説明

超音波洗浄装置及び該装置を備えた家電機器

本発明は、開口部(7)を含んだボディ(2,3)と、超音波信号発生器によって生成された超音波信号を受信する超音波トランスデューサ(4)と、前記超音波トランスデューサ(4)に接合された超音波放射面(6)によって構成されている、繊維製品の処理のための超音波洗浄装置に関している。この超音波洗浄装置は、対象に接触するか若しくは至近距離まで接近する超音波放射面(6)を検出し、かつ超音波放射面(6)と対象との非接触状態若しくは至近距離までの非接近状態の検出に基づいて超音波トランスデューサ(4)の作動を停止するか若しくはその放射レベルを低減するように制御装置(16,32)が適合化されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品を処理する超音波洗浄装置に関しており、より具体的には超音波洗濯機、及びそのような超音波洗浄装置を有する家電機器に関している。
【0002】
背景技術
特開2002−191892号公報及び特開2003−53084号公報の両文献からは、パイプ状のボディを有し、ハンディ機器として機能する超音波洗浄装置が開示されている。この開口部はボディ先端部に形成されており、そこでは超音波ホーンの超音波ビームを発する面が当該開口部内に設けられている。この超音波放射面の開口側には超音波トランスデューサが設けられており、このトランスデューサが超音波をそこに接合されたホーンに発している。さらにこのボディ内にはトランスデューサを駆動するための超音波発生器とこの超音波発生器に給電するための蓄電池が設けられている。
【0003】
本発明の課題は、装置の操作上の安全性をさらに向上させた超音波洗浄装置と該装置を備えた家電機器の提供にある。
【0004】
前記課題は、請求項1及び12の特徴部分に記載された本発明によって解決される。又本発明の有利な実施例は従属請求項に記載される。
【0005】
請求項1による超音波洗浄装置は、超音波トランスデューサとこの超音波トランスデューサに接合された超音波放射面を有しており、これらはどちらもボディ内に配設されている。例えば超音波放射面はホーンの前面にあり、このホーン自体は超音波トランスデューサに接合されている。このホーンは高い超音波振幅が超音波放射面から発生するように超音波振動を伝播している。超音波放射面はボディ開口部に配設されており、その作動位置は開口部のレベルに配置されるか、開口部からわずかに突出するか、開口面からわずかに後退して配置される。本発明によれば制御装置が設けられており、この制御装置は超音波放射面が処理しようとする対象に接触するかそれに至近距離まで接近したときだけに超音波がかけられるようにコントロールしている。この超音波の発生は、超音波放射面が洗浄すべき対象に接触、若しくは至近距離に接近していないときには中断される。超音波放射面が洗浄すべき対象から離れたときにはこの制御装置によって超音波トランスデューサの作動がスイッチオフされるか少なくともそのパワーが大幅に低減される。それによりユーザーの耳やその他の身体部位への超音波の不所望な放射が避けられる。
【0006】
有利には当該の超音波洗浄が、処理すべき繊維製品への液体供給を介して行われる。この液体は超音波洗浄装置の使用前に繊維製品に供給されるか若しくは有利には超音波洗浄装置内の液体容器から供給され、あるいは洗浄液を供給する本体装置から超音波洗浄装置に接続されたホースを介して供給されてもよい。この洗浄液は水であってもよいし、当該超音波洗浄能力を向上させるのに役立つ洗浄剤であってもよい。
【0007】
別の有利な実施例によれば、この超音波洗浄装置が動きに制約のないハンディタイプの装置である。それに応じてこの超音波洗浄装置のボディは少なくとも部分的に把持要素として形成されている。
【0008】
本発明のさらに別の実施例によれば、スイッチがボディ開口部かこの開口部近傍に設けられ、当該開口部が繊維製品と接触すると同時にスイッチが作動して超音波トランスデューサが超音波を発生できるように構成されている。この実施例では超音波放射面が定常的にボディ開口部またはその近傍に配設される。
【0009】
