説明

超微細気泡発生装置

【課題】微細気泡の発生と電気分解とを単一の装置で行うことができる超微細気泡発生装置を提供する。
【解決手段】超微細気泡発生装置1は、導電性を有する液体を流通させるための流通管2と、流通管の途中に設けた気泡発生媒体3A・3Bと、気泡発生媒体3A・3Bへ気体を圧送するための圧縮機5・5と、を具備する超微細気泡発生装置1であって、気泡発生媒体3A・3Bは、導電性を有する高密度複合体で構成され、気泡発生媒体3A・3Bには電圧が印加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超微細気泡発生装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水道水や湖沼・河川、海水等の液中において、浄化や洗浄のために気泡のサイズ(直径)が数百nm〜数十μmの超微細気泡を使用する技術が注目されている。前記超微細気泡は、表面積が非常に大きい特性及び自己加圧効果などの物理化学的な特性を有しており、その特性を生かして、排水浄化及び洗浄等に使用する技術が開発されている。
【0003】
前記特性を持った超微細気泡の発生方法として、従来から、液中でモータを回転させ、ポンプ圧で流速を上げ、空気を吸入し、攪拌してできた気泡をさらに回転翼や刃具などで細分化する方法が公知となっている。また、空気ノズルの周囲に液体ジェットノズルを配置し、液体ジェットノズルの噴流の力で空気ノズルより噴出する気泡を引きちぎって微細化する方法も公知となっている。また、攪拌してできた気泡をメッシュ部材に当てて通しながら気泡を細分化する方法も公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、海水等の電解質を含んだ水を電気分解して陽極側に酸性電解水を生成し、オゾンガスの気泡を微細化して微細気泡を生成して、前記微細気泡を前記酸性電解水中に溶解させる技術が公知となっている(例えば、特許文献2参照)。公知技術においては、オゾンガスの気泡を微細化して微細気泡を生成する微細気泡発生装置と、海水等の電解質を含んだ水を電気分解して陽極側に酸性電解水を精製する電解水生成装置と、が別々に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−275482号公報
【特許文献2】特開2008−55352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術のように、液体中に微細気泡を発生させて、同時に液体に電極から電圧を印加して電気分解を行う場合、微細気泡発生装置と、電解水生成装置とを別々に設けることとなり、コストが高くなっていた。また、装置全体が大きくなるため大きなスペースを必要としていた。
【0007】
そこで、本発明は係る課題に鑑み、微細気泡の発生と電気分解とを単一の装置で行うことができる超微細気泡発生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、導電性を有する液体を流通させるための流通管と、前記流通管の途中に設けた複数個の気泡発生媒体と、前記気泡発生媒体へ気体を圧送するための圧縮機と、を具備する超微細気泡発生装置であって、前記気泡発生媒体は、導電性を有する高密度複合体で構成され、前記気泡発生媒体には電圧が印加されるものである。
【0010】
請求項2においては、前記複数個の気泡発生媒体は、気泡発生媒体同士の距離が一定であるように対向して設けられるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、気泡発生媒体が導電性を有するので、電極板としての役目も果たすことができる。したがって、微細気泡の発生と電気分解とを単一の装置で行うことができる。
【0013】
請求項2においては、気泡発生面の全ての面で均一に電気分解を生じさせることができる。したがって、微細気泡の発生と電気分解とを効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る超微細気泡発生装置を示す一部断面図。
【図2】流通管を示す斜視図。
【図3】流通管を示すA−A線断面図。
【図4】本発明の別実施形態に係る超微細気泡発生装置を示す一部断面図。
【図5】流通管を示す斜視図。
【図6】流通管を示すB−B線断面図。
