説明

超小型一体化心臓ペースメーカ及び分散心臓ペーシングシステム

本発明は、制御信号を出力する制御部と、該制御信号に応答して心臓組織を電気刺激する心臓刺激手段と、心電図情報を検出して該制御部に出力する心電図情報検出手段と、駆動電源を供給するための電源部とからなり、前記制御部は、心電図情報に基づいて制御信号を出力し、前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であることを特徴とする、カテーテルの先端に装着して心臓に植え込んだのちカテーテルを抜去することで、胸部を切開する必要のない超小型一体化心臓ペースメーカに関する。本発明の目的は、従来、電極とペースメーカ本体をつないでいたリード線を必要とせずに心臓をペーシングすることができ、しかも胸壁を切開せずにカテーテル操作だけで心臓に植え込むことが可能な、装着者に余計な負担を強いることがない超小型一体化心臓ペースメーカ及び分散心臓ペーシングシステムを提供することにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は超小型一体化心臓ペースメーカ及び分散心臓ペーシングシステムに関し、その目的は、従来、電極とペースメーカ本体をつないでいたリード線を必要とせずに心臓をペーシングすることができ、しかも胸壁を切開せずにカテーテル操作だけで心臓に植え込むことが可能な、装着者に余計な負担を強いることがない超小型一体化心臓ペースメーカ及び分散心臓ペーシングシステムを提供することにある。
尚、本発明において、「超小型」とは、カテーテルの先端に装着することができる程度の大きさのことをいう。
【背景技術】
心臓ペースメーカは、心臓に電気刺激を与えて心臓のペーシングを制御する装置であり、徐脈性不整脈の症状を訴える患者に適用されている。
従来の心臓ペースメーカは、心臓ペースメーカ本体(ジェネレータ)と、リード線と、刺激パルスを心筋に伝えるための電極からなり、心臓ペースメーカ本体と電極がリード線により接続されている。しかしながら、従来の心臓ペースメーカは以下のような問題が存在した。
心臓ペースメーカ本体と電極がリード線により接続されているために、リード線の断線が生じることがあった。リード線の断線が生じることにより、ペーシング不良が生じた。またリード線によって静脈閉塞が生じることがあった。
また心臓ペースメーカの植え込み術後の早期には、電極の位置移動によるペーシング不良が生じる場合がある。電極位置移動が発生すると、再手術を行わなければならず、患者に余計な負担が生じる。
さらに心臓ペースメーカ本体とリード線接続部の密閉構造が不良であると、ペースメーカの動作不良につながる。また電気的安全性の面でも問題が生じた。
また特開平5−245215号公報には、心臓ペースメーカ本体から刺激電極に心臓刺激のための信号を無線で送信して心臓ペースメーカ本体と刺激電極間に設けられるリード線を排除した心臓ペースメーカが記載されている。
しかしながら、このような心臓ペースメーカにおいても、心臓ペースメーカ本体の埋め込み術を行わなければならず、心臓ペースメーカ本体を埋め込んだ部分の皮膚壊死が生じることがあった。
尚、前記した心臓ペースメーカでは、ペースメーカ本体と電極間では無線により通信されているが、各電極間は何ら通信されていなかった。複数用いられる電極の同期はペースメーカ本体により制御されていた。
本発明は上記従来の問題を解決するためになされたものであり、ペースメーカ本体が行っていた電気刺激の発生部を電極と一体化し、従来、電極とペースメーカ本体をつないでいたリード線を必要とせずに心臓をペーシングすることができ、またペースメーカ本体の制御部を電極と一体化することによりペースメーカ本体の植え込みが不要で、装着者に余計な負担を強いることがない超小型一体化心臓ペースメーカ及び分散心臓ペーシングシステムを提供することにある。
【発明の開示】
請求の範囲第1項に記載の発明は、制御信号を出力する制御部と、該制御信号に応答して心臓組織を電気刺激する心臓刺激手段と、心電図情報を検出して該制御部に出力する心電図情報検出手段と、駆動電源を供給するための電源部とからなり、前記制御部は、心電図情報に基づいて制御信号を出力し、前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であることを特徴とする、カテーテルの先端に装着して心臓に植え込んだのちカテーテルを抜去することで、胸部を切開する必要のない超小型一体化心臓ペースメーカに関する。
請求の範囲第2項に記載の発明は、制御信号を出力する制御部と、該制御信号に応答して心臓組織を電気刺激する心臓刺激手段と、心電図情報を検出して該制御部に出力する心電図情報検出手段と、心電図情報及び制御信号を変調して外部に送信する送信手段と、駆動電源を供給するための電源部とからなり、前記制御部は、心電図情報に基づいて制御信号を出力し、前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であることを特徴とする、カテーテルの先端に装着して心臓に植え込んだのちカテーテルを抜去することで、胸部を切開する必要のない超小型一体化心臓ペースメーカに関する。
請求の範囲第3項に記載の発明は、制御信号を出力する制御部と、該制御信号に応答して心臓組織を電気刺激する心臓刺激手段と、心電図情報を検出して該制御部に出力する心電図情報検出手段と、外部から送信された情報を受信し復調する受信手段と、駆動電源を供給するための電源部とからなり、外部から送信された情報は前記制御部に入力されるように構成され、前記制御部は、外部から送信された情報及び/又は心電図情報に基づいて制御信号を出力し、前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であることを特徴とする、カテーテルの先端に装着して心臓に植え込んだのちカテーテルを抜去することで、胸部を切開する必要のない超小型一体化心臓ペースメーカに関する。
請求の範囲第4項に記載の発明は、制御信号を出力する制御部と、該制御信号に応答して心臓組織を電気刺激する心臓刺激手段と、心電図情報を検出して該制御部に出力する心電図情報検出手段と、心電図情報及び制御信号を変調して外部に送信する送信手段と、外部から送信された情報を受信し復調する受信手段と、駆動電源を供給するための電源部とからなり、外部から送信された情報は前記制御部に入力されるように構成され、前記制御部は、外部から送信された情報及び/又は心電図情報に基づいて制御信号を出力し、前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であることを特徴とする、カテーテルの先端に装着して心臓に植え込んだのちカテーテルを抜去することで、胸部を切開する必要のない超小型一体化心臓ペースメーカに関する。
請求の範囲第5項に記載の発明は、心房筋に配置される超小型一体化心臓ペースメーカからなる心臓ペーシングシステムであって、前記超小型一体化心臓ペースメーカは、制御信号を出力する制御部と、駆動電源を供給するための電源部と、該制御信号に応答して心房筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内P波情報を含む心電図情報を検出するための心電図情報検出手段とを備えており、前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、前記制御部には、制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられ、予め設定された時間内に心内P波情報が検出された場合、制御信号が生成される刺激タイミングが変更されることを特徴とする心臓ペーシングシステムに関する。
請求の範囲第6項に記載の発明は、心房筋に配置される心電図情報検出装置と、心室筋に配置される超小型一体化心臓ペースメーカとからなる分散心臓ペーシングシステムであって、前記心電図情報検出装置は、少なくとも心内P波情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、検出された心電図情報を変調して前記超小型一体化心臓ペースメーカに送信する送信手段と、駆動電源を供給するための電源部とを備え、前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、前記超小型一体化心臓ペースメーカは、前記心電図情報検出装置から送信された心電図情報を受信し復調する受信手段と、制御信号を出力する制御部と、駆動電源を供給するための電源部と、該制御信号に応答して心室筋を電気刺激する心臓刺激手段とを備えており、前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、前記制御部には、制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられ、心内P波情報が検出されてから一定時間内に心内QRS群情報が検出されない場合、制御信号を生成し、心内P波情報が検出されてから一定時間内に心内QRS群情報が検出された場合、制御信号の生成を抑制するように構成されていることを特徴とする分散心臓ペーシングシステムに関する。
