説明

超低周波音低減装置及びこの超低周波音低減装置が装着された防音ハウス

【課題】防音ハウスに設けられた閉塞不可能な開口からの超低周波音の漏洩を抑制しやすくした超低周波音低減装置及びこの超低周波音低減装置が装着された防音ハウスを提供する。
【解決手段】内部に配置した装置から発せられる超低周波音が通過する開口に超低周波音低減装置を装着した防音ハウスであって、超低周波音低減装置は、周面にスリットを有し、基端を開口に連通連結した連通管と、スリットを介して連通管と連通させながら連通管の周面に装着した共振管とを備え、連通管は基端から先端に向けて拡開状とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超低周波音低減装置、及びこの超低周波音低減装置が装着された防音ハウスに関するものであり、特に、工事現場などでの作業にともなって発生する超低周波音を低減させる超低周波音低減装置、及びこの超低周波音低減装置を備えた防音ハウスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工事現場などにおいては作業にともなって極めて耳障りな騒音が発生しており、これらの騒音が外部に漏れることによる苦情を出にくくするために、昨今では様々な騒音抑制策が予め講じられている。
【0003】
特に、地下鉄工事などのような地下の掘削を行う作業では、掘削時に水を利用して掘削を行っているために、掘削にともなって発生した水を含む土砂からの水の分離が必要であって、この分離作業のために比較的大きな騒音、振動及び超低周波音が発生しやすい振動ふるい機が用いられており、十分な騒音対策が必要となっていた。
【0004】
そこで、通常、振動ふるい機は、地上に設けた防音ハウスの内部に設置して、掘削にともなって発生した水を含む土砂をコンベアなどで地上に搬送し、防音ハウスの内で振動ふるい機による土砂の分離を行うことによって、超低周波音を含む騒音が外部に漏れることを防止している。
【0005】
特に、土砂分離用の振動ふるい機では、円筒状としたふるいの回転数を1000rpm程度として使用することが多く、そのため、超低周波音が発生しやすくなっていた。この超低周波音は、一般的な防音ハウスの防音壁では消音することができず、超低周波音を消音するためにヘルムホルツ共鳴器を利用した吸音壁を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
あるいは、防音ハウス内に複数の振動ふるい機を設置して、互いの振動ふるい機が発するそれぞれの超低周波音で互いに減衰させることも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
ここで、超低周波音とは、通常、20〜20kHzの人間の可聴音域の下限である20Hz以下の音のことであり、人間の耳には聞こえない低周波数の音である。しかしながら、人間には直接的には聞こえないものの、住宅に伝搬した場合には、窓ガラスや建具などを振動させる原因となって、二次的な騒音を発生させる場合があることが知られており、超低周波音の漏洩を防止することは非常に重要となっている。
【特許文献1】特開2003−253627号公報
【特許文献2】特開平10−57725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、抑制の必要がある超低周波音に対しては、発生した超低周波音を速やかに減衰させるための防音壁や消音機構が提案されているが、振動ふるい機が設置された防音ハウスには、その構造上、振動ふるい機によって分離した土砂を排出するための排出用の開口が必要であって、この開口からの超低周波音の漏洩防止が困難であるという問題があった。
【0009】
本発明者らは、このような現状に鑑み、防音ハウスに設けられた閉塞不可能な開口からの超低周波音の漏洩を抑制すべく研究開発を行って、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の超低周波音低減装置では、超低周波音が通過する開口に設けた超低周波音低減装置であって、周面にスリットを有し、基端を開口に連通連結した連通管と、スリットを介して連通管と連通させながら連通管の周面に装着した共振管とを備え、連通管は基端から先端に向けて拡開状とした。
【0011】
さらに、本発明の超低周波音低減装置では、以下の点にも特徴を有するものである。すなわち、
(1)共振管は、連通管の長手方向と直交する方向に長手方向を向けて連通管に装着したこと。
(2)連通管の先端には開口と同一形状の開口を有する閉塞板を装着したこと。
(3)連通管の長手方向は水平方向とし、共振管は鉛直方向に沿って設けたこと。
(4)連通管には互いに長さの異なる複数の共振管を装着したこと。
(5)共振管は長さを調整する調整手段を備えていること。
(6)超低周波音の周波数ごとの音圧レベルを検出する超低周波音検出手段を備え、この超低周波音検出手段での検出結果に基づいて調整手段により共振管の長さを調整する制御部を備えていること。
【0012】
また、本発明の防音ハウスでは、前側壁と、後側壁と、左側壁と、右側壁と、天井板とで矩形体状の内部空間を形成した防音ハウスであって、前側壁に開口を設けるとともに、この開口部分に、内部空間に配置した装置から発せられる超低周波音の漏洩を抑制する超低周波音低減装置を具備することとした。
【0013】
さらに、本発明の防音ハウスでは、以下の点にも特徴を有するものである。すなわち、
(1)内部空間に生じる定在波の発生を抑制する定在波抑制手段を設けたこと。