【図7】本発明の別実施形態に係る超微細気泡発生装置を示す一部断面図。
【図8】流通管を示す斜視図。
【図9】流通管を示すC−C線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態1]
まず、本発明の一実施形態である超微細気泡発生装置1の全体構成について図1、図2及び図3を用いて説明する。なお、図1の矢印方向を液体流通方向とする。
超微細気泡発生装置1は、導電性を有する液体を流通させるための流通管2と、流通管2の途中に設けた複数個の気泡発生媒体3A・3Bと、気泡発生媒体3Aの外周側及び気泡発生媒体3Bの内周側に設けた複数の気体室4A・4Bと、気体室4A・4Bへ気体を圧送するための圧縮機5・5と、内側管6と、を具備する。
【0016】
流通管2は、管状に構成されており、その形状は円筒状に構成されている。流通管2は、例えば、ポリプロピレンのような可塑性材料によって形成されている。流通管2の内部には内側管6が貫入されている。
内側管6は、管状に形成されており、流通管2の断面直径よりも小さな断面直径を有する円筒状に構成されている。流通管2の内周面と内側管6の外周面との間には液体が流通可能としている。前記液体は導電性を有する液体であり、例えば、塩化ナトリウム等の電解質を含んだ水や塩酸である。
また、内側管6は支持部材15(図2及び図3参照)を介して流通管2に固定されている。支持部材15は流通管2の内周面と内側管6の外周面とを接続する部材であり、流通管2に対して内側管6を固定する。
流通管2の上流端は貯水槽11に接続されており、流通管2の下流端は超微細気泡を含んだ液体を使用する装置12に接続されている。超微細気泡を含んだ液体を使用する装置12とは、例えば、クーリングタワーや、洗浄装置等である。
【0017】
流通管2は、上流側流通管2aと下流側流通管2bとに分割されている。上流側流通管2aと下流側流通管2bとの間には、気泡発生媒体3Aが配設される。また、内側管6は、上流側内側管6aと下流側内側管6bとに分割されている。上流側内側管6aと下流側内側管6bとの間には、気泡発生媒体3Bが配設される。
【0018】
気泡発生媒体3Aは円筒状に形成されている。また、気泡発生媒体3Bは、円筒状に形成されている。気泡発生媒体3A・3Bは、高密度複合体で構成されている。高密度複合体は、固体組織がイオン結合による分子構造である導電体である。
【0019】
気泡発生媒体3A・3Bは、同心円上に配置されている。より詳しくは、図3に示すように、気泡発生媒体3A・3Bは、液体流通中心(軸心)を中心とする同心円上に配置されており、気泡発生媒体3Aの気泡発生面と気泡発生媒体3Bの気泡発生面との距離D1がいずれの場所でも一定となるように配置している。ここで、気泡発生面とは、気泡発生媒体3Aの内周面及び気泡発生媒体3Bの外周面である。
【0020】
また、気泡発生媒体3Aは、上流側流通管2aの下流側端部から下流側に突設した上流側支持部21aと、下流側流通管2bの上流側端部から上流側に突設した下流側支持部21bとに両側開口部が固設されている。上流側流通管2a及び下流側流通管2bの内周面と気泡発生媒体3Aの内周面とは段差が無いように固設されている。また、上流側流通管2aと気泡発生媒体3Aとの接続部、下流側流通管2bと気泡発生媒体3Aとの接続部、及び上流側流通管2aと下流側流通管2bとの接続部は接着剤などによって密閉されており、液体が漏れることが無いように構成している。
【0021】
また、気泡発生媒体3Bは、上流側内側管6aの下流側端部から下流側に突設した上流側支持部22aと、下流側内側管6bの上流側端部から上流側に突設した下流側支持部22bとに両側開口部が固設されている。上流側内側管6a及び下流側内側管6bの外周面と気泡発生媒体3Bの外周面とは段差が無いように固設されている。また、上流側内側管6aと気泡発生媒体3Bとの接続部、下流側内側管6bと気泡発生媒体3Bとの接続部、及び上流側内側管6aと下流側内側管6bとの接続部は接着剤などによって密閉されており、液体が漏れることが無いように構成している。
【0022】