請求の範囲第7項に記載の発明は、心房筋に配置される第一の超小型一体化心臓ペースメーカと、心室筋に配置される第二の超小型一体化心臓ペースメーカとからなる分散心臓ペーシングシステムであって、前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカは、制御信号を出力する制御部と、駆動電源を供給するための電源部と、該制御信号に応答して心房筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内P波情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、心電図情報を変調して前記第二の超小型一体化心臓ペースメーカに送信する送信手段と、前記第二の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報を受信し復調する受信手段とを備えており、前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、前記第二の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報は前記制御部に入力されるように構成され、前記制御部には、制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられ、前記第二の超小型一体化心臓ペースメーカは、制御信号を出力する制御部と、駆動電源を供給するための電源部と、該制御信号に応答して心室筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内QRS群情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、心電図情報を変調して前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカに送信する送信手段と、前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報を受信し復調する受信手段とを備えており、前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報は前記制御部に入力されるように構成され、前記制御部には、制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられ、前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカの制御部は、一定時間内に心内P波情報が検出されない場合、制御信号を生成し、一定時間内に心内P波情報が検出された場合、制御信号の生成を抑制するように構成され、前記第二の超小型一体化心臓ペースメーカの制御部は、心内P波情報が検出されてから一定時間内に心内QRS群情報が検出されない場合、制御信号を生成し、心内P波情報が検出されてから一定時間内に心内QRS群情報が検出された場合、制御信号の生成を抑制するように構成され、前記第二の超小型一体化心臓ペースメーカが心室の自己収縮による心内QRS群情報を検出した場合、前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカの制御部は一定時間、心内P波情報の検出を抑制するように構成されていることを特徴とする分散心臓ペーシングシステムに関する。
請求の範囲第8項に記載の発明は、心房筋に配置される心電図情報検出装置と、心室筋に配置される複数個の超小型一体化心臓ペースメーカとからなる分散心臓ペーシングシステムであって、前記心電図情報検出装置は、少なくとも心内P波情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、検出された心電図情報を変調して前記超小型一体化心臓ペースメーカに送信する送信手段と、駆動電源を供給するための電源部とを備え、前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、前記超小型一体化心臓ペースメーカは、制御信号を出力する制御部と、駆動電源を供給するための電源部と、該制御信号に応答して心室筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内QRS群情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、心電図情報を変調して他の超小型一体化心臓ペースメーカに送信する送信手段と、他の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報を受信し復調する受信手段とを備えており、前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、他の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報は前記制御部に入力されるように構成され、前記制御部には、制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられ、前記複数個の超小型一体化心臓ペースメーカの制御部は、心内P波情報が検出されてから、個々の超小型一体化心臓ペースメーカ毎に予め定められた一定時間内に心内QRS群情報が検出されない場合、制御信号を生成し、心内P波情報が検出されてから一定時間内に心内QRS群情報が検出された場合、最も早期に心内QRS群情報が検出されたタイミングに同期して制御信号を生成するように構成されていることを特徴とする分散心臓ペーシングシステムに関する。
請求の範囲第9項に記載の発明は、心房筋に配置される第一の超小型一体化心臓ペースメーカと、心室筋に配置される複数個の第二の超小型一体化心臓ペースメーカとからなる分散心臓ペーシングシステムであって、前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカは、制御信号を出力する制御部と、駆動電源を供給するための電源部と、該制御信号に応答して心房筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内P波情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、心電図情報を変調して前記複数個の第二の超小型一体化心臓ペースメーカに送信する送信手段と、前記複数個の第二の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報を受信し復調する受信手段とを備えており、前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、前記複数個の第二の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報は前記制御部に入力されるように構成され、前記制御部には、制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられ、前記複数個の第二の超小型一体化心臓ペースメーカは、制御信号を出力する制御部と、駆動電源を供給するための電源部と、該制御信号に応答して心室筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内QRS群情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、心電図情報を変調して前記第一及び第二の超小型一体化心臓ペースメーカに送信する送信手段と、前記第一及び第二の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報を受信し復調する受信手段とを備えており、前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、前記第一及び第二の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報は前記制御部に入力されるように構成され、前記制御部には、制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられ、前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカの制御部は、一定時間内に心内P波情報が検出されない場合、制御信号を生成し、一定時間内に心内P波情報が検出された場合、制御信号の生成を抑制するように構成され、前記複数個の第二の超小型一体化心臓ペースメーカの制御部は、心内P波情報が検出されてから、個々の超小型一体化心臓ペースメーカ毎に予め定められた一定時間内に心内QRS群情報が検出されない場合、制御信号を生成し、心内P波情報が検出されてから一定時間内に心内QRS群情報が検出された場合、最も早期に心内QRS群情報が検出されたタイミングに同期して制御信号を生成するように構成され、前記複数個の第二の超小型一体化心臓ペースメーカのいずれかが心室の自己収縮による心内QRS群情報を検出した場合、前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカの制御部は一定時間、心内P波情報の検出を抑制するように構成されていることを特徴とする分散心臓ペーシングシステムに関する。
【図面の簡単な説明】
図1は、第一実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカの概略を示すブロック図である。
図2は、第一実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカの概略を示すブロック図である。
図3は、第二実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカの概略を示すブロック図である。
図4は、第三実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカの概略を示すブロック図である。
図5は、第四実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカの概略を示すブロック図である。
図6は、本発明に係る超小型一体化心臓ペースメーカの第一の適用形態(第一の分散心臓ペーシングシステム)を示す模式図である。
図7は、本発明に係る超小型一体化心臓ペースメーカの第二の適用形態(第二の分散心臓ペーシングシステム)を示す模式図である。
図8は、心電図情報検出装置の概略を示すブロック図である。
図9は、本発明に係る超小型一体化心臓ペースメーカの第三の適用形態(第三の分散心臓ペーシングシステム)を示す模式図である。
図10は、本発明に係る超小型一体化心臓ペースメーカの第四の適用形態(第四の分散心臓ペーシングシステム)を示す模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。図1は本発明の第一実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(100)の概略を示すブロック図である。
