超音波流量計
【課題】 測定精度が高くかつ安全性の高い超音波流量計を提供すること。
【解決手段】超音波流量計1は、ステンレス製の測定配管2(外径50mm、内径40mm、長さ100mm)に孔を設け、同じくステンレス製のパイプ(外径12mm、内径8mm)である流入部4と流出部5を溶接により取り付ける。そして測定配管の両端にステンレス製のダイアフラム8a、8bを溶接により接合する。そしてステンレス製のダイアフラム8a、8bの中心部に複合圧電素子6a、6bをエポキシ樹脂により接合する。
【解決手段】超音波流量計1は、ステンレス製の測定配管2(外径50mm、内径40mm、長さ100mm)に孔を設け、同じくステンレス製のパイプ(外径12mm、内径8mm)である流入部4と流出部5を溶接により取り付ける。そして測定配管の両端にステンレス製のダイアフラム8a、8bを溶接により接合する。そしてステンレス製のダイアフラム8a、8bの中心部に複合圧電素子6a、6bをエポキシ樹脂により接合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象の液体中に超音波を伝播させ、流路の上流方向と下流方向への伝播時間差から液体の流速や流量を測定する超音波流量計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を測定対象の流路内の液体に伝搬させ、この超音波が流路の上流、下流双方向に伝搬する際の伝搬時間差を利用して液体の流速(流量)を測定する超音波流量計が用いられてきた。
【0003】
特許文献1は、従来の典型的な超音波流量計の構成を説明している。直線状の測定管路の両端に液体の流入部と流出部を取り付け、これら流入部と流出部のそれぞれの外側に超音波トランスジューサを対向させて取付ける。一対の超音波トランスジューサとの間を伝搬する超音波の伝搬所要時間から流速測定管路内を流れる液体の流速が測定される。
【0004】
PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電素子11で構成される円柱形状の超音波トランスジューサは、超音波帯域の周波数で厚み方向への伸縮を繰り返す。しかしながら、超音波トランスジューサの形状は、詳細に見ると、図13に示すように変化する。すなわち、非動作時の静止状態では、Aに示すように、円柱形状を呈する。厚み方向への縮小状態では、径方向に伸びて、Bに強調して示すように凹レンズの形状となる。また、厚み方向への伸長状態では、径方向に縮んで、Cに強調して示すように凸レンズのような形状となる。この結果、図13のDに示すように、円柱の中心に近づくほど厚み方向(円柱の軸方向)への移動量が増加し、往復動の速度Vも増加する。この結果、放射される超音波のエネルギーは、中心部ほど増加する。
【0005】
一般に、流速測定管路内を流れる液体の流速は、管路の断面内で一様でなく、管路の中心部分が大きく、管壁に近づくにつれて低下するという分布をする。一般に、低速の層流では図14のAに示すような放物形状の速度分布となり、高速の乱流では図14のBに示すような速度分布となる。従来、超音波の伝搬経路を流速測定管路の流路断面の中心部分に集中させることによってこの中心部分の流速を測定し、これを層流、乱流に応じた流速分布の補正係数を乗算することにより、流路の断面内の平均流速を算定していた。
【0006】
このように、流路の中心部分の流速を測定する方法では、図13を参照して説明したように、中心部分の振動速度が大きく、放射される超音波のエネルギーが中心部分ほど大きくなるような超音波トランスジューサを使用することが望まれていた。
【0007】
上記、流路の中心部分の流速を測定し、これに流速分布の補正係数を乗算して平均流速を算定する方法では、流速の分布が理論的なものとは必ずしも一致しない場合がある。また、層流か乱流かはレイノルズ数で判定されるが、境界付近ではこの判定に誤差が生じる場合もあり、測定精度の低下の原因となる。
【0008】
また、図13に示したように、超音波トランスジューサの超音波の端面が凹凸形状になるため、この端面の法線方向に放射される超音波が管路の軸線に対して平行とはならずに傾斜してしまう。この結果、図15に示すように、超音波トランスジューサから放射された超音波の一部が管路の内壁近傍を伝搬したり、内壁による反射を受けたりする。この結果、超音波が流路の中心付近を伝搬するという仮定のもとに行われる流速分布に対する補正の精度が低下する。
【0009】
さらに、図中の点線の矢印で示すように反射を受けた超音波の成分は伝播時間が長くなるため、図中の実線の矢印で示すように反射を受けずに直接受信される成分より遅れて受信される。この結果、受信波形が鈍ってしまい、受信時点の遅れを引き起こし、検出精度の低下を招くという問題がる。
【0010】
上記の課題を解決するため特許文献2の超音波流量計が提案された。特許文献2の超音波流量計は、直線状の流速測定管路の両端に液体の流入部と流出部を取り付け、これら流入部と流出部のそれぞれに超音波トランスジューサを対向させて取り付け、前記流速測定管路の内部の前記超音波トランスジューサ間を伝搬する超音波の伝搬所要時間から前記流速測定管路内を流れる液体の流速と流量を測定するように構成されている。そして、この超音波流量計は、各超音波トランスジューサが、流速測定管路の断面積よりも大きな断面形状を有するコンポジット振動子から構成されている。
【0011】
