説明

超音波探傷装置及び方法

【課題】3次元探傷データと3次元形状データの表示位置合わせを容易にし、欠陥エコーと形状エコーの識別を迅速にできる超音波探傷装置及び方法を提供することにある。
【解決手段】計算機102Aは、3次元形状データと3次元探傷データの相対的な表示位置を補正する位置補正機能を有する。位置補正機能は、3次元探傷データ内の選択した複数の点と、これらの点の各々に対応した3次元形状データ内の選択した複数の点とで定義される複数のベクトルから求まる平均ベクトルに沿って3次元探傷データまたは3次元形状データの表示位置を平均ベクトルのノルムだけ移動し、3次元表示部103Cに、3次元形状データと3次元探傷データとを重ねて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非破壊検査法の一種である超音波探傷法を実施するための超音波探傷装置及び方法に係り、特に、アレイ型超音波センサを使用した超音波探傷装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種構造材などを検査対象とした超音波探傷法では、フェーズドアレイ法や開口合成法などに代表されるように、検査対象内部を高精度に短時間で画像化して検査する探傷方法が開発されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
まず、フェーズドアレイ法は、圧電振動素子を複数個配列した、いわゆるアレイ型超音波センサを使用し、各圧電振動素子から送信される超音波の波面が干渉し合成波面を形成して伝播していくという原理に基づいたものであり、従って、各圧電振動素子の超音波送信タイミングを遅延制御し、それぞれのタイミングをずらすことで、超音波の入射角度が制御でき、超音波を集束させることができる。
【0004】
また、超音波の受信に際しても、各圧電振動素子で受信した反射超音波をずらして加算することで、送信時と同様、超音波の受信入射角度を制御したり、焦点を合わせて超音波を受信したりすることができる。
【0005】
このフェーズドアレイ法としては、一次元アレイセンサの圧電振動子を直線的に走査するリニアスキャン方式や、超音波の送信と受信方向を扇状に変化させるセクタスキャン方式が一般的に知られている。また、圧電振動子が格子状に並んだ二次元アレイセンサを用いると、3次元的に任意の位置に焦点を合わせることができ、検査対象に合わせたスキャン方式が可能となる。何れの方式の場合も、超音波センサを動かすことなく超音波を高速にスキャンしたり、超音波センサを交換することなく超音波の入射角度や集束深さの位置を任意に制御したりすることができ、従って高速且つ高精度の検査が可能な技術である。
【0006】
また、開口合成法は、検査対象内に波動が広く拡散するようにして超音波を送信し反射超音波信号を受信した場合、受信された反射超音波の音源となる欠陥の位置は、超音波を送信し受信した圧電振動素子の位置を中心とし、反射超音波の伝播距離を半径とした円弧上に存在するという原理に基づいたものである。このため、圧電振動素子の位置を順次変えて超音波の送信と受信を行い、各位置における受信波形を、電子計算機上で演算して円弧状に広げることにより、超音波反射源となる欠陥の存在位置に前記の円弧の交点が集中し、欠陥の位置を特定することができる。電子計算機での演算処理内容に付いては、非特許文献1に記載されているものである。
【0007】
複数の圧電振動素子を配列したセンサを用いるこれらの方法では、センサを移動しなくても欠陥の反射超音波信号を3次元的に取得することが可能であるが、反射超音波信号から3次元的な反射位置を特定するためには、空間的に位置の異なる複数の反射強度分布の二次元画像から推定する方法や、反射強度分布を3次元データに変換した後に立体表示するなどして推定する。
【0008】
例えばフェーズドアレイ法のリニアスキャンやセクタスキャンの場合には、既知の走査ピッチに対応した複数の二次元反射強度画像が取得できるため、画面上で順次画像を切り替えて表示することで、反射波が出現する方向を特定することができる。しかし、上記以外の任意の3次元的なスキャンに対してはこの方法では限界がある。
【0009】
このような場合には複数の方向からの反射超音波信号に内挿処理などを施して3次元格子状のデータを作成し、これをボリュームレンダリングやサーフェスレンダリングといった方法で画像表示したりする。格子状のデータに変換せずに3次元的な点群として画像表示する方法もある。いずれも3次元探傷データとして保存しているため、測定後に検査者が任意の方向から3次元探傷データを確認することができる(例えば、非特許文献2参照)。
【0010】
しかし、反射強度分布のピークが検査対象の端面や境界面での反射によるものか、欠陥での反射によるものかを、これらの3次元探傷データだけから判断するのは難しい。特に複雑な形状の検査対象の場合には形状に依存する反射超音波信号(形状エコー)が多数現れるため、熟練者でも判別は困難である。このため、検査対象の3次元形状データを3次元探傷データと一緒に表示するソフトウェアが開発されている。この二つのデータを重ね合わせて比較することにより、形状エコーと欠陥からのエコー(欠陥エコー)の判別が容易となる。3次元形状データとしては別途汎用のCAD(Computer Aided Design)で作成したデータを読込んで用いる場合が多い(例えば、非特許文献2参照)。
【0011】
【特許文献1】特開平6−102258号公報
