説明

超音波デブリドマンを使用した傷を治療するシステム及び方法

傷治療システムは、分配マニホルドと、負圧源と、流体供給源と、超音波エネルギトランスデューサとを具える。負圧及び流体供給が、分配マニホルドを通して傷へ加えられる。超音波エネルギトランスデューサは、傷を鮮創するために、超音波エネルギを傷へ送るように構成されている。超音波エネルギトランスデューサは、圧電トランスデューサか表面弾性波デバイスのいずれかにしてもよい。超音波エネルギトランスデューサは、超音波エネルギを直接傷へ送るように分配マニホルドに隣接して配置されてもよく、分配マニホルドと傷の間に配設された音波の伝導膜に連結されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に傷を治療するシステム及び方法に関するものであり、特に、超音波デブリドマンと負圧治療を組み合わせることによって傷を治療するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の傷は、一般に慢性と急性の2種類に分けられる。動物の自然治癒機構は、傷を閉じて損失した組織を補充し、傷を新しい層の皮膚で覆うことにより、急性の創傷を早く治す。子供の場合には、小さな急性の傷は2、3日で治癒することがよく観察される。慢性の傷は、大抵、自然治癒機構が害された場合の傷である。慢性の傷は一般に長い期間残り、治癒しない。このような傷は、高齢者や糖尿病を患う人々によく見られる。傷に関して別の問題に感染症の問題がある。感染症は、傷の内部で繁殖して毒素を生産し傷の周りの組織を損傷させる病原微生物や細菌による傷の侵襲である。傷の感染症の危険性を減らすためには、まず第1に、傷ができた場合は傷を侵襲するこれらの微生物や細菌を除去するよう傷を洗うことである。次に、成長できない又は壊死組織及び傷の中にいるすべての微生物や細菌を除去するために、通常、傷を鮮創するか殺菌する。傷の治療の第3のステップは、傷を覆うドレッシングを使用して薬を使用し治癒を促進することである
【0003】
傷の鮮創は、大抵、シャープスデブリドマンと呼ばれる機械的な外科的方法で成される。具体的には、生育不能又は壊死細胞が傷から切除される。時々、傷の外科的治療は、急性の傷に対する身体反応を誘発して傷を治す。
【0004】
デブリドマンプロセスは、大抵、傷内部の組織の切り取りを伴うが、最近の試みでは超音波エネルギを使用する。超音波エネルギの使用と皮膚への使用に関する記述が、以下の米国特許に開示されている:Suroff、第4,040,414号(Ultrasonic Personal Care Instrument and Method);Beaty他、第5,312,329号(Piezo Ultrasonic and Electrosurgical Handpiece);Sakurai他、第5,391,144号(Ultrasonic Treatment Apparatus);Novak他、第6,171,265号(Handpiece for Use With a Multifunctional Operating Endoscopic Instrument);及び以下のPCT出願:Babaev、WO97/17933(Method of Spraying A Surface Using Ultrasonic Radiation)。以下の論文にさらなる記述が開示されている:King他、Burns、Vol.22、No.4、Pg.307、(Debridement of Burn Wounds with a Surgical Ultrasonic Aspirator);Vanderburgh他、Gynecologic Oncology、Vol.39、Pg.103(1990);(Debridement of Vaginal Radiation Ulcers Using the Surgical Ultrasonic Aspirator);Herte他、Am.Society of Plastic and Reproductive Surgeons Prelim.Rpt.(Nov.1978);(Comparative Wound Healing in Animal Subjects Using the Cavitron Ultrasonic Surgical Aspirator vs.Conventional Surgical Instrument)
【0005】
さらに、最近発行されたSoring他による米国特許第6,916,296号の標題System for Antiseptic Surgeryでは、傷の治療のために超音波を使用したシステムが提案されている。具体的には、ソノトロード(sonotorode)と呼ばれる器具を傷内部の液体中に配置する。ソノトロードは、細菌細胞を破壊する超音波振動及びキャビデーションを液体中に発生させる。具体的には、流体中に放出された高レベルのエネルギが、細菌細胞の細胞壁を破裂させて細菌細胞を殺す。米国特許第6,916,296号は、傷の中の細菌数が著しく減少したことを報告しており、また、高レベルのエネルギをかなり短い時間使用でき、又は低レベルのエネルギをより長時間、最大で数分間、使用できることを教示している。
【0006】
