説明

超音波センサを有する流体取扱装置ならびに当該装置を用いる方法およびシステム

流体を流体源(140)から採取するよう構成される採取プローブ(120)と、採取プローブ(120)に結合され、超音波エネルギを送るとともに受けるよう構成される超音波センサ(160)とを含み、超音波センサ(160)はさらに、流体の流体表面からの反射される超音波エネルギを受けることにより第1の信号を生成するように構成される装置が提供される。流体取扱装置を用いる流体取扱システムならびに当該装置およびシステムを用いる方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本願明細書で開示される例は、一般的に、流体を吸引および/または排出する際に用いられる超音波センサを含む装置、方法、およびシステムに関する。より詳細には、本願明細書で開示されるある実施の形態は、非極性流体を吸引および/または排出するのに用いられ得る超音波センサを有する装置、方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
化学処理および生物処理を用いる産業における発展により、商業利用または実験での利用のために化学または生物物質を含む多量の流体を正確かつ自動的に採取する能力への必要性が作り出された。正確性および再現性は、採取されることになる流体が粘性を有するか、または疎水性である場合に特に困難になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
第1の局面に従うと、流体を採取するよう構成される採取プローブと、採取プローブに結合され、超音波エネルギを送るとともに受取るよう構成される超音波センサとを含む装置が提供される。いくつかの例では、超音波センサはさらに、流体の流体表面から反射される超音波エネルギを受取ることにより第1の信号を生成するよう構成されてもよい。
【0004】
ある実施の形態では、超音波センサはさらに、流体を含む流体容器を受けるよう構成される第1の表面から反射される超音波エネルギを検出することにより第2の信号を生成するように構成されてもよい。ある例では、装置は、超音波センサに電気的に結合されるとともに第1の信号および第2の信号を受けるよう構成されるコントローラをさらに含んでもよい。いくつかの例では、装置は採取プローブに流体結合されるシステム流体貯蔵部をさらに含んでもよく、採取プローブはさらに採取プローブを通るようにシステム流体貯蔵部から流体を排出するよう構成されてもよい。ある例では、装置は、採取プローブに流体結合されるとともに、採取プローブ内に試料を吸引するために負の圧力を与えるよう構成されるポンプをさらに含んでもよい。他の例では、ポンプはさらに、吸引した試料を採取プローブから排出するために正の圧力を与えるよう構成されてもよい。付加的な例では、装置は、採取プローブおよび超音波センサを受けるよう構成される移動可能支持部をさらに含んでもよい。ある実施の形態では、採取プローブは採取要素を受けるよう構成されてもよい。他の例では、装置は、複数の採取プローブを含んでもよく、超音波センサが、複数の採取プローブの各々とともに移動可能および利用されるように構成されてもよい。
【0005】
別の局面に従うと、流体取扱システムが提供される。流体取扱システムは、流体容器を受けるよう構成される表面と、少なくとも1つの移動可能支持部と、少なくとも1つの移動可能支持部に結合される採取プローブと、採取プローブに流体結合されるポンプと、少なくとも1つの移動可能支持部に結合されるとともに、流体容器内の流体の流体表面から反射される超音波エネルギを受けることにより第1の信号を生成するよう構成される超音波センサと、第1の信号を受けるとともに、流体容器から流体を吸引するよう、第1の信号に応答して少なくとも1つの移動可能支持部を動かすよう構成されるコントローラとを含む。
【0006】
ある実施の形態では、流体取扱システムの超音波センサはさらに、流体容器を受けるよう構成される表面から反射される超音波エネルギを検出することによって第2の信号を生成するよう構成されてもよく、コントローラはさらに、第1の信号および第2の信号に応答して移動可能支持部を動かすよう構成されてもよい。いくつかの例では、流体取扱システムは、移動可能支持部に結合される複数の採取プローブをさらに含んでもよい。他の例では、流体取扱システムは、移動可能支持部に結合される複数の超音波センサをさらに含んでもよく、複数の採取プローブの各々は複数の超音波センサの1つとともに用いられるために構成される。いくつかの実施の形態では、流体取扱システムは、採取プローブに流体結合されるシステム流体貯蔵部をさらに含んでもよい。付加的な例では、流体取扱システムは、システム流体貯蔵部と採取プローブとに結合されるバルブをさらに含んでもよく、バルブは、流体がシステム流体貯蔵部から採取プローブを通って排出されるのを可能にするよう作動するように構成される。他の例では、流体取扱システムの移動可能支持部は3軸ロボットアームを含んでもよい。ある例では、流体取扱システムの採取プローブは採取要素を受けるよう構成される端部を含んでもよい。いくつかの例では、採取プローブは、吸引した流体を排出した後で採取要素を取り出すよう構成されてもよい。
【0007】
付加的な局面に従うと、複数の採取プローブを含む流体取扱システムが提供される。ある例では、当該システムは、流体容器を受けるよう構成される表面と、少なくとも1つの移動可能支持部と、少なくとも1つの移動可能支持部に各々が結合される複数の採取プローブと、複数のポンプとを含み、複数のポンプの1つが複数の採取プローブの1つに流体結合され、当該システムはさらに、少なくとも1つの移動可能支持部に結合される複数の超音波センサを含み、複数の超音波センサの1つは複数の採取プローブの1つに結合され、超音波センサの各々は流体容器内の流体の流体表面から反射される超音波エネルギを受けることにより第1の信号を生成するよう構成され、当該システムはさらに、第1の信号を受けるとともに、第1の信号に応答して、流体容器から流体を吸引するために移動可能支持部を動かすよう構成されるコントローラを含む。
【0008】
ある実施の形態では、超音波センサはさらに、流体容器を受けるよう構成される表面から反射される超音波エネルギを検出することにより第2の信号を生成するよう構成されてもよく、コントローラはさらに、第1の信号および第2の信号に応答して移動可能支持部を移動させるよう構成されてもよい。付加的な例では、流体取扱システムは採取プローブに流体結合されるシステム流体貯蔵部をさらに含んでもよい。いくつかの例では、バルブはさらにシステム流体貯蔵部に結合されてもよい。他の例では、流体取扱システムの移動可能支持部が3軸ロボットアームを含む。ある例では、採取プローブは採取要素を受けるよう構成される端部を含んでもよい。いくつかの例では、採取プローブは、吸引した流体を排出した後、採取要素を取り出すよう構成されてもよい。
【0009】
他の局面に従うと、流体を採取する方法が提供される。ある例では、当該方法は、超音波エネルギを超音波センサから流体の流体表面に与えることと、流体表面からの反射された超音波エネルギを超音波センサを用いて受けて、採取プローブと流体表面との間の距離を求めることとにより、採取プローブから流体表面までの距離を判定するステップと、選択された量の流体を採取プローブの中に吸引するのに有効な距離だけ採取プローブを流体の中に動かすステップとを含む。
【0010】
ある実施の形態では、この方法は、流体を含む流体容器を受けるよう構成される表面に超音波エネルギを与えるとともに、表面からの反射された超音波エネルギを超音波センサを用いて受け、採取プローブから表面までの距離を判定するステップをさらに含んでもよい。ある例では、この方法は、吸引した流体を第2の流体容器の中に排出するステップをさらに含んでもよい。いくつかの例では、この方法は、採取プローブに流体結合されるシステム流体貯蔵部から採取プローブを通ってシステム流体を排出するステップをさらに含んでもよい。
【0011】
付加的な局面では、炭化水素流体を採取する方法が開示される。ある例では、この方法は、超音波エネルギを超音波センサから炭化水素流体表面に与えることと、炭化水素流体表面からの反射された超音波エネルギを超音波センサを用いて受け、採取プローブと炭化水素流体表面との間の距離を求めることとにより、採取プローブから炭化水素流体表面までの距離を判定するステップを含む。ある実施の形態では、この方法は、採取プローブにおいて、選択された量の流体を炭化水素流体から吸引するよう採取プローブを炭化水素流体の中に移動させる採取距離を判定するステップとを含んでもよく、採取距離は、採取プローブが炭化水素流体の中に動かされる深さを最小限にしつつ選択された量を吸引するように構成される。
【0012】
当該技術のさらなる特徴、局面、例、および実施の形態は、以下にさらに詳細に記載される。
【0013】
ある実施の形態が、以下の図を参照して以下により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ある例に従った、採取プローブと超音波センサとを含む装置の図である。
