超音波モータ
【課題】環境の温度変化や負荷の温度変化があっても、モータ特性が著しく変化することなく、最適な周波数で効率良く駆動することのできる超音波モータを提供することである。
【解決手段】超音波モータ10は、駆動用電極と振動検出用電極を有し、少なくとも該振動検出用電極は、当該圧電素子の面内に存在する中心線となる線対称軸に対し線対称になるように2分割された環状の積層圧電素子20と、この積層圧電素子20と接触する下面31を斜めにカットした上部弾性体30と、上記積層圧電素子と接触する面42を斜めにカットした下部弾性体40と、上部弾性体30の一部に接触して駆動されるロータ52と、このロータ52、上部弾性体30、積層圧電素子20、下部弾性体40を貫通するシャフト58を有して構成される。
【解決手段】超音波モータ10は、駆動用電極と振動検出用電極を有し、少なくとも該振動検出用電極は、当該圧電素子の面内に存在する中心線となる線対称軸に対し線対称になるように2分割された環状の積層圧電素子20と、この積層圧電素子20と接触する下面31を斜めにカットした上部弾性体30と、上記積層圧電素子と接触する面42を斜めにカットした下部弾性体40と、上部弾性体30の一部に接触して駆動されるロータ52と、このロータ52、上部弾性体30、積層圧電素子20、下部弾性体40を貫通するシャフト58を有して構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動を駆動力源として被駆動体を駆動する超音波モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、振動子の縦振動とねじれ振動を合成して楕円振動を発生させ、ロータを回転させる超音波モータが提案されている。そして、下記特許文献1の図1には、振動子の分解斜視図が描かれており、振動子軸方向に対し斜めにカッティングされた弾性体の間に複数枚の圧電素子が挿入された構成となっている。また、該圧電素子の正電極は2分割されており、ここでは、それぞれA相、B相と称するものとする。
【0003】
ここで、A相とB相に同位相の交番電圧を印加することで、棒状振動子に縦振動を発生させることができる。また、A相とB相に逆位相の交番電圧を印加することで、棒状振動子にねじれ振動を発生させることができる。尚、振動子の溝位置を調整して縦振動の共振周波数と、ねじれ振動の共振周波数を、ほぼ一致するようにしておく。そして、A相とB相にπ/2位相の異なる交番電圧を印加すると、縦振動とねじれ振動が同時に発生し、棒状弾性体上面に楕円振動を発生させることができる。棒状弾性体上面にロータを押圧することにより、ロータを時計方向(CW方向)若しくは反時計方向(CCW方向)に回転させることができる。
【特許文献1】特開平9−117168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、環境の温度変化や負荷の温度変化があると、一般に共振周波数(縦振動共振周波数若しくはねじれ振動共振周波数)が変化する。上述した特許文献1に記載された超音波モータは、縦振動共振周波数若しくはねじれ振動共振周波数を検出するための手段を有していないため、環境の温度変化や負荷の変化があると、モータ特性が著しく変化してしまい、効率良く駆動できないと言う課題を有していた。
【0005】
したがって本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、環境の温度変化や負荷の変化があっても、モータ特性が著しく変化することなく、最適な周波数で効率良く駆動することのできる超音波モータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、駆動用電極と振動検出用電極を有し、少なくとも該振動検出用電極は、当該圧電素子の面内に存在する中心線となる線対称軸に対し線対称になるように2分割された環状の圧電素子と、自身の中心軸と直交する方向に一方の面を有し、該一方の面と所定角度を有して上記圧電素子の第1の面と接触する他方の面を有する第1の柱状弾性体と、自身の中心軸と直交する方向に一方の面を有し、該一方の面と所定角度をなして上記圧電素子の第2の面と接触する他方の面を有する第2の柱状弾性体と、上記第1の柱状弾性体の一部に接触して駆動されるロータと、を具備することを特徴とする。
【0007】
また本発明は、駆動用電極と振動検出用電極を有し、当該圧電素子の面内に存在する中心線となる線対称軸に対し線対称になるように2分割された環状の圧電素子と、自身の中心軸と直交する方向に一方の面を有し、該一方の面と所定角度を有して上記圧電素子の第1の面と接触する他方の面を有する第1の柱状弾性体と、自身の中心軸と直交する方向に一方の面を有し、該一方の面と所定角度をなして上記圧電素子の第2の面と接触する他方の面を有する第2の柱状弾性体と、上記第1の柱状弾性体の一部に接触して駆動されるロータと、を具備し、上記圧電素子は、2分割されたもので負極性を有する第1及び第2の振動検出用電極を備えた第1のシートと、2分割されたもので正極性を有する第1及び第2の振動検出用電極を備えた第2のシートと、上記駆動用電極のうち第1の駆動用電極を備えた第3のシートと、上記駆動用電極のうち第2の駆動用電極を備えた第4のシートと、を有して該第3のシートと第4のシートが交互に複数枚積層された駆動電極用シートと、から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、環境の温度変化や負荷の変化があっても、モータ特性が著しく変化することなく、最適な周波数で効率良く駆動することのできる超音波モータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る超音波モータを示すもので、(a)は外観図、(b)は断面図である。
【0011】
この超音波モータ10は、積層圧電素子20と、該積層圧電素子20を挟持する第1弾性体である上部弾性体30と、第2弾性体である下部弾性体40と、上部弾性体30の端部に接合される摩擦接触子51と、該摩擦接触子51と接触して駆動されるロータ52、ベアリング53、押圧部材55、バネ56、ナット57、及び上記積層圧電素子20、上部弾性体30、下部弾性体40の中空部に挿入されたシャフト58とから構成される。
【0012】
上部弾性体30は、中空円柱形状の黄銅やアルミニウムから成る金属材で構成されるもので、その下面31は、図示されるように、自身の中心軸と直交する面に対して斜めにカットされている。また、中空の内部には、後述する下部弾性体40の雄ねじ44と螺合するように雌ねじ32が形成されている。
【0013】
下部弾性体40は、円柱形状で、且つ中心部分は凸部41が形成された金属材で構成されている。そして、凸部41が形成されて、後述するように積層圧電素子20が載置される面42は、上部弾性体30の下面31に対向して斜めにカットされている。また、下部弾性体40の外周面には、溝部43が形成されている。この下部弾性体40の凸部41の上部外周面には、上述した上部弾性体30の雌ねじ32と螺合するための雄ねじ44が形成されている。更に、下部弾性体40の中空内部の所定の位置、すなわち振動子の縦振動の節部に相当する位置には、雌ねじ45が形成されている。
【0014】
シャフト58の略中央部には、下部弾性体40の雌ねじ45と螺合するための雄ねじ59が形成されており、上部先端部にも雌ねじ60が形成されている。摩擦接触子51は、円環形状のPPS等のエンジニアリングプラスチックから成るもので、上部弾性体30とロータ52の間に設けられる。ロータ52は、中空のアルミナセラミクスで構成されるもので、その中空内部には円環状のベアリング53が挿入されている。
【0015】
次に、本超音波モータ10の組み立て手順を説明する。
【0016】
先ず、積層圧電素子20が、上部弾性体30と下部弾性体40の間に設置される。その際、上部弾性体30と積層圧電素子20は、下部弾性体40の凸部41が下方より嵌挿される。そして、凸部41の雄ねじ44と上部弾性体30の中空部の雌ねじ32とが螺合する。次いで、上部弾性体30の上面に、円環形状の摩擦接触子51が、接着剤が用いられて接着される。その後、シャフト58が上部弾性体30の上方から挿入されて、該シャフト58の略中央部の雄ねじ59と下部弾性体40の雌ねじ45を螺合させる。
【0017】
ここまでで構成される部品が、本実施形態に於ける超音波モータ10の振動子、若しくは超音波振動子と称される。尚、詳細は後述するが、下部弾性体40の雌ねじ45の位置は、該振動子の共振縦振動モードのほぼ節位置となる位置に設けられている。
【0018】
その後、シャフト58の上方からベアリング53が挿入されたロータ52、ベアリング53の内周部を下方に押圧する押圧部材55、バネ56、ナット57の順に挿入する。こうして、ロータ52の摩擦接触子51への押圧力が適正になるように、シャフト58の雌ねじ60との状態によってナット57の位置が調整される。
【0019】
次に、本実施形態に用いられる積層圧電素子20の詳細について、図2乃至図4を参照して説明する。
【0020】
図2は積層圧電素子20の外観図、図3は図2の積層圧電素子20を上方から見た図、図4は積層圧電素子20の内部電極の構造を示した図である。
【0021】
この積層圧電素子は、複数の圧電シートが積層されて構成されたものである。
【0022】
先ず、図4に於いて、積層圧電素子20の最下面の圧電シート1251 について説明する。
【0023】
圧電シートの材質は、例えば、厚さ約100μmのチタン酸ジルコン酸鉛系圧電セラミックス素子(以下、PZTと記す)である。PZTとしては、Qm値の大きなハード系材料を選択している。Qm値は約1800である。
【0024】
円環状の圧電シート1251 の片面(ここでは表面)側には、図4に示されるように、圧電シート1251 の中心線となる線対称軸Oに対して片側2分割(内部電極A−201a、内部電極C−201c)、反対側2分割(内部電極B−201b、内部電極D−201d)の、全体で4分割された内部電極が設けられている。図4に示されるように、端部からは、例えば0.3mm程度、内部電極を有しない領域を持たせている。但し、各電極領域の一部は、後述する外部電極と電気的に導通させるために、圧電シート端部まで引き出されて電極導出部201a1 、201b1 、201c1 、201d1 が設けられている。内部電極の材質は、例えば、厚さ約4μmの銀パラジウム合金である。また、各電極の間は、絶縁を保持するように、所定の間隔を有している。
【0025】
次に、積層圧電素子20のうち、最下面の圧電シート1251 から1つ上側の圧電シート2252 について説明する。
【0026】
