説明

走行型作業椅子およびそれを用いた高設栽培ハウス

【課題】高設栽培において、栽培スペースが十分に確保され得ると共に、作業者の負担が、簡単な構造をもって有利に軽減され得る、新規な構造の走行型作業椅子を提供する。
【解決手段】栽培フレーム14の基端部分で幅方向に延びるように配設された金属パイプ56,58,60,62によりレール支持部68を構成すると共に、それら複数のレール支持部68に跨ってレール70を載置固定することで、各作業通路16に一対のレール70,70を形成する一方、複数個の車輪46を備えた走行フレーム20に椅子18を設けて作業椅子10を構成し、複数個の車輪46が一対のレール70,70上を走行することで作業椅子10が作業通路16を移動せしめられるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高設栽培における作業の負担を軽くする新規な構造の作業椅子とそれを用いた高設栽培ハウスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハウス栽培においては、従来、耕作地に複数条の畝を平行に設けて、それらの畝で果実や野菜を栽培すると共に、隣り合う畝間に作業通路を形成した土耕栽培が行われていた。しかしながら、このようなハウス栽培では、各種作業の際に、足を折り曲げたり、腰を低くしたりして、屈む必要があるために、作業者に対して大きな負担がかかる問題があった。特に、作業者の高齢化によって、このような作業負担の大きさが問題となってきている。
【0003】
そこで、近年では、高設架型のハウス栽培が提案され、採用されるようになってきている。かかる高設架型のハウス栽培は、ハウス自体の構造は、従来と同様であるが、そのハウス内で長手方向に延びる架台を設けて、架台の複数を互いに所定の幅間隔を隔てて平行に配列設置することで、それら複数の架台間に延びる通路を形成すると共に、各架台の上部に苗を育成する栽培床を設けて、栽培床が地面から所定の高さの位置で支持せしめられるようになっている。このような高設栽培型のハウスでは、栽培床の高さを適当に設定することにより、立ったままの姿勢で作業することが出来、従来の畝による土耕栽培に比して、作業者への負担が軽減され得るのである。
【0004】
ところが、立ち仕事でもそれが長時間になると、作業者への負担が大きくなるのであり、特に、高齢者や障害者などの立ち仕事が困難である作業者に対しても十分に配慮すれば、高設栽培において作業負担の更なる軽減が求められていた。
【0005】
そこにおいて、かかる問題を解決するための一つの方策として、車椅子を架台の間の通路に乗り入れて、作業者が車椅子に座った状態で作業する方法が考えられる。
【0006】
ところが、車椅子の走行安全性や座った状態での作業性を考慮すると、通路幅を大きくとる必要があり、そうすると、高設栽培ハウスにおける架台の配設スペースが制限されるため、栽培効率が低下するおそれがあった。また、高設栽培ハウスは、一般に田畑の既存耕作地等に設置されていることから、架台間の通路の地盤が軟弱であったり、地表面が凹凸で荒れていたりして、そこを車椅子で走行することは、車椅子の運転に大きな労力を要することとなり、結果として作業者に大きな負担を強いるものであった。また、車椅子の走行によって轍が出来ることから、車椅子での作業は、現実的ではないのである。
【0007】
なお、通路の地盤の軟弱等の問題に対処するために、例えば地盤にコンクリートやアスファルト等を敷設して整備したり、或いは特許文献1(特開2003−250306号公報)などにも示されているように、通路の適当な箇所に通路に沿って延びるようにレールを敷設して、レール上を車椅子で走行することが考えられる。
【0008】
しかし、地盤の整備には、大きなコストや手間がかかる問題があるし、ハウス内のレイアウトの変更や、ハウスの移設、ハウスの撤去等に際しても、大きな負担が問題となる。また、レールを軟弱な地盤に敷設すると、レールの水平出しに手間がかかったり、車椅子の走行に耐え得る十分な強度が確保され難いという問題がある。それ故、安定したレールを敷設するには、結局、地盤にコンクリートを打設することとなり、上述の特許文献1に記載の技術と同様な問題が避けられない。しかも、車椅子を使用しないで通路を歩行する際には、レールが歩行の妨げとなる問題があったのである。加えて、車椅子は、一般に、手で走行輪を直接に操作して走行するものであることから、走行輪に手が触れることで手が汚れてしまい、その汚れた手で苺等の収穫を行うことにも問題があった。
【0009】
【特許文献1】特開2003−250306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、高設栽培において、栽培スペースが十分に確保され得ると共に、作業者の負担が、簡単な構造をもって有利に軽減され得る、新規な構造の走行型作業椅子と該走行型作業椅子を用いた高設栽培ハウスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0012】
(走行型作業椅子に関する本発明の態様1)
走行型作業椅子に関する本発明の態様1の特徴とするところは、中空の金属パイプの複数本を固定的に組み合わせることにより、ハウス内で長手方向に連続して直線的に延びる長手の矩形枠体構造を有する高設架型の栽培フレームを構築して、該栽培フレームの複数を互いに所定の幅間隔を隔てて平行に配列設置することでそれら複数の栽培フレーム間に延びる作業通路を形成した高設栽培ハウスにおいて用いられる走行型作業椅子であって、前記栽培フレームの基端部分で幅方向に延びるように配設された前記金属パイプを地表に沿って前記作業通路に向かって突出せしめることにより、該栽培フレームの長手方向の所定間隔でレール支持部を構成すると共に、それら複数のレール支持部に跨ってレールを載置固定することで、それぞれの作業通路の幅方向両側を全長に亘って延びる一対のレールを形成する一方、複数個の車輪を備えた走行フレームに対して椅子を設けて作業椅子を構成し、該作業椅子を該一対のレール間に跨がって設置して該複数個の車輪が該一対のレール上を走行することで該作業椅子が該作業通路を移動せしめられるようにした走行型作業椅子にある。
【0013】
本態様に従う構造とされた走行型作業椅子においては、作業椅子を作業通路に沿って移動させるレールが、栽培フレームの一部を構成する金属パイプからなるレール支持部に載置固定されている。しかも、このレール支持部は、栽培フレームの基端部分で地表に沿って配設されており、多少の荷重が作用しても、地表面に大きな接触面積をもっていることから大きく沈み込んだり地中に入り込むようなことがない。
【0014】
そもそも、高設栽培用の栽培フレームは、良く知られているように、液肥や水等の通水性等の理由から、充分に精度の高い水平度をもって設置されるものである。しかも、高設栽培用の栽培フレームは、重量物である栽培床を上端部において支持するものであることから充分な強度をもって組み立てられている。
【0015】
それ故、この高設栽培用の栽培フレームを利用した本発明においては、作業通路において特別な水平出しや支持地盤の補強等の措置を施すことなく、十分な水平度や平行度、更に強度をもって、栽培フレームの長手方向と平行に延びる軌条が実現され得るのである。しかも、作業椅子を支持し得るに充分な耐荷重強度も、栽培フレーム自体の強度と、レール支持部における設置面積とによって、有利に確保され得るのである。
【0016】
