赤外線発信器及び赤外線発信器の取付方法
【課題】従来より取付位置の自由度が高く、機器を交換するような場合でも取付位置を変更したりする必要のない赤外線発信器及び赤外線発信器の取付方法を提供する。
【解決手段】夫々異なる方向へ向けられた2つの赤外線LED5、6を、上下方向を軸として左右方向へ旋回する旋回台7に設置しており、旋回台7の旋回姿勢を調整することにより、赤外線LED5、6の姿勢を、エアコンの設置位置やエアコンにおける信号受信部の位置に応じて調整可能とした。また、赤外線透過性を有する合成樹脂製のカバー部材2を、前ケース3の前方側から着脱自在に設けた。
【解決手段】夫々異なる方向へ向けられた2つの赤外線LED5、6を、上下方向を軸として左右方向へ旋回する旋回台7に設置しており、旋回台7の旋回姿勢を調整することにより、赤外線LED5、6の姿勢を、エアコンの設置位置やエアコンにおける信号受信部の位置に応じて調整可能とした。また、赤外線透過性を有する合成樹脂製のカバー部材2を、前ケース3の前方側から着脱自在に設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばエアコン制御システム等に利用する赤外線発信器、及び該赤外線発信器を壁面等に取り付けるための取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえばエアコン制御システムでは、エアコンの運転を制御するためのリモコンに赤外線LEDを信号発信部として備えた赤外線発信器が用いられている(特許文献1)。そして、該赤外線発信器を室内の壁面等に取り付けておき、取り付けた状態のまま赤外線発信器を利用するといったことも一般的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−309379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、赤外線LEDから発せられる光は指向性が強いという特性を有している。そのため、赤外線発信器をリモコンとして使用する場合、エアコンの設置位置やエアコンにおける信号受信部の位置等に応じて、赤外線発信器の取付位置が限られてしまうという問題があった。
また、一般的にエアコンのメーカーや種類によって、エアコンにおける信号受信部の位置は様々となっている。したがって、エアコンを交換する際には、赤外線発信器の取付位置まで変更しなければならいという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、従来より取付位置の自由度が高く、機器を交換するような場合でも取付位置を変更したりする必要のない赤外線発信器及び赤外線発信器の取付方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、本体ケースの内部空間に赤外線LEDを収納してなる赤外線発信器であって、前記赤外線LEDの姿勢を調整可能な調整手段を設ける一方、前記本体ケースに、前記赤外線LEDを露出させる窓を開設するとともに、赤外線透過性を有する合成樹脂からなるカバー部材を、前記窓を覆うように、前記本体ケースの外側から着脱可能に設けたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記本体ケースの内部空間に、所定の軸周りで旋回可能な旋回台を設けるとともに、前記旋回台の表面に複数の前記赤外線LEDを夫々異なる方向へ向けて設置しており、前記旋回台の旋回姿勢を調整することにより、前記赤外線LEDの姿勢を調整可能としたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記旋回台の軸部と該軸部を支持する軸受部との対向面に夫々噛合面を周設する一方、前記旋回台を前記噛合面同士が噛合する方向へ付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明のうち請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の赤外線発信器を取付対象面に取り付ける赤外線発信器の取付方法であって、前記窓内に前記赤外線LEDが露出した状態で前記本体ケースを前記取付対象面に固定する第1ステップと、前記本体ケースを前記取付対象面に固定したまま、前記赤外線LEDの姿勢を調整する第2ステップと、前記窓を覆うように、前記カバー部材を装着する第3ステップとを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、赤外線LEDの姿勢を調整可能な調整手段を設けており、赤外線LEDの姿勢を、機器の設置位置や機器における信号受信部の位置に応じて調整可能としている。したがって、室内における赤外線発信器の取付位置の自由度が高い上、たとえ機器を交換するような場合でも取付位置を変更したりする必要がなく、使い勝手が非常に良い。
