説明

走査型投射装置

【課題】
簡単な構成で解像度がよく、かつ明るい画像が投射可能な走査型投射装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
レーザ光源から出射した光ビームを走査する走査型投射装置において、コリメータレンズ102と走査素子110との間にビーム縮小整形プリズムを配置し、楕円形である光ビーム径の長軸方向を縮小しビーム整形することで、光ビームが走査素子110内の偏向ミラー120の有効径内に収まり効率よく光ビームを反射させ、明るい画像が投射可能になるとともに、ビーム整形効果にて解像度を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術として、例えば、特許文献1には「使用環境に左右されず、狭いスペースにおいても、小型でありながら、広画角の画像を高解像度で、かつ高画質で表示できる光走査型プロジェクタを提供する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−32797
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、半導体レーザ光源から出射した光ビームを画面上に2次元走査し、画像を表示する走査型投射装置が実現されている。この走査型投射装置は、レーザ光源を用いるため従来の投射装置に比べて色再現範囲を広くすることができ、かつ小型化も可能なため、次世代の表示デバイスとして期待されている。
【0005】
さて、走査型投射装置で明るい画像を投射するためには、光ビームのエネルギーをできるだけ効率よく筐体から出射させる課題がある。
【0006】
また、走査型投射装置の場合、1本の光ビームがスクリーン上に形成する1個の光スポットが1画素に相当する。画像上下方向と左右方向の解像度を一致させるため、スクリーン上の光スポットは円径であることが望ましい。一方、半導体レーザから出射する光ビームの遠視野光強度分布(以下、FFP)は楕円形であるため、スクリーン上の光スポットも楕円形となる。そのため、画像上下方向と左右方向の解像度が不一致となる課題がある。
【0007】
このような課題に対し、特許文献1には、2個のプリズムを用いて、上記のような楕円形のFFPにおいて短軸方向の光スポット径を広げることでFFPを略円形にし、画像上下方向と左右方向の解像度を一致させる光学系を提案している。しかしながら、光ビームの短軸方向を広げると光ビームのエネルギー密度が低下するため効率が劣化し、明るい画像を投射することができない課題が残る。
【0008】
本発明は、簡単な構成で解像度がよく、かつ明るい画像が投射可能な走査型投射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、特許請求の範囲に記載の構成により達成できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、簡単な構成で解像度がよく、かつ明るい画像が投射可能な走査型投射装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1における走査型投射装置100の構成図である。
【図2】実施例1におけるビーム縮小整形プリズム107の説明図である。
【図3】実施例1におけるビーム縮小整形プリズム107を設置しない場合の偏向ミラー120上における光ビームの断面図である。
【図4】特許文献1におけるビーム整形プリズムを設置した場合の偏向ミラー120上における光ビームの断面図である。
【図5】実施例1におけるビーム縮小整形プリズム107通過後の偏向ミラー120上における光ビームの断面図である。
【図6】実施例1における走査型投射装置200の構成図である。
【図7】実施例1における走査型投射装置300の構成図である。
【図8】実施例2における走査型投射装置400の構成図である。
【図9】実施例3における走査型投射装置500の構成図である。
【図10】実施例4における走査型投射装置600の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図に示す実施例に基づいて詳細に説明するが、これによりこの本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1について図を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明における実施例1の走査型投射装置100の説明図である。図中一点鎖線は、光ビームの光軸を示す。
【0015】