実際には、傷を鮮創するために超音波を使用することは、比較的大量の超音波エネルギを通常集中的にかけて短時間で比較的小さな範囲の傷にエネルギを与える。任意の時間、超音波エネルギが与えられる領域は、通常、約5cm2より小さい。治療は集中的に行われるため、超音波エネルギの使用は、通常いずれの範囲でも60秒未満しかない。
【0007】
下記のデブリドマンでは、傷は、傷を覆って治癒を促進するようドレッシングされる。最近では、多くの場合に、傷へ負圧を適用することによって治癒が促進されることが分かっている。これは、具体的には、例えば高齢の患者が患う傷など慢性の傷で明らかとなっているが、様々な種類の傷でも起こりうる。また、これらの研究は、傷の頻繁な洗浄が、傷の浸出物や望ましくないバイオバーデンの除去を補助し、任意に、薬品を使用し供給するための有効な賦形剤として作用することによって、治癒の促進に有用であることを明らかにしている。これらの技術をいくつか使用している傷の治療システムの例が以下の米国特許に開示されている:Zamierowski、4,969,880(Wound Dressing and Treatment Method);Zamierowski、5,100,396(Fluidic Connection System and Method);Zamierowski、5,261,893(Fastening System and Method);Zamierowski、5,527,293(Fastening System and Method);Argenta他、5,636,643(Wound Treatment Employing Reduced Pressure); Argenta他、5,645,081(Method of treating tissue damage and apparatus for same);Zamierowski、6,071,267(Medical Patient Fluid Management Interface System and Method);Vogel他、6,135,116(Method for Treating Ulcers);Hunt他、6,142,982(Portable wound treatment apparatus)
【0008】
超音波デブリドマンは、生育不能又は壊死組織の傷を最初に洗浄する方法として教示されてきたが、この方法は、従来の超音波デブリドマンを伴う集中的な作業プロセスの一部であるため、広く認められた傷の治癒を促進するシステムの一部として認められていない。近年では、傷を鮮創するために、低レベルのエネルギの超音波エネルギを長時間使用するシステムが必要とされている。簡単に使用できるようにして操作を改良するために、超音波エネルギは、集中的なビームを必要とする既存の方法と比較して、比較的広い範囲で使用されるべきである。また、負圧治療を具え、任意的に液体洗浄を提供して鮮創された組織を除去するシステムを任意的に具えた超音波など非集中的で低エネルギのデブリドマン手段を使用するシステムが必要とされている。
【0009】
ここに参照する特許、特許出願、及び他の出版物の全てが、法律によって許容可能な最大範囲で参照されることによって組み込まれている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
傷治療システムの組織ドレッシングによって生じる問題は、本発明のシステム及び方法によって解決される。本発明の一実施例によると、傷治療システムは、分配マニホルドと、負圧源と、超音波エネルギトランスデューサとを具えて提供される。負圧源は、組織部位へ負圧をかけるように前記分配マニホルドに流体接続されており、超音波エネルギトランスデューサは、前記分配マニホルドに隣接して配設される。
【0011】
本発明の別の実施例によると、傷部位を鮮創して治療する傷治療システムは、分配マニホルドと、前記分配マニホルドに流体接続した負圧源と、音波の伝導膜と、超音波エネルギトランスデューサとを具える。音波の伝導膜は、前記分配マニホルドと前記傷部位の間に配設され、超音波エネルギトランスデューサは前記膜に連結される。
【0012】
さらに、本発明の別の実施例では、傷治療システムが、傷をドレッシングする手段と、前記傷の場所を負圧する手段と、前記傷を鮮創する手段とを具える。
【0013】
さらに、本発明の別の実施例では、傷部位を治療する超音波傷治療システムが、前記傷部位のほぼ全てに約1W/cmより小さいレベルの出力で超音波エネルギを供給するように構成された超音波エネルギトランスデューサを具える。前記傷部位のほぼ全てが少なくとも1日10分の超音波エネルギに曝されるよう、選択される期間、超音波エネルギが供給される。
【0014】
さらに、本発明の別の実施例では、傷治療システムは、傷と流体接続して配置されるように構成された分配マニホルドを具える。流体源は、前記分配マニホルドに流体接続して、第1の選択される期間、流体を前記傷へ供給するように構成される。超音波エネルギトランスデューサは、前記傷と超音波接続して配置され、第2の選択される期間、前記傷へ超音波エネルギを供給するように構成される。負圧源は、前記分配マニホルドに流体接続して、第3の選択される期間、負圧を前記傷へ送るよう構成される。
【0015】
