走査型画像表示装置及び走査型投影装置
【課題】走査型画像表示装置を構成する偏光プリズムのサイズを縮小し、装置の小型化を図ること。
【解決手段】偏光プリズム30は6面体形状をなし、光ビームを反射または透過する偏光ビームスプリッタ膜(PBS膜)31を6面体の略対角方向に配置する。偏光プリズム30は、スクリーン9への光ビーム102の出射方向(Y方向)の寸法をA、光源からの光ビーム101の入射方向(X方向)の寸法をBとするとき、A<Bの関係とする。例えば偏光プリズムは直方体形状とし、走査ミラー50から光ビーム102が入射する面32において、PBS膜31の一端を入射面32の端部から寸法A,Bの差分(A−B)だけ内側にずらした位置に該入射面と略45°の角度で交差するように配置する。
【解決手段】偏光プリズム30は6面体形状をなし、光ビームを反射または透過する偏光ビームスプリッタ膜(PBS膜)31を6面体の略対角方向に配置する。偏光プリズム30は、スクリーン9への光ビーム102の出射方向(Y方向)の寸法をA、光源からの光ビーム101の入射方向(X方向)の寸法をBとするとき、A<Bの関係とする。例えば偏光プリズムは直方体形状とし、走査ミラー50から光ビーム102が入射する面32において、PBS膜31の一端を入射面32の端部から寸法A,Bの差分(A−B)だけ内側にずらした位置に該入射面と略45°の角度で交差するように配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ビームを走査ミラーにより2次元的に走査しスクリーンに画像を表示する走査型画像表示装置及び走査型投影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体レーザ光源から出射した光ビームを走査ミラー(偏向ミラー)にて画面上に2次元走査し、画像を表示する走査型画像表示装置及び走査型投影装置が実現されている。このような走査型画像表示装置として、例えば特許文献1、2では、レーザ光源と、レーザ光源から発射したレーザ光を反射させて被投影面に走査する偏向走査素子(例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー装置)とを備え、ミラー面を回転させ光源から出射した光ビームを2次元的に走査する装置が記載されている。その際、ミラーからの反射光を透過させて投影対象に投射(投影)する偏光ビームスプリッタ(PBS)(または偏光ビームスプリッタキューブ、偏向プリズムともいう)と、偏光ビームスプリッタとMEMSミラー装置との間に配置され、透過する光を偏光変調する1/4波長板を有する構成となっている。
【0003】
特許文献1の図6や特許文献2の図20には、走査ミラーへの入射方向をほぼ垂直方向(入射角がほぼ0)とした構成が示され、ミラー面の回転角に対するビームの偏向角(偏光効率)が大きくとれることが述べられている。この場合、走査ミラーへの入射光と反射光の光路が共通となるので、投射する光ビームを直線偏光とし、光路中に偏光ビームスプリッタ(PBS)と1/4波長板とを用いて入射光と反射光を分離する構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−189573号公報
【特許文献2】特表2009−533715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
走査型画像表示装置において、スクリーン上の表示画像に発生する歪みは走査ミラーに対する光ビームの入射角に依存し、斜め方向入射の場合画像歪が大きくなることが知られている。そこで、走査ミラーへのビーム入射方向を垂直入射とすることで、画像の歪みを小さくすることができる。ただし垂直入射の場合には、入射光と反射光を分離するために偏光ビームスプリッタ(PBS)が必要となる。PBSは、略立方体形状の偏光プリズムの対角方向に多層膜(以下、PBS膜)を配した構造で、主にP偏光を透過しS偏光を反射する性質がある。
【0006】
走査型画像表示装置で投影する画像サイズは、走査ミラーの偏向角度によって決定される。前記特許文献1,2に記載されているような光学系構成は、走査ミラーからの反射光の全てを偏光ビームスプリッタ内に通過させなければならないため、偏向角度が大きくなると、偏光ビームスプリッタの体積も大きくしなければならない。しかしながら、偏光ビームスプリッタの体積が大きくなると、筺体全体が大型化するとともに、部品価格も増加する問題がある。
【0007】
また、偏光ビームスプリッタ(PBS)を使用すると、PBSの内面反射のために投影画像の略中央部分に輝点が発生し、画質を低下させるという問題もある。
【0008】
本発明の目的は、簡単な構成で大きい画像サイズが投影でき、かつ小型で低価格であるとともに、不要な輝点等が発生せず良好な画質の走査型画像表示装置及び走査型投影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、光ビームを走査しスクリーンに画像を表示する走査型画像表示装置において、光ビームを出射する光源と、画像信号に応じて前記光源から出射する光ビームの強度を制御する光源駆動回路と、前記光ビームを略垂直にミラー面に入射し該光ビームを略垂直に反射する走査ミラーと、該走査ミラーのミラー面を所定の走査角度だけ2次元的に反復回転駆動する走査ミラー駆動回路と、前記光源から入射する光ビームを反射し1/4波長板を介して前記走査ミラーに入射させるとともに、該走査ミラーで反射され前記1/4波長板を通過した光ビームを透過して前記スクリーンの方向へ出射させる偏光プリズムとを備え、該偏光プリズムは6面体形状をなし、前記光ビームを反射または透過する偏光ビームスプリッタ膜(PBS膜)を前記6面体の略対角方向に配置した構成であって、該偏光プリズムは、前記スクリーンへの光ビーム出射方向(以下、Y方向)の寸法をA、前記光源からの光ビーム入射方向(以下、X方向)の寸法をBとするとき、A<Bの関係としたことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、光ビームを被投影面上で走査し2次元画像を投影する走査型投影装置において、前記光ビームを発散光にて出射するレーザ光源と、前記光ビームを略平行光ないし弱収束光に変化するコリメータレンズと、前記被投影面上に前記光ビームを走査する偏向走査素子と、前記コリメータレンズと前記偏向走査素子との間に配置され、前記コリメータレンズ通過後の前記光ビームを前記偏向走査素子の方向に反射させ、かつ偏向走査素子を反射した光ビームを前記被投影面の方向に透過させるビームスプリッタを具備した画像投影装置において、前記ビームスプリッタは、前記コリメータレンズ通過後の前記光ビームが入射する第1の面が、前記偏向走査素子を反射した光ビームが入射する第2の面よりも、小さな面積を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単な構成で大きなサイズの画像を投影でき、かつ小型で低価格の走査型画像表示装置及び走査型投影装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による走査型画像表示装置の第1の実施例を示す全体構成図。
【図2】実施例1における偏光プリズムの形状を示す図。
【図3】偏光プリズムの第2の実施例の形状を示す図。
【図4】偏光プリズムの第3の実施例の形状を示す図。
【図5】偏光プリズムの第4の実施例の形状を示す図。
【図6】比較のために従来の偏光プリズムの形状を示す図。
【図7】本発明による走査型投影装置の第5の実施例を示す構成図である。
【図8】実施例5におけるビームスプリッタの構成図である。
【図9】ビームスプリッタの幅を求める説明図である。
【図10】比較例として従来のビームスプリッタを用いた走査型投影装置の構成を示す図である。
【図11】実施例5の変形例を示す走査型投影装置の構成図である。
【図12】ビームスプリッタの第6の実施例を示す斜視図である。
【図13】ビームスプリッタの第7の実施例を示す斜視図である。
【図14】ビームスプリッタの第8の実施例を示す平面図である。
【図15】本発明による走査型画像表示装置の第9の実施例を示す全体構成図である。
【図16】走査画面上に不要な迷光が発生する原理を説明する図である。
【図17】透過偏光選択素子の他の構成例を示す図である。
【図18】透過偏光選択素子のさらに他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図に示す実施例に基づいて詳細に説明するが、これによりこの本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明による走査型画像表示装置の第1の実施例を示す全体構成図である。図中の一点鎖線は、光ビームの光軸を示す。光モジュール部1は、緑(G)/赤(R)/青(B)の3色のレーザ光源11,12,13と、各レーザ光源から発せられた光ビームを合成する光合成部と、合成した光ビームをスクリーン9へ投射する投射部と、投射する光ビームをスクリーン9上で2次元的に走査する走査部とを有する。光合成部には波長選択性ミラー21,22など、投射部にはPBS(偏光ビームスプリッタ)膜31を含む偏光プリズム(偏光ビームスプリッタ)30、1/4波長板40、スペックル低減素子60など、走査部には走査ミラー(偏向ミラー)50などを含む。
【0015】
表示する画像信号は、電源等を含む制御回路2を経由してビデオ信号処理回路3に入力する。ビデオ信号処理回路3では画像信号に対し各種の処理を施すとともに、R/G/Bの3色信号に分離しレーザ光源駆動回路4に送る。レーザ光源駆動回路4では、R/G/Bの各信号の輝度値に応じて、光モジュール部1内の対応するレーザ光源11,12,13に対して発光用の駆動電流を供給する。その結果レーザ光源11,12,13は、表示タイミングに合わせてR/G/B信号の輝度値に応じた強度の光ビームを出射する。
【0016】
またビデオ信号処理回路3は、画像信号から同期信号を抽出して走査ミラー駆動回路5に送る。走査ミラー駆動回路5は、水平・垂直同期信号に合わせて光モジュール部1内の走査ミラー50に対しミラー面を2次元的に反復回転させる駆動信号を供給する。これにより走査ミラー50は、ミラー面を所定の角度だけ周期的に反復回転して光ビームを反射させ、スクリーン9上に水平方向および垂直方向に光ビームを走査して画像を表示する。
【0017】
フロントモニター信号検出回路6は、光モジュール部1内のフロントモニター70からの信号を入力して、レーザ光源11,12,13から出射されるR/G/Bそれぞれの出力レベルを検出する。検出された出力レベルは、ビデオ信号処理回路3に入力され、所定の出力になるようレーザ光源11,12,13の出力が制御される。
【0018】
次に、光モジュール部1の内部構成について説明する。レーザ光源11はG光(波長520nm帯)、レーザ光源12はR光(波長640nm帯)、レーザ光源13はB光(波長440nm帯)のビームをそれぞれ発生する。各色の光ビームは、コリメートレンズによって略平行な光ビームに変換される。波長選択性ミラー(ダイクロイックミラー)21は、G光を透過しR光を反射する。また波長選択性ミラー22は、G光とR光を透過しB光を反射する。G、R、B光の各ビームは、それらの光軸の傾きと位置を調整することで、各ビームの断面が互いに重なり合って1本の合成された光ビームとして進行する。なお、ここに示したG光、R光、B光の配置は各光ビームの伝達効率を考慮して決定したものであるが、その配置はこれに限定せず適宜変更することができる。
【0019】
合成された光ビームは偏光プリズム30に入射し、PBS膜31によって反射され、1/4波長板40を通過して走査ミラー(偏向走査素子)50へほぼ垂直に入射する。走査ミラー50は例えば例えばMEMSミラーや、ガルバノミラー等で構成され、そのミラー面を2次元的に所定の走査角度で反復回転させることで、入射した光ビームを走査角度の範囲でほぼ垂直方向に反射させる。反射された光ビームは1/4波長板40を通過して、偏光プリズム30のPBS膜31を透過しスペックル低減素子60へ入射する。スペックル低減素子60は、レーザ光が通過する光学部品からの戻り光との干渉により発生するスペックルノイズを低減するための素子で、例えば液晶素子で構成する。スペックル低減素子60を通過した光ビームはスクリーン9へ投射され、画像が表示される。なお、スペックル低減素子60は省略することができる。
【0020】
次に、走査ミラー50への入射光と走査ミラー50からの反射光を分離する偏光プリズム30の形状と動作について説明する。説明を容易にするために、レーザ光源から偏光プリズム30に入力する光ビームの入射方向をX方向、走査ミラー50で反射されスクリーン9へ出射される光ビームの中心軸方向をY方向、これらに直交し紙面に垂直な方向をZ方向とする。スクリーン9では、X方向とZ方向の2次元状に画像を表示する。始めに、従来の偏光プリズムの形状について説明する。