特許文献2の超音波流量計は、超音波トランスジューサを流速測定管路の断面形状よりも大きな断面形状を有するコンポジット振動子で構成されているので、流路の断面内にわたって一様なエネルギーの超音波が、流路の軸線方向にほぼ平行に伝搬する。この結果、流路断面内の流速分布に対する補正が不要で、高精度な流量計を実現できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】 特開2000−171478号公報
【特許文献2】 特開2004−198339号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】 塩嵜 忠、「新・圧電材料の製造と応用」、株式会社シーエムシー、1987年12月、p99−109
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、特許文献2の超音波流量計は、超音波トランスジューサを測定管路の断面形状よりも大きな断面形状を有するコンポジット振動子を用いるため、測定管路の管直径が大きい場合、例えば、10mmを超える場合、これより大きなコンポジット振動子を使用しなければならないため、製造コストが高くなってしまう。
【0015】
また、コンポジット振動子の直径が測定管路の管直径が大きい場合、測定管路にコンポジット振動子の超音波振動が伝搬するため、測定管路が金属であるときは、液体を伝搬する超音波が、測定管路を伝搬する超音波振動に影響されて、正確に受信できなくなるという問題点がある。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、測定管路の材質によらず高精度で流量の測定が可能であり、しかも安価な超音波流量計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、被測定液体を流す測定配管の流れ方向の上流と下流側とに一対の超音波トランスジューサを配置して、前記超音波トランスジューサ間の超音波の伝播所要時間から測定配管の内部を流れる被測定液体の流量または流速を測定する超音波流量計において、前記測定配管の両端にダイアフラムを接合し、前記ダイアフラムに測定配管の内径の1倍未満、0.1倍以上の直径を持つ複合圧電素子を超音波トランスジューサとするものである。
【0018】
本発明はまた、前記複合圧電素子に含まれる圧電素子が9個以上とするものである
【0019】
本発明はまた、前記測定配管およびダイアフラムが金属であり、かつ液体が金属以外と接触しないとするものである。
【0020】
本発明はまた、前記測定配管およびダイアフラムを接合するため、溶接、半田付けまたは金属シールを用いるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の超音波流量計によれば、測定管路の材質によらず高精度に液体に流速または流量を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による超音波流量計の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】複合圧電素子の形状を示す平面図である。
【図3】図2のA−A線での断面を示す図である。
【図4】図1の超音波流量計で水が無いときの受信波である。
【図5】図1の超音波流量計で水が存在するときの受信波である。
【図6】金属製のダイアフラムの平面図である。
【図7】図6のA−A線での断面を示す図である。
【図8】図6、図7で示したダイアフラムに圧電素子を接合した超音波トランスジューサの周波数特性である。
【図9】図8の超音波トランスジューサを使用した時の伝搬特性である。
【図10】図6、図7で示したダイアフラムに複合圧電素子を接合した超音波トランスジューサの周波数特性である。
【図11】図10の超音波トランスジューサを使用した時の伝搬特性である。
【図12】超音波流量計の流量を測定する回路を説明する図である。
【図13】従来の圧電素子の振動変位を説明する図である。
【図14】測定管路内の流速の分布の様子を説明するための概念図である。
【図15】超音波が管路の内壁近傍を伝搬したり、そこで反射されたりする様子を説明するための概念図である。
【図16】本発明による超音波流量計の第2の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
第1の実施の形態である基本的な構成を図1の断面図で示す。
【0024】
図1で示す超音波流量計1は、ステンレス製の測定配管2(外径50mm、内径40mm、長さ100mm)に孔を設け、同じくステンレス製のパイプ(外径12mm、内径8mm)である流入部4と流出部5を溶接により取り付ける。ここで溶接の他、半田付け、金属シールを用いることもできる。そして測定配管の両端にステンレス製のダイアフラム8a、8bを溶接により接合する。ここで溶接の他、半田付け、金属シールを用いることもできる。このように液体と接触する材料をすべて金属とすることで可燃性、爆発性の液体でも安全に取り扱うことができる。そしてステンレス製のダイアフラム8a、8bの中心部に複合圧電素子6a、6bをエポキシ樹脂により接合する。超音波トランスジューサ3a、3bは、複合圧電素子4a、4bを接合したダイアフラム8a、8bを云う。
【0025】
