説明

超音波データにおいて関心領域を決定するための方法及びシステム

【課題】超音波データにおいて関心領域を決定するための方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】超音波データにおいて関心領域を決定するための方法及びシステムを提供する。一方法(30)は、収集超音波データ組内部でROIを規定する工程(32)と、収集超音波データ組内部で複数の異なる画像面を特定する工程(32)と、を含む。本方法はさらに、複数の画像面に基づいてROIの少なくとも1つの境界から有意なエッジを決定する工程(34)と、決定した有意エッジに基づいてROIを調整する工程(46)と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示した主題は、全般的には超音波撮像システムに関し、またさらに詳細には超音波画像内で関心領域を決定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波撮像システムは典型的には、様々な超音波走査(例えば、ボリュームや身体の撮像)を実施するための超音波データの収集を制御するように超音波システムに接続されたトランスジューサを有する超音波探触子などの超音波走査デバイスを含む。超音波システムは通常、ユーザ入力の受け取りや収集した超音波画像の表示などのユーザとの対話のためのインタフェースを提供する制御部分(例えば、制御コンソールや可搬式ユニット)を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第2009/0182223 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の超音波システムはユーザに対して、複数の2次元(2D)画像スライスからの3次元(3D)画像の作成などの追加の処理のために収集ボリュームデータ組の内部で関心領域(ROI)を規定することを可能にしている。例えば、胎児超音波用途ではそのROIを胎児の顔とすることがある。羊水などの周囲の流体や周囲の子宮組織のためにこのROIは、3D画像内で顔全体が視認可能となるように3D画像内で胎児の顔を適正にレンダリングするために多くの回数の再調整を必要とすることがある。未熟練の超音波ユーザでは適正な視覚化が得られるようにROIを規定することが非常に困難なことがあり、また熟練したユーザであってもROIを移動させ再調整するために時間をかけなければならない。したがって、後続の処理のための(関心対象エリアが妨害されないような)適正な視覚化を得るためのROIの規定は、時間がかかりかつ困難な過程となる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
様々な実施形態では、超音波データ組内で関心領域(ROI)を修正するための方法を提供する。本方法は、収集超音波データ組内部でROIを規定する工程と、収集超音波データ組内部で複数の異なる画像面を特定する工程と、を含む。本方法はさらに、複数の画像面に基づいてROIの少なくとも1つの境界から有意なエッジを決定する工程と、決定した有意エッジに基づいてROIを調整する工程と、を含む。
【0006】
別の様々な実施形態では、超音波データ組内で関心領域(ROI)を調整するための方法を提供する。本方法は、少なくとも2つの画像面内部に規定した幅、高さ及び深さを有するROIボックスに基づいてROIを決定する工程を含む。本方法はさらに、境界を規定しているROIボックスの上辺から組織画素から流体画素へと移行している画素を特定する工程と、該境界に基づいて輪郭に合わせて曲線を当てはめる工程と、を含む。本方法はさらに、当てはめた曲線に基づいてROIボックスの高さを調整する工程を含む。
【0007】
さらに別の様々な実施形態では、関心対象に関する超音波データを収集するための超音波探触子と、超音波データ内の少なくとも2つの異なる画像面内部で関心領域(ROI)を規定するためのユーザインタフェースと、を含む超音波システムを提供する。本システムはさらに、2つの画像面に基づいたROIの少なくとも1つの境界からの有意エッジの決定に基づいてROIを調整するように構成されたROI規定モジュールを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】様々な実施形態に従って超音波データ内部で関心領域(ROI)を規定するための方法の流れ図である。
【図1B】様々な実施形態に従って超音波データ内部で関心領域(ROI)を規定するための方法の流れ図である。
【図2】画像の一部分を妨害する組織を有するレンダリング済み画像を表したスクリーンショットの図である。
【図3】画像スライスに対応する画像面を表したスクリーンショットの図である。
【図4】別の画像スライスに対応する画像面を表したスクリーンショットの図である。
【図5】別の画像スライスに対応する画像面を表したスクリーンショットの図である。
【図6】様々な実施形態に従って決定した輪郭線を表した画像である。
【図7】様々な実施形態に従って決定した輪郭線を表した別の画像である。
【図8】様々な実施形態に従って調整したROI及び対応するレンダリング済み画像を表したスクリーンショットの図である。
【図9】様々な実施形態に従ったROI規定モジュールを含む診断撮像システムのブロック図である。
【図10】様々な実施形態に従って形成された図9の診断撮像システムの超音波プロセッサモジュールのブロック図である。
【図11】その中で様々な実施形態を実現し得る3D機能小型化超音波システムを表した図である。
【図12】その中で様々な実施形態を実現し得る3D機能の携行式またはポケットサイズ超音波撮像システムを表した図である。
【図13】その中で様々な実施形態を実現し得る3D機能コンソールタイプ超音波撮像システムを表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上述した要約、並びに本発明のある種の実施形態に関する以下の詳細な説明は、添付の図面と共に読むことによってさらに十分な理解が得られよう。これらの図面が様々な実施形態の機能ブロックからなる図を表している場合も、必ずしもこれらの機能ブロックがハードウェア回路間で分割されることを意味するものではない。したがって例えば、1つまたは複数の機能ブロック(例えば、プロセッサやメモリ)を単一のハードウェア(例えば、汎用の信号プロセッサ、ランダムアクセスメモリの1ブロック、ハードディスク、その他)の形、あるいは複数のハードウェアの形で実現させることがある。同様にそのプログラムは、スタンドアロンのプログラムとすること、オペレーティングシステム内のサブルーチンとして組み込まれること、インストールしたソフトウェアパッケージの形で機能させること、その他とすることができる。こうした様々な実施形態は図面に示した配置や手段に限定されるものではないことを理解すべきである。