【0021】
図6は、比較のために従来の偏光プリズム30の形状を示し、(a)は平面図(Z方向から見た図)、(b)は側面図(X方向から見た図)である。
従来の偏光プリズム30は略立方体形状であり、各辺の長さ、A(Y方向)、B(X方向)、C(Z方向)は等しい。例えばその寸法は、以下に述べる走査角度を実現するために、A=B=C=8.4mmだけ必要になる。PBS膜31は、平面図(a)において偏光プリズム30の対角位置e,fを結ぶ面に配置され、PBS膜31の膜面と偏光プリズム30の外面とのなす角は略45°となる。側面図(b)では、PBS膜31は偏光プリズム30の内部に全面に渡り配置されている。
【0022】
レーザ光源11,12,13から出射され合成された光ビーム81は、S偏光として偏光プリズム30にX方向に入射する。入射光の偏光をS偏光にするためには、各レーザ光源あるいは各コリメートレンズ出射部分に偏光板を設けたり、レーザ光源自体を回転させて取り付けたりすればよい。偏光プリズム30のPBS膜31は斜め45°方向に配置され、S偏光を反射しP偏光を透過する特性を有する。よってS偏光の光ビーム81はPBS膜31で反射され−Y方向に進み、1/4波長板40に入射する。S偏光の光ビーム81は1/4波長板40で概ね円偏光の光ビームに変換され、走査ミラー50に略垂直に入射する。
【0023】
走査ミラー50は光ビームを+Y方向に反射し、その反射ビーム82は所定の走査角度(X方向θx、Z方向θz)で振られる。この走査角度の大きさは表示画面サイズに対応し、例えばθx(水平方向)=±15°、θz(垂直方向)=±12°とする。光ビーム82は1/4波長板40を再度通過することによって、円偏光からP偏光の光ビームに変換されて偏光プリズム30に入射する。P偏光の光ビーム82はPBS膜31を透過し、偏光プリズム30からスクリーン9に向けて出射される。
【0024】
図6の偏光プリズム30の場合、偏光プリズムをさらに小型化できる余地がある。平面図(a)において、PBS膜31のうちで光ビーム81が反射するのはPBS膜31の中央部の一点であり、光ビーム82が透過するのは符号g〜hの部分で、その外側の部分e〜g、h〜fは利用されていない。同様に側面図(b)において、光ビーム81,82が反射または透過するのは符号82で挟まれた領域で、符号82の外側の部分は利用されていない。そこでこの光ビームの通過しない部分を除去することで、偏光プリズム30の機能を何ら損なうことなくサイズを縮小することができる。
【0025】
以下、縮小化した偏光プリズムのいくつかの実施例を図面で説明する。なお、偏光プリズム30を形成する6つの外面を区別するため、走査ミラー50からの光ビーム82の入射する面を「入射面32」、スクリーン9へ光ビーム82を出射する面を「出射面33」、レーザ光源からの光ビーム81の入射する面を「第1側面34」、第1側面34に対向する反対側の面を「第2側面35」、Z方向に対向する面を「上面36」、「下面37」と呼ぶことにする。これらの面の位置は、図に示す通りである。
【0026】
図2は、実施例1における偏光プリズム30の形状を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。本実施例では、平面図(a)において偏光プリズム30の入射面32側を除去するとともに、これに伴い他の3面(出射面33側、第1側面34側、第2側面35側)を除去している。また、側面図(b)において上面36側と下面37側を除去している。すなわち各辺の寸法をA’(Y方向)、B’(X方向)、C’(Z方向)とするとき、除去前の寸法A,B,C(ただしA=B=C)と比べて、A’<A、B’<B、C’<Cとしている。さらに除去後の偏光プリズム30は直方体形状(XY断面が長方形形状)をなし、A’<B’の関係としている。これにより、PBS膜31は、入射面32の角(端部)から内側にずれた位置f’と出射面33の角(端部)e’を結ぶ面に配置する。XY断面形状で言えば、PBS膜31の一端が長方形断面の頂点位置e’を起点とし、他端が長方形断面の頂点から入射面32上を内側にずれた位置f’を終点とし、入射面32と略45°の角度で交差するように配置する。
【0027】
偏光プリズム30の除去部分を除去前の前記図6と対比して説明する。平面図(a)において偏光プリズム30の入射面32側を、図6における破線jの位置まで除去する。除去位置jは、光ビーム82が透過しないPBS膜31の領域から決定し、PBS膜31と光ビーム82の交差位置hの近傍に設定する。入射面32側を除去することにより、1/4波長板40と走査ミラー50は除去した分だけ偏光プリズム30側へ移動させることができる。その結果、走査ミラー50から入射される光ビーム82は、走査角度θxは同じであってもPBS膜31の通過領域(X方向の幅)は狭くなる。よって、光ビーム82との交差位置から決まる除去位置jはさらにY方向に前進し、この操作を繰り返して最終位置を決める。
【0028】
次に、光ビーム82の通過領域が狭くなることで、第1側面34側と第2側面35側についても光ビーム82の通過しない部分が発生し、破線m、nの位置まで除去する。また出射面33側については、全ての光ビーム82が出射面33内を通過して出射することを条件に不要になる部分を決定し、破線kの位置まで除去する。その結果、除去後の偏光プリズム30のY方向の寸法(奥行き)はA’、X方向の寸法(幅)はB’に縮小する。具体例を示せば、走査角度θx=±15°の場合、従来寸法A=B=8.4mmが、除去後寸法A’=6.6mm、B’=7.8mmに縮小する。この場合A’<B’の関係になるので、PBS膜31は入射面32の角(端部)位置ではなく、寸法A’とB’の差Δx=1.2mmだけ内側にずらした位置f’を起点として配置していることに特徴がある。A’とB’の寸法は走査角度θxに依存するが、A’<B’の関係は常に成立する。そして、走査角度θxが大きくなるほど、A’とB’の差Δxも大きくなる。よって、走査角度θxが大きくして表示画像の解像度を高める場合に、A’とB’の差Δxを大きくして縮小効果を大きく発揮できることになる。
【0029】
また側面図(b)において、偏光プリズム30の上面36側と下面37側を、図6における破線p、qの位置まで除去する。この除去位置p、qは、図2(a)の平面図に示した除去後の偏光プリズム30において、光ビーム82が出射面33と交差する位置から決めればよい。その結果、除去後の偏光プリズム30のZ方向の寸法(高さ)はC’に縮小する。具体例を示せば、走査角度θz=±12°の場合、従来寸法C=8.4mmが、除去後寸法C’=6.8mmに縮小する。なお、この寸法C’は走査角度θzに依存し、寸法A’やB’との大小関係はθzの大きさで決定される。
【実施例2】
【0030】
図3は、偏光プリズム30の第2の実施例の形状を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。本実施例は、前記第1の実施例(図2)の偏光プリズムをさらに除去した構造であって、平面図(a)において偏光プリズム30の第1側面34と第2側面35を、光ビーム82の進行方向に沿って斜めにカットしている。すなわちXY断面形状は台形形状となり、入射面32での寸法(幅)B”を出射面での33の寸法(幅)B’よりも小さくし、B”=5.5mmまで縮小している。そしてPBS膜31は、入射面32の角f’と出射面33の角e’を結ぶ面に配置する。XY断面形状で言えば、PBS膜31の一端が台形の短辺(入射面32)側の頂点位置f’を起点とし、他端が台形の長辺(出射面33)側の頂点位置e’を終点とし、短辺及び長辺に対し略45°の角度で交差するように配置している。側面図(b)については前記第1の実施例(図2)と同様である。
【0031】
本実施例では偏光プリズム30の側面を斜めカットすることで、さらにサイズを縮小することができる。なお本実施例では、レーザ光源からの光ビーム81が入射する第1側面34を斜めにカットしたので、偏光プリズム30に入射後の光ビーム81の光路が変化する。そこで、レーザ光源側の光軸方向を修正して偏光プリズム30内の光路が変化しないようにする。
【実施例3】
【0032】
図4は、偏光プリズム30の第3の実施例の形状を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。本実施例は、前記第2の実施例(図3)の偏光プリズムをさらに除去した構造であって、側面図(b)において偏光プリズム30の上面36と下面37を、光ビーム82の進行方向に沿って斜めにカットしている。これにより、入射面32での寸法(高さ)C”を出射面での33の寸法(高さ)C’よりも小さくし、C”=5mmまで縮小している。本実施例では偏光プリズム30の上下面を斜めカットすることで、偏光プリズムを立体的に小型化することができる。本実施例でも、レーザ光源側の光軸方向を修正して偏光プリズム30内の光路が変化しないようにする。
【実施例4】
【0033】
図5は、偏光プリズム30の第4の実施例の形状を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。本実施例は、前記第3の実施例(図4)の偏光プリズムにおいて、レーザ光源からの光ビーム81が入射する第1側面34に対する斜めカットを止め、図2と同様の平面に戻した構造である。これによれば、偏光プリズム30に入射後の光ビーム81の光路が変化することがなく、レーザ光源側の光軸方向を修正する必要がない。
【0034】
以上述べた実施例1〜4によれば、偏光プリズムの中で投射光生成に寄与しない部分を除去することで、偏光プリズムのサイズを縮小し、走査型画像表示装置の小型化を図ることができる。この小型化の効果は、走査角度を大きくして高解像度の画像表示を行う場合により大きく発揮できる。なお、以上の各実施例は、単独でもあるいは組み合わせても有効であり、偏光プリズムの除去する部分は適宜選択できることは言うまでもない。
【実施例5】
【0035】
図7は、本発明による走査型投影装置の第5の実施例を示す構成図である。本実施例は、偏向プリズムのサイズを前記各実施例よりもさらに縮小したものである。ここでは、縮小したビームスプリッタ(偏光プリズム)109を含む走査型投影装置100(すなわち図1における光モジュール部1に相当)の構成を示している。
【0036】
レーザ光源101はG光(波長520nm帯)、レーザ光源103はR光(波長640nm帯)、レーザ光源105はB光(波長440nm帯)のビームをそれぞれ出射する半導体レーザである。各レーザ光源101,103,105から出射された光ビームは、それぞれコリメータレンズ102,104,106にて平行光ビームないし弱収束光ビームに変換される。
【0037】
光合成素子107は、G光ビームを透過、R光ビームを反射する波長選択性ミラーであり、R光ビームの進行方向は図中y方向に変換される。さらに、G光ビームとR光ビームの光軸が略一致するよう、光合成素子107またはレーザ光源101、103およびコリメータレンズ102、104を調整する。光合成素子108は、G光ビームおよびR光ビームを透過、B光ビームを反射する波長選択性ミラーであり、B光ビームの進行方向も図中y方向に変換される。さらに、B光ビームとG光およびR光ビームの光軸が略一致するよう、光合成素子108またはレーザ光源105およびコリメータレンズ106を調整する。
【0038】
一般的に半導体レーザから出射する光ビームは直線偏光となっている。そのため、レーザ光源101、103、105から出射する光ビームも直線偏光となっている。本実施例は、光合成素子108を透過した3本の光ビームの偏光方向が図中z方向と略平行になるよう、レーザ光源101、103、105をそれぞれ回転調整している。
【0039】
合成された3色の光ビームは、ビームスプリッタ(偏光プリズム)109に入射する。ビームスプリッタ109を構成する面のうち、光ビームが入射する面(第1側面)116と、偏向走査素子111との間で出射・入射する面(第2側面)117と、被投影面へ出射(投射)する面(第3側面)118に注目する。なお、前記実施例1−4(図2−5)の偏光プリズム30との対応は、第1側面116は前記第1側面34に、第2側面117は前記入射面32に、第3側面118は前記出射面33に相当する。本実施例では、第1側面116の幅(図中x方向の長さ)は第2側面117、第3側面118の幅(図中y方向の長さ)より小さく、かつ高さ(図中z方向の長さ)を等しくしている。すなわち、ビームスプリッタ109は扁平な形状としている。
【0040】
