超音波炉心流量測定装置及び超音波流量計
【課題】
SN比良好でかつ演算処理量が比較的少ない超音波炉心流量測定装置及び超音波流量計を提供する。
【解決手段】
流体が通過する原子炉圧力容器3の表面に複数の超音波送受信ユニット10を設置し、超音波送受信制御器201で超音波を流体中へ伝播させるタイミングを制御し、クロススペクトル演算器204により流体中を伝播した超音波を上流,下流の2信号からクロススペクトルを算出し、時間差演算器206により算出されたクロススペクトルから2信号の相互相関波形を解析的に算出するための係数を抽出し、該抽出された前記係数を用いて予め設定した時間領域における相互相関波形の最大ピーク到達時間を算出して前記流体の流速を算出する。
SN比良好でかつ演算処理量が比較的少ない超音波炉心流量測定装置及び超音波流量計を提供する。
【解決手段】
流体が通過する原子炉圧力容器3の表面に複数の超音波送受信ユニット10を設置し、超音波送受信制御器201で超音波を流体中へ伝播させるタイミングを制御し、クロススペクトル演算器204により流体中を伝播した超音波を上流,下流の2信号からクロススペクトルを算出し、時間差演算器206により算出されたクロススペクトルから2信号の相互相関波形を解析的に算出するための係数を抽出し、該抽出された前記係数を用いて予め設定した時間領域における相互相関波形の最大ピーク到達時間を算出して前記流体の流速を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を使った流体の流速測定結果から流量を求める超音波流量計において、アナログの超音波信号をディジタル変換して、流速に依存して変化する超音波信号の到達時間差を精度良く測定でき、原子炉圧力容器内の炉心流量を測定するのに好適な超音波炉心流量測定装置及び超音波流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子炉内の炉心流量測定方法として、〔特許文献1〕,〔特許文献2〕で開示されるように、超音波による流量測定方法が提案されている。いずれの従来技術も、原子炉圧力容器の外周に超音波トランスデューサを配置し、炉心に導かれる流体の流速を複数点で測定して、流量に換算している。
【0003】
【特許文献1】特開2003−329792号公報
【特許文献2】特許3813358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波流量計を用いて原子炉圧力容器の外周から炉心に導かれる流体の流速を測定する場合、超音波の伝播距離が長くなるため超音波がより減衰すること、測定流体が280℃を超える高温のため、常温用に比べて低感度の耐高温用の超音波トランスデューサの使用が必要なこと、圧力容器壁と超音波トランスデューサ間には常温用に比べて超音波透過率が劣る高温用カプラントの使用が必要など、常温用の超音波流量計に比べて多くの感度劣化要因が存在する。さらに、冷却材中には気泡がわずかに存在する場合もあり、これも感度劣化の要因となる。
【0005】
このように、原子炉の炉心流量計に超音波流量計を適用する場合、常温用の超音波流量計に比べて超音波信号の送受信感度が低いため、超音波の到達時間差を精度良く測定することが課題となっている。
【0006】
本発明の目的は、信号処理の演算処理量を減らすことができ、超音波の到達時間差の測定精度が向上できる超音波炉心流量測定装置及び超音波流量計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の超音波炉心流量測定装置は、ダウンカマ部の圧力容器の外側の複数箇所に設置された超音波送受信ユニットにより検出されたダウンカマを通過する流体の上流受信信号と下流側受信信号を入力して上流,下流の2信号からクロススペクトルを算出し、クロススペクトルから2信号の相互相関波形を算出するための係数を抽出し、係数を用いて予め設定した時間領域における相互相関波形の最大ピーク到達時間を算出してダウンカマ部の流速を算出する超音波流量計と、超音波流量計により算出された複数位置の流速から前記ダウンカマ部の流路断面積,流量補正係数を用いて炉心流量を算出する炉心流量演算器を備えたものである。
