説明

超伝導バンドの品質管理のための方法および装置

本発明の解決すべき課題は、高温超伝導帯の超伝導バンドの輸送電流に関する技術利用に関し、大きな工業的スケールでの製造工程での品質のモニタリングを可能にし、且つ、バンドの製造時の全製造速度に実質的に制限されることのない、超伝導バンドの品質管理のための方法および装置を提供することである。
次の(a)〜(e)の各工程を含むことを特徴とする、超伝導バンドについての臨界電流の輸送能力に関する超伝導バンドの品質管理方法および装置。
a)前記超伝導バンドの長さが前記超伝導バンド部分長の倍数となる該超伝導バンドの部分が、超伝導状態となる時点の温度まで該超伝導バンド部分を冷却する工程と、
b)電圧が一定あるいは時間に依存して調整される輸送電流を生成し、好適には、電圧調整装置により前記輸送電流が生成される該輸送電流を生成する装置手段により、給電コンタクトおよび放電コンタクトの間で、輸送電流を生成するために、
前記バンドの長手方向に離間して配置した給電コンタクトおよび放電コンタクトを有するコンタクト構成により前記バンドと接触させて、前記バンドの長手方向での超伝導バンド部分において電気的な輸送電流を生成する工程と、
c)前記超伝導バンド上、あるいは、前記輸送電流を生成する装置上のどちらか、または、その両方において、前記輸送電流に関して反応する測定装置を設置する工程と、
d)前記超伝導バンドの長手方向の超伝導バンドを介して進む輸送電流を生成するために、移動したバンドについて電気的な接触をすることにより、コンタクト部あるいは測定部のどちらか、または、その両方を介して超伝導バンドの長手方向において、少なくとも前記超伝導バンドの一部分を継続して移動させる工程と、および、
e)物理測定パラメータは、前記超伝導バンド部分、あるいは、前記超伝導バンドの一部分が超伝導状態での電気の輸送特性に関しての測定値であるよう、前記測定部を介して前記バンドの少なくとも一部分が移動する間に前記測定コンタクト手段によって、測定部と結びつけて生成された輸送電流に基づき、前記物理測定パラメータを測定する工程からなる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導バンドの品質管理の方法に関し、特に、高温超伝導(HTS)バンドについての臨界電流の輸送能力に関する。さらに、本発明は、前記方法を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記臨界輸送電流Icは、高温超伝導材料の工業技術的な利用において最も重要なパラメータの一つである。その点に関して、臨界輸送電流は、電気部品が未だ超伝導状態である時点での最大電流を規定する。臨界輸送電流よりも大きな輸送電流強度においては、超伝導状態が崩壊し、結果として電気電導経路の電気抵抗が増加することで、該電気抵抗の増加に関連付して発生した熱が、各部品の破壊に結びつき、前記電気部品は、操作不能になる場合さえある。
従って、超伝導体の電気工学的な部品あるいは装置における技術的利用のために、該部品あるいは装置が少なくとも、使用する際の条件に依存する最小の臨界輸送電流Ic(min)において、超伝導状態である必要がある。
【0003】
研究室条件下のようには制御されない、超伝導バンドの工業生産においては、該超伝導バンドは前記臨界輸送電流を制限する欠陥を特定の割合で被る。
前記欠陥は、例えば、局所的な非化学量論に起因する物質の化学反応性蒸着による超伝導バンドの製造時において、前駆体を使用した局所的に不完全な反応、中間および最終の各生産物の熱分解反応、または、焼き戻しに関する不規則性、あるいは、各基板上での超伝導材料のエピタキシャル成長の場面での局所的な欠陥など、その性質が異なるものである。
しかしながら、それぞれの目的において、前記欠陥は、輸送電流を制限するために、特定の使用目的においてはスクラップであると考えられ、または、前記欠陥は、低レベルの工業的利用目的である場合にのみ使用される。
超伝導バンドの品質管理は、特に、商用技術的な利用においての該バンドが非常に長い時、例えば、該バンドが容易に数百メートルあるいは数キロメートルの長さとなるような、超伝導コイルまたは送電線の製造に重要である。
【0004】
加えて、本発明にかかる方法は、その方法が一日当り数キロメートルのバンドの生産能力を有する設備の製造プロセスにおける品質管理を可能にするための、技術的利用に向け、大きな工業的スケールで生産される超伝導バンドの場合においての適切な品質管理を最適化することを目的としている。
【0005】
欧州特許番号860705B1号公報は、超伝導ワイヤーの臨界電流値を測定するための方法および装置を開示している。
該超伝導ワイヤーは、(概念的に)長手方向に配列した多数のワイヤー部分から構成されている。
電流強度の異なる多数の電流は、予め決められており、そこで、(予め決められ)与えられた電流強度の各電流は、超伝導状態まで冷却された各バンド部分を介して、繰り返し流される。そして、それぞれのバンド部分で生じた電圧は、すべてのバンド部分について生じた電圧がすべての電流強度となるまで検出される。
このような測定操作は、測定部に静止した状態で設置されたバンド部分により達成される。
そして前記バンドは、その後、前記測定部において、その次に来る各バンド部分が静止して設置されるように、前記バンド部分の長さで前進させられ、且つ、異なる多数の大きさの電流強度を適用することで同様の検査が行われる。
所望のバンド全体をバンド部分ごとにサンプリングすることにより、定常電流I(m)により取得された該バンド部分の個々の電圧は総計の電圧に達するまで足し合わされる。
前記足し合わされた電圧は、複数の異なる電流の各電流により確かめられる。
その後、超伝導ワイヤーの臨界電流値は、電圧の差に基づいて計算できる。
【0006】
前記欧州特許番号860705A1号公報にかかる方法は、研究室スケールでの超伝導バンドの検査に適切なものである。しかし、各バンドの生産および品質管理を含むバンドの総生産速度が、少なくとも品質管理の工程によって(実質的に)制限されない生産製造エンジニアリングでの品質管理には適していない。
その点に関して、例えば、適当な緩衝剤と超伝導材料を用いた反応性のコーティングによる超伝導バンドの前記生産速度は、個々の装置において一日あたり数キロメートルの程度の容量を容易に達成することができる。
しかしながら、品質管理の条件の下でのそのような(生産速度の)高速化は、欧州特許番号860705A1号公報にかかる方法で達成することはできない。
【0007】
加えて、超伝導バンドの製造エンジニアリングでの品質管理においては、臨界電流を制限するバンド上の欠陥をできうる限り正確に見つけ出し、該バンドを、例えば各欠陥領域へ超伝導材料を適用する、又は、適切な処置により、復活させることが望ましい。
しかしながら、与えられたバンド部分に関連する欠陥を決定することがほぼ可能な欧州特許番号860705A1号公報による方法では、それを行うことは不可能である。
また一方で、すべての欠陥バンド部分に作用させなければならないため、あまりにも(該欠陥部分の)位置決め作業は不正確であろう。
他方で、欠陥のより正確な位置を決めることは、各バンド部分の長さを短くすることだけでは、事実上不可能である。それは、十分に正確な位置決め行うため、バンド検査時間が許容されない程度に増加してしまわない程度に、バンド部分が短い長さでなければならない。
【0008】
米国特許番号6841988B1号公報は、超伝導材料の臨界電流強度の決定を行う方法、及び、装置を開示している。該公報において、超伝導化したバンドは、様々変化する外部磁場を通過して搬送されている。
前記測定方法は、外部磁場により、超伝導バンド中で誘起される磁界の非接触測定を可能にする。
前記非接触測定工程によって、超伝導バンドは測定部を経由して継続的に輸送される。上記の超伝導バンドに関連するいくつかのパラメータは、確かにそのような方法で、決定することはできるが、極めて間接的に欠陥のポイントへ外部磁場が向けられることで、バンド中で渦電流が生成される。このような方法では、前記バンドの臨界輸送電流にかかる品質管理は不可能である。
従って、バンドの長手方向への欠陥の配向に関しての情報、また、臨界輸送電流に対する制限への明瞭な言及もまた、前記方法では行う事はできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許番号860705B1号公報
【特許文献2】欧州特許番号860705A1号公報
【特許文献3】米国特許番号6841988B1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、特に高温超伝導帯の超伝導バンドの輸送電流に関する技術利用に関し、大きな工業的スケールでの製造工程での品質のモニタリングを可能にし、且つ、好ましくは、大きな工業的スケールでの製造工程への統合に向けたバンドの製造時の全製造速度に実質的に制限されることのない、超伝導バンドの品質管理のための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的は、a)からe)の特徴を持つ請求項1記載の方法によって、且つ、請求項12記載の方法を実施した装置の提供によって達成される。また、効果的な開発は各従属請求項に記載されている。
【0012】
本発明についての方法を実施するために、例えば液体窒素の冷却部において超伝導温度まで冷却されたバンド部分は、コンタクト間(給電コンタクトと放電コンタクトの間)のバンド中のバンドにおける長手方向への電気的な輸送電流を生成するために、少なくとも給電コンタクトと放電コンタクトを含む電気コンタクト構成とのコンタクトが行われる。
従って、該給電コンタクトと放電コンタクトは、コンタクト部を形成し、前記輸送電流は前記バンドを介して流れ、前記給電コンタクトと放電コンタクトを介して前記輸送電流は流れる。
前記バンドを通過する、すなわち、バンド中の輸送電流は、前記二つの特定のコンタクトによって生成、または、印加される。
加えて、コンタクト部内および/または輸送電流生成装置内(前記バンドへの送電線を含む)に適切な測定部が配置されており、前記輸送電流の手段によって、あるいは、その手段から導出され、および/または、その手段に依存する物理測定パラメータが検出される。それは、超伝導バンド部分の超伝導状態での輸送特性についての測定、すなわち、輸送電流のための測定である。
従って、前記輸送電流は測定部を介して流すこともまた可能である。
輸送電流の大きさの測定の最も単純な場面では、前記輸送電流が、前記輸送電流を生成する前記電流源において、印加される。そこで、前記バンドを経由して適用された前記電圧が測定される、あるいは、制御される。
【0013】
すなわち、本発明に従ったコンタクト部内には、測定部が設置されている。該測定部は、離間して設置され、且つ、前記バンド(コンタクト構成の“内部電圧コンタクト”)と電気的に接触するような二つの測定コンタクトにより形成される。
前記測定コンタクトは、特に正確で、且つ、超伝導層(もしくは、表面に配置した電気的な導電性カバー層)に関する電流コンタクトの接触抵抗には依存しない再現可能な品質モニタリングも可能である。
前記測定コンタクトは、超伝導状態まで冷却されたバンドにおける電流コンタクトでの電圧降下に起因した不良を回避する、さもなければ、測定部を通過した電圧降下に関しては、十分に低く、又は、無視できるほどに小さいものでなければならない。
【0014】
本発明に関する前記バンド(すなわち、検査されるバンドの一部分、概して、その一部分の長さは、時間内の各時点で冷却されたバンド部分の長さの数倍であろう)は、適切な輸送手段によって、該バンドの長手方向での測定部を通過した後、継続してすぐに移動される。
前記バンドの移動の間に、前記バンドの長手方向へ前進する輸送電流は、前記バンドが電気的にコンタクトすることにより前記コンタクトが給電コンタクトおよび放電コンタクトとして働くことで、その場で生成される。
従って、前記生成された輸送電流は、時間内の各時点において前記バンドの長手方向において一定の方向に流れ、且つ、前記電流は、バンド中で(単に)オーミックの法則に従った電圧降下を引き起こすのみであり、渦電流ではない。