【0010】
本明細書で使用する場合、単数形で「a」や「an」の語を前に付けて記載した要素や工程は、これに関する複数の要素や工程も排除していない(こうした排除を明示的に記載している場合を除く)と理解すべきである。さらに、本発明の「一実施形態」に対する言及は、記載した特徴も組み込んでいる追加的な実施形態の存在を排除すると理解されるように意図したものではない。さらに特に明示的に否定する記述をしない限り、ある具体的な性状を有する1つまたは複数の構成要素を「備える(comprising)」または「有する(having)」実施形態は、当該性状を有しない追加的な構成要素も含むことがある。
【0011】
様々な実施形態により、超音波データ組内で関心領域(ROI)を規定または調整するためのシステム及び方法が提供される。例えば、実施形態のうちの少なくとも1つの実施によって、その画像をレンダリングするためのROIが自動調整されており、これには関心対象(例えば、胎児)の観察を妨害する流体や組織を取り除くためにROIを自動的に調整することを含むことがある。少なくとも1つの実施形態の技術的効果の1つは、引き続いてレンダリングを受けることがあるROIを自動特定し、これによりROIの高さや曲率などROIを調整する時間を短縮できることである。さらに、少なくとも1つの実施形態を実施することによって、ROIの調整に必要となる超音波システムユーザの技術スキルも緩和される。
【0012】
したがって様々な実施形態は、超音波データ組内で関心対象ボリュームからの複数の画像面を用いてROIを自動で規定または特定する。その関心対象が胎児であるようなROIの規定及び調整と関連して様々な実施形態を記載しているが、これらの様々な実施形態は別の超音波撮像用途並びに例えばコンピュータ断層(CT)撮像や磁気共鳴(MR)撮像などの別の撮像様式と連携して実現されることもある。
【0013】
図1には、超音波データ組内部でROIを規定するための方法30の一実施形態を表している。方法30は、その画像をレンダリングするためにROIを自動的に調整し、これにより例えば関心対象の観察を妨害する組織がこのROIから除去される。例えば図2は、超音波画像の表示の一部または全部を形成するスクリーンショット60である。スクリーンショット60は、3つの四分表示区画のそれぞれにある3つの画像面62、64及び66を表している。図示した画像面62、64及び66は、撮像した胎児の超音波画像データ組内の任意のまたは選択した画像面に対応する。画像面62、64及び66(画像面A、B及びCと特定することもある)は一般に、画像を収集した超音波探触子の軸と整列した像(画像面A)、画像面Aと直交する像(画像面B)、並びに画像面AとBの両面と直交しかつ超音波探触子の走査表面と概して平行なコロナル像(画像面C)のそれぞれに対応する。
【0014】
画像面62、64及び66の各々は、各画像スライス内のROI(例えば、撮像した胎児の一部)をそれぞれ規定するROIボックス68、70及び72として図示したROI規定部分を一緒に表している。ROIボックス68、70及び72は、関心対象の同じROIを異なる面から規定していることに留意すべきである。図2に示したROIボックス68、70及び72は、例えば画像面62、64及び/または66のうちの1つに対応する1つの画像ビュー内でユーザにより手作業で位置決めされることがあり、あるいは例えば目標対象物(例えば、胎児)に関する輪郭検出処理を含み得るテンプレートまたはマッチング処理など画像内部におけるランドマークの特定に基づいて決定されることがある。さらにROIは、様々な形状の要素により規定されることがあり、ボックス形に限定されない。したがってこのROIボックスは、正方形や矩形の領域、あるいは別の形状の領域によって規定されることがある。ROIボックスは一般に、幅、高さ及び深さによって規定される(これについては、本明細書においてより詳細に記載している)。
【0015】
画像74は、ROIボックス76に対応するROIボックス68、70及び72により規定されるROIのレンダリング済み画像である。胎児78の3Dレンダリング済み画像で確認できるように、具体的なある関心対象エリアを含み得る胎児78の一部分(この場合では、胎児78の顔)が、レンダリングされた組織80によって妨害されている。したがって、レンダリング済み画像74を観察した後にユーザは、ROIボックス68、70または72のエッジのサイズや曲率を調整することによってROIを調整することが必要となる。
【0016】
したがってレンダリング済み画像74は、図面全体を通じて同じ参照番号が同じ部分を表している図3〜5のスクリーンショット90、100及び110にその全体を図示した複数の画像面を用いて規定されるROIに基づく。図3は、画像面(画像面A)62に対応する画像ボリューム94(図示した実施形態では、胎児78)内部の面92を表している。同様に図4は、画像面(画像面B)64に対応する画像ボリューム94内部の面102を表している。さらに図5は、画像面(画像面C)66に対応する画像ボリューム94内部の面112を表している。画像ボリューム94は例証を目的として示したものであり、必ずしもユーザに対して表示されるものでないことに留意すべきである。
【0017】
図示した実施形態の画像面62、64及び/または66は、超音波探触子の軸と整列した画像面92、画像面92と直交する画像面102、並びに画像面92と102の両面と直交しかつ撮像ボリューム内部の超音波探触子の走査表面と平行な画像面112の向きに対応する。しかしこの画像面は、ボリューム94の複数の異なる画像面62、64及び/または66のうちの任意の1つとすることができ、図示した画像面92、102及び112により示した向きに限定するものではない。したがって画像面62、64及び/または66のうちの1つまたは幾つかをボリューム94内部で異なる向きとし異なる画像ビューにより規定することがある。さらに、様々な実施形態は、2つの画像面や4つの画像面など使用する画像面を3つより多くしたり少なくしたりしてROIを調整または規定することがある。
【0018】
したがって図1の方法30は、32において画像面データを取得または選択する工程を含む。例えば、超音波データ組内の2つの異なる画像面に対応する少なくとも2つの画像面が取得されており、これには関心対象の3Dデータ組などの保存済みの超音波データにアクセスすること、あるいは患者を走査しかつ患者を走査している間または患者検査中(ただし、必ずしも患者を走査している間である必要はない)にデータを取得することによって超音波データを収集することを含むことがある。画像面データは、例えば図3〜5に示した画像面62、64及び/または66のうちの1つまたは幾つかに対応することがある。幾つかの実施形態ではその画像面データは、互いに直交する2つの画像面を含む。
