説明

走査型印刷装置、印刷方法、及び印刷制御プログラム

【課題】 初心者にも読みやすい音名付きの楽譜を作成できる走査型印刷装置、印刷方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】 走査型印刷装置は、画像読み取り手段と、印刷手段と、移動量検出手段と、動作モード設定手段と、読み取りモードが設定されたときに、読み取られる画像情報から、楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識手段と、画像情報及び移動量の情報に基づいて、楽譜情報認識手段により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定手段と、各音符の音名を設定する音名設定手段と、各音符の位置に対応させて音名を表す文字を印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成手段と、を備え、更に印刷モードが設定されたとき、装置本体が印刷物上を移動すると印刷データに基づいて印刷手段を動作させて、印刷物上に印刷されている楽譜の音符の位置に対応してその音符の音名を印刷する印刷制御手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型印刷装置と、この走査型印刷装置における印刷方法と、この印刷方法を走査型印刷装置のコンピュータに実行させる印刷制御プログラムと、に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、市販の楽譜には音符の音名が印刷されていないため、初心者には読みづらく、これが原因で音楽に対する興味を失う者が少なくなかった。そこで、初心者など音符読みに慣れていない人でもスムーズに音符を読み取ることができ、音符に対する苦手意識をなくすための種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、実登3028687号公報(特許文献1)には、楽譜の一部に貼付けて音符を容易に読み取り可能とした音符読み取り補助具についての提案がなされている。この音符読み取り補助具は、表面に五線とこの五線上や線間に複数の音符の符頭が表示されており、この符頭の横や内部に音名が表示されてなるシールであって、楽譜の隅や五線の横、五線の上などに貼付けて使用することができるものである。
【0004】
また、楽譜の画像を読み取って音楽記号を認識し、演奏及び楽譜表示のためのデータを作成する楽譜認識方法などについての提案もなされている。例えば、特開平11−194762号公報(特許文献2)には、楽譜情報を用いて2値化閾値の設定を行い、楽譜イメージを2値化画像として取り込む楽譜認識方法についての提案がなされている。この楽譜認識方法は、認識率に大きな影響を及ぼす画像2値化の閾値設定を認識に最適な値に自動で設定することができる構成とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実登3028687号公報
【特許文献2】特開平11−194762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の音符読み取り補助具は、楽譜が印刷された印刷物上の隅や五線の横、五線の上などにシールを貼付けて使用するものであるため、所定の音符の音名を知るためには、所定の音符とシールとを見比べる必要があり、スムーズに音名を知ることができるものではなかった。また、上記特許文献2に記載の楽譜認識方法は、当該方法により演奏や楽譜表示のためのデータを作ることができるも、音名などを楽譜に印刷する機能を有しているものではなかった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、音符を含む楽譜の画像情報を読み取り、読み取った画像情報と移動量の情報に基づいて、各音符の位置に対応させて各音符の音名を印刷することができるため、初心者にも読みやすい音名付きの楽譜を作成することができる走査型印刷装置と、該走査型印刷装置における印刷方法と、この印刷方法を走査型印刷装置のコンピュータに実行させる印刷制御プログラムと、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る走査型印刷装置は、画像読み取り手段と印刷手段とを装置本体に備え、その装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させて、その印刷物上の画像情報を読み取る一方、その印刷物上に対して印刷を行う走査型印刷装置であって、前記装置本体の移動時にその移動量を検出する移動量検出手段と、前記装置本体の移動時に前記画像読み取り手段を動作させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷手段を動作させる印刷モードを設定する動作モード設定手段と、前記動作モード設定手段により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り手段により読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識手段と、前記画像読み取り手段により読み取られる画像情報及び前記移動量検出手段により検出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識手段により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定手段と、前記楽譜情報認識手段により認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定手段と、前記音符位置設定手段により設定される各音符の位置に対応させて、前記音名設定手段により設定される各音符の音名を表す文字を印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成手段と、を備え、更に、前記動作モード設定手段により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記印刷物上を移動すると、前記印刷データ生成手段によって生成される印刷データに基づいて前記印刷手段を動作させて、前記印刷物上に印刷されている楽譜の音符の位置に対応してその音符の音名を印刷する印刷制御手段を備えることを特徴とする。
【0009】
また、第2の発明に係る走査型印刷装置は、画像読み取り手段と印刷手段とを装置本体に備え、その装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させて、その印刷物上の画像情報を読み取る一方、読み取った画像情報に所定の加工を施して記録紙上に印刷を行う走査型印刷装置であって、前記装置本体の移動時にその移動量を検出する移動量検出手段と、前記装置本体の移動時に前記画像読み取り手段を動作させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷手段を動作させる印刷モードを設定する動作モード設定手段と、前記動作モード設定手段により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り手段により読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識手段と、この読み取りモードが設定されているときに、前記画像読み取り手段により読み取られる楽譜の画像情報を記憶する画像情報記憶手段と、前記画像読み取り手段により読み取られる画像情報及び前記移動量検出手段により検出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識手段により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定手段と、前記楽譜情報認識手段により認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定手段と、前記画像情報記憶手段に記憶される楽譜の画像情報に基づいてその楽譜を印刷するための楽譜印刷データを生成するとともに、前記音符位置設定手段により設定される各音符の位置に対応させて、前記音名設定手段により設定される各音符の音名を表す文字を印刷するための音名印刷データを生成する印刷データ生成手段と、を備え、更に、前記動作モード設定手段により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成手段によって生成される楽譜印刷データに基づいて前記印刷手段を動作させて、前記記録紙上に楽譜を印刷し、続いて前記装置本体が初期位置から前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成手段によって生成される音名印刷データに基づいて前記印刷手段を動作させて、前記記録紙上に印刷した前記楽譜の音符の位置に対応してその音符の音名を印刷する印刷制御手段を備えることを特徴とする。
【0010】
そして、第3の発明に係る走査型印刷装置は、画像読み取り手段と印刷手段とを装置本体に備え、その装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させて、その印刷物上の画像情報を読み取る一方、読み取った画像情報に所定の加工を施して記録紙上に印刷を行う走査型印刷装置であって、前記装置本体の移動時にその移動量を検出する移動量検出手段と、前記装置本体の移動時に前記画像読み取り手段を動作させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷手段を動作させる印刷モードを設定する動作モード設定手段と、前記動作モード設定手段により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り手段により読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識手段と、この読み取りモードが設定されているときに、前記画像読み取り手段により読み取られる楽譜の画像情報を記憶する画像情報記憶手段と、前記画像読み取り手段により読み取られる画像情報及び前記移動量検出手段により検出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識手段により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定手段と、前記楽譜情報認識手段により認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定手段と、前記画像情報記憶手段に記憶される楽譜の画像情報に基づいてその楽譜を印刷するための楽譜印刷データを生成するとともに、前記音符位置設定手段により設定される各音符の位置の情報に基づいて、各音符の近傍に位置合わせして前記音名設定手段により設定される各音符の音名を表す文字を配置するべく、各音符の音名を表す文字を印刷するための音名印刷データを前記楽譜印刷データに合成して音名付き楽譜印刷データを生成する印刷データ生成手段と、を備え、更に、前記動作モード設定手段により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成手段によって生成される音名付き楽譜印刷データに基づいて前記印刷手段を動作させて、前記記録紙上に音符の音名を表記した楽譜を印刷する印刷制御手段を備えることを特徴とする。
