説明

超音波撮像のためのシステム及び方法

【課題】ボリュメトリック超音波撮像に関する改良型のシステム及び方法を提供する。
【解決手段】超音波撮像システム(100)の処理ユニット(116)は、関心対象ボリュームのボリュメトリックデータを収集させるように探触子(106)を制御するように構成されている。処理ユニット(116)は、ボリュメトリックデータの収集過程の間にプラナーデータを収集させるように探触子(106)を制御するように構成されている。処理ユニット(116)は、ボリュメトリックデータの収集過程の間にディスプレイ(118)上にプラナーデータに基づいた参照画像(404)を表示するように構成されている。処理ユニット(116)はさらに、ディスプレイ(118)上にボリュメトリックデータに基づいた画像(402)を表示するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は全般的には超音波撮像のためのシステム及び方法に関する。このシステム及び方法は、ボリュメトリックデータの収集過程の間にプラナーデータに基づいた参照画像を表示することを含む。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波撮像システムは、超音波ビームを送信し検査対象から反射したビームを受信するために超音波トランスジューサ素子からなるアレイを備える。印加する電圧の時間遅延(または、位相)及び振幅を選択することによって、個々のトランスジューサ素子を制御し、好ましいベクトル方向に伝播しそのビームに沿った選択した点に集束するような正味の超音波を形成するように合成される超音波を生成することが可能である。従来の超音波撮像システムはまた別の集束方針を用いることもある。例えば超音波撮像システムは、平面波を放出するようにトランスジューサ素子を制御することがある。同じ解剖学情報を示すデータを収集するために複数の発射を使用することがある。例えば各ビームの焦点を直前ビームの焦点に対してシフトさせて連続したビームを送信することによって、最大焦点の変化を提供するようにあるいは各発射ごとの受信データの内容を変化させるようにその発射のそれぞれに関するビーム形成パラメータを変動させることがある。印加するパルスの時間遅延(または、位相)を変化させることによって、その焦点をもつビームを対象を走査するように移動させることが可能である。
【0003】
同じ原理は、そのトランスジューサアレイが反射音響エネルギーの受信のために利用される場合にも当てはまる。受信素子位置に生成される電圧は、その正味信号が対象内の単一の焦点から反射された超音波を示すように足し合わされる。送信モードの場合と同様に、超音波エネルギーに関するこの集束式の受信は、各受信素子からの信号に対して与える遅延及び利得を異ならせることによって実現される。受信ビーム形成では、問題となる深度レンジに適するような集束を得るためにダイナミック方式でこれが実施される。
【0004】
4D超音波データを収集する能力をもつ従来の多くの超音波撮像システムは、2次元トランスジューサアレイ(本明細書の以下では、2Dトランスジューサアレイと呼ぶ)を含んでいる。この開示の目的では、2Dトランスジューサアレイとはトランスジューサ素子の中心点が1つの2次元パターンを形成するようなトランスジューサアレイを含むものと規定することにする。この2次元パターンは、幾つかの実施形態では湾曲した表面に従うことがある。これらのトランスジューサ素子は、2Dトランスジューサアレイ内で長さと幅の両方が寸法的に概ね同じであるか、あるいは別のアスペクト比を有することがある。さらに、2Dトランスジューサアレイは電子式の集束及びステアリングを有する。2Dトランスジューサアレイは典型的には、格子状に配列させた多数のトランスジューサ素子を備えており、この格子は正方形、矩形、6角形あるいは別の基本形を有することができる。2Dトランスジューサアレイ内の素子のタイミング及び振幅を制御することによって、送信された超音波ビームをアジマス方向と上下方向の両方向で同時にステアリングすることが可能である。このビーム制御はもちろん、選択した任意の座標系に由来することが可能である。2Dトランスジューサアレイを使用すると超音波トランスジューサまたは探触子の柔軟性を高めることが可能であり、またこれによりボリュメトリックデータの収集の正確さを高めることが可能である。
【0005】
ボリュメトリック超音波データの収集の間では、所望の関心対象ボリュームに関して十分なフレームレートと横方向分解能の両方を得ることは困難であることが多い。フレームレート及び/または横方向分解能を向上させるための一般的な方法は、ボリューム全体をサブボリュームの組として収集することである。サブボリュームの収集はECG信号などの生理学的信号に合わせてゲート動作させることがある。患者の心臓に関してゲート式のボリュメトリック超音波データを収集することには、主として2つの困難がある。第1の困難は、完全なデータボリュームの収集に複数の心拍サイクルを要することがあるため、オペレータが探触子を動かして正しいビュー及び良好なアクセスを探す際にディスプレイが表示するデータが整合しないことがある。オペレータが探触子を動かしても、ディスプレイ上に表示される画像は以前の探触子位置で収集されたサブボリュームから作成されたものであることがある。換言すると、ディスプレイ上の画像が探触子のリアルタイムの位置を正確に反映しないことがある。このためオペレータは、新たな探触子位置がより以前の1つまたは複数の探触子位置と比べて改善されたか否かを知ることが困難となることがある。第2の困難は、幾つかの心拍サイクルにわたって探触子及び/または心臓の位置が互いに動いている場合、その超音波データがアーチファクトを受けることがあることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7331927号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの理由やその他の理由から、ボリュメトリック超音波撮像に関する改良型のシステム及び方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上で言及した短所、欠点及び問題については、明細書の以下を読みかつ理解することによって了解されるようにして本明細書は対処している。
【0009】
一実施形態による超音波撮像の方法は、超音波撮像システムによって関心対象ボリュームのボリュメトリックデータを収集するステップを含む。本方法は、超音波撮像システムによってボリュメトリックデータの収集過程の間に関心対象ボリュームを通る面のデータを含むプラナーデータを収集するステップを含む。本方法は、ボリュメトリックデータの収集過程の間にプラナーデータに基づいた参照画像を表示するステップを含む。本方法はさらに、ボリュメトリックデータに基づいて画像を表示するステップを含む。
【0010】