(2)定在波抑制手段は、後側壁と、左側壁と、右側壁と、天井板の少なくともいずれか一つの内側面に対して所定の角度だけ傾斜させて配置した平板であること。
(3)平板の傾斜の角度を調整可能としたこと。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、超低周波音が通過する開口に設けた超低周波音低減装置であって、周面にスリットを有し、基端を開口に連通連結した連通管と、スリットを介して連通管と連通させながら連通管の周面に装着した共振管とを備え、連通管を基端から先端に向けて拡開状としたことによって、ヘルムホルツ共鳴器として機能する共振管による消音効果と、拡開状とした連通管の消音効果との相乗効果によって開口を通過する超低周波音の指向特性に影響を与えて消音しやすくすることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の超低周波音低減装置において、共振管を連通管の長手方向と直交する方向に長手方向を向けて連通管に装着したことによって、共振管の連通管への装着を容易とすることができ、低製造コストの超低周波音低減装置とすることができる。しかも、比較的長寸法となる共振管が邪魔とならない配置とすることができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の超低周波音低減装置において、連通管の先端に前記開口と同一形状の開口を有する閉塞板を装着したことによって、消音効果を向上させることができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれか1項に記載の超低周波音低減装置において、連通管の長手方向を水平方向とし、共振管を鉛直方向に沿って設けたことによって、比較的長寸法となる共振管が邪魔となることを防止できる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の超低周波音低減装置において、連通管に互いに長さの異なる複数の共振管を装着したことによって、消音効果を向上させることができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の超低周波音低減装置において、共振管に共振管の長さを調整する調整手段を設けていることによって、消音させたい周波数の超低周波音に応じて共振管の長さを調整して、所望周波数の超低周波音の消音効果を向上させることができる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、請求項6記載の超低周波音低減装置において、超低周波音の周波数ごとの音圧レベルを検出する超低周波音検出手段を備え、この超低周波音検出手段での検出結果に基づいて調整手段により共振管の長さを調整する制御部を備えていることによって、発生する超低周波音のスペクトルが経時的に変化する場合に、この変化に追随可能とすることができ、消音効果を向上させることができる。
【0021】
請求項8記載の発明によれば、前側壁と、後側壁と、左側壁と、右側壁と、天井板とで矩形体状の内部空間を形成した防音ハウスであって、前側壁に開口を設けるとともに、この開口部分に、内部空間に配置した装置から発せられる超低周波音の漏洩を抑制する請求項1〜7のいずれか1項に記載の超低周波音低減装置が装着されることによって、超低周波音低減装置におけるヘルムホルツ共鳴器として機能する共振管による消音効果と、拡開状とした連通管の消音効果との相乗効果によって開口を通過する超低周波音の指向特性に影響を与えて効果的に消音可能とした防音ハウスを提供できる。
【0022】
請求項9記載の発明によれば、請求項8記載の防音ハウスにおいて、防音ハウスの内部空間に生じる定在波の発生を抑制する定在波抑制手段を設けたことによって、定在波により超低周波音の音圧が高くなることを抑制して、超低周波音の消音効果を向上させることができる。
【0023】
請求項10記載の発明によれば、請求項9記載の防音ハウスにおいて、定在波抑制手段を、後側壁と、左側壁と、右側壁と、天井板の少なくともいずれか一つの内側面に対して所定の角度だけ傾斜させて配置した平板としたことにより、大きなコスト増を招くことなく定在波の発生を抑制でき、超低周波音の消音効果を向上させることができる。
【0024】
請求項11記載の発明によれば、請求項10記載の防音ハウスにおいて、平板の傾斜の角度を調整可能としたことによって、発生する超低周波音のスペクトルが経時的に変化する場合に、この変化に追随させて平板の傾斜角度を調整することにより超低周波音の消音効果を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の超低周波音低減装置、及びこの超低周波音低減装置を備えた防音ハウスでは、防音ハウスに設けられた開口分に超低周波音低減装置を装着して、防音ハウス内で発生して開口を通過する超低周波音を消音しているものである。
【0026】
特に、防音ハウスに内部には、防音ハウス自体に生じる定在波の発生を抑制する定在波抑制手段を設けて定在波の発生を抑制することにより、定在波によって超低周波音の音圧が高くなることを抑制できるので、超低周波音低減装置による超低周波音の消音効果をさらに向上させることができる。
【0027】
具体的には、図1に示すように、所定の内容積を有する矩形体状の内部空間を有した防音ハウスHには、所定位置に開口10が設けられており、この開口10部分に超低周波音低減装置20を装着している。
【0028】
