説明

走行支援装置及び走行支援方法

【課題】アクセルペダルの開度を増加させる加速操作を運転者に誘導することが可能な、走行支援装置及び走行支援方法を提供する。
【解決手段】自車両の走行経路上において、自車両の車速を予め設定した目標車速とする目標車速位置を検出し、目標車速位置において車速を目標車速とするための加速を開始する、走行経路上の加速開始位置を検出し、自車両が加速開始位置へ到達するまでに予め設定した所要時間を要する制御開始位置から、自車両の運転者が操作しているアクセルペダル12の戻し方向への開度変化を規制する程度の反力を第一速度でアクセルペダル12に付与し、自車両が加速開始位置へ到達すると、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度が目標車速に応じた開度へ導かれるように、運転者が操作しているアクセルペダル12に規制反力付与ステップで付与した反力を第一速度より速い第二速度で減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の運転者が操作するアクセルペダルに付与する反力を制御することにより、運転操作を支援する走行支援装置及び走行支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、運転者が操作しているアクセルペダルへ付与する戻し方向への反力を一定の変化率で増加させることにより、運転者が操作しているアクセルペダルの開度を、自車両の燃費が所定の燃費基準よりも良好な値となる開度に誘導する走行支援装置がある。
このような走行支援装置としては、例えば、特許文献1に記載されている走行支援装置がある。特許文献1に記載されている走行支援装置は、一定の変化率で増加させた基本反力よりも大きい反力値の反力変化点から構成される山、または、一定の変化率で増加させた基本反力より小さい反力値の反力変化点から構成される谷を設定する。そして、設定した山または谷を用いて、運転者が操作しているアクセルペダルの開度を、自車両の燃費が所定の燃費基準よりも良好な値となる開度に誘導する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007‐182196号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の走行支援装置では、自車両の燃費が所定の燃費基準よりも良好な値となるように、運転者が操作している(運転者が足を載せている)アクセルペダルに対して、開度の増加を抑制するように反力を付与する制御を行う。または、反力付与を弱めて運転者が踏み込みやすくさせる制御を行う。このため、例えば、高速道路への合流時等、自車両を加速させることが好ましい状況において、アクセルペダルを操作している運転者に対し、アクセルペダルの開度を増加させる加速操作を誘導することは困難である。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、自車両を加速させることが好ましい状況において、アクセルペダルの開度を増加させる加速操作を運転者に誘導することが可能な、走行支援装置及び走行支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、自車両の運転者が操作しているアクセルペダルの戻し方向への開度変化を規制する程度の反力をアクセルペダルの戻し方向への開度変化を認識できない第一速度でアクセルペダルに付与する。さらに、上記自車両が前記加速開始位置へ到達すると、上記運転者が操作しているアクセルペダルの開度が前記目標車速に応じた開度へ導かれるように、上記運転者が操作しているアクセルペダルに付与した反力を第一速度より速い第二速度で減少させる。
【0006】
ここで、開度変化を規制する程度の反力の付与は、上記自車両が加速開始位置へ到達するまでに予め設定した所要時間を要する制御開始位置から行う。また、上記の目標車速位置は、上記走行経路上において、上記自車両の車速を予め設定した目標車速とする位置とする。また、上記の加速開始位置は、上記目標車速位置において上記車速を上記目標車速とするための加速を開始する、上記走行経路上の位置とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転者が操作しているアクセルペダルの戻し方向への開度変化を規制する程度の反力を、制御開始位置からアクセルペダルに付与する。これに加え、自車両が加速開始位置へ到達すると、運転者が操作しているアクセルペダルの開度が目標車速に応じた開度へ導かれるように、運転者が操作しているアクセルペダルに付与した反力を減少させる。
このため、自車両を加速させることが好ましい状況において、運転者が足を載せているアクセルペダルに付与した反力の減少に伴い、運転者が足を載せているアクセルペダルの開度を増加させる加速操作を、運転者に誘導することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第一実施形態の走行支援装置の概略構成を示す図である。
【図2】実際のアクセルペダルの開度とアクセルペダルに付与した反力との関係を示す図である。
【図3】アクセルペダルの開度に関する変化量の効率と、経過時間との関係を示す図である。
【図4】ペダル反力制御部が行う処理を示すフローチャートである。
【図5】ペダル反力制御部が行う処理におけるタイムチャートである。
【図6】アクセルペダルの開度の変化量とアクセルペダルに付与した反力を変化させる速度との関係を示すマップである。
【図7】アクセルペダルの開度の変化量とアクセルペダルに付与した反力の変化量との関係を示すマップである。
【図8】運転者が操作しているアクセルペダルに付与した反力の変化量と経過時間との関係を示す図である。
【図9】運転者が操作しているアクセルペダルに付与した反力の変化量と経過時間との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、本実施形態と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、本実施形態の走行支援装置1の概略構成を示す図である。
図1中に示すように、走行支援装置1は、ナビゲーションシステム部2と、反力付与部4と、ペダル反力制御部6を備える。
ナビゲーションシステム部2は、一般的なカーナビゲーション(Automotive navigation system)を用いて構成する。また、ナビゲーションシステム部2は、データベース部8と、自車両位置測定部10を有する。
【0010】
データベース部8は、道路種別、道路曲率、道路勾配等の地図情報を記憶しており、必要に応じて、これらの情報を更新可能となっている。なお、データベース部8は、ナビゲーションシステム部2以外が有する構成としてもよい。
自車両位置測定部10は、例えば、GPS(Global Positioning System)による、自車両の位置測定、自車両の経路誘導、自車両の走行経路における制限車速情報の表示等を行う機能を有する。
【0011】
反力付与部4は、自車両の運転者(ドライバ)が操作するアクセルペダル12に対して、運転者の踏み込み操作に対する戻し方向への反力(以下、「反力」と記載する場合がある)を付与するためのサーボモータ14(アクチュエータ)を有する。
ここで、サーボモータ14は、例えば、アクセルペダル12のリンク機構に組み込む部材とする。また、サーボモータ14は、ペダル反力制御部6が出力する指令値に応じてトルクを発生させ、運転者がアクセルペダル12を操作する際に発生する操作反力を任意に制御する。
