説明

貼合装置及びディスプレイパネルの製造装置

【課題】接着剤の付着の影響をほとんど受けず、ディスプレイパネルの高い生産効率を達成することができる貼合装置を提供する。
【解決手段】第1基板と第2基板とを接着剤を用いて貼り合わせる貼合装置であって、前記第2基板に接触する接触面を含む膨張性シートと、該膨張性シートを膨張させ、前記第2基板を前記第1基板に押しつける加圧機構と、前記接触面を前記第2基板に対して変位させ、前記第2基板に対する前記膨張性シートの接触位置を変更する位置変更部と、を備えることを特徴とする貼合装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイパネルの基板を貼り合わせるための貼合装置及びディスプレイパネルの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶や有機EL(エレクトロルミネセンス)素子を用いたディスプレイパネルは、典型的には、一対の基板と、基板間に配設された接着剤と、を備える。基板間の接着剤は、基板同士を接着させるだけでなく、基板上に形成された光電デバイスを封止する役割を担う。
【0003】
特許文献1は、ディスプレイパネルの製造方法を開示する。特許文献1の技術によれば、一対の基板と、基板間に配設された接着剤と、を備える積層体が用意される。積層体は、加圧装置を用いて、加圧され、一対の基板は、接着剤によって接着される。
【0004】
加圧装置は、積層体が配設されるチャンバと、チャンバ内の積層体に向けて膨張するエアバッグと、を備える。エアバッグの膨張によって、一対の基板が圧縮並びに接着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−255540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一対の基板同士の圧着の結果、基板間に配設された接着剤は、面内方向に流動する。最終的に、接着剤は、基板の縁部からはみ出すので、エアバッグは、接着剤によって汚染されることもある。
【0007】
新たにディスプレイパネルを製造するために、エアバッグに付着した接着剤は除去される必要がある。エアバッグの清掃作業は、ディスプレイパネルの生産効率を悪化させる。
【0008】
エアバッグに対して、接着剤の剥離を促すための表面処理が施与されることもある。しかしながら、エアバッグの表面は、接着剤に直接的に接触するので、表面処理に拘わらず、接着剤がエアバッグに付着することがある。
【0009】
本発明は、接着剤の付着の影響をほとんど受けず、ディスプレイパネルの高い生産効率を達成することができる貼合装置及びディスプレイパネルの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の局面に係る第1基板と第2基板とを接着剤を用いて貼り合わせる貼合装置は、前記第2基板に接触する接触面を含む膨張性シートと、該膨張性シートを膨張させ、前記第2基板を前記第1基板に押しつける加圧機構と、前記接触面を前記第2基板に対して変位させ、前記第2基板に対する前記膨張性シートの接触位置を変更する位置変更部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の他の局面に係るディスプレイパネルを製造するための製造装置は、上述の貼合装置を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る貼合装置及びディスプレイパネルの製造装置は、接着剤から加圧機構を保護する保護シートが変位されるので、ディスプレイパネルを高い生産効率で製造することに貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ディスプレイパネルを製造するために一対の基板を貼り合わせる貼合装置の概略的な断面図である。
【図2】図1に示される貼合装置の概略的な平面図である。
【図3】図3に示されるディスプレイパネルをN個製造するための製造方法の概略的なフローチャートである。
【図4】図3に示される製造方法のステップS130において用意される支持基板と接着剤層との積層体の概略的な断面図である。
【図5】図1に示されるディスプレイパネルの接着剤層の形成に用いられる接着剤シートの概略的な斜視図である。
【図6】図3に示される製造方法のステップS130において用意される接着剤層と保護基板との積層体の概略的な断面図である。
【図7】図3に示される製造方法のステップS140における貼合装置の概略的な断面図である。
【図8】図3に示される製造方法のステップS150における貼合装置の概略的な断面図である。
【図9】図3に示される製造方法のステップS150における貼合装置の概略的な断面図である。
【図10】図3に示される製造方法のステップS160における貼合装置の概略的な断面図である。
【図11】図1に示される貼合装置から取り出されたディスプレイパネルの概略的な断面図である。
【図12】図11に示されるディスプレイパネルの概略的な平面図である。
【図13】第2実施形態に係る貼合装置の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、ディスプレイパネルを製造するために一対の基板を貼り合わせる貼合装置及びディスプレイパネルの製造装置が添付の図面を参照して説明される。尚、以下に説明される実施形態において、同様の構成要素に対して同様の符号が付されている。また、説明の明瞭化のため、必要に応じて、重複する説明は省略される。図面に示される構成、配置或いは形状並びに図面に関連する記載は、貼合装置及びディスプレイパネルの製造装置の原理を容易に理解させることを目的とするものであり、貼合装置及びディスプレイパネルの製造装置の原理はこれらに何ら限定されるものではない。
【0015】
<第1実施形態>
(貼合装置)
図1は、ディスプレイパネル500を製造するために一対の基板を貼り合わせる貼合装置100の概略的な断面図である。図1を用いて、貼合装置100が説明される。尚、以下の説明において用いられる「上」や「下」といった方向を表す用語は、本実施形態の原理を明瞭化させるためのものであり、本実施形態の原理を何ら限定するものではない。
【0016】
貼合装置100は、映像を表示するための光電デバイスが配設された光電デバイス層510を支持する支持基板520と、光電デバイス層510を被覆並びに保護する保護基板530とを、接着剤層540を介して貼り合わせ、ディスプレイパネル500を製造する。