ステンレス製の直径50mm、厚さ2mmのダイアフラム8は、測定配管2と同じ外径50mm及び内径40mmのリングを持つカバー10a、10bと接着されている。また、カバー10a、10bは、バッキング材7a、7bを背面に接合した複合圧電素子6a、6bをバネ9a、9bにより加圧している。
【0026】
ステンレス製のダイアフラム8a、8bの中心部にエポキシ樹脂により接合した複合圧電素子6a、6bは、直径20mm、厚さ3mmである。そして、図2、図3に複合圧電素子6の詳細を示す。複合圧電素子は、直径20mm、厚さ3mmであり、個々の圧電素子11は2mm角で長さ3mmであり、圧電素子11と圧電素子11を接合しているエポキシ樹脂12の幅は1mmである。圧電素子11は、鉛系圧電セラミックであり、いわゆるLow Q材である。
【0027】
複合圧電素子は、圧電セラミックなどの圧電体と樹脂が構造的に複合化され、圧電セラミックや圧電高分子にはない特徴を持つ材料である。非特許文献1に詳しく記載されているが、複合圧電振動子は圧電素子単体では、実現不可能な特性を得るために開発されたものであり、現在はその価格が高いこともあり医療用として主に使用されている。複合圧電振動子は、セラミックと高分子の複合体は、セラミックと高分子の各々が何次元の物理的(いくつの方向)に自己結合しているかにより分類される。すなわち、圧電活性な成分である圧電セラミックがその複合体の中で連なっている次元数mと圧電非活性な成分である高分子が連なっている次元数nでm−n複合体と表示する。複合圧電振動子の中でも、もっとも実用的な1−3複合体であり、本発明に用いた。
【0028】
ここで、図1で示す超音波流量計1に水を満たした時と、水が無いときの超音波トランスジューサ間の超音波の伝搬特性を比較した。
複合圧電素子に474KHz、102Vp−pの6波のトーンバースト電圧を印加する。そして複合圧電素子に発生した受信電圧を観察する。
【0029】
図4は測定配管内に水がないときであり、測定可能な大きさの受信波形13が長さ100mmのステンレスの測定配管2を29.6μ秒で到達している。この受信波形13の音速は約3400m/sであり、ステンレスの測定配管2を伝搬する円筒波と考えられる。その後、受信信号が継続しているが、測定配管2を往復する波動などによるものであると推察される。また測定配管2内には空気が存在しるので、音速約340m/sの空気を伝搬する波動も受信されているが、測定配管2を伝搬する波動の受信信号の大きさに比較して、かなり小さいので実際には測定できない。したがって、気体の流量を測定する超音波流量計としては使用できない。
【0030】
図5は測定配管2内に水が満たされているときであり、測定可能な大きさの受信波形13が長さ100mmのステンレスの測定配管を67.2μ秒で到達している、この受信波形の音速は約1490m/sであり、ステンレスの測定配管2内の水を伝搬する波動である。そして水を伝搬する波動以外は受信されていない。したがって、本構成の超音波トランスジューサは、測定配管より水に、超音波をより多く伝搬させることができることを発明者は発見した。
【0031】
この理由は、複合圧電素子を接合したダイアフラムの部分だけが主に縦方向の超音波振動する。そしてこの超音波振動がほとんど水に伝搬する。そのため測定配管には伝搬しないためであると考えられる。
【0032】
ダイアフラムと複合圧電素子の形状は、液体に超音波振動を伝搬させるために、複合圧電素子の直径がダイアフラムの直径に対して0.1倍未満では、液体に超音波振動を伝搬させるエネルギーが小さい。また複合圧電素子の直径がダイアフラムの直径に対して1倍より大きいときは、測定配管に超音波振動を伝搬を伝搬させてしまう。
【0033】
したがって、ダイアフラムの直径に対して複合圧電素子の直径は、0.1倍以上そして1倍以下が望ましい。
【0034】
また、通常の直径20mm、厚さ3mmの圧電素子11を図6、図7に示すダイアフラム8にエポキシ樹脂を用いて作成した超音波トランスジューサの周波数特性を図8示す。500KHzまでの間に10個を超えるピークがあり、多くの固有振動モードが存在することがわかる。この結果として、トーンバスト波を圧電素子11に加えると、多くの固有振動モードが励起され、受信波形が複雑になることが考えられる。そしてステンレス製の測定配管2(外径50mm、内径40mm、長さ100mm)の両側に前記超音波トランスジューサを配置し、測定配管に水を満たし、その図9に示す伝搬特性を測定した。なお、圧電素子には124KHz、74Vp−pの2波のトーンバスト波を印加した。3波以上のトーンバスト波を印加すると減衰時間が長くなってしまう。その結果、伝搬音速は約3200m/sであり、測定配管を伝搬する円筒波だと考えられる。したがって、水を伝搬する波動を測定することは困難になる。なお、図6、図7の中の数値は長さを示し単位はmmである。
【0035】
比較する直径20mm、厚さ3mmの複合圧電素子6を図6、図7に示すダイアフラムにエポキシ樹脂を用いて接合して作成した超音波トランスジューサの周波数特性を図10示す。大きなピークが約303KHzにあるだけである。これは厚み方向の固有振動モードである。この結果として、トーンバスト波を複合圧電素子6に加えると、縦振動の固有振動モードだけが励起される。受信波形がシンプルになることが考えられる。そしてステンレス製の測定配管(外径50mm、内径40mm、長さ100mm)の両側に前記超音波トランスジューサを配置し、測定配管に水を満たし、その図11に示す伝搬特性を測定した。なお、圧電素子には318KHz、99Vp−pの6波のトーンバスト波を印加した。その結果、伝搬音速は約1470m/sであり、測定配管内の水を伝搬する縦波だと考えられる。
