説明

質量減量を伴うコルチコステロイドの滅菌

コルチコステロイド溶液を滅菌し、コルチコステロイド有効成分の最終収量を改善する新規方法。本発明の実施の形態は、上述の要件をはじめとする要件をさらに満たすものであり、コルチコステロイド溶液と滅菌済みコルチコステロイド溶液のあいだの質量減量が約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%以下である条件に、コルチコステロイド配合混合物を供することを含むコルチコステロイドの滅菌溶液の製造方法を提供する。ある実施形態では、コルチコステロイド溶液はシクロデキストリンのような溶解促進剤を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する優先権主張および相互参照)
本願は、米国特許法120(e)の下、2006年2月15日に出願された米国仮特許出願第60/774,152号に対して優先権を主張し、この出願はその全体が本明細書中に参考として援用される。本願はさらに、2006年2月15日に出願された米国仮特許出願第60/774,073号からの米国特許法§119(e)の下の優先権の利益を主張し、この出願もその全体が本明細書中に参考として援用される。本願はさらに、2006年2月15日に出願された米国仮特許出願第60/774,151号からの米国特許法§119(e)の下の優先権を主張し、この出願もその全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
本願は、2007年2月15日に出願された同時係属出願第__/___,___号(発明の名称「Methods of Manufacturing Corticosteroid Solutions」;代理人整理番号31622−718/201)に関連し、この出願もその全体が本明細書中に参考として援用される。本願はまた、2007年2月15日に出願された同時係属出願第__/___,___号(発明の名称「Stable Corticosteroid Mixtures」;代理人整理番号31622−719/201)にも関連し、この出願もその全体が本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ブデソニドの水性懸濁液は既知のものである。ブデソニド超微粉粒子がフィルター膜を目詰まりさせ、フィルター膜の内側にも裏側にもブデソニドが過剰に滞留してしまうため、今までこうした懸濁液を濾過滅菌することは不可能であった。このため、そのような条件下ではコルチコステロイド滅菌が複雑であり、コルチコステロイドの安定性が乏しいといった種々の理由により、不本意ながら別の滅菌方法が改善されてきた。
【0004】
ブデソニドの水溶液が報告されている。たとえば、特許文献1、特許文献2および特許文献3が教示している溶解促進剤としてCaptisol(登録商標)を含むブデソニド溶液を参照されたい。この特許出願はブデソニド溶液の滅菌を教示するものであるが、報告された条件下のブデソニドの質量減量は商業的観点から受け入れがたいものであると思われる。
【特許文献1】国際公開第2005/065649号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/065435号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2005/065651号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、質量減量が改善されるコルチコステロイド溶液を最終滅菌する改良法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要旨)
本発明の実施の形態は、上述の要件をはじめとする要件をさらに満たすものであり、コルチコステロイド溶液と滅菌済みコルチコステロイド溶液のあいだの質量減量が約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%以下である条件に、コルチコステロイド配合混合物を供することを含むコルチコステロイドの滅菌溶液の製造方法を提供する。ある実施形態では、コルチコステロイド溶液はシクロデキストリンのような溶解促進剤を含有する。ある好適な実施形態では、コルチコステロイドはブデソニドである。ある好適な実施形態では、本発明はコルチコステロイドの滅菌溶液の製造方法を提供しており、その方法にはコルチコステロイド配合溶液を提供し、コルチコステロイド配合溶液を平均孔径が約0.1μm〜約1.5μm(たとえば約0.1、0.15、0.2、0.22、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0μmまたは最大1.5μm)、特に約0.1μm〜0.5μm、約0.15μm〜0.45μm、約0.15μm〜0.30μm、約0.15μm〜0.25μmであるフィルターにかけて濾過し、滅菌済みコルチコステロイド溶液を製造することが含まれる。滅菌作業による質量減量は、コルチコステロイド配合(非滅菌)溶液中のコルチコステロイドの約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%または約1%以下である。ある好適な実施形態では、ブデソニド溶液を0.22μmフィルター、特に0.22μm PVDFフィルター、たとえば、Millipore(登録商標)CVGL71TP3 0.22μmフィルターにかけて濾過している。特に好適な実施形態では、濾過によるコルチコステロイドの質量減量は、約0.5%〜約30%、約0.5%〜約25%、約0.5%〜約20%、約0.5%〜約15%、約0.5%〜約10%、約0.5%〜約5%、約0.5%〜約2%、約0.5%〜約1.5%、約0.5%〜約1.2%の範囲にある。
【0007】
本発明の実施の形態は、上述の要件をはじめとする要件をさらに満たすものであり、コルチコステロイドの質量減量が約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満または約1%以下である条件にコルチコステロイド配合混合物を供することを含む滅菌プロセスのコルチコステロイドの質量減量を軽減させる方法を提供するものである。ある実施形態では、コルチコステロイド溶液はシクロデキストリンのような溶解促進剤を含有する。ある好適な実施形態では、コルチコステロイドはブデソニドである。ある好適な実施形態では、本発明は滅菌プロセスでコルチコステロイドの質量減量を軽減させる方法を提供し、コルチコステロイド配合溶液を提供し、コルチコステロイド配合溶液を平均孔サイズが約0.1μm〜約1.5μm(たとえば約0.1、0.15、0.2、0.22、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0μmまたは最大1.5μm)、特に約0.1μm〜0.5μmまたは約0.15μm〜約0.45μmであるフィルターにかけて濾過することを含む。コルチコステロイド配合(未濾過)溶液と滅菌済みコルチコステロイド溶液とのあいだのコルチコステロイドの質量減量は、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満または約1%以下である。ある好適な実施形態では、ブデソニド溶液を0.22μmフィルター、特に0.22μm PVDFフィルター、たとえば、Millipore(登録商標)CVGL71TP3 0.22μmフィルターにかけて濾過する。ある特に好適な実施形態では、濾過によるコルチコステロイドの質量減量は、約0.5%〜約30%、約0.5%〜約25%、約0.5%〜約20%、約0.5%〜約15%、約0.5%〜約10%、約0.5%〜約5%、約0.5%〜約2%、約0.5%〜約1.5%または約0.5%〜約1.2%の範囲にある。
【0008】
本発明の実施の形態は、上述の要件をはじめとする要件をさらに満たすものであり、滅菌済みコルチコステロイド混合物を作製する方法を提供し、滅菌済みコルチコステロイド混合物の濃度が、出発コルチコステロイドの質量に基づく理論濃度の少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約97.5%、少なくとも約97.7%、少なくとも約97.9%、たとえば、約98.2±0.5%以上になる条件にコルチコステロイド配合混合物を供することを含む。ある実施形態では、コルチコステロイド溶液はシクロデキストリンのような溶解促進剤を含有する。ある好適な実施形態では、コルチコステロイドはブデソニドである。ある好適な実施形態では、本発明はコルチコステロイドの滅菌溶液を製造するプロセスを提供し、そのプロセスでは、出発質量のコルチコステロイドを含むコルチコステロイド配合溶液を、平均孔径が約0.1μm〜約1.5μm(たとえば、約0.1、0.15、0.2、0.22、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0μmまたは最大1.5μm)、特に約0.1μm〜0.5μmであるフィルターにかけ、滅菌済みコルチコステロイド溶液を製造することを含む。得られた滅菌済みコルチコステロイド溶液は、コルチコステロイドの出発質量に基づく理論濃度の少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約97.5%、少なくとも約97.7%、少なくとも約97.9%、たとえば約98.2±0.5%以上のコルチコステロイド濃度を有する。
【0009】
本発明の実施の形態は、上述の要件をはじめとする要件をさらに満たすものであり、コルチコステロイド溶液中のコルチコステロイドの濃度はコルチコステロイドの出発質量に基づく理論濃度の少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約97.5%、少なくとも約97.7%、少なくとも約97.9%、たとえば約98.2±0.5%以上である濃度を有する条件にコルチコステロイド配合混合物を供することを含む滅菌プロセスのコルチコステロイドの濃度低下を軽減させる方法を提供する。ある実施形態では、コルチコステロイド溶液はシクロデキストリンのような溶解促進剤を含有する。ある好適な実施形態では、コルチコステロイドはブデソニドである。ある好適な実施形態では、本発明は滅菌プロセスでコルチコステロイドの濃度低下を軽減させる方法を提供し、そのプロセスでは、出発質量のコルチコステロイドを含むコルチコステロイド配合溶液を、平均孔サイズが約0.1μm〜約1.5μm(たとえば約0.1、0.15、0.2、0.22、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0μmまたは最大1.5μm)、特に約0.1μm〜0.5μmであるフィルターにかけて、濾過したコルチコステロイド溶液を製造することを含む。濾過したコルチコステロイド溶液は、コルチコステロイド出発質量に基づく理論濃度の少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約97.5%、少なくとも約97.7%、少なくとも約97.9%の濃度、たとえば約98.2±0.5%以上のコルチコステロイドの濃度を有する。
【0010】
以下の開示を検討すれば、当業者であれば本発明のその他の特徴および利点が明らかになるであろう。
【0011】
(参考としての援用)