【図2】ある例に従った超音波センサのブロック図である。
【図3A】ある例に従った、採取プローブの位置に対する超音波センサの配置の図である。
【図3B】ある例に従った、採取プローブの位置に対する超音波センサの配置の図である。
【図3C】ある例に従った、採取プローブの位置に対する超音波センサの配置の図である。
【図4】ある例に従った流体取扱システムのブロック図である。
【図5】ある例に従ったポンプの図である。
【図6】ある例に従った、複数の採取プローブに流体結合される単一のポンプの図である。
【図7】ある例に従った、各々が自身のポンプに流体結合される複数の採取プローブの図である。
【図8】ある例に従った、単一の超音波センサと複数の採取プローブとを含む装置の図である。
【図9】複数の採取プローブと、複数の超音波センサとを含み、当該複数の超音波センサの各々が複数の採取プローブのそれぞれ1つに結合される装置の図である。
【図10A】ある例に従った、流体内に動かされた採取プローブの図である。
【図10B】ある例に従った、流体内に動かされた採取プローブの図である。
【図11】ある例に従った、流体取扱システムの側面図である。
【図12】ある例に従った、試料ラックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
文脈から明確ではなかったとしても、「上」および「下」という用語の利用は、適宜なされるものであって、説明目的のためのものである。さらに、本願明細書で開示される装置およびシステムは、流体を採取するのにいかなる方位においても用いられ得る。さらに、ある寸法、特徴、および構成要素などは、本願明細書に開示される技術のさらなる理解を促すよう、拡大、変形、またはそうでなければ非比例的もしくは非従来的な態様で示され得る。これらの図面の1つ以上の構成要素が他の構成要素に「結合される」と言及される場合、これらの構成要素は仲介部分もしくは構造なしに直接的に接合または接続され得るか、またはこれらの構成要素は1つ以上の付加的および仲介部分もしくは構造を通じて接合または接続され得る。
【0016】
詳細な説明
本願明細書に開示される技術のある特徴、局面、および例は、既存のシステムに対して、粘性のない流体および粘性のある流体、たとえば炭化水素、の自動化された正確および/または高精度な採取を含むがこれらに限定されない大きな利点を提供する。
【0017】
ある例に従うと、本願明細書で開示される装置、システム、および方法は、1つ以上の超音波センサを利用して流体の採取の全体の正確性および精度を増加させるという利点を有する。本願明細書で用いられる「採取」という用語は、本願明細書で開示される流体取扱システムを用いて行なわれ得る吸引および排出ならびに他の流体取扱作業を含む。ある実施の形態では、単一の超音波センサが用いられてもよく、他の実施の形態では、各採取クローブが対応する超音波センサを含んでもよい。各超音波センサは、他の超音波センサから独立して動作するよう構成される。ある例では、当該超音波センサは、少なくとも部分的に、採取プローブを流体の中に下げる距離を制御するのを補助するために用いられてもよい。どれだけ採取プローブを流体の中に下げるかを制御することにより、採取プローブの外側に被覆または吸収される流体の量は減少され得、これにより流体の全体の採取の正確性が増す。
【0018】
いくつかの例では、超音波センサは、反射された超音波エネルギを受取るとともに、当該反射された超音波エネルギに応答して信号を生成するよう用いられ得る。ある例では、当該超音波エネルギは、採取プローブの端部から流体表面までの距離を判定するのに用いられ得る。他の例では、システムを較正および/または流体表面への距離の判定を補助するよう、1つ以上の他の超音波計測が行なわれ得る。このような他の計測は、流体容器を受入れるよう構成される表面への開始距離がわかるようなシステムの較正を含むが、これに限定されない。採取に先立って既知または固定の位置で採取プローブを始動させる実施例においては、このような付加的な計測は、全体の採取時間を増加させ得るので望ましくないかもしれない。ある例では、超音波センサは、超音波エネルギを与え、反射された超音波エネルギを受け得る。その一方、他の例では、1つの超音波センサが超音波エネルギを与えるよう用いられ得、第2の超音波センサが、反射された超音波エネルギを検出するよう用いられ得る。
【0019】
ある例に従うと、超音波センサの利用を含む本願明細書で開示されるシステム、装置、および方法は、採取プローブを流体の中に下げる所望の距離を決定または選択するよう用いられ得る。ある既存の方法では、採取プローブは、当該採取プローブが流体に確実に接触するよう、流体容器の中へとかなりの距離下げられる場合がある。しかしながら、当該流体が粘性を有するか疎水性の場合には、当該流体は採取プローブの外側表面に粘着または付着し得る。このような望ましくない付着により、当該採取要素の外側に付着する流体は望ましくない態様で排出または落下し得るため、採取プローブの全体の正確性が低減される。この付着は、採取量が数マイクロリットルのオーダーの場合に特に有害となる。なぜならば、採取要素への流体の付着が少量であっても、大きな採取誤差が導入され得るからである。超音波センサを用いると、流体の表面への距離が判定され得、採取要素は、当該採取要素の外側表面と流体との間の不必要な接触を低減または最小化しつつ、当該採取要素の中に所望の量の流体を吸引するのに好適な距離だけ流体の中に下げられ得る。採取されることになる流体は、粒状物質を含み得、極性または非極性であり得、粘性を有するかもしくは相対的に粘性を有し得ないか、有色もしくは無色であり得、透明もしくは不透明であり得、または他の物理的もしくは化学的特性を含み得る。このような装置、システム、および方法は特に、たとえば炭化水素燃料(たとえばガソリン、ディーゼル燃料、灯油など)、潤滑油、オイル、ワックス、グリコール、芳香族、フェノール、スターチまたは砂糖溶液、天然産物(たとえば、蜂蜜、糖蜜、ピーナツオイル、およびその他の植物オイル)、エーテル、塩基性溶液(たとえば30%のNaOH)、酸性溶液(たとえば60〜100%のH2SO4)、タール、および他の粘性を有する流体といった粘性を有する流体について特に有用である。いくつかの例では、本願明細書で開示される装置、システム、および方法は、粘性が50cPs以上である流体について特に有用である。本願明細書で開示される装置、システムおよび方法は粘性を有する流体の採取に用いられ得るが、本願明細書で開示される装置、システム、および方法によって与えられる正確性および精度の増加によりさらに、これらは、たとえば水溶液ベースの溶液、たとえば50cPs以下の粘性を有する流体のような非粘性の流体とともに用いられ得る。
【0020】
ある例では、本願明細書で開示される装置、システム、および方法は選択された量の流体を吸引するよう用いられ得る。吸引とは、採取プローブの中に流体を引込む、吸込む、またはそうでなければ移動させるということを指す。採取プローブの中に吸引される厳密な量は、流体の意図する最終用途、たとえば化学分析およびアレイ製作などに依存して変動し得る。いくつかの例では、採取プローブに吸引される流体の量は、約0.1マイクロリットルから約10ミリリットル、より特定的には、約1マイクロリットルから約1ミリリットルで変動し得、たとえば約1mLである。吸引の後、採取プローブに引込まれた選択された量の流体が、所望の容器の中または所望の表面上に排出され得る。いくつかの例では、採取プローブにおける流体の全部の量が容器の中に排出され得る。他の例では、採取プローブの中に吸引される合計量よりも少ない量が排出され得る。ある例では、採取プローブは、所望の容器または所望の表面にシステム流体を排出するのに用いられてもよい。いくつかの例では、システム流体は、すべての吸引された流体が採取プローブから除去されるのを確実とするよう、採取プローブを洗い流すのに用いられてもよい。この開示の利点が与えられた当業者ならば、本願明細書において開示される装置、システム、および方法を用いて吸引および排出を行なう付加的な方法を容易に選択するであろう。
【0021】
ある実施の形態に従うと、超音波センサに結合される採取プローブは、流体を吸引および/または排出するのに用いられ得る。図1において、超音波センサに結合される例示的な採取プローブが示される。装置100は、採取プローブ120に結合される移動可能支持部110を含む。採取プローブ120は、移動可能支持部110内の中心に配置され得る。採取プローブ120は、固定または取外し可能であり得る採取要素130に結合またはこれを含み得る。ある実施の形態では、採取要素130は、負の圧力が適用される際、たとえば吸引の際に流体を受入れ、正の圧力の適用の際、たとえば排出の際に当該流体を放出し得る中空の中心キャビティを含むピペットの先端部の形態を取り得る。さまざまなサイズの採取要素が、異なる採取量を提供するよう用いられてもよい。装置100の動作の間、選択された量の流体が、表面150上に存在する流体容器140のような流体源から採取要素130の中に吸引され得る。吸引の後、装置100は、当該吸引された流体を別の入れ物または容器(図示せず)に排出し得る。