【0036】
以下に上記の構成の超音波流量計の動作を図1を用いて説明する。
【0037】
一対の超音波トランスジューサ3a、3bにおける一方の複合圧電素子6a上に設けたれた電極に電圧信号が印加されると、電圧信号に基づいて、その複合圧電素子6aが伸縮し、複合圧電素子6aの超音波送受波面から超音波が放射される。この超音波は、ダイアフラムに伝搬し、水24に放射される。一方、水24を伝搬してきた超音波は、ダイアフラム8bを介して複合圧電素子6bへ伝搬して、その電極間に電圧信号を発生させる。
【0038】
以上の動作を一対の超音波トランスジューサ3a、3bによる送受波を交互にスイッチしながら繰り返して実行することにより、同じ経路にそって逆方向に伝搬した超音波の伝搬時間の差が計測され、その計測値に基づいて流速を計算する。そして、測定された流速および配管の断面積から流量が求められる。
【0039】
以下、この超音波流量計の動作をより図12を用いて、より詳細に説明する。
【0040】
被測定液体として、液体水素が配管の内部を流れる場合を考える。超音波トランスジューサおよび超音波トランスジューサの駆動周波数を約300KHzとする。制御部21は、駆動回路17に送波開始信号を出力すると同時に、タイマ19の時間計測を開始させる。
【0041】
駆動回路17は送波開始信号を受けると、超音波トランスジューサ3aを駆動し、超音波パルスを送波する。送波された超音波パルスは、測定配管2の内部の液体水素を伝搬して、超音波トランスジューサ3bで受波される。受波された超音波パルスは超音波トランスジューサ3bで電気信号に変換され、受波検知回路18に出力される。
【0042】
受波検知回路18では、受波信号の受波タイミングを決定し、タイマ19を停止させる。演算20部は、伝搬時間t1を演算する。
【0043】
次に、切替回路16により駆動回路17および受波検知回路18に接続する超音波トランスジューサ3aおよび超音波トランスジューサ3bを切り替える。そして、再び、制御部21は駆動回路17に送波開始信号を出力すると同時に、タイマ19の時間計測を開始させる。
【0044】
伝搬時間t1の測定と逆に、超音波トランスジューサ3bで超音波パルスを送波し、超音波トランスジューサ3aで受波し、演算部20で伝搬時間t2を演算する。
【0045】
伝搬時間t1、t2は、それぞれ測定によって求められる。距離Lは既知であるので時間t1とt2を測定すれば流速Vから流量を決定することができる。
【0046】
このような超音波流量計において、伝搬時間t1、t2は、ゼロクロス法と呼ばれる方法によって好適に測定される。
【0047】
本発明の超音波流量計は、超音波が液体中を直進する。そして金属製の測定配管にほとんど超音波が伝搬しない。そのため上記の測定により、従来の超音波流量計より精度の高い流量の測定ができる。また、液体が完全に金属だけで囲まれているので、可燃性、爆発性の液体でも安全に流量を測定できる。
【0048】
第2の実施の形態である基本的な構成を図16の断面図で示す。
【0049】
図16で示す超音波流量計1は、ステンレス製の測定配管2に孔を設け、同じくステンレス製のパイプ25a、25bを溶接により取り付ける。そしてその中に超音波トランスジューサ3a、3bを取り付ける。
【0050】
超音波トランスジューサ3a、3bは、ステンレス製のガイド部16a、16bに先端部にステンレス製のダイアフラムを持ち、そしてそのダイアフラムの中心部に複合圧電素子6a、6bをエポキシ樹脂により接合する。なお、ステンレス製のガイド部16a、16bとステンレス製のダイアフラム8a、8bは一体の材料から旋盤などの加工より製作した。
【0051】
上記の超音波流量計も第1の実施の形態の超音波流量計と同様に、超音波はほぼ液体中を直進し、かつ測定配管にはほとんど伝搬しないため、精度の高い液体の流量を測定できる。
【0052】
以上は、金属製の超音波流量計について述べたが、プラスチック製の測定配管とダイアフラムについても同様な効果得られる。
【符号の説明】
【0053】
1 超音波流量計
2 測定配管
3 超音波トランスジューサ
4 流入部
5 流出部
6 複合圧電素子
7 バッキング材
8 ダイアフラム
9 バネ
10 カバー
11 圧電素子
12 エポキシ樹脂
13 受信波形
14 駆動波形
15 アドミッタンス特性
16 ガイド部
17 ダイアフラムリング
18 切替回路
19 駆動回路
20 受波検知回路
21 タイマ
22 演算部
23 制御部
24 水
25 パイプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象の液体中に超音波を伝播させ、流路の上流方向と下流方向への伝播時間差から液体の流速や流量を測定する超音波流量計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を測定対象の流路内の液体に伝搬させ、この超音波が流路の上流、下流双方向に伝搬する際の伝搬時間差を利用して液体の流速(流量)を測定する超音波流量計が用いられてきた。
【0003】
特許文献1は、従来の典型的な超音波流量計の構成を説明している。直線状の測定管路の両端に液体の流入部と流出部を取り付け、これら流入部と流出部のそれぞれの外側に超音波トランスジューサを対向させて取付ける。一対の超音波トランスジューサとの間を伝搬する超音波の伝搬所要時間から流速測定管路内を流れる液体の流速が測定される。