また、レールが栽培フレームに固定されていることによって通路を跨いで設けられていることから、通路上での軌条スペースが省略されることとなり、延いては通路上における作業椅子の車輪走行幅を考慮する必要がなくなって、通路幅が小さくて済む。これにより、ハウス内における栽培フレームの設置スペースが十分に確保されて、栽培効率が向上され得るのであり、しかも、通路上での軌条の突出が抑えられることに基づき、通路を歩行する際の安全性が確保され得る。
【0017】
すなわち、本態様では、高強度で且つ十分な水平度や間隔等の寸法精度で組み立てられた既存の栽培フレームに着目し、この栽培フレームを利用して、作業椅子の軌条を構成するようにしたことに、大きな技術的特徴が存する。それ故、高設栽培ハウスの通路を作業椅子で移動することが、比較的に簡単な構造で有利に実現されて、高設栽培における作業負担の軽減が有利に図られ得るのである。
【0018】
(走行型作業椅子に関する本発明の態様2)
走行型作業椅子に関する本発明の態様2の特徴とするところは、本発明の態様1に係る走行型作業椅子において、前記レールが、前記栽培フレームを構成する前記金属パイプと同一規格のものを用いて形成されていることにある。
【0019】
本態様においては、軌条として、規格外の専用レールを別途用いることなく、その既存の栽培フレームを構成する金属パイプと同一規格のものをレールとして採用したことによって、レール自体やレールを高設架台フレームに固定するための固定金具等を含めたレール構築の材料の入手が容易となると共に、設置コストも安価となる。
【0020】
(走行型作業椅子に関する本発明の態様3)
走行型作業椅子に関する本発明の態様3の特徴とするところは、本発明の態様1又は2に係る走行型作業椅子において、前記走行フレームが前記椅子から前記地表が見える透過構造を有しており、該椅子に座った作業者が足を該地表に下ろすことが出来ることにある。
【0021】
本態様においては、椅子に座った作業者が、足で地表を蹴って通路上を移動することが容易となり、作業椅子の移動手段がより一層簡単な構造で実現され得る。更に、手の作業で収穫等を行いつつ、その手作業に支障を与えることなく、足で地表やレール等を蹴って作業椅子を移動させることが出来ることから、優れた作業効率にも資する。また、特に、高齢者や障害者などが使用すると、足等のリハビリ(機能回復)に有益なものとなり、園芸福祉の分野に有利に適用され得る。また、例えば、作業者が自力で栽培フレームまたは栽培フレームに設けた手すり等を掴んで引っ張ったり押したりする動作を、足で地表を蹴る動作とあわせて採用することも出来、それによって、走行安全性やリハビリ効果の更なる向上が図られ得る。なお、走行フレームが透過構造とされていることによって、レール上に足を下ろすことも容易とされている。このため、地盤よりも高強度で高い位置にあるレールを利用して、足でレールを蹴って移動したり、レールの上で足を休めたりすることにより、足の負担が軽減されて、移動や作業が一層有利となる。
【0022】
(走行型作業椅子に関する本発明の態様4)
走行型作業椅子に関する本発明の態様4の特徴とするところは、本発明の態様1乃至3の何れか一つに係る走行型作業椅子において、前記走行フレームが、前記椅子の下方において前記作業通路の幅方向両側に向かって地表に沿うようにして延びる基台フレームを有していると共に、該基台フレームの両端部には、それぞれ、前記レールに沿うようにして延びる車輪フレームが一体的に設けられており、それら各車輪フレームの両端部に前記車輪が取り付けられていることにある。
【0023】
本態様においては、簡単なフレーム構造で走行型作業椅子が実現可能となる。特に、基台フレームを、走行方向の中央部分に設ければ、該基台フレームを挟んだ前後方向両側で左足と右足をそれぞれ地表やレールに下ろすことが出来るし、或いは、基台フレームを、走行方向の両端部に設ければ、それら両端の基台フレーム間で左右両足を地表やレールに下ろすことが出来る。これにより、足付きが良くなり、足で地表等を蹴って走行することが易しくなると共に、座姿勢の安定性も向上する。
【0024】
(走行型作業椅子に関する本発明の態様5)
走行型作業椅子に関する本発明の態様5の特徴とするところは、本発明の態様1乃至4の何れか一つに係る走行型作業椅子において、前記走行フレームに対して前記椅子の位置を高さ方向で調節する高さ位置調節機構と、該走行フレームに対して該椅子の位置を前記作業通路の幅方向で調節する水平位置調節機構とを、設けたことにある。
【0025】
本態様においては、身長や座高、腕長等の作業者の体格乃至は栽培フレームや通路の大きさ等に応じて、作業椅子の形状を変化させて、通路上における作業者の作業位置が調整されることとなり、それによって、作業を一層容易に出来、作業者への負担軽減が図られ得る。
【0026】
(走行型作業椅子に関する本発明の態様6)
走行型作業椅子に関する本発明の態様6の特徴とするところは、本発明の態様1乃至5の何れか一つに係る走行型作業椅子において、前記走行フレームに対して前記椅子を鉛直軸回りで方向変更可能に支持せしめると共に、該椅子の鉛直軸回りの方向を解除可能に固定するストッパ機構を設けたことにある。
【0027】
本態様においては、椅子が鉛直軸回りに回転可能とすることで、乗降が容易になる。しかも、ストッパ機構によって椅子の回転位置が規定されるようになっていることから、例えば椅子の走行時や腰掛けた状態での栽培作業時に、椅子の回転を阻止することが出来る。それ故、乗降の容易さと作業の容易さが両立して高度に実現され得る。なお、本態様では、座板の左右両側にひじ掛けを設けたり、背板を設けたりした椅子も、有利に採用可能となり、作業者の座姿勢を快適化することも出来る。
【0028】
(走行型作業椅子に関する本発明の態様7)
走行型作業椅子に関する本発明の態様7の特徴とするところは、本発明の態様1乃至6の何れか一つに係る走行型作業椅子において、複数の車輪を備えた別体走行フレームに荷台を設けて搬送台車を構成し、該搬送台車を前記一対のレール間に跨がって設置して該複数個の車輪が該一対のレール上を走行することで該搬送台車が該作業通路を移動せしめられるようにする一方、該搬送台車を前記作業椅子に対して分離可能に連結する連結手段を設けたことにある。
【0029】
本態様においては、栽培する苗や収穫物を積載した搬送台車を、走行型作業椅子と一体的に、通路上で移動することが出来て、作業負担の軽減および作業効率が一層向上され得る。特に、走行型作業椅子と同じレール上を走行させる搬送台車を採用したことで、新たなレール敷設等の負担がなく、搬送台車が実現され得る。また、走行型作業椅子を走行させることで、それと一体的に搬送台車が走行せしめられることから、搬送台車の走行に対する労力負担が抑えられる。
【0030】
(走行型作業椅子に関する本発明の態様8)
走行型作業椅子に関する本発明の態様8の特徴とするところは、本発明の態様7に係る走行型作業椅子において、前記搬送台車において、走行方向に直交する方向に延びる回動軸回りで回動可能に連結アームを設けると共に、該連結アームの先端において回動方向に向かって開口して該回動軸方向に延びる溝形の係止部を設け、該連結アームを該一軸回りに回動させて該溝形の係止部を前記作業椅子の前記走行フレームにおいて前記作業通路の幅方向に延びるフレームに対して上方より嵌め入れることにより連結可能とすると共に、該連結アームを該一軸回りで上方に回動操作して該溝形の係止部を該走行フレームの該フレームから外すことで分離可能とすることにより、前記連結手段を構成したことにある。
