説明

超音波アクチュエータ

【課題】小型でありながら強い発生力を有するリニア型超音波アクチュエータを提供する。
【解決手段】厚み方向に分極された第1圧電体、第1圧電体と対向するように配置され、厚み方向に分極された第2圧電体、及び、第1圧電体と第2圧電体を挟持する第1弾性体と第2弾性体を有し、第1弾性体と第2弾性体による挟持方向に伸縮する駆動部と、駆動部に対して移動可能に配置された移動体と、駆動部に結合され、移動体に対する把持力を調整可能に構成された伝達部と、駆動部の伸縮と伝達部の把持力調整を連動させる制御部と、を備え、伝達部は、初期状態において移動体が移動しないように移動体をある周期をもって把持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波アクチュエータとして、特許文献1に記載の超音波モータがある。この超音波モータにおいては、2つのランジュバン振動子を互いに直交するように配置した駆動子を、ロータの外周面に押圧し、振動子の駆動によってロータに回転力を発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−152671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の超音波モータでは、所望の振動を得るには、2つのランジュバン振動子の角度、位置、振幅、周波数等をそろえる調整が必要である。また、2つのランジュバン振動子を互いに直交するように配置するため、駆動子全体の体積が大きくなるという欠点がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型でありながら強い発生力を有するリニア型超音波アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る超音波アクチュエータは、厚み方向に分極された第1圧電体、第1圧電体と対向するように配置され、厚み方向に分極された第2圧電体、及び、第1圧電体と第2圧電体を挟持する第1弾性体と第2弾性体を有し、第1弾性体と第2弾性体による挟持方向に伸縮する駆動部と、駆動部に対して移動可能に配置された移動体と、駆動部に結合され、移動体に対する把持力を調整可能に構成された伝達部と、駆動部の伸縮と伝達部の把持力調整を連動させる制御部と、を備え、伝達部は、初期状態において移動体が移動しないように移動体をある周期をもって把持することを特徴としている。
【0007】
本発明に係る超音波アクチュエータにおいて、移動体の把持は機械的に行うことが好ましい。
【0008】
本発明に係る超音波アクチュエータにおいて、伝達部は、ランジュバン振動子であることが好ましい。
【0009】
本発明に係る超音波アクチュエータにおいて、移動体は棒状又は板状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る超音波アクチュエータは、小型であり、かつ、強い発生力を有するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す側面図である。
【図4】第1実施形態に係る超音波アクチュエータの構成を示す正面図である。
【図5】第1実施形態における制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】第1実施形態における支持部を2枚の支持板で固定した状態を示す斜視図である。
【図7】第1実施形態における支持部と2枚の支持板との関係を示す斜視図である。
【図8】第1実施形態における駆動部の伸縮と伝達部による移動体の把持力の変化を側面から経時的に示す図である。
【図9】第1実施形態における駆動部の伸縮と伝達部による移動体の把持力の変化を正面から経時的に示す図である。
【図10】第1実施形態の第1変形例に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図11】第1実施形態の第1変形例に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【図12】第1実施形態の第2変形例に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図13】第1実施形態の第2変形例に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る超音波アクチュエータの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
本発明の超音波アクチュエータは、超音波モータとして移動体を移動する推力を大きくするために、ボルト締めランジュバン振動子の発生力を利用している。また、伝達部における移動体の把持力の調整のために圧電素子を用いている。移動体は、ランジュバン振動子での力の発生と、伝達部によって移動体を把持する力の調整と、を連動させることによって移動させている。このような構成において、駆動用のランジュバン振動子と移動体を把持するランジュバン振動子とを独立して制御しているため、これらの駆動周波数をそろえる必要がない等設計の自由度がある。
