
貸し手である第2のユーザU2は、第2のネットワーク上に公開された第1のユーザU1の借り手情報を閲覧し、貸付を申し出るか否かを判断する。第2のユーザU2が貸付を申し出る場合、第2のユーザU2についての貸し手情報の登録、及び登録された貸し手情報の公開が行われる。図4は、貸し手情報の登録処理P3、及び貸し手情報の公開処理P4の手順を示す図である。
借り手情報の登録処理P3では、第2のユーザU2によるSIP端末22の操作に応じて、SIP端末22とSIPアプリケーションサーバ50との間にSIPレベルのセッションが確立される(ステップS31)。セッションが確立されると、SIP端末22とSIPアプリケーションサーバ50との間でデータ、音声、及び映像の通信が可能となる。
【0041】
そして、SIP端末22からSIPアプリケーションサーバ50へ貸し手情報が送信され、SIPアプリケーションサーバ50では、貸し手情報の登録が行われる(ステップS32)。ここで、貸し手情報には、SIP端末22固有の電話番号、第2のユーザU2がSIP端末22を操作して入力した貸付金額と金利等の貸付条件情報が含まれる。貸し手情報は、貸し手U2が課す返済期限等の情報を含んでもよい。SIPアプリケーションサーバ50では、送られてきた貸し手情報をSIP受信部51が受信し、貸し手情報管理部532に送る。貸し手情報管理部532は、送られてきた貸し手情報を貸し手情報記憶部55に記憶する。貸し手情報記憶部55が第2のユーザU2の貸し手情報をすでに記憶している場合には、送信されてきた貸し手情報によって記憶された情報を上書きして、貸し手情報を修正することができる。SIP端末22からは、貸し手情報記憶部55に記憶されている貸し手情報を削除する指示を送信することもでき、この場合、貸し手情報管理部532は貸し手情報記憶部55から当該貸し手情報を削除する。
【0042】
貸し手情報管理部532は、第1のネットワーク100を介して匿名データベース40にアクセスし、SIP端末22の電話番号に対応する匿名(図1の例では“YYY”)を取得する(ステップS33)。
貸し手情報管理部532は、貸し手情報の登録が終了したことを、SIP送信部52を介してSIP端末22に通知する(ステップS34)。この際に、貸し手情報記憶部55に記憶された貸し手情報及び匿名データベース40から読み出した匿名を、確認のためにSIP端末22に送信してもよい。SIP端末22のユーザU2は、送信されてきた情報に基づいて、貸し手情報が正しく登録されたかを確認することができる。
【0043】
第2のユーザU2がSIP端末22を操作して、登録された貸し手情報に従った金額の貸付申し込みを確定すると、SIP端末22からSIPアプリケーションサーバ50に申し込み確定指示が送信される(ステップS35)。SIPアプリケーションサーバ50では、SIP受信部51が確定指示を受信し、貸し手情報管理部532に送る。貸し手情報管理部532は、貸し手情報記憶部55に記憶された貸し手情報にフラグをセットする等して、貸し手情報を有効化して確定する。
【0044】
有効化された貸し手情報のうち公開可能な項目は、貸し手情報の公開処理P4によって公開される。
SIPアプリケーションサーバ50の情報公開処理部533は、有効化された貸し手情報のうち公開可能な項目を、SOAP/HTTP送信部56を介してウェブサーバ60に送信される(ステップS41)。公開可能な項目としては、SIP端末22に対応する匿名、貸付金額、金利、返済期限等がある。借り手情報と同様に、SIP端末22の所有者名、電話番号、住所等の個人情報は公開されなくてもよい。ウェブサーバ60に送信された情報は、第2のネットワーク上に公開される。
【0045】
第1のユーザU1は、PC11によって第2のネットワークに接続し、公開された貸し手情報を閲覧することができる(ステップS42)。同様に、第2のユーザU2は、PC21によって第2のネットワークに接続し、公開された借り手情報を閲覧することができる(ステップS43)。公開された貸し手情報は、PC11及びPC21に限らず、第2のネットワークに接続された装置のブラウザから閲覧することもできる。
以上のようにして、貸し手情報の登録処理P3及び貸し手情報の公開処理P4が行われる。
【0046】
借り手情報及び借り手情報の登録が行われると、SIPアプリケーションサーバ50では、借り手と貸し手のマッチング(照合)が行われ、借り手に応じた貸し手が選択される。また、本実施形態では、貸し手の選択に際して借り手と貸し手が直接通信を行い、信用を確認することができる。以下では、図5を参照して、借り手と貸し手の選択、借り手と貸し手との間の通信について説明する。図5は、マッチング(照合)処理P5、通信予約処理P6、直接通信処理P7、及び通信結果登録処理P8の手順を示す図である。