【0012】
また、反力付与部4は、アクセルペダル12に付与した反力を含む情報信号を、ペダル反力制御部6へ送信する。
アクセルペダル12は、例えば、オルガン式や吊り下げ式のペダルで形成し、車室内において、自車両の運転者が足で操作するために好適な位置へ配置される。
また、アクセルペダル12は、アクセルペダル12の開度を「0」にするための弾性部材を有する。この弾性部材としては、例えば、コイルスプリング等、アクセルペダル12を戻し方向へ変位させる部材(以下、「リターンスプリング」と記載する場合がある)を用いる。
【0013】
また、アクセルペダル12には、アクセルペダル12の開度を検出するアクセルペダル開度センサ16を設ける。
アクセルペダル開度センサ16は、アクセルペダル12の開度を検出すると、この検出した開度を含む情報信号を、ペダル反力制御部6及びエンジン18へ送信する。
ここで、エンジン18は、自車両の駆動源であり、アクセルペダル12の開度に応じた駆動力を発生させる。また、エンジン18は、例えば、ECU(Engine Control Unit)を備えて構成する。なお、自車両の駆動源としては、エンジン18に換えてモータを用いてもよい(EV:Electric Vehicle)。また、自車両の駆動源としては、エンジン18とモータの両方を用いてもよい(HEV:Hybrid Electric Vehicle)。
【0014】
ペダル反力制御部6は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を用いて形成する。
また、ペダル反力制御部6は、ナビゲーションシステム部2から上記の各種情報を受信可能である。これに加え、ペダル反力制御部6は、アクセルペダル開度センサ16、距離センサ20及び車速センサ22から情報信号を受信可能である。さらに、ペダル反力制御部6は、反力付与部4との間で情報信号の送受信が可能である。
【0015】
ここで、距離センサ20は、例えば、自車両のフロントグリルやフロントバンパに取り付けたレーザレーダで形成し、自車両の前方に存在する障害物と自車両との距離を検出する。そして、距離センサ20は、検出した障害物と自車両との距離を含む情報信号を、ペダル反力制御部6へ送信する。
なお、自車両の前方に存在する障害物は、自車両の走行経路上(道路上)に存在する停止車両(駐車車両)や、自車両の走行経路上で自車両の前方を走行している他車両(先行車)等である。
【0016】
また、車速センサ22は、単位時間当たりにおける、車輪の回転数や変速機の出力側の回転数を計測し、この計測した回転数に基づいて、自車両の速度を検出する。そして、車速センサ22は、検出した自車両の速度(以下、「車速」と記載する)を含む情報信号を、ペダル反力制御部6及びエンジン18へ送信する。
また、ペダル反力制御部6は、距離センサ20及び車速センサ22から受信した情報信号に基づき、アクセルペダル12へ付与する反力を算出する。そして、算出した反力を含む情報信号を、指令値として反力付与部4へ送信する。これにより、反力付与部4がアクセルペダル12へ付与する反力を制御する。
【0017】
なお、ペダル反力制御部6は、アクセルペダル開度センサ16から受信した情報信号に基づき、アクセルペダル12の開度が、アクセルペダル12へ付与した反力に応じた開度よりも大きい場合、アクセルペダル12へ付与する反力の制御を中止する。これにより、アクセルペダル12の操作に関して、運転者の意思を優先させるように、アクセルペダル12へ付与する反力の制御を行う。
【0018】
同様に、ペダル反力制御部6は、アクセルペダル開度センサ16から受信した情報信号に基づき、アクセルペダル12の開度が「0」である場合、アクセルペダル12へ付与する反力の制御を中止する。ここで、アクセルペダル12の開度が「0」である場合とは、運転者がアクセルペダル12から足を離した場合である。これにより、アクセルペダル12の操作に関して、運転者の意思を優先させるように、アクセルペダル12へ付与する反力の制御を行う。
ここで、アクセルペダル12へ付与する反力は、例えば、自車両の前方に存在する障害物と自車両との距離が近いほど、反力が増加するように算出する。この場合、アクセルペダル12へ付与する反力は、距離センサ20及び車速センサ22から受信した情報信号に基づいて算出する。
【0019】
また、ペダル反力制御部6は、ナビゲーションシステム部2から取得した各種情報に基づき、自車両の走行経路における道路状況に応じて、アクセルペダル12へ付与する反力を算出する。そして、算出した反力を含む情報信号を、指令値として反力付与部4へ送信することにより、反力付与部4がアクセルペダル12へ付与する反力を制御する。
また、ペダル反力制御部6は、反応特性記憶部24を備える。なお、反応特性記憶部24は、ペダル反力制御部6が備える構成とせず、ペダル反力制御部6から独立している構成としてもよい。
【0020】
反応特性記憶部24は、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力の変化に対する、アクセルペダル12に載せている運転者の足(図示せず)の反応特性(以下、「反応特性」と記載する場合がある)を記憶する。これに加え、反応特性記憶部24は、記憶している反応特性を、目標車速に応じたアクセルペダル12の開度と実際のアクセルペダル12の開度との差の履歴に応じて更新する。なお、実際のアクセルペダル12の開度は、アクセルペダル開度センサ16を用いて検出する。
ここで、目標車速とは、自車両の走行経路上において、予め設定した自車両の車速である。また、目標車速に応じたアクセルペダル12の開度とは、走行経路上において、自車両の車速を目標車速とするための、アクセルペダル12の開度である。
【0021】
反応特性記憶部24が記憶している反応特性を更新する具体的な処理は、以下に記載する処理である。
まず、図2中に示すように、アクセルペダル12に付与した反力を、複数段階(図2中では、三段階)設定し、各段階において、実際のアクセルペダル12の開度(図2中では、「●」で示す)を検出する。さらに、各段階で検出した実際のアクセルペダル12の開度と、目標車速に応じたアクセルペダル12の開度(図2中では、右肩上がりの直線で示す)との差を、それぞれ演算する。なお、図2は、実際のアクセルペダル12の開度とアクセルペダル12に付与した反力との関係を示す図である。
【0022】
次に、各段階で検出した実際のアクセルペダル12の開度の平均値(図2中では、右肩上がりの破線で示す)を演算する。さらに、演算した平均値に基づいて、実際のアクセルペダル12の開度を目標車速に応じた開度とするために目標とするゲインG1(図2中では、「デフォルト目標ゲインG1」と示す)の係数K1(図2中では、「K1」と示す)を設定する。
【0023】
そして、上記のゲインG1と係数K1を、以下の式(1)に適用して、反応特性の更新に用いる次回ゲインG´を演算する。
G´=G1×(100/K1) … (1)
また、反応特性記憶部24は、記憶している反応特性を、目標車速に応じたアクセルペダル12の開度と実際のアクセルペダル12の開度との差が減少するように更新する。
【0024】
具体的には、図3中に示すように、予め設定した回数(図3中では、三回)の学習期間のうち、最初の期間(第一学習期間)内において、アクセルペダル12の開度に関する変化量の効率(図3中では、「●」で示す)を、複数回(図3中では、三回)検出する。なお、図3は、アクセルペダル12の開度に関する変化量の効率と、経過時間(T)との関係を示す図である。