【0022】
ある例では、採取プローブ120は、採取要素130の中への流体の吸引に先立って、流体容器140の中に、選択された距離だけ下げられ得る。採取プローブ120が下げられる距離は、採取プローブ120に結合される超音波センサ160によって判断され得る。超音波センサ160は、たとえば流体容器140内の流体の流体表面といった表面に超音波エネルギを与えるとともに、当該流体表面からの採取プローブの距離を判断するために流体表面からの反射されたエネルギを受取るよう構成され得る。いくつかの例では、超音波エネルギは、パルスの形態で与えられ得、反射されたエネルギはたとえば、エコーとして受取られ得る。パルスが送られてからエコーが受け取られるまでかかった時間が、流体表面からの採取要素の位置の距離を判定するのに用いられ得る。採取要素130の端部と流体容器140における流体の流体表面との間の差を確認または判定することにより、採取プローブ120は、選択されたまたは所望の量の流体が採取要素130の中に吸引され得るように流体の中に所望の距離だけ下げられ得る。採取プローブ120が流体の中に下げられる距離を制御することにより、採取要素130の外側に被覆または吸収され得る流体の量が低減され得、これにより装置100を用いる吸引の全体の正確性および精度が増加する。
【0023】
ある例に従うと、超音波センサ160の動作の間、流体容器内の流体面への距離は、既知の距離を用いてセンサを較正することによって判定され得る。たとえば、超音波センサ160は、採取プローブ120の採取要素130からの距離がわかっている表面150に超音波エネルギを与え得る。このような既知の距離は、較正ルーチン内に格納され得る。較正ルーチンは、好適なコントローラによって実行される場合、移動可能支持部110を表面150から既知の距離に配置または位置決めし得る。超音波センサによる反射エネルギの受取により、たとえば較正信号といった信号の生成が行なわれ得、当該信号はコントローラに送られ得る。較正信号は、当該コントローラに格納され、採取プローブ120を下げる距離を決定するよう用いられ得る。たとえば、信号は、流体容器内の流体面の検出に応答して生成され得る。たとえば、流体面信号は、超音波エネルギを与えるとともに、当該流体の表面によって反射される超音波エネルギを受取ることによって生成され得る。較正信号は、流体容器内の流体に接触するようどれだけ採取プローブが下げられるべきかを判定するために、流体面信号とともに用いられ得るか、または当該流体面信号と比較され得る。代替的な構成では、較正曲線が、多くの異なる距離で反射された超音波エネルギを用いて流体面信号に応答して採取プローブを下げる距離を判定するように生成または用いられ得る。流体面を検出するとともに、好適なまたは選択された距離だけ当該流体内に採取プローブを下げるよう超音波センサを用いる付加的な方法は、この開示の利点を与えられた当業者によって容易に選択されるであろう。
【0024】
ある例に従うと、本願明細書に開示される装置、システム、および方法において用いられ得る超音波エネルギの厳密な周波数は、採取されることになる流体および超音波センサのタイプなどに依存して変動し得る。ある実施の形態では、超音波センサは、約20kHzから約200MHzの間、たとえば約250kHzから約400kHzの周波数を有するエネルギを与え得る。いくつかの例では、超音波センサは、約1〜10インチ、より詳細には約2〜8インチの間の距離を検出するのが効果的であるように選択される。しかしながら、超音波センサが送る超音波エネルギの出力を増加または減少させることにより、表面または流体から超音波センサが配置される距離を増加または減少させるのが望ましい場合もある。ある実施の形態では、超音波センサは、1つの超音波センサからのエネルギが他の超音波センサからの超音波エネルギと干渉しないように円錐状の超音波エネルギを提供し得る。例示的な超音波センサのブロック図が図2に示される。超音波センサ200は、トランスデューサ220に超音波エネルギを提供するトランスミッタ210を含む。トンラスデューサ220は、たとえば、圧電セラミック結晶を含み得るものである。所望のエネルギプロファイルを提供するよう、多くの異なるタイプのトンラスデューサ構成が用いられ得る。トンラスデューサ220は、トランスミッタ210から表面に超音波エネルギを提供する。エネルギが表面から反射されるとともにトンラスデューサ220上に放射されると、反射信号はレシーバ230に供給される。レシーバ230は、表面または流体から反射エネルギを受取るとともに、反射エネルギのタイプ、レベル、または波長をプロセッサに与え得る。レシーバ230は、プロセッサ240に電気的に結合され得る。プロセッサ240は、反射データを格納ならびに/または反射データおよび/もしくは送信データを用いて距離を計算するよう1つ以上のリストまたはアルゴリズムを含み得る。プロセッサ240はさらに、採取プローブが流体の中に所望の距離だけ下げられるように移動可能支持部の移動を実行する信号を送るように構成され得る。表面への距離を示す信号を提供するための他の代替例、またはデータを距離の判定のためにプロセッサに与えるための他の代替例は、この開示の利点が与えられた当業者によって容易に選択されるであろう。本願明細書において開示される流体取扱システムにおける利用に好適な例示的な超音波センサは、バウマー・エレクトリックAG(Baumer Electric AG)(スイス)から商業的に入手可能なもの、たとえばモデル番号UNDK10U6914を含むが、これらに限定されない。
【0025】
ある実施例では、超音波センサを含む装置またはシステムの周りにシールドを含むのが望ましい場合がある。このようなシールドは、外部の音波からの干渉を防止または低減するとともに、超音波エネルギが超音波センサの近くの他の機器または装置と干渉するのを防止または低減し得る。このようなシールドは、超音波センサに直接的に取付けられ得る。たとえば、超音波センサの取囲み部に取付けられ得る。または、当該シールドは外部のものであり得、超音波センサに直接的に取付けられなくてもよい。例示的な超音波シールドは、超音波エネルギを吸収し得る金属ホイル、発泡体、またはその他の金属からなるか、これらを含み得る。
【0026】
ある実施の形態では、超音波センサは1つ以上の嵌合部または取付け部を用いて採取プローブに結合され得る。ある例では、張出しバー170(図1参照)が移動可能支持部110および/または採取プローブ120に超音波センサ160を結合するよう用いられ得る。ある例では、採取プローブ120の位置に対して、表面に超音波エネルギを送るおよび受取るよう超音波センサ160の利用を可能にする任意の位置に配置され得る。図1に示される例では、張出しバー170が採取プローブ120の左側に超音波センサ160を配置する。図3A〜図3Cに示されるように、超音波センサ310は、採取要素320(図3A)の右側に配置されてもよく、超音波センサ330は採取要素320の前側(図3B)に配置されてもよく、超音波センサ340は、採取要素320の後ろ側(図3C)に配置されてもよく、または超音波センサはこれらの例示的な位置の間の任意の位置に配置されてもよい。いくつかの例では、超音波センサは、超音波センサの本体が採取プローブの本体の部分を取囲むように採取要素を受入れるよう構成される貫通孔または開口部を有するよう構成され得る。採取プローブの配置に対する超音波センサの配置は限定されない。同様に、表面または流体に対する超音波センサの配置は、超音波センサが送るエネルギが表面または流体に接触するならば、限定されない。ある実施の形態では、超音波センサから表面または流体への垂直方向の距離は、約1〜9インチの間であり得、より詳細には、約2〜7インチであり得、たとえば約3〜6インチであり得る。さらに、ある実施の形態では、移動可能支持部110は、表面または流体表面からの超音波センサの距離を増加または減少させるよう垂直方向に移動され得る。
【0027】
ある例では、超音波センサの1つ以上が、ガントリシステムか、または採取プローブを搭載するよう用いられる支持部とは別個の独立した移動可能支持部に搭載または結合され得る。この移動可能支持部は、採取プローブとともに移動し得るか、または採取プローブとは独立して移動し得る。別個の移動可能支持部に搭載される超音波センサを搭載および制御するための好適な装置は、この開示の利点が与えられた当業者によって容易に選択されるであろう。
【0028】