本明細書に記載した刊行物および特許出願の内容はいずれも、参考として本明細書に援用されるように個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個別に示されるのと同程度に参考として援用される。特に、以下のWIPO特許出願公報はいずれも米国を指定しており、注釈して、その全体を具体的に本明細書に援用している。WO2005/065649、WO2005/065435およびWO2005/065651。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明はコルチコステロイド混合物の滅菌に関し、特にブデソニド溶液に関する。特に、本発明はヒトまたはヒト以外の哺乳動物に使用する医薬製剤の製造用途に適したコルチコステロイド混合物の最終滅菌方法を提供するものである。本発明は特にコルチコステロイド溶液のなかでもブデソニド溶液の滅菌に有用である。本発明はさらに滅菌中のブデソニドのようなコルチコステロイドの質量減量を軽減させる方法を提供する。本発明はさらに滅菌中にブデソニドのようなコルチコステロイドの濃度の低下を軽減させる方法を提供する。このように、本発明は、コルチコステロイド混合物、特にコルチコステロイド溶液の製造に有用な改良を提供し、非加熱滅菌の実践的な方法を提供することにより、コルチコステロイド溶液製造の経済的側面ならびに最終生成品の質を改善する。本発明の他の利点および特徴は、以下の概略の説明および実施例を検討すれば当業者には明らかなものである。
【0013】
本文中で用いられるように、用語「混合物」はその用語の最も広い意味のうち、当分野で認められている意味であり、懸濁液および溶液が含まれる。用語「溶液」は、実質的に透明であり、懸濁粒子が浮遊していない実質的に均質な混合物を意味するものである。用語「配合混合物」は、医薬有効成分が水と均質に混合され、滅菌する準備が整っている混合物を意味する。用語「配合溶液」は、医薬有効成分が水に均質に溶解し、滅菌する準備が整っている溶液を意味する。
【0014】
ある実施形態では、本発明はコルチコステロイドの滅菌溶液を製造するプロセスを提供し、そのプロセスでは、コルチコステロイド配合溶液を平均孔径が約0.1μm〜約1.5μm(たとえば約0.1、0.15、0.2、0.22、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0μmまたは最大1.5μm)、特に約0.1μm〜0.5μm、約0.15μm〜約0.45μm、約0.15μm〜約0.30μmまたは約0.15μm〜約0.25μmであるフィルターにかけて濾過する。これにより滅菌済みコルチコステロイド溶液を製造する。出発コルチコステロイド溶液と滅菌済みコルチコステロイド溶液とのあいだの質量減量は、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満または約1%以下である。ある実施形態では、フィルターは平均孔径が約0.2、0.22または0.45μmである。ある実施形態では、フィルターはMillipore(登録商標)CVGL71TP3 0.22μmフィルターである。特定の実施形態では、コルチコステロイドはブデソニドであるが、ブデソニド以外のコルチコステロイドのなかでも特に水に溶けにくいコルチコステロイドを使用することができる。本発明のプロセスでブデソニドの代用になるブデソニド以外の具体的なコルチコステロイドを下にさらに詳細に記載している。ある実施形態では、フィルターはメチルセルロースフィルターまたはPVDFフィルターである。その他の種類のフィルターは当業界で既知のものであり、使用することができる。ある好適な実施形態では、フィルターはPVDFフィルターである。ある好適な実施形態では、フィルターは平均孔サイズが約0.22μmのPVDFフィルター、たとえば、Millipore(登録商標)CVGL71TP3 0.22μmフィルターである。特に、コルチコステロイド溶液に溶解促進剤を含むのが好ましいと思われる。好ましい溶解促進剤の種類には、WO2005/065649、WO2005/065435およびWO2005/065651に記載されているスルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体(SAE−CD誘導体)がある。特に、コルチコステロイドに関しては、モル過剰量の溶解促進剤を使用するのが有利であると思われる。特に好ましいSAE−CD誘導体の種類は、SBE7−β−CD(Captisol(登録商標))のようなSBE−β−CD化合物であり、CyDex,Inc.,Lenexa,KSから入手することができる。溶液に含むことができる溶解促進剤にはこのほか、ポリソルベート80が含まれる。ポリソルベート80が存在する場合には、0.01%以下、0.005%以下および0.001%以下の濃度で含まれるのが好ましいが、たとえば最低1%以上の高めの濃度でも使用することができる。ある好適な実施形態では、シクロデキストリンおよび約0.005%未満(たとえば約0.001%)のポリソルベート80を溶解促進剤として使用している。特に、SBE7−β−CDのようなSAE−CDを含みポリソルベート80を含まない組成物が好ましい。ある好適な実施形態では、コルチコステロイド溶液はほかにも追加の有効成分を含み、特に水溶性有効成分を含んでいる。溶液中に含むのが好ましい化合物の種類には、アルブテロールのような水溶性の短時間作用性吸入β2刺激薬がある。ある好適な実施形態では、プロセスによりコルチコステロイドの質量減量が約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満または約1%以下になる。濾過段階が唯一の最終滅菌段階であることが好ましい。しかし、ある好適な実施形態では、本発明によるプロセスに1段階以上の中間濾過段階を含めることができる。
【0015】
他の実施形態では、本発明は滅菌プロセスでコルチコステロイドの質量減量を軽減させる方法を提供する。ある実施形態では、方法はコルチコステロイド出発溶液を平均孔サイズが約0.1μm〜約1.5μm(たとえば、約0.1、0.15、0.2、0.22、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0μmまたは最大1.5μm)、特に約0.1μm〜0.5μm、約0.15μm〜約0.45μm、約0.15μm〜約0.30μmまたは約0.15μm〜約0.25μmであるフィルターにかけて濾過することを含む。コルチコステロイドの質量減量を約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満または約1%以下とする。ある実施形態では、フィルターは平均孔径が約0.2、0.22または0.45μmである。特定の実施形態では、コルチコステロイドはブデソニドであるが、ブデソニド以外のコルチコステロイドのなかでも特に水に溶けにくいコルチコステロイドを使用することができる。本発明のプロセスでブデソニドの代用になるブデソニド以外の具体的なコルチコステロイドを以下にさらに詳細に記載している。ある実施形態では、フィルターはメチルセルロースフィルターまたはPVDFフィルターである。その他の種類のフィルターは当業界で既知であり、使用することができる。ある好適な実施形態では、フィルターはPVDFフィルターである。ある好適な実施形態では、フィルターは平均孔サイズが約0.22μmのPVDFフィルター、たとえば、Millipore(登録商標)CVGL71TP3 0.22μmフィルターである。特に、コルチコステロイド溶液が溶解促進剤を含むのが好ましいと思われる。好ましい溶解促進剤の種類には、WO2005/065649、WO2005/065435およびWO2005/065651に記載されているスルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体(SAE−CD誘導体)がある。特に、コルチコステロイドに関しては、モル過剰量の溶解促進剤を使用するのが有利であると思われる。特に好ましいSAE−CD誘導体の種類はSBE7−β−CD(Captisol(登録商標))のようなSBE−β−CD化合物であり、CyDex,Inc.,Lenexa,KSから入手することができる。溶液に含むことができる溶解促進剤または化合物にはこのほか、ポリソルベート80が含まれる。ポリソルベート80が存在する場合には、0.01%以下、0.005%以下および0.001%以下の濃度で含まれるのが好ましい。特に、SBE7−β−CDのようなSAE−CDを含みポリソルベート80を含まない組成物が好ましい。ある好適な実施形態では、コルチコステロイド溶液はほかにも追加の有効成分を含み、特に水溶性有効成分を含んでいる。溶液中に含むのが好ましい化合物の種類には、アルブテロールのような水溶性の短時間作用性吸入β2刺激薬がある。ある好適な実施形態では、プロセスによりコルチコステロイドの質量減量が約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満または約1%以下になる。濾過段階が唯一の最終滅菌段階になることが好ましい。
【0016】
ある実施形態では、本発明は、コルチコステロイドの出発質量を含むコルチコステロイド配合溶液を平均孔径が約0.1μm〜約1.5μm(たとえば、約0.1、0.15、0.2、0.22、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0μmまたは最大1.5μm)、特に約0.1μm〜0.5μm、約0.15μm〜約0.45μm、約0.15μm〜約0.30μmまたは約0.15μm〜約0.25μmであるフィルターにかけて濾過し、滅菌済みコルチコステロイド溶液を製造することにより、滅菌済みコルチコステロイド溶液の濃度がコルチコステロイドの出発質量に基づく理論濃度の少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約97.5%、少なくとも約97.7%、少なくとも約97.9%、たとえば約98.2±0.5%以上になることを含むコルチコステロイドの滅菌溶液を製造するプロセスを提供する。ある実施形態では、フィルターは平均孔径が約0.2、0.22または0.45μmである。特定の実施形態では、コルチコステロイドはブデソニドであるが、ブデソニド以外のコルチコステロイドのなかでも特に水に溶けにくいコルチコステロイドを使用することができる。本発明のプロセスでブデソニドの代用になるブデソニド以外の具体的なコルチコステロイドを以下にさらに詳細に記載する。ある実施形態では、フィルターはメチルセルロースフィルターまたはPVDFフィルターである。その他の種類のフィルターは当業界で既知であり、使用することができる。ある好適な実施形態では、フィルターはPVDFフィルターである。ある好適な実施形態では、フィルターは平均孔サイズが約0.22μmのPVDFフィルター、たとえば、Millipore(登録商標)CVGL71TP3 0.22μmフィルターである。特に、コルチコステロイド溶液が溶解促進剤を含むのが好ましいと思われる。好ましい溶解促進剤の種類には、WO2005/065649、WO2005/065435およびWO2005/065651に記載されているスルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体(SAE−CD誘導体)がある。特に、コルチコステロイドに関しては、モル過剰量の溶解促進剤を使用するのが有利であると思われる。特に好ましいSAE−CD誘導体の種類はSBE7−β−CD(Captisol(登録商標))のようなSBE−β−CD化合物であり、CyDex,Inc.,Lenexa,KSから入手することができる。溶液に含むことができる溶解促進剤にはこのほか、ポリソルベート80が含まれる。ポリソルベート80が存在する場合には、0.01%以下、0.005%以下および0.001%以下の濃度で含まれるのが好ましい。特に、SBE7−β−CDのようなSAE−CDを含みポリソルベート80を含まない組成物が好ましい。ある好適な実施形態では、コルチコステロイド溶液はほかにも追加の有効成分を含み、特に水溶性有効成分を含んでいる。溶液中に含むのが好ましい化合物の種類には、アルブテロールのような水溶性の短時間作用性吸入β2刺激薬がある。ある好適な実施形態では、プロセスによりコルチコステロイドの質量減量が約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満または約1%以下になる。濾過段階が唯一の最終滅菌段階であることが好ましい。
【0017】