ここで、アクセルペダル12の開度に関する変化量の効率は、実際のアクセルペダル12の開度を、目標車速に応じたアクセルペダル12の開度で除した値である。
【0025】
次に、第一学習期間内において、検出した三回のアクセルペダル12の開度に関する変化量の効率の平均値を演算し、デフォルト目標ゲインG1の係数K1を設定する。
ここで、図3中に示すように、第一学習期間内において、検出した三回のアクセルペダル12の開度に関する変化量の効率の平均値が、100[%]未満の値である場合、係数K1は、100[%]未満の値となる。
そして、上記のゲインG1と係数K1を、以下の式(2)に適用して、第二学習期間に用いる第一更新ゲインG2を演算する。
G2=G1×(100/K1) … (2)
【0026】
さらに、第一学習期間の次の期間(第二学習期間)内において、アクセルペダル12の開度に関する変化量の効率を、三回検出する。そして、第二学習期間内において、検出した三回のアクセルペダル12の開度に関する変化量の効率の平均値を演算し、第一更新ゲインG2の係数K2を設定する。
ここで、図3中に示すように、第二学習期間内において、検出した三回のアクセルペダル12の開度に関する変化量の効率の平均値が、100[%]を超える値である場合、係数K2は、100[%]を超える値となる。
【0027】
そして、上記の第一更新ゲインG2と係数K2を、以下の式(3)に適用して、最終的に用いる第二更新ゲインG3を演算する。
G3=G2×(100/K2) … (3)
さらに、第二学習期間の次の期間(第三学習期間)内において、アクセルペダル12の開度に関する変化量の効率を、三回検出する。そして、第三学習期間内において、検出した三回のアクセルペダル12の開度に関する変化量の効率の平均値を演算し、第二更新ゲインG3の係数K3を設定する。
【0028】
ここで、図3中に示すように、係数K3は、100[%]に近似した値(K3≒100[%])である。このため、図3中に示す例では、第二更新ゲインG3の演算により、目標車速に応じたアクセルペダル12の開度と実際のアクセルペダル12の開度との差が減少するような、反応特性の更新を終了する。
なお、反応特性記憶部24は、運転者毎に反応特性を記憶し、例えば、スイッチの操作によって、運転者毎に反応特性を切り替えてもよい。これは、例えば、同一車両(自車両)を、複数の運転者が使用する場合等に適用する。これにより、自車両の運転者が変わった場合であっても、実際に自車両を運転する運転者に応じて、走行支援装置1を好適に動作させることが可能となる。
【0029】
(ペダル反力制御部6が行う処理)
以下、図1から図3を参照しつつ、図4から図9を用いて、ペダル反力制御部6が行う処理について、詳細に説明する。
図4は、ペダル反力制御部6が行う処理を示すフローチャートである。
図4中に示すように、ペダル反力制御部6が処理を開始(START)すると、まず、ステップS10において、目標加速度を演算(図中に示す「目標加速度演算」)する。ステップS10において、目標加速度を演算する処理を行うと、ペダル反力制御部6が行う処理は、ステップS20へ移行する。
【0030】
ここで、目標加速度の演算は、自車両の走行中に、自車両の車速を、予め設定した目標車速とする位置である目標車速位置を検出すると行う。ここで、目標車速位置としては、例えば、自車両の走行経路上に、一般道路と高速道路との合流地点における導入路等がある。なお、目標車速位置の検出は、データベース部8が記憶している地図情報と、自車両位置測定部10が測定した自車両の位置を用いて行う。
また、目標加速度は、例えば、目標車速(図5中では「80km/h」)と現在の車速に基づいて演算する。なお、図5は、ペダル反力制御部6が行う処理におけるタイムチャートであり、目標車速、アクセルペダル12(スロットル)の開度、アクセルペダル12へ付与する反力の関係を示している。
【0031】
具体的には、上記の目標車速位置と、走行経路上において自車両が車速を目標車速とするための加速を開始すると推定される加速開始位置を検出する。そして、検出した加速開始位置における車速と、目標車速位置において目標とする車速を用いて、自車両が加速開始位置から目標車速位置へ移動する間に、現在の車速から目標車速まで加速可能な加速度を演算する。なお、加速開始位置の検出は、データベース部8が記憶している地図情報と、自車両位置測定部10が測定した自車両の位置と、車速センサ22が検出した自車両の速度を用いて行う。
【0032】
ステップS20では、目標とする加速度に応じたアクセルペダル12の開度(スロットル開度)を演算する。そして、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度を、目標とする加速度に応じたアクセルペダル12の開度とするための、踏み込み方向への誘導量(誘導ストローク)を演算する。
具体的には、例えば、図5中の「アクセルペダル開度」のグラフに示すように、加速開始位置におけるアクセルペダル12の開度と、目標車速位置におけるアクセルペダル12の開度との差分値を、誘導ストロークとして演算する。ステップS20において、誘導ストロークを演算する処理を行うと、ペダル反力制御部6が行う処理は、ステップS30へ移行する。
【0033】
ここで、加速開始位置におけるアクセルペダル12の開度は、加速開始位置における車速(図5中では「40km/h」)に応じたアクセルペダル12の開度である。同様に、目標車速位置におけるアクセルペダル12の開度は、目標車速(図5中では「80km/h」)に応じたアクセルペダル12の開度である。
なお、本実施形態では、加速開始位置におけるアクセルペダル12の開度と、目標車速位置におけるアクセルペダル12の開度との差分値を、反応特性記憶部24が記憶する反応特性に基づく値とする場合を説明する。
【0034】
ステップS30では、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を演算する。
具体的には、制御開始位置から運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力である、運転者が操作しているアクセルペダル12の戻し方向への開度変化を規制する程度の反力を演算する。ここで、制御開始位置とは、自車両の走行経路上において、自車両が加速開始位置へ到達するまでに予め設定した所要時間を要する位置である。
【0035】
なお、図5中では、自車両が制御開始位置へ到達した時点を、「T1」で示し、自車両が加速開始位置へ到達した時点を、「T2」で示している。同様に、図5中では、自車両が目標車速位置へ到達した時点を、「T3」で示している。
これに加え、自車両が加速開始位置へ到達すると、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度が目標車速に応じた開度へ導かれるように、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させる減少度合いを演算する。
【0036】
ここで、制御開始位置から運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力の大きさと、反力を変化させる速度は、以下の手順を用いて、予め設定する。