また、赤外線透過性を有する合成樹脂からなるカバー部材を、本体ケースに開設された窓を覆うように、本体ケースの外側から着脱可能に設けたため、取付対象面に本体ケースを固定した後に赤外線LEDの姿勢を調整することが可能であり、取付作業を非常に簡易に行うことができる。
また、請求項2及び3に記載の発明によれば、赤外線LEDの姿勢を容易に調整することができるし、又、その調整機構を簡易に構成することができ、低コスト化、構造の小型化等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】赤外線発信器の外観を示した斜視説明図である。
【図2】カバー部材を取り外した状態にある赤外線発信器を示した斜視説明図である。
【図3】前ケースを取り外した状態にある赤外線発信器を示した説明図である。
【図4】赤外線発信器の分解状態を示した斜視説明図である。
【図5】前ケースを後方から示した説明図である。
【図6】前ケースの要部を図5中の方向Aから示した説明図である。
【図7】カバー部材の説明図であって、(a)は下方から、(b)は後方から夫々示しており、(c)は(b)中のB−B線断面を示している。
【図8】赤外線LEDを備えた旋回台を示した斜視説明図である。
【図9】上仕切板を示した説明図である。
【図10】旋回台の旋回姿勢を調整する様子を示した説明図である。
【図11】赤外線発信器の変更例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる赤外線発信器及び赤外線発信器の取付方法について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、赤外線発信器1の外観を示した斜視説明図であり、図2は、カバー部材2を取り外した状態にある赤外線発信器1を示した斜視説明図である。図3は、前ケース3を取り外した状態にある赤外線発信器1を示した説明図であり、図4は、赤外線発信器1の分解状態を示した斜視説明図である。図5は、前ケース3を後方から示した説明図であり、図6は、前ケース3の要部を図5中の方向Aから示した説明図である。図7は、カバー部材2の説明図であって、(a)は下方から、(b)は後方から夫々示しており、(c)は(b)中のB−B線断面を示している。図8は、赤外線LED5、6を備えた旋回台7を示した斜視説明図であり、図9は、旋回台7を任意の旋回姿勢で維持するための機構を備えた上仕切板8を示した説明図である。
【0011】
赤外線発信器1は、エアコンを遠隔制御するために室内の壁面に取り付けられるものであって、前面が開口した箱状の後ケース4と、後ケース4の前面に組み付けられる前ケース3とからなる本体ケースの内部空間に、赤外線LED5、6を備えた旋回台7を任意の旋回姿勢で維持可能に収納してなる。後ケース4は、前面に開口する箱状の収納部4aと、該収納部4aの開口縁に沿って設けられた鍔部4bとからなり、収納部4a内には、後述する上仕切板8及び下仕切板9をネジ止めするためのネジ止め部10が設けられているとともに、赤外線LED5、6から発信する各種の信号を生成するための基板36等が収納可能となっている。また、鍔部4bには、上仕切板8及び下仕切板9をネジ止めするためのネジ孔11、11や図示しないスイッチボックスへ後ケース4をネジ止めするための固定孔12、12等が設けられている。
【0012】
一方、前ケース3は、後ケース4の鍔部4bを含めた前面を覆うように組み付けられる略板状のカバー体であって、中央には円形の窓13が開設されており、後ケース4に組み付けた際、窓13内に旋回台7が露出するようになっている。また、窓13には、赤外線透過性を有する樹脂により形成されたカバー部材2が取り付けられている。カバー部材2は、前方へ膨出するドーム状に成形されており、その後端縁には3つの係止爪14、14・・が後方へ突設されている。そして、各係止爪14には掛止突起14aが設けられている。以上のようなカバー部材2は、係止爪14、14・・を前ケース3の前方側から窓13内へ入れ込み、前後方向を軸として回転させて係止爪14、14・・を窓13の縁に設けられている被係止部15、15・・へ係止させることにより、前ケース3に取り付けられる。したがって、カバー部材2は、後ケース4へ組み付けた状態にある前ケース3に対して着脱自在となっている。尚、係止爪14の被係止部15への係止に際し、各係止爪14の掛止突起14aを被係止部15の溝15aに掛止させることにより、係止爪14の被係止部15への係止状態、すなわちカバー部材2の前ケース3への取付状態が維持されることになる。
【0013】