別の実施形態による超音波撮像の方法は、超音波撮像システムによって関心対象ボリュームの複数のボリュメトリックデータ組を収集するステップを含む。本方法は、超音波撮像システムによって複数のボリュメトリックデータ組が収集される中間において関心対象ボリュームを通る面のデータを含むプラナーデータを反復して収集するステップを含む。本方法は、複数のボリュメトリックデータ組の収集過程の間にプラナーデータに基づいた参照画像を表示するステップを含む。
【0011】
別の実施形態による超音波撮像システムは、関心対象ボリュームを走査するように適応させた探触子と、ディスプレイと、該探触子及びディスプレイと電子的に連絡している、関心対象ボリュームのボリュメトリックデータを収集させるように探触子を制御するように構成された処理ユニットと、を含む。この処理ユニットは、ボリュメトリックデータの収集過程の間にそのボリュームを通る面のデータを含むプラナーデータを収集させるように探触子を制御するように構成されている。この処理ユニットはさらに、ボリュメトリックデータの収集過程の間にディスプレイ上にプラナーデータに基づいた参照画像を表示するように構成されている。
【0012】
本発明に関する様々な別の特徴、目的及び利点については添付の図面及びその詳細な説明から当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態による超音波撮像システムの概要図である。
【図2】一実施形態によるボリュメトリックデータとプラナーデータの両方を収集するためのタイムラインを表した概要図である。
【図3】一実施形態によるディスプレイのスクリーンショットを表した概要図である。
【図4】一実施形態によるボリュメトリックデータとプラナーデータの両方を収集するためのタイムラインを表した概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明では、実施し得る特定の実施形態を一例として示している説明の一部を形成する添付の図面を参照している。これらの実施形態は当業者による該実施形態の実施を可能とさせるように十分詳細に記述していると共に、別の実施形態も利用し得ること並びに該実施形態の趣旨を逸脱することなく論理的、機械的、電気的及び別の変更を実施し得ることを理解されたい。以下の詳細な説明はしたがって、本発明の範囲の限定と見なすべきではない。
【0015】
図1は、超音波撮像システム100の概要図である。超音波撮像システム100は、身体(図示せず)内にパルス状の超音波信号を放出するように探触子106内部のトランスジューサ素子104を駆動している送信ビーム形成器101及び送信器102を含む。探触子及びトランスジューサ素子に関する多種多様な幾何学構成が使用されることがある。このパルス状の超音波信号は血球や筋肉組織などの身体内の構造で後方散乱され、トランスジューサ素子104に戻されるエコーを発生させる。このエコーはトランスジューサ素子104によって電気信号または超音波データになるように変換されると共に、この電気信号は受信器108により受け取られる。幾つかの実施形態ではその探触子106は、送信及び/または受信ビーム形成の全部または一部を実施するための電子回路を包含することがある。例えば、送信ビーム形成器101、送信器102、受信器108及びビーム形成器110の全部または一部が探触子106の内部に据え付けられることがある。本開示において、超音波信号を送信及び受信する過程を通じてデータを収集することを示すために「走査」や「走査する」という用語を用いることがある。本開示において超音波撮像システムによって収集される1つのデータ組または複数のデータ組のいずれかを示すために「データ」という用語を用いることがある。受信したエコーを表す電気信号は超音波データを出力するビーム形成器110を通過させる。患者データの入力の制御、走査パラメータや表示パラメータの変更その他を含む超音波撮像システム100の操作を制御するためには、ユーザインタフェース115を使用することがある。
【0016】
超音波撮像システム100はさらに、送信ビーム形成器101、送信器102、受信器108及びビーム形成器110を制御するための処理ユニット116を含む。処理ユニット116は探触子と電子的に連絡させている。処理ユニット116は、トランスジューサ素子のうちのどれをアクティブにするか並びに探触子106から放出されるビームの形状を制御する。この処理ユニットはまたディスプレイ118と電子的に連絡させていると共に、処理ユニット116はディスプレイ118上への表示のためにデータを画像にするように処理することがある。処理ユニット116は一実施形態では、中央処理ユニット(CPU)を備えることがある。別の実施形態ではその処理ユニット116は、ディジタル信号プロセッサ、現場プログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、グラフィックボードなど処理機能を実行することが可能な電子構成要素を備えることがある。別の実施形態ではその処理ユニット116は、処理機能を実行することが可能な複数の電子構成要素を備えることがある。例えば処理ユニット116は、中央処理ユニット、ディジタル信号プロセッサ、現場プログラム可能ゲートアレイ及びグラフィックボードを含む一群の電子構成要素から選択される2つ以上の電子構成要素を備えることがある。別の実施形態ではその処理ユニット116はさらに、RFデータを復調して未処理データを作成する複素復調器(図示せず)を含むことがある。別の実施形態ではその復調を、処理チェーン内のもっと前で実行することが可能である。処理ユニット116は、そのデータに関する選択可能な複数の超音波モダリティに従って1つまたは複数の処理操作を実行するように適応させている。この超音波データはエコー信号を受信しながら走査セッション中にリアルタイムで処理されることがある。本開示の目的において「リアルタイム」という用語は意図的な遅延を伴うことなく実行される手順を含むものと規定する。例えば一実施形態は、7〜20フレーム/秒のリアルタイムフレームレートで画像を収集し表示することがある。しかし、このリアルタイムのフレームレートは表示させるための超音波データの各フレームの収集に要する時間の長さに依存することがある。したがって比較的大きなデータボリュームを収集する場合は、そのリアルタイムフレームレートはより遅くなることがある。したがって、ある種の実施形態ではリアルタイムフレームレートが20フレーム/秒よりかなり速い一方、別の実施形態ではリアルタイムフレームレートが7フレーム/秒より遅いことがある。この超音波情報は、走査セッションの間にバッファ(図示せず)内に一時的に保存され、ライブ動作またはオフライン動作でリアルタイム性がより低い処理を受けることがある。本発明の幾つかの実施形態は処理タスクを取り扱うために複数の処理ユニット(図示せず)を含むことがある。例えば第1の処理ユニットがRF信号の復調及びデシメーション(decimate)のために利用されることがある一方、第2の処理ユニットはそのデータを画像の表示前にさらに処理するために使用されることがある。別の実施形態では異なる配列の処理ユニットを用い得ることを理解されたい。