ある例に従うと、本願明細書で開示される採取プローブの1つ以上、たとえば超音波センサを含むものは、流体取扱システムにおいて用いられ得る。例示的な流体取扱システムのブロック図が図4に示される。流体取扱システム400は、バルブ440と流体導管435とを通じてポンプ420およびシステム流体貯蔵部430に流体結合される採取プローブ410を含む。システムコントローラ450は、採取プローブ410、ポンプ420、およびバルブ440に電気的に結合され、流体容器からまたは流体容器への流体の吸引および排出を制御、および/またはシステム流体貯蔵部430からの流体の排出を制御する。ロボットシステム460は、採取プローブ410に機械的に結合され、3方向、たとえばx軸、y軸、および/またはz軸方向に採取プローブ410を移動させるよう動作する。このようなロボットシステム460は、本願明細書におけるある例において、3軸ロボットシステムとして言及される。流体取扱システム400は、選択された量の流体を採取プローブ410の中に吸引し得、当該吸引された流体を排出、および/またはシステム流体貯蔵部430からの選択された量のシステム流体を採取プローブ410を通るように排出し得る。採取プローブ410は典型的には、コントローラ450に電気的に結合される超音波センサを含むか、当該超音波センサに結合される。
【0029】
ある実施の形態では、ポンプ420は注射器ポンプとして構成される。この注射器ポンプの1つ以上の構成要素は、所望の量が採取プローブの中に吸引され、採取プローブ410から排出されるか、または採取プローブ410を通るようにシステム流体貯蔵部430から排出されるように離散的なステップで移動するかまたは移動されるよう動作可能であり得る。図5に示される1つの実施の形態では、ポンプ420はステッパモータ510と、ステッパモータ520と、注射器530とを含み得る。注射器530は、チューブ532と、ギアの連なりおよびベルト(図示せず)を通じてステッパモータ510に機械的に結合されるプランジャ534とを含み得る。ステッパモータ510の動作により、プランジャ534がチューブ532の中で特定の数の離散ステップだけ上または下に移動する。プランジャ534はチューブ532に対して流体密封シールを形成する。一実施の形態では、注射器530は5mLの利用可能な容量を有する(他の容量、たとえば100マイクロリットルから25mLの注射器も可能である)。当該容量は、1回の完全なストロークでプランジャ534が変位させ得るシステム流体の量である。選択された動作モードにより、ステッパモータ510は、プランジャ534のフルストロークごとに3000または12000の離散的なステップを行なうことができ得る。1つの好ましい実施の形態では、ステッパモータ510は、プランジャ534のフルストロークごとに12000ステップを行なうよう命令される。各ステップにおいて、約0.417マイクロリットルの流体が変位される。ポンプ420は、採取プローブをポンプに流体結合するバルブ538を含み得る。または、バルブ538は省略されてもよく、バルブ440のような好適なバルブが、ポンプ420を採取プローブに結合するよう流体接続して配置され得る。流体取扱システムにおいての利用に好適なポンプは、TECAN Agから商業的に入手可能なCAVRO XLP3000である。
【0030】
ある例に従うと、ポンプ420を用いて流体を吸引するよう、コントローラ450から1つ以上のコマンドにより、ポンプ420内のステッパモータ510が採取プローブ410の中に離散的な量の流体を吸引する。ポンプ420はさらに、流体移動の間に採取プローブ410を洗浄するよう用いられ得るとともに、システム流体貯蔵部430における圧力を制御するよう用いられ得る。いくつかの実施の形態では、ポンプ420はさらに、システム流体貯蔵部からの流体を流体取扱システムに供給するとともに、採取プローブ410からの吸引流体を排出するよう用いられ得る。流体取扱システム400に供給するために、コントローラ450はロボットシステム460に命令して、ロボットシステム460上に含まれる洗浄ステーションの上に採取プローブ410を配置する。初期化制御信号がコントローラ450によってポンプ420に送信され得、これによりバルブ440が回転し、ポンプ420およびシステム流体貯蔵部430を接続する。制御信号はさらに、ステッパモータ510がプランジャ534をその上部最大延在地点(図5のおける位置1)へとチューブ532内に移動させる。コントローラ450からの次のコマンドにより、ステッパモータ510は、チューブ532内においてプランジャ534をその最大下延在地点(図5の位置2)までプランジャ534を移動させる。これにより、システム流体がシステム流体貯蔵部430から抽出される。コントローラ450からの別のコマンドは、バルブ440を再び回転させるよう命令し、これによりポンプ420が流体導管435と流体接続する。コントローラ450からポンプ420への次のコマンドにより、ポンプ420の中のシステム流体は採取プローブ410の中に押出され得る。流体取扱システム400は典型的には、約10000ミリリットルのシステム流体が供給されることを必要とするので、上述したステップのシーケンスは流体取扱システム400に完全に供給するよう繰り返され得る。ある実施の形態では、ポンプは複数の採取プローブに流体結合され得る。この構成の例が図6に示される。ポンプ610は、採取プローブ620、630、640、および650に、それぞれ流体導管622、632、642、および652を通じて流体結合される。(バルブが採取プローブとポンプとを流体結合するよう構成される場合)流体が採取プローブの各々を通じて吸引または排出されるように、または(バルブがポンプと採取プローブの1つ以上との間の流体結合を中断させるよう構成される場合)採取プローブのすべてより少ないものが流体を吸引および/または排出するよう用いられるように、1つ以上のバルブ(図示せず)が流体導管内に含まれてもよい。いくつかの例では、各採取プローブは、採取プローブとポンプとの間の個々の流体結合部または導管を通じてポンプ610に流体結合され得る。他の例では、共通のマニホルドが、採取プローブを流体ポンプに流体結合してもよい。採取プローブをポンプに流体結合するための好適な他の方法および装置を選択することは、この開示の利点が与えられた当業者の能力の範囲内である。ポンプ610の動作において、ポンプの注射器は、採取プローブの中に流体を引込むよう負の圧力が採取プローブに存在するようにコントローラからの信号に応答して作動され得る。流体を排出するために、他の信号がコントローラから送られ得、これにより流体が採取プローブから強制的に出されるように注射器ポンプの作動によって正の圧力が適用される。多くの場合では、ひと度流体が採取プローブの中に吸引されると、コントローラは採取プローブが結合される移動可能支持部に信号を送り得る。当該移動可能支持部の移動により、流体が異なる容器、たとえばマイクロタイタープレート、ウェルプレート、またはテストチューブなどに排出されるのを可能にする。排出の後、システム流体は、採取プローブを通って、たとえば吸引された流体が排出されるのと同じ容器の中に排出され得る。
【0031】
他の実施例では、各採取プローブがその各々のポンプを含み得る。この構成の例示は図7に示される。採取プローブ705、710、715、720、725、730、735、および740は、それぞれポンプ750、755、760、765、770、775、780、および785に流体結合される。いくつかの例では、採取プローブおよび/またはポンプの各々は、コントローラが選択的に信号をポンプの1つ以上に送り、作動されたポンプに流体結合される採取プローブを用いて流体を吸引または排出するようにアドレスを有し得る。このようなアドレス付けは、1つの採取プローブ、採取プローブのサブセット、または採取プローブのすべての利用を可能にする。さらに、任意の1つの採取プローブによって吸引される流体の量は、そのそれぞれのポンプを異なる量にて作動することにより、他のいかなる採取プローブとも異なる量になるように選択され得る。
【0032】
いくつかの例では、バルブは2つ以上のポートを流体結合し得るL字形状の通路を含む4ポートバルブとして構成され得る。たとえば、当該L字形状の通路は、注射器が移動する際に採取プローブが吸引または排出し得るように採取プローブに注射器を流体結合し得る。L字形状の通路を選択された量、たとえば90度回転させることにより、採取プローブは異なるポート、たとえばシステム流体貯蔵部に接続されるポートに結合され得る。たとえば、当該ポートは、供給、洗い流し、または洗浄のために、採取プローブにシステム流体を与える別のポンプに接続され得る。好適なバルブは、たとえば、商業的に入手可能なTecan CavroポンプのTecanから入手可能である。
【0033】
ある例に従うと、本願明細書に開示される流体取扱システムのシステム流体貯蔵部430は、採取されることになる流体に依存して組成および特性が選択される流体を含み得る。いくつかの例では、システム流体は、流体が採取プローブから排出された後で採取プローブを洗浄するよう用いられ得るように選択される。いくつかの実施の形態では、システム流体は蒸留水か、または洗剤もしくは他の洗浄剤の水溶液であり得る。洗浄の後、当該採取プローブは蒸留水で洗い流され、残留する洗浄剤を採取プローブから洗い落とす。採取されることになる流体が非水溶性、たとえばガソリンまたはオイルといった炭化水素である実施の形態においては、システム流体は同様に非極性であってもよい。たとえば、採取されることになる流体がオイルの場合、システム流体は灯油、ヘキサン、または他の実質的に非極性の流体であり得る。