【0047】
マッチング制御部534は、借り手情報記憶部54において有効化されている借り手情報と貸し手情報記憶部55において有効化されている貸し手情報とを比較して、最適な借り手と貸し手の組み合わせを選択する(マッチング処理P5)。この際、一人の借り手に対して複数の貸し手が選択されてもよい。逆に、一人の貸し手が複数の借り手にそれぞれ金銭を貸し付けるような選択がされてもよい。
【0048】
本実施形態では、一例として、マッチング制御部534はリバースオークション機能を用いて借り手に応じた貸し手を選択するものとする。リバースオークションでは、買い手が欲しい商品の条件や希望金額を提示し、売り手の間で価格入札を行わせ、最も安い価格を入札した売り手が選択される。すなわち、マッチング制御部534は、借り手(第1のユーザU1)に対して最も有利な条件(金利や返済期限)を提示した1又は複数の貸し手を選択する。複数の貸し手が選択される場合には、有利な条件を提示した順に複数の貸し手が選択される。
【0049】
次に、お互いの信用を確認するために借り手と貸し手との間で行われる直接通信を予約するための通信予約処理P6について説明する。ここでは、第1のユーザU1(借り手)のSIP端末12と第2のユーザU2(貸し手)のSIP端末22との間での通信を予約する例について説明する。IMS網においては、SIPに基づくプレゼンス機能によってSIP端末のプレゼンス情報を知ることができる。通信予約処理P6では、このプレゼンス機能を利用して、直接通信する前に貸し手と借り手の間の通信の予約が行われる。
【0050】
まず、第1のユーザU1によるSIP端末12の操作に応じて、SIP端末12とSIPアプリケーションサーバ50との間にSIPレベルのセッションが確立される(ステップS51)。セッションが確立されると、SIP端末12とSIPアプリケーションサーバ50との間でデータ、音声、及び映像の通信が可能となり、SIP端末12からSIPアプリケーションサーバ50へ、通信要求情報が送信される(ステップS52)。通信要求情報には、SIP端末12固有の電話番号、通信したい相手(ここでは第2のユーザU2のSIP端末22)、利用可能な通信手段(データ通信、音声電話又は映像によるテレビ電話)、通信可能な時刻等のプレゼンス情報が含まれる。SIPアプリケーションサーバ50では、送られてきた通信要求情報をSIP受信部51が受信し、通信予約処理部532に送る。
【0051】
次に、SIP端末22とSIPアプリケーションサーバ50との間にSIPレベルのセッションが確立される(ステップS53)。そして、通信予約処理部532がSIP送信部52からSIP端末22へ通信要求情報を送信し、第2のユーザU2がSIP端末22を操作して通信要求を受諾すると、通信予約が成立する(ステップS54)。これによってSIP端末12とSIP端末22との間で、直接通信を行う時刻や通信手段が決定される。両者が希望する時刻や通信手段が一致しない場合、通信予約処理部535は、通信予約処理P6を繰り返して時刻と通信手段を決定する。この際、通信予約処理部535は、SIP端末12の所有者名、電話番号、住所等の個人情報をSIP端末22に送信することはせず、匿名データベース40から読み出したSIP端末12の電話番号に対応する匿名をSIP端末22に与える。同様に、SIP端末22の所有者の個人情報もSIP端末12には送られず、匿名データベース40から読み出されたSIP端末22の電話番号に対応する匿名がSIP端末12に与えられる。
【0052】
なお、図5では借り手U1から通信の予約を要求しているが、これに限らず、貸し手U2から通信の予約を要求してもよい。
そして、予約された時刻になると、直接通信処理P7が行われる。直接通信制御部536は、第1のユーザU1のSIP端末12及び第2のユーザU2のSIP端末22に接続し、SIP端末間での直接通信(メディアブリッジ)を制御する(ステップS55)。SIP端末間での通信は、通信予約処理P6で決定された通信手段によって行われる。第1のユーザU1及び第2のユーザU2は、例えば音声通話やテレビ電話等で直接対話することで、互いの信用度をより詳しく知ることができる。また、貸借に関する疑問や不安を解消し、契約について細かい事項についての合意を得ることもできる。
【0053】
また、通信予約処理P6による予約がされていなくても、借り手U1のSIP端末12と貸し手のSIP端末22との間で直接通信することもできる。この際、プレゼンス情報によって通信相手が現在通信可能であるかどうかを知ることができ、通信できない相手に電話をかけ直したりする手間を省くことができる。
【0054】