【0017】
超音波撮像システム100は、例えば10Hz〜30Hzなどのフレームレートでデータを連続して収集することがある。このデータから作成される画像は、同様のフレームレートでリフレッシュされることがある。別の実施形態は、異なるレートでデータを収集し表示することがある。例えば幾つかの実施形態は、そのボリュームサイズや意図する用途に応じて10Hz未満や30Hzを超えるフレームレートでデータを収集することがある。収集データの処理済みフレームを保存するためにメモリ120を含めている。例示的な実施形態ではそのメモリ120は、少なくとも数秒間分の超音波データフレームを保存するのに十分な容量をもつ。このデータフレームは、その収集順序や収集時刻に従ったその取り出しを容易にするような方式で保存される。メモリ120は、周知の任意のデータ記憶媒体を含むことがある。図1に示した超音波撮像システム100の処理ユニット116には、ECG122が取り付けられている。このECGは、患者に接続されることがあると共に、ゲート制御式のデータ収集の間に使用するために患者からの心臓データを処理ユニット116に提供する。
【0018】
任意選択では、本発明の実施形態をコントラスト剤を利用して実現させることがある。コントラスト撮像によれば、マイクロバブルを含む超音波コントラスト剤を用いた場合に身体内の解剖学構造や血流に関する強調画像が作成される。コントラスト剤を用いながらデータを収集した後の画像解析には、高調波成分と線形成分の分離、高調波成分の強調、並びに高調波成分の強調を利用した超音波画像の作成が含まれる。受信信号からの高調波成分の分離は適当なフィルタを用いて実行される。超音波撮像に関するコントラスト剤の利用については当業者によく知られており、したがってこれ以上詳細に記載しないことにする。
【0019】
本発明の様々な実施形態では、処理ユニット116による別のまたは様々なモード関連のモジュール(例えば、Bモード、カラードプラ、Mモード、カラーMモード、スペクトルドプラ、TVI、歪み、歪み率、その他)によってデータを処理して2Dや3D画像を形成することがある。例えば1つまたは複数のモジュールは、Bモード、カラードプラ、Mモード、カラーMモード、スペクトルドプラ、TVI、歪み、歪み率、及びこれらを組み合わせたもの、その他を作成することがある。この画像ビーム及び/またはフレームは保存されると共に、メモリ内にデータを収集した時点を示すタイミング情報が記録されることがある。このモジュールは例えば、画像フレームをビーム空間座標から表示空間座標に変換するための走査変換演算を実行するための走査変換モジュールを含むことがある。患者に対して手技を実施しながらメモリから画像フレームを読み取りその画像フレームをリアルタイムで表示するようなビデオプロセッサモジュールを設けることがある。ビデオプロセッサモジュールはこの画像フレームを、そこから画像を読み出し表示させる画像メモリ内に保存することがある。
【0020】
図2は、一実施形態によるボリュメトリックデータとプラナーの両方の収集に関するタイムラインを表した概要図である。図3のタイムラインにより示した方法は図1に示した超音波撮像システム100などの超音波撮像システムによって実施することができる。プラナーデータは、関心対象ボリューム内のある面の2次元データまたはデータスラブのいずれを含むこともある。プラナーデータは、関心対象ボリューム内の面か関心対象ボリュームの中を延びる面のいずれかに関する情報を包含している。例えば一実施形態ではそのプラナーデータは、関心対象ボリュームを超えた領域に関する情報を包含することがある。換言するとこのプラナーデータから、関心対象ボリュームを通過する断面と、関心対象ボリュームの境界の外部に延びる領域内の構造との両方を示すようなある面の画像が作成されることがある。図2のタイムラインに示した方法の技術的効果はボリュメトリックデータの収集過程の間に参照画像が表示されることである。
【0021】
図2を参照するとタイムライン300は、例示的な一実施形態によるボリュメトリックデータとプラナーデータの収集順序を示している。一実施形態では、ボリュメトリックデータは複数のボリュメトリックデータ組を含むことがあり、またプラナーデータは複数のプラナーデータ組を含むことがある。さらにこの例示的実施形態では、関心対象ボリュームに関するボリュメトリックデータが別々の4つのサブボリュームとして収集されることがある。このことは大きなボリュームを撮像する際に特に有用となり得る、というのはサブボリュームの各々に対応するボリュメトリックデータを全体ボリュームに対するボリュメトリックデータの収集に要する時間と比べてかなり短い時間で収集可能であることによる。「V」とラベル付けした矩形の各々はボリュメトリックデータ組を表しており、また「P」とラベル付けした矩形の各々はプラナーデータ組を表している。タイムライン300ではボリュメトリックデータ組にはさらに、「V」の後ろに「1」、「2」、「3」または「4」の数字を付けてラベル付している。この数字「1」、「2」、「3」または「4」は、ボリュメトリックデータ組を収集した当該のサブボリュームを示している。例えば、「1」とラベル付けしたボリュメトリックデータ組は第1のサブボリュームに対応し、「2」とラベル付けしたボリュメトリックデータ組は第2のサブボリュームに対応し、「3」とラベル付けしたボリュメトリックデータ組は第3のサブボリュームに対応し、また「4」とラベル付けしたボリュメトリックデータ組は第4のサブボリュームに対応する。これらのデータ組のすべてに対してはさらに、「P」または「V」の下に数字をラベル付している。「P」や「V」の下の数字は、収集の反復を示している。例えばボリュメトリックデータ組302にはV1;1のラベルを付けている。この「V」は、そのデータ組がボリュメトリックデータ組であることを示している。Vの後ろの「1」は、そのデータ組が第1のサブボリュームに関する情報を包含していることを示している。「V1」の下にある「1」は、そのボリュメトリックデータ組202が、第1のサブボリュームに関するボリュメトリックデータ組収集の第1の反復であることを示している。タイムライン300内のイベントに関する追加的な説明は以下で提供することにする。
【0022】
