説明

超音波内視鏡及びその組立方法

【課題】フレキシブル基板とFPCコネクタを確実に接触させ、かつ、フレキシブル基板を内部管路に容易に挿通させることが可能な超音波内視鏡及びその組立方法を提供する。
【解決手段】フレキシブル基板とFPCコネクタのスライダとの間に、該フレキシブル基板の導線パターンとFPCコネクタの接触部を確実に接触させる厚さ調整用の絶縁体シートを介在させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波信号を伝送する信号ケーブルの延出端に複数のフレキシブル基板を接続した超音波内視鏡及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波内視鏡は一般的に、操作部から前方に延出する可撓性を有する挿入部と、挿入部の先端部に設けた観察部位の超音波断層像を得る超音波プローブと、操作部から後方に延びるユニバーサルチューブの端部に設けたビデオコネクタと、ビデオコネクタから延びる分岐ケーブルの端部に設けた超音波信号コネクタとを具備している。超音波プローブから後方に延出する第1信号ケーブルは挿入部、操作部、及び、ユニバーサルチューブの内部管路を通ってビデオコネクタの内部空間まで延びており、第1信号ケーブルの延出端(後端)にはコネクタ機能を有する複数のフレキシブル基板が設けてある。ビデオコネクタ内にはFPCコネクタと一体化した中継基板が固定してあり、中継基板には分岐ケーブル内に配設した第2信号ケーブルの一端が接続しており、第2信号ケーブルの他端は超音波信号コネクタまで延びている。第1信号ケーブルに設けたフレキシブル基板をFPCコネクタに接続すると、超音波プローブと超音波信号コネクタが電気的に接続するので、超音波信号コネクタ(第2信号ケーブル)を超音波観測装置に接続すれば、超音波観測装置で生成された超音波画像を超音波観察画像用モニタに表示できる。このような超音波内視鏡は、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
超音波内視鏡の組み立て時には、フレキシブル基板をFPCコネクタに接続するために、信号ケーブル及びフレキシブル基板を前方から挿入部、操作部、及び、ユニバーサルチューブの内部管路に挿入して後方に引き出す必要がある。しかし当該内部管路は狭く、フレキシブル基板を該内部管路に挿入するとフレキシブル基板同士が内部管路内でぶつかり合うため、この引出作業は容易でなかった。
【0004】
そこで、本願の発明者は、信号ケーブルを上記内部管路に挿通する前に、内部管路内に緩く挿脱自在な細長いガイド棒の外面に各フレキシブル基板を湾曲させながら巻き付け、それらを被覆チューブで一まとめに包み込んだ棒状一体物を構成してから、当該棒状一体物を上記内部管路の前端側から後端側に引き出し、その後にガイド棒と被覆チューブをフレキシブル基板から取り外して、フレキシブル基板をFPCコネクタに接続することを提案している(特許文献2)。この組立方法によれば、複数のフレキシブル基板を上記内部管路に容易に挿通させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−193351号公報
【特許文献2】特開2010−017204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記複数のフレキシブル基板はFPCコネクタのコンタクトに形成された挿入溝に挟み込まれた状態で接続するので、コンタクトと確実に接触させるためには、一定以上の厚みが必要となる。しかし、各フレキシブル基板が厚くなると、湾曲させた状態で挿入部可撓管を通過させ、後に元の状態に戻したときにフレキシブル基板上のパターンに亀裂が生じ、最悪の場合には断線してしまうおそれがある。
【0007】
一方、コンタクトの挿入溝とフレキシブル基板の間に挿入される周知のスライダを利用すれば、薄く形成したフレキシブル基板とコンタクトの接触圧力を高めることが可能である。しかし、スライダは一般的にある程度の厚み(フレキシブル基板の数倍の厚み)を有するものであるため、スライダだけではコンタクトの挿入溝とフレキシブル基板の接触圧力を微調整することは難しい。
【0008】