【0031】
本態様においては、搬送台車を走行型作業椅子のフレームに対して分離可能に連結する連結手段が、極めて簡単な構造をもって実現され得る。即ち、搬送台車の牽引に際して搬送台車と走行型作業椅子の間に作用する力は、水平方向の力であることから、単に上方から嵌め込むだけの簡単な係止構造であっても、搬送台車を走行型作業椅子で牽引するための連結手段が有利に実現され得るのである。また、このような簡単な係止構造による連結手段であれば、その連結と解除の操作も極めて簡単であり、作業者の労力負担が大幅に軽減され得る。
【0032】
(高設栽培ハウスに関する本発明の態様1)
高設栽培ハウスに関する本発明の態様1の特徴とするところは、中空の金属パイプの複数本を固定的に組み合わせることにより、ハウス内で長手方向に連続して直線的に延びる長手の矩形枠体構造を有する高設架型の栽培フレームを構築して、該栽培フレームの複数を互いに所定の幅間隔を隔てて平行に配列設置することでそれら複数の栽培フレーム間に延びる作業通路を形成した高設栽培ハウスにおいて、前記栽培フレームの基端部分で幅方向に延びるように配設された前記金属パイプを地表に沿って前記作業通路に向かって突出せしめることにより、該栽培フレームの長手方向の所定間隔でレール支持部を構成すると共に、それら複数のレール支持部に跨ってレールを載置固定することで、それぞれの作業通路の幅方向両側を全長に亘って延びる一対のレールを形成する一方、本発明の態様1乃至8の何れか一つに係る走行型作業椅子を用いて、該走行型作業椅子における該作業椅子を該一対のレール間に跨がって設置して該走行型作業椅子における前記走行フレームの前記複数個の車輪が該一対のレール上を走行することで該作業椅子が該作業通路を移動せしめられるようにした高設栽培ハウスにある。
【0033】
本態様に従う構造とされた高設栽培ハウスにおいては、レールが栽培フレームの一部を構成する金属パイプからなるレール支持部に載置固定されていることにより、特別な水平出しや地盤補強等の措置を必要とすることなく、十分な水平度や平行度、強度をもって軌条が実現され得る。そして、これら一対の軌条間に対して、前述の走行型作業椅子が跨がるように設置される。これにより、ハウス内の通路上において、作業椅子の走行が、比較的に簡単な構造で有利に実現されて、高設栽培における作業負担の軽減が有利に図られ得る。
【0034】
(高設栽培ハウスに関する本発明の態様2)
高設栽培ハウスに関する本発明の態様2の特徴とするところは、本発明の態様1に係る高設栽培ハウスにおいて、互いに隣り合って設置された各一対の前記栽培フレーム間における前記作業通路の幅寸法が何れも90〜110cmの範囲内で一定とされていると共に、複数の該栽培フレームのうちで前記ハウスの幅方向において少なくとも一方の端に位置する該栽培フレームと該ハウスの壁部の間の幅方向の離隔寸法が30cm以下とされていることにある。
【0035】
本態様においては、本発明者が検討したところ、斯くの如き寸法設定がされることにより、高設栽培ハウスにおいて、作業椅子を用いた通路上での移動性および作業性や目的とする栽培効率が最も安定して得られることが確認された。
【0036】
けだし、作業通路の幅寸法が90cm未満であると、作業者が通路を移動する際に栽培フレーム上の植物に触れて植物を傷める一方、作業通路の幅寸法が110cmよりも大きくなると、栽培フレームの数や大きさが制限されて、栽培効率が低下するおそれがあるからである。
【0037】
また、ハウスの幅方向で少なくとも一方の端に位置する栽培フレームとハウス壁部の間に特別に通路を設けなくとも、該栽培フレームのハウス壁部と反対側の作業通路から作業するようにすれば、かかる栽培フレームの栽培作業に関して大きな問題は生じないのであり、従って、ハウス壁部と栽培フレームの間にまで通路を設ける必要は必ずしもない。それ故、本態様のように、ハウスの幅方向端の栽培フレームを30cm以下の離隔距離をもってハウス壁部と対向位置させることにより、ハウス内部の栽培フレームの絶対数を増やしたり、通路幅を大きくしたりすることが出来て、作業性や栽培効率が一層向上され得るのである。
【0038】
なお、特に限定されるものでないが、かかるハウスの幅方向端の栽培フレームにおいて栽培される果実や野菜等の植物は、ハウス壁部と反対側の作業通路の側に向かって伸びるように植えられることが望ましい。これにより、植物がハウス壁部に向かって伸びることに起因して、植物のハウス壁部への接触による損傷や栽培作業が困難になる等の問題が解消され得る。
【発明の効果】
【0039】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた走行型作業椅子においては、高強度で且つ十分な水平度や間隔等の寸法精度で組み立てられた既存の栽培フレームを利用して、作業椅子のレールが載置固定されていることにより、高設栽培ハウスの通路における作業椅子を用いた作業者の移動が、比較的に簡単な構造で有利に実現されて、作業負担の軽減が有利に図られ得るのである。
【0040】
また、本発明に従う構造とされた高設栽培ハウスにおいては、高強度で且つ十分な水平度や間隔等の寸法精度で組み立てられた既存の栽培フレームを利用して、作業椅子のレールが載置固定されていると共に、該レールに対応した車輪の複数個を備えた走行フレームおよび椅子からなる作業椅子を用いて、車輪がレール上を走行することで作業椅子が通路上を移動されるようにした。これにより、通路上の移動手段が比較的に簡単な構造で、有利に実現され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0042】
先ず、図1〜3には、本発明の一実施形態としての走行型作業椅子10が示されている。走行型作業椅子10は、図4〜6にも示されているように、高設栽培ハウス12における一対の栽培フレーム14,14間に設けられた作業通路16上に設置されるようになっており、該通路16上を走行することが可能とされている。
【0043】
より詳細には、走行型作業椅子10は、椅子18と走行フレーム20を含んで構成されている。椅子18は、座部フレーム22と背部フレーム24を備えており、これら座部フレーム22や背部フレーム24は、鋼管や鋼材等の剛性構造材を組み上げることによって、全体として剛性フレーム構造体とされている。そして、座部フレーム22には、その上面に平板形状の座板26が載置されて固着されている。また、座部フレーム22の幅方向両側には、座板26よりも上方に位置して座板26の端縁部と平行に延びる一対の肘掛け部28,28が設けられている。また、背部フレーム24は、矩形枠体形状を有しており、その下端部が座部フレーム22に支持されている。この背部フレーム24を全体に亘って覆うようにして平板形状の背板30が固着されている。
【0044】
また、座部フレーム22の座板26と反対側における下部の中央には、鉛直方向(図2,3中、上下)に延びる支柱32が設けられている。支柱32は、鉛直方向に伸縮するテレスコピック構造とされており、座部フレーム22の中央部分から下方に突出するロッド34が支柱32の先端部に嵌め込まれていることで、座部フレーム22に支持されている。そして、支柱32の軸方向中間部分に設けられた操作レバー36を操作することにより、支柱32が伸縮して、座板26の地上からの高さ寸法が設定変更されることとなる。
【0045】