患者の第1の心拍サイクルの第1の部分の間に、第1のサブボリュームのボリュメトリックデータ組302が収集される。ボリュメトリックデータ組302の収集の後に、プラナーデータ組304が収集される。プラナーデータ組304の後で第1のサブボリュームのボリュメトリックデータ組306が収集される。次にプラナーデータ組308が収集され、この後で第1のサブボリュームのボリュメトリックデータ組310とプラナーデータ組312とが収集される。一実施形態ではその処理ユニット116(図1参照)は、第1の心拍サイクル全体にわたってボリュメトリックデータ組とプラナーデータ組の収集の間でその探触子を交替させるように制御する。図2に示した実施形態では、処理ユニット116は第1の心拍サイクルの間に第1のサブボリュームをカバーする20組のボリュメトリックデータ組と20組のプラナーデータ組とを収集させるように探触子106(図1参照)を制御する。第1の心拍サイクルの間に、その心拍サイクル中の異なる20回に第1のサブボリュームに関するボリュメトリックデータ組が収集される。さらに一実施形態では、ボリュメトリックデータ組の各々の後で更新されたプラナーデータ組が収集される。
【0023】
引き続き図2を参照すると、第2の心拍サイクルの間に第2のサブボリュームに関して20組の追加的なボリュメトリックデータ組が収集される。20組のボリュメトリックデータ組の各々の後でさらに、更新されたプラナーデータ組が収集される。一実施形態では、第2の心拍サイクルの間に収集されるプラナーデータ組は、第1の心拍サイクルの間に収集したプラナーデータ組と同じ面に関するデータを含む。処理ユニット116(図1参照)は、第2の心拍サイクルの間に第2のサブボリュームのボリュメトリックデータ組の収集とプラナーデータ組の収集とを交替させるように探触子を制御する。例えば、第2のサブボリュームのボリュメトリックデータ組318が収集され、続いてプラナーデータ組320が収集される。次に、第2のサブボリュームのボリュメトリックデータ組322が収集され、続いてプラナーデータ組324が収集される。次いで、第2のサブボリュームのボリュメトリックデータ組326が収集され、続いてプラナーデータ組328が収集される。第2のサブボリュームのボリュメトリックデータ組の収集とプラナーデータ組の収集とを交替させるこのパターンは、第2の心拍サイクルの間にボリュメトリックデータ組330及びプラナーデータ組332の収集が収集完了となるまで続けられる。
【0024】
第3の心拍サイクルの間にも第1及び第2の心拍サイクルに関して上に記載したのと同様の方式で、第3のサブボリュームに関する20組のボリュメトリックデータ組と20組のプラナーデータ組とが交互に収集される。すなわち処理ユニット116(図1参照)は、第3の心拍サイクルの間において第3のサブボリュームのボリュメトリックデータ組の収集とプラナーデータ組の収集とを交替させるように探触子106を制御する。図2に示した実施形態では、第3の心拍サイクルに示したボリュメトリックデータ組のすべてが第3のサブボリュームのボリュメトリック超音波データを包含している。同様に、第4の心拍サイクルの間でも先の3つの心拍サイクルに関して本明細書の上で記載したのと同様のパターンで、第4のサブボリュームの20組のボリュメトリックデータ組と20組のプラナーデータ組とが交互に収集される。
【0025】
例示的な一実施形態では、4心拍サイクルが終わると、4つのサブボリュームのすべてについて心拍サイクルの異なる20フェーズにおいてボリュメトリック超音波データが収集し終わる。一実施形態では、データ組の収集の間に患者にECGなどの心臓監視デバイスを取り付けることがある。処理ユニット116(図1参照)は、ECGからの信号を用いてボリュメトリックデータ組の各々の収集をゲート制御することがある。心臓監視デバイスを用いることによって処理ユニット116は、複数の心拍サイクルの間の概ね一貫したフェーズでのボリュメトリックデータ組の収集を保証することが可能である。当業者であれば、心臓などの関心対象ボリュームを完全にカバーできるように、別の実施形態では異なる数のサブボリュームが要求されることがあることを理解すべきである。当業者であれば4心拍サイクルが終わると、図2に示した実施形態に従った4つのサブボリューム全部を含む心臓の画像の作成及び表示が可能であることを理解されよう。さらに、ボリュメトリックデータがサブボリュームの各々に関して異なる20のフェーズで収集されているため、心臓フェーズに基づいてこれらのボリュメトリックデータを一緒に縫い合わせることによって、心臓全体の「ライブ」画像またはダイナミック画像を作成することが可能である。このダイナミック画像は、1つの心拍サイクル全体の間の複数のフェーズにおける心臓を示した1つのループを含むことがある。
【0026】
図2に示した実施形態では処理ユニット116は、最初の4つの心拍サイクルからなるパターンをその収集全体にわたって繰り返すようにしてボリュメトリックデータ組の収集を制御することがある。例えばタイムライン300は、第5の心拍サイクルの間において処理ユニット116は第1のサブボリューム(図2参照)のボリュメトリックデータ組が収集されるようにその収集を制御することを表している。一実施形態では、第5の心拍サイクルの間におけるデータの収集は第1の心拍サイクルにおける場合とまったく同じである。上で記載したように、最初の4心拍サイクルの後に、完全な1心拍サイクルにわたる心臓全体のダイナミック画像を示すのに十分なデータが存在している。第5の心拍サイクルの間には、第1のサブボリュームに関する追加的なボリュメトリックデータ組が収集される。第5の心拍サイクルの間に収集されるボリュメトリックデータ組はすべて第1の心拍サイクルの間に収集した同じサブボリューム(すなわち、第1のサブボリューム)を表しているが、これらは時間的には後の時点のものである。したがって一実施形態では、追加的なボリュメトリックデータ組が収集されるのに従って心臓のダイナミック画像を連続して更新することがある。例えば、第5の心拍サイクルの間に収集したボリュメトリックデータ組によって第1の心拍サイクルの間に収集したボリュメトリックデータ組に置き換えることがある。この方法では、追加的なボリュメトリック超音波データが収集される限りにおいて心臓のダイナミック画像を連続して更新させることがある。当業者であればダイナミック画像の連続方式での更新が望ましい場合に、図2に示した実施形態ではある時点のある1つのサブボリュームだけに更新済みデータを影響させることになることを理解すべきである。図2には最初の5つの心拍サイクルだけを示しているが、一実施形態ではボリュメトリックデータとプラナーデータのこの収集パターンをさらに多くの心拍サイクルにわたって連続し得ることを理解されたい。
【0027】
図2に示した実施形態では、ボリュメトリックデータ組の各々の後で1つのプラナーデータ組が収集される。プラナーデータ組は2次元データ組あるいはデータスラブのいずれかを含む一方ボリュメトリックデータ組は典型的には関心対象ボリュームに関する3次元データを包含するため、プラナーデータ組はボリュメトリックデータ組と比べて収集に要する時間をかなり短くすることができる。2次元データとスラブデータの両者は典型的には、診断で有用なサイズのボリュームまたはサブボリュームに関するボリュメトリックデータ組の収集と比べて要する時間がかなり短い。これらの理由からタイムライン300に示した方法では、プラナーデータ組をボリュメトリック超音波データの収集の中間で等間隔で収集していても、ボリュメトリック超音波データの収集に時間の大部分が費やされることがある。別の実施形態では、プラナーデータ組の各収集の中間で複数のボリュメトリックデータ組を収集することが望ましいことがある。