【0011】
また、上記第1乃至3の何れかの発明に係る走査型印刷装置において、前記音名設定手段が、五線譜に対する各音符の符頭の位置に基づいて、各音符の音名を設定することを特徴とする。
【0012】
第4の発明に係る印刷方法は、走査型印刷装置の装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させたとき、その印刷物上の画像情報を読み取る画像読み取り処理、或いは、その印刷物上に対して印刷を行う印刷処理を実行する走査型印刷装置における印刷方法であって、前記装置本体の移動時にその移動量を算出する移動量算出処理と、前記装置本体の移動時に前記画像読み取り処理を実行させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷処理を実行させる印刷モードを設定するモード設定処理と、前記モード設定処理により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識処理と、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報及び前記移動量算出処理で算出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識処理により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定処理と、前記楽譜情報認識処理で認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定処理と、前記音符位置設定処理で設定される各音符の位置に対応させて、前記音名設定処理で設定される各音符の音名を表す文字を印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成処理と、を実行し、更に、前記モード設定処理により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記印刷物上を移動すると、前記印刷データ生成処理で生成される印刷データに基づいて前記印刷処理を実行させて、前記印刷物上に印刷されている楽譜の音符の位置に対応してその音符の音名を印刷する印刷制御処理を実行することを特徴とする。
【0013】
また、第5の発明に係る印刷方法は、走査型印刷装置の装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させたとき、その印刷物上の画像情報を読み取る画像読み取り処理、或いは、記録紙上に対して印刷を行う印刷処理を実行する走査型印刷装置における印刷方法であって、前記装置本体の移動時にその移動量を算出する移動量算出処理と、前記装置本体の移動時に前記画像読み取り処理を実行させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷処理を実行させる印刷モードを設定するモード設定処理と、前記モード設定処理により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識処理と、この読み取りモードが設定されているときに、前記画像読み取り処理で読み取られる楽譜の画像情報を記憶する画像情報記憶処理と、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報及び前記移動量算出処理で算出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識処理により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定処理と、前記楽譜情報認識処理で認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定処理と、前記画像情報記憶処理で記憶される楽譜の画像情報に基づいてその楽譜を印刷するための楽譜印刷データを生成するとともに、前記音符位置設定処理で設定される各音符の位置に対応させて、前記音名設定処理で設定される各音符の音名を表す文字を印刷するための音名印刷データを生成する印刷データ生成処理と、を実行し、更に、前記モード設定処理により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成処理で生成される楽譜印刷データに基づいて前記印刷処理を実行させて、前記記録紙上に楽譜を印刷し、続いて前記装置本体が初期位置から前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成処理で生成される音名印刷データに基づいて前記印刷処理を実行させて、前記記録紙上に印刷した前記楽譜の音符の位置に対応してその音符の音名を印刷する印刷制御処理を実行することを特徴とする。
【0014】
そして、第6の発明に係る印刷方法は、走査型印刷装置の装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させたとき、その印刷物上の画像情報を読み取る画像読み取り処理、或いは、読み取った画像情報に所定の加工を施して記録紙上に印刷を行う印刷処理を実行する走査型印刷装置における印刷方法であって、前記装置本体の移動時にその移動量を算出する移動量算出処理と、前記装置本体の移動時に前記画像読み取り処理を実行させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷処理を実行させる印刷モードを設定するモード設定処理と、前記モード設定処理により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識処理と、この読み取りモードが設定されているときに、前記画像読み取り処理で読み取られる楽譜の画像情報を記憶する画像情報記憶処理と、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報及び前記移動量算出処理で算出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識処理により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定処理と、前記楽譜情報認識処理で認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定処理と、前記画像情報記憶処理で記憶される楽譜の画像情報に基づいてその楽譜を印刷するための楽譜印刷データを生成するとともに、前記音符位置設定処理で設定される各音符の位置の情報に基づいて、各音符の近傍に位置合わせして前記音名設定処理で設定される各音符の音名を表す文字を配置するべく、各音符の音名を表す文字を印刷するための音名印刷データを前記楽譜印刷データに合成して音名付き楽譜印刷データを生成する印刷データ生成処理と、を実行し、更に、前記モード設定処理により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成処理で生成される音名付き楽譜印刷データに基づいて前記印刷処理を実行させて、前記記録紙上に音符の音名を表記した楽譜を印刷する印刷制御処理を実行することを特徴とする。
【0015】
また、上記第4乃至6の何れかの発明に係る印刷方法において、前記音名設定処理では、五線譜に対する各音符の符頭の位置に基づいて、各音符の音名を設定することを特徴とする。
【0016】
第7の発明に係る印刷制御プログラムは、走査型印刷装置の装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させたとき、その印刷物上の画像情報を読み取る画像読み取り処理、或いは、その印刷物上に対して印刷を行う印刷処理を走査型印刷装置のコンピュータに実行させるための印刷制御プログラムであって、前記コンピュータに、前記装置本体の移動時にその移動量を算出する移動量算出処理と、前記装置本体の移動時に前記画像読み取り処理を実行させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷処理を実行させる印刷モードを設定するモード設定処理と、前記モード設定処理により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識処理と、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報及び前記移動量算出処理で算出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識処理により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定処理と、前記楽譜情報認識処理で認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定処理と、前記音符位置設定処理で設定される各音符の位置に対応させて、前記音名設定処理で設定される各音符の音名を表す文字を印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成処理と、を実行させ、更に、前記モード設定処理により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記印刷物上を移動すると、前記印刷データ生成処理で生成される印刷データに基づいて前記印刷処理を実行させて、前記印刷物上に印刷されている楽譜の音符の位置に対応してその音符の音名を印刷する印刷制御処理を実行させることを特徴とする。