【非特許文献1】近藤倫正、大橋由昌、実森彰郎 共著 ディジタル信号処理シリーズ12巻 「計測・センサにおけるディジタル信号処理」 143頁〜186頁 1993年5月20日 昭晃堂発行
【非特許文献2】Potts, A. ; McNab, A.; Reilly, D.; Toft, M., “Presentation and analysis enhancements of the NDT Workbench a software package for ultrasonic NDT data”, REVIEW OF PROGRESS IN QUANTITATIVE NONDESTRUCTIVE EVALUATION; Volume 19, AIP Conference Proceedings, Volume 509, pp. 741-748 (2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、通常は3次元探傷データと3次元形状データは別々の座標系で作られているため、これらを重ねて表示する場合には必ず表示位置の補正が必要となる。また、3次元探傷データの表示に用いる検査対象内の音速の理論値と実測値が異なることに起因する表示寸法の補正も必要となる。これらの補正が正しく行われないと3次元探傷データと3次元形状データの相関が確認できず、形状エコーと欠陥エコーの識別ができない。従来は検査者が表示装置に対して位置補正や音速補正に関する情報を入力し、あるいは直接3次元探傷データや3次元形状データを加工する等して、識別可能な状態になるまで補正作業を繰り返し行っていたが、これらの作業には多大な時間を要するという問題があった。
【0013】
なお、2次元探傷データと2次元形状データを重ね合わせて表示することは、知られている(例えば、特許文献1の第6頁右欄第34〜40行参照)。特許文献1は、重ね合わせの具体的手法については記載してないが、原点座標を一致させることにより重ね合わせる旨の記載はある。しかしながら、一般に、2次元探傷データの原点と2次元形状データの原点は異なることが多く、単に、原点座標を一致させても両者を重ね合わせることはできないものである。また、特許文献1は、2次元の探傷データと形状データの重ね合わせに関するものであり、特許文献1の出願当時は3次元の探傷データを得る技術が無く、3次元の探傷データと形状データの重ね合わせについては知られていないものである。3次元の探傷データと形状データの重ね合わせには、2次元とは異なり、両者の傾きをも考慮する必要がある。
【0014】
本発明の目的は、3次元探傷データと3次元形状データの表示位置合わせを容易にし、欠陥エコーと形状エコーの識別を迅速にできる超音波探傷装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、複数の圧電振動子を備えた超音波センサと、該超音波センサの各圧電振動子に送信信号を供給するパルサーと、前記超音波センサの各圧電振動子素子から受信信号を入力するレシーバと、前記各圧電振動子毎に異なった遅延時間を前記送信信号と前記受信信号に設定する遅延制御部と、前記超音波センサで受信した超音波波形を収録するデータ収録部と、前記データ収録部で収録した波形から3次元探傷データを生成する画像処理用の計算機と、3次元形状データと前記3次元探傷データとを表示する3次元表示部とを有する超音波探傷装置であって、前記計算機は、前記3次元形状データと前記3次元探傷データの相対的な表示位置を補正する位置補正手段を備え、前記位置補正手段は、前記3次元探傷データ内の選択した複数の点と、前記点の各々に対応した前記3次元形状データ内の選択した複数の点とで定義される複数のベクトルから求まる平均ベクトルに沿って前記3次元探傷データまたは前記3次元形状データの表示位置を前記平均ベクトルのノルムだけ移動し、前記3次元表示部に、前記3次元形状データと前記3次元探傷データとを重ねて表示するようにしたものである。
かかる構成により、3次元探傷データと3次元形状データの表示位置合わせを容易にし、欠陥エコーと形状エコーの識別を迅速にできるものとなる。
【0016】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記計算機は、前記3次元形状データと前記3次元探傷データの相対的な表示寸法を補正する寸法補正手段を備え、前記寸法補正機能は、前記3次元探傷データ内の選択した二点の座標間の距離の絶対値と、前記3次元形状データ内の選択した二点の距離の絶対値とが一致するように、前記3次元探傷データと前記3次元形状データの相対的な表示寸法を補正するようにしたものである。
【0017】
(3)上記(1)において、好ましくは、前記位置補正手段は、前記3次元探傷データから複数の点を選択するにあたって、前記前記3次元探傷データに対して指定された範囲内にある前記3次元探傷データ内のデータ点を、前記データ点の絶対値が大きい順に前記3次元表示部に表示するようにしたものである。
【0018】
(4)上記(1)において、好ましくは、前記計算機は、前記3次元探傷データと重ねて表示させる3次元形状データを作成するデータ作成手段を備えるようにしたものである。
【0019】
(5)上記(1)において、好ましくは、前記計算機は、前記3次元探傷データの任意の位置の切断面を示す平面を、前記3次元探傷データと共に前記3次元表示部に表示するようにしたものである。
【0020】
