説明

超音波データ処理方法及びシステム

【課題】超音波データから画像を形成する方法を提供する。
【解決手段】一方法(60)は、超音波プローブの複数の素子に接続された複数のチャンネルからチャンネル超音波データを取得する段階(64)と、前記複数のチャンネルからのチャンネル超音波データを記憶する段階(66)とを含む。本方法は更に、前記取得されたチャンネル超音波データの処理に基づいて超音波画像を生成する段階(70)と、該超音波画像を表示する段階(70)とを含む。本方法はまた、超音波画像が表示されている間に前記記憶されたチャンネル超音波データについて追加の処理を行う段階(72)と、該追加の処理によって生成された更新超音波画像を表示する段階(74)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書に開示する内容は、一般的に云えば、超音波システムに関し、より具体的には、超音波システム内で受信データを処理して画像を形成するためのシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医学的診断用イメージング・システムは、典型的には、走査部分と、表示装置を持つ制御部分とを含む。例えば、超音波イメージング・システムは、通常、トランスデューサを持つ超音波プローブのような超音波走査装置を含み、該超音波走査装置は、様々な超音波走査を遂行する(例えば、ボリューム又は身体を撮像する)ことによる様々な超音波データの取得を制御する超音波システムに接続される。超音波プローブは、典型的には、送信/受信素子のアレイ又はマトリクスを含み、これらの素子は超音波を送信し且つ後方散乱エコー信号を受信する。超音波システムは相異なる動作モードで動作し且つ相異なる走査を遂行するように制御可能である。受信信号は、ユーザーに表示するための画像を形成するように処理される。
【0003】
超音波システムでは、ビームフォーマの処理能力又は処理機能が、用いることのできるビーム形成処理(beamforming) 技術を制限する。詳しく述べると、或るビーム形成処理技術は複雑であり又はプロセッサ集約型である。従って、場合によっては又は用途によっては、ビーム形成処理は、ビーム形成処理されたデータの実時間の観察ができなくなるほど、データ取得時間よりも時間が掛かることがある。それに加えて、処理上の制約のために、ビーム形成処理されたデータを記憶させながら画像を表示することができない。また、相異なるビーム形成処理技術を用いる必要がある場合、複数の走査が必要とされる。このような複数の走査が必要な理由は、或る特定の走査の際に超音波信号を取得するとき、一種類のビーム形成処理が行われ、これによりその取得されたデータについてその後のビーム形成処理を行うのが妨げられるからである。
【0004】
従って、従来の超音波システムの画像又はボリューム・フレーム速度及び画像品質は、ビームフォーマの処理能力並びに用いられるビーム形成処理技術の効率によって制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7402136号
【発明の概要】
【0006】
様々な実施形態によれば、超音波データから画像を形成する方法が提供される。本方法は、超音波プローブの複数の素子に接続された複数のチャンネルからチャンネル超音波データを取得する段階と、前記複数のチャンネルからのチャンネル超音波データを記憶する段階とを含む。本方法は更に、前記取得されたチャンネル超音波データの処理に基づいて超音波画像を生成する段階と、該超音波画像を表示する段階とを含む。本方法はまた、超音波画像が表示されている間に前記記憶されたチャンネル超音波データについて追加の処理を行う段階と、該追加の処理によって生成された更新超音波画像を表示する段階とを含む。
【0007】
他の様々な実施形態によれば、超音波システムにおいてビーム形成処理を行うための方法が提供される。本方法は、超音波システムの実時間処理能力に基づいてデータ取得中に超音波ビーム形成処理を行う段階と、画像再生(replay)中に追加のビーム形成処理を行って、画像品質を実時間処理能力での画像品質レベルよりも高いレベルに増大させる段階とを含む。
【0008】
更に別の様々な実施形態によれば、超音波システムが提供される。本超音波システムは、関心のある対象物についてチャンネル超音波データを取得するための超音波プローブと、該超音波プローブによって取得されたチャンネル超音波データを記憶するためのメモリとを含む。本超音波システムは更に、超音波画像を表示するための表示装置と、チャンネル超音波データについてビーム形成処理を行って表示のための画像を形成し、更に超音波画像が表示されている間にチャンネル超音波データについてビーム形成処理を行って更新画像を形成するように構成されたソフトウエア・ビームフォーマとを含む。
【0009】
また更に別の様々な実施形態によれば、超音波データから画像を形成する方法が提供される。本方法は、超音波プローブの複数の素子に接続された複数のチャンネルからチャンネル超音波データを取得する段階と、前記複数のチャンネルからのチャンネル超音波データを記憶する段階とを含む。本方法は更に、ビームを生成することなく前記記憶されたチャンネル超音波データから直接に画素画像を形成する段階と、該画素画像を表示する段階とを含む。本方法はまた、画素画像が表示されている間に前記取得されたチャンネル超音波データについて追加の処理を行う段階と、該追加の処理によって形成された更新超音波画像を表示する段階とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、様々な実施形態に従って行われるビーム形成処理のプロセスを例示するブロック図である。
【図2】図2は、様々な実施形態に従ってビーム形成処理のプロセスによって生成される異なる画像を例示するブロック図である。
【図3】図3は、様々な実施形態のビーム形成処理に従って生成された画像品質又は解像度を改善した画像を例示する図である。
【図4】図4は、様々な実施形態に従った超音波ビーム形成処理のための方法の流れ図である。
【図5】図5は、様々な実施形態に従ってビーム形成処理を行うためのソフトウエア・ビームフォーマを持つ超音波システムの簡略ブロック図である。
【図6】図6は、様々な実施形態を実現することのできる超音波システムのブロック図である。
【図7】図7は、様々な実施形態に従って形成された図6の超音波システムの超音波プロセッサ・モジュールのブロック図である。
【図8】図8は、様々な実施形態を実現することのできる三次元(3D)能力のある小型超音波システムを例示する略図である。
【図9】図9は、様々な実施形態を実現することのできる3D能力のある手持ち型又はポケット・サイズの超音波イメージング・システムを例示する略図である。