【0034】
ある実施例では、システム流体は、好適な濃度にあるか、分析のために好適な特性を示すように、採取されることになる流体を希釈するよう用いられ得る。たとえば、希釈された流体が光学計測、たとえば吸光度、蛍光性または他の光学計測について好適であるような流体で不透明な試料を希釈するのが望ましい。他の実施の形態では、当該流体における反応物が所望の濃度で存在するように、採取されることになる流体を希釈するのが望ましい。たとえば、基材または酵素などが、システム流体を用いて、分析の前に好適な濃度に希釈され得る。いくつかの実施の形態では、複数の採取プローブの各々が、採取されることになる流体から均等な量を吸引し得、作り出される異なる濃度を用いて異なる採取プローブが標準曲線を生成するように異なる量の流体を排出し得る。
【0035】
ある例に従うと、移動可能支持部のロボットシステム460は、3軸における移動のために構成され得る。z軸は、採取プローブの長手方向軸に実質的な平行な垂直方向の軸になるように任意に選択され得る。超音波センサによる計測は、このz軸に沿ってどれだけ移動可能支持部が下げられるかを制御するよう用いられ得る。ロボットシステムは、当該採取プローブを他の方向、たとえばx方向およびy方向に平行移動させ、z軸に垂直な方向に採取プローブを移動させるよう構成され得る。例示的な3軸のロボットシステムは、(イリノイ州(Ill)、ダウナーズグローブ(Downers Grove)の)パッカード・インストルメント・カンパニー(Packard Instrument Company;現在はマサチューセッツ州(MA)のウォルサム(Waltham)のパーキンエルマーInc.(PerkinElmer, Inc)の一部)によって製造されるもの、たとえばMultiProbe CR10100と、パーキンエルマーInc.から商業的に入手可能なJanus(商標)システムにおいて共通に存在し得るものとを含む。
【0036】
ある実施の形態に従うと、本願明細書に開示される流体取扱システムは、単一の超音波センサと、複数の採取プローブとを有するよう構成されてもよい。この構成の例示が図8に示される。このシステムは、移動可能支持部910と、超音波センサ920と、4つの採取プローブ930、940、950、および960とを含む。採取プローブ930、940、950、および960の各々は、独立して流体を吸引および排出し得る。さらに、採取プローブ930、940、950、および960の各々は、システム流体貯蔵部(図示せず)に流体結合され得る。超音波センサ920は移動可能支持部上に位置決めされてもよく、またはたとえば図1および図3A〜図3Cを参照して記載したように張出しバーを用いて位置決めされてもよい。超音波センサ920はさらに、採取プローブの長手方向軸に垂直な方向に平行移動され得るようにトラックまたはスライド970の上に位置決めされてもよい。このような平行移動により、採取プローブ930、940、950、および960の各々の下の流体面を検出するよう超音波センサを用いることが可能になる。たとえば、超音波センサ920は、超音波センサ920を移動可能支持部910上の位置Aに位置決めすることによって採取プローブ930に結合され得る。超音波エネルギが、採取プローブ930の下の表面(図示せず)に与えられ得、その反射されたエネルギが、採取プローブ930から流体への距離を判定するのに用いられ得る。採取プローブ930についてのこの距離の計測の後、超音波センサ920は位置Bに移動され得、超音波センサ920を採取プローブ940に結合する。このプロセスは、採取プローブ930、940、950、および960の各々についての距離の計測が実行されるまで、たとえば移動可能支持部910上の位置C、次いで位置Dに超音波センサを移動させることにより繰返され得る。すべての距離の計測が行なわれた後、異なる採取プローブ930、940、950、および960は独立して、流体が採取プローブ930、940、950、および960の各々の中に吸引され得るように好適な距離だけ下げられ得る。
【0037】
ある実施の形態では、超音波センサ920は、超音波センサ920をトラック970に沿ってさまざまな位置に移動させるよう構成されるモータに結合され得る。このモータは、ステッパモータ、リニアモータ、および圧電モータなどを含むがこれらに限定されない多くの構成を取り得る。超音波センサを移動させるための付加的な好適なモータは、この開示の利点を与えられた当業者によって容易に選択されるであろう。超音波センサはさらに、超音波センサが送るおよび受取るさまざまなデータがコントローラに提供され得るとともに、流体表面からの任意の特定の採取プローブの距離を判定するのに用いられ得るように電気的にコントローラに結合される。いくつかの例では、コントローラに提供されるデータは、各採取プローブのためのデータおよび/または距離計算がリストまたはテーブルに加えられ得るように採取プローブの1つに対応する一意のアドレスに関連付けられる。このようなリストまたはテーブルは、各採取プローブが流体に接触および/または流体を吸引/排出するのにどれだけ下げられ得るかを求めるのに用いられ得る。
【0038】
ある例に従うと、本願明細書に開示される流体取扱システムは、複数の採取プローブの各々について超音波センサを有するよう構成されてもよい。この構成の例示が図9に示される。このシステムは、移動可能支持部1010と、採取プローブ1050、1055、1060、および1065のそれぞれのための超音波センサ1020、1025、1030、および1035とを含む。採取プローブ1050、1055、1060、および1065の各々は、独立して流体を吸引および排出し得る。さらに、採取プローブ1050、1055、1060、および1065の各々は、システム流体貯蔵部(図示せず)に流体結合され得る。超音波センサ1020、1025、1030、および1035は、移動可能支持部の上に直接的に配置されてもよく、または、たとえば、図1および図3A〜図3Cを参照して記載したように張出しバーを用いて位置決めされてもよい。超音波センサ1020は、採取プローブ1050の下の表面に超音波エネルギを送るとともに、当該表面から反射された超音波エネルギを受けるよう構成され得る。超音波センサ1025は、採取プローブ1055の下の表面に超音波エネルギを送るとともに、当該表面から反射された超音波エネルギを受けるよう構成され得る。超音波センサ1030は、採取プローブ1060の下の表面に超音波エネルギを送るとともに、当該表面から反射された超音波エネルギを受けるよう構成され得る。超音波センサ1035は、採取プローブ1065の下の表面に超音波エネルギを送るとともに、当該表面から反射された超音波エネルギを受けるよう構成され得る。超音波センサ1020、1025、1030、および1035の各々は、他の超音波センサと独立して動作し得、超音波エネルギは、他の超音波センサが送るのと同時または連続して、超音波センサの各々によって送られ得る。各採取プローブのために超音波センサを含むことにより、全体の設計が簡略化される。なぜならば、超音波センサを移動可能支持部に沿って異なる位置に移動させるために付加的な機械部分を必要としないからである。超音波センサ1050、1055、1060、および1065の各々は、送出および反射データが、それぞれの採取プローブが流体に接触するおよび/または流体を吸引/排出するよう下げられるべき距離を判定するのに用いられ得る場合、コントローラ(図示せず)に当該データを提供し得る。
【0039】
ある例では、採取プローブ同士の間の厳密な間隔は変動し得る。例示的な採取プローブの間隔は、約4.5mmから約100mmであり、より詳細には、約8.5mmから約40mmであり、たとえば約8〜10mmである。いくつかの実施の形態では、超音波センサは、そのエネルギ送出プロファイルが先端部の間隔より小さく、これにより超音波センサ同士の間の干渉を低減または回避するように選択され得る。たとえば、採取プローブが約8〜10mm、たとえば約9mmの間隔で配置される場合、超音波センサは、そのそれぞれの採取プローブの下の表面を検出するようエネルギを送るが、近傍の超音波センサと干渉する広いパターンのエネルギは送らないように選択され得る。
【0040】
図8および図9に示される流体取扱システムは4つの採取プローブを有するよう構成されるように示されるが、他の実施の形態では、たとえば3つ、2つ、または1つといったより少ない採取プローブ、またはたとえば少なくとも5つまたは少なくとも8つの採取プローブといったより多くの採取プローブが存在してもよい。さらに、2つの超音波センサが2つより多い採取プローブ、たとえば4つの採取プローブとともに用いられてもよい。これにより、各センサは、異なるときに、1つ以上の採取プローブの上に位置決めされ得る。同様に、4つの超音波センサが4つより多い採取プローブ、たとえば8つの採取プローブとともに用いられてもよい。これにより、超音波センサの1つ以上が移動可能となり得、採取プローブの2つ以上のために超音波データを提供し得る。採取プローブよりも少ない超音波センサを用いる付加的な構成は、この開示の利点が与えられた当業者によって容易に選択されるであろう。