レーザ光源101は例えば520nm帯の緑色光ビームを出射する半導体レーザである。レーザ光源101から出射した緑色光ビームは、コリメータレンズ102にて平行光ビームないし弱収束光ビームに変換される。
【0016】
次に、緑色光ビームは、ビーム縮小整形プリズム107に入射する。レーザ光源101は半導体レーザを想定しているため、半導体レーザから出射した光ビームのFFPは楕円形をしている。そのため、ビーム縮小整形プリズム107に入射する緑色光ビームの断面形状も楕円形になっている。ここで、レーザ光源101は、上記のようなFFPの楕円形の長軸方向が紙面と水平方向になるよう回転調整していることを想定している。ビーム縮小整形プリズム107は、紙面に平行な方向については緑色光ビームの入射面側が光ビームに対して略垂直、出射面側が斜面になっており、一方、紙面に垂直な方向については、緑色光ビームの入射側、出射側が共に略垂直になっている。このビーム縮小整形プリズム107は、緑色光ビームの断面形状の長軸方向のみを縮小し、断面形状をほぼ円形に整形する機能をもつ。ビーム縮小整形プリズム107の詳細は、後述する。
【0017】
レーザ光源103は例えば640nm帯の赤色光ビームを出射する半導体レーザである。レーザ光源103から出射した赤色光ビームは、コリメータレンズ104にて平行光ビームないし弱収束光ビームに変換される。
【0018】
レーザ光源105は例えば440nm帯の青色光ビームを出射する半導体レーザである。レーザ光源105から出射した青色光ビームは、コリメータレンズ106にて平行光ビームないし弱収束光ビームに変換される。
【0019】
光合成素子108は、緑色光ビームを透過、赤色光ビームを反射する波長選択性ミラーである。さらに、緑色光ビームと赤色光ビームの光軸が略一致するよう調整される。
【0020】
光合成素子109は、緑色光ビームおよび赤色光ビームを透過、青色光ビームを反射する機能がある波長選択性ミラーである。青色光ビームと緑色および赤色光ビームの光軸が略一致するよう調整される。
【0021】
合成された3色の光ビームは、走査素子110に入射する。走査素子110は、偏向ミラー120と、偏向ミラー120を駆動するための駆動電極等(図示せず)で構成される。偏向ミラー120は、水平走査軸と垂直走査軸を有し、偏向ミラー120を各走査軸のまわりに偏向駆動することで光ビームをスクリーン上に2次元走査する機能がある。偏向ミラー120は、例えばMicro Electro Mechanical Systems(以下、MEMS)ミラーや、ガルバノミラー等を用いることで実現できる。なお、走査素子110は、2枚の偏向ミラーで構成され、1枚目の偏向ミラーは垂直走査軸をもち、2枚目の偏向ミラーは水平走査軸を有してもよい。
【0022】
走査素子110を通過した3色の光ビームは、走査型投射装置100の下面に設けた透明カバー111に入射する。透明カバー111は、3色の光ビームの透過率が十分に高い透明なガラスまたはプラスチックのカバー想定しており、走査型投射装置100内に入り込む粉塵等による、光学部品の透過率の劣化や走査素子110の故障などを防ぐことが可能となる。
【0023】
透明カバー111を通過した3色の光ビームは、外部に設置されているスクリーン上の同じ位置に3個の光スポットを重ねて形成する。すなわち、スクリーン上には1個の光スポットとして確認できる。本実施例の走査型投射装置100の場合、1個の光スポットは画像の1画素に相当する。
【0024】
以上のように、本実施例の走査型投射装置100は、少なくともレーザ光源101とコリメータレンズ102、レーザ光源103とコリメータレンズ104、レーザ光源105とコリメータレンズ106、ビーム縮小整形プリズム107、光合成素子108、109、走査素子110、透明カバー111にて構成されていればよく、途中に回折格子や波長板などの光学素子の追加や、ミラーで光路を折り曲げた構成であっても何ら構わない。また、透明カバー111と走査素子110の間の光路に走査素子110の走査角度を変換する機能を持つ光学素子等を追加しても何ら構わない。
【0025】
続いて、図2を用いてビーム縮小整形プリズム107の詳細を説明する。
【0026】
図2は、ビーム縮小整形プリズム107の説明図である。図中一点差線は、光ビームの光軸を示す。光ビームの進行方向は、紙面右方向である。図中φ1、φ2は光ビームの紙面に垂直な方向における断面の光束径である。なお、光束径とは、光ビームの光強度が光軸上の光強度に対し1/exp(2)となる径である。
【0027】
ビーム縮小整形プリズム107は、紙面と水平な方向については、光ビームの進行方向に対し、入射面側が略垂直、出射面側が斜面になっている。一方、紙面と垂直な方向については、入射面及び出射面ともに光ビームに対して略垂直になっている。
【0028】