本発明の第一実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(100)は、制御信号を出力する制御部(2)と、制御信号に応答して心臓組織を電気刺激する心臓刺激手段(3)と、心電図情報を検出して制御部(2)に出力する心電図情報検出手段(5)と、制御部(2)から出力された制御信号及び/又は心電図情報検出手段(5)によって検出された心電図情報を変調して外部に送信する送信手段(10)と、外部から送信された情報を受信し復調する受信手段(9)と、駆動電源を供給する電源部(4)とから構成される。
心臓刺激手段(3)は、制御部(2)から出力された制御信号に応答して心臓組織を電気刺激する。図示した心臓刺激手段(3)は、制御部(2)から出力された制御信号に応答して心臓組織を刺激する心臓刺激パルスを出力する刺激部(31)と、出力パルスに応じて心臓組織を刺激する二個の心臓刺激電極(32)から構成され、心臓組織を刺激することができる。
心電図情報検出手段(5)は、超小型一体化心臓ペースメーカが装着された装着部位の心電図情報を検出することができる。検出した心電図情報は、制御部(2)に出力される。心電図情報検出手段(5)により検出される心電図情報としては、例えば、P波情報、QRS群情報、T波情報、或いはQ−T時間、A−H時間、H−V時間などがある(尚、Aは心房電位、Hはヒス束電位、Vは心室電位である。)。
図示した心電図情報検出手段(5)は、装着部位に装着されて装着部位の心電図情報を検出する二個の心電図情報記録電極(53)と、心電図を増幅する増幅部(51)と、検出した心電図情報をデジタル信号に変換するA/D変換部(52)とから構成され、変換された心電図情報は、制御部(2)に出力されるように構成されている。
送信手段(10)は、制御部(2)から出力された制御信号及び/又は心電図情報を入力して変調する変調部(11)と、変調された制御信号を所定の搬送波で送信する送信部(12)とから構成され、変調された制御信号は、外部(例えば、他の超小型一体化心臓ペースメーカ(図示せず。))に送信される。
このように制御信号や心電図情報を他の心臓ペースメーカ等の外部に搬送波により送信することにより、例えば、二つ以上の心臓ペースメーカを同期させて動作させることが可能となる。しかも搬送波により送信するために、リード電線を必要とせず、装着者に余計な負担をかけることがない。
受信手段(9)は、外部から搬送波により送信された情報を受信する受信部(91)と、受信した情報を復調する復調部(92)から構成され、復調された情報は、制御部(2)に入力されるように構成されている。制御部(2)においては、この情報及び/又は心電図情報に基づいて心臓刺激手段(3)に出力する制御信号を生成する。
外部から送信される情報としては、他の心臓ペースメーカから送信される心電図情報や制御信号などである。
外部、例えば他の心臓ペースメーカからの情報を受信する受信手段(9)を備えることにより、他の心臓ペースメーカと同期して動作することができる。またリード線を使用していないために、装着者に余計な負担をかけることがない。
送信手段(10)と受信手段(9)とで実現するペースメーカ間通信の方式としては、電波や超音波を用いた周波数拡散通信やUltra Wide Band通信を例示することができるが、これに限定されることなく信頼性のあるペースメーカ間通信が可能な方法であればどのような方式であってもよい。
電源部(4)は、超小型一体化心臓ペースメーカの駆動に必要とされる電源を供給するために設けられている。電源部(4)としては、リチウム電池、燃料電池などを使用することもできるが、従来の心臓ペースメーカにおいて、最も大きな構成部品は電源を供給する電源部であり、心臓ペースメーカ自体を超小型化するには、電源部を小型化する必要があり、本発明に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(100)では、電源部(4)として、生物燃料電池を使用することが望ましい。
電源部(4)として、生物燃料電池を使用すると、生物燃料電池を駆動させるために必要とされるグルコースなどの生物燃料と酸素は体内から継続的に供給することができ、電源部(4)の体積はもっぱら電極部によるものだけとなり、電源部(4)の体積を小型化することができる。しかも、グルコースなどの糖類の代謝産物である水、二酸化炭素、グルコノラクトンなどの中間代謝産物は人体にとって安全なものであり電池近傍より血流などによって速やかに除去される上、触媒として酵素を使用した生物燃料電池は、中性、室温という温和な条件下で駆動させることが可能である。
本発明では生物燃料電池としては、従来から知られている生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池、即ち、生体から供給されたグルコースなどの糖類と、同じく生体から供給された酸素とを燃料として使用するとともに、触媒として生体触媒である酵素を使用する生物燃料電池を例示することができる。
本発明で好適用いられる生物燃料電池(40)の具体的な構成の一例を、図面を参照しつつ説明する。図2は第一実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(100)における電源部である生物燃料電池(40)の概略構成を示した模式図である。
生物燃料電池(40)は、アノード(41)とカソード(42)とからなる。そして、この生物燃料電池(40)は、電解質溶液として血液や体液を利用し、血液や体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池である。従って、アノード電極(41a)とカソード電極(42a)は、血液や体液と接触するように配置されている。図2では、アノード電極(41a)及びカソード電極(42a)が血液と接触するように、心臓刺激電極(32)及及び心電図情報記録電極(53)が心筋組織と接触するように配置されている。
アノード(41)は、アノード電極(41a)と、アノード電極(41a)の表面に形成された固定層(41b)とから構成される。
アノード電極(41a)としては、金電極などが用いられる。
アノード電極(41a)の表面には、生物燃料の酸化に必要な生物燃料の酸化酵素とメディエータとが固定されている。
生物燃料としては、炭水化物が用いられる。具体的な炭水化物としては、グルコース、フルクトースなどの単糖類、マルトース、サッカロースなどの二糖類、キシロース、アラビノースなどのペントース類などを例示することができ、好ましくは、生体内から簡単に供給することが可能なグルコースが好ましく用いられる。
生物燃料の酸化酵素としては、生物燃料を酸化することができる酵素であれば特に限定されず、オキシダーゼやデヒドロゲナーゼと称される酵素を例示することができる。生物燃料としてグルコースを利用する場合、グルコースオキシダーゼやグルコースデヒドロゲナーゼを例示することができ、グルコースデヒドロゲナーゼが好ましく用いられる。
メディエータとしては、生物燃料から放出された電子をアノード電極(41a)に受け渡すことができるものであれば特に限定されず、例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドリン酸などのいわゆる補酵素、ラッカーゼなどの酵素、ピロロキノリンキノンなどのキノン類、オスミウム錯体などおよびこれらの組合せを例示することができる。
生物燃料の酸化酵素とメディエータはアノード電極(41a)の表面に固定化されて固定層(41b)が形成される。固定化する方法は特に限定されず、酵素を電極表面に固定化する公知の方法を採用することができる。例えば、電極基体として金電極を用いるとともに、金電極表面にアミノエタンチオールを単分子吸着させ、アミノ基修飾を施す。ビーカー内で生物燃料の酸化酵素、メディエータ及びアルブミンを混合し、ここに、グルタルアルデヒドを混合して、前記酵素及びメディエータをグルタルアルデヒドで架橋させ、金基体電極表面に塗布する方法を例示することができる。
尚、アノードでの反応を効率良く進行させるために、固定層(41b)は、生体内に存在する酸素がアノード電極(41a)に接触しないように構成されていることが好ましい。
カソード(42)は、カソード電極(42a)から構成される。
カソード電極(42a)としては、白金電極などを例示するこができる。カソード電極(42a)上では酸素を還元する触媒が必要であるが、白金自体が触媒として作用することができる。
尚、カソードでの反応を効率良く進行させるために、カソード電極表面には、カソード電極(42a)上における反応性物質の透過を抑制するとともに、酸素及び水素イオンを透過することができる被膜(42b)が形成されていることが好ましい。
本件の生体燃料電池(40)では電解質溶液の充填された容器は存在せず、カソード電極(41a)およびアノード電極(42a)は生体の血液または体液と接触する。このことにより、血液や体液が電解質溶液として動作する。電解質溶液には、血流によりつねに生体燃料および酸素が供給されるのと同時に、代謝産物は血液に溶解して血流により除去される。生体燃料、酸素の供給および代謝産物の除去は最終的には生体のいわゆる恒常性維持により一定に保たれる。
次に、生物燃料電池(40)の作用について説明する。
生物燃料は血液や体液に溶解してアノード(41)表面に供給される。アノード(41)表面に供給された生物燃料は、固定層(41b)に固定されている生物燃料の酸化酵素の作用によって酸化されて、二酸化炭素、水素イオン、中間代謝産物など、および電子が生成する。二酸化炭素、水素イオン、中間代謝産物などは血液や体液に溶解して排出される。電子はメディエータを介してアノード電極(41a)に受け渡される。
カソード(42)表面には、血液や体液に溶解した酸素及び水素イオンが供給され、アノード電極(41a)からカソード電極(42a)に伝達した電子とから、水が形成される。この際の化学反応によって発電され、駆動電源を供給することができる。
制御部(2)は、メモリ(7)に予め蓄えられた制御プログラム及び心電図情報検出手段(5)から出力された心電図情報、並びに外部から送信された情報に基づいて、制御信号を生成して心臓刺激手段(3)に出力する。
例えば、制御部(2)には制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられ、通常は予め定められた頻度によって決まる刺激タイミングで制御信号が生成されるようにプログラミングされ、一定の条件が揃った場合、例えば、一定時間内に心内P波情報が検出された場合、刺激タイミングを変更するようにプログラミングされている。