一方、旋回台7は、略直方体形状に成形された合成樹脂製のブロック体の正面に赤外線LED5、6を上下に並設してなるもので、上側の赤外線LED5は斜め上方を向く姿勢で、下側の赤外線LED6は前方を向く姿勢で夫々設置されている。また、赤外線LED5と赤外線LED6との間には、各赤外線LED5、6を設置する際のガイドとなるガイド板17が設けられている。さらに、赤外線LED5、6を左右両側から挟むように、一対の摘み壁18、18が上下方向へ延設されている。また、旋回台7の上面と下面とには、軸部16、19が上方又は下方へ夫々突設されている。上側の軸部16は、上仕切板8の上軸受部20で軸支される円筒体で、その外周面の正面側には、旋回台7の旋回動作を規制するための規制リブ21が上下方向へ延設されている。また、軸部16の基部には、軸側ラッチ22が噛合部を上方へ向けた状態で軸部16周りに周設されている。一方、下側の軸部19は、下仕切板9の下軸受部23で軸支される円筒体で、旋回台7を上方へ付勢するためのコイルバネ24が外嵌可能となっている。尚、25は、基板36に接続され、赤外線LED5、6を発光させるための電線である。
【0014】
また、上仕切板8は、収納部4aの前面開口の略上半分を覆うようにネジ止めされる板状体であって、左右両端部には、後ケース4へネジ止めするためのネジ止め部26、26が設けられている。また、上仕切板8の中央部には、旋回台7の上側の軸部16を軸支するための上軸受部20が前方へ突設されている。上軸受部20は、軸部16を下方から嵌入可能な筒状に形成されており、該上軸受部20の内周面には、旋回台7を左右夫々90度まで旋回させると規制リブ21が当接し、それ以上の旋回を規制するための一対の規制壁27、27が突設されている。また、上軸受部20の下端面で、軸部16を軸支する際に軸側ラッチ22と対向する位置には、軸側ラッチ22が噛合可能な軸受側ラッチ28が、噛合部を下方へ向けた状態で周設されている。尚、29は、後ケース4へネジ止めするためのネジ孔である。
【0015】
さらに、下仕切板9は、収納部4aの前面開口の略下半分を覆うようにネジ止めされる板状体であって、左右両端部には、後ケース4へネジ止めするためのネジ止め部30、30が設けられている。このネジ止め部30、30は、前方へ持ち上げられて形成されており、後ケース4へネジ止めする際に上仕切板8のネジ止め部26、26の前方に積層されるようになっている。さらに、下仕切板9の中央部には、旋回台7の下側の軸部19を軸支するための下軸受部23が前方へ突設されている。下軸受部23は、コイルバネ24が外嵌された軸部19を上方から嵌入可能な筒状に形成されている。尚、31は、後ケース4へネジ止めするためのネジ孔である。
【0016】
ここで、以上のような構成要素からなる赤外線発信器1の組立方法及び壁面への取付方法について説明する。
まず、後ケース4の収納部4a内に各種基板等を設置した後、後ケース4に対して上仕切板8をネジ止めする。次に、上軸受部20と下軸受部23とで旋回台7を挟み込みながら下仕切板9を後ケース4に対してネジ止めする。すると、旋回台7は、後ケース4に対して、上下方向を軸に左右方向へ旋回自在に組み付けられることになる。また、上述したように左右方向への旋回可能範囲は、規制リブ21及び規制壁27、27によって規制されることになる。さらに、コイルバネ24によって旋回台7は上方へ付勢されるため、任意の旋回姿勢で軸側ラッチ22と軸受側ラッチ28との噛合状態が維持可能となる。そして、壁面に埋設されているスイッチボックスに後ケース4をネジ止めした後、後ケース4に前ケース3を組み付ける。その後、図10に示すように、エアコンの設置位置やエアコンにおける信号受信部の位置の方向へ赤外線LED5若しくは赤外線LED6が向くように、摘み壁18、18を摘みながら旋回台7を左右方向へ旋回させて、その旋回姿勢を調整する。それから最後に、カバー部材2を窓13に装着すれば、赤外線発信器1の組み立て及び取り付けは完了となる。
【0017】
以上のような構成を有する赤外線発信器1によれば、夫々異なる方向へ向けられた2つの赤外線LED5、6を、上下方向を軸として左右方向へ旋回する旋回台7に設置しており、旋回台7の旋回姿勢を調整することにより、赤外線LED5、6の姿勢を、エアコンの設置位置やエアコンにおける信号受信部の位置に応じて調整可能としている。したがって、室内における赤外線発信器1の取付位置の自由度が高い上、たとえエアコンを交換するような場合でも取付位置を変更したりする必要がなく、使い勝手が非常に良い。
また、前ケース3に対して、その前方側からカバー部材2を装着することができる。すなわち、前ケース3を後ケース4に組み付けた状態のままカバー部材2を装着することができるため、壁面に本体ケースを固定した後に赤外線LED5、6の姿勢を調整することが可能であり、取付作業を非常に簡易に行うことができる。