【0004】
PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電素子11で構成される円柱形状の超音波トランスジューサは、超音波帯域の周波数で厚み方向への伸縮を繰り返す。しかしながら、超音波トランスジューサの形状は、詳細に見ると、図13に示すように変化する。すなわち、非動作時の静止状態では、Aに示すように、円柱形状を呈する。厚み方向への縮小状態では、径方向に伸びて、Bに強調して示すように凹レンズの形状となる。また、厚み方向への伸長状態では、径方向に縮んで、Cに強調して示すように凸レンズのような形状となる。この結果、図13のDに示すように、円柱の中心に近づくほど厚み方向(円柱の軸方向)への移動量が増加し、往復動の速度Vも増加する。この結果、放射される超音波のエネルギーは、中心部ほど増加する。
【0005】
一般に、流速測定管路内を流れる液体の流速は、管路の断面内で一様でなく、管路の中心部分が大きく、管壁に近づくにつれて低下するという分布をする。一般に、低速の層流では図14のAに示すような放物形状の速度分布となり、高速の乱流では図14のBに示すような速度分布となる。従来、超音波の伝搬経路を流速測定管路の流路断面の中心部分に集中させることによってこの中心部分の流速を測定し、これを層流、乱流に応じた流速分布の補正係数を乗算することにより、流路の断面内の平均流速を算定していた。
【0006】
このように、流路の中心部分の流速を測定する方法では、図13を参照して説明したように、中心部分の振動速度が大きく、放射される超音波のエネルギーが中心部分ほど大きくなるような超音波トランスジューサを使用することが望まれていた。
【0007】
上記、流路の中心部分の流速を測定し、これに流速分布の補正係数を乗算して平均流速を算定する方法では、流速の分布が理論的なものとは必ずしも一致しない場合がある。また、層流か乱流かはレイノルズ数で判定されるが、境界付近ではこの判定に誤差が生じる場合もあり、測定精度の低下の原因となる。
【0008】
また、図13に示したように、超音波トランスジューサの超音波の端面が凹凸形状になるため、この端面の法線方向に放射される超音波が管路の軸線に対して平行とはならずに傾斜してしまう。この結果、図15に示すように、超音波トランスジューサから放射された超音波の一部が管路の内壁近傍を伝搬したり、内壁による反射を受けたりする。この結果、超音波が流路の中心付近を伝搬するという仮定のもとに行われる流速分布に対する補正の精度が低下する。
【0009】
さらに、図中の点線の矢印で示すように反射を受けた超音波の成分は伝播時間が長くなるため、図中の実線の矢印で示すように反射を受けずに直接受信される成分より遅れて受信される。この結果、受信波形が鈍ってしまい、受信時点の遅れを引き起こし、検出精度の低下を招くという問題がる。
【0010】
上記の課題を解決するため特許文献2の超音波流量計が提案された。特許文献2の超音波流量計は、直線状の流速測定管路の両端に液体の流入部と流出部を取り付け、これら流入部と流出部のそれぞれに超音波トランスジューサを対向させて取り付け、前記流速測定管路の内部の前記超音波トランスジューサ間を伝搬する超音波の伝搬所要時間から前記流速測定管路内を流れる液体の流速と流量を測定するように構成されている。そして、この超音波流量計は、各超音波トランスジューサが、流速測定管路の断面積よりも大きな断面形状を有するコンポジット振動子から構成されている。
【0011】
特許文献2の超音波流量計は、超音波トランスジューサを流速測定管路の断面形状よりも大きな断面形状を有するコンポジット振動子で構成されているので、流路の断面内にわたって一様なエネルギーの超音波が、流路の軸線方向にほぼ平行に伝搬する。この結果、流路断面内の流速分布に対する補正が不要で、高精度な流量計を実現できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】 特開2000−171478号公報
【特許文献2】 特開2004−198339号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】 塩嵜 忠、「新・圧電材料の製造と応用」、株式会社シーエムシー、1987年12月、p99−109
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、特許文献2の超音波流量計は、超音波トランスジューサを測定管路の断面形状よりも大きな断面形状を有するコンポジット振動子を用いるため、測定管路の管直径が大きい場合、例えば、10mmを超える場合、これより大きなコンポジット振動子を使用しなければならないため、製造コストが高くなってしまう。
【0015】
また、コンポジット振動子の直径が測定管路の管直径が大きい場合、測定管路にコンポジット振動子の超音波振動が伝搬するため、測定管路が金属であるときは、液体を伝搬する超音波が、測定管路を伝搬する超音波振動に影響されて、正確に受信できなくなるという問題点がある。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、測定管路の材質によらず高精度で流量の測定が可能であり、しかも安価な超音波流量計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、被測定液体を流す測定配管の流れ方向の上流と下流側とに一対の超音波トランスジューサを配置して、前記超音波トランスジューサ間の超音波の伝播所要時間から測定配管の内部を流れる被測定液体の流量または流速を測定する超音波流量計において、前記測定配管の両端にダイアフラムを接合し、前記ダイアフラムに測定配管の内径の1倍未満、0.1倍以上の直径を持つ複合圧電素子を超音波トランスジューサとするものである。