【0013】
さらに、駆動用のランジュバン振動子の先端をホーン形状にすることによって、移動体が移動する移動量をより大きくできるとともに、ホーン形状の先端が細くなることからスペースに限りがある空間でも配置しやすくなる。
【0014】
また、移動体の把持のためにランジュバン振動子を用いる構成としたため、大きな圧力によって移動体を把持することが可能となり、これにより強い移動力を持った超音波アクチュエータが得られる。
【0015】
(第1実施形態)
図1〜図5は、第1実施形態に係る超音波アクチュエータ100の構成を示す図であって、図1は斜視図、図2は分解斜視図、図3は側面図、図4は正面図、図5は、第1実施形態における制御部150の構成を示すブロック図である。
【0016】
超音波アクチュエータ100は、駆動部110と、弾性連結部113と、移動体120と、伝達部130と、制御部150(図5)と、を備える。
駆動部110は、第1圧電体としての第1圧電素子111と、第2圧電体としての第2圧電素子112と、第1弾性体及び連結部としての弾性連結部113と、第2弾性体としての埋め込みナット部114と、を備える。
【0017】
第1圧電素子111及び第2圧電素子112は、それぞれ厚み方向に分極された略円板状をなしており、厚み方向において分極方向が互いに対向するように配置されている。駆動部110は、弾性連結部113から延出するボルト部113cを、第1圧電素子111及び第2圧電素子112に貫通させ、さらにナット部114の内面のネジに嵌め合わせることにより、第1圧電素子111及び第2圧電素子112を共締めして挟持する。この構成により駆動部110は、ランジュバン振動子を構成する。駆動部110は、第1圧電素子111と第2圧電素子112に通電させることにより、弾性連結部113とナット部114が第1圧電素子111と第2圧電素子112を挟持する方向A(図2)に沿って、伸縮する。
【0018】
弾性連結部113は、駆動部110と伝達部130を機械的及び音響的に互いに連結する、すなわち、第1圧電素子111と第2圧電素子112で発生した振動を伝達部130に効率良く伝達できるように構成されている。弾性連結部113は、第1圧電素子111と第2圧電素子112が挟持される方向Aに沿って、同心状に順に配置された、先端部113b、ホーン部113a、支持部113e、及びボルト部113cを備える。先端部113bには、先端から前記挟持方向Aに沿って延びるネジ部113dが形成され、ボルト部113cは、外面にネジが形成されている。
【0019】
ホーン部113aは、ボルト部113c側から先端部113b側へ向かって外径が小さくなる形状を備える。別言すると、ホーン部113aは、第1圧電素子111と第2圧電素子112が挟持される方向Aに沿った断面径が、第1圧電素子111側から伝達部130側へ向かうほど小さくなるホーン形状を備える。この断面のホーン形状は、指数関数的に変化することが好ましいが、第1圧電素子111側から伝達部130側へ向かうほど小さくなっていれば、これ以外の形状であってもよい。
【0020】
伝達部130は、前記挟持方向Aと垂直な方向B(図2)に沿って順に、押圧部材135、本体部133、第3圧電素子131(第3圧電体)、第4圧電素子132(第4圧電体)、及び埋め込みボルト134を備える。伝達部130は、駆動部110と別体であって、弾性連結部113のネジ部113dを本体部133にねじ込むことによって駆動部110と結合される。
【0021】
第3圧電素子131及び第4圧電素子132は、それぞれ厚み方向に分極された略円板状をなしており、厚み方向において分極方向が互いに対向するように配置されている。伝達部130は、埋め込みボルト134のボルト部134aを、第3圧電素子131及び第4圧電素子132に貫通させ、さらに本体部133の内面のネジに嵌め合わせることにより、第3圧電素子131及び第4圧電素子132を共締めする。これにより、第3圧電素子131及び第4圧電素子132は、前記挟持方向Aと垂直な挟持方向Bに沿って、本体部133及び埋め込みボルト134により挟持される。
【0022】
押圧部材135は、前記挟持方向Bに沿って貫通した2本のネジ136の先端を本体部133の下面から螺合することにより、本体部133に固定されている。本体部133と押圧部材135の間には、前記挟持方向Aに沿って延びるように棒状の移動体120が配置されている。この移動体120は、本体部133の下面に設けたV字状の溝部133aと、押圧部材135の上面に設けたV字状の溝部135aと、の間に形成された空間に配置され、これらの溝部133a、135aに沿って移動可能となる。また、2本のネジ136は、移動体120が前記挟持方向Aに沿って移動することを妨げないように、溝部133a、135aの両側にそれぞれ配置されている。
【0023】
伝達部130は、第3圧電素子131及び第4圧電素子132に通電することにより伸縮し、これにより本体部133と押圧部材135が移動体120を把持する力が増減する。具体的には、第3圧電素子131及び第4圧電素子132に通電していない初期状態においては、伝達部130は、本体部133と押圧部材135によって移動体120を強く把持しており、これにより移動体120は伝達部130に固定されている。別言すると、移動体120は、本体部133と押圧部材135によって機械的に挟持されている。