圧電シート1251 と同様に、円環状の圧電シートの片面(表面側)には、図4に示されるように、線対称軸Oに対して、片側2分割(内部電極A+202a、内部電極C+202c)、反対側2分割(内部電極B+202b、内部電極D+202d)の、全体で4分割された内部電極が圧電シート2252 の表面に設けられている点は、圧電シート1251 と同様である。つまり、内部電極A−201aの上に内部電極A+202a、内部電極B−201bの上に内部電極B+202b、内部電極C−201cの上に内部電極C+202c、内部電極D−201dの上に内部電極D+202dが、それぞれ重ね合わされる。但し、外部電極と接するための電極導出部201a2 、201b2 、201c2 、201d2 が設けられている位置のみ、圧電シート1251 と異なっている。
【0027】
圧電シートは下から、圧電シート1251 、圧電シート2252 、圧電シート1251 、圧電シート2252 、…、圧電シート1251 、圧電シート2252 の順で積層され、最後の圧電シート2252 の上には絶縁シート26が重ねられる。この絶縁シート26は、内部電極が印刷されていない圧電材により構成される。
【0028】
こうして積層された積層圧電素子20は、プレス後、高温で焼結される。
【0029】
その後、図2に示されるように、内部電極A+202aの電極導出部202a2 と接触する位置に外部電極A+21a、内部電極A−201aの電極導出部201a1 と接触する位置に外部電極A−21b、内部電極C+202cの電極導出部202c2 と接触する位置に外部電極C+23a、内部電極C−201cの電極導出部201c1 と接触する位置に外部電極C−23bが設けられる。同様に、これらの外部電極と反対側は、図3に示されるように、内部電極B+202bの電極導出部202b2 と接触する位置に外部電極B+22a、内部電極B−201bの電極導出部201b1 と接触する位置に外部電極B−22b、内部電極D+202dの電極導出部202d2 と接触する位置に外部電極D+24a、内部電極D−201dの電極導出部201d1 と接触する位置に外部電極D−24bが設けられる。
【0030】
最後に、各電極の+極と−極間に高電圧を印加して圧電素子を分極し、圧電的に活性化させる。尚、弾性体と接する上面、下面は鏡面に近い状態までラップしておく。
そして、外部電極A+21a、A−21bと、外部電極B+22a、B−22bをモータ駆動用の駆動電極、外部電極C+23a、C−23bと、外部電極D+24a、D−24bを振動検出用の検出電極とする。
【0031】
また、第1の実施形態に於いては、下部弾性体40の斜めにカットされている面42の上側に駆動電極を、下側に検出電極を配置するようにしている。
【0032】
次に、本第1の実施形態に於ける超音波モータ10の振動子の動作について、図5を参照して説明する。
【0033】
積層圧電素子20が伸びると、図5(a)に示されるように、上部弾性体30に力Fを及ぼし、且つ下部弾性体40に力Gを及ぼす。すると、それぞれの力の分力を考えると、F1とG1はねじれ振動を発生する力となり、F2とG2は縦振動を発生させる力となる。
【0034】
積層圧電素子20が縮むと、ベクトルの向きが逆になるが、やはり上述した縦振動とねじれ振動を発生させる力が生じることがわかる。外部電極A(A+,A−)、外部電極B(B+,B−)に同位相の交番電圧を印加すると、図5(b)に示されるように、共振縦振動モードのみが励起される。
【0035】
また、外部電極A(A+,A−)、外部電極B(B+,B−)に逆位相(位相差π)の交番電圧を印加すると、図5(c)に示されるような、上部弾性体30と下部弾性体40とが逆方向に回転する共振ねじれ振動モードのみが励起される。
【0036】
尚、下部弾性体40の溝部43より下方(積層圧電素子20と反対側)の長さ寸法を変化させ、溝部43の相対位置を適切な位置とすることで、共振縦振動モードと共振ねじれ振動の共振周波数をほぼ一致させる。
【0037】
ロータ52を押圧していくと、縦共振周波数及びねじれ共振周波数が共に上昇していく。ここで、共振縦振動モードの共振周波数の上昇する変化率の方が大きいので、ロータを押圧させない振動子単体では、共振ねじれ振動モードの共振周波数より共振縦振動モードの共振周波数を僅かに下げておく。
【0038】
いま、A相(外部電極A(A+,A−))とB相(外部電極B(B+,B−))に同位相、逆位相以外の位相差、例えば、±π/2を与えて駆動すると、共振縦振動モードと共振ねじれ振動モードが両方とも励起する。すると、図5(d)に示されるように、振動子の上面の摩擦接触子51近傍に、CW若しくはCCWの楕円運動を発生させることができる。
【0039】
次に、振動検出相のC相(外部電極C(C+,C−))、振動検出相のD相(外部電極D(D+,D−))から得られる信号について説明する。
【0040】
上述したA相、B相に、同位相の縦振動共振周波数の交番電圧を印加すると、C相とD相を並列順接続した場合(外部電極C+とD+を結線、外部電極C−とD−を結線:並列順接続相と定義する)は、縦振動に比例する信号が得られる。また、C相とD相を並列逆接続した場合(外部電極C+とD−を結線、外部電極C−とD+を結線:並列逆接続相と定義する)は信号が出ない。
【0041】
一方、A相、B相に逆位相のねじれ振動共振周波数の交番電圧を印加すると、C相とD相を並列順接続した並列順接続相からは信号が出ない。しかしながら、C相とD相を並列逆接続した並列逆接続相からは、ねじれ振動に比例する信号が得られる。
【0042】
次に、本実施形態に於ける超音波モータ10の動作について説明する。
【0043】
図1に示される超音波モータ10に於いて、A相とB相に、位相の異なる交番電圧を印加して、振動子の摩擦接触子51の位置で楕円振動を発生させる。すると、ロータ52は、CW若しくはCCW方向に回転する。ここで、C相、D相に関する並列逆接続相からは、ねじれ振動に比例する信号が発生する。したがって、駆動周波数は、その信号の大きさが最大となるように常にフィードバックを行い、ねじれ振動が極大となるような最適な周波数で駆動するようにする。
【0044】
このように、第1の実施形態では、積層圧電素子に振動検出領域を設け、ねじれ振動のみを検出できるようにしたため、ねじれ振動が常に最大となるような周波数でモータを駆動することができる。その結果、周囲の環境温度やモータにかかる負荷変動があっても、常に安定してモータを駆動することができる。
【0045】
尚、本第1の実施形態では、C相、D相に関して、並列逆接続相の信号を取り出したが、並列順接続相の信号を取り出して、その信号の大きさが極大になるように駆動周波数を調節しても良い。
【0046】
(第1の変形例)
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。
【0047】
図6は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例による超音波モータ10aの断面図である。
【0048】
尚、以下に述べる第1乃至第5の変形例に於いて、超音波モータの基本的な構成及び動作については、上述した第1の実施形態と同じであるので、説明の重複を避けるため、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0049】
この第1の変形例では、超音波モータ10aの下部弾性体40を、第1下部弾性体65と第2下部弾性体71とで構成している点が、上述した第1の実施形態と異なっている。
【0050】
図6に於いて、第1下部弾性体65は中空円柱形状で、積層圧電素子20が載置される面66は、上部弾性体30の下面31に対向して斜めにカットされている。また、第2下部弾性体71は、中空円柱形状で、且つ中心部分は凸部75が形成された金属材で構成されている。そして、第1下部弾性体65と接触する部分の外周面には、溝部72が形成されている。
【0051】
また、第2下部弾性体71の凸部75の上部外周面には、上部弾性体30の雌ねじ32と螺合するための雄ねじ74が形成されている。更に、第2下部弾性体71の中空内部の所定の位置、すなわち振動子の縦振動の節部に相当する位置には、雌ねじ66が形成されている。
【0052】
そして、この超音波モータ10aの組み立て手順は、先ず、積層圧電素子20が、上部弾性体30と第1下部弾性体65の間に設置される。そして、第2下部弾性体71の凸部73が、第1下部弾性体65の中空部分より嵌挿され、凸部75の雄ねじ44と上部弾性体30の中空部の雌ねじ32とが螺合する。その後は、上述した第1の実施形態と同様である。
【0053】
尚、第2下部弾性体71の直径最大部位の長さ寸法を変化させ、溝部72の相対位置を適切な位置とすることで、共振縦振動モードと共振ねじれ振動の共振周波数をほぼ一致させることができる。
【0054】
この第1の変形例によっても、上述した第1の実施形態と全く同様な動作、効果を発揮することができる。
【0055】
(第2の変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第2の変形例を説明する。
【0056】
図7は、第1の実施形態の第2の変形例を示すもので、積層圧電素子の内部電極の構造を示した図である。
【0057】
この第2の変形例では、振動検出電極が線対称軸Oの片側について、駆動電極の上部に設けられている点が、上述した第1の実施形態と異なっている。
【0058】
すなわち、下部弾性体40の斜めにカットされている面42の上側に検出電極を、下側に駆動電極を配置するようにしている。
【0059】
円環状の圧電シート1811 の片面(ここでは表面)側には、図7に示されるように、線対称軸Oを挟んで、一方が、上側から内部電極C−205c、内部電極A−205aが、他方が、上側から内部電極D−205d、内部電極B−205bが、それぞれ配置されている。また、この圧電シート1811 の上に載置される圧電シート2812 の片面側には、線対称軸Oを挟んで、一方が、上側から内部電極C+206c、内部電極A+206aが、他方が、上側から内部電極D+206d、内部電極B+206bが、それぞれ配置されている。
【0060】
そして、それぞれの内部電極A−205a、B−205b、C−205c、D−205d、A+206a、B+206b、C+206c、D+206dには、外部電極と電気的に導通させるための電極導出部205a1 、205b1 、205c1 、205d1 、206a1 、206b1 、206c1 、206d1 が設けられている。
【0061】
この第2の変形例によっても、上述した第1の実施形態と全く同様な動作、効果を発揮することができる。
【0062】
(第3の変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第3の変形例を説明する。
【0063】
図8は、第1の実施形態の第3の変形例を示すもので、超音波モータ10bの断面図である。
【0064】
上述した第1の変形例では下部弾性体を2つに分けていたが、この第3の変形例では、更に第1下部弾性体と上部弾性体を、それぞれ2つの弾性体に分けている。
【0065】