また、ビームスプリッタ109の略中心には偏光選択性反射膜(PBS膜)120が製膜されている。偏光選択性反射膜120は、図中z方向と平行な偏光成分を反射し、図中y方向と平行な偏光成分を透過する性質がある。偏光選択性反射膜120は、反射した光ビームが所定の方向に進むよう所定の角度を持って配置される。例えば図7の例では、反射した光ビームが面117から略垂直に出射するよう、面116ないし面118に対し略45度だけ傾斜している。面116に入射した3色の光ビームは、上述のように図中z方向と略平行な直線偏光となるよう調整されているため、偏光選択性反射膜120は3色の光ビームを面117の方向に反射する。
【0041】
ビームスプリッタ109の面117から出射した光ビームは、1/4波長板110に入射する。1/4波長板110では、3色の光ビームは円偏光に変換される。次に、光ビームは偏向走査素子(走査ミラー)111に入射する。偏向走査素子111は、図中z方向と図中y方向を走査軸とし、各走査軸のまわりに偏向駆動することで光ビームを被投影面上に2次元走査する機能がある。偏向走査素子111は、例えばMEMSミラーやガルバノミラー等を用いることで実現できる。
【0042】
偏向走査素子111で反射した光ビームは再び1/4波長板110に入射する。ここで光ビームは、図中y方向の直線偏光に変換される。次に、光ビームは再びビームスプリッタ109の面117を通過し、偏光選択性反射膜120に入射する。光ビームの偏光方向は1/4波長板110にて図中y方向に平行に変換された後なので、ここで偏光選択性反射膜120は光ビームを透過する。図にはないが、偏向走査素子111が所定最大偏向角度となる場合も、偏向された光ビームがビームスプリッタ109内を通過するよう、第2側面117と第3側面118は所定の面積となっている。なお、偏向走査された光ビームがビームスプリッタ109の偏光選択性反射膜120に入射せずその外側を通過した場合、光ビームは単なる透明平板を透過することと同等となり、これを許容するものとする。
【0043】
続いて、光ビームは走査型投影装置100の上面に設けた透明カバー112に入射する。透明カバー112は、3色の光ビームの透過率が十分に高い透明なガラスまたはプラスチックのカバーを想定しており、装置100内に入り込む粉塵等による光学部品の透過率の劣化や偏向走査素子111の故障などを防ぐことが可能となる。透明カバー112も、偏向走査素子111が所定最大偏向角度となる場合も、偏向された光ビームが損失なく透明カバー112を通過するよう、所定の面積となっている。透明カバー112を通過した3色の光ビームは、外部に設置されている被投影面上の同じ位置に3個の光スポットを重ねて形成する。すなわち、被投影面上には1個の光スポットとして視認できる。
【0044】
以上のように、本実施例の走査型投影装置100は、少なくともレーザ光源101、103、105とコリメータレンズ102、104、106、光合成素子107、108、ビームスプリッタ109、1/4波長板110、偏向走査素子111、透明カバー112にて構成されていればよく、途中に回折格子や波長板などの光学素子の追加や、ミラーで光路を折り曲げた構成であっても何ら構わない。また、透明カバー112と偏向走査素子111の間の光路に偏向走査素子111の走査角度を変換する機能を持つ光学素子等を追加しても何ら構わない。
【0045】
図8は、実施例5におけるビームスプリッタ109の具体的な構成を示す斜視図である。ここでは一例として、ビームスプリッタ109を直方体の形状とした場合である。このビームスプリッタ109は、ガラス201とガラス202との接合面に偏光選択性反射膜120を製膜し、直方体になるよう切り出すことで作製できる。これは、特許文献1の偏光ビームスプリッタキューブの作製工程と同様であるため、作製は簡易である。
【0046】
ビームスプリッタ109の図中x方向に沿った長さを幅Lx、図中y方向に沿った長さを幅Ly、図中z方向に沿った長さを幅Lzとする。ここで、ビームスプリッタ109の幅Lx、Ly、Lzの具体的な関係式について説明する。
【0047】
図9は、ビームスプリッタ109の幅Lyを求める説明図である。なお、図を簡易化するため、ビームスプリッタ109及び偏向走査素子111のみ記述している。ビームスプリッタ109の第2側面117および第3側面118は、偏向走査素子111で偏向走査され光ビームの入射角度が変化しても、入射する光ビームが全てビームスプリッタ109内を通過するよう所定の面積を有している。
【0048】
偏向走査素子111をその中心を通り図中z方向に平行な直線を軸として回転した場合の、最大偏向角度を±θmaxとする。ここでは、紙面上における時計回りを負、反時計回りを正としている。偏向走査素子111の偏向角度がゼロの場合における反射光ビームの光軸を光軸113、偏向角度が+θmaxの場合における反射光ビームの光軸を光軸114、偏向角度が−θmaxの場合における反射光ビームの光軸を光軸115とする。光軸113と光軸114との間の角度は+2・θmax、光軸113と光軸116との間の角度は−2・θmaxとなり、光ビームの最大偏向走査角度は、±2・θmaxとなる。
【0049】
ビームスプリッタ109の面117と偏向走査素子111との間の距離を距離D、ビームスプリッタ109の屈折率を屈折率nとすると、第3側面118において最大偏向走査角度までの光ビームが入射する図中y軸に沿った最大の幅L’は、(1)式で与えられる。
L’=2×(D+Lx/n)・tan(2・θmax) (1)
【0050】
光ビームのビーム径をSとすると、光軸114と光軸115との間の偏向角度で入射する光ビームが全て第3側面118を通過するようにするためには、幅Lyは(2)式を満足する必要がある。
Ly>S+L’=S+2×(D+Lx/n)・tan(2・θmax) (2)
【0051】
また、図にはないが、第3側面118の図中z方向に沿った幅Lzも同様に求めることができる。偏向走査素子111をその中心を通り図中y方向に平行な直線を軸として回転させたときの、最大偏向角度を±φmaxとする。光ビームが全て第3側面118を通過するためには、幅Lzは(3)式を満足する必要がある。
Lz>S+2×(D+Lx/n)・tan(2・φmax) (3)
【0052】
一方、第1側面116に入射する光ビームは、偏向走査素子111に向かって進行する往路光ビームであり、その偏向角度が変化することはない。従って、第1側面116の幅Lxはビーム径Sを用いて(4)式となればよい。
Lx>S (4)
以上のように、本実施例のビームスプリッタ109の幅Ly、Lz、Lxは、(2)、(3)、(4)式を満足するよう決めればよい。
【0053】
続いて、本実施例のビームスプリッタ109の効果について説明する。
図10は、比較例として従来のビームスプリッタを用いた場合の走査型投影装置400の構成図を示す。例えば、特許文献1に記載されているxy断面が正方形である偏光ビームスプリッタキューブ401を採用した場合である。
【0054】
図のように、最大偏向角度±2・θmaxの光ビームが偏光ビームスプリッタキューブ401を透過するには、偏光ビームスプリッタキューブ401の体積を大きくする必要がある。さらに、走査型投影装置で大きなサイズの画像を投影するためには最大偏向角度のさらなる拡大が必須であり、それに伴い偏光ビームスプリッタキューブ401の体積はさらに増加する。また、偏光ビームスプリッタキューブ401の体積の増加は、走査型投影装置400全体が大型化する問題だけでなく、部品価格が増加する問題もある。通常、偏光依存性がある光学部品はガラスで作製される。偏光ビームスプリッタキューブ401もガラスで作製されることを想定すると、部品が大型化するほど1枚のガラス基板から得られる部品の取り数が少なくなり、部品価格が増大する。従って、走査型投影装置400の価格全体の中で、偏光ビームスプリッタキューブ400が占めるインパクトが非常に大きくなる。
【0055】
本実施例の走査型投影装置100のビームスプリッタ109は、偏光走査素子111に向かって進行し入射角度がほぼ変化しない往路光ビームが入射する第1側面116の面積を、偏向走査素子111にて走査され入射角度が大きく変化する復路光ビームが入射する第2側面117、第3側面118の面積より小さくする構成となっている。この構成とすることで、ビームスプリッタ109の厚さを十分に薄くでき、体積も大幅に減少させることができる。これより、走査型投影装置100全体の小型化が可能となる上、1枚のガラス基板から得られる部品の取り数が増えることで部品価格が大きく低下する効果もある。
【0056】
投影画像のサイズを大きくするため光ビームの最大偏向角度を大きくした場合においても、幅Lyおよび幅Lzを長くするだけでよく、幅Lxはそのままでもよい。すなわち、光ビームの最大偏向角度を大きくしてもビームスプリッタ109の厚さが変化することはない。従って、ビームスプリッタ109の部品体積の大きな増加を防ぐことができる。これより、走査型投影装置100の小型化および価格低減効果が得られる。さらに、ビームスプリッタ109を用いるだけで小型化かつ価格低減が実現できるため、光学部品の増加や光学系が複雑化することはない。
【0057】
以上のように、本実施例の走査型投影装置100は、サイズの小さいビームスプリッタ109を用いながら大きな画像サイズが投影可能で、装置の小型かつ低価格が実現できる。
【0058】
なお、本実施例の走査型投影装置においては、以下の変形が可能である。
G、R、Bの3色の光ビームを合成する光合成素子107および108は、波長選択性ミラーを想定している。しかしながら、本実施例のような走査型投影装置においては、3色の光ビームを合成する構成であればよく、2個の波長選択性ミラーの代わりに2個の波長選択性プリズムを用いる構成であってもよい。
【0059】
また、図11に示す走査型投影装置500のように、光合成素子107および108の機能を併せ持つ光合成素子501によって3色の光ビームを合成後、1個のコリメータレンズ502で3色の光ビームを合わせて平行光に変換しても何ら構わない。さらに、図にはないが、光合成素子501の代わりに液晶プロジェクタ等で一般的に用いられる1個の波長選択性クロスプリズムを用いてもよい。
【0060】
また、緑色、赤色、青色のレーザ光源の配置は本実施例に限定されることはなく、異なってもよい。
また、偏向走査素子111は、それぞれ互いに略垂直な回転軸を単独に備えた2枚の偏向ミラーで構成してもよい。
また、本実施例のビームスプリッタ109は、必ずしもガラスで構成される必要はなく、透明なプラスチックで構成してもよい。
【実施例6】
【0061】
図12は、ビームスプリッタの第6の実施例を示す斜視図である。前記したビームスプリッタ109は、光合成素子108を通過した光ビームを偏向走査素子111に向かって反射する構成であればよい。よって図12に示すビームスプリッタ600のように、ガラス201とガラス202の接合面203に製膜される偏光選択性反射膜120は、レーザ光源から接合面203に入射する往路光ビーム204の入射位置およびその近傍を含む限られた面積に設けておけばよい。また、図では偏光選択性反射膜120の形状を四角形としているが、これにこだわらず、略円形や多角形などでもよい。
【0062】
また、前記したビームスプリッタ109,600は、光合成素子108を通過した往路光ビームを偏向走査素子111に向かって反射し、偏向走査素子111で反射した復路光ビームを被投影面に向かって透過する構成であればよい。例えば、偏光選択性反射膜120とは逆の機能を持つ、図中y軸方向と略平行な偏光ビームを反射し図中z方向と略平行な偏光ビームを通過する偏光選択性反射膜を用い、光合成素子108を通過した光ビームが図中y方向と平行な偏光方向となるようレーザ光源101、103、105を回転調整する構成であってもよい。
【実施例7】
【0063】
図13は、ビームスプリッタの第7の実施例を示す斜視図である。前記したビームスプリッタ109は直方体形状とし、偏向角度がゼロの光ビームが第1〜第3側面116、117、118に対し垂直に入射する構成としたが、これに限定されない。例えば図13に示すビームスプリッタ700のように、光ビームが各面に斜めに入射しても何ら構わない。つまり、第2側面117と下面702との間の角度Δ1、または第1側面116と下面702との角度Δ2が90°でなくてもよい。また、1/4波長板110も、図中z方向または図中y方向を軸として回転して取り付けてもよい。これより次の効果が得られる。
【0064】
通常、光学部品はその入射または透過面にて反射した微小の迷光ビームが発生する。例えば偏光選択性反射膜120で反射後、第2側面117を透過せずに反射した迷光ビームや、1/4波長板110で透過せずに反射した迷光ビームが、被投影面に向かって直進することになる。その場合にも、迷光ビームの光軸角度が画像を投影する光ビームの最大走査角度±2・θmaxまたは±2・φmax以上となるようビームスプリッタ109の角度Δ1またはΔ2の傾斜角度を設けておくと、または1/4波長板を傾けて設置すると、投影する画像内に迷光ビームの入射を防ぐことができる。さらに、画像を投影する光ビームに影響を与えることなく迷光ビームのみを遮光する光学部品の追加も容易である。これより、迷光ビームによる画像の劣化を防ぐことが可能となる。