さらに本発明では、通信手段(6)を設けることができる。通信手段(6)は、超小型一体化心臓ペースメーカの外部に設けられる外部プログラマ(8)と通信するために使用され、メモリ(7)に記憶されたペーシングプログラムを変更する際に使用される。これにより、超小型一体化心臓ペースメーカを装着者に装着した後であっても、外部プログラマ(8)によりメモリ(7)に記憶されたペーシングプログラムを装着者に適したものに変更することが可能である。
尚、装着者に複数の超小型一体化心臓ペースメーカが装着されている場合は、外部プログラマ(8)と通信手段(6)との通信を、超小型一体化心臓ペースメーカ毎に異なる周波数で行うことにより、超小型一体化心臓ペースメーカ毎にペーシングプログラムを変更することができる。この他、周波数拡散通信を行うことにより、或いはペースメーカ毎にIDを付与することにより、超小型一体化心臓ペースメーカ毎にペーシングプログラムを変更することができる。
次に、本発明の第二実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(110)について説明する。本発明の第二実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(110)が上述した第一実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(100)と相違する点は、送信手段(10)及び受信手段(9)が備えられていない点である。
第二実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(110)は、他の心臓ペースメーカ等と同期動作する必要がない場合に使用することができる。
制御部(2)は、メモリ(7)に予め蓄えられた制御プログラム及び心電図情報検出手段(5)から出力された心電図情報に基づいて、制御信号を生成して心臓刺激手段(3)に出力する。
その他の構成については、上述した第一実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(100)と同様であり、説明を省略する。尚、図3において、図1に示される第一実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(100)と同じ構成については、同じ番号を付した。
次に、本発明の第三実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(120)について説明する。図4は、本発明の第三実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(120)の概略を示すブロック図である。本発明の第三実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(120)が、上述した第一実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカと相違する点は、受信手段(9)が備えられていない点である。
第三実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(120)は、制御信号を他の心臓ペースメーカ等の外部に搬送波により送信することにより、例えば、二つ以上の心臓ペースメーカを同期させて動作させることが可能となる。
制御部(2)は、メモリ(7)に予め蓄えられた制御プログラム及び心電図情報検出手段(5)から出力された心電図情報に基づいて、制御信号を生成して心臓刺激手段(3)に出力する。
その他の構成については、上述した第一実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカと同様であり、説明を省略する。尚、図4において、図1及び図3に示される第一及び第二実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカと同じ構成については、同じ番号を付した。
次に、本発明の第四実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(130)について説明する。本発明の第四実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(130)が、上述した第一実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカと相違する点は、外部に制御信号及び/又は心電図情報を送信する送信手段(10)が備えられていない点である。
第四実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(120)は、外部、例えば他の心臓ペースメーカからの情報を受信する受信手段(9)により、他の心臓ペースメーカと同期して動作することができる。
制御部(2)は、メモリ(7)に予め蓄えられた制御プログラム及び心電図情報検出手段(5)から出力された心電図情報、並びに外部から送信された情報に基づいて、制御信号を生成して心臓刺激手段(3)に出力する。
その他の構成については、上述した第一実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカと同様であり、説明を省略する。尚、図5において、図1、図3、図4に示される第一乃至第三実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカと同じ構成については、同じ番号を付した。
尚、以上説明した第一乃至第四実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカにおいて、心電図情報記録電極(53)と心臓刺激電極(32)は、それぞれ別々の構成に示したが、実際には、心電図情報記録電極(53)と心臓刺激電極(32)はそれぞれ共用することが可能である。
また受信部(91)と送信部(12)についても、それぞれ別々に示したが、これについても受信部(91)と送信部(12)を共用させることができる。
また装着者に体温や血圧を測定するセンサを取り付けて、このセンサから得られた生体情報を前記した第一乃至第四実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカの制御部(2)に出力して、制御部(2)では、生体情報に基づいて制御信号を生成することもできる。
また、本発明の第一実施形態乃至第四実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカを心臓に取り付ける方法は特に限定されず、従来の方法と同様の方法を採用することができる。例えば、カテーテルの先端に本発明に係る超小型一体化心臓ペースメーカを装着し、心臓内の所定位置まで挿入する。心内膜に固定した後、カテーテルのみを抜き取ることにより行われる。そして、本発明に係る超小型一体化心臓ペースメーカは、ジェネレータ本体と電極が一体となり、リード線を必要としないから、本発明に係る超小型一体化心臓ペースメーカの大きさは直径2〜3mm程度に構成することができ、ジェネレータ本体を植え込むために胸壁を大きく切開する必要がない。
次に、上述した本発明の第一乃至第四実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカを使用した本発明に係る心臓ペーシングシステムについて、図面を参照しつつ説明する。
図6は本発明の第一実施形態に係る心臓ペーシングシステムの概略を示す模式図であり、装着者の心房内膜に一個の本発明に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(111)が装着されている。尚、図6及び後述する図7乃至図10中、Hは心臓である。
第一実施形態に係る心臓ペーシングシステムは、心房の電気活動と心室の電気活動の同期は残っているが、心房自体の歩調取りが失われている場合に好適に適用することができる。例えば、洞結節の機能のみが障害され、心房内伝導や房室伝導の保たれた洞機能不全症候群の患者に適用することができる。
心房内に配置される本発明に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(111)は、制御信号を出力する制御部と、制御信号に応答して心房筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内P波情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段とを備えており、検出された心電図情報は制御部に出力されるように構成されている。つまり、上述した本発明の第二実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカが好適に使用されるが、前記構成を有していれば第一、第三及び第四実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカであっても構わない。
そして、前記制御部には、制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられている。
本発明の第一実施形態に係る心臓ペーシングシステムの動作の一例について説明すると、刺激タイミング決定手段により、予め定められた刺激タイミングに従って制御信号が生成されて、心房内膜が電気刺激される。これにより心房筋を興奮させて収縮させるとともに、この刺激は心房内伝導路を通じて房室結節に伝達される。そして房室結節からヒス束、左右の脚、プルキンエ線維を経て心室筋を興奮させ、正常に心拍を行うことができる。
尚、上述したような洞機能不全症候群の場合でも、自己心拍が出現することがある。この場合、即ち、前回の心拍から予め定められた一定時間内に自己心内P波情報が心電図情報検出手段により検出された場合、その自己心内P波情報は制御部に出力されるとともに、制御部では刺激タイミング変更手段により制御信号が生成される刺激タイミングが変更され、心房ペーシングが抑制される。心内P波情報が検出されてから一定時間内に、次の自己心内P波情報が検出されない場合は、予め定められた刺激タイミングに従って、心房筋が電気刺激される。