【0008】
又、超音波流量計は、上流側及び下流側の超音波トランスデューサに検出される通過する流体の上流側受信信号と下流側受信信号を入力して、上流,下流の2信号からクロススペクトルを算出し、クロススペクトルから2信号の相互相関波形を解析的に算出するための係数を抽出し、この係数を用いて予め設定した時間領域における相互相関波形の最大ピーク到達時間を算出して前記流体の流速を算出するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原子炉炉心流量測定に超音波流量計を適用した場合に、超音波送受信感度が低いという問題を、信号処理により解決でき、従来技術で問題となっている信号処理の演算処理量を減らすことができる。又、超音波の到達時間差の測定精度が向上できるため、超音波流量計の性能向上の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の各実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明の実施例1を図1から図6により説明する。図1は、本実施例のABWRプラントの超音波炉心流量測定装置の設置状態を示す縦断面図である。
【0012】
図1に示すように、圧力容器3内の中央部の下方側には炉心6が設けられ、炉心6の外側に設けられたシュラウド2と圧力容器3との間に円環状の空間領域であるダウンカマ4が形成されている。ダウンカマ4の下部にはインターナルポンプ5が設置されている。炉心6の上部には上部プレナム7が設置され、上部プレナム7の上部には汽水分離器8が設置されている。
【0013】
ダウンカマ4部分の圧力容器3の外側には、周方向の複数箇所に超音波送受信ユニット10が設けられ、超音波送受信ユニット10には超音波流量計20が接続され、各超音波流量計20は炉心流量演算器1に接続されている。
【0014】
炉心6で発生した熱は、炉心6の下方から上方に向かって流れる冷却材(冷却水)に伝えられる。冷却材は、上部プレナム7,汽水分離器8を通り、乾燥した蒸気となり、汽水分離器の上の圧力容器3の壁に設けられた主蒸気ノズル(図示していない)を通って、圧力容器3外のタービン(図示していない)に導かれる。
【0015】
ダウンカマ4には、汽水分離器8で蒸気から分離された冷却材が流れ落ちる。また、上部プレナムと汽水分離器8の間の圧力容器3の間に設置されている給水ノズル(図示していない)から供給される冷却材も、ダウンカマ4を通って、汽水分離器8で分離された冷却材と共に複数のインターナルポンプ5により、炉心6に送り込まれる。
【0016】
圧力容器3の外壁に設置してあるダウンカマ4の流速を測定するための超音波送受信ユニット10の出力として得られるダウンカマ4の流速を、超音波流量計20で流量に変換する。各超音波送受信ユニット10で測定した流量は、超音波送受信ユニット10を設置した位置におけるダウンカマ4の流量であり、ダウンカマ4の全周を流れる総流量、すなわち炉心流量は、圧力容器3の外壁に設置した複数の超音波送受信ユニット10および超音波流量計20により得た流量を基に炉心流量演算器1で算出する。
【0017】
図2は、流速検出部分である超音波送受信ユニット10と超音波流量計20の配置を示した図である。圧力容器3の周囲に複数の超音波送受信ユニット10a〜10hを配置してある。図2で示したように、圧力容器3の複数の位置で流量を測定することで、周方向の流速分布の変化を考慮している。
【0018】
図3は、流速検出部分である超音波送受信ユニット10と超音波流量計20の縦方向の取付け位置を示した図である。圧力容器3の壁に超音波送受信ユニット10を配置し、2つの超音波トランスデューサ11a,11bを圧力容器3に取付けている。超音波の伝播経路を図3に太い矢印で示しているように、超音波トランスデューサ11aから斜めにダウンカマ4中の冷却材に伝播させた超音波は、シュラウド2で反射して超音波トランスデューサ11bで受信される。