【0017】
貼合装置100は、無端環状に形成された膨張性シート440を備える。膨張性シート440は、多数の貫通穴441が集中的に形成された2つの領域を含む。以下の説明において、貫通穴441が形成された領域のうち一方は、「第1吸着領域442」と称される。他方の領域は、「第2吸着領域443」と称される。図1において、第1吸着領域442は、第2吸着領域443の下方に位置している。本実施形態において、第1吸着領域442は、第1領域として例示される。第2吸着領域443は、第2領域として例示される。
【0018】
保護基板530は、第1吸着領域442又は第2吸着領域443に吸着される。したがって、第1吸着領域442及び第2吸着領域443は、保護基板530に接触する接触面として用いられる。本実施形態において、保護基板530は、第2基板として例示される。第1吸着領域442及び第2吸着領域443への保護基板530の吸着原理は、後述される。
【0019】
貼合装置100は、膨張性シート440を膨張させ、保護基板530を支持基板520に押しつける加圧機構400を更に備える。本実施形態において、支持基板520は、第1基板として例示される。
【0020】
加圧機構400は、支持基板520及び保護基板530が収容される収容空間210を規定する下側チャンバ200と、下側チャンバ200の上方に配設される上側チャンバ300と、を備える。膨張性シート440は、上側チャンバ300を取り囲む。膨張性シート440の下側部分は、下側チャンバ200と上側チャンバ300との境界に位置する。本実施形態において、下側チャンバ200は、第1チャンバとして例示される。
【0021】
上側チャンバ300は、膨張性シート440の膨張を制御するための内圧調整に用いられる調整空間320を規定する。上側チャンバ300と下側チャンバ200との間を通過する膨張性シート440は、調整空間320と収容空間210とを区画する。即ち、膨張性シート440は、下側チャンバ200と協働して、収容空間210を規定する。また、膨張性シート440は、上側チャンバ300と協働して、調整空間320を規定する。本実施形態において、上側チャンバ300は、第2チャンバとして例示される。
【0022】
加圧機構400は、収容空間210から空気を吸引し、収容空間210を減圧する第1真空装置410を更に備える。支持基板520と保護基板530との接着の間、収容空間210は、第1真空装置410を用いて減圧される。膨張性シート440は、収容空間210内の圧力低下に応じて、支持基板520に向けて膨張する。本実施形態において、第1真空装置410は、減圧部として例示される。
【0023】
加圧機構400は、調整空間320から空気を吸引し、調整空間320を減圧する第2真空装置420と、調整空間320内に空気を送り込む送気装置430と、を更に備える。第2真空装置420が作動するならば、減圧された収容空間210と調整空間320との間の内圧差は低減する。送気装置430が作動するならば、減圧された収容空間210と調整空間320との間の内圧差は増大する。したがって、第2真空装置420及び送気装置430は、調整空間320内の内圧並びに減圧された収容空間210と調整空間320との間の内圧差を適切に調整することができる。本実施形態において、第1真空装置410に加えて、第2真空装置420及び送気装置430も、減圧部として例示される。尚、送気装置430は、省略されてもよい。例えば、調整空間320内に適時に空気を流入させることができる弁体が送気装置430の代わりに用いられてもよい。
【0024】
第1吸着領域442が収容空間210と調整空間320との間に存するならば、第2吸着領域443は、収容空間210と調整空間320との境界の外に位置する。第2吸着領域443が収容空間210と調整空間320との間に存するならば、第1吸着領域442は、収容空間210と調整空間320との境界の外に位置する。
【0025】
保護基板530は、支持基板520に対向する接着面531と、接着面531とは反対側の吸着面532と、接着面531と吸着面532とを取り囲む側面533と、を含む。第2真空装置420が、調整空間320を減圧した後において、吸着面532が第1吸着領域442又は第2吸着領域443の貫通穴441を閉塞するように、保護基板530は、収容空間210内に配設される。したがって、調整空間320の減圧下において、保護基板530は、第1吸着領域442又は第2吸着領域443に吸着される。
【0026】
貼合装置100は、下側チャンバ200内に配設された支持台130と、支持台130を上下動させるシリンダ装置140と、を備える。支持台130は、支持基板520が載置される支持部131と、支持部131を支持するシャフト132と、を備える。シャフト132は、ベローズ133を含む。シリンダ装置140が支持部131を上下動させると、ベローズ133は伸縮する。
【0027】
支持基板520は、光電デバイス層510を支持する支持面521を含む。支持面521は、保護基板530の接着面531よりも広く形成される。支持面521上に形成された光電デバイス層510が、接着面531に接着された接着剤層540に正対するように、支持基板520は、支持部131上に載置される。尚、接着面531に接着された接着剤層540は、支持面521上の光電デバイス層510よりも広く形成される。したがって、支持基板520と保護基板530との圧着工程を経て、光電デバイス層510は、接着剤層540に適切に覆われることとなる。
【0028】
収容空間210の内圧が、調整空間320の内圧を下回ると、膨張性シート440は、支持基板520に向けて膨張する。この結果、保護基板530は、支持基板520に押しつけられる。この間、支持基板520と保護基板530との間の接着剤層540は、加圧されるので、保護基板530の接着面531を覆うように拡がる。加圧機構400は、接着剤層540の接着剤が接着面531の縁部からはみ出すまで、膨張性シート440を膨張させ続ける。この結果、保護基板530と支持基板520との境界は、接着剤層540によって十分に満たされることとなる。したがって、保護基板530と支持基板520との間の剥離が生じにくくなる。
【0029】
貼合装置100は、下側チャンバ200の収容空間210を加熱する加熱装置190を更に備える。本実施形態において、接着剤層540は、熱硬化性樹脂を用いて形成される。保護基板530が支持基板520に押しつけられている間、加熱装置190は収容空間210を加熱し、接着剤層540を硬化する。
【0030】