すなわち、上部弾性体を、摩擦接触子51側に配置されて外周面に対して両側が垂直にカットされた面を有する第1上部弾性体30aと、この第1上部弾性体30aと積層圧電素子20との間に配置された第2上部弾性体35とで構成している。同様に、第1下部弾性体を、第2下部弾性体71に隣接した第1下部弾性体65aと、この第1下部弾性体65aと積層圧電素子20との間に配置された第3下部弾性体68で構成している。
【0066】
このような超音波モータ10bを組み立てる手順としては、予め積層圧電素子20を第2上部弾性体35と第3下部弾性体で挟み込み、それを第1上部弾性体30a、第2下部弾性体71で挟み込むようにしてもよい。
【0067】
この第3の変形例によれば、上述した第1の実施形態と全く同様な動作、効果を発揮することができるうえ、モータの最終的な組み立てが容易になる。
【0068】
(第4の変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第4の変形例を説明する。
【0069】
図9は、第1の実施形態の第4の変形例を示すもので、積層圧電素子の内部電極の構造を示した図である。
【0070】
この第4の変形例では、1枚の圧電素子の表面側と裏面側の何れにも内部電極が設けられている点が、上述した第1の実施形態と異なっている。
【0071】
すなわち、図9(a)に示されるように、圧電素子83の表面側に於いては、線対称軸Oに対して片側2分割(内部電極A+210a、内部電極C+210c)、反対側2分割(内部電極B+210b、内部電極D+210d)の、全体で4分割された内部電極が設けられている。また、これらの内部電極A+210a、B+210b、C+210c、D+210dには、図示されない外部電極と電気的に導通させるための電極導出部210a2 、210b2 、210c2 、210d2 が設けられている
一方、図9(b)に示されるように、圧電素子83の裏面側に於いては、線対称軸Oに対して、片側2分割(内部電極A−209a、内部電極C−209c)、反対側2分割(内部電極B−209b、内部電極D−209d)の、全体で4分割された内部電極が設けられている。そして、これらの内部電極A−209a、B−209b、C−209c、D−209dには、電極導出部209a1 、209b1 、209c1 、209d1 が設けられている。
【0072】
このように、積層圧電素子ではなく単板の圧電素子を用いても良い。この場合には駆動電圧は大きくなるが、構成が単純化されると言う利点がある。尚、この第4の変形例の場合には、圧電素子の表面側、裏面側の両方に電極があるため、実際に上部弾性体と下部弾性体により挟み込む際に、円環状の絶縁部材をその間に挿入する必要がある。
【0073】
この第4の変形例によっても、上述した第1の実施形態と全く同様な動作、効果を発揮することができる。
【0074】
(第5の変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第5の変形例を説明する。
【0075】
図10は、第1の実施形態の第5の変形例を示すもので、積層圧電素子の内部電極の構造を示した図である。
【0076】
この第5の変形例では、この場合は検出電極C及びDは、線対称軸Oに対して対称に配置されるが、片側半分の領域のほぼ中央部に設定される点が、上述した第1の実施形態と異なっている。
【0077】
すなわち、下部弾性体40の斜めにカットされている面42の上側と下側に駆動電極を、その間に検出電極を配置するようにしている。
【0078】
図10に示されるように、円環状の圧電シート1841 の片面(ここでは表面)側には、線対称軸Oを挟んで、一方が、上側から内部電極A−213a、内部電極C−213c、内部電極A−223aが、他方が、上側から内部ではB−213b、内部電極D−213d、内部電極B−223bが、それぞれ配置されている。また、この圧電シート184
1 の上に載置される圧電シート2842 の片面側には、線対称軸Oを挟んで、一方が、上側から内部電極A+214a、内部電極C+214c、内部電極A+224aが、他方が、上側から内部電極B+214a、内部電極D+214d、内部電極B+224bが、それぞれ配置されている。
【0079】
そして、それぞれの内部電極には、外部電極と電気的に導通させるための電極導出部213a1 、213b1 、213c1 、213d1 、223a1 、223b1 、214a1 、214b1 、214c1 、214d1 、224a1 、224b1が設けられている
この場合は、駆動電極から発生する力の上側の内部電極Aと下側の内部電極Aの力のベクトルの合力であるが、それが片側領域のほぼ中央部にくるので、効率良く駆動力を弾性体に伝達させることができる。したがって、この第5の変形例によれば、上述した第1の実施形態と全く同様な動作、効果を発揮することができるうえ、縦振動、ねじれ振動を効率良く発生することができる。
【0080】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0081】
上述した第1の実施形態では、検出電極が縦振動検出用とねじれ振動検出用の2種類設けられていたのに対し、この第2の実施形態では縦振動検出用の検出電極の1種類のみとなっている。
【0082】
尚、この第2の実施形態に於いては、超音波モータの基本的な構成及び動作については上述した第1の実施形態と同じであり、積層圧電素子の構成が異なるだけであるので、説明の重複を避けるため、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0083】
図11は、本発明の第2の実施形態を示すもので、積層圧電素子の内部電極の構造を示した図である。
【0084】
図11に於いて、円環状の圧電シートの片面(表面側)には、線対称軸Oに対して、駆動電極は対称にそれぞれ1つ設けられており、検出電極は線対称軸Oに対して1つが対称に設けられている。
【0085】
すなわち、円環状の圧電シート1861 の表面側に、線対称軸Oを挟んで、上側に内部電極A−217a、内部電極B−217bが、そして両電極の間に内部電極C−217cが、それぞれ配置されている。この圧電シート1861 の上に載置される圧電シート2862 の表面側には、線対称軸Oを挟んで、上側に内部電極A+218a、内部電極B+218bが、そして両電極の間に内部電極C+218cが、それぞれ配置されている。
【0086】
このように、上記圧電シート1861 、2862 は同様な構成となっているが、外部電極と電気的に導通させるための電極導出部217a1 と218a1 、217b1 と218b2 、217c1 と218c2 が設けられている位置が、それぞれ異なっている。このような圧電シート1861 と圧電シート2862 が交互に複数枚積層され、最後に圧電素子から成る内部電極が印刷されていない絶縁シートが積層される。
【0087】
積層圧電素子の組み立て手順については、上述した第1の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0088】
更に、外部電極は、図示されないが、内部電極A−217a、A+218a、B−217b、B+218b、C−217c、C+218cの各電極導出部217a1 、218a1 、217b1 、218b2 、217c1 、218c2に対応して、6箇所に設けられる。
【0089】
このように構成された積層圧電素子では、振動検出用の検出電極Cからは、縦振動に比例する信号が出力される。したがって、この信号の大きさが常に最大となるように、駆動周波数を制御するようにする。
【0090】
尚、積層圧電素子のその他の動作及び超音波モータの動作については、上述した第1の実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0091】
このように、第2の実施形態によれば、内部電極の分割数が低減され、且つ、外部電極の数も低減されるので、構成が単純になる。
【0092】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0093】
上述した第1及び第2の実施形態では、同一の圧電素子(圧電シート)上の内部電極としては駆動電極と検出電極の両方を配置していたが、この第3の実施形態では駆動電極と検出電極をそれぞれ別々の圧電素子(圧電シート)上に配置している。
【0094】
尚、この第3の実施形態に於いては、超音波モータの基本的な構成及び動作については上述した第1の実施形態と同じであり、積層圧電素子の構成が異なるだけであるので、説明の重複を避けるため、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0095】
図12乃至図14を参照して、本第3の実施形態に用いられる積層圧電素子20′の詳細について説明する。
【0096】
図12は積層圧電素子20′の外観図、図13は図12の積層圧電素子20′を上方から見た図、図14は積層圧電素子20′の内部電極の構造を示した図である。
【0097】
この積層圧電素子は、複数の圧電シートが積層されて構成されたものである。
【0098】
図14に於いて、円環状の検出電極用の圧電シート1911 の片面(ここでは表面側)に、線対称軸Oを挟んで、内部電極C−231aと内部電極D−231bが配置されている。そして、この圧電シート1911 の上に載置される検出電極用の圧電シート2912 の表面側には、線対称軸Oを挟んで、内部電極C+232aと内部電極D+232bが配置されている。また、外部電極と電気的に導通させるための電極導出部231a1 と232a2 、231b1 と232b2 が設けられている位置が、それぞれ異なっている。
【0099】
上記検出電極用の圧電シート2912 の上には、駆動電極用の圧電シート1921 が載置される。円環状の駆動電極用の圧電シート1921 の片面(ここでは表面側)には、線対称軸Oを挟んで、内部電極A−233aと内部電極B−233bが配置されている。そして、この圧電シート1921 の上に載置される駆動電極用の圧電シート2922 の表面側には、線対称軸Oを挟んで、内部電極A+234aと内部電極B+234bが配置されている。
【0100】
また、外部電極と電気的に導通させるための電極導出部233a1 と234a2 、233b1 と234b2 が設けられている位置が、それぞれ異なっている。加えて、内部電極C−231aの電極導出部231a1 と内部電極A−233aの電極導出部233a1 、内部電極C+232bの電極導出部232a2 と内部電極A+234aの電極導出部234a2 、内部電極D−231bの電極導出部231b1 と内部電極B−233bの電極導出部233b1 、内部電極D+232bの電極導出部232b2 と内部電極B+234bの電極導出部234b2 は、それぞれ同じ位置に設けられている。
【0101】
このように、検出電極用の圧電シート1911 、圧電シート2912 が積層された後、この圧電シート2912 上に駆動電極用の圧電シート1921 と圧電シート2922 が交互に複数枚積層される。そして、最後に圧電素子から成る内部電極が印刷されていない絶縁シート26が積層される。
【0102】