借り手U1と貸し手U2の間の直接通信が終了すると、通信結果登録処理P8によって、借り手情報記憶部54に記憶された借り手情報及び貸し手情報記憶部55に記憶された貸し手情報に、通信の結果を反映させることができる。例えば、借り手U1が貸し手U2からの貸付には応じないことを決定した場合、その旨を表す情報がSIP端末12からSIPアプリケーションサーバ50に送られ、借り手情報管理部531が、借り手情報記憶部54に記憶された借り手U1の借り手情報に追記する(ステップS56)。同様に、貸し手U2が借り手U1には貸付をしないことを決定した場合、その旨を表す情報がSIP端末22からSIPアプリケーションサーバ50に送られ、貸し手情報管理部532が、貸し手情報記憶部55に記憶された貸し手U2の貸し手情報に追記する(ステップS57)。
【0055】
また、直接通信処理P7で貸付金額、返済期限、成約期限等が変更された場合、ステップS56又はS57でこれらの変更が借り手情報又は貸し手情報に反映される。マッチング制御部534は、借り手情報及び貸し手情報の変更を随時検出して、マッチング処理P5の結果に反映させる。例えば、ステップS56で借り手U1が貸し手U2からの貸付には応じないことを決定した場合、マッチング制御部534は、借り手U1に対しては貸し手U2を選択しない。また、変更された情報は、情報公開処理部533によって随時ウェブサーバ60に送信され、第2のネットワーク上に公開されてもよい。
【0056】
以上のようにして、SIPアプリケーションサーバ50では、借り手と貸し手のマッチングが行われ、借り手に応じた貸し手が選択される。
そして、借り手(第1のユーザU1)が定めた成約期限になるか、借り手(第1のユーザU1)がマッチングの終了を指示すると、マッチング制御部534によるマッチングは終了する。マッチングが終了すると、マッチング制御部534が選択した貸し手が対応した借り手に通知され、同様に借り手が貸し手に通知される。選択結果は第2のネットワーク上にも公開される。以下では、図6を参照して、マッチング結果の通知、及び結果の公開について説明する。図6は、結果通知処理P9、及び結果の公開処理P10の手順を示す図である。図6では、第1のユーザU1(借り手)に対して第2のユーザU2(貸し手)が選択された例が示されている。
【0057】
結果通知処理P9では、まず、SIPアプリケーションサーバ50の結果通支部537が、第1のユーザU1のSIP端末12との間でSIPレベルのセッションを確立する(ステップS61)。セッションが確立されると、SIP端末12とSIPアプリケーションサーバ50との間でデータ、音声、及び映像の通信が可能となる。
【0058】
そして、結果通知部537は、第1のユーザU1に対して選択された貸し手(第2のユーザU2)の情報を、SIP送信部52を介してSIP端末12へ送信する(ステップS62)。また、結果通支部537は、第2のユーザU2のSIP端末22との間にSIPレベルのセッションを確立し(ステップS63)、第1のユーザU1の情報を、SIP送信部52を介してSIP端末22へ送信する(ステップS64)。
【0059】
結果の公開処理P10では、貸し手及び借り手の選択結果(マッチングの結果)が公開される。
貸し手及び借り手の選択結果は、情報公開処理部533によって、SOAP/HTTP送信部56を介してウェブサーバ60に送信される(ステップS71)。この際、情報公開処理部533は、第1及び第2のユーザの名前(SIP端末12及び22の所有者名)や電話番号等の個人情報をウェブサーバ60に送信することはせず、匿名データベース40から読み出した匿名を送信する。ウェブサーバ60に送信された情報は、第2のネットワーク上に公開される。
【0060】
第1のユーザU1は、PC11によって第2のネットワークに接続し、公開されたマッチング結果を閲覧することができる(ステップS72)。同様に、第2のユーザU2は、PC21によって第2のネットワークに接続し、公開されたマッチング結果を閲覧することができる(ステップS73)。公開されたマッチング結果は、PC11及びPC21に限らず、第2のネットワークに接続された装置のブラウザから閲覧することもできる。
【0061】