(6)上記目的を達成するために、本発明は、超音波センサで受信した複数の超音波波形から作成した3次元探傷データ内の選択した複数の点と、前記点の各々に対応した前記3次元形状データ内の選択した複数の点で定義される複数のベクトルから求まる平均ベクトルに沿って前記3次元探傷データまたは前記3次元形状データの表示位置を前記平均ベクトルのノルムだけ移動して表示するようにしたものである。
かかる方法により、3次元探傷データと3次元形状データの表示位置合わせを容易にし、欠陥エコーと形状エコーの識別を迅速にできるものとなる。
【0021】
(7)上記(6)において、好ましくは、超音波センサで受信した複数の超音波波形から作成した3次元探傷データ内の選択した二点の座標間の距離の絶対値と、3次元形状データ内の選択した二点の座標間の距離の絶対値の総和が一致するように、前記3次元探傷データと前記3次元形状データの相対的な表示寸法を補正するようにしたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、3次元探傷データと3次元形状データの表示位置合わせを容易にし、欠陥エコーと形状エコーの識別を迅速にできるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図1〜図11を用いて、本発明の一実施形態による超音波探傷装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による超音波探傷装置の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による超音波探傷装置の構成を示すシステムブロック図である。
【0024】
本実施形態の超音波探傷装置は、検査対象100に超音波を入射するアレイ型超音波センサ101と、送・受信部102と、受信信号及び探傷画像を表示する表示部103とから構成されている。
【0025】
アレイ型超音波センサ101は、図示のように、基本的には超音波を発生し受信する複数個の圧電振動素子104で構成される。アレイ型超音波センサ101は、検査対象100の探傷面に設置された後、送・受信部102から供給される駆動信号により超音波105を発生し、これを検査対象100内に伝播させ、これにより現れる反射波を検知して受信信号を送・受信部102に入力する。
【0026】
送・受信部102は、アレイ型超音波センサ101により超音波の送信と受信を行うものである。送・受信部102は、計算機102Aと、遅延時間制御部102Bと、パルサー102Cと、レシーバ102Dと、データ収録部102Eと、マウス102Fと、キーボード102Gとを備える。パルサー102Cは駆動信号をアレイ型超音波センサ101に供給し、これにより、アレイ型超音波センサ101から入力される受信信号をレシーバ102Dが処理する。
【0027】
計算機102Aは、基本的には、CPU102A1と、RAM102A2と、ROM102A3とから構成されている。ROM102A3には、CPU102A1を制御するプログラムが書き込まれている。CPU102A1は、このプログラムに従ってデータ収録部102Eから必要とされる外部データを読込んだり、あるいは又RAM102A2との間でデータの授受を行ったりしながら演算処理し、必要に応じて処理したデータをデータ収録部102Eへ出力する。
【0028】
また、CPU102A1は、遅延時間制御部102Bとパルサー102Cとレシーバ102Dを制御し、必要な動作が得られるようにするものである。遅延時間制御部102Bは、パルサー102Cから出力される駆動信号のタイミングとレシーバ102Dによる受信信号の入力タイミングの双方を制御し、これによりフェーズドアレイ方式によるアレイ型超音波センサ101の動作が得られる。
【0029】
ここにいうフェーズドアレイ方式によるアレイ型超音波センサ101の動作とは、超音波105の焦点深さと入射角度106を制御して超音波を送信し受信する動作のことであり、これによりレシーバ102Dからデータ収録部102Eに受信信号が供給されることになる。そこで、データ収録部102Eは、供給された受信信号を処理し、収録データとして収録すると同時に、計算機102Aにデータを送る。これにより、計算機102Aは、各圧電振動素子で得られた波形を遅延時間に応じて合成処理し、各超音波の入射角度ごとの波形に適当な内挿処理を施し、ピクセルと呼ばれる2次元正方格子を単位としたピクセル形式の2次元探傷データや、ボクセルと呼ばれる3次元立方格子を単位としたボクセル形式の3次元探傷データを作成し、それを画像化し表示部103に表示させる動作を実行する。
【0030】
表示部103は、2次元探傷データを表示する2次元表示画面103Bと、3次元探傷データを表示する3次元表示画面103Cと、各圧電振動子の波形信号を表示する波形表示画面103Aとを備えている。なお、図1には、表示部103は一つしか示していないが、波形表示画面103Aと、2次元表示画面103Bと、3次元表示画面103Cとは、複数の表示部に分担させて表示してもよいものである。
【0031】
表示部103上の3次元表示画面103Cには、3次元探傷データが表示される。このとき、計算機102Aに接続されたマウス102Fやキーボード102Gを用いた入力により、任意の表示寸法で表示することができる。表示寸法を変えるための拡大率は、検査者がキーボード102Gから数値入力することができる。また、マウス102Fとキーボード102Gからの入力により表示色や透明度も任意に変えることができる。表示色は反射強度に応じて変えることが可能である。この場合の表示色パターンは複数準備してあり、検査者が用途に応じて選択できる。