【0015】
前記輸送電流の生成を伴う前記接触操作は、輸送電流が前記バンド、即ち検査されるバンドの一部分を介して、各バンド部分範囲の上で輸送できるよう、該検査されるバンドの一部分の移動の間、継続して行うことができる。
該測定値は、継続的、或いは、段階的に(すなわち、時間について循環して)検出ができる。
【0016】
当然のことながら、検査されるべき前記バンドの領域は実質的にすべてのバンド長さを含まれるように検査がなされる。例えば、末端のバンド部分については唯一除外するが、例えば、輸送装置および/または巻き戻し装置に順次取り付けられて実施される。
もちろん、前記バンドの検査された一部分、すなわち、前記バンドは、前記冷却されたバンド部分においての非整数倍とできる。
いずれの場合にも、前記”バンド”という用語は、検査されるバンドの一部分を含むことを意図し、該バンドの長さは、時間内の各時点、および/または、コンタクト部の全長で冷却されているバンド部分の長さの倍数であろう。
【0017】
さらに、本発明にかかる物理的パラメータは、前記バンドの各瞬間的なコンタクト部分および/またはバンドの測定部分に関連して生成された輸送電流に基づいて、検出される。そこで、前記物理測定パラメータは、前記バンド部分、または、その一部の超伝導を示す電気的な輸送特性(あるいは輸送電流)についての測定となるように選択される。
それ故、例えば予め規定され、例えば一定である電流は、例えば電気コンタクト構成の給電コンタクトと放電コンタクトの手段により、各バンド部分に導入ができる。また、測定部を横切ったことから生じる電圧降下が検出される。従って、前記輸送電流は電圧制御された様式で生成が可能である。
しかしながら、欠陥が生じることで超伝導電流経路の焼失のリスクを生じるため、ここでは、例えば、最大輸送電流を超過した際に、印加した電圧を自動的に減少させるような適切な過負荷安全装置が備えつけられるべきである。
【0018】
特に、例えば一定の、或いは、一時的に規定された、または、予め規定され、好ましくは規定された電圧が、コンタクト構成(輸送電流が電流制御された様式に従って生成されるように)の給電コンタクトと放電コンタクトの手段によって、それぞれ接触したバンド部分上に印加される。その場合には、検出された物理測定パラメータが、結果として(オーミックな)輸送電流そのものとして、あるいは、その他の適切な物理測定パラメータが、測定された電圧降下、すなわち、生成された輸送電流と適切な(例えば、電気抵抗または伝導性のような)相関性を持って、検出される。
その物理測定パラメータは、電流の印加効果、および/または、特に好ましくは、電圧の印加の効果のそれぞれの場面において適用される。
前記印加された、或いは、生成された輸送電流(参照値)は、最小臨界輸送電流と一致させることができ、また、前記バンドの長さ上でモニターすることで管理する。
前記バンドの超伝導層の断面を明らかとすることにより、臨界電流密度はそれぞれの場面において臨界電流強度の代わりに使用することもできる。
その一方で、予め規定された輸送電流による測定を超えた電圧制御による測定の特別なメリットは、欠陥事象での導電体の焼失が確実に回避できるという点である。
さらに、電圧制御による測定によっては、測定操作の間に電気的シャント(すなわち、十分な厚さの低抵抗保護層が、もはや超伝導状態ではない超伝導材料から電流をシンク、或いは、アースに放電する)により生成される導電体を必要としない。
従って、本発明にかかる方法は、電気的シャントを備えることのない超伝導状態のバンドの品質管理に関し、特に、電流リミッター(FCL)の製造のための超伝導状態のバンドにも関する。
本発明にかかる方法のさらなるメリットは、前記輸送電流または前記パラメータの測定が、相対的に高い外部磁場の使用による影響を受けるものではないということである。
従って、本質的に、一定の電流による測定の場合、超伝導体の臨界電流は、外部磁場の適用によって、前記臨界電流が大きすぎる時であっても、測定電流が導電体の焼失を起こすに十分ではないような程度まで臨界電流が減縮される。
また一方で、一般的には、例えば0.6T(テスラ)のような相対的に強い磁場が要求される。
しかしながら、その一方で、強い外部磁場についての超伝導材料の特性は、多くの応用には向いておらず、他方では、前述した強い磁場により、特にフェリ磁性体基板、或いは、フェロ磁性体基板を扱う際、および、特に連続的な測定において、とても強い力が前記バンド上に働くため、外部磁場を通過するためのガイダンスが要求される。
加えて、幅のあるバンドを扱う際、前記磁場は超伝導バンドの全幅の上で極めて均質なものでもなければならない。
これらすべてのデメリットは、本発明にかかる方法において生じることはない。
従って、本発明もまた、例えばNi合金のような、フェリ磁性体および/またはフェロ磁性体基板上の超伝導バンドの品質管理に関し、そこでは、基板と超伝導層の間に、例えば酸化材を含むことができる緩衝層のようなさらなる層を備えることができる。
また一方で、前記本発明にかかる方法は、≧1―2cm、または、≧5―7cm、または、≧9−11cmのバンド幅、かつ、前記バンド幅が≦13−15cm、あるいは、≦9−11cmにおいて、検査が可能である。
【0019】
一般的に、本発明にかかる輸送電流の生成は、その都度、電圧制御された様式でもたらされ、そこで、結果として生じる(理想的な)輸送電流は、一定に、又は、時間依存にできる。
前記電圧は一定、又は、時間に依存する値となるように制御できる。
時間依存性の輸送電流(例えば輸送交流)にかかる前記表現は、理想的な輸送電流(すなわち、前述した超伝導材料中の不規則性に基づく基準からのズレのない)に関係し、また、例えば、時間依存プロファイル(正弦波状、鋸歯状など)、振動数および類似のものに関連するよう、前記生成される電圧もまた本発明に直接的に従うように、それぞれ適用できる。
あるいは、前記表現は制御された輸送電流の場面に関連付けることもでき、その場合に、例えば、電圧降下が測定パラメータとなるであろう。
【0020】
従って、本発明にかかる方法は、実施される最小臨界輸送電流に関する特定の要求事項を満たすか確かめるために、超伝導バンド(或いは、その一部分)を各製造工程において持続的に調べることが可能である。
その照合操作は、本発明にかかる方法(または、それを実施するのための装置)が超伝導バンドについて連続的な製造工程(又は、装置)の直接的な一部分とできるように、各製造工程での統合的な関係において達成されるか、また、該照合操作は、例えば潅浴モードを含むような、生産設備として、少なくとも実質的に同じ速度、或いは、より高速度(時間に関係するバンドの長さに従うよう)に、独立して操作をすることが可能である。
その目的を達成するために、例えば、巻きあげることのできるよう、与えられた長さのバンドおよびバンドコイルは、その後、しばらくして本発明にかかる方法が実施される。
従って、そこでは、測定部において、各バンド部分の検査を行うため、超伝導バンドの長手方向に追従する超伝導バンドの部分を位置するように静止して設置され、また、電流―電圧特性にかかわる測定での静止位置による同種の検査を順次行うための例えば欧州特許番号860705A1号公報に従うような必要はもはやない。
従って、本発明にかかる方法は、実質的により一層に速い速度で実施することができる。
加えて、超伝導バンドは、静止測定の場面において必要であればバンドの正負に、または、最小に加速させ、若しくは完全に不要であり、それにより、超伝導バンド上に機械的に搬入によって、超伝導バンドへの欠陥の導入もまた避けられるよう、物理測定パラメータの検出の間に常に移動させることができる。
【0021】
加えて、本発明にかかる方法に関し、それ自体は未だ予め規定された最小臨界輸送電流Ic(min)が全バンド長さ上(或いは、モニターされるバンドの一部)で維持されたかどうかに対するモニターは未だ必要ではあるが、超伝導バンド部分、或いは、全バンドの完璧な電流―電圧特性を記録する必要はない。
電圧制御による測定の特別なメリットに関しては、それぞれの測定位置(すなわち、測定される超伝導バンドのそれぞれの領域について)に対しての実際の臨界電流Icを確かめるために単に一度の測定操作のみが要求される。
【0022】
都合のよい、電流Ic(min)が最小臨界輸送電流として規定されたことで、前記電流Ic(min)が、コンタクト部(すなわち、給電および放電コンタクト)を経由して超伝導バンド中に連続的な電流の形式で給電される。それは、単なる電圧降下、あるいは、物理パラメータのように、超伝導化するための基準値が、コンタクト部および/または測定部上で十分な測定ができるよう、検出を行うために、測定部上で測定される。
従って、前記電流Ic(min)は、要求に従って検査されたプロフィールが含まれる臨界輸送電流のレベルとすることが可能である。
前記給電された電流は、一般的に、コンタクト部を横切る電圧降下が0、または0.001、または、0.01、または0.01−25μV/cmの間、0.05−10μV/cmの間、0.1−5μV/cm、0.5−3μV/cmの間、又は約1μV/cmの範囲であるように、本発明においては選択される。
【0023】
本発明にかかる方法は、一般的に、測定部において生成される輸送電流が予め規定された参照値と同等、またはそれ以下であるような方法で実施され、その参照値は、例えば、電圧降下の5〜10μV/cmまでの間、好適には1−2μV/cmまでの間、0.5−0.75μV/cmまでの間、0.1−0.2μV/cmまでの間であるような、使用する各場面において、十分に高い臨界電流強度である。
本発明にかかる超伝導バンドは、約0.5m/secから50m/secの間で可能な限りに低速度または高速度で、測定部を介して移動できる。
【0024】
従って、バンド全体(少なくとも参照点から)、あるいは、検査される部分の品質管理は、特にコンタクト部および/または測定部を介して通る部分においても、超伝導バンドに対する一定の輸送速度において行うことができる。該速度は、超伝導バンドの速度の平均値、例えば、≦±30−50%、または≦±10−20%、≦±3−5%の間において異なったものである。
好適な超伝導バンド速度は、少なくとも予め規定された参照点から、好ましくは、本発明の方法の継続時間中の時間依存性モード、および/または、制御によりもたらされる超伝導バンド上の予め設定された参照点からの超伝導バンドの経過時間により、検出、あるいは、測定される。
そのように本発明の方法は、それぞれ限られた各バンド部分に関して、コンタクト部および/または測定部の位置調整は、検査工程が決定されたあとでも常に正しく評価が可能な方法で実施される。
【0025】
好適な物理測定パラメータは、特に、超伝導部分の長さの倍数である超伝導バンドが移動手段により移動する間で継続して検出される。
原則として、本発明にかかる方法は、与えられたバンド長さに制限されない。それ故に、個別のバンドの長さは、与えられたバンド長さに限定されることなしに、200−500m以上、200−500m以上、1000−2000m以上、または、5000m以上の長さへと容易に適用できる。
従って、超伝導バンドの長さ(あるいは検査された部分の長さ)は、冷却されたバンド部分の100倍以上、200−500倍以上、または1000−5000倍以上となる。
本発明にかかる方法は、一日あたりのバンド長さが1−5キロメートル以上の通過で供給することが可能であるが、それに限られず、5−20km/d(km/日)、または、20−50km/d以上もまた容易く、50−100km/d以上で可能である。また、前記の場合において、前記通過経路は前記バンド速度に相当するものとすることができる。
前記計測部を介したバンド速度は、例えば約0.1m/secと約50m/secとできる。
【0026】
加えて、本発明にかかる方法は、バンドの部分の欠陥の単純な高速検出、および/または、欠陥の位置の位置決めを同時に許し、また、該超伝導の一部分においては、該欠陥が臨界輸送電流Ic(すなわち電流降下を導くために要求された最小輸送電流Ic(min))を制限することが検査される。