接触面及び/又は第1領域として例示される第1吸着領域442並びに接触面及び/又は第2領域として例示される第2吸着領域443は、保護基板530の吸着面532が実際に接触する接触領域だけでなく、接触領域の周辺の領域(即ち、接着面531からはみ出した接着剤が潜在的に付着する領域)をも意味する。支持基板520と保護基板530との圧着工程によって、支持基板520と保護基板530との境界からはみ出した接着剤は、第1吸着領域442又は第2吸着領域443に付着する。
【0031】
貼合装置100は、膨張性シート440を周回させる周回機構150を更に備える。周回機構150は、膨張性シート440を駆動する駆動ローラ151と、膨張性シート440の走行経路を規定する従動ローラ152と、を含む。
【0032】
第1吸着領域442が保護基板530を支持基板520に向けて押圧した後、周回機構150が膨張性シート440を駆動すると、第1吸着領域442は、収容空間210と調整空間320との境界から送り出される。その一方で、第2吸着領域443が収容空間210と調整空間320との境界に配置される。第1吸着領域442は、収容空間210と調整空間320との境界の外に送り出されるので、第1吸着領域442に付着した接着剤層540の接着剤は、第2吸着領域443を利用した支持基板520と保護基板530との圧着工程にほとんど影響しない。したがって、周回機構150が第1吸着領域442を保護基板530に対して変位させ、保護基板530に対する膨張性シート440の接触位置を第2吸着領域443に変更することによって、ディスプレイパネル500は、高い生産効率で製造されることとなる。本実施形態において、周回機構150は、位置変更部として例示される。
【0033】
支持基板520と保護基板530とが第2吸着領域443を利用して圧着されている間、収容空間210と調整空間320との境界の外に送り出された第1吸着領域442は、好ましくは、清浄される。清浄化のための好適な手法は、後述の第2実施形態に関連して説明される。
【0034】
第2吸着領域443が保護基板530を支持基板520に向けて押圧した後、周回機構150が膨張性シート440を更に駆動すると、第2吸着領域443は、収容空間210と調整空間320との境界から送り出される。その一方で、清浄化された第1吸着領域442が収容空間210と調整空間320との境界に配置される。第2吸着領域443は、収容空間210と調整空間320との境界の外に送り出されるので、第2吸着領域443に付着した接着剤層540の接着剤は、第1吸着領域442を利用した支持基板520と保護基板530との圧着工程にほとんど影響しない。したがって、周回機構150が第2吸着領域443を保護基板530に対して変位させ、保護基板530に対する膨張性シート440の接触位置を第1吸着領域442に変更することによって、ディスプレイパネル500は、高い生産効率で製造されることとなる。
【0035】
上述の如く、無端環状の膨張性シート440の第1吸着領域442及び第2吸着領域443が循環移動されるならば、ディスプレイパネル500の支持基板520及び保護基板530の貼合工程は連続的に実行される。したがって、ディスプレイパネル500は、高い生産効率の製造されることとなる。
【0036】
図2は、貼合装置100の概略的な平面図である。図1及び図2を用いて、貼合装置100が更に説明される。
【0037】
下側チャンバ200及び上側チャンバ300はともに、矩形箱状に形成される。上側チャンバ300は、下側チャンバ200に重ね合わせられる。膨張性シート440の下側部分は、下側チャンバ200と上側チャンバ300との間に介在する。
【0038】
下側チャンバ200は、上向きに開口した開口部を取り巻く上縁上に配設されたシール部材181と、シール部材181上に設置された下側矩形枠182と、を備える。上側チャンバ300は、下向きに開口した開口部を取り巻く下縁に配設されたシール部材183と、シール部材183に隣接する上側矩形枠184と、を備える。図2において、シール部材181,183は、二点鎖線で示されている。また、下側矩形枠182及び上側矩形枠184の内縁は、点線で示されている。
【0039】
図1に示される如く、下側矩形枠182には、矩形輪郭を描く溝部185が形成される。上側矩形枠184には、溝部185に対応するリブ186が形成される。溝部185とリブ186とが噛み合う場所には、膨張性シート440に穴加工が施され、溝部185とリブ186との噛み合い構造によって膨張性シート440の位置が固定される。
【0040】
貼合装置100は、上側チャンバ300と膨張性シート440の上側部分との間に配設されたマウント板490と、マウント板490と上側チャンバ300とに接続されたシリンダ装置495と、を更に備える。シリンダ装置495は、上側チャンバ300を上下動させる。シリンダ装置495が上側チャンバ300を上方へ変位させると、上側矩形枠184と下側矩形枠182との噛み合いは解除される。その後、周回機構150は、膨張性シート440を駆動することができる。
【0041】
マウント板490には、第2真空装置420及び送気装置430が取り付けられてもよい。第2真空装置420は、可撓性のチューブ421を用いて、調整空間320内の空気を吸引する。送気装置430は、可撓性のチューブ431を用いて、調整空間320内へ空気を送り込む。
【0042】
(ディスプレイパネルの製造方法)
図3は、「N個」のディスプレイパネル500を製造するための例示的な製造方法の概略的なフローチャートである。図1及び図3を用いて、ディスプレイパネル500の製造方法が説明される。
【0043】
(ステップS110)
ディスプレイパネル500の製造方法において、ステップS110が最初に実行される。ステップS110において、シリンダ装置495は、上側チャンバ300を上昇させる。その後、周回機構150は、膨張性シート440を周回させ、第1吸着領域442又は第2吸着領域443を上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界に配置する。
【0044】
ステップS110に示される変数「n」は、ディスプレイパネル500の製造数量を表す。ステップS110において、変数「n」のデフォルト値として、「0」の値が設定される。その後、ステップS120が実行される。
【0045】
(ステップS120)
ステップS120において、変数「n」に「1」の値が加算される。その後、ステップS130が実行される。
【0046】
(ステップS130)