【0017】
また、第8の発明に係る印刷制御プログラムは、走査型印刷装置の装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させたとき、その印刷物上の画像情報を読み取る画像読み取り処理、或いは、記録紙上に対して印刷を行う印刷処理を走査型印刷装置のコンピュータに実行させるための印刷制御プログラムであって、前記コンピュータに、前記装置本体の移動時にその移動量を算出する移動量算出処理と、前記装置本体の移動時に前記画像読み取り処理を実行させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷処理を実行させる印刷モードを設定するモード設定処理と、前記モード設定処理により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識処理と、この読み取りモードが設定されているときに、前記画像読み取り処理で読み取られる楽譜の画像情報を記憶する画像情報記憶処理と、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報及び前記移動量算出処理で算出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識処理により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定処理と、前記楽譜情報認識処理で認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定処理と、前記画像情報記憶処理で記憶される楽譜の画像情報に基づいてその楽譜を印刷するための楽譜印刷データを生成するとともに、前記音符位置設定処理で設定される各音符の位置に対応させて、前記音名設定処理で設定される各音符の音名を表す文字を印刷するための音名印刷データを生成する印刷データ生成処理と、を実行させ、更に、前記モード設定処理により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成処理で生成される楽譜印刷データに基づいて前記印刷処理を実行させて、前記記録紙上に楽譜を印刷し、続いて前記装置本体が初期位置から前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成処理で生成される音名印刷データに基づいて前記印刷処理を実行させて、前記記録紙上に印刷した前記楽譜の音符の位置に対応してその音符の音名を印刷する印刷制御処理を実行させることを特徴とする。
【0018】
そして、第9の発明に係る印刷制御プログラムは、走査型印刷装置の装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させたとき、その印刷物上の画像情報を読み取る画像読み取り処理、或いは、読み取った画像情報に所定の加工を施して記録紙上に印刷を行う印刷処理を走査型印刷装置のコンピュータに実行させるための印刷制御プログラムであって、前記コンピュータに、前記装置本体の移動時にその移動量を算出する移動量算出処理と、前記装置本体の移動時に前記画像読み取り処理を実行させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷処理を実行させる印刷モードを設定するモード設定処理と、前記モード設定処理により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識処理と、この読み取りモードが設定されているときに、前記画像読み取り処理で読み取られる楽譜の画像情報を記憶する画像情報記憶処理と、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報及び前記移動量算出処理で算出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識処理により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定処理と、前記楽譜情報認識処理で認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定処理と、前記画像情報記憶処理で記憶される楽譜の画像情報に基づいてその楽譜を印刷するための楽譜印刷データを生成するとともに、前記音符位置設定処理で設定される各音符の位置の情報に基づいて、各音符の近傍に位置合わせして前記音名設定処理で設定される各音符の音名を表す文字を配置するべく、各音符の音名を表す文字を印刷するための音名印刷データを前記楽譜印刷データに合成して音名付き楽譜印刷データを生成する印刷データ生成処理と、を実行させ、更に、前記モード設定処理により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成処理で生成される音名付き楽譜印刷データに基づいて前記印刷処理を実行させて、前記記録紙上に音符の音名を表記した楽譜を印刷する印刷制御処理を実行させることを特徴とする。
【0019】
また、上記第7乃至9の何れかの発明に係る印刷制御プログラムにおいて、前記音名設定処理では、五線譜に対する各音符の符頭の位置に基づいて、各音符の音名を設定する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、音符を含む楽譜の画像情報を読み取り、読み取った画像情報と移動量の情報に基づいて、各音符の位置に対応させて各音符の音名を印刷することができるため、初心者にも読みやすい音名付きの楽譜を作成することができる走査型印刷装置と、該走査型印刷装置における印刷方法と、この印刷方法を走査型印刷装置のコンピュータに実行させる印刷制御プログラムと、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る走査型印刷装置の内部構成を示す側面模式図である。
【図2】上記走査型印刷装置の電子回路のブロック図である。
【図3】ROMに格納されている音名割り当てデータの説明図である。
【図4】読み取りモードにおける制御処理のフローチャートである。
【図5】印刷物上の楽譜の読み取り動作を示す説明図である。
【図6】RAMに格納される移動量と音名の情報を示す説明図である。
【図7】印刷モードにおける制御処理のフローチャートである。
【図8】印刷物上の楽譜の音符の位置に対応させて音名を印刷する動作を示す説明図である。
【図9】記録紙上に楽譜を印刷し、続いて印刷した音符の位置に対応させて音名を印刷する動作を示す説明図である。
【図10】記録紙上に音名付き楽譜を印刷する動作を示す説明図である。
【図11】読み取り動作及び印刷動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施するための形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る走査型印刷装置1の内部構成を示す側面模式図である。図2は、本発明の実施形態に係る走査型印刷装置1の電子回路のブロック図である。そして、図3は、本発明の実施形態に係る走査型印刷装置1のROMに格納されている音名割り当てデータの説明図である。
【0023】
本発明の実施形態に係る走査型印刷装置1は、画像読み取り手段と印刷手段とを装置本体に備え、その装置本体を音符などを含む楽譜が印刷された印刷物上で移動させて、その印刷物上の画像情報を読み取る一方、その印刷物上に対して印刷を行うことができる構成とされる。
【0024】
この走査型印刷装置1は、図1に示すように、印刷物上に押し当てながら移動させることで、印刷物に印刷されている画像を読み取る機能と、紙などに読み取った画像や入力した文字や模様等を印刷する機能と、を有している。そして、この走査型印刷装置1は、楽譜の五線譜や音符、音部記号などの楽譜の画像情報を読み取って音符を認識し、楽譜の印刷された印刷物上の各音符に対応する位置にド、レ、ミなどの音名を印刷することができる機能を有している。以下、本発明の実施形態に係る走査型印刷装置1の特徴である読み取った楽譜の画像情報に基づいて、各音符に音名を表記する機能と、この機能を実現するための各部の構成について詳説する。
【0025】
この走査型印刷装置1は、把持することのできる大きさに形成された中空方形状の筐体2を有している。筐体2の側面上部には液晶表示面上にタッチセンサー面が積層されて成るタッチパネル4が形成されている。
【0026】
タッチパネル4は、各種の設定のための選択メニュー、各種の処理に関するメッセージ等が表示されるものであって、手指やタッチペン等によって各種の設定、データの入力や選択入力が行えるようになっている。
【0027】
また、筐体2の側面には動作切換スイッチ7、動作スイッチ5、電源スイッチ3などのスイッチ類や、電源用インジケータや読み取りランプなどのLEDが配設されている。そして、筐体2の下面にはインクジェットヘッド6に対応した位置に開口が形成され、筐体2の下方両端部近傍には紙などに接触されるローラ8が配設されている。
【0028】
動作切換スイッチ7は、紙などにローラ8を当接させた状態で装置本体(走査型印刷装置1の全体)を移動させたときに一次元イメージセンサ21及びLEDアレイ20を動作させる読み取りモード又はインクジェットヘッド6を動作させる印刷モードの何れかを設定する動作モード設定手段とされる。
【0029】
そして、この走査型印刷装置1は、筐体2の内部に画像読み取り手段である一次元イメージセンサ21、LEDアレイ20及びレンズ22を備えている。LEDアレイ20は、読み取り対象となる楽譜の印刷された印刷物を照明するものである。一次元イメージセンサ21は、読み取り幅24mm、解像度8dots/mmのラインCCD等から構成され、LEDアレイ20により照明された印刷物上の画像をレンズ22を介して読み取る。
【0030】
また、この走査型印刷装置1は、筐体2の内部に印刷手段であるインクジェットヘッド6を備えている。インクジェットヘッド6は、筐体2の下面の開口に対応して配設され、筐体2のローラ8を平面台などに載置された紙などの印刷対象面に接触させたとき、インクジェットヘッド6のノズルから印刷対象面に対して垂直方向にインクを吐出させることで、印刷を行うことができるようになっている。