制御開始位置から運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力の大きさは、ステップS20で演算した誘導ストロークに応じて演算する。具体的には、運転者が操作しているアクセルペダル12の、加速開始位置における開度と、目標車速に応じた開度との差分値(誘導ストローク)に応じて演算する(図5の「アクセルペダル開度」参照)。
【0037】
また、制御開始位置から運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を変化させる速度は、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度を戻し方向に変化させないような遅い第一速度として、図6に示すマップを用いて演算する。なお、図6は、アクセルペダル12の開度の変化量とアクセルペダル12に付与した反力を変化させる速度との関係を示すマップである。但し、この第一速度は、上記速度に限らず、実際は、アクセルペダルの12の開度が戻し方向に変化していても、運転者がそれを認識できないような遅い速度であればよい。例えば、制御開始時刻から1秒以上の時間で変化するような速度であればよい。
【0038】
図6中に示すように、制御開始位置から運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を変化させる速度には、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度変化量が「0」である領域(図6中では、「鈍感領域」と示す)が存在する。
これは、制御開始位置から運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を変化させる速度が低い場合、アクセルペダル12の開度変化は、運転者の足の反応特性であるスティフネス(関節スティフネス)により吸収されるためである。すなわち、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度の変化量が「0」である領域は、制御開始位置から運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を変化させる速度が、関節スティフネスにより吸収される値である領域である。
【0039】
したがって、本実施形態では、制御開始位置から運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を変化させる速度を、上記の鈍感領域に該当する速度とする。
ここで、上記の鈍感領域における、制御開始位置から運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を変化させる速度は、上述した、アクセルペダル12の重量と運転者の足の自重との合計値に応じて設定する値である。これに加え、制御開始位置から運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を変化させる速度は、運転者の足の粘弾性力と、リターンスプリングが有する弾性力に応じて設定する値である。
【0040】
なお、アクセルペダル12の重量と運転者の足の自重との合計値は、例えば、自車両の前方に存在する障害物と自車両との距離が接近した際にアクセルペダル12へ反力を付与した際の、アクセルペダル12の開度変化率等に基づいて算出する。ここで、アクセルペダル12の開度変化率とは、アクセルペダル12の開度の単位時間当たりの変化量である。具体的には、アクセルペダル12の開度が変化する速度、運転者によるアクセルペダル12の踏み込み力、アクセルペダル12の開度が変化する際の加速度を含む。
【0041】
同様に、運転者の足の粘弾性力は、例えば、自車両の前方に存在する障害物と自車両との距離が接近した際にアクセルペダル12へ反力を付与した際の、アクセルペダル12の開度変化率等に基づいて算出する。
また、リターンスプリングが有する弾性力は、予め、ペダル反力制御部6に記憶させておく。
【0042】
以上により、本実施形態では、制御開始位置から運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を変化させる速度に応じて付与する場合を説明する。具体的には、上述した反力を、運転者が操作しているアクセルペダル12に反力を付与しても、アクセルペダル12に載せている運転者の足がアクセルペダル12の開度が減少する方向へ移動しないように、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する。
【0043】
これにより、時点「T1」から時点「T2」までの間では、運転者が操作しているアクセルペダル12の戻し方向への開度変化を規制する程度の反力を、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する。
また、本実施形態では、上記の反力を、反応特性記憶部24が記憶している反応特性を用い、上記の差分値に応じた反力とする場合を説明する。
【0044】
また、上述した減少度合いは、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度が、目標車速に応じた開度へ導かれるように、ステップS20で演算した誘導ストロークと、図6に示すマップを用いて演算する。すなわち、上述した反力は、運転者が操作しているアクセルペダル12の、加速開始位置における開度と、目標車速に応じた開度との差分値(誘導ストローク)に応じた反力とする(図5の「アクセルペダル開度」参照)。
【0045】
図6中に示すように、制御開始位置から運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を変化させる速度には、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度の変化量が、戻し方向の値で一定である領域(図6中では、「敏感領域」と示す)が存在する。
また、図6中に示すように、制御開始位置から運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を変化させる速度には、アクセルペダル12の開度の変化量が増加する領域が存在する。この領域は、鈍感領域の値と敏感領域の値との間で、反力を変化させる速度の増加に伴って、アクセルペダル12の開度の変化量が増加する領域である。
【0046】
すなわち、鈍感領域よりも、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を変化させる速度が高い領域では、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度の変化量が絶対値で正となる。さらに、上述した、反力を変化させる速度の増加に伴って開度の変化量が増加する領域よりも、反力を変化させる速度が高い領域では、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度の変化量が、最大値で一定となる。この鈍感領域よりも、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を変化させる速度が高い領域での速度を第二速度とする。この第二速度は、おのずと第一速度より速い速度になる。例えば、加速開始時刻から0.5秒以下の時間で変化するような速度である。
【0047】