本発明はさらに、コルチコステロイドの出発質量を含むコルチコステロイド配合溶液を平均孔サイズが約0.1μm〜約1.5μm(たとえば、約0.1、0.15、0.2、0.22、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0μmまたは最大1.5μm)、特に約0.1μm〜0.5μm、約0.15μm〜約0.45μm、約0.15μm〜約0.30μmまたは約0.15μm〜約0.25μmであるフィルターにかけて濾過し、濾過済みコルチコステロイド溶液を製造し、濾過済みコルチコステロイド溶液がコルチコステロイドの出発質量に基づく理論濃度の少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約97.5%、少なくとも約97.7%、少なくとも約97.9%、たとえば、約98.2±0.5%以上の濃度であることを含む滅菌プロセスのコルチコステロイド濃度の低下を軽減させる方法を提供する。ある実施形態では、フィルターは平均孔径が約0.2、0.22または0.45μmである。特定の実施形態では、コルチコステロイドはブデソニドであるが、ブデソニド以外のコルチコステロイドのなかでも特に水に溶けにくいコルチコステロイドを使用することができる。本発明のプロセスでブデソニドの代用になるブデソニド以外の具体的なコルチコステロイドを以下にさらに詳細に記載している。ある実施形態では、フィルターはメチルセルロースフィルターまたはPVDFフィルターである。これ以外の種類のフィルターも当業界で既知であり、使用することができる。ある好適な実施形態では、フィルターはPVDFフィルターである。ある好適な実施形態では、フィルターは平均孔サイズが約0.22μmのPVDFフィルター、たとえば、Millipore(登録商標)CVGL71TP3 0.22μmフィルターである。特に、コルチコステロイド溶液が溶解促進剤を含むのが好ましいと思われる。好ましい溶解促進剤の種類には、WO2005/065649、WO2005/065435およびWO2005/065651に記載されているスルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体(SAE−CD誘導体)がある。コルチコステロイドに関しては、モル過剰量の溶解促進剤を使用するのが有利であると思われる。特に好ましいSAE−CD誘導体の種類はSBE7−β−CD(Captisol(登録商標))のようなSBE−β−CD化合物であり、CyDex,Inc.,Lenexa,KSから入手することができる。溶液中に含むことができる溶解促進剤にはこのほか、ポリソルベート80が含まれる。ポリソルベート80が存在する場合には、0.01%以下、0.005%以下および0.001%以下の濃度で含まれるのが好ましい。特に、SBE7−β−CDのようなSAE−CDを含みポリソルベート80を含まない組成物が好ましい。ある好適な実施形態では、コルチコステロイド溶液はほかにも追加の有効成分を含み、特に水溶性有効成分を含んでいる。溶液中に含むのが好ましい化合物の種類には、アルブテロールのような水溶性の短時間作用性吸入β2刺激薬がある。ある好適な実施形態では、プロセスによりコルチコステロイドの質量減量が約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満または約1%以下になる。濾過段階が唯一の最終滅菌段階になることが好ましい。
【0018】
本発明のある実施形態では、コルチコステロイド混合物はさらに溶解促進剤を含む。用語「溶解促進剤」は、水中でコルチコステロイドの溶解性を促進させたり、コルチコステロイドが、実質的に懸濁粒子が浮遊していない透明な混合物を生成する能力を高めたりする薬学的不活性成分を意味する。ある実施形態では、溶解促進剤は約0.0001%〜約25%の範囲の濃度(w/v)にすることができる。別の実施形態では、溶解促進剤は約0.01%〜約20%の範囲の濃度(w/v)にすることができる。さらに別の実施形態では、溶解促進剤は約0.1%〜約15%の範囲の濃度(w/v)にすることができる。さらに別の実施形態では、溶解促進剤は約1%〜約10%の範囲の濃度(w/v)にすることができる。好適な実施形態では、溶解促進剤がシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体であるとき、溶解促進剤は約5%〜約10%の範囲の濃度(w/v)にすることができる。
【0019】
本明細書中で用いられるように、「溶解促進剤」には、コルチコステロイド混合物の水性相でコルチコステロイドの溶解性が増大する1種類以上の化合物が含まれる。一般に、溶解促進剤は水中でコルチコステロイドを化学的に変化せずにコルチコステロイドの溶解性を増大させる。特に、溶解促進剤は、コルチコステロイド活性を実質的に低下させずに、ある実施形態では活性を増大させて、コルチコステロイドの溶解性を増大させる。
【0020】
溶解促進剤は当技術分野では既知のものであり、たとえば、米国特許番号第5,134,127号、同第5,145,684号、同第5,376,645号、同第6,241,969号および米国特許出願公開番号第2005/0244339号および同第2005/0008707号に記載されており、いずれも参照により具体的に本明細書に援用されている。さらに、適切な溶解促進剤の例を下に記載する。
【0021】
本発明の用途に適している溶解促進剤には、プロピレングリコール、非イオン性界面活性剤、リン脂質、シクロデキストリンおよびその誘導体および表面改質剤や安定化剤が含まれるが、これに限られるわけではない。
【0022】
本発明の用途に特に良好な生理的配合適性があると思われる非イオン性界面活性剤の例には、チロキサポール、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tweens20−40−60、などの商品名で市販されている)、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール400を含むがこれに限られるわけではないポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン(Span20−40−60などの商品名で市販されている)、塩化ベンザルコニウム、PPO−PEOブロックコポリマー(Pluronics)、Cremophor−EL、ビタミンE−TPGS(たとえば、d−α−トコフェリル−コハク酸ポリエチレングリコール−1000)、Solutol−HS−15、オレイン酸PEOエステル、ステアリン酸PEOエステル、Triton−X100、Nonidet P−40およびヒドロキシステアリン酸マクロゴール−15のようなヒドロキシステアリン酸マクロゴールがある。
【0023】
ある実施形態では、本発明の用途に適している非イオン性界面活性剤をコルチコステロイドとともに配合し、リポソーム製剤、ミセルまたは混合ミセルを生成した。調製方法およびリポソームの性質およびリポソーム製剤は当業界では既知である。両親媒性脂質が水和されると、多重層小胞が自然に形成されることが多いが、小さな単一層小胞の形成には通常、超音波処理または高圧均質化処理のような実質的にエネルギーを投入するプロセスが必要である。また、リポソームを調製し特徴づける方法が、たとえば、S.Vemuri et al.による(Preparation and characterization of liposomes as therapeutic delivery systems:a review in Pharm Acta Helv.1995,70(2):95−111)および米国特許番号第5,019,394号、同第5,192,228号、同第5,882,679号、同第6,656,497号に記載されており、いずれも本明細書中に参照により具体的に援用している。
【0024】
場合により、たとえば、ミセルまたは混合ミセルを界面活性剤で形成してもよく、難溶性活性剤を溶解してもよい。一般に、ミセルは界面活性剤のような両親媒性分子と自然会合または動的会合により形成される実質的に球状の構造であると理解されている。混合ミセルは種類が異なる両親媒性分子からなるミセルである。本発明の内容では、ミセルも混合ミセルも、その構造、特性および挙動が固体とはきわめて異なるため、固形粒子であると解釈する必要はない。ミセルを形成する両親媒性分子は通常、一時的に結合する。ミセル溶液では、溶液中にも存在するミセル形成両親媒性物質と単分子分散両親媒性物質との間で分子の動的なやりとりがある。そのようなミセルまたは混合ミセル内で溶解される薬剤分子の位置は、この分子の構造ならびに使用した界面活性剤に左右される。たとえば、特に、非極性分子は主にコロイド構造の内部に局在するが、極性物質は表面に見られることが多いと思われる。ミセル溶液または混合ミセル溶液の一実施形態では、ミセルの平均サイズを約10nm〜約100nmのように約200nm未満(光子相関分光法により測定した)にすることができる。特に好適なのが、平均径が約10〜約50nmのミセルである。当業界ではミセルおよび混合ミセルを製造する方法が既知であり、たとえば、米国特許第5,747,066号および同第6,906,042号に記載されており、いずれも本明細書中に参照により具体的に援用している。
【0025】
リン脂質はリンを含有する親水性脂質である。化学的にホスファチジル酸由来のリン脂質は広範囲に現れ、しかも医薬目的で使用されることが多い。この酸は通常、脂肪酸残基の長さが異なることがある(二重に)アシル化されたグリセロール−3−リン酸である。ホスファチジル酸の誘導体には、たとえば、リン酸基がコリンでさらにエステル化されたホスホコリンまたはホスファチジルコリンのほか、さらにホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールなどが挙げられる。レシチンは、さまざまなリン脂質の天然混合物であり、通常ホスファチジルコリンの割合が高い。特定のレシチンの由来および特定のレシチンの抽出方法や濃縮により、ここに挙げた混合物は相当な量のステロール、脂肪酸、トリグリセリドをはじめとする物質を含むこともある。
【0026】
さらに、生理学的特性が本発明に適している他のリン脂質には特に、大豆(soy beans)または鶏卵の卵黄のような天然資源からレシチンの形で抽出されるリン脂質混合物が、好ましくは水素添加した形やリゾレシチンから遊離した形ならびに精製、濃縮、または部分合成により調製したリン脂質の形で好ましくは飽和脂肪酸エステルとともに含まれる。リン脂質混合物ではレシチンが特に好ましい。濃縮または部分合成により調製された中鎖〜長鎖両性リン脂質のほとんどが、アシル鎖の不飽和結合をもたず、リゾレシチンおよびペルオキシドから遊離している。濃縮化合物または精製化合物の例には、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)およびジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)がある。このうち、DMPCは一般によく好まれる。一方、オレイル残基とホスファチジルグリセロールを持ち、コリン残基を持たないリン脂質は本発明のある実施形態および用途に適している。
【0027】
ある実施形態では、本発明の使用に適した非イオン性界面活性剤およびリン脂質はコルチコステロイドとともに製剤化され、コロイド構造を形成する。コロイド溶液は単相系であり、コロイド溶液内に分散したコロイド状材料には、通常固体材料にある測定可能な物理学的性質がない。コロイド分散体を製造する方法は既知であり、たとえば米国特許第6,653,319号に記載されており、いずれも本明細書中に参照により具体的に援用している。
【0028】