上記のように、レーザ光源101から出射する光ビームのFFP、すなわち断面形状は楕円形状をしており、その光ビームのFFPの長軸方向が紙面と平行方向になるよう回転調整することを想定している。
【0029】
光ビーム断面形状の長軸方向は、ビーム縮小整形プリズム107に入射するとき、入射面側が光ビームに対し略垂直であるため、そのまま直進する。しかし、光ビームがビーム縮小整形プリズム107を出射するとき、出射面側が光ビームに対し斜面であるため、光ビームは屈折する。このとき、図のように、光ビームの光束径が縮小される。
【0030】
一方、光ビーム断面の短軸方向は入射面側と出射面側が共に光ビームに対して略垂直であるため、光ビームは屈折せずにそのまま出射する。そのため、光ビームの短軸方向の光束径は縮小せずにそのまま通過する。
【0031】
このように、ビーム縮小整形プリズム107は、光ビームの長軸方向を縮小し、短軸方向はそのまま通過させることで、光ビームの断面形状を楕円形からほぼ円形にするものである。
【0032】
以下、ビーム縮小整形プリズム107の図中に示す頂角αの設計方法について説明する。
【0033】
ビーム縮小整形プリズム107の屈折率を屈折率nとする。図中点線で示すビーム縮小整形プリズム107出射面の法線と出射面に入射する光ビームとの角度を角度θ1、出射面から出射する光ビームとの角度を角度θ2とする。ビーム縮小整形プリズム107の出射面において出射面に沿った方向の光ビーム断面の光束径を光束径Aとすると、以下の式が得られる。
【0034】
【数1】

【0035】
【数2】

【0036】
また、スネルの法則より、[数3]の関係がよく知られている。
【0037】
【数3】

【0038】
[数1]、[数2]を[数3]に代入すると、角度θ1が求まる。
【0039】
【数4】

【0040】
図より、頂角αは、角度θ1と等しい関係にあるため、[数4]より頂角αを求めることができる。
【0041】
【数5】

【0042】
ビーム縮小整形プリズム107の硝材をBK7、光ビームの波長を520nm、光束径φ1=1.5mmを光束径φ2=1.0mmに縮小する場合、[数5]より、頂角α=33°となる。
【0043】
次に、ビーム縮小整形プリズム107の効果について説明する。
【0044】
図3は、ビーム縮小整形プリズム107を配置しない場合の偏向ミラー120上の光ビームの光束径121の概略図である。図中の破線円は、偏向ミラー120の有効径を示す。通常、偏向ミラーは略円形の有効径をもっている。ビーム縮小整形プリズム107を配置しない場合、光ビームの光束径121は楕円形となる。光束径の長軸方向の長さは、図2中の光束径φ1に相当する。光束径121の長軸方向が偏向ミラー120の有効径より大きくなると、偏向ミラー120で反射されない光ビームの面積のエネルギーが損失し、効率が劣化する。すなわち、投射される画像の明るさが低下する。さらに、図のように、偏向ミラー120上で反射される光ビームの領域も楕円形になっているため、スクリーン上に形成される光スポットも楕円形になり、スクリーン上の左右と上下方向の解像度は一致せず、どちらか一方が劣化する。
【0045】
図4は、特許文献1記載のビーム整形プリズムを設置した場合における、偏向ミラー120上の光ビームの光束径122である。特許文献1記載のビーム整形プリズムは、光束径の短軸方向のみを拡大するものである。これより、スポット径を略円形に近づけることができ、解像度が向上する。しかしながら、長軸方向の光束径が偏向ミラー120の有効領域外にあるため、エネルギーが損失し、効率が劣化したままである。そのため、明るい画像を投射することができない。
【0046】
一方、図5は、本発明のビーム縮小整形プリズム107を設置した場合の偏向ミラー120上の光ビームの光束径123の概略図である。光束径123の長軸方向は、ビーム縮小整形プリズム107により光束径φ2に縮小されている。偏向ミラー120の有効径内に光束がすべて入射するため、ほぼ全ての光ビームを偏向ミラーで反射させることが可能となり、光ビームを筐体から効率よく出射させることが可能となる。すなわち、明るい画像を投射することが可能となる。さらに、ビーム縮小整形プリズム107を配置することで、光ビームの光束径を略円形とすることも可能である。それゆえ、スクリーン上のスポット径も略円形となり、スクリーン上の左右と上下方向の解像度がほぼ一致し、解像度を向上することが可能となる。
【0047】
このように、ビーム縮小整形プリズム107を配置すると、明るい画像を投射することが可能なだけでなく、解像度も向上できる効果が得られる。
【0048】