【0018】
本発明はまた、前記複合圧電素子に含まれる圧電素子が9個以上とするものである
【0019】
本発明はまた、前記測定配管およびダイアフラムが金属であり、かつ液体が金属以外と接触しないとするものである。
【0020】
本発明はまた、前記測定配管およびダイアフラムを接合するため、溶接、半田付けまたは金属シールを用いるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の超音波流量計によれば、測定管路の材質によらず高精度に液体に流速または流量を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による超音波流量計の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】複合圧電素子の形状を示す平面図である。
【図3】図2のA−A線での断面を示す図である。
【図4】図1の超音波流量計で水が無いときの受信波である。
【図5】図1の超音波流量計で水が存在するときの受信波である。
【図6】金属製のダイアフラムの平面図である。
【図7】図6のA−A線での断面を示す図である。
【図8】図6、図7で示したダイアフラムに圧電素子を接合した超音波トランスジューサの周波数特性である。
【図9】図8の超音波トランスジューサを使用した時の伝搬特性である。
【図10】図6、図7で示したダイアフラムに複合圧電素子を接合した超音波トランスジューサの周波数特性である。
【図11】図10の超音波トランスジューサを使用した時の伝搬特性である。
【図12】超音波流量計の流量を測定する回路を説明する図である。
【図13】従来の圧電素子の振動変位を説明する図である。
【図14】測定管路内の流速の分布の様子を説明するための概念図である。
【図15】超音波が管路の内壁近傍を伝搬したり、そこで反射されたりする様子を説明するための概念図である。
【図16】本発明による超音波流量計の第2の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
第1の実施の形態である基本的な構成を図1の断面図で示す。
【0024】
図1で示す超音波流量計1は、ステンレス製の測定配管2(外径50mm、内径40mm、長さ100mm)に孔を設け、同じくステンレス製のパイプ(外径12mm、内径8mm)である流入部4と流出部5を溶接により取り付ける。ここで溶接の他、半田付け、金属シールを用いることもできる。そして測定配管の両端にステンレス製のダイアフラム8a、8bを溶接により接合する。ここで溶接の他、半田付け、金属シールを用いることもできる。このように液体と接触する材料をすべて金属とすることで可燃性、爆発性の液体でも安全に取り扱うことができる。そしてステンレス製のダイアフラム8a、8bの中心部に複合圧電素子6a、6bをエポキシ樹脂により接合する。超音波トランスジューサ3a、3bは、複合圧電素子4a、4bを接合したダイアフラム8a、8bを云う。
【0025】
ステンレス製の直径50mm、厚さ2mmのダイアフラム8は、測定配管2と同じ外径50mm及び内径40mmのリングを持つカバー10a、10bと接着されている。また、カバー10a、10bは、バッキング材7a、7bを背面に接合した複合圧電素子6a、6bをバネ9a、9bにより加圧している。
【0026】
ステンレス製のダイアフラム8a、8bの中心部にエポキシ樹脂により接合した複合圧電素子6a、6bは、直径20mm、厚さ3mmである。そして、図2、図3に複合圧電素子6の詳細を示す。複合圧電素子は、直径20mm、厚さ3mmであり、個々の圧電素子11は2mm角で長さ3mmであり、圧電素子11と圧電素子11を接合しているエポキシ樹脂12の幅は1mmである。圧電素子11は、鉛系圧電セラミックであり、いわゆるLow Q材である。
【0027】
複合圧電素子は、圧電セラミックなどの圧電体と樹脂が構造的に複合化され、圧電セラミックや圧電高分子にはない特徴を持つ材料である。非特許文献1に詳しく記載されているが、複合圧電振動子は圧電素子単体では、実現不可能な特性を得るために開発されたものであり、現在はその価格が高いこともあり医療用として主に使用されている。複合圧電振動子は、セラミックと高分子の複合体は、セラミックと高分子の各々が何次元の物理的(いくつの方向)に自己結合しているかにより分類される。すなわち、圧電活性な成分である圧電セラミックがその複合体の中で連なっている次元数mと圧電非活性な成分である高分子が連なっている次元数nでm−n複合体と表示する。複合圧電振動子の中でも、もっとも実用的な1−3複合体であり、本発明に用いた。
【0028】
ここで、図1で示す超音波流量計1に水を満たした時と、水が無いときの超音波トランスジューサ間の超音波の伝搬特性を比較した。
複合圧電素子に474KHz、102Vp−pの6波のトーンバースト電圧を印加する。そして複合圧電素子に発生した受信電圧を観察する。
【0029】