【実施例8】
【0065】
図14は、ビームスプリッタの第8の実施例を示す平面図である。偏向走査素子111を反射しビームスプリッタ109を通過する光ビームのうち、偏光選択性反射膜120を通過する光ビームは、その外側の領域を通過する光ビームに対し微小のエネルギー損失が発生する。そこで、図14に示すビームスプリッタ800のように、第3側面118において、偏光選択性反射膜120の端を通過する光ビーム801及び802よりも偏向角度が大きな光ビームが入射する所定の場所に、偏光選択性反射膜120の透過率とほぼ等しい透過率を持つ膜803、804を製膜する。その結果、ビームスプリッタ800の第3側面118から出射する光ビームの強度を全偏向角度において一定に保つことができる。これより、投影される画像のうち、偏光選択性反射膜120を通過する光ビームが形成する一部の領域が暗くなることを防ぐことができ、画像の劣化が防止できる。
【0066】
以上のように、実施例5〜8の走査型投影装置100は、サイズの小さいビームスプリッタ109,600,700,800を用いるだけの簡単な構成で、大きな画像が投影可能で、装置の小型化および価格の低減が実現できる。
【実施例9】
【0067】
図15は、本発明による走査型画像表示装置の第9の実施例を示す全体構成図である。実施例9は前記実施例1(図1)の光モジュール部1において、偏光プリズム(偏光ビームスプリッタ、PBS)30からスクリーン9への光ビーム出射側に、透過偏光選択素子90を配置した構成としている。偏光選択素子90を設けることで、PBS30の内面反射のためにスクリーン9上の投影画像の略中央部分に輝点が発生することを防止することができる。なお、前記実施例5(図7)においても同様で、ビームスプリッタ109から被投影面への光ビーム出射側に透過偏光選択素子90を配置すればよい。
【0068】
まず図16により、PBS30を使用した場合、走査画面上に不要な迷光が発生する原理を説明する。
【0069】
光源11、12、13からの光ビームは、入射光B001としてPBS30に入射する。入射光はPBS30の反射面(PBS膜)31に対してS偏光となるように設定されており、同反射面31により反射する。反射光B002のほとんどはPBS30の側面32を通過して走査ミラー50へ向かうが、約0.1%程度の光ビームはPBS30の側面32により内面反射される。PBS30の側面32により内面反射された光ビームの偏光状態は変化しないため、その大部分はPBS30の反射面31によって反射され反射光B003として光源方向に進行するが、約0.1%から約1%の光ビームは透過光B004としてスクリーン9の方向に進行する。透過光B004の光量は画像を形成する走査光B005(P偏光)に対して極めてわずかであるが、その位置が画面のほぼ中央に固定しているため、不要な迷光による輝点として認識されてしまう問題がある。
【0070】
そこで本実施例では、上記輝点を除去して画質を向上させるために、透過偏光選択素子90を配置する。透過偏光選択素子90は特定の偏光方向の光ビームのみを直進して透過させるものであれば良く、いわゆる偏光フィルタを使用することができる。画像を形成する走査光B005と輝点を形成する透過光B004の偏光方向は互いに直交しているため、走査光B005の偏光のみ透過するように偏光選択素子90の光学軸を設定すれば、不要な迷光による輝点を形成する透過光B004を遮蔽することができる。
【0071】
図17は、透過偏光選択素子90の他の構成例を示す図である。
【0072】
透過偏光選択素子90a上には、屈折率あるいは光学的位相が変化する周期構造が形成されており、入射光C001に対して、特定の偏光方向(ここではP偏光成分)の光ビームは直進して出射光C002となるが、特定の偏光方向(ここではS偏光成分)の光ビームは回折されて進行方向が変化し出射光C003となる。同素子によって、不要な迷光により輝点が発生する偏光方向(S偏光)の光ビームを偏向させ、輝点の発生を防止することができる。同図では、一方向のいわゆる回折格子を図示したが、二次元方向に組み合わせて回折させても構わない。
【0073】
図18は、透過偏光選択素子90のさらに他の構成例を示す図である
透過偏光選択素子90b上には、屈折率あるいは光学的位相が変化する略同心円状の周期構造が形成されており、入射光C001に対して、特定の偏光方向(ここではS偏光成分)の光ビームが回折され出射光C003となって放射状に拡散する。同素子によって、不要な迷光による輝点が発生する偏光方向の光ビームを拡散させることができる。
【0074】
このように実施例9によれば、偏光ビームスプリッタ(PBS)を使用するにより投影画像の略中央部分に発生する輝点をなくし、画質の低下を防止できる。なお透過偏光選択素子90は、図17と図18を組み合わせた周期構造を形成することもできる。また、図18では周期構造を形成する領域を素子中央部分に限定しているが、周期構造の形成領域は、素子全体であっても、入射光ビームの径に相当する領域のみに限定しても、いずれでもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…光モジュール部、
2…制御回路、
3…ビデオ信号処理回路、
4…レーザ光源駆動回路、
5…走査ミラー駆動回路、
6…フロントモニター信号検出回路、
9…スクリーン、
11,12,13…レーザ光源、
21,22…波長選択性ミラー、
30…偏光プリズム、
31…PBS(偏光ビームスプリッタ)膜、
32…(偏光プリズムの)入射面、
33…(偏光プリズムの)出射面、
34…(偏光プリズムの)第1側面、
35…(偏光プリズムの)第2側面、
36…(偏光プリズムの)上面、
37…(偏光プリズムの)下面、
40…1/4波長板、
50…走査ミラー、
60…スペックル低減素子、
70…フロントモニター、
90,90a,90b…透過偏光選択素子、
101,103,105…レーザ光源、
102,104,106…コリメータレンズ、
107,108…光合成素子、
109,600,700,800…ビームスプリッタ、
110…1/4波長板、
111…偏向走査素子、
112…透明カバー、
116…(ビームスプリッタの)第1側面、
117…(ビームスプリッタの)第2側面、
118…(ビームスプリッタの)第3側面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ビームを走査ミラーにより2次元的に走査しスクリーンに画像を表示する走査型画像表示装置及び走査型投影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体レーザ光源から出射した光ビームを走査ミラー(偏向ミラー)にて画面上に2次元走査し、画像を表示する走査型画像表示装置及び走査型投影装置が実現されている。このような走査型画像表示装置として、例えば特許文献1、2では、レーザ光源と、レーザ光源から発射したレーザ光を反射させて被投影面に走査する偏向走査素子(例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー装置)とを備え、ミラー面を回転させ光源から出射した光ビームを2次元的に走査する装置が記載されている。その際、ミラーからの反射光を透過させて投影対象に投射(投影)する偏光ビームスプリッタ(PBS)(または偏光ビームスプリッタキューブ、偏向プリズムともいう)と、偏光ビームスプリッタとMEMSミラー装置との間に配置され、透過する光を偏光変調する1/4波長板を有する構成となっている。
【0003】
特許文献1の図6や特許文献2の図20には、走査ミラーへの入射方向をほぼ垂直方向(入射角がほぼ0)とした構成が示され、ミラー面の回転角に対するビームの偏向角(偏光効率)が大きくとれることが述べられている。この場合、走査ミラーへの入射光と反射光の光路が共通となるので、投射する光ビームを直線偏光とし、光路中に偏光ビームスプリッタ(PBS)と1/4波長板とを用いて入射光と反射光を分離する構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−189573号公報
【特許文献2】特表2009−533715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
走査型画像表示装置において、スクリーン上の表示画像に発生する歪みは走査ミラーに対する光ビームの入射角に依存し、斜め方向入射の場合画像歪が大きくなることが知られている。そこで、走査ミラーへのビーム入射方向を垂直入射とすることで、画像の歪みを小さくすることができる。ただし垂直入射の場合には、入射光と反射光を分離するために偏光ビームスプリッタ(PBS)が必要となる。PBSは、略立方体形状の偏光プリズムの対角方向に多層膜(以下、PBS膜)を配した構造で、主にP偏光を透過しS偏光を反射する性質がある。
【0006】
走査型画像表示装置で投影する画像サイズは、走査ミラーの偏向角度によって決定される。前記特許文献1,2に記載されているような光学系構成は、走査ミラーからの反射光の全てを偏光ビームスプリッタ内に通過させなければならないため、偏向角度が大きくなると、偏光ビームスプリッタの体積も大きくしなければならない。しかしながら、偏光ビームスプリッタの体積が大きくなると、筺体全体が大型化するとともに、部品価格も増加する問題がある。
【0007】
また、偏光ビームスプリッタ(PBS)を使用すると、PBSの内面反射のために投影画像の略中央部分に輝点が発生し、画質を低下させるという問題もある。
【0008】
本発明の目的は、簡単な構成で大きい画像サイズが投影でき、かつ小型で低価格であるとともに、不要な輝点等が発生せず良好な画質の走査型画像表示装置及び走査型投影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、光ビームを走査しスクリーンに画像を表示する走査型画像表示装置において、光ビームを出射する光源と、画像信号に応じて前記光源から出射する光ビームの強度を制御する光源駆動回路と、前記光ビームを略垂直にミラー面に入射し該光ビームを略垂直に反射する走査ミラーと、該走査ミラーのミラー面を所定の走査角度だけ2次元的に反復回転駆動する走査ミラー駆動回路と、前記光源から入射する光ビームを反射し1/4波長板を介して前記走査ミラーに入射させるとともに、該走査ミラーで反射され前記1/4波長板を通過した光ビームを透過して前記スクリーンの方向へ出射させる偏光プリズムとを備え、該偏光プリズムは6面体形状をなし、前記光ビームを反射または透過する偏光ビームスプリッタ膜(PBS膜)を前記6面体の略対角方向に配置した構成であって、該偏光プリズムは、前記スクリーンへの光ビーム出射方向(以下、Y方向)の寸法をA、前記光源からの光ビーム入射方向(以下、X方向)の寸法をBとするとき、A<Bの関係としたことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、光ビームを被投影面上で走査し2次元画像を投影する走査型投影装置において、前記光ビームを発散光にて出射するレーザ光源と、前記光ビームを略平行光ないし弱収束光に変化するコリメータレンズと、前記被投影面上に前記光ビームを走査する偏向走査素子と、前記コリメータレンズと前記偏向走査素子との間に配置され、前記コリメータレンズ通過後の前記光ビームを前記偏向走査素子の方向に反射させ、かつ偏向走査素子を反射した光ビームを前記被投影面の方向に透過させるビームスプリッタを具備した画像投影装置において、前記ビームスプリッタは、前記コリメータレンズ通過後の前記光ビームが入射する第1の面が、前記偏向走査素子を反射した光ビームが入射する第2の面よりも、小さな面積を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単な構成で大きなサイズの画像を投影でき、かつ小型で低価格の走査型画像表示装置及び走査型投影装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による走査型画像表示装置の第1の実施例を示す全体構成図。
【図2】実施例1における偏光プリズムの形状を示す図。
【図3】偏光プリズムの第2の実施例の形状を示す図。
【図4】偏光プリズムの第3の実施例の形状を示す図。
【図5】偏光プリズムの第4の実施例の形状を示す図。
【図6】比較のために従来の偏光プリズムの形状を示す図。
【図7】本発明による走査型投影装置の第5の実施例を示す構成図である。
