説明

超伝導スーパーキャパシタ

超伝導スーパーキャパシタと、数平方フィートから、百又は千平方マイル以上まで変化する場合がある非常に広い放射状の範囲に亘って並列接続される大規模内蔵キャパシタを形成する方法とが開示される。超伝導スーパーキャパシタは前記ハウジング内に形成されて、導電性材料の層それぞれの間に誘電性材料の層からなる複数の交互層を積層させることにより水及び蒸気が入らないようにし、これにより1つ以上の電極が誘電層それぞれに位置し、よって、防水真空ハウジングから発しており、1つ以上の電極に接続される、例えば雷の発生源から電荷を受けるための少なくとも1つのプローブ電極を有する、超伝導スーパーキャパシタを形成する。例えば電力を供給して環境に悪影響を及ぼす別の電力源を補うか、又は代替することができる多層キャパシタ構造体を規定するように描かれた、数枚の層から千、及び場合によっては百万層以上の多くの導電層を離隔している、多くの誘電層が考えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般には、コンクリート、セラミック又は別の同様の非導電材料から作られた大規模耐水真空絶縁外殻の内部に収容され、砂又は別の誘電性材料等のような局在する豊富な天然資源からなる(人為的に製作されたか、又は自然に発生した)絶縁体としての複数の層と、鉄、アルミ等の金属材料からなる、人為的に製作されたか又は自然に発生した導体としての複数の層と、ハウジングから発しているとともに、導電層それぞれに並列に接続された金属プローブと、このプローブへのパワー源としての人為的に生成されたか又は雷のように自然に発生する現象とを使用する大規模電気回路、及びこれら大規模電気回路の製作に関する。より具体的には、この発明は、多層集積キャパシタを有するマクロエレクトロニックアセンブリを形成するプロセスに関し、この多層集積キャパシタは、非常に広い半径と、そのハウジング内に形成された層の数とに基づいて、広い範囲の静電容量値を有する。従って、人為的な消費のために、獲得された電力を貯蔵し、分配することができる。この超伝導スーパーキャパシタ(super conducting super capacitor)技術を採用し、送電網に電気エネルギーを供給し、及び車、トラック、バス、船、列車及び航空機のような電気的輸送手段のための給電ステーションによる使用のための、新しいタイプの電力プラントが企図されている。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニックキャパシタは、通常、導電性領域をセラミック基板上にパターニングして底部電極を画定し、この底部電極上に誘電性材料の薄層を堆積させてマイクロエレクトロニックキャパシタ用の誘電体を形成し、次いで、誘電体材料の上の第二の導電性領域を用いてマイクロエレクトロニックキャパシタを形成するようにパターニングされた第二の電極を誘電性材料の上に形成することにより形成される。このようにしてマイクロエレクトロニックキャパシタは電荷を蓄え、そしてマイクロエレクトロニックキャパシタを充電するための仕事が行われていなければならないので、マイクロエレクトロニックキャパシタは電気ポテンシャルエネルギーをも蓄える。半径Rの絶縁された金属球の一例を考えると、この球に蓄えられたQと呼ばれる任意の電荷は、電位
【0003】
【数1】

【0004】
として明確に表現することができ、球に蓄えられた電荷の総量は電位(V)に正比例する。この比例関係は、任意の形状又はサイズの任意の導体に対して存在する。導体が大きな量の電荷を低い電位において蓄えることができる場合、この単一の導体の静電容量(C)は大きく、これにより、
【0005】
【数2】

【0006】

【0007】
【数3】

【0008】
となる。従って、球の静電容量は半径とともに増加し、並列に配線されている多くのこのような球は、これら球の個別の静電容量の合計である正味静電容量(net capacitance)を生成する。さらに、キャパシタは電荷(Q)だけでなく電気ポテンシャルエネルギー(U)をも蓄え、この電気ポテンシャルエネルギーは、
【0009】
【数4】