ステップS130において、支持基板520と光電デバイス層510との積層体は、支持台130の支持部131上に設置される。このとき、光電デバイス層510が、上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界に配置された第1吸着領域442又は第2吸着領域443に正対するように、支持基板520は支持部131に対して位置決めされる。
【0047】
ステップS130において、第2真空装置420が作動される。この結果、調整空間320は減圧される。このとき、保護基板530の吸着面532が上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界に配置された第1吸着領域442又は第2吸着領域443に形成された貫通穴441を閉塞するように、保護基板530及び接着剤層540との積層体が膨張性シート440に取り付けられる。調整空間320内に作り出された減圧環境によって、保護基板530及び接着剤層540との積層体は、膨張性シート440に適切に吸着される。尚、ステップS130において、好ましくは、第1真空装置410も作動される。第1真空装置410によって収容空間210も減圧されるので、貼り合せ時の気泡が入りにくくなる。
【0048】
支持基板520と光電デバイス層510との積層体が支持部131上に設置され、且つ、保護基板530及び接着剤層540との積層体が膨張性シート440に吸着されると、ステップS140が実行される。
【0049】
(ステップS140)
ステップS140において、シリンダ装置140が作動される。シリンダ装置140は、支持部131を膨張性シート440に向けて変位させる。この結果、支持基板520の支持面521上に形成された光電デバイス層510は、保護基板530に取り付けられた接着剤層540に接触する。支持基板520と保護基板530との積層の後、ステップS150が実行される。
【0050】
(ステップS150)
ステップS150において、第2真空装置420が停止される一方で、送気装置430が作動される。この結果、調整空間320の内圧は、収容空間210の内圧よりも大きくなる。したがって、膨張性シート440は、収容空間210に向けて膨張する。接着剤層540が保護基板530と支持基板520との間の境界からはみ出すまで、膨張性シート440は、保護基板530並びに接着剤層540を支持基板520に押しつける。この結果、保護基板530及び接着剤層540は、支持基板520に圧着される。
【0051】
支持基板520と保護基板530との圧着の間、加熱装置190が作動される。この結果、収容空間210は加熱される。本実施形態において、接着剤層540は、熱硬化性樹脂を用いて形成される。したがって、収容空間210の温度上昇に伴って、接着剤層540は硬化する。接着剤層540の硬化の後、ステップS160が実行される。
【0052】
(ステップS160)
ステップS160において、第1真空装置410は停止される。その後、シリンダ装置495は、上側チャンバ300を上昇させる。この結果、収容空間210に空気が供給される。第1真空装置410によって収容空間210に作り出された減圧環境は解消されるので、膨張性シート440は収縮する。
【0053】
周回機構150は、膨張性シート440を周回させる。ステップS150において、第1吸着領域442が支持基板520と保護基板530との圧着に用いられるならば、周回機構150は、第1吸着領域442を上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界から送り出し、第2吸着領域443を、上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界に配置する。ステップS150において、第2吸着領域443が支持基板520と保護基板530との圧着に用いられるならば、周回機構150は、第2吸着領域443を上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界から送り出し、第1吸着領域442を、上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界に配置する。ディスプレイパネル500が収容空間210から取り出された後、ステップS170が実行される。
【0054】
(ステップS170)
ステップS170において、ディスプレイパネル500の生産目標数「N」と、実際の生産数「n」と、が比較される。実際の生産数「n」が、生産目標数「N」に到達していないならば、ステップS120が実行される。他の場合には、ディスプレイパネル500の生産は終了する。
【0055】
図4は、ステップS130において用意される支持基板520と光電デバイス層510との積層体の概略的な断面図である。図1、図3及び図4を用いて、ディスプレイパネル500の製造方法が更に説明される。
【0056】
ステップS130の実行の為に、支持基板520の支持面521に、EL膜やバリア膜といった光電デバイスを用いて、光電デバイス層510が形成される。光電デバイス層510の形成手法は、有機EL(エレクトロルミネセンス)材料を用いた既知のディスプレイパネルの光電デバイスの形成と同様の手法に従ってもよい。
【0057】
支持基板520と光電デバイス層510との積層体は、予め複数(N個)用意される。ステップS130の実行の度に、支持基板520と光電デバイス層510との積層体は、支持部131に設置される。
【0058】
図5は、接着剤層540の形成に用いられる接着剤シートASの概略的な斜視図である。図6は、ステップS130において用意される接着剤層540と保護基板530との積層体の概略的な断面図である。図3、図5及び図6を用いて、ディスプレイパネル500の製造方法が更に説明される。
【0059】
ステップS130の実行の為に、熱硬化性樹脂を用いて形成された接着剤シートASが用意される。接着剤シートASは、保護基板530の接着面531よりも狭いシート片ASPに切り取られる。シート片ASPは、保護基板530の接着面531に接着され、接着剤層540として用いられる。
【0060】
接着剤層540と保護基板530との積層体は、予め複数(N個)用意される。ステップS130の実行の度に、接着剤層540と保護基板530との積層体は、膨張性シート440に取り付けられる。
【0061】
図7は、ステップS140における貼合装置100の概略的な断面図である。図3及び図7を用いて、ステップS140における貼合装置100の動作が説明される。
【0062】