【0019】
様々な実施形態による超音波システムは、幾何学的にはドーナツ面(torus)の一区画であるのが典型的である1つのボリュームを形成するようにファン形状の幾何学構成で画像スライスを収集することに留意すべきである。本明細書において様々な実施形態による画像面の取得や選択に言及している場合、これは一般的には収集ボリューム(例えば、収集した3D超音波データ組)から1つまたは複数の任意の画像面を選択することを意味している。
【0020】
画像面が取得された後に34において、例えばROIボックスの1つの辺(図示した画像で観察されるようなROIボックスの上辺すなわち上側の辺など)に沿ったまたはこれに関する有意なエッジを特定するために画像面の各々に関して有意エッジの決定が別々に実施される。例えば、ROIボックスの1つの辺(ROIボックスの高さ並びにこの辺の曲率に影響を及ぼすことがある)が自動的に調整されるようにしてROIボックスの上側端に沿った有意エッジが決定されることがある。様々な実施形態ではそのROIボックスの幅が不変のままであることに留意すべきである。しかし一般に、ROIボックスの辺のうちの任意の1つまたは幾つかが方法30を用いて調整される(例えば、位置や曲率が調整される)ことがある。
【0021】
有意エッジの決定に関して幾つかの実施形態は、ROIボックスのエッジに沿って各画素ごとに画素単位の解析を実行すると共にエッジから内方へ移動させ第1の有意なエッジを決定する。この第1の有意エッジは、画素の1つが明るい画素でありかつ画素の1つが暗い画素であるような2つの画素間の境界として規定されることがある。この明るい画素と暗い画素とは、明るい画素が一般に組織画素(例えば、撮像した子宮組織に対応する画素)に対応しかつ暗い画素が一般に流体画素(例えば、撮像した羊水に対応する画素)に対応するような所定の輝度しきい値(例えば、輝度レベル)によって規定することがある。例えば、画像に対するフィルタ処理も含み得るような能動輪郭(active contour)法を実施することがある。具体的には、画素のうちのROIボックスエッジに沿った第1の横列を解析し、その各々が確実に明るい画素(すなわち、組織画素)であるように保証する。画素のうちのどれか1つが撮像された組織画素でない場合、開始画素横列または開始画素を調整することがあり、これは自動的に実行させることや、ユーザによるROIボックスの移動またはROIボックスの辺の移動によって手作業で実行させることがある。したがって例えば図2を参照するとこの能動輪郭法は、ROIボックス68及び70のそれぞれの境界69及び71に沿った画素からなる第1の横列とし得るようなROIボックス68及び70のエッジに隣接する第1の画素横列で開始させることがある。様々な実施形態では横列全体の画素(例えば、ROIボックスの左側境界からROIボックスの右側境界までの、すなわち幅全体にわたる画素)について明るい画素から暗い画素への移行が解析されることに留意すべきである。明るい画素から暗い画素への移行が特定される場合、この画素(複数のこともある)が輪郭の規定に使用するための第1の有意エッジとしてマーキングされる。
【0022】
したがって図6及び7の画像120及び122のそれぞれに示したように、第1の有意エッジの画素移行に対応して画像120及び122の各々について輪郭が特定される。画像120及び122は胎児78の直交する画像面に対応する。能動輪郭法を用いると画像120及び122の各々に関して輪郭線124及び126がそれぞれ別々に特定されることが確認できよう。輪郭線124及び126は一般に、画像120及び122内の組織と流体の間の境界を規定する。輪郭線124及び126は一般に、その外部では画像をレンダリングさせないようなROIの境界を規定する。画像内のノイズを低減するためのフィルタ処理も実行されることがあることに留意すべきである。
【0023】
再度図1の方法30を見ると、画像の各々において輪郭線を別々に(または、独立に)決定し終えた後、36において画像の各々の輪郭線により規定される有意エッジが比較される。例えば、2つの輪郭が概ね同じ輪郭及び/または曲率を有するか否かに関する判定など、整合性に関する判定が実施される。幾つかの実施形態では38において、輪郭線の各々に沿った中心点が比較され、中心点の各々に対応する画素が互いから所定の偏差以内(例えば、10%以内またはある画素数以内)にあるなど、概ね同じ箇所にあるか否かが判定される。したがって図6及び7に示したように、輪郭線124及び126のそれぞれの中心点128及び130が比較され、それぞれの位置が概ね同じであるか否かが判定される。例えば、中心点128及び130がROIボックスの元の境界から概ね同じ距離(例えば、画素数)でありこれにより中心点128及び130が概ね同じ高さにあるか否かに関して判定が実施されることがある。
【0024】
38において中心点が概ね同じ箇所(元のROIボックス境界から同じ高さまたは距離など)にないと判定された場合、40においてROIは調整や規定を受けない。したがってROIボックス境界は移動されず輪郭は変更されない。次いでユーザは例えば、ROIボックスまたは境界を移動させて再度方法30を開始させることがある。方法30(方法30を用いて自動で実行させるROIボックスに対する調整または規定を含む)は、ユーザが超音波システムのユーザインタフェース上のボタン(例えば、ROIボックス調整ボタン)を押下することによって開始され得ることに留意すべきである。
【0025】
38において中心点が概ね同じ箇所(元のROIボックス境界から同じ高さまたは距離など)にあると判定された場合、42において輪郭線に合わせて曲線が当てはめられる。例えば輪郭線に沿った各点(例えば、各画素)ごとに、輪郭線に合わせた曲線の当てはめのための最小距離判定が実施されることがある。様々な実施形態では、この判定は両画像面に関する輪郭線に依存する。例えばこの距離判定は、輪郭線の平均に基づいて実施されることがある。したがって、ROIボックスのエッジに関する最終的な境界は画像面の各々ごとに同じ高さを有することになる。任意選択では44において、対象のサイズに基づいてそのROIをシフトさせる、またはズームインやズームアウトさせることがあることに留意すべきである。例えばROIが関心対象に対して小さ過ぎないようにしてそのROIが調整されることがある。幾つかの実施形態ではそのROIボックスは、当該のユーザインタフェース及びディスプレイに当てはまるように移動させ拡大させることがある。
【0026】