本発明の別の実施例によると、傷を治療する方法が、前記傷を鮮創して治療するために、前記傷へ負圧及び超音波エネルギを同時にかけるステップを具える。
【0016】
本発明のさらに別の実施例では、傷を治療する方法が、流体を前記傷へ供給して、流体が選択される期間、前記傷にとどまるステップを具える。超音波エネルギは、前記選択される期間、前記傷へ加えられ、負圧は、前記選択される期間の後に、前記流体といくらかの鮮創された組織を取り除くために前記傷へをくわえられる。
【0017】
本発明の別の実施例では、多目的傷ドレッシングは、傷部位へ負圧をかけるよう構成された分配マニホルドを具える。超音波エネルギトランスデューサは、前記傷部位へ超音波デブリドマンを提供するために、前記分配マニホルドに隣接して配置される。
【0018】
本発明のさらに別の実施例では、多目的傷ドレッシングは、傷部位へ負圧をかけるよう構成された分配マニホルドを具える。音波の伝導膜が、前記分配マニホルドにおける組織と接触する側に配設されて、前記傷部位と接触するように構成される。超音波エネルギトランスデューサは、前記音波の伝導膜に機能的に連結される。
【0019】
本発明の他の目的、特性及び利点は、図面と後述の詳細な説明を参照して明らかとなりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下の好適な実施例の詳細な説明において、この一部を形成し、本発明を実施しうる特定の好適な実施例を説明するために添付した図を示して参照する。これらの実施例は、当業者が本発明を実施することができる程度に十分詳細に開示されており、本発明の意図及び範囲から外れることなく、他の実施例を使用しうるものであり、論理構造、機械的、電気的、及び化学的な変更をなしうる。当業者が本発明を実施するために必要ではない詳細の説明を避けるために、当業者に既知の一定の情報を省略している。従って、以下の詳細な記述は、限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は添付した請求の範囲によってのみ規定される。
【0021】
図1及び2を参照すると、本発明の一実施例による傷治療システム10は、傷への超音波デブリドマンを提供する性能を有する多目的の傷ドレッシング11と、負圧又は大気中の圧力より低い圧力を傷に適用するための負圧源12と、任意的に、傷を流体で洗浄するための流体供給源14とを具える。プロセッサ17と、ユーザインターフェース18とを具えるコンピュータシステム16が、負圧治療、デブリドマン、及び流体の供給システムの機能の全てを調整するために提供される。
【0022】
さらに詳しく図1を参照すると、傷治療システム10は、傷部位100を鮮創して治癒を促進するために使用されることが好ましい。傷部位100は、組織102に囲まれている。傷部位100の少なくとも一部は、健康な生細胞、生育不能生細胞、死細胞、及び微生物や細菌など様々な量の汚染物質の混合体が含まれる損傷した組織の層104を有する。実験では、この損傷した組織の層は5mmほどの厚さであると示されている。従来の傷の表面の治療では、傷の表面の死細胞や細菌は除去されるが、この面の下の細菌は除去されず、感染症は保持されたままである。傷のデブリドマンは、隠れた細菌の除去を補助する。
【0023】
多目的の傷ドレッシング11は、分配マニホルド20と、超音波エネルギトランスデューサ50と、分配マニホルドと流体接続をなす管42と、任意的にドレープ30とを具える。分配マニホルド20は、傷部位100に隣接して配置されるように構成される。分配マニホルド20は、傷部位へ又は傷部位から負圧か流体を送る複数のフローチャネル又は経路を具える。一の実施例では、分配マニホルド20は多孔質発泡体であり、フローチャネルとして機能する複数の連続気泡又は孔を具える。多孔質発泡体は、ポリウレタン、開放気泡、テキサス州サンアントニオのKinetic Concepts,Inc.によって製造されたGranuFoamなど網状発泡体でもよい。開放気泡発泡体が使用される場合、孔隙は変えてもよいが、約400ミクロン乃至600ミクロンであることが好ましい。
【0024】
傷部位が密閉されて隔離されるように開いた傷部位が治療される場合に、ドレープ30が分配マニホルド20の上に配置される。治療される傷部位が、皮下又は深部組織の傷部位である場合には、ドレープ30は傷部位の負圧を維持する必要がない。ドレープ30は、様々な生体適合性の柔軟な材料にしてもよい。ドレープ30は、使用態様によって液体、気体、又は両方に対して不浸透性か半浸透性であってよい。負圧アプリケータ40は、ドレープ30の下、分配マニホルド20の上に配置される。管42は、遠位端部でアプリケータ40に流体接続され、近位端部で負圧源12に流体接続されており、ポンプ又は壁吸込口である。負圧源12の近くの管42は、負圧供給管42aとして概略を示されている。負圧源は、負圧供給管42a及び分配マニホルド20を通して傷に負圧をかけることができる。アプリケータ40は、負圧供給管42aから分配マニホルド20へ負圧を送る一手段を提供するが、負圧供給管42aが分配マニホルド20と直接流体接続されて配置されている場合には、アプリケータ40を省略できる。
【0025】