【0032】
なお、これらの3次元描画アルゴリズムは、例えばグラフィックス・アプリケーション向けの業界標準のグラフィックス・アプリケーション・プログラミング・インタフェース(グラフィックスAPI)であるOpenGL(登録商標)やDirectX(登録商標)というライブラリの中で実現されており、これらのグラフィックスAPIをプログラム中で用いて、表示する物体の形状や視点、表示位置などの必要な情報を与えればディスプレイ上の任意の位置に、任意の色、透明度、大きさで3次元形状を描画することが容易にできる。
【0033】
また、3次元表示画面103Cには、検査対象100の形状を表す3次元形状データが3次元探傷データと同時に表示される。3次元形状データは、計算機102Aの外部から読込まれる。また、マウス102Fやキーボード102Gを用いて、検査者が3次元表示画面103C上で作成することもできる。作成操作の詳細は、図7を用いて後述する。
【0034】
特に、検査対象100のCAD(Computer Aided Design)データが存在している場合には、これを読込んで表示させることができる。CADデータのフォーマットは、市販のCADソフトウェアで入出力可能なデータ形式となっている。例えば多くのCADソフトウエァで読込み・出力可能なSTL(STereoLithography)形式を使用する。STL形式は、物体の表面を多数の三角形の集合で表現したものであり、STLファイル内にはこれらの三角形の面法線ベクトルと3つの頂点の座標値が書き込まれている。グラフィックスAPIを用いてSTL形式のファイルから3次元形状データ202を表示させることは、複数の三角形を描画することで容易に実現できる。
【0035】
また、複数の3次元形状データを同時に3次元表示画面103Cに表示することもできる。選択された3次元形状データは、計算機102Aに接続されたマウス102Fやキーボード102Gからの入力により、3次元探傷データとは独立して、それぞれ任意の視点で、任意の位置に、任意の寸法で表示することができる。
【0036】
また、検査者は、マウス102Fやキーボード102Gを用いた入力により表示色や透明度も3次元探傷データとは独立してそれぞれ任意に変えることができる。これにより3次元形状データと3次元探傷データが重なっていても検査者が見易いような表示にすることができる。また、必要に応じて3次元形状データの表示・非表示を切り替えることもできる。
【0037】
通常は、3次元探傷データと3次元形状データの座標系は異なるため、これらを重ねて表示した初期状態では双方は、全く異なる位置に表示される。超音波入射位置などの初期情報を与えた場合でも、例えば検査対象内の音速が実測値と理論値で若干異なることなどにより、表示に関する位置や寸法の補正作業が必要である。
【0038】
既に述べたように、3次元探傷データと3次元形状データは、それぞれ独立して任意の位置に任意の表示寸法で表示できるため、検査者が試行錯誤して3次元探傷データと3次元形状データが所望の相対的な位置や表示寸法になるように調整することもできる。しかし、この作業には時間と手間がかかるため、以下に述べる位置補正機能と寸法補正機能を用いると作業が非常に容易となる。
【0039】
次に、図2〜図4を用いて、本実施形態による超音波探傷装置による3次元探傷データと3次元形状データの位置補正方法について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による超音波探傷装置による3次元探傷データと3次元形状データの位置補正方法の処理内容を示すフローチャートである。図3及び図4は、本発明の一実施形態による超音波探傷装置による3次元探傷データと3次元形状データの位置補正方法の説明図である。
【0040】
位置補正方法とは、3次元形状データと3次元探傷データの相対的な位置が、両者が重なるような所望の状態にするための機能である。
【0041】
図2のステップS1において、検査者は、基準点を指定する。例えば、図3に示すような、3次元探傷データ201の中の任意の点201Aの座標が3次元形状データ202内の任意の点202Aの座標と一致するように3次元探傷データ201を平行移動させたい場合、検査者は、まずマウス102Fで3次元表示画面103Cを見ながら基準点201Aと基準点202Aを選択する。
【0042】
3次元表示画面103C上での点の選択は、次のようにして行う。まずマウス102Fで3次元表示画面103C上で3次元探傷データ201上の第一の基準点としたい位置をクリックした後、斜め方向にドラッグすると、矩形の領域が選択される。その矩形領域に描かれている3次元探傷データ201に含まれる点がそれぞれの識別番号を持って計算機のRAM102A2に読込まれる。なお、識別番号は、矩形領域に含まれる探傷データの内、データ点の絶対値が大きい順()強度の大きいものから小さいものの順)に番号を付与する。
【0043】
図2のステップS2において、CPU102A1は、微小領域内に含まれる点が複数ある場合は、これらの複数の点の内の第1の点を、候補点として3次元表示画面103C表示する。
【0044】
そして、ステップS3において、候補点は、検査者が、マウス102Fまたはキーボード102Gの入力で指示し、所望のデータ点でない場合には、ステップS2に戻り、次の候補点を、識別番号の順に画面上に順次色が変わって表示する。
【0045】