積層圧電素子の組み立て手順については、上述した第1の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0103】
図12に示されるように、同じ方向に引き出された内部電極に導通する外部電極は2分割されて、駆動用外部電極A+21aと振動検出用外部電極C+23aが形成される。また、同様に、駆動用外部電極A−21bと振動検出用外部電極C−23bとなる。
【0104】
更に、図13に示されるように、外部電極A+21a(C+23a)、外部電極A−21b(C−23b)の対向する位置に、外部電極B+22a(D+24a)、外部電極B−22b(D−24b)が設けられる。
【0105】
尚、このように構成された積層圧電素子20′及び超音波モータの動作については、上述した第1の実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0106】
超音波モータがより小型になると、必然的に積層圧電素子も小型になっていく必要がある。その場合、圧電シートの形状も小さくなるために、上述した第1及びその変形例や第2の実施形態で説明したような4分割構成、3分割構成はできなくなるので、本第3の実施形態の2分割した内部電極が有利となる。
【0107】
上述したように、縦ねじれモータに於いて、圧電素子は積層圧電素子1つで済み、該積層圧電素子は縦振動若しくはねじれ振動を検出する機能も有しているために、周囲の環境温度やモータへの負荷が変動しても、振動が最適になるように駆動周波数を制御できるので、安定したモータ駆動が可能になる。また、積層圧電素子を用いているので、低電圧での駆動が可能となる。
尚、上述した第1乃至第3の実施形態では、弾性体は円柱形状のものを示したが、これに限られるものではなく、角柱形状のものでも構わない。また、圧電素子若しくは積層圧電素子も円柱形状のものを示したが、角柱形状のものでも構わない。
【0108】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0109】
更に、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る超音波モータを示すもので、(a)は外観図、(b)は断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に用いられる積層圧電素子20の詳細について説明するもので、積層圧電素子20の外観図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に用いられる積層圧電素子20の詳細について説明するもので、図2の積層圧電素子20を上方から見た図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に用いられる積層圧電素子20の詳細について説明するもので、積層圧電素子20の内部電極の構造を示した図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に於ける超音波モータ10の振動子の動作について、図5を参照して説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の第1の変形例による超音波モータ10aの断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の第2の変形例を示すもので、積層圧電素子の内部電極の構造を示した図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の第3の変形例を示すもので、超音波モータ10bの断面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態の第4の変形例を示すもので、積層圧電素子の内部電極の構造を示した図である。
【図10】本発明の第1の実施形態の第5の変形例を示すもので、積層圧電素子の内部電極の構造を示した図である。
【図11】本発明の第2の実施形態を示すもので、積層圧電素子の内部電極の構造を示した図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に用いられる積層圧電素子20′の詳細について説明するもので、積層圧電素子20′の外観図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に用いられる積層圧電素子20′の詳細について説明するもので、図12の積層圧電素子20′を上方から見た図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に用いられる積層圧電素子20′の詳細について説明するもので、積層圧電素子20′の内部電極の構造を示した図である。
【符号の説明】
【0111】
10…超音波モータ、20、20′…積層圧電素子、251 …圧電シート1、252 …圧電シート2、30…上部弾性体、31…下面、32、45、60…雌ねじ、40…下部弾性体、41…凸部、42…面、43…溝部、44、59…雄ねじ、51…摩擦接触子、52…ロータ、53…ベアリング、55…押圧部材、56…バネ、57…ナット、58…シャフト、201a…内部電極A−、201b…内部電極B−、201c…内部電極C−、201d…内部電極D−、201a1 、201a2 、201b1 、201b2 、201c1 、201c2 、201d1 、201d2…電極導出部、202a…内部電極A+、202b…内部電極B+、202c…内部電極C+、202d…内部電極D+、
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動を駆動力源として被駆動体を駆動する超音波モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、振動子の縦振動とねじれ振動を合成して楕円振動を発生させ、ロータを回転させる超音波モータが提案されている。そして、下記特許文献1の図1には、振動子の分解斜視図が描かれており、振動子軸方向に対し斜めにカッティングされた弾性体の間に複数枚の圧電素子が挿入された構成となっている。また、該圧電素子の正電極は2分割されており、ここでは、それぞれA相、B相と称するものとする。
【0003】
ここで、A相とB相に同位相の交番電圧を印加することで、棒状振動子に縦振動を発生させることができる。また、A相とB相に逆位相の交番電圧を印加することで、棒状振動子にねじれ振動を発生させることができる。尚、振動子の溝位置を調整して縦振動の共振周波数と、ねじれ振動の共振周波数を、ほぼ一致するようにしておく。そして、A相とB相にπ/2位相の異なる交番電圧を印加すると、縦振動とねじれ振動が同時に発生し、棒状弾性体上面に楕円振動を発生させることができる。棒状弾性体上面にロータを押圧することにより、ロータを時計方向(CW方向)若しくは反時計方向(CCW方向)に回転させることができる。
【特許文献1】特開平9−117168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、環境の温度変化や負荷の温度変化があると、一般に共振周波数(縦振動共振周波数若しくはねじれ振動共振周波数)が変化する。上述した特許文献1に記載された超音波モータは、縦振動共振周波数若しくはねじれ振動共振周波数を検出するための手段を有していないため、環境の温度変化や負荷の変化があると、モータ特性が著しく変化してしまい、効率良く駆動できないと言う課題を有していた。
【0005】
したがって本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、環境の温度変化や負荷の変化があっても、モータ特性が著しく変化することなく、最適な周波数で効率良く駆動することのできる超音波モータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、駆動用電極と振動検出用電極を有し、少なくとも該振動検出用電極は、当該圧電素子の面内に存在する中心線となる線対称軸に対し線対称になるように2分割された環状の圧電素子と、自身の中心軸と直交する方向に一方の面を有し、該一方の面と所定角度を有して上記圧電素子の第1の面と接触する他方の面を有する第1の柱状弾性体と、自身の中心軸と直交する方向に一方の面を有し、該一方の面と所定角度をなして上記圧電素子の第2の面と接触する他方の面を有する第2の柱状弾性体と、上記第1の柱状弾性体の一部に接触して駆動されるロータと、を具備することを特徴とする。
【0007】
また本発明は、駆動用電極と振動検出用電極を有し、当該圧電素子の面内に存在する中心線となる線対称軸に対し線対称になるように2分割された環状の圧電素子と、自身の中心軸と直交する方向に一方の面を有し、該一方の面と所定角度を有して上記圧電素子の第1の面と接触する他方の面を有する第1の柱状弾性体と、自身の中心軸と直交する方向に一方の面を有し、該一方の面と所定角度をなして上記圧電素子の第2の面と接触する他方の面を有する第2の柱状弾性体と、上記第1の柱状弾性体の一部に接触して駆動されるロータと、を具備し、上記圧電素子は、2分割されたもので負極性を有する第1及び第2の振動検出用電極を備えた第1のシートと、2分割されたもので正極性を有する第1及び第2の振動検出用電極を備えた第2のシートと、上記駆動用電極のうち第1の駆動用電極を備えた第3のシートと、上記駆動用電極のうち第2の駆動用電極を備えた第4のシートと、を有して該第3のシートと第4のシートが交互に複数枚積層された駆動電極用シートと、から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、環境の温度変化や負荷の変化があっても、モータ特性が著しく変化することなく、最適な周波数で効率良く駆動することのできる超音波モータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る超音波モータを示すもので、(a)は外観図、(b)は断面図である。
【0011】
この超音波モータ10は、積層圧電素子20と、該積層圧電素子20を挟持する第1弾性体である上部弾性体30と、第2弾性体である下部弾性体40と、上部弾性体30の端部に接合される摩擦接触子51と、該摩擦接触子51と接触して駆動されるロータ52、ベアリング53、押圧部材55、バネ56、ナット57、及び上記積層圧電素子20、上部弾性体30、下部弾性体40の中空部に挿入されたシャフト58とから構成される。
【0012】
上部弾性体30は、中空円柱形状の黄銅やアルミニウムから成る金属材で構成されるもので、その下面31は、図示されるように、自身の中心軸と直交する面に対して斜めにカットされている。また、中空の内部には、後述する下部弾性体40の雄ねじ44と螺合するように雌ねじ32が形成されている。
【0013】