超低周波音低減装置20は、図2〜6に示すように、周面の所定位置にスリット23を有し、基端を開口10に連通連結した連通管21と、スリット23を介して連通管21と連通させながら連通管21の周面に装着した共振管22とで構成している。図2は超低周波音低減装置20の正面図、図3は超低周波音低減装置20の背面図、図4は図2のX−X断面の要部拡大図、図5は図2のY−Y断面の要部拡大図、図6は、超低周波音低減装置20の要部拡大斜視図である。
【0029】
特に、連通管21は開口10に連通連結した基端から先端に向けて拡開状としており、通常、開口10が矩形形状となっていることにより、図2〜6では、連通管21は四角錐面形状として、鉛直下方側に位置した台形形状の第1面21-1と、第1面21-1と対向して鉛直上方側に位置した台形形状の第2面21-2と、第1面21-1及び第2面21-2の左側に位置した台形形状の第3面21-3、及び第1面21-1及び第2面21-2の右側に位置した台形形状の第4面21-4とで構成している。
【0030】
共振管22は底部を閉塞した筒体であって、第1〜4面21-1〜4の外側面に、連通管21の長手方向と直交する方向に長手方向を向けて装着している。図2〜6では、共振管22は角筒状としているが、角筒状に限定するものではなく、例えば円筒状としてもよい。
【0031】
共振管22は、第1〜4面21-1〜4の所定位置にそれぞれ設けたスリット23を介して連通管21と連通させて、ヘルムホルツ共鳴器としている。
【0032】
図2〜6では、第1面21-1及び第2面21-2にそれぞれ2本の共振管22を装着し、第3面21-3及び第4面21-4にそれぞれ1本の共振管22を装着しているが、共振管22の装着本数はこれに限定するものではなく、必要に応じてさらに多数の共振管22を装着してもよい。
【0033】
特に、図2及び図3に示すように、連通管21に装着した共振管22は、必ずしもそれぞれ同じ長さとする必要はなく、共振管22の長さを消音対象の超低周波音の周波数に合わせてそれぞれ異ならせ、互いに長さの異なる複数の共振管22を連通管21に装着してもよい。
【0034】
あるいは、図7に示すように、共振管22'は端部を連通管21に装着した内管22'aと、この内管22'aに摺動自在に嵌合させた外管22'bとの二重管構造とし、内管22'aに対して外管22'bを進退移動させることにより共振管22'の長さを調整可能して、消音対象の超低周波音の周波数を可変としてもよい。
【0035】
特に、内管22'aに対して外管22'bを進退移動させる場合には、内管22'aに螺旋軸支持体24を介して螺旋軸25を回転自在に装着し、この螺旋軸25に螺合させた可動体26を外管22'bに装着し、螺旋軸支持体24に装着した駆動モータ27で螺旋軸25を回転駆動させることにより螺旋軸25に対する可動体26の一を進退移動させて外管22'bを進退移動させることができる。
【0036】
さらに、連通管21内などの所定位置にはマイク31を装着し、このマイク31で開口10を通過する超低周波音をサンプリングして超低周波音の周波数ごとの音圧レベルを超低周波音検出手段である解析部32で検出し、この解析部32での検出結果に基づいて制御部33で駆動モータ27の駆動制御することにより、共振管22'の長さを、開口10を通過する超低周波音の状態に合わせて調整可能してもよい。
【0037】
以上のように、超低周波音低減装置20は、基端を開口10に連通連結した連通管21と、スリット23を介して連通管21と連通させながら連通管21の周面に装着した共振管22とで構成したことによって、共振管22がヘルムホルツ共鳴器として機能することによる消音効果だけでなく、拡開状とした連通管21の消音効果との相乗効果によって、後述するように、開口を通過する超低周波音の指向特性に影響を与えることができ、消音処理しやすくすることができる。
【0038】
特に、共振管22は、連通管21の長手方向と直交する方向に長手方向を向けて連通管21の周面に装着することにより、共振管22の連通管21への装着構造を容易とすることができ、低製造コストの超低周波音低減装置20とすることができる。
【0039】
このとき、共振管22はできるだけ鉛直方向に沿って設けることが望ましい。共振管22を鉛直方向に沿って設けることにより、防音ハウスHの開口10部分に超低周波音低減装置20を装着した際に、共振管22が邪魔となりにくく、共振管22の存在が気になることを防止でき、外観を向上させることができる。
【0040】
しかも、実際に防音ハウスHに超低周波音低減装置20を装着した際には、連通管21の鉛直下方側に装着した共振管22は、図1に示すように地面に埋設された状態とすることができ、目立たなくすることができる。また、連通管21の鉛直上方側に装着した共振管22も防音ハウスHの壁面に沿って上下方向に配置されるために、一見すると単なるダクトに見えることにより、目立たなくすることができる。
【0041】
一方、図1に示すように、連通管21に水平方向に向けて共振管22を装着した場合には、共振管22が極めて目立つこととなるので、水平方向に向けて装着する共振管22はできるだけ短い共振管22とすることが望ましい。
【0042】
あるいは、連通管21に水平方向に向けて装着するのではなく、例えば防音ハウスHに形成する開口10を正六角形形状として、連通管21を六角錐面形状とし、この連通管21の鉛直下方に向けて共振管22を設けるとともに、この鉛直下方に向けた共振管22と約120°の角度を成す2つの方向にそれぞれ共振管22を配置してもよい。
【0043】
また、連通管21に複数の共振管22を装着する場合には、互いに長さの異なる複数の共振管22を装着することによって、消音される超低周波音の周波数域を広げることができ、消音効果を向上させることができる。