特に本実施形態では、座部フレーム22のロッド34と支柱32の先端部分が相対的に回転可能に嵌め合わされていることにより、座板26が支柱32の鉛直方向に延びる中心軸回りに回転可能とされている。また、支柱32のロッド34を嵌合した部分には、ストッパ機構38が設けられている。ストッパ機構38は、例えば支柱32とロッド34を軸直角方向に貫くピン構造とされていたり、或いはロッド34が差し込まれた支柱32の一部を縮径して、ロッド34と支柱32を密着状に嵌合固定させるリング構造とされている。そして、座板26と支柱32が適宜の相対的な回転位置に位置せしめられた状態で、ストッパ機構38を操作することにより、座板26と支柱32の相対的な回転位置が規定されて、かかる回転が防止されるようになっている。
【0046】
また、図面上に明示されていないが、座部フレーム22に固定されるロッド34の位置は、座部フレーム22の複数箇所に設けられている。従って、ロッド34の固定位置を設定変更することが可能となり、これに基づいて、座板26と支柱32の軸直角方向における相対的な位置が設定変更されることとなる。
【0047】
このような椅子18の下方には、走行フレーム20が配されている。走行フレーム20は、各一対の第一フレーム40,40および第二フレーム42,42を含んで構成されている。第一及び第二フレーム40,42は、一定の円形断面でストレートに延びる鋼管等の金属パイプを用いて形成されている。
【0048】
基台フレームとしての一対の第一フレーム40,40は、水平方向(図1中、左右)に所定距離を隔てて対向位置せしめられていると共に、互いに平行に延びている。図面上に明示されていないが、一対の第一フレーム40,40の軸方向中間部分には、水平方向に広がる平板形状の板部材が架設されていると共に、板部材に支柱32の下端部が重ね合わせられて、溶接やボルト等で固着されている。これにより、一対の第一フレーム40,40が、支柱32の下端部から軸直角方向一方向(図1中、上下)の両側に延び出すような形態で支柱32に固定されており、第一フレーム40の各端部が、支柱32の下端部から略等しい距離だけ椅子18よりも軸直角方向外方に位置せしめられている。
【0049】
また、車輪フレームとしての一対の第二フレーム42,42が、椅子18を跨いだ軸直角方向一方向(図1中、上下)で互いに離隔して対向位置せしめられていると共に、互いに平行に延びている。各第二フレーム42の軸方向中央部分が、一対の第一フレーム40,40の各端部に対して、溶接やボルト固定、図示しない連結金具を介する等して固着されている。これにより、各第二フレーム42が、一対の第一フレーム40,40と直交するように固着されて、第一フレーム40と同じ高さ位置に位置せしめられている。また、第二フレーム42の各端部が、支柱32の下端部から略等しい距離だけ椅子18よりも軸直角方向外方に位置せしめられている。
【0050】
さらに、各第二フレーム42の端部には、湾曲部44が一体的に設けられている。湾曲部44は、平面視で第二フレーム42の端部から軸直角方向外方にストレートに延びていると共に(図1参照。)、側面視で第二フレーム42の端部から上方に向かって略1/4周の長さで延びる円弧状とされている(図2参照。)。湾曲部44は、例えば第一および第二フレーム40,42と同一規格の金属パイプ等を用いて形成されて、第二フレーム42の端部に溶接等で固着されている。それによって、第二フレーム42の両端部が、実質的に上方に向かって湾曲せしめられた形態とされている。また、これら4つの湾曲部44には、それぞれ車輪46が設けられている。
【0051】
車輪46は、金属材や樹脂材等からなる円板形状を呈していて、中央部分に回転軸が設けられていると共に、外周部分にはゴム材や樹脂材等からなるタイヤが装着されている。また、車輪46の幅方向中央部分には、案内溝48が形成されている。案内溝48は、外方に向かって開口する略一定の円弧状断面で、車輪46の周方向の全体に亘って連続して延びている。この案内溝48の円弧形状の断面は、後述する栽培フレーム14の金属パイプの外周面の形状に対応している。なお、案内溝48は、一つのホイールに対して直接に刻設されても良く、或いは一対のホイールを回転軸方向に重ね合わせて一つの車輪を構成して、それらのホイール面間に形成されるようにしても良い。本実施形態の車輪46は、外周面に案内溝48が設けられて後述するレールの上を走行する軌条輪と、該軌条輪を挟んだ幅方向両側に位置せしめられて外周面に設けられた軌条輪よりも大径のタイヤで地上等を走行する走行輪が、第一フレーム40と平行に延びる一つの回転軸上で一体的にまたは独立して回転する構造とされている。
【0052】
さらに、車輪46の回転軸が、車輪46を外方から覆うように配された屈曲板状の取付金具50に支持されている。更にまた、取付金具50の上端部に固設された円形ロッドが、湾曲部44の突出先端部分に設けられた鉛直方向に延びる円筒状部に回転可能に嵌め込まれていると共に、円形ロッドの先端部分に設けられた係止部が円筒状部から軸方向に突出して円筒状部の上端部分に係止されること等によって、円形ロッドが円筒状部から抜け出さないようになっている。
【0053】
これにより、各車輪46が、第二フレーム42の端部(湾曲部44)に対して取付金具50を介して回転可能に取り付けられている。また、車輪46は、取付金具50によって鉛直軸回りに回転する向きを変えることが可能なキャスタ構造とされている。かかる回転の際には、湾曲部44や取付金具50、車輪46の形状や大きさに基づいて、取付金具50を備えた車輪46が湾曲部44を備えた第二フレーム42に接触しないようになっている。特に本実施形態では、車輪46の接地面が、走行フレーム20よりも僅かに下方に位置せしめられている。即ち、第二フレーム42の端部に設けられた湾曲部44に車輪46が取り付けられていることによって、走行フレーム20が、車輪46の接地面、延いては後述する車輪46のレール70の載置面よりも僅かに高い位置に設けられている。
【0054】
従って、座部フレーム22および座板26を備えた座部や背部フレーム24および背板30を備えた背部、支柱32等を含んでなる椅子18が、4つの車輪46,46,46,46を備えた走行フレーム20に設けられて、本実施形態に係る走行型作業椅子10が構成されている。特に本実施形態では、支柱32を挟んだ軸直角方向一方向(図1中、左右)で僅かな離隔距離をもって対向位置せしめられると共に、支柱32の下端部から軸直角方向(図1中、上下)の両側に大きく延び出して、その端部が椅子18よりも軸直角方向外方に位置せしめられた一対の第一フレーム40,40と、軸方向中央部分が第一フレーム40の各端部に固着されて、椅子18の軸直角方向外方において互いに平行に延びるように配された一対の第二フレーム42,42を含んで、走行フレーム20が構成されている。これにより、走行フレーム20が、椅子18から地表が見える透過構造とされており、椅子18に座った作業者の足が、走行フレーム20を抜けて地表等に容易におろすことが出来るようになっている。また、椅子18と走行フレーム20は、座部フレーム22のロッド34と支柱32の嵌合構造によって、鉛直軸回りに回転可能に連結している。
【0055】
このような構造とされた走行型作業椅子10は、図4に示される如き高設栽培ハウス12に採用される。なお、図4では、走行型作業椅子10等の図示を省略してある。
【0056】
高設栽培ハウス12は、アーチ型のドーム形状を有する剛性構造材がプラスチックフィルム等で覆われたハウジング52を備えており、ハウジング52が田畑跡地等の地盤54に設置されることによって、その内部に温室が形成されている。ハウジング52は、平面視長手状の矩形形状を呈している。ハウジング52の床面には、地盤54が露出している。また、温室には、栽培フレーム14の複数が構築されている。