支持基板520と光電デバイス層510との積層体並びに保護基板530と接着剤層540との積層体が下側チャンバ200内に適切に設置されると、シリンダ装置140が作動される。この結果、支持台130の支持部131は、上方に変位し、光電デバイス層510と接着剤層540とが軽く接触する。
【0063】
図8及び図9は、ステップS150における貼合装置100の概略的な断面図である。図3、図8及び図9を用いて、ステップS150における貼合装置100の動作が説明される。
【0064】
上述の如く、ステップS150が開始されると、第2真空装置420が停止される。その一方で、送気装置430が作動される。尚、ステップS150の間、第1真空装置410によって作り出された下側チャンバ200の減圧環境は維持される。したがって、上側チャンバ300の内圧は、下側チャンバ200の内圧よりも大きくなり、膨張性シート440は、支持基板520に向けて膨張する。膨張性シート440の下方への膨張の結果、支持基板520と保護基板530との間の接着剤層540は加圧される。
【0065】
図8は、ステップS150の開始直後の貼合装置100の概略的な断面図である。図8に示される如く、膨張性シート440は、保護基板530の外側において、下方に膨張し、支持基板520の支持面521に圧着される。この結果、膨張性シート440は、支持基板520の支持面521との間で接着剤層540の接着剤の流動を許容する流動空間590を形成する。
【0066】
膨張性シート440の下方への膨張によって、接着剤層540は支持基板520と保護基板530の境界において面内方向に押し広げられる。この結果、接着剤層540の接着剤は、保護基板530の側面533からはみ出し、流動空間590を満たす。かくして、保護基板530の接着面531より広い接着剤層540が形成される(図9参照)。
【0067】
下側チャンバ200と上側チャンバ300との圧力差は、膨張性シート440が保護基板530の吸着面532に密着又は側面533の一部を被覆するように設定される。この結果、膨張性シート440は、保護基板530の吸着面532への接着剤の流入を防ぐ障壁として機能する。膨張性シート440によって、保護基板530の吸着面532への接着剤の流入が防止されるので、保護基板530の吸着面532に取り付けられる他の部品(例えば、偏光板やタッチパネル)と接着剤層540との干渉はほとんど生じない。
【0068】
ステップS150において、加熱装置190が作動される。この結果、流動空間590を満たすように拡張された接着剤層540は硬化する。本実施形態において、接着剤層540は、熱硬化性樹脂を用いて形成される。代替的に、接着剤層は、所望のタイミングで硬化させることができる他の材料を用いて形成されてもよい。例えば、接着剤層は、紫外線硬化樹脂を用いて形成されてもよい。紫外線硬化樹脂が用いられるならば、加熱装置190に代えて、接着剤層に紫外線を照射する照射装置が用いられてもよい。
【0069】
図10は、ステップS160における貼合装置100の概略的な断面図である。図3、図9及び図10を用いて、ステップS160における貼合装置100の動作が説明される。
【0070】
接着剤層540の硬化の後、シリンダ装置495は、上側チャンバ300を上昇させ、下側チャンバ200内に空気を導入する。したがって、第1真空装置410によって作り出された減圧環境は解消される。上側チャンバ300と下側チャンバ200との間の内圧差も解消されるので、膨張性シート440は収縮する。
【0071】
シリンダ装置140が作動され、支持台130の支持部131は下方に変位される。この結果、ディスプレイパネル500は、膨張性シート440から離間する。最終的に、ディスプレイパネル500は、下側チャンバ200から取り出される。その後、必要に応じて、偏光板やタッチパネルが保護基板530の吸着面532に取り付けられもよい。上述の如く、接着剤層540の接着剤は、保護基板530の側面533の一部を覆う範囲に留められているので、これらの追加的な部品と接着剤層540との干渉はほとんど生じない。
【0072】
図9に示されるように、ステップS150の実行の間、第1吸着領域442が上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界に配設されるならば、第1吸着領域442は、接着剤層540に接触する。したがって、図10に示される如く、接着剤層540の接着剤の一部が第1吸着領域442に付着することもある。ステップS150の実行の間、第2吸着領域443が上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界に配設されるならば、第2吸着領域443は、接着剤層540に接触する。したがって、接着剤層540の接着剤の一部が第2吸着領域443に付着することもある。
【0073】
図10に示される如く、上側チャンバ300の上昇の後、周回機構150は、膨張性シート440を循環移動させる。図9に示されるように、ステップS150の実行の間、第1吸着領域442が上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界に配設されるならば、周回機構150は、第1吸着領域442を上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界から送り出し、第2吸着領域443を上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界に配置する。ステップS150の実行の間、第2吸着領域443が上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界に配設されるならば、周回機構150は、第2吸着領域443を上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界から送り出し、第1吸着領域442を上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界に配置する。したがって、膨張性シート440に付着した接着剤は、上側チャンバ300の外に現れる。使用者は、上側チャンバ300の外に現れた膨張性シート440上の接着剤を容易に除去することができる。
【0074】
周回機構150は、接着剤が付着した膨張性シート440の領域(第1吸着領域442又は第2吸着領域443)を上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界から上側チャンバ300の外に送り出すので、膨張性シート440に付着した接着剤は、次のディスプレイパネル500の製造に対して、ほとんど影響しない。