【図10】図10は、様々な実施形態を実現することのできる3D能力のあるコンソール型超音波イメージング・システムを例示する略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記の「発明の概要」、並びに特定の実施態様についての以下の詳しい説明は、添付の図面を参照して読めば一層良く理解されよう。図面は様々な実施態様の機能ブロックの線図を示しているが、それらの機能ブロックは必ずしもハードウエア回路間の区分を表しているものではない。例えば、機能ブロックの1つ又は以上(例えば、プロセッサ又はメモリ)は、単一体のハードウエア(例えば、汎用信号プロセッサ、或いはランダム・アクセス・メモリ、ハードディスク又は同様なもののブロック)で、或いは複数個のハードウエアで実現することができる。同様に、プログラムは、独立プログラムであってよく、またオペレーティング・システム内のサブルーチンとして組み込んでよく、またインストールしたソフトウエア・パッケージ内の機能であってよく、また同様なものであってよい。ここで、様々な実施態様が、図面に示された配置構成及び手段に制限されないことを理解されたい。
【0012】
本書において、単数形で表され且つ数を特記していない要素及び段階は、特に明記していない限り、複数の該要素及び段階を排除するものではないことを理解されたい。更に、「一実施態様」と云う場合、これは、その記載した特徴を同様に取り入れている更に別の実施態様の存在を排除するものとして解釈されることを意図してはいない。また更に、特定の特性を持つ1つ又は複数の要素を「有する」又は「持っている」実施態様は、特に否定しない限り、その特性を持たない追加の同様な要素を含むことができる。
【0013】
様々な実施形態は、例えばビーム形成処理、特に、画像を生成するための受信ビーム形成処理のような、超音波データ処理のためのシステム及び方法を提供する。幾つかの実施形態を実施することによって、処理(例えば、ビーム形成処理)が生の走査モード中に(例えば、走査期間中に)完全に又は部分的に行われる。該走査期間中にはまた、1つ以上の画像再生又は1つ以上の画像フリーズ(静止)を含むこともできる。少なくとも1つの実施形態の技術的効果は、超音波システムの処理能力又は処理機能により該超音波システムを使用して行うことができなかったビーム形成処理のような処理を用いて、画像品質を改善することである。少なくとも1つの実施形態の別の技術的効果は、比較的低い処理能力又は処理機能を持つ超音波システムを使用して、比較的高いフレーム速度の超音波イメージングを行って、画像品質を向上させることである。
【0014】
様々な実施形態に従って、超音波データから画像を形成するためのプロセス30が、図1のシステム・ワークフロー図に例示されている。プロセス30は、異なる種類のチャンネル・データ処理を用いて超音波画像を生成又は形成するように実現することができる。ここで、プロセス30はビーム形成処理に関して記述されているが、プロセス30並びに本書に記述されている実施形態は、ビーム形成処理に制限されず、異なる処理技術及び方法を用いて画像を形成するように(例えば、ビームを生成することなくチャンネル・データから直接に画素画像を形成するように)実現できることに留意されたい。一般的に云えば、様々な実施形態は、比較的低い品質の画像が表示されている間に表示すべき画像の品質を改善するように、記憶されたデータを処理することができる。従って、様々な実施形態では、幾つかの図に例示されているように、ビーム形成処理に関して説明しているとき、追加の又は異なる処理方法が予想され、それらは、同じ又は同様な態様で(例えば、同じ又は同様なシステム・ワークフローを用いて)実現することができる。
【0015】
ここで、本書に記述されている画像を生成又は形成する様々な実施形態は、或る実施形態ではビーム形成処理を用いて、また他の実施形態ではビーム形成処理を用いないで、画像を形成するための処理を含むことができることに留意されたい。例えば、復調されたデータの行列に係数の行列を乗算して、その積が画像になるようにすること等によって、ビーム形成処理を用いずに画像を形成することができ、この場合、プロセスは何ら「ビーム」を形成しない。また、画像の形成は、2回以上の送信事象から得ることののできるチャンネルの組合せを用いて行うことができる。
【0016】
様々な実施形態では、画像を形成するための処理は、例えば、各々の所望の画像再構成点について、時間遅延した及び/又は位相シフトしたチャンネル・データの一般線形組合せを生成することを含むことができ、この場合には、チャンネル・データは同じ又は異なる超音波送信事象から得ることができ、また時間遅延及び/又は位相シフトは、画像を画像再構成点又はその近くに集束するように選択される。これらの画像再構成点の集合はまた、複数の走査線(ベクトル)、表示装置の複数の画素又は他の適当な幾何学的形状を含むことができる。
【0017】
プロセス30は一般に、超音波システムにより画像データ取得中に処理するために、並びにその後に1つ以上の異なるビーム形成処理技術を使用するために、チャンネル超音波データ(例えば、生のチャンネル・データ)を記憶することを含む。ここで、本書ではビーム形成処理技術に関して説明するとき、これは一般に、超音波システムによって行うことのできる任意の種類の受信ビーム形成処理を表すことに留意されたい。プロセス30はまた、ソフトウエアによるビーム形成処理、ハードウエアによるビーム形成処理、又はそれらの組合せを利用することができる。
【0018】
プロセス30は、ビーム形成処理のワークフローの一実施形態を(期間T1 〜T5 の間で示す)時間につれて例示する。詳しく述べると、期間T1 において、超音波システムは、段階32で、(超音波システムのプローブを使用して)ビームを送信して、対象物(例えば、患者の関心のある領域(ROI))から超音波データ(例えば、チャンネル又は生のデータ)を取得する。送信ビームは、取得すべき所望の又は必要な画像データに基づいて形成される。例えば、(動作モードに基づいた)選択された又は予め定められた受信ビーム形成処理技術に基づいて、送信ビームは送信ビーム形成処理法を用いて形成される。送信ビーム形成処理は、或る特定の種類の超音波画像を生成するためのような超音波画像データの取得を可能にする任意の適当な種類の送信ビーム形成処理であってよい。
【0019】
その後、期間T2 において、段階34で、チャンネル超音波データが記憶される。例えば、図2に例示されているように、超音波システムの複数のチャンネル52の各々からの超音波データがシステム・メモリ50に記憶される。従って、各送信信号について、チャンネル超音波データは各チャンネル52毎に記憶される。例えば、128チャンネルの超音波システムでは、一組128個の受信信号がメモリ50に記憶される。従って、このチャンネル超音波データは、任意の種類のビーム形成処理が受信データについて行われる前に記憶される。更に、期間T2 中に、段階36で、複数のチャンネル52からのチャンネル超音波データが処理され、詳しく述べると、ビーム形成処理を行って、ビーム形成処理されたチャンネル・データを生成する。ここで、段階36における処理は、チャンネル超音波データの受信及び記憶と同時に行われることに留意されたい。また、様々な実施形態ではチャンネル超音波データの取得及び記憶は、プロセス30の一部分又は全ての間、持続することに留意されたい。
【0020】
段階36において行われるビーム形成処理は、ハードウエア、ソフトウエア、又はそれらの組合せで行うことができる。例えば、チャンネル超音波データは、比較的低い解像度又は画像品質(例えば、基本画像品質)を持つ表示用の超音波画像を生成するように処理される。従って、期間T3 において、段階38で低い画像品質又は基本画像品質を持つ画像が表示される。例えば、比較的低い解像度の実時間画像(これは、プローブによる現在の画像取得を表す)が表示される。従って、段階36における処理は、超音波走査を遂行している間にユーザーが画像を観察することができるように超音波画像を画像データ取得と同時に表示するように行われる。ここで、ビーム形成処理されたチャンネル・データ、すなわち、比較的低い解像度の画像を生成するように処理されたデータは、期間T3 において記憶することができることに留意されたい。