所望の点が候補として表示された時点で、ステップS4において、検査者はマウス102Fまたはキーボード102Gの入力により点を決定する。
【0046】
次に、図2のステップS5において、他の基準点があるか否かを判定する。ここでは、3次元形状データ202に含まれる第1の基準点も選択する必要があるため、ステップS1〜S4の処理により、図3の探傷データ201における第1の基準点201Aに対応する、3次元形状データ202における第1の基準点202Aを選択し、決定する。例えば、3次元形状データ202がSTL形式である場合は、選択される点は3次元形状データ202を構成する三角形の頂点のいずれかとなる。選択された点の識別番号や位置情報をRAM102A2に読込むアルゴリズムは既にOpenGL等のグラフィックスAPIで実現されており、そこで提供されている関数を使えば容易に実現できる。
【0047】
さらに、本実施形態では、探傷データ201及び3次元形状データ202において、それぞれ少なくとも2つの基準点を用いるようにしているため、探傷データ201における第2の基準点201Bに対応する、3次元形状データ202における第2の基準点202Bを選択し、決定する。
【0048】
ここで、選択する基準点は、例えば、3次元探傷データ201上の超音波入射点201Bと3次元形状データ202上のセンサ設置点(超音波入射位置)202Bであったり、点201Aのような3次元探傷データ201上の原因が既知の形状エコーのピーク点およびその周囲の点と、点202Aのような3次元形状データ202の端面上の点などである。その他、例えば、図3に示したような、3次元探傷データ201上の基準点201C、基準点201Dと、3次元形状データ202上の基準点202C、基準点202Dなども基準点として用いることができる。基準点の数が増えるほど、3次元探傷データと3次元形状データとをより一致させることができる。
【0049】
対応する基準点の組み合わせは、自動的に、基準点201Aと基準点202A、および基準点201Bと基準点202B、および基準点201Cと基準点202C、および基準点201Dと基準点202Dと設定される。この時、選択された基準点は、3次元表示画面103C上で色が変わって表示される。
【0050】
次に、図2のステップS6において、CPU102A1は、これらの複数の基準点から3次元探傷データの移動ベクトルを算出する。ここで、3次元探傷データ201上の点と3次元形状データ202上の対応する点の組み合わせがN個あり、i番目の組み合わせの点の座標をそれぞれ(Xi1、Yi1、Zi1)、(Xi2、Yi2、Zi2)とすると、移動ベクトルは各組み合わせから求めた移動ベクトルの平均となり、以下の式(1)で求まる。
【0051】
【数1】

【0052】
次に、ステップS7において、CPU102A1は、3次元探傷データ201を式(1)に基づく移動ベクトルだけ、平行及び回転移動させ、図4に示すように、移動後の位置に再描画する。なお、3次元形状データ202を移動させるようにしてもよいものである。
【0053】
次に、図5及び図6を用いて、本実施形態による超音波探傷装置による3次元探傷データと3次元形状データの寸法補正方法について説明する。
図5は、本発明の一実施形態による超音波探傷装置による3次元探傷データと3次元形状データの寸法補正方法の処理内容を示すフローチャートである。図6は、本発明の一実施形態による超音波探傷装置による3次元探傷データと3次元形状データの寸法補正方法の説明図である。
【0054】
図2〜図4にて説明した位置補正機能だけでは3次元探傷データ201と3次元形状データ202の一致が不十分な場合には、寸法補正機能を用いる。
【0055】
例えば、図6に示すように、3次元探傷データ201内の基準点201Bと基準点201Dの間の距離と、それに対応した3次元形状データ202内の基準点202Bと基準点202Dの間の距離とが一致するように3次元探傷データ201の表示寸法を変更したい場合について説明する。
【0056】
図5のステップS11〜S15の処理内容は、図2のステップS1〜S5と同様である。
【0057】
そこで、図5のステップS11〜S15により、検査者は、マウス102Fで3次元表示画面103C上の、3次元探傷データ201内の二点及び、3次元形状データ202内の二点の順番で選択する。
【0058】
なお、3次元探傷データ201内、3次元形状データ202内での選択の順番は任意で構わない。この時、選択された基準点は、3次元表示画面103C上で色が変わって表示される。選択する基準点は、例えば、3次元探傷データ201上の超音波入射点201Bと3次元形状データ202上のセンサ設置点202Bであったり、基準点201Dのような3次元探傷データ201上の原因が既知の形状エコーのピーク点およびその周囲の点と、基準点202Dのような3次元形状データ202の端面上の点などである。
【0059】
次に、ステップS16において、CPU102A1は、これらの基準点から、3次元探傷データの拡大率を算出する。例えば、点201Bの座標を(X1B、Y1B、Z1B)、点201Dの座標を(X1D、Y1D、Z1D)、また点202Bの座標を(X2B、Y2B、Z2B)、点202Dの座標を(X2D、Y2D、Z2D)とすると、拡大率は、以下の式(2)で求まる。
【0060】
【数2】

【0061】
次に、ステップS17において、CPU102A1は、3次元探傷データ201を式(2)で示した拡大率だけ補正された寸法で、再描画する。なお、逆に、3次元形状データ202を式(2)の拡大率の逆数の縮小率で補正して、再表示してもよいものである。