本発明で使用するのに適したシクロデキストリンおよび誘導体は、たとえば、Challa et al.,AAPS PharmSciTech 6(2):E329−E357(2005)、米国特許第5,134,127号、同第5,376,645号、同第5,874,418号に記載されており、いずれも本明細書中に参照により具体的に援用している。ある実施形態では、本発明の用途に適切なシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体には、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、SAE−CD誘導体(たとえば、SBE−α−CD、SBE−β−CD(Captisol(登録商標))およびSBE−γ−CD)(CyDex,Inc.Lenexa,KS)、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル(2−および3−ヒドロキシプロピルを含む)およびジヒドロキシプロピルエーテル、そのエーテル混合物およびα−、β−およびγ−シクロデキストリンのメチルヒドロキシエチル、エチル−ヒドロキシエチルおよびエチル−ヒドロキシプロピルエーテルのような、メチル基またはエチル基をさらに有するエーテル混合物およびマルトシル、グルコシルおよびα−、β−およびγ−シクロデキストリンのマルトトリオシル誘導体が挙げられるが、これに限られるわけではなく、1つ以上の糖残基、たとえば、グルコシルまたはジグルコシル、マルトシルまたはジマルトシルならびにその種々の混合物、たとえば、マルトシルおよびジマルトシル誘導体の混合物を含有することができる。本明細書中で使用する具体的なシクロデキストリン誘導体には、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−γ−シクロデキストリン、ジヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、ジグルコシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−γ−シクロデキストリン、マルトトリオシル−β−シクロデキストリン、マルトトリオシル−γ−シクロデキストリン、ジマルトシル−β−シクロデキストリン、ジエチル−β−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、ジグルコシル−β−シクロデキストリン、トリ−O−メチル−β−シクロデキストリン、トリ−O−エチル−β−シクロデキストリン、トリ−O−ブチリル−β−シクロデキストリン、トリ−O−バレリル−β−シクロデキストリンおよびジ−O−ヘキサノイル−β−シクロデキストリンならびにマルトシル−β−シクロデキストリン/ジマルトシル−β−シクロデキストリンのようなメチル−β−シクロデキストリンおよびその混合物が含まれる。このようなシクロデキストリン誘導体を調製する手順はたとえば、米国特許第5,024,998号および本明細書に参照により援用された参考文献から周知である。本発明で使用するのに適したシクロデキストリンにはこのほか、ORGANON(AKZO−NOBEL)製のORG26054およびORG25969のようなカルボキシアルキルチオエーテル誘導体、EASTMAN製のヒドロキシブテニルエーテル誘導体、スルホアルキル−ヒドロキシアルキルエーテル誘導体、スルホアルキル−アルキルエーテル誘導体およびそれ以外の誘導体が挙げられ、たとえば、米国特許出願公開番号第2002/0128468号、同第2004/0106575号、同第2004/0109888号および同第2004/0063663号または米国特許第6,610,671号、同第6,479,467号、同第6,660,804号または第6,509,323号に記載されており、いずれも本明細書中に参照により具体的に援用している。
【0029】
ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンはResearch Diagnostics Inc.(ニュージャージー州、フランダース)から購入することができる。ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン製品の例には、Encapsin(登録商標)(置換度約4)およびMolecusol(登録商標)(置換度約8)が含まれる。しかし、それ以外の置換度を含む実施形態も利用可能であり、本発明の範囲内にある。
【0030】
ジメチルシクロデキストリンはFLUKA Chemie(ブックス,CH)またはWacker(アイオワ州)から入手することができる。本発明で使用するのに適したシクロデキストリンにはこのほか、水溶性のシクロデキストリン誘導体が含まれる。水溶性シクロデキストリン誘導体の例には、カルボキシル化誘導体、硫酸化誘導体、アルキル化誘導体、ヒドロキシアルキル化誘導体、メチル化誘導体およびカルボキシ−β−シクロデキストリン、たとえば、スクシニル−β−シクロデキストリン(SCD)が挙げられる。この原料はいずれも当業界で既知の方法により作製することもできれば、市販品を入手することもできる。適切なシクロデキストリン誘導体は、Modified Cyclodextrins:Scaffolds and Templates for Supramolecular Chemistry(Eds.Christopher J.Easton,Stephen F.Lincoln,Imperial College Press.London,UK,1999)に開示されている。
【0031】
本発明で使用するのに適した表面改質剤が、たとえば、米国特許第5,145,684号、同第5,510,118号、同第5,565,188号および同第6,264,922号に記載されており、いずれも本明細書中に参照により具体的に援用している。本発明で使用するのに適した表面改質剤や表面安定化剤の例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピセルロース、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、デキストラン、アカシアガム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(たとえば、セトマクロゴール1000のようなマクロゴールエーテル)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(たとえば、市販されているTweensTM、たとえば、Tween 20TMおよびTween 80TM(ICI Specialty Chemicals))、ポリエチレングリコール(たとえば、Carbowaxs 3550TMおよび934TM(Union Carbide))、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイドケイ酸ジオキシド、リン酸塩、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩、非結晶性セルロース、マグネシウムアルミニウムケイ酸塩、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドをもつ4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー(チロキサポール、スペリオン、およびトリトンとしても知られている)、ポロキサマー(たとえば、Pluronics F68TMおよびF108TM、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーである)、ポロキサミン(たとえば、Tetronic 908TM、Poloxamine 908TM、としても知られており、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドをエチレンジアミンに逐次付加して得られる4官能性ブロックコポリマーである(BASF Wyandotte Corporation,Parsippany、ニュージャージー州))、Tetronic 1508TM(T−1508)(BASF Wyandotte Coporation)、ポリエーテルスルホン酸アルキルアリール(Rohm and Haas)であるTritons X−200TM、ステアリン酸スクロースとジステアリン酸スクロース(Croda Inc.)の混合物であるCrodestas F−100TM、Olin−10GTMまたはSurfactant 10TM(Olin Chemicals、コネチカット州スタンフォード)としても知られているp−イソノニルフェノキシポリ−(glycidol)、Crodestas SL−40.RTM.(Croda Inc.)およびSA9OHCO、これはC1837CH(−CON(CH)−−CH(CHOH)(CHOH)である(Eastman Kodak Co.)、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグリコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノナノイル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチルβ−D−チオグルコピラノシド、PEG−リン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE、リソゾーム、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルなどのランダムコポリマー(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルのコポリマー、ビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウムおよびジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)が挙げられるが、これに限定されるわけではない。
【0032】
有用なカチオン性安定化剤にはこのほか、カチオン脂質、スルホニウム、ホスホニウムおよび塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウム、ココナッツ塩化または臭化トリメチルアンモニウム、ココナッツ塩化または臭化メチルジヒドロキシエチルアンモニウム、塩化デシルトリエチルアンモニウム、塩化または臭化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、C12−15塩化または臭化ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、ココナッツ塩化または臭化ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、メチル硫酸ミリスチルトリメチルアンモニウム、塩化または臭化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化または臭化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、塩化N−アルキル(C12−18)ジメチルベンジルアンモニウム、塩化N−アルキル(C14−18)ジメチル−ベンジルアンモニウム、塩化N−テトラデシリドメチルベンジルアンモニウム一水和物、塩化ジメチルジデシルアンモニウム、塩化N−アルキルおよび(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウム、ハロゲン化トリメチルアンモニウム、アルキル−トリメチルアンモニウム塩およびジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、エトキシルアルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩および/またはエトキシルトリアルキルアンモニウム塩、塩化ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウム、塩化N−ジデシルジメチルアンモニウム、塩化N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム一水和物、塩化N−アルキル(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムおよび塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、C12、C15、C17臭化トリメチルアンモニウム、塩化ドデシルベンジルトリエチルアンモニウム、ポリ−塩化ジアリルジメチルアンモニウム(DADMAC)、塩化ジメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルジメチルアンモニウム、塩化トリセチルメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリエチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(ALIQUAT 