【0021】
チャンネル超音波データが取得され且つ比較的低い解像度の画像(1つ又は複数)が表示されている間、例えば、プローブが超音波データを取得し続け且つ比較的低い解像度の画像を表示している間、画像品質を改善するために、段階40において(例えば、期間T3 中に)チャンネル・データについて(又は随意選択により、ビーム形成処理されたチャンネル・データについて)追加のビーム形成処理を行う。例えば、追加のビーム形成処理を、比較的高い解像度の画像を生成するために行うことができる。従って、実施形態によっては、基本又は比較的低いレベルのビーム形成処理(これは、より進歩した又は複雑なビーム形成処理の一部であってよい)は実時間で行われる。その場合、基本ビーム形成処理により形成された画像は実時間で表示されると共に、改良ビーム形成処理(例えば、比較的高い解像度の画像を生成する高度ビーム形成処理)により形成された画像は、例えば画像フリーズ動作中に改良ビーム形成処理の幾分か又は一部分が既に行われるように、保存又は記憶される。
【0022】
ここで、様々な実施形態における追加のビーム形成処理はソフトウエア・ビームフォーマで行われ、ソフトウエア・ビームフォーマは、本書により詳しく記述されているように現在表示される画像又はその後に表示される画像を向上させ又は改善するために異なる種類のビーム形成処理を含むことができることに留意されたい。その場合、実施形態によっては、画像品質又は解像度は、ユーザーが(比較的低い解像度の)実時間画像、再生画像及び/又はフリーズ画像を観察している間に、すなわち、超音波データが走査期間中のように取得されている間に、改善することができる。
【0023】
ここで、画像品質又は解像度を改善することに関して述べるとき、これは、例えば画像の観察や分析を容易にするために、表示画像を変更し又は更新する任意の処理、例えばビーム形成処理を表すことに留意されたい。品質改善した画像は、期間T4 中に段階42で表示される。画像品質又は解像度は、表示画像が(図1に複数の矢印44で表されているように)生の画像取得モード中及び/又は画像再生/フリーズ・モード中に行われる追加のビーム形成処理に基づいて周期的に又は連続的に更新されるように、連続的に改善することができる。従って、表示画像又は画像シネ・ループの画像品質は、例えばユーザーに対する画像シーケンスの再生中に、改善することができる。そこで、画像取得中は、実時間処理のフレーム速度が達成される(システムの処理能力によって制限される)のに対し、再生中は、超音波システムの処理後のフレーム速度が実時間処理のフレーム速度よりも増大される。
【0024】
様々な実施形態では、追加のビーム形成処理は、例えばユーザーによって、生の走査モードを終了させたとき、或いは予め規定された又は所定の期間後に、或いは超音波システムの処理能力が完全に利用されていない期間又は所定のレベルより低い期間に、或いはそれらを組み合わせて、行うことができる。この期間中、チャンネル・データ又はビーム形成処理されたチャンネル・データは、画像品質又は解像度を変えるように、例えば、1つ以上のビーム形成処理技術(これは、高度ビーム形成処理技術を含むことができる)を用いて画像品質を改善するように、更に処理される。例えば、下記の処理又はビーム形成処理技術の1つ以上(又はそれらの組合せ)を遂行することができる。それらは、増大マルチライン取得(MLA)、適応ビーム形成処理、送信焦点合成、収差補正、開口合成、クラッタ低減及び/又は適応ノイズ制御である。
【0025】
その後、期間T5 において、最終のビーム形成処理された画像が段階46において表示され、この最終のビーム形成処理された画像は、期間T1 においてユーザーによって選択されたビーム形成処理が完了したときの画像を含むことができる。更に、記憶されているチャンネル・データはまた、該データを異なるビーム形成処理技術に適用するために、呼び出すことができる。従って、1つ以上の相異なるビーム形成処理技術を適用した1つ以上の画像は段階48で表示することができる。異なるビーム形成処理を行った画像は表示装置に別々に又は同時に表示することができる。また、異なるビーム形成処理技術を、レンダリングされた四次元(4D)画像及び/又は1つ以上の二次元(2D)スライス画像又は三次元(3D)ボリューム画像に対して遂行し又は適用することができる。
【0026】
前に述べたが、図2に例示されているように、メモリ50に記憶されている超音波データ(チャンネル・データ又は処理されたチャンネル・データであってよい)は、表示のための1つ以上の超音波画像を生成するために利用される。例えば、基本品質画像54は実時間で又は生の走査モード中に(超音波データが取得されている間に)表示することができ、その基本品質画像54は、中間の又は最終の表示画像よりも比較的低い画像品質又は解像度を持つ。また、ユーザーが特定の画像を観察するフリーズ・モードなどの動作中に、1つ以上の品質改善した画像56も形成することができる。例えば、フリーズ・モード中に超音波データについて追加のビーム形成処理又は他の処理を行って、改良ビーム形成処理による画像(例えば、品質改善した画像)を生成することができ、該画像は、後で観察するために、例えば、フリーズ・モードが終了した後に観察するために、記憶・保存することができる。追加の品質改善した画像58はまた、取得後に(例えば、生の走査モードが終了した後に)表示することができる。画像58は、最終的に処理された画像、例えば、画像54及び/又は56を生成するために用いられる選択されたビーム形成処理に基づいた最終的にビーム形成処理された画像、或いはチャンネル超音波データを用いる取得後の異なる処理又はビーム形成処理技術を用いて生成された画像であってよい。
【0027】
次いで動作について説明すると、図3に例示されているように、基本品質画像54を最初に表示することができ、この場合、ユーザーが、例えば、対象物の配向を決定し且つ比較的大きい目印を識別することができるが、解像度は比較的低く、対象物の詳細な特徴が明確でないことがある。ここで、例示された基本品質画像54が、ユーザーに対して表示することのできるシネ・ループからの単一の画像であることに留意されたい。次いで、画像品質又は解像度が改善される。それは、その都度、更新された画像を表示するような増分的な改善とすることができる。例えば、品質改善した画像56aは、部分的に改善されており、画像データの幾分かの追加のフレームを処理した後に生成され、これによって1つの更新画像を構成する。品質改善した画像56aは、画像の一部分(例えば、画像の半分)を比較的高い画像品質又は解像度にすることができる。このように、超音波データのより多くのフレームが処理されるにつれて、表示される画像の品質又は解像度が改善される。従って、品質改善した画像56b(これは最終の画像であってよい)に示されているように、画像品質又は解像度は、対象物の詳細な特徴がより明瞭になるように改善される。
【0028】