伝達部130に共振振動を起こすように通電すると、伝達部130には振動の節と腹が生ずる。この振動の節位置では節位置を境として振動の振動方向が逆方向になっている。したがって、通電中は、節位置を基準にすると力が離れる方向と近づく方向の振動が繰り返される。このため、節位置近傍に配置された移動体120は、超音波領域の高速振動で本体部133と押圧部材135による掴む、離すの動作が繰り返される。この結果、通電時は移動体120を把持する力が弱くなる。
【0024】
図5に示すように、制御部150は、第1信号発生器151、第1電力増幅部152、遅延回路153、第2信号発生器154、及び第2電力増幅部155を備える。第1信号発生器151で発生した信号は第1電力増幅部152で増幅されて駆動部110(第1圧電素子111、第2圧電素子112)へ出力される。第2信号発生器154で発生した信号は第2電力増幅部155で増幅されて伝達部130(第3圧電素子131、第4圧電素子132)へ出力される。
【0025】
駆動部110と伝達部130へ出力する信号は、遅延回路153を介することにより、所定の遅延時間をおいて互いに時間的に同期している。なお、駆動部110と伝達部130へ出力する信号の位相は同期する必要はない。
【0026】
制御部150から駆動部110と伝達部130へそれぞれ出力する2系統の信号は、駆動部110の第1圧電素子111及び第2圧電素子112と、伝達部130の第3圧電素子131及び第4圧電素子132と、にそれぞれ印加される。これにより、駆動部110の伸縮と、伝達部130の伸縮による移動体120の把持力の調整が連動し、これを繰返すことにより移動体120を所定の方向にリニアに駆動することができる。
【0027】
図6、図7に示すように、支持部113eは、第1圧電素子111及び第2圧電素子112を駆動源とする駆動部110の略節近傍に配置されている。この支持部113eは、板形状をした部材であり、2枚の支持板161、162で挟持される。これにより、超音波アクチュエータ100は、駆動部110の振動の略節位置で支持されるとともに、外部の部材に対して取り付け可能となる。ここで、図6は、2枚の支持板161、162で支持部113eを固定した状態を示す斜視図である。図7は、支持部113eと2枚の支持板161、162との関係を示す斜視図である。
【0028】
次に、駆動部110の伸縮と伝達部130の把持力調整を連動させることによって、移動体120を移動させる工程について、図8、図9を例に挙げて説明する。図8は、駆動部110の伸縮と伝達部130による移動体120の把持力の変化を側面から経時的に示す図である。図9は、駆動部110の伸縮と伝達部130による移動体120の把持力の変化を正面から経時的に示す図である。図9(a)〜(d)は、図8(a)〜(d)にそれぞれ対応する。
【0029】
図8(a)及び図9(a)は、初期状態を示している。初期状態においては、第1圧電素子111及び第2圧電素子112には電圧が印加されていないため、駆動部110は伸縮しない。また、初期状態においては、第3圧電素子131及び第4圧電素子132には電圧が印加されておらず、移動体120は、本体部133と押圧部材135によって強く把持されることとなり、これにより移動体120は伝達部130に対して固定されている。
【0030】
図8(b)及び図9(b)は、第3圧電素子131及び第4圧電素子132には電圧を印加しない状態を維持し、第1電力増幅部152から第1圧電素子111及び第2圧電素子112へ所定の電圧を印加した状態を示す。駆動部110の第1圧電素子111、第2圧電素子112に所定の電圧が印加されることによって、駆動部110が伸張するため、伝達部130と移動体120は一体となって左へ移動する。
【0031】
図8(c)及び図9(c)は、図8(b)及び図9(b)の状態から第1圧電素子111及び第2圧電素子112への電圧の印加を継続しつつ、第2電力増幅部155から第3圧電素子131及び第4圧電素子132へ所定の電圧を印加した状態を示す。図8(b)及び図9(b)に示すタイミングと図8(c)及び図9(c)に示すタイミングの差は、遅延回路153が定める遅延時間に対応する。図8(c)及び図9(c)の状態では、第3圧電素子131、第4圧電素子132の伸縮により、本体部133と押圧部材135との間において、節近傍に配置された移動体120を把持する力が低下しており、移動体120は伝達部130に対して移動可能となっている。
【0032】
図8(d)及び図9(d)は、第3圧電素子131及び第4圧電素子132へ電圧を印加した状態を維持しつつ、第1圧電素子111及び第2圧電素子112への電圧の印加を停止した状態を示す。図8(d)及び図9(d)の状態では、駆動部110は、図8(a)及び図9(a)に示す初期状態まで縮退する。一方、伝達部130による移動体120を把持する力が低下しているため、移動体120は伝達部130の縮退に拘わらずに、図8(c)及び図9(c)に示す位置にとどまる。
【0033】