【図8】実施例5におけるビームスプリッタの構成図である。
【図9】ビームスプリッタの幅を求める説明図である。
【図10】比較例として従来のビームスプリッタを用いた走査型投影装置の構成を示す図である。
【図11】実施例5の変形例を示す走査型投影装置の構成図である。
【図12】ビームスプリッタの第6の実施例を示す斜視図である。
【図13】ビームスプリッタの第7の実施例を示す斜視図である。
【図14】ビームスプリッタの第8の実施例を示す平面図である。
【図15】本発明による走査型画像表示装置の第9の実施例を示す全体構成図である。
【図16】走査画面上に不要な迷光が発生する原理を説明する図である。
【図17】透過偏光選択素子の他の構成例を示す図である。
【図18】透過偏光選択素子のさらに他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図に示す実施例に基づいて詳細に説明するが、これによりこの本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明による走査型画像表示装置の第1の実施例を示す全体構成図である。図中の一点鎖線は、光ビームの光軸を示す。光モジュール部1は、緑(G)/赤(R)/青(B)の3色のレーザ光源11,12,13と、各レーザ光源から発せられた光ビームを合成する光合成部と、合成した光ビームをスクリーン9へ投射する投射部と、投射する光ビームをスクリーン9上で2次元的に走査する走査部とを有する。光合成部には波長選択性ミラー21,22など、投射部にはPBS(偏光ビームスプリッタ)膜31を含む偏光プリズム(偏光ビームスプリッタ)30、1/4波長板40、スペックル低減素子60など、走査部には走査ミラー(偏向ミラー)50などを含む。
【0015】
表示する画像信号は、電源等を含む制御回路2を経由してビデオ信号処理回路3に入力する。ビデオ信号処理回路3では画像信号に対し各種の処理を施すとともに、R/G/Bの3色信号に分離しレーザ光源駆動回路4に送る。レーザ光源駆動回路4では、R/G/Bの各信号の輝度値に応じて、光モジュール部1内の対応するレーザ光源11,12,13に対して発光用の駆動電流を供給する。その結果レーザ光源11,12,13は、表示タイミングに合わせてR/G/B信号の輝度値に応じた強度の光ビームを出射する。
【0016】
またビデオ信号処理回路3は、画像信号から同期信号を抽出して走査ミラー駆動回路5に送る。走査ミラー駆動回路5は、水平・垂直同期信号に合わせて光モジュール部1内の走査ミラー50に対しミラー面を2次元的に反復回転させる駆動信号を供給する。これにより走査ミラー50は、ミラー面を所定の角度だけ周期的に反復回転して光ビームを反射させ、スクリーン9上に水平方向および垂直方向に光ビームを走査して画像を表示する。
【0017】
フロントモニター信号検出回路6は、光モジュール部1内のフロントモニター70からの信号を入力して、レーザ光源11,12,13から出射されるR/G/Bそれぞれの出力レベルを検出する。検出された出力レベルは、ビデオ信号処理回路3に入力され、所定の出力になるようレーザ光源11,12,13の出力が制御される。
【0018】
次に、光モジュール部1の内部構成について説明する。レーザ光源11はG光(波長520nm帯)、レーザ光源12はR光(波長640nm帯)、レーザ光源13はB光(波長440nm帯)のビームをそれぞれ発生する。各色の光ビームは、コリメートレンズによって略平行な光ビームに変換される。波長選択性ミラー(ダイクロイックミラー)21は、G光を透過しR光を反射する。また波長選択性ミラー22は、G光とR光を透過しB光を反射する。G、R、B光の各ビームは、それらの光軸の傾きと位置を調整することで、各ビームの断面が互いに重なり合って1本の合成された光ビームとして進行する。なお、ここに示したG光、R光、B光の配置は各光ビームの伝達効率を考慮して決定したものであるが、その配置はこれに限定せず適宜変更することができる。
【0019】
合成された光ビームは偏光プリズム30に入射し、PBS膜31によって反射され、1/4波長板40を通過して走査ミラー(偏向走査素子)50へほぼ垂直に入射する。走査ミラー50は例えば例えばMEMSミラーや、ガルバノミラー等で構成され、そのミラー面を2次元的に所定の走査角度で反復回転させることで、入射した光ビームを走査角度の範囲でほぼ垂直方向に反射させる。反射された光ビームは1/4波長板40を通過して、偏光プリズム30のPBS膜31を透過しスペックル低減素子60へ入射する。スペックル低減素子60は、レーザ光が通過する光学部品からの戻り光との干渉により発生するスペックルノイズを低減するための素子で、例えば液晶素子で構成する。スペックル低減素子60を通過した光ビームはスクリーン9へ投射され、画像が表示される。なお、スペックル低減素子60は省略することができる。
【0020】
次に、走査ミラー50への入射光と走査ミラー50からの反射光を分離する偏光プリズム30の形状と動作について説明する。説明を容易にするために、レーザ光源から偏光プリズム30に入力する光ビームの入射方向をX方向、走査ミラー50で反射されスクリーン9へ出射される光ビームの中心軸方向をY方向、これらに直交し紙面に垂直な方向をZ方向とする。スクリーン9では、X方向とZ方向の2次元状に画像を表示する。始めに、従来の偏光プリズムの形状について説明する。
【0021】
図6は、比較のために従来の偏光プリズム30の形状を示し、(a)は平面図(Z方向から見た図)、(b)は側面図(X方向から見た図)である。
従来の偏光プリズム30は略立方体形状であり、各辺の長さ、A(Y方向)、B(X方向)、C(Z方向)は等しい。例えばその寸法は、以下に述べる走査角度を実現するために、A=B=C=8.4mmだけ必要になる。PBS膜31は、平面図(a)において偏光プリズム30の対角位置e,fを結ぶ面に配置され、PBS膜31の膜面と偏光プリズム30の外面とのなす角は略45°となる。側面図(b)では、PBS膜31は偏光プリズム30の内部に全面に渡り配置されている。
【0022】
レーザ光源11,12,13から出射され合成された光ビーム81は、S偏光として偏光プリズム30にX方向に入射する。入射光の偏光をS偏光にするためには、各レーザ光源あるいは各コリメートレンズ出射部分に偏光板を設けたり、レーザ光源自体を回転させて取り付けたりすればよい。偏光プリズム30のPBS膜31は斜め45°方向に配置され、S偏光を反射しP偏光を透過する特性を有する。よってS偏光の光ビーム81はPBS膜31で反射され−Y方向に進み、1/4波長板40に入射する。S偏光の光ビーム81は1/4波長板40で概ね円偏光の光ビームに変換され、走査ミラー50に略垂直に入射する。
【0023】
走査ミラー50は光ビームを+Y方向に反射し、その反射ビーム82は所定の走査角度(X方向θx、Z方向θz)で振られる。この走査角度の大きさは表示画面サイズに対応し、例えばθx(水平方向)=±15°、θz(垂直方向)=±12°とする。光ビーム82は1/4波長板40を再度通過することによって、円偏光からP偏光の光ビームに変換されて偏光プリズム30に入射する。P偏光の光ビーム82はPBS膜31を透過し、偏光プリズム30からスクリーン9に向けて出射される。
【0024】
図6の偏光プリズム30の場合、偏光プリズムをさらに小型化できる余地がある。平面図(a)において、PBS膜31のうちで光ビーム81が反射するのはPBS膜31の中央部の一点であり、光ビーム82が透過するのは符号g〜hの部分で、その外側の部分e〜g、h〜fは利用されていない。同様に側面図(b)において、光ビーム81,82が反射または透過するのは符号82で挟まれた領域で、符号82の外側の部分は利用されていない。そこでこの光ビームの通過しない部分を除去することで、偏光プリズム30の機能を何ら損なうことなくサイズを縮小することができる。
【0025】
以下、縮小化した偏光プリズムのいくつかの実施例を図面で説明する。なお、偏光プリズム30を形成する6つの外面を区別するため、走査ミラー50からの光ビーム82の入射する面を「入射面32」、スクリーン9へ光ビーム82を出射する面を「出射面33」、レーザ光源からの光ビーム81の入射する面を「第1側面34」、第1側面34に対向する反対側の面を「第2側面35」、Z方向に対向する面を「上面36」、「下面37」と呼ぶことにする。これらの面の位置は、図に示す通りである。
【0026】
図2は、実施例1における偏光プリズム30の形状を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。本実施例では、平面図(a)において偏光プリズム30の入射面32側を除去するとともに、これに伴い他の3面(出射面33側、第1側面34側、第2側面35側)を除去している。また、側面図(b)において上面36側と下面37側を除去している。すなわち各辺の寸法をA’(Y方向)、B’(X方向)、C’(Z方向)とするとき、除去前の寸法A,B,C(ただしA=B=C)と比べて、A’<A、B’<B、C’<Cとしている。さらに除去後の偏光プリズム30は直方体形状(XY断面が長方形形状)をなし、A’<B’の関係としている。これにより、PBS膜31は、入射面32の角(端部)から内側にずれた位置f’と出射面33の角(端部)e’を結ぶ面に配置する。XY断面形状で言えば、PBS膜31の一端が長方形断面の頂点位置e’を起点とし、他端が長方形断面の頂点から入射面32上を内側にずれた位置f’を終点とし、入射面32と略45°の角度で交差するように配置する。
【0027】
偏光プリズム30の除去部分を除去前の前記図6と対比して説明する。平面図(a)において偏光プリズム30の入射面32側を、図6における破線jの位置まで除去する。除去位置jは、光ビーム82が透過しないPBS膜31の領域から決定し、PBS膜31と光ビーム82の交差位置hの近傍に設定する。入射面32側を除去することにより、1/4波長板40と走査ミラー50は除去した分だけ偏光プリズム30側へ移動させることができる。その結果、走査ミラー50から入射される光ビーム82は、走査角度θxは同じであってもPBS膜31の通過領域(X方向の幅)は狭くなる。よって、光ビーム82との交差位置から決まる除去位置jはさらにY方向に前進し、この操作を繰り返して最終位置を決める。
【0028】
次に、光ビーム82の通過領域が狭くなることで、第1側面34側と第2側面35側についても光ビーム82の通過しない部分が発生し、破線m、nの位置まで除去する。また出射面33側については、全ての光ビーム82が出射面33内を通過して出射することを条件に不要になる部分を決定し、破線kの位置まで除去する。その結果、除去後の偏光プリズム30のY方向の寸法(奥行き)はA’、X方向の寸法(幅)はB’に縮小する。具体例を示せば、走査角度θx=±15°の場合、従来寸法A=B=8.4mmが、除去後寸法A’=6.6mm、B’=7.8mmに縮小する。この場合A’<B’の関係になるので、PBS膜31は入射面32の角(端部)位置ではなく、寸法A’とB’の差Δx=1.2mmだけ内側にずらした位置f’を起点として配置していることに特徴がある。A’とB’の寸法は走査角度θxに依存するが、A’<B’の関係は常に成立する。そして、走査角度θxが大きくなるほど、A’とB’の差Δxも大きくなる。よって、走査角度θxが大きくして表示画像の解像度を高める場合に、A’とB’の差Δxを大きくして縮小効果を大きく発揮できることになる。
【0029】
また側面図(b)において、偏光プリズム30の上面36側と下面37側を、図6における破線p、qの位置まで除去する。この除去位置p、qは、図2(a)の平面図に示した除去後の偏光プリズム30において、光ビーム82が出射面33と交差する位置から決めればよい。その結果、除去後の偏光プリズム30のZ方向の寸法(高さ)はC’に縮小する。具体例を示せば、走査角度θz=±12°の場合、従来寸法C=8.4mmが、除去後寸法C’=6.8mmに縮小する。なお、この寸法C’は走査角度θzに依存し、寸法A’やB’との大小関係はθzの大きさで決定される。
【実施例2】
【0030】
図3は、偏光プリズム30の第2の実施例の形状を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。本実施例は、前記第1の実施例(図2)の偏光プリズムをさらに除去した構造であって、平面図(a)において偏光プリズム30の第1側面34と第2側面35を、光ビーム82の進行方向に沿って斜めにカットしている。すなわちXY断面形状は台形形状となり、入射面32での寸法(幅)B”を出射面での33の寸法(幅)B’よりも小さくし、B”=5.5mmまで縮小している。そしてPBS膜31は、入射面32の角f’と出射面33の角e’を結ぶ面に配置する。XY断面形状で言えば、PBS膜31の一端が台形の短辺(入射面32)側の頂点位置f’を起点とし、他端が台形の長辺(出射面33)側の頂点位置e’を終点とし、短辺及び長辺に対し略45°の角度で交差するように配置している。側面図(b)については前記第1の実施例(図2)と同様である。