図4に例示されているような超音波ビーム形成処理のための方法60は、様々な実施形態に従って遂行することができる。本方法60は一般に、画像再生又は画像フリーズ・モード中のような、走査モード又は走査期間中に画像品質又は解像度を改善する。詳しく述べると、選択されるビーム形成処理技術(例えば、ビーム形成処理方法)が段階62で決定される。例えば、取得された超音波データについて行うためにユーザーによって選択される特定のビーム形成処理は、ユーザー入力又は動作モードに基づいて決定される。
【0029】
その後、段階34で、選択されたビーム形成処理技術に基づいて超音波ビームが送信される。例えば、送信ビーム形成処理は、関心のある対象物についての超音波画像データのような超音波データ(例えば、関心のある対象物についての超音波画像データ)を取得するために、選択されたビーム形成処理技術に基づいて行われる。受信された超音波データは、段階66で、受信ビーム形成処理を行う前にチャンネル超音波データとして保存される。保存されたチャンネル超音波データは、段階68で、処理される。例えば、保存されたチャンネル超音波データについてビーム形成処理が行われる。ここで、様々な実施形態において、チャンネル超音波データが長期記憶装置に保存され続けると共に、ビーム形成処理が、一時的又は短期記憶装置にコピーされたチャンネル超音波データについて行われることに留意されたい。また、この時点で行われる、すなわち、生の走査モード中に実時間で行われるビーム形成処理は、比較的高いボリューム速度で比較的低い解像度を持つ画像を提供し、これは比較的低い線密度を含むことができることに留意されたい。
【0030】
次いで、ビーム形成処理されたチャンネル・データは、段階70で、基本画像品質(例えば、比較的低い線密度)を持つ超音波画像を生成して表示するために用いられる。従って、基本画像は比較的低い画像品質又は解像度を持つ。上記チャンネル・データはまた記憶されて、本書により詳しく記述されているように、段階72で、画像再生又は画像フリーズ中に、表示される画像の品質又は解像度が改善されるようにする。詳しく述べると、基本画像品質を持つ画像を生成するために部分的に行った選択されたビーム形成処理技術を用いて、チャンネル・データについて追加のビーム形成処理が行われる。例えば、画像のシネ・ループ(例えば、画像の繰り返しのシネ・ループ)の表示中、ビーム形成処理されたチャンネル・データについてより多くのフレームを処理して、その結果として受信線の数を増大した画像、或いは他の改善された画像特性又は品質を持つ画像を生じるさせること等によって、画像の品質又は解像度が改善される。
【0031】
次いで、段階74で、品質改善した画像が表示される。例えば、本書により詳しく記述されているように、画像の品質又は解像度は、画像のシネ・ループを繰り返している間に増分的に又は連続的に増大させることができる。また、段階76で、例えば、(前にビーム形成処理を行った)保存されたチャンネル超音波データについて異なる種類のビーム形成処理を行って表示することができ、該保存されたチャンネル超音波データは、品質改善した画像とは別個に又は品質改善した画像と同時に表示することができる。
【0032】
上記のように、ビーム形成処理は、生の走査モード中、再生モード中、フリーズ・モード中、及び/又は画像取得後に行われる。例えば、再生モード中、ビーム形成処理はバックグラウンド動作で行って、実時間バックグラウンド・ビーム形成処理が提供されるようにする。
【0033】
動作について説明すると、例えば、MLA取得では、単一の超音波ビームが送信され、また各送信ビームに対応して複数のビームが受信される。4Dでイメージングする用途では、16MLA及び32MLAイメージングなどの場合、比較的高いフレーム速度が用いられる。様々な実施形態を用いる超音波システムは、8MLAを生じる処理能力を持つことができるが、様々な実施形態のビーム形成処理により16MLA又は32MLAで画像を生成することが可能である。例えば、32MLAイメージング用途では、様々な実施形態は、生の走査モードの際に16MLA処理また再生段階の際に16MLA処理を行うことができる。従って、生の走査モード及び再生モードの際にほぼ等しい処理時間を用いて、比較的高い解像度の32MLA画像が生成される。ここで、(前にビーム形成処理を行った)記憶されたチャンネル超音波データはまた、適応ビーム形成処理のような異なる技術を用いてビーム形成処理することができ、該ビーム形成処理は、例えば、ソフトウエア・ビーム形成処理によって行われることに留意されたい。
【0034】
一例として、様々な実施形態は、計算又は処理能力/資源が低減され又は制限されている超音波システム又はスキャナで、一回の心拍動中に心臓ボリューム全体を取得し、次いで、改善された又は達成可能な最良の画像品質を持つ表示をポストフリーズ(post-freeze) することを可能にする。様々な実施形態はまた、繰り返し走査することなく、同じ一セットの超音波データについて相異なるビーム形成処理技術(例えば、組織及びBフロー)を適用することを可能にする。ここで、様々な実施形態は、ポストフリーズ・ビーム形成処理に制限されず、またポストフリーズ・ベクトル処理及び画像処理に関連して実現することもできることに留意されたい。例えば、周波数複合のような高度ベクトル処理は、実時間で利用できないが、ポストフリーズで適用することのできる計算又は処理資源を、2回使用する。
【0035】
様々な実施形態は、図5〜図7に例示されているような超音波イメージング・システム100を使用して実現することができる。詳しく述べると、図5は、ソフトウエア・ビームフォーマ・アーキテクチャを含む超音波システム100を示す簡略ブロック図である。超音波システム100は、プローブ106を使用して超音波データを取得するように構成されており、この場合、超音波信号の送受信はフロント・エンド101で行われ、フロント・エンド101は図示のようにハードウエア利用の受信ビームフォーマを含まない。しかしながら、随意選択により、本書により詳しく記述されているように何らかのビーム形成処理を行うために、ハードウエア利用の受信ビームフォーマを設けることができることに留意されたい。フロント・エンド101は一般に、送信器(TX)/受信器(RX)を含み、これは、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールド・プログマブル・ゲート・アレイ(FPGA)で実現することができる。フロント・エンド101は複数のデータ・チャンネルを介してバック・エンド103に接続され、これらのデータ・チャンネルはフロント・エンド101からバック・エンド103へチャンネル超音波データを伝送する。バック・エンド103は一般に、以下により詳しく述べるように、ソフトウエアで実現されるビームフォーマと、IQ/RFプロセッサとを含む。これらの処理機能は、中央処理装置(CPU)、汎用処理装置(GPU)又は任意の種類のプログラム可能なプロセッサによって、遂行することができる。
【0036】
図6は、超音波システム100のより詳細なブロック図を示す。超音波システム100は、(3D空間内などで)音波ビームの電気的又は機械的ステアリングが可能であり且つ対象物又は患者内の関心のある領域(ROI)の複数の2D表現又は画像に相当する情報を取得するように構成可能であり、これは本書により詳しく記述されているように規定又は調節することができる。超音波システム100は、例えば、1つ以上の配向平面で2D画像を取得するように構成可能である。超音波システム100はまた、超音波システム100のビーム形成処理能力を増大するためにバックグラウンド実時間ビーム形成処理を行うことが可能である。