【0028】
図2に示した実施形態はプラナーデータを反復して収集することを含む。本明細書の上で検討したように、その面に関する超音波データは、ある収集全体にわたって同じ面について収集することがある。本開示の目的では、その面は超音波データの収集に使用される探触子の図1に示したトランスジューサ素子104などのトランスジューサ素子を基準として規定される。すなわちその面は、所与の時点で探触子が収集している全関心対象ボリュームを基準として空間的に規定される。換言すると、患者を基準として探触子を移動させた場合や患者の内部臓器が変位した場合、その面は異なる時点における異なる解剖領域を含むことになる。
【0029】
参照画像の作成に用いるプラナーデータは各ボリュメトリックデータ組の収集後に再収集することができるため、処理ユニット116(図1参照)は速いリフレッシュレートでその面の参照画像を作成すること(すなわち、参照画像をダイナミック画像とすること)が可能である。本開示の目的において「ダイナミック画像」という用語は、連続して表示される多くの個別画像またはフレームからなる画像を含むものと規定する。ダイナミック画像は、様々な実施形態では異なる速度でリフレッシュすなわち更新されることがある。ダイナミック画像の各画像またはフレームは、更新済みデータに基づいて新たなフレームが作成されたときにリフレッシュさせることがある。例示的な一実施形態では、その面の超音波データ組の各々に基づいて新たなフレームを作成することがある。このためダイナミック画像は、ある時間期間にわたって生じる任意の動きを示すために有用となり得る。図2の表した例では、その面の参照画像を1心拍サイクルあたり最大20回のリフレッシュレートとすることが可能である。これによって、その面に関する迅速に更新される参照画像を用いることによってユーザは、数心拍サイクルにわたる完全な関心対象ボリュームを収集しながら探触子106(図1参照)の位置に関するリアルタイムのフィードバックを得ることが可能である。別の実施形態ではその基準面は、基準面を収集するための消費時間を少なくするために各第2のサブボリュームの間に収集されることがあり得る。ボリュメトリック超音波データに関するより多くの時間がかかる収集の間にその面を等間隔で再収集することによれば、その面に関するリアルタイム更新の参照画像の作成及び表示が可能となる。超音波検査者やシステムのその他のユーザは、その面のダイナミック参照画像を用いて、ボリュメトリック超音波データの収集過程中に探触子位置を確認しかつ所望のボリュメトリックデータ組が収集されているか否かを確認することができる。
【0030】
別の実施形態では、複数の面に関する参照画像が収集されて表示されることがある。例えば、図2に示すように各心拍サイクル中に1つの面だけのプラナーデータを収集するのではなく、ボリュメトリックデータの収集過程の間に複数の面に対応するプラナーデータを収集することがある。例えば一実施形態では、第1の面に関する第1のプラナーデータと第2の面に関する第2のプラナーデータとを収集することがある。これによればユーザは、ボリュメトリック超音波データの収集中において追加的な情報を得るように第1の面の第1の参照画像と第2の面の第2の参照画像を観察することが可能となる。一実施形態は、第1の面に関する第1のダイナミック画像と第2の面に関する第2のダイナミック画像を2面ビューの一部として表示させることがある。第1の面及び第2の面は互いにある角度を成すように配置させることがある。若しくは、ある具体的な実施形態では、その第1の面と第2の面を互いに概ね直交させることがある。しかし処理ユニット116(図1参照)は、ある心拍サイクルにおける第1の面のプラナーデータの収集と別の心拍サイクル中の第2の面のプラナーデータの収集とを交替させるように探触子を制御することがある。
【0031】
さらに、別の実施形態の方法は、3枚以上の参照画像として表示される3つ以上の面に関するプラナーデータを収集することがある。当業者であれば、ボリュメトリックデータの収集とプラナーデータの収集を交互配置させる追加的な方法を当業者により企図できることを理解されよう。例えば超音波撮像システムは、ある面に関するプラナーデータの収集を別の面の場合と比べてより高速とさせることがある。さらに、例示的な実施形態は患者の心拍サイクルに関連するデータ収集について記載してきたが、別の実施形態ではボリュメトリックデータとプラナーデータの収集を別の生理学サイクルに合わせてゲート制御することもあり得ることを理解されたい。
【0032】
図2に示した実施形態は、心臓画像の表示を得るようにボリュメトリックデータをECGゲート制御式に収集する方法を表している。ボリュメトリックデータ組の各々の収集の中間でプラナーデータ組を収集することによれば、その面に関して関心対象ボリューム全体と比べてより高速で更新される参照画像を表示させることが可能である。本明細書の上に記載したようにこの面は、一実施形態では超音波探触子を基準として規定されることがある。したがって、探触子と所望の関心対象ボリュームの間の任意の相対的動きが、収集中にユーザにとって容易に明らかとなる。この面の参照画像を用いることによって、ボリュメトリックデータの収集中に探触子を正確に位置決めすることができる。参照画像の各フレームは、探触子を基準とした関心対象ボリュームを通る特定の断面に対応する。ユーザは、動きやアーチファクトの有無をチェックするためにその面が収集中のサブボリュームを通過するように面を位置決めすることがある。その面の参照画像は関心対象ボリュームの収集中に複数回更新されるため、この面の参照画像は超音波撮像システムのオペレータに対して有用なリアルタイムのフィードバックを提供することができる。オペレータはこの面の参照画像を用いて、ボリュメトリックデータの収集中に探触子106(図1参照)の探触子位置を確認することができる。オペレータはさらに、参照画像を用いてボリュメトリックデータの収集中にボリュメトリックデータの品質をチェックすることができる。例えば、その参照画像が解剖学的構造に関するある種の障害物または不正な像を示すことになった場合、オペレータには現在収集中のボリュメトリックデータがもはや有効でない可能性が高いことが分かることになる。別の実施形態ではその処理ユニット116は、ボリュメトリックデータから作成された画像を参照画像と比較することによってボリュメトリックデータの品質をチェックすることがある。例えばオペレータは、ある面の参照画像をボリュメトリックデータから作成した同じ面に関する画像と比較することがある。この2つの画像間に何らかの重大な差異があることは、ボリュメトリックデータに潜在的な問題があることを示唆することがある。さらに参照画像はボリューム全体の収集さらには表示を待つのと比べてかなり迅速にオペレータにこのフィードバックを提供するため、オペレータはかなり短い全体時間で適当な補正を実施することが可能である。したがってこの技法の利点の1つは、オペレータが検査を首尾よく完了するのに要する時間の削減を含むことができ、一方これにより患者の快適性の向上を得ることができる。