【0031】
本実施例では偏光プリズム30の側面を斜めカットすることで、さらにサイズを縮小することができる。なお本実施例では、レーザ光源からの光ビーム81が入射する第1側面34を斜めにカットしたので、偏光プリズム30に入射後の光ビーム81の光路が変化する。そこで、レーザ光源側の光軸方向を修正して偏光プリズム30内の光路が変化しないようにする。
【実施例3】
【0032】
図4は、偏光プリズム30の第3の実施例の形状を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。本実施例は、前記第2の実施例(図3)の偏光プリズムをさらに除去した構造であって、側面図(b)において偏光プリズム30の上面36と下面37を、光ビーム82の進行方向に沿って斜めにカットしている。これにより、入射面32での寸法(高さ)C”を出射面での33の寸法(高さ)C’よりも小さくし、C”=5mmまで縮小している。本実施例では偏光プリズム30の上下面を斜めカットすることで、偏光プリズムを立体的に小型化することができる。本実施例でも、レーザ光源側の光軸方向を修正して偏光プリズム30内の光路が変化しないようにする。
【実施例4】
【0033】
図5は、偏光プリズム30の第4の実施例の形状を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。本実施例は、前記第3の実施例(図4)の偏光プリズムにおいて、レーザ光源からの光ビーム81が入射する第1側面34に対する斜めカットを止め、図2と同様の平面に戻した構造である。これによれば、偏光プリズム30に入射後の光ビーム81の光路が変化することがなく、レーザ光源側の光軸方向を修正する必要がない。
【0034】
以上述べた実施例1〜4によれば、偏光プリズムの中で投射光生成に寄与しない部分を除去することで、偏光プリズムのサイズを縮小し、走査型画像表示装置の小型化を図ることができる。この小型化の効果は、走査角度を大きくして高解像度の画像表示を行う場合により大きく発揮できる。なお、以上の各実施例は、単独でもあるいは組み合わせても有効であり、偏光プリズムの除去する部分は適宜選択できることは言うまでもない。
【実施例5】
【0035】
図7は、本発明による走査型投影装置の第5の実施例を示す構成図である。本実施例は、偏向プリズムのサイズを前記各実施例よりもさらに縮小したものである。ここでは、縮小したビームスプリッタ(偏光プリズム)109を含む走査型投影装置100(すなわち図1における光モジュール部1に相当)の構成を示している。
【0036】
レーザ光源101はG光(波長520nm帯)、レーザ光源103はR光(波長640nm帯)、レーザ光源105はB光(波長440nm帯)のビームをそれぞれ出射する半導体レーザである。各レーザ光源101,103,105から出射された光ビームは、それぞれコリメータレンズ102,104,106にて平行光ビームないし弱収束光ビームに変換される。
【0037】
光合成素子107は、G光ビームを透過、R光ビームを反射する波長選択性ミラーであり、R光ビームの進行方向は図中y方向に変換される。さらに、G光ビームとR光ビームの光軸が略一致するよう、光合成素子107またはレーザ光源101、103およびコリメータレンズ102、104を調整する。光合成素子108は、G光ビームおよびR光ビームを透過、B光ビームを反射する波長選択性ミラーであり、B光ビームの進行方向も図中y方向に変換される。さらに、B光ビームとG光およびR光ビームの光軸が略一致するよう、光合成素子108またはレーザ光源105およびコリメータレンズ106を調整する。
【0038】
一般的に半導体レーザから出射する光ビームは直線偏光となっている。そのため、レーザ光源101、103、105から出射する光ビームも直線偏光となっている。本実施例は、光合成素子108を透過した3本の光ビームの偏光方向が図中z方向と略平行になるよう、レーザ光源101、103、105をそれぞれ回転調整している。
【0039】
合成された3色の光ビームは、ビームスプリッタ(偏光プリズム)109に入射する。ビームスプリッタ109を構成する面のうち、光ビームが入射する面(第1側面)116と、偏向走査素子111との間で出射・入射する面(第2側面)117と、被投影面へ出射(投射)する面(第3側面)118に注目する。なお、前記実施例1−4(図2−5)の偏光プリズム30との対応は、第1側面116は前記第1側面34に、第2側面117は前記入射面32に、第3側面118は前記出射面33に相当する。本実施例では、第1側面116の幅(図中x方向の長さ)は第2側面117、第3側面118の幅(図中y方向の長さ)より小さく、かつ高さ(図中z方向の長さ)を等しくしている。すなわち、ビームスプリッタ109は扁平な形状としている。
【0040】
また、ビームスプリッタ109の略中心には偏光選択性反射膜(PBS膜)120が製膜されている。偏光選択性反射膜120は、図中z方向と平行な偏光成分を反射し、図中y方向と平行な偏光成分を透過する性質がある。偏光選択性反射膜120は、反射した光ビームが所定の方向に進むよう所定の角度を持って配置される。例えば図7の例では、反射した光ビームが面117から略垂直に出射するよう、面116ないし面118に対し略45度だけ傾斜している。面116に入射した3色の光ビームは、上述のように図中z方向と略平行な直線偏光となるよう調整されているため、偏光選択性反射膜120は3色の光ビームを面117の方向に反射する。
【0041】
ビームスプリッタ109の面117から出射した光ビームは、1/4波長板110に入射する。1/4波長板110では、3色の光ビームは円偏光に変換される。次に、光ビームは偏向走査素子(走査ミラー)111に入射する。偏向走査素子111は、図中z方向と図中y方向を走査軸とし、各走査軸のまわりに偏向駆動することで光ビームを被投影面上に2次元走査する機能がある。偏向走査素子111は、例えばMEMSミラーやガルバノミラー等を用いることで実現できる。
【0042】
偏向走査素子111で反射した光ビームは再び1/4波長板110に入射する。ここで光ビームは、図中y方向の直線偏光に変換される。次に、光ビームは再びビームスプリッタ109の面117を通過し、偏光選択性反射膜120に入射する。光ビームの偏光方向は1/4波長板110にて図中y方向に平行に変換された後なので、ここで偏光選択性反射膜120は光ビームを透過する。図にはないが、偏向走査素子111が所定最大偏向角度となる場合も、偏向された光ビームがビームスプリッタ109内を通過するよう、第2側面117と第3側面118は所定の面積となっている。なお、偏向走査された光ビームがビームスプリッタ109の偏光選択性反射膜120に入射せずその外側を通過した場合、光ビームは単なる透明平板を透過することと同等となり、これを許容するものとする。
【0043】
続いて、光ビームは走査型投影装置100の上面に設けた透明カバー112に入射する。透明カバー112は、3色の光ビームの透過率が十分に高い透明なガラスまたはプラスチックのカバーを想定しており、装置100内に入り込む粉塵等による光学部品の透過率の劣化や偏向走査素子111の故障などを防ぐことが可能となる。透明カバー112も、偏向走査素子111が所定最大偏向角度となる場合も、偏向された光ビームが損失なく透明カバー112を通過するよう、所定の面積となっている。透明カバー112を通過した3色の光ビームは、外部に設置されている被投影面上の同じ位置に3個の光スポットを重ねて形成する。すなわち、被投影面上には1個の光スポットとして視認できる。
【0044】
以上のように、本実施例の走査型投影装置100は、少なくともレーザ光源101、103、105とコリメータレンズ102、104、106、光合成素子107、108、ビームスプリッタ109、1/4波長板110、偏向走査素子111、透明カバー112にて構成されていればよく、途中に回折格子や波長板などの光学素子の追加や、ミラーで光路を折り曲げた構成であっても何ら構わない。また、透明カバー112と偏向走査素子111の間の光路に偏向走査素子111の走査角度を変換する機能を持つ光学素子等を追加しても何ら構わない。
【0045】
図8は、実施例5におけるビームスプリッタ109の具体的な構成を示す斜視図である。ここでは一例として、ビームスプリッタ109を直方体の形状とした場合である。このビームスプリッタ109は、ガラス201とガラス202との接合面に偏光選択性反射膜120を製膜し、直方体になるよう切り出すことで作製できる。これは、特許文献1の偏光ビームスプリッタキューブの作製工程と同様であるため、作製は簡易である。
【0046】
ビームスプリッタ109の図中x方向に沿った長さを幅Lx、図中y方向に沿った長さを幅Ly、図中z方向に沿った長さを幅Lzとする。ここで、ビームスプリッタ109の幅Lx、Ly、Lzの具体的な関係式について説明する。
【0047】
図9は、ビームスプリッタ109の幅Lyを求める説明図である。なお、図を簡易化するため、ビームスプリッタ109及び偏向走査素子111のみ記述している。ビームスプリッタ109の第2側面117および第3側面118は、偏向走査素子111で偏向走査され光ビームの入射角度が変化しても、入射する光ビームが全てビームスプリッタ109内を通過するよう所定の面積を有している。
【0048】
偏向走査素子111をその中心を通り図中z方向に平行な直線を軸として回転した場合の、最大偏向角度を±θmaxとする。ここでは、紙面上における時計回りを負、反時計回りを正としている。偏向走査素子111の偏向角度がゼロの場合における反射光ビームの光軸を光軸113、偏向角度が+θmaxの場合における反射光ビームの光軸を光軸114、偏向角度が−θmaxの場合における反射光ビームの光軸を光軸115とする。光軸113と光軸114との間の角度は+2・θmax、光軸113と光軸116との間の角度は−2・θmaxとなり、光ビームの最大偏向走査角度は、±2・θmaxとなる。
【0049】
ビームスプリッタ109の面117と偏向走査素子111との間の距離を距離D、ビームスプリッタ109の屈折率を屈折率nとすると、第3側面118において最大偏向走査角度までの光ビームが入射する図中y軸に沿った最大の幅L’は、(1)式で与えられる。
L’=2×(D+Lx/n)・tan(2・θmax) (1)
【0050】
光ビームのビーム径をSとすると、光軸114と光軸115との間の偏向角度で入射する光ビームが全て第3側面118を通過するようにするためには、幅Lyは(2)式を満足する必要がある。
Ly>S+L’=S+2×(D+Lx/n)・tan(2・θmax) (2)
【0051】
また、図にはないが、第3側面118の図中z方向に沿った幅Lzも同様に求めることができる。偏向走査素子111をその中心を通り図中y方向に平行な直線を軸として回転させたときの、最大偏向角度を±φmaxとする。光ビームが全て第3側面118を通過するためには、幅Lzは(3)式を満足する必要がある。
Lz>S+2×(D+Lx/n)・tan(2・φmax) (3)
【0052】
一方、第1側面116に入射する光ビームは、偏向走査素子111に向かって進行する往路光ビームであり、その偏向角度が変化することはない。従って、第1側面116の幅Lxはビーム径Sを用いて(4)式となればよい。
Lx>S (4)
以上のように、本実施例のビームスプリッタ109の幅Ly、Lz、Lxは、(2)、(3)、(4)式を満足するよう決めればよい。
【0053】
続いて、本実施例のビームスプリッタ109の効果について説明する。
図10は、比較例として従来のビームスプリッタを用いた場合の走査型投影装置400の構成図を示す。例えば、特許文献1に記載されているxy断面が正方形である偏光ビームスプリッタキューブ401を採用した場合である。
【0054】
図のように、最大偏向角度±2・θmaxの光ビームが偏光ビームスプリッタキューブ401を透過するには、偏光ビームスプリッタキューブ401の体積を大きくする必要がある。さらに、走査型投影装置で大きなサイズの画像を投影するためには最大偏向角度のさらなる拡大が必須であり、それに伴い偏光ビームスプリッタキューブ401の体積はさらに増加する。また、偏光ビームスプリッタキューブ401の体積の増加は、走査型投影装置400全体が大型化する問題だけでなく、部品価格が増加する問題もある。通常、偏光依存性がある光学部品はガラスで作製される。偏光ビームスプリッタキューブ401もガラスで作製されることを想定すると、部品が大型化するほど1枚のガラス基板から得られる部品の取り数が少なくなり、部品価格が増大する。従って、走査型投影装置400の価格全体の中で、偏光ビームスプリッタキューブ400が占めるインパクトが非常に大きくなる。