代替的な実施例によれば、ボディ先端部が可動式にボディ本体に配設されており、このような先端部の動きによって超音波放射面がボディ内側からボディ開口部へ進出する。制御装置はボディ先端部の作動位置を検知し、この位置において超音波トランスデューサを活動化させる。有利にはこのボディ先端部は超音波放射面を横方向に取り囲んでおり、それによって作動中に超音波が超音波放射面若しくは超音波トランスデューサから後方や側方方向に発せられることはない。
【0010】
有利には前記ボディ先端部は、超音波放射面がボディ先端部内の後退位置におかれるように当該ボディ先端部をボディ本体から押し離すバイアス要素によってバイアスされている。このバイアス要素のバイアス力は少なくとも、ボディ本体超音波洗浄装置の開口部が上方に向けられたたときにボディ先端部がボディ本体の方へ移動するのを防ぐのに十分な強さである。
【0011】
さらに別の実施例によれば、超音波トランスデューサと超音波放射面がボディ内部に可動に配設される。それにより超音波放射面は作動のためにボディ内側からボディ開口部へ移動可能となる。有利には制御装置は、超音波トランスデューサの作動開始時点で開口部に配置される超音波放射面を検出する。
【0012】
以下では本発明の有利な実施例の詳細を図面に基づいて詳細に説明する。この場合
図1は本発明によるハンディタイプの超音波洗浄装置の第1実施例であり、図2は超音波洗浄装置の第2実施例を示した図である。
【0013】
実施例
図1には、超音波洗浄装置(超音波クリーナー)1の第1実施例の断面図が示されている。この超音波クリーナー1はボディ本体2の外側面がユーザーによって把持される。このボディ本体2の下方側端部には図1に示されているようにシールドメンバー3がボディ本体2内にスライド収容されている。圧電トランスデューサ4はホーン5に接合されてこのボディ本体2内に取付けられている。ホーン5の端面側では、超音波が放射面6から放射される。このホーン5の端部は超音波振動振幅の供給のためにテーパー状に形成されている。
【0014】
シールドメンバー3は開口部7を有しており、この開口部7に隣接するシールドメンバー3先端部分が洗浄すべき繊維製品に接触した場合には当該シールドメンバーは軸方向でボディ本体2内にスライド収容される。シールドメンバーが繊維製品に接触している間にユーザーがボディ本体2を押し下げると、シールドメンバー3は開口部7において放射面6が繊維製品に接触するまで内側に押し込まれる。この位置においてはマイクロスイッチ16のレバーがシールドメンバー3の内方側端部における突起21によって押し下げられる。
【0015】
超音波クリーナー1はホース10を介して洗濯機、乾燥機、又は予備洗い機(図示せず)などの本体機器に接続されており、これらは圧電トランスデューサ4に対するトランスデューサ駆動信号や繊維製品の洗浄のための洗浄液を供給している。本体機器からの電気的な波形信号は、第1の線路11を介して超音波を発生させたいときにユーザーによって操作されるプッシュボタン15に伝送されている。このプッシュボタン15は第1の線路13を介してマイクロスイッチ16に直列接続されており、マイクロスイッチ16は第4の線路14を介して圧電トランスデューサ4の第1の金属化された面に接続されている。圧電トランスデューサ4の第2の金属化された面は第2の線路12に接続されており、該第2の線路12はホース10にフィードバックしている。第1及び第2の線路11,12は、ホース10を通って前述した本体機器(洗濯機、乾燥機、予備洗い機)の電気的な超音波信号発生器が配設されている箇所に引き出されている。
【0016】
シールドメンバー3とボディ本体2の間で圧縮力が与えられていない場合には、ボディ本体2とシールドメンバー3の内側端部との間で渦巻きばね20がシールドメンバー3をその最も外側の位置へ押し付けている。そこではシールドメンバー3のそれ以上の移動が、ボディ本体2の環状の前縁の内側へ突出したレッジ22によって止められている。
【0017】