したがって当てはめた曲線に基づいて、ROIボックスの1つのエッジに関する境界が画像面の各々において規定されると共に、46において表示される。したがって図8に示すように、ROIボックス68及び70のそれぞれの境界69及び71が自動で調整される。境界69及び71に合わせて曲線を当てはめると(図2に相当する図8では)下に曲がった湾曲した輪郭となることが確認できよう。境界69及び71の各々の高さ及び曲率は同じである。境界69及び71に沿った「x」は、境界69及び71に沿った最大の変化点を示すこの曲率の頂点を規定している。したがって様々な実施形態では、決定した境界に合わせて滑らかな線が当てはめられると共に、この線に沿った単一の制御点(「x」)を含む。
【0027】
その後に48において、ユーザ調整を実施すべきか否かの判定が実施されることがある。例えばユーザは視覚的検査から、ROIボックスの移動や再位置決めが必要があるか、境界をさらに移動させる必要であるか、境界の曲率の変更が必要であるか(例えば、「x」マークのドラッグによる)、その他を決定することがある。この判定は、境界を自動決定したROIボックスに基づいたレンダリング済み画像の作成前に実施されることも、作成後に実施されることもある。したがってユーザ調整がなされない場合は、50においてROIボックスのこの1つの境界に対する自動調整に基づいてROIの画像がレンダリングされる。ユーザ調整がなされる場合は、52において使用される調整済みROIボックスに基づいてROIの画像がレンダリングすなわち再レンダリングされる。
【0028】
したがって図8に示すように画像74は、ROIボックス76に対応すると共に自動調整された境界を有するROIボックス68、70及び72によって規定されたROIのレンダリング済み画像である。胎児78の3Dレンダリング済み画像で確認できるように、当該関心対象エリア(この場合では、胎児78の顔140)が視認可能でありもはやレンダリング済み組織により妨害されていない。したがってユーザは、ROIボックスに関する自動決定の境界に基づいて胎児78の顔140を観察することが可能である。
【0029】
様々な実施形態は本明細書に記載した特定の輪郭検出方法に限定されないことに留意すべきである。具体的には方法30は、例えば組織と流体の間の境界を特定した後に特定した境界により規定される輪郭に合わせて曲線を当てはめるような適当な任意の方法を実現することがある。本方法は一般に、例えばROIまたは特定の関心対象エリアがレンダリング済み妨害組織を伴わずにユーザに対して表示されるように、レンダリングさせるべきでない組織を決定する。
【0030】
したがって様々な実施形態は、ROIの少なくとも1つの境界を決定しており、これによりROIの境界を調整することがある。その後にユーザはさらに、ROIまたはその境界を手作業で調整することがある。決定した境界(様々な実施形態では自動で決定される)によって、妨害画素(例えば胎児の顔などの関心対象エリアを妨害するようにレンダリングされる組織)がより少ないまたは低減されたレンダリング済み画像が得られる。
【0031】
方法30を含む様々な実施形態は、本発明の様々な実施形態に従って製作される超音波システム200のブロック図である図9に示すような超音波システム200内で実現されることがある。超音波システム200は、音響ビームの電気式または機械式の(例えば、3D空間内における)ステアリングが可能であり、また本明細書でより詳細に記載しているように規定または調整し得るような対象または患者内の関心領域(ROI)に関する複数の2D描出または画像に対応する情報(例えば、画像スライス)を収集するように構成可能である。超音波システム200は、1つまたは複数の方向面において2D画像を収集するように構成可能である。
【0032】
超音波システム200は、ビーム形成器210のガイド下においてパルス状の超音波信号を身体内に放出するように探触子206内部にあるアレイ状の素子204(例えば、圧電素子)を駆動する送信器202を含む。多種多様な幾何学構成を使用することができる。超音波信号は血球や筋肉組織などの身体内の構造で後方散乱され、素子204に戻されるエコーが生成される。エコーは受信器208により受け取られる。受け取ったエコーは、受信ビーム形成を実施してRF信号を出力するビーム形成器210を通過させる。次いでこのRF信号は、RFプロセッサ212を通過させる。別法としてRFプロセッサ212はRF信号を復調してエコー信号を表すIQデータ対を形成する複素復調器(図示せず)を含むことがある。RFまたはIQ信号データは次いで、保存のためにメモリ214に直接導かれることがある。
【0033】
上述の実施形態ではビーム形成器210は、送信/受信ビーム形成器として動作する。代替的な一実施形態では探触子206は、探触子内部におけるサブアパーチャ受信ビーム形成を伴う2Dアレイを含む。ビーム形成器210は各電気信号を、探触子206から受け取った別の電気信号とで遅延、アポダイゼーション及び総和をとることがある。この総和信号は、超音波ビームまたはラインからのエコーを表している。この総和信号はビーム形成器210からRFプロセッサ212に出力される。RFプロセッサ212は、複数の走査面または異なる走査パターンを得るように異なるデータタイプ(例えば、Bモード、カラードプラ(速度/パワー/分散)、組織ドプラ(速度)及びドプラエネルギー)を生成することがある。例えばRFプロセッサ212は複数の走査面を得るように組織ドプラデータを生成することがある。RFプロセッサ212は、複数のデータスライスに関する情報(例えば、I/Q、Bモード、カラードプラ、組織ドプラ及びドプラエネルギー情報)を収集し、タイムスタンプや向き/回転情報を含み得るデータ情報がメモリ214内に保存される。
【0034】
超音波システム200はさらに、収集した超音波情報(例えば、RF信号データまたはIQデータ対)を処理しディスプレイ218上に表示させる超音波情報フレームを作成するためのプロセッサ216を含む。プロセッサ216は、収集した超音波データに対して複数の選択可能な超音波様式に従った1つまたは複数の処理操作を実施するように適応させている。収集した超音波データは、エコー信号を受信しながら走査セッション中にリアルタイムで処理され表示されることがある。追加としてまたは別法として超音波データは、走査セッションの間はメモリ214内に一時的に保存され、次いでオフライン動作で処理され表示されることがある。
【0035】