【0018】
さらに、赤外線LED5、6を左右両側から挟むような位置に、一対の摘み壁18、18を設けているため、作業者は摘み壁18、18を摘んで旋回台7の旋回姿勢を調整することができる。したがって、旋回台7の旋回姿勢を調整しやすく、取付作業の一層の簡易化を図ることができる。
さらにまた、旋回台7に軸側ラッチ22を設ける一方、旋回台7を軸支する上軸受部20に軸受側ラッチ28を設けるとともに、コイルバネ24によって軸側ラッチ22と軸受側ラッチ28とが噛合する方向へ旋回台7を付勢するといった構成によって、旋回台7を任意の旋回姿勢で維持可能としている。したがって、簡易な構成で旋回台7を所望の旋回姿勢で維持することができ、低コスト化、構造の小型化等を図ることができる。
加えて、旋回台7の軸部16に規制リブ21を設ける一方、軸部16を支持する上仕切板8の上軸受部20の内周面に一対の規制壁27、27を設けており、規制壁27、27間でのみ規制リブ21の移動を許容することで、旋回台7が旋回しすぎる事態を防止可能としている。したがって、使い勝手の一層の向上を図ることができる。
【0019】
なお、本発明に係る赤外線発信器及び赤外線発信器の取付方法は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、前ケースの形状、赤外線LEDの向きを調整するための構成や赤外線LEDの数といった赤外線発信器に係る構成や、赤外線発信器の取付位置について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0020】
たとえば、前ケースとして、図11に示すような円板状の前ケース35を採用することも可能である。この前ケース35を採用することにより、後ケース4の上下方向が必ずしも壁面の上下方向と平行になっていないような場合(たとえば、赤外線LED5、6の方向を合わせるために、どうしても後ケース4を傾けて設置しなければならないような場合)であっても、壁面から露出する前ケース35は常に同じ姿勢となり、設置した際の見栄えがよい等といった効果がある。
【0021】
また、旋回台7を、左右方向を軸として上下方向へ旋回可能に取り付けるといった構成も採用可能であるし、赤外線LEDの数も上記実施形態の2つに何ら限定されることはなく、赤外線LEDの数を1つにするとともに、その姿勢を上下左右に調整可能としたような構成であってもよい。
さらに、上記実施形態では、赤外線発信器をエアコン制御システムのリモコンとして使用しているが、他のシステム(たとえば、照明制御システムや換気扇制御システム、トイレユニット制御システムやカーテン制御システム等)のリモコンとして使用することも可能である。
加えて、赤外線発信器の取付位置に関しても、壁面に限定されることはなく、天井面や床面等に取り付けても何ら問題はない。
【符号の説明】
【0022】
1・・赤外線発信器、2・・カバー部材、3、35・・前ケース(本体ケース)、4・・後ケース(本体ケース)、5、6・・赤外線LED、7・・旋回台、8・・上仕切板、9・・下仕切板、13・・窓、14・・係止爪、14a・・掛止突起、15・・被係止部、15a・・溝、16、19・・軸部、18・・摘み壁、20・・上軸受部、21・・規制リブ、22・・軸側ラッチ、23・・下軸受部、24・・コイルバネ、27・・規制壁、36・・基板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばエアコン制御システム等に利用する赤外線発信器、及び該赤外線発信器を壁面等に取り付けるための取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえばエアコン制御システムでは、エアコンの運転を制御するためのリモコンに赤外線LEDを信号発信部として備えた赤外線発信器が用いられている(特許文献1)。そして、該赤外線発信器を室内の壁面等に取り付けておき、取り付けた状態のまま赤外線発信器を利用するといったことも一般的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−309379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、赤外線LEDから発せられる光は指向性が強いという特性を有している。そのため、赤外線発信器をリモコンとして使用する場合、エアコンの設置位置やエアコンにおける信号受信部の位置等に応じて、赤外線発信器の取付位置が限られてしまうという問題があった。
