説明

超音波式汚泥濃度測定装置

【課題】
濃度測定対象である汚泥から発生するガスが本管部や測定室に溜まり汚泥濃度を正確に測定できなくなることを防止することができる超音波式汚泥濃度測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
この超音波式汚泥濃度測定装置1は、汚泥が流通する本管部2に連通口10を設け、該連通口10に制御弁3を介して測定室4を配設し、前記制御弁3を閉弁して前記測定室4内の汚泥を加圧手段で加圧し、前記測定室4に設けられた超音波送受信器5によって汚泥に対して超音波を送受信して減衰量を測定し、該減衰量から汚泥濃度を算出する超音波式汚泥濃度測定装置において、前記測定室4に設けられた開口23を覆う弾性部材24と、該弾性部材24の外側を覆い、加圧室6を形成する外覆部材25と、本管部2および/または測定室4の上部に設けられ、本管部2および/または測定室4に溜まった気体を排出する気体排出口52および排出制御弁53とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、汚泥中の汚泥濃度を測定する超音波式汚泥濃度測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、汚泥(以降、汚泥とは、有機物、無機物、微生物等の固体の懸濁物質と液体の水分との混合物のことをいう)中の懸濁物質の含有割合である汚泥濃度を計測する汚泥濃度計には、種々の測定方式のものが既に存在し、実用化されている。そして、リアルタイムに排水中の汚泥濃度を測定する測定方式には、光方式、超音波方式、マイクロ波方式等がある。光方式は、測定装置の照射部から対象汚泥中に可視光、赤外線光、レーザー光等の光を照射し、照射部と対向して配置された受光部で光量を測定してその光の減衰量から汚泥濃度を測定する方式である。
【0003】
超音波方式は、測定装置の送信部から対象汚泥中に超音波を送信し、送信部と対向して配置された受信部で超音波を受信してその超音波の減衰量から汚泥濃度を測定する方式である。マイクロ波方式は、測定装置の送信部から対象汚泥中にマイクロ波を送信し、送信部と対向して配置された受信部でマイクロ波を受信する。マイクロ波は、清水中で送受信したときよりも、浮遊物質を多く含む汚泥中で送受信したときの方が、波の位相差は大きくなる特性を有している。マイクロ波方式は、この特性を利用して、位相差の大きさから汚泥濃度を測定する方式である。光方式は、測定対象の汚泥の色度の影響を受けやすい欠点がある。光は、水を透過する際、その水の色度が高い程、多く吸収され、減衰してしまう特性があるため、サンプリングして分析すると同じ汚泥濃度である汚泥であっても、色度の高い汚泥の方が色度の低いそれよりも高い汚泥濃度で測定されてしまう。よって、時間毎あるいは日毎で色度変化の大きい汚泥を測定対象とする場合には、光方式の汚泥濃度測定装置は不向きであった。
【0004】
マイクロ波方式は、測定対象の汚泥の色度や気泡の影響を受けにくい利点がある反面、導電率の影響を受けやすく、測定誤差が発生してしまう欠点があった。また、マイクロ波方式の汚泥濃度測定装置は、他の方式のものよりも高価であるという問題もあった。
また、超音波方式は、測定対象の汚泥の色度の影響を受けにくく、しかもマイクロ波方式のものよりも安価であるという大きな利点がある反面、その汚泥中に気泡が多く含まれていると、その影響を受け、測定値が実際よりも大きな値を示したり、最悪、測定不能に陥る欠点があった。これは、超音波が、汚泥中の気泡に衝突するとそこで超音波が拡散してしまい、減衰してしまったり、受信部まで超音波が伝播しなかったりすることに起因している。
【0005】
そこで、本願発明の出願人は、超音波方式の汚泥濃度測定装置の欠点である汚泥中の気泡による汚泥濃度測定への影響の問題を解決すべく、特許文献1記載の汚泥濃度測定装置を発明した。
【0006】
この特許文献1記載の汚泥濃度測定装置は、被計測汚泥が流れる汚泥本管(本管部)から分岐して連通する濃度センサ(超音波送受信器)を備えた汚泥濃度測定室(測定室)が設けられ、汚泥本管(本管部)と汚泥濃度測定室(測定室)とを仕切る開閉弁(制御弁)を有しており、さらに汚泥濃度測定室(測定室)には、ダイヤフラム(弾性部材)と加圧室が設けられている。そして、汚泥の汚泥濃度を測定する際は、以下のプロセスで行われる。
【0007】
(1)汚泥本管から汚泥を汚泥濃度測定室に汚泥本管の流れで自然に、あるいは開閉弁を閉じるときの弁体の回転駆動によって強制的に導入する。
(2)開閉弁を閉じて、汚泥濃度測定室を汚泥本管から遮断し、汚泥を密閉状態にする。
(3)エアコンプレッサー等で加圧室に加圧空気を供給して加圧室を加圧する。
(4)加圧室が加圧されることより、ダイヤフラムが汚泥濃度測定室側へ押し込まれ、これによって汚泥濃度測定室内の汚泥を加圧する。
(5)加圧することにより、汚泥中に存在する気泡をその汚泥の水分中に溶存させて、消泡する。
(6)濃度センサによって、汚泥の汚泥濃度を計測する。
【0008】
特許文献1記載の汚泥濃度測定装置では、汚泥を加圧して気泡を水分中に溶けこませ、気泡を消滅させることにより、気泡による影響を受けずに超音波による汚泥濃度を測定することができ、それなりの効果を得ることができていた。
【0009】
【特許文献1】実公平5−39491公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の汚泥濃度測定装置は、加圧空気によって加圧室を加圧してダイヤフラム(以下、「弾性部材」という)を押圧する構成となっている。加圧室の体積を大きくすると、加圧時に加圧空気を多く送らなければならなくなるので、加圧室の体積をできるだけ小さくしている。このため、弾性部材の加圧室側表面と加圧室の内壁とが接近している部分が多くなっている。また、弾性部材が破損すると、汚泥濃度測定室(以下、「測定室」という)内および汚泥本管(以下、「本管部」という)内の汚泥が加圧室に流出してきてしまい、最悪、加圧空気を供給する空気供給管を経て、コンプレッサー等の空気圧縮機の内部に汚泥が入り込み、故障させてしまう。この対策として、加圧室に汚泥が流入したことを感知するリークディテクター(以下、「漏洩検知器」という)が配設されている。
【0011】
ここで、汚泥濃度測定装置が設置されている汚泥配管内が所定圧力以上の正圧状態になった場合、汚泥によって弾性部材が加圧室側に押し出され、弾性部材が膨らんでしまう。この場合、弾性部材の加圧室側表面が加圧室の内壁に擦れたり、加圧室の鋭角部分や漏洩検知器に接触したりすることで、弾性部材の強度が低下し、これが繰り返されると、通常、弾性部材の素材から想定されている耐用年数よりも短期間で弾性部材が破損してしまうという問題があった。
【0012】
一方、測定対象の汚泥が、濃縮槽で濃度が濃縮された濃縮汚泥や、消化槽から消化汚泥、脱水機で脱水する前の脱水機供給汚泥である場合、汚泥中に嫌気性反応に起因するメタン等のガスが発生しており、それが気泡の形で存在していることが多い。また、好気性処理時等に混入された空気がそのまま気泡の形で存在していることもある。そして、ガスの発生量が多い場合や、空気が多く残っている場合には、その汚泥が流れる汚泥配管やその流路に設置されている汚泥濃度測定装置の本管部内でその気泡同士が結合して大型化し、浮力で上方に浮上分離してしまい、本管部の断面上方側にガス溜まりとして滞留してしまう。
【0013】
このような汚泥を、特許文献1に記載の汚泥濃度測定装置で汚泥濃度を測定する場合、汚泥とともにガス溜まりも測定室に流入してしまうことがある。このとき、汚泥を加圧して気泡を消滅させるプロセスを実行すると、汚泥が圧縮性の非常に低い流体であるのに対し、ガス溜まりは、圧縮性の高い流体であるため、弾性部材によって汚泥を加圧しても、ガス溜まりの方が優先的に圧縮されてしまい、汚泥中の気泡が水分中に溶存せず、またガス溜まりも汚泥の水分中に溶存せず、その次のプロセスで汚泥濃度が正確に測定されない、あるいは測定不能になることがあり、問題となっていた。
【0014】
さらに、汚泥濃度測定室中のガス溜まりの容量が多い場合、通常、弾性部材は、加圧室側に凸面を有する形状であるが、その凸面が測定室側に押し込まれてしまい、測定室側に凸面を有する形状に変形してしまう、いわゆる反転現象が発生してしまい、汚泥濃度が正確に測定されないばかりか、開閉弁が開いた際に弾性部材の凸面と接触して、弾性部材を損傷してしまったり、流路を塞いでしまったりすることがあり、問題となっていた。
【0015】
また、汚泥配管の移送ポンプ吸引側に汚泥濃度測定装置が設置されている等、汚泥配管内が負圧状態になりやすい環境の場合、弾性部材が測定室側に吸引されてしまい、弾性部材の反転現象が発生してしまうことがあり、問題となっていた。
【0016】
さらに、特許文献1に記載の汚泥濃度測定装置では、前記の通り、汚泥漏れ対策として、加圧室内に漏洩検知器が配設されている。この漏洩検知器は、汚泥濃度測定装置の必要設置スペースを小さくすることを考慮し、弾性部材に対して平行な方向に配設されている。よって、漏洩検知器の配線を接続する端子が加圧室の横側に突出しており、さらに、その端子を保護するためのカバーが取付けられている。加圧室を形成する外箱は、測定室に取付けられる端部がフランジ形状となっており、ボルトで測定室の外壁に取付けられている。
【0017】
この汚泥濃度測定装置を工場で組み立てる時においては、先に外箱(以下、「外覆部材」という)を測定室に取付け、その後、漏洩検知器を外覆部材に取付け、配線を端子に接続し、最後に端子収納箱を取付けるようになっている。しかし、測定室内の清掃等のメンテナンスを行う場合、漏洩検知器自体の交換等のメンテナンスをしない限りは、通常取り外さない。よって、メンテナンス作業時に、漏洩検知器や端子収納箱が外覆部材に取付けられた状態で外覆部材を測定室から取り外すためにボルトをスパナ等で回そうすると、外覆部材から突出している漏洩検知器や端子収納箱が邪魔になり、メンテナンス等における作業性が非常に悪く、作業時間が掛かってしまうという問題があった。
【0018】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、汚泥配管内が正圧状態となった場合、弾性部材が加圧室側に押し出されて、漏洩検知器や加圧室内壁に弾性部材が接触することに起因する弾性部材の強度低下や破損を防止でき、弾性部材の耐用年数の大幅な向上が図れる超音波式汚泥濃度測定装置を提供することを目的とする。
この発明は、汚泥配管から本管部を経て測定室に汚泥とともにガス溜まりが流入してくることに起因して、弾性部材で測定室内を加圧しても汚泥中の気泡が溶存しない現象が発生することを防止でき、また、弾性部材の凸面が測定室側に反転してしまう反転現象を防止できる超音波式汚泥濃度測定装置を提供することを目的とする。
この発明は、汚泥配管内が負圧状態になりやすい環境の場合、弾性部材が測定室側に吸引されてしまい、弾性部材の反転現象が発生することを防止できる超音波式汚泥濃度測定装置を提供することを目的とする。
この発明は、測定室内の清掃等のメンテナンスを行うときの外覆部材を測定室から取り外す際、外覆部材から突出している漏洩検知器や端子収納箱が邪魔になり、作業時間が掛かってしまうということを防止することができる超音波式汚泥濃度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の超音波式汚泥濃度測定装置は、
汚泥が流通する本管部に連通口を設け、該連通口に制御弁を介して測定室を配設し、前記制御弁を閉弁して前記測定室内の汚泥を加圧手段で加圧し、前記測定室に設けられた超音波送受信器によって汚泥に対して超音波を送受信して減衰量を測定し、該減衰量から汚泥濃度を算出する超音波式汚泥濃度測定装置において、前記測定室に設けられた開口を覆う弾性部材と、該弾性部材の外側を覆い、加圧室を形成する外覆部材と、本管部および/または測定室の上部に設けられ、本管部および/または測定室に溜まった気体を排出する気体排出口および排出制御弁とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項2の超音波式汚泥濃度測定装置は、前記加圧手段は、空気供給源からの圧縮空気を加圧室へ供給する空気制御弁が設けられた空気供給管を有することを特徴とする。
本発明の請求項3の超音波式汚泥濃度測定装置は、前記外覆部材を分割可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
この発明の請求項1に係る超音波式汚泥濃度測定装置は、本管部や測定室の上部に、本管部や測定室に溜まった気体を排出する気体排出口と気体の排出を制御する排出制御弁を設けたことにより、本管部や測定室内にガス溜まりができた場合においても、適宜外部に排出することができる。これにより、ガス溜まりに起因して発生する測定室内を加圧しても汚泥中の気泡が溶存されない現象を防止することができる効果がある。またガス溜まりを外部に排出することが可能であることから、これに起因する弾性部材の反転現象を防止することができる。よって、反転現象によって生じる弾性部材の損傷や、流路を塞いでしまう弊害を防止できる効果がある。
【0021】
この発明の請求項2に係る超音波式汚泥濃度測定装置は、加圧室へ圧縮空気を供給する空気供給管に空気制御弁を設けたことにより、以下の効果がある。すなわち、例えば汚泥配管の移送ポンプ吸引側のような汚泥配管内が負圧状態になりやすい環境にこの発明の超音波式汚泥濃度測定装置を設置する場合においても、加圧室への圧縮空気供給時、および加圧室からの圧縮空気排出時以外は空気制御弁を閉弁することで加圧室内からの空気の流入出を防止することができる。そして、空気制御弁が閉弁時は、測定室内が負圧状態となっても加圧室内に空気が流入することがないので、弾性部材が測定室側に引っ張られて反転することがない、つまり弾性部材の反転現象を防止することができる効果がある。
【0022】
この発明の請求項3に係る超音波式汚泥濃度測定装置は、外覆部材の加圧部と電極収納部とを分割可能に構成し、加圧部と電極収納部とをハウジング、コネクタ、クリップ等によって、回動自在あるいは着脱自在としたことにより、以下の効果がある。すなわち、測定室内の清掃等のメンテナンスを行う際に外覆部材を測定室から取り外すために固定ボルトをスパナ等で廻すときに、外覆部材から電極収納部や端子収納箱が突出していても、電極収納部を加圧部から取り外したり、電極収納部を回転させたりして、スパナ等を使用する作業スペースを確保できるので、外覆部材の取り外し作業がしやすくなり、作業時間の短縮が図れる効果がある。