336TM)、POLYQUAT 10TM、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウムのような第4級アンモニウム化合物、(脂肪酸のコリンエステルのような)コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、(塩化ステアリルトリモニウムおよびジ−塩化ステアリルジモニウムのような)塩化ステアラルコニウム化合物、臭化または塩化セチルピリジニウム、第4級ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化塩、Mirapol(登録商標)およびALKAQUAT(Alkaril Chemical Company)、アルキルピリジニウム塩、アルキラミン類、ジアルキラミン類、アルカノラミン類、ポリエチレンポリアミン類、アクリル酸N,N−ジアルキルアミノアルキルおよびビニルピリジンのようなアミン類、酢酸ラウリルアミン、酢酸ステアリルアミンのようなアミン塩、アルキルピリジニウム塩およびアルキルイミダゾリウム塩およびアミンオキシド、イミドアゾリニウム塩、プロトン化第4級アクリルアミド類、ポリ[塩化ジアリルジメチルアンモニウム]およびポリ−[塩化N−メチルビニルピリジニウム]のようなメチル化第4級ポリマーおよびカチオン化グアーが挙げられるが、これに限られるわけではない。
【0033】
コルチコステロイドおよび溶解促進剤を含む水性混合物に加えて、溶解性を促進させる方法により配合した水性吸入混合物が、同じようにここに開示した発明で使用するのに適していることが本明細書に包含されている。このため、本発明の条件では、「溶解促進剤」には溶解促進剤として作用する薬剤の有無に関係なく溶解性を促進させる方法により配合した水性吸入混合物が含まれる。そのような方法には、たとえば、超臨界流体の調製が挙げられる。そのような方法に準拠して、ブデソニドのようなコルチコステロイド組成物を粒子の平均流体力学的半径が50ナノメータ〜700ナノメータの範囲にある粒径分布が狭い粒子に加工する(通常200ナノメータ未満に分布)。超臨界流体急速膨張溶液(RESS)または高度分散超臨界流体溶液(SEDS)を含む超臨界流体(SCF)プロセスならびに超臨界流体を含むそれ以外の技術を用いて、ブデソニド粒子のようなナノサイズのコルチコステロイド粒子を加工する。粒子を形成するためのSCFプロセスの使用は、Palakodaty,S.,et al.,Pharmaceutical Research 16:976−985(1999)で検討され、Bandi et al.,Eur.J.Pharm.Sci.25:159−168(2004)、米国特許番号第6,576,264号および米国特許出願公開番号第2003/0091513号に記載されており、いずれも本明細書中に参照により具体的に援用している。この方法により、選択した方法およびパラメータ次第で形態が異なるミクロンサイズおよびサブミクロンサイズの粒子を形成することができる。さらに、このナノ粒子は噴霧乾燥、凍結乾燥、排除容積およびそれ以外の従来の任意の粒子低減方法により加工することができる。
【0034】
本発明の範囲内で挙げることができる特定の溶解促進剤には、ポリソルベート80およびSAE−CD誘導体、SBE−α−CD、SBE−β−CD、SBE−γ−CDおよびジメチルβ−CD、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−HP−β−CDがある。特定の実施形態では、SAE−CD誘導体が好ましい。特に好ましい実施形態では、SBE−β−CD誘導体群に属しているSAE−CD誘導体が好ましい。特定の実施形態では、特に好まれる溶解促進剤はSBE7−β−CDである。ある実施形態では、製剤中にポリソルベート80が約0.01%未満、特に約0.005%未満、さらに具体的には約0.001%未満の濃度で含まれているが、別の実施形態では、コルチコステロイド溶液中にポリソルベート80が実質的に含まれていないものが好ましい。ある好適な実施形態では、コルチコステロイド、特にブデソニドに関しては、コルチコステロイド溶液はモル過剰のSAE−CD誘導体、特にSBE7−β−CDを含有する。
【0035】
用語コルチコステロイドは当業者により理解される最大限の意味を持つものとする。本発明の範囲内であると思われる特定のコルチコステロイドには、一般に水に溶解せず、投薬にはほとんど適さないものがあるため、水溶液中でコルチコステロイドを溶解させる溶解促進剤の存在が求められる。この点について挙げられる特定のコルチコステロイドには、WO2005/065649、WO2005/065435およびWO2005/065651に記載されているものがある。特に参照により本明細書に援用されるWO2005/065651の46ページを参照されたい。ブデソニドの代用にすることができるコルチコステロイドには、アルドステロン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、シクレソニド、クロプレドノール、コルチゾン、コルチバゾール、デオキシコルトン、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフルオロコルトロン、フルクロロロン、フルメタゾン、フルニソリド、フルシノロン、フルシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルチゾン、フルロコルトロン、フルオロメトロン、フルランドレノロン、フルチカゾン、ハルシノニド、ハイドロコルチゾン、イコメタゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ロフレポニド、RPR106541、チキソコルトール、トリアムシノロンおよびプロドラッグおよび薬学的に許容される塩を含むここに挙げたコルチコステロイドの薬学的に有効な誘導体が挙げられる。ある実施形態では、本発明の溶液中で、上述の一覧にある2種類以上のコルチコステロイドを結合させることができる。ある実施形態では、ブデソニドを上述の一覧にある1種類以上のコルチコステロイドと結合させることができる。
【0036】
コルチコステロイド組成物中のコルチコステロイドの濃度は約1μg/ml〜約2000μg/ml、約1μg/ml〜約1000μg/mlまたは約1〜約500μg/ml、特に約50μg/ml〜約500μg/mlまたは約100〜約400μg/mlに変更することができる。挙げることができる特定の数値には、約1、約5μg/ml、約10μg/ml、約20μg/ml、約50μg/ml、約100μg/mlおよび約200μg/mlおよび約250μg/mlがある。ある好適な実施形態では、滅菌済み溶液中のコルチコステロイド濃度は、約80μg/ml〜約480μg/ml、特に約80μg/ml、約120μg/ml、約240μg/mlまたは約480μg/mlの範囲にある。
【0037】
コルチコステロイドに加えて、コルチコステロイド溶液は他の有効成分、特に他の水溶性有効成分を含めることができる。特に適した有効成分には、1種類または複数種類の呼吸器障害(喘息または慢性閉塞性肺疾患(CODP)のような)または気道収縮、気管支の炎症、粘性喀痰の増大、肺気量の減少などのような呼吸器疾患の症状を治療するためにコルチコステロイドと併用して作用するかあるいはコルチコステロイドと相乗的に作用する有効成分がある。このため、コルチコステロイドは(アルブテロールのような)βアドレナリン受容体拮抗薬、ドーパミンD受容体拮抗薬、抗コリン作用薬または局所麻酔剤のような他の薬剤を1種類または複数種類配合することができる。具体的な有効成分は当業界で既知のものであり、好適な実施形態はWO2005/065651の48〜49ページに記載されており、この頁は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0038】
ある実施形態では、他の有効成分、特に水溶性の有効成分がコルチコステロイド溶液に含まれている。ある好適な実施形態では、コルチコステロイド溶液はアルブテロールのような水溶性の短時間作用性吸入β刺激薬を含む。このように、ある好ましい実施形態には、ブデソニド、(ブデソニドと比較して)モル過剰のSBE7−β−CDのようなシクロデキストリン溶解促進剤およびアルブテロールが挙げられる。
【0039】
ある好適な実施形態では、コルチコステロイド溶液は、大量のコルチコステロイド出発原料とコルチコステロイド以外の成分を高シェアミキサーで約5時間未満、約4時間未満、約3時間未満および特に最大約2時間混合して製造される。窒素ガスまたはアルゴンガス陽圧下、特に窒素ガス下の酸素が少ない雰囲気下でそのような混合が実施されることが好ましい。特定の実施形態では、少なくとも約10L、少なくとも約50L、少なくとも約100L、少なくとも約250Lまたは少なくとも約500Lの容量がある高シェアミキサー中で混合する。そのようなある好ましい実施形態では、(NまたはArのような)正の不活性ガス圧で真空と重層を交互に変えながら混合を実施する。ある具体的な実施形態では、混合後に、少なくとも約50mbar、少なくとも約100mbar、少なくとも約200mbar、少なくとも約500mbarまたは約1200mbar以上の(NまたはAr)の不活性ガス重層下で溶液を貯蔵する。混合または貯蔵もしくは混合と貯蔵を約1200mbarのN重層下で実施する。(特に指示のない限り、圧力はいずれもゲージ圧である)。
【0040】
本発明は単独滅菌段階として濾過を説明してきたが、当業者であれば濾過を熱処理や放射線照射のような別の滅菌技術と組み合わせることができることが理解できよう。コルチコステロイド配合混合物に関しては、最終濾過が好ましいが、熱処理または放射線照射あるいは熱処理と放射線照射の両者を実施することも可能である。
【0041】
本文中で用いられるように、用語「質量減量」は、出発ブデソニド溶液中のブデソニドの質量と滅菌後のブデソニド溶液中のブデソニド質量とを比較した差を指す。質量減量は、以下の式による質量減量率から都合よく算出される。
質量減量率(%)=100% *(M−M)/M
式中、Mは出発ブデソニド溶液中のブデソニド質量であり、Mは滅菌済みブデソニド溶液中のブデソニド質量である。
【0042】
濃度低下率は同じ要領で算出することができる。このため、濃度低下率の式は、
濃度低下率(%)=100% *(C−C)/C
式中、Cは濾過前の溶液中のコルチコステロイドの濃度であり、Cは濾過後の溶液中のコルチコステロイドの濃度である。同一の単位で表現するのであれば、濃度値CおよびCをモル濃度(1リットルあたりの質量)、質量モル濃度(1kgあたりの質量)、溶液1リットルあたりの溶質のグラム数または溶液1kgあたりの溶質のグラム数のような任意の適切な単位で表現してもよい。濾過する前に濃度Cを測定することができない場合、コルチコステロイド出発原料の量(質量)を混合装置に添加して得られた溶液の質量または容積に基づいて算出することができる。
【0043】
本発明による方法で調製したコルチコステロイド溶液は、1種類または複数種の呼吸器障害の治療に用いられている。コルチコステロイド溶液は、コルチコステロイド溶液中に含有される薬学的に有効な成分を治療有効量の投与量単位で利用できるように好都合に配合されている。治療有効量または有効量は、薬理学的作用(効果)が得られる薬剤の量である。用語「治療有効量」には、たとえば、予防学的有効量が含まれる。ブデソニドのようなコルチコステロイドの「有効量」は、過度の副作用がない所望の薬理学的作用に効果的な量または治療の改善を得るのに効果的な量である。ブデソニドのようなコルチコステロイドの有効量は、特定の患者および疾患レベルにより当業者が選択するものである。「有効量」または「治療有効量」はブデソニドのようなコルチコステロイドの代謝変動、年齢、体重、患者の全身状態、治療する病状、治療する病状の重症度および処方する医師の判断により患者ごとに変更することが可能なものであると理解される。