【0057】
栽培フレーム14は、図5〜6にも示されているように、金属パイプとしての基端パイプ56や柱パイプ58、中間パイプ60、上端パイプ62を含んで構成されている。これらパイプ56,58,60,62は、略一定の円形断面で、それぞれストレートに所定の長さで延びる中空構造とされており、太さや材質等が同一規格の鋼管を用いて形成されている。
【0058】
基端パイプ56がハウス12の幅方向(図5,6中、左右)に延びていると共に、複数の基端パイプ56がハウス12の長手方向(図6中、上下)に所定間隔を隔てて配されて、それぞれ平行に延びている。
【0059】
また、各基端パイプ56の軸方向(図5,6中、左右)中間部分の二箇所には、それぞれ柱パイプ58が配設されている。一対の柱パイプ58,58は、基端パイプ56と直交するようにしてハウス12の鉛直方向(図5中、上下)に所定の長さで延びていると共に、基端パイプ56と平行に延びるハウス12の幅方向で所定距離を隔てて対向位置せしめられている。なお、両柱パイプ58,58は、基端パイプ56の両端部から略等しい長さだけ軸方向内方の部位で基端パイプ56と交差しており、この交差部分から上方に大きく延びていると共に、下方にも僅かであるが所定の長さで延びている。即ち、本実施形態では、柱パイプ58の下端部分が基端パイプ56よりも下方に突出している。
【0060】
そして、基端パイプ56と柱パイプ58の交差した各部位が連結金具64を用いて連結されている。連結金具64には、公知の多方向継ぎ金具やバンド金具、その他の複数の金属パイプを連結する専用の連結金具が採用可能である。本実施形態では、例えば、連結金具64としてニューエースバンド(商品名:日本金具株式会社製)が採用されている。かかる連結金具64は、公知の構造であることからその詳細な説明を省略するが、山状断面の板金具の下端部に係止部が設けられていると共に、板金具の中央を挟んだ幅方向両側に下端部に開口する溝部の一対が設けられている一方、平板形状で弾性を有する楔金具が係止部に差し込まれる構造とされている。そして、金属パイプの交差した部位に板金具を外方から被せ着けて、一方の金属パイプを板金具の中央部分の内側に位置せしめて相互に重ね合わせると共に、他方の金属パイプを板金具の一対の溝部に挿通させて、更に、楔金具を板金具の係止部に差し込んで、楔金具の弾性力に基づいて両方の金属パイプを重ね合わせることにより、一対の金属パイプが相互に連結されるのである。これにより、各基端パイプ56と各一対の柱パイプ58,58が、それぞれ直交して連結されている。
【0061】
さらに、一対の柱パイプ58,58の軸方向中間部分における対向面間には、中間パイプ60が、ハウス12の幅方向に延びるようにして掛け渡されており、中間パイプ60と柱パイプ58の交差した部位が、連結金具64を用いて連結されている。それによって、中間パイプ60が、柱パイプ58に直交していると共に、基端パイプ56と平行に延びている。
【0062】
更にまた、上端パイプ62が、ハウス12の長手方向に所定間隔をおいて配された複数の柱パイプ58の上端部に沿って配されている。そして、上端パイプ62と柱パイプ58の各直交した部位が、クサビT型金具等の公知の連結金具を用いて連結されている。これにより、上端パイプ62が、ハウス12の長手方向に沿って延びている。また、一対の上端パイプ62,62が、ハウス12の幅方向において、基端パイプ56乃至は中間パイプ60における一対の柱パイプ58,58との連結部間の寸分だけ離隔して対向位置せしめられていると共に、互いに平行に延びている。
【0063】
また、基端パイプ56から下方に突出した各柱パイプ58の下端部が地盤54に埋設されていると共に、地盤54の表面(地表)に各基端パイプ56が載置されていることに基づいて、ハウス内12で、長手方向に連続して直線的に延びる長手の矩形枠体構造を有する高設架型の栽培フレーム14が構築されている。かかる栽培フレーム14は、上述の如き同一規格の鋼管や連結金具64等を用いて組み立てられているので、高強度で且つ十分な水平度や間隔等の寸法精度をもって、地盤54に設置されている。なお、栽培フレーム14は、例えば、ハウス12の外部で複数のパイプを組み立てた後に、組み立て体をハウス12内に入れて地盤54に設置したり、或いは各パイプをハウス12内に入れて、組み立てると共に、地盤54に設置するようにしても良い。
【0064】
このような構造とされた栽培フレーム14の複数(本実施形態では5つ)が、ハウス12の幅方向で、互いに所定の幅間隔を隔てて平行に配列設置されている。特に本実施形態では、ハウス12の幅方向で隣り合う各一対の栽培フレーム14,14において、一方の栽培フレーム14の柱パイプ58と他方の栽培フレーム14の柱パイプ58が、幅方向に所定の離隔寸法:W1を隔てて対向位置せしめられている。そして、ハウス12の長手方向に延びる栽培床66が、栽培フレーム14における一対の上端パイプ62,62間に掛け渡されて支持せしめられるようになっており、それによって、例えばイチゴ等の作物の苗が植えられた栽培床66を、地盤54よりも所定の高さだけ上方に位置せしめるように支持させつつ、栽培することが可能となる。特に、栽培床66の苗は、栽培フレーム14の幅方向両側に設けられた後述の作業通路16に向かって伸びるように植えられている。
【0065】
また、ハウス12の幅方向で隣り合う一対の栽培フレーム14,14間には、それぞれ床面が地盤54で構成された作業通路16が設けられている。作業通路16は、栽培フレーム14の長手方向に沿って延びていると共に、通路16の幅寸法が、一対の栽培フレーム14,14の柱パイプ58,58の幅方向の離隔寸法:W1に相当する。特に本実施形態では、通路16の幅寸法:W1が90〜110cmに、より好適には95〜105cmに設定されていると共に、複数の通路16の幅寸法:W1が、全て同一とされている。
【0066】
さらに、高設栽培ハウス12の幅方向一方(図4中、左)の端に位置する栽培フレーム14aの柱パイプ58とハウジング52の壁部の間の幅方向の離隔寸法:W2が30cm以下に、好適には25cm以下に設定されている。また、かかる幅方向の端に位置する栽培フレーム14aにおける栽培床66の苗は、ハウジング52壁部と反対側の作業通路16に向かって伸びるように植えられている。
【0067】
そこにおいて、栽培フレーム14の基端パイプ56の両端部が、基端パイプ56と柱パイプ58の連結部位(交差部位)から地表に沿って作業通路16に向かって突出しており、この突出した部分が、レール支持部68として構成されている。その結果、作業通路16の幅方向両側には、ハウス12(栽培フレーム14)の長手方向に所定の間隔でレール支持部68が設けられている。レール支持部68は基端パイプ56の一部からなることで、地盤54に対して十分な強度や水平度をもって設置されていると共に、複数のレール支持部68における長さ寸法や高さ位置が、全て同一とされている。
【0068】
また、ハウス12の長手方向に所定間隔をおいて配された複数のレール支持部68には、レール70が設けられている。特に本実施形態に係るレール70は、栽培フレーム14を構成する基端パイプ56や柱パイプ58、中間パイプ60、上端パイプ62と同一規格の鋼管を用いて形成されており、円形の中空構造とされている。
【0069】