【0031】
また、筐体2の内部には、ロータリーエンコーダ9が配設されており、不図示のギア列或いはベルトを介してローラ8の回転にロータリーエンコーダ9のスリット円盤の回転機構が連動している。したがって、ローラ8を読み取り対象面或いは印刷対象面に載置して装置本体を移動させたとき、ローラ8の回転に応じたパルス信号がロータリーエンコーダ9から発生されて後述する制御部に送信され、制御部はそのパルス信号をタイミング信号として一次元イメージセンサ21或いはインクジェットヘッド6を駆動して、読み取り動作或いは印刷動作を行う。即ち、このロータリーエンコーダ9は、装置本体の移動時にその移動量を検出する移動量検出手段として機能する。
【0032】
さらに、図示しないが、筐体2には、パーソナルコンピュータ等の外部機器と接続するための入力端子、メモリーカード等の記憶媒体が挿入される挿入口等も形成されている。
【0033】
次に、走査型印刷装置1の回路構成について説明する。この走査型印刷装置1は、図2に示すように、CPUからなる制御部10を備えている。この制御部10には、ROM12及びRAM13が接続されている。また、制御部10には、タッチパネル4と、キー入力部14と、ロータリーエンコーダ9と、が接続されている。
【0034】
制御部10は、制御手段とされるマイクロコンピュータとしてのCPUであって、キー入力部14からのキー操作信号に応じて、又は、自動でROM12に予め記憶されているシステムプログラム、外部機器から読み込まれた制御プログラムや外部通信ネットワーク上のWebサーバから読み込んだ制御プログラムなどを起動させ、RAM13をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。
【0035】
ROM12は、キー入力部14やタッチパネル4から入力された情報に基づいてタッチパネル4の表示画面上にメニュー画面等を表示させるためのプログラムや、読み取った画像情報に基づいて印刷データを生成するためのプログラム、印刷フォント等が記憶され、制御部10で読み取り可能な印刷制御プログラムが記憶された記憶媒体として機能する。
【0036】
また、ROM12には、音名を割り当てるための情報が記憶されている。この情報は、図3に示すように、五線譜に対する各音符の符頭の位置に基づいて、各音符の音名を設定するための条件であり、具体的には、五線譜における基準線から音符の符頭の中心までの距離rと、読み取った五線譜の線と線との距離hと、の関係から音名を割り当てるための条件についての情報である。さらに、ROM12には、読み取った五線譜の線と線との距離hに対応する音符の符頭の形状データや音部記号の形状データ等が記憶されている。
【0037】
RAM13は、キー入力部14やタッチパネル4で入力されたデータや各種設定の編集情報をワークメモリとして記憶する処理等を行う。また、RAM13には、一次元イメージセンサ21により読み取られた五線譜や音符などの画像情報を記憶する画像情報メモリ領域が確保されている。
【0038】
ロータリーエンコーダ9は、インクリメンタル式のエンコーダであり、ローラ8が回転したときに回転されるスリット列を有する回転板と、該回転板を挟むように配設される2組の発光素子及び受光素子とを備えている。また、このロータリーエンコーダ9は、回転板が回転したときに発光素子から射出されてスリットを通る光を受光素子に受光させることで、走査型印刷装置1の移動量を検出する信号としてパルス信号を制御部10に送信する。
【0039】
制御部10は、ロータリーエンコーダ9からの移動量検出信号としてのパルス信号の入力をカウントすることにより、装置本体の移動量を算出する。そして、制御部10は、走査型印刷装置1の移動量に対応して、画像データ制御部23或いは印刷制御部16を制御して、1ライン動作毎に画像を読み取るように一次元イメージセンサ21を動作させ或いはノズル列から1ライン動作毎にインクが吐出されるようにインクジェットヘッド6を動作させる。なお、制御部10は、算出した装置本体の移動量に基づいて印刷モード終了の判定も行う。
【0040】
画像データ制御部23は、画像の読み取り時にLEDアレイ20を点灯し、走査型印刷装置1が所定量移動して、制御部10を介して受信するロータリーエンコーダ9からのパルス信号を受信することにより、一次元イメージセンサ21の1ライン分の出力を読み込み、これを画像情報として制御部10に供給する。制御部10は供給された画像情報をRAM13の画像情報メモリ領域に保存する。つまり、RAM13は、動作切換スイッチ7により読み取りモードが設定されているときに、一次元イメージセンサ21により読み取られる楽譜の画像情報を記憶する画像情報記憶手段として機能する。
【0041】
そして、制御部10は、動作切換スイッチ7が操作されて読み取りモードが設定されたとき、一次元イメージセンサ21により読み取られる画像情報から、印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識手段として機能する。
【0042】
また、制御部10は、一次元イメージセンサ21により読み取られる画像情報及びロータリーエンコーダ9により検出される移動量の情報に基づいて、認識した複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定手段として機能する。さらに、制御部10は、認識した複数の各音符の音名を設定する音名設定手段として機能する。
【0043】
そしてまた、制御部10は、設定した各音符の位置に対応させて、設定した各音符の音名を表す文字を印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成手段として機能する。生成された印刷データは、RAM13の印刷バッファに格納される。
【0044】
印刷制御手段である印刷制御部16は、動作切換スイッチ7が操作されて印刷モードが設定されたとき、ユーザが動作スイッチ5を押しながら楽譜の印刷された印刷物上で装置本体を移動させると、制御部10が生成しRAM13に記憶された印刷データに基づいて印刷物上に印刷されている楽譜の音符の位置に対応してその音符の音名を印刷するようにインクジェットヘッド6を動作させる。
【0045】
バッテリ18は、装置内の回路各部に電圧を供給する。そして、電圧調整部17は、装置本体が適正に印刷できるようにバッテリ18の電圧レベルを監視し、所定の電圧レベルを下回ると警告等を報知してユーザに充電又はバッテリ18の交換を促す。
【0046】
そして、制御部10は、ROM12に格納される印刷制御プログラムに基づいて、走査型印刷装置1の装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させたとき、その印刷物上の画像情報を読み取る画像読み取り処理、或いは、その印刷物上に対して印刷を行う印刷処理を実行することができるようになっている。以下、本実施形態の走査型印刷装置1が特徴とする楽譜の画像読み取り処理及び楽譜が印刷された印刷物上への印刷制御処理について説明する。先ず、図4のフローチャートを参照して読み取りモードにおける処理について説明する。この走査型印刷装置1は、ユーザが電源スイッチ3を入れることで電源がオン状態となり、動作モードの設定が可能な状態となる。このとき、制御部10は、ユーザの操作に基づいて、装置本体の移動時に画像読み取り処理を実行させる読み取りモード、又は装置本体の移動時に印刷処理を実行させる印刷モードの何れかを設定するモード設定処理を実行可能なモード設定手段として機能する。
【0047】
そして、ユーザが動作切換スイッチ7を操作すると、制御部10は動作モードを読み取りモードに設定する。読み取りモードが開始され、ユーザがローラ8を楽譜の印刷された印刷物上に当接させた状態で動作スイッチ5を押すと、動作スイッチ5の入力信号が受信されて(ステップS101)、制御部10は画像読み取り処理を開始する(ステップS105)。また、ステップS105では、装置本体の移動時にその移動量の検出も開始される。
【0048】
画像読み取り及び移動量の検出が開始されると、制御部10は、開始した時点での印刷物上の所定位置を基準位置とするために、移動量の情報を初期化する処理を実行する。つまり、制御部10は、装置本体の移動時に受信する移動量検出情報に基づいて基準位置(読み取り開始位置)からの装置本体の移動量を算出する構成とされる。
【0049】
例えば、図5(a)に示すように、楽譜が印刷された印刷物上において、楽譜の左辺50が基準位置となるように装置本体を配置して動作スイッチ5を操作すると、制御部10は、移動量の情報を初期化する。なお、図5(a)は、走査型印刷装置1における一次元イメージセンサ21による読み取りラインSの中心位置Cが五線譜の第3線であって、読み取りラインSが楽譜の左辺50上に位置するように装置本体が配置された状態を模式的に表している。
【0050】
そして、図5(b)に示すように、装置本体を五線譜の長さ方向に移動させると、楽譜の左辺50からの移動量が算出される。また、制御部10は、画像データ制御部23を制御してLEDアレイ20を点灯させて、読み取り対象である楽譜が印刷された印刷物を照明する。さらに、制御部10は、画像データ制御部23を制御して一次元イメージセンサ21を駆動し、LEDアレイ20により照明された印刷物上の五線譜及び音符などの画像をレンズ22を介して読み取って、読み取った画像情報をRAM13に格納する画像情報記憶処理を実行する。即ち、この走査型印刷装置1は、装置本体が楽譜の印刷された印刷物上で移動したとき、その印刷物上の画像情報を読み取る画像読み取り処理と、読み取った画像情報をRAM13に格納する画像情報記憶処理を実行可能に構成されている。
【0051】
この画像読み取り処理及び移動量算出処理は、動作スイッチ5がオフ状態となるかエラー表示が出力されるまで実行されることになる。そして、制御部10は、モード設定処理により読み取りモードが設定されたときに、画像読み取り処理で読み取られる画像情報から、印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識処理を実行する。つまり、図5に示したように、楽譜の印刷された印刷物上で走査(スキャン)されると、制御部10は5本の平行線から成る五線譜の画像情報や音符の画像情報、ト音記号やヘ音記号などの音部記号の画像情報を認識する処理を実行する。
【0052】