【0041】
ある例に従うと、流体取扱システムのコントローラは1つ以上のアルゴリズムを含み得る。当該アルゴリズムは、1つ以上の超音波センサから入力を受取り、当該入力を用いて流体表面までの距離を判定し、採取されることになる流体の中に採取プローブを下げるのに十分な距離だけ採取プローブを垂直方向に移動させる出力を提供するように設計され得る。いくつかの例では、距離がリストに書込まれ、当該リストがソフトウェアによってその後読取られ、採取プローブの移動を引起すようにアルゴリズムによってリストが生成され得る。超音波計測が必要でない場合は、当該ソフトウェアはリストを無視するか、エントリを有さないリストを読取り、超音波データに基づく距離計算の代わりにユーザ入力に基づき採取プローブを移動させる。本願明細書で開示される流体取扱システムとともに用いられるのに好適な例示的なソフトウェアは、パーキンエルマーInc.(マサチューセッツ州のウォルサム)から商業的に入手可能なJanus(商標)システムとともに入手可能なWinPrep(登録商標)ソフトウェアを含むが、これに限定されない。
【0042】
いくつかの例では、コントローラは流体取扱システムの表面上において流体容器の移動を制御するよう構成されてもよい。たとえば、超音波計測および採取プローブからの流体の吸引を促進するよう、採取プローブの位置に対して流体容器を移動させるのが望ましい場合がある。当該流体容器は三次元に移動され得るか、またはある例では、当該流体容器は二次元または一次元に動かされ得る。例示的な流体容器は、マイクロタイタープレート、ウェルプレート、テストチューブ、Eppendorf(登録商標)チューブ、円錐バイアル、遠心分離管、低温バイアル、ビーカー、および丸底フラスコなどを含むがこれらに限定されない。いくつかの例では、流体容器は、たとえば流体容器の底部を開口部またはスロットの中に挿入することにより流体容器を保持するよう構成される表面上に配置されてもよい。
【0043】
ある例に従うと、本願明細書に開示される流体取扱システムにおける利用のための採取プローブは、当該採取プローブの底部に流体結合される取外可能または除去可能な採取要素を含み得る。この採取要素は、流体が吸引および排出される部位である。流体を採取要素の中に吸引することにより、採取プローブの本体は流体に接触しない。流体への接触は、採取プローブの汚染へと繋がり得る。いくつかの例では、採取要素は、採取要素への採取プローブ本体の摩擦嵌合によって採取プローブに取付けられ得る。このような嵌合は、採取プローブによって採取要素を保持するには十分な力で採取要素に接触するようz方向に採取プローブを動かすことにより自動的に行なわれ得る。採取プローブ/要素は次いで、採取要素の中への流体の吸引に先立って、超音波センサにより、超音波送出のために異なる位置に移動され得る。採取要素に用いられる例示的な材料は、ポリマー、プラスチック、ポリテトラフルオロエチレン、およびほとんどの流体または溶媒に対して概して非反応性である他の材料を含むが、これらに限定されない。採取要素についての例示的な容量は、約1マイクロリットルから約10ミリリットルまでで変動し得る。
【0044】
ある例では、流体の吸引および排出の後、採取要素は、流体を採取要素の中に吸引することにより洗浄されるか、または再利用の前に採取要素を通るようにシステム流体貯蔵部から流体を流すことにより洗浄され得る。他の例では、採取要素は、1度用いられると、採取プローブから取外されるまたは取出される。たとえば、1つ以上の平行ロッドが、採取プローブ本体の近傍に搭載され得る。当該ロッドは固定されるが、採取プローブは垂直方向に移動され得、採取要素によるロッドの接触の際には、当該採取要素は取出される。いくつかの例では、各採取プローブは、すべての採取要素が同時に取出され得るか、またはすべての採取要素よりも少ない採取要素が取出されるように個々の採取要素が制御され得るように、その近傍に搭載されたそれぞれのロッドを有し得る。ある例では、システム流体がより高速に排出されるように、採取プローブを介するシステム流体の排出に先立って採取要素を取出すのが望ましい場合がある。
【0045】
ある例に従うと、付加的な構成要素が本願明細書で開示される流体取扱システムに含まれてもよい。付加的な構成要素には、たとえば、動作状態、たとえば超音波センサがオンまたはオフであるかどうかを示す状態ライト、圧力制御システム、グリッパーアーム、および付加的なロボットアームなどが含まれる。たとえば圧力制御システムのような例示的な付加的構成要素は、共通に譲渡される米国特許番号第6,079,283号、第6,203,759号、および第6,537,817号において記載され、これらの各々は参照により本願明細書において援用される。流体取扱システム内に含むための付加的な構成要素は、この開示の利点が与えられた当業者によって容易に選択されるであろう。
【0046】
ある例に従うと、流体を採取するよう超音波センサを用いる方法が提供される。いくつかの例では、採取プローブから流体表面への距離が求められ、有効な距離だけ採取プローブを流体の中に下げるのに用いられ得る。いくつかの例では、当該距離は、超音波センサから流体容器内の流体の流体表面へ超音波エネルギを与えるとともに、流体表面から反射された超音波エネルギを超音波センサを用いて受け、採取プローブと流体表面との間の距離を判定することにより求められ得る。この距離がわかると、採取プローブは有効距離だけ流体の中に下げられ得、流体容器から採取プローブの中に選択された量の流体を吸引する。吸引の後、当該流体は他の流体容器の中へと排出され得る。
【0047】
ある実施の形態において、当該方法は、流体容器を受入れるよう構成される表面に超音波エネルギを与え、超音波センサを用いて、反射された超音波エネルギを受取って採取プローブから当該表面への距離を判定するステップを含み得る。このステップは、たとえば、採取プローブが流体容器を受入れるよう設計された表面から離れた距離を判定するのに用いられてもよく、または1つ以上の較正ステップにおいて用いられてもよい。しかしながら、採取プローブの開始または初期位置から当該表面への距離がわかっている場合は、装置は、いかなる超音波計測にも先立ってこの位置に自身をリセットし、このステップは省略され得る。表面への距離がわかっていても、装置がそのゼロ位置から外れないのを確実とするようこのステップを行なうことが望ましい場合がある。いくつかの例では、この方法はさらに、採取プローブに流体結合されるシステム流体貯蔵部からシステム流体を採取プローブを通るように排出するステップをさらに含んでもよい。このようなシステム流体の排出は、たとえば、採取プローブを洗い流すかまたは排出された試料を希釈するのに用いられてもよく、または他の目的のために用いられてもよい。
【0048】
ある実施例に従うと、炭化水素流体の中に採取プローブが下げられる深さを最小化するよう炭化水素流体を採取する方法が開示される。本願明細書で論じられるように、採取要素の外側表面を炭化水素流体に接触させる程度を最小化するのが望ましい場合がある。なぜならば、炭化水素流体は、採取要素の外側表面に付着または吸収し得るからであり、これにより量が不正確になり、かつ流体取扱システムの精度が減少することに繋がり得る。この採取の例示が図10Aおよび図10Bに示される。図10Aにおいて、採取プローブ1110が、選択した量の流体1120を採取プローブ1110内に吸引するのに必要とされるよりはるかに深い距離まで流体1120内に下げられる。このような下げすぎにより、流体1120に接触する採取プローブ1110の外側表面の量が増加することになり、これにより流体1120が採取プローブ1110の外側表面に付着または吸収し得る可能性を増加させる。排出の間、外側表面に付着した流体は、重力または採取プローブの動きにより落下し得る。この落下により、採取された量が不正確になり得る。図10Bを参照して、採取プローブ1150は、選択された量が採取プローブ1150に吸引され得るように流体1160内に最小の距離だけ下げられるとともに、流体1160に露出する採取プローブ1150の外側表面の量を最小化または低減する。
【0049】
ある例において、採取プローブ1150を流体1160の中に下げるのに用いられる厳密な最小距離は、吸引されることになる流体の量により変動し得る。いくつかの例では、流体に接触する外側表面の量を最小限にするように、選択された量の一部を吸引し、次いでさらに流体の中に採取プローブを下げるのが望ましい場合がある。たとえば、約0.25mLの流体を採取プローブの中に吸引し、採取プローブを下げ、さらに0.25mL吸引し、このプロセスを所望の合計量が採取プローブの中に吸引されるまで繰返してもよい。代替的な方法では、採取プローブが下げられる際に流体が連続的に採取プローブ内に引込まれるように、採取プローブは流体が吸引されているときに一定の速度で下げられてもよい。流体に接触する採取プローブの表面の量を最小化または低減しつつ流体を採取する付加的な方法は、この開示の利点を与えられた当業者によって容易に選択されるであろう。