【0019】
超音波流量計20は、超音波の送受信のタイミングを制御する超音波送受信制御器201,上流側,下流側超音波到達信号をそれぞれAD変換する上流側AD変換器203,下流側AD変換器202,クロススペクトル演算器204,解析式係数抽出器205,時間差演算器206,流量演算器207からなる。超音波流量計20の流量演算結果は、炉心流量演算器1に入力され、炉心流量が演算される。
【0020】
本実施例の流速検出部分では、伝搬時間差法を用いて流速を検出する。冷却材は、図3に示すように、上方から下方に流れている。流れの速さにより超音波の伝播時間は変化する。
【0021】
超音波送受信ユニット10は、送受信兼用の超音波トランスデューサ11a,11bを有し、矢印に示す方向に超音波を伝播させるため、超音波送受信用の振動子をくさび材を介して配置してある。超音波は、圧力容器3を通り、冷却材の流れに対し、角度θで伝播する。図3に示すように、θは、圧力容器3内面の法線と超音波の伝播経路とのなす角度である。流速測定に際しては、超音波を、流れの上流側,下流側に交互に伝播させる。上流側と下流測への到達時間差Δtとすると、冷却材の流速Vは、数1で表わされる。
【0022】
【数1】
【0023】
ここで、Cは冷却材の音速、Lはダウンカマ4の幅、すなわち圧力容器3の内壁とシュラウド2の間の距離である。
【0024】
ダウンカマ4における冷却材の流速は分布を有している。冷却材の流速Vをダウンカマ4の位置xの関数として、V(x)と表す。超音波で測定した流速Vは、数2となる。
【0025】
【数2】
【0026】
すなわち、超音波の伝播経路上のV(x)の平均値である線平均流速とている。この線平均流速から、炉心流量を演算する手順について、以下に示す。流速測定点nの流量をQnとすると、数3となる。
【0027】
【数3】
【0028】
ここで、K1nは軸方向の流量補正係数であり、Vnは線平均流速、Aは流路断面積である。
【0029】
各流速測定点の流量から炉心流量Q0を数4で演算する。
【0030】
【数4】
【0031】
ここで、K2nは、径方向の流量補正係数である。K1n,K2nは、実験,計算などを通じて、あらかじめ算出した値を使用している。
【0032】
次に、超音波流量計20について説明する。図3において、超音波送受信制御器201は、超音波トランスデューサ11a,11bに超音波発生のための電気信号を送出し、超音波トランスデューサ11a,11bで検出した信号を増幅する。また、上流側,下流側に交互に超音波を送出するためのタイミングを制御している。
【0033】
同じ構成の上流側AD変換器203,下流側AD変換器202は、上流および下流の超音波トランスデューサ11a,11bで受信した超音波信号それぞれをディジタルに変換する。
【0034】
クロススペクトル演算器204は、上流,下流の受信超音波信号が揃った時点で、クロススペクトルを演算する。クロススペクトルは、上流,下流の2信号をそれぞれFFT(フーリエ変換)し、その複素乗算により求めることができる。クロススペクトルは、各周波数成分毎の実数と虚数成分からなる。なお、上流,下流の信号系列にあらかじめ設定した個数のゼロのデータを付加できるようにして、時間軸上で演算した相互相関波形と同じになるようにしている。
【0035】
本実施例では、SN比(信号対雑音比)を向上することによって感度を上げる方法をとる。雑音には、連続して混入するものと突発的に混入するものがある。フィルタリングにより連続して混入する雑音と突発的に生じる雑音を抑制し、受信した超音波信号の到達時間を相互相関波形の最大ピーク到達時間として捉える。突発性の雑音は、振幅は大きいが、信号系列全体でみるとそのパワは必ずしも大きくないので、相互相関波形に与える突発性雑音の影響は小さいことが多い。特に、相関処理をするうちの両信号に混入する突発性雑音波形に類似性がなければ、相互相関波形に突発性雑音の影響はほとんど表れない。通常、相互相関法を適用する場合、演算量が多いという欠点があるが、本実施例ではこの点の克服を図っている。