そこで、前記欠陥の位置決めの期間内での位置分解能は、前記コンタクト部(前記輸送電流を生成するための複数の給電コンタクトおよび/または放電コンタクトにより、(間接的に)全てのコンタクトを含む、或いは、給電および放電コンタクトに関してできうる限り小さな空間となるように、前記輸送電流が測定される)の長さ、その長さよりも長く、または、1/4と1/2の間、または、1/8と1/16の間よりも長いものである。
バンドの搬送に起因して、各欠陥がコンタクト部および/または測定部の中へ進む際に、各物理測定パラメータは、例えば、場合によっては超伝導状態が崩壊する範囲までの間で、電圧の大きな上昇、又は、輸送電流の大きな降下のように、大きく変化する。
その後、局所的な欠陥の周辺での超伝導バンドの部分は、適切な手段によって直接マークできる。あるいは、もし超伝導バンドの輸送速度が既知であれば、欠陥のあるバンド部分は、全バンドの調査の後に位置決めが可能である。また、例えば、もし、物理測定パラメータが時間依存性に関係(変化するバンド輸送速度の場合では、その後、バンド速度の時間依存性も確認される)で検出される場合であっても可能である。
その後、欠陥を有するバンド部分は、全バンド長さ上で要求された臨界輸送電流を観測が行えるようにするため、特定の標識化の様式で局所的に修復できる。
欧州特許番号860705A1号公報の方法に関しては、本発明のそれと比較すると、欠陥を被る与えられたバンド部分を単に設置を可能にしただけである。
しかしながら、該方法は、非常に長尺なバンドは避け、全て静止した状態での実施ができるように、独立測定の数を最小化するように、可能な限り大きい長さのバンド部分にしなければならならず、実際には所望バンド部分が前記バンドの外側に隔てられているか、あるいは、橋掛けされてなければならず、一方で、それは非常大きなデメリットである。
【0027】
前記物理測定パラメータは、コンタクト部および/または測定部下での超伝導バンドの移動の間、検査される超伝導バンドの全部分、または、全バンドを停止せずにコンタクト部および/または測定部を介して通過させることで、該測定パラメータが該操作において検出されるよう、継続して検出されることが好適である。
その場合、前記物理測定パラメータは時間サイクルされた関係で検出される事も可能である。
該サイクリング時間は、臨界輸送速度を制限する局所的な欠陥の位置決めに対して望まれた位置分解能に依存して決定され、および/または、位置分解能として使用することもできる。
サイクリング時間は、測定部の長さの割合よりも小さなバンドの連続する部分での、二つの測定結果の間における各時間間隔から、および、測定部を介して通過するバンド速度から選択が可能である。
物理測定パラメータの検出をせずに、二つの測定結果の間の時間範囲は、一般的に、コンタクト部、あるいは、測定部の長さ、および、バンド速度(それは、間接的に、あるいは、測定値検出で即座に)の割合に対し、<1、または、≦1/2と1/4の間、または、≦1/8と1/16の間、または、≦1/32と1/64の間、または、≦1/200と1/500の間と、小さいものとできる。
そのような場合、前記コンタクト部、あるいは、測定部の長さは、超伝導バンドの長手方向での各コンタクトの間隔によって規定される。
従って、多くの測定は、サイクル数に対して測定パラメータが検出され、評価が行われる際、各欠陥の位置決めのための位置分解能に相応する高いレベルで達成されるように、超伝導バンドが測定部を介して通過する時に、検出することができる。
その場合、前記測定コンタクトは、バンドと恒久的に当接することができ、あるいは、時間サイクリングによってバンドの移動する間コンタクトに接触させることができる。
【0028】
前記電気的なコンタクト構成の手段によって、超伝導バンド中に導入される、規定された輸送電流は、超伝導バンドの移動により一定レベル(例えば、参照値の≦±10−20%,≦±5−7、または、±2−3%、または、±1%のような特定割合に限定される中で、それぞれのように変動することが適格である)とすることができる。
規定され、導入された電流は直流電流であることが好適である。
従って、前記直流電流は、各バンド、或いは、その部分において、本発明にかかる実施の期間において途切れることなく、または、前記直流電流は観測される最小臨界輸送電流を下回ってもよい。
【0029】
超伝導バンド中で生成され、規定された輸送電流は、時間に関して(例えば、コンタクト部、或いは、測定部のそれぞれを介して通過する該部の長さのバンド部分を介して通過した期間上で、増減する、或いは、減少するような)連続的に変化することも可能であり、その変化は線形、若しくは、非線形であってもよい。
【0030】
前記冷却されたバンド部分における輸送電流は、物理測定パラメータが検出されたことに基づき、交流電流の形式で生成することができる。
前記交流は周期的、或いは、非周期的に変化し得る。
“輸送電流/輸送交流”という用語が、理想化された電流を参酌する状態でない限り、すなわち、バンド材料(特に、超伝導材料)の中の不規則性が生じることによる輸送電流中の不整に関系を有することはない。
前記交流電流(特に、周期的、或いは、非周期的であっても)は、周期的または非周期的に変化が可能なAC電圧の印加(または、制御した)によって、それぞれの場面で生成されることが、特に好適である。
それぞれの輸送電流に関係する記述は、特に時間に依存する(正弦波、のこぎり歯状等の、振動数などの)種類に関連し、それぞれの印加された電圧により生成される輸送電流にも、適用する。
【0031】
給電/放電コンタクト(対応する考え方としては、輸送電流を生成するAC電圧も適用する)での極性の変化を導かないように、前記交流電流は、例えば、電流強度の調整の様式で一定に、或いは、変化する基礎電流上に、該交流電流を重ね合わせすることができる。
前記輸送電流および/または調整された電圧の変化は、一般的に、例えば、正弦波状、のこぎり歯状の形態、台形、三角形状の形態、或いは、長方形の形態、或いは別の適切なプロファイルの特性に従って達成することができる。
前記交流電流および/またはAC電圧の周期および/または振幅は、超伝導バンドの検査された部分上で一定に、或いは、お互いに規定された関係で独立して変更できる。
例えば適切な測定器によって、規定され、あるいは、決定できるような電流/電圧中の変化である場合で、極めて重要なことは、欠陥が検出できるように測定部の手段によって検出される物理測定パラメータ中での変化が、比例関係、或いは、一般的に規定された、および、予測により導出されることが好適である。
対応する考察としては、例えば電圧が印加された際に、検出されたそれぞれの物理測定パラメータに基づいて、測定部で生成された継続的な輸送電流により、他の物理測定パラメータに対しても適用できる。
【0032】
その場合、輸送交流電流(或いは、電流強度の変調)が生成されることが好適であり、該輸送交流電流の振動数(変調振動数)は、(i)移動するバンドの速度、および(ii)コンタクト部および/または測定部の長さ、または、時間内に与えられたモーメントで決定される物理測定パラメータ上の一般的なバンド領域の長さの割合と等しい、若しくはそれ以上である。
対応する考え方が、輸送電流が生成されることにより、好適に印加されたAC電圧に対して、適用する。
その場合、そこでは、超伝導材料中の不規則性上での変動に一致して起こる(理想的な)輸送交流と一致する。
前記バンド速度は、コンタクト部または測定部を介して通過する際の、平均的なバンド速度、あるいは、バンドの瞬間的な速度であろう。
事実、前記振動数は、欠陥の位置決めにかかわる各バンド部分を、および、輸送電流の制限での欠陥の影響の特性評価を、分析するための位置を取得するために特定された様式で実施可能な、上述の平均値よりも大きい。
一方で、前記振動数は、例えば、望まれていない磁場の生成、或いは、それに類似する、任意な二次的効果のように、電気的な輸送電流の生成に関連した任意の時間緩和の現象を最小化ができるような、十分高いものとするべきではない。
輸送交流が要因となり起こる物理測定パラメータの変化は、測定部で検出される。
【0033】
輸送交流の振動数、または、AC電圧が生成する振動数は、0.05から100Hzの間の範囲で、好ましくは、0.1から200Hzの間の範囲で、特に、好ましくは0.2から100Hzの間の範囲で、さらに好ましくは1から10Hzの間の範囲において、例えば約5Hzとできる。
もし、例えば、不要な渦電流のために測定結果の歪曲が十分に無視できる程度であれば、前記振動数は、最大で1000−2000Hzまで、或いは、5000Hzまで、またはそれ以上にできる。
【0034】
特に好ましくは、輸送交流/印加したAC電圧が一定である、或いは、時間に依存して経時的に変化する輸送電流(基準電流)/基準電圧上に重ね合わせることである。そこで、物理測定パラメータは、重ね合わせにより生じる輸送電流に基づいて検出される。
その場合に、コンタクト構成の入力と放電コンタクトでの極性の逆転が起こらないよう、電圧の基準電流/レベルの強度が、重ね合わせた輸送交流/AC電圧の最大振幅よりも大きいことが好適である。
例えば、輸送交流の振幅は、電圧振幅/定常電圧を求めることに対応する考え方から、生成された定常輸送電流の電流強度の≦98%,≦80−95%,≦70−80%,≦40−60%,または≦10−20%の値とできる。
その場合、各輸送電流の生成は、好適には、基準電流の調整に従い電流調整された様式において、或いは、電圧制御された様式のどちらか一方によって達成される。
【0035】
前記輸送交流(できる限り、基準電流に重ね合わせられて)の生成は、特に好ましくは、バンドの継続的な移動とともに、調整されたAC電圧の手段を備えたことで、超伝導バンドが静止している際に決定される電流―電圧特性との比較において、各バンド部分、或いは、最終的にバンド全体である種の電流―電圧特性を生成することを可能にする。なぜならば、測定操作での超伝導バンド速度は、鮮明さの欠如をある程度で有するためである。
それでもなお、品質管理の背景において、前記部に関連づけられた各バンド部分の臨界電流強度に関するより特定された局所的な情報を観測するために、それは、可能である。
従って、それは上記方法によりバンド部分の電流―電圧特性の傾き(すなわち、指数関数により特性が表現される上記n値)をおおよそ決定することが可能である。
【0036】
従って、実現される最小臨界輸送電流は、予測された範囲内の電流強度で変化に従って調査されるであろう範囲でモニターできる。すなわち、該範囲は(可能な)臨界電流強度(好ましくは調整した電圧の手段によって)に関して検査される。さらに、それらのみではなく、輸送交流電流のそれぞれの最小および最大強度に依存する電流強度範囲内の臨界電流に関する情報を提供するため、輸送交流電流の振幅レベルに関するモニターが、可能である。
【0037】
従って、もし局所的な欠損で交流電流の電流ピークを検出したのであれば、輸送電流は、どれだけ最小臨界輸送電流よりも高いものであろうとも、低い値に制限される。また、それは、検出された測定パラメータに対応する変化を導く。
その後、それは、(検出された、また、バンド上の予め設定された基準位置を含む)輸送交流電流の周期の数といったようなもので超伝導バンド上の局所的な欠陥の位置を決定することもできる。
その場合、超伝導バンド全体に渡る最小臨界輸送電流よりも大きな臨界輸送電流Icを制限する欠陥のように推定され、且つ、該欠陥は、最終的には、バンド中に統計的な分配関係で配置される。そのバンド上での欠陥の局所的な寄与、および、それらの“干渉エネルギー(言い換えると、臨界輸送電流の前記レベルでの輸送電流の制限)”に関する双方それぞれの欠陥の特性が一致する。
そのことに関し、当然のことながら、前記欠陥は、多かれ少なかれ“厳密に”或いは“軽微に”、また、例えば、高温超伝導体中で、重度な格子欠陥、あるいは、重度な電気的な欠損を多かれ少なかれ生じさせることができる欠陥であり、それ故、該欠陥は多かれ少なかれ電気的な輸送電流を厳しく制限させる。
従って、そのような方法は、バンド全域にわたるってより広範囲に及ぶ品質特性の提供が可能である。