【0033】
図3は、一実施形態によるディスプレイのスクリーンショット400の概要図である。このディスプレイは、図1に示した超音波撮像システム100などの超音波撮像システムの一部とすることがある。スクリーンショット400は画像402を含む。画像402はボリュメトリック超音波データから作成される。一実施形態ではその画像402はダイナミック画像を備えることがある。走査の間に使用する際に、画像402が占める区域は、追加的なボリュメトリックデータ組が収集されるに従って変化するダイナミック画像を表示させることがある。あるいは、別の実施形態ではその画像402は、以前に収集されてメモリ内に保存しておいたフレームの静的ループを表示させることがある。スクリーンショット400はさらに、第1の参照画像404及び第2の参照画像406を含む。一実施形態ではその第1の参照画像404は、関心対象ボリューム内部の第1の面の第1のダイナミック画像を備えることがある。第2の参照画像406は、関心対象ボリューム内部の第2の面の第2のダイナミック画像を備えることがある。第1の参照画像404と第2の参照画像406はいずれも、第1の面及び第2の面に関する追加的なデータ組が収集されるに従ってリフレッシュすることがある。図3に示した実施形態では第1の参照画像404は、第2の面412と概して直交する第1の面410を表示させることがある。あるボリュームに関する第1の面410と第2の面412の相対的位置を、基準アイコン408によって示すことがある。別の実施形態では、ディスプレイ上に1枚の画像と1枚または複数枚の参照画像とを異なって配列させることがある。さらにディスプレイは、ボリュメトリックデータから作成された画像を表示するのに十分なボリュメトリックデータを収集し終える前の時間期間は参照画像だけを表示させることがある。
【0034】
図4は、一実施形態によるボリュメトリックデータとプラナーデータの両方の収集に関するタイムラインを表した概要図である。タイムライン500に示した方法に従ってデータを収集するためには、超音波撮像システム100などの超音波撮像システム(図1参照)を使用することがある。タイムライン500に示した方法の技術的効果は、ボリュメトリックデータの収集過程の間にプラナーデータが収集されることである。
【0035】
図4を参照すると、タイムライン500内の矩形は図2のタイムライン300内の矩形と同じ方法でコード付けしてある。しかし図4の矩形では、図2で用いた記号に加えてさらに、各矩形の底部に「B」または「C」を示している。「B」はBモードデータ組を意味しており、また「C」はカラーフローデータ組を意味している。Bモードとカラーフローモードの両者が超音波撮像モードの例である。これ以降において、タイムライン300に示したデータ組のタイプを明瞭にさせるのに役立てるように「カラーフロー」及び「Bモード」という用語を使用することがある。しかし別の実施形態では追加的な超音波撮像モードでデータを収集することがあることを理解されたい。
【0036】
一実施形態では、先ずボリュメトリックデータ組502が収集される。ボリュメトリックデータ組502は、心臓全体を含むボリュームに関するBモードデータを備える。ボリュメトリックデータ組502の収集後に、プラナーデータ組504が収集される。プラナーデータ組504は、面に関するカラーフローデータを備える。第1の心拍サイクルの間に、Bモードボリュメトリックデータ組(ボリュメトリックデータ組502など)とカラーフロープラナーデータ組(プラナーデータ組504など)とが交替式で収集される。タイムライン500に示した実施形態では第1の心拍サイクルの間に、20組のBモードボリュメトリックデータ組と20組のカラーフロープラナーデータ組とが収集される。したがって、第1の心拍サイクルの終了時点で、心臓に関して異なる20の心臓フェーズにおけるBモードデータが収集済みとなっている。同様に、異なる20の心臓フェーズにおけるカラーフロープラナーデータが収集済みとなっている。図4の実施形態は20組のボリュメトリックデータ組と20組のプラナーデータ組の収集について図示しているが、別の実施形態では1心拍サイクル中に異なる数のデータ組を収集することがあることを理解されたい。カラーフローボリュメトリックデータ組の各々の収集に要する時間もまた、単一の心拍サイクル中に収集されるデータ組の総数に影響を及ぼすことがある。例えば、収集ボリュームのサイズがより大きい場合は、各ボリュメトリックデータ組は収集により長い時間を要することがある。したがって、第1の心拍サイクルの間に収集するボリュメトリックデータ組の数をより少なくすることのみが可能となる。逆に、収集ボリュームのサイズがより小さい場合は、第1の心拍サイクルの間に収集されるボリュメトリックデータ組の数が実質的に20組を超えることが可能である。
【0037】
第2の心拍サイクルの間に、ボリュメトリックデータ組506が収集される。ボリュメトリックデータ組506は、関心対象ボリュームの第1のサブボリュームのカラーフローデータを備える。ボリュメトリックデータ組506の収集後に、プラナーデータ組508が収集される。プラナーデータ組508は、プラナーデータ組504内に含まれる同じ面に関するBモードデータを備える。次に、プラナーデータ組510を収集することがある。プラナーデータ組510は、プラナーデータ組504及び508内に含められた同じ面に関するカラーフローデータを備える。図4に示した実施形態では、第2の心拍サイクルの残りの期間に同じパターンに従って追加的なデータ組が収集される。すなわち、第1のサブボリュームのカラーフローボリュメトリックデータ組(例えば、ボリュメトリックデータ組506)、続いてBモードプラナーデータ組(例えば、プラナーデータ組508)、続いてカラーフロープラナーデータ組(例えば、プラナーデータ組510)というパターンでデータが収集される。タイムライン500に示した実施形態では、第2の心拍サイクルの間にこのパターンが20回繰り返される。第2の心拍サイクルの終了時点で、第1のサブボリュームに関する20組のカラーフローボリュメトリックデータ組(ボリュメトリックデータ組506)が第1のサブボリュームについて収集し終わっている。さらに、プラナーデータ組508などの20組のBモードプラナーデータ組と、プラナーデータ組510などの20組の追加的なカラーフロープラナーデータ組が収集し終わっている。第2の心拍サイクル中のボリュメトリックデータの収集過程の間に、Bモードとカラーフローのプラナーデータの両方が収集される。図4は単に、第1のプラナーデータ及び第2のプラナーデータの収集をボリュメトリックデータの収集と交互配置させる一方法を示したものであることに留意すべきである。