【0023】
この発明に係る超音波式汚泥濃度測定装置には、弾性部材の加圧室側表面を保護する保護カバーを設けてもよく、これにより汚泥配管内が所定圧力以上の正圧状態になり、汚泥によって弾性部材が加圧室側に押し出された場合においても、保護カバーが弾性部材を支持することによって、弾性部材が加圧室側へ更に膨張することが抑制されることとなり、弾性部材の加圧室側表面が加圧室の内壁に擦れたり、加圧室内壁の鋭角部分や漏洩検知器の検知電極に接触して、弾性部材の強度が大幅に低下することを防止できる効果がある。また、強度が低下してしまうことによって、通常使用による弾性疲労等から想定される耐用年数よりも短期間で弾性部材が破損してしまうことを防止できる効果がある。
【0024】
また、この発明に係る超音波式汚泥濃度測定装置には、保護カバーに空気流通孔を設けてもよく、これにより加圧室内の圧縮空気が保護カバーの空気流通孔を通過して弾性部材を押圧することが可能となるため、外覆部材の内壁面に空気が通過するための切欠部を設ける必要がない。外覆部材を鋳鉄等の鋳物で製作する場合においては、切欠部の加工精度が低く、また保護カバーと外覆部材の切欠部と弾性部材とが互いに接近していることから、取付状況によっては、切欠部が塞がれてしまったりして空気を流通させる機能が発揮されず、弾性部材に圧縮空気の圧力が伝わらないことがあった。保護カバーに空気流通孔を設けることにより、外覆部材等によって空気流通孔が閉塞することがないので、圧縮空気が確実に弾性部材に伝わるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における超音波式汚泥濃度測定装置の正面図であり、図2は、図1の超音波式汚泥濃度測定装置のA−A線断面図である。この実施の形態1における超音波汚泥濃度測定装置1は、本管部2と、制御弁3と、測定室4と、超音波送受信器5と、加圧室6と、保護カバー7と、制御器8で主に構成されている。
【0026】
本管部2は、汚泥を搬送する汚泥配管の間に配設され、上流の汚泥配管から導入して、測定室4内で汚泥の濃度を測定し、濃度測定後に測定室4から汚泥を排出して下流の汚泥配管に送り出すものである。制御弁3は後述する弁体28を回動させて本管部2と測定室4との流路を開閉するものであり、汚泥の測定室4への導入時と排出時に弁体28を開いて本管部2と測定室4とを連通させ、汚泥濃度測定時に弁体28を閉じて本管部2と測定室4とを区画する。超音波送受信器5は測定室4中に導入された汚泥に超音波を伝播させてその減衰量から汚泥濃度を測定するものである。加圧室6は、汚泥濃度測定時に圧縮空気が供給される部屋であり、その圧縮空気が弾性部材24を測定室4側へ押すことで測定室4内の汚泥が加圧され、汚泥中の気泡をその汚泥中の水分に溶かし込むことができる。保護カバー7は弾性部材24の加圧室側への膨出を抑制するものであり、制御器8は超音波式汚泥濃度測定装置1を制御するものである。
【0027】
本管部2の両端には、ボルト穴9aを複数個有するフランジ9が設けられており、汚泥が流通する図示しない汚泥配管の間にフランジ接続で設置されるようになっている。本管部2の水平方向の周面には、測定室4に通じる連通口10(図2参照)が設けられており、その連通口10の本管部2の外周面には、リペアゲート11、制御弁3の弁箱3a、筒状の周壁部材13が、順番に互いに流路が連通するように、積み重なって配設されている。周壁部材13の制御弁3の反対側の端部には、ボルト穴を複数有するフランジ部14が形成されている。そして、通しボルト15によってフランジ部14とリペアゲート11あるいは本管部2とが接続されており、これによって、制御弁3の弁箱3aは、周壁部材13とリペアゲート11とによって挟持されている。本管部2の連通口10に対向する内周壁であって上流側の汚泥流入口16a側には、突出部17が設けられている。この突出部17は、汚泥流入口16aから流入する汚泥が突出部17に当接することで汚泥流出口16bへの汚泥の流れを連通口10に向かうように促す効果を有している。
【0028】
リペアゲート11は、制御弁3が劣化等によって止水機能が低下してしまい、交換する必要が発生し、更に超音波式汚泥濃度測定装置1を設置した汚泥配管内の汚泥の流れを一時的に停止出来ないような場合において、使用する緊急用のゲート弁である。リペアゲート11は、内側に雌ネジが切ってあるスライドナット18が溶接等で取付けられた板状の弁体19と、その弁体19がスライドして連通口10を塞ぐことが可能なように溝が切ってある弁箱20と、ボルト21がスライドナット18と嵌合してスパナ等で回動させることで弁体19をスライドさせる操作ハンドル22とによって、構成されている。なお、この実施の形態1では、操作ハンドル22を四角柱形状としたが、六角柱形状であってもよいし、その他の多角形柱形状であってもよい。
【0029】
周壁部材13のフランジ部14が形成されている側には、開口23が設けられている。この開口23は、測定室4の外側に向かって半球面状に突出する凸面を有する弾性部材24で覆われている。弾性部材24は、膨張収縮可能な樹脂製ゴムあるいはプラスチック樹脂等の弾性を有する素材で構成される。この実施の形態1では、弾性部材24は、繊維を樹脂製ゴムで挟み込んだ素材で構成されている。弾性部材24の加圧室6側の凸面には、弾性部材24を保護するための半球面状の保護カバー7が配設されている。保護カバー7のさらに外側にはこれらを覆うように外覆部材25が配設されている。測定室4は、制御弁3が閉弁されたとき、制御弁3の弁体28、周壁部材13、弾性部材24に囲まれた空間で区画形成される。
【0030】
外覆部材25の弾性部材24との接する側の外周縁部には、ボルト穴を複数有するフランジ部26が形成されており、そのボルト穴と連通するように、弾性部材24のフランジ部24aにはボルト穴が形成されている。周壁部材13の外覆部材25側の端面には、内部に雌ネジが切られたネジ穴が形成されており、ボルト27がこのネジ穴に締結可能とされている。このボルト27をフランジ部26および24aを通してネジ穴に締結することによって、外覆部材25のフランジ部26、弾性部材24のフランジ部24a及び周壁部材13が密着して接続されている。
【0031】
保護カバー7は金属板からなり、保護カバー7の外周縁部は外覆部材25の内壁面と接着剤、粘着テープ等で固定されている。これにより、弾性部材24の凸面が変形しても、保護カバー7の位置はずれないようになっている。これにより、保護カバー7が固定されていない場合で位置が移動してしまったとき、保護カバー7の外周縁部が弾性部材24に刺さってしまうことで表面を傷つけてしまうことを防止できる。なお、保護カバー7の外周縁部の全周に接着剤等を塗布して外覆部材25の内面に接着固定してもよいが、加圧室6内をメンテナンスする時に保護カバー7を剥がす必要が生じる場合があることを考慮すると、保護カバー7の外周縁部の内の数点(例えば4点、6点、8点等)に接着剤等を塗布して外覆部材25の内面に接着固定するようにした方がより好ましい。
【0032】
また、保護カバー7の外周縁部にボルト穴を有するフランジを設け、そのフランジをフランジ部26と弾性部材24のフランジ部24aとの間に挟みこみ、ボルト27を各フランジのボルト穴に挿通して周壁部材25に取付けることによって、保護カバー7を着脱自在に固定してもよい。ただし、この場合の保護カバーのフランジは、フランジ部24aに接する表面が滑らかであると、ボルト27による締め付け時、フランジ部24aが弾性を有するがために保護カバー7のフランジの表面を滑り、ボルト27を締め付け続けても弾性部材24の凸面の中心側に向かって伸び続けてしまって十分に固定できず、測定室4の水密状態が不十分になってしまう恐れがある。この場合には、保護カバー7のフランジの表面を粗面加工して、フランジ部24aが摩擦で固定されるようにするとよい。
【0033】
ここで保護カバー7は、高い剛性と耐食性を有する素材の中でも比較的安価なステンレス製であるのが望ましいが、より耐食性が必要であれば、チタン等の素材であってもよいし、耐食性が多少劣っても構わない環境であるなら、鋼等の素材でもよく、さらには、肉厚を厚くはなるが鋼よりも耐食性の高いアルミニウムや銅や銅系合金であってもよい。また、高い剛性を有するエンジニアリングプラスチックでも良い。保護カバー7の半円球の頂点部には空気流通孔33が開口されている。加圧室6に供給された圧縮空気は、保護カバー7の空気流通孔33から加圧室6の圧縮空気が流入出することで、弾性部材24を確実に押圧して、測定室4内の汚泥を加圧するようになっている。
【0034】
超音波送受信器5は、超音波送受信子5aと変換器30で構成されている。筒状の周壁部材13の水平方向の周面には、互いに対向するように超音波送受信子5aが配設されている。超音波送受信子5aと変換器30とは電気配線で接続されており、汚泥濃度測定時は、変換器30から一方の超音波送受信子5aに所定の大きさの電流を流して内部の発振子を作動させて測定室4内に所定強度の超音波を送信し、他方の超音波送受信子5aで超音波を受信して内部の発振子が受信した超音波の強度に応じた電流値に変換し、変換器30に電流を流す。そして、変換器30では超音波送受信子5aから受け取った電流値から汚泥濃度値を計算する。超音波送受信子5aが超音波を受信して発生する電流の大きさは、受信した超音波の強度が強いほど大きくなる。つまり、測定室4内の汚泥中の浮遊物質濃度が高く(汚泥濃度が高く)超音波の減衰量が大きいほど受信側の超音波送受信子5aから発生する電流値は小さくなる。以上の理論に基づき、超音波送受信器5は、超音波の減衰量から測定室4内の汚泥濃度を計測するものである。
【0035】
なお、超音波送受信子5aは、1つで超音波を送信する役割と超音波を受信して電流値に変換する役割の2つの役割を実行することができる。2つの超音波送受信子5aで送信側と受信側の役割を交代して交互に超音波の送受信し合い、測定した各汚泥濃度値の平均値を測定値とすることで測定精度の向上を図ることができる。また、超音波送受信子5aを1つだけ設置し、対向する位置、つまり、もう1つの超音波送受信子5aが設置されている位置には、それに代えて反射板を設置して、超音波送受信子5aで送信した超音波を反射板で反射させて同じ超音波送受信子5aで受信してもよい。これにより、超音波式汚泥濃度測定装置1の製造コストを低減することができる。ただし、超音波の伝播距離が2倍になるので、変換器30で制御して超音波送受信子5aから送信する超音波の強度を上げてやる必要がある。
【0036】
外覆部材25は、半球面形状の加圧部31と筒状の電極収納部32とで構成されている。電極収納部32には、筒断面方向に挿入穴が、筒周面方向に圧縮空気が流入する空気流入口32aがそれぞれ設けられている。電極収納部32の側部の挿入穴には、漏洩検知器34が配設された端子収納箱35が設置されており、漏洩検知器34の電極36が電極収納部32内の空間に挿入されている。弾性部材24と外覆部材25と端子収納箱35に囲まれた空間で加圧室6が形成されている。加圧部31と電極収納部32との境界部には、連通口29が形成されている。連通口29は電極収納部32に入った圧縮空気を加圧部31内に導入したり、加圧部31内の圧縮空気を電極収納部32を介して大気に排気したりするために開口されている。端子収納箱35は本管部2から側方への突出量を少なくするために本管部2の長手方向に延びるように形成されており、漏洩検知器34も電極36が本管部2の長手方向に延びるように配設されている。
【0037】
電極収納部32の空気流入口32aには、圧縮空気を供給する空気供給管37が接続されている。空気供給管37には、加圧室6に供給するための圧縮空気を生成する空気供給源である空気圧縮機38、圧縮空気を貯留するエアタンク39、エアタンク39から圧縮空気を加圧室6へ供給する流路と加圧室6内の空気を外部に排出する流路とを切り替える三方弁である流路切換弁40が設けられており、加圧室6内の空気圧を調整可能としている。
【0038】
汚泥を加圧する加圧手段は、空気供給源である空気圧縮機38と、エアタンク39と、加圧室6に圧縮空気を供給する空気供給管37と、空気供給管37に配設された流路切換弁40とにより構成されている。なお、この実施の形態1では、空気圧縮機38とエアタンク39で空気供給管37へ圧縮空気を供給しているが、設置場所の施設に圧縮空気供給設備が存在し、圧縮空気を供給する図示しない圧縮空気供給管が配管されている場合には、その圧縮空気供給管から分岐して空気供給管37に接続して、圧縮空気を供給する空気供給源としてもよい。
【0039】
周壁部材13の下方には、測定室4内の汚泥を排出可能なドレン排水口41が設けられている。ドレン排水口41には、ドレン弁42を備えたドレン管43が接続しており、測定室4内をメンテナンスする際には、制御弁3を閉弁して、ドレン弁42を開弁することにより、測定室4内の汚泥を外部に排出することができる。また、周壁部材13の上方には、常時は閉塞蓋44で塞がれている気体排出口45が設けられている。汚泥をドレン排水口41から排出させる際に、閉塞蓋44を取り外して測定室4内に空気を流入させ、汚泥をスムーズに排出させるために使用してもよい。測定室4内にガス溜まりが発生した際、ガスの排出に使用してもよい。
【0040】
弁体28を開閉動作する制御弁3は、弁構造はいわゆるバタフライ弁を使用しているが、駆動方式としてはエアタンク39からの圧縮空気の供給で動作する空気圧駆動を採用している。制御弁3の駆動部3bは、シリンダと、ピストンと、シリンダ内でのピストンの往復動を回転運動に変換する変換部により構成されている。シリンダは、ピストン可動域よりも上方と下方に空気流出入口を備えている。上方の空気流出入口には空気管39aが、下方の空気流出入口には空気管39bの一端がそれぞれ接続されており、各空気管39a,39bの他端はエアタンクに接続されている。そして、空気管39aには三方弁である流路制御弁48が配設されており、空気管39aの流路を、エアタンク39から圧縮空気をシリンダの上方の空気流出入口に送る流路と、シリンダの上方の空気を空気流出入口から外部に排出する流路に切り換えることが可能となっている。同様に、各空気管39bには三方弁である流路制御弁49が配設されており、空気管39bの流路を、エアタンク39から圧縮空気をシリンダの下方の空気流出入口に送る流路と、シリンダの下方の空気を空気流出入口から外部に排出する流路に切り換えることが可能となっている。