【0044】
気管支収縮障害の文脈で使用される用語「治療する」および「治療」は、障害または疾病になる可能性があるが、今のところは障害または疾病であると診断されていない患者に障害または疾病が発症するのを予防すること、障害または疾病を予防すること、たとえば、障害または疾病の発症を抑制すること、障害または疾病を緩和すること、障害または疾病を退行させること、疾病または障害により生じる条件を緩和すること、あるいは疾病または障害の徴候を阻止することのような気管支収縮に関する障害または疾病の任意の治療を指す。このように、本明細書中で用いられるように、用語「治療する」は用語「予防」と同義に用いられる。
【0045】
本発明の組成物で治療することができる具体的な疾患には、気管支痙縮、気管支の炎症、喀痰の粘性増大、肺活量低下などを特徴とする呼吸器疾患が挙げられるが、これに限定されるわけではない。治療することができる特定の条件には、喘息、反応性気道疾患および慢性閉塞性肺疾患(COPD)が挙げられる。
【0046】
コルチコステロイド溶液の製造
本発明によるプロセスを図1に図示している。S100では、乾燥成分200を確認し、分析して乾燥成分の含水量を測定する。乾燥成分200には、コルチコステロイド(たとえば、ブデソニドおよび特に超微粉ブデソニド)およびシクロデキストリン(たとえばCaptisol(登録商標)シクロデキストリン)のほか、クエン酸、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよびEDTAナトリウム(エデト酸ナトリウム)のような成分が含まれている。S102では、成分200を分配室に移動し、成分を配合タンク204に分配するのに適した容器に量り取る。シクロデキストリンを都合のよい3等分にし、コルチコステロイド(たとえば、ブデソニド)を適切な容器に入れる。注射用水(WFI)202を配合タンク204に充填する。次に、乾燥成分200を配合タンク204に添加する。少なくとも配合タンク204の混合の一部を低酸素条件下で実施する。たとえば、溶解した酸素を除去するため、WFI202に窒素またはアルゴンを散布していてもよい。あるいは、配合タンク204を密閉し、混合プロセスの間、(窒素またはアルゴンのような)不活性ガス216で真空/保持/過剰圧を1巡以上(好ましくは2巡)させてもよい。不活性ガス216の過剰圧は大気圧(任意の正のゲージ圧)よりも高い値であってもよく、たとえば100mbar〜約3000mbarの範囲であってもよい。一般に好ましい実施形態では、過剰圧は窒素ガスの約1,200mbarである。ある実施形態では、配合タンク204が高剪断条件を生むために設計された均質化装置に設置されている。ある実施形態では、配合タンク204はFrymaKoruma Dinex(登録商標)(FrymaKoruma GmbH、ドイツ、ノイエンブルグ)配合ミキサーであり、水ジャケット、液体成分(たとえば、WFI)を導入する送込口、ホモジナイザー、スターラー、短ループ、長ループおよび乾燥成分を導入する漏斗付きの貯蔵タンクを備えている。FrymaKoruma Dinex(登録商標)配合ミキサーの高剪断条件は概ね1000rpm〜4000rpmであり、約1500rpm〜約3000rpmが好ましい。最大500L収載することができるように設計された配合タンク204の500Lバッチサイズについては、好ましいホモジナイザーの速度は約2,500rpmであるが、それ以外の値は当業者が選択することができる。最大500L収載することができるように設計された配合タンク204の50Lバッチサイズについては、好ましいホモジナイザーの速度は約1,700rpmであるが、それ以外の値は当業者が選択することができる。配合タンク204を密閉して大気ガスを除去してもよい。配合タンク204は適切なサイズ、特に約50L〜1000L容量にすることができる。500L型は広く好まれている。混合終了時(たとえば、30〜600分、約120分が好ましい)に、加圧下でコルチコステロイド(たとえば、ブデソニド)溶液を貯蔵タンク208に排出する。ある実施形態では、配合タンク204と貯蔵タンク208の間にフィルター206を挟んでいる。フィルターは、たとえば、Millipore(登録商標)CVGL71TP3 0.22μmフィルターのような適切な組成物(たとえば、PVDF)の平均孔径が0.1〜0.22μmのフィルター(0.22μm平均孔径が好ましい)でもよい。
【0047】
貯蔵タンク208には、コルチコステロイド(たとえば、ブデソニド)溶液を一定期間、たとえば、最大7日間貯蔵しておくことができる。貯蔵タンク208は機密性があるものでもよいし、窒素またはアルゴンのような不活性ガス218の過剰圧を充填してもよい。一般に、大気圧の上に、たとえば、約2000mbarの十分量の不活性ガス圧を入れる必要がある。次に、加圧下で、コルチコステロイド(たとえば、ブデソニド)溶液をバッファータンク212に排出する。成形同時充填段階S104では、バッファータンク212は貯蔵タンク208と充填剤との間の機械式バッファーを提供している。バッファータンクは、不活性ガス220を重層してもよい。貯蔵タンク208とバッファータンク212との間には、フィルター210を介在させることができる。フィルター210を介在させる場合、フィルター210は、たとえば、Millipore(登録商標)CVGL71TP3 0.22μmフィルターのような適切な組成物(たとえば、PVDF)の平均孔径が0.1〜0.22μmのフィルター(0.22μm平均孔径が好ましい)でもよい。
【0048】
バッファータンク212から段階S104の成形同時充填装置にブデソニド溶液を排出する。フィルター214はバッファータンク212と段階S104の成形同時充填装置に介在させることができる。フィルター214が存在する場合は、たとえば、Millipore(登録商標)CVGL71TP3 0.22μmフィルターのような0.1〜0.22μmのフィルター(0.22μm PVDFフィルターが好ましい)にすることができる。成形同時充填段階S104は、液体コルチコステロイド(たとえばブデソニド)溶液を個々の薬学的に許容される容器(本明細書のどこかで参照されるボトル、アンプルまたはバイアル)に分注し、個々の容器を密閉するものである。ある実施形態では、容器は公称容量が0.5mlのLDPEアンプルであるが、それ以外の材料およびサイズも当技術分野の範囲内にある。ある実施形態では、成形同時充填段階S104を正の不活性ガス220(たとえば、窒素)圧のような低酸素条件下で実施することができる。次いで、パウチ段階S106では、個々の容器をパウチ包装する。ある実施形態では、パウチ段階S106を正の不活性ガス222(たとえば、窒素)圧下のような低酸素条件下で実施してもよい。それぞれのパウチには、コルチコステロイド(たとえば、ブデソニド)の容器(たとえばアンプルまたはバイアル)を1つ以上入れてもよい。ある実施形態では、それぞれのパウチには、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14本またはそれ以上の容器が入っている。通常の好ましい実施形態には、それぞれのパウチにアンプルが5本入っているものもある。カートン段階S108では、パウチをカートンに梱包する。
【0049】
本明細書中で用いられるように、無菌状態は、たとえば、米国薬局方<71>、欧州薬局方2.6.1などの当業界で周知の方法またはこれ以外の当業界で周知の無菌状態を測定する方法により定義される。
【実施例】
【0050】
(実施例1)-120mg/mlブデソニド溶液の調製
以下の手順に従って、50Lバッチのブデソニド溶液(通常120μg/ml)を調製した。
【0051】
Captisol(登録商標)シクロデキストリン(シクロデキストリン)およびブデソニドを秤量する前に、出発原料を測定した。測定値は、製剤化に使用されるシクロデキストリンおよびブデソニド出発原料の実際の量を算出するために使用した。シクロデキストリンには水が4.9%認められた(95.1%シクロデキストリン)。このため、シクロデキストリン出発原料全量を量に比例して増量した。必要なシクロデキストリン出発原料量は(シクロデキストリンを890.0gとすると)935.8569gであると算出された。このシクロデキストリン出発原料を735.86g、100.0gおよび100.0gの3通りに秤量した。同じ要領でブデソニド出発原料を測定したところ、ブデソニド塩基を98.2%含有することがわかった。次いで、ブデソニド出発原料の量を算出し、5.95g/0.982=6.06gとした。このようにして、ブデソニド出発原料6.06gを秤量した。
【0052】
以下の追加成分を秤量した。無水クエン酸15.0g、米国薬局方クエン酸三ナトリウム二水和物25.0g。溶液を50kg作製するのに必要な注射用水も用意した。
【0053】
混合装置は高シェアミキサー、分離器の供給漏斗ならびに真空装置および窒素ガス源を備えたものであった。高シェアミキサーを密閉することにより、混合中にミキサー内の混合物を真空にすることが可能であった。
【0054】
正確に40kgの水を混合装置(FrymaKouma Dinex(登録商標)700真空プロセス、最大容量500L)に入れた。224mbarの真空を混合装置にかけて5分間維持した。その後、1278mbar(ゲージ圧)の窒素ガスを混合容器に流し、混合作業期間中、ミキサーの外圧から隔離した状態にした。Captisol(登録商標)シクロデキストリン(シクロデキストリン)の約3分の1を分離器の漏斗に添加した。シクロデキストリン約100.0gを三角フラスコ内のブデソニド出発原料に添加し、均質な混合物が形成されるまで振盪した。次にこの混合物を供給漏斗に添加した。次いで、シクロデキストリン100.0gを三角フラスコに添加し、均質になるまで振盪した。次いで、三角フラスコの内容物を漏斗に添加した。最後に、無水クエン酸15.0g、米国薬局方クエン酸三ナトリウム二水和物25.0g、EDTAナトリウム二水和物5.0gおよび塩化ナトリウム325.0gをそれぞれ順番に漏斗に添加した。漏斗内で全成分を混合させてから、真空吸引により全量をミキサーに入れた。
【0055】
次に、ミキサーの内容物を約17℃、1500rpmで約5分均質化した。次に、ブデソニド出発原料が入っていた三角フラスコを約150mlの水で2回すすぎ、リンス液を漏斗に添加した。残りの約半量の水を漏斗に添加し、漏斗内の内容物を真空吸引によりミキサーに入れた。次に、最後まで残っていた水を漏斗に添加し、真空吸引によりミキサーに入れた。最後に、ホモジナイザーの速度を1700rpm、120分に上げた。
【0056】
120分の均質化のあいだ、以下のように混合タンクを酸素で清浄にした。(1)まず、約200mbarの真空を引いて約5分間真空状態を保ち、(2)1200mbarの窒素圧をかけ、(3)次に、約200mbarの2回目の真空を引いて約5分間真空状態を保ち、(4)ミキサーに約1215mbarの2度目の窒素を重層した。均質化終了時に、均質化したブデソニド溶液の試料を採取し、Q.Cに移送した。
【0057】
(実施例2)-滅菌手順
実施例1で均質化したブデソニド溶液を0.22μmミリポア(CVGL71TP3)フィルターにかけて濾過し、Teflon(登録商標)ホースを通して滅菌済み貯蔵タンクに入れた。濾過済み溶液に約1200mbarの窒素過剰圧をかけた。
【0058】
滅菌済みブデソニド溶液を貯蔵タンクに回収して、その溶液を測定した。ブデソニド出発原料のブデソニドの量に基づき、ブデソニド溶液がブデソニドの理論濃度98.2±0.5%を含有していることがわかった。溶液は米国薬局方<71>および欧州薬局方2.6.1に準拠して無菌性に合格したものである。
【0059】
実施例2からわかるように、本発明は、質量減量およびブデソニド濃度の低下が少ないブデソニド溶液を滅菌する方法を提供する。本発明は吸入療法に適した滅菌ブデソニド溶液を作製する実践的な方法を提供する。
【0060】