流体供給管42bは傷へ流体を供給するために提供され、アプリケータ40によって分配マニホルドに同じように流体接続されている。図1及び2の管42、42a、及び42bの図は、汎用のアプリケータが負圧及び流体を分配マニホルド20へ供給するために使用されることを示している。これは、専用の管42を使用することによって達成されてもよい。さらに具体的には、管42が負圧及び流体を供給するために代替的に使用されてもよい。別の実施例では、管42は、負圧をかけるための管腔と流体供給のための管腔を具える二重管腔の管でもよい。さらに別の実施例では(図示せず)、分配マニホルド20と流体接続する分離された管が使用されてもよい。分離された管が使用される場合、アプリケータ40の使用は任意である。
【0026】
超音波エネルギトランスデューサ50は、周波数発生器と、増幅器とを具え、超音波エネルギを傷部位100へ送るために使用される。超音波エネルギトランスデューサは、圧電トランスデューサか表面弾性波デバイスでもよい。図1では、超音波エネルギトランスデューサ50は、アプリケータ40と分配マニホルド20の間に配設されて、低レベルの超音波エネルギを発する。超音波エネルギトランスデューサ50は、アプリケータ40と分配マニホルド20の1又は両方に連結されるか、代替的に、いずれとも物理的な連結なくアプリケータ40と分配マニホルド20の間に配設されてもよい。一実施例では、超音波エネルギトランスデューサ50は、分配マニホルド20内に組み込まれる。
【0027】
分配マニホルド20は、超音波エネルギを傷部位100へ送る伝送媒体として機能する。網状発泡体が使用される場合には、この発泡体の伝送効率は、水か、水溶性及び半水溶性の溶液、ゲルを発泡体に注入する流体供給源を使用することによって増大する。発泡体内の流体の存在によって、超音波エネルギを送るための発泡体の能力が改良される。この点に関し、分配マニホルドは、マニホルドの機能と超音波エネルギのための伝送媒体の両方の役割を果たす。ゲルや伝送を強化する他の物質が分配マニホルド20内かこの上に配設されてもよいことに留意すべきである。たとえば、エネルギの伝送を改善するために、分配マニホルド20を通した超音波エネルギの伝送の前に、ゲルを分配マニホルド20と傷部位100の間に配設してもよい。
【0028】
超音波エネルギトランスデューサ50によって傷に使用される超音波エネルギの量は、従来の超音波デブリドマンのトランスデューサのそれより少ない。好ましくは、高周波(約800乃至4000kHz)トランスデューサが使用される場合、トランスデューサに加えられる電力は、約1.0W/cm、さらに好ましくは約0.5W/cmである。低周波(約20乃至120kHz)トランスデューサが使用される場合、トランスデューサに加えられる電力は、約0.5W/cm、さらに好ましくは約0.1W/cmである。
【0029】
図2を参照すると、超音波エネルギトランスデューサ50は傷部位100から離れて配設され、分配マニホルド20と傷部位100の間に配設された音波の伝導膜70に機能的に連結されている。膜70は、分配マニホルド20に連結されるか、代替的に、負圧及び超音波の両方を加える前に分配マニホルド20と傷部位100の間で連結されることなく配設されてもよい。この実施例では、超音波エネルギトランスデューサ50によって発生する低レベルの超音波エネルギは、膜70を通って伝えられ、損傷した組織の層104の内部へ放射される。状況によって傷部位100へ膜70を隣接させることで、傷治療システム10のデブリドマンの性能を改良することができる。超音波エネルギは通常、低出力で発生するので、超音波エネルギトランスデューサ50は傷部位100の周辺か、その近くに配設されてもよい。しかし、分配マニホルド20と傷部位100の間に膜70を配置することによって、負圧又は流体を傷部位100へ供給する分配マニホルドの機能を妨げるべきではない。この点に関し、膜70は、天然の多孔質材料から形成されることが好ましく、代替的には、孔、孔隙、突起、又は膜内、膜の周辺、又は膜を通る流れを進ませる他の構造的な特性を具えるように作られてもよい。膜は、金属箔や、Lexan(登録商標)の薄いシート、超音波を伝えることができる様々な他の材料で作られてもよい。
【0030】
使用時には、ここに開示された多目的ドレッシングは、負圧治療、超音波デブリドマン、及び傷部位を鮮創、洗浄、治療するための任意的な流体の供給を組み合わせる。これらの機能は全て、各機能の間でドレッシングを交換することなく、断続又は連続的な各機能の動作を個別又は同時に提供する複合的なシステムに一体化されてもよい。このドレッシングは交換する間の数日間、その場所に残るため、超音波エネルギトランスデューサは、低出力で長時間のデブリドマンを提供するように最適化される。
【0031】
一の例示的な操作の実施例では、第1の選択される期間、洗浄又は医薬流体が流体供給源14によって分配マニホルドへ供給される。好ましくは、第1の選択される期間は、約5分である。この期間で、流体は分配マニホルド20に浸透し、傷部位100を洗浄することができる。第1の選択される期間後の第2の選択される期間、流体は、傷部位にとどまり、超音波エネルギは、超音波エネルギトランスデューサによって傷部位100へ伝えられる。超音波エネルギは生育不能又は壊死組織を鮮創する。好ましくは、第2の選択される期間は、約15分か第1の選択される期間の約3倍である。第2の選択される期間後に、超音波エネルギの伝送が止められて、負圧が負圧源から分配マニホルドを通って加えられる。負圧は、供給した流体を傷、分配マニホルド、浸出液、及び鮮創組織から取り除く。負圧は、第3の選択される期間使用され、この時間は、好ましくは約40分か第2の選択される期間の約3倍である。上記の時間は例示であり、変更してもよく、各手順(すなわち、流体供給、超音波デブリドマン、及び負圧治療)は、互いに独立しているか、他の手順の1又は両方と同時におこなわれてもよい。