【0041】
変換部は、例えば、ピストンの可動方向断面に円形穴を開けて雌ネジを切り、その円形穴に雄ネジが切られているシャフトを螺合し、シャフト下端に円形ギアをギアの中心とシャフト芯とを同軸に接続した構成とするとよい。そして、弁体28の弁棒47の弁体28が接続された側とは反対側の端部を別の円形ギアを接続し、シャフト側の円形ギアと螺合させることで、駆動部3b内のピストンの往復動に応じて弁体28が回転する。シャフト側の円形ギアと弁棒側の円形ギアとのギア比をピストンの可動領域長から換算して、ピストンの1回の移動で弁体28が1/4回転するように設定することにより、例えば、ピストンの可動域上端までの1回の移動で制御弁3が開き、可動領域下端までの1回の移動で制御弁3が閉じるように構成できる。
【0042】
ピストンを上方に移動させるには、流路制御弁48をピストンの上方のシリンダ内の空気を外部に排出する流路に切り換え、流路制御弁49をエアタンク39から圧縮空気をピストンの下方のシリンダ内に送る流路に切り換えるとよい。反対にピストンを下方に移動させるには、流路制御弁48をエアタンク39から圧縮空気をピストンの上方のシリンダ内に送る流路に切り換え、流路制御弁49をピストンの下方のシリンダ内の空気を外部に排出する流路に切り換えるとよい。なお、制御弁3の駆動部3bの構成については、この構成に限定される訳ではなく、空気管で空気を供給・排出することにより、弁体29が回転可能であればどのような構成であってもよい。また、制御器8からの制御信号によって、弁体29が開閉動作可能であればどのような構成であってもよい。例えば、油圧駆動による油圧弁、水圧駆動による水圧弁、電動モーターによる駆動である電動弁、電磁力による駆動である電磁弁であってもよい。この実施の形態1で空気圧駆動を適用した理由は、加圧手段として空気圧縮機38やエアタンク39があり、これを利用することが最も効率的であったからである。さらに、弁構造についても、バタフライ弁に限定される訳ではなく、ボール弁、ゲート弁等の弁構造であってもよい。
【0043】
制御器8は、電気配線で変換器30、漏洩検知器34、空気圧縮機38、制御弁3、各流路切換弁40,48,49とそれぞれ接続されており、それぞれを制御している。なお、制御弁3に接続されている電気配線は、制御弁3内に内蔵されている弁体28の位置を検知するためのリミットスイッチと接続しており、リミットスイッチで弁体28の開弁および閉弁を検知することで、エアタンク39から駆動部3bへの圧縮空気の供給を制御している。
【0044】
漏洩検知器34は、外覆部材25の電極収納部32に配設されている。制御盤8から電圧がかけられている2本の電線が引かれており、そのうちの1本が漏洩検知器34の電極36に接続され、もう1本の電線が加圧室6の外覆部材25に接続されている。そして、弾性部材24が何等かの理由により破損し、汚泥が加圧室6に流入したとき、導電体である汚泥によって電極36と外覆部材25が電気的に導通し、制御盤8の検知回路内に電流が流れて、汚泥が加圧室6に漏洩したことを、制御盤8が検知するようになっている。
【0045】
上述のように、超音波送受信器5は、汚泥濃度測定時は、変換器30から一方の超音波送受信子5aに所定量の電流を流すことで超音波を送信し、他方の超音波送受信子5aで受信して電流に変換して変換器30でその電流値から汚泥濃度を計算して汚泥濃度値を得る。しかし、測定対象の汚泥中に気泡が多く存在すると、超音波が大幅に減衰したり、拡散したりして汚泥濃度を正確に計測できなかったり、最悪測定不能に陥る。超音波汚泥濃度測定装置1は、そのような汚泥であっても正確に汚泥濃度を計測できる。この超音波式汚泥濃度測定装置1の汚泥濃度計測は、以下のプロセスで行われる。
(1)制御器8で、流路切換弁48,49を制御して制御弁3を開いて本管部2から汚泥を測定室4に導入する。
(2)制御器8で、流路切換弁48,49を制御して制御弁3を閉じて測定室4を本管部2から遮断し、測定室4内で汚泥を密閉状態にする。
(3)制御器8で、流路切換弁40を制御してエアタンク39から加圧室6に圧縮空気を供給して加圧室6内を加圧する。
(4)加圧室6内が加圧されることより、弾性部材24が測定室4側へ押し込まれ、これによって測定室4内の汚泥が加圧される。
(5)所定時間、汚泥を加圧することにより、汚泥中に存在する気泡が水分中に溶存し、気泡が消滅する。
(6)制御器8から、変換器30に汚泥濃度を計測する命令を送信する。変換器30では、一方の超音波送受信子5aに所定量の電流を流して超音波を送信し、他方の超音波送受信子5aで減衰した超音波を受信して電流に変換されて変換器30がそれを受け取ってその電流値から汚泥濃度の測定値に変換する。
(7)汚泥濃度の測定値は、変換器30に搭載された図示しない表示パネルから表示する。あるいは、変換器30から制御器8に測定値を電気信号で送信し、制御器8で電気信号を受信し、制御器8が備える表示パネルで測定値を表示したり、内蔵されたデータロガーに記憶させたり、プリンタで印字する構成としても良い。
【0046】
上述のように、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1は、汚泥が流通する本管部2の側壁部に連通口10を設け、この連通口10に制御弁3を介して測定室4を配設し、制御弁3を閉弁して測定室4内の汚泥を、空気供給源である空気圧縮機38と、エアタンク39および空気供給管37で主として構成される加圧手段で加圧室6内を加圧状態にすることで弾性部材24を押圧して加圧し、測定室4の側壁部に対向して設けられた一対の超音波送受信子5aと変換器30とからなる超音波送受信器5によって汚泥に対して超音波を送受信してその超音波の減衰量から汚泥濃度を算出する超音波式汚泥濃度測定装置1であり、測定室4に設けられた開口23を覆う弾性部材24と、該弾性部材24の外側を覆い、加圧室6を形成する外覆部材25と、加圧室6側の弾性部材24を覆う保護カバー7とを備えるものである。
【0047】
以上のように、実施の形態1における超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、汚泥配管内が弾性部材24が加圧室側に押されて膨張してしまう圧力以上の正圧状態になった場合であっても、弾性部材24の加圧室側表面が保護カバー7で支えられるので、弾性部材24の加圧室6側への過度の膨張が抑制される。よって、弾性部材24の加圧室6側表面が加圧室6の内壁に接触して擦れたり、加圧室6内壁の鋭角部分や漏洩検知器34の電極36に接触して、弾性部材24の強度が低下あるいは破損したり、電極36が故障したりすることがなく、弾性部材24の劣化を防止することができる。これによって、従来の超音波式汚泥濃度測定装置で発生していた、弾性部材24で使用されている素材から想定される耐用年数よりもはるかに短期間で弾性部材24が破損してしまうという問題を解消できる。
【0048】
また、保護カバー7は、その球面部の頂点に加圧室6への空気の出入を行う空気流通孔33を有するので、加圧室6から弾性部材24へ確実に圧縮空気を流入させることができる。
【0049】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2の超音波式汚泥濃度測定装置1のA−A線断面図である。正面図に関しては、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1の正面図である図1と同一である。この実施の形態2では、実施の形態1の保護カバー7に空気流通孔33を設けることに代えて、外覆部材25の加圧部31の内壁に切欠部50を設けて、加圧室6と弾性部材24との間の圧縮空気の流通路としている点が相違している。実施の形態1では、保護カバー7の外周面は、外覆部材25の内周面と接着剤等で固定されており、加圧室6内に流入する圧縮空気が流通する隙間がほとんどなく、圧縮空気の圧力が弾性部材24に伝わりにくい、特に保護カバー7の外周面全周を接着固定した場合は、圧縮空気が弾性部材24にまで到達できないことから、空気流通孔33を設けて圧縮空気を通過させて弾性部材24に到達するようにしている。この実施の形態2では、外覆部材25の内壁面に曲面に沿った方向(連通口29側からフランジ部26側に向かって)に溝状の切欠部50を1箇所あるいは複数箇所設け、切欠部50に接着剤等が入らないように保護カバー7を接着固定した構成としている。
【0050】
これにより、汚泥加圧時においては、加圧室6に入り込んだ圧縮空気が切欠部50から入り込み、保護カバー7の外周縁部と切欠部50との間の空間を通過して、弾性部材24を押圧出来るようになっている。また、汚泥濃度計測を終了し、汚泥を加圧状態から開放するときにおいては、流路切換弁40が開いて加圧室6の圧縮空気が大気に解放され、弾性部材24と保護カバー7の間の圧縮空気は、切欠部50を通って加圧室6の内壁面と保護カバー7の外側に抜け出すようになっている。その他の構成は、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1の構成と同様であるので、その説明を援用して詳細な説明を省略する。
【0051】
なお、実施の形態2の加圧室6の内壁の開口縁部に切欠部50を形成して切欠部50から弾性部材24と保護カバー7との間に圧縮空気を送り込む構成は、後述する実施の形態3乃至19の超音波式汚泥濃度測定装置に組み合わせて適用することができる。
【0052】
以上のように、実施の形態2における超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、実施の形態1に示した効果のほかに、加圧室6内のメンテナンス時に保護カバー7を外覆部材25から剥がす際においては、切欠部50にこじ開け治具を挿入して引き剥がすことで容易に取り外すことができる効果もある。
【0053】
実施の形態3.
図4は、実施の形態3における超音波式汚泥濃度測定装置1の正面図であり、図5は実施の形態3の超音波式汚泥濃度測定装置1のA−A線断面図である。この実施の形態3の超音波式汚泥濃度測定装置1は、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1とは、リペアゲート11を設けていない点と、流路制御弁48,49および空気管39a,39bに代えて、流路制御弁48bおよび空気管39c,39d,39eを設けた点が相違する。すなわち、実施の形態3の超音波式汚泥濃度測定装置1は、本管部2の側壁部の連通口10の外部に図1のようなリペアゲート11が設置されておらず、連通口10の外側縁部に制御弁3の弁箱3aが取り付けられている。また、5つの接続口481,482,483,484,485が配置されている弁箱と磁力によって弁箱内を直動する弁体とからなる直動型電磁弁である流路制御弁48bが設けられている。
【0054】
流路制御弁48bの接続口483は、圧縮空気流入専用の接続口であり空気管39cによってエアタンク39と接続されている。接続口482は、駆動部3bのシリンダの下方の空気流出入口と空気管39dによって接続され、接続口484は、駆動部3bのシリンダの上方の空気流出入口と空気管39eによって接続されている。接続口481,485は未接続の開放状態となっている。流路制御弁48bは、内部の弁体が電磁石等の磁力とバネ等による付勢力によって、弁箱内で2箇所のうちのいずれかに必ず位置している。弁箱と弁体の隙間の空間によって、弁体の位置に係わらず内部に2つの流路が必ず同時に形成される。弁体位置によって、内部の流路が2つのパターンに切り替わる。
【0055】
1つ目のパターンでは、接続口483および接続口482が連通する流路と、接続口484および接続口485が連通する流路が同時に形成される。これにより、エアタンク39の圧縮空気が空気管39c,接続口483,接続口482,空気管39dを経由して駆動部3bのシリンダ下方の空気流出入口に送られる流路が形成され、同時に駆動部3bのシリンダ上方の空気流出入口からピストンの上方の空気が空気管39e,接続口484,接続口485を経由して外部に排出される流路が形成される。
【0056】
2つ目のパターンでは、接続口483および接続口484が連通する流路と、接続口482および接続口481が連通する流路が同時に形成される。これにより、エアタンク39の圧縮空気が空気管39c,接続口483,接続口484,空気管39eを経由して駆動部3bのシリンダ上方の空気流出入口に送られる流路が形成され、同時に駆動部3bのシリンダ下方の空気流出入口からピストンの下方の空気が空気管39d,接続口482,接続口481を経由して外部に排出される流路が形成される。
【0057】
以上の構造の流路制御弁48bを適用したことによって、制御弁3は、実施の形態1の場合と同様の動作をすることができる。その他の構成は、実施の形態1のものと同様であるので、その説明を援用して詳細な説明を省略する。実施の形態3の構成は、実施の形態1および2にも適用でき、また後述する実施の形態4乃至19にも適用できるものである。
【0058】
以上のように、この実施の形態3における超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、制御弁3の修理や交換を行う必要が生じたときに、作業中にその本管部2が設置されている汚泥配管の流れを停止することができる場合においては、リペアゲート11を有していなくても問題が生じないので、リペアゲート11を不要としたことによる製造コストの低減、リペアゲート11の厚み分の平面上の設置面積の低減を図ることができる効果がある。また、流路制御弁48bを用いたことにより、制御器8は1つの流路制御弁を制御するだけで制御弁3の開閉を制御することができるので、流路制御弁の設置個数を削減すること、制御器8と流路制御弁との間の電気配線の本数を削減すること、制御器8内の回路を削減することができ、製造コストの低減を図ることができる効果がある。
【0059】
実施の形態4.