ホース10を介して超音波クリーナー1に接続されている本体機器には、超音波発生器から圧電トランスデューサ4への電流を検出する電流検出器が設けられている。この電流が検出されると同時に、すなわちプッシュボタン15とマイクロスイッチ16がそれらの電気的なコンタクトに接近する同時に本体機器内の洗浄剤供給のための液体用ポンプが作動され、洗浄剤がホース内へ配置されたコンジット25を通って当該コンジット25先端のノズルに送出される。液体噴射口26はノズルから開口部7へ向けて当該超音波クリーナーを用いて洗浄する繊維製品を湿らせるために液剤を噴射する。
【0018】
図2には第2実施例としての超音波クリーナー30の断面図が示されている。同じ参照番号を有する類似の要素と圧電トランスデューサ4の駆動機能及びコンジット25からの液剤噴射の活動化は図1の第1実施例と同じように行われる。
【0019】
超音波クリーナー30内ではトランスデューサ4とホーン5が、ボディ本体31内に設けられているスリーブ35内を摺動可能に収容されている。レバー38は圧電トランスデューサ4に接続されており、これはスリーブ35とボディ31内の第1及び第2のスリット36,37をそれぞれ貫通している。ユーザーは、レバー38を押し下げることによって放射面6を備えたホーン5とトランスデューサ4を押し下げることが可能である。レバー38に何らかの力が何も与えられていないときには、トランスデューサ4とホーン5がトランスデューサ4後端部に接合されたスプリング33の引張りフォースによってボディ31内へ引き戻される。ユーザーがレバー38を押し下げた場合には、ホーンとトランスデューサが開口部34の方向に向けて下方へ摺動し、そこではボディ31の先端部が洗浄すべき繊維製品に接触する。放射面6がそのローレベル位置(つまり繊維製品に接触する位置)にあるときには、レバー38はマイクロスイッチ32のコンタクトを閉じるレバーに接触する。この位置では第1の線路11によって転送された超音波信号が線路14を介して圧電トランスデューサ4の第1導電面に直接的につながる。前述したようにトランスデューサの第2の金属化面は第2線路12を介して本体機器(図示せず)内の発生器に接続されている。
【0020】
図示はしてないが別の変化実施例によれば、超音波信号発生器はボディ本体2内に配設されていてもよいし、さらに別の変化実施例によれば、超音波信号発生器のための電源もボディ本体2内に配設してもよい。この実施例は洗浄液がしみのついた繊維製品に別個に供給されるケースにおいて当該超音波洗浄装置をホース10なしのスタンドアローンデバイスとして使用ならしめる。さらに別の変化実施例によれば、洗浄液の容器が超音波洗浄装置のボディ本体内に設けられ、それによって洗浄液がそこから繊維製品に供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による超音波洗浄装置の第1実施例を示した図
【図2】本発明による超音波洗浄装置の第2実施例を示した図
【符号の説明】
【0022】
1 超音波洗浄装置(超音波クリーナー)
2 ボディ本体
3 シールドメンバー
4 圧電トランスデューサ
5 ホーン
6 放射面
7 開口部
10 ホース
11 第トランスデューサ第2線路
13 第3線路
14 第4線路
15 プッシュボタン
16 マイクロスイッチ
20 渦巻きばね
21 突起
22 レッジ
25 コンジット
26 液体噴射口
30 超音波クリーナー
31 ボディ
32 スイッチ
33 スプリング
34 開口部
35 スリーブ
36 第1スリット
37 第2スリット
38 レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部(7)を含んだボディ(2,3)と、
超音波信号発生器によって生成された超音波信号を受信する超音波トランスデューサ(4)と、
前記超音波トランスデューサ(4)に接合された超音波放射面(6)によって構成されている、繊維製品の処理のための超音波洗浄装置において、
対象に接触するか若しくは至近距離まで接近する超音波放射面(6)を検出し、かつ超音波放射面(6)と対象との非接触状態若しくは至近距離までの非接近状態の検出に基づいて超音波トランスデューサ(4)の作動を停止するか若しくはその放射レベルを低減するように制御装置(16,32)が適合化されていることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項2】