【0044】
あるいは、共振管22'を例えば外管22'b内に内管22'aを進退自在に嵌合挿入した場合には、共振管22'を進退自在とすることができ、超低周波音の発生状況に応じて共振管22'の長さを調整して消音される超低周波音の周波数を調整することもできる。
【0045】
特に、振動ふるい機による土砂の分離の際には、振動ふるい機に投入される土砂の状態や土砂の量などによって発生する超低周波音の周波数のピークが変動する場合があり、この周波数のピークに合わせて共振管22'の長さを調整することにより、超低周波音の消音効率を向上させることができる。
【0046】
また、連通管21の先端に、図8に示すように、防音ハウスHにおける開口10と同一形状の開口28を有する閉塞板29を装着した場合には、低周波数側の超低周波音の低減効率を向上させることができ、より消音性能の高い超低周波音低減装置20とすることができる。
【0047】
一方、防音ハウス内に設ける定在波抑制手段としては、定在波の発生を抑制できる構造体であればよく、具体的には、防音ハウスの内部空間の対称性を低下させることにより定在波の発生を抑制することができる。
【0048】
すなわち、防音ハウスは一般的に組み立て式の構造となっているので、前側壁と、後側壁と、左側壁と、右側壁と、天井板とによって矩形体状の内部空間を形成しており、この内部空間の対称性を低下させるべく、例えば、図9に示すように、防音ハウスHの後側壁h1の内側面に対して所定の角度だけ傾斜させて配置した後部平板L1、あるいは図10に示すように、防音ハウスHの左側壁h2の内側面に対して所定の角度だけ傾斜させて配置した側部平板L2、あるいは図11に示すように、防音ハウスHの天井板h3の内側面に対して所定の角度だけ傾斜させて配置した上部平板L3を定在波抑制手段とすることができる。ここで、開口10は防音ハウスHの前側壁h4に設けられている。
【0049】
図9は、矩形体状に形成した防音ハウスHの平面模式図であって、開口10が設けられた前側壁h4と対向する後側壁h1の内側面側に、この内側面に対して所定の角度だけ傾斜させた後部平板L1を設けているものである。
【0050】
後部平板L1は、後部平板L1自体で振動を生じない程度の強度を有し、内部損失が大きい材料で形成することが望ましく、数cm程度の厚みを有する板体とすることが望ましい。
【0051】
本実施形態では、後部平板L1は、防音ハウスHの左側壁h2に対向した右側壁h5と後側壁h1とで形成される角部の近傍に一方の端縁を回動自在に枢着して、後部平板L1を後側壁h1の内側面に対して所定の角度に傾斜した状態としている。
【0052】
このように後部平板L1を設けることにより、防音ハウスHの内部空間の対称性を低減させることができ、防音ハウスH内に定在波が生じることを抑制できるので、定在波によって超低周波音の音圧が高くなることを抑制して、超低周波音の消音効果を向上させることができる。
【0053】
後部平板L1は、図9に示すように後側壁h1の内側面とほぼ同一面積となるような1枚の大判状に形成するだけでなく、例えば図12に示すように左右方向に後部平板L1の約半分の大きさとした第1後部平板L1と第2後部平板L2を併設してもよいし、あるいは図13に示すように、防音ハウスHの内部に向けて凸状とした断面山形状の凸壁41を後側壁h1の内側面に複数配設してもよい。ただし、超低周波音に対しては、小面積の平板を多数設けるよりも、大面積の平板を設ける方が効果的であった。なお、後部平板L1には、通気用の開口、あるいは採光用の開口を適宜設けてもよい。
【0054】
本実施形態では、後部平板L1の右側壁h5側の端縁を後側壁h1に近接させる一方で、後部平板L1の左側壁h2側の端縁を後側壁h1から離隔させて傾斜状としているが、逆に、後部平板L1の左側壁h2側の端縁を後側壁h1に近接させる一方で、後部平板L1の右側壁h5側の端縁を後側壁h1から離隔させて傾斜状としてもよい。ただし、防音ハウスHの前側壁h4に設けた開口10で形成される開口面の垂直方向であって、特に防音ハウスHの内部空間はできるだけ大きい空間として、その空間における空気の移動が阻害されない方が望ましいため、本実施形態では、後部平板L1の右側壁h5側の端縁を後側壁h1に近接させる一方で、後部平板L1の左側壁h2側の端縁を後側壁h1から離隔させて傾斜状としている。
【0055】
後部平板L1には適宜の伸縮操作されるロッドを備えたアクチュエータなどを装着して、このアクチュエータのロッドを伸縮操作することにより後部平板L1を回動操作可能とし、後側壁h1の内側面に対する傾斜の角度を調整可能としてもよい。特に、前述した連通管21内などの所定位置に装着したマイク31で開口10を通過する超低周波音をサンプリングし、解析部32で超低周波音の周波数ごとの音圧レベルを検出し、この検出結果に基づいて制御部33によってアクチュエータを駆動制御することにより、開口10を通過する超低周波音の状態に合わせて後部平板L1の角度を調整可能してもよい。なお、後部平板L1の回動操作手段はアクチュエータに限定するものではなく、適宜の駆動機構を用いることができる。
【0056】
図10は、矩形体状に形成した防音ハウスHの平面模式図であって、開口10が設けられた前側壁h4と、この前側壁h4と対向する後側壁h1の間に設けた左側壁h2と右側壁h5のうち、左側壁h2側に側部平板L2を設けているものである。
【0057】