プロセッサ216は、プロセッサ216の動作を制御し得るユーザインタフェース224に接続されている(これについては、以下でさらに詳細に説明することにする)。ディスプレイ218は、ユーザに対して診断及び解析のための診断用超音波画像を含む患者情報を提示している1つまたは複数のモニタを含む。メモリ214とメモリ222の一方または両方は、超音波データの2次元(2D)や3次元(3D)のデータ組を保存することがあり、こうした2Dや3Dのデータ組は2D(及び/または3D画像)を提示するようにアクセスを受ける。これらの画像は修正されることがあり、またディスプレイ218の表示設定はさらにユーザインタフェース224を用いて手作業で調整されることがある。
【0036】
さらにROI規定モジュール230が設けられて、これがプロセッサ216に接続されている。幾つかの実施形態ではそのROI規定モジュール230は、プロセッサ216またはプロセッサ216の一部として提供されるハードウェア上で実行されるソフトウェアとすることがある。ROI規定モジュール230は、ROI(例えば、本明細書でより詳細に記載しているようなROIボックス)を規定または調整する。
【0037】
様々な実施形態について超音波システムと連携させて説明することがあるが、本方法及びシステムは超音波撮像やその具体的な一構成に限定されないことに留意すべきである。この様々な実施形態は、例えばX線撮像システム、磁気共鳴撮像(MRI)システム、コンピュータ断層(CT)撮像システム、陽電子放出断層(PET)撮像システム、あるいは複合した撮像システム(ただし、これらに限らない)を含む様々なタイプの撮像システムと連携して実現させることができる。さらにこの様々な実施形態は非医用の撮像システム(例えば、超音波式溶接試験システムや空港の手荷物スキャン装置などの非破壊検査システム)で実現することできる。
【0038】
図10は、図9のプロセッサ216またはその一部分として具現化し得る超音波プロセッサモジュール236の例示的なブロック図を表している。超音波プロセッサモジュール136は、概念的にサブモジュールの集合体として図示しているが、専用のハードウェア基板、DSP、プロセッサ、その他の任意の組み合わせを利用して実現することもできる。別法として、図10のサブモジュールは、単一のプロセッサやプロセッサ間で機能動作を分散させた複数のプロセッサを備えた市販のPCを利用して実現することもできる。別の選択肢として、図10のサブモジュールは、あるモジュール型機能は専用のハードウェアを利用して実行させる一方、残りのモジュール型機能は市販のPCその他を利用して実行させるような混成構成を利用して実現することもできる。これらのサブモジュールはさらに、処理ユニット内部のソフトウェアモジュールの形で実現することもできる。
【0039】
図10に示したサブモジュールの動作は、ローカルの超音波制御器250によって制御されることや、プロセッサモジュール236によって制御されることがある。サブモジュール252〜264は中間プロセッサ動作を実行する。超音波プロセッサモジュール236は超音波データ270を幾つかの形態のうちの1つの形態で受け取ることがある。図10の実施形態では、受け取った超音波データ270は、各データサンプルと関連付けされた実数成分と虚数成分を表すI、Qのデータ対からなる。このI、Qのデータ対は、カラーフローサブモジュール252、パワードプラサブモジュール254、Bモードサブモジュール256、スペクトルドプラサブモジュール258及びMモードサブモジュール260のうちの1つまたは幾つかに提供される。任意選択では、音響放射力インパルス(Acoustic Radiation Force Impulse:ARFI)サブモジュール262及び組織ドプラ(TDE)サブモジュール264(ただし、これらに限らない)などの別のサブモジュールを含むこともある。
【0040】
サブモジュール252〜264のそれぞれは、カラーフローデータ272、パワードプラデータ274、Bモードデータ276、スペクトルドプラデータ278、Mモードデータ280、ARFIデータ282及び組織ドプラデータ284を作成するような対応する方式によってI、Qのデータ対を処理するように構成させており、これらのデータはすべて後続の処理の前に一時的にメモリ290(あるいは、図9に示したメモリ214やメモリ222)内に保存されることがある。例えばBモードサブモジュール256は、本明細書でより詳細に記載しているような3面式(triplane)画像収集の場合などで複数のBモード画像面を含むBモードデータ276を作成することがある。
【0041】
データ272〜284は例えば、その各組が個々の1つの超音波画像フレームを規定しているようなベクトルデータ値の組として保存されることがある。これらのベクトルデータ値は一般に、極座標系に基づいて整理される。
【0042】
走査変換器サブモジュール292は、メモリ290にアクセスしてここから画像フレームと関連付けされたベクトルデータ値を取得すると共に、このベクトルデータ値の組をデカルト座標に変換し表示向けに形式変換した超音波画像フレーム295を作成する。走査変換器モジュール292が作成した超音波画像フレーム295は、後続の処理のためにメモリ290に戻すように提供されることや、メモリ214またはメモリ222に提供されることがある。
【0043】
走査変換器サブモジュール292が、例えばBモード画像データその他に関連付けされた超音波画像フレーム295を作成した後、この画像フレームはメモリ290内に再保存されることや、バス296を介してデータベース(図示せず)、メモリ214、メモリ222及び/または別のプロセッサに伝達されることがある。
【0044】
走査変換されたデータは、超音波画像フレームを作成するために映像表示向けのX、Y形式に変換されることがある。走査変換した超音波画像フレームは、映像を映像表示向けのグレイスケールマッピングに対してマッピングする映像プロセッサを含むことがある表示制御器(図示せず)に提供される。このグレイスケールマッピングは、表示グレイレベルに対する未処理画像データの伝達関数を表すことがある。この映像データをグレイスケール値にマッピングした後、表示制御器は、画像フレームを表示するために1つまたは複数のモニタまたは表示ウィンドウを含むことがあるディスプレイ218(図9参照)を制御する。ディスプレイ218に表示される画像は、その各データがディスプレイ内のそれぞれの画素の強度または輝度を示している画像データフレームから作成される。
【0045】