【0010】
と、概略的に表すことができる(誘電層内のエネルギー密度は無視する)。また、電気ポテンシャルエネルギー(U)は、キャパシタを充電するために行わなければならない仕事の総量である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
必要とされるのは、本明細書において超伝導スーパーキャパシタとして参照されているマクロエレクトロニック回路と、自然に発生したか人為的に生成されたかに関わらず人為的な消費用の代替的なエネルギー源として雷の電荷を獲得して蓄えるために用いられる、上述の関係を有効に利用する方法とである。特定の周囲環境中の落雷によって生成される合計エネルギー範囲の決定の後に、本発明の超伝導スーパーキャパシタを形成しているキャパシタの内蔵された並列層の最適な半径及び数を、本発明の超伝導スーパーキャパシタのハウジングを支持するために入手可能な土地又は別の基板の面積に基づいて確立することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
超伝導スーパーキャパシタと、数平方フィートから百又は千平方マイル以上まで変化する場合がある非常に広い放射状の範囲にわたって並列に接続されている大規模な内蔵キャパシタを形成する方法とが開示される。超伝導スーパーキャパシタは前記ハウジング内に形成されて、導電性材料の層それぞれの間に誘電性材料からなる複数の交互層を堆積させることにより水及び蒸気が入らないようにし、これにより1つ以上の電極が誘電層それぞれに位置し、よって防水真空ハウジングから出ているとともに1つ以上の電極に接続されている、例えば雷の発生源から電荷を受けるための少なくとも1つのプローブ電極を有する、超伝導スーパーキャパシタを形成する。例えば電力を供給して環境に悪影響を及ぼす別の電力源を補うか又は代替することができる多層キャパシタ構造体を規定するように描かれた数層から千層、及び場合によっては100万層以上の多くの導電層を離隔している、多くの誘電層が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】超伝導スーパーキャパシタの考えられる一実施形態を図示しており、この超伝導スーパーキャパシタによれば、大規模内蔵スーパーキャパシタは、防水ハウジング用のセラミック材料と、絶縁層それぞれを形成している誘電性の絶縁材料としてのシリコンと、導電層それぞれを形成している導体としての金属シートとを用いる本発明の所定の実施形態に従って、非常に大きな面積の土地にわたって並列に接続されている。
【図2】本発明の方法の、自然に発生する実施形態を図示するブロック図である。
【図3】本発明の方法の、人為的に制御された実施形態を図示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の詳細な実施形態が以下に開示されているが、開示された実施形態は本発明を単に例示するものであり、本発明を様々な形態に具現化できることは理解されるべきである。従って、本明細書に開示される具体的な構造的及び機能的な詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に特許請求の範囲の根拠として、かつ、ほぼすべての適切に詳述される構造において本発明を様々に採用するために当業者に教示するための代表的な根拠として解釈すべきである。さらに、本明細書において用いられる用語及び語句は、限定することを意図しておらず、むしろ、本発明の理解可能な説明を提供することを意図している。
【0015】
本明細書で用いられている用語「1つ」は、1つ又は1つ以上と定義される。本明細書で用いられている用語「複数」は、2つ又は2つ以上と定義される。本明細書で用いられている用語「別の(another)」は、少なくとも2番目、又はそれ以降のものと定義されている。本明細書で用いられている用語「含む」及び/又は「有する」は、「備える」(即ち非限定的言葉)と定義されている。本発明のための特定の構成が図1に示されているが、当業者であれば変形及び修正が可能であり、そのような変形及び修正が本発明の技術的範囲内にあることを理解する。
【0016】
ここで図1を参照すると、本明細書では超伝導スーパーキャパシタ100(以下、SCSC)として参照されている本発明のマクロエレクトロニック回路が、従来技術のマイクロエレクトロニック並列キャパシタ回路に構造上類似している、導体20と誘電性材料30との交互層と、落雷を受けるための少なくとも1つのプローブ電極10とを有して示されている。従来技術のキャパシタに優る主要な違いは、サイズと、パワースケールと、目的と、パワー源としての雷とである。本発明の一実施形態は、SCSC100を大規模バッテリシステム200(以下、大規模バッテリ)に接続することを企図し、この大規模バッテリ200は、生じた電気エネルギーを収容し、これによりSCSC100をより多くの落雷に対して解放する。また、この大規模バッテリ200は、送電網300に連結させることが可能であり、この送電網は電車の駅と、工場と、電気トラック、車、船及び飛行機のような輸送手段を移動させるための給電ステーションへの直接接続を備えることができる。
【0017】
ここで図2を参照すると、本発明を実施するための最良の形態は、無料、且つ自然に発生する雷を利用することである。しかしながら、この方法は本発明を、実質的に雨が降っており、従って自然に雷が発生している地理的領域での使用に限定する。
【0018】
ここで図3を参照すると、より費用がかかるが地理的限定を克服する、代替的な本発明を実施する方法は、雨、ひいては雷を発生させるためのヨウ化銀人工降雨(cloud seeding)によるような大気のイオン化によって雷を生成することである。
【0019】
本発明は具体的な実施形態に関連して説明されたが、多くの代替形態、変更形態、置換形態(permutation)及び変形形態が、上述の説明に照らして当業者に明らかになることが明白である。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲の技術的範囲に含まれるこのような代替形態、変更形態及び変形形態の全てを包含することが意図されている。