【0038】
第3の心拍サイクルの間に、ボリュメトリックデータ組514が収集される。ボリュメトリックデータ組514は、関心対象ボリュームの第2のサブボリュームのカラーフローデータを備える。一実施形態ではその第2のサブボリュームは、患者の心臓の概ね半分を備えることがあり、また第1のサブボリュームと第2のサブボリュームの組み合わせによって患者の心臓全体がカバーされることがある。第1のボリュメトリックデータ組514の収集後に、プラナーデータ組516が収集される。プラナーデータ組516は第2の心拍サイクルの間に収集しているプラナーデータ組内に含めたのと同じ面に関するものとすることがある。次に、プラナーデータ組518が収集される。プラナーデータ組518はこの面のカラーフローデータ組を備える。図4に示した実施形態では、第3の心拍サイクルの残りの期間中に同じパターンに従って追加的なデータ組が収集される。すなわち、第2のサブボリュームのカラーフローボリュメトリックデータ組(例えば、ボリュメトリックデータ組514)、続いてBモードプラナーデータ組(例えば、プラナーデータ組516)、続いてカラーフロープラナーデータ組518というパターンでデータが収集される。タイムライン500に示した実施形態では、このパターンが第3の心拍サイクルの間に20回繰り返される。したがって第3の心拍サイクルの間に、第1のサブボリュームの20組のカラーフローボリュメトリックデータ組が収集され、当該面の20組のBモード超音波データ組が収集され、さらに当該面の20組のカラーフロー超音波データ組が収集される。
【0039】
一実施形態では、タイムライン500に示した方法は第2と第3の心拍サイクルに示した収集パターンを第3の心拍サイクル後に複数回繰り返すことがある。例えば第4の心拍サイクルの間に、第2の心拍サイクルの場合と同じパターンでデータを収集することがある。次いで第5の心拍サイクルの間において、第3の心拍サイクルの場合と同じパターンでデータを収集することがある。したがって多数の心拍サイクルの後に本方法は、異なる複数の心拍サイクルの間における第1のサブボリュームと第2のサブボリュームの両方に関する複数のカラーフローボリュメトリックデータ組を収集し終えていることになる。さらに、カラーフロープラナーデータ及びBモードカラーフローデータの収集は、カラーフローボリュメトリックデータの収集と交互配置とされることになる。
【0040】
さらに図4を参照すると処理ユニット116(図1参照)は、第1の心拍サイクルの間に収集したプラナーデータに基づいた参照画像を表示することがある。この参照画像は、ある面に関するカラーフローデータを示すダイナミック画像とすることがある。この参照画像は、第1の心拍サイクル中でボリュメトリックデータ組が収集されている間に追加的なプラナーデータ組が収集されるに従ってリアルタイムで更新されることがある。第1の心拍サイクルの間には、ボリューム全体に対するBモードボリュメトリックデータが収集される。第1の心拍サイクルの間にボリュメトリックデータに基づくダイナミックBモード画像を表示させることがある。当業者であれば、追加的なプラナーデータ組及びボリュメトリックデータ組が収集されるに従って参照画像とボリュメトリックデータに基づく画像の両方がリアルタイムで更新されることがあり得ることを理解されよう。ユーザは、後続の心拍サイクル中に所望のカラーフローデータを捕捉できるような探触子の適正な配置を保証するために、第1の心拍サイクル内にボリュメトリックデータから作成された画像とプラナーデータから作成された参照画像とを用いることがある。上述のようにプラナーデータはカラーフローデータを備えており、したがってユーザは、探触子及び関心対象ボリュームの箇所に関する追加的なチェックとしてその面のカラーフローデータを示した参照画像を利用することが可能である。
【0041】
第2の心拍サイクルの間に収集されるボリュメトリックデータは第1のサブボリュームのカラーフローデータである。図4を参照しながら説明する実施形態では、第2のサブボリュームに関するボリュメトリックデータは第3の心拍サイクルまで収集されない。したがって、心臓全体に関して20フェーズすべてにおいてカラーフローボリュメトリックデータを収集するには、少なくとも2心拍サイクルを要することになる。フローフレームレート(ボリュームレート)あるいはフロー品質を改善させるには、カラーフロー画像の表示前に各フェーズにおいて2〜7組のカラーフローボリュメトリックデータ組を収集することが望ましいことがある。しかし、本方法ではボリュメトリックデータの収集過程の間にカラーフロープラナーデータ及びBモードプラナーデータを収集しているため、Bモード参照画像及びカラーフロー参照画像を表示することがある。Bモード参照画像とカラーフロー参照画像の両方共をリアルタイムで更新されるダイナミック画像とすることがある。オペレータは、上で言及したように数心拍サイクルを要することがあるボリュメトリックデータの収集中における探触子位置を確認するために参照画像を用いることがある。オペレータは、探触子がもはや正しく位置決めされていない場合に、数心拍サイクルして収集ボリュメトリックデータが意図した撮像目標からのものでなかったことを知るのを待つことなく、参照画像をチェックすることによってリアルタイムのフィードバックが得られることになる。さらにオペレータには、ある面のBモード画像を示した参照画像とその面のカラーフロー画像を示した概ね同じ時点における第2の参照画像とを観察するという利点を得ることができる。Bモード参照画像は解剖学的構造をより明瞭に表示できる一方、カラーフロー画像はカラーフローボリュメトリックデータが意図した流体の動きを捕捉しているのを保証するために使用することができる。
【0042】
別の実施形態では、関心対象ボリュームを通る異なる2つ以上の面に関してプラナーデータが収集されることがある。例えばボリュメトリックデータの収集過程の間に、第1の面に関する第1のプラナーデータが収集されることがあり、かつ第2の面に関する第2のプラナーデータが収集されることがある。第1のプラナーデータに基づいた第1の参照画像と第2のプラナーデータに基づいた第2の参照画像とは、探触子の目下の位置に関する追加的な把握を得るためにオペレータによって用いられることがある。一実施形態ではその第1の面が第2の面を基準として概して直交する角度に配置されることがある。さらに、第1の参照画像と第2の参照画像を、従来の2面モードの間に使用されたのと同様の2面ビューで表示させることがある。
【0043】
図4に関連して記載した方法は、第1の超音波撮像モードと第2の超音波撮像モードとしてそれぞれBモードとカラーフローを含む。ボリュメトリックデータ組とプラナーデータ組の両方が、Bモードである第1の超音波撮像モードとカラーフローである第2の超音波撮像モードとを含む。別の実施形態はBモードとカラーフロー以外の超音波撮像モードを含むことがある。
【0044】