本発明は、複数のフレキシブル基板とFPCコネクタを確実に接触させ、かつ、複数のフレキシブル基板を挿入部可撓管内に容易に挿通させることが可能な超音波内視鏡及びその組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、FPCコネクタのスライダとフレキシブル基板の間に厚み調整用の絶縁体シートを挟み込めば、フレキシブル基板が薄くても、絶縁体シートによりフレキシブル基板の導線パターンがFPCコネクタの接触部に押し当てられるのでフレキシブル基板とFPCコネクタとの接触が確実にとれ、かつ、各フレキシブル基板が薄ければ、内部管路に挿通するためにフレキシブル基板を湾曲させても該フレキシブル基板上の導線パターンも追従してしなやかに曲がるので断線を起こさないことに着目して、完成されたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、挿入部の先端部に設けた、超音波信号を入出力する超音波プローブと、上記超音波プローブから延出し、上記超音波信号を超音波観測装置に伝送する第1信号ケーブルと、該第1信号ケーブルの延出端に接続した、表面に導線パターンを有し、かつ自由状態で平板状をなす薄板状のフレキシブル基板と、一端が上記超音波観測装置に接続する第2信号ケーブルの他端が接続する中継基板に設けたFPCコネクタと、上記第1信号ケーブル及び湾曲状態の上記フレキシブル基板を挿通させて、自身の外側に位置する上記中継基板側に該第1信号ケーブル及びフレキシブル基板を導く内部管路とを備え、上記FPCコネクタが、上記中継基板と電気的に接続し、かつ、上記フレキシブル基板を挿脱可能な挿入溝及び上記導線パターンと導通可能として該挿入溝の内面に形成した接触部を有するコンタクトと、上記フレキシブル基板を挟んで上記接触部と反対側に位置し、かつ上記挿入溝の内面及びフレキシブル基板に接触する状態で該挿入溝に挿脱自在なスライダとを具備する超音波内視鏡において、上記フレキシブル基板と上記スライダの間に、該スライダとは別体かつ該スライダより薄肉で形成した厚さ調整用の絶縁体シートを介在させたことを特徴としている。
【0011】
絶縁体シートには、上記FPCコネクタと上記複数のフレキシブル基板の相対位置を定めるガイド溝が形成されていることが好ましい。この態様によれば、絶縁体シートのガイド溝に複数のフレキシブル基板を設置するとFPCコネクタに対する各フレキシブル基板の相対位置が決定するので、フレキシブル基板とFPCコネクタの接続が容易である。
【0012】
複数のフレキシブル基板は、内部管路に挿通しやすいように、上記超音波ケーブルの延出方向において互いに位置をずらして取り付けられていることが実際的である。
【0013】
また本発明は、組立方法の態様によれば、挿入部の先端部に設けた、超音波信号を入出力する超音波プローブと、上記超音波プローブから延出し、上記超音波信号を超音波観測装置に伝送する第1信号ケーブルと、該第1信号ケーブルの延出端に接続した、表面に導線パターンを有し、かつ自由状態で平板状をなす薄板状のフレキシブル基板と、一端が上記超音波観測装置に接続する第2信号ケーブルの他端が接続する中継基板に設けたFPCコネクタと、上記第1信号ケーブル及び湾曲状態の上記フレキシブル基板を挿通させて、自身の外側に位置する上記中継基板側に該第1信号ケーブル及びフレキシブル基板を導く内部管路とを備え、上記FPCコネクタが、上記中継基板と電気的に接続し、かつ、上記フレキシブル基板を挿脱可能な挿入溝及び上記導線パターンに導通可能として該挿入溝の内面に形成した接触部を有するコンタクトと、上記フレキシブル基板を挟んで上記接触部と反対側に位置し、かつ上記挿入溝の内面及びフレキシブル基板に接触する状態で該挿入溝に挿脱自在なスライダとを具備する超音波内視鏡の組立方法であって、上記フレキシブル基板を上記内部管路の内径より小さく湾曲させた状態で該内部管路に挿通し、上記中継基板側に引き出す工程と、引き出した上記フレキシブル基板を元の平板状に戻し、該フレキシブル基板の導線パターン面とは反対側の面に厚さ調整用の絶縁体シートを当てる工程と、この一体にした絶縁体シートと上記フレキシブル基板を上記コンタクトの接触部と上記スライダの間に挟みこんで該コンタクトの接触部と上記フレキシブル基板の導線パターンを接触させ、該接触により上記フレキシブル基板と上記中継基板を導通接続させる工程とを有することを特徴としている。