特に、本実施形態では、開口10を前側壁h4の右側壁h5寄りに設けているので、前述したように開口10で形成される開口面の垂直方向であって、特に防音ハウスHの内部空間はできるだけ大きい空間として、その空間における空気の移動が阻害されない方が望ましいため、開口10からできるだけ離隔させて設けることができる左側壁h2側に側部平板L2を設けているものである。
【0058】
同様の理由で、本実施形態では、側部平板L2を後側壁h1と左側壁h2とで形成される角部の近傍に一方の端縁を回動自在に枢着して、側部平板L2を左側壁h2の内側面に対して所定の角度に傾斜した状態としている。
【0059】
側部平板L2も、側部平板L2自体で振動を生じない程度の強度を有し、内部損失が大きい材料で形成することが望ましく、数cm程度の厚みを有する板体とすることが望ましい。
【0060】
このように側部平板L2を設けた場合でも、防音ハウスHの内部空間の対称性を低減させることができ、防音ハウスH内に定在波が生じることを抑制できるので、定在波によって超低周波音の音圧が高くなることを抑制して、超低周波音の消音効果を向上させることができる。
【0061】
側部平板L2も、1枚の大判状に形成するだけでなく、小面積とした複数の平板を併設してもよいし、防音ハウスHの内部に向けて凸状とした断面山形状の凸壁を左側壁h2の内側面に複数配設してもよく、さらには適宜の駆動機構を用いて側部平板L2を回動操作可能としてもよい。
【0062】
図11は、矩形体状に形成した防音ハウスHの正面模式図であって、防音ハウスHの天井板h3の内側面に対して所定の角度だけ傾斜させて配置した上部平板L3を設けているものである。
【0063】
特に、前述したように開口10で形成される開口面の垂直方向であって、特に防音ハウスHの内部空間はできるだけ大きい空間として、その空間における空気の移動が阻害されない方が望ましいため、上部平板L3を後側壁h1と天井板h3とで形成される角部の近傍に一方の端縁を回動自在に枢着して、上部平板L3を天井板h3の内側面に対して所定の角度に傾斜した状態としている。
【0064】
上部平板L3も、上部平板L3自体で振動を生じない程度の強度を有し、内部損失が大きい材料で形成することが望ましく、数cm程度の厚みを有する板体とすることが望ましい。
【0065】
このように上部平板L3を設けた場合でも、防音ハウスHの内部空間の対称性を低減させることができ、防音ハウスH内に定在波が生じることを抑制できるので、定在波によって超低周波音の音圧が高くなることを抑制して、超低周波音の消音効果を向上させることができる。
【0066】
上部平板L3も、1枚の大判状に形成するだけでなく、小面積とした複数の平板を併設してもよいし、防音ハウスHの内部に向けて凸状とした断面山形状の凸壁を天井板h3の内側面に複数配設してもよく、さらには適宜の駆動機構を用いて上部平板L3を回動操作可能としてもよい。
【0067】
防音ハウスHの内部空間には、後部平板L1と、側部平板L2と、上部平板L3とのいずれか1つを設けてもよし、これらを適宜組み合わせて設けてもよい。
【0068】
以下において、本発明の一実施例として、実物の12分の1スケールとしたモデルでの実施例を詳説する。
【実施例1】
【0069】
本実施例では、図14に示すように、防音ハウスHは、幅650mm、高さ810mm、奥行き1000mmの矩形体とし、厚さ10mmのアクリル板で構成した。アクリル板は、音の等価損失TLが実際の外板の等価損失に近いため、アクリル板を採用した。なお、アクリル板だけでは、組み立て時の強度が十分ではないため、Lアングル製のフレームを直方体に組み上げ、このフレームにアクリル板をネジ止めし、隙間を音響パテで埋めて、音漏れを防止している。
【0070】
防音ハウスHの一側面には、実際に土砂の搬出する開口と同様に開口10を設けており、この開口10は、縦82mm、横163mmの矩形形状とし、縦方向の中央部の高さを134mmとし、横方向の中央部の防音ハウスHにおける近接した側面壁からの距離を107.7mmとした。この開口10の位置及び大きさは、現在使用されている一般的な防音ハウスから決定した。
【0071】
防音ハウスHの内部には、振動ふるい機を模した構造体(図示せず)を設置し、この構造体に超低周波音の発生源となる直径80mmの小型スピーカを設置した。本実施例では、防音ハウスHの内部には、小型スピーカを装着した構造体を2つ配置した。
【0072】
防音ハウスHの開口10に装着する超低周波音低減装置20は、図2〜6に示した超低周波音低減装置20であって、周面の所定位置にスリット23を有し、基端を開口10に連通連結した連通管21と、スリット23を介して連通管21と連通し、連通管21の長手方向と直交する方向に長手方向を向けて連通管21の周面に装着した共振管22とで構成している。
【0073】
共振管22はヘルムホルツ共鳴器を構成しており、ヘルムホルツ共鳴器では、図15に示すように、壁面11に直径dで長さhの孔12を介して接続した所定の体積Vの空洞13を利用して吸音を生じさせているものであり、孔12部分の空気を「重り」、波長に比べて小さい空間の空洞13内に閉じこめられた空気を「バネ」として、共鳴周波数付近の音が空洞13の前面から入射した際に孔12部分の空気の塊を激しく振動させ、この空気の塊が孔12の内部と激しく摩擦することにより振動エネルギーを熱エネルギーに変換して吸音しているものである。
【0074】
この共鳴周波数frは次式で表される。
【0075】
【数1】

【0076】
ここで、Sは孔12の断面積(S=πd2/4)である。「0.8d」は管端補正と呼ばれているもので、孔12の出入口における外部の空気の付加質量の補正を考慮しているものである。
【0077】
有限長スリットの場合の共鳴周波数は、式(1)の管端補正が異なり、次式で表される。