なお、ビーム縮小整形プリズム107の形状は、入射面が光ビームに対して略垂直、出射面が光ビームに対して斜面となっているものを想定しているが、そのような形状のプリズムに限定されるものではなく、例えば、入射面および出射面が共に光ビームに対して斜面となっていてもなんら構わない。
【0049】
なお、人の目の視感度は緑色に対して最も高いため、緑色光ビームがスクリーン上で形成する光スポットの明るさと解像度が画質に最も影響する。そのため、本実施例では、緑色光ビームの効率と解像度を向上するビーム縮小整形プリズム107のみをコリメータレンズ102と光合成素子108の間に配置する構成を想定している。これより、部品点数の増加を防ぎ、部品コストの低下ができる効果も得られる。しかしながら、赤色光ビームや青色光ビームの効率と解像度を向上するビーム縮小整形プリズムをコリメータレンズ104と光合成素子108、またはコリメータレンズ106と光合成素子109との間に配置してもなんら構わない。
【0050】
また、図6に示す走査型投射装置200のように、ビーム縮小整形プリズムを光合成素子109と走査素子110との間に設置してもよい。この場合、1個のビーム縮小整形プリズムで3本の光ビームをビーム縮小整形することが可能となる。しかしながら、ビーム縮小整形プリズムの色収差によって、緑色、赤色、青色光ビームでそれぞれ屈折角度が異なるため、ビーム縮小整形プリズムを出射した3色の光ビームの角度がそれぞれ異なる。この場合、ビーム縮小整形プリズムを出射した3色の光ビームの角度が一致するよう、光合成素子108、109の角度あるいは各レーザ光源及びコリメータレンズの位置を調整すればよい。
【0051】
なお、本実施例では、緑色、赤色、青色の3色の光ビームは、波長選択性ミラーである光合成素子108および109により光軸が合成される。しかしながら、本実施例のような走査型投射装置においては、3色の光ビームが合成する構成であればよく、2個の波長選択性ミラーの代わりに2個の波長選択性プリズムを用いる構成であってもよい。また、緑色、赤色、青色のレーザ光源の配置が異なってもよい。さらに、液晶プロジェクタ等で一般的に用いられる1個の波長選択性クロスプリズムを用いてもよい。
【0052】
また、3個のコリメータレンズ102、104、106を想定しているが、1個のマイクロレンズアレイで構成してもよい。
【0053】
さらに、緑色、赤色、青色光ビームを出射するレーザ光源は別々のパッケージ内にあると想定しているが、同一パッケージ内にあっても何ら構わない。
【0054】
本実施例は、3個のコリメータレンズを用いて、3色の光ビームを平行光に変換後、2個の光合成素子を用いて3色の光ビームを合成する構成である。しかしながら、図7に示す走査型投射装置300のように、光合成素子503によって3色の光ビームを合成後、1個のコリメータレンズ502で平行光に変換しても何ら構わない。この場合も、コリメータレンズの直後にビーム縮小整形プリズムを配置し、ビーム縮小整形プリズムを通過した3色の光ビームの角度が一致するようレーザ光源を調整すればよい。
【0055】
以上のように、本実施例の走査型投射装置110は、ビーム縮小整形プリズム107を用いて光ビームの断面形状をほぼ円形とし、効率を向上するだけでなく、解像度も向上することができる走査型投射装置である。
【実施例2】
【0056】
続いて、本発明の実施例2について図を用いて説明する。
【0057】
図8は、実施例2における走査型投射装置400の説明図である。
【0058】
走査型投射装置400は、実施例1における走査型投射装置100のビーム縮小整形プリズム107と光合成素子108をビーム縮小整形プリズム201に置き換えたものである。
【0059】
その他の光学部品は走査型投射装置100と同じものであり、同じ番号にて示す。また、詳細な説明を割愛する。
【0060】
ビーム縮小整形プリズム201は、走査型投射装置100のビーム縮小整形プリズム107と同じ形状をしている。さらに、レーザ光源101から出射する緑色光ビームの出射面である斜面202に、緑色光ビームを通過し赤色光ビームを反射する波長選択性反射膜を製膜したものである。
【0061】
レーザ光源101を発した緑色光ビームがビーム縮小整形プリズム201に入射すると、緑色光ビーム長軸方向の光束径が縮小され、ビーム縮小整形プリズム201を通過する。
【0062】
一方、図のように、レーザ光源103を発した赤色光ビームはビーム縮小整形プリズム201の斜面202にて反射し、緑色光ビームと合成される。
【0063】
すなわち、ビーム縮小整形プリズム201は、走査型投射装置100のビーム縮小整形プリズム107と光合成素子108の両方の機能を兼ね備えた部品である。
【0064】