下部弾性体40は、円柱形状で、且つ中心部分は凸部41が形成された金属材で構成されている。そして、凸部41が形成されて、後述するように積層圧電素子20が載置される面42は、上部弾性体30の下面31に対向して斜めにカットされている。また、下部弾性体40の外周面には、溝部43が形成されている。この下部弾性体40の凸部41の上部外周面には、上述した上部弾性体30の雌ねじ32と螺合するための雄ねじ44が形成されている。更に、下部弾性体40の中空内部の所定の位置、すなわち振動子の縦振動の節部に相当する位置には、雌ねじ45が形成されている。
【0014】
シャフト58の略中央部には、下部弾性体40の雌ねじ45と螺合するための雄ねじ59が形成されており、上部先端部にも雌ねじ60が形成されている。摩擦接触子51は、円環形状のPPS等のエンジニアリングプラスチックから成るもので、上部弾性体30とロータ52の間に設けられる。ロータ52は、中空のアルミナセラミクスで構成されるもので、その中空内部には円環状のベアリング53が挿入されている。
【0015】
次に、本超音波モータ10の組み立て手順を説明する。
【0016】
先ず、積層圧電素子20が、上部弾性体30と下部弾性体40の間に設置される。その際、上部弾性体30と積層圧電素子20は、下部弾性体40の凸部41が下方より嵌挿される。そして、凸部41の雄ねじ44と上部弾性体30の中空部の雌ねじ32とが螺合する。次いで、上部弾性体30の上面に、円環形状の摩擦接触子51が、接着剤が用いられて接着される。その後、シャフト58が上部弾性体30の上方から挿入されて、該シャフト58の略中央部の雄ねじ59と下部弾性体40の雌ねじ45を螺合させる。
【0017】
ここまでで構成される部品が、本実施形態に於ける超音波モータ10の振動子、若しくは超音波振動子と称される。尚、詳細は後述するが、下部弾性体40の雌ねじ45の位置は、該振動子の共振縦振動モードのほぼ節位置となる位置に設けられている。
【0018】
その後、シャフト58の上方からベアリング53が挿入されたロータ52、ベアリング53の内周部を下方に押圧する押圧部材55、バネ56、ナット57の順に挿入する。こうして、ロータ52の摩擦接触子51への押圧力が適正になるように、シャフト58の雌ねじ60との状態によってナット57の位置が調整される。
【0019】
次に、本実施形態に用いられる積層圧電素子20の詳細について、図2乃至図4を参照して説明する。
【0020】
図2は積層圧電素子20の外観図、図3は図2の積層圧電素子20を上方から見た図、図4は積層圧電素子20の内部電極の構造を示した図である。
【0021】
この積層圧電素子は、複数の圧電シートが積層されて構成されたものである。
【0022】
先ず、図4に於いて、積層圧電素子20の最下面の圧電シート1251 について説明する。
【0023】
圧電シートの材質は、例えば、厚さ約100μmのチタン酸ジルコン酸鉛系圧電セラミックス素子(以下、PZTと記す)である。PZTとしては、Qm値の大きなハード系材料を選択している。Qm値は約1800である。
【0024】
円環状の圧電シート1251 の片面(ここでは表面)側には、図4に示されるように、圧電シート1251 の中心線となる線対称軸Oに対して片側2分割(内部電極A−201a、内部電極C−201c)、反対側2分割(内部電極B−201b、内部電極D−201d)の、全体で4分割された内部電極が設けられている。図4に示されるように、端部からは、例えば0.3mm程度、内部電極を有しない領域を持たせている。但し、各電極領域の一部は、後述する外部電極と電気的に導通させるために、圧電シート端部まで引き出されて電極導出部201a1 、201b1 、201c1 、201d1 が設けられている。内部電極の材質は、例えば、厚さ約4μmの銀パラジウム合金である。また、各電極の間は、絶縁を保持するように、所定の間隔を有している。
【0025】
次に、積層圧電素子20のうち、最下面の圧電シート1251 から1つ上側の圧電シート2252 について説明する。
【0026】
圧電シート1251 と同様に、円環状の圧電シートの片面(表面側)には、図4に示されるように、線対称軸Oに対して、片側2分割(内部電極A+202a、内部電極C+202c)、反対側2分割(内部電極B+202b、内部電極D+202d)の、全体で4分割された内部電極が圧電シート2252 の表面に設けられている点は、圧電シート1251 と同様である。つまり、内部電極A−201aの上に内部電極A+202a、内部電極B−201bの上に内部電極B+202b、内部電極C−201cの上に内部電極C+202c、内部電極D−201dの上に内部電極D+202dが、それぞれ重ね合わされる。但し、外部電極と接するための電極導出部201a2 、201b2 、201c2 、201d2 が設けられている位置のみ、圧電シート1251 と異なっている。
【0027】
圧電シートは下から、圧電シート1251 、圧電シート2252 、圧電シート1251 、圧電シート2252 、…、圧電シート1251 、圧電シート2252 の順で積層され、最後の圧電シート2252 の上には絶縁シート26が重ねられる。この絶縁シート26は、内部電極が印刷されていない圧電材により構成される。
【0028】
こうして積層された積層圧電素子20は、プレス後、高温で焼結される。
【0029】
その後、図2に示されるように、内部電極A+202aの電極導出部202a2 と接触する位置に外部電極A+21a、内部電極A−201aの電極導出部201a1 と接触する位置に外部電極A−21b、内部電極C+202cの電極導出部202c2 と接触する位置に外部電極C+23a、内部電極C−201cの電極導出部201c1 と接触する位置に外部電極C−23bが設けられる。同様に、これらの外部電極と反対側は、図3に示されるように、内部電極B+202bの電極導出部202b2 と接触する位置に外部電極B+22a、内部電極B−201bの電極導出部201b1 と接触する位置に外部電極B−22b、内部電極D+202dの電極導出部202d2 と接触する位置に外部電極D+24a、内部電極D−201dの電極導出部201d1 と接触する位置に外部電極D−24bが設けられる。
【0030】
最後に、各電極の+極と−極間に高電圧を印加して圧電素子を分極し、圧電的に活性化させる。尚、弾性体と接する上面、下面は鏡面に近い状態までラップしておく。
そして、外部電極A+21a、A−21bと、外部電極B+22a、B−22bをモータ駆動用の駆動電極、外部電極C+23a、C−23bと、外部電極D+24a、D−24bを振動検出用の検出電極とする。
【0031】
また、第1の実施形態に於いては、下部弾性体40の斜めにカットされている面42の上側に駆動電極を、下側に検出電極を配置するようにしている。
【0032】
次に、本第1の実施形態に於ける超音波モータ10の振動子の動作について、図5を参照して説明する。
【0033】
積層圧電素子20が伸びると、図5(a)に示されるように、上部弾性体30に力Fを及ぼし、且つ下部弾性体40に力Gを及ぼす。すると、それぞれの力の分力を考えると、F1とG1はねじれ振動を発生する力となり、F2とG2は縦振動を発生させる力となる。
【0034】
積層圧電素子20が縮むと、ベクトルの向きが逆になるが、やはり上述した縦振動とねじれ振動を発生させる力が生じることがわかる。外部電極A(A+,A−)、外部電極B(B+,B−)に同位相の交番電圧を印加すると、図5(b)に示されるように、共振縦振動モードのみが励起される。
【0035】
また、外部電極A(A+,A−)、外部電極B(B+,B−)に逆位相(位相差π)の交番電圧を印加すると、図5(c)に示されるような、上部弾性体30と下部弾性体40とが逆方向に回転する共振ねじれ振動モードのみが励起される。
【0036】
尚、下部弾性体40の溝部43より下方(積層圧電素子20と反対側)の長さ寸法を変化させ、溝部43の相対位置を適切な位置とすることで、共振縦振動モードと共振ねじれ振動の共振周波数をほぼ一致させる。
【0037】
ロータ52を押圧していくと、縦共振周波数及びねじれ共振周波数が共に上昇していく。ここで、共振縦振動モードの共振周波数の上昇する変化率の方が大きいので、ロータを押圧させない振動子単体では、共振ねじれ振動モードの共振周波数より共振縦振動モードの共振周波数を僅かに下げておく。
【0038】
いま、A相(外部電極A(A+,A−))とB相(外部電極B(B+,B−))に同位相、逆位相以外の位相差、例えば、±π/2を与えて駆動すると、共振縦振動モードと共振ねじれ振動モードが両方とも励起する。すると、図5(d)に示されるように、振動子の上面の摩擦接触子51近傍に、CW若しくはCCWの楕円運動を発生させることができる。
【0039】
次に、振動検出相のC相(外部電極C(C+,C−))、振動検出相のD相(外部電極D(D+,D−))から得られる信号について説明する。
【0040】
上述したA相、B相に、同位相の縦振動共振周波数の交番電圧を印加すると、C相とD相を並列順接続した場合(外部電極C+とD+を結線、外部電極C−とD−を結線:並列順接続相と定義する)は、縦振動に比例する信号が得られる。また、C相とD相を並列逆接続した場合(外部電極C+とD−を結線、外部電極C−とD+を結線:並列逆接続相と定義する)は信号が出ない。
【0041】
一方、A相、B相に逆位相のねじれ振動共振周波数の交番電圧を印加すると、C相とD相を並列順接続した並列順接続相からは信号が出ない。しかしながら、C相とD相を並列逆接続した並列逆接続相からは、ねじれ振動に比例する信号が得られる。
【0042】
次に、本実施形態に於ける超音波モータ10の動作について説明する。
【0043】
図1に示される超音波モータ10に於いて、A相とB相に、位相の異なる交番電圧を印加して、振動子の摩擦接触子51の位置で楕円振動を発生させる。すると、ロータ52は、CW若しくはCCW方向に回転する。ここで、C相、D相に関する並列逆接続相からは、ねじれ振動に比例する信号が発生する。したがって、駆動周波数は、その信号の大きさが最大となるように常にフィードバックを行い、ねじれ振動が極大となるような最適な周波数で駆動するようにする。
【0044】
このように、第1の実施形態では、積層圧電素子に振動検出領域を設け、ねじれ振動のみを検出できるようにしたため、ねじれ振動が常に最大となるような周波数でモータを駆動することができる。その結果、周囲の環境温度やモータにかかる負荷変動があっても、常に安定してモータを駆動することができる。
【0045】
尚、本第1の実施形態では、C相、D相に関して、並列逆接続相の信号を取り出したが、並列順接続相の信号を取り出して、その信号の大きさが極大になるように駆動周波数を調節しても良い。
【0046】
(第1の変形例)
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。
【0047】
図6は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例による超音波モータ10aの断面図である。
【0048】