制御部10は、画像読み取り処理が開始されると、読み取られた画像情報中に5本の平行線が有るか否かを判定する処理(ステップS111)を実行する。5本の平行線が有ると判定された場合、制御部10は、読み取った画像情報中の平行線間の幅の平均値hを算出し、RAM13に記憶する(ステップS121)。また、このステップでは、五線譜の第3線を音名基準線として設定する処理も行われる。なお、5本の平行線がないと判定された場合、制御部10は、所定距離だけ読み込んだ画像の中に楽譜の五線譜が位置していないことを知らせるためのエラー表示を表示画面に表示させる(ステップS401)。
【0053】
次に制御部10は、音部記号を認識する音部記号認識処理(ステップS123)を実行する。この音部記号認識処理(ステップS123)では、読み取られた画像情報とROM12に格納されている音部記号の画像情報とを比較して、読み取られた音部記号がト音記号であるのかヘ音記号であるのか、若しくはハ音記号であるのかを判定する。さらに、音部記号が五線譜上のどの位置に配置されているのかも認識する。例えば、図5(b)に示したように、読み取った音部記号がト音記号51であることを制御部10が認識し、そのト音記号51が五線譜の第2線に位置していると認識した場合、制御部10は、五線譜の第2線がト音であることを設定する。
【0054】
なお、音部記号は、読み取った画像情報から認識させることなく、ユーザが予め所定の音名が五線譜のどの位置の音符に対応するものなのかを指定しておくこともできる。この場合、音部記号認識処理(ステップS123)は省略される。
【0055】
そして、制御部10は、既に読み取った音符の数nが読み取り可能な最大数max.n以下か否かを判定する処理(ステップS125)を実行する。このステップS125において、既に読み取った音符の数nが読み取り可能な最大数max.nを超えていると判定された場合、制御部10は、ユーザにこれ以上新たな音符を読み取らせることができない旨を知らせるためのエラー表示を表示画面に表示させる(ステップS401)。
【0056】
そして、ステップS125において、既に読み取った音符の数nが読み取り可能な最大数max.n以下であると判定された場合、次ステップS131に進み、制御部10は動作スイッチ5の操作が終了したか否かを判定する。ここで、ユーザが動作スイッチ5の操作を止めていれば、制御部10は読み取りモードを終了し、ユーザの操作が終了していなければ、制御部10は読み取りモードを継続する。
【0057】
読み取りモードを継続する場合、制御部10は、音符を認識したか否かを判定する処理(ステップS135)を実行する。このステップでは、装置本体を移動させて、音符の画像情報が読み取られると、制御部10は、上記した平行線間の幅の平均値hの値から音符の符頭の大きさを算出する。そして、制御部10は、ROM12に記憶されている音符の符頭の形状データを参照して照合する。
【0058】
照合の結果、音符を認識したと判定した場合、制御部10は、画像の読み取りを開始した初期位置(基準位置)からの移動量xが検出可能とされる移動量の最大値max.x以下か否かを判定する処理(ステップS141)を実行する。なお、ステップS135において音符が認識されない場合は、動作スイッチ5の操作が終了したか否かを判定する処理(ステップS131)に戻る。
【0059】
そして、ステップS141において、移動量xが最大値max.xを超えている場合、制御部10は、ユーザにこれ以上読み取りモードを実行できない旨を知らせるためのエラー表示を表示画面に表示させる(ステップS401)。
【0060】
これに対して、ステップS141において、移動量xが最大値max.x以下である場合、制御部10は、読み取りランプを点灯させる処理(ステップS145)を実行して、ユーザに音符を読み取ったことを知らせる。
【0061】
そして、制御部10は、読み取った画像情報及び算出した移動量の情報に基づいて、認識された音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定処理(ステップS151)を実行する。このステップS151では、n番目の音符を認識した時点の移動量X(n)をRAM13に保存する。また、制御部10は、音名基準線から読み取った音符の符頭の中心までの距離rを取得する処理(ステップS201)を実行する。
【0062】
次に、制御部10は、認識された音符の音名を設定する音名設定処理(ステップS211)を実行する。このステップS211では、ROM12に記憶されている音名割り当てデータ(図3参照)に基づいて、音名を決定する。例えば、音名基準線(第3線)から音符の符頭の中心までの距離rが0であれば、シの音名が割り当てられRAM13に記憶される。また、音名基準線から音符の符頭の中心までの距離rが−2.5hであれば、レの音名が割れ当てられRAM13に記憶される。よって、RAM13には、音符の音名と位置の情報が対応して記憶されることになる。ここで、距離の正負は、音名基準線に対して譜面の上方向を正方向とし、譜面の下方向を負の方向としている。
【0063】
つまり、図5(c)に示したように、装置本体を五線譜上で移動させて1番目の音符(4分音符)52を読み取ると、制御部10は、例えば1番目の音符52は、基準位置(楽譜の左辺50)から音符52の符頭52aの中心までの距離X(1)=15mmであることをRAM13に記憶させる音符位置設定処理を実行する。さらに、制御部10は、音名基準線から音符52の符頭52aの中心までの距離r=−2.5hであることを算出して、音名割り当てデータ(図3参照)からレの音名を設定する音名設定処理を実行する。
【0064】
そして、図4に示したように、音名を設定する処理を実行した制御部10は、読み取った音符の数をカウントアップし(ステップS301)、読み取りランプを消灯して(ステップS305)、ユーザに音符の読み取りが終了したことを知らせる。次に、制御部10は、音符位置設定処理で設定された基準位置から音符までの距離(即ち、五線譜の長さ方向における音符の位置)に対応させて、音名設定処理で設定された音符の音名を表す文字を印刷するための音名印刷データを生成する印刷データ生成処理(ステップS315)を実行する。そして、次の音符を認識するためにステップS125に戻る。これらの処理は音符を読み取る毎に実行され、図6に示すように、次々に各音符の五線譜の長さ方向における位置と、各音符の音名が設定され、複数の音符の位置情報と音名情報が対応づけられてRAM13に記憶される。
【0065】
なお、ROM12に記憶される音符の符頭の形状データは、図5(d)に示したような、4分音符52や8分音符54などのように黒塗りの符頭52aに限らず、全音符や2分音符53などの白抜きの符頭53aの形状データも記憶されており、2分音符53を読み取った際にも、基準位置からの移動量X(n)及び音名基準線からの距離rを設定することができる。
【0066】
次に、図7のフローチャートを参照して印刷モードにおける処理について説明する。ユーザが動作切換スイッチ7を操作すると、制御部10は動作モードを印刷モードに設定する。印刷モードが開始され、ユーザがローラ8を印刷物上に当接させた状態で動作スイッチ5を押すと、制御部10は、動作スイッチ5の入力信号を受信して(ステップS501)、移動量の検出を開始する(ステップS505)。
【0067】
ロータリーエンコーダ9により移動量の検出が開始されると、制御部10は受信したパルス信号をカウントして装置本体の移動量を算出する。この移動量算出処理は、上記と同様に、動作スイッチがオフ状態となるかエラー表示が出力されるまで実行されることになる。そして、モード設定処理によりこの印刷モードが設定されているときに、装置本体が印刷物上を移動すると、制御部10は、生成された音名印刷データに基づいて、インクジェットヘッド6をロータリーエンコーダ9からのパルス信号に応じて1ライン動作毎に駆動制御する印刷処理を実行することで、装置本体の移動距離に合わせて、即ち読み取りモードにおいて設定した印刷物上に印刷されている楽譜の音符の位置に対応させて、その音符の音名を印刷する印刷制御処理を実行する。
【0068】
具体的には、移動量の検出が開始されると、制御部10は、先ず既に印刷した音符の数N(図6に示したデータ番号に相当)が上記した読み取りモードにおいて読み取った音符の総数n以下か否かを判定する処理(ステップS511)を実行する。
【0069】
ステップS511において、既に印刷した音符の数Nが読み取った音符の総数n以下であると判定された場合、次ステップS515に進み動作スイッチ5の操作が終了したか否かを判定する。ステップS515において、動作スイッチ5の操作が終了したと判定された場合、制御部10は、ユーザに読み取った全ての音符に対応する音名を印刷しておらず正常な終了ではないことを知らせるエラー表示を表示画面に表示させる(ステップS535)。
【0070】
ステップS515において、動作スイッチ5の操作が終了していないと判定された場合、制御部10は、印刷モードを継続して次ステップS521に進む。制御部10は、ステップS521において、現時点の移動量xが音符の位置に対応する移動量X(n)に達したか否かを判定する処理(ステップS521)を実行する。
【0071】
そして、現時点の移動量xが音符位置に対応する移動量X(n)に達しない間はステップS515に戻り、現時点の移動量xが音符位置に対応する移動量X(n)に達すると、制御部10は、データ番号Nの音名を印刷する処理(ステップS525)を実行する。
【0072】
また、制御部10は、印刷した音符の数をカウントアップ(ステップS531)し、ステップS511に戻る。そして、ステップS511において、既に印刷した音符の数Nが読み取りモードにおいて読み取った音符の総数nを超えていると判定された場合、制御部10は、読み取った全ての音符に対応する音名を印刷し終えたことにより、印刷モードを終了する。
【0073】
つまり、ユーザは印刷前の準備として、図8(a)に示すように、インクジェットヘッド6の中心位置Cを五線譜に直交する方向において印刷したい位置に配置させ、且つ、上記した読み取りモード時に読み取りを開始した初期位置、例えば五線譜の左辺50にインクジェットヘッド6を一致させるように配置させる。次に、ユーザが動作スイッチ5を押しながら、図8(b)に示すように、装置本体を五線譜に沿って移動させると、1番目の音符の近傍(真下など)にインクジェットヘッド6が位置したとき、1番目の音符(4分音符52)に対応する音名が印字されることになる。
【0074】