このとき、図のように、光合成素子109を通過した青色光ビーム、緑色光ビーム、赤色光ビームの光軸が全て一致するよう、レーザ光源101、103及びコリメータレンズ102、104を位置調整している。従って、走査素子110には3色が合成された1本の光ビームが入射することとなり、走査素子110は1本の光ビームをスクリーン上に走査することとなる。
【0065】
ビーム縮小整形プリズム201をビーム縮小整形プリズム107と光合成素子108の代わりに搭載することで、緑色光ビームの効率および解像度を向上する機能をもち、かつ部品点数の削減が可能となる。
【実施例3】
【0066】
続いて、本発明の実施例3について図を用いて説明する。
【0067】
図9は、実施例3における走査型投射装置500の説明図である。
【0068】
走査型投射装置500は、実施例1の走査型投射装置100のビーム縮小整形プリズム107を、ビーム縮小整形プリズム301及びビーム縮小整形プリズム302に置き換えたものである。その他の部品は走査型投射装置100と同じものであり、同じ番号にて示す。また、詳細な説明を割愛する。
【0069】
ビーム縮小整形プリズム301及びビーム縮小整形プリズム302は、その紙面に平面な方向については光ビームの進行方向に対し入射面が略垂直、出射面が斜面となっており、紙面に垂直な方向については、光ビームの進行方向に対し入射面及び出射面が共に略垂直になっているプリズムである。
【0070】
上記のように、レーザ光源101はレーザ光源を想定しているため、出射する光ビームの断面は楕円形をしており、その長軸方向が紙面と平行方向に長軸が一致するようにレーザ光源101を回転調整することを想定している。
【0071】
したがって、光ビームはビーム縮小整形プリズム301およびビーム縮小整形プリズム302を通過すると、光ビームの短軸方向はそのまま通過するが、長軸方向はプリズムの屈折効果によって縮小する。これより、光ビームの断面形状を略円形に近づけることができる。
【0072】
すなわち、ビーム縮小整形プリズム301、302は、実施例1のビーム縮小整形プリズム107の機能を2個のビーム縮小整形プリズムに分けたものである。
【0073】
本実施例では、2個のビーム縮小整形プリズム301、302を使用することで、ビーム縮小整形プリズム前後の光ビームの光軸角度を一致させることが可能となり、光学部品の配置をより簡略化できる。
【0074】
さらに、2個のビーム縮小整形プリズムを用いるため、1個のビーム縮小整形プリズムを用いる場合よりもさらに光ビームの光束径を縮小することが可能となる利点もある。
【0075】
なお、本実施例においても、実施例3と同様、ビーム縮小整形プリズム302の光ビーム出射面に、緑色光ビームを透過、赤色光ビームを反射させる波長選択性反射膜を成膜し、光合成素子108の代わりに配置してもよい。この場合、緑色光ビームと赤色光ビームの光軸が一致するよう、波長選択性反射膜を通る光軸を中心にレーザ光源103及びコリメータレンズ104を一体で回転するとよい。
【実施例4】
【0076】
続いて、本発明の実施例4について図を用いて説明する。
【0077】
図10は、実施例4における走査型投射装置600の構成図である。
【0078】
走査型投射装置600は、実施例1の走査型投射装置100のビーム縮小整形プリズム107をビーム縮小整形アナモルフィックレンズ401にて置き換えたものである。その他の部品は走査型投射装置100と同じものであり、同じ番号にて示している。また、詳細な説明を割愛する。
【0079】
ビーム縮小整形アナモルフィックレンズ401は、入射面、出射面ともに円柱状のレンズ面になっている。すなわち、紙面平行方向は光ビームの進行方向に対して入射面が所定の曲率半径をもつ凸面、出射面が所定の曲率半径をもつ凹面となっている。一方、紙面垂直方向は光ビームの進行方向に対して、入射面及び出射面が共に略垂直となっており、単なる透明な平板となる。
【0080】
さらに、レーザ光源101は、走査型投射装置100と同様、出射する光ビーム断面は楕円形であり、その長軸方向が、紙面平面方向と略一致するように回転調整されている。光ビームはレーザ光源101から発散光にて出射され、コリメータレンズ102にて略平行光ないし弱収束光に変換される。ビーム縮小整形アナモルフィックレンズ401は、図のように、コリメータレンズ102の直後に配置されており、光ビームは略平行光にてビーム縮小整形アナモルフィックレンズ401に入射する。
【0081】
このような略平行光ないし弱収束光の光ビームがビーム縮小整形アナモルフィックレンズ401に入射すると、光ビーム径の長軸方向は、凸面の入射面にてまず収束光に変換される。そして、出射面を通過する際、出射面の凹面によって再び略平行光ないし弱収束光に変換される。一方、光ビーム径の短軸方向は、入射面及び出射面ともに光ビームに対して単なる平板となるため、そのまま通過する。このように、光ビーム径は長軸方向のみ縮小され、楕円形からほぼ円形となる。すなわち、ビーム縮小整形アナモルフィックレンズ401は、ビーム縮小整形プリズム107と同じ機能を持つ部品である。