【0055】
本実施例の走査型投影装置100のビームスプリッタ109は、偏光走査素子111に向かって進行し入射角度がほぼ変化しない往路光ビームが入射する第1側面116の面積を、偏向走査素子111にて走査され入射角度が大きく変化する復路光ビームが入射する第2側面117、第3側面118の面積より小さくする構成となっている。この構成とすることで、ビームスプリッタ109の厚さを十分に薄くでき、体積も大幅に減少させることができる。これより、走査型投影装置100全体の小型化が可能となる上、1枚のガラス基板から得られる部品の取り数が増えることで部品価格が大きく低下する効果もある。
【0056】
投影画像のサイズを大きくするため光ビームの最大偏向角度を大きくした場合においても、幅Lyおよび幅Lzを長くするだけでよく、幅Lxはそのままでもよい。すなわち、光ビームの最大偏向角度を大きくしてもビームスプリッタ109の厚さが変化することはない。従って、ビームスプリッタ109の部品体積の大きな増加を防ぐことができる。これより、走査型投影装置100の小型化および価格低減効果が得られる。さらに、ビームスプリッタ109を用いるだけで小型化かつ価格低減が実現できるため、光学部品の増加や光学系が複雑化することはない。
【0057】
以上のように、本実施例の走査型投影装置100は、サイズの小さいビームスプリッタ109を用いながら大きな画像サイズが投影可能で、装置の小型かつ低価格が実現できる。
【0058】
なお、本実施例の走査型投影装置においては、以下の変形が可能である。
G、R、Bの3色の光ビームを合成する光合成素子107および108は、波長選択性ミラーを想定している。しかしながら、本実施例のような走査型投影装置においては、3色の光ビームを合成する構成であればよく、2個の波長選択性ミラーの代わりに2個の波長選択性プリズムを用いる構成であってもよい。
【0059】
また、図11に示す走査型投影装置500のように、光合成素子107および108の機能を併せ持つ光合成素子501によって3色の光ビームを合成後、1個のコリメータレンズ502で3色の光ビームを合わせて平行光に変換しても何ら構わない。さらに、図にはないが、光合成素子501の代わりに液晶プロジェクタ等で一般的に用いられる1個の波長選択性クロスプリズムを用いてもよい。
【0060】
また、緑色、赤色、青色のレーザ光源の配置は本実施例に限定されることはなく、異なってもよい。
また、偏向走査素子111は、それぞれ互いに略垂直な回転軸を単独に備えた2枚の偏向ミラーで構成してもよい。
また、本実施例のビームスプリッタ109は、必ずしもガラスで構成される必要はなく、透明なプラスチックで構成してもよい。
【実施例6】
【0061】
図12は、ビームスプリッタの第6の実施例を示す斜視図である。前記したビームスプリッタ109は、光合成素子108を通過した光ビームを偏向走査素子111に向かって反射する構成であればよい。よって図12に示すビームスプリッタ600のように、ガラス201とガラス202の接合面203に製膜される偏光選択性反射膜120は、レーザ光源から接合面203に入射する往路光ビーム204の入射位置およびその近傍を含む限られた面積に設けておけばよい。また、図では偏光選択性反射膜120の形状を四角形としているが、これにこだわらず、略円形や多角形などでもよい。
【0062】
また、前記したビームスプリッタ109,600は、光合成素子108を通過した往路光ビームを偏向走査素子111に向かって反射し、偏向走査素子111で反射した復路光ビームを被投影面に向かって透過する構成であればよい。例えば、偏光選択性反射膜120とは逆の機能を持つ、図中y軸方向と略平行な偏光ビームを反射し図中z方向と略平行な偏光ビームを通過する偏光選択性反射膜を用い、光合成素子108を通過した光ビームが図中y方向と平行な偏光方向となるようレーザ光源101、103、105を回転調整する構成であってもよい。
【実施例7】
【0063】
図13は、ビームスプリッタの第7の実施例を示す斜視図である。前記したビームスプリッタ109は直方体形状とし、偏向角度がゼロの光ビームが第1〜第3側面116、117、118に対し垂直に入射する構成としたが、これに限定されない。例えば図13に示すビームスプリッタ700のように、光ビームが各面に斜めに入射しても何ら構わない。つまり、第2側面117と下面702との間の角度Δ1、または第1側面116と下面702との角度Δ2が90°でなくてもよい。また、1/4波長板110も、図中z方向または図中y方向を軸として回転して取り付けてもよい。これより次の効果が得られる。
【0064】
通常、光学部品はその入射または透過面にて反射した微小の迷光ビームが発生する。例えば偏光選択性反射膜120で反射後、第2側面117を透過せずに反射した迷光ビームや、1/4波長板110で透過せずに反射した迷光ビームが、被投影面に向かって直進することになる。その場合にも、迷光ビームの光軸角度が画像を投影する光ビームの最大走査角度±2・θmaxまたは±2・φmax以上となるようビームスプリッタ109の角度Δ1またはΔ2の傾斜角度を設けておくと、または1/4波長板を傾けて設置すると、投影する画像内に迷光ビームの入射を防ぐことができる。さらに、画像を投影する光ビームに影響を与えることなく迷光ビームのみを遮光する光学部品の追加も容易である。これより、迷光ビームによる画像の劣化を防ぐことが可能となる。
【実施例8】
【0065】
図14は、ビームスプリッタの第8の実施例を示す平面図である。偏向走査素子111を反射しビームスプリッタ109を通過する光ビームのうち、偏光選択性反射膜120を通過する光ビームは、その外側の領域を通過する光ビームに対し微小のエネルギー損失が発生する。そこで、図14に示すビームスプリッタ800のように、第3側面118において、偏光選択性反射膜120の端を通過する光ビーム801及び802よりも偏向角度が大きな光ビームが入射する所定の場所に、偏光選択性反射膜120の透過率とほぼ等しい透過率を持つ膜803、804を製膜する。その結果、ビームスプリッタ800の第3側面118から出射する光ビームの強度を全偏向角度において一定に保つことができる。これより、投影される画像のうち、偏光選択性反射膜120を通過する光ビームが形成する一部の領域が暗くなることを防ぐことができ、画像の劣化が防止できる。
【0066】
以上のように、実施例5〜8の走査型投影装置100は、サイズの小さいビームスプリッタ109,600,700,800を用いるだけの簡単な構成で、大きな画像が投影可能で、装置の小型化および価格の低減が実現できる。
【実施例9】
【0067】
図15は、本発明による走査型画像表示装置の第9の実施例を示す全体構成図である。実施例9は前記実施例1(図1)の光モジュール部1において、偏光プリズム(偏光ビームスプリッタ、PBS)30からスクリーン9への光ビーム出射側に、透過偏光選択素子90を配置した構成としている。偏光選択素子90を設けることで、PBS30の内面反射のためにスクリーン9上の投影画像の略中央部分に輝点が発生することを防止することができる。なお、前記実施例5(図7)においても同様で、ビームスプリッタ109から被投影面への光ビーム出射側に透過偏光選択素子90を配置すればよい。
【0068】
まず図16により、PBS30を使用した場合、走査画面上に不要な迷光が発生する原理を説明する。
【0069】
光源11、12、13からの光ビームは、入射光B001としてPBS30に入射する。入射光はPBS30の反射面(PBS膜)31に対してS偏光となるように設定されており、同反射面31により反射する。反射光B002のほとんどはPBS30の側面32を通過して走査ミラー50へ向かうが、約0.1%程度の光ビームはPBS30の側面32により内面反射される。PBS30の側面32により内面反射された光ビームの偏光状態は変化しないため、その大部分はPBS30の反射面31によって反射され反射光B003として光源方向に進行するが、約0.1%から約1%の光ビームは透過光B004としてスクリーン9の方向に進行する。透過光B004の光量は画像を形成する走査光B005(P偏光)に対して極めてわずかであるが、その位置が画面のほぼ中央に固定しているため、不要な迷光による輝点として認識されてしまう問題がある。
【0070】
そこで本実施例では、上記輝点を除去して画質を向上させるために、透過偏光選択素子90を配置する。透過偏光選択素子90は特定の偏光方向の光ビームのみを直進して透過させるものであれば良く、いわゆる偏光フィルタを使用することができる。画像を形成する走査光B005と輝点を形成する透過光B004の偏光方向は互いに直交しているため、走査光B005の偏光のみ透過するように偏光選択素子90の光学軸を設定すれば、不要な迷光による輝点を形成する透過光B004を遮蔽することができる。
【0071】
図17は、透過偏光選択素子90の他の構成例を示す図である。
【0072】
透過偏光選択素子90a上には、屈折率あるいは光学的位相が変化する周期構造が形成されており、入射光C001に対して、特定の偏光方向(ここではP偏光成分)の光ビームは直進して出射光C002となるが、特定の偏光方向(ここではS偏光成分)の光ビームは回折されて進行方向が変化し出射光C003となる。同素子によって、不要な迷光により輝点が発生する偏光方向(S偏光)の光ビームを偏向させ、輝点の発生を防止することができる。同図では、一方向のいわゆる回折格子を図示したが、二次元方向に組み合わせて回折させても構わない。
【0073】
図18は、透過偏光選択素子90のさらに他の構成例を示す図である
透過偏光選択素子90b上には、屈折率あるいは光学的位相が変化する略同心円状の周期構造が形成されており、入射光C001に対して、特定の偏光方向(ここではS偏光成分)の光ビームが回折され出射光C003となって放射状に拡散する。同素子によって、不要な迷光による輝点が発生する偏光方向の光ビームを拡散させることができる。
【0074】
このように実施例9によれば、偏光ビームスプリッタ(PBS)を使用するにより投影画像の略中央部分に発生する輝点をなくし、画質の低下を防止できる。なお透過偏光選択素子90は、図17と図18を組み合わせた周期構造を形成することもできる。また、図18では周期構造を形成する領域を素子中央部分に限定しているが、周期構造の形成領域は、素子全体であっても、入射光ビームの径に相当する領域のみに限定しても、いずれでもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…光モジュール部、
2…制御回路、
3…ビデオ信号処理回路、
4…レーザ光源駆動回路、
5…走査ミラー駆動回路、
6…フロントモニター信号検出回路、
9…スクリーン、
11,12,13…レーザ光源、
21,22…波長選択性ミラー、
30…偏光プリズム、
31…PBS(偏光ビームスプリッタ)膜、
32…(偏光プリズムの)入射面、
33…(偏光プリズムの)出射面、
34…(偏光プリズムの)第1側面、
35…(偏光プリズムの)第2側面、
36…(偏光プリズムの)上面、
37…(偏光プリズムの)下面、
40…1/4波長板、
50…走査ミラー、
60…スペックル低減素子、
70…フロントモニター、
90,90a,90b…透過偏光選択素子、
101,103,105…レーザ光源、
102,104,106…コリメータレンズ、
107,108…光合成素子、
109,600,700,800…ビームスプリッタ、
110…1/4波長板、
111…偏向走査素子、
112…透明カバー、
116…(ビームスプリッタの)第1側面、
117…(ビームスプリッタの)第2側面、
118…(ビームスプリッタの)第3側面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを走査しスクリーンに画像を表示する走査型画像表示装置において、
光ビームを出射する光源と、
画像信号に応じて前記光源から出射する光ビームの強度を制御する光源駆動回路と、
前記光ビームを略垂直にミラー面に入射し該光ビームを略垂直に反射する走査ミラーと、
該走査ミラーのミラー面を所定の走査角度だけ2次元的に反復回転駆動する走査ミラー駆動回路と、
前記光源から入射する光ビームを反射し1/4波長板を介して前記走査ミラーに入射させるとともに、該走査ミラーで反射され前記1/4波長板を通過した光ビームを透過して前記スクリーンの方向へ出射させる偏光プリズムとを備え、
該偏光プリズムは6面体形状をなし、前記光ビームを反射または透過する偏光ビームスプリッタ膜(PBS膜)を前記6面体の略対角方向に配置した構成であって、