【0014】
上記絶縁体シートには上記複数のフレキシブル基板のコネクト位置をそれぞれ定めるガイド溝を形成しておき、このガイド溝に上記複数のフレキシブル基板をそれぞれ設置した状態で上記複数のFPCコネクタに接続することが好ましい。この態様によれば、FPCコネクタに対してフレキシブル基板の相対位置(接続位置)が容易に決定するので、複数のフレキシブル基板とFPCコネクタの接続作業が簡単になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、フレキシブル基板とコンタクトの挿入溝の間にスライダと、スライダより薄肉で柔軟性を有する厚さ調整用の絶縁体シートと、を介在させている。スライダによってコンタクトの接触部とフレキシブル基板(導線パターン)の接触圧力を大まかに調整し、さらに絶縁体シートによってスライダのみでは調整が難しかったコンタクトの接触部とフレキシブル基板(導線パターン)の接触圧力の微調整を行っている。そのためフレキシブル基板が薄くても該フレキシブル基板の導線パターンとFPCコネクタの接触部を確実に接触させることができ、かつ、フレキシブル基板を薄くしたことで該フレキシブル基板を湾曲させてもフレキシブル基板の導線パターンがダメージを受けることなく、内部管路に容易に挿通させることが可能な超音波内視鏡及びその組立方法を提供できる。また、仮に絶縁体シートのみによって調整を行う場合は、コンタクトの挿入溝とフレキシブル基板の隙間を埋めるために多数の絶縁体シートが必要になるが、絶縁体シートを厚みの大きいスライダと組み合わせて使用しているので、必要となる絶縁体シートの枚数を少なくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した超音波内視鏡の一実施形態の全体構成図である。
【図2】同超音波内視鏡の挿入部の先端構造を示す外観斜視図である。
【図3】超音波プローブに接続した信号ケーブルの斜視図である。
【図4】フレキシブル基板を単体で示す平面図である。
【図5】ビデオコネクタの内部構成を一部破断して示す側面図である。
【図6】絶縁体シートを介在させたときのフレキシブル基板とFPCコネクタの接続態様を示す平面図である。
【図7】絶縁体シートを介在させたときのフレキシブル基板とFPCコネクタの接続態様を示す断面図である。
【図8】絶縁体シートを介在させたときのスライダを省略して示すフレキシブル基板とFPCコネクタの接続態様を示す側面図である。
【図9】絶縁体シートを単体で示す平面図である。
【図10】フレキシブル基板をガイド棒の外面に沿わせて湾曲させた状態を示す斜視図である。
【図11】ガイド棒の外面に沿わせて湾曲させたフレキシブル基板を被覆チューブで覆った状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明を適用した超音波内視鏡の全体構成を示している。本実施形態の超音波内視鏡は、気管や肺の内部を観察する気管支内視鏡であって、患者の体内に挿入されるφ7mm程度の細径部材であり可撓性を有する挿入部1と、この挿入部1の基部に接続された操作部2と、操作部2から延出する可撓性を有するユニバーサルチューブ3の先端に設けたビデオコネクタ4と、ビデオコネクタ4から延出する可撓性を有する分岐ケーブル5の先端に設けた超音波信号コネクタ6とを備えている。
【0018】
挿入部1には、前方から順に(患者の体内に挿入される順に)、超音波走査部ブロック110と光学観察部ブロック120を含む先端部10(図2)と、操作部2に設けた操作レバー21による遠隔操作により屈曲する湾曲部11と、可撓性を有する可撓管12とを有している。湾曲部11の外周は被覆ゴム13で覆われており、可撓管12の外周は可撓性のある合成樹脂材料からなる外皮で覆われている。
【0019】
操作部2には、湾曲部11を屈曲操作する操作レバー21や先端部10のチャンネル出口開口132を利用した吸引動作を行うための吸引ボタン22などの操作部材のほか、処置具挿入突起23が設けられている。処置具挿入突起23は、操作部2と挿入部1の内部を挿通させた鉗子チャンネルの入口側端部に通じている。