尚、以下に述べる第1乃至第5の変形例に於いて、超音波モータの基本的な構成及び動作については、上述した第1の実施形態と同じであるので、説明の重複を避けるため、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0049】
この第1の変形例では、超音波モータ10aの下部弾性体40を、第1下部弾性体65と第2下部弾性体71とで構成している点が、上述した第1の実施形態と異なっている。
【0050】
図6に於いて、第1下部弾性体65は中空円柱形状で、積層圧電素子20が載置される面66は、上部弾性体30の下面31に対向して斜めにカットされている。また、第2下部弾性体71は、中空円柱形状で、且つ中心部分は凸部75が形成された金属材で構成されている。そして、第1下部弾性体65と接触する部分の外周面には、溝部72が形成されている。
【0051】
また、第2下部弾性体71の凸部75の上部外周面には、上部弾性体30の雌ねじ32と螺合するための雄ねじ74が形成されている。更に、第2下部弾性体71の中空内部の所定の位置、すなわち振動子の縦振動の節部に相当する位置には、雌ねじ66が形成されている。
【0052】
そして、この超音波モータ10aの組み立て手順は、先ず、積層圧電素子20が、上部弾性体30と第1下部弾性体65の間に設置される。そして、第2下部弾性体71の凸部73が、第1下部弾性体65の中空部分より嵌挿され、凸部75の雄ねじ44と上部弾性体30の中空部の雌ねじ32とが螺合する。その後は、上述した第1の実施形態と同様である。
【0053】
尚、第2下部弾性体71の直径最大部位の長さ寸法を変化させ、溝部72の相対位置を適切な位置とすることで、共振縦振動モードと共振ねじれ振動の共振周波数をほぼ一致させることができる。
【0054】
この第1の変形例によっても、上述した第1の実施形態と全く同様な動作、効果を発揮することができる。
【0055】
(第2の変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第2の変形例を説明する。
【0056】
図7は、第1の実施形態の第2の変形例を示すもので、積層圧電素子の内部電極の構造を示した図である。
【0057】
この第2の変形例では、振動検出電極が線対称軸Oの片側について、駆動電極の上部に設けられている点が、上述した第1の実施形態と異なっている。
【0058】
すなわち、下部弾性体40の斜めにカットされている面42の上側に検出電極を、下側に駆動電極を配置するようにしている。
【0059】
円環状の圧電シート1811 の片面(ここでは表面)側には、図7に示されるように、線対称軸Oを挟んで、一方が、上側から内部電極C−205c、内部電極A−205aが、他方が、上側から内部電極D−205d、内部電極B−205bが、それぞれ配置されている。また、この圧電シート1811 の上に載置される圧電シート2812 の片面側には、線対称軸Oを挟んで、一方が、上側から内部電極C+206c、内部電極A+206aが、他方が、上側から内部電極D+206d、内部電極B+206bが、それぞれ配置されている。
【0060】
そして、それぞれの内部電極A−205a、B−205b、C−205c、D−205d、A+206a、B+206b、C+206c、D+206dには、外部電極と電気的に導通させるための電極導出部205a1 、205b1 、205c1 、205d1 、206a1 、206b1 、206c1 、206d1 が設けられている。
【0061】
この第2の変形例によっても、上述した第1の実施形態と全く同様な動作、効果を発揮することができる。
【0062】
(第3の変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第3の変形例を説明する。
【0063】
図8は、第1の実施形態の第3の変形例を示すもので、超音波モータ10bの断面図である。
【0064】
上述した第1の変形例では下部弾性体を2つに分けていたが、この第3の変形例では、更に第1下部弾性体と上部弾性体を、それぞれ2つの弾性体に分けている。
【0065】
すなわち、上部弾性体を、摩擦接触子51側に配置されて外周面に対して両側が垂直にカットされた面を有する第1上部弾性体30aと、この第1上部弾性体30aと積層圧電素子20との間に配置された第2上部弾性体35とで構成している。同様に、第1下部弾性体を、第2下部弾性体71に隣接した第1下部弾性体65aと、この第1下部弾性体65aと積層圧電素子20との間に配置された第3下部弾性体68で構成している。
【0066】
このような超音波モータ10bを組み立てる手順としては、予め積層圧電素子20を第2上部弾性体35と第3下部弾性体で挟み込み、それを第1上部弾性体30a、第2下部弾性体71で挟み込むようにしてもよい。
【0067】
この第3の変形例によれば、上述した第1の実施形態と全く同様な動作、効果を発揮することができるうえ、モータの最終的な組み立てが容易になる。
【0068】
(第4の変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第4の変形例を説明する。
【0069】
図9は、第1の実施形態の第4の変形例を示すもので、積層圧電素子の内部電極の構造を示した図である。
【0070】
この第4の変形例では、1枚の圧電素子の表面側と裏面側の何れにも内部電極が設けられている点が、上述した第1の実施形態と異なっている。
【0071】
すなわち、図9(a)に示されるように、圧電素子83の表面側に於いては、線対称軸Oに対して片側2分割(内部電極A+210a、内部電極C+210c)、反対側2分割(内部電極B+210b、内部電極D+210d)の、全体で4分割された内部電極が設けられている。また、これらの内部電極A+210a、B+210b、C+210c、D+210dには、図示されない外部電極と電気的に導通させるための電極導出部210a2 、210b2 、210c2 、210d2 が設けられている
一方、図9(b)に示されるように、圧電素子83の裏面側に於いては、線対称軸Oに対して、片側2分割(内部電極A−209a、内部電極C−209c)、反対側2分割(内部電極B−209b、内部電極D−209d)の、全体で4分割された内部電極が設けられている。そして、これらの内部電極A−209a、B−209b、C−209c、D−209dには、電極導出部209a1 、209b1 、209c1 、209d1 が設けられている。
【0072】
このように、積層圧電素子ではなく単板の圧電素子を用いても良い。この場合には駆動電圧は大きくなるが、構成が単純化されると言う利点がある。尚、この第4の変形例の場合には、圧電素子の表面側、裏面側の両方に電極があるため、実際に上部弾性体と下部弾性体により挟み込む際に、円環状の絶縁部材をその間に挿入する必要がある。
【0073】
この第4の変形例によっても、上述した第1の実施形態と全く同様な動作、効果を発揮することができる。
【0074】
(第5の変形例)
次に、本発明の第1の実施形態の第5の変形例を説明する。
【0075】
図10は、第1の実施形態の第5の変形例を示すもので、積層圧電素子の内部電極の構造を示した図である。
【0076】
この第5の変形例では、この場合は検出電極C及びDは、線対称軸Oに対して対称に配置されるが、片側半分の領域のほぼ中央部に設定される点が、上述した第1の実施形態と異なっている。
【0077】
すなわち、下部弾性体40の斜めにカットされている面42の上側と下側に駆動電極を、その間に検出電極を配置するようにしている。
【0078】
図10に示されるように、円環状の圧電シート1841 の片面(ここでは表面)側には、線対称軸Oを挟んで、一方が、上側から内部電極A−213a、内部電極C−213c、内部電極A−223aが、他方が、上側から内部ではB−213b、内部電極D−213d、内部電極B−223bが、それぞれ配置されている。また、この圧電シート184
1 の上に載置される圧電シート2842 の片面側には、線対称軸Oを挟んで、一方が、上側から内部電極A+214a、内部電極C+214c、内部電極A+224aが、他方が、上側から内部電極B+214a、内部電極D+214d、内部電極B+224bが、それぞれ配置されている。
【0079】
そして、それぞれの内部電極には、外部電極と電気的に導通させるための電極導出部213a1 、213b1 、213c1 、213d1 、223a1 、223b1 、214a1 、214b1 、214c1 、214d1 、224a1 、224b1が設けられている
この場合は、駆動電極から発生する力の上側の内部電極Aと下側の内部電極Aの力のベクトルの合力であるが、それが片側領域のほぼ中央部にくるので、効率良く駆動力を弾性体に伝達させることができる。したがって、この第5の変形例によれば、上述した第1の実施形態と全く同様な動作、効果を発揮することができるうえ、縦振動、ねじれ振動を効率良く発生することができる。
【0080】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0081】
上述した第1の実施形態では、検出電極が縦振動検出用とねじれ振動検出用の2種類設けられていたのに対し、この第2の実施形態では縦振動検出用の検出電極の1種類のみとなっている。
【0082】
尚、この第2の実施形態に於いては、超音波モータの基本的な構成及び動作については上述した第1の実施形態と同じであり、積層圧電素子の構成が異なるだけであるので、説明の重複を避けるため、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0083】
図11は、本発明の第2の実施形態を示すもので、積層圧電素子の内部電極の構造を示した図である。
【0084】
図11に於いて、円環状の圧電シートの片面(表面側)には、線対称軸Oに対して、駆動電極は対称にそれぞれ1つ設けられており、検出電極は線対称軸Oに対して1つが対称に設けられている。
【0085】
すなわち、円環状の圧電シート1861 の表面側に、線対称軸Oを挟んで、上側に内部電極A−217a、内部電極B−217bが、そして両電極の間に内部電極C−217cが、それぞれ配置されている。この圧電シート1861 の上に載置される圧電シート2862 の表面側には、線対称軸Oを挟んで、上側に内部電極A+218a、内部電極B+218bが、そして両電極の間に内部電極C+218cが、それぞれ配置されている。
【0086】
このように、上記圧電シート1861 、2862 は同様な構成となっているが、外部電極と電気的に導通させるための電極導出部217a1 と218a1 、217b1 と218b2 、217c1 と218c2 が設けられている位置が、それぞれ異なっている。このような圧電シート1861 と圧電シート2862 が交互に複数枚積層され、最後に圧電素子から成る内部電極が印刷されていない絶縁シートが積層される。
【0087】
積層圧電素子の組み立て手順については、上述した第1の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0088】