尚、本発明に係る上記の超小型一体化心臓ペースメーカを装着者の心室内膜に装着することにより、心室筋を刺激することができる。洞結節の機能は正常であるが、房室伝導のみが障害されている患者に適用することにより、心房、心室の同期性はないものの、心室の最低限の拍動回数を維持することができる。
次に、本発明の第二実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムについて図面を参照しつつ説明する。図7は本発明の第二実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムの概略を示す模式図であり、心房内膜に一個の心電図情報検出装置(200)、心室内膜に一個の本発明に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(131)を適用した状態を示す模式図である。図8は心電図情報検出装置(200)の概略を示すブロック図である。
第二実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムは、洞結節の機能は正常であるが、房室伝導のみが障害されている患者に適用することができる。即ち、心房内膜に配置された心電図情報検出装置(200)は、少なくとも自己心内P波情報を含む心電図情報の検出を行う。検出された自己心内P波情報を含む心電図情報は心室内膜に配置された本発明に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(131)に送信される。本発明に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(131)は、心電図情報検出装置(200)から自己心内P波情報が送信されると、一定時間の遅れ(心電図上のPQ間隔に相当する房室遅延)の後、心臓刺激手段により心室筋を電気刺激して心室ペーシングを行う。
尚、房室伝導の障害がある患者でも、心室の自己収縮が生じる場合がある。この場合、即ち、自己心内P波情報が検出されてから一定時間(房室遅延)以内に心室の収縮が発生した場合(自己心内QRS群情報が検出された場合)、刺激タイミングが変更され、心室ペーシングは行われない。
図8は、心房内膜に配置される心電図情報装置(200)の概略を示すブロック図である。心電図情報検出装置(200)は、少なくとも心内P波情報を含む心電図情報を検出して心電図情報を出力するための心電図情報検出手段(5)と、心電図情報を送信する送信手段(10)と、制御部(2)とから構成されている。
図示した心電図情報検出装置(200)において、心電図情報検出手段(5)は、心電図情報を検出するための二個の心電図情報記録電極(53)と、心電図を増幅する増幅部(51)と、心電図情報をデジタル情報に変換するA/D変換部(52)とから構成される。
また図示した心電図情報検出装置(200)において、送信手段(10)は、制御部(2)から出力された心電図情報を入力して変調する変調部(11)と、変調された心電図情報を所定の搬送波で送信する送信部(12)とから構成され、変調された心電図情報は、心室内膜に配置された超小型一体化心臓ペースメーカ(121)に送信される。
心室に配置される本発明に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(131)は、制御信号を出力する制御部と、制御信号に応答して心室筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内QRS群情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、心房内に配置された心電図情報検出装置(200)から送信される心電図情報を受信し復調する受信手段を備えており、心電図情報検出手段により検出された心電図情報及び送信された心電図情報は、制御部に入力されるように構成されている。つまり、第二実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムにおいて、心室内膜に配置される超小型一体化心臓ペースメーカ(131)としては、上述した本発明の第四実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカが好適に使用されるが、第一実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカであっても構わない。
そして、前記制御部には、制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられている。
本発明の第二実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムの動作の一例について説明すると、通常は、刺激タイミング決定手段によって、予め定められた刺激タイミング(心内P波情報が検出されてから一定時間(房室遅延)後にペーシング)で制御信号が生成されて、心室がペーシングされる。
心内P波情報が検出されてから一定時間(房室遅延)以内に自己心内QRS群情報が検出された場合、刺激タイミング変更手段によって制御信号が生成される刺激タイミングが変更され、制御信号は生成されない。
尚、超小型一体化心臓ペースメーカ(131)は、心内QRS群情報が検出されてから(自己の心室収縮によるもの又は心臓ペースメーカの刺激によるもの)一定時間内に心電図情報検出装置(200)から心内P波情報が送信されてこない場合は、一定間隔で心室をペーシングするように構成することが好ましい。これにより、万が一、洞停止、洞房ブロックが発生した場合でも、安全性を確保することができる。
次に、本発明の第三実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムについて図面を参照しつつ説明する。図9は本発明の第三実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムの概略を示す模式図であり、心房内膜に一個の第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(101)が配置され、心室内膜に一個の第二の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)が配置された状態を示す模式図である。
第三実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムは、洞結節が正常に機能しておらず、且つ房室伝導が障害されている患者に適用することができる。つまり、洞機能停止と房室ブロックを伴った洞機能不全症候群の患者に適用することができる。
本発明の第三実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムの動作の一例について説明すると、心房内膜に配置された第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(101)は、制御信号を出力して心臓刺激手段により心房をペーシングする。この制御信号(又は心房の心電図情報)は搬送波に変調されて心室内膜に配置された第二の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)に送信される。第二の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)は、第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(101)から制御信号(又は心房の心電図情報)が送信されると、第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(101)が心房ペーシングを行ってから一定時間の遅れ(心電図上のPQ間隔に相当する房室遅延)の後、心室筋を電気刺激して心室ペーシングを行うように制御信号を出力する。さらに、この制御信号(又は心室の心電図情報)は、搬送波に変調されて第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(101)に送信される。第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(101)は、第二の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)からの制御信号(又は心室の心電図情報)を受信してから一定時間の間は心内P波の検出を抑制する。その後、第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(131)は予め決められたレートに従って刺激タイミングの制御信号を出力し心房を刺激する。
これを繰り返すことにより、より自然に近い状態で心臓をペーシングすることができる。
尚、洞機能停止と房室ブロックを伴った洞機能不全症候群の患者でも、自己の心房収縮や心室収縮が発生することがある。この場合、即ち、前回の心拍から一定時間内に自己心内P波情報が検出された場合は、心房ペーシングが抑制される。また心内P波情報(自己によるもの及び第一の超小型一体化心臓ペースメーカによるもの)が検出されてから一定時間(房室遅延)以内に自己心内QRS群情報が検出された場合は心室ペーシングが抑制される。
心房内膜に配置される第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(101)は、制御信号を出力する制御部と、制御信号に応答して心房筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内P波情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、心室内に配置された第二の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)に制御信号又は心電図情報を変調して送信する送信手段と、心室内に配置された第二の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)から送信された制御信号又は心電図情報を受信し復調するための受信手段を備えている。そして、第二の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)から送信された制御信号及び心電図情報は、制御部に入力されるように構成されている。つまり、第三実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムにおいて、第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(101)としては、上述した本発明の第一実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカが好適に使用される。