【0020】
挿入部1、操作部2及びユニバーサルチューブ3の内部管路には、照明光を先端部10に伝えるライトガイドファイバと、先端部10の光学観察部ブロック120で得られた光学像の電子データを伝送する信号ケーブル(図示略)と、先端部10の超音波走査部ブロック110に入出力される超音波信号を伝送する第1信号ケーブル112(図3)とが設けてある。ビデオコネクタ4は図示していないビデオプロセッサに接続可能で、超音波信号コネクタ6は図示していない超音波観測装置に接続可能である。本超音波内視鏡がビデオコネクタ4を介して接続されるビデオプロセッサは、照明光を供給する光源装置を内蔵または接続したものである。
【0021】
図2は、挿入部1の先端部10を拡大して示している。先端部10は、観察部位の超音波断層像を得る超音波プローブ111を備えた超音波走査部ブロック110と、この超音波走査部ブロック110に対して相対的に回転できない状態で連結された光学観察部ブロック120と、この光学観察部ブロック120に埋込固定された金属ブロック130とを有している。光学観察部ブロック120は、超音波走査部ブロック110と連結する前端面側にその軸線に対して傾斜させた傾斜面120Aを有し、この傾斜面120Aに、観察部位の光学像を得る観察窓(対物レンズ)121と照明窓(照明レンズ)122を備えている。観察窓121の後方には例えばCCDなどの固体撮像素子が配置され、観察窓121を透過した光学像は、固体撮像素子で電子画像化されて該固体撮像素子に接続された上記信号ケーブルによりビデオプロセッサへ伝送され、ビデオプロセッサに接続したモニタ(図示略)に表示される。照明窓122には、挿入部1、操作部2、ユニバーサルチューブ3及びビデオコネクタ4の内部に配設した上記ライトガイドファイバの前端が接続されていて、ビデオプロセッサ内の光源装置から発せられた光がライトガイドファイバを通って照明窓122から外部へ照射される。金属ブロック130は、傾斜面120Aに臨んで固定され、操作部2と挿入部1の内部に設けた鉗子チャンネルの前端部と接続するチャンネル出口開口132が設けてある。
【0022】
図3は、超音波プローブ111と超音波観測装置との間で超音波信号を伝送する第1信号ケーブル112(信号線束114を被覆チューブ115で束ねたもの)を示している。第1信号ケーブル112は、超音波プローブ111の後方から延出し、その延出端に、コネクタ機能を有する複数(図示実施形態では6個)のフレキシブル基板113が、該第1信号ケーブル112の延出方向において互いに位置をずらして取り付けられている。フレキシブル基板113は薄板状であり、自由状態では図3、図4に示すように平板状をなす。この第1信号ケーブル112は、超音波走査部ブロック110の後方に突出形成された筒状突出部の中に挿通され、この筒状突出部と一体に、光学観察部ブロック120に貫通形成された連結用貫通孔へ嵌挿されて、光学観察部ブロック120の後方へ延出している。第1信号ケーブル112の長さは例えば2〜2.5m程度であり、複数のフレキシブル基板113が取り付けられている信号線束114の被覆チューブ115から後方に突出する部分の長さ(第1信号ケーブル112の延出端からフレキシブル基板113までの長さ)は例えば5〜15cm程度である。
【0023】
図4に、フレキシブル基板113を単体で示した。各フレキシブル基板113には、表裏面の一方のみに、ビデオコネクタ4内の中継基板に設けたFPCコネクタと電気的に接続するための導線パターン113aが形成されている。このフレキシブル基板113は、0.15mm程度と非常に薄いので、湾曲させやすく、湾曲させても導線パターン113aがダメージを受けずに済む。
【0024】
図5は、ビデオコネクタ4を一部破断して示した模式側面図である。ビデオコネクタ4内には、互いに平行をなす一対の中継基板40が設けてあり、各中継基板には分岐ケーブル5内に設けた第2信号ケーブル116(第1信号ケーブル112とは別体)の一端が接続しており、第2信号ケーブル116の他端は超音波信号コネクタ6内に設けた回路基板(図示略。超音波信号コネクタ6を超音波観測装置に接続したときに超音波観測装置と電気的に接続する基板)に接続している。さらに各中継基板40の一方の面(両者の対向面と反対側の面)には、3個のFPCコネクタ41が設けられている。