図4は測定配管内に水がないときであり、測定可能な大きさの受信波形13が長さ100mmのステンレスの測定配管2を29.6μ秒で到達している。この受信波形13の音速は約3400m/sであり、ステンレスの測定配管2を伝搬する円筒波と考えられる。その後、受信信号が継続しているが、測定配管2を往復する波動などによるものであると推察される。また測定配管2内には空気が存在しるので、音速約340m/sの空気を伝搬する波動も受信されているが、測定配管2を伝搬する波動の受信信号の大きさに比較して、かなり小さいので実際には測定できない。したがって、気体の流量を測定する超音波流量計としては使用できない。
【0030】
図5は測定配管2内に水が満たされているときであり、測定可能な大きさの受信波形13が長さ100mmのステンレスの測定配管を67.2μ秒で到達している、この受信波形の音速は約1490m/sであり、ステンレスの測定配管2内の水を伝搬する波動である。そして水を伝搬する波動以外は受信されていない。したがって、本構成の超音波トランスジューサは、測定配管より水に、超音波をより多く伝搬させることができることを発明者は発見した。
【0031】
この理由は、複合圧電素子を接合したダイアフラムの部分だけが主に縦方向の超音波振動する。そしてこの超音波振動がほとんど水に伝搬する。そのため測定配管には伝搬しないためであると考えられる。
【0032】
ダイアフラムと複合圧電素子の形状は、液体に超音波振動を伝搬させるために、複合圧電素子の直径がダイアフラムの直径に対して0.1倍未満では、液体に超音波振動を伝搬させるエネルギーが小さい。また複合圧電素子の直径がダイアフラムの直径に対して1倍より大きいときは、測定配管に超音波振動を伝搬を伝搬させてしまう。
【0033】
したがって、ダイアフラムの直径に対して複合圧電素子の直径は、0.1倍以上そして1倍以下が望ましい。
【0034】
また、通常の直径20mm、厚さ3mmの圧電素子11を図6、図7に示すダイアフラム8にエポキシ樹脂を用いて作成した超音波トランスジューサの周波数特性を図8示す。500KHzまでの間に10個を超えるピークがあり、多くの固有振動モードが存在することがわかる。この結果として、トーンバスト波を圧電素子11に加えると、多くの固有振動モードが励起され、受信波形が複雑になることが考えられる。そしてステンレス製の測定配管2(外径50mm、内径40mm、長さ100mm)の両側に前記超音波トランスジューサを配置し、測定配管に水を満たし、その図9に示す伝搬特性を測定した。なお、圧電素子には124KHz、74Vp−pの2波のトーンバスト波を印加した。3波以上のトーンバスト波を印加すると減衰時間が長くなってしまう。その結果、伝搬音速は約3200m/sであり、測定配管を伝搬する円筒波だと考えられる。したがって、水を伝搬する波動を測定することは困難になる。なお、図6、図7の中の数値は長さを示し単位はmmである。
【0035】
比較する直径20mm、厚さ3mmの複合圧電素子6を図6、図7に示すダイアフラムにエポキシ樹脂を用いて接合して作成した超音波トランスジューサの周波数特性を図10示す。大きなピークが約303KHzにあるだけである。これは厚み方向の固有振動モードである。この結果として、トーンバスト波を複合圧電素子6に加えると、縦振動の固有振動モードだけが励起される。受信波形がシンプルになることが考えられる。そしてステンレス製の測定配管(外径50mm、内径40mm、長さ100mm)の両側に前記超音波トランスジューサを配置し、測定配管に水を満たし、その図11に示す伝搬特性を測定した。なお、圧電素子には318KHz、99Vp−pの6波のトーンバスト波を印加した。その結果、伝搬音速は約1470m/sであり、測定配管内の水を伝搬する縦波だと考えられる。
【0036】
以下に上記の構成の超音波流量計の動作を図1を用いて説明する。
【0037】
一対の超音波トランスジューサ3a、3bにおける一方の複合圧電素子6a上に設けたれた電極に電圧信号が印加されると、電圧信号に基づいて、その複合圧電素子6aが伸縮し、複合圧電素子6aの超音波送受波面から超音波が放射される。この超音波は、ダイアフラムに伝搬し、水24に放射される。一方、水24を伝搬してきた超音波は、ダイアフラム8bを介して複合圧電素子6bへ伝搬して、その電極間に電圧信号を発生させる。
【0038】
以上の動作を一対の超音波トランスジューサ3a、3bによる送受波を交互にスイッチしながら繰り返して実行することにより、同じ経路にそって逆方向に伝搬した超音波の伝搬時間の差が計測され、その計測値に基づいて流速を計算する。そして、測定された流速および配管の断面積から流量が求められる。
【0039】
以下、この超音波流量計の動作をより図12を用いて、より詳細に説明する。
【0040】
被測定液体として、液体水素が配管の内部を流れる場合を考える。超音波トランスジューサおよび超音波トランスジューサの駆動周波数を約300KHzとする。制御部21は、駆動回路17に送波開始信号を出力すると同時に、タイマ19の時間計測を開始させる。
【0041】
駆動回路17は送波開始信号を受けると、超音波トランスジューサ3aを駆動し、超音波パルスを送波する。送波された超音波パルスは、測定配管2の内部の液体水素を伝搬して、超音波トランスジューサ3bで受波される。受波された超音波パルスは超音波トランスジューサ3bで電気信号に変換され、受波検知回路18に出力される。
【0042】