【0078】
【数2】

【0079】
ここで、aはスリット23の長さ寸法、bはスリット23の幅寸法である。
【0080】
空洞13を細長い形状と考えて、空洞13の開口率P、及び空洞13の体積Vで式(2)を書き直すと、開口率P=スリット23の断面積/空洞13の底断面積=S/D、空洞13の体積V=空洞13の長さ×空洞13の底断面積=L×Dの関係を利用して、次式で表される。
【0081】
【数3】

【0082】
本実施例では、共鳴周波数はスケール比を考慮して192Hzとし、共振管22が装着される連通管21の肉厚を5mm(h=5mm)、スリット23の長さを55.5mm(a=55.5mm)とし、共振管22の断面積を55.5mm×97.5mmの一定として、式(3)を用いて共振管22の長さL、スリット23の開口率P、及びスリット23の幅寸法bの計算を行った。計算結果は図16に示す。図16に基づいて、スリット23の開口率を0.16とし、スリット23の幅を16mmとした。共振管22の長さは、475.53mmとした。本実施例では、連通管21に装着した共振管22の長さは全て同一の長さとした。共振管22の長さは、連通管21に設けたスリット23の位置からの長さである。
【0083】
連通管21は、本実施例では、鉛直下方側に位置した台形形状の第1面21-1と、この第1面21-1と対向して鉛直上方側に位置した台形形状の第2面21-2と、第1面21-1及び第2面21-2の左側に位置した台形形状の第3面21-3と、第1面21-1及び第2面21-2の右側に位置した台形形状の第4面21-4とで四角錐形状に先端を拡開させた拡開管であって、基端側は、防音ハウスHの開口と同一寸法の163mm×82mmの矩形状に開口させ、先端側は385mm×300mmの矩形状に開口させ、長さを113mmとしている。
【0084】
第1面21-1及び第2面21-2にはそれぞれ2つのスリット23を並列させて配置し、第1面21-1及び第2面21-2の外側面にそれぞれスリット23を介して連通管21に連通した2本の連通管22を装着しており、第3面21-3及び第4面21-4にはそれぞれ1つのスリットを配置し、第3面21-3及び第4面21-4の外側面にはそれぞれスリット23を介して連通管21に連通した1本の連通管22を装着している。
【0085】
小型スピーカから出力する低周波騒音は、実際の防音ハウスにおける測定周波数が、1/3オクターブバンド中心周波数12.5Hz、16.0Hz、20.0Hz、25.0Hzであったことから、スケール比を考慮して、実験における測定周波数は、1/3オクターブバンド中心周波数160Hz、200Hz、250Hz、315Hzを用いることとした。
【0086】
小型スピーカからはピンクノイズを発生させて低周波騒音を模擬しており、ピンクノイズの発生源にはオーディオ用テストCD(AUDIO TEST CD−1)を用いた。信号は、レベル−20dB、20〜20kHzのピンクノイズである。CDプレーヤより発生させた信号は、100W×2の増幅器により増幅して小型スピーカを駆動させた。
【0087】
防音ハウスH内に発生させた全音圧レベルはおよそ90dB(A)とし、測定においてはすべて同じ音圧レベルとした。測定室内の暗騒音レベルは20dB(A)以下であった。なお、小型スピーカの駆動用の増幅器における残留雑音のために、測定信号がない状態での騒音レベルは防音ハウスH内でおよそ42dB(A)であった。この値は、信号とのレベル差がおよそ50dBとなるので、十分に測定が行えるものと判断した。
【0088】
防音ハウスHの内外での音圧測定は、1/2インチ測定用マイクロホン(小野測器、MI-1233)を4個用い、FFT計測装置(小野測器、DS-2100)で行った。測定した信号を1/3オクターブバンド解析し、それぞれの周波数に対する音圧レベルを測定した。
【0089】
音圧測定は、図14を正面図とした場合の防音ハウスHの平面図である図17に示した位置で行い、基準長さを開口10の高さ寸法の82mmとして、1倍、2倍、5倍、10倍の距離で計測した。計測に用いるマイクの高さは、何れの場合も134mmとし、防音ハウスHの底面から開口10の中心部分までの距離とした。
【0090】
開口10に超低周波音低減装置20を装着しなかった場合における防音ハウスHの内外での音圧減衰であって、図17のP3方向の減衰量を基準としたP2方向の特性を図18に、P5方向の特性を図19に示している。
【0091】
開口10に、図14に示すように超低周波音低減装置20を装着した場合における防音ハウスHの内外での音圧減衰であって、図17のP3方向の減衰量を基準としたP2方向の特性を図20に、P5方向の特性を図21に示している。
【0092】
開口10に、図14に示すように超低周波音低減装置20を装着し、さらに、超低周波音低減装置20における連通管21の先端に、図8に示すように、防音ハウスHの開口10と同一形状の開口28を備えた閉塞板29を装着した場合における防音ハウスHの内外での音圧減衰であって、図17のP3方向の減衰量を基準としたP2方向の特性を図20に、P5方向の特性を図23に示している。図18〜23には、参考のため、−6dB/ddと−3dB/ddの直線も示している。
【0093】
図18〜23より、減衰の傾向は、超低周波音低減装置20の有無による差は見られないことがわかる。
【0094】
一方、P5方向の減衰は、基本長さの5倍で中心周波数315Hzの時に、開口10に超低周波音低減装置20を装着した場合が、超低周波音低減装置20を装着しない場合よりも−1dBで、同様に閉塞板29を装着した超低周波音低減装置20を開口10に装着したものが−5dBで、騒音が増える傾向にあることがわかる。その他の場所・周波数に対しても同様の傾向を示す。