気泡発生媒体3Aの外周面側(気泡発生面と反対側)は、上流側気体室壁23aと下流側気体室壁23bとにより囲まれて覆われ、上流側気体室壁23a及び下流側気体室壁23bと気泡発生媒体3Aの間に気体室4Aが形成されている。つまり、上流側気体室壁23aは、上流側流通管2aの下流側の外周面から径を大きくして下流側へパイプ状に延設したものであり、下流側気体室壁23bは、下流側流通管2bの上流側の外周面から径を大きくして上流側へパイプ状に延設したものであり、上流側気体室壁23aの下流側端面と下流側気体室壁23bの上流側端面とを一致させて接合している。
こうして、上流側気体室壁23a及び下流側気体室壁23bの内面と、気泡発生媒体3Aの外面と、に囲まれた空間を気体室4Aとしている。
【0023】
また、気体室4Aの外周面の任意位置には、連結孔25Aが設けられており、連結孔25Aは、気体挿入管26を介してそれぞれ圧縮機5と接続されている。連結孔25Aは、本実施形態では、上流側気体室壁23aと下流側気体室壁23bとの接合部に設けられているが、上流側気体室壁23aまたは下流側気体室壁23bの外周部に設けることも可能であり、配設位置は限定するものではない。
【0024】
気泡発生媒体3Bの内周面側(気泡発生面と反対側)は、上流側気体室壁24aと下流側気体室壁24bとにより囲まれて覆われ、上流側気体室壁24a及び下流側気体室壁24bと気泡発生媒体3Bの間に気体室4Bが形成されている。つまり、上流側気体室壁24aは、上流側内側管6aの下流側の内周面から径を大きくして下流側へパイプ状に延設したものであり、下流側気体室壁24bは、下流側流通管2bの上流側の内周面から径を小さくして上流側へパイプ状に延設したものであり、上流側気体室壁24aの下流側端面と下流側気体室壁24bの上流側端面とを一致させて接合している。
こうして、上流側気体室壁24a及び下流側気体室壁24bの内面と、気泡発生媒体3Bの外面と、に囲まれた空間を気体室4Bとしている。
【0025】
また、気体室4Bの内周面の任意位置には、連結孔25Bが設けられており、連結孔25Bは、気体挿入管26を介してそれぞれ圧縮機5と接続されている。連結孔25Bは、本実施形態では、上流側気体室壁24aと下流側気体室壁24bとの接合部に設けられているが、上流側気体室壁24aまたは下流側気体室壁24bの内周部に設けることも可能であり、配設位置は限定するものではない。
【0026】
圧縮機5・5は、気体を高圧にして気体室4A・4Bに圧送して、気泡発生媒体3A・3Bに気体を圧送するための装置である。各圧縮機5は、エンジンまたはモータ等により駆動され、各圧縮機5の吸入側を気体貯蔵タンク31A・31Bと配管等を介して接続し、吐出側を気体挿入管26を介して気体室4A・4Bと接続している。
気体貯蔵タンク31A・31Bは同種若しくは別種の気体を貯蔵するタンクである。気体貯蔵タンク31A・31Bに貯蔵される気体は、例えば、空気、酸素、水素、オゾンである。
【0027】
また、気泡発生媒体3A・3Bには、電源35と接続して所定の電圧が印加されている。所定の電圧とは流通させる液体を電気分解できる電圧である。本実施形態においては、一対の気泡発生媒体3A・3Bのうち、一方の気泡発生媒体3Aが電源35の陽極と接続され、他方の気泡発生媒体3Bが電源35の陰極と接続されている。これにより、二つの気泡発生媒体3A・3Bの間に電位差が生まれる。なお、電源35は、直流電源とし、気泡発生媒体3A・3Bに電圧を印加するが、この直流電源の電圧は変更可能に構成することも可能である。
【0028】
[超微細気泡発生方法]
次に、超微細気泡発生装置1を用いた、超微細気泡発生方法について図1、図2、及び図3を用いて説明する。
まず、圧縮機5を用いて気体貯蔵タンク31A・31Bから気体室4A・4Bへ気体を圧送する。気体室4A・4Bに圧送された気体は気泡発生媒体3A・3Bに設けられた微小な孔を通過する。すなわち、圧縮機5から圧送した気体の気圧で、超微細気泡を孔から流通管2の内周面と内側管6の外周面との間の液体中へ放出するものである。超微細気泡は、直径が数百nm〜数十μmの気泡であり、非常に大きい表面積を有し、自己加圧効果などの物理化学的な特性を有している。
【0029】
気泡発生媒体3A・3Bの内周面から放出される超微細気泡は、流通管2の内周面と内側管6の外周面との間を流通している液体の流れによって気泡発生媒体3A・3Bから分離される。
【0030】
また、流通管2の内周面と内側管6の外周面との間の液体は、一対の気泡発生媒体3A・3Bに対して印加された電圧により、流通管2の内周面と内側管6の外周面との間で電気分解される。例えば、流通管2の内周面と内側管6の外周面との間の液体が水であった場合には、陰極で水素が、陽極で酸素がそれぞれ発生する。