また、一般的にエアコンのメーカーや種類によって、エアコンにおける信号受信部の位置は様々となっている。したがって、エアコンを交換する際には、赤外線発信器の取付位置まで変更しなければならいという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、従来より取付位置の自由度が高く、機器を交換するような場合でも取付位置を変更したりする必要のない赤外線発信器及び赤外線発信器の取付方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、本体ケースの内部空間に赤外線LEDを収納してなる赤外線発信器であって、前記赤外線LEDの姿勢を調整可能な調整手段を設ける一方、前記本体ケースに、前記赤外線LEDを露出させる窓を開設するとともに、赤外線透過性を有する合成樹脂からなるカバー部材を、前記窓を覆うように、前記本体ケースの外側から着脱可能に設けたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記本体ケースの内部空間に、所定の軸周りで旋回可能な旋回台を設けるとともに、前記旋回台の表面に複数の前記赤外線LEDを夫々異なる方向へ向けて設置しており、前記旋回台の旋回姿勢を調整することにより、前記赤外線LEDの姿勢を調整可能としたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記旋回台の軸部と該軸部を支持する軸受部との対向面に夫々噛合面を周設する一方、前記旋回台を前記噛合面同士が噛合する方向へ付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明のうち請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の赤外線発信器を取付対象面に取り付ける赤外線発信器の取付方法であって、前記窓内に前記赤外線LEDが露出した状態で前記本体ケースを前記取付対象面に固定する第1ステップと、前記本体ケースを前記取付対象面に固定したまま、前記赤外線LEDの姿勢を調整する第2ステップと、前記窓を覆うように、前記カバー部材を装着する第3ステップとを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、赤外線LEDの姿勢を調整可能な調整手段を設けており、赤外線LEDの姿勢を、機器の設置位置や機器における信号受信部の位置に応じて調整可能としている。したがって、室内における赤外線発信器の取付位置の自由度が高い上、たとえ機器を交換するような場合でも取付位置を変更したりする必要がなく、使い勝手が非常に良い。
また、赤外線透過性を有する合成樹脂からなるカバー部材を、本体ケースに開設された窓を覆うように、本体ケースの外側から着脱可能に設けたため、取付対象面に本体ケースを固定した後に赤外線LEDの姿勢を調整することが可能であり、取付作業を非常に簡易に行うことができる。
また、請求項2及び3に記載の発明によれば、赤外線LEDの姿勢を容易に調整することができるし、又、その調整機構を簡易に構成することができ、低コスト化、構造の小型化等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】赤外線発信器の外観を示した斜視説明図である。
【図2】カバー部材を取り外した状態にある赤外線発信器を示した斜視説明図である。
【図3】前ケースを取り外した状態にある赤外線発信器を示した説明図である。
【図4】赤外線発信器の分解状態を示した斜視説明図である。
【図5】前ケースを後方から示した説明図である。
【図6】前ケースの要部を図5中の方向Aから示した説明図である。
【図7】カバー部材の説明図であって、(a)は下方から、(b)は後方から夫々示しており、(c)は(b)中のB−B線断面を示している。
【図8】赤外線LEDを備えた旋回台を示した斜視説明図である。
【図9】上仕切板を示した説明図である。
【図10】旋回台の旋回姿勢を調整する様子を示した説明図である。
【図11】赤外線発信器の変更例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる赤外線発信器及び赤外線発信器の取付方法について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、赤外線発信器1の外観を示した斜視説明図であり、図2は、カバー部材2を取り外した状態にある赤外線発信器1を示した斜視説明図である。図3は、前ケース3を取り外した状態にある赤外線発信器1を示した説明図であり、図4は、赤外線発信器1の分解状態を示した斜視説明図である。図5は、前ケース3を後方から示した説明図であり、図6は、前ケース3の要部を図5中の方向Aから示した説明図である。図7は、カバー部材2の説明図であって、(a)は下方から、(b)は後方から夫々示しており、(c)は(b)中のB−B線断面を示している。図8は、赤外線LED5、6を備えた旋回台7を示した斜視説明図であり、図9は、旋回台7を任意の旋回姿勢で維持するための機構を備えた上仕切板8を示した説明図である。