以上のようにして、本実施形態によれば、貸し手と借り手の個人間での金銭貸借の安全に成約することができる。具体的には、匿名データベース40が、SIPに基づく第1のネットワーク100(IMS網)に接続する各SIP端末の電話番号(識別ID)及び対応する匿名を保持し、SIP端末の所有者名ではなく、この匿名が第2のネットワーク上に公開される。金銭貸借の成約は、SIPアプリケーションサーバ50によって仲介される。SIPアプリケーションサーバ50の借り手情報管理部531は、借り手U1のSIP端末12から送信され、SIP端末12の所有者名、識別ID、及び借入金額を含む借り手情報を借り手情報記憶部54に記憶させる。また、借り手情報管理部531はSIP端末12の識別IDに対応する匿名を匿名データベース40から読み出す。読み出された匿名は、SIP端末12の所有者名と識別IDを除く借り手情報と共に、情報公開処理部533によって第2のネットワーク上に公開される。公開された借り手情報に応じて、貸し手U2のSIP端末22からは、貸付金額及び貸付条件を含む貸し手情報が第1のネットワークを介して送信される。SIPアプリケーションサーバ50の貸し手情報管理部5332は、この貸し手情報を貸し手情報記憶部55に記憶させる。貸し手はU2に限らず複数いてもよい。マッチング制御部534は、借り手情報に対して最も有利な貸付条件を提示する貸し手を選択する。このため、借り手の氏名や電話番号等の個人情報を公開することなく、安全に金銭貸借の契約を仲介することができる。
【0062】
また、第2のネットワーク200(インターネット)上でも、リバースオークションの実施状況がリアルタイムに公開され、リバースオークションに参入しやすくなっている。
更に、直接通信制御部536によって、金銭の貸し借りをする貸し手候補、借り手候補がデータ、音声、又は映像で直接通信することで、お互いの信用を確認できる。このため、より安心して個人間で金銭を貸し借りすることができるようになる。また、通信予約処理部535によって、SIPによる通信のリアルタイム性を活かし、直接の貸し手と借り手間の直接通信の時刻と手段とを予約することも可能となる。
【0063】
加入者データベース(HSS)30には、IMS網加入者の氏名、住所、端末の識別情報等の加入者の個人情報が記憶されている。このため、仮に、貸し手や借り手がなんらかの不正、問題を起こしたとしても、その端末の識別IDから個人情報を特定することができる。このため、ユーザはより安心して仲介システムを利用することができる。
【0064】
上述の実施形態では、借り手に対して貸し手が貸付を申し出て、借り手に最も有利な貸し手をリバースオークションで選択した。しかしながら、本貸借仲介システムは、貸し手に対して借り手が借入を申し込むように構成されてもよい。この場合、貸し手登録処理P3と貸し手情報の公開処理P4が行われた後に、借り手登録処理P1と借り手情報公開処理P2が行われる。また、マッチング処理P5では、リバースオークションではなく、通常のオークションが行われる。
また、上述の実施形態では、匿名データベース40及びウェブサーバ60がSIPアプリケーションサーバ50とは別個に設けられていたが、これらの機能がSIPアプリケーションサーバ50内で実現されてもよい。
【0065】
上述の実施形態では、金銭の貸借を仲介する仲介システムについて説明したが、本貸借仲介システムは、金銭に限らず、他の物品の貸借の仲介に用いられてもよい。
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成を削除してもよい。さらに、異なる実施形態例に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0066】
また、本発明は、コンピュータに所定の手段を実行させるため、コンピュータを所定の手段として機能させるため、コンピュータに所定の機能を実現させるため、あるいはプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体としても実施することもできる。
【符号の説明】
【0067】
11…PC、12…SIP端末、21…PC、22…SIP端末、30…加入者データベース、40…匿名データベース、50…SIPアプリケーションサーバ、60…ウェブサーバ、100…IMSネットワーク、200…インターネット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信プロトコルとしてSIP(Session Initiation Protocol)を使用するネットワークであってかつ当該ネットワークに収容される複数のSIP端末に対し固有に割り当てられた加入者識別情報及び加入者個人情報を管理する加入者情報データベースが接続される第1のネットワークと、通信プロトコルとしてIP(Internet Protocol)を使用しかつ情報公開サーバが接続される第2のネットワークにそれぞれ接続可能な貸借仲介システムであって、
前記加入者情報データベースで管理される各SIP端末の加入者識別情報に対応付けてその加入者の匿名情報を記憶する匿名情報記憶手段と、
借り手側のSIP端末から前記第1のネットワークを介して送られる、借り手を特定する加入者識別情報及び借り入れ条件を含む借り手情報を受信し記憶する手段と、