かかるレール70が、各レール支持部68に直交するようにして載置されており、交差した各部位が、前述の連結金具64を用いて連結されている。即ち、レール70とレール支持部68の交差した部位に、上方から連結金具64における山状断面の板金具が被せ着けられて、板金具の中央部分の内側にレール70が嵌め込まれていると共に、レール70の下方に位置するレール支持部68が板金具に設けられた一対の溝部に挿通せしめられている。更に、連結金具64における楔金具を板金具の下端部に設けられた係止部に差し込んで、楔金具の弾性力に基づいてレール70とレール支持部68を重ね合わせることにより、レール70が各レール支持部68に対して載置固定されている。
【0070】
これにより、栽培フレーム14の幅方向両側に設けられた複数のレール支持部68には、それぞれ栽培フレーム14の長手方向に沿って、上端パイプ62と平行に延びるレール70が設けられているのであり、換言すれば、一対の栽培フレーム14,14の間に設けられた作業通路16の幅方向両側には、その全長に亘ってハウス12の長手方向に延びる一対のレール70,70が設けられているのである。
【0071】
このような高設栽培ハウス12の各作業通路16の幅方向両側に形成された一対のレール70,70に対して、本実施形態に係る走行型作業椅子10が跨がるように設置されている。即ち、走行型作業椅子10の幅方向一方の第二フレーム42における二つの車輪46,46が、幅方向一方のレール70に載置されて、各車輪46の案内溝48にレール70の上部外周面が嵌入されていると共に、走行型作業椅子10の幅方向他方の第二フレーム42における二つの車輪46,46が、幅方向他方のレール70に載置されて、各車輪46の案内溝48にレール70の上部外周面が嵌入されている。それによって、各第二フレーム42が車輪46のレール70の載置面よりも僅かに高い位置で各レール70と平行に延びるように配されており、それら4つの車輪46,46,46,46が、案内溝48を介して一対のレール70,70上を走行することで、作業椅子10が作業通路16を移動せしめられるようになっている。
【0072】
なお、本実施形態では、レール70とレール支持部68を連結する連結金具64が非常に薄肉な板材で構成されていたり、或いはレール70の外周面と連結金具64の内周面が、それらの少なくとも一方に設けられた溝部を介して重ね合わせられていたりすること等によって、レール70の外周面と連結金具64の外周面が実質的に面一とされている。それによって、車輪がレール70の上を走行するに際して、連結金具64の上も安定して走行することが可能とされている。
【0073】
また、当該高設栽培ハウス12では、一つの作業通路16から別の作業通路16に移って作業する際に、一つの作業通路16上で走行させていた作業椅子10を作業通路16のレール70,70から下ろして、別の作業通路16のレール70,70上に設置して作業するようにしても良いし、予め複数の走行型作業椅子10を用意して、各作業通路16のレール70,70に作業椅子10を設置しておき、作業者だけが各作業椅子10に移動して作業するようにしても良い。
【0074】
さらに、レール70に設置された走行型作業椅子10においては、支柱32の操作レバー36を操作することにより、走行フレーム20、延いては作業通路16上に対して椅子18の位置を高さ方向で調節することが可能となる。また、座部フレーム22に固定されるロッド34の位置を軸直角方向で設定変更することにより、走行フレーム20、延いては作業通路16上に対して椅子18の位置を作業通路16の幅方向で調節することが可能となる。このことからも明らかなように、走行型作業椅子10の高さ位置調節機構が、テレスコピック構造の支柱32や操作レバー36を含んで構成されていると共に、走行型作業椅子10の水平位置調節機構が、座部フレーム22やロッド34を含んで構成されている。
【0075】
更にまた、座部フレーム22のロッド34と支柱32の先端部分が相対的に回転可能に嵌め合わされていることに基づいて、椅子18が走行フレームに対して鉛直軸回りで方向変更可能とされており、例えば作業通路16上で幅方向一方の栽培フレーム14の側を向いて作業していた作業者が、椅子18に座った状態で、幅方向他方の栽培フレーム14の側を向いて作業することも可能となる。また、支柱32に設けられたストッパ機構38を操作することにより、椅子18の鉛直軸回りの方向が固定されて、作業通路16上における椅子18の向きが固定されることとなる。かかる椅子18の方向固定は、ストッパ機構38の操作により解除可能とされている。
【0076】
また、本実施形態では、作業椅子10の片側に搬送台車72が連結されている。搬送台車72は、図7にも示されているように、矩形状の剛体フレーム構造からなる別体走行フレーム73に対して荷台74が設けられていると共に、別体走行フレーム73の一方(図7中、左)の端部底側に一対の車輪46,46が設けられていると共に、他方(図7中、右)の端部に連結アーム76が設けられている。連結アーム76は、軸方向中間部分に設けられたジョイント部77を介して、搬送台車72の走行方向(図7中、左右)に直交する方向(図6中、左右)に延びる回動軸回りで回動可能とされていると共に、先端部分には、金属パイプの外周面形状に対応したU字状の溝形の弾性板材からなる、係止部78が設けられている。係止部78は、回動方向に向かって回動している。また、連結アーム76の軸方向中間部分には、筒状の変位規制部材80が外挿されており、図7に二点鎖線で示されているように、変位規制部材80がジョイント部77を覆うように位置せしめられた状態で、連結アーム76のジョイント部77を介しての回動が規制されるようになっている。このような搬送台車72は、作業椅子10の走行方向一方の側に配されると共に、連結アーム76を一軸回りに回動させて、係止部78が、作業通路16の幅方向に延びる第一フレーム40の適当な箇所に対して上方より嵌め入れられることによって、作業椅子10に連結されている。それによって、搬送台車72の荷台74に収穫箱82等を積載しつつ、作業椅子10と共に走行することが可能となる。特に、搬送台車72の車輪46が作業椅子10の車輪46と実質的に同一の構造とされているので、作業椅子10と共に一対のレール70,70上を走行することが可能となる。また、連結アーム76を一軸回りで上方に回動操作して、係止部78が第一フレーム40から外されることで、搬送台車72と作業椅子10が分離されることとなる。上述の説明からも、本実施形態に係る連結手段が、連結アーム76や係止部76、椅子18における走行フレーム20の第一フレーム40を含んで構成されている。
【0077】
さらに、本実施形態に係る高設栽培ハウス12では、ハウス12の幅方向他方(図4中、右)の端に位置する栽培フレーム14bと幅方向で離隔して対向位置せしめられたハウジング52の壁部の間に、一対の栽培フレーム14,14間と同一の幅寸法:W1の作業通路16が設けられている。また、該ハウジング52の壁部付近の作業通路16上には、レール84が設けられている。このレール84は、栽培フレーム14のレール支持部68に支持されたレール70と同一規格の、即ち栽培フレーム14を構成する各金属パイプと同一規格の鋼管を用いて形成されており、その下方外周部分が、地盤54に水平出しをして設置された固定金具86に固設されている。それによって、レール84が、ハウス12の長手方向に延びて、栽培フレーム14bに設置されたレール70とハウス12幅方向で対向位置せしめられており、これら一対のレール70,84上にも作業椅子10を設置して作業通路16を移動せしめることが可能とされている。