再度図10を見ると、2D映像プロセッササブモジュール294は異なるタイプの超音波情報から作成されたフレームの1つまたは幾つかを合成する。例えば2D映像プロセッササブモジュール294は、あるタイプのデータをグレイマップに対してマッピングし、かつ別のタイプのデータをカラーマップに対してマッピングして映像表示することによって異なる画像フレームを合成することがある。表示させる最終画像では、カラー画素データがグレイスケール画素データ上に重ね合わせられて単一の多重モード画像フレーム298(例えば、機能画像)を形成しており、この画像フレーム298は再度メモリ290内に再保存されるか、バス296を介して伝達されている。連続した画像フレームは、メモリ290またはメモリ222(図9参照)内にシネループとして保存されることがある。このシネループは、ユーザに対して表示させる画像データを取り込むための先入れ先出し式の循環画像バッファを意味している。ユーザは、ユーザインタフェース224でフリーズコマンドを入力することによってこのシネループをフリーズさせることがある。ユーザインタフェース224は例えば、超音波システム200(図9参照)内への情報入力に関連付けさせたキーボード及びマウス、並びに別のすべての入力制御子を含むことがある。
【0046】
3Dプロセッササブモジュール300はさらに、ユーザインタフェース224によって制御を受けてメモリ290にアクセスし、3D超音波画像データを取得すると共に3次元画像描出を周知のボリュームレンダリングやサーフェスレンダリングアルゴリズムを介するなどによって作成する。この3次元画像は、レイキャスティング(ray−casting)、最大強度画素投影、その他などの様々な撮像技法を利用して作成されることがある。
【0047】
図9の超音波システム200は、ラップトップコンピュータやポケットサイズシステムなどの小型のシステム内や、より大型のコンソールタイプのシステムの形で具現化されることがある。図11及び12は小型システムを表しており、また図13はより大型のシステムを表している。
【0048】
図11は、3D超音波データまたは多重面超音波データを収集するように構成し得る探触子332を有する3D機能小型化超音波システム330を表している。例えば探触子332は、図9の探触子106に関連して上で検討したような2D素子アレイ104を有することがある。オペレータからコマンドを受け取るためにユーザインタフェース334(一体型ディスプレイ336を含むこともあり得る)が設けられている。本明細書で使用する場合に「小型化」とは、超音波システム330がハンドヘルド型または携行式のデバイスであるか、あるいはスタッフの手中、ポケット、書類カバンサイズのケース、あるいはリュックサックで持ち運べるように構成されていることを意味している。例えば超音波システム330は、典型的なラップトップコンピュータのサイズを有する携行式デバイスとすることがある。超音波システム330はオペレータにより容易に運搬することができる。一体型ディスプレイ336(例えば、内部ディスプレイ)は例えば、1つまたは複数の医用画像を表示するように構成されている。
【0049】
超音波データは、有線式またはワイヤレス式のネットワーク340(または、例えばシリアルケーブルやパラレルケーブルあるいはUSBポートを介した直接接続)によって外部デバイス338に送られることがある。幾つかの実施形態では、外部デバイス338はディスプレイを有するコンピュータまたはワークステーションとすることや、様々な実施形態のDVRとすることがある。別法として外部デバイス338は、携行式超音波システム330からの画像データの受け取り並びに一体型ディスプレイ336を超える分解能を有することがある画像の表示またはプリントアウトが可能な単独の外部ディスプレイまたはプリンタとすることがある。
【0050】
図12は、ディスプレイ352及びユーザインタフェース354が単一のユニットを形成するような携行式またはポケットサイズの超音波撮像システム350を表している。一例として、ポケットサイズ超音波撮像システム350は、幅が概ね2インチ、長さが概ね4インチ及び深さが概ね0.5インチのポケットサイズや掌サイズの超音波システムとすることがあり、かつ重さは3オンス未満である。ポケットサイズ撮像システム350は一般にディスプレイ352及びユーザインタフェース354を含んでおり、これらはキーボードタイプのインタフェース及び走査用デバイス(例えば、超音波探触子356)に接続するための入力/出力(I/O)ポートを含むことや含まないことがある。ディスプレイ352は例えば、320×320画素のカラーLCDディスプレイ(この上に医用画像390を表示することができる)とすることがある。ユーザインタフェース354内には任意選択で、ボタン382からなるタイプライター様のキーボード360が含まれることがある。
【0051】
マルチ機能制御子384にはそれぞれ、システムの動作モードに従った機能(例えば、異なるビューの表示)を割り当てることができる。したがってマルチ機能制御子384のそれぞれは、複数の異なる作用を提供するように構成されることがある。ディスプレイ352上には、必要に応じてマルチ機能制御子384に関連付けされたラベル表示エリア386が含まれることがある。システム350はさらに、「フリーズ」、「深度制御子」、「利得制御子」、「カラーモード」、「プリントアウト」及び「保存」(ただし、これらに限らない)を含み得る特殊目的の機能のために追加的なキー及び/または制御子388を有することがある。
【0052】
1つまたは複数のラベル表示エリア386は、表示させるビューを指示するため、あるいはユーザが表示する撮像対象の異なるビューを選択できるようにするためのラベル392を含むことがある。異なるビューの選択はまた、関連するマルチ機能制御子384を介して提供されることがある。ディスプレイ352はまた、表示させた画像ビューに関する情報を表示するためのテキスト表示エリア394(例えば、表示させた画像に関連するラベル)を有することがある。
【0053】
寸法、重量及び電力消費が異なる小型化超音波システムや小型超音波システムと連係して様々な実施形態を実現できることに留意すべきである。例えばポケットサイズ超音波撮像システム350と小型化超音波システム330はシステム200(図9参照)と同じ走査機能及び処理機能を提供することができる。
【0054】
図12は、移動式台座402上に設けられた可搬式超音波撮像システム400を表している。可搬式超音波撮像システム400のことを、カート式システムと呼ぶこともある。ディスプレイ404及びユーザインタフェース406が設けられると共に、このディスプレイ404はユーザインタフェース406と分離されていることや分離可能とさせることがあることを理解されたい。ユーザインタフェース406は任意選択ではタッチ式画面であり、これによってオペレータは表示されたグラフィックス、アイコン、その他に触れることによってオプションを選択することが可能となる。
【0055】
ユーザインタフェース406はさらに、可搬式超音波撮像システム400を(希望または必要に応じかつ/または典型的な提供形態で)制御するために使用できる制御ボタン408を含む。ユーザインタフェース406は、超音波データや表示可能なその他のデータと対話するための物理的な取扱い、並びに情報の入力及び走査パラメータ、観察角度その他の設定や変更をユーザに対して可能にさせる複数のインタフェースオプションを提供する。例えばキーボード410、トラックボール412及び/またはマルチ機能制御子414が設けられることがある。