さらに、ユーザが動作スイッチ5を押しながら装置本体を移動させれば、図8(c)に示すように、2番目、3番目の音符の音名が順次印刷されることになる。そして、各音符の符頭の距離に対応して各音符の音名が印字されることになるため、図8(d)に示すように、2分音符53や8分音符54が混在している場合であっても、音符の真下に対応する音名が印刷されることになる。
【0075】
以上のように、本実施形態によれば、音符を含む楽譜の画像情報を読み取り、読み取った画像情報と移動量の情報に基づいて、各音符の位置に対応させて各音符の音名を印刷することができるため、初心者にも読みやすい音名付きの楽譜を作成することができる走査型印刷装置1と、該走査型印刷装置1における印刷方法と、この印刷方法を走査型印刷装置1のコンピュータに実行させる印刷制御プログラムと、を提供することができる。
【0076】
また、この走査型印刷装置1は、五線譜に対する各音符の符頭の位置に基づいて、各音符の音名を設定する構成とされているため、適切に音符の音名を割り当てることができる。なお、音名の設定は、五線譜に対する音符の符頭の位置に基づいて設定することなく、一つ前の音符との相対距離により音名を設定する(一つ目の音符の音名はユーザが入力)など種々の方法を採用することができる。
【0077】
そして、本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。例えば、上記した走査型印刷装置1は、音名を楽譜の印刷された印刷物上に追加するように印刷する構成としたが、読み込んだ楽譜の五線譜や音符などを記録紙に印刷させ、その後に上記と同様に音名を印刷する構成としてもよい。また、読み込んだ楽譜の五線譜や音符を音名とともに記録紙に印刷させる構成とすることもできる。
【0078】
楽譜の五線譜や音符などの画像を印刷可能とする走査型印刷装置1は、制御部10が図4に示した読み取りモード時における印刷データ生成処理(ステップS315)において、音名を印刷するための音名印刷データを生成するとともに、RAM13に記憶される楽譜の画像情報に基づいてその楽譜を印刷するための楽譜印刷データを生成する。
【0079】
そして、この走査型印刷装置1の制御部10は、ユーザの動作切換スイッチ7の操作を受けて、楽譜を印刷する楽譜印刷モードを設定する処理を実行する。この楽譜印刷モードが設定されているときに、動作スイッチ5が押された状態で装置本体が白紙などの記録紙上を移動すると、図9(a)に示すように、制御部10は印刷データ生成処理で生成された楽譜印刷データに基づいて記録紙上に音符52〜54を含む楽譜を印刷する印刷処理を実行する。そして、ユーザが楽譜の印刷から音名の印刷へと切換えるべくスイッチやタッチパネル4を操作すると、制御部10は、音名を印刷する音名印刷モードを設定する処理を実行する。
【0080】
この音名印刷モードが設定されているときに、続いて動作スイッチ5が押された状態で装置本体が進行方向における読み取り開始位置(初期位置)から記録紙上を移動すると、図7に示したフローチャートと同様に、制御部10は、印刷データ生成処理で生成された音名印刷データに基づいて印刷処理を実行して、図9(b)に示すように、記録紙上に印刷した楽譜の音符52〜54の位置に対応してその音符52〜54の音名を印刷する印刷制御処理を実行する。つまり、この走査型印刷装置1は、読み取った楽譜の画像情報を印刷し、その後、印刷した楽譜の音符52〜54の真下に順次音名を印刷することができるようになっている。
【0081】
このように、読み取った楽譜も印刷可能にすることで、冒頭の4小節だけなど楽譜の一部を読み取って白紙などの記録紙上に印刷することができる。これにより、楽譜の一部分だけについて集中的に楽器や発声の練習をすることができ、また、購入した楽譜印刷物に直に音名を印刷する必要もない。
【0082】
また、読み込んだ楽譜の五線譜や音符などの画像を音名とともに記録紙に印刷させる走査型印刷装置1は、読み取った画像情報に所定の加工を施して記録紙上に印刷を行う構成とされる。そして、制御部10は、図4に示した読み取りモード時における印刷データ生成処理(ステップS315)において、RAM13に記憶される楽譜の画像情報に基づいてその楽譜を印刷するための楽譜印刷データを生成する。また、制御部10は、設定した各音符の位置の情報に基づいて、各音符の近傍(音符の真下など)に位置合わせして、設定された各音符の音名を表す文字を配置するべく、各音符の音名を表す文字を印刷するための音名印刷データを楽譜印刷データに合成して音名付き楽譜印刷データを生成する。
【0083】
そして、モード設定処理により印刷モードが設定されているときに、装置本体が記録紙上を移動すると、図10に示すように、生成された音名付き楽譜印刷データに基づいて印刷処理を実行することで記録紙上に音符の音名を表記した楽譜を印刷する。即ち、この走査型印刷装置1は、図7に示したように、音名を音符に対応させて印刷するだけでなく、楽譜の五線譜や音符、音部記号などの読み取り画像も合わせて印刷する。
【0084】
本実施形態によれば、印刷モード開始時にユーザーが位置合わせをすることなく、初心者にも読みやすい音名付きの楽譜を作成することができる走査型印刷装置1と、該走査型印刷装置1における印刷方法と、この印刷方法を走査型印刷装置1のコンピュータに実行させる印刷制御プログラムと、を提供することができる。
【0085】
そして、図5及び図8では、ト音記号51を認識させた場合について説明したが、へ音記号56を認識させた場合も同様に音名を音符の位置に対応させて印刷することができる。つまり、図11(a)に示すように、音部記号であるヘ音記号56を読み取れば、制御部10は、へ音記号56の配置される五線譜の第4線をヘ音として設定する。これにより、図11(b)に示すように、音符を次々に認識する際に、読み取ったへ音記号56に対応する音名が設定されることになる。
【0086】
また、図11(c)に示すように、基準位置にインクジェットヘッド6の中心位置Cを配置させて印刷モードを実行すれば、図11(d)に示すように、各音符の対応する位置に音名が記載されることになる。
【0087】
そして、音名は、フランス式について説明したが、これに限定されることなく、アメリカ式、日本式、ドイツ式など種々の音名を表記させてもよい。さらに、音名ではなく、予めユーザが五線譜の所定の位置の音名を設定することで、階名を音符の位置に対応させて印刷することもできる。
【0088】
そして、楽譜は五線譜に限定されることなく、四線譜や六線譜など種々の楽譜に適用可能とする構成としてもよい。また、基準位置については、楽譜の左辺を基準位置とする場合に限定されることもない。さらに、走査型印刷装置1は、読み取りモード開始時に、その地点に基準位置(初期位置)であることを示すマークを印刷する構成とすることもできる。
【0089】
なお、本実施形態におけるフローチャートに示した処理は、コンピュータに実現させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に書き込んだ状態で各種装置に適用する、或いは、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。このように所望の記憶媒体に本実施形態で述べた各処理を記憶させ、他のコンピュータ等でプログラムを実行させることにより、本実施形態の装置を用いた場合と同様の作用効果が得られる。なお、コンピュータは、本実施形態で述べた装置に内蔵されたコンピュータに限定されるわけではなく、記憶媒体に記憶されたプログラムを読み取り可能であって、読み取ったプログラムに従って制御動作を行うCPU等の演算装置を備えているあらゆるコンピュータを含む。
【0090】
さらに、本実施形態では、手動で装置本体を移動させて印刷対象に音名などを印刷する走査型印刷装置1を適用した場合について説明してきたが、印刷物上を自動で走査して印刷させる走査型印刷装置にも適用できる。また、走査型印刷装置1としては、この楽譜読み取り機能や印刷制御機能を主な機能とした専用機としてシンプルな構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0091】
1 走査型印刷装置 2 筐体
3 電源スイッチ 4 タッチパネル
5 動作スイッチ 6 インクジェットヘッド
7 動作切換スイッチ 8 ローラ
9 ロータリーエンコーダ 10 制御部
12 ROM 13 RAM
14 キー入力部 16 印刷制御部
17 電圧調整部 18 バッテリ
20 LEDアレイ 21 一次元イメージセンサ
22 レンズ 23 画像データ制御部
50 左辺 51 ト音記号
52 4分音符 52a 符頭
53 2分音符 53a 符頭
54 8分音符 56 へ音記号


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読み取り手段と印刷手段とを装置本体に備え、その装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させて、その印刷物上の画像情報を読み取る一方、その印刷物上に対して印刷を行う走査型印刷装置であって、
前記装置本体の移動時にその移動量を検出する移動量検出手段と、
前記装置本体の移動時に前記画像読み取り手段を動作させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷手段を動作させる印刷モードを設定する動作モード設定手段と、
前記動作モード設定手段により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り手段により読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識手段と、
前記画像読み取り手段により読み取られる画像情報及び前記移動量検出手段により検出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識手段により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定手段と、
前記楽譜情報認識手段により認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定手段と、
前記音符位置設定手段により設定される各音符の位置に対応させて、前記音名設定手段により設定される各音符の音名を表す文字を印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成手段と、を備え、更に、