【0082】
従って、ビーム縮小整形アナモルフィックレンズ401を搭載した走査型投射装置400も、実施例1の走査型投射装置100と同様、光ビームの効率を向上し、さらに解像度も向上することが可能である。
【0083】
なお、このビーム縮小整形アナモルフィックレンズ401とコリメータレンズ102とを一体化し、コリメータ機能とビーム縮小整形機能を同一のレンズに兼用させても良い。この場合のコリメータレンズは、紙面に平行な方向と紙面に垂直な方向のそれぞれについて、互いに異なる倍率となるようなレンズ面形状となっている。
【符号の説明】
【0084】
101、103、105・・・レーザ光源、102、104、106・・・コリメータレンズ、107・・・ビーム縮小整形プリズム、108、109・・・光合成素子、110・・・走査素子、120・・・偏向ミラー、111・・・透明カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを被投射面上で走査し2次元画像を投射する走査型投射装置において、
前記光ビームを発散光にて出射するレーザ光源と、
前記光ビームを略平行光ないし弱収束光に変化するコリメータレンズと、
前記被投射面上に前記光ビームを走査する走査素子と、
前記光ビームの光束断面の所定方向に関して光ビームを縮小整形する光ビーム縮小整形素子と、を備えることを特徴とする走査型投射装置。
【請求項2】
請求項1記載の走査型投射装置において、
前記光ビーム縮小整形素子を通過する前の光ビーム光束断面は楕円形であって、
前記光ビーム縮小整形素子は、該光ビーム光束断面の長軸方向に関して縮小整形することを特徴とする走査型投射装置。
【請求項3】
請求項1記載の走査型投射装置であって、
前記光ビーム縮小整形素子は、少なくとも1個以上の台形もしくは楔形のプリズムからなるビーム縮小整形プリズムで構成され、
前記ビーム縮小整形プリズムは、前記光ビーム入射面における前記光ビームの入射角が出射面における前記光ビーム出射角よりも小さいことを特徴とする走査型投射装置。
【請求項4】
請求項1記載の走査型投射装置であって、
異なる波長の2本以上の光ビームを出射する少なくとも2個以上のレーザ光源を有し、
前記ビーム縮小整形プリズムは、前記光ビームの出射面に所定の波長を有する第1の光ビームを所定の透過率で透過させ、前記第1の光ビームと異なる波長を有する第2の光ビームは所定の反射率で反射する機能を備えた波長選択性の反射膜を有し、
前記第1の光ビームは前記ビーム縮小整形プリズムの入射面側から入射させ、
かつ前記第2の光ビームは前記ビーム縮小整形プリズムの出射面側から入射させ、
前記ビーム縮小整形プリズムを透過した前記第1の光ビームと前記ビーム縮小整形プリズムを反射した前記第2の光ビームが略同一の光路を進行することを特徴とする走査型投射装置。
【請求項5】
請求項1記載の走査型投射装置であって、
前記ビーム縮小整形素子は、1個以上の所定断面の曲率とそれと垂直な断面の曲率が異なるアナモルフィックレンズからなるビーム縮小整形アナモルフィックレンズで構成され、
前記光ビームは平行光にてビーム縮小整形アナモルフィックレンズに入射し、
前記ビーム縮小整形アナモルフィックレンズは前記光ビームを平行光のまま出射する望遠鏡系であることを特徴とする走査型投射装置。
【請求項6】
請求項1記載の走査型投射装置であって、
前記ビーム縮小整形アナモルフィックレンズは入射面および出射面共に円柱状のレンズであり、
該ビーム縮小整形アナモルフィックレンズの断面の第1の所定方向は、入射面が所定の曲率半径を持つ凸面であり、出射面が所定の曲率半径を持つ凹面であるメニスカスレンズであり、第1の所定方向と略垂直な第2の所定方向は、入射面および出射面が共に略垂直な平板であることを特徴とする走査型投射装置。
【請求項7】
請求項1記載の走査型投射装置であって、
前記コリメータレンズは、所定の断面とその垂直な断面において異なる倍率を持つことを特徴とする走査型投射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−242626(P2012−242626A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113026(P2011−113026)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】