加えて、超伝導バンドで測定された電圧降下の誘導成分は、もし生成された交流電流の電流パターンの選択に基づいて(修正の)要求がなされた場合、修正を行うことができる。
【0038】
もし、交流電流成分(若しくは、AC電圧成分)により、輸送電流、或いは、同様に生成される電圧が、定常電流強度の“基準電流”、或いは、基準電圧により重ね合わせることができる際には、超伝導バンドで測定された前記電圧降下が、抵抗および誘導成分から構成される超伝導バンドにおいて測定される。
前記抵抗成分は、直流電流(すなわち、バンド品質管理に関する所望された信号)による超伝導バンドでの電圧降下が原因で、生じる。
電圧降下の第二の成分は、時間に関連して変化する、また、バンド中のAC失陥と呼ばれる現象を与える、電流を原因とする。
それらAC欠損は、計算によって見積もることができる。前記AC失陥の見積もりを、該測定を開始する前に達成するという目的の為、本発明にかかる装置は、コンピューターを有している。
前記概算操作は、生成された交流電流の振動数、および、振幅に基づき、また、幾何学的な寸法、伝導性、交流状態の電流抵抗などのような検査された超伝導状態のバンドの特性値に基づいて、成し遂げられる。
物理測定パラメータの測定は、AC欠損が局所的臨界電流Ic(loc)を決定する上で実質的に影響を及ぼすことがないような本発明に従い成し遂げられる。
その点に関して、真の臨界電流の歪曲は、測定された純粋な直流電流の±20または±5−10%または±1−2%の輸送電流のように、許容可能な範囲にできる。
低AC欠陥を維持するために、交流電流成分の振幅および振動数は、相応にして低いものを選択することができる。
【0039】
測定工程においての交流成分により、前記臨界電流強度Ic(最小)を出来得る限り正確な決定を行うための電圧を取り除くための測地線は、誘導測定電圧が最小化されるようにできる。
その目的のために、コンタクト構成の給電コンタクトおよび放電コンタクトの間、および/または、測定部を規定する二つのコンタクト間の電気的な接触は、それらが測定部の両側で同等に強い誘導された磁場を生成するような形態にできる。
択一的にまたは付加的に、そこでは、磁場を生じる一つ、または、それ以上の補償コイルを備えることができ、そこでの磁場の強さは、測定信号の誘導成分が最小となるよう、厳しい調整が行われる。
前記磁場の強さの調整は、実験的に、或いは、シミュレーション手段によって、成し遂げられる。
【0040】
或いは、それは、例えば、測定の手段によって、および/または、輸送電流dI/dtの時間に関する変化の情報によって、生成された輸送交流電流に起因して生じる電圧降下の誘導成分に対してのシミュレーションによって、補うことも、さらに可能である。
従って、前記電流降下の誘導成分は、例えば、アナログ/デジタル(AD)変換の原理に基づいたマイクロコントローラを操作する手段による測定信号から、計算によって差し引くことができる。
【0041】
そこでは、コンタクト部および/または測定部の周辺の超伝導バンドを介して通過する磁場を生産するための装置を備えることが効果的であり、そこで、前記磁場は、バンドの長手方向に対し横断方向に、好適には垂直に設置される。
前記磁場は、例えば、バンドの表面、或いは、バンドの長手方向に対する相対的な角度が45−145°、70−110°、或いは、約90°となるように、横または縦方向で調整されることが好適である。
もし、バンド、或いは、超伝導体層が主面(例えば超伝導バンドの面に平行)を持つ場合、その際は、前記磁場は超伝導層(垂線からの、前述した任意にずれる)面に対して垂直に調整されることが好適である。
従って、前記磁場は、超伝導バンドの前記超伝導体層の幾何学的断面よりも小さな断面へと輸送電流を抑制させるように、コンタクト部および/または測定部の周辺のバンドに対して相対的な位置となるよう配置される。
その後、前記輸送電流のように実際の測定部を形成する領域により抑制された電流は、前記磁場により制限される。
そのとき、前記物理測定パラメータは、抑制された輸送電流の断面によって、超伝導バンド領域で検出することができる。
従って、超伝導バンドを介するより小さな輸送電流を意図させる外部磁場は、超伝導体層の品質、或いは、特性に関係したそれぞれの情報を取得するために必要とされる。
(均一な)磁場の領域では、測定部を制限することができ、好ましくは、超伝導バンドの長手方向での(均一な)磁場の広がりがコンタクト部および/または測定部の長さよりも短いものである。
従って、給電コンタクト、放電コンタクト、および/または、測定コンタクトは、該磁場の外側に設置することができる。
前記磁場は、超伝導バンドの長手方向での磁場の広がりに関して均一にできる。
それ故に、前記磁場は、コンタクト部、或いは、測定部の長さの範囲にまで拡張できるが、しかし、上述した特段の事情により、前記磁場は、前記バンドの部分に関してのみとなるように拡張することが好適である。
【0042】
さらに、前記輸送電流、或いは、臨界輸送電流は、磁場の強さに依存する測定配置によって検出することができる。
交流磁場となることを回避するとの目的のために、冷却したバンド部分の種々の領域は、バンドの領域を介して、透過する異なる強さ(好適には、一定の)の磁場を有することができる。
そのようにして、例えば、外部磁場の強さに依存した輸送電流についての情報のように、超伝導層についてのさらに重要な品質基準が取得できる。
【0043】
前記磁場は、特に、定常磁場にできる。
前記磁場の強さは、0.001テスラから10テスラの範囲で可能(各バンドに垂直な成分に関して、超伝導層に対し垂直なことが好適である)であり、別段その値に限定されることなく、例えば0.05から1までの範囲、若しくは、約0.1から0.2、0.3、もしくは、最大で0.5テスラまでとすることも可能である。
特に、磁場の強さは、例えば0.001テスラから例えば0.5テスラ、或いは、0.4テスラまで、特に≦0.25−0.3テスラ、若しくは≦0.2−0.15テスラとされる。
また、磁場の強さは、例えば、≧0.001テスラ、≧0.005−0.01テスラ、≧0.015−0.02テスラ、或いは≧0.05テスラの範囲とすることもできる。
前記磁場は、永久磁石、磁気コイル、或いは、適切な装置によって、それぞれ生成される。
【0044】
特に、本発明の方法では、超伝導バンドの超伝導状態から非超伝導(通常の導電状態)状態への遷移領域内で実施することができる
前記目的のために、本発明の方法は、例えば、時間に従って変化する輸送電流(輸送交流電流)を生成することを可能にし、超伝導材料の超伝導状態を最小値とし、および、常伝導状態を最大値とする、すなわち、該超伝導状態と常伝導状態間が遷移領域である。
特に、前記交流電流は、例えば、正弦波、或いは、鋸歯状プロファイルであるようなAC電圧など、電圧制御された様式で生成できる。
前記外部磁場は、高磁場により常伝導状態または遷移状態が生じる一方で、低磁場により、超伝導状態が適用されるよう、時間に依存する関係で変化させることも可能である。
ここで、“遷移状態”という用語は、超伝導体を部分的に失っている各状態を示す為に使用される。
特に、本発明による実施は、抵抗電流リミッタ、および、同様のアプリケーションのためのHTCバンド材料の検査に際して、通常の超伝導体―常電導体間での遷移の急な傾き、又は、幅によって、確かめるように行われる。
前記傾きΔx/Δyは、例えばΔI/Δt、或いは、ΔU/ΔIよって特定することができる。そこで、Δは、未だ超伝導化している状態とすでに常伝導化している状態間での電流の差、或いは、電圧の差であり、Uは輸送電流を生成する電圧であり、さらに、tは時間である。そこでは電圧が変化する以上、両方の場合でのΔU/Δtの関係は、それぞれ一定であることが好適である。また、Iは輸送電流である。
【0045】
そこでは、例えば、2,3あるいは4つ以上の給電コンタクトにおいて同極性の複数の電気コンタクトを備えることが好適であり、それと同時に、超伝導バンド中で輸送電流を生成するため、前記バンド中に部分的に給電を行うよう前記バンドにおいて電気的接触関係が適用される。
本発明の方法における種々の開発は、そのような方法で行うことができる。
一方で、複数の給電コンタクトは、放電コンタクト(或いは、放電コンタクトのグループ)とともに、バンドに同時に適用され、また、超伝導バンドの長手方向への移動の間、バンドに接触するような結合が可能である。
そのとき、前記測定部は、(放電コンタクトに隣接した)給電コンタクトおよび放電コンタクト(バンドの輸送方向において初めに置かれている)の間に設置される。
そのような方法で、超伝導バンド中に導入された、および、物理測定パラメータが検出されたことに基づく輸送電流は、給電コンタクトとバンド輸送中の超伝導バンドの間での接触抵抗により制限されることはなく、また、他の装置、または、他の方法の態様に制限されずに、特に、高い輸送電流とともに、速いバンド速度を可能とする。
【0046】
本発明は、測定部を形成するバンド部分の各領域、および、各測定コンタクトにおいて、それぞれ独立した輸送電流生成するための、給電コンタクトおよび放電コンタクトのそれぞれを含む、コンタクト構成を二つ以上備えることもできる。
それら二つあるいはそれ以上の各コンタクト構成は、バンド輸送の間にバンドに対して、それぞれ同時に接触するよう適用できる。
そのような方法で、独立した複数の輸送電流は、冷却されたバンド部分の種々の領域で同時に生成される。そこで、物理測定パラメータは、各自独立したそれぞれの輸送電流によりる関連付けられることで、前記バンド部分の種々の領域で検出される。
種々のコンタクト構成の手段により冷却されたバンドの種々の領域内に導入された、前記輸送電流は、例えば、より正確に品質の制御を可能とするため、同じレベルとすることができる。
異なる電流強度の各輸送電流は、種々のコンタクト構成によってバンド中で生成されることが好適であり、各物理測定パラメータはそれを基に検出されるであろう。
そのような方法で、輸送電流強度のレベルでの各物理測定パラメータの依存性を同時に決定できる、すなわち、決定するために、そこでは、一つの参照値から構成されるのみならず、例えば、A、Bなど種々の質を伴うバンドに関連付けられるような方法で、順次異なる複数の臨界輸送電強度が、参照値に応じて決定される。
前記種々の輸送電流は、各冷却されたバンド部分での時間に関しては同時刻に、又は、独立に、あるいは、連続して生成できる。それは、物理的な測定パラメータの検出と関連させることにより、輸送電流Aが、すでに抑制された、あるいは、各測定する電流の共通の影響が取り除かれるように0と設定することで、輸送電流Bのみが生成される。
【0047】
もし、超伝導バンドの長手方向でお互いに特定の間隔である、二つ、もしくは、それ以上の給電コンタクトを備えている場合、その時、該輸送電流の生成は、(最小)臨界輸送電流を制限する欠陥の位置決めを実施するための手段によって、行う事ができる。
もし、前記バンドの輸送中に、欠陥が第1と第2の給電コンタクト領域の間を通過する際には、第1給電コンタクトが放電コンタクトから最も遠い位置であるため、その時、輸送電流を生成するための第1給電電流、および、それによる輸送電流は、全てで抑制される、あるいは、減少する。
それ(該輸送電流)は、そのコンタクト構成の測定部において、すでに検出されているであろう。
従って、前記欠陥は第1と第2給電接触の間に位置されていると決めることが可能である。
もし、バンドの輸送により、欠陥が、第1と第2給電コンタクトの間の領域中を通過する場合であれば、その時、第2接触電流もまた抑制される、または、減少することなどが起こるであろう。
前記欠陥の位置は、直接的にバンド上で、または、測定時の情報、および、前記バンドの速度の情報から位置決めができる。
また一方で、複数の給電コンタクトおよび/または放電コンタクトは、バンド上で近接して連続的に配置とすることもできる。
【0048】
各コンタクト構成は、できる限り複数の放電コンタクトを有することができる。
それらは、放電コンタクトを超伝導状態に冷却されたバンド部分に適用する方法により、放電されたバンド中に、供給される所望電流を決めることができる。