これは、図7中に示すように、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力の変化量には、アクセルペダル12の開度の変化量が「0」である領域、すなわち、上記の鈍感領域と同様の領域が存在するためである。なお、図7は、アクセルペダル12の開度の変化量とアクセルペダル12に付与した反力の変化量との関係を示すマップである。
【0048】
また、図7中に示すように、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力の変化量には、反力の変化量の増加に伴って、アクセルペダル12の開度の変化量が増加する領域が存在する。この領域は、アクセルペダル12の開度の変化量が「0」である領域よりも、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力の変化量が大きい領域である。
【0049】
ここで、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させると、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度が増加する。また、上記の減少度合いを増加させると、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度の変化量が増加する。
また、上述したように、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を変化させる速度が低い場合、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度変化が、関節スティフネスにより吸収される。このため、反力を変化させる速度を高くするにつれて、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度の変化量が増加することとなる。
【0050】
したがって、上記の減少度合いは、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させる速度が、上記の敏感領域に該当する速度となるように演算する。
また、本実施形態では、上記の減少度合いを、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力の減少に伴い、アクセルペダル12に載せている運転者の足が、アクセルペダル12の開度が増加する方向へ移動するように演算する場合を説明する。この演算は、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を変化させる速度に応じて行う。
【0051】
また、本実施形態では、上記の減少度合いを、反応特性記憶部24が記憶している反応特性を用い、上記の差分値に応じて演算する場合を説明する。
上述したように、ステップS30において、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を演算すると、ペダル反力制御部6が行う処理は、ステップS40へ移行する。
ステップS40では、時点「T1」において、ステップS30で演算した反力を、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する処理を行う。
【0052】
具体的には、アクセルペダル12への反力の付与を開始してから加速開始位置へ到達するまでの間(「T1」〜「T2」)に、ステップS30で演算した反力を、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する。ステップS30で演算した反力のアクセルペダル12への付与は、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度を変化させずに行う。ステップS40において、運転者が操作しているアクセルペダル12に反力を付与する処理を行うと、ペダル反力制御部6が行う処理は、ステップS50へ移行する。
【0053】
ここで、時点「T1」、すなわち、制御開始位置は、ステップS30で演算した、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力の大きさと、反力を変化させる速度に応じて、予め設定する。
ステップS50では、ステップS30で演算した減少度合いを用いて、ステップS40において運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させる処理を行う。
【0054】
具体的には、自車両が加速開始位置へ到達する(「T2」)と、ステップS40でアクセルペダル12に付与した反力を、ステップS30で演算した減少度合いで減少させる。ステップS50において、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させる処理を行うと、ペダル反力制御部6が行う処理は、ステップS60へ移行する。
ステップS60では、目標車速に応じたアクセルペダル12の開度(目標開度)と実際のアクセルペダル12の開度(実開度)とを比較し、実際のアクセルペダル12の開度が、目標車速に応じたアクセルペダル12の開度未満であるか否かを判定する。そして、実際のアクセルペダル12の開度が、目標車速に応じたアクセルペダル12の開度未満である場合、ペダル反力制御部6が行う処理は、ステップS70へ移行する。
【0055】
一方、実際のアクセルペダル12の開度が、目標車速に応じたアクセルペダル12の開度と等しい場合、ペダル反力制御部6は処理を終了(END)する。
ステップS70では、実際のアクセルペダル12の開度が、目標車速に応じた開度となるように、上記の減少度合いを増加補正する。
【0056】
具体的には、実際のアクセルペダル12の開度と目標車速に応じたアクセルペダル12の開度との開度差、すなわち、実際のアクセルペダル12の不足分に応じて、上記の減少度合いを増加補正する。これにより、図8中に示すように、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を、ステップS50で減少させた値から再度減少させて、実際のアクセルペダル12の開度と目標車速に応じたアクセルペダル12の開度との開度差を減少させる。なお、図8は、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力の変化量と経過時間との関係を示す図である。また、図8中では、上記の増加補正を行う前のアクセルペダル12に付与した反力の変化量と、上記の増加補正を行った時点のアクセルペダル12に付与した反力の変化量を、共に、符号「●」で示している。
【0057】
なお、例えば、図9中に示すように、ステップS50で減少させた反力の値が、反力付与部4がアクセルペダル12に付与可能な最小値(図8及び図9中では、「min」と示す)に近い値である場合は、上記の減少度合いを減少補正する。その後、実際のアクセルペダル12の不足分に応じて、上記の減少度合いを増加補正する。なお、図9は、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力の変化量と経過時間との関係を示す図である。また、図9中では、図8と同様、上記の増加補正を行う前のアクセルペダル12に付与した反力の変化量と、上記の増加補正を行った時点のアクセルペダル12に付与した反力の変化量を、共に、符号「●」で示している。
【0058】