受波検知回路18では、受波信号の受波タイミングを決定し、タイマ19を停止させる。演算20部は、伝搬時間t1を演算する。
【0043】
次に、切替回路16により駆動回路17および受波検知回路18に接続する超音波トランスジューサ3aおよび超音波トランスジューサ3bを切り替える。そして、再び、制御部21は駆動回路17に送波開始信号を出力すると同時に、タイマ19の時間計測を開始させる。
【0044】
伝搬時間t1の測定と逆に、超音波トランスジューサ3bで超音波パルスを送波し、超音波トランスジューサ3aで受波し、演算部20で伝搬時間t2を演算する。
【0045】
伝搬時間t1、t2は、それぞれ測定によって求められる。距離Lは既知であるので時間t1とt2を測定すれば流速Vから流量を決定することができる。
【0046】
このような超音波流量計において、伝搬時間t1、t2は、ゼロクロス法と呼ばれる方法によって好適に測定される。
【0047】
本発明の超音波流量計は、超音波が液体中を直進する。そして金属製の測定配管にほとんど超音波が伝搬しない。そのため上記の測定により、従来の超音波流量計より精度の高い流量の測定ができる。また、液体が完全に金属だけで囲まれているので、可燃性、爆発性の液体でも安全に流量を測定できる。
【0048】
第2の実施の形態である基本的な構成を図16の断面図で示す。
【0049】
図16で示す超音波流量計1は、ステンレス製の測定配管2に孔を設け、同じくステンレス製のパイプ25a、25bを溶接により取り付ける。そしてその中に超音波トランスジューサ3a、3bを取り付ける。
【0050】
超音波トランスジューサ3a、3bは、ステンレス製のガイド部16a、16bに先端部にステンレス製のダイアフラムを持ち、そしてそのダイアフラムの中心部に複合圧電素子6a、6bをエポキシ樹脂により接合する。なお、ステンレス製のガイド部16a、16bとステンレス製のダイアフラム8a、8bは一体の材料から旋盤などの加工より製作した。
【0051】
上記の超音波流量計も第1の実施の形態の超音波流量計と同様に、超音波はほぼ液体中を直進し、かつ測定配管にはほとんど伝搬しないため、精度の高い液体の流量を測定できる。
【0052】
以上は、金属製の超音波流量計について述べたが、プラスチック製の測定配管とダイアフラムについても同様な効果得られる。
【符号の説明】
【0053】
1 超音波流量計
2 測定配管
3 超音波トランスジューサ
4 流入部
5 流出部
6 複合圧電素子
7 バッキング材
8 ダイアフラム
9 バネ
10 カバー
11 圧電素子
12 エポキシ樹脂
13 受信波形
14 駆動波形
15 アドミッタンス特性
16 ガイド部
17 ダイアフラムリング
18 切替回路
19 駆動回路
20 受波検知回路
21 タイマ
22 演算部
23 制御部
24 水
25 パイプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定液体を流す測定配管の流れ方向の上流と下流側とに一対の超音波トランスジューサを配置して、前記超音波トランスジューサ間の超音波の伝播所要時間から測定配管の内部を流れる被測定液体の流量または流速を測定する超音波流量計において、前記測定配管の両端にダイアフラムを接合し、前記ダイアフラムに測定配管の内径の1倍未満、0.1倍以上の直径を持つ複合圧電素子を超音波トランスジューサとすることを特徴とする。
【請求項2】
複合圧電素子に含まれる圧電素子が9個以上であることを特徴とする請求項3に記載の超音波流量計。
【請求項3】
測定配管およびダイアフラムが金属であり、かつ液体が金属以外と接触しないことを特徴とする請求項1、2に記載の超音波流量計。
【請求項4】
測定配管およびダイアフラムを接合するため、溶接、半田付けまたは金属シールを用いることを特徴とする請求項3に記載の超音波流量計。
【請求項1】
被測定液体を流す測定配管の流れ方向の上流と下流側とに一対の超音波トランスジューサを配置して、前記超音波トランスジューサ間の超音波の伝播所要時間から測定配管の内部を流れる被測定液体の流量または流速を測定する超音波流量計において、前記測定配管の両端にダイアフラムを接合し、前記ダイアフラムに測定配管の内径の1倍未満、0.1倍以上の直径を持つ複合圧電素子を超音波トランスジューサとすることを特徴とする。
【請求項2】
複合圧電素子に含まれる圧電素子が9個以上であることを特徴とする請求項3に記載の超音波流量計。
【請求項3】
測定配管およびダイアフラムが金属であり、かつ液体が金属以外と接触しないことを特徴とする請求項1、2に記載の超音波流量計。
【請求項4】
測定配管およびダイアフラムを接合するため、溶接、半田付けまたは金属シールを用いることを特徴とする請求項3に記載の超音波流量計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−7763(P2011−7763A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170535(P2009−170535)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(500222021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(500222021)
【Fターム(参考)】
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