【0049】
輸送電流がバンドに供給される際のバンド速度は、好適には、約0.1m/sec−20m/secの間、より好適には、0.5−10m/secの間、または、0.5−5m/secの間である。
前記速度は、一方では、本発明全体にかかる方法に対し、十分に速い速度で実施を可能にし、また一方で、過剰に速いバンド速度での接触における問題を制限する。
【0050】
与えられたバンド部分にそれぞれ関連付けられた(i)移動したバンドのバンド速度、および、(ii)バンドの長手方向での測定部の長さ、および/または、輸送電流を生成するコンタクト部の長さのとなるような割合で生成された前記輸送交流電流の上述した振動数の比は、例えば、≧1,≧1.01−1.05、または、≧1.1にでき、好適には、≧1.5−2、または、≧3−5であり、より好適には、≧10−15、または、≧20−50であり、例えば≦100−200,≦300−500、≦1000−2000、または、≦5000である。
それは、測定結果のうちの誘導による損失、および、歪曲を最小にする。
【0051】
コンタクト部および/または測定部を形成するコンタクトの間隔は、0.2−20mまたは0.5−15mの範囲とすることができ、好適には、1−10mの範囲である。しかし、本発明は、該範囲で制限されるものではない。
しかしながら、測定部の長さは、より長いものからより短い長さのものとできるが、過度に長い測定部は、欠陥が存在することが原因で超伝導バンドの焼失の危険が増大するというデメリットを、負うこととなる。
給電コンタクトと放電コンタクト間の間隔は、一般的に、測定部よりも長いものであり、該測定コンタクトはコンタクト部内に配置される。
【0052】
各コンタクトの構成は、四点コンタクト測定構成の様式となるようにできる。また、二つの測定コンタクトを介して(輸送電流の生成に関する)電流のフローが起こらないように、給電コンタクト、および、放電コンタクトが、二つの測定コンタクトもどうように配置される。
特に、それは、電圧に印加する際、および、電流強度を測定する際に、適用できる。
前記コンタクトの構成は、例えば、二つの測定するコンタクトのうち一つが、給電コンタクトと同時に、すなわち、放電コンタクトと同時に役割を果すことが好適にであるような、三点コンタクト構成の様式での設計も可能である。
本発明では、その他の適切なコンタクトの構成についても、できる限り使用され得る。
【0053】
臨界輸送電流を制限する欠陥を検出する際に、該欠陥を有する局所的なバンド領域は、例えば超伝導バンドまたは超伝導層をノッチングするような適切な手段によってマークされる。
前記チェックが超伝導バンド全体行われた後、前記マークされた位置が、設置されて、修復される。
マーキングは、(本発明にかかる方法が実施された後、前記欠陥が再度位置決めを行うことができるように、例えば、十分に近接した時間サイクリングにおいて、)バンドの輸送速度および連続的に参照点からバンドの前進移動の時間を検出することによって、間接的に成し遂げることもできる。
それぞれの局所的な欠陥は、検出後すぐに切り取ることができ、あるいは、もし、各バンド部分が冷却部に取り残されていた場合でも、不完全なバンド部分を修復するために、バンド輸送を中断することができ、或いは、バンド輸送を継続している場合であっても、該修復は直ちに達成することができる。
超伝導バンドを修復するために、欠陥は、一般的にはバンドまたは超伝導層から切り取られ、また、欠陥に隣接した二つの領域のような場合には、低オーミック接合によってつなぎ合わせられる。
あるいは、超伝導材料の未使用の部分を前記超伝導層に適用することができ、また、該バンド部分で要求された臨界電流強度を満足する程度に、該未使用の部分を電気的に強化することも可能である。
【0054】
さらに、本発明は、超伝導バンドの品質管理のための請求項1に記載の方法を実施するための装置も含んでいる。また、該装置は請求項12から24に記載の特徴を有するよう設計できる。
【0055】
特に、コンタクト構成の給電コンタクトおよび/または放電コンタクト、および/または測定コンタクトが、局所的な接触、或いは、点形式での接触を超えて行くような各場合において、バンドの縦方向の領域上で適用される形態となることが、好ましい。
その場合、該コンタクトは、線状形式(バンドの長手方向)、或いは、面状の関係で超伝導バンドに接触して、輸送を行うことができる。
前記目的のために、前記コンタクトは、ローラーまたは滑りコンタクトの形式であることが好適であり、そこで、コンタクト領域を備えるために、超伝導バンドは、該外周部分の上にローラーを接触させて輸送することができる。また、前記超伝導バンドは、前記外周部分の上をコンタクトローラーの外周周辺まで拡張することも可能である。
それは、高速バンド速度において良好な電気的接触を提供し、且つ、前記バンドとローラーの滑りを避けることができる。
その場合、前記ローラーは、超伝導バンドが他の輸送手段により、バンドの長手方向で移送されるような場面で、適切な駆動手段(例えば、冷却部と測定部を経由してバンドを輸送するために、お互いが独立して駆動可能な巻き上げリールおよび巻き戻しリール)によって独立して駆動可能とするか、または、受動的に動作可能とできる。
さらに、超伝導バンドのための輸送手段については、上記記載された場面で、例えば、輸送ローラーの形式を備えられるように、ふさわしい適用ができる。
前記超伝導バンドは、向かい合って配置した二つのローラー間で、その都度、摩擦接触での前進が可能である。
また、超伝導バンドは、バンドの上側および下側に接触して搬送するよう、向かい合って配置されたローラー間でガイドすることができる。
この場合、超伝導バンドは、ローラー間、又は、ローラー周辺を、真っ直ぐに、好適には弓状に、或いは、蛇行する形状でガイドできる。
前記超伝導バンドは、各ローラーに対して、≧10−20°の周辺角度で通過して搬送でき、好適には≧30−45°、または、≧60−75°であり、該角度は120°まで、或いは、最大で≧180°角度で通過して搬送することもできる。
前記各ローラーは、加圧ローラーの形態とすることが可能であり、また、該ローラーについては、前記超伝導バンドの滑りが最小となるような適切な圧迫手段によって、前記超伝導バンドに対して圧力を加えることができる。
特に、そこでは、バンドの長手方向に線状または面状で形成され、および、密接かつ可能な限り間の空間を有することがないように取り囲む給電コンタクトによる、複数の給電ローラー又は給電コンタクトを備えることができる。
前記ローラーの軸受けは、冷却部の外部にそれぞれ配置することができる。
輸送電流を生成するために、それは、輸送電流を電圧制御された様式で生成する手段による、変調電圧源を備えることができる。
【0056】
一般的に、本発明にかかる“超伝導バンド”或いは“高温超伝導バンド”は、二軸延伸できるような適切な基板上に設置が可能な(高温)超伝導層を有することを、さらに言及すべきである。
特に、前記基板は、フェリ磁性体あるいはフェロー磁性体とすることができる。
一つ、あるいは、それ以上の、緩衝層、若しくは、その他の中間層が、超伝導層と基板の間に適用できる。また、それらの層については、例えば、基板上のHTS層の二軸延伸での成長を可能とし、および/または、拡散障壁とを同時に扱うことができる。
本発明にかかる“超伝導バンドの接触”という用語は、もし、輸送電流が基板の接触により、超伝導体中に生成することもができない場合であっても、一般的にバンドの長手方向において連続的な、超伝導層の接触を示すために、用いられる。
前記基板は、特定の組成物で限定されるものではない、ただし、特に前記基板は、ニッケル合金であり、特にW−ベアリングのニッケル合金は≧1−2weight(W)、或いは、≧5−10Wで含むことができる。
前記高温超伝導材料は、例えば、Y−Ba−Cu或いはBi−Sr−Ca−Cuタイプなどの、特定のセラミック超伝導体の材料であるが、与えられる材料はそれらで限定されるものではない。
その点に関して、高温超伝導体と呼ばれる前記材料は、77ケルビンよりも高い転移温度を有する材料を意味するよう使用されるが、本発明の方法では該材料により限定されるものではない。
品質管理後の超伝導バンドは、例えば、カバー層、あるいは、それに類似するものが配置されるように、さらなる製造ステップを行うことができる。
前記本発明にかかる方法および装置は、特に、反応性の化学析出によって製造された高温超伝導材料の検査ができるように、適用される。
しかしながら、前記超伝導層は、例えば、気層析出、スパッタ手段やそれに類似の別の様式により、製造することもできる。
本発明にかかる“バンド”という用語は、与えられた横断面の形状で制限されることを意図しているものではなく、もし、各超伝導バンドの長さがバンドの幅の数倍であると、該形状は、ワイヤーなどのほかの適切な横断面を適用できる。
【0057】
本発明は以下に例示する実施形態を用いて、開示および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明にかかる方法を実施するための装置の概略説明図である。
【図2】図1の装置の開発に従うコンタクト構成の側面図である。
【図3】外部磁場を備えた図1の装置の開発の側面図である。
【図4−A】超伝導層中の欠陥の現れた時間に関連する、正弦波の交流電流成分を 重ね合わせた輸送電流の図である。
【図4−B】超伝導層中の欠陥の現れた時間に関連する、鋸歯状の交流電流成分を 重ね合わせた輸送電流の図である。
【図5】図1に示された本発明にかかる装置のコンタクト構成の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0059】
図1を参照すると、(高温)超伝導バンドの品質管理のための本発明にかかる実施による装置1は、バンドの一部分が超伝導状態となる温度になるよう、超伝導バンド3におけるバンドの冷却部分3aを、冷却するための冷却部2を備える。
前記目的のため、冷却部2は、例えば液体窒素を介して、前記バンドが通過するように、適切な冷却媒体を保持できる。
さらに、前記冷却部は、中央管理装置へ、前記冷却部および/または前記超伝導バンドについて、決定した温度を伝えるための、温度監視装置2aを備えることができる。
前記装置は、ある参照温度とするために、前記温度を制御、あるいは、調整するための装置を備えることができる。
さらに、前記冷却部は、超伝導バンドが超伝導状態となるための周辺温度よりは高めの冷却温度に予め冷却させる予備冷却部2b、および/または、凝縮水及びそれに類似のものに浸けることで、バンド中に温度によるストレスの誘発を避けるようことができるよう、冷却後かなり遅いペースで前記周辺温度となるようバンドを加熱する焼き戻し部2cを備える。
【0060】
前記装置に設置された前記超伝導バンド3は、数百メートルの長さとすることができる。 前記冷却部の長さ、或いは、超伝導バンドの冷却部中で超伝導状態まで各冷却される長さは、例えば1から10mの範囲とすることができる。
前記規定された長さは、前記特定の値で制限されるものではない。
この場合、前記超伝導バンド3の長さは、超伝導状態に冷却されたバンド部分3aの長さの倍数である。
概して、本発明の装置は、連続して挿入する操作が行えるようバンド格納装置を備えることも可能である。
【0061】
本発明にかかる装置は、超伝導バンドが、図1に示されるように、装置の上流側に配置された部分から、自動でバンドの供給が提供されるよう、超伝導バンドの製造のための装置の中に結合させることができ、前記超伝導バンドは、リール4上に設置され、また、前記バンドは、冷却部を通り抜けた後、巻き上げリール5によって受け取られる。
【0062】
装置1は、さらに、超電導バンドの長手方向への超伝導バンドの継続的な移動のための手段6(輸送手段)を備えている。
それら手段6は、例えば、巻き戻しリールのための駆動部6a、および、巻き上げリールのための駆動部6bが、冷却部の上流および/または下流にそれぞれ設置された、該駆動手段を含むことができる。