また、複数個の気泡発生媒体3A・3Bは対になって設けられており、対向する気泡発生媒体3A・3B同士の距離が一定であるように配置されている。一般に、電極間の距離にばらつきがあると、局所的に通電量の多い(電流値が大)ところと少ない(電流値が小)ところが生じ、生成する気体の分布にばらつきが生じる。そこで、気泡発生面に対して直交する方向において対向する気泡発生媒体3A・3B同士の距離が一定であるように配置することにより、気泡発生面の全ての面で均一に電気分解を生じさせることができる。これらの電気分解により発生した気体は液体中に溶け込む。
【0031】
また、例えば、流通管2の内周面と内側管6の外周面との間の液体が塩化ナトリウム等の電解質を含んだ水である場合には、陰極には、アルカリ性を示すアルカリイオン水が、陽極には、塩素を含んだ酸性を示す酸性電解水が発生する。酸性電解水の主成分は、次亜塩素酸である。前記アルカリイオン水及び酸性電解水に対して、圧縮機5を用いてオゾンを圧送した場合には、オゾンが前記アルカリイオン水及び酸性電解水中に超微細気泡として溶け込む。オゾンが溶け込んだアルカリイオン水及び酸性電解水は油脂の剥離や殺菌等の用途に使用される。
【0032】
また、例えば、流通管2の内周面と内側管6の外周面との間の液体がコロイド粒子を含む液体である場合には、一対の気泡発生媒体3A・3Bに対して電圧を印加することにより、コロイド粒子のゼータ電位を制御することができ、コロイド粒子の分散・凝集をコントロールすることができる。これにより、液体中のコロイド粒子の除去などが容易に行える。
【0033】
以上のように、超微細気泡発生装置1は、導電性を有する液体を流通させるための流通管2と、流通管の途中に設けた気泡発生媒体3A・3Bと、気泡発生媒体3A・3Bへ気体を圧送するための圧縮機5・5と、を具備する超微細気泡発生装置1であって、気泡発生媒体3A・3Bは、導電性を有する高密度複合体で構成され、気泡発生媒体3A・3Bには電圧が印加されるものである。
このように構成することにより、気泡発生媒体3A・3Bが導電性を有するので、電極板としての役目も果たすことができる。したがって、微細気泡の発生と電気分解とを単一の装置で行うことができる。
【0034】
また、複数個の気泡発生媒体3A・3Bは、対向する気泡発生媒体3A・3B同士の距離が一定であるように配置したものである。
このように構成することにより、気泡発生面の全ての面で均一に電気分解を生じさせることができる。したがって、微細気泡の発生と電気分解とを効率よく行うことができる。
【0035】
[実施形態2]
次に、別の実施形態について図4、図5及び図6を用いて説明する。
この実施形態では、流通管62の形状を四角筒状としたものである。なお、実施形態1と同様の構成については、実施形態1と同番号を付し、説明を省略する。
超微細気泡発生装置1は、導電性を有する液体を流通させるための流通管62と、流通管62の途中に設けた複数個の気泡発生媒体63・63と、各気泡発生媒体63の外周側に設けた複数の気体室64・64と、気体室64・64へ気体を圧送するための圧縮機5・5と、を具備する。
【0036】
流通管62は、管状に構成されており、その形状は四角筒状に構成されている。流通管62は、例えば、ポリプロピレンのような可塑性材料によって形成されている。流通管62の内部には液体が流通可能としている。前記液体は導電性を有する液体であり、例えば、塩化ナトリウム等の電解質を含んだ水や塩酸である。
流通管62の上流端は貯水槽11に接続されており、流通管62の下流端は超微細気泡を含んだ液体を使用する装置12が接続されている。超微細気泡を含んだ液体を使用する装置12とは、例えば、クーリングタワーや、洗浄装置等である。
【0037】
流通管62は、上流側流通管62aと下流側流通管62bとに分割されている。上流側流通管62aと下流側流通管62bとの間には、気泡発生媒体63・63が配設される。
【0038】
気泡発生媒体63・63は、液体流通方向に直交する断面視において長方形状に構成されている。気泡発生媒体63・63は、高密度複合体で構成されている。高密度複合体は、固体組織がイオン結合による分子構造である導電体である。