図6は、実施の形態4における超音波式汚泥濃度測定装置1の正面図であり、図7は超音波式汚泥濃度測定装置1のA−A線断面図である。この実施の形態4の超音波式汚泥濃度測定装置1は、測定室4の周壁部材13の上部に気体排出管51を立ち上げ、上端を大気開放してガス溜まり排出用の気体排出口52とし、気体排出管51にガス溜まりの排出を制御する排出制御弁53を設けた点と、保護カバー7を設けない点が、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1と相違する。排出制御弁53は制御器8によって開閉が制御される。その他の構成は実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1の構成と同様であるのでその説明を援用して詳細な説明を省略する。
【0060】
ガス溜まりの排出は、制御器8で排出制御弁53を開閉制御して行われるが、排出制御弁53を開閉するタイミングは、例えば、一定時間間隔に所定時間だけ開弁するようにしてもよいし、ガス溜まりに起因して汚泥が十分に加圧できず超音波送受信器による超音波送受信の不良が検出されたときに開弁するようにしてもよい。ガス溜まりに起因する汚泥の加圧不良による汚泥濃度の計測不良が長時間続かないのであれば、どのようなタイミングでもよいが、制御弁3を閉弁しているときに排出制御弁53を開弁しても、制御弁3の開弁時は、本管部2の汚泥の圧力でガスを排出できるのに比べ、測定室4内にある汚泥の内圧分しかガスの排出に使用できないので、このタイミング以外に排出制御弁53を開弁するように制御器8で制御することが好ましい。
【0061】
また、汚泥加圧時に排出制御弁53を開弁してしまうと、測定室4内のガスだけでなく汚泥まで飛び出してしまうので、このタイミングで排出制御弁53を開弁しないように制御器8で制御する必要がある。さらに、排出制御弁53を開弁する時間も測定室4内の汚泥が気体排出口52から極力飛び出さないように本管部2を設置する環境によって適宜調整する必要がある。また、環境によっては、気体排出管51の立ち上げ高さを高くして気体排出口52の高さを高くすることで、汚泥の飛び出しを防止してもよい。
【0062】
本管部2が接続している汚泥配管がポンプ等によって汚泥を加圧して移送している場合においては、汚泥は常時多少の加圧状態にあるので、一定時間ごとに制御弁3を閉弁して排出制御弁53をごく短時間開弁することで、汚泥の圧力で測定室4内の滞留ガスを全量とまではいかなくても強制的に気体排出口から排出でき、かつ測定室4内の汚泥が気体排出口52から飛び出す恐れがない。排出制御弁53には、電磁弁、電動弁、空気圧弁、油圧弁、水圧弁等が適用可能であり、制御器8によって制御可能な構造であればどのような弁でもよい。また、この実施の形態4においては、気体排出管51の端部を気体排出口52として開放としたが、気体排出管51を延長して、本管部2よりも下流側の汚泥配管に接続して、測定室4内のガスを一部の汚泥とともに汚泥配管に移送してもよく、また、最寄りの汚泥貯留槽や側溝等に移送してもよい。要は、測定室4内のガスをその外に排出できればよい。
【0063】
この実施の形態4の超音波式汚泥濃度測定装置1に示した、測定室4の上部外周部に気体排出管51を取り付け、気体排出管51の上端部にガスを排出する気体排出口52を開口し、気体排出管51の中間部に排出制御弁53を設け、排出制御弁53の開閉制御を制御器8で行う構成は、この実施の形態4のみならず、上記実施の形態1から実施の形態3、後述する実施の形態5から実施の形態19までの超音波式汚泥濃度測定装置にも適用することができる。
【0064】
以上のように、実施の形態4における超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、特に汚泥ガスが発生し易くガス溜まりが生じ易い性状の汚泥が流れる汚泥配管に、この超音波式汚泥濃度測定装置1を設置する場合において、測定室4内の上部に滞留したガス溜まりを排出制御弁53を開弁することにより、気体排出口52から外部に排出可能となるので、ガス溜まりに起因する汚泥加圧時気泡の溶存不良による汚泥濃度が正確に測定されない問題や汚泥濃度が測定できない問題を解決できる効果がある。
【0065】
さらに、測定室4内に滞留するガス溜まりの容量が大きい場合において、圧縮空気を加圧室6に供給したときに、液体に比べて圧縮率の大幅に高い気体であるガス溜まりが収縮して弾性部材24が測定室4側に押し込まれて変形してしまう、いわゆる反転現象が起こることを防止できる効果もある。
【0066】
実施の形態5.
図8は実施の形態5にかかる超音波式汚泥濃度測定装置1の正面図である。A−A線断面図に関しては、実施の形態4の超音波式汚泥濃度測定装置1のA−A線断面図である図7と同一である。この実施の形態5の超音波式汚泥濃度測定装置1は、実施の形態4の超音波式汚泥濃度測定装置1と異なっており、本管部2の管壁上部に気体排出管54を立ち上げ、気体排出管54の上端を大気開放してガス溜まり排出用の気体排出口55とし、気体排出管54にガス溜まりの排出を制御する排出制御弁56を設け、排出制御弁56を電気配線で制御器8に接続した点が相違する。その他の構成は、実施の形態4と同様であるのでその説明を援用して詳細な説明を省略する。また、排出制御弁56の構造や開閉制御については、実施の形態4の排出制御弁53の開閉制御と同様であり、気体排出管54については、実施の形態4の気体排出管51と同様である。
【0067】
実施の形態5の超音波式汚泥濃度測定装置1は、本管部2の管壁上部に気体排出管54を取り付ける構成であるが、この構成は実施の形態1乃至3あるいは実施の形態6乃至19のいずれかの超音波式汚泥濃度測定装置1に適用しても良い。また、実施の形態4の気体排出管51等とこの実施の形態5の気体排出管53等を併設してもよい。
【0068】
以上のように、実施の形態5における超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、実施の形態4に示した効果に加え、以下の効果がある。すなわち、本管部2の内径は、この超音波流汚泥濃度測定装置1を設置する汚泥配管を流れる汚泥流量によって選定されるものであるのに対し、測定室4の内径は、経済性の観点から同じ内径とするのが好ましい。この理由としては、本管部2の内径に応じて測定室4の内径を変えてしまうと、2つの超音波送受信子5a間の距離が変わるので、その内径毎の変換器30の調整が必要となってしまうことや、リペアゲート11,制御弁3,周壁部材13,弾性部材24,外覆部材25等を測定室4の内径毎に用意しなければならなくなり、製造コストの大幅増に繋がってしまうこと等があげられる。
【0069】
ここで、測定室4の内径が常に同じ内径であり、本管部2の内径の方が大きい場合、測定室4の管軸と本管部2の管軸を同一高さとなるように構成されるので、本管部2の内壁上端は、測定室4の内壁上端よりも高い位置になる。このため、測定室4の内壁上端から気体排出管51を経て、気体排出口52からガス溜まりを排出しても、本管部2内に滞留するガス溜まりの内、測定室4の内壁上端の高さ位置から本管部2の内壁上端までに滞留している部分については排出できずに残ってしまう。しかし、この実施の形態5における超音波式汚泥濃度測定装置1では、本管部2の上部に設けられた気体排出口55からガス溜まりを排出するので、本管部2に滞留したガス溜まりも確実に外部に排出できる。
【0070】
実施の形態6.
図9は実施の形態6にかかる超音波式汚泥濃度測定装置1の正面図である。A−A線断面図に関しては、実施の形態4の超音波式汚泥濃度測定装置のA−A線断面図である図7と同一である。この実施の形態6の超音波式汚泥濃度測定装置1では、測定室4上部の気体排出管51に圧力測定器57を設けた点において、実施の形態4の超音波式汚泥濃度測定装置1とは相違している。すなわち、実施の形態6の超音波式汚泥濃度測定装置1では、気体排出管51に圧力測定器57を設け、この圧力測定器57の検出値を制御器8に送信する構成とされている。
【0071】
この実施の形態6におけるガス溜まり排出のための排出制御弁53の制御については、実施の形態4に示した制御とほぼ同様であるが、排出制御弁53を開弁する前に圧力測定器57で測定室4内の圧力を測定し、負圧状態である限り排出制御弁53を開弁しないように制御することが新たに付加されている。その他の構成は実施の形態4の超音波式汚泥濃度測定装置1の構成と同様であるので、その説明を用いて詳細な説明を省略する。この実施の形態6の構成は実施の形態1乃至3,実施の形態5あるいは実施の形態7乃至19のいずれかの超音波式汚泥濃度測定装置1に適用しても良い。
【0072】
以上のように、この実施の形態6における超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、実施の形態4に示した効果に加え、排出制御弁53を開弁して測定室4内のガスを排出する制御を実行する前に、圧力測定器57で測定室4内の圧力を測定し、負圧状態のときは排出制御弁53を開弁しないように制御するようにしたことにより、何等かの原因によって汚泥配管が負圧状態になったことに起因して、測定室4内も負圧になっているときに排出制御弁53を開弁してしまい、ガスを排出できないばかりか、逆に外気を測定室4内に吸い込んでしまう現象が発生することを防止できる効果がある。この実施の形態6における超音波式汚泥濃度測定装置1は、設置する汚泥配管内が負圧状態になることがある場合、例えば、移送ポンプの吸引側の汚泥配管に設置する場合等に、特に効果がある。
【0073】
実施の形態7.
図10は、実施の形態7の超音波式汚泥濃度測定装置1の正面図である。A−A線断面図に関しては、実施の形態4の超音波式汚泥濃度測定装置のA−A線断面図である図7と同一である。図10の超音波式汚泥濃度測定装置1では、本管部2から立ち上げられた気体排出管54に圧力測定器58を設けた点が、実施の形態5(図8参照)の超音波式汚泥濃度測定装置1と相違する。その他の構成は実施の形態5の超音波式汚泥濃度測定装置1の構成と同様であるので、その説明を用いて詳細な説明を省略する。
【0074】
この実施の形態7におけるガス溜まり排出のための排出制御弁56の制御については、実施の形態5に示した制御とほぼ同様であるが、実施の形態6と同様、排出制御弁56を開弁する前に圧力測定器58で本管部2内の圧力を測定し、負圧状態である限り排出制御弁56を開弁しないように制御することが新たに付加されている。この実施の形態7の構成は実施の形態1乃至4、実施の形態6あるいは実施の形態8乃至19のいずれかの超音波式汚泥濃度測定装置1に適用しても良い。
【0075】
以上のように、実施の形態7における超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、実施の形態5に示した効果に加え、排出制御弁56を開弁して本管部2内のガスを排出する制御を実行する前に、圧力測定器58で本管部2内の圧力を測定し、負圧状態のときは排出制御弁56を開弁しないように制御するようにしたことにより、何等かの原因によって汚泥配管が負圧状態になったことに起因して、本管部2内も負圧になっているときに排出制御弁56を開弁してしまい、ガスを排出できないばかりか、逆に外気を本管部2内に吸い込んでしまう現象が発生することを防止できる効果がある。この実施の形態7における超音波式汚泥濃度測定装置1は、設置する汚泥配管内が負圧状態になることがある場合、例えば、移送ポンプの吸引側の汚泥配管に設置する場合等に、特に効果がある。
【0076】
実施の形態8.