心室内膜に配置される第二の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)は、制御信号を出力する制御部と、制御信号に応答して心室筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内QRS群情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、心房内に配置された第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(101)に制御信号又は心電図情報を変調して送信する送信手段と、心房内に配置された第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(101)から送信された制御信号又は心電図情報を受信し復調するための受信手段を備えている。そして、第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(101)から送信された制御信号及び心電図情報は、制御部に入力されるように構成されている。つまり、第三実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムにおいて、第二の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)としては、上述した本発明の第一実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカが好適に使用される。
第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(101)において、制御部には、制御信号を生成する刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号を生成する刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられている。
通常、刺激タイミング決定手段により、予め定められた刺激タイミングで制御信号を生成する刺激タイミンダを決定し、制御信号が生成されて心房ペーシングが行われる。
第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(101)の動作の一例について説明すると、刺激タイミング変更手段は、心電図情報検出手段によって前回の心拍から一定時間内に自己心内P波情報が検出された場合、制御信号を生成する刺激タイミングを変更することにより、制御信号は生成されず、心房ペーシングは行われない。前回の心拍から一定時間内に自己心内P波情報が検出されない場合、制御信号が生成されて心房ペーシングが行われる。
また制御部は、制御信号を生成した場合及び自己心内P波情報が検出された場合、その情報を送信部から第二の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)に送信する。
第二の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)において、制御部には、制御信号を生成する刺激タイミンダを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号を生成する刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられている。
第二の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)の動作の一例について説明すると、通常、レート決定手段により、予め定められたレート(第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(101)より制御信号又は心内P波情報が送信されてから一定時間(房室遅延)内に制御信号を生成)で制御信号が生成されて、心室ペーシングが行われる。
一定時間(房室遅延)以内に自己心内QRS群情報が検出された場合、刺激タイミング変更手段により制御信号を生成する刺激タイミングが変更されて、心室ペーシングは行われない。
また制御部は、制御信号を生成した場合及び自己心内QRS群情報が検出された場合、その情報を送信部から第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(101)に送信する。第一の超小型一体化心臓ペースメーカ(101)は、第二の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)からの制御信号(又は心室の心電図情報)を受信してから一定時間は心内P波情報の検出を抑制する。これは心室の自己収縮による心内QRS群が心房に逆行性に伝導し、前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカが心内P波情報を検出し、それに基づいて第二の超小型一体化心臓ペースメーカが心室を電気刺激して、心室の電気刺激が繰り返される所謂ペースメーカ頻脈の合併症を防ぐために必要である。
次に、本発明の第四実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムについて図面を参照しつつ説明する。図10は本発明の第四実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムの概略を示す模式図であり、心房内膜に心電図情報検出装置(200)が配置され、心室内膜に複数個(図10では合計四個)の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)が配置された状態を示す模式図である。
第四実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムは、心室内の心筋収縮の同期性が低下して心室収縮力が低下している患者や致死性不整脈の危険のある患者に適用することができる。
第四実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムの動作の一例について説明すると、心房内膜に配置された心電図情報検出装置(200)は、少なくとも心内P波情報を含む心電図情報を検出する。検出された心電図情報は搬送波によって心室内膜に配置された複数の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)に送信される。超小型一体化心臓ペースメーカ(102)は、心電図情報検出装置(200)から心電図情報が送信されると、心房収縮から個々の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)によって異なる一定時間の遅れの後、心室筋を電気刺激して心室ペーシングを行うように制御信号を出力する。即ち、超小型一体化心臓ペースメーカ(102)は、心電図情報検出装置(200)から心電図情報が送信されると、それぞれの超小型一体化心臓ペースメーカが配置された心室の場所に応じて予め定められた時間後に心室ペーシングを行う。
尚、自己の心室収縮が発生した場合、即ち、心内P波情報が検出されてから一定時間(房室遅延)以内に自己心内QRS群情報が検出された場合は心室ペーシングが抑制される。しかしながら、自己心内QRS群が検出されてもこれが心室に配置された複数のペースメーカ(102)に所定の時間内に伝達しない場合にはその場所でも心室ペーシングは抑制されない。このことを実現するために心室各所のペースメーカ(102)で記録された自己心内QRS群を互いに他の心室ペースメーカ(102)に送信する。各心室ペースメーカ(102)では互いに他の心室ペースメーカ(102)からの信号を受信する。
心室内膜に配置される超小型一体化心臓ペースメーカ(102)は、制御信号を出力する制御部と、制御信号に応答して心室筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内QRS群情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、心室内に配置された他の超小型一体化心臓ペースメーカに制御信号又は心電図情報を変調し送信する送信手段と、心房内に配置された心電図情報検出装置(200)及び心室内に配置された他の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された制御信号又は心電図情報を復調し受信するための受信手段を備えている。つまり、第四実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムにおいて、超小型一体化心臓ペースメーカ(102)としては、上述した本発明の第一実施形態に係る超小型一体化心臓ペースメーカ(100)が好適に使用される。
また、心室に配置する超小型一体化心臓ペースメーカの配置場所やその個数は、患者の病状に応じて、適宜設定される。
超小型一体化心臓ペースメーカ(102)において、個々の超小型一体化心臓ペースメーカの制御部には、制御信号を生成する刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号を生成する刺激タイミンダを変更する刺激タイミング変更手段が備えられている。
超小型一体化心臓ペースメーカの動作の一例について説明すると、刺激タイミンダ決定手段は、予め定められた刺激タイミング(心電図情報検出装置(200)より自己心内P波情報が送信されてから一定時間(房室遅延)後に制御信号を生成)で制御信号が生成されて、心室ペーシングが行われる。