前記制御装置(16,32)は、ボディ(2,3)の開口部(7)に配設されるコンタクト要素によって作動されるスイッチか、又は前記開口部(7)に近接する超音波放射面(6)の変化位置を検出するように適合化された位置検出器(16,32)か、又は超音波放射面(6)と対象との間の距離を検出するように適合化された近接スイッチである、請求項1記載の超音波洗浄装置。
【請求項3】
前記ボディ(2,3)が少なくとも2つの構成部分によって構成されており、この場合開口部(7)を含むボディ先端部分(3)は可動式にボディ本体(2)に設けられ、さらに制御装置(16)が前記ボディ本体(2)に対するボディ先端部分(3)の少なくとも1つの位置を検出するように適合化されている、請求項1又は2記載の超音波洗浄装置。
【請求項4】
前記ボディ先端部分(3)はシールドメンバーである、請求項3記載の超音波洗浄装置。
【請求項5】
前記制御装置(16)はポジションスイッチである、請求項3又は4記載の超音波洗浄装置。
【請求項6】
前記ボディ先端部分(3)の遮蔽位置においては前記超音波放射面(6)がボディ先端部分内の後退位置におかれ、作動位置においては前記超音波放射面が開口部(7)に近接するか、開口部内にあるか、又は開口部から突出する、請求項3から5いずれか1項記載の超音波洗浄装置。
【請求項7】
前記ボディ先端部分(3)とボディ本体(2)の間に配設されるバイアス要素(20)が含まれており、前記バイアス要素はボディ先端部分をボディ本体部分に対して外側の位置へ押し出している、請求項3から6いずれか1項記載の超音波洗浄装置。
【請求項8】
前記バイアス要素(20)は少なくとも1つのスプリング要素によって形成されている、請求項7記載の超音波洗浄装置。
【請求項9】
前記超音波トランスデューサ(4)と超音波放射面(6)が前記ボディ(2,3)内で可動に配設されており、この場合作動位置においては前記超音波放射面が開口部(7)に近接しているか、又は開口部内にあるか、又は開口部から突出している、請求項1または2記載の超音波洗浄装置。
【請求項10】
前記制御装置(32)は、作動位置にもたらされる超音波放射面を検出する、請求項9記載の超音波洗浄装置。
【請求項11】
当該超音波洗浄装置のユーザーによって操作されるべく適合化されたハンドル要素を含んだアクチュエータ要素(38)が含まれており、前記アクチュエータ要素は、当該ハンドル要素の作動に基づいて休止位置から作動位置に動かすために超音波トランスデューサ(4)と超音波放射面(6)に接合されている、請求項9又は10記載の超音波洗浄装置。
【請求項12】
請求項1から11いずれか1項記載の超音波洗浄装置が含まれていることを特徴とする家電機器。
【請求項13】
前記家電機器は、洗濯機、乾燥機、又はリフレッシュメント機器である、請求項12記載の家電機器。
【請求項14】
前記家電機器と超音波洗浄装置が可撓性のホース(10)を介して接続されており、さらに電気的なリード線路(11,12)及び/又は洗浄液コンジット(25)が当該ホース内に設けられている、請求項12又は13記載の家電機器。
【請求項15】
前記家電機器内にさらに超音波信号発生器が設けられている、請求項12から14いずれか1項記載の家電機器。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−526404(P2008−526404A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550708(P2007−550708)
【出願日】平成17年12月23日(2005.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2005/014007
【国際公開番号】WO2006/074803
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(505055734)エレクトロラクス ホーム プロダクツ コーポレーション エヌ ヴィ (6)
【Fターム(参考)】