加えて、そこでは、例えば、下の部分に記載されたローラーについての駆動部6c、6dの形式(すなわち、輸送用ローラーから離して備えられた)で、冷却部における駆動手段を備えることができる。
前記駆動手段は、バンド上で、引き伸ばしおよび/または圧縮装填を含む機械的な装填がもっとも縮小された全体の形態である。
前記輸送手段は、後述のコンタクト部においてのバンドの停止、あるいは、バンドを静止して配置させることのないよう、全バンドの長さ、すなわち、該バンド全体の検査の期間において、冷却部を介して好適には一定バンド速度で、該バンドの連続的、且つ、均一な移動を提供することができる。
前記バンド速度は、例えば、約5m/secである。
特に、冷却部、および/または、コンタクト部、または、測定部の中での、超伝導バンドの輸送速度は、適切な手段により管理、あるいは、制御をすることが可能である。また、実際の輸送速度は、検査の期間にかかる時間に依存する制御装置10により検出、および、記憶される。
【0063】
本発明にかかる装置は、冷却したバンド部に接触するための複数の電気コンタクト21〜24を有するコンタクト構成20を備える。
その場合、コンタクト21から23が給電コンタクトとして機能を果たし、且つ、少なくとも接点24が放電コンタクトの機能を果たす。そこで、前記超伝導バンドの長手方向に間隔を開けて設置される給電コンタクトおよび放電コンタクトが、電気コンタクト部(該コンタクト部によって前記バンド部分3cでのバンドの長手方向で輸送電流が生成する)を形成する。
超伝導バンドの長手方向に連続して設置された複数の給電コンタクト21から23の配置は、十分に高い輸送電流が超伝導バンド(すなわち、超伝導バンドの高温超伝導層)中に、相対的に速いバンド速度であっても、十分に高い輸送電流強度(要求される質を満たす最小臨界電流Ic(最小)周辺、或いは、それよりも高い、)を超伝導層中に生成するために、導入できることを意味する。
給電コンタクト、および、放電コンタクト(さらに、以下に記載の測定コンタクト)は、超伝導バンドに接触しての搬送、すなわち、外周部分上の超伝導層、および、好適には滑りのない様式でローラーを形式することができる。
前記コンタクトは、例えば滑り接触の形式のような、別の方法における配置が可能である。
【0064】
給電コンタクトおよび放電コンタクトの間に備えた部材は、前述したコンタクト間で電流を生成するための電圧源25である。そこで、超伝導バンドで生成される輸送電流は、管理/制御システム26の手段によって、電圧制御された様式あるいは電流制御された様式で生成できる。
加えて、そこには、生成された輸送電流(電流または電圧)についての設定値を表示するためのディスプレイ27が存在する。そこで、該設定値は、超伝導バンド速度に関して好適な速さでの、できうる限り適切な時間サイクリングで、制御装置10へ継続的な送信が行われる。
前記輸送電流は、本発明にかかる方法の適用期間、あるいは、所望のバンド長さにおいてバンドが移動する際に、連続性の悪い中において供給ができる。
【0065】
加えて、前記コンタクト構成20は、冷却されたバンド部分(より正確に言えば、バンドの超伝導層)と接触するための、複数の電気コンタクト31,32を備える測定配置30を備える。そこで、前記コンタクト31,32は、超伝導バンドの長さの一部分上において、測定部を形成するために、超伝導バンドの長手方向で互いに間隔を開けて配置されている。
一般的に、超伝導層は、例えば、ある層は、一般的に“シャント”とみなされるもの、および、水滴から超伝導層を守る役割を果たすような、導電層によりカバーするようにもできる。
その後、前記導電カバー層、或いは、包有するための層は、一般的にコンタクト部および測定部を形成するコンタクトにより、接触することもできる。
また一方で、(本発明は)シャントを含まないようにすることもできる。
測定コンタクト31,32は、接触したバンド部分に関連して、生成された輸送電流に基づく物理測定パラメータを検出するために信号送信の手段35と結合する。そこで、前記輸送電流は電気コンタクト構成を経由して生成される。
その点に関して、前記物理測定パラメータは、前記バンド部分あるいはバンド部分の一部分の超伝導状態での電気輸送特性、または、実際の輸送電流にかかる測定値を表わすように選択される。
順次、物理測定パラメータを検出するための前記手段35は、測定パラメータを伝達するための信号送信に関連する制御装置10と接続している。
それ故に、例えば、もし、前記輸送電流がコンタクト部を経由して、電流制御された関係で超伝導バンド部分中で、生成された場合、測定部(コンタクト31,32の間隔)を横切る電圧降下が物理測定パラメータとして検出できる。
また、もし、前記輸送電流が、コンタクト部を経由し電圧制御された様式において生成されたならば、前記物理測定パラメータは、前記コンタクト31,32の測定部を介した流れる輸送電流とすることができるであろう。
当然のことながら、生成された輸送電流が、他の適切な物理測定パラメータ(例えば、輸送電流、または、電圧降下、または電気抵抗などから導き出された物理パラメータ)により、検出できる。
【0066】
本発明にかかる方法の実施のために、輸送電流は、継続して移動するバンド(すなわち、前記超電導バンドの超伝導層)中で生成され、該輸送電流は、計測部を介して超伝導バンドの前進する間、バンドの長手方向で、連続的、又は、段階的に進む。
従って、本発明に関する前記輸送電流は、計測部を通過したバンドの移動の間で中断されないことが好適であり、また、所定の長さである前記バンドは、複合された冷却されたバンド部分の長さあるいは複合された測定部の長さである。
それ故に、ハイ・バンド・スループットを許すHTSバンドにかかる品質保証方法は、バンド輸送の継続する間での物理計測パラメータの検出によって、提供される。
【0067】
概して、本発明の実施形態にかかる前記輸送電流は、例えば、一定となるように、或いは、時間において変化するように調整された電圧によって生成できる。
従って、前記(理想化された)輸送電流ついてさらなる記載としては、輸送電流の生成のために、ふさわしく調整された電圧を適用する。
前記記載は、通常(―特に指定のない限り―)超伝導材料中に不規則性を有することなく調整された電圧への応答のように、理想化された輸送電流に関するものであり、それは、もし例えば、輸送電流が制御されたために、電圧降下が超伝導材料の不規則性に関連する測定値のように計測された場合、前記調整された電圧による輸送電流中の非線形変化につながるであろう。
【0068】
一例として、観測される、且つ、品質保証に従って規定される前記最小臨界輸送電流Ic(min)は、直流電流の形式で適用される。また、もし、電圧降下が超伝導状態の基準を満足するような、例えば、最大で1μV/cmまでの場合であれば、電流フローのように超伝導バンド部分を通過した電圧降下は、それ決定するための電圧コンタクトとして機能する測定部を経由して測定され、チェックされる。
測定部を介して通過する際には、それは、制御装置10のような最適な装置において表示を行うことができ、また、時間依存した様式で記録するため、要求された各最小臨界輸送電流に従う品質基準が、本方法の実施の時間での各瞬間で満たされることが好適である。
もう一つの方法として、電圧が電圧制御された様式(電圧が超伝導体材料の導電体において予測された参照値を関連性を持つ輸送電流を生成する)で適用されることも好適である。
【0069】
加えて、超伝導バンドの超伝導層の臨界輸送電流を制限するどのような局所欠陥であっても、本発明のかかる方法、および、本発明の装置の手段、すなわち、コンタクト部および/または測定部の長さよりも正確な位置分解能によって、位置決めされる。
もし、超伝導バンドが輸送時において、そのような欠陥がコンタクト部(すなわち、給電コンタクトおよび放電コンタクトの間)を通過すると、超伝導層中の超伝導状態における輸送電流は、多かれ少なかれ減少する、あるいは、崩壊する。
そのとき、その輸送電流は、例えば、電圧中の激しい上昇(電流制御された測定)または、輸送電流の激しい減少(電圧制御された測定)によって、測定部中で検出され、且つ、時間に依存した関係で制御装置10への表示、および/または、ストアがされる。
その後、コンタクト構成および/または計測部内を通過する、超伝導バンドの領域、あるいは、超伝導層は、適切な手段40によってマークできる。すなわち、欠陥を有する領域は、与えられた参照位置からの検査の期間において装置50の手段によって検出されることにより、あるいは、規定されることによって確定され、また、参照位置からの検査時間を検出することにより確定される。
一般的なマーキングは、例えば、既知のバンド速度と前記方法の継続時間により、バンド位置決めの適切な追尾とともに、冷却部の外部でも達成することができる。
もし、給電コンタクト21,22、または、給電コンタクト22,23が、超伝導バンドの長手方向に間隔をあけて設置される場合、測定装置の手段によって、それらコンタクトの間の領域中を欠陥が通過する時に、欠陥を検出することも可能である。また、前記信号のタイミングで含まれる信号検知の変化は、バンド速度の情報により、あるいは、同様な決定手段によって、前記欠陥の位置決めができるように制御装置10へ受け渡される。
その後、前記欠陥を有するバンド領域は、以下に記載するように、要求された超伝導体を製造する適切な測定機によって、修復できる。
当然のことながら、十分に高い程度に位置分解能を確保するため、前記コンタクト部および前記測定部は適切な長さであるように、および、前記コンタクト部および前記測定部のそれぞれの部の長さがそれぞれ適切にマッチされる。
【実施例2】
【0070】
加えて、図2に示されるような、測定部52(上述した、コンタクト部と測定部に対応する)に関連した、さらなるコンタクト部50は、冷却したバンド部分に備えることができる。該コンタクト部および測定部は、第1コンタクト部20と第1測定部30(給電コンタクト21と放電コンタクト24、および、測定コンタクト31と32を備える)に独立して操作可能であり、また、前記コンタクト部は、給電コンタクト53、放電コンタクト54、および、測定コンタクト55を独立して有することができる。従って、また、(バンド部分3c中の輸送電流からは)異なる大きさ、および/または、異なる時間依存性(すなわち、時間プロフィールが)の輸送電流が、適切な手段56を伴う、上記コンタクト部の近くに接触されたバンド部分3d中に生成される。その場合、測定部52上の物理的な測定パラメータが、装置58で検出される。
従って、その方法で物理測定パラメータは、確認され、また、制御装置10において時間依存した状態で検出する。そこで、最初の最小臨界輸送電流は、第1のコンタクト構成20においてバンドの検査された長さにおいて観測される。また、該最初の輸送電流とは異なる(そこでは、最初に述べた電流強度Ic(min1)とは異なる、輸送電流としての第2の最小輸送電流強度をチェックするための)輸送電流Ic(min2)が、第2のコンタクト構成50において前記バンド部分3d中で生成される。
従って、全バンドの検査がバンドの輸送により行うことができる。
以下に記載される輸送交流電流は、時間依存性の交流電流プロファイルで規定されたことにより、一定レベル(或いは、できうる限り一定なレベルで)の輸送電流から生成できる。
従って、前記輸送交流電流の生成は、異なる時間プロフィールを含む輸送電流を生成するために異なるバンド領域において、例えば、一定高さの輸送電流が、第1のコンタクト構成にて生成される、他のコンタクト構成によって可能である。また、振動数F1と振幅A1の正弦波状輸送電流により重ねあわされた輸送電流は、さらなるコンタクト構成により生成できる。一定高さの輸送電流は、振動数F2と振幅A2の輸送交流電流の重ね合わせによって、次のコンタクト構成で生成することができる。そこで、F1はF2とは不等に、および/または、A1はA2とは不等にできる、すなわち、台形形状の輸送交流もしくはそれに類似したものにできる。
それは、超伝導バンドの細部にわたった高度な品質管理を許す。
ここで、前記輸送交流電流は電流制御された様式、または、好適には電圧調制御された様式で、それぞれの場面において生成される。