【0037】
超音波システム100は送信器102を含み、送信器102は、ビームフォーマ110の制御の下に、プローブ106内の素子104(例えば、圧電素子)のアレイ(配列)を駆動して、超音波パルス信号を身体内へ放出する。多様な幾何学的構成を用いることができる。超音波信号が身体内の構造、例えば、血球又は筋肉組織などから後方散乱されて、素子104へ戻るエコーを生成する。エコーは受信器108によって受信される。受信されたエコーはチャンネル超音波データとしてメモリ105に保存されると共に、ソフトウエア・ビームフォーマ110に送られる。ビームフォーマ110は、本書により詳しく記述されているように受信ビーム形成処理を行って、RF信号を出力する。ここで、ビームフォーマ110が本書に記述されているように基本ビーム形成処理を行うように構成されており、また本書に記述されているように高度ビーム形成処理を行うために高度ビームフォーマ111も設けられていることに留意されたい。ビームフォーマ110及び111は、例えば、同じソフトウエアで実現することができる。ビーム形成処理された超音波データ(ビーム形成処理データとも呼ぶ)はまた、メモリ105又はメモリ122に記憶させることができる。RF信号はRFプロセッサ112に送られる。また、RFプロセッサ112は、RF信号を復調して、エコー信号を表すIQデータ対を形成する複素復調器(図示せず)を含むことができる。次いで、RF又はIQ信号データは、保存のためにメモリ114に直接送ることができる。実施形態によっては、ハードウエアの受信ビームフォーマをフロント・エンド101に設けることができる。
【0038】
上記の実施形態では、ビームフォーマ110は受信ビームフォーマとして動作する。送信ビームフォーマ(図示せず)も設けられる。代替実施形態では、プローブ106は、随意選択により、プローブ内部に受信ビーム形成処理を行う部分開口を持つ2Dアレイを含む。ビームフォーマ110は、各電気信号を遅延し、アポダイズし、そしてプローブ106から受け取った他の電気信号と加算することができる。加算された信号は、超音波ビーム又は線からのエコーを表す。加算された信号は、ビームフォーマ110からRFプロセッサ112へ出力される。RFプロセッサ112は、複数走査平面又は異なる走査パターンについて、異なる種類のデータ、例えば、Bモード、カラー・ドップラー(速度/パワー/分散)、組織ドップラー(速度)、及びドップラー・エネルギのデータを生成することができる。例えば、RFプロセッサ112は複数走査平面について組織ドップラー・データを生成することができる。RFプロセッサ112は、複数のデータ・スライスに関連した情報(例えば、I/Q、Bモード、カラー・ドップラー、組織ドップラー、及びドップラー・エネルギ情報)を収集して、そのデータ情報(それは、タイム・スタンプ及び配向/回転情報を含むことができる)をメモリ114に記憶させる。
【0039】
超音波システム100はまたプロセッサ116を含み、プロセッサ116は、取得された超音波情報(例えば、RF信号データ又はIQデータ対)を処理して、表示装置118で表示するための超音波情報のフレームを作成し、本書により詳しく記述されているように画像品質又は解像度を改善する。プロセッサ116は、取得された超音波データについて複数の選択可能な超音波モダリティに従って1つ以上の処理動作を行うように構成される。取得された超音波データは、エコー信号が受信される走査期間中に実時間で処理して表示することができる。これは、実時間処理制御モジュール130によって制御される生の走査モード又は再生モード中に画像品質又は解像度を改善することを含むことができる。実時間処理制御モジュール130は、本書に記述されているように1つ以上の実施形態を実現し、例えば、本書に記述されているようにビーム形成処理を実現する。それに加えて又はその代わりに、超音波データは、走査期間中にメモリ114に一時的に記憶させ、次いでオフライン動作で処理して表示することができる。
【0040】
プロセッサ116はユーザーインターフェース124(これは、マウス、キーボードなどを含むことができる)に接続される。ユーザーインターフェース124は、以下により詳しく説明されるようにプロセッサ116の動作を制御することができる。表示装置118は、診断及び分析のためにユーザーに対して診断用超音波画像を含む患者情報を提供する1つ以上のモニタを含む。メモリ114及びメモリ122の一方及び両方は、超音波データの二次元(2D)又は三次元(3D)データ・セットを記憶することができ、その場合、このような2D及び3Dデータ・セットは2D(及び/又は3D)画像を提示するために呼び出され、これらの画像は、ビーム形成処理の異なる状態にあることがある。これらの画像は修正することができ、また表示装置118の表示設定値もユーザーインターフェース124を用いて手動調節することができる。
【0041】
プロセッサ116に接続された実時間処理制御モジュール130は、プロセッサ116で実行されるソフトウエアであっても、又はプロセッサ116の一部として設けられたハードウエアであってもよい。実時間処理制御モジュール130は、本書により詳しく記述されているようにソフトウエアのビーム形成処理を制御する。
【0042】
ここで、様々な実施形態を超音波システムに関連して記述することができるが、それらの方法及びシステムは超音波イメージング又はその特定の構成に制限されないことに留意されたい。様々な実施形態は、異なる種類のイメージング・システムに関連して、例えば、超音波イメージング・システムと、X線イメージング・システム、磁気共鳴イメージング(MRI)システム、コンピュータ断層撮影(CT)イメージング・システム、陽電子放出断層撮影(PET)イメージング・システムなどの内の1つとを持つ複数のモダリティのイメージング・システムに関連して実現することができる。更に、様々な実施形態は非医用イメージング・システム、例えば、超音波溶着部試験システム又は空港荷物検査システムのような非破壊試験システムで実現することができる。
【0043】
図7は、超音波プロセッサ・モジュール136の模範的なブロック図を例示しており、超音波プロセッサ・モジュール136は図6のプロセッサ116として又はその一部として具現化することができる。超音波プロセッサ・モジュール136は、概念的に一群のサブモジュールより成るものとして例示されているが、専用ハードウエア基板、DSP、プロセッサなどの任意の組合せを利用して実現することができる。この代わりに、図7の一群のサブモジュールは、単一のプロセッサ、又は機能的動作を相互間で分散させた複数のプロセッサを備えた市販のPCを利用して、実現することができる。別のオプションとして、図7の一群のサブモジュールはハイブリッド構成を利用して実現することができ、そのハイブリッド構成では、幾つかのモジュールの機能が専用のハードウエアを利用して遂行され、また残りのモジュールの機能が市販のPCなどを利用して遂行される。上記一群のサブモジュールは、処理装置内のソフトウエア・モジュールとして実現することができる。