【0095】
また、P2方向の減衰は、閉塞板29を装着した超低周波音低減装置20を開口10に装着した場合で、中心周波数160Hzで基本長さの2倍で2dB、中心周波数160Hzで基本長さの5倍で3dBの減衰効果が得られることがわかる。
【0096】
このことから、開口10に超低周波音低減装置20を装着することによって、超低周波音の指向特性に影響を与えることができ、この指向特性に基づいてさらなる消音構造を配置することにより消音効果の向上を図ることができ、特に、閉塞板29を装着した超低周波音低減装置20では、超低周波音低減装置20で低周波数側の超低周波音の消音効果を向上させることができる。
【実施例2】
【0097】
以下において、防音ハウスH内に定在波抑制手段を設けた場合の実施例を説明する。なお、定在波抑制手段による効果を確認しやすくするために、本実施例では超低周波音低減装置を設けずに実施した。
【0098】
本実施例の防音ハウスHは、幅670mm、高さ810mm、奥行き1000mmの矩形体とし、厚さ10mmのアクリル板で構成した。このアクリル板は、直方体に組み上げたLアングル製のフレームに装着して矩形体状に配置した。この場合、奥行き方向に発生する定在波は173Hzであり、幅方向に発生する定在波は262Hzであり、高さ方向に発生する定在波は210Hzである。
【0099】
防音ハウスHの前側壁h4には、右側壁h5の内側面から118mmで、高さ124.5mmの位置を中心として、横166mm、縦83mmの矩形状の開口10を設けた。
【0100】
防音ハウスHの内部には、振動ふるい機を模した構造体(図示せず)を設置し、この構造体に超低周波音の発生源となる直径80mmの小型スピーカを設置した。本実施例では、防音ハウスHの内部には、小型スピーカを装着した構造体を2つ配置した。
【0101】
小型スピーカから出力する低周波騒音は、実施例1の場合と同様に、実験における測定周波数は、1/3オクターブバンド中心周波数160Hz、200Hz、250Hz、315Hzを用いることとした。
【0102】
小型スピーカからはピンクノイズを発生させて低周波騒音を模擬しており、ピンクノイズの発生源にはオーディオ用テストCD(AUDIO TEST CD−1)を用いた。信号は、レベル−20dB、20〜20kHzのピンクノイズである。CDプレーヤより発生させた信号は、100W×2の増幅器により増幅して小型スピーカを駆動させた。
【0103】
防音ハウスH内の音圧測定は、右側壁h5における幅方向の中心で、高さ124.5mm、右側壁h5の内側面から50mmの位置に設けたマイクロフォンと、マイクロフォンの増幅器であるマイクロフォンプリアンプ(小野測器製、MI-3110)を用いて行い、FFT解析を行って音圧スペクトルデータを生成した。
【0104】
図24は、図9に示すように、防音ハウスHの後側壁h1の内側面に対して所定の角度だけ傾斜させて後部平板L1を配置した場合であって、傾斜角度θ=6.15°、7.45°、8.75°として、それぞれの場合における後部平板L1による音圧低減量を示したグラフである。なお、後部平板L1には、厚さ5mmの塩化ビニール製の平板を用いた。
【0105】
この場合、中心周波数160Hzでは約7〜15dB、中心周波数200Hzでは約2〜3dBの低減効果が得られ、特に、θ=6.15°のとき、3dBの低減効果が得られた。
【0106】
図25は、図10に示すように、防音ハウスHの左側壁h2の内側面に対して所定の角度だけ傾斜させて側部平板L2を配置した場合であって、傾斜角度Φ=1.91°、3.81°、5.73°として、それぞれの場合における側部平板L2による音圧低減量を示したグラフである。なお、側部平板L2には、厚さ5mmの塩化ビニール製の平板を用いた。
【0107】
この場合、角度が大きくなれば、中心周波数160Hzでは低減効果が高くなり、Φ=5.73°では約8dBの低減効果が得られ、中心周波数200HzではΦ=3.81°のときに最も高い約5dBの低減効果が得られた。
【0108】
図26は、図11に示すように、防音ハウスHの天井板h3の内側面に対して所定の角度だけ傾斜させて上部平板L3を配置した場合であって、傾斜角度γ=1.91°、3.81°、5.73°として、それぞれの場合における上部平板L3による音圧低減量を示したグラフである。なお、上部平板L3には、厚さ5mmの塩化ビニール製の平板の平板を用いた。
【0109】
この場合、中心周波数160Hz、250Hzでは約2〜4dBの低減効果が得られた。しかしながら、中心周波数200Hzでは低減効果が得られなかった。
【0110】
以上のように、防音ハウスHの内部空間に平板を傾斜状に設けることにより防音ハウスH内における定在波の音圧を低減させることができ、これにより、超低周波音低減装置20による超低周波音の消音効果の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施形態に係る超低周波音低減装置を装着した防音ハウスの側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る超低周波音低減装置の正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る超低周波音低減装置の背面図である。
【図4】図2のX−X断面の要部拡大図である。
【図5】図2のY−Y断面の要部拡大図である。
【図6】本発明の実施形態に係る超低周波音低減装置の要部拡大斜視図である。