【0025】
図6〜図8に示すようにFPCコネクタ41は、端面に開口部を有する中空部材である絶縁材料製のインシュレータ42と、インシュレータ42の内部に並べて設けた中継基板40と電気的に接続する金属製のコンタクト43と、インシュレータ42及びコンタクト43に対して直線的な移動により挿脱可能な絶縁材料からなるスライダ44とを具備している。図示するようにコンタクト43は、インシュレータ42に固定された基部43aと、基部43aから平行に延びる固定片43b及び弾性変形片43cとを有している。弾性変形片43cの先端部には接触部43dが突設してあり、固定片43bと弾性変形片43cの間には挿入溝43eが形成してある。
【0026】
上記構成の超音波内視鏡において、第1信号ケーブル112の複数のフレキシブル基板113は、図6〜図8に示すスライダ44と図9に示す絶縁体シート45と共に、FPCコネクタ41のコンタクト43の挿入溝43eに挟入され、導線パターン113aとコンタクト43の接触部43dが接触することで中継基板40と電気的に接続されている。図6〜図8は、絶縁体シート45を挟み込んだフレキシブル基板113とFPCコネクタ41の接続態様を示す平面図、断面図及び側面図であり、図9は、絶縁体シート45を単体で示す平面図である。
【0027】
超音波内視鏡の組立工程において、超音波プローブ111に接続した第1信号ケーブル112は、先端部10の後方から延出させ、さらに、湾曲部11、可撓管12、操作部2、及び、ユニバーサルチューブ3の内部管路に挿通させて、ユニバーサルチューブ3の後端部からビデオコネクタ4の内部管路側に引き出し、その後に各フレキシブル基板113を各FPCコネクタ41に接続する。しかし、延出方向の位置が互いに異なる複数のフレキシブル基板113を自然状態の形状(平板形状)のまま湾曲部11、可撓管12、操作部2、及び、ユニバーサルチューブ3の内部管路に挿通させてビデオコネクタ4側に引き出すのは難しい。
【0028】
そこで本実施形態の組立工程では、第1信号ケーブル112を湾曲部11、可撓管12、操作部2、及び、ユニバーサルチューブ3の内部管路に挿通する前に、図10及び図11に示すように、湾曲部11、可撓管12、操作部2、及び、ユニバーサルチューブ3の内部管路に緩く挿脱自在な硬質の細長いガイド棒200を準備し、複数のフレキシブル基板113をガイド棒200の外面に沿うように湾曲させた状態で、該ガイド棒200を極薄の被覆チューブ201で一まとめに包み込んだ状態にする。
【0029】
ガイド棒200の長さは、第1信号ケーブル112の被覆チューブ115と重なり合わないように、被覆チューブ115から後方に突出した信号線束114より少し長い程度あればよい。ガイド棒200の先端は半球状に丸められていて、その近傍には糸掛け用溝202が形成されている。また、被覆チューブ201には、その自然状態での内径サイズがガイド棒200の外面に沿った状態のフレキシブル基板113の外径よりやや小さく、肉厚が例えば0.02〜0.05mm程度の弾力性を有するチューブを用いる。これにより、フレキシブル基板113は、被覆チューブ201でガイド棒200の外面に軽く締め付けられた状態になり、被覆チューブ201の外径は上記内部管路の中で最も内径が狭い部分よりも小径となる。なお、被覆チューブ201がガイド棒200に対して簡単に移動しないように、被覆チューブ201の先端近傍の領域をガイド棒200に粘着剤などで仮止め固定してもよい。あるいは、被覆チューブ201を先端側が塞がった袋状に形成して、その袋状部分をガイド棒200の先端200aに被せてもよい。
【0030】
被覆チューブ201により複数のフレキシブル基板113とガイド棒200を一まとめに包み込んだ状態としたら、ガイド棒200を湾曲部11の先端側から可撓管12の内部管路内に引き込み、さらに操作部2、及び、ユニバーサルチューブ3の内部管路を通過させてビデオコネクタ4の内部空間側に引き出す。このとき、予め湾曲部11、可撓管12、操作部2、及び、ユニバーサルチューブ3の内部管路に挿通し、その両端を該内部管路の外側に引き出してある糸材をガイド棒200の糸掛け用溝202に結びつけ、その糸材を利用してガイド棒200を湾曲部11、可撓管12、操作部2、及び、ユニバーサルチューブ3の内部管路に引っ張るようにするとよい。