【0050】
ある例では、炭化水素流体が、採取プローブから当該炭化水素流体表面までの距離を判定することにより採取され得る。当該判定は、超音波センサから流体容器内の炭化水素流体表面に超音波エネルギを与え、当該炭化水素流体表面から反射された超音波エネルギを超音波センサを用いて受取り、これにより採取プローブと炭化水素流体表面との間の距離を求めることによってなされる。これらの計測は、採取プローブにおいて、炭化水素流体から選択された量の流体を吸引するよう、炭化水素流体内に採取プローブを下げる採取距離を判定または計算するのに用いられ得る。採取距離は、採取プローブが炭化水素流体内に下げられる深さを最小化するとともに、選択された量の流体が吸引されるように選択され得る。
【0051】
ある例に従うと、炭化水素流体を参照して上述したのと同様の方法が、本願明細書において記載された例示的な非粘性および粘性流体のような非粘性および粘性流体の採取のために用いられ得る。
【0052】
本願明細書で記載される新規な技術をさらに例示するよう、以下にある具体的な実施例を記載する。
【実施例1】
【0053】
実施例1
マイクロリットルの量の水溶液が、流体取扱システムを用いて採取され得る。当該流体取扱システムは、移動可能支持部に各々取付けられる超音波センサと採取プローブとを含み得る。ポンプが採取プローブに結合され、これにより採取プローブを通って流体を吸引および/または排出する。コントローラが当該超音波センサおよび移動可能支持部に電気的に結合される。超音波センサは超音波エネルギを採取プローブの下の流体に送る。超音波センサはさらに、流体表面から反射されたエネルギを受取るとともに、このようなデータをコントローラに与える。採取プローブと流体表面との間の距離はコントローラによって判別される。採取プローブを好適な距離だけ流体内に下げるよう信号が移動可能支持部に送られる。約10〜20マイクロリットルがポンプを用いて採取プローブ内に吸引される。移動可能支持部を上昇、したがって採取プローブを上昇させるよう信号がコントローラによって移動可能支持部に送られる。吸引された流体は、たとえばテストチューブ、スライド、またはウェルプレートといった第2の流体容器の上または中に排出され得る。
【実施例2】
【0054】
実施例2
基板の上に配置される材料のアレイを作り出すよう流体取扱システムが用いられ得る。当該流体取扱システムは、4つ以上の採取プローブを含み、その各々は自身の超音波センサに結合される。ある構成では、しかしながら、単一の超音波センサが採取プローブのすべてとともに用いられてもよい。複数の超音波センサを有するこの例において、超音波センサの各々および採取プローブの各々が移動可能支持部に結合される。ポンプが各採取プローブに結合され、これにより採取プローブを通って流体を吸引および排出する。コントローラが、超音波センサの各々と移動可能支持部とに電気的に結合される。超音波センサの各々は、そのそれぞれの採取プローブの下の流体に超音波エネルギを送る。超音波センサはさらに、流体表面から反射されたエネルギを受取るとともに、このようなデータをコントローラに与える。各採取プローブと各採取プローブの下の流体の流体表面との間の距離はコントローラによって判定される。好適な距離だけ採取プローブを流体内に下げるよう信号が移動可能支持部に送られる。流体表面への距離が異なる採取プローブについて異なる場合、異なる採取プローブが異なる距離だけ下げられ得るように異なる信号が送られ得る。約125〜150マイクロリットルが、採取プローブの各々に流体結合されるポンプを用いて、採取プローブの各々に吸引される。移動可能支持部、したがって採取プローブを上昇させるよう、移動可能支持部に信号がコントローラによって送られる。移動可能支持部は、ガラスのスライドまたはマイクロタイタープレートの上に配置され得、各採取プローブからのアリコートが、アレイを提供するようガラスのスライドまたはマイクロタイタープレートの上に排出される。たとえば、5マイクロリットルの96スポットが各々、ガラスのスライド上に点状に与えられ、これによりたとえば生体分子のアレイといったアレイを提供し得る。代替的なアレイでは、5マイクロリットルがマイクロタイタープレートの各ウェルの中に排出されてアレイを提供する。
【実施例3】
【0055】
実施例3
各々が超音波センサに結合される8つの採取プローブを含む流体取扱システムが図11に示される。流体取扱システム1200は、ロボットアーム1210と、各々がそのそれぞれの超音波センサ1240〜1254を有する複数の採取プローブ1220〜1234とを含む。当該流体取扱システムはさらに、要素1270として集合的に示される流体容器のような流体容器を受入れるよう構成される表面1260を含む。採取プローブの各々はさらに、システム流体貯蔵部(図示せず)に流体結合される。
【0056】
1つの例示において、ロボットアーム1210は最初は、表面1260の上の「静止」位置に位置決めされる。超音波センサ1240〜1254は、まず、表面1260への距離を検出することによって較正される。静止位置において、超音波センサ1240〜1254と表面1260との間の距離は約150mmである。容器1270は145mmと同じ高さであるか、それよりも大幅に小さくてもよい。この例では、流体容器は、高さが55mmである口が大きなボトルであってもよい。当該ボトルの各々は、図12に示されるような試料ラック1300に配置され得る。流体容器1270の各々における流体面は、超音波エネルギを送り、流体容器1270内において反射された超音波エネルギを受取ることによって検出される。この例示において、流体容器1270は油の試料を含む。流体面の検出の後、採取要素(1mLのピペット先端部)が、当該採取要素への採取プローブ本体の摩擦嵌合を用いて、採取プローブ1220〜1234に取付けられる。採取プローブ/要素の各々は、当該流体内に好適な距離だけ下げられ、次いで500マイクロリットルの試料が採取要素の中に吸引される。次いで、ロボットアーム1210が採取プローブを上昇させ、列に配置された4つのテストチューブの上に採取プローブを移動させる。次いで、500マイクロリットルの吸引された流体は当該テストチューブの中に排出され、採取要素が採取プローブから取外される。4.5mLのシステム流体(灯油)が次いで採取プローブを通って各テストチューブ内に排出される。採取プローブは、このシステム流体が各テストチューブ内に排出されると上昇される。システム流体の排出の後、採取プローブ1220〜1234は、洗浄ステーションの中に漬け込まれ、これによりそれらの表面からいかなる残留流体も取除く。
【0057】
本願明細書で開示される例の要素を紹介する場合に、「ある(a/an)」、「当該(the)」、および「前記(said)」という冠詞は、当該要素が1つ以上存在するということを意味するよう意図される。「備える」、「含む」、および「有する」という用語は、オープンエンドであることを意図し、挙げられた要素以外にも付加的な要素が存在する場合があるということを意味する。この開示の利点が与えられた当業者には、これらの例のさまざまな構成要素が他の例のさまざまな構成要素と交換または置換えられてもよいということを認識するであろう。
【0058】
ある局面、例、および実施の形態を上で述べてきたが、この開示の利点が与えられた当業者ならば、開示された例示的な局面、例、および実施の形態の付加、置換、修正、および変更が可能であるということを認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を採取するよう構成される採取プローブと、
前記採取プローブに結合され、超音波エネルギを送るとともに受取るよう構成される超音波センサとを含み、前記超音波センサはさらに、前記流体の流体表面から反射される超音波エネルギを受取ることにより第1の信号を生成するよう構成される、装置。
【請求項2】
前記超音波センサはさらに、前記流体を含む流体容器を受けるよう構成される第1の表面から反射される超音波エネルギを検出することにより第2の信号を生成するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記超音波センサに電気的に結合されるとともに前記第1の信号および前記第2の信号を受けるよう構成されるコントローラをさらに含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記採取プローブに流体結合されるシステム流体貯蔵部をさらに含み、前記採取プローブはさらに前記採取プローブを通るように前記システム流体貯蔵部から流体を排出するよう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記採取プローブに流体結合されるとともに、前記採取プローブ内に試料を吸引するために負の圧力を与えるよう構成されるポンプをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ポンプはさらに、吸引した試料を前記採取プローブから排出するために正の圧力を与えるよう構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記採取プローブおよび前記超音波センサを受けるよう構成される移動可能支持部をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記採取プローブは採取要素を受けるよう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