前記動作モード設定手段により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記印刷物上を移動すると、前記印刷データ生成手段によって生成される印刷データに基づいて前記印刷手段を動作させて、前記印刷物上に印刷されている楽譜の音符の位置に対応してその音符の音名を印刷する印刷制御手段を備えることを特徴とする走査型印刷装置。
【請求項2】
画像読み取り手段と印刷手段とを装置本体に備え、その装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させて、その印刷物上の画像情報を読み取る一方、読み取った画像情報に所定の加工を施して記録紙上に印刷を行う走査型印刷装置であって、
前記装置本体の移動時にその移動量を検出する移動量検出手段と、
前記装置本体の移動時に前記画像読み取り手段を動作させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷手段を動作させる印刷モードを設定する動作モード設定手段と、
前記動作モード設定手段により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り手段により読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識手段と、
この読み取りモードが設定されているときに、前記画像読み取り手段により読み取られる楽譜の画像情報を記憶する画像情報記憶手段と、
前記画像読み取り手段により読み取られる画像情報及び前記移動量検出手段により検出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識手段により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定手段と、
前記楽譜情報認識手段により認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定手段と、
前記画像情報記憶手段に記憶される楽譜の画像情報に基づいてその楽譜を印刷するための楽譜印刷データを生成するとともに、前記音符位置設定手段により設定される各音符の位置に対応させて、前記音名設定手段により設定される各音符の音名を表す文字を印刷するための音名印刷データを生成する印刷データ生成手段と、を備え、更に、
前記動作モード設定手段により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成手段によって生成される楽譜印刷データに基づいて前記印刷手段を動作させて、前記記録紙上に楽譜を印刷し、続いて前記装置本体が初期位置から前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成手段によって生成される音名印刷データに基づいて前記印刷手段を動作させて、前記記録紙上に印刷した前記楽譜の音符の位置に対応してその音符の音名を印刷する印刷制御手段を備えることを特徴とする走査型印刷装置。
【請求項3】
画像読み取り手段と印刷手段とを装置本体に備え、その装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させて、その印刷物上の画像情報を読み取る一方、読み取った画像情報に所定の加工を施して記録紙上に印刷を行う走査型印刷装置であって、
前記装置本体の移動時にその移動量を検出する移動量検出手段と、
前記装置本体の移動時に前記画像読み取り手段を動作させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷手段を動作させる印刷モードを設定する動作モード設定手段と、
前記動作モード設定手段により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り手段により読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識手段と、
この読み取りモードが設定されているときに、前記画像読み取り手段により読み取られる楽譜の画像情報を記憶する画像情報記憶手段と、
前記画像読み取り手段により読み取られる画像情報及び前記移動量検出手段により検出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識手段により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定手段と、
前記楽譜情報認識手段により認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定手段と、
前記画像情報記憶手段に記憶される楽譜の画像情報に基づいてその楽譜を印刷するための楽譜印刷データを生成するとともに、前記音符位置設定手段により設定される各音符の位置の情報に基づいて、各音符の近傍に位置合わせして前記音名設定手段により設定される各音符の音名を表す文字を配置するべく、各音符の音名を表す文字を印刷するための音名印刷データを前記楽譜印刷データに合成して音名付き楽譜印刷データを生成する印刷データ生成手段と、を備え、更に、
前記動作モード設定手段により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成手段によって生成される音名付き楽譜印刷データに基づいて前記印刷手段を動作させて、前記記録紙上に音符の音名を表記した楽譜を印刷する印刷制御手段を備えることを特徴とする走査型印刷装置。
【請求項4】
前記音名設定手段は、五線譜に対する各音符の符頭の位置に基づいて、各音符の音名を設定することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の走査型印刷装置。
【請求項5】
走査型印刷装置の装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させたとき、その印刷物上の画像情報を読み取る画像読み取り処理、或いは、その印刷物上に対して印刷を行う印刷処理を実行する走査型印刷装置における印刷方法であって、
前記装置本体の移動時にその移動量を算出する移動量算出処理と、
前記装置本体の移動時に前記画像読み取り処理を実行させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷処理を実行させる印刷モードを設定するモード設定処理と、
前記モード設定処理により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識処理と、
前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報及び前記移動量算出処理で算出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識処理により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定処理と、
前記楽譜情報認識処理で認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定処理と、
前記音符位置設定処理で設定される各音符の位置に対応させて、前記音名設定処理で設定される各音符の音名を表す文字を印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成処理と、を実行し、更に、
前記モード設定処理により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記印刷物上を移動すると、前記印刷データ生成処理で生成される印刷データに基づいて前記印刷処理を実行させて、前記印刷物上に印刷されている楽譜の音符の位置に対応してその音符の音名を印刷する印刷制御処理を実行することを特徴とする印刷方法。
【請求項6】
走査型印刷装置の装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させたとき、その印刷物上の画像情報を読み取る画像読み取り処理、或いは、記録紙上に対して印刷を行う印刷処理を実行する走査型印刷装置における印刷方法であって、
前記装置本体の移動時にその移動量を算出する移動量算出処理と、
前記装置本体の移動時に前記画像読み取り処理を実行させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷処理を実行させる印刷モードを設定するモード設定処理と、
前記モード設定処理により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識処理と、
この読み取りモードが設定されているときに、前記画像読み取り処理で読み取られる楽譜の画像情報を記憶する画像情報記憶処理と、
前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報及び前記移動量算出処理で算出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識処理により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定処理と、
前記楽譜情報認識処理で認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定処理と、
前記画像情報記憶処理で記憶される楽譜の画像情報に基づいてその楽譜を印刷するための楽譜印刷データを生成するとともに、前記音符位置設定処理で設定される各音符の位置に対応させて、前記音名設定処理で設定される各音符の音名を表す文字を印刷するための音名印刷データを生成する印刷データ生成処理と、を実行し、更に、
前記モード設定処理により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成処理で生成される楽譜印刷データに基づいて前記印刷処理を実行させて、前記記録紙上に楽譜を印刷し、続いて前記装置本体が初期位置から前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成処理で生成される音名印刷データに基づいて前記印刷処理を実行させて、前記記録紙上に印刷した前記楽譜の音符の位置に対応してその音符の音名を印刷する印刷制御処理を実行することを特徴とする印刷方法。
【請求項7】