【0044】
図7に例示された一群のサブモジュールの動作は、ローカルの超音波制御装置150によって又はプロセッサ・モジュール136によって制御することができる。サブモジュール152〜164は中間処理動作を遂行する。超音波プロセッサ・モジュール136は、超音波データ170を、幾つかの形態の内の1つで受信することができる。図6の実施形態では、受信された超音波データ170は、各データ・サンプルに関連した実数及び虚数成分を表すIQデータ対を構成する。これらのIQデータ対は、カラーフロー・サブモジュール152、パワー・ドップラー・サブモジュール154、Bモード・サブモジュール156、スペクトル・ドップラー・サブモジュール158及びMモード・サブモジュール160の内の1つ以上へ供給される。随意選択により、音響放射力インパルス(ARFI)サブモジュール162及び組織ドップラー(TDE)サブモジュール164などのような他のサブモジュールを含むことができる。
【0045】
サブモジュール152〜164の各々はIQデータ対を対応する態様で処理して、カラーフロー・データ172、パワー・ドップラー・データ174、Bモード・データ176、スペクトル・ドップラー・データ178、Mモード・データ180、AFRIデータ182及び組織ドップラー・データ184を生成するように構成され、これらのの全てのデータはその後の処理の前にメモリ190(又はメモリ114又はメモリ122(図5参照))に一時的に記憶させることができる。例えば、Bモード・サブモジュール156は、本書により詳しく記述されているように二平面又は三平面画像取得におけるような複数のBモード画像平面を含むBモード・データ176を生成することができる。
【0046】
データ172〜184は、例えば、各セットが個々の超音波画像フレームを規定するような複数セットのベクトル・データ値として記憶することができる。ベクトル・データ値は一般に極座標系に基づいて構成される。
【0047】
走査変換器サブモジュール192が、メモリ190にアクセスして、そこから画像フレームに関連したベクトル・データ値を得て、該ベクトル・データ値のセットを直交座標に変換して、表示のためにフォーマット設定された超音波画像フレーム195を生成する。走査変換器サブモジュール192によって生成された超音波画像フレーム195は、その後の処理のためにメモリ190に戻すことができ、またメモリ114又はメモリ122に供給することができる。
【0048】
いったん走査変換器サブモジュール192が、例えば、Bモード画像データなどに関連した超音波画像フレーム195を生成すると、それらの画像フレームは、メモリ190に再び記憶させるか、又は母線196を介してデータベース(図示せず)、メモリ114、メモリ122及び/又は他のプロセッサへ伝送することができる。
【0049】
走査変換されたデータはビデオ表示のためにXYフォーマット変換して、超音波画像フレームを生成することができる。走査変換された超音波画像フレームは表示制御装置(図示せず)に供給される。表示制御装置は、ビデオ表示のためにビデオをグレースケールにマッピングするビデオ・プロセッサを含むことができる。グレースケール・マップは、チャンネル画像データから表示グレー・レベルへの変換機能を表すことができる。いったんビデオ・データがグレースケール値にマッピングされると、表示制御装置は画像フレームを表示するために表示装置118(図6に示す)を制御する。表示装置118は、1つ以上のモニタ又は表示ウインドウを含むことができる。表示装置118に表示される画像は、データの画像フレームから生成される。その各々のデータはそれぞれの表示画素の強さ又は輝度を指示する。
【0050】
再び図7について説明すると、2Dビデオ・プロセッサ・サブモジュール194が、異なる種類の超音波情報から生成されたフレームの1つ以上を組み合わせる。例えば、2Dビデオ・プロセッサ・サブモジュール194は、ビデオ表示のために一種類のデータをグレー・マップへマッピングし且つ他の種類のデータをカラー・マップへマッピングすることによって、異なる画像フレームを組み合わせることができる。最終の表示画像において、カラー画素データがグレースケール画素データに重畳されて、単一のマルチモード画像フレーム198(例えば、機能的画像)を形成することができ、それは再びメモリ190に記憶され又は母線196を介して伝送される。相次ぐ画像フレームをシネ・ループとしてメモリ190又はメモリ122(図6に示す)の記憶することができる。シネ・ループは、ユーザーに対して表示される画像データを取得するための先入れ先出し循環画像バッファを表す。ユーザーは、ユーザーインターフェース124でフリーズ指令を入力することによって、シネ・ループをフリーズさせることができる。ユーザーインターフェース124は、例えば、超音波システム100(図6に示す)に情報を入力することに関連したキーボード及びマウス及び全ての他の入力制御器を含むことができる。
【0051】
3Dプロセッサ・サブモジュール200はまた、ユーザーインターフェース124によって制御されて、メモリ190にアクセスして3D超音波画像データを得て、公知のボリューム・レンダリング又は表面レンダリング・アルゴリズムなどにより三次元画像を生成する。三次元画像は、レイ・キャスティング、最大強度画素投影などの様々なイメージング技術を利用して生成することができる。
【0052】
図6の超音波システム100は、ラップトップ・コンピュータ又はポケットサイズのシステムのような小さいサイズのシステム、並びにより大きなコンソール型システムで具現化することができる。図8及び図9は、小さいサイズのシステムを例示する。
【0053】
図8は、プローブ332を持つ3D能力のある小型超音波システム300を例示する。プローブ332は、3D超音波データ又は多平面超音波データを取得するように構成することができる。例えば、プローブ332は、図6のプローブ106に関して前に述べたような2Dアレイの素子104を持つことができる。(一体の表示装置336を含むこともできる)ユーザーインターフェース334がオペレータからの指令を受け取るために設けられる。本書で用いる用語「小型」とは、超音波システム330が手持ち型又は持ち運び型の装置であり、或いは人の手で、ポケットに入れて、ブリーケースのようなケースに入れて、又は背負って運ぶことができるように構成されていることを意味する。例えば、超音波システム330は、典型的なラップトップ・コンピュータの大きさを持つ持ち運び型の装置とすることができる。超音波システム330はオペレータによって容易に運搬可能である。一体の表示装置336(例えば、内部表示装置)は、1つ以上の医学的画像を表示するように構成される。
【0054】
図9は、持ち運び型又はポケットサイズの超音波イメージング・システム350を例示し、該システムでは、表示装置352及びユーザーインターフェース354が一つのユニットを形成する。例えば、ポケットサイズの超音波イメージング・システム350は、幅が約2インチ、長さが約4インチ、深さが0.5インチ、及び重さが3オンス未満であるポケットサイズ又は手のひらサイズの超音波システムとすることができる。ポケットサイズの超音波イメージング・システム350は一般に、表示装置352と、ユーザーインターフェース354(これは、キーボード型のインターフェースを含んでいても含まなくてもよい)と、走査装置(例えば、超音波プローブ356)に接続するための入力/出力(I/O)ポートとを含む。表示装置352は、例えば、320×320画素のカラーLCD表示装置とすることができる(この表示装置で、医学的画像390を表示することのできる)。ユーザーインターフェース354には、随意選択により、タイプライタ型のキーボード380のボタン382を含めることができる。