貸し手側のSIP端末から前記第1のネットワークを介して送られる、貸し手を特定する加入者識別情報及び貸し付け条件を含む貸し手情報を受信し記憶する手段と、
前記記憶された借り手情報及び貸し手情報に含まれる加入者識別情報を前記匿名情報記憶手段をもとに匿名情報に変換し、この変換された借り手情報及び貸し手情報を前記情報公開サーバへ送信して公開させる手段と、
前記記憶された貸し手情報に含まれる貸し付け条件と前記借り手情報に含まれる借り入れ条件とを照合し、その照合結果を表す情報を当該借り手情報及び貸し手情報に含まれる加入者識別情報に基づいて借り手側及び貸し手側の各SIP端末へ送信する手段と
を具備する貸借仲介システム。
【請求項2】
前記照合結果を、前記匿名情報記憶手段に記憶された匿名情報を付与して前記情報公開サーバへ送信して公開させる手段を、さらに具備する請求項1記載の貸借仲介システム。
【請求項3】
前記借り手情報及び貸し手情報の公開後に、前記借り手側のSIP端末との間及び貸し手側のSIP端末との間にそれぞれセッションを確立し、この確立された各セッション間を接続して前記匿名情報を用いた直接通信を可能にするメディアブリッジ手段
を、さらに具備する請求項1又は2記載の貸借仲介システム。
【請求項4】
前記メディアブリッジ手段は、
前記借り手側のSIP端末及び貸し手側のSIP端末との間でそれぞれ、前記直接通信を行うための時刻を予約設定する手段と、
前記予約設定された時刻に従い、前記借り手側のSIP端末との間及び貸し手側のSIP端末との間にそれぞれセッションを確立し、この確立された各セッション間を接続して前記匿名情報を用いた直接通信を可能にする手段と
を備える請求項3記載の貸借仲介システム。
【請求項5】
通信プロトコルとしてSIP(Session Initiation Protocol)を使用するネットワークであってかつ当該ネットワークに収容される複数のSIP端末に対し固有に割り当てられた加入者識別情報及び加入者個人情報を管理する加入者情報データベースが接続される第1のネットワークと、通信プロトコルとしてIP(Internet Protocol)を使用しかつ情報公開サーバが接続される第2のネットワークにそれぞれ接続可能な貸借仲介システムを用いて実行される貸借仲介方法であって、
前記加入者情報データベースで管理される各SIP端末の加入者識別情報に対応付けてその加入者の匿名情報を登録する過程と、
借り手側のSIP端末から前記第1のネットワークを介して送られる、借り手を特定する加入者識別情報及び借り入れ条件を含む借り手情報を受信し記憶する過程と、
貸し手側のSIP端末から前記第1のネットワークを介して送られる、貸し手を特定する加入者識別情報及び貸し付け条件を含む貸し手情報を受信し記憶する過程と、
前記記憶された借り手情報及び貸し手情報に含まれる加入者識別情報をそれぞれ、前記登録された匿名情報に変換する過程と、
前記変換された借り手情報及び貸し手情報を前記情報公開サーバへ送信して公開させる過程と、
前記記憶された貸し手情報に含まれる貸し付け条件と前記借り手情報に含まれる借り入れ条件とを照合する過程と、
前記照合結果を表す情報を、当該借り手情報及び貸し手情報に含まれる加入者識別情報に基づいて借り手側及び貸し手側の各SIP端末へ送信する過程と
を具備する貸借仲介方法。
【請求項6】
前記照合結果を表す情報を、前記登録された匿名情報を付与して前記情報公開サーバへ送信して公開させる過程を、さらに具備する請求項5記載の貸借仲介方法。
【請求項7】
前記借り手情報及び貸し手情報の公開後に、前記借り手側のSIP端末との間及び貸し手側のSIP端末との間にそれぞれセッションを確立し、この確立された各セッション間をメディアブリッジ手段により接続して前記匿名情報を用いた直接通信を可能にする過程を、さらに具備する請求項5又は6記載の貸借仲介方法。
【請求項8】
前記直接通信を可能にする過程は、
前記借り手側のSIP端末及び貸し手側のSIP端末との間でそれぞれ、前記直接通信を行う時刻を予約設定する過程と、
前記予約設定された時刻に従い、前記借り手側のSIP端末との間及び貸し手側のSIP端末との間にそれぞれセッションを確立し、この確立された各セッション間を接続して前記匿名情報を用いた直接通信を可能にする過程と
を備える請求項7記載の貸借仲介方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−278771(P2010−278771A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129393(P2009−129393)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】