走査型印刷装置の装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させたとき、その印刷物上の画像情報を読み取る画像読み取り処理、或いは、読み取った画像情報に所定の加工を施して記録紙上に印刷を行う印刷処理を実行する走査型印刷装置における印刷方法であって、
前記装置本体の移動時にその移動量を算出する移動量算出処理と、
前記装置本体の移動時に前記画像読み取り処理を実行させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷処理を実行させる印刷モードを設定するモード設定処理と、
前記モード設定処理により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識処理と、
この読み取りモードが設定されているときに、前記画像読み取り処理で読み取られる楽譜の画像情報を記憶する画像情報記憶処理と、
前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報及び前記移動量算出処理で算出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識処理により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定処理と、
前記楽譜情報認識処理で認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定処理と、
前記画像情報記憶処理で記憶される楽譜の画像情報に基づいてその楽譜を印刷するための楽譜印刷データを生成するとともに、前記音符位置設定処理で設定される各音符の位置の情報に基づいて、各音符の近傍に位置合わせして前記音名設定処理で設定される各音符の音名を表す文字を配置するべく、各音符の音名を表す文字を印刷するための音名印刷データを前記楽譜印刷データに合成して音名付き楽譜印刷データを生成する印刷データ生成処理と、を実行し、更に、
前記モード設定処理により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成処理で生成される音名付き楽譜印刷データに基づいて前記印刷処理を実行させて、前記記録紙上に音符の音名を表記した楽譜を印刷する印刷制御処理を実行することを特徴とする印刷方法。
【請求項8】
前記音名設定処理において、五線譜に対する各音符の符頭の位置に基づいて、各音符の音名を設定することを特徴とする請求項5乃至請求項7の何れか1項に記載の印刷方法。
【請求項9】
走査型印刷装置の装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させたとき、その印刷物上の画像情報を読み取る画像読み取り処理、或いは、その印刷物上に対して印刷を行う印刷処理を走査型印刷装置のコンピュータに実行させるための印刷制御プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記装置本体の移動時にその移動量を算出する移動量算出処理と、
前記装置本体の移動時に前記画像読み取り処理を実行させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷処理を実行させる印刷モードを設定するモード設定処理と、
前記モード設定処理により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識処理と、
前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報及び前記移動量算出処理で算出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識処理により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定処理と、
前記楽譜情報認識処理で認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定処理と、
前記音符位置設定処理で設定される各音符の位置に対応させて、前記音名設定処理で設定される各音符の音名を表す文字を印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成処理と、を実行させ、更に、
前記モード設定処理により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記印刷物上を移動すると、前記印刷データ生成処理で生成される印刷データに基づいて前記印刷処理を実行させて、前記印刷物上に印刷されている楽譜の音符の位置に対応してその音符の音名を印刷する印刷制御処理を実行させることを特徴とする印刷制御プログラム。
【請求項10】
走査型印刷装置の装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させたとき、その印刷物上の画像情報を読み取る画像読み取り処理、或いは、記録紙上に対して印刷を行う印刷処理を走査型印刷装置のコンピュータに実行させるための印刷制御プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記装置本体の移動時にその移動量を算出する移動量算出処理と、
前記装置本体の移動時に前記画像読み取り処理を実行させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷処理を実行させる印刷モードを設定するモード設定処理と、
前記モード設定処理により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識処理と、
この読み取りモードが設定されているときに、前記画像読み取り処理で読み取られる楽譜の画像情報を記憶する画像情報記憶処理と、
前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報及び前記移動量算出処理で算出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識処理により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定処理と、
前記楽譜情報認識処理で認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定処理と、
前記画像情報記憶処理で記憶される楽譜の画像情報に基づいてその楽譜を印刷するための楽譜印刷データを生成するとともに、前記音符位置設定処理で設定される各音符の位置に対応させて、前記音名設定処理で設定される各音符の音名を表す文字を印刷するための音名印刷データを生成する印刷データ生成処理と、を実行させ、更に、
前記モード設定処理により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成処理で生成される楽譜印刷データに基づいて前記印刷処理を実行させて、前記記録紙上に楽譜を印刷し、続いて前記装置本体が初期位置から前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成処理で生成される音名印刷データに基づいて前記印刷処理を実行させて、前記記録紙上に印刷した前記楽譜の音符の位置に対応してその音符の音名を印刷する印刷制御処理を実行させることを特徴とする印刷制御プログラム。
【請求項11】
走査型印刷装置の装置本体を楽譜が印刷された印刷物上で移動させたとき、その印刷物上の画像情報を読み取る画像読み取り処理、或いは、読み取った画像情報に所定の加工を施して記録紙上に印刷を行う印刷処理を走査型印刷装置のコンピュータに実行させるための印刷制御プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記装置本体の移動時にその移動量を算出する移動量算出処理と、
前記装置本体の移動時に前記画像読み取り処理を実行させる読み取りモード、又は前記装置本体の移動時に前記印刷処理を実行させる印刷モードを設定するモード設定処理と、
前記モード設定処理により読み取りモードが設定されたときに、前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報から、前記印刷物に記録されている楽譜中の音符を含む楽譜情報についての認識を行う楽譜情報認識処理と、
この読み取りモードが設定されているときに、前記画像読み取り処理で読み取られる楽譜の画像情報を記憶する画像情報記憶処理と、
前記画像読み取り処理で読み取られる画像情報及び前記移動量算出処理で算出される移動量の情報に基づいて、前記楽譜情報認識処理により認識される複数の各音符の五線譜の長さ方向における位置を設定する音符位置設定処理と、
前記楽譜情報認識処理で認識される複数の各音符の音名を設定する音名設定処理と、
前記画像情報記憶処理で記憶される楽譜の画像情報に基づいてその楽譜を印刷するための楽譜印刷データを生成するとともに、前記音符位置設定処理で設定される各音符の位置の情報に基づいて、各音符の近傍に位置合わせして前記音名設定処理で設定される各音符の音名を表す文字を配置するべく、各音符の音名を表す文字を印刷するための音名印刷データを前記楽譜印刷データに合成して音名付き楽譜印刷データを生成する印刷データ生成処理と、を実行させ、更に、
前記モード設定処理により印刷モードが設定されたとき、前記装置本体が前記記録紙上を移動すると、前記印刷データ生成処理で生成される音名付き楽譜印刷データに基づいて前記印刷処理を実行させて、前記記録紙上に音符の音名を表記した楽譜を印刷する印刷制御処理を実行させることを特徴とする印刷制御プログラム。
【請求項12】
前記音名設定処理において、五線譜に対する各音符の符頭の位置に基づいて、各音符の音名を設定する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項9乃至請求項11の何れか1項に記載の印刷制御プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−20459(P2012−20459A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159454(P2010−159454)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】