この刺激タイミングは、個々の超小型一体化心臓ペースメーカ毎、つまり、心室内膜の配置箇所の違いにより異なる。例えば、個々の超小型一体化心臓ペースメーカ(102)は、正常の心室拍動において、その部位が刺激されるような時間差で刺激されるが、心臓の収縮性が最も改善される時間差の組合せであれば上記の組合せには限定されない。
このような同期のとれた心臓収縮は同時に心室の電気的不安定性を低下させ、致死性不整脈の危険のある患者の不整脈予防に用いられるほか、ペースメーカによる不整脈停止にも用いられる。
超小型一体化心臓ペースメーカ(102)によって検出された心内QRS群情報は、送信手段によって他の超小型一体化心臓ペースメーカに送信される。このことにより、ある心室ペースメーカにおいて自己心内QRS群が決められた時間内に検出されてもこれが心室に配置された他のペースメーカに所定の時間内に伝達しない場合にはその場所での心室ペーシングが発生する。
尚、前述した第四実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムにおいて、上述した第三実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムの心房内膜に配置した超小型一体化心臓ペースメーカ(101)を心電図情報検出装置(200)の代わりに配置することもできる。心房内膜に配置される超小型一体化心臓ペースメーカが、第三実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムで述べたような刺激タイミング決定手段と刺激タイミング変更手段を備えることで、洞機能停止と房室ブロックを伴う心室収縮力が低下している患者や致死性不整脈の危険のある患者に適応することができる。
この実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムにおいて、心房内膜に配置される超小型一体化心臓ペースメーカの具体的な構成としては、前述した第三実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムの心房内膜に配置された超小型一体化心臓ペースメーカ(101)の構成を採用することができる。またこの実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムにおいて、心室内膜に配置される超小型一体化心臓ペースメーカの具体的な構成としては、第四実施形態に係る分散心臓ペーシングシステムの心室内膜に配置された超小型一体化心臓ペースメーカ(102)の構成を採用することができる。
以上詳述した如く請求の範囲第1項に記載の超小型一体化心臓ペースメーカは、制御信号や心電図情報を他の超小型一体化心臓ペースメーカに送信することができるとともに、他の超小型一体化心臓ペースメーカからの制御信号や心電図情報を受信することができるので、他の超小型一体化心臓ペースメーカと同期して心臓をペーシングすることができる。
請求の範囲第2項に記載の超小型一体化心臓ペースメーカは、ペースメーカ本体と刺激電極をつなぐリード線を必要としないので、装着者に余計な負担をかけることなく心臓をペーシングすることができる。
請求の範囲第3項に記載の超小型一体化心臓ペースメーカは、制御信号や心電図情報を他の超小型一体化心臓ペースメーカに送信することができるので、他の超小型一体化心臓ペースメーカと同期して心臓をペーシングすることができる。
請求の範囲第4項に記載の超小型一体化心臓ペースメーカは、他の超小型一体化心臓ペースメーカからの制御信号や心電図情報を受信することができるので、他の超小型一体化心臓ペースメーカと同期して心臓をペーシングすることができる。
請求の範囲第5項に記載の分散心臓ペーシングシステムは、心房の電気活動と心室の電気活動の同期は残っているが、心房自体の歩調取りが失われている患者のペーシングに適用することができる。
請求の範囲第6項に記載の分散心臓ペーシングシステムは、洞結節の機能は正常であるが、房室伝導のみが障害されている患者に適用することができる。
請求の範囲第7項に記載の分散心臓ペーシングシステムは、洞結節が正常に機能しておらず、しかも、房室伝導が障害されている患者に適用することができる。
請求の範囲第8項に記載の分散心臓ペーシングシステムは、心室各所の収縮の同期性が失われ心室収縮力が低下している患者や不整脈の患者に適用することができる。
請求の範囲第9項に記載の分散心臓ペーシングシステムは、洞機能停止と房室ブロックを伴う心室収縮力が低下している患者や致死性不整脈の危険のある患者に適応することができる。
【産業上の利用可能性】
従来、電極とペースメーカ本体をつないでいたリード線を必要とせずに心臓をペーシングすることができ、しかも胸壁を切開せずにカテーテル操作だけで心臓に植え込むことが可能な、装着者に余計な負担を強いることがない超小型一体化心臓ペースメーカ及び分散心臓ペーシングシステムを提供することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御信号を出力する制御部と、該制御信号に応答して心臓組織を電気刺激する心臓刺激手段と、心電図情報を検出して該制御部に出力する心電図情報検出手段と、駆動電源を供給するための電源部とからなり、
前記制御部は、心電図情報に基づいて制御信号を出力し、
前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であることを特徴とする、カテーテルの先端に装着して心臓に植え込んだのちカテーテルを抜去することで、胸部を切開する必要のない超小型一体化心臓ペースメーカ。
【請求項2】
制御信号を出力する制御部と、該制御信号に応答して心臓組織を電気刺激する心臓刺激手段と、心電図情報を検出して該制御部に出力する心電図情報検出手段と、心電図情報及び制御信号を変調して外部に送信する送信手段と、駆動電源を供給するための電源部とからなり、
前記制御部は、心電図情報に基づいて制御信号を出力し、
前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であることを特徴とする、カテーテルの先端に装着して心臓に植え込んだのちカテーテルを抜去することで、胸部を切開する必要のない超小型一体化心臓ペースメーカ。
【請求項3】
制御信号を出力する制御部と、該制御信号に応答して心臓組織を電気刺激する心臓刺激手段と、心電図情報を検出して該制御部に出力する心電図情報検出手段と、外部から送信された情報を受信し復調する受信手段と、駆動電源を供給するための電源部とからなり、外部から送信された情報は前記制御部に入力されるように構成され、
前記制御部は、外部から送信された情報及び/又は心電図情報に基づいて制御信号を出力し、
前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であることを特徴とする、カテーテルの先端に装着して心臓に植え込んだのちカテーテルを抜去することで、胸部を切開する必要のない超小型一体化心臓ペースメーカ。
【請求項4】
制御信号を出力する制御部と、該制御信号に応答して心臓組織を電気刺激する心臓刺激手段と、心電図情報を検出して該制御部に出力する心電図情報検出手段と、心電図情報及び制御信号を変調して外部に送信する送信手段と、外部から送信された情報を受信し復調する受信手段と、駆動電源を供給するための電源部とからなり、外部から送信された情報は前記制御部に入力されるように構成され、
前記制御部は、外部から送信された情報及び/又は心電図情報に基づいて制御信号を出力し、
前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であることを特徴とする、カテーテルの先端に装着して心臓に植え込んだのちカテーテルを抜去することで、胸部を切開する必要のない超小型一体化心臓ペースメーカ。
【請求項5】
心房筋に配置される超小型一体化心臓ペースメーカからなる心臓ペーシングシステムであって、
前記超小型一体化心臓ペースメーカは、制御信号を出力する制御部と、駆動電源を供給するための電源部と、該制御信号に応答して心房筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内P波情報を含む心電図情報を検出するための心電図情報検出手段とを備えており、
前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、
前記制御部には、制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられ、予め設定された時間内に心内P波情報が検出された場合、制御信号が生成される刺激タイミングが変更されることを特徴とする心臓ペーシングシステム。
【請求項6】
心房筋に配置される心電図情報検出装置と、心室筋に配置される超小型一体化心臓ペースメーカとからなる分散心臓ペーシングシステムであって、
前記心電図情報検出装置は、少なくとも心内P波情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、検出された心電図情報を変調して前記超小型一体化心臓ペースメーカに送信する送信手段と、駆動電源を供給するための電源部とを備え、前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、
前記超小型一体化心臓ペースメーカは、前記心電図情報検出装置から送信された心電図情報を受信し復調する受信手段と、制御信号を出力する制御部と、駆動電源を供給するための電源部と、該制御信号に応答して心室筋を電気刺激する心臓刺激手段とを備えており、前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、
前記制御部には、制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられ、心内P波情報が検出されてから一定時間内に心内QRS群情報が検出されない場合、制御信号を生成し、心内P波情報が検出されてから一定時間内に心内QRS群情報が検出された場合、制御信号の生成を抑制するように構成されていることを特徴とする分散心臓ペーシングシステム。