【0075】
(ディスプレイパネル)
図11は、貼合装置100から取り出されたディスプレイパネル500の概略的な断面図である。図12は、ディスプレイパネル500の概略的な平面図である。図9、図11及び図12を用いて、ディスプレイパネル500が説明される。
【0076】
ディスプレイパネル500は、上述の如く、略矩形状の支持基板520を備える。支持基板520の支持面521には、EL膜やバリア膜といった光電デバイスを用いて形成された光電デバイス層510が配設される。ディスプレイパネル500に入力された映像信号に基づき、光電デバイス層510に電流が供給され、光電デバイス層510が発光する。この結果、光電デバイス層510は、映像信号に応じた映像を表示することとなる。光電デバイス層510は、有機EL(エレクトロルミネセンス)材料を用いた既知のディスプレイパネルに採用される構造であってもよい。
【0077】
上述の如く、ディスプレイパネル500は、光電デバイス層510を覆うように、接着剤を用いて形成された接着剤層540と、接着剤層540を介して支持基板520に接着される保護基板530と、を備える。保護基板530は、支持基板520に対向する接着面531と、接着面531とは反対側の吸着面532と、接着面531及び吸着面532を取り囲む側面533と、を含む。保護基板530の接着面531は、接着剤層540の接着剤によって、支持基板520の支持面521に接着される。
【0078】
接着剤層540は、光電デバイス層510を封止する役割を担う。保護基板530は、光電デバイス層510を保護する役割を担う。以下の説明において、保護基板530と支持基板520との積層構造は、「積層基板550」と称される。必要に応じて、ディスプレイパネル500は、積層基板550に加えて、保護基板530の吸着面532に取り付けられる偏光板(図示せず)やタッチパネル(図示せず)を更に備えてもよい。
【0079】
本実施形態において、支持基板520及び保護基板530は、可撓性を有する。したがって、ディスプレイパネル500は、フレキシブルディスプレイ装置として機能する。代替的に、支持基板520及び保護基板530のうち一方が可撓性を有してもよい。更に代替的に、支持基板520及び保護基板530は、比較的高い剛性を有してもよい。
【0080】
保護基板530の接着面531は、支持基板520の支持面521よりも狭く、且つ、光電デバイス層510よりも広く形成される。以下の説明において、保護基板530の接着面531と支持基板520の支持面521との間の境界は、「境界領域」と称される。
【0081】
保護基板530と支持基板520との境界領域に介在する接着剤層540は、光電デバイス層510並びに保護基板530の接着面531より広く、且つ、支持基板520の支持面521よりも狭く形成される。境界領域からはみ出した接着剤層540の接着剤は、保護基板530の側面533の一部を覆う。接着剤層540の接着剤は、保護基板530の側面533の一部を覆う領域に留められるので、保護基板530の吸着面532に取り付けられた追加的な部品(例えば、偏光板やタッチパネル)と接着剤層540との干渉はほとんど生じない。
【0082】
<第2実施形態>
図13は、第2実施形態の貼合装置100Aの概略的な断面図である。第1実施形態に関連して説明された要素に対して、同一の符号が付されている。同一の符号が付された要素に関する説明は、貼合装置100Aに対して援用される。図3、図11及び図13を用いて、貼合装置100Aが説明される。
【0083】
貼合装置100Aは、第1実施形態に関連して説明された貼合装置100と同様に、下側チャンバ200、上側チャンバ300、膨張性シート440、周回機構150、第1真空装置410、第2真空装置420、送気装置430、支持台130、シリンダ装置140,495、マウント板490及び加熱装置190を備える。貼合装置100Aは、第1吸着領域442又は第2吸着領域443に付着した接着剤を除去する洗浄機構600を更に備える。本実施形態において、洗浄機構600は、清浄部として例示される。
【0084】
洗浄機構600は、膨張性シート440の外面に接触し、接着剤を除去する洗浄テープ610と、洗浄テープ610を膨張性シート440に押しつける押圧ローラ620と、押圧ローラ620とともに洗浄テープ610の走行経路を規定する搬送ローラ630と、を含む。洗浄テープ610は、市販の洗浄テープであってもよい。例えば、スミロン社製のクリーニングテープEC−310や3M社製の表面保護用テープNo.331が洗浄テープ610として好適に利用可能である。押圧ローラ620及び搬送ローラ630は、周回機構150の動作に連動して、洗浄テープ610を搬送する。洗浄テープ610の搬送速度が膨張性シート440の搬送速度と略一致するように、押圧ローラ620及び搬送ローラ630が洗浄テープ610を搬送することが好ましい。
【0085】
図13は、図3を参照して説明されたステップS160における貼合装置100Aの概略的な断面図である。第1吸着領域442は、ステップS150において、支持基板520と保護基板530との圧着に用いられているので、第1吸着領域442には接着剤が付着している。押圧ローラ620によって膨張性シート440に押しつけられた洗浄テープ610は、押圧ローラ620と膨張性シート440との間を通過する接着剤を適切に除去することができる。その後、押圧ローラ620及び搬送ローラ630は、洗浄テープ610を下流に搬送する。かくして、膨張性シート440の周回動作に合わせて、膨張性シート440に付着した接着剤は適切に除去される。尚、第1吸着領域442からの接着剤の除去の間、第2吸着領域443は、支持基板520と保護基板530との圧着に用いられている。その後、第2吸着領域443が収容空間210と調整空間320との境界から排出されるならば、第1吸着領域442が収容空間210と調整空間320との境界に配設され、且つ、第2吸着領域443から接着剤が除去される。
【0086】
押圧ローラ620は、膨張性シート440から離接可能に設計されてもよい。例えば、第1吸着領域442又は第2吸着領域443と押圧ローラ620との距離が所定の値以下となるならば、押圧ローラ620が洗浄テープ610を膨張性シート440に押圧してもよい。他の場合には、押圧ローラ620は、膨張性シート440から離れ、膨張性シート440の搬送が停止されてもよい。この結果、洗浄テープ610の少ない使用量の下、膨張性シート440に付着した接着剤が適切に除去される。尚、膨張性シート440に連動した押圧ローラ620の離接動作は、例えば、光学センサを用いて、第1吸着領域442及び/又は第2吸着領域443の位置を検出することにより達成される。