すなわち、ステップS50で減少させた反力の値が、反力付与部4がアクセルペダル12に付与可能な最小値に近い値であり、上記の減少度合いを増加補正することが困難である場合は、上記の減少度合いを減少補正した後に、増加補正を行う。
ステップS70において、実際のアクセルペダル12の開度が、目標車速に応じた開度となるように、上記の減少度合いを増加補正する処理を行うと、ペダル反力制御部6は処理を終了(END)する。
【0059】
(動作)
まず、図1から図9を参照して、本実施形態の走行支援装置1が行う動作について説明する。
自車両の走行中において、例えば、自車両の走行経路上に、一般道路と高速道路との合流地点における導入路等の目標車速位置と、上述した加速開始位置を検出すると、走行支援装置1は、現在の車速から目標車速まで加速可能な加速度を演算する。この加速度は、上述したように、自車両が加速開始位置から目標車速位置へ移動する間に、現在の車速から目標車速まで加速可能な加速度である。
【0060】
そして、走行中の自車両が、制御開始位置である時点(「T1」)に到達すると、走行中の自車両が加速開始位置へ到達する時点(「T2」)までに、ステップS30で演算した反力を、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する。ここで、ステップS30で演算した反力は、運転者が操作しているアクセルペダル12の戻し方向への開度変化を規制する程度の反力である。
【0061】
これにより、上述した時点「T1」から「T2」の間では、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度が変化しない状態を維持しつつ、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を増加させる(図5参照)。
そして、走行中の自車両が加速開始位置へ到達すると、この時点「T2」において、ステップS30で演算した減少度合いで、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させる。すなわち、時点「T2」では、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度が目標車速に応じた開度へ導かれるように、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させる。
【0062】
このとき、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させる減少度合いは、ステップS20で演算した誘導ストロークに応じて演算している。これに加え、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させる減少度合いは、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させる速度が、上記の敏感領域に該当する速度となるように演算している。
【0063】
このため、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させると、アクセルペダル12に載せている運転者の足が、反力の減少に伴って、アクセルペダル12の踏み込み方向へ誘導されることとなる。すなわち、自車両が加速開始位置へ到達すると、アクセルペダル12に足を載せている運転者を、踏み込み操作を伴わずに、アクセルペダル12の開度を増加させる操作へ誘導することが可能となる。
ここで、ステップS20で演算した誘導ストロークは、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度を、目標車速(図5中では「80km/h」)に応じたアクセルペダル12の開度とするための、踏み込み方向への誘導量である。
【0064】
このため、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させると、自車両が目標車速位置へ到達した時点「T3」において、自車両の車速が目標車速となる。すなわち、一般道路と高速道路との合流地点における導入路の走行等、自車両を加速させることが好ましい状況において、アクセルペダル12に足を載せている運転者が踏み込み操作を伴わずとも、自車両が目標車速位置へ到達すると、自車両の車速が目標車速となる。
【0065】
時点「T2」において、ステップS30で演算した減少度合いで、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させた後は、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を制御する。この制御は、時点「T2」から時点「T3」の間において、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度が、目標車速に応じた開度を維持するように行う。これにより、自車両の加速度を、ステップS10において演算した目標加速度とする。
【0066】
また、時点「T3」において自車両の車速が目標車速となった後は、自車両の車速を目標車速に維持するように、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力の制御を行う(図5参照)。この制御は、例えば、図5中に示すように、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度が、目標車速に応じた開度よりも増加しないように、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を増加させる制御を含む。さらに、上記の制御は、例えば、図5中に示すように、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度が、目標車速に応じた開度となるように、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させる制御を含む。
【0067】
なお、上述したように、本実施形態の走行支援装置1の動作で実施する走行支援方法は、自車両の走行経路上において、自車両の車速を予め設定した目標車速とする目標車速位置を検出する目標車速位置検出ステップを有する方法である。さらに、目標車速位置において車速を目標車速とするための加速を開始する、走行経路上の加速開始位置を検出する加速開始位置検出ステップを有する方法である。
【0068】
これに加え、本実施形態の走行支援装置1の動作で実施する走行支援方法は、制御開始位置から、自車両の運転者が操作しているアクセルペダルの戻し方向への開度変化を規制する程度の反力をアクセルペダルに付与する規制反力付与ステップを有する方法である。さらに、自車両が加速開始位置へ到達すると、運転者が操作しているアクセルペダルの開度が目標車速に応じた開度へ導かれるように、運転者が操作しているアクセルペダルに規制反力付与ステップで付与した反力を減少させる反力減少ステップを有する方法である。
【0069】
ここで、規制反力付与ステップでは、自車両の運転者が操作しているアクセルペダルの戻し方向への開度変化を規制する程度の反力を、アクセルペダルの戻し方向への開度変化を認識できない第一速度で、アクセルペダルに付与する。
また、反力減少ステップでは、運転者が操作しているアクセルペダルに規制反力付与ステップで付与した反力を、第一速度より速い第二速度で減少させる。
【0070】