(実施例3):ブデソニド溶液80mg/mL(バッチ GI059)
最終濃度が約80μg/mlであるブデソニド溶液の50Lバッチを以下の手順に従って調製した。
【0061】
まず、ブデソニドおよびCaptisol(登録商標)シクロデキストリン(シクロデキストリン)を測定し、それぞれの試料あたりの含水率を求めた。50Lバッチ中のシクロデキストリンの標的質量は595gであり、ブデソニドの標的質量は4.1gであった。シクロデキストリンの測定から、水4.8%またはシクロデキストリン95.2%の数値を得た。ブデソニド測定から、ブデソニド含有率が99.2%となった。このため、シクロデキストリンの量を算出すると、シクロデキストリンが595g/0.952=625gになり、ブデソニド質量を算出すると、ブデソニドが4.1g/0.992=4.133gになった。
【0062】
シクロデキストリンをそれぞれ100g、100gおよび425gの3通りの分量に秤量した。容器(ブデソニド容器)中のブデソニド4.133gを正確に秤量した。
【0063】
清潔な貯蔵タンクを蒸気滅菌し、注射用水(WFI)40kgを貯蔵タンクに充填した。スターラーおよびホモジナイザーを備えた清潔なステンレス鋼製の500L(最大容量)FrymaKoruma Dinex(登録商標)混合容器(混合タンク)を10分間蒸気滅菌し乾燥させた。混合タンクは、短い均質化ループ(短ループ)と乾燥成分(乾燥−添加漏斗、漏斗)を入れる漏斗を備えている。次に、水40kgを加圧下で貯蔵タンクから混合タンクに移した。次に、予め秤量しておいたシクロデキストリン425gの約半量を乾燥−添加漏斗に添加した。次に、ブデソニドが漏斗の壁に接触しないように注意しながら、ブデソニド容器の全内容物を漏斗に添加した。次に、最初のシクロデキストリン100g量をブデソニド容器に添加して振盪し、残留ブデソニドを一掃した。次に、ブデソニド容器の内容物を漏斗に添加した。2回目のシクロデキストリン100g量にもこの手順を繰り返した。
【0064】
次に、以下の成分量を漏斗に添加した。無水クエン酸15.0g、無水クエン酸ナトリウム25.0g、無水エデト酸ナトリウム5.0g、塩化ナトリウム395.0gおよびシクロデキストリン425gのうちの残り半量。スターラーを25rpmに設定し、ホモジナイザーを1500rpmに設定して、乾燥漏斗の全内容物を減圧下で混合タンクに添加した。次に、短ループを通して混合タンクの内容物を約10分均質化した。
【0065】
次に、ブデソニド容器を150gに等分したWFIで2回洗浄した。最初のWFI150g量をブデソニド容器に添加して振盪した。次に、ブデソニド容器の内容量を漏斗に添加した。この手順を2回目のWFI150gでも繰り返した後、漏斗の全内容物(約300ml)を吸引して混合タンクに添加した。WFI8.631kgの約半量を漏斗に添加した。次に、漏斗のWFIを吸引して混合タンクに添加した。この手順をWFI8.631kgの残りの約半量を用いて繰り返した。
【0066】
ホモジナイザーの速度を1700rpmに上げた。次に、混合タンクに窒素(N)を充填した。混合タンクに−200mbarの真空を引いて5分間維持した。次に、混合タンクを1,200mbarの窒素で加圧した。この手順をもう一度繰り返した。60、90および120分の時点で、ブデソニド溶液の試料を混合タンクから0.22μmPVDFフィルターにかけて排出させた。124分経過時点で、混合タンクの全内容物をTeflon(登録商標)PTFEホースおよび0.22μmDurapore(登録商標)PVDFカートリッジフィルターを通して貯蔵タンクに排出した。この手順から、80.2μg/ml(測定値)ブデソニド溶液46.6kgが得られた。ブデソニド溶液をLDPEバイアルに成形充填し、0.53ml/バイアル(ブデソニドの42.1μg/バイアル)を含有する充填バイアルを製造した。溶液は米国薬局方<71>および欧州薬局方2.6.1に準拠して無菌性に合格したものである。
【0067】
(実施例4):40、60、120および240μg/0.5mL用量ブデソニド溶液
上述の実施例1−3で概略した通常の手順に従い、濃度が80、120、240および480μg/mLであるブデソニド溶液を調製し、0.5mL容量のLDPEバイアル(アンプル)に分注し、上述のようにパウチした。得られた0.5mL容量は、ブデソニドを容量0.5mLあたり40、60、120および240μg含有した。それぞれのアンプルに含まれる個々の成分量を下の表1に記載している。溶液は米国薬局方<71>および欧州薬局方2.6.1に準拠して無菌性に合格したものである。
【0068】
【表1】

表示した値は[w%]である。浸透圧は290mOsm/kgに調節した。pH4.5。
【0069】
(実施例5):多回バッチ間の質量減量
上述の実施例1−4に概説した一般的な製造手順に従い、表2に記載したバッチを調製した。「公称μg/mL」を表わした列に、それぞれのバッチ(約80μg/mL、120μg/mL、240μg/mLまたは480μg/mL)の公称濃度を示した。プロセス試験を実施し、溶解後に、0.22μmPVDFシリンジフィルターにかけて溶液からブデソニド溶液を抽出した。「IPCμg/mL」表示した列に、IPCブデソニド濃度データを列挙した。Δ%IPCで表わした列は公称濃度とIPC濾過した溶液の差を示したものである。調製の最後に、最終ブデソニド溶液(「放出」)を測定し、「放出」溶液中のブデソニドの濃度を測定した。「放出μg/mL」と表示した列では、このデータをバッチごとにまとめた。「Δ%放出」と表示した列では、ブデソニドの「放出」濃度と公称濃度の差の百分率をバッチごとに記載した。それぞれの溶液は米国薬局方<71>および欧州薬局方2.6.1に準拠して無菌性に合格したものである。
【0070】
【表2】


【0071】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示して説明しているが、このような実施形態が単なる例示であることは当業者には明白であろう。本発明から逸脱することのない多数の変形、変更および置換は当業者にとっては明らかなものである。本発明を実施するにあたり、ここに記載した本発明の実施形態の種々の代替案を適用することができることが理解できよう。後述する請求項は、本発明の範囲を定義するものであり、ここに挙げた請求項および請求項の均等物の範囲内にある方法および構造を本明細書に網羅しようとするものである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
本明細書に添付した請求の範囲では、特に本発明の新規の特徴を説明する。本発明の原理を用いた例示的実施形態および添付図面が記載された以下の詳細な説明を参照することにより、本発明の特徴および利点がさらに理解できる。
【図1】図1は本発明によるブデソニド溶液の製造プロセスの実施形態を図示している流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルチコステロイドの滅菌溶液を作製するプロセスであって、該プロセスは、コルチコステロイド配合溶液をフィルターにかけて濾過し、滅菌済みコルチコステロイド溶液を製造することを含み、出発コルチコステロイド溶液と該滅菌済みコルチコステロイド溶液との間の質量減量が約30%未満である、プロセス。
【請求項2】
前記フィルターは、平均孔径が約0.1μm〜約1.5μmである、請求項1のプロセス。
【請求項3】
前記フィルターは、平均孔径が約0.1μm〜約0.5μmである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記フィルターは、平均孔径が約0.22μmである、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記コルチコステロイドはブデソニドである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記フィルターはメチルセルロースフィルターまたはPVDFフィルターである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記フィルターは、平均孔径が約0.22μmのPVDFフィルターである、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記出発コルチコステロイド溶液は、溶解促進剤をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記出発コルチコステロイド溶液は、コルチコステロイドと比較してモル過剰の溶解促進剤を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記溶解促進剤は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)からなる群より選択される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記溶解促進剤は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンSBE7−β−CD(Captisol(登録商標))である、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記コルチコステロイド溶液はさらにアルブテロールを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記溶解促進剤はシクロデキストリンおよび約0.001%のポリソルベート80を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、質量減量が約10%未満である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、質量減量が約5%未満である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、質量減量が約2%未満である、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
滅菌プロセスにおけるコルチコステロイドの質量減量を軽減させる方法であって、該方法は、出発コルチコステロイド溶液をフィルターにかけて濾過し、滅菌済みコルチコステロイド溶液を製造することを含み、コルチコステロイドの質量減量が約30%未満となる、方法。
【請求項18】
前記フィルターは、平均孔径が約0.1μm〜約1.5μmである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記フィルターは、平均孔径が約0.1μm〜約0.5μmである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記フィルターは、平均孔径が約0.22μmである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記コルチコステロイドはブデソニドである、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記フィルターはメチルセルロースフィルターまたはPVDFフィルターである、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記フィルターは、平均孔径が約0.22μmのPVDFフィルターである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記出発コルチコステロイド溶液は溶解促進剤をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記出発コルチコステロイド溶液は、コルチコステロイドと比較してモル過剰の溶解促進剤を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記溶解促進剤は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)からなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記溶解促進剤は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンSBE7−β−CD(Captisol(登録商標))である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記コルチコステロイド溶液はさらにアルブテロールを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記溶解促進剤は、シクロデキストリンおよび約0.001%ポリソルベート80を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、質量減量が約10%未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、質量減量が約5%未満である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、質量減量が約2%未満である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