更に、外部電極は、図示されないが、内部電極A−217a、A+218a、B−217b、B+218b、C−217c、C+218cの各電極導出部217a1 、218a1 、217b1 、218b2 、217c1 、218c2に対応して、6箇所に設けられる。
【0089】
このように構成された積層圧電素子では、振動検出用の検出電極Cからは、縦振動に比例する信号が出力される。したがって、この信号の大きさが常に最大となるように、駆動周波数を制御するようにする。
【0090】
尚、積層圧電素子のその他の動作及び超音波モータの動作については、上述した第1の実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0091】
このように、第2の実施形態によれば、内部電極の分割数が低減され、且つ、外部電極の数も低減されるので、構成が単純になる。
【0092】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0093】
上述した第1及び第2の実施形態では、同一の圧電素子(圧電シート)上の内部電極としては駆動電極と検出電極の両方を配置していたが、この第3の実施形態では駆動電極と検出電極をそれぞれ別々の圧電素子(圧電シート)上に配置している。
【0094】
尚、この第3の実施形態に於いては、超音波モータの基本的な構成及び動作については上述した第1の実施形態と同じであり、積層圧電素子の構成が異なるだけであるので、説明の重複を避けるため、同一の部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0095】
図12乃至図14を参照して、本第3の実施形態に用いられる積層圧電素子20′の詳細について説明する。
【0096】
図12は積層圧電素子20′の外観図、図13は図12の積層圧電素子20′を上方から見た図、図14は積層圧電素子20′の内部電極の構造を示した図である。
【0097】
この積層圧電素子は、複数の圧電シートが積層されて構成されたものである。
【0098】
図14に於いて、円環状の検出電極用の圧電シート1911 の片面(ここでは表面側)に、線対称軸Oを挟んで、内部電極C−231aと内部電極D−231bが配置されている。そして、この圧電シート1911 の上に載置される検出電極用の圧電シート2912 の表面側には、線対称軸Oを挟んで、内部電極C+232aと内部電極D+232bが配置されている。また、外部電極と電気的に導通させるための電極導出部231a1 と232a2 、231b1 と232b2 が設けられている位置が、それぞれ異なっている。
【0099】
上記検出電極用の圧電シート2912 の上には、駆動電極用の圧電シート1921 が載置される。円環状の駆動電極用の圧電シート1921 の片面(ここでは表面側)には、線対称軸Oを挟んで、内部電極A−233aと内部電極B−233bが配置されている。そして、この圧電シート1921 の上に載置される駆動電極用の圧電シート2922 の表面側には、線対称軸Oを挟んで、内部電極A+234aと内部電極B+234bが配置されている。
【0100】
また、外部電極と電気的に導通させるための電極導出部233a1 と234a2 、233b1 と234b2 が設けられている位置が、それぞれ異なっている。加えて、内部電極C−231aの電極導出部231a1 と内部電極A−233aの電極導出部233a1 、内部電極C+232bの電極導出部232a2 と内部電極A+234aの電極導出部234a2 、内部電極D−231bの電極導出部231b1 と内部電極B−233bの電極導出部233b1 、内部電極D+232bの電極導出部232b2 と内部電極B+234bの電極導出部234b2 は、それぞれ同じ位置に設けられている。
【0101】
このように、検出電極用の圧電シート1911 、圧電シート2912 が積層された後、この圧電シート2912 上に駆動電極用の圧電シート1921 と圧電シート2922 が交互に複数枚積層される。そして、最後に圧電素子から成る内部電極が印刷されていない絶縁シート26が積層される。
【0102】
積層圧電素子の組み立て手順については、上述した第1の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0103】
図12に示されるように、同じ方向に引き出された内部電極に導通する外部電極は2分割されて、駆動用外部電極A+21aと振動検出用外部電極C+23aが形成される。また、同様に、駆動用外部電極A−21bと振動検出用外部電極C−23bとなる。
【0104】
更に、図13に示されるように、外部電極A+21a(C+23a)、外部電極A−21b(C−23b)の対向する位置に、外部電極B+22a(D+24a)、外部電極B−22b(D−24b)が設けられる。
【0105】
尚、このように構成された積層圧電素子20′及び超音波モータの動作については、上述した第1の実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0106】
超音波モータがより小型になると、必然的に積層圧電素子も小型になっていく必要がある。その場合、圧電シートの形状も小さくなるために、上述した第1及びその変形例や第2の実施形態で説明したような4分割構成、3分割構成はできなくなるので、本第3の実施形態の2分割した内部電極が有利となる。
【0107】
上述したように、縦ねじれモータに於いて、圧電素子は積層圧電素子1つで済み、該積層圧電素子は縦振動若しくはねじれ振動を検出する機能も有しているために、周囲の環境温度やモータへの負荷が変動しても、振動が最適になるように駆動周波数を制御できるので、安定したモータ駆動が可能になる。また、積層圧電素子を用いているので、低電圧での駆動が可能となる。
尚、上述した第1乃至第3の実施形態では、弾性体は円柱形状のものを示したが、これに限られるものではなく、角柱形状のものでも構わない。また、圧電素子若しくは積層圧電素子も円柱形状のものを示したが、角柱形状のものでも構わない。
【0108】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0109】
更に、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る超音波モータを示すもので、(a)は外観図、(b)は断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に用いられる積層圧電素子20の詳細について説明するもので、積層圧電素子20の外観図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に用いられる積層圧電素子20の詳細について説明するもので、図2の積層圧電素子20を上方から見た図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に用いられる積層圧電素子20の詳細について説明するもので、積層圧電素子20の内部電極の構造を示した図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に於ける超音波モータ10の振動子の動作について、図5を参照して説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の第1の変形例による超音波モータ10aの断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の第2の変形例を示すもので、積層圧電素子の内部電極の構造を示した図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の第3の変形例を示すもので、超音波モータ10bの断面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態の第4の変形例を示すもので、積層圧電素子の内部電極の構造を示した図である。
【図10】本発明の第1の実施形態の第5の変形例を示すもので、積層圧電素子の内部電極の構造を示した図である。
【図11】本発明の第2の実施形態を示すもので、積層圧電素子の内部電極の構造を示した図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に用いられる積層圧電素子20′の詳細について説明するもので、積層圧電素子20′の外観図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に用いられる積層圧電素子20′の詳細について説明するもので、図12の積層圧電素子20′を上方から見た図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に用いられる積層圧電素子20′の詳細について説明するもので、積層圧電素子20′の内部電極の構造を示した図である。
【符号の説明】
【0111】
10…超音波モータ、20、20′…積層圧電素子、251 …圧電シート1、252 …圧電シート2、30…上部弾性体、31…下面、32、45、60…雌ねじ、40…下部弾性体、41…凸部、42…面、43…溝部、44、59…雄ねじ、51…摩擦接触子、52…ロータ、53…ベアリング、55…押圧部材、56…バネ、57…ナット、58…シャフト、201a…内部電極A−、201b…内部電極B−、201c…内部電極C−、201d…内部電極D−、201a1 、201a2 、201b1 、201b2 、201c1 、201c2 、201d1 、201d2…電極導出部、202a…内部電極A+、202b…内部電極B+、202c…内部電極C+、202d…内部電極D+、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用電極と振動検出用電極を有し、少なくとも該振動検出用電極は、当該圧電素子の面内に存在する中心線となる線対称軸に対し線対称になるように2分割された環状の圧電素子と、
自身の中心軸と直交する方向に一方の面を有し、該一方の面と所定角度を有して上記圧電素子の第1の面と接触する他方の面を有する第1の柱状弾性体と、
自身の中心軸と直交する方向に一方の面を有し、該一方の面と所定角度をなして上記圧電素子の第2の面と接触する他方の面を有する第2の柱状弾性体と、
上記第1の柱状弾性体の一部に接触して駆動されるロータと、
を具備することを特徴とする超音波モータ。
【請求項2】
上記圧電素子は、その面内の全体で4分割された領域を有し、該領域のうち2領域が振動検出用電極であることを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
【請求項3】
上記圧電素子は、その面内の全体で3分割された領域を有し、該領域のうち1領域が振動検出用電極であることを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
【請求項4】