【符号の説明】
【0020】
10 プローブ電極
20 導体
30 誘電性材料
100 超伝導スーパーキャパシタ(SCSC)
200 大規模バッテリ
300 送電網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水ハウジングに囲まれた、10フィートを超える半径を有する複数の組み込まれた並列キャパシタと、
前記キャパシタに接続されるとともに前記ハウジングから発する、雷の発生源から電気エネルギーを受けて前記超伝導スーパーキャパシタを充電するための少なくとも1つの金属プローブと、
を備えている超伝導スーパーキャパシタ。
【請求項2】
大規模バッテリが前記超伝導スーパーキャパシタに電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の超伝導スーパーキャパシタ。
【請求項3】
前記超伝導スーパーキャパシタは送電網に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の超伝導スーパーキャパシタ。
【請求項4】
前記大規模バッテリは送電網に電気的に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の超伝導スーパーキャパシタ。
【請求項5】
前記組み込まれた並列キャパシタは誘電性材料用に砂を有していることを特徴とする請求項1に記載の超伝導スーパーキャパシタ。
【請求項6】
前記組み込まれた並列キャパシタは導電性材料用に鉄を有していることを特徴とする請求項1に記載の超伝導スーパーキャパシタ。
【請求項7】
前記組み込まれた並列キャパシタは誘電性材料用に砂を有していることを特徴とする請求項2に記載の超伝導スーパーキャパシタ。
【請求項8】
前記組み込まれた並列キャパシタは導電性材料用に鉄を有していることを特徴とする請求項2に記載の超伝導スーパーキャパシタ。
【請求項9】
前記組み込まれた並列キャパシタは導電性材料用に鉄を有していることを特徴とする請求項3に記載の超伝導スーパーキャパシタ。
【請求項10】
前記組み込まれた並列キャパシタは誘電性材料用に砂を有していることを特徴とする請求項3に記載の超伝導スーパーキャパシタ。
【請求項11】
前記組み込まれた並列キャパシタは誘電性材料用にケイ素を有していることを特徴とする請求項1に記載の超伝導スーパーキャパシタ。
【請求項12】
前記組み込まれた並列キャパシタは導電性材料用に金属シートを有していることを特徴とする請求項1に記載の超伝導スーパーキャパシタ。
【請求項13】
前記組み込まれた並列キャパシタは誘電性材料用にケイ素を有していることを特徴とする請求項2に記載の超伝導スーパーキャパシタ。
【請求項14】
前記組み込まれた並列キャパシタは導電性材料用に金属シートを有していることを特徴とする請求項2に記載の超伝導スーパーキャパシタ。
【請求項15】
前記組み込まれた並列キャパシタは導電性材料用に金属シートを有していることを特徴とする請求項3に記載の超伝導スーパーキャパシタ。
【請求項16】
前記組み込まれた並列キャパシタは誘電性材料用にケイ素を有していることを特徴とする請求項3に記載の超伝導スーパーキャパシタ。
【請求項17】
10フィートを超える半径をそれぞれ有している導体と誘電性材料との交互層を有して、これにより多層並列キャパシタ構造を形成している超伝導スーパーキャパシタの少なくとも1つのプローブ電極を雷の発生源の近くに設置するステップであって、前記多層並列キャパシタ構造は防水ハウジング内に組み込まれた大規模並列キャパシタから形成されているステップと、
前記組み込まれた大規模並列キャパシタに接続されている前記少なくとも1つのプローブ電極を用いて電気エネルギーを落雷から受けるステップであって、前記少なくとも1つのプローブ電極は前記ハウジングから発しているステップと、
を備えている、雷から電気エネルギーを獲得する方法。
【請求項18】
前記導体は金属シートを備え、且つ前記誘電性材料はシリコンであることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
大規模バッテリを前記超伝導スーパーキャパシタに電気的に接続する追加的なステップを備えている請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記超伝導スーパーキャパシタを送電網に電気的に接続して、代替的なエネルギー源として機能させる追加的なステップを備えている請求項17に記載の方法。
【請求項21】
雲のイオン化によって超伝導スーパーキャパシタの少なくとも1つのプローブ電極の近くに雷を発生させるステップであって、前記超伝導スーパーキャパシタは、10フィートを超える半径をそれぞれ有している導体と誘電性材料との交互層を有し、これにより多層並列キャパシタ構造を形成し、前記多層並列キャパシタ構造は防水ハウジング内に組み込まれた大規模並列キャパシタから形成されているステップと、前記組み込まれた大規模並列キャパシタに接続された前記少なくとも1つのプローブ電極を通じて落雷から電気エネルギーを受けるステップであって、前記少なくとも1つのプローブ電極は前記ハウジングから発しているステップと、を備えている電力を発生させる方法。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公表番号】特表2013−503502(P2013−503502A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528132(P2012−528132)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/062389
【国際公開番号】WO2011/139315
【国際公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(512051457)メリト・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】