気泡発生媒体63・63は、対になって設けられている。図9に示すように、一対の気泡発生媒体63・63は、同一の形状であり、気泡発生面に対して直交する方向において対向する気泡発生媒体63・63同士の距離D2が一定であるように配置している。ここで、気泡発生面とは、気泡発生媒体63・63の内周面のうち流通管62内の液体と接する面である。
本実施形態においては、気泡発生媒体63・63は平行に配置されている。これにより、距離D2は、どの場所においても一定となる。
【0039】
また、各気泡発生媒体63は、上流側流通管62aの下流側端部から下流側に突設した上流側支持部71aと、下流側流通管62bの上流側端部から上流側に突設した下流側支持部71bに両側開口部が固設されている。上流側流通管62a及び下流側流通管62bの内周面と気泡発生媒体63の内周面とは段差が無いように固設されている。また、上流側流通管62aと気泡発生媒体63との接続部、下流側流通管62bと気泡発生媒体63との接続部、及び上流側流通管62aと下流側流通管62bとの接続部は接着剤などによって密閉されており、液体が漏れることが無いように構成している。
【0040】
気泡発生媒体63・63の外周面側(気泡発生面と反対側)は、上流側気体室壁72aと下流側気体室壁72bとにより囲まれて覆われ、上流側気体室壁72a及び下流側気体室壁72bと気泡発生媒体63・63との間に複数の気体室64・64が形成されている。また、各気体室64は、各気泡発生媒体63の外側に一つずつ設けられている。なお、気体室64・64間は気体の移動ができないように構成されている。
【0041】
また、気体室64・64の外周面の任意位置には、連結孔64aが設けられており、各連結孔64aは、気体挿入管26を介して圧縮機5と接続されている。連結孔64aは、本実施形態では、上流側気体室壁72aと下流側気体室壁72bとの接合部に設けられているが、上流側気体室壁72aまたは下流側気体室壁72bの外周部に設けることも可能であり、配設位置は限定するものではない。
【0042】
圧縮機5・5は、気体を高圧にして各気体室64に圧送して、各気泡発生媒体63へ気体を圧送するための装置である。各圧縮機5は、エンジンまたはモータ等により駆動され、各圧縮機5の吸入側を気体貯蔵タンク31A・31Bと配管等を介して接続し、吐出側を気体挿入管26を介して各気体室64と接続している。
気体貯蔵タンク31A・31Bは同種若しくは別種の気体を貯蔵するタンクである。気体貯蔵タンク31A・31Bに貯蔵される気体は、例えば、空気、酸素、水素、オゾンである。
【0043】
また、気泡発生媒体63には、電源35と接続して所定の電圧が印加されている。所定の電圧とは流通させる液体を電気分解できる電圧である。本実施形態においては、一対の気泡発生媒体63・63のうち、一方の気泡発生媒体63が電源35の陽極と接続され、他方の気泡発生媒体63が電源35の陰極と接続されている。これにより、二つの気泡発生媒体63・63の間に電位差が生まれる。なお、電源35は、直流電源とし、各気泡発生媒体63に電圧を印加するが、この直流電源の電圧は変圧器で変更可能に構成することも可能である。
【0044】
[実施形態3]
次に、別の実施形態について図7、図8及び図9を用いて説明する。
この実施形態では、流通管82の形状を四角筒状としたものである。なお、実施形態1と同様の構成については、実施形態1と同番号を付し、説明を省略する。
超微細気泡発生装置1は、導電性を有する液体を流通させるための流通管82と、流通管82の途中に設けた複数個の気泡発生媒体83・83と、気泡発生媒体83・83へ直接気体を圧送するための圧縮機5・5と、を具備する。
【0045】
流通管82は、管状に構成されており、その形状は四角筒状に構成されている。流通管82は、例えば、ポリプロピレンのような可塑性材料によって形成されている。流通管82の内部には液体が流通可能としている。前記液体は導電性を有する液体であり、例えば、塩化ナトリウム等の電解質を含んだ水や塩酸である。
流通管82の上流端は貯水槽11に接続されており、流通管82の下流端は超微細気泡を含んだ液体を使用する装置12が接続されている。超微細気泡を含んだ液体を使用する装置12とは、例えば、クーリングタワーや、洗浄装置等である。
【0046】
流通管82は、上流側流通管82aと下流側流通管82bとに分割されている。上流側流通管82aと下流側流通管82bとの間には、気泡発生媒体83・83が配設される。
