説明

超音波式ガス濃度計の計測方法

【課題】超音波を用いたガス濃度測定方法に於いて、水素、二酸化炭素の如く音波を吸収する成分が含まれていた場合でも、該濃度計が精度良く測定できるような手段を提供する。
【解決手段】超音波センサの共振周波数と合致したパルスを生成し、且つインバーターを用いて強力な送信波をドライブする回路を備える事により、音波が吸収されにくくなる。また3波目以降を常に受信波とするロジック回路を用いる事で、精度良くガス濃度を分析することを特徴とする超音波式ガス分析計による濃度測定手段。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波により混合ガス濃度の測定に関するものである。
【背景技術】
【0002】
混合ガス中を伝搬する超音波の伝播速度Vは、[式1]で表される如く、混合ガスの平均分子量M、比熱比γ、気体定数R及び絶対温度T[K]によって決まる。音速及び温度を測定すれば平均分子量が求まる。
(数1)
=γ・R・T/M ------ [式1]
【0003】
混合ガス中のガス成分が既知のときは、ガス温度T及び伝播速度Vを測定して平均分子量Mを求め、平均分子量Mからガス濃度を演算できる。濃度演算式はa,bからなる2種混合理想気体の場合[式2]のごとくなる。
(数2)
aガスの濃度(%)= M−mb / ma−mb ×100----- [式2]
ma及びmbはそれぞれaガス及びbガスの分子量を表す。
【特許文献1】特開2002−257801
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パルス法による測定は連続送信波を生成する方式に比べて音波の減衰が極端に大きい為、いかにして1波目の送信波の減衰を軽減するかにあった。
【0005】
しかるに1波目、2波目の受信波は非常に微少であり、伝搬時間の計測精度にばらつきが生じる為、安定した3波目以降を受信波とすることにより、信頼性の高い測定ができるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
超音波発信子の公称周波数が40KHzである素子に於いて、殆どの超音波発信子の共振周波数は40KHzと若干異なる。A社製40KHz超音波発信子の共振周波数は約39KHzであり、超音波を最大に発信させるには正確なパルスをマイコンにて生成し、超音波素子に伝送する必要がある。39KHzの半周期は12.82μsであることから少なくとも0.2μs単位でパルスを生成できるマイコンが必要となる。5MHz以上のパルス生成能力があるマイコンであれば、ほぼ共振周波数通りの正確なパルスを生成し、超音波発信子の駆動能力を十分に発揮できる。また送信回路にインバーターを4回路使うことにより、負電圧のパルスを送ることなく、超音波発信子に倍の電圧をもったパルスを送る事が出来る。
【0007】
受信波を増幅及び波形を成形した後、4ビットカウンタ回路に入力する。カウンタ回路は入力に対してバイナリデーターで出力する為、4ビットカウンタ回路からの出力ラインを4回路以上備えた排他的論理和回路の入力ポートの片側にそれぞれ入力する。排他的論理和回路のもう片方の入力ポートには必要とする波形の順番を1または0入力にて決定する。この排他的論理和回路の出力を否定論理積回路に入力すれば各ラインすべてがバイナリデーターで1となった時のみ否定論理積回路は0を出力する。3波目の受信波を1波目としてマイコンに伝達する為には、排他的論理和回路をカウンタ下位ビットから順番に0,0,1,1と入力すれば、3波目の入力があった時のみ排他的論理和回路の入力はすべて0と1の入力となり、排他的論理和回路からの出力が4回路とも1となる。この結果から否定論理積回路は0と出力し、マイコンが立ち下がりパルスを精度良く検知する事が出来る。
【発明の効果】
【0008】
パルス法は連続送信波に比べて回路設計が容易である為、コスト面で優位性がある。また水素の如く音波を減衰する成分が測定ガスに含まれていても、約70%〜80%の水素まで問題なく測定できるようになった。(表1)
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
マイコンにて生成したパルスを高速波形観測の可能な計測器、例えばオシロスコープやスペクトルアナライザなどにて波形観測をする。そのパルス幅を変化させる事により、送信波の音圧レベルが最大となる周波数を見出すことが出来た。
【0010】
超音波受信子が測定ガスを通過して受信した波形をオペアンプ等で1000倍以上に増幅し、受信波形がすべて電源電圧以上の音圧となり、音圧レベルが飽和した状態となる。この増幅した受信波形をカウンタ機能を搭載した74HC393のような4ビットカウンタIC-1に入力する。IC-1の出力ラインは4ビットで構成され、下位ビットからQA、QB、QC、QDとすれば、1波目が入力された場合の4ビットカウンタ各ビットの出力は、QA=1,QB=0,QC=0,QD=0となる。3波目の受信波が入力された場合であればQA=1,QB=1,QC=0,QD=0となる。この各ビットの出力を排他的論理和回路を4回路以上搭載した74LS86のようなIC-2に入力する。例えば3波目の波形が入力された場合に4回路すべての排他的論理和回路を1にするためには、QAの出力ラインを入力した回路の反対側の入力を0、QBの出力ラインを入力した回路の反対側の入力を0、QCの出力ラインを入力した回路の反対側の入力を1、QDの出力ラインを入力した回路の反対側の入力を1とする事により可能となる。このIC-2の出力をSN7420のような4回路入力否定論理積回路IC-3に入力する。IC-2の出力がすべて1になった場合のみ、IC-3の出力が0となる。これらの3個のICを用いることにより、受信波形の選択が可能となった。(図1)
【実施例1】
【0011】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】受信波形を選択するためのロジック回路を示した図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波発信子と受信子を対向させて配置し、且つガス温度を測定する手段を具備し、超音波の伝播速度を演算処理することにより混合ガス中のガス濃度を測定する方法に於いて、パルス法にて精度良く濃度測定が可能であることを特徴とする超音波式ガス濃度計の計測方法。
【請求項2】
超音波発信子が持つ共振周波数のパルスを高性能マイコンにて生成し、超音波発信子の駆動する力を最大限に引き出すことにより、水素や二酸化炭素の如く音波の伝達を減衰するガス成分が含まれている測定に於いても、超音波の減衰を抑制することを特徴とする請求項1に記載の超音波式ガス濃度計の計測方法。
【請求項3】
超音波を受信子が検知し、マイコンにて該伝搬時間を計測する方法に於いて、3波目以降を受信した伝搬時間を精度良く測定することを特徴とする請求項1に記載の超音波式ガス濃度計の計測方法。
【請求項4】
受信した超音波波形を増幅する回路に於いて、該超音波周波数以外のノイズ成分を取り除く事により、受信波のみをマイコンに伝達出来る回路を特徴とする請求項1に記載の超音波式ガス濃度計の計測方法。

【図1】
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