【0032】
本発明が著しい利点を有することは、上記から明らかであるべきである。本発明は、わずかな実施形態のみが示されているが、限定するためのものではなく、本発明の意図から外れることなく様々な変更や改良をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明の一の実施形態に従って、傷又は組織部位へ負圧及び超音波エネルギを使用するシステムの正面断面図である;
【図2】図2は、本発明の一の実施形態に従って、傷又は組織部位へ負圧及び超音波エネルギを使用するシステムの正面断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傷治療システムにおいて:
分配マニホルドと;
組織部位へ負圧をかけるように前記分配マニホルドに流体接続した負圧源と;
前記分配マニホルドに隣接して配設された超音波エネルギトランスデューサとを具えることを特徴とする傷治療システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記超音波エネルギトランスデューサが圧電トランスデューサであることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記超音波エネルギトランスデューサが表面弾性波デバイスであることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記分配マニホルドが多孔質発泡体であることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムがさらに、前記分配マニホルド及び前記超音波エネルギトランスデューサを覆うように前記分配マニホルドに隣接して配設されたドレープを具えることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムがさらに、
前記負圧源と前記分配マニホルドの間に流体接続された負圧アプリケータと;
前記負圧アプリケータと前記分配マニホルドを覆って配設されたドレープとを具え;
前記超音波エネルギトランスデューサが前記負圧アプリケータと前記分配マニホルドの間に配設されることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムがさらに、前記分配マニホルドに流体接続された流体供給管を具えることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、前記流体供給管が前記分配マニホルドに流体及び負圧をかけるように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムがさらに:
前記負圧源と前記分配マニホルドの間に流体接続された負圧アプリケータと;
前記負圧アプリケータと前記負圧源の間に流体接続された管と;
前記負圧アプリケータと前記分配マニホルドを覆って配設されたドレープとを具え;
前記超音波エネルギトランスデューサは、前記負圧アプリケータと前記分配マニホルドの間に配設され;
前記管が、前記傷部位へ負圧か流体のうちの一方を選択的に供給するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項10】
傷部位を鮮創して治療する傷治療システムにおいて、
分配マニホルドと;
前記分配マニホルドに流体接続した負圧源と;
前記分配マニホルドと前記傷部位の間に配設される音波の伝導膜と;
前記膜に連結された超音波エネルギトランスデューサとを具えることを特徴とする傷治療システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記超音波エネルギトランスデューサが圧電トランスデューサであることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記超音波エネルギトランスデューサが表面弾性波デバイスであることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記分配マニホルドを通して負圧がかけられると、前記膜が、前記分配マニホルドと前記傷部位の間にこれらに接触して配設されることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記膜が、前記分配マニホルドと前記傷部位の間に流体接続をなすことを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムにおいて、前記膜が多孔質であることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記超音波エネルギトランスデューサが前記傷部位から離れて位置付けられることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記分配マニホルドが多孔質発泡体であることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項10に記載のシステムがさらに、前記分配マニホルドと前記音波の伝導膜を覆って配設されたドレープを具えることを特徴とするシステム。