【0071】
従って、物理測定パラメータを検出するための(そのような特徴を有する)手段35と58は、前記物理測定パラメータが超伝導バンドの長手方向へのバンドの移動の間、実質的に連続して(例えば、時間に関して途切れることもなく、あるいは、循環的に)検出されるように操作される。また、例え(連続的で)あっても、時間サイクリングは、前記バンド速度(例えば≧2−4倍、または、≧10−20倍、≧50−100倍、或いは、≧1000倍)よりも実質的に速い速度を生じされることができる。
前記超伝導バンドは、輸送手段を用いることで、コンタクト部、および/または、計測部を介して(すなわち、物理測定パラメータの検出の間)一定のバンド速度で輸送される。
【0072】
同時に、給電から放電にかけての21―24に至る経路(および/または、任意の測定コンタクト)は、同時にバンドを移動するための手段の形式にできる。また、その目的のために、超伝導バンドの向かい側での同等のローラーの構成によって、(できうる限りの)摩擦接触の状態で、それらローラーの外周に超伝導バンドを合わせることができる。
概して、任意に離脱または付加される手段は、例えば輸送ローラーのように、バンドを輸送するために、備えることができる。
ここで、超伝導バンドは、ローラー21−23の周囲で、蛇行経路の状態でループ化され、また、超伝導バンドは、線状または面状の関係となるよう、前記ローラーに対して、接触させることができる。
給電コンタクトおよび放電コンタクトは、バンドを輸送するための輸送手段6cと6dを有する。
【実施例3】
【0073】
図3は、図1および図2に図示された装置の開発の一部分である。該装置部分は永久磁場の形式での定常磁場61を生成するための装置60を備える。
そのように、生成された前記磁場は、超伝導バンド、または、超伝導層の長手方向に関して水平、または、垂直の形で、前記コンタクト部20、および/または、測定部30の周辺の超伝導バンド3を介して透過する。
該磁場は、超伝導バンドの超伝導層の断面の形よりも小さな断面部分へと輸送電流を抑制する。
その時、前記超伝導層の電流抑制された領域62は、磁場により制限される輸送電流のように実際の測定部が形成する。
従って、前記給電コンタクト21、放電コンタクト24および測定コンタクト31,32は、前記磁場の外側に設置される。
前記磁場は、超伝導バンドの長手方向での空間上で均一であり、また、前記磁場は、例えば0.001と0.1テスラの間、0.05と0.09テスラの間、および、0.025テスラの強度とすることができる。
【実施例4】
【0074】
図4−Aは、時間tに関係して重ね合わせられた、交流成分I´による、輸送電流(基準電流Ig)の図表、すなわち、超伝導層中の欠陥FSの存在下における、基準電流の変調の一種である。
前記輸送交流は、電流制御された、あるいは、特に電圧制御されたことによって、生成される。そこで、前記輸送電流に関してさらに言えば、例えば欠陥のように、輸送交流電流による電圧の相関性を妨げることのない超伝導材料中の不規則性の場合では、電圧の代わりにふさわしいく適用する。
【0075】
前記重ねあわされた交流電流成分I´、あるいは、同様に生成される前記AC電圧U´は、正弦波(U軸およびI軸のスケーリングは、電圧と生成電流との相関関係、かつ、同様な時間依存性を持つことを示すために、区別される)である。
前記交流成分/AC電圧成分の振動数は、バンド速度、および、コンタクト部または測定部の長さの割合よりも大きく、また、交流電流成分の振幅A(必ずしも必要ではないが)は基準電流Igのレベルよりも低い。
対応する考え方が、基準電圧に関連するAC電圧成分の生成に適用する。
もし、局所的な欠陥FS1とFS2が、前記交流電流に関連した電流ピークを含む、そのときは、前記最小臨界輸送電流Ic(最小)(或いは、適用された基準電流Ig)よりも高い輸送電流が、より低い値Ic(minFS1)とIc(minFS2)へと制限され、また、検出された計測パラメータにおいて(該制限に)対応する変化が、誘発される。
従って、ここでの各欠陥に対しての“I”値が、(基準の値より)相応して小さくなっていることは、輸送電流の制限に関連する(欠陥による電流の)かく乱の可能性がある。
その時の、超伝導バンド上の局所的な欠陥の位置を決めることは、輸送交流電流の周期の数といったようなものでも可能であり、該輸送交流の周期の数は、バンド上の参照位置、或いは、時間t1、t2が予め規定されていることにより、検出されて、実行される。
その結果、バンド速度vが与えられたおかげで、前記欠陥は、時間t=0での超伝導バンドs=0(コンタクト部あるいは計測部中へ、前記バンド領域をエントリーすることで)上の位置に設置され、スタートする、また、時間t1およびt2それぞれの、位置をそれぞれs1あるいはs2として、配置される。
一方で、位置s3、または、s4での欠陥FS3およびFS4は、検出されない。
従って、それは、バンド全体でのより大規模な品質の特性の評価の実施もまた可能であるが、交流電流の成分によって、欠陥FS3およびFS4は、検出されない。
ここで、バンド速度/測定部の長さ、または、バンド速度/コンタクト部の長さの比に対応する輸送交流電流の振動数の比は、例えば1以上、例えば≧2−5、または10−50、さらにそれ以上とすることができる。
この場合、図中4bのように、コンタクト部の長さがaであり、また、参照位置(t=0,s=0)から間隔aにおけるバンド上の位置がs(a)である。
【0076】
図4−Bは、図4−Aに対応する時間tに関連する交流電流成分I´が重ねあわされたことによる輸送電流(基準電流Ig)の図である。そこで、重ね合わせられた“交流電流成分I´”は、鋸波状である。
この場合でも、前記輸送交流電流は、電流調整された、または特に調整された電圧によって生成でき、この点に関しては、特に図4−Aに関連した記載で示されているように正の方向に注意が向けられる。
ここで、交流成分(またはAC電圧成分)の振動数、すなわち前記最大値に向かって上がっていく傾斜は、バンドの速度およびコンタクト部あるいは測定部の長さと等しい、または、それよりも大きいものにできる。例えば、I/tプロフィールまたはU/tプロフィールの正確な一つの傾きは、コンタクト部または計測部を介して通過する際に、前記超伝導バンド部分の各長さに含まれる。
この場合もまた、前記バンド速度/測定部の長さ、或いは、前記バンド速度/コンタクト部の長さの比となる鋸歯状の振動数の比は、例えば、≧1−5、例えば、約10−50とすることができる。
従って、バンド部分の経路において1の比率を含む、コンタクト部または計測部の長さにより、コンタクト部または測定部を介した、正確な一つのI/t傾きが超伝導バンド部分上に与えられる。
ここで、前記交流電流成分(AC電圧成分)の振幅Aは、基準電流Ig(基準電圧Ug)のレベルに比べ、非常に小さい(必要性のない程度に)。
それ故、図4−Bに示される欠陥FS2、FS3、およびFS4は、それらの位置により検出できる。すなわち、ゼロ(原)点位置からのs2,s3,s4の間隔は、バンド速度vと時間t2,t3,t4により、結びつけることができるが、ただし、位置s1での欠陥FS1については、行うことができない。
【0077】
このような方法を使用する際の特別な状況としては、低い電流(電圧を低く設定)によりHTC材料が超伝導状態となり、高い電流(電圧を高く設定)によりHTC材料が常伝導状態となる、それらの間であるような前記輸送電流の電圧調整が、実施される時である。
前記輸送電流を生み出す前記AC電圧は、例えば、正弦波状、或いは、鋸歯状とすることができる。
この場合、例えば、超伝導バンドの超伝導状態から非超伝導(通常の伝導状態)へ転移範囲、または、特に転移範囲の幅について検査を行う事ができる。
【実施例5】
【0078】
図5は、超伝導バンド3の上方からの平面図においての本発明にかかる装置の開発である。
測定工程における交流輸送成分により、臨界電流強度Ic(min)を精度が最も高いレベルにより決定を行うため、電圧タッピングのための給電ライン100と測定ライン110は、測定誘導電圧が最小となるようなパスでそれぞれ渡される。また、コンタクト構成の給電コンタクト23と放電コンタクト24の間、および、2つの測定コンタクト31,32の間の結合は、測定部の両サイド上(すなわち、例えば、超伝導バンドの両サイド上で等しいサイズの線によって囲われたエリア)に、等しい強さで、向き合った方向に誘導された磁場M1およびM2を生成するようなパスで渡される。
加えて、そこでは、測定信号の誘導成分を最小にするための磁場を生成する補償コイル120が備えられており、該コイルは、それぞれ、コンタクト部および測定部の各領域を二分するような場所に配置される。
補償コイルの磁場強度の調整は、アクチュエーティング手段125、および、結合されたコンピュータ130により達成される。上述したように、補償コイルの磁場強度の調整は、測定信号からの電流降下の誘導成分を差し引くことによっても達成され、また、その目的のために、そこでは、例えばアクチュエーティング手段125に結合されたマイクロコントローラーが備えられる。
この場合においても、前記輸送電流は、電流調整される、または、好適には電圧調整された様式において生成される。
【符号の説明】
【0079】
1・・・装置
2・・・冷却部
2a・・・温度監視装置
2b・・・予備冷却部
2c・・・焼き戻し部
3・・・超伝導バンド
3a・・・バンドの冷却部分
3c・・・バンド部分
3d・・・バンド部分
4・・・巻き戻しリール
5・・・巻き上げリール
6・・・輸送手段
6a・・・巻き戻しリールのための駆動部
6b・・・巻き上げリールのための駆動部
6c・・・ローラーについての駆動部
6d・・・ローラーについての駆動部
10・・・制御装置
20・・・コンタクト構成
21・・・電気コンタクト
22・・・電気コンタクト
23・・・電気コンタクト
24・・・電気コンタクト
25・・・電圧源
26・・・制御/調整システム
27・・・ディスプレイ
30・・・測定配置
31・・・測定コンタクト
32・・・測定コンタクト
35・・・信号送信手段
40・・・マークを行う手段
50・・・コンタクト部
52・・・測定部
53・・・給電コンタクト
54・・・放電コンタクト
55・・・測定コンタクト
56・・・電圧源
58・・・検出装置
60・・・磁場生成装置
61・・・定常磁場
100・・・給電ライン
110・・・測定ライン
120・・・補償コイル
125・・・アクチュエーティング手段
130・・・コンピュータ
M1・・・磁場
M2・・・磁場


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(a)〜(e)の各工程を含むことを特徴とする、超伝導バンド長さがlの該超伝導バンドについての臨界電流の輸送能力に関する超伝導バンドの品質管理方法。
a)前記超伝導バンドの長さが前記超伝導バンド部分長の倍数となる該超伝導バンドの部分が、超伝導状態となる時点の温度まで該超伝導バンド部分を冷却する工程と、
b)電圧が一定あるいは時間に依存して調整される輸送電流を生成し、好適には、電圧調整装置により前記輸送電流が生成される該輸送電流を生成する装置手段により、給電コンタクトおよび放電コンタクトの間で、輸送電流を生成するために、
前記バンドの長手方向に離間して配置した給電コンタクトおよび放電コンタクトを有するコンタクト構成により前記バンドと接触させて、前記バンドの長手方向での超伝導バンド部分において電気的な輸送電流を生成する工程と、
c)前記超伝導バンド上、あるいは、前記輸送電流を生成する装置上のどちらか、または、その両方において、前記輸送電流に関して反応する測定装置を設置する工程と、
d)前記超伝導バンドの長手方向の超伝導バンドを介して進む輸送電流を生成するために、移動したバンドについて電気的な接触をすることにより、コンタクト部あるいは測定部のどちらか、または、その両方を介して超伝導バンドの長手方向において、少なくとも前記超伝導バンドの一部分を継続して移動させる工程と、および、