【0011】
赤外線発信器1は、エアコンを遠隔制御するために室内の壁面に取り付けられるものであって、前面が開口した箱状の後ケース4と、後ケース4の前面に組み付けられる前ケース3とからなる本体ケースの内部空間に、赤外線LED5、6を備えた旋回台7を任意の旋回姿勢で維持可能に収納してなる。後ケース4は、前面に開口する箱状の収納部4aと、該収納部4aの開口縁に沿って設けられた鍔部4bとからなり、収納部4a内には、後述する上仕切板8及び下仕切板9をネジ止めするためのネジ止め部10が設けられているとともに、赤外線LED5、6から発信する各種の信号を生成するための基板36等が収納可能となっている。また、鍔部4bには、上仕切板8及び下仕切板9をネジ止めするためのネジ孔11、11や図示しないスイッチボックスへ後ケース4をネジ止めするための固定孔12、12等が設けられている。
【0012】
一方、前ケース3は、後ケース4の鍔部4bを含めた前面を覆うように組み付けられる略板状のカバー体であって、中央には円形の窓13が開設されており、後ケース4に組み付けた際、窓13内に旋回台7が露出するようになっている。また、窓13には、赤外線透過性を有する樹脂により形成されたカバー部材2が取り付けられている。カバー部材2は、前方へ膨出するドーム状に成形されており、その後端縁には3つの係止爪14、14・・が後方へ突設されている。そして、各係止爪14には掛止突起14aが設けられている。以上のようなカバー部材2は、係止爪14、14・・を前ケース3の前方側から窓13内へ入れ込み、前後方向を軸として回転させて係止爪14、14・・を窓13の縁に設けられている被係止部15、15・・へ係止させることにより、前ケース3に取り付けられる。したがって、カバー部材2は、後ケース4へ組み付けた状態にある前ケース3に対して着脱自在となっている。尚、係止爪14の被係止部15への係止に際し、各係止爪14の掛止突起14aを被係止部15の溝15aに掛止させることにより、係止爪14の被係止部15への係止状態、すなわちカバー部材2の前ケース3への取付状態が維持されることになる。
【0013】
一方、旋回台7は、略直方体形状に成形された合成樹脂製のブロック体の正面に赤外線LED5、6を上下に並設してなるもので、上側の赤外線LED5は斜め上方を向く姿勢で、下側の赤外線LED6は前方を向く姿勢で夫々設置されている。また、赤外線LED5と赤外線LED6との間には、各赤外線LED5、6を設置する際のガイドとなるガイド板17が設けられている。さらに、赤外線LED5、6を左右両側から挟むように、一対の摘み壁18、18が上下方向へ延設されている。また、旋回台7の上面と下面とには、軸部16、19が上方又は下方へ夫々突設されている。上側の軸部16は、上仕切板8の上軸受部20で軸支される円筒体で、その外周面の正面側には、旋回台7の旋回動作を規制するための規制リブ21が上下方向へ延設されている。また、軸部16の基部には、軸側ラッチ22が噛合部を上方へ向けた状態で軸部16周りに周設されている。一方、下側の軸部19は、下仕切板9の下軸受部23で軸支される円筒体で、旋回台7を上方へ付勢するためのコイルバネ24が外嵌可能となっている。尚、25は、基板36に接続され、赤外線LED5、6を発光させるための電線である。
【0014】
また、上仕切板8は、収納部4aの前面開口の略上半分を覆うようにネジ止めされる板状体であって、左右両端部には、後ケース4へネジ止めするためのネジ止め部26、26が設けられている。また、上仕切板8の中央部には、旋回台7の上側の軸部16を軸支するための上軸受部20が前方へ突設されている。上軸受部20は、軸部16を下方から嵌入可能な筒状に形成されており、該上軸受部20の内周面には、旋回台7を左右夫々90度まで旋回させると規制リブ21が当接し、それ以上の旋回を規制するための一対の規制壁27、27が突設されている。また、上軸受部20の下端面で、軸部16を軸支する際に軸側ラッチ22と対向する位置には、軸側ラッチ22が噛合可能な軸受側ラッチ28が、噛合部を下方へ向けた状態で周設されている。尚、29は、後ケース4へネジ止めするためのネジ孔である。
【0015】
さらに、下仕切板9は、収納部4aの前面開口の略下半分を覆うようにネジ止めされる板状体であって、左右両端部には、後ケース4へネジ止めするためのネジ止め部30、30が設けられている。このネジ止め部30、30は、前方へ持ち上げられて形成されており、後ケース4へネジ止めする際に上仕切板8のネジ止め部26、26の前方に積層されるようになっている。さらに、下仕切板9の中央部には、旋回台7の下側の軸部19を軸支するための下軸受部23が前方へ突設されている。下軸受部23は、コイルバネ24が外嵌された軸部19を上方から嵌入可能な筒状に形成されている。尚、31は、後ケース4へネジ止めするためのネジ孔である。