以上により、ナビゲーションシステム部2及びペダル反力制御部6は、自車両位置検出部、走行経路検出部、目標車速位置検出部及び加速開始位置検出部に対応する。また、反力付与部4及びペダル反力制御部6は、規制反力付与部及び反力減少部に対応する。また、アクセルペダル開度センサ16は、アクセルペダル開度検出部に対応する。
また、ステップS20及びS30は、目標車速位置検出ステップ及び加速開始位置検出ステップに対応する。また、ステップS40は、規制反力付与ステップに対応する。また、ステップS50は、反力減少ステップに対応する。
【0071】
(第一実施形態の効果)
本実施形態の走行支援装置1であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)走行支援装置1が、自車両が加速開始位置へ到達するまでに予め設定した所要時間を要する制御開始位置から、自車両の運転者が操作しているアクセルペダル12の戻し方向への開度変化を規制する程度の反力を、アクセルペダル12に付与する。ここで、開度変化を規制する程度の反力は、アクセルペダル12の戻し方向への開度変化を認識できない第一速度でアクセルペダル12に付与する。これに加え、自車両が加速開始位置へ到達すると、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度が目標車速に応じた開度へ導かれるように、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を、第一速度より速い第二速度で減少させる。
【0072】
このため、自車両が加速開始位置へ到達すると、運転者が足を載せているアクセルペダル12の開度が目標車速に応じた開度へ導かれるように、運転者が足を載せているアクセルペダル12に付与した反力を減少させることが可能となる。
その結果、自車両を加速させることが好ましい状況において、アクセルペダル12に付与した反力の減少に伴い、アクセルペダル12の開度を増加させる加速操作を、運転者に誘導することが可能となる。なお、自車両を加速させることが好ましい状況とは、例えば、一般道路と高速道路との合流地点における導入路の走行等である。
【0073】
(2)運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を、アクセルペダル12の加速開始位置における開度と目標車速に応じた開度との差分値に応じた反力とする。これに加え、上記の差分値に応じて、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させる。
その結果、運転者に誘導する、アクセルペダル12の開度を増加させる操作を、加速開始位置における車速と目標車速との速度差に応じて行うことが可能となる。
【0074】
(3)運転者が操作しているアクセルペダル12の、加速開始位置における開度と目標車速に応じた開度との差分値を、アクセルペダル12に載せている運転者の足が反応する反応特性に基づく値とする。ここで、反応特性は、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力の変化に対して、アクセルペダル12に載せている運転者の足が反応する特性である。
その結果、運転者に誘導する、アクセルペダル12の開度を増加させる操作を、運転者の足の粘弾性力等、運転者の身体的な特徴に応じて行うことが可能となる。
【0075】
(4)運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を変化させる速度に応じて、運転者が操作しているアクセルペダル12に反力を付与する。この反力は、運転者が操作しているアクセルペダル12に反力を付与しても、アクセルペダル12に載せている運転者の足が、アクセルペダル12の開度が減少する方向へ移動しないような値とする。
その結果、アクセルペダル12に足を載せている運転者に対し、アクセルペダル12に付与する反力の増加を感じさせることを、抑制することが可能となる。
【0076】
(5)運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を変化させる速度に応じて、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させる。ここで、反力の減少は、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力の減少に伴い、アクセルペダル12に載せている運転者の足がアクセルペダル12の開度が増加する方向へ移動するように行う。
その結果、アクセルペダル12の開度変化が、運転者の足の反応特性であるスティフネス(関節スティフネス)により吸収されることを抑制することが可能となる。
【0077】
(6)運転者が操作しているアクセルペダル12に付与する反力を、運転者が操作しているアクセルペダル12の、加速開始位置における開度と目標車速に応じた開度との差分値に応じた反力とする。これに加え、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させる。ここで、付与する反力と、反応特性記憶部24が記憶している反応特性を用いて行う。また、付与した反力の減少は、反応特性記憶部24が記憶している反応特性を用い、さらに、加速開始位置における開度と目標車速に応じた開度との差分値に応じて行う。
【0078】
このため、例えば、運転者毎に異なる、足の筋肉特性(筋力、柔軟性等)に応じて、アクセルペダル12に付与する反力と、アクセルペダル12に付与した反力を減少させる減少度合いを、設定することが可能となる。
その結果、例えば、運転者が変わった場合や、運転者の筋力が増加または低下した場合等であっても、運転者の個人特性に応じて、アクセルペダル12の開度を増加させる操作を、運転者に誘導することが可能となる。
【0079】
(7)反応特性記憶部24が、記憶している反応特性を、目標車速に応じたアクセルペダル12の開度と実際のアクセルペダル12の開度との差の履歴に応じて更新する。
その結果、アクセルペダル12に付与する反力の設定と、アクセルペダル12に付与した反力を減少させる減少度合いの設定に関し、履歴の増加に応じて、精度を向上させることが可能となる。
【0080】
(8)反応特性記憶部24が、記憶している反応特性を、目標車速に応じたアクセルペダル12の開度と実際のアクセルペダル12の開度との差が減少するように更新する。
その結果、アクセルペダル12に付与する反力の設定と、アクセルペダル12に付与した反力を減少させる減少度合いの設定に関し、反応特性の更新に応じて、精度を向上させることが可能となる。
【0081】
(9)実際のアクセルペダル12の開度が目標車速に応じた開度へ導かれるように、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を再度減少させる。反力の再度減少は、運転者が操作しているアクセルペダル12に付与した反力を減少させ、且つ実際のアクセルペダル12の開度が目標車速に応じた開度未満である場合に行う。
その結果、アクセルペダル12の開度を増加させる操作を運転者に誘導する際に、実際のアクセルペダル12の開度が、目標車速に応じた開度未満となることを、抑制することが可能となる。
【0082】