上記圧電素子は、その面内の全体で6分割された領域を有し、該領域のうち2領域が振動検出用電極であることを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
【請求項5】
上記圧電素子は、第1及び第2の振動検出用電極を備えるもので、該第1及び第2の振動検出用電極はそれぞれ正極、負極の異なる極性の電極を有し、
上記第1の振動検出用電極の正極と上記第2の振動検出用電極の正極、上記第1の振動検出用電極の負極と上記第2の振動検出用電極の負極、をそれぞれ並列接続して振動検出信号を検出することを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項6】
上記圧電素子は、第1及び第2の振動検出用電極を備えるもので、該第1及び第2の振動検出用電極はそれぞれ正極、負極の異なる極性の電極を有し、
上記第1の振動検出用電極の正極と上記第2の振動検出用電極の正極、上記第1の振動検出用電極の負極と上記第2の振動検出用電極の負極、をそれぞれ並列接続して振動検出信号を検出することを特徴とする請求項4に記載の超音波モータ。
【請求項7】
上記圧電素子は、第1及び第2の振動検出用電極を備えるもので、該第1及び第2の振動検出用電極はそれぞれ正極、負極の異なる極性の電極を有し、
上記第1の振動検出用電極の正極と上記第2の振動検出用電極の負極、上記第1の振動検出用電極の負極と上記第2の振動検出用電極の正極、をそれぞれ並列接続して振動検出信号を検出することを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項8】
上記圧電素子は、第1及び第2の振動検出用電極を備えるもので、該第1及び第2の振動検出用電極はそれぞれ正極、負極の異なる極性の電極を有し、
上記第1の振動検出用電極の正極と上記第2の振動検出用電極の負極、上記第1の振動検出用電極の負極と上記第2の振動検出用電極の正極、をそれぞれ並列接続して振動検出信号を検出することを特徴とする請求項4に記載の超音波モータ。
【請求項9】
上記駆動用電極が、その面内に存在する中心軸に対し線対称になるように配置されることを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項10】
上記駆動用電極が、その面内に存在する中心に対し線対称になるように配置されることを特徴とする請求項3に記載の超音波モータ。
【請求項11】
上記駆動用電極が、その面内に存在する中心軸に対し線対称になるように配置されることを特徴とする請求項4に記載の超音波モータ。
【請求項12】
前記駆動用電極は、その面内に存在する中心軸に対し線対称になるように設けられることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1に記載の超音波モータ。
【請求項13】
前記圧電素子は、前記駆動用電極と振動検出用電極から成る電極部と、該電極部を絶縁する圧電シートとが交互に積層された積層圧電素子であることを特徴とする請求項12に記載の超音波モータ。
【請求項14】
駆動用電極と振動検出用電極を有し、当該圧電素子の面内に存在する中心線となる線対称軸に対し線対称になるように2分割された環状の圧電素子と、
自身の中心軸と直交する方向に一方の面を有し、該一方の面と所定角度を有して上記圧電素子の第1の面と接触する他方の面を有する第1の柱状弾性体と、
自身の中心軸と直交する方向に一方の面を有し、該一方の面と所定角度をなして上記圧電素子の第2の面と接触する他方の面を有する第2の柱状弾性体と、
上記第1の柱状弾性体の一部に接触して駆動されるロータと、
を具備し、
上記圧電素子は、
2分割されたもので負極性を有する第1及び第2の振動検出用電極を備えた第1のシートと、
2分割されたもので正極性を有する第1及び第2の振動検出用電極を備えた第2のシートと、
上記駆動用電極のうち第1の駆動用電極を備えた第3のシートと、上記駆動用電極のうち第2の駆動用電極を備えた第4のシートと、を有して該第3のシートと第4のシートが交互に複数枚積層された駆動電極用シートと、
から成ることを特徴とする超音波モータ。
【請求項15】
上記第1の振動検出用電極の正極と上記第2の振動検出用電極の正極、上記第1の振動検出用電極の負極と上記第2の振動検出用電極の負極、をそれぞれ並列接続して振動検出信号を検出することを特徴とする請求項14に記載の超音波モータ。
【請求項16】
上記第1の振動検出用電極の正極と上記第2の振動検出用電極の負極、上記第1の振動検出用電極の負極と上記第2の振動検出用電極の正極、をそれぞれ並列接続して振動検出信号を検出することを特徴とする請求項14に記載の超音波モータ。
【請求項1】
駆動用電極と振動検出用電極を有し、少なくとも該振動検出用電極は、当該圧電素子の面内に存在する中心線となる線対称軸に対し線対称になるように2分割された環状の圧電素子と、
自身の中心軸と直交する方向に一方の面を有し、該一方の面と所定角度を有して上記圧電素子の第1の面と接触する他方の面を有する第1の柱状弾性体と、
自身の中心軸と直交する方向に一方の面を有し、該一方の面と所定角度をなして上記圧電素子の第2の面と接触する他方の面を有する第2の柱状弾性体と、
上記第1の柱状弾性体の一部に接触して駆動されるロータと、
を具備することを特徴とする超音波モータ。
【請求項2】
上記圧電素子は、その面内の全体で4分割された領域を有し、該領域のうち2領域が振動検出用電極であることを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
【請求項3】
上記圧電素子は、その面内の全体で3分割された領域を有し、該領域のうち1領域が振動検出用電極であることを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
【請求項4】
上記圧電素子は、その面内の全体で6分割された領域を有し、該領域のうち2領域が振動検出用電極であることを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
【請求項5】
上記圧電素子は、第1及び第2の振動検出用電極を備えるもので、該第1及び第2の振動検出用電極はそれぞれ正極、負極の異なる極性の電極を有し、
上記第1の振動検出用電極の正極と上記第2の振動検出用電極の正極、上記第1の振動検出用電極の負極と上記第2の振動検出用電極の負極、をそれぞれ並列接続して振動検出信号を検出することを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項6】
上記圧電素子は、第1及び第2の振動検出用電極を備えるもので、該第1及び第2の振動検出用電極はそれぞれ正極、負極の異なる極性の電極を有し、
上記第1の振動検出用電極の正極と上記第2の振動検出用電極の正極、上記第1の振動検出用電極の負極と上記第2の振動検出用電極の負極、をそれぞれ並列接続して振動検出信号を検出することを特徴とする請求項4に記載の超音波モータ。
【請求項7】
上記圧電素子は、第1及び第2の振動検出用電極を備えるもので、該第1及び第2の振動検出用電極はそれぞれ正極、負極の異なる極性の電極を有し、
上記第1の振動検出用電極の正極と上記第2の振動検出用電極の負極、上記第1の振動検出用電極の負極と上記第2の振動検出用電極の正極、をそれぞれ並列接続して振動検出信号を検出することを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項8】
上記圧電素子は、第1及び第2の振動検出用電極を備えるもので、該第1及び第2の振動検出用電極はそれぞれ正極、負極の異なる極性の電極を有し、
上記第1の振動検出用電極の正極と上記第2の振動検出用電極の負極、上記第1の振動検出用電極の負極と上記第2の振動検出用電極の正極、をそれぞれ並列接続して振動検出信号を検出することを特徴とする請求項4に記載の超音波モータ。
【請求項9】
上記駆動用電極が、その面内に存在する中心軸に対し線対称になるように配置されることを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項10】
上記駆動用電極が、その面内に存在する中心に対し線対称になるように配置されることを特徴とする請求項3に記載の超音波モータ。
【請求項11】
上記駆動用電極が、その面内に存在する中心軸に対し線対称になるように配置されることを特徴とする請求項4に記載の超音波モータ。
【請求項12】
前記駆動用電極は、その面内に存在する中心軸に対し線対称になるように設けられることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1に記載の超音波モータ。
【請求項13】
前記圧電素子は、前記駆動用電極と振動検出用電極から成る電極部と、該電極部を絶縁する圧電シートとが交互に積層された積層圧電素子であることを特徴とする請求項12に記載の超音波モータ。
【請求項14】
駆動用電極と振動検出用電極を有し、当該圧電素子の面内に存在する中心線となる線対称軸に対し線対称になるように2分割された環状の圧電素子と、
自身の中心軸と直交する方向に一方の面を有し、該一方の面と所定角度を有して上記圧電素子の第1の面と接触する他方の面を有する第1の柱状弾性体と、
自身の中心軸と直交する方向に一方の面を有し、該一方の面と所定角度をなして上記圧電素子の第2の面と接触する他方の面を有する第2の柱状弾性体と、
上記第1の柱状弾性体の一部に接触して駆動されるロータと、
を具備し、
上記圧電素子は、
2分割されたもので負極性を有する第1及び第2の振動検出用電極を備えた第1のシートと、
2分割されたもので正極性を有する第1及び第2の振動検出用電極を備えた第2のシートと、
上記駆動用電極のうち第1の駆動用電極を備えた第3のシートと、上記駆動用電極のうち第2の駆動用電極を備えた第4のシートと、を有して該第3のシートと第4のシートが交互に複数枚積層された駆動電極用シートと、
から成ることを特徴とする超音波モータ。
【請求項15】
上記第1の振動検出用電極の正極と上記第2の振動検出用電極の正極、上記第1の振動検出用電極の負極と上記第2の振動検出用電極の負極、をそれぞれ並列接続して振動検出信号を検出することを特徴とする請求項14に記載の超音波モータ。
【請求項16】
上記第1の振動検出用電極の正極と上記第2の振動検出用電極の負極、上記第1の振動検出用電極の負極と上記第2の振動検出用電極の正極、をそれぞれ並列接続して振動検出信号を検出することを特徴とする請求項14に記載の超音波モータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−268242(P2009−268242A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114324(P2008−114324)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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