【0036】
解析式係数抽出器205は、求めたクロススペクトルから、実際に超音波信号として冷却材中を伝播していると思われる周波数成分の実数と虚数成分を選択して相互相関波形推定のための解析式の係数を抽出する。
【0037】
本実施例においては、実際に超音波信号として冷却材中を伝播していると思われる周波数成分として、クロススペクトルの振幅の絶対値があらかじめ設定した設定値よりも大きな周波数成分を抽出する。具体的には、振幅の絶対値が設定値よりも大きな周波数とその絶対値と位相を記憶することになる。
【0038】
上記したように、係数の抽出は信号のうちの必要な周波数成分の選択の側面もあり、この点で受信超音波信号のSN比を向上させる。また、クロススペクトルからの係数抽出はアナログフィルタに比べて急峻な周波数の選択性があるので、有効にノイズ除去が可能となる。
【0039】
図4に、クロススペクトルの分布の例を示す。横軸が対数軸で示した周波数、縦軸が対数で示した振幅の絶対値である。点線の部分が超音波信号として冷却材中を伝播している周波数成分である。周波数,絶対値の振幅ともに対数表示としてある。解析式算出に用いる周波数部分を太線の矢印で示してある。多数のクロススペクトルデータの一部を抽出していることがわかる。
【0040】
図5は、解析式係数抽出器205の内部動作であり、クロススペクトルから振幅の大きい周波数成分の振幅と位相を抽出する処理を示す。振幅として、クロススペクトルの絶対値で判定するようにして、最終的には係数表として保存する。
【0041】
時間差演算器206は、時間差を演算するに必要な相互相関波形の値を数5により算出する。図4に示す矢印の範囲の抽出した絶対値Aiと位相Φiを用いて数5を用いて相互相関波形S12r(t)を計算する。
【0042】
【数5】
【0043】
ここで、iは選択した周波数のインデックス(番号)、ωiは角周波数、Aiはクロススペクトルの実数および虚数項から算出した絶対値、Φiはクロススペクトルの実数および虚数項の逆正接として算出した位相である。
【0044】
相互相関波形のピーク到達時間算出が容易にできるように相互相関波形のピーク到達時間にゼロクロスする関数として、相互相関波形の位相α(t)を定義する。数5のCOSをSINとしてS12i(t)を数6で求める。
【0045】
【数6】
【0046】
位相α(t)は数7で算出できる。
【0047】
【数7】
【0048】
位相α(t)は、±90°の範囲で、時間に対して一次の関数となるので、2点の時間における位相の値を求めることで、ゼロクロス時間を求めることができる。
【0049】
図6を用いて位相のゼロクロス時間、すなわち相互相関波形のピーク到達時間算出方法を具体的に説明する。横軸は、遅れ時間であり、相互相関演算の場合に上流,下流の2信号間の時間軸をずらせた量に相当する。実線は、遅れ時間を与えて数5により算出した相互相関波形、破線は遅れ時間を与えて数7により算出した位相である。流速により変化する上流,下流の受信信号の到達時間差は、測定体系と流速測定範囲から予め知ることができるので、相互相関波形のピークが存在すると予想される遅れ時間の前後に図示するようにt1,t2を設定し、設定した遅れ時間に応じた位相α1,α2を数7を用いて算出する。
位相αを一次式で示すと、数8となる。
【0050】
【数8】
【0051】
ここで、aは位相の傾き、αbはいわゆる切片である。Aおよびαbは、数9,数10,数11で計算できる値である。
【0052】
【数9】
【0053】
【数10】
【0054】
【数11】
【0055】
以上示したように、設定した遅れ時間と得られた位相を用いれば、ゼロクロス遅れ時間t0を算出できる。図6では、説明のために多くの遅れ時間で相互相関波形の値と位相の値を計算した例を示してあるが、本実施例では、2点の遅れ時間における位相の値を算出することにより、相互相関の最大ピークの遅れ時間を知ることができる。
【0056】