図11は、実施の形態8における超音波式汚泥濃度測定装置1の正面図であり、図12はそのA−A線断面図である。この実施の形態8の超音波式汚泥濃度測定装置1は、エアタンク39から加圧室6へ圧縮空気を供給する空気供給管37に流路の開閉を行う空気制御弁59を新たに設けた点が、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1と相違する。実施の形態8の超音波式汚泥濃度測定装置1では、流路切換弁40と加圧室6との間の空気供給管37に空気制御弁59を設け、制御器8が、流路切換弁40と空気制御弁59の開閉を制御する構成とされている。
【0077】
つまり、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1では、エアタンク39と加圧室6との間の空気供給管37には、流路切換弁40のみ配設されているが、流路切換弁40は、エアタンク39からの圧縮空気を加圧室6へ供給する流路と、加圧室6内の空気を大気開放にする流路のいずれかしか構成できない。このため、測定室4の汚泥を加圧する行程時以外は、加圧室6内を大気に開放している。しかし、加圧室6が大気に開放されているときに測定室4内が大気圧以下である負圧状態となると、加圧室6側から大気圧との気圧差によって弾性部材24が測定室4側に押し込まれてしまい、弾性部材24の反転現象が生じてしまう。
【0078】
そこで、この実施の形態8の超音波式汚泥濃度測定装置1の制御器8は、測定室4の汚泥の加圧行程時は、エアタンク39から圧縮空気を加圧室6へ供給する流路に流路切換弁40を切り換え、空気制御弁59を開弁状態にする。そして、汚泥の加圧行程終了後は、加圧室6を大気開放にする流路に流路切換弁40を切り換え、空気制御弁59を開弁状態のままとして加圧室6内の圧縮空気を外部に排出させ、加圧室6内が大気圧に戻った後は、流路切換弁40の流路はそのままとして空気制御弁59を閉弁状態とし、加圧室6内を概ね大気圧で密閉状態とするように、制御する。
【0079】
実施の形態8の構成は、実施の形態2乃至7および実施の形態8乃至19の超音波式汚泥濃度測定装置1に適用することができる。また、この実施の形態8の超音波式汚泥濃度測定装置1では、汚泥加圧行程時以外は空気制御弁59が閉弁されており、加圧室6が圧縮性流体ではあるが大気圧の空気で密閉状態となる。測定室4内が小さな正圧状態となった程度では、弾性部材24が膨張しすぎて外覆部材内壁等に擦れる等の状況にはなりくい。移送されている汚泥が大きな正圧状態にならないような汚泥配管に超音波式汚泥濃度測定装置1を配設する場合においては、図7のA−A線断面図に示したように、弾性部材24を保護する保護カバー7を不要としてもよい。
【0080】
以上のように、実施の形態8の超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、測定室4内が負圧状態となった場合においても、加圧室6内は密閉状態で空気の流入・流出のない状態となるので、弾性部材24が大気圧との気圧差によって測定室4側に押し込まれて、反転現象が生じることが防止される。
【0081】
また、前述の通り、弾性部材24が破損してしまい、加圧室6に汚泥が流入してきた場合において、すぐに汚泥の漏洩を発見して制御弁3を閉弁し、さらにドレン弁42を開いて測定室4内の汚泥を系外に排出しないと、汚泥は空気供給管37に流入してきてしまう。汚泥加圧行程時以外では、流路切換弁40は加圧室6が大気開放になる流路になっているので、汚泥が流路切換弁40にまで流入してきて、流路切換弁40の配管未接続の開口から汚泥が系外に流出してしまう。加えて、空気供給管37は管径が小さいので、汚泥が流入してしまうと管内の洗浄作業は労力を要し、復旧に時間が掛かってしまうという問題があった。しかし、実施の形態8の超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、空気供給管37に空気制御弁59を設けたことによって、漏洩検知器34が汚泥の漏洩を検知したときに空気制御弁59を閉弁すると、加圧室6および空気制御弁59の手前までの管内は空気で密閉状態にできるので、汚泥の空気供給管37への流入を防止できるという効果がある。
【0082】
実施の形態9.
図13は、実施の形態9における超音波式汚泥濃度測定装置1の正面図であり、図14はそのA−A線断面図である。また、図15は、外覆部材25部分のA−A線断面図であり、図16は、同じく外覆部材25部分のB−B線方向から見た側面図である。この実施の形態9から後述する実施の形態11までの超音波式汚泥濃度測定装置1は、外覆部材25が分割可能とされた実施の形態を示す。実施の形態9の超音波式汚泥濃度測定装置1は、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1における外覆部材25が加圧部66と電極収納部63とで分割して形成され、加圧部66と電極収納部63が、ハウジング継ぎ手60で接続されている点が相違する。
【0083】
実施の形態9の電極収納部63は、ハウジング継ぎ手60の上下2つのハウジング60a,60bを接合している締結用のボルト65aおよびナット65bを緩めることで、加圧部66から取り外し可能とされている。電極収納部63は、加圧部66との接続軸を中心に回動可能である。半球状の加圧部66の電極収納部63側の部位には、フランジ部68aを備えた加圧室側接続口68が形成されている。
【0084】
加圧室側接続口68の内部には筒状の連通口67が形成されている。電極収納部63の加圧部66側の部位にはフランジ部69aを備えた収納部側接続口69が形成されている。収納部側接続口69の内部には連通口70が形成されている。加圧室側接続口68と収納部側接続口69のフランジ部68a,69aは同形同大の円形とされ、加圧室側接続口68の端面に外側となる嵌合筒部71が突出して形成され、収納部側接続口69の端面に内側となる嵌合筒部72が形成されている。嵌合筒部71の内側に嵌合筒部72が嵌合し、嵌合筒部71の外周にOリング等からなるシール材73が嵌め込まれており、シール材73はフランジ部68a,68bで挟み込まれており、ハウジング60a,60bでフランジ部68aと68bとを抑えつけることで、水密状態を保ちつつ、電極収納部63を接続軸を中心に回動自在にしている。
【0085】
ハウジング継ぎ手60の各々のハウジング60a,60bは、半円形状部の両端にフランジ部64を形成した形状を有するものであり、一対のハウジング60a,60bで加圧室側接続口68と収納部側接続口69のフランジ部68a,69aの周りを覆うように形成されている。一対のハウジング60a,60bのフランジ部64同士は互いに重ね合わされて、ボルト65aおよびナット65bで締結される。
【0086】
空気流入口63aは、電極収納部63に開口630を設け、開口630の外側の外周にその外側に雄ネジが設けられた筒部631が形成され、筒部631の内側に筒状のシール材63bを挿入し、電極収納部63の開口630と連通する開口630cを備えた内側に雌ねじが設けられた蓋63cを筒部631の雄ねじと螺合させ、蓋63cの内側に設けられた凸部631cでシール材63bを電極収納部63側に押圧した構成となっている。そして、空気供給管37を蓋63cの開口630cから挿入して、シール材63bの筒内に押し込むことで、圧縮空気を供給する空気供給管37の端部開口と電極収納部63の開口630とを気密状態に接続することができる。なお、空気供給管37をシール材63bの筒内に押し込む際にきつ過ぎる場合には、蓋63cを緩める方向に回転させてシール材63bへの押圧を緩めることで空気供給管37を押し込み易くなる。逆に緩すぎて気密状態が保てない場合には、蓋63cを締め付ける方向に回転させてシール材63bへの押圧を強めることで、空気供給管37と電極収納部63との間の気密状態を確保することができる。
【0087】
なお、この実施の形態9における空気流入口63aの構成については、他の全ての実施の形態における空気流入口32aでも同様の構成を適用している。しかし、空気流入口32a,63aについては、この構成に限定されず、空気供給管37と電極収納部32,63の開口630とが気密状態で接続可能であれば、どのような構成であってもよい。また、この実施の形態9で使用したハウジング継ぎ手60に代えて、一対のハウジングの一端側のフランジ部64同士を蝶番構造とし、他端側のフランジ部64同士のみ、締結ボルト65a,ナット65bで締結するようにしたハウジング継ぎ手を適用してもよい。その他の構成は、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1と同様な構成とされているので、実施の形態1の説明を用いて詳細な説明を省略する。
【0088】
実施の形態9の超音波式汚泥濃度測定装置1のように、外覆部材25を加圧部66と電極収納部63で分割構成とし、両者をハウジング継ぎ手60で結合させる構成は、実施の形態1乃至実施の形態8あるいは実施の形態12乃至実施の形態19の超音波式汚泥濃度測定装置1にも適用することができる。また、移送されている汚泥が大きな正圧状態にならないような汚泥配管に超音波式汚泥濃度測定装置1を配設する場合においては、図7のA−A線断面図に示したように、弾性部材24を保護する保護カバー7を不要としてもよい。
【0089】
以上のように、実施の形態9における超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、外覆部材25が加圧部66と電極収納部63とに分割され、両者がハウジング継ぎ手60によって接続される構成とされているので、測定室4内の清掃や弾性部材24の交換等のメンテナンスを行うために、通しボルト27をスパナ等の工具で緩めて外覆部材25を測定室4の周壁部材13から取り外す作業を行う際、突出している電極収納部63によって作業がしにくいときには、電極収納部63を加圧部66から取り外したり、あるいは電極収納部63を図13において接続軸を中心に右周りあるいは左周りに回転させたりすることで、作業を行うことが容易になり、作業効率を向上できる効果がある。
【0090】
また、電極収納部63を加圧部66との接続軸を中心に回動自在な構成としたことにより、超音波式汚泥濃度測定装置1を設置する周りの環境に応じて、現場で簡単に電極収納部63が突出する方向を変えることができるという効果もある。
【0091】
実施の形態10.
この実施の形態10の超音波式汚泥濃度測定装置1においても、実施の形態9の場合と同様に外覆部材25を分割形成しており、正面図は、図13の正面図と概ね同じ構成であり、A−A線断面図も、図14のA−A線断面図と概ね同じ構成となっている。ただし、図17および図18に示す通り、外覆部材25の構成については、実施の形態9の外覆部材25とは大きく異なっている。図17、図18は実施の形態10の超音波式汚泥濃度測定装置1における外覆部材25のA−A線断面図及びB−B線方向から見た側面図である。この実施の形態10では、外覆部材25を加圧部66と電極収納部63に分割形成している点や加圧部66および電極収納部63の構造に関する点については実施の形態9と同様であるが、その両者をクリップ74で挟み込んで接続している点が実施の形態9と相違する。
【0092】
図19にクリップ74の斜視図を示す。クリップ74は、全体が金属で形成されており、断面コの字に折り曲げ加工された突出部74aの前方側のコの字断面の両端に半円形の半割リング74b,74cをそれぞれ配置し、突出部74aの前方側に半割リング74b,74cで1組のリング形状を形成し、同様に突出部74aの後方側にも2つの半割リング74b,74cでリング形状を形成し、突出部の前方側と後方側のコの字断面の左側に配置された半割リング74bの上端同士を連結部材74dで連結し、同様に半割リング74cの上端同士を連結部材74eで連結した構成となっており、連結部材74dと連結部材74eとは上方に向かって開いた形状に加工され、半割リング74b同士の間に開口部77が形成され、同様に半割リング74c同士の間にも開口部77が形成された構成となっている。以上の説明では、クリップ74の構造を説明する便宜上、突出部74a,半割リング74b,74c,連結部材74d,74eを別々の部材であるかのように表現した。もちろん、別々の部材を溶接等で接続してクリップ74を構成してもよいが、1枚の金属板をくり抜き加工、折り曲げ加工および曲げ加工をすることで一体に形成したほうが耐久性も高く、製造コストも安価で済むので好ましい。
【0093】
また、クリップ74の材質としては、素材自体にある程度以上の弾性を有し、かつ耐食性の高いものが望ましい。耐食性の面では、チタン等の非常に高い耐食性を有する素材もあるが非常に高価である。コスト面も合わせて考慮するとステンレスが最適である。また、弾性を長期間確保できるのであれば、容易に一体成型ができるプラスチックでも適用可能である。このようなクリップ74の構成としたことにより、連結部材74d,74eを離す方向に押し広げることができ、そこから、挟む目的物を挿入することができる。また、クリップの下端がコの字断面の突出部74aで形成されていること、クリップ74自体が弾性を有する金属で形成されていることによって、一度、連結部材74d,74eを離す方向に押し広げても、連結部材74d,74e同士が閉じる方向に付勢力が働くようになっている。
【0094】
実施の形態10では、実施の形態9に示したハウジング継ぎ手60の代わりにクリップ74を用いて電極収納部63と加圧部66とを接続するが、接続作業は以下の手順で行われる。
(1)実施の形態9の場合と同様に、加圧室側接続口68と収納部側接続口69とを接続する。
(2)このとき、フランジ部68a、シール材73、フランジ部69aによって三層のフランジが形成される。
(3)クリップ74の連結部材74d,74e同士を押し広げてクリップ74のリング内に挿入し、前記の三層のフランジを両側の開口部77に嵌め込む。
(4)連結部材74d,74eを押し広げるのを止めると、クリップ74自体の付勢力によって、連結部材74d,74eが再度接近し、半割リング74b,74cが三層のフランジを挟み込み、電極収納部63と加圧部66が気密状態で接続される。
【0095】
これによって、加圧部66と電極収納部63とが接続され、結合状態を維持する。その他の構成は、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1と同様な構成であるのでその説明を援用し、詳細な説明を省略する。加圧部66と電極収納部63とが接続された後は、リング部分74aの両端部74d,74e同士を更に図示しないボルトナットで締結して、さらに結合を強化しても良い。
【0096】
この実施の形態10における超音波式汚泥濃度測定装置1における、外覆部材25を加圧部66と電極収納部63で分割構成とし、両者をクリップ74で結合させる構成は、実施の形態1乃至実施の形態8あるいは実施の形態12乃至実施の形態19の超音波式汚泥濃度測定装置1にも適用することができる。また、移送されている汚泥が大きな正圧状態にならないような汚泥配管に超音波式汚泥濃度測定装置1を配設する場合においては、図7のA−A線断面図に示したように、弾性部材24を保護する保護カバー7を不要としてもよい。
【0097】
以上のように、この実施の形態10の超音波式汚泥濃度測定装置によれば、加圧部66と電極収納部63とを分離するときは、クリップ74の両端部74d,74eを広げて引っ張ることでクリップ74を取り外すことができ、電極収納部63は、加圧部66から簡単に取り外すことが可能である。また、その他の実施の形態9に示した様々な効果も同様に得ることができる。
【0098】
実施の形態11.