【0087】
上述の貼合装置100は、ディスプレイパネル500を製造するための製造装置に好適に組み込まれる。ディスプレイパネル500の製造工程中の一対の基板を貼り合わせる貼合工程において、上述の貼合装置100が用いられるならば、ディスプレイパネル500は、高い生産効率で製造されることとなる。
【0088】
上述の実施形態において、膨張性シート440は、循環移動される。代替的に、帯状の膨張性シートが上側チャンバ300と下側チャンバ200との境界に沿って、順次搬送されてもよい。保護基板530に対する膨張性シートの接触位置が、保護基板530と支持基板520との圧着工程のたびに変更されるならば、膨張性シートの搬送手法や膨張性シートの形状は、特に限定されるものではない。
【0089】
上述の実施形態において、膨張性シート440は、2つの吸着領域(第1吸着領域442及び第2吸着領域443)を備える。代替的に、膨張性シートは、単数の吸着領域又は3以上の吸着領域を有してもよい。支持基板と保護基板との圧着に利用された吸着領域が、新たなディスプレイパネルの製造時に変位され、他の吸着領域が支持基板と保護基板との圧着に用いられるならば、吸着領域の数は制限されない。好ましくは、支持基板と保護基板との圧着に利用された吸着領域が、洗浄され、再度、利用される。
【0090】
上述の実施形態において、膨張性シート440は、洗浄テープ610によって洗浄される。代替的に、膨張性シートは、他の手段を用いて洗浄されてもよい。例えば、スクレイパによって、接着剤が膨張性シート440から剥離されてもよい。
【0091】
上述のディスプレイパネル500は、有機ELを用いて、映像を表示する。本実施形態の原理は、有機ELを用いるディスプレイパネル500の製造だけでなく、他の表示方式にしたがって映像を表示するディスプレイパネルの製造にも同様に適用可能である。
【0092】
上述された実施形態に係る貼合装置は、以下の構成を有する。したがって、貼合装置は、ディスプレイパネルを高い生産効率で製造することができる。
【0093】
上述された実施形態の一の局面に係る第1基板と第2基板とを接着剤を用いて貼り合わせる貼合装置は、前記第2基板に接触する接触面を含む膨張性シートと、該膨張性シートを膨張させ、前記第2基板を前記第1基板に押しつける加圧機構と、前記接触面を前記第2基板に対して変位させ、前記第2基板に対する前記膨張性シートの接触位置を変更する位置変更部と、を備えることを特徴とする。
【0094】
上記構成によれば、貼合装置は、第1基板と第2基板とを、接着剤を用いて、貼り合わせる。膨張性シートの接触面は、第2基板に接触する。加圧機構は、膨張性シートを膨張させ、第2基板を第1基板に押しつけるので、接着剤は、面内方向に流動する。位置変更部は、接触面を第2基板に対して変位させ、第2基板に対する膨張性シートの接触位置を変更するので、膨張性シートに付着した接着剤は、次の貼合工程にほとんど影響を与えない。したがって、ディスプレイパネルの生産効率は、高い水準で維持される。
【0095】
上記構成において、前記位置変更部は、前記接触面を循環移動させることが好ましい。
【0096】
上記構成において、位置変更部は、接触面を循環移動させるので、膨張性シートの交換頻度は少なくなる。したがって、ディスプレイパネルの生産効率は、高い水準で維持される。
【0097】
上記構成において、前記膨張性シートは、無端環状に形成されることが好ましい。
【0098】
上記構成によれば、位置変更部は、無端環状に形成された膨張性シートの接触面を循環移動させるので、膨張性シートの交換頻度は少なくなる。したがって、ディスプレイパネルの生産効率は、高い水準で維持される。
【0099】
上記構成において、貼合装置は、前記接触面を洗浄する洗浄部を更に備えることが好ましい。
【0100】
上記構成によれば、貼合装置は、接触面を洗浄する洗浄部を備えるので、膨張性シートの接触面は、繰り返し、第1基板と第2基板との圧着に利用される。したがって、ディスプレイパネルの生産効率は、高い水準で維持される。
【0101】
上記構成において、前記洗浄部は、洗浄テープを含むことが好ましい。
【0102】
上記構成において、洗浄部は、洗浄テープを含むので、膨張性シートに付着した接着剤は、適切に除去される。この結果、膨張性シートの接触面は、繰り返し、第1基板と第2基板との圧着に利用されることとなる。したがって、ディスプレイパネルの生産効率は、高い水準で維持される。
【0103】
上記構成において、前記加圧機構は、前記第1基板と前記第2基板との間の接着剤が前記第2基板の縁部からはみ出すように前記第2基板を加圧することが好ましい。
【0104】
上記構成によれば、加圧機構は、第1基板と第2基板との間の接着剤が第2基板の縁部からはみ出すように、第2基板を加圧するので、第1基板と第2基板との間の境界は接着剤によって満たされる。したがって、第1基板と第2基板との間の剥離は生じにくくなる。
【0105】
上記構成において、貼合装置は、前記第1基板を支持する支持部を更に備え、前記第1基板は、前記第2基板より広いことが好ましい。
【0106】
上記構成によれば、第1基板は、第2基板より広いので、接着剤は、第1基板を支持する支持部にほとんど付着しない。
【0107】
上記構成において、前記加圧機構は、前記膨張性シートと協働して前記第1基板及び前記第2基板が収容される収容空間を規定する第1チャンバと、前記収容空間を減圧する減圧部と、を含み、前記収容空間内の圧力低下に応じて、前記膨張性シートは膨張することが好ましい。
【0108】
上記構成によれば、加圧機構の第1チャンバは、膨張性シートと協働して第1基板及び第2基板が収容される収容空間を規定する。加圧機構の減圧部は、収容空間を減圧する。膨張性シートは、収容空間内の圧力低下に応じて膨張するので、第2基板は第1基板に適切に押しつけられる。かくして、第2基板は、第1基板に適切に接着される。
【0109】
上記構成において、前記加圧機構は、前記膨張性シートによって前記収容空間から区画される調整空間を規定する第2チャンバを含み、前記減圧部は、前記調整空間の内圧を調整することが好ましい。
【0110】
上記構成によれば、加圧機構の第2チャンバは、膨張性シートによって収容空間から区画される調整空間を規定する。減圧部は、調整空間の内圧を調整するので、膨張性シートの膨張量は適切に制御される。