【0016】
ここで、以上のような構成要素からなる赤外線発信器1の組立方法及び壁面への取付方法について説明する。
まず、後ケース4の収納部4a内に各種基板等を設置した後、後ケース4に対して上仕切板8をネジ止めする。次に、上軸受部20と下軸受部23とで旋回台7を挟み込みながら下仕切板9を後ケース4に対してネジ止めする。すると、旋回台7は、後ケース4に対して、上下方向を軸に左右方向へ旋回自在に組み付けられることになる。また、上述したように左右方向への旋回可能範囲は、規制リブ21及び規制壁27、27によって規制されることになる。さらに、コイルバネ24によって旋回台7は上方へ付勢されるため、任意の旋回姿勢で軸側ラッチ22と軸受側ラッチ28との噛合状態が維持可能となる。そして、壁面に埋設されているスイッチボックスに後ケース4をネジ止めした後、後ケース4に前ケース3を組み付ける。その後、図10に示すように、エアコンの設置位置やエアコンにおける信号受信部の位置の方向へ赤外線LED5若しくは赤外線LED6が向くように、摘み壁18、18を摘みながら旋回台7を左右方向へ旋回させて、その旋回姿勢を調整する。それから最後に、カバー部材2を窓13に装着すれば、赤外線発信器1の組み立て及び取り付けは完了となる。
【0017】
以上のような構成を有する赤外線発信器1によれば、夫々異なる方向へ向けられた2つの赤外線LED5、6を、上下方向を軸として左右方向へ旋回する旋回台7に設置しており、旋回台7の旋回姿勢を調整することにより、赤外線LED5、6の姿勢を、エアコンの設置位置やエアコンにおける信号受信部の位置に応じて調整可能としている。したがって、室内における赤外線発信器1の取付位置の自由度が高い上、たとえエアコンを交換するような場合でも取付位置を変更したりする必要がなく、使い勝手が非常に良い。
また、前ケース3に対して、その前方側からカバー部材2を装着することができる。すなわち、前ケース3を後ケース4に組み付けた状態のままカバー部材2を装着することができるため、壁面に本体ケースを固定した後に赤外線LED5、6の姿勢を調整することが可能であり、取付作業を非常に簡易に行うことができる。
【0018】
さらに、赤外線LED5、6を左右両側から挟むような位置に、一対の摘み壁18、18を設けているため、作業者は摘み壁18、18を摘んで旋回台7の旋回姿勢を調整することができる。したがって、旋回台7の旋回姿勢を調整しやすく、取付作業の一層の簡易化を図ることができる。
さらにまた、旋回台7に軸側ラッチ22を設ける一方、旋回台7を軸支する上軸受部20に軸受側ラッチ28を設けるとともに、コイルバネ24によって軸側ラッチ22と軸受側ラッチ28とが噛合する方向へ旋回台7を付勢するといった構成によって、旋回台7を任意の旋回姿勢で維持可能としている。したがって、簡易な構成で旋回台7を所望の旋回姿勢で維持することができ、低コスト化、構造の小型化等を図ることができる。
加えて、旋回台7の軸部16に規制リブ21を設ける一方、軸部16を支持する上仕切板8の上軸受部20の内周面に一対の規制壁27、27を設けており、規制壁27、27間でのみ規制リブ21の移動を許容することで、旋回台7が旋回しすぎる事態を防止可能としている。したがって、使い勝手の一層の向上を図ることができる。
【0019】
なお、本発明に係る赤外線発信器及び赤外線発信器の取付方法は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、前ケースの形状、赤外線LEDの向きを調整するための構成や赤外線LEDの数といった赤外線発信器に係る構成や、赤外線発信器の取付位置について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0020】
たとえば、前ケースとして、図11に示すような円板状の前ケース35を採用することも可能である。この前ケース35を採用することにより、後ケース4の上下方向が必ずしも壁面の上下方向と平行になっていないような場合(たとえば、赤外線LED5、6の方向を合わせるために、どうしても後ケース4を傾けて設置しなければならないような場合)であっても、壁面から露出する前ケース35は常に同じ姿勢となり、設置した際の見栄えがよい等といった効果がある。
【0021】
また、旋回台7を、左右方向を軸として上下方向へ旋回可能に取り付けるといった構成も採用可能であるし、赤外線LEDの数も上記実施形態の2つに何ら限定されることはなく、赤外線LEDの数を1つにするとともに、その姿勢を上下左右に調整可能としたような構成であってもよい。