【0062】
次に、図7〜図9を用いて、本実施形態による超音波探傷装置による3次元形状データの作成方法について説明する。
図7は、本発明の一実施形態による超音波探傷装置による3次元形状データの作成方法の処理内容を示すフローチャートである。図8及び図9は、本発明の一実施形態による超音波探傷装置による3次元形状データの作成方法の説明図である。
【0063】
前述のように、3次元形状データ202は、計算機102Aの外部から読込むのではなく、検査者がマウス102Fやキーボード102Gの操作により3次元表示画面103Cを見ながら計算機102A上で作成することもできる。
【0064】
図7のステップS21において、検査者は、操作画面上で表示させたい基本図形を選択する。基本図形は、例えば平面、立法体、直方体、球、円錐、円筒などがある。
【0065】
次に、ステップS22において、検査者は、基本図形の寸法を入力する。寸法は、任意の数値を入力することが可能である。
【0066】
そして、ステップS23において、CPU102A1は、選択した基本図形を、3次元表示画面103Cの初期位置に描画する。なお、初期位置はどこでも構わない。
【0067】
描画された後、前述の位置補正機能や寸法補正機能により、基本図形と3次元探傷データ201との相対的な位置や寸法を所望の状態に合わせる。複数の基本図形に対してこれらの操作を順次繰り返すことにより、検査対象100の外形をある程度形成することができる。もちろん、描画するのは検査対象の探傷面や底面や側面といった代表的な部分だけでもよいものである。
【0068】
なお、OpenGL等のグラフィックスAPIには平面、立法体、直方体、球、円錐、円筒といった図形を描画する機能が備わっているため、これらの図形描画はグラフィックスAPIを使用すれば容易に実現できる。
【0069】
このとき、図8に示すように、3次元表示画面103Cは、3次元探傷データ201の座標系の二軸に平行な平面、例えばX−Y平面、Y−Z平面、Z−X平面の反射強度分布を表示させる断面表示画面304を持っており、断面表示画面304にはX−Y平面、Y−Z平面、Z−X平面の反射強度分布を表示する画面301A、画面302A、画面303Aがある。このとき、図9に示すように、これらの平面の位置を示す平面301B、302B、303Bが3次元表示画面103C上に3次元探傷データ201と3次元形状データ202と共に表示される。これにより検査者はどの部分の断面を表示しているかの確認が容易になる。
【0070】
また、3次元探傷データの任意の位置の切断面を示す平面が、3次元探傷データと共に3次元表示部に表示されるため、3次元探傷データを前記3次元形状データと照らし合わせて形状エコーか欠陥エコーかを判別する作業が効率良く行われ、検査対象に対する欠陥の位置を容易に迅速に特定できる。
【0071】
例えば、3次元探傷データがボクセル形式の場合は、データ構造がX,Y,Z軸に沿って等間隔となっているため、Xの値をボクセル単位で指定することにより、そのXに対応するY−Z平面の反射強度分布、すなわちボクセル値の分布は容易に求まる。同様にYの値を指定してZ−X平面や、Zの値を指定してX−Y平面の反射強度分布も容易に求まる。図9に示すような平面301B、302B、303BはOpenGL等のグラフィックスAPIの平面描画機能を用いれば容易に表示できる。
【0072】
次に、図10を用いて、本実施形態による超音波探傷装置による任意の2点間の距離計測方法について説明する。
図10は、本発明の一実施形態による超音波探傷装置による任意の2点間の距離計測方法の処理内容を示すフローチャートである。
【0073】
図8において、断面表示画面304では、検査者が計算機102Aに接続されたマウス102Fで任意の二点、例えば点305Aと点305Bを指定することにより、その二点間の距離306が断面表示画面304上に306の位置のような指定した点の近傍に表示される。点305Aと点305Bの指定方法は、前述のOpenGL等のグラフィックスAPIを用いて3次元探傷データや3次元形状データの点を指定する方法と同様である。
【0074】
図10のステップS31において、検査者は、マウス102Fで画面301A上で点305Aの位置をクリックする。
【0075】
すると、ステップS32において、CPU102A1は、クリックした点を含むある面積を持った微小領域内に含まれるピクセルの内、最もクリックした座標に近い点を、計算機のRAM102A2に読込む。
【0076】
同様にして、ステップS33,S34において、点305Bを選択し、その座標を読み込む。
【0077】
次に、ステップS35において、CPU102A1は、選択された二点の座標から距離を算出し、ステップS36において、画面に表示する。
【0078】
なお、これらの処理は、図8の画面302Aまたは画面303Aでも同様である。
【0079】
次に、図11を用いて、本実施形態による超音波探傷装置の他の構成について説明する。
図11は、本発明の一実施形態による超音波探傷装置の他の構成を示すシステムブロック図である。
【0080】
図1に示した例は、フェーズドアレイ法によって3次元探傷データが得られた場合を示しているが、本発明はフェーズドアレイ以外の方法,例えば、開口合成法によって得られた3次元探傷データにも適用できる。
【0081】
図11は、開口合成法による超音波探傷装置の構成を示している。