【0031】
ガイド棒200をビデオコネクタ4の内部空間側に引き出したら、被覆チューブ201とガイド棒200を複数のフレキシブル基板113から取り外し、複数のフレキシブル基板113を元の状態(図3に示す平板状)に戻す。各フレキシブル基板113は、0.15mm程度と薄いので湾曲自在であり、ガイド棒200の外面に沿わせた湾曲状態から元の平板状に戻しても、フレキシブル基板113上の導線パターン113aは断線するおそれがない。
【0032】
続いて、元の状態に戻した複数のフレキシブル基板113と絶縁体シート45とスライダ44を、コンタクト43の挿入溝43eに挿入する。
【0033】
絶縁体シート45は、フレキシブル基板113の厚さ調整用の嵩上げ部材であって、スライダ44より薄肉かつ可撓性(柔軟性)を有するものである。この絶縁体シート45は、例えば樹脂材料からなり、図9に破線で示すように、FPCコネクタ41に対するフレキシブル基板113の相対位置(接続位置)を定めたガイド溝45aをそれぞれ有している。図示実施形態では3個のフレキシブル基板113とFPCコネクタ41の間に1枚の絶縁体シート45を介在させているが、絶縁体シート45は各フレキシブル基板113毎に備えられていても、全てのフレキシブル基板113に対して共通(一体)に備えられていてもよい。
【0034】
各フレキシブル基板113は、その導線パターン113aが形成されている面とは反対側の面が絶縁体シート45と当接するようにして、該絶縁体シート45のガイド溝45aに合わせてセットする。この段階で、FPCコネクタ41に対するフレキシブル基板113の相対位置が決定する。続いて、上述のように一体化させた絶縁体シート45と複数のフレキシブル基板113を各コンタクト43の挿入溝43eに挿入し、後に、スライダ44を各コンタクト43の挿入溝43eに挿入する。すると、コンタクト43の接触部43dがフレキシブル基板113の導線パターン113aと接触し、各FPCコネクタ41を介して各フレキシブル基板113と中継基板40が電気的に接続される。
【0035】
以上のように本実施形態は、スライダ44によってコンタクト43の接触部43dとフレキシブル基板113(導線パターン113a)の接触圧力を大まかに調整した上で、スライダ44とは別体の絶縁体シート45を挿入溝43eに挿入することによって、スライダ44では対応できない導線パターン113aと接触部43dの接触圧力の微調整を可能にしているので、フレキシブル基板113を薄くしても確実な導通がとれる。
【0036】
さらにフレキシブル基板113を薄くすることが可能なので、フレキシブル基板113の湾曲による導線パターン113aの断線を防止できる。
【0037】
また、仮に絶縁体シート45のみによって厚み調整(接触圧調整)を行なおうとすると、コンタクト43の挿入溝43eとフレキシブル基板113の隙間を埋めるためには絶縁体シート45を多数要することになるが、本実施形態では絶縁体シート45を厚みの大きい部材であるスライダ44と組み合わせて使用しているので、絶縁体シート45は1枚のみで足りる。
【0038】
絶縁体シート45に形成したガイド溝45aは省略可能であるが、本実施形態のようにガイド溝45aが形成されていると、延出方向において互いの位置が異なる複数のフレキシブル基板113をFPCコネクタ41に対して容易に位置決めすることができ、また、フレキシブル基板113とFPCコネクタ41を複数同時に接続することができるので、組立作業が容易となり、生産性が向上する。
【符号の説明】
【0039】
1 挿入部
2 操作部
3 ユニバーサルチューブ
4 ビデオコネクタ
5 分岐ケーブル
6 超音波信号コネクタ
10 先端部
40 中継基板
41 FPCコネクタ
43 コンタクト
43a 基部
43b 固定片
43c 弾性変形片
43d 接触部
43e 挿入溝
44 スライダ
45 絶縁体シート
110 超音波走査部ブロック
111 超音波プローブ
112 信号ケーブル
113 フレキシブル基板
113a 導線パターン
114 信号線束
120 光学観察部ブロック
130 金属ブロック
200 ガイド棒
201 被覆チューブ