さらに、上記実施形態では、赤外線発信器をエアコン制御システムのリモコンとして使用しているが、他のシステム(たとえば、照明制御システムや換気扇制御システム、トイレユニット制御システムやカーテン制御システム等)のリモコンとして使用することも可能である。
加えて、赤外線発信器の取付位置に関しても、壁面に限定されることはなく、天井面や床面等に取り付けても何ら問題はない。
【符号の説明】
【0022】
1・・赤外線発信器、2・・カバー部材、3、35・・前ケース(本体ケース)、4・・後ケース(本体ケース)、5、6・・赤外線LED、7・・旋回台、8・・上仕切板、9・・下仕切板、13・・窓、14・・係止爪、14a・・掛止突起、15・・被係止部、15a・・溝、16、19・・軸部、18・・摘み壁、20・・上軸受部、21・・規制リブ、22・・軸側ラッチ、23・・下軸受部、24・・コイルバネ、27・・規制壁、36・・基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの内部空間に赤外線LEDを収納してなる赤外線発信器であって、
前記赤外線LEDの姿勢を調整可能な調整手段を設ける一方、
前記本体ケースに、前記赤外線LEDを露出させる窓を開設するとともに、赤外線透過性を有する合成樹脂からなるカバー部材を、前記窓を覆うように、前記本体ケースの外側から着脱可能に設けたことを特徴とする赤外線発信器。
【請求項2】
前記本体ケースの内部空間に、所定の軸周りで旋回可能な旋回台を設けるとともに、前記旋回台の表面に複数の前記赤外線LEDを夫々異なる方向へ向けて設置しており、
前記旋回台の旋回姿勢を調整することにより、前記赤外線LEDの姿勢を調整可能としたことを特徴とする請求項1に記載の赤外線発信器。
【請求項3】
前記旋回台の軸部と該軸部を支持する軸受部との対向面に夫々噛合面を周設する一方、前記旋回台を前記噛合面同士が噛合する方向へ付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載の赤外線発信器。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の赤外線発信器を取付対象面に取り付ける赤外線発信器の取付方法であって、
前記窓内に前記赤外線LEDが露出した状態で前記本体ケースを前記取付対象面に固定する第1ステップと、
前記本体ケースを前記取付対象面に固定したまま、前記赤外線LEDの姿勢を調整する第2ステップと、
前記窓を覆うように、前記カバー部材を装着する第3ステップと
を実行することを特徴とする赤外線発信器の取付方法。
【請求項1】
本体ケースの内部空間に赤外線LEDを収納してなる赤外線発信器であって、
前記赤外線LEDの姿勢を調整可能な調整手段を設ける一方、
前記本体ケースに、前記赤外線LEDを露出させる窓を開設するとともに、赤外線透過性を有する合成樹脂からなるカバー部材を、前記窓を覆うように、前記本体ケースの外側から着脱可能に設けたことを特徴とする赤外線発信器。
【請求項2】
前記本体ケースの内部空間に、所定の軸周りで旋回可能な旋回台を設けるとともに、前記旋回台の表面に複数の前記赤外線LEDを夫々異なる方向へ向けて設置しており、
前記旋回台の旋回姿勢を調整することにより、前記赤外線LEDの姿勢を調整可能としたことを特徴とする請求項1に記載の赤外線発信器。
【請求項3】
前記旋回台の軸部と該軸部を支持する軸受部との対向面に夫々噛合面を周設する一方、前記旋回台を前記噛合面同士が噛合する方向へ付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載の赤外線発信器。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の赤外線発信器を取付対象面に取り付ける赤外線発信器の取付方法であって、
前記窓内に前記赤外線LEDが露出した状態で前記本体ケースを前記取付対象面に固定する第1ステップと、
前記本体ケースを前記取付対象面に固定したまま、前記赤外線LEDの姿勢を調整する第2ステップと、
前記窓を覆うように、前記カバー部材を装着する第3ステップと
を実行することを特徴とする赤外線発信器の取付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−93058(P2012−93058A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242621(P2010−242621)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】
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