【0078】
上述の如き構造とされた高設栽培ハウス12のレール70,70上に設置された走行型作業椅子10においては、椅子18に座った作業者が、足で通路16の地盤54やレール70を蹴ることで、作業通路16を任意の方向に移動することが出来るようになっており、通路16上の所定の場所で座りながら、栽培フレーム14上の栽培床66の作物に対して栽培作業をすることが出来る。従って、従来構造の車椅子を通路に乗り入れる場合等のように、走行輪に手が触れて手を汚してしまうようなこともないことから、栽培作業の衛生面および簡便性が向上され得る。
【0079】
そこにおいて、作業通路16の幅方向両側でレール70,70を支持させるレール支持部68,68が、栽培フレーム14の基端部分を構成する基端パイプ56の一部により構成されている。これにより、作業通路16において特別な水平出しや支持地盤の補強等の措置を施すことなく、十分な水平度や平行度、強度をもって、レール70が支持されている。
【0080】
しかも、これらのレール70,70が、栽培フレーム14を構成する各金属パイプと同一規格の鋼管を用いて形成されていることにより、部材の準備が容易であり、またレール70とフレーム14の連結作業に、フレーム14で各パイプを連結する連結金具64と同一のものを採用することが出来る。
【0081】
その結果、高設栽培ハウス12の作業通路16を移動する機構が、比較的に簡単な構造で実現されると共に、高設栽培における作業負担の軽減が有利に図られ得るのである。
【0082】
特に本実施形態では、一対の栽培フレーム14,14間における何れの作業通路16においても、その幅寸法:W1が90〜110cmの範囲内で一定とされているので、通路16上における作業椅子10の移動スペースおよび作業スペースが十分に確保され、栽培作業が有利に実現され得る。
【0083】
しかも、栽培フレーム14の複数において、ハウス12の幅方向一方(図4中、左)の端に位置する栽培フレーム14aがハウジング52壁部と30cm以下の離隔寸法:W2で対向配置されている一方、ハウス12の幅方向他方(図4中、右)の端に位置する栽培フレーム14bとハウジング壁部52との間に、レール70,84によって走行可能な作業通路16が設けられている。このような寸法及び配設形態により、ハウス12内における栽培フレーム14の個数を制限することなく、移動や作業に必要な作業通路16の大きさが十分に確保され得るのである。加えて、一方の栽培フレーム14aがハウジング52壁部に近設される一方、他方の栽培フレーム14bがハウジング52壁部から離隔された形態とされていることから、日当たりや養分の供給形態、更にはハウス12の地盤54に対する設置条件やハウス12内の各栽培フレーム14の設置条件等を考慮した栽培作業が好適に実現可能となる。
【0084】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0085】
例えば、走行型作業椅子10や栽培フレーム14、作業通路16、レール70等における形状や大きさ、構造、数等の形態は、例示の如きものに限定されるものでない。具体的には、前記実施形態では、栽培フレーム14を構成する複数本の金属パイプとして、全て同一規格の鋼管が採用されていると共に、レール70にもこれら金属パイプと同一規格の鋼管が採用されていたが、それぞれ異なる規格の部材を用いて形成しても良い。また、レール70は金属パイプを用いて形成される必要はなく、例えばレールを略一定の円形や矩形の断面等で軸方向に延びるロッド状の金属部材や山形、溝形等の形鋼で形成することも可能である。
【0086】
また、前記実施形態では、作業通路16上に設置された走行フレーム20が、通路16(ハウス12)の幅方向に延びる一対の第一フレーム40,40と、走行フレーム20の幅方向両側に設けられて通路16の長手方向に延びる一対の第二フレーム42,42を含んで構成されていたが、例えば第一フレームを一つのロッドで形成して支柱の下端部から軸直角方向両側に延び出して通路の長手方向に延びるように配設すると共に、第二フレームを第一フレームの長手方向両端部からそれぞれ軸直角方向両側に延び出して通路の幅方向に延びるように配設しても良く、その結果、特に、レールの上方に走行フレームが配されておらず、走行フレームがレールに対して透過構造とされていることに基づいて、レールに対する作業者の足付き性が一層向上され得る。また、この第一フレームの各端部に固定される第二フレームは、ハウスの鉛直方向で互いに離隔配置されてハウスの幅方向に沿って互いに平行に延びる一対のロッドで構成しても良く、それによって、作業椅子の耐荷重性能が向上され得る。
【0087】
また、前記実施形態では、車輪46において、レール70を走行する案内溝48を備えた軌条輪の両側に地上等を走行する一対の走行輪が設けられて、これら軌条輪と走行輪が同一回転軸上に設けられた一体構造とされていたが、例えば走行輪と軌条輪が別体形成されて同一回転軸上に併設されたり、走行輪と軌条輪が走行フレームにおいて異なる位置に設けられた回転軸上で、それぞれ独立して回転するようにしても良い。
【0088】
さらに、前記実施形態では、搬送台車72の荷台74が連結アーム76を介して作業椅子10に連結されていたが、例えばポールを作業椅子の走行フレーム等に立設して、搬送台車に設けられたフックやロープ、チェーン等をポールに架け渡す等して固定することにより、搬送台車と作業椅子を連結することも可能である。
【0089】
また、図10にも示されているように、レール70の端部を地面に向かって傾斜させてスロープ部88を形成し、スロープ部88を通じて作業椅子10の走行フレーム20がレール70上に乗降されるようにしても良く、それによって、作業椅子10のレール70上への設置がより簡便となる。なお、図10中において、前記実施形態と実質的に同一の構造とされた部材および部位については、前記実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0090】
また、前記実施形態では、一対の栽培フレーム14,14間の作業通路16の幅寸法:W1が全て同じとされていると共に、ハウス12の幅方向一方の端に位置する栽培フレーム14aがハウジング52壁部と離隔寸法:W2を隔てて配置されており、更にハウス12の幅方向他方の端に位置する栽培フレーム14bとハウジング52壁部の間には、レール84を備えた作業通路16が設けられていた。しかし、各作業通路の幅寸法や栽培フレームとハウジング壁部の間の作業通路の有無は、目的とする作物の収穫率や作業形態等に応じて、当業者が適宜に設定変更し得る事項の一つであって、例示の如きものに限定されないのであり、例えば、各作業通路の幅寸法が、それぞれ異なっていたり、ハウスの幅方向両端に位置する各栽培フレームとハウジング壁部の間に、作業通路を設けても設けなくても何れでも構わない。
【0091】
また、前記実施形態では、作業椅子10に座った作業者が足を地表に下ろして地面やレール70を蹴ることで、作業椅子10が移動されるようになっていたが、例えば作業椅子に電動モータ等を設けて自動で移動されるようにしても良い。
【0092】
また、栽培フレーム14の両端部分、或いは一方の端部において、隣り合う作業通路間16,16間での走行型作業椅子10の移動を容易とするために、それら隣り合う作業通路16,16における各一対のレール70,70を、それぞれ、略平面U字形乃至は半円形状をもって接続する接続レールを設けても良い。このような接続レールを採用すれば、走行型作業椅子10を、いちいち地上に下ろさなくても、隣り合う作業通路16,16間で容易に移行させることが可能となる。