【0056】
この様々な実施形態は、ハードウェア、ソフトウェアあるいはこれらの組み合わせの形で実現し得ることに留意すべきである。さらに、様々な実施形態及び/または構成要素(例えば、モジュール、あるいはこれらの内部にある構成要素や制御器)は、1つまたは複数のコンピュータまたはプロセッサの一部として実現させることができる。このコンピュータやプロセッサは、コンピュータ処理デバイス、入力デバイス、表示ユニット、及び例えばインターネットにアクセスするためのインタフェースを含むことがある。このコンピュータやプロセッサは、マイクロプロセッサを含むことがある。このマイクロプロセッサは、通信バスと接続させることがある。このコンピュータやプロセッサはさらにメモリを含むことがある。このメモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)や読出し専用メモリ(ROM)を含むことがある。このコンピュータやプロセッサはさらに、ハードディスクドライブ、あるいはフロッピー(商標)ディスクドライブ、光ディスクドライブ、その他などの取外し可能な記憶ドライブとし得る記憶デバイスを含むことがある。この記憶デバイスはさらに、コンピュータプログラムその他の命令をコンピュータやプロセッサにロードするための別の同様の手段とすることがある。
【0057】
本明細書で使用する場合、「コンピュータ」や「モジュール」という用語は、マイクロコントローラを用いたシステム、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、ASIC、論理回路、及び本明細書に記載した機能を実行可能な別の任意の回路やプロセッサを含めプロセッサベースまたはマイクロプロセッサベースの任意のシステムを含むことができる。上述の例は単に例示であり、またしたがっていかなる意味においても「コンピュータ」という用語の定義及び/または意味を限定することを意図していない。
【0058】
このコンピュータやプロセッサは、入力データを処理するために1つまたは複数の記憶素子内に格納された1組の命令を実行する。この記憶素子はさらに、所望によりまたは必要に応じて、データやその他の情報も保存することがある。この記憶素子は情報ソースの形態とすることや、処理装置内部にある物理的な記憶素子とすることがある。
【0059】
この命令の組は、本発明の様々な実施形態の方法や処理などの指定の動作を実行するように処理装置としてのコンピュータまたはプロセッサに指令するための様々なコマンドを含むことがある。この命令の組はソフトウェアプログラムの形態とすることがある。このソフトウェアは、システムソフトウェアやアプリケーションソフトウェアなど様々な形態とすることがあり、またこれを有形で非一時的な(non−transitory)なコンピュータ読み取り可能媒体として具現化させることもある。さらにこのソフトウェアは、単独のプログラムやモジュール、より大きなプログラムの内部のプログラムモジュール、あるいはプログラムモジュールの一部分からなる集合体の形態とすることがある。このソフトウェアはさらに、オブジェクト指向プログラミングの形態をしたモジュール型プログラミングを含むことがある。処理装置による入力データの処理は、オペレータコマンドに応答すること、以前の処理結果に応答すること、あるいは別の処理装置が発した要求に応答することがある。
【0060】
本明細書で使用する場合、「ソフトウェア」と「ファームウェア」という用語は置き換え可能であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含めコンピュータによって実行するためにメモリ内に保存された任意のコンピュータプログラムを含む。上述のメモリタイプは単に例示であり、またしたがってコンピュータプログラムの記憶に使用可能なメモリのタイプを限定するものではない。
【0061】
上の記述は例示であって限定でないことを理解されたい。例えば上述の実施形態(及び/または、その態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。さらに、具体的な状況や材料を様々な実施形態の教示に適応させるようにその趣旨を逸脱することなく多くの修正を実施することができる。本明細書内に記載した材料の寸法及びタイプが様々な実施形態のパラメータを規定するように意図していても、これらの実施形態は決して限定ではなく実施形態の例示である。上の記述を検討することにより当業者には別の多くの実施形態が明らかとなろう。様々な実施形態の範囲はしたがって、添付の特許請求の範囲、並びに本請求範囲が規定する等価物の全範囲を参照しながら決定されるべきである。添付の特許請求の範囲では、「を含む(including)」や「ようになった(in which)」という表現を「を備える(comprising)」や「であるところの(wherein)」という対応する表現に対する平易な英語表現として使用している。さらに添付の特許請求の範囲では、「第1の」、「第2の」及び「第3の」その他の表現を単にラベル付けのために使用しており、その対象に対して数値的な要件を課すことを意図したものではない。さらに、添付の特許請求の範囲の限定は手段プラス機能形式で記載しておらず、また35 U.S.C.§112、第6パラグラフに基づいて解釈されるように意図したものでもない(ただし、本特許請求の範囲の限定によって「のための手段(means for)」の表現に続いて追加的な構造に関する機能排除の記述を明示的に用いる場合を除く)。
【0062】
この記載では、様々な実施形態(最適の形態を含む)を開示するため、並びに当業者による任意のデバイスやシステムの製作と使用及び組み込んだ任意の方法の実行を含む様々な実施形態の実施を可能にするために例を使用している。この様々な実施形態の特許性のある範囲は本特許請求の範囲によって規定していると共に、当業者により行われる別の例を含むことができる。こうした別の例は、その例が本特許請求の範囲の文字表記と異ならない構造要素を有する場合や、その例が本特許請求の範囲の文字表記と実質的に差がない等価的な構造要素を有する場合があるが、本特許請求の範囲の域内にあるように意図したものである。
【符号の説明】
【0063】
30 方法
32 複数の画像スライスから形成される超音波データ組内で少なくとも2つの異なる画像面を取得する
34 画像面のそれぞれごとに関心領域(ROI)ボックスの一つの辺について有意なエッジを決定する
36 各ROIごとに決定した有意エッジを比較する
38 有意エッジが概ね同じ箇所にあるか?