【0047】
気泡発生媒体83・83は、液体流通方向に直交する断面視において長方形状に構成されている。気泡発生媒体83・83は、高密度複合体で構成されている。高密度複合体は、固体組織がイオン結合による分子構造である導電体である。
気泡発生媒体83・83は、対になって設けられている。図9に示すように、一対の気泡発生媒体83・83は、同一の形状であり、気泡発生面に対して直交する方向において対向する気泡発生媒体83・83同士の距離D3が一定であるように配置している。ここで、気泡発生面とは、気泡発生媒体83・83の内周面のうち流通管62内の液体と接する面である。
本実施形態においては、気泡発生媒体83・83は平行に配置されている。これにより、距離D3は、どの場所においても一定となる。
【0048】
また、気泡発生媒体83・83には、気体を内部へ流通させるための気体流路84が穿設されている。気体流路84は、各気泡発生媒体83の内部で枝分かれしており、各気泡発生媒体83の厚さ方向中途部まで延設されている。気体流路84の壁面には多数の微小な孔が設けられている。気体流路84内に圧入された気体は、気体流路84の壁面などに設けられた微小な孔を通過して流通管82内の液体中へ放出される。
【0049】
また、各気泡発生媒体83は、上流側流通管82aの下流側端部から下流側に突設した上流側支持部91aと、下流側流通管82bの上流側端部から上流側に突設した下流側支持部91bに両側開口部が固設されている。また、上流側流通管82aと気泡発生媒体83との接続部、下流側流通管82bと気泡発生媒体83との接続部、及び上流側流通管82aと下流側流通管82bとの接続部は接着剤などによって密閉されており、液体が漏れることが無いように構成している。
【0050】
圧縮機5・5は、気体を高圧にして気泡発生媒体83・83に圧送するための装置である。各圧縮機5は、エンジンまたはモータ等により駆動され、各圧縮機5の吸入側を気体貯蔵タンク31A・31Bと配管等を介して接続し、吐出側を気体挿入管26を介して各気泡発生媒体83・83と接続している。
気体貯蔵タンク31A・31Bは同種若しくは別種の気体を貯蔵するタンクである。気体貯蔵タンク31A・31Bに貯蔵される気体は、例えば、空気、酸素、水素、オゾンである。
【0051】
また、気泡発生媒体83・83には、電源35と接続して所定の電圧が印加されている。所定の電圧とは流通させる液体を電気分解できる電圧である。本実施形態においては、一対の気泡発生媒体83・83のうち、一方の気泡発生媒体83が電源35の陽極と接続され、他方の気泡発生媒体83が電源35の陰極と接続されている。これにより、二つの気泡発生媒体83・83の間に電位差が生まれる。なお、電源35は、直流電源とし、各気泡発生媒体83に電圧を印加するが、この直流電源の電圧は変圧器で変更可能に構成することも可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 超微細気泡発生装置
2 流通管
3A・3B 気泡発生媒体
4A・4B 気体室
5 圧縮機
6 内側管
35 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する液体を流通させるための流通管と、前記流通管の途中に設けた複数個の気泡発生媒体と、前記気泡発生媒体へ気体を圧送するための圧縮機と、を具備する超微細気泡発生装置であって、
前記気泡発生媒体は、導電性を有する高密度複合体で構成され、前記気泡発生媒体には電圧が印加される、
超微細気泡発生装置。
【請求項2】
前記複数個の気泡発生媒体は、気泡発生媒体同士の距離が一定であるように対向して設けられる請求項1に記載の超微細気泡発生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−224434(P2011−224434A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94437(P2010−94437)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(504077308)
【出願人】(508231256)株式会社西研デバイズ (8)
【Fターム(参考)】