【0055】
図9は、持ち運び型又はポケットサイズの超音波イメージング・システム350を例示し、該システムでは、表示装置352及びユーザーインターフェース354が一つのユニットを形成する。例えば、ポケットサイズの超音波イメージング・システム350は、幅が約2インチ、長さが約4インチ、深さが0.5インチ、及び重さが3オンス未満であるポケットサイズ又は手のひらサイズの超音波システムとすることができる。ポケットサイズの超音波イメージング・システム350は一般に、表示装置352と、ユーザーインターフェース354(これは、キーボード型のインターフェースを含んでいても含まなくてもよい)と、走査装置(例えば、超音波プローブ356)に接続するための入力/出力(I/O)ポートとを含む。表示装置352は、例えば、320×320画素のカラーLCD表示装置とすることができる(この表示装置で、医学的画像390を表示することのできる)。ユーザーインターフェース354には、随意選択により、タイプライタ型のキーボード380のボタン382を含めることができる。
【0056】
複数の多機能制御器384の各々に、システムの動作モードに従った機能(例えば、異なる図を表示する機能)を割り当てることができる。従って、多機能制御器384の各々は、複数の異なる作用を提供するように構成することができる。多機能制御器384に関連したラベル表示区域386を、必要なときに、表示装置352上に含めることができる。システム350はまた、特別目的の機能のための追加のキー及び/又は制御器388を含むことができ、特別目的の機能には、限定するものではないが、「フリーズ(FREEZE)」、「深さ(DEPTH) 制御」、「利得(GAIN)制御」、「カラー・モード(COLOR-MODE)」、「印刷(PRINT) 」及び「保存(STORE) 」を含むことができる。
【0057】
ラベル表示区域386の1つ以上は、現在表示されている図(画像)を表すため又はユーザーが表示のためにイメージング対象物の異なる図(画像)を選択できるようにするためのラベル392を含むことができる。異なる図の選択は、関連した多機能制御器384のより行うこともできる。表示装置352はまた、表示された画像に関連した情報(例えば、表示された画像に関連したラベル)を表示するテキスト表示区域394を持つことができる。
【0058】
ここで、様々な実施形態は、異なる寸法、重量及び電力消費量の小型の又は小さいサイズの超音波システムに関連して実現することができることに留意されたい。例えば、ポケットサイズの超音波イメージング・システム350及び小型超音波システム300は、システム100(図6に示す)と同じ走査及び処理機能を提供することができる。
【0059】
図10は、移動可能な基台402上に設けられた超音波イメージング・システム400を例示する。可搬型の超音波イメージング・システム400はまた、カート運搬型システムと呼ぶこともできる。表示装置404及びユーザーインターフェース406が設けられており、ここで、表示装置404がユーザーインターフェース40とは別個で又は分離可能であることを理解されたい。ユーザーインターフェース406は、随意選択により、ユーザーが表示された図形、アイコンなどに触れることによって様々なオプションを選択できるようにするタッチスクリーンとすることができる。
【0060】
ユーザーインターフェース406はまた、希望される通りに又は必要に応じて、及び/又は典型的には規定されたとおりに、可搬型の超音波イメージング・システム400を制御するために使用することのできる制御ボタン408を含む。ユーザーインターフェース406は、表示することのできる超音波データ及び他のデータと相互作用すると共に、情報を入力し且つ走査パラメータや観察角度なとを設定し変更するように、ユーザーが物理的に操作することのできる多数のインターフェース・オプションを提供する。例えば、キーボード410、トラックボール412及び/又は多機能制御器414を設けることができる。
【0061】
ここで、様々な実施形態は、ハードウエア、ソフトウエア、又はそれらの組合せで具現化することができることに留意されたい。様々な実施態様及び/又は構成要素、例えば、モジュール、又はその中の構成要素及び制御装置はまた、1つ以上のコンピュータ又はプロセッサの一部として具現化することができる。様々な実施態様及び/又は構成要素は、異なる順序又は配置構成で具現化することができる。コンピュータ又はプロセッサは、演算装置、入力装置、表示ユニット、及び、例えばインターネットにアクセスするためのインターフェースを含むことができる。コンピュータ又はプロセッサはマイクロプロセッサを含むことができる。マイクロプロセッサは通信母線に接続することができる。コンピュータ又はプロセッサはまた、メモリを含むことができる。メモリには、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及び読出し専用メモリ(ROM)を含むことができる。コンピュータ又はプロセッサは更に記憶装置を含むことができ、それは、ハードディスク・ドライブ、或いは、フロッピー(商標)・ディスク・ドライブ、光ディスク・ドライブなどのような取外し可能な記憶媒体のドライブであってよい。記憶装置はまた、コンピュータ・プログラム又は他の命令をコンピュータ又はプロセッサにロードするための他の同様な手段であってよい。
【0062】
本書で用いられる用語「コンピュータ」又は「モジュール」には、マイクロコントローラ、縮小命令セット・コンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、及び本書で述べた機能を実行することの可能な任意の他の回路又はプロセッサを使用するシステムを含む、任意のプロセッサをベースとした又はマイクロプロセッサをベースとしたシステムを含むことができる。上記の例は典型的なものに過ぎず、従っていずれにしても用語「コンピュータ」の定義及び/又は意味を制限するものではない。
【0063】
コンピュータ又はプロセッサは、入力データを処理するために、1つ以上の記憶素子に記憶されている一組の命令を実行する。記憶素子はまた、希望されるとき又は必要とされるとき、データ又は他の情報を記憶することができる。記憶素子は、情報源又は処理機械内の物理的メモリ素子の形態であってよい。
【0064】
一組の命令は、本発明の様々な実施態様の方法及び処理のような特定の動作を遂行するために処理機械としてコンピュータ又はプロセッサに命令する様々なコマンドを含むことができる。一組の命令は、ソフトウエア・プログラムの形態であってよい。ソフトウエアは、システム・ソフトウエア又はアプリケーション・ソフトウエアのような様々な形態であってよく、またソフトウエアは有形の持続性のコンピュータ読取り可能な媒体として具現化することができる。更に、ソフトウエアは、一群の別々のプログラム、より大きなプログラム内のプログラム・モジュール、又はプログラム・モジュールの一部分の形態であってよい。ソフトウエアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態でモジュラー・プログラミングを含むことができる。処理機械による入力データの処理は、ユーザ指令に応答するもの、又は以前の処理の結果に応答するもの、又は別の処理機械によってなされた要求に応答するものであってよい。