コルチコステロイドの滅菌溶液を作製するプロセスであって、該プロセスは、出発質量のコルチコステロイドを含むコルチコステロイド配合溶液をフィルターにかけて濾過し、滅菌済みコルチコステロイド溶液を製造することを含み、それにより該滅菌済みコルチコステロイド溶液の濃度が該コルチコステロイド配合溶液中のコルチコステロイドの濃度の少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約97.5%、少なくとも約97.7%、少なくとも約97.9%、たとえば約98.2±0.5%以上となる、プロセス。
【請求項34】
前記フィルターは、平均孔径が約0.1μm〜約1.5μmである、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
前記フィルターは、平均孔径が約0.1μm〜約0.5μmである、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
前記フィルターは、平均孔径が約0.22μmである、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記コルチコステロイドはブデソニドである、請求項33に記載のプロセス。
【請求項38】
前記フィルターは、メチルセルロースフィルターまたはPVDFフィルターである、請求項33に記載のプロセス。
【請求項39】
前記フィルターは、平均孔径が約0.22μmのPVDFフィルターである、請求項38に記載のプロセス。
【請求項40】
前記出発コルチコステロイド溶液は、溶解促進剤をさらに含む、請求項33に記載のプロセス。
【請求項41】
前記出発コルチコステロイド溶液は、コルチコステロイドと比較してモル過剰の溶解促進剤を含む、請求項40に記載のプロセス。
【請求項42】
前記溶解促進剤は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)からなる群より選択される、請求項40に記載のプロセス。
【請求項43】
前記溶解促進剤は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンSBE7−β−CD(Captisol(登録商標))である、請求項42に記載のプロセス。
【請求項44】
前記コルチコステロイド溶液はさらにアルブテロールを含む、請求項33に記載のプロセス。
【請求項45】
前記溶解促進剤は、シクロデキストリンおよび約0.001%ポリソルベート80を含む、請求項33に記載のプロセス。
【請求項46】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、濃度が前記出発質量のコルチコステロイドに基づく理論濃度の少なくとも約95%ある、請求項33に記載のプロセス。
【請求項47】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、濃度が前記出発質量のコルチコステロイドに基づく理論濃度の少なくとも約96%である、請求項46に記載のプロセス。
【請求項48】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、濃度が前記出発質量のコルチコステロイドに基づく理論濃度の少なくとも約97%である、請求項47に記載のプロセス。
【請求項49】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、濃度が前記出発質量のコルチコステロイドに基づく理論濃度の少なくとも約97.5%である、請求項48に記載のプロセス。
【請求項50】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、濃度が前記出発質量のコルチコステロイドに基づく理論濃度の少なくとも約97.7%である、請求項49に記載のプロセス。
【請求項51】
滅菌プロセスにおけるコルチコステロイドの濃度の低下を軽減させる方法であって、該方法は、出発質量のコルチコステロイドを含むコルチコステロイド配合溶液をフィルターにかけて濾過し、濾過済みコルチコステロイド溶液を製造することを含み、該濾過済みコルチコステロイド溶液は、濃度が出発質量のコルチコステロイドに基づく理論濃度の少なくとも約90.0%である、方法。
【請求項52】
前記フィルターは、平均孔径が約0.1μm〜0.5μmである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記フィルターは、平均孔径が約0.22μmである、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記コルチコステロイドはブデソニドである、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記フィルターは、メチルセルロースフィルターまたはPVDFフィルターである、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記フィルターは、平均孔径が約0.22μmのPVDFフィルターである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記出発コルチコステロイド溶液は、溶解促進剤をさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
前記出発コルチコステロイド溶液は、コルチコステロイドと比較してモル過剰の溶解促進剤を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記溶解促進剤は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)からなる群より選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記溶解促進剤は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンSBE7−β−CD(Captisol(登録商標))である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記コルチコステロイド溶液はアルブテロールをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項62】
前記溶解促進剤は、シクロデキストリンおよび約0.001%ポリソルベート80を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項63】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、濃度がコルチコステロイドの出発質量に基づく理論濃度の少なくとも約95%である、請求項51に記載の方法。
【請求項64】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、濃度がコルチコステロイドの出発質量に基づく理論濃度の少なくとも約96%である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、濃度がコルチコステロイドの出発質量に基づく理論濃度の少なくとも約97%である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、濃度がコルチコステロイドの出発質量に基づく理論濃度の少なくとも約97.5%である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、濃度がコルチコステロイドの出発質量に基づく理論濃度の少なくとも約97.7%である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、濃度がコルチコステロイドの出発質量に基づく理論濃度の少なくとも約97.9%である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記滅菌済みコルチコステロイド溶液は、濃度がコルチコステロイドの出発質量に基づく理論濃度の少なくとも約98.2±0.5%である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
コルチコステロイドの滅菌溶液を作製するプロセスであって、該プロセスは、出発コルチコステロイド溶液と滅菌済みコルチコステロイド溶液との間の質量減量が約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満または約1%以下になる条件に、コルチコステロイド配合溶液を供することを含む、プロセス。
【請求項71】
滅菌プロセスにおけるコルチコステロイドの質量減量を軽減させる方法であって、該方法は、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満または約1%以下のコルチコステロイドの質量減量が達成される条件に、コルチコステロイド配合溶液を供することを含む、方法。
【請求項72】
コルチコステロイドの滅菌溶液を作製するプロセスであって、該プロセスは、滅菌済みコルチコステロイド溶液の濃度がコルチコステロイドの出発質量に基づく理論濃度の少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約97.5%、少なくとも約97.7%、少なくとも約97.9%、たとえば、約98.2±0.5%以上になる条件に、コルチコステロイド配合溶液を供することを含む、プロセス。
【請求項73】
滅菌プロセスにおけるコルチコステロイドの濃度の低下を軽減させる方法であって、該方法は、コルチコステロイド溶液中のコルチコステロイドの濃度が、コルチコステロイドの出発質量に基づく理論濃度の少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約97.5%、少なくとも約97.7%、少なくとも約97.9%、たとえば、約98.2±0.5%以上の濃度になる条件に、コルチコステロイド配合溶液を供することを含む、方法。


【図1】
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【公表番号】特表2009−526619(P2009−526619A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555362(P2008−555362)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/004056
【国際公開番号】WO2007/095341
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508185328)ティカ レーケメデル アーベー (11)
【Fターム(参考)】