別の実施形態は、図4に示したパターンと異なる超音波データ組の収集パターンを用いることがあることを理解されたい。例えばそのプラナーデータ組がより低速またはより高速で収集されることがある。ボリュメトリックデータから作成した画像と比べて参照画像がより速い速度でリフレッシュされている限り、ボリュメトリック超音波データの収集における探触子位置の確認に参照画像は有用となり得る。さらに別の実施形態は、ボリュメトリックデータ組とプラナーデータ組の収集を別の方式で交互配置させることがある。
【0045】
この記載では、本発明(最適の形態を含む)を開示するため、並びに当業者による任意のデバイスやシステムの製作と使用及び組み込んだ任意の方法の実行を含む本発明の実施を可能にするために例を使用している。本発明の特許性のある範囲は本特許請求の範囲によって規定していると共に、当業者により行われる別の例を含むことができる。こうした別の例は、本特許請求の範囲の文字表記と異ならない構造要素を有する場合や、本特許請求の範囲の文字表記と実質的に差がない等価的な構造要素を有する場合があるが、本特許請求の範囲の域内にあるように意図したものである。
【符号の説明】
【0046】
100 超音波撮像システム
101 送信ビーム形成器
102 送信器
104 トランスジューサ素子
106 探触子
108 受信器
110 ビーム形成器
115 ユーザインタフェース
116 処理ユニット
118 ディスプレイ
120 メモリ
122 ECG
300 タイムライン
302 ボリュメトリックデータ組
304 プラナーデータ組
306 ボリュメトリックデータ組
308 プラナーデータ組
310 ボリュメトリックデータ組
312 プラナーデータ組
318 ボリュメトリックデータ組
320 プラナーデータ組
322 ボリュメトリックデータ組
324 プラナーデータ組
326 ボリュメトリックデータ組
328 プラナーデータ組
330 ボリュメトリックデータ組
332 プラナーデータ組
400 スクリーンショット
402 画像
404 第1の参照画像
406 第2の参照画像
408 基準アイコン
410 第1の面
412 第2の面
500 タイムライン
502 ボリュメトリックデータ組
504 プラナーデータ組
506 ボリュメトリックデータ組
508 プラナーデータ組
510 プラナーデータ組
514 ボリュメトリックデータ組
516 プラナーデータ組
518 プラナーデータ組

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関心対象ボリュームを走査するように適応させた探触子(106)と、
ディスプレイ(118)と、
前記探触子(106)及びディスプレイ(118)と電子的に連絡した処理ユニット(116)であって、
関心対象ボリュームのボリュメトリックデータを収集させるように探触子(106)を制御すること、
ボリュメトリックデータの収集過程の間に関心対象ボリュームを通る面のデータを含むプラナーデータを収集させるように探触子(106)を制御すること、
ボリュメトリックデータの収集過程の間にディスプレイ(118)上にプラナーデータに基づいた参照画像(404)を表示すること、
ディスプレイ(118)上にボリュメトリックデータに基づいた画像(402)を表示すること、
を行うように構成された処理ユニット(116)と、
を備える超音波撮像システム(100)。
【請求項2】
前記参照画像(404)は当該面の画像を含む、請求項1に記載の超音波撮像システム(100)。
【請求項3】
前記処理ユニット(116)はさらに、ボリュメトリックデータの収集過程の間に第2のプラナーデータを収集させるように探触子(106)を制御するように構成されており、該第2のプラナーデータは関心対象ボリュームを通る当該面と異なる第2の面のデータを含む、請求項1に記載の超音波撮像システム(100)。
【請求項4】
前記第2の面は当該面に対してある角度をもって位置決めされている、請求項3に記載の超音波撮像システム(100)。
【請求項5】
前記処理ユニット(116)はさらに、参照画像(404)と概ね同じ時点でディスプレイ(118)上に第2のプラナーデータに基づいた第2の参照画像(406)を表示するように構成されている、請求項3に記載の超音波撮像システム(100)。
【請求項6】
前記処理ユニット(116)はさらに、当該面を含むデータスラブを反復して収集することによってプラナーデータを収集させるように探触子(106)を制御するように構成されている、請求項1に記載の超音波撮像システム(100)。
【請求項7】
前記処理ユニット(116)はさらに、プラナーデータの収集とボリュメトリックデータの収集を交互配置させるように探触子(106)を制御するように構成されている、請求項1に記載の超音波撮像システム(100)。
【請求項8】
関心対象ボリュームを走査するように適応させた探触子(106)と、
ディスプレイ(118)と、
前記探触子(106)及びディスプレイ(118)と電子的に連絡した処理ユニット(116)であって、
関心対象ボリュームの複数のボリュメトリックデータ組を収集させるように探触子(106)を制御すること、
複数のボリュメトリックデータ組の収集の中間に関心対象ボリュームを通る面のデータを含むプラナーデータを反復して収集させるように探触子(106)を制御すること、
複数のボリュメトリックデータ組の収集過程の間にディスプレイ(118)上にプラナーデータに基づいた参照画像(404)を表示すること、
を行うように構成された処理ユニット(116)と、
を備える超音波撮像システム(100)。
【請求項9】
前記複数のボリュメトリックデータ組の各々は生理学的信号に合わせてゲート制御されている、請求項8に記載の超音波撮像システム(100)。
【請求項10】
前記処理ユニット(116)はさらに、当該面を含むデータスラブを反復して収集することによってプラナーデータを収集させるように探触子(106)を制御するように構成されている、請求項8に記載の超音波撮像システム(100)。
【請求項11】
参照画像(404)と概ね同じ時点で複数のボリュメトリックデータ組に基づいた画像(402)を表示することをさらに含む、請求項8に記載の超音波撮像システム(100)。
【請求項12】
前記処理ユニット(116)はさらに、プラナーデータ収集の各反復の中間において前記複数のボリュメトリックデータ組のうちの2つ以上を収集するように構成されている、請求項8に記載の超音波撮像システム(100)。
【請求項13】
前記処理ユニット(116)はさらに、前記関心対象ボリュームを超えた範囲のプラナーデータを収集させるように探触子(106)を制御するように構成されている、請求項8に記載の超音波撮像システム(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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