【0082】
本例の超音波探傷装置は、検査対象100に超音波を入射するアレイ型超音波センサ101と、送・受信部102と、受信信号及び探傷画像を表示する表示部103とから構成されている。
【0083】
アレイ型超音波センサ101は、図示のように、基本的には超音波を発生し受信する複数個の圧電振動素子104で構成される。アレイ型超音波センサ101は、検査対象100の探傷面に設置された後、送・受信部102から供給される駆動信号により超音波105Bを発生し、これを検査対象100内に伝播させ、これにより現れる反射波を検知して受信信号を送・受信部102に入力する。
【0084】
アレイ型超音波センサ101の個々の圧電振動素子104は、駆動信号制御部からパルサーを介して発せられる駆動信号により所要のタイミングで順次駆動され、圧電振動素子104から発生された超音波の反射波を、複数の圧電振動素子104で2次元的に受信し、受信信号は送・受信部102のレシーバ102Dに入力される。
【0085】
すなわち、アレイ型超音波センサ101の個々の圧電振動素子104は、圧電振動素子104の総数分の反射波をそれぞれ受信することになる。
【0086】
レシーバ102Dに入力された信号は、順次、データ収録部102Eに収録データとして収録され、収録データを用いて計算機102Aは各圧電振動素子104で得られた波形を開口合成によって3次元画像化処理し、表示部103に表示される。
【0087】
計算機102Aは、基本的にはCPU102A1と、RAM102A2と、ROM102A3とから構成されている。ROM102A3には、CPU102A1を制御するプログラムが書き込まれており、CPU102A1は、このプログラムに従ってデータ収録部102Eから必要とされる外部データを読込んだり、あるいは又RAM102A2との間でデータの授受を行ったりしながら演算処理し、必要に応じて処理したデータをデータ収録部102Eへ出力する。
【0088】
計算機102Aによる開口合成で生成された3次元探傷データ201を3次元形状データ202と共に表示し処理する方法は、図2〜図10にて説明した方法と同様の方法である。
【0089】
以上説明したように、本実施形態によれば、3次元形状データと3次元探傷データの相対的な表示位置を補正する位置補正機能を備えることで、3次元探傷データを3次元形状データと照らし合わせて形状エコーか欠陥エコーかを判別する作業が効率良く行われ、検査対象に対する欠陥の位置を容易に迅速に特定できる。
【0090】
また、3次元形状データと3次元探傷データの相対的な表示寸法を補正する寸法補正機能を備えることで、3次元探傷データを3次元形状データと照らし合わせて形状エコーか欠陥エコーかを判別する作業が効率良く行われ、検査対象に対する欠陥の位置を容易に迅速に特定できる。
【0091】
また、指定した範囲内にある3次元探傷データ内のデータ点の位置を、データ点の絶対値が大きい順に3次元表示部に表示することで、補正を行うための座標指定が容易となり、3次元探傷データを3次元形状データと照らし合わせて形状エコーか欠陥エコーかを判別する作業が効率良く行われ、検査対象に対する欠陥の位置を容易に迅速に特定できる。
【0092】
また、3次元形状データを作成するデータ作成手段を備えることで、3次元探傷データを3次元形状データと照らし合わせて形状エコーか欠陥エコーかを判別する作業が効率良く行われ、検査対象に対する欠陥の位置を容易に迅速に特定できる。
【0093】
また、3次元探傷データの任意の位置の切断面を示す平面が、3次元探傷データと共に3次元表示部に表示されるため、3次元探傷データを前記3次元形状データと照らし合わせて形状エコーか欠陥エコーかを判別する作業が効率良く行われ、検査対象に対する欠陥の位置を容易に迅速に特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態による超音波探傷装置の構成を示すシステムブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による超音波探傷装置による3次元探傷データと3次元形状データの位置補正方法の処理内容を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態による超音波探傷装置による3次元探傷データと3次元形状データの位置補正方法の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態による超音波探傷装置による3次元探傷データと3次元形状データの位置補正方法の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態による超音波探傷装置による3次元探傷データと3次元形状データの寸法補正方法の処理内容を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態による超音波探傷装置による3次元探傷データと3次元形状データの寸法補正方法の説明図である。
【図7】本発明の一実施形態による超音波探傷装置による3次元形状データの作成方法の処理内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態による超音波探傷装置による3次元形状データの作成方法の説明図である。
【図9】本発明の一実施形態による超音波探傷装置による3次元形状データの作成方法の説明図である。