流量演算器207は、前述の数1により時間差Δtから流速を求め、数3を用いて流速から流量を算出する。流量補正係数は、実験および計算などにより予め算出しており、流路断面積は設計図や実測等により得た値を用いる。
【0057】
炉心流量演算器1は、複数点で測定した流量演算器207の測定結果を用いて、上述の数4により原子炉の炉心流量を算出する。径方向の流量補正係数は、実験,計算などを通じて、予め算出した値を使用している。
【0058】
以上説明したように、本実施例においては、クロススペクトルから解析式係数の抽出に際し、クロススペクトルの振幅が設定値以上の周波数成分を抽出している。原子力などの電力機器が多く設置されているプラントにおいては、大きなノイズが混入する場合がある。このような場合は、本実施例で示したクロススペクトルの振幅が設定値以上とする係数抽出法は、ノイズ除去に有効でない場合がある。そのような場合は、予め係数抽出する周波数を設定しておき、クロススペクトルの振幅によらない係数抽出法の方がノイズ除去に効果があり、本実施例においても、予め係数抽出のための周波数を決めて運用することができる。
【0059】
以上説明したように、本実施例では、流速測定対象の流体中を上流,下流に伝播させた超音波信号をそれぞれFFT(高速フーリエ変換)し、一方の変換信号の複素共役信号を生成し、その積をとることでクロススペクトルを求め、クロススペクトルから時間軸上の相互相関波形を解析的に算出するための係数を抽出し、この係数を用いて予め設定した複数点の時間における相互相関値を算出し、相互相関値を用いて相関のピーク到達時間を決定する。相互相関のピーク時間は伝播時間測定対象の2信号の時間差であり、この時間差を用いて流速,流量を算出する。
【0060】
このように、相互相関をクロススペクトルとして周波数領域上で計算することで直接時間軸上の相互相関を計算するよりも演算量を減らせることができ、クロススペクトルから時間軸上の相互相関波形を算出するための係数の抽出は、雑音成分を取り除きSN比を向上し、不要な周波数成分の演算を削減することができ、抽出した係数から相互相関を演算するため、FFT,IFFTを適用する場合に比べて演算数が限定できるので、演算量を削減することができる。
【0061】
又、クロススペクトルから時間軸上の相互相関波形の再現に必要な係数を抽出する場合、振幅が予め設定した値を超える周波数成分を抽出するようにしているので、発生超音波のうち支配的な成分すなわちSN比良好な成分のみ抽出する作用が得られる。
【0062】
又、クロススペクトルから時間軸上の相互相関波形の再現に必要な係数を抽出する場合、あらかじめ定めた周波数の振幅と位相に関する係数を抽出するようにすることにより、雑音の振幅が超音波の振幅と大きな差がない程度に大きい場合でも、あらかじめ定めたSN比良好な周波数成分のみを抽出する作用が得られる。
【0063】
又、相互相関値のピーク到達時間の決定において、予め抽出した係数を用いて相互相関値(余弦成分)と正弦成分の両方を算出して、これらの値の逆正接から位相を算出し、2点の時間における位相から正確なゼロクロス時間を内挿もしくは外挿で算出しているので、FFT,IFFTを適用し、相互相関波形全体を計算して、さらに高次の関数でフィッティングする場合に比べて演算量がすくなく精度の良い時間差検出が可能となる。
【0064】
又、相互相関波形のピーク到達時間を算出し、複数の位相のゼロクロス点を探査して、探査により得られたそれぞれのゼロクロス点における相互相関の値を算出し、算出した相互相関の値を比較して最大値が存在する位相のゼロクロス点を決定し、ゼロクロス点近傍の位相から正確なゼロクロス時間を決定しているので、小数の位相の値および相互相関値の算出で、ゼロクロス時間すなわち相互相関の最大ピーク到達時間を得ることができるので、演算量を削減できる効果がある。
【実施例2】
【0065】
本発明の実施例2を図7から図11により説明する。実施例1では、時間差演算器206は、流速変化が位相換算で±90°相当の比較的狭い流速変化範囲を対象としていた。