以上の動作により、移動体120は、図8(a)及び図9(a)に示す状態よりも左側に移動し、これを繰り返すことにより移動体120を所望の位置まで移動させることができる。
【0034】
これに対して、図8及び図9に示す動作と逆の動作を行うことによって、移動体120を右側へ移動させることもできる。
より具体的には、伝達部130による移動体120の把持力を低下させた状態で移動体120の位置を維持しつつ駆動部110を伸張させる動作と、伝達部130による移動体120の把持力を高めた状態で駆動部110を縮退することにより移動体120を右側へ移動させる動作と、を順に行うことによって移動体120を右側へ移動させる。
【0035】
次に変形例について説明する。
図10は、第1実施形態の第1変形例に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。図11は、第1実施形態の第1変形例に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。図10、図11において、駆動部110は第1実施形態と同じ部材であるため、同じ参照符号を使用し、その詳細な説明は省略する。
【0036】
図10、図11に示すように、第1変形例に係る超音波アクチュエータにおいては、第1実施形態の移動体120に代えて長板状の移動体170を使用している。移動体170の先端には2つの孔171、172が設けられており外部の部材と接合可能になっている。
【0037】
伝達部180は、第1実施形態の伝達部130と同様に、弾性連結部113とナット部114が第1圧電素子111と第2圧電素子112を挟持する方向Aと垂直な方向B(図11)に沿って順に、押圧部材185、本体部183、第3圧電素子181(第3圧電体)、第4圧電素子182(第4圧電体)、及び埋め込みボルト184を備える。また、伝達部180は、弾性連結部113のネジ部113dを本体部183にねじ込むことによって駆動部110と結合される。
【0038】
第3圧電素子181及び第4圧電素子182は、第1実施形態の第3圧電素子131及び第4圧電素子132と同様の構成であり、前記挟持方向Aと垂直な挟持方向Bに沿って、本体部183及び埋め込みボルト184により挟持される。
【0039】
押圧部材185は、前記挟持方向Bに沿って貫通した2本のネジ186の先端を本体部183の下面から螺合することにより、本体部183に固定されている。本体部183と押圧部材185の間には、前記挟持方向Aに沿って延びるように移動体170が配置されている。この移動体170は、本体部183の下面と押圧部材185の上面によって挟持される。ここで、本体部183の下面と押圧部材185の上面は、互いに対向する平面である。さらに、移動体170は、2本のネジ186の間に配置されていることにより、本体部183と押圧部材185との間に保持される。さらに、2本のネジ186は、移動体170が前記挟持方向Aに沿って移動することは妨げないように配置されている。
【0040】
伝達部180は、第3圧電素子181及び第4圧電素子182に通電することにより伸縮し、これにより本体部183と押圧部材185が移動体120を把持する力が増減する。
具体的には、第3圧電素子181及び第4圧電素子182に通電していない初期状態においては、伝達部180は、本体部183と押圧部材185によって移動体170を強く把持しており、これにより移動体170は伝達部180に固定されている。したがって、移動体170は、本体部183と押圧部材185によって機械的に挟持されている。
一方、第3圧電素子181及び第4圧電素子182に通電して伝達部180に共振振動を起こすと、本体部183の下面と押圧部材185の上面との間において、節近傍に配置された移動体170を把持する力が低下し、移動体170は前記把持方向Aに沿って移動可能となる。
【0041】
図12は、第1実施形態の第2変形例に係る超音波アクチュエータの構成を示す斜視図である。図13は、第1実施形態の第2変形例に係る超音波アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。図12、図13において、駆動部110は第1実施形態と同じ部材であるため、同じ参照符号を使用し、その詳細な説明は省略する。
【0042】
図12、図13に示すように、第2変形例に係る超音波アクチュエータにおいては、第1実施形態の移動体120に代えて長板状の移動体190を使用している。移動体190の先端には2つの孔191、192が設けられており外部の部材と接合可能になっている。また、移動体190は、厚み方向に貫通する長孔部193を備える。この長孔部193は、移動体190の長手方向に沿って延びるように設けられている。
【0043】
伝達部200は、第1実施形態の伝達部130と同様に、弾性連結部113とナット部114が第1圧電素子111と第2圧電素子112を挟持する方向Aと垂直な方向B(図13)に沿って順に、押圧部材205、本体部203、第3圧電素子201(第3圧電体)、第4圧電素子202(第4圧電体)、及び埋め込みボルト204を備え、弾性連結部113のネジ部113dを本体部203の側面にねじ込むことによって駆動部110に結合される。
【0044】