202 糸掛け用溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部の先端部に設けた、超音波信号を入出力する超音波プローブと、
上記超音波プローブから延出し、上記超音波信号を超音波観測装置に伝送する第1信号ケーブルと、
該第1信号ケーブルの延出端に接続した、表面に導線パターンを有し、かつ自由状態で平板状をなす薄板状のフレキシブル基板と、
一端が上記超音波観測装置に接続する第2信号ケーブルの他端が接続する中継基板に設けたFPCコネクタと、
上記第1信号ケーブル及び湾曲状態の上記フレキシブル基板を挿通させて、自身の外側に位置する上記中継基板側に該第1信号ケーブル及びフレキシブル基板を導く内部管路とを備え、
上記FPCコネクタが、
上記中継基板と電気的に接続し、かつ、上記フレキシブル基板を挿脱可能な挿入溝及び上記導線パターンと導通可能として該挿入溝の内面に形成した接触部を有するコンタクトと、
上記フレキシブル基板を挟んで上記接触部と反対側に位置し、かつ上記挿入溝の内面及びフレキシブル基板に接触する状態で該挿入溝に挿脱自在なスライダと、
を具備する超音波内視鏡において、
上記フレキシブル基板と上記スライダの間に、該スライダとは別体かつ該スライダより薄肉で形成した厚さ調整用の絶縁体シートを介在させたことを特徴とする超音波内視鏡。
【請求項2】
請求項1記載の超音波内視鏡において、上記絶縁体シートには、上記FPCコネクタと上記複数のフレキシブル基板の相対位置を定めるガイド溝が形成されている超音波内視鏡。
【請求項3】
請求項1または2記載の超音波内視鏡において、上記複数のフレキシブル基板は、上記第1信号ケーブルの延出方向において互いに位置をずらして取り付けられている超音波内視鏡。
【請求項4】
挿入部の先端部に設けた、超音波信号を入出力する超音波プローブと、
上記超音波プローブから延出し、上記超音波信号を超音波観測装置に伝送する第1信号ケーブルと、
該第1信号ケーブルの延出端に接続した、表面に導線パターンを有し、かつ自由状態で平板状をなす薄板状のフレキシブル基板と、
一端が上記超音波観測装置に接続する第2信号ケーブルの他端が接続する中継基板に設けたFPCコネクタと、
上記第1信号ケーブル及び湾曲状態の上記フレキシブル基板を挿通させて、自身の外側に位置する上記中継基板側に該第1信号ケーブル及びフレキシブル基板を導く内部管路とを備え、
上記FPCコネクタが、
上記中継基板と電気的に接続し、かつ、上記フレキシブル基板を挿脱可能な挿入溝及び上記導線パターンに導通可能として該挿入溝の内面に形成した接触部を有するコンタクトと、
上記フレキシブル基板を挟んで上記接触部と反対側に位置し、かつ上記挿入溝の内面及びフレキシブル基板に接触する状態で該挿入溝に挿脱自在なスライダとを具備する超音波内視鏡の組立方法であって、
上記フレキシブル基板を上記内部管路の内径より小さく湾曲させた状態で該内部管路に挿通し、上記中継基板側に引き出す工程と、
引き出した上記フレキシブル基板を元の平板状に戻し、該フレキシブル基板の導線パターン面とは反対側の面に厚さ調整用の絶縁体シートを当てる工程と、
この一体にした絶縁体シートと上記フレキシブル基板を上記コンタクトの接触部と上記スライダの間に挟みこんで該コンタクトの接触部と上記フレキシブル基板の導線パターンを接触させ、該接触により上記フレキシブル基板と上記中継基板を導通接続させる工程と、
を有することを特徴とする超音波内視鏡の組立方法。
【請求項5】
請求項4記載の超音波内視鏡の組立方法において、上記絶縁体シートには上記FPCコネクタと上記フレキシブル基板の相対位置をそれぞれ定めるガイド溝を形成しておき、このガイド溝に上記フレキシブル基板を設置した状態で上記コンタクトの接触部と上記スライダの間に挟みこむ超音波内視鏡の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−139888(P2011−139888A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213149(P2010−213149)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】