該偏光プリズムは、前記スクリーンへの光ビーム出射方向(以下、Y方向)の寸法をA、前記光源からの光ビーム入射方向(以下、X方向)の寸法をBとするとき、A<Bの関係としたことを特徴とする走査型画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の走査型画像表示装置であって、
前記偏光プリズムは直方体形状であり、前記走査ミラーから光ビームが入射する面において、前記PBS膜の一端を該入射面の端部から前記寸法A,Bの差分(A−B)だけ内側にずらした位置に該入射面と略45°の角度で交差するように配置したことを特徴とする走査型画像表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の走査型画像表示装置であって、
前記偏光プリズムは、前記X方向に対向する2つの面の少なくとも一方の面において、前記走査ミラーがX方向に所定の走査角度だけ反復回転駆動することで光ビームが通過するX方向の領域の外側の部分を、光ビームの進行方向に沿って斜めにカットしたことを特徴とする走査型画像表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の走査型画像表示装置であって、
前記偏光プリズムは、前記X方向と前記Y方向に垂直な方向(以下、Z方向)に対向する2つの面の少なくとも一方の面において、前記走査ミラーがZ方向に所定の走査角度だけ反復回転駆動することで光ビームが通過するZ方向の領域の外側の部分を、光ビームの進行方向に沿って斜めにカットしたことを特徴とする走査型画像表示装置。
【請求項5】
6面体形状をなし、光ビームを反射または透過する偏光ビームスプリッタ膜(PBS膜)を前記6面体の略対角方向に配置した偏光プリズムにおいて、
前記6面体形状は、前記光ビームの反射及び透過する光軸を含む面の断面形状が長方形であり、
前記PBS膜は、一端が該長方形の頂点位置を起点とし、他端が該長方形の頂点から長辺上を内側にずれた位置を終点とし、該長辺と略45°の角度で交差するように構成したことを特徴とする偏光プリズム。
【請求項6】
6面体形状をなし、光ビームを反射または透過する偏光ビームスプリッタ膜(PBS膜)を前記6面体の略対角方向に配置した偏光プリズムにおいて、
前記6面体形状は、前記光ビームの反射及び透過する光軸を含む面の断面形状が台形であり、
前記PBS膜は、一端が該台形の短辺側の頂点位置を起点とし、他端が該台形の長辺側の頂点位置を終点とし、該短辺及び該長辺に対し略45°の角度で交差するように構成したことを特徴とする偏光プリズム。
【請求項7】
光ビームを被投影面上で走査し2次元画像を投影する走査型投影装置において、
前記光ビームを発散光にて出射するレーザ光源と、
前記光ビームを略平行光ないし弱収束光に変化するコリメータレンズと、
前記被投影面上に前記光ビームを走査する偏向走査素子と、
前記コリメータレンズと前記偏向走査素子との間に配置され、前記コリメータレンズ通過後の前記光ビームを前記偏向走査素子の方向に反射させ、かつ偏向走査素子を反射した光ビームを前記被投影面の方向に透過させるビームスプリッタを具備した画像投影装置において、
前記ビームスプリッタは、前記コリメータレンズ通過後の前記光ビームが入射する第1の面が、前記偏向走査素子を反射した光ビームが入射する第2の面よりも、小さな面積を有することを特徴とする走査型投影装置。
【請求項8】
光ビームを被投影面上で走査し2次元画像を投影する走査型投影装置において、
前記光ビームを発散光にて出射するレーザ光源と、
前記光ビームを略平行光ないし弱収束光に変化するコリメータレンズと、
前記被投影面上に前記光ビームを走査する偏向走査素子と、
前記コリメータレンズと前記偏向走査素子との間に配置され、前記コリメータレンズ通過後の前記光ビームを前記偏向走査素子の方向に反射させ、かつ偏向走査素子を反射した光ビームを前記被投影面の方向に透過させるビームスプリッタを具備した画像投影装置において、
前記ビームスプリッタは略直方体の形状を備え、該略直方体を形成する6面のうち前記偏向走査素子に対向する2面の各々の面積が他の4面の各々の面積よりも大きいことを特徴とする走査型投影装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の走査型投影装置において、
前記ビームスプリッタと前記偏向走査素子との間に1/4波長板を具備し、
該1/4波長板は、前記レーザ光源を発し前記ビームスプリッタに入射する第1の光ビームの偏光方向に対し、前記偏向走査素子を反射し前記ビームスプリッタに入射する第2の光ビームの偏光方向が略直交するよう通過する光ビームの偏向方向を回転する機能を持ち、
前記ビームスプリッタは、前記レーザ光源を発し該ビームスプリッタに入射する光ビームの第1の偏光方向を反射し、第1の偏光方向と直交する第2の偏光方向を透過する機能を持つことを特徴とする走査型投影装置。
【請求項10】
請求項7または8に記載の走査型投影装置において、
前記ビームスプリッタは、少なくとも2個の透明な板が所定の接合面で接合して構成され、前記所定の接合面の全面または一部に偏光選択性反射膜が製膜されていることを特徴とする走査型投影装置。
【請求項11】
請求項1に記載の走査型画像表示装置において、
前記偏光プリズムから前記スクリーンへの光ビーム出射側に、特定の偏光方向の光ビームのみを直進して透過させる偏光選択素子を配置したことを特徴とする走査型画像表示装置。
【請求項12】
請求項7または8に記載の走査型投影装置において、
前記ビームスプリッタから前記被投影面への光ビーム出射側に、特定の偏光方向の光ビームのみを直進して透過させる偏光選択素子を配置したことを特徴とする走査型投影装置。
【請求項1】
光ビームを走査しスクリーンに画像を表示する走査型画像表示装置において、
光ビームを出射する光源と、
画像信号に応じて前記光源から出射する光ビームの強度を制御する光源駆動回路と、
前記光ビームを略垂直にミラー面に入射し該光ビームを略垂直に反射する走査ミラーと、
該走査ミラーのミラー面を所定の走査角度だけ2次元的に反復回転駆動する走査ミラー駆動回路と、
前記光源から入射する光ビームを反射し1/4波長板を介して前記走査ミラーに入射させるとともに、該走査ミラーで反射され前記1/4波長板を通過した光ビームを透過して前記スクリーンの方向へ出射させる偏光プリズムとを備え、
該偏光プリズムは6面体形状をなし、前記光ビームを反射または透過する偏光ビームスプリッタ膜(PBS膜)を前記6面体の略対角方向に配置した構成であって、
該偏光プリズムは、前記スクリーンへの光ビーム出射方向(以下、Y方向)の寸法をA、前記光源からの光ビーム入射方向(以下、X方向)の寸法をBとするとき、A<Bの関係としたことを特徴とする走査型画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の走査型画像表示装置であって、
前記偏光プリズムは直方体形状であり、前記走査ミラーから光ビームが入射する面において、前記PBS膜の一端を該入射面の端部から前記寸法A,Bの差分(A−B)だけ内側にずらした位置に該入射面と略45°の角度で交差するように配置したことを特徴とする走査型画像表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の走査型画像表示装置であって、
前記偏光プリズムは、前記X方向に対向する2つの面の少なくとも一方の面において、前記走査ミラーがX方向に所定の走査角度だけ反復回転駆動することで光ビームが通過するX方向の領域の外側の部分を、光ビームの進行方向に沿って斜めにカットしたことを特徴とする走査型画像表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の走査型画像表示装置であって、
前記偏光プリズムは、前記X方向と前記Y方向に垂直な方向(以下、Z方向)に対向する2つの面の少なくとも一方の面において、前記走査ミラーがZ方向に所定の走査角度だけ反復回転駆動することで光ビームが通過するZ方向の領域の外側の部分を、光ビームの進行方向に沿って斜めにカットしたことを特徴とする走査型画像表示装置。
【請求項5】
6面体形状をなし、光ビームを反射または透過する偏光ビームスプリッタ膜(PBS膜)を前記6面体の略対角方向に配置した偏光プリズムにおいて、
前記6面体形状は、前記光ビームの反射及び透過する光軸を含む面の断面形状が長方形であり、
前記PBS膜は、一端が該長方形の頂点位置を起点とし、他端が該長方形の頂点から長辺上を内側にずれた位置を終点とし、該長辺と略45°の角度で交差するように構成したことを特徴とする偏光プリズム。
【請求項6】
6面体形状をなし、光ビームを反射または透過する偏光ビームスプリッタ膜(PBS膜)を前記6面体の略対角方向に配置した偏光プリズムにおいて、
前記6面体形状は、前記光ビームの反射及び透過する光軸を含む面の断面形状が台形であり、
前記PBS膜は、一端が該台形の短辺側の頂点位置を起点とし、他端が該台形の長辺側の頂点位置を終点とし、該短辺及び該長辺に対し略45°の角度で交差するように構成したことを特徴とする偏光プリズム。
【請求項7】
光ビームを被投影面上で走査し2次元画像を投影する走査型投影装置において、
前記光ビームを発散光にて出射するレーザ光源と、
前記光ビームを略平行光ないし弱収束光に変化するコリメータレンズと、
前記被投影面上に前記光ビームを走査する偏向走査素子と、
前記コリメータレンズと前記偏向走査素子との間に配置され、前記コリメータレンズ通過後の前記光ビームを前記偏向走査素子の方向に反射させ、かつ偏向走査素子を反射した光ビームを前記被投影面の方向に透過させるビームスプリッタを具備した画像投影装置において、
前記ビームスプリッタは、前記コリメータレンズ通過後の前記光ビームが入射する第1の面が、前記偏向走査素子を反射した光ビームが入射する第2の面よりも、小さな面積を有することを特徴とする走査型投影装置。
【請求項8】
光ビームを被投影面上で走査し2次元画像を投影する走査型投影装置において、
前記光ビームを発散光にて出射するレーザ光源と、
前記光ビームを略平行光ないし弱収束光に変化するコリメータレンズと、
前記被投影面上に前記光ビームを走査する偏向走査素子と、
前記コリメータレンズと前記偏向走査素子との間に配置され、前記コリメータレンズ通過後の前記光ビームを前記偏向走査素子の方向に反射させ、かつ偏向走査素子を反射した光ビームを前記被投影面の方向に透過させるビームスプリッタを具備した画像投影装置において、
前記ビームスプリッタは略直方体の形状を備え、該略直方体を形成する6面のうち前記偏向走査素子に対向する2面の各々の面積が他の4面の各々の面積よりも大きいことを特徴とする走査型投影装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の走査型投影装置において、
前記ビームスプリッタと前記偏向走査素子との間に1/4波長板を具備し、
該1/4波長板は、前記レーザ光源を発し前記ビームスプリッタに入射する第1の光ビームの偏光方向に対し、前記偏向走査素子を反射し前記ビームスプリッタに入射する第2の光ビームの偏光方向が略直交するよう通過する光ビームの偏向方向を回転する機能を持ち、
前記ビームスプリッタは、前記レーザ光源を発し該ビームスプリッタに入射する光ビームの第1の偏光方向を反射し、第1の偏光方向と直交する第2の偏光方向を透過する機能を持つことを特徴とする走査型投影装置。
【請求項10】
請求項7または8に記載の走査型投影装置において、
前記ビームスプリッタは、少なくとも2個の透明な板が所定の接合面で接合して構成され、前記所定の接合面の全面または一部に偏光選択性反射膜が製膜されていることを特徴とする走査型投影装置。
【請求項11】
請求項1に記載の走査型画像表示装置において、
前記偏光プリズムから前記スクリーンへの光ビーム出射側に、特定の偏光方向の光ビームのみを直進して透過させる偏光選択素子を配置したことを特徴とする走査型画像表示装置。
【請求項12】
請求項7または8に記載の走査型投影装置において、
前記ビームスプリッタから前記被投影面への光ビーム出射側に、特定の偏光方向の光ビームのみを直進して透過させる偏光選択素子を配置したことを特徴とする走査型投影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−41236(P2013−41236A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−270403(P2011−270403)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】
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