(10)本実施形態の走行支援方法では、規制反力付与ステップにおいて、制御開始位置から、運転者が操作しているアクセルペダル12の戻し方向への開度変化を規制する程度の反力を、アクセルペダル12に付与する。これに加え、反力減少ステップにおいて、運転者が操作しているアクセルペダル12の開度が目標車速に応じた開度へ導かれるように、運転者が操作しているアクセルペダル12に規制反力付与ステップで付与した反力を減少させる。ここで、反力減少ステップにおける処理は、自車両が加速開始位置へ到達すると行う。また、規制反力付与ステップでは、自車両の運転者が操作しているアクセルペダル12の戻し方向への開度変化を規制する程度の反力を、アクセルペダル12の戻し方向への開度変化を認識できない第一速度で、アクセルペダル12に付与する。さらに、反力減少ステップでは、運転者が操作しているアクセルペダル12に規制反力付与ステップで付与した反力を、第一速度より速い第二速度で減少させる。
【0083】
このため、自車両が加速開始位置へ到達すると、運転者が足を載せているアクセルペダル12の開度が目標車速に応じた開度となるように、運転者が足を載せているアクセルペダル12に付与した反力を、予め設定した減少度合いで減少させることが可能となる。
その結果、自車両を加速させることが好ましい状況において、アクセルペダル12に付与した反力の減少に伴い、アクセルペダル12の開度を増加させる加速操作を、運転者に誘導することが可能となる。
【符号の説明】
【0084】
1 走行支援装置
2 ナビゲーションシステム部
4 反力付与部
6 ペダル反力制御部
8 データベース部
10 自車両位置測定部
12 アクセルペダル
14 サーボモータ
16 アクセルペダル開度センサ
18 エンジン
20 距離センサ
22 車速センサ
24 反応特性記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の位置を検出する自車両位置検出部と、
前記自車両の走行経路を検出する走行経路検出部と、
前記走行経路上において、前記自車両の車速を予め設定した目標車速とする目標車速位置を検出する目標車速位置検出部と、
前記目標車速位置において前記車速を前記目標車速とするための加速を開始する、前記走行経路上の加速開始位置を検出する加速開始位置検出部と、
前記自車両が前記加速開始位置へ到達するまでに予め設定した所要時間を要する制御開始位置から、前記自車両の運転者が操作しているアクセルペダルの戻し方向への開度変化を規制する程度の反力をアクセルペダルの戻し方向への開度変化を認識できない第一速度で前記アクセルペダルに付与する規制反力付与部と、
前記自車両が前記加速開始位置へ到達すると、前記運転者が操作しているアクセルペダルの開度が前記目標車速に応じた開度へ導かれるように、前記運転者が操作しているアクセルペダルに前記規制反力付与部が付与した反力を前記第一速度より速い第二速度で減少させる反力減少部と、を有することを特徴とする走行支援装置。
【請求項2】
前記運転者が操作しているアクセルペダルに前記規制反力付与部が付与する反力を、前記アクセルペダルの前記加速開始位置における開度と前記目標車速に応じた開度との差分値に応じた反力とし、
前記反力減少部は、前記差分値に応じて、前記運転者が操作しているアクセルペダルに付与した反力を減少させることを特徴とする請求項1に記載した走行支援装置。
【請求項3】
前記差分値を、前記運転者が操作しているアクセルペダルに付与した反力の変化に対して前記アクセルペダルに載せている運転者の足が反応する反応特性に基づく値とすることを特徴とする請求項2に記載した走行支援装置。
【請求項4】
前記規制反力付与部は、前記運転者が操作しているアクセルペダルに反力を付与しても、前記アクセルペダルに載せている前記運転者の足がアクセルペダルの開度が減少する方向へ移動しないように、前記運転者が操作しているアクセルペダルに付与する反力を変化させる速度に応じて、前記運転者が操作しているアクセルペダルに反力を付与することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した走行支援装置。
【請求項5】
前記反力減少部は、前記運転者が操作しているアクセルペダルに付与した反力の減少に伴い、前記アクセルペダルに載せている前記運転者の足がアクセルペダルの開度が増加する方向へ移動するように、前記運転者が操作しているアクセルペダルに付与する反力を変化させる速度に応じて、前記運転者が操作しているアクセルペダルに前記規制反力付与部が付与した反力を減少させることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載した走行支援装置。
【請求項6】
前記運転者が操作しているアクセルペダルに付与した反力の変化に対して前記アクセルペダルに載せている運転者の足が反応する反応特性を記憶する反応特性記憶部と、
前記アクセルペダルの開度を検出するアクセルペダル開度検出部と、を備え、
前記規制反力付与部は、前記反応特性記憶部が記憶している前記反応特性を用いて、前記運転者が操作しているアクセルペダルに付与する反力を、前記運転者が操作しているアクセルペダルの、前記加速開始位置における開度と前記目標車速に応じた開度との差分値に応じた反力とし、
前記反力減少部は、前記反応特性記憶部が記憶している前記反応特性を用い、且つ前記差分値に応じて、前記運転者が操作しているアクセルペダルに前記規制反力付与部が付与した反力を減少させることを特徴とする請求項2から請求項5のうちいずれか1項に記載した走行支援装置。
【請求項7】
前記反応特性記憶部は、記憶している前記反応特性を、前記目標車速に応じた前記アクセルペダルの開度と実際のアクセルペダルの開度との差の履歴に応じて更新することを特徴とする請求項6に記載した走行支援装置。
【請求項8】
前記反応特性記憶部は、記憶している前記反応特性を、前記目標車速に応じた前記アクセルペダルの開度と実際のアクセルペダルの開度との差が減少するように更新することを特徴とする請求項6または請求項7に記載した走行支援装置。
【請求項9】
前記反力減少部は、前記運転者が操作しているアクセルペダルに前記規制反力付与部が付与した反力を減少させ、且つ実際の前記アクセルペダルの開度が前記目標車速に応じた開度未満である場合、実際の前記アクセルペダルの開度が前記目標車速に応じた開度へ導かれるように、前記運転者が操作しているアクセルペダルに前記規制反力付与部が付与した反力を再度減少させることを特徴とする請求項1から請求項8のうちいずれか1項に記載した走行支援装置。
【請求項10】
自車両の走行経路上において、前記自車両の車速を予め設定した目標車速とする目標車速位置を検出する目標車速位置検出ステップと、
前記目標車速位置において前記車速を前記目標車速とするための加速を開始する、前記走行経路上の加速開始位置を検出する加速開始位置検出ステップと、
前記自車両が前記加速開始位置へ到達するまでに予め設定した所要時間を要する制御開始位置から、前記自車両の運転者が操作しているアクセルペダルの戻し方向への開度変化を規制する程度の反力をアクセルペダルの戻し方向への開度変化を認識できない第一速度で前記アクセルペダルに付与する規制反力付与ステップと、
前記自車両が前記加速開始位置へ到達すると、前記運転者が操作しているアクセルペダルの開度が前記目標車速に応じた開度へ導かれるように、前記運転者が操作しているアクセルペダルに前記規制反力付与ステップで付与した反力を前記第一速度より速い第二速度で減少させる反力減少ステップと、を有することを特徴とする走行支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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