e)物理測定パラメータは、前記超伝導バンド部分、あるいは、前記超伝導バンドの一部分が超伝導状態での電気の輸送特性に関しての測定値であるよう、前記測定部を介して前記バンドの少なくとも一部分が移動する間に前記測定コンタクト手段によって、測定部と結びつけて生成された輸送電流に基づき、前記物理測定パラメータを測定する工程からなる。
【請求項2】
前記生成された輸送交流電流の振動数、あるいは、前記AC電圧の生成する振動数のどちらか、または、その両方が、(i)前記移動したバンドのバンド速度の割合に対して、および、(ii)前記与えられたバンド部分に関連する、前記超伝導バンドの長手方向での測定部の長さ、或いは、前記生成された輸送電流に関するコンタクト部の長さ、それぞれの長さの割合に対して、等しいか、それ以上であることが好適であることを特徴とする請求項1および2記載の方法。
【請求項3】
前記輸送交流電流は、一定、あるいは、時間に依存する前記輸送電流上に重ねあわされられること、および、
前記物理測定パラメータは、前記輸送電流が重ね合わせられた結果に基づいて検出されることを特徴とする請求項1および2記載の方法。
【請求項4】
前記生成された輸送交流電流の振動数、あるいは、前記AC電圧の生成する振動数のどちらか、または、その両方が約0.2から約200Hzの範囲の間であることを特徴とする請求項1および2記載の方法。
【請求項5】
前記生成された輸送交流電流の振動数、あるいは、前記AC電圧の生成する振動数のどちらか、または、その両方が、(i)前記移動したバンドのバンド速度の割合に対して、および、(ii)前記与えられたバンド部分に関連する、前記超伝導バンドの長手方向での測定部の長さ、或いは、前記生成された輸送電流に関するコンタクト部の長さ、それぞれの長さの割合に対して、1.01倍から2000倍大きい値であることを特徴とする請求項1および2記載の方法。
【請求項6】
前記超伝導バンドを介して透過する磁場を備え、
前記輸送電流は、該磁場により、超伝導バンドの超伝導層の横断面の形状よりも小さな断面へと抑制されること、および、
前記物理測定パラメータは、前記抑制された輸送電流により、前記抑制されたバンドの領域で検出されることを特徴とする請求1および2記載の方法。
【請求項7】
前記超伝導バンド部分の倍数となる前記バンド長さに関連して前記超伝導バンドの移動の間、継続して前記物理測定パラメータが検出されることを特徴とする請求項1および2記載の方法。
【請求項8】
同一の極性の複数の電気コンタクトが、前記超伝導バンド中に輸送電流を生成するため、該バンド中に複数の部分的な電流を供給するための電気的なコンタクトに関係において、前記超伝導バンドに対して同時に、給電コンタクトのように適用されることを特徴とする請求項1および2記載の方法。
【請求項9】
互いに独立した輸送電流が各冷却されたバンド部分で生成される手段によって、前記超伝導状態に冷却されたバンド中でそれぞれ輸送電流を生成するための二つまたはそれ以上のコンタクト構成を備え、および、
前記物理測定パラメータは、前記種々の輸送電流によって関連づけられた、前記バンド部分の種々の領域で検出されることを特徴とする請求項1および2記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、前記超伝導状態のバンドを超伝導状態から非超伝導状態の遷移範囲において実施されることを特徴とする請求項1および2記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、電気的なシャントを与えることがない超伝導層を有する超伝導バンドにおいて実施される、あるいは、
前記方法は、少なくとも部分的にフェリーまたはフェロー磁性体材料からなる、または、その両方であるような超伝導層を有する超伝導バンドにおいて実施されることを特徴とする請求項1および2記載の方法。
【請求項12】
請求項1乃至11に記載の方法を実施するために、次の(a)〜(f)の各構成を備えることを特徴とする超伝導バンド長さがlの該超伝導バンドについての臨界電流の輸送能力に関する超伝導バンドの品質管理装置。
(a)前記超伝導バンドの長さが前記超伝導バンド部分長の倍数である、該超伝導バンド部分が超伝導状態となる時点の温度まで前記バンド部分を冷却するための冷却部と、
(b)前記超伝導バンドの長手方向でのコンタクト部を備えるために、互いに離間して設置された、少なくとも一つの給電コンタクト、および、少なくとも一つの放電コンタクトを有する電気的なコンタクトであるよう、前記冷却されたバンド部分と接触するための複数の電気的なコンタクトよりなるコンタクト構成と、
(c)前記輸送電流を生成する電圧が一定値あるいは時間に依存して調整できるように前記輸送電流を生成するための調整電圧源を備えることを好適とする、給電コンタクトおよび放電コンタクトの手段によって接触されたバンド部分において電気的な輸送電流を生成するための手段と、
(d)前記輸送電流に従って前記超伝導部分あるいはバンド部分の長さ一部分上に測定部を備えるために、前記コンタクト構成上に測定コンタクト備え、
前記輸送電流に従って前記超伝導状態のバンド部分に適用され、且つ、前記長手方向に離間して設置される、少なくとも二つの測定コンタクトを含むことを好適とする、前記輸送電流に依存する物理パラメータを検出するための測定を行う構成手段と、
(e)前記超伝導バンドの長手方向においてバンドを介して進む輸送電流を生成するための適切な手段によって、移動したバンドにおいて継続的な電気的接触によるコンタクト部を介して、該超伝導バンドの長手方向に、少なくとも超伝導バンドの一部分を移動するための移動手段と、
(f)前記バンド部分あるいはバンドの一部分において、超伝導状態での電気的な輸送特性の測定を許可するように選択される物理測定パラメータが、測定部を介して少なくとも前記バンドの一部分の移動の間測定部の手段を用いて前記バンド部分中に輸送電流に基づいて該物理計測パラメータを検出するための検出手段と、を備える。
【請求項13】
前記物理測定パラメータを検出するための手段が、前記超伝導バンドの長手方向でのバンドの移動の間、継続的あるいは段階的な検出を行うために、適用されることを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記超伝導バンドを移動するための手段は、前記超伝導バンドが摩擦に連動するように結合されるための取り込み構成を有し、
前記取り込み構成は、測定部を介して超電導バンドを移動させるため、あるいは、規定された偏りをもつ電圧により超伝導バンドの移動の役割を担うためのどちらか、または、その両方であるように前記超伝導バンドが摩擦に連動するように結合されることを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項15】
前記移動のため手段、あるいは、前記コンタクト構成のコンタクト、若しくは、少なくとも一つの測定用の検出装置、または、これらのうち複数、または、これらうちの全てが、前記超電導バンドの長手方向に関して線状、または、面状の形式関係で前記超伝導バンドに接触して、該バンドを運ぶために、少なくともそれらのうちの一つずつが前記バンドの移動用の手段として、適用されることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記コンタクト構成は複数の同極の電気コンタクトを有し、
一つ、または、それ以上の独立した輸送電流を前記超電導バンド中に生成するため、前記バンドに対して電気的な接触関係で、該複数の電気コンタクトが同時に適用できることを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項17】
前記コンタクト構成は、二つ以上の放電コンタクトと給電コンタクトのペアと、
前記バンド部分と結び付けられることによる異なる輸送電流強度に従い前記バンドの異なる種々の領域内で、前記物理測定パラメータが検出できるように適用される物理測定パラメータを検出するための装置と、を有し、
該二つ以上のコンタクトのペアは、それぞれ冷却したバンド部分の異なる領域で同時に複数の異なる電流強度の輸送電流が生成させるように配置されることを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項18】
前記輸送電流を生成するための手段は、一定あるいは時間に依存して変化する輸送電流の生成するために適用されることを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項19】
前記輸送電流を生成するための手段は、前記冷却されたバンド部分に交流電流の形式で輸送電流を生成するように適用されることを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項20】
前記輸送電流を生成するための手段が交流電流の形式で輸送電流を前記バンド中に生成できるように適用され、
該輸送電流は、一定(すなわち、均一に変化する輸送電流強度)の輸送電流により同時に前記同じバンド部分の中で生成されることが好適であり、
さらに、前記物理測定パラメータを検出するための手段が、前記輸送交流電、あるいは、重ね合わせられた輸送電流から生じる物理測定パラメータを検出するために適用されることを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項21】
前記交流電流の形式で輸送電流を生成するための手段は、前記交流電流、あるいは、前記AC電圧のどちらか、または、その両方が約0.2から約200Hzの間の範囲の振動数であるように生成できることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項22】
磁場生成する装置を備え、
前記装置により生成された磁場は、前記冷却されたバンド部分を介して透過し、
前記磁場により前記輸送電流は、前記超伝導バンドの長手軸方向の超伝導バンド領域の横断面の形よりも小さな断面へと抑制され、
さらに、前記抑制された輸送電流に基づく前記物理測定パラメータが検出するための装置が備えられていることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項23】
前記測定部を介した前記バンドの移動の間に前記冷却されたバンド部分上に輸送電流を生成するための、一定の電圧が印加できる手段を備える装置と、
物理測定パラメータを検出するための装置と、を備え、
該検出装置は、好適には、電圧誘起された輸送電流から、あるいは、該輸送電流より導き出される物理測定パラメータから、前記バンドの移動の間に、位置的情報の分解された関係で検出できるように適用されることを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項24】
前記物理測定パラメータが、バンド部分が測定時間において測定部に設置されたことに関連して、前記測定部の長さよりも大きな位置の分解能力によって検出されるための手段、あるいは、バンド部分が測定時間においてコンタクト部に設置されたことに関連してコンタクト部の長さよりも大きな位置の分解能力によって検出されるための手段、または、その両方の手段を備えたことを特徴とする請求項12記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−A】
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【図4−B】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−504748(P2013−504748A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528290(P2012−528290)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061186
【国際公開番号】WO2011/029669
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(509275769)
【Fターム(参考)】