40 ROIを調整しない
42 各画像面内で決定した有意エッジの輪郭に合わせて曲線を当てはめる
44 関心対象のサイズに合わせてROIをシフト及び/またはズームさせる
46 各画像面上にROIボックスを表示する
48 ROIがユーザ調整されたか?
50 ROIの画像をレンダリングする
52 ROIを調整しROIの画像をレンダリングする
60 スクリーンショット
62 画像面
64 画像面
66 画像面
68 ROIボックス
69 境界
70 ROIボックス
71 境界
72 ROIボックス
74 画像
76 ROIボックス
78 胎児
80 レンダリング済み組織
90 スクリーンショット
92 画像面
94 ボリューム
100 スクリーンショット
102 画像面
104 素子
106 探触子
110 スクリーンショット
112 面
120 画像
122 画像
124 輪郭線
126 輪郭線
128 中心点
130 中心点
136 超音波プロセッサモジュール
140 顔
190 医用画像
200 超音波システム
202 送信器
204 素子
206 探触子
208 受信器
210 ビーム形成器
212 RFプロセッサ
214 メモリ
216 プロセッサ
218 ディスプレイ
222 メモリ
224 ユーザインタフェース
230 ROI規定モジュール
236 超音波プロセッサモジュール
250 超音波制御器
252 カラーフローサブモジュール
254 パワードプラサブモジュール
256 Bモードサブモジュール
258 スペクトルドプラサブモジュール
260 Mモードサブモジュール
262 ARFIサブモジュール
264 組織ドプラ(TDE)サブモジュール
270 超音波データ
272 カラーフローデータ
274 パワードプラデータ
276 Bモードデータ
278 スペクトルドプラデータ
280 Mモードデータ
282 ARFIデータ
284 組織ドプラデータ
290 メモリ
292 走査変換器サブモジュール
294 プロセッササブモジュール
295 超音波画像フレーム
296 バス
298 画像フレーム
300 プロセッササブモジュール
330 超音波システム
332 探触子
334 ユーザインタフェース
336 一体型ディスプレイ
338 外部デバイス
340 ワイヤレスネットワーク
350 超音波撮像システム
352 ディスプレイ
354 ユーザインタフェース
356 超音波探触子
380 タイプライタ様のキーボード
382 ボタン
384 マルチ機能制御子
386 ラベル表示エリア
388 制御子
392 ラベル
394 テキスト表示エリア
400 超音波撮像システム
402 移動式台座
404 ディスプレイ
406 ユーザインタフェース
408 制御ボタン
410 キーボード
412 トラックボール
414 マルチ機能制御子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波データ組内で関心領域(ROI)を修正するための方法(30)であって、
収集した超音波データ組内部でROIを規定する工程(32)と、
収集超音波データ組内部で複数の異なる画像面を特定する工程(32)と、
複数の画像面に基づいてROIの少なくとも1つの境界から有意なエッジを決定する工程(34)と、
決定した有意エッジに基づいてROIを調整する工程(46)と、
を含む方法(30)。
【請求項2】
有意エッジを決定する前記工程(34)は明るい画素から暗い画素への変化に対応して境界を特定する工程を含む、請求項1に記載の方法(30)。
【請求項3】
有意エッジを決定する前記工程(34)は組織画素から流体画素への変化に対応して境界を特定する工程を含む、請求項1に記載の方法(30)。
【請求項4】
有意エッジを決定する前記工程(34)は複数の画像面の各々について別々に実行されている、請求項1に記載の方法(30)。
【請求項5】
複数の画像面の各々に関する有意エッジが概ね同じ箇所にあるか否かを判定する工程(38)をさらに含む請求項4に記載の方法(30)。
【請求項6】
決定した有意エッジに合わせて曲線を当てはめる工程(42)であって、決定した有意エッジにより規定された輪郭からの最小距離決定に基づいた曲線当てはめ工程(42)をさらに含む請求項1に記載の方法(30)。
【請求項7】
前記ROIがROIボックスによって規定されると共に、前記調整工程(46)は該ROIボックスの1つの境界の高さと曲率の少なくとも一方を変更する工程を含む、請求項1に記載の方法(30)。
【請求項8】
調整したROIの位置とズームレベルのうちの一方を変更する工程(44)をさらに含む請求項1に記載の方法(30)。
【請求項9】
ユーザ入力を受け取り該受け取ったユーザ入力に基づいて調整したROIを変更する工程(48)をさらに含む請求項1に記載の方法(30)。
【請求項10】
関心対象に関する超音波データを収集するための超音波探触子(206)と、
超音波データ内部の少なくとも2つの異なる画像面内部で関心領域(ROI)を規定するためのユーザインタフェース(224)と、
2つの画像面に基づいたROIの少なくとも1つの境界からの有意エッジの決定に基づいてROIを調整するように構成されたROI規定モジュール(230)と、
を備える超音波システム(200)。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−224362(P2011−224362A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84966(P2011−84966)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【出願人】(511088117)マス・コンサルト・ゲーエムベーハー (1)
【氏名又は名称原語表記】MATHCONSULT GMBH
【Fターム(参考)】