この実施の形態11の超音波式汚泥濃度測定装置1においても、実施の形態9の場合と同様に外覆部材を分割形成しており、正面図は、図13の正面図と概ね同じ構成であり、A−A線断面図も、図14のA−A線断面図と概ね同じ構成となっている。ただし、図20および図21に示す通り、外覆部材25の構成については、実施の形態9の外覆部材とは大きく異なっている。図20および図21は実施の形態11の超音波式汚泥濃度測定装置1における外覆部材25のA−A線断面図及びB−B線方向から見た側面図である。この実施の形態11では、実施の形態9,10のものと同様に、外覆部材25を加圧部78と電極収納部79によって分割形成した構成とされているが、その両者をコネクタ80で固定している点において、実施の形態9,10のものと相違する。
【0099】
この実施の形態11では、電極収納部79の接続口87は加圧部78側の接続口85の外側に装着される。コネクタ80は電極収納部79側の筒状の接続口87に設けられている。加圧部78の接続口85はコネクタ80が挿入される側であり、加圧部78の接続口85の外周には係止ボール82を保持する係合溝83が設けられている。係止ボール82は接続口85と接続口87との境界部分に挿入されて両者の接続状態をロックするためのボールである。係止ボール82は、電極収納部79の接続口87の周りに数カ所(例えば4カ所)開口されたボール保持孔82aに配設されている。ボール保持孔82aは接続口87の肉厚壁を貫通しており、底部側の口径が係止ボール82の直径よりも小さくスリーブ81側の口径が大きいすり鉢状の形状を有する貫通孔とされている。そして、スリーブ81の内壁面であって係合溝83の対向する部位に形成された突起部81aが、係止ボール82を係合溝83の底部に押し込むことによって、接続口85,87同士の接続状態のロック(固定)がなされる。スリーブ81の突起部81aは、スリーブ81がバネ84に押されて係止リング86に接触しているときに、係合溝83の対向する位置に位置する。接続口85,87は、係止ボール82がボール保持孔82aと係止溝83の中に存在することによって、互いに滑り抜けることが防止されてロック状態になる。接続口85,87が接続状態にあるとき、接続口85,87同士の軸方向への変位はロックされているが、係合ボール82がリング状の係合溝83の中を移動可能とされているので、接続口85,87同士は接続軸周り方向には相対的に回動可能に接続されている。
【0100】
電極収納部79側の接続口87の先端部外周には係止リング86が取り付けられている。係止リング86は、円形リングの一部を切り離した金属板からなり、後述のバネ84の付勢力でスリーブ81が接続口87から外れないように、スリーブ81の突起部81aを押さえている。接続口87の内側には段部が形成され、この段部にOリングからなるシール材88が配設されている。シール材88は、接続口85,87同士が接続状態にあるときには、接続口85の端部は、シール材88に密着しており、これにより、接続口85と接続口87とは気密状態となり、かつ接続口85の連通口89と接続口87の連通口90とは連通状態となる。広がる方向に付勢力を有するコイルスプリングからなるバネ84の一端部は接続口87の角部91上に支持されており、バネ84の他端部はコネクタ80の突起部81aの側面に当たって接触している。
【0101】
スリーブ81はバネ84によって加圧部78側に弾性付勢されている。バネ84を圧縮させるように、スリーブ81を電極収納部79側に移動させると、突起部81aが係止ボール82を押すことをやめて、係止ボール82が係合溝83から離脱可能となり、接続口85,87を分離できる。すなわち、電極収納部79を加圧部78から取り外す際は、スリーブ81をバネ84の付勢力に反して電極収納部79側に引っ張ることにより、突起部81aが係止ボール82から離れ、係止ボール82がフリーになって接続口85,87の引き抜き防止機能が解消されるので、電極収納部79を引っ張ると接続口85から簡単に取り外すことができる。実施の形態11では、コネクタ80により加圧部78の接続口85と電極収納部79の接続口87とを接続する構成とされ、実施の形態9の場合と同様に、電極収納部79は、加圧部78と接続する軸を中心に回動可能である。その他の構成は実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1と同様な構成であるのでその説明を援用して詳細な説明を省略する。
【0102】
この実施の形態11の超音波式汚泥濃度測定装置1に示した、外覆部材25を加圧部78と電極収納部79で分割構成とし、両者をコネクタ80で結合させる構成は、実施の形態1乃至実施の形態8あるいは実施の形態12乃至実施の形態19の超音波式汚泥濃度測定装置1にも組み合わせて適用することができる。また、移送されている汚泥が大きな正圧状態にならないような汚泥配管に超音波式汚泥濃度測定装置1を配設する場合においては、図7のA−A線断面図に示したように、弾性部材24を保護する保護カバー7を不要としてもよい。
【0103】
以上のように、実施の形態11の超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、実施の形態9に記載した効果と同様の効果があると共に、コネクタ80は、加圧部78から電極収納部79を取り外す際においても、電極収納部79から外れることがないので、部品を紛失する恐れがない効果もある。
【0104】
実施の形態12.
図22は実施の形態12の超音波式汚泥濃度測定装置1の正面図である。A−A線断面図に関しては、エアドライヤ138を備えている点以外は実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1のA−A線断面図である図2と概ね同一であるのでこれを援用する。この実施の形態12の超音波式汚泥濃度測定装置1は、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1と比較して、空気圧縮機38とエアタンク39との間にエアドライヤ138が配設されているところに特徴がある。その他の構成は実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置と同様であるので、エアドライヤ138が設けられている点について説明し、その他の構成の説明は実施の形態8のものを援用する。
【0105】
一般に、超音波式汚泥濃度測定装置1の設置されるところの周辺環境は、水槽や開放水路等があり、比較的湿度の高い(空気中の水分量の多い)雰囲気である。空気圧縮機38は、周りの空気を取り込んで圧縮するので、必然的に水分量の多い圧縮空気となる。そして、汚泥加圧行程時、この蒸気量の多い圧縮空気が加圧室6に送られる。超音波式汚泥濃度測定装置1は、汚泥が流れているので、特に外気温の高い夏季においては、周囲の温度よりも温度が低く、しかも加圧室6内の空気は水分量が多いため、飽和蒸気圧に達してしまい、加圧室内部に結露が生じてしまう。そして、加圧室6には漏洩検知器34が設置されているが、加圧室6内に結露が集まった結露水が溜まると、この結露水が漏洩検知器34と外覆部材25とを電気的に導通させてしまい、制御盤内の検知回路内に電流がながれ、弾性部材24が破損して汚泥が漏洩したと誤って検知してしまうことがあり、問題となっていた。
【0106】
そこで、この実施の形態12の超音波式汚泥濃度測定装置1では、圧縮空気を乾燥させるエアドライヤ138を設けている。このエアドライヤ138は、例えば電気ヒータで空気を暖めるものや吸湿剤で乾燥させるもの等がある。実施の形態12の超音波式汚泥濃度測定装置1のように空気圧縮機38とエアタンク39の間の配管にエアドライヤ138を設ける構成は、実施の形態12のみならず、実施の形態1から実施の形態11までの超音波式汚泥濃度測定装置1、あるいは実施の形態13から実施の形態19の超音波式汚泥濃度測定装置1にも適用できる。また、移送されている汚泥が大きな正圧状態にならないような汚泥配管に超音波式汚泥濃度測定装置1を配設する場合においては、図7のA−A線断面図に示したように、弾性部材24を保護する保護カバー7を不要としてもよい。
【0107】
以上のように、実施の形態12の超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、実施の形態1の効果に加えて、加圧室6内の空気中の水分量も少なくなり、結露水が溜まることもなくなるので、漏洩検知器35が誤作動することを防止できる。
【0108】
実施の形態13.
図23は実施の形態13の超音波式汚泥濃度測定装置1の正面図である。A−A線断面図に関しては、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1のA−A線断面図である図2と概ね同一であるのでこれを援用する。この実施の形態13の超音波式汚泥濃度測定装置1は、測定室4に給水管93を接続し、その給水管93に給水制御弁94を、ドレン管43にドレン制御弁95をそれぞれ配設し、給水制御弁94およびドレン制御弁95を制御器8で開閉制御することにより、測定室4の内壁や超音波送受信子5aの送受信面の洗浄を定期的に自動で行えるようにした点が、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1と相違する。
【0109】
給水管93は、周壁部材13に設けられた配管接続口に接続されており、測定室4内に洗浄水を供給している。給水管93には、制御器8で開閉制御される給水制御弁94のほかに、給水制御弁94のメンテナンス時等に使用する手動で開閉する開閉弁92が設置されている。開閉弁92とドレン弁42は、常時は開弁状態となっており、給水制御弁94やドレン制御弁95のメンテナンス時などに閉弁される。なお、ドレン排水口41が測定室4の下方に設けられているので、給水管93は、測定室4の上方、周壁部材13の上方側に配管接続口を設けて接続することが望ましい。
【0110】
この実施の形態13の測定室4の洗浄行程は、単独行程(制御弁3を閉弁後、給水制御弁94およびドレン制御弁95を開弁して測定室4内を洗浄。洗浄完了後、給水制御弁94およびドレン制御弁95を閉弁、制御弁3を開弁。)で行ってもよいが、汚泥濃度測定の行程と組み合わせて行う方がより効率的である。組み合わせた場合の行程を以下に示す。その他の超音波式汚泥濃度測定装置1の構成や超音波送受信器5による汚泥濃度測定方法については実施の形態1の説明を用い、詳細な説明を省略する。
(1)制御弁3を開いて本管部2から汚泥を測定室4に導入する。
(2)制御弁3を閉じて測定室4を本管部2から遮断し、測定室4内で汚泥を密閉状態にする。
(3)流路切換弁40をエアタンク39と加圧室6とを結ぶ流路に切り換える。このとき、圧縮空気が加圧室6内に流入して弾性部材24を測定室4の内部側に押し、測定室4内の汚泥を加圧する。
(4)測定室4内の汚泥中の気泡が消滅するだけの時間経過後、超音波送受信器5で汚泥濃度を測定する。
(5)流路切換弁40を加圧室6が大気開放となる流路に切り換え、加圧室6内の圧縮空気を系外に排出する。
(6)ドレン制御弁95を開弁して測定室4内の汚泥を自然流下で系外に排出する。
(7)給水制御弁94を開弁して、洗浄水を測定室4内に供給して測定室4内を水洗浄する(このときもドレン制御弁95は開弁したままとし、洗浄水を系外に排水する。)。
(8)ドレン制御弁95を閉弁し、測定室4内を洗浄水で満水にする。
(9)測定室4内が洗浄水で満水になった後、給水制御弁94を閉弁。次回の汚泥濃度測定行程を開始するまで、測定室4内を洗浄水で満水にしておく。
【0111】
なお、上記の行程では、汚泥濃度測定毎に洗浄工程を行うようにしたが、所定回数の汚泥濃度測定行程の後に、洗浄工程を実施するようにしてもよい。また、汚泥の粘性が高い等、汚泥の性状によっては、汚泥濃度測定行程の際に制御弁3を開弁しても本管部2から汚泥がスムーズに流入しない場合がある。このような場合には、ドレン制御弁95を所定時間開弁して、測定室4内の汚泥あるいは洗浄水を排水するようにすると、汚泥を強制的に測定室4に流入させることができる。
【0112】
上記の実施の形態13の超音波式汚泥濃度測定装置1の構成及び洗浄方法は、実施の形態2〜12あるいは実施の形態15の超音波式汚泥濃度測定装置1にも適用できる。また、移送されている汚泥が大きな正圧状態にならないような汚泥配管に超音波式汚泥濃度測定装置1を配設する場合においては、図7のA−A線断面図に示したように、弾性部材24を保護する保護カバー7を不要としてもよい。
【0113】
以上のように、この実施の形態13の超音波式汚泥濃度測定装置によれば、実施の形態1の効果を得ることができることに加えて、時間の経過とともに測定室4内や超音波送受信子5aの送受信面に付着してしまう汚泥について、それを放置すると固着してしまい、容易に除去できなくなってしまうことを防止できる効果がある。
【0114】
実施の形態14.
図24は実施の形態14の超音波式汚泥濃度測定装置1の正面図である。この実施の形態14の超音波式汚泥濃度測定装置1は、ドレン管43に圧力測定器96を配設し、ドレン管43が接続される測定室4内の圧力を測定するように構成した点が、実施の形態13の超音波式汚泥濃度測定装置1と相違する。
【0115】
すなわち、実施の形態13では、汚泥を強制的に測定室4に流入させる方法として、制御弁3を開弁した状態でドレン制御弁95を開弁することを提示したが、ドレン管43の測定室4に接続している端部とは反対側の端部は、開放水路(側溝等)や水槽に、大気開放状態で開口となっている場合が多い。そして、超音波式汚泥濃度測定装置1を設置した汚泥配管の管内が負圧状態となっているときに、ドレン制御弁95を開弁すると、ドレン管43の開口から空気を測定室4に吸い込んでしまい、汚泥加圧行程に支障が生じてしまうことがある。
【0116】
そこで、実施の形態14の超音波式汚泥濃度測定装置1はドレン制御弁95の設置位置から測定室4側のドレン管43に圧力測定器96を設置して測定室4内の圧力を測定し、この圧力測定器96の測定値を制御器8に送るように構成したものである。そして、ドレン制御弁95を開弁して測定室4内の汚泥を排出しようとするときには、圧力測定器96で測定室4内の圧力を測定し、圧力が正圧であるときは、ドレン制御弁95を開けるが、負圧であるときには、ドレン制御弁95を開けないように、制御器8を制御する構成とした。その他の構成は実施の形態13と同様であるのでその説明を用い、詳細な説明を省略する。なお、圧力測定器96は、測定室4内の圧力が測定可能であれば、設置場所は限定されない。例えば、周壁部材13に新たに接続口を設けて圧力測定器96を設置してもよいし、給水制御弁より測定室4側に給水管93に設置してもよく、さらには、閉塞蓋44や気体排出口45に設置してもよい。上記の実施の形態14の超音波式汚泥濃度測定装置1の構成及び洗浄方法は、実施の形態2〜12あるいは実施の形態15の超音波式汚泥濃度測定装置1にも適用できる。
【0117】
以上のように、この実施の形態14の超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、実施の形態13に示した効果のほかに、ドレン管43に圧力測定器96を配設したことにより、測定室4内が負圧状態のときには、汚泥を強制的に流入させる行程を行わないように制御器8で制御することができ、汚泥加圧行程に支障が生じることを防止することができる効果がある。
【0118】
実施の形態15.