第3圧電素子201及び第4圧電素子202は、第1実施形態の第3圧電素子131及び第4圧電素子132と同様の構成であり、前記挟持方向Aと垂直な挟持方向Bに沿って、本体部203及び埋め込みボルト204により挟持される。
【0045】
押圧部材205は、前記挟持方向Bに沿って貫通したネジ206を、移動体190の長孔部193を介して本体部203の下面から螺合することにより、本体部203に固定されている。本体部203と押圧部材205の間には、前記挟持方向Aに沿って延びるように移動体190が配置されている。この移動体190は、本体部203の下面と押圧部材205の上面によって挟持される。ここで、本体部203の下面と押圧部材205の上面は、互いに対向する平面である。さらに、移動体190は、長孔部193内にネジ206が挿通されていることにより、本体部203と押圧部材205の間に保持され、移動したときにも本体部203から外れることがなくなる。ここで、ネジ206は、移動体190が前記挟持方向Aに沿って移動することは妨げないような形状となっている。
【0046】
伝達部200は、第3圧電素子201及び第4圧電素子202に通電することにより伸縮し、これにより本体部203と押圧部材205が移動体190を把持する力が増減する。
具体的には、第3圧電素子201及び第4圧電素子202に通電していない初期状態においては、伝達部200は、本体部203と押圧部材205によって移動体190を強く把持しており、これにより移動体190は伝達部200に固定されている。したがって、移動体190は、本体部203と押圧部材205によって機械的に挟持されている。
一方、第3圧電素子201及び第4圧電素子202に通電して伝達部200に共振振動を起こすと、本体部203の下面と押圧部材205の上面との間において、節近傍に配置された移動体190を把持する力が低下し、移動体190は前記把持方向Aに沿って移動可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明に係る超音波アクチュエータは、ランジュバン振動子を含む複数の振動子を用いた小型のアクチュエータに有用である。
【符号の説明】
【0048】
100 超音波アクチュエータ
110 駆動部
111 第1圧電素子(第1圧電体)
112 第2圧電素子(第2圧電体)
113 弾性連結部(第1弾性体、連結部)
113a ホーン部
113b 先端部
113c ボルト部
113d ネジ部
113e 支持部
114 ナット部(第2弾性体)
120 移動体
130 伝達部
131 第3圧電素子(第3圧電体)
132 第4圧電素子(第4圧電体)
133 本体部
133a 溝部
134 埋め込みボルト
134a ボルト部
135 押圧部材
135a 溝部
136 ネジ
150 制御部
151 第1信号発生器
152 第1電力増幅部
153 遅延回路
154 第2信号発生器
155 第2電力増幅部
161、162 支持板
170 移動体
171、172 孔
180 伝達部
181 第3圧電素子(第3圧電体)
182 第4圧電素子(第4圧電体)
183 本体部
184 埋め込みボルト
185 押圧部材
186 ネジ
190 移動体
191、192 孔
193 長孔部
200 伝達部
201 第3圧電素子(第3圧電体)
202 第4圧電素子(第4圧電体)
203 本体部
204 埋め込みボルト
205 押圧部材
206 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に分極された第1圧電体、前記第1圧電体と対向するように配置され、厚み方向に分極された第2圧電体、及び、前記第1圧電体と前記第2圧電体を挟持する第1弾性体と第2弾性体を有し、前記第1弾性体と前記第2弾性体による挟持方向に伸縮する駆動部と、
前記駆動部に対して移動可能に配置された移動体と、
前記駆動部に結合され、前記移動体に対する把持力を調整可能に構成された伝達部と、
前記駆動部の伸縮と前記伝達部の把持力調整を連動させる制御部と、
を備え、
前記伝達部は、初期状態において前記移動体が移動しないように前記移動体をある周期をもって把持することを特徴とする超音波アクチュエータ。
【請求項2】
前記移動体の把持は機械的に行うことを特徴とする請求項1に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項3】
前記伝達部は、ランジュバン振動子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超音波アクチュエータ。
【請求項4】
前記移動体は棒状又は板状であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超音波アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−222883(P2012−222883A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83765(P2011−83765)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】