【図7】伸縮する共振管の説明図である。
【図8】連通管先端に閉塞板を装着し超低周波音低減装置の要部拡大斜視図である。
【図9】防音ハウスの平面模式図による後部平板の配設状態の説明図である。
【図10】防音ハウスの平面模式図による側部平板の配設状態の説明図である。
【図11】防音ハウスの平面模式図による上部平板の配設状態の説明図である。
【図12】後部平板の変形例の説明図である。
【図13】後部平板の変形例の説明図である。
【図14】超低周波音低減装置を装着した防音ハウスの正面図である。
【図15】ヘルムホルツ共鳴器の説明図である。
【図16】共振管の長さ、スリットの開口率、及びスリットの幅寸法の計算結果を示すグラフである。
【図17】音圧測定位置の説明図である。
【図18】開口に超低周波音低減装置を装着しなかった場合における防音ハウス内外での音圧減衰であって、P3方向の減衰量を基準としたP2方向の特性を示すグラフである。
【図19】開口に超低周波音低減装置を装着しなかった場合における防音ハウス内外での音圧減衰であって、P3方向の減衰量を基準としたP5方向の特性を示すグラフである。
【図20】開口に超低周波音低減装置を装着した場合における防音ハウス内外での音圧減衰であって、P3方向の減衰量を基準としたP2方向の特性を示すグラフである。
【図21】開口に超低周波音低減装置を装着した場合における防音ハウス内外での音圧減衰であって、P3方向の減衰量を基準としたP5方向の特性を示すグラフである。
【図22】連通管先端に閉塞板を装着し超低周波音低減装置を開口に装着した場合における防音ハウス内外での音圧減衰であって、P3方向の減衰量を基準としたP2方向の特性を示すグラフである。
【図23】連通管先端に閉塞板を装着し超低周波音低減装置を開口に装着した場合における防音ハウス内外での音圧減衰であって、P3方向の減衰量を基準としたP5方向の特性を示すグラフである。
【図24】後部平板による音圧低減効果を示すグラフである。
【図25】側部平板による音圧低減効果を示すグラフである。
【図26】上部平板による音圧低減効果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0112】
H 防音ハウス
10 開口
21 連通管
22 共振管
23 スリット
21-1 第1面
21-2 第2面
21-3 第3面
21-4 第4面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超低周波音が通過する開口に設けた超低周波音低減装置であって、
周面にスリットを有し、基端を前記開口に連通連結した連通管と、
前記スリットを介して前記連通管と連通させながら前記連通管の周面に装着した共振管と
を備え、
前記連通管は前記基端から先端に向けて拡開状とした超低周波音低減装置。
【請求項2】
前記共振管は、前記連通管の長手方向と直交する方向に長手方向を向けて前記連通管に装着したことを特徴とする請求項1記載の超低周波音低減装置。
【請求項3】
前記連通管の先端には、前記開口と同一形状の開口を有する閉塞板を装着したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超低周波音低減装置。
【請求項4】
前記連通管の長手方向は水平方向とし、前記共振管は鉛直方向に沿って設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超低周波音低減装置。
【請求項5】
前記連通管には、互いに長さの異なる複数の共振管を装着したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超低周波音低減装置。
【請求項6】
前記共振管は、長さを調整する調整手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超低周波音低減装置。
【請求項7】
前記超低周波音の周波数ごとの音圧レベルを検出する超低周波音検出手段を備え、この超低周波音検出手段での検出結果に基づいて前記調整手段により前記共振管の長さを調整する制御部を備えていることを特徴とする請求項6記載の超低周波音低減装置。
【請求項8】
前側壁と、後側壁と、左側壁と、右側壁と、天井板とで矩形体状の内部空間を形成した防音ハウスであって、
前記前側壁に開口を設けるとともに、
この開口部分に、前記内部空間に配置した装置から発せられる超低周波音の漏洩を抑制する請求項1〜7のいずれか1項に記載の超低周波音低減装置が装着された防音ハウス。
【請求項9】
前記内部空間に生じる定在波の発生を抑制する定在波抑制手段を設けたことを特徴とする請求項8記載の防音ハウス。
【請求項10】
前記定在波抑制手段は、前記後側壁と、前記左側壁と、前記右側壁と、前記天井板の少なくともいずれか一つの内側面に対して所定の角度だけ傾斜させて配置した平板であることを特徴とする請求項9記載の防音ハウス。
【請求項11】
前記平板の傾斜の角度を調整可能としたことを特徴とする請求項10記載の防音ハウス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−9420(P2008−9420A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144253(P2007−144253)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【出願人】(506183155)大丸防音株式会社 (3)
【Fターム(参考)】