【請求項7】
心房筋に配置される第一の超小型一体化心臓ペースメーカと、心室筋に配置される第二の超小型一体化心臓ペースメーカとからなる分散心臓ペーシングシステムであって、
前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカは、制御信号を出力する制御部と、駆動電源を供給するための電源部と、該制御信号に応答して心房筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内P波情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、心電図情報を変調して前記第二の超小型一体化心臓ペースメーカに送信する送信手段と、前記第二の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報を受信し復調する受信手段とを備えており、
前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、
前記第二の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報は前記制御部に入力されるように構成され、前記制御部には、制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミンダ決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられ、
前記第二の超小型一体化心臓ペースメーカは、制御信号を出力する制御部と、駆動電源を供給するための電源部と、該制御信号に応答して心室筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内QRS群情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、心電図情報を変調して前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカに送信する送信手段と、前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報を受信し復調する受信手段とを備えており、
前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、
前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報は前記制御部に入力されるように構成され、前記制御部には、制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられ、
前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカの制御部は、一定時間内に心内P波情報が検出されない場合、制御信号を生成し、一定時間内に心内P波情報が検出された場合、制御信号の生成を抑制するように構成され、
前記第二の超小型一体化心臓ペースメーカの制御部は、心内P波情報が検出されてから一定時間内に心内QRS群情報が検出されない場合、制御信号を生成し、心内P波情報が検出されてから一定時間内に心内QRS群情報が検出された場合、制御信号の生成を抑制するように構成され、
前記第二の超小型一体化心臓ペースメーカが心室の自己収縮による心内QRS群情報を検出した場合、前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカの制御部は一定時間、心内P波情報の検出を抑制するように構成されていることを特徴とする分散心臓ペーシングシステム。
【請求項8】
心房筋に配置される心電図情報検出装置と、心室筋に配置される複数個の超小型一体化心臓ペースメーカとからなる分散心臓ペーシングシステムであって、
前記心電図情報検出装置は、少なくとも心内P波情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、検出された心電図情報を変調して前記超小型一体化心臓ペースメーカに送信する送信手段と、駆動電源を供給するための電源部とを備え、
前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、
前記超小型一体化心臓ペースメーカは、制御信号を出力する制御部と、駆動電源を供給するための電源部と、該制御信号に応答して心室筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内QRS群情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、心電図情報を変調して他の超小型一体化心臓ペースメーカに送信する送信手段と、他の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報を受信し復調する受信手段とを備えており、
前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、
他の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報は前記制御部に入力されるように構成され、前記制御部には、制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミンダを変更する刺激タイミング変更手段が備えられ、
前記複数個の超小型一体化心臓ペースメーカの制御部は、心内P波情報が検出されてから、個々の超小型一体化心臓ペースメーカ毎に予め定められた一定時間内に心内QRS群情報が検出されない場合、制御信号を生成し、心内P波情報が検出されてから一定時間内に心内QRS群情報が検出された場合、最も早期に心内QRS群情報が検出されたタイミングに同期して制御信号を生成するように構成されていることを特徴とする分散心臓ペーシングシステム。
【請求項9】
心房筋に配置される第一の超小型一体化心臓ペースメーカと、心室筋に配置される複数個の第二の超小型一体化心臓ペースメーカとからなる分散心臓ペーシングシステムであって、
前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカは、制御信号を出力する制御部と、駆動電源を供給するための電源部と、該制御信号に応答して心房筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内P波情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、心電図情報を変調して前記複数個の第二の超小型一体化心臓ペースメーカに送信する送信手段と、前記複数個の第二の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報を受信し復調する受信手段とを備えており、
前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、
前記複数個の第二の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報は前記制御部に入力されるように構成され、前記制御部には、制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられ、
前記複数個の第二の超小型一体化心臓ペースメーカは、制御信号を出力する制御部と、駆動電源を供給するための電源部と、該制御信号に応答して心室筋を電気刺激する心臓刺激手段と、少なくとも心内QRS群情報を含む心電図情報を検出する心電図情報検出手段と、心電図情報を変調して前記第一及び第二の超小型一体化心臓ペースメーカに送信する送信手段と、前記第一及び第二の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報を受信し復調する受信手段とを備えており、
前記電源部は生物燃料の酸化反応により電子を取り出す生物燃料電池であって、該生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極とからなり、該アノード電極上には、生物燃料の酸化酵素と、メディエータとが固定化され、電解質溶液として血液及び/又は体液を利用し、血液及び/又は体液中の生物燃料及び酸素を利用する生物燃料電池であり、
前記第一及び第二の超小型一体化心臓ペースメーカから送信された心電図情報は前記制御部に入力されるように構成され、前記制御部には、制御信号が生成される刺激タイミングを決定する刺激タイミング決定手段と、制御信号が生成される刺激タイミングを変更する刺激タイミング変更手段が備えられ、
前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカの制御部は、一定時間内に心内P波情報が検出されない場合、制御信号を生成し、一定時間内に心内P波情報が検出された場合、制御信号の生成を抑制するように構成され、
前記複数個の第二の超小型一体化心臓ペースメーカの制御部は、心内P波情報が検出されてから、個々の超小型一体化心臓ペースメーカ毎に予め定められた一定時間内に心内QRS群情報が検出されない場合、制御信号を生成し、心内P波情報が検出されてから一定時間内に心内QRS群情報が検出された場合、最も早期に心内QRS群情報が検出されたタイミングに同期して制御信号を生成するように構成され、
前記複数個の第二の超小型一体化心臓ペースメーカのいずれかが心室の自己収縮による心内QRS群情報を検出した場合、前記第一の超小型一体化心臓ペースメーカの制御部は一定時間、心内P波情報の検出を抑制するように構成されていることを特徴とする分散心臓ペーシングシステム。

【国際公開番号】WO2004/012811
【国際公開日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【発行日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−525832(P2004−525832)
【国際出願番号】PCT/JP2003/009886
【国際出願日】平成15年8月4日(2003.8.4)
【出願人】(591108880)国立循環器病センター総長 (159)
【Fターム(参考)】