【0065】
本書で用いられる用語「ソフトウエア」及び「ファームウエア」は相互に交換可能であり、またRAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含む、コンピュータによって実行するためにメモリに記憶されている任意のコンピュータ・プログラミングを含む。上記のメモリの種類は典型的なものに過ぎず、従ってコンピュータ・プログラミングの記憶のために使用可能なメモリの種類について制限するものではない。
【0066】
また、上記の記載が説明のためのものであって、制限するためのものではないことを理解されたい。例えば、上述の様々な実施態様(及び/又はその様々な面)は互いに組み合わせて用いることができる。その上、特定の状況又は材料を本発明の範囲から逸脱せずに本発明の教示に適応させるように多くの修正を為すことができる。本書で述べた材料の寸法及び種類が様々な実施形態のパラメータを規定することを意図しているが、それらの実施形態は制限ではなく、模範的な実施態様である。上記の説明を検討すると、当業者には多くの他の実施態様が明らかであろう。従って、様々な実施形態の範囲は、特許請求の範囲の記載と共に、該記載と等価な全ての範囲を参照して決定すべきである。特許請求の範囲の記載では、「含む」及び「その場合において」と云う用語は「有する」及び「その場合」と云う用語とそれぞれ等価なものとして用いられている。更に、特許請求の範囲の記載において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は単にラベルとして用いられていて、それらの対象について数に関する要件を課しているものではない。更に、特許請求の範囲が「手段+機能」形式で記載されていず、また特許請求の範囲が、構造についての記載のない機能の記述の後に用語「手段」を記載したものでないなら、米国特許法35U.S.C.ξ112、第6項に基づいて解釈されるべきではない。
【0067】
本明細書は、最良の実施形態を含めて、本発明を開示するために、また当業者が任意の装置又はシステムを作成し使用し且つ任意の採用した方法を遂行すること含めて、本発明を実施するために、幾つかの例を使用した。本発明の特許可能な範囲は「特許請求の範囲」の記載に定めており、また当業者に考えられる他の例を含み得る。このような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの記載から実質的に差異のない構造的要素を持つ場合、或いはそれらが「特許請求の範囲」の文字通りの記載から実質的に差異のない等価な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0068】
30 画像形成プロセス
50 システム・メモリ
44 追加のビーム形成処理
52 チャンネル
60 超音波ビーム形成処理のための方法
100 超音波イメージング・システム
101 フロント・エンド
103 バック・エンド
104 素子
105 メモリ
106 プローブ
114 メモリ
122 メモリ
136 超音波プロセッサ・モジュール
170 超音波データ
172 カラーフロー・データ
174 パワー・ドップラー・データ
176 Bモード・データ
178 ドップラー・データ
180 Mモード・データ
182 AFRIデータ
184 組織ドップラー・データ
195 超音波画像フレーム
196 母線
198 マルチモード画像フレーム
300 小型超音波システム
332 プローブ
334 ユーザーインターフェース
336 表示装置
350 超音波イメージング・システム
352 表示装置
354 ユーザーインターフェース
356 超音波プローブ
380 タイプライタ型キーボード
382 ボタン
384 多機能制御器
386 ラベル表示区域
388 制御器
390 医学的画像
392 ラベル
394 テキスト表示区域
400 超音波イメージング・システム
402 移動可能な基台
404 表示装置
408 制御ボタン
410 キーボード
412 トラックボール
414 多機能制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波データから画像を形成するための方法(60)であって、
超音波プローブの複数の素子に接続された複数のチャンネルからチャンネル超音波データを取得する段階(64)と、
前記複数のチャンネルからのチャンネル超音波データを記憶する段階(66)と、
前記取得されたチャンネル超音波データの処理に基づいて超音波画像を生成する段階(70)と、
前記超音波画像を表示する段階(70)と、
超音波画像が表示されている間に前記記憶されたチャンネル超音波データについて追加の処理を行う段階(72)と、
前記追加の処理によって生成された更新超音波画像を表示する段階(74)と、
を有する方法(60)。
【請求項2】
前記超音波画像は、基本画像品質を持つ画像を有している、請求項1記載の方法(60)。
【請求項3】
前記更新超音波画像は、画像品質又は解像度を改善した画像を有している、請求項1記載の方法(60)。
【請求項4】
更に、前記チャンネル超音波データの追加の画像フレームについて行われた前記追加の処理(72)に基づいた増分的に更新された超音波画像を表示する段階(74)を有する請求項1記載の方法(60)。
【請求項5】
更に、生の走査モード中に前記処理(70)を行い且つ再生動作モード中に前記追加の処理(72)を行う段階を有している請求項1記載の方法(60)。
【請求項6】
更に、前記記憶されたチャンネル超音波データについて異なる種類の処理を行う段階(72)を有している請求項1記載の方法(60)。
【請求項7】
前記追加の処理(72)はシネ画像の表示中に行われる、請求項1記載の方法(60)。
【請求項8】
前記処理(70)はビーム形成処理(68)を有し、また前記追加の処理(72)は高度ビーム形成処理技術を有している、請求項1記載の方法(60)。
【請求項9】
関心のある対象物についてチャンネル超音波データを取得するための超音波プローブ(106)と、
前記超音波プローブによって取得されたチャンネル超音波データを記憶するためのメモリ(105)と、
超音波画像を表示するための表示装置(118)と、
前記チャンネル超音波データを処理して、前記表示装置で表示するための画像を形成し、更に超音波画像が表示されている間にチャンネル超音波データを処理して更新画像を形成するように構成されているプロセッサ(116、130)と、
を有する超音波システム(100)。
【請求項10】
前記更新画像は表示のための解像度を改善した画像を有している、請求項9記載の超音波システム(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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