【0111】
上記構成において、前記第2チャンバを取り囲むように配設された前記膨張性シートは、前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間を通過することが好ましい。
【0112】
上記構成によれば、膨張性シートは、第2チャンバを取り囲むように配設される。膨張性シートは、第1チャンバと第2チャンバとの間を通過するので、膨張性シートは、調整空間と収容空間とを適切に区画しながら、循環移動することができる。
【0113】
上記構成において、前記膨張性シートは、貫通穴が形成された第1領域及び第2領域を含み、前記調整空間が減圧されると、前記第2基板は、前記第1領域又は前記第2領域に吸着されることが好ましい。
【0114】
上記構成によれば、膨張性シートは、貫通穴が形成された第1領域及び第2領域を含む。調整空間が減圧されると、第2基板は、第1領域又は第2領域に吸着されるので、第2基板は、膨張性シートに適切に保持されることとなる。
【0115】
上記構成において、貼合装置は、前記接触面として用いられる前記第1領域及び前記第2領域を洗浄する洗浄部を更に備え、前記第1領域及び前記第2領域のうち一方の領域が前記収容空間と前記調整空間との間に存する間、他方の領域は、前記収容空間と前記調整空間との境界の外に存し、前記洗浄部は、前記他方の領域から前記接着剤を除去することが好ましい。
【0116】
上記構成によれば、貼合装置は、接触面として用いられる第1領域及び第2領域を洗浄する洗浄部を更に備える。第1領域及び第2領域のうち一方の領域が収容空間と調整空間との間に存する間、他方の領域は、収容空間と調整空間との境界の外に存する。洗浄部は、他方の領域から接着剤を除去するので、第1領域及び第2領域は、順次、第1基板と第2基板との圧着に利用されることとなる。したがって、ディスプレイパネルの生産効率は、高い水準で維持される。
【0117】
上述された実施形態の他の局面に係るディスプレイパネルの製造装置は、上述の貼合装置を含むことを特徴とする。
【0118】
上記構成によれば、ディスプレイパネルの製造装置は、上述の貼合装置を含むので、ディスプレイパネルの生産効率は、高い水準で維持される。
【産業上の利用可能性】
【0119】
上述の実施形態に係る原理は、映像を表示するためのディスプレイパネルの製造に好適に適用される。
【符号の説明】
【0120】
100,100A・・・・・貼合装置
131・・・・・・・・・・支持部
150・・・・・・・・・・周回機構
200・・・・・・・・・・下側チャンバ
210・・・・・・・・・・収容空間
300・・・・・・・・・・上側チャンバ
320・・・・・・・・・・調整空間
400・・・・・・・・・・加圧機構
410・・・・・・・・・・第1真空装置
420・・・・・・・・・・第2真空装置
430・・・・・・・・・・送気装置
440・・・・・・・・・・膨張性シート
441・・・・・・・・・・貫通穴
442・・・・・・・・・・第1吸着領域
443・・・・・・・・・・第2吸着領域
520・・・・・・・・・・支持基板
530・・・・・・・・・・保護基板
533・・・・・・・・・・側面
600・・・・・・・・・・洗浄機構
610・・・・・・・・・・洗浄テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と第2基板とを接着剤を用いて貼り合わせる貼合装置であって、
前記第2基板に接触する接触面を含む膨張性シートと、
該膨張性シートを膨張させ、前記第2基板を前記第1基板に押しつける加圧機構と、
前記接触面を前記第2基板に対して変位させ、前記第2基板に対する前記膨張性シートの接触位置を変更する位置変更部と、を備えることを特徴とする貼合装置。
【請求項2】
前記位置変更部は、前記接触面を循環移動させることを特徴とする請求項1に記載の貼合装置。
【請求項3】
前記膨張性シートは、無端環状に形成されることを特徴とする請求項2に記載の貼合装置。
【請求項4】
前記接触面を洗浄する洗浄部を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の貼合装置。
【請求項5】
前記洗浄部は、洗浄テープを含むことを特徴とする請求項4に記載の貼合装置。
【請求項6】
前記加圧機構は、前記第1基板と前記第2基板との間の接着剤が前記第2基板の縁部からはみ出すように前記第2基板を加圧することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の貼合装置。
【請求項7】
前記第1基板を支持する支持部を更に備え、
前記第1基板は、前記第2基板より広いことを特徴とする請求項6に記載の貼合装置。
【請求項8】
前記加圧機構は、前記膨張性シートと協働して前記第1基板及び前記第2基板が収容される収容空間を規定する第1チャンバと、
前記収容空間を減圧する減圧部と、を含み、
前記膨張性シートは、前記収容空間内の圧力低下に応じて膨張することを特徴とする請求項3に記載の貼合装置。
【請求項9】
前記加圧機構は、前記膨張性シートによって前記収容空間から区画される調整空間を規定する第2チャンバを含み、
前記減圧部は、前記調整空間の内圧を調整することを特徴とする請求項8に記載の貼合装置。
【請求項10】
前記第2チャンバを取り囲むように配設された前記膨張性シートは、前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間を通過することを特徴とする請求項9に記載の貼合装置。
【請求項11】
前記接触面として用いられる第1領域及び第2領域を洗浄する洗浄部を更に備え、
前記第1領域及び前記第2領域のうち一方の領域が前記収容空間と前記調整空間との間に存する間、他方の領域は、前記収容空間と前記調整空間との境界の外に存し、
前記洗浄部は、前記他方の領域から前記接着剤を除去することを特徴とする請求項10に記載の貼合装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の貼合装置を含むディスプレイパネルの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−114185(P2013−114185A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262220(P2011−262220)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】