【図10】本発明の一実施形態による超音波探傷装置による任意の2点間の距離計測方法の処理内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態による超音波探傷装置の他の構成を示すシステムブロック図である。
【符号の説明】
【0095】
100…検査対象
101…アレイ型超音波センサ
102…送・受信部
102A…計算機
102A1…CPU
102A2…RAM
102A3…ROM
102B…遅延時間制御部
102C…パルサー
102D…レシーバ
102E…データ収録部
102F…マウス
102G…キーボード
103…表示部
103A…波形表示部
103B…2次元表示画面
103C…3次元表示画面
104…圧電振動素子
105、105B…超音波
106…入射角度
201…3次元探傷データ
201A、201B、201C、201D…データ点
202…3次元形状データ
202A、202B、202C、202D…データ点
203…座標系
204…指定3次元領域
204A、204B、204C…選択候補点
301A…Z−X平面表示画面
302A…Y−Z平面表示画面
303A…X−Y平面表示画面
304…断面表示画面
305A、305B…点
306…二点間距離表示
307…外形
308…任意平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圧電振動子を備えた超音波センサと、該超音波センサの各圧電振動子に送信信号を供給するパルサーと、前記超音波センサの各圧電振動子素子から受信信号を入力するレシーバと、前記各圧電振動子毎に異なった遅延時間を前記送信信号と前記受信信号に設定する遅延制御部と、前記超音波センサで受信した超音波波形を収録するデータ収録部と、前記データ収録部で収録した波形から3次元探傷データを生成する画像処理用の計算機と、3次元形状データと前記3次元探傷データとを表示する3次元表示部とを有する超音波探傷装置であって、
前記計算機は、前記3次元形状データと前記3次元探傷データの相対的な表示位置を補正する位置補正手段を備え、
前記位置補正手段は、前記3次元探傷データ内の選択した複数の点と、前記点の各々に対応した前記3次元形状データ内の選択した複数の点とで定義される複数のベクトルから求まる平均ベクトルに沿って前記3次元探傷データまたは前記3次元形状データの表示位置を前記平均ベクトルのノルムだけ移動し、前記3次元表示部に、前記3次元形状データと前記3次元探傷データとを重ねて表示することを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波探傷装置において、
前記計算機は、前記3次元形状データと前記3次元探傷データの相対的な表示寸法を補正する寸法補正手段を備え、
前記寸法補正機能は、前記3次元探傷データ内の選択した二点の座標間の距離の絶対値と、前記3次元形状データ内の選択した二点の距離の絶対値とが一致するように、前記3次元探傷データと前記3次元形状データの相対的な表示寸法を補正することを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項3】
請求項1に記載の超音波探傷装置において、
前記位置補正手段は、前記3次元探傷データから複数の点を選択するにあたって、前記前記3次元探傷データに対して指定された範囲内にある前記3次元探傷データ内のデータ点を、前記データ点の絶対値が大きい順に前記3次元表示部に表示することを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項4】
請求項1に記載の超音波探傷装置において、
前記計算機は、前記3次元探傷データと重ねて表示させる3次元形状データを作成するデータ作成手段を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項5】
請求項1に記載の超音波探傷装置において、
前記計算機は、前記3次元探傷データの任意の位置の切断面を示す平面を、前記3次元探傷データと共に前記3次元表示部に表示することを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項6】
超音波センサで受信した複数の超音波波形から作成した3次元探傷データ内の選択した複数の点と、前記点の各々に対応した前記3次元形状データ内の選択した複数の点で定義される複数のベクトルから求まる平均ベクトルに沿って前記3次元探傷データまたは前記3次元形状データの表示位置を前記平均ベクトルのノルムだけ移動して表示することを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項7】
請求項6に記載の超音波探傷方法において、さらに、
超音波センサで受信した複数の超音波波形から作成した3次元探傷データ内の選択した二点の座標間の距離の絶対値と、3次元形状データ内の選択した二点の座標間の距離の絶対値の総和が一致するように、前記3次元探傷データと前記3次元形状データの相対的な表示寸法を補正することを特徴とする超音波探傷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−288129(P2009−288129A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142192(P2008−142192)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】