【0093】
加えて、前記実施形態では、本発明が、イチゴ等の作物が栽培されるものの具体例が示されていたが、その他の果実や野菜、草木等の食用や薬用、観賞用などに利用する目的で栽培ハウス12において栽培される各種の植物に対して適用可能であることは言うまでもない。
【0094】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の一実施形態としての走行型作業椅子を示す平面説明図である。
【図2】図1における走行型作業椅子を示す側面説明図である。
【図3】図1における走行型作業椅子を示す正面説明図である。
【図4】図1における走行型作業椅子が設置される高設栽培ハウスをモデル的に示す正面説明図である。
【図5】図1における走行型作業椅子を高設栽培ハウスに設置した状態を示す正面説明図である。
【図6】図1における走行型作業椅子を高設栽培ハウスに設置した状態を示す平面説明図である。
【図7】図5における高設栽培ハウスにおいて走行型作業椅子に搬送台車が連結されている状態を拡大して示す側面説明図である。
【図8】図5における高設栽培ハウスの一要部を拡大して示す縦断面説明図である。
【図9】図8における高設栽培ハウスの一要部を示す平面説明図である。
【図10】図5における高設栽培ハウスと異なる形態の高設栽培ハウスを示す側面説明図である。
【符号の説明】
【0096】
10 走行型作業椅子
12 高設栽培ハウス
14 栽培フレーム
16 作業通路
18 椅子
20 走行フレーム
46 車輪
56 基端パイプ
58 柱パイプ
60 中間パイプ
62 上端パイプ
68 レール支持部
70 レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の金属パイプの複数本を固定的に組み合わせることにより、ハウス内で長手方向に連続して直線的に延びる長手の矩形枠体構造を有する高設架型の栽培フレームを構築して、該栽培フレームの複数を互いに所定の幅間隔を隔てて平行に配列設置することでそれら複数の栽培フレーム間に延びる作業通路を形成した高設栽培ハウスにおいて用いられる走行型作業椅子であって、
前記栽培フレームの基端部分で幅方向に延びるように配設された前記金属パイプを地表に沿って前記作業通路に向かって突出せしめることにより、該栽培フレームの長手方向の所定間隔でレール支持部を構成すると共に、それら複数のレール支持部に跨ってレールを載置固定することで、それぞれの作業通路の幅方向両側を全長に亘って延びる一対のレールを形成する一方、複数個の車輪を備えた走行フレームに対して椅子を設けて作業椅子を構成し、該作業椅子を該一対のレール間に跨がって設置して該複数個の車輪が該一対のレール上を走行することで該作業椅子が該作業通路を移動せしめられるようにしたことを特徴とする走行型作業椅子。
【請求項2】
前記レールが、前記栽培フレームを構成する前記金属パイプと同一規格のものを用いて形成されている請求項1に記載の走行型作業椅子。
【請求項3】
前記走行フレームが前記椅子から前記地表が見える透過構造を有しており、該椅子に座った作業者が足を該地表に下ろすことが出来る請求項1又は2に記載の走行型作業椅子。
【請求項4】
前記走行フレームが、前記椅子の下方において前記作業通路の幅方向両側に向かって地表に沿うようにして延びる基台フレームを有していると共に、該基台フレームの両端部には、それぞれ、前記レールに沿うようにして延びる車輪フレームが一体的に設けられており、それら各車輪フレームの両端部に前記車輪が取り付けられている請求項1乃至3の何れか一項に記載の走行型作業椅子。
【請求項5】
前記走行フレームに対して前記椅子の位置を高さ方向で調節する高さ位置調節機構と、該走行フレームに対して該椅子の位置を前記作業通路の幅方向で調節する水平位置調節機構とを、設けた請求項1乃至4の何れか一項に記載の走行型作業椅子。
【請求項6】
前記走行フレームに対して前記椅子を鉛直軸回りで方向変更可能に支持せしめると共に、該椅子の鉛直軸回りの方向を解除可能に固定するストッパ機構を設けた請求項1乃至5の何れか一項に記載の走行型作業椅子。
【請求項7】
複数の車輪を備えた別体走行フレームに荷台を設けて搬送台車を構成し、該搬送台車を前記一対のレール間に跨がって設置して該複数個の車輪が該一対のレール上を走行することで該搬送台車が該作業通路を移動せしめられるようにする一方、該搬送台車を前記作業椅子に対して分離可能に連結する連結手段を設けた請求項1乃至6の何れか一項に記載の走行型作業椅子。
【請求項8】
前記搬送台車において、走行方向に直交する方向に延びる回動軸回りで回動可能に連結アームを設けると共に、該連結アームの先端において回動方向に向かって開口して該回動軸方向に延びる溝形の係止部を設け、該連結アームを該一軸回りに回動させて該溝形の係止部を前記作業椅子の前記走行フレームにおいて前記作業通路の幅方向に延びるフレームに対して上方より嵌め入れることにより連結可能とすると共に、該連結アームを該一軸回りで上方に回動操作して該溝形の係止部を該走行フレームの該フレームから外すことで分離可能とすることにより、前記連結手段を構成した請求項7に記載の走行型作業椅子。
【請求項9】
中空の金属パイプの複数本を固定的に組み合わせることにより、ハウス内で長手方向に連続して直線的に延びる長手の矩形枠体構造を有する高設架型の栽培フレームを構築して、該栽培フレームの複数を互いに所定の幅間隔を隔てて平行に配列設置することでそれら複数の栽培フレーム間に延びる作業通路を形成した高設栽培ハウスにおいて、
前記栽培フレームの基端部分で幅方向に延びるように配設された前記金属パイプを地表に沿って前記作業通路に向かって突出せしめることにより、該栽培フレームの長手方向の所定間隔でレール支持部を構成すると共に、それら複数のレール支持部に跨ってレールを載置固定することで、それぞれの作業通路の幅方向両側を全長に亘って延びる一対のレールを形成する一方、請求項1乃至8の何れか一項に係る走行型作業椅子を用いて、該走行型作業椅子における該作業椅子を該一対のレール間に跨がって設置して該走行型作業椅子における前記走行フレームの前記複数個の車輪が該一対のレール上を走行することで該作業椅子が該作業通路を移動せしめられるようにしたことを特徴とする高設栽培ハウス。
【請求項10】
互いに隣り合って設置された各一対の前記栽培フレーム間における前記作業通路の幅寸法が何れも90〜110cmの範囲内で一定とされていると共に、複数の該栽培フレームのうちで前記ハウスの幅方向において少なくとも一方の端に位置する該栽培フレームと該ハウスの壁部の間の幅方向の離隔寸法が30cm以下とされている請求項9に記載の高設栽培ハウス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−116949(P2007−116949A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311859(P2005−311859)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(594156880)三重県 (58)
【出願人】(391014114)三惠工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】