図25は実施の形態15の超音波式汚泥濃度測定装置1のA−A線断面図である。正面図に関しては、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1の正面図である図1と概ね同一である。この実施の形態15の超音波式汚泥濃度測定装置1は、測定室4の内壁や超音波送受信子5aの送受信面を超音波によって洗浄する超音波発振器97を測定室4に設けている点が、実施の形態4の超音波式汚泥濃度測定装置1と相違する。一般に、超音波洗浄に使用される超音波の周波数は低周波である。一方、本願発明もそうであるが、一般に超音波による汚泥濃度測定に使用する超音波の周波数は前記の超音波洗浄の超音波よりも高い。よって、超音波送受信子5aから発信される超音波では、測定室4内に付着する汚泥を除去することはできない。そこで、この実施の形態15の超音波式汚泥濃度測定装置1では、超音波送受信子5aから送信される超音波の周波数よりも低く、超音波洗浄に適した周波数の超音波を照射可能な超音波発振器97が周壁部材13を貫通して設置されている。超音波発振器97は制御器8の制御によって洗浄用の低周波の超音波を発振可能とされている。その他の構成は実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1の構成と同様であるのでその説明を用い詳細な説明を省略する。
【0119】
なお、超音波送受信子5aに、汚泥濃度測定に適した周波数の超音波と、超音波洗浄に適した周波数の超音波の両方を発振することが可能なものを適用した場合には、超音波発振器97を設置せずに、超音波送受信子5aの発振周波数を切り換えることで兼用してもよい。この実施の形態15の超音波式汚泥濃度測定装置1における、測定室4内部に洗浄用の超音波発振器97を設置する構成は、実施の形態2から実施の形態19までの超音波式汚泥濃度測定装置1に適用できる。また、移送されている汚泥が大きな正圧状態にならないような汚泥配管に超音波式汚泥濃度測定装置1を配設する場合においては、図7のA−A線断面図に示したように、弾性部材24を保護する保護カバー7を不要としてもよい。
【0120】
以上のように、この実施の形態15の超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、実施の形態1の効果を得ることができることに加えて、超音波発振器97で測定室4内に超音波を所定時間毎に発信することにより、測定室4内や超音波送受信器97の送受信面への汚泥の付着を防止でき、洗浄工程の時間間隔を長くすることができる、あるいは、定期メンテナンス時以外は、洗浄工程を実施しなくてもよくなり、洗浄水量を大幅に低減することができ、メンテナンスに係るランニングコストが低減できる効果がある。
【0121】
実施の形態16.
図26は実施の形態16の超音波式汚泥濃度測定装置1の正面図である。A−A線断面図に関しては、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1のA−A線断面図である図2と概ね同一であるのでこれを援用する。この実施の形態16の超音波式汚泥濃度測定装置1は、実施の形態13のそれとは、ドレン管43の測定室4に接続している端部とは反対側の端部を超音波式汚泥濃度測定装置1の設置箇所よりも下流側の汚泥配管98に接続し、移送手段99でドレン管43に流入する汚泥や洗浄水を強制的に下流の汚泥配管98に圧送するようにした点が、実施の形態13の超音波式汚泥濃度測定装置1とは相違する。その他の構成は実施の形態13の超音波式汚泥濃度測定装置1の構成と同様であるのでその説明を用い詳細な説明を省略する。
【0122】
すなわち、実施の形態16の超音波式汚泥濃度測定装置1の移送手段99としては、ラインポンプ(渦巻きポンプ)、チューブポンプ、ダイヤフラムポンプ等の圧送ポンプが適用可能であるが、図25に示す例では、吸引力の強いチューブポンプ100を用いている。チューブポンプ100は、弾性があり、口径の小さな樹脂製の円筒形状のチューブ101と、複数本のローラからなって取付中心軸を中心に回転可能なローラ群102と、ローラ群102と共同してチューブ101を扁平化可能な支持壁部材103と、ローラ群102を回転させるモーター等の駆動源(図示省略)と、これらを配備するケーシング104とを備えている。ローラ群102を回転させるモーターは制御器8により制御される。ドレン管43の下流側には開閉弁105が配設されている。開閉弁105は、常時は開かれ、チューブポンプのメンテナンス時には閉じられ、汚泥配管98から汚泥が系外に流出することを防止する。その他の構成は実施の形態13の超音波式汚泥濃度測定装置1と同様であるのでその説明を用いて詳細な説明を省略する。実施の形態16の超音波式汚泥濃度測定装置1の構成は、他の実施の形態1乃至実施の形態15にも適用可能である。また、移送されている汚泥が大きな正圧状態にならないような汚泥配管に超音波式汚泥濃度測定装置1を配設する場合においては、図7のA−A線断面図に示したように、弾性部材24を保護する保護カバー7を不要としてもよい。
【0123】
この実施の形態16の超音波式汚泥濃度測定装置1では、ローラ群102が回転すると、円筒チューブ101は、ローラ群102と支持壁部材103に圧迫されて扁平となり、内蔵物が下流側に押し出される。従って、ドレン管43内に汚泥が入った状態でローラ群102が回転を始めると、円筒チューブ101が潰れて汚泥が下流側に移送され、下流の汚泥配管98に送り出される。チューブポンプ100は円筒チューブ101を直接的に圧迫して扁平化し内容物を下流側に押し出すので、確実かつ強力な汚泥の搬送を行うことが可能である。また、チューブポンプは、ローラ群102等の可動部分が汚泥とは直接接触しないので、耐腐食性に非常に優れている。ただし、円筒チューブ101に関しては、使用時間の経過とともに劣化が進行するので定期的な交換が必要である。
【0124】
以上のように、この実施の形態16の超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、実施の形態13に示した効果のほかに、汚泥や洗浄水を系外に排出しなくとも済むので、汚泥や洗浄水が側溝等に排水された際に発生する臭気の問題や、汚泥が側溝で見られることによる外観の悪さの問題を解消することができる。
【0125】
実施の形態17.
図27は実施の形態17の超音波式汚泥濃度測定装置1の正面図である。A−A線断面図に関しては、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1のA−A線断面図である図2と概ね同一であるのでこれを援用する。この実施の形態17の超音波式汚泥濃度測定装置1は、測定室4から汚泥を排出するドレン排水口41を測定室4の上方、すなわち周壁部材31の上部に設け、ドレン管43を接続し、汚泥を測定室4の上部から取り出して下流側の汚泥配管98に強制的に圧送させる構成とした点が実施の形態16とは相違する。ドレン管43には実施の形態16のドレン管43の場合と同様に移送手段99としてのチューブポンプ100、ドレン弁42、ドレン制御弁95及び開閉弁105が配備されている。チューブポンプ100、ドレン弁42、ドレン制御弁95及び開閉弁105の構成は実施の形態16のものと同一であるので、その説明を用いる。また、その他の構成は実施の形態13と同様であるのでその説明を用いて詳細な省略する。実施の形態17の超音波式汚泥濃度測定装置1の構成は、他の実施の形態1乃至実施の形態15にも適用可能である。また、移送されている汚泥が大きな正圧状態にならないような汚泥配管に超音波式汚泥濃度測定装置1を配設する場合においては、図7のA−A線断面図に示したように、弾性部材24を保護する保護カバー7を不要としてもよい。
【0126】
以上のように、実施の形態17の超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、移送手段99であるチューブポンプ100を用いて汚泥を測定室4から強力に排出できたり、汚泥や洗浄水を系外に排出することを防止したり、外観の悪化を防止できるという実施の形態16の効果のほかに、測定室4から汚泥を汚泥配管98に強制的に圧送する際、測定室4内の上方に滞留するガス溜まりも同時に圧送することができ、ガス溜まりに起因する汚泥加圧行程の不具合を解消できるという、実施の形態17特有の効果がある。
【0127】
実施の形態18.
図28は実施の形態18の超音波式汚泥濃度測定装置1の正面図である。A−A線断面図に関しては、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1のA−A線断面図である図2と概ね同一であるのでこれを援用する。この実施の形態18の超音波式汚泥濃度測定装置1は、移送手段99を空気圧で作動するピストンポンプ106とした点が、実施の形態16の超音波式汚泥濃度測定装置1と異なっている。すなわち、測定室4の下部に接続されたドレン制御弁95の下流側にピストンポンプ106が配備されている。ピストンポンプ106はドレン室107と、ドレンピストン108と、空気室109と、空気ピストン110と、連結シャフト111と、空気管112,113と、流路切換弁114,115を備えている。空気管112,113はエアタンク39に接続されており、圧縮空気を空気室109の空気ピストン110の前後の室内に供給可能とされている。空気室109の内部に配設された空気ピストン110は流路切換弁114,115の開閉制御により空気室109内部を長手方向に往復運動可能とされている。空気ピストン110は、連結シャフト111を介してドレンピストン108に接続されており、空気ピストン110の往復動作がドレンピストン108に伝達されてドレン室107内への汚泥の搬入搬出が行われるという構成とされている。
【0128】
流路切換弁114,115は、一方の切換弁がエアタンク39の圧縮空気を空気室109に導入する流路としているとき、他方の切換弁は空気室109の空気を大気に開放する流路としている。すなわち、ドレンピストン108で測定室4から汚泥をドレン室107に吸引するとき、流路切換弁114が大気に開放する流路をとる一方、流路切換弁115がエアタンク39の圧縮空気を空気室109に導入する流路をとる。これによって、空気ピストン110は図28において左側に移動し、測定室4から汚泥をドレン室107に導入する。勿論この時ドレン制御弁95が開いており、排出制御弁116が閉じていることは言うまでもない。汚泥をドレン室107に導入したら、ドレン制御弁95が閉じて排出制御弁116を開く。そして、流路切換弁115を大気解放する一方、流路切換弁114をエアタンク39に接続する。これによって、空気ピストン110が図28中の右側に移動し、連結シャフト111がドレンピストン108を図28中の右側に移動させて汚泥をドレン室107から排出制御弁116側のドレン管43に排出し、汚泥を超音波汚泥濃度測定装置1の下流側の汚泥配管98に強制的に圧送する。その他の構成は、実施の形態16のものと同様であるので、その説明を用いて詳細な説明を省略する。
【0129】
この実施の形態18の超音波式汚泥濃度測定装置1は、測定室4内の汚泥の移送手段として空気ピストン110とドレンピストン108を用い、その動力源としてエアタンク39の圧縮空気を用いるものであるが、このような構成は実施の形態17のように本管部2及び汚泥配管98の上を通って搬送する構成としても良い。
【0130】
実施の形態18の超音波式汚泥濃度測定装置1の構成は、実施の形態2から実施の形態15までの超音波式汚泥濃度測定装置1にも適用できる。また、移送されている汚泥が大きな正圧状態にならないような汚泥配管に超音波式汚泥濃度測定装置1を配設する場合においては、図7のA−A線断面図に示したように、弾性部材24を保護する保護カバー7を不要としてもよい。
【0131】
以上のように、この実施の形態18の超音波式汚泥濃度測定装置1によれば、実施の形態16の効果のほかに、移送手段をエアタンク39からの空気圧で作動するピストンポンプ106としたことにより、実施の形態17に示した通常の電動機を用いた圧送ポンプであれば大きな電力が必要であるのに対して、流路切換弁114,115とエアタンク39の空気のみで済むので、運転コストが低コストであるという効果がある。
【0132】
実施の形態19.