【請求項19】
傷治療システムにおいて:
傷をドレッシングする手段と;
前記傷の場所を負圧する手段と;
前記傷を鮮創する手段とを具えることを特徴とするシステム。
【請求項20】
傷部位を治療する超音波傷治療システムにおいて:
前記傷部位のほぼ全てが少なくとも1日10分の超音波エネルギに曝されるように選択される期間、約1W/cmより小さいレベルの出力で超音波エネルギを前記傷部位のほぼ全てに供給するように構成された超音波エネルギトランスデューサを具えることを特徴とする超音波傷治療システム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムにおいて、前記選択される期間が、前記超音波エネルギトランスデューサがオフにされた時と前記超音波エネルギトランスデューサがオンにされた時によって特徴づけられることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項20に記載のシステムがさらに、前記選択される期間だけ、前記傷を流体で洗浄するよう構成された流体供給路を具えることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項22に記載のシステムがさらに、前記選択される期間の後に前記傷へ負圧をかけるよう構成された負圧供給路を具えることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項23に記載のシステムにおいて、前記流体供給路と前記負圧供給路が同一であることを特徴とするシステム。
【請求項25】
傷治療システムにおいて:
傷と流体接続して配置されるように構成された分配マニホルドと;
前記分配マニホルドに流体接続して、第1の選択される期間、流体を前記傷へ供給するように構成された流体源と;
前記傷と超音波接続して配置され、第2の選択される期間、前記傷へ超音波エネルギを供給するように構成された超音波エネルギトランスデューサと;
前記分配マニホルドに流体接続して、第3の選択される期間、前記傷へ負圧をかけるよう構成された負圧源とを具えることを特徴とする傷治療システム。
【請求項26】
請求項25に記載のシステムにおいて、前記第1、第2、及び第3の選択される期間が、異なる時間に生じることを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項25に記載のシステムにおいて、前記第1の選択される期間に供給された流体が、前記第2の選択される期間に前記傷にとどまることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項27に記載のシステムにおいて、前記負圧が、前記流体と前記超音波エネルギの使用中にいくらかの鮮創された組織を取り除くことを特徴とするシステム。
【請求項29】
傷を治療する方法において、前記傷を鮮創して治療するために、前記傷へ負圧及び超音波エネルギを同時にかけるステップを具えることを特徴とする傷を治療する方法。
【請求項30】
傷を治療する方法において:
流体を前記傷へ供給し、前記流体を選択された期間、前記傷にとどまらせるステップと;
前記選択される期間に、前記傷へ超音波エネルギをかけるステップと;
前記選択される期間の後に、前記流体といくらかの鮮創された組織を取り除くために前記傷へ負圧をかけるステップとを具えることを特徴とする傷を治療する方法。
【請求項31】
多目的傷ドレッシングにおいて:
傷部位へ負圧をかけるよう構成された分配マニホルドと;
前記傷部位へ超音波デブリドマンを提供するために、前記分配マニホルドに隣接して配置された超音波エネルギトランスデューサとを具えることを特徴とする多目的傷ドレッシング。
【請求項32】
多目的傷ドレッシングにおいて:
傷部位へ負圧をかけるよう構成された分配マニホルドと;
前記分配マニホルドにおける組織と接触する側に配設されて、前記傷部位と接触するように構成された音波の伝導膜と;
前記音波の伝導膜に機能的に連結された超音波エネルギトランスデューサとを具えることを特徴とする多目的傷ドレッシング。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−523568(P2009−523568A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551477(P2008−551477)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/001771
【国際公開番号】WO2007/084792
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(505167473)ケーシーアイ ライセンシング インク (19)
【Fターム(参考)】