複数の採取プローブをさらに含み、前記超音波センサが、前記複数の採取プローブの各々とともに移動可能および利用されるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
複数の超音波センサをさらに含み、前記複数の採取プローブの1つは前記複数の超音波センサの1つとともに用いられるために構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
流体容器を受けるよう構成される表面と、
少なくとも1つの移動可能支持部と、
前記少なくとも1つの移動可能支持部に結合される少なくとも1つの採取プローブと、
前記採取プローブに流体結合されるポンプと、
前記少なくとも1つの移動可能支持部に結合されるとともに、前記流体容器内の流体の流体表面から反射される超音波エネルギを受けることにより第1の信号を生成するよう構成される超音波センサと、
前記第1の信号を受けるとともに、前記流体容器から流体を吸引するよう、前記第1の信号に応答して前記少なくとも1つの移動可能支持部を動かすよう構成されるコントローラとを含む、流体取扱システム。
【請求項12】
前記超音波センサはさらに、前記流体容器を受けるよう構成される前記表面から反射される超音波エネルギを検出することによって第2の信号を生成するよう構成され、前記コントローラはさらに、前記第1の信号および前記第2の信号に応答して前記少なくとも1つの移動可能支持部を動かすよう構成される、請求項11に記載の流体取扱システム。
【請求項13】
前記移動可能支持部に結合される複数の採取プローブをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記移動可能支持部に結合される複数の超音波センサをさらに含み、前記複数の採取プローブの1つは前記複数の超音波センサの1つとともに用いられるために構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記採取プローブに流体結合されるシステム流体貯蔵部をさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
システム流体貯蔵部と前記採取プローブとに結合されるバルブをさらに含み、前記バルブは、流体が前記システム流体貯蔵部から前記採取プローブを通って排出されるのを可能にするよう作動するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの移動可能支持部は3軸ロボットアームを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記採取プローブは採取要素を受けるよう構成される端部を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記採取プローブは、吸引した流体を排出した後で前記採取要素を取り出すよう構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
流体容器を受けるよう構成される表面と、
少なくとも1つの移動可能支持部と、
前記少なくとも1つの移動可能支持部に各々が結合される複数の採取プローブと、
複数のポンプとを含む流体取扱システムであって、前記複数のポンプの1つが前記複数の採取プローブの1つに流体結合され、前記流体取扱システムはさらに、
前記少なくとも移動可能支持部に結合される複数の超音波センサを含み、前記複数の超音波センサの1つは前記複数の採取プローブの1つに結合され、前記超音波センサの各々は前記流体容器内の流体の流体表面から反射される超音波エネルギを受けることにより第1の信号を生成するよう構成され、前記流体取扱システムはさらに、
前記第1の信号を受けるとともに、前記第1の信号に応答して、前記流体容器から流体を吸引するために前記移動可能支持部を動かすよう構成されるコントローラを含む、流体取扱システム。
【請求項21】
前記超音波センサはさらに、前記流体容器を受けるよう構成される前記表面から反射される超音波エネルギを検出することにより第2の信号を生成するよう構成され、前記コントローラはさらに、前記第1の信号および前記第2の信号に応答して前記移動可能支持部を移動させるよう構成される、請求項20に記載の流体取扱システム。
【請求項22】
前記採取プローブに流体結合されるシステム流体貯蔵部をさらに含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記バルブはさらに前記システム流体貯蔵部に結合される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも1つの移動可能支持部が3軸ロボットアームを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
前記採取プローブは採取要素を受けるよう構成される端部を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項26】
前記採取プローブは、吸引した流体を排出した後、前記採取要素を取り出すよう構成される、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
流体を採取する方法であって、
超音波エネルギを超音波センサから流体の流体表面に与えることと、
前記流体表面からの反射された超音波エネルギを前記超音波センサを用いて受けて、採取プローブと前記流体表面との間の距離を求めることとにより、
前記採取プローブから前記流体表面までの距離を判定するステップと、
選択された量の流体を前記採取プローブの中に吸引するのに有効な距離だけ前記採取プローブを前記流体の中に動かすステップとを含む、方法。
【請求項28】
前記流体を含む流体容器を受けるよう構成される表面に超音波エネルギを与えるとともに、前記表面からの反射された超音波エネルギを前記超音波センサを用いて受け、前記採取プローブから前記表面までの距離を判定するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
吸引した流体を第2の流体容器の中に排出するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記採取プローブに流体結合されるシステム流体貯蔵部から前記採取プローブを通ってシステム流体を排出するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
炭化水素流体を採取する方法であって、
超音波エネルギを超音波センサから炭化水素流体表面に与えることと、
前記炭化水素流体表面からの反射された超音波エネルギを前記超音波センサを用いて受け、採取プローブと前記炭化水素流体表面との間の距離を求めることとにより、
前記採取プローブから前記炭化水素流体表面までの距離を判定するステップと、
前記採取プローブにおいて、選択された量の流体を前記炭化水素流体から吸引するよう前記採取プローブを前記炭化水素流体の中に移動させる採取距離を判定するステップとを含み、前記採取距離は、前記採取プローブが前記炭化水素流体の中に動かされる深さを最小限にしつつ前記選択された量を吸引するように構成される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−505551(P2011−505551A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535112(P2010−535112)
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/084502
【国際公開番号】WO2009/070526
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(505359506)パーキンエルマー・ヘルス・サイエンシズ・インコーポレーテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】PERKINELMER HEALTH SCIENCES, INC.
【Fターム(参考)】