図29は実施の形態19の超音波式汚泥濃度測定装置1の正面図である。A−A線断面図に関しては、実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置1のA−A線断面図である図2と概ね同一であるのでこれを援用する。この実施の形態19の超音波式汚泥濃度測定装置1は、測定室4内の汚泥を移送するための移送手段99をエアリフト117によって構成したものであり、超音波式汚泥濃度測定装置1の最寄りに汚泥貯留槽等の汚泥や洗浄水を貯留可能な水槽(図示せず)がある場合に、ドレン管43に流入する測定室4の汚泥や洗浄水を、エアリフト117を使用して、当該水槽に移送可能とした点が、実施の形態16と大きく異なる。その他の構成は実施の形態16と同様であるのでその説明を用いて詳細な説明を省略する。
【0133】
図29に示される超音波式汚泥濃度測定装置1において、エアリフト117は、揚水室119を構成するシリンダの底部に吐出ノズル120が設置されており、この吐出ノズル120から圧縮空気が揚水室119の室内上方に向かって噴出可能とされている。揚水室119の上部には送水管121が接続されており、揚水室119の側壁下部にはドレン管43が接続されている。吐出ノズル120にはエアタンク39から延びる空気管122が接続され、空気管122には空気供給弁123が設けられている。空気供給弁123は制御器8の制御により開閉される。
【0134】
実施の形態19の超音波式汚泥濃度測定装置では、揚水室119を経由して水槽に測定室4の汚泥を送り出すときには、制御器8の制御によって、ドレン制御弁95、空気制御弁123が開かれる。これによって、汚泥や洗浄水が測定室4からドレン管43を経由して、揚水室119内に流入し、汚泥や洗浄水で充たされる。このとき、揚水室119で吐出ノズル120からエアタンク39の圧縮空気が噴出されると、圧縮空気が汚泥や洗浄水の中を上昇するときに浮力が発生する。この浮力によって、汚泥や洗浄水は重力に反して送水管121内を上昇し、水槽に移送される。
【0135】
この実施の形態19の超音波式汚泥濃度測定装置1は、実施の形態16の効果のほかに、測定室4内の汚泥を測定室4から排出する際の移送手段99を、ドレン管43にエアリフト117を配備し、エアリフト117の移送動力源としてエアタンク39の圧縮空気を利用するものであり、大略配管によって構成されるから、故障等が少なく、配備スペースが小さくてすむ。また、ポンプ駆動用のモーター等を設置しないですみ、運転コストも低く抑えることができる。
【0136】
実施の形態19の超音波式汚泥濃度測定装置1は、実施の形態2乃至実施の形態15の超音波式汚泥濃度測定装置1に組み合わせて構成することができる。また、移送されている汚泥が大きな正圧状態にならないような汚泥配管に超音波式汚泥濃度測定装置1を配設する場合においては、図7のA−A線断面図に示したように、弾性部材24を保護する保護カバー7を不要としてもよい。
【0137】
超音波式汚泥濃度測定装置1を使用した汚泥移送システム.
図30は上述の実施の形態1から実施の形態19までのいずれかの超音波式汚泥濃度測定装置1を用いた汚泥移送システムを示す。また、図31は、この図30の汚泥移送システムをC−C線方向から見た断面図である。図30の汚泥システムは、汚泥貯留槽124に貯留されている汚泥を移送ポンプ125で他の水槽等へ移送する場合の汚泥移送システムの一例を示している。図30に示すように、この汚泥移送システムでは、複数の移送ポンプ125で汚泥を移送するためにヘッダー管126が組まれており、ヘッダー管126にフランジ126aを配設して複数の分岐部が設けられ、各分岐部には汚泥吸引管127がフランジ126aとフランジ127aによって接続され、その他端にはそれぞれ移送ポンプ125が接続している。そして、超音波式汚泥濃度測定装置1は、このヘッダー管126の汚泥吸引管127が接続する分岐部よりも汚泥貯留槽124側に配設されている。ヘッダー管126の上流側の端部は水槽124の側壁下部の汚泥流出管130に接続されている。汚泥貯留槽124の天井部には貯留槽124内を大気と通じさせる通気口124aが設けられている。
【0138】
移送ポンプ125が稼動しないときであっても、ヘッダー管126内には、汚泥貯留槽124から水頭圧で汚泥が流入し、ヘッダー管126内は汚泥で満たされる、いわゆる満管状態となっている。しかし、移送ポンプ125が稼動しない状態が継続すると汚泥内でガスが発生し、図31のヘッダー管26のC−C線方向断面図に示す通り、ヘッダー管26内で汚泥140の上方にガス溜まり141が滞留してしまう。この状態のときに移送ポンプ125が稼動すると、汚泥吸引管127内には強力な吸引力が発生し、例え汚泥吸引管127内にガス溜まり141が多少滞留していたとしても汚泥140共々吸引・圧送してしまうので問題は発生しない。しかし、ヘッダー管126からの分岐配管である汚泥吸引管127の方が、ヘッダー管126よりも小径であることから、汚泥吸引管127の内壁上端からヘッダー管126の内壁上端までの間に高低差がある。一度ガス溜まり141がそこに滞留してしまうと、移送ポンプ125の停止時は、汚泥貯留槽124からの押込圧があっても、汚泥吸引管127の内壁上端よりも上位(図31中の汚泥境界面142より上位)のガス溜まり141は汚泥吸引管127側に移動できない。また、移送ポンプ125の稼動時においても、移送ポンプ125の吸引力が汚泥貯留槽124の水頭圧よりも強い場合には、ヘッダー管126内は負圧状態となり、ガス溜まり141よりも汚泥140が優先的に吸引されていまい、ガス溜まり141は取り残されてしまい、ずっと滞留しつづけることになってしまう。
この状態においては、このヘッダー管126と同径の本管部2を有する超音波式汚泥濃度測定装置1にも、ガス溜まり141が滞留していることになり、ガス溜まり141が測定室4に流入してしまうと、超音波式汚泥濃度測定装置1の汚泥加圧行程に不具合が発生してしまう。
【0139】
そこで、この汚泥移送システムの一例では、ヘッダー管126のヘッダー部分(大径部分)を配管で同軸方向に延伸し、その延伸した配管の上部にフランジ128aを備えた気体排出口部128を設け、気体排出口部128から気体排出管129をフランジ128aとフランジ129aによって接続し、最寄りの汚泥貯留槽124の最高の汚泥水位面よりも上の位置以上に立ち上げて、汚泥貯留槽124に接続する構成としている。
【0140】
すなわち、図30の汚泥移送システムは、汚泥貯留槽124の側壁下部に汚泥流出管130を設け、この汚泥流出管130にヘッダー管126を接続し、このヘッダー管126に超音波式汚泥濃度測定装置1の本管部2と汚泥吸引管127とを接続し、この汚泥吸引管127に他の系統に汚泥を移送する移送ポンプ125を設け、ヘッダー管126を汚泥貯留槽124の接続部分の反対側に延ばして、この延ばした部分の上壁部に気体排出口部128を形成し、この気体排出口部128の上に上方に延びる気体排出管129を接続し、この気体排出管129の上端部を前記汚泥貯留槽124の汚泥水位の上限位置以上の部位に連通させて接続する構成としたものである。
【0141】
以上のように、この汚泥移送システムによれば、このような構成としたことにより、移送ポンプ125の停止時は、汚泥貯留槽124内の汚泥による水頭圧によって、汚泥貯留槽124内の汚泥がヘッダー管126内に押し出され、ヘッダー管126内に滞留するガス溜まり141は、気体排出口部128に押し出されて、気体排出管129を経由して、汚泥貯留槽124に返送される。そして、ガス溜まり141を全て押し出した後においても、汚泥140は気体排出口部128から気体排出管129内を上昇するが、汚泥貯留槽124の汚泥水位以上には上昇することなく停止する。また、移送ポンプ125が作動している場合においても、移送ポンプ125の吸引圧力(負圧)と汚泥貯留槽124からの水頭圧による押込圧力(正圧)との差が大きくなりすぎないように設計することにより、極端な正圧状態にも負圧状態にもならず、ヘッダー管126内の汚泥140が気体排出管129から汚泥貯留槽124に返送されることも、気体排出管129から空気や汚泥ガスが吸引されることもない。よって、超音波式汚泥濃度測定装置1によって汚泥濃度を正確に計ることが出来ると共に、汚泥を下流系統に一定して移送できる。
【0142】
超音波式汚泥濃度測定装置の応用例.
図32は実施の形態13の超音波式汚泥濃度測定装置1の応用例の正面図であり、図33は図32のA−A方向断面図である。図32,33に示す超音波式汚泥濃度測定装置1は、実施の形態13で示された超音波式汚泥濃度測定装置1から、弾性部材24および外覆部材25を取り外し、外覆部材25の代わりにフランジ蓋133(図33参照)をシール材135を介して測定室4の開口23にボルト131で取付け、制御弁3に代えて、手動の測定室開閉弁132を設置したものである。また、給水管93から給水制御弁94を取り除き、手動の開閉弁92のみとし、ドレン管43からドレン制御弁95を取り外している。さらに空気供給管37や、エアタンク39、空気圧縮機38等の圧縮空気供給関連の機器を取り外した構成が、実施の形態13の超音波式汚泥濃度測定装置1と大きく異なる。
【0143】
この超音波式汚泥濃度測定装置は、図32および図33に示すように、汚泥濃度を測定する汚泥を加圧することはせず、汚泥配管から本管部2、連通口10、測定室4に流れてくる汚泥に対して、超音波送受信器5で超音波を送受信して汚泥濃度を測定するようになっている。また、通常時は、測定室開閉弁132を開弁しておくが、手動の測定室開閉弁132を閉弁することで、測定室4を本管部2の汚泥の流路から切り離すことができ、測定室4内の部品交換(超音波送受信子5a等)等のメンテナンス作業を汚泥配管の流れを止めること無く、またバイパス管を別途設けることなく行うことができる。測定室4内の清掃等を行う場合においては、測定室開閉弁132を手動で閉じて本管部2から汚泥の流路を切り離し、手動で開閉弁92を開いて洗浄水を測定室4に導入し、手動でドレン弁42を開いて、測定室4内の汚泥や洗浄水をドレン管43に排水することで、測定室4内を洗浄することができる。また、測定室開閉弁132の弁機能が低下した場合においても、リペアゲート11を閉弁することで、汚泥配管の流れを停止しなくとも測定室開閉弁132を交換することができる。
【0144】
この応用例にかかる超音波式汚泥濃度測定装置に、図6に示す実施の形態4の気体排出管51及び排出制御弁53、図8に示す実施の形態5の気体排出管54及び排出制御弁56、図9に示す実施の形態6の圧力測定器57、図10に示す実施の形態7の圧力測定器58、図25に示す実施の形態15の超音波発振器97等を組み合わせても良い。また、測定室4内の汚泥を下流の汚泥配管に移送する実施の形態16〜19の構成を組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の実施の形態1の超音波式汚泥濃度測定装置を示す正面図である。
【図2】図1の実施の形態1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の実施の形態2の超音波式汚泥濃度測定装置のA−A線断面図である。
【図4】本発明の実施の形態3の超音波式汚泥濃度測定装置を示す正面図である。
【図5】図4の実施の形態4のA−A線断面図である。
【図6】本発明の実施の形態4の超音波式汚泥濃度測定装置を示す正面図である。
【図7】図6の実施の形態4のA−A線断面図である。
【図8】本発明の実施の形態5の超音波式汚泥濃度測定装置を示す正面図である。
【図9】本発明の実施の形態6の超音波式汚泥濃度測定装置を示す正面図である。
【図10】本発明の実施の形態7の超音波式汚泥濃度測定装置を示す正面図である。
【図11】本発明の実施の形態8の超音波式汚泥濃度測定装置を示す正面図である。
【図12】図11の実施の形態8のA−A線断面図である。
【図13】本発明の実施の形態9の超音波式汚泥濃度測定装置を示す正面図である。
【図14】図13の実施の形態9のA−A線断面図である。
【図15】本発明の実施の形態9の外覆部材のA−A線断面図である。
【図16】図15の実施の形態9の外覆部材のB−B線方向から見た側面図である。
【図17】本発明の実施の形態10の外覆部材のA−A線断面図である。
【図18】図17の実施の形態10の外覆部材のB−B線方向から見た側面図である。
【図19】図17の実施の形態10のクリップの斜視図である。
【図20】本発明の実施の形態11の外覆部材のA−A線断面図である。
【図21】図20の実施の形態11の外覆部材のB−B線方向から見た側面図である。
【図22】本発明の実施の形態12の超音波式汚泥濃度測定装置を示す正面図である。
【図23】本発明の実施の形態13の超音波式汚泥濃度測定装置を示す正面図である。
【図24】本発明の実施の形態14の超音波式汚泥濃度測定装置を示す正面図である。
【図25】本発明の実施の形態15の超音波式汚泥濃度測定装置のA−A線断面図である。
【図26】本発明の実施の形態16の超音波式汚泥濃度測定装置を示す正面図である。
【図27】本発明の実施の形態17の超音波式汚泥濃度測定装置を示す正面図である。
【図28】本発明の実施の形態18の超音波式汚泥濃度測定装置を示す正面図である。
【図29】本発明の実施の形態19の超音波式汚泥濃度測定装置を示す正面図である。
【図30】本発明の実施の形態1乃至19の超音波式汚泥濃度測定装置を応用した汚泥移送システムの一例を示す模式図である。
【図31】図30の汚泥移送システムにおけるヘッダー管と汚泥吸引管の水位差を示すC−C線断面図である。
【図32】手動により測定室開閉弁を開閉する超音波式汚泥濃度測定装置の応用例の正面図である。
【図33】図32のA−A線断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥が流通する本管部に連通口を設け、
該連通口に制御弁を介して測定室を配設し、
前記制御弁を閉弁して前記測定室内の汚泥を加圧手段で加圧し、
前記測定室に設けられた超音波送受信器によって汚泥に対して超音波を送受信して
減衰量を測定し、該減衰量から汚泥濃度を算出する
超音波式汚泥濃度測定装置において、
前記測定室に設けられた開口を覆う弾性部材と、
該弾性部材の外側を覆い、加圧室を形成する外覆部材と、
本管部および/または測定室の上部に設けられ、
本管部および/または測定室に溜まった気体を排出する
気体排出口および排出制御弁と
を備えることを特徴とする超音波式汚泥濃度測定装置。
【請求項2】
加圧手段は、
空気供給源からの圧縮空気を加圧室へ供給する
空気制御弁が設けられた空気供給管である
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波式汚泥濃度測定装置。
【請求項3】
外覆部材は、分割可能である
ことを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の超音波式汚泥濃度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2009−300461(P2009−300461A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227767(P2009−227767)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【分割の表示】特願2006−352450(P2006−352450)の分割
【原出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(391022418)株式会社西原テクノサービス (21)
【出願人】(000147408)株式会社西原環境テクノロジー (44)
【Fターム(参考)】