本実施例は、流速変化が位相換算で±360°相当とする場合の時間差演算方式である。
時間差演算器206の内部処理が実施例1と違っているので、以下、時間差演算器206の内部処理について説明する。
【0066】
図7は、流速0における相互相関波形と位相を計算した結果を示す。相互相関演算時の2信号間の遅れ時間を横軸に、縦軸は相互相関の値と、位相の値をとってある。流速0%では、最大ピークは遅れ時間0で発生する。図8,図9,図10は、それぞれ流速25%,50%,100%の場合の相互相関波形と位相を示している。相互相関の最大ピーク位置が流速によってシフトしていることがわかる。前述したように、本実施例においては、流速測定における上流,下流の到達時間差の確定において、相互相関,位相の算出回数を極力少なくして演算量を減らすため、相互相関の最大ピークの遅れ時間を見出し、最大ピーク近傍の位相の時間変化から正確な位相のゼロクロス時間を求めるようにしている。
【0067】
図11に到達時間差を確定する手順についてフローチャートで示す。流れがダウンカマ4の上方から下方に向かう一方向性の流れの場合に、相互相関の最大ピークを見つけだせれば、図6で示したように最大ピーク周りの位相からゼロクロスの時間を正確に求めることができる。
【0068】
相互相関の最大ピークを見つけるため、最初に、遅れ時間0における位相α1を解析式係数抽出器205で得た係数を用いて算出する。位相は直線的に変化し、超音波の主たる周波数も予め分っているので、位相α1が分ればゼロクロスの概略の時間t2は推定できる。ここで、係数aは、時間に対する位相変化の傾きである。
【0069】
図7〜図10の例では、a=1であり、時間t2における相互相関値A2も前述の数5で計算できる。相互相関値A2が正の場合、時間t2から360°に相当する時間ずれた位置の時間t3に相互相関のピークが存在する。時間t2,時間t3どちらの時間のピークが最大かを比較して、最大ピーク時間t5とする。
【0070】
一方、相互相関値A2が負の場合、図9からわかるように相互相関のピークは位相換算で180°ずれた位置にある。相互相関値A2が負の場合で遅れ時間が位相換算で360°以上ずれない条件では、時間t2から180°ずれた隣接するピークが最大ピークとなるので、最大ピーク到達時間t5を時間t2から180°ずれた位置とする。以上の処理により、相互相関の最大ピークのおおよその時間t5を特定することができる。
【0071】
次に、時間t5の前後45°相当の時間における位相を数7で算出し、図6で示した方法と同様に、正確なピーク到達時間を算出する。本実施例では時間t5の前後45°相当としたが、位相が±90°を超えない範囲で他の値の設定も可能である。
【0072】
このように、本実施例によれば、360°に相当する時間変化を伴う比較的広い流速範囲の測定が可能となる。また、同様の考え方で、さらに流速測定範囲を拡大することも可能である。
【実施例3】
【0073】
本発明の実施例3について、図12により説明する。実施例1,2はともに流れの方向は一方向の場合について説明した。しかし、原子炉の特殊な運転状態では、ダウンカマの一部で逆流が生じる場合がありうる。例えば、一部のポンプが固着することで、そのポンプ近くの流れが逆流する場合である。実施例2と同様に、実施例1との違いは、時間差演算器206の内部処理である。
【0074】
本実施例の時間差演算器206の処理内容について図12により説明する。実施例2との違いは、最大ピークの位置が負側にも移動するため、負側に移動することも考慮する必要がある点である。
【0075】
図12において,相互相関値A2が負かどうかの判断の部分までは、図11と同じ処理になっている。相互相関値A2が負でない場合、時間t2前後の位相±360°相当の時間の相互相関のピークを算出し、その振幅を比較することで最大ピークに到達する大よその時間t5を求める。一方、相互相関値A2が負の場合、時間t2前後の位相±180°相当の時間の相互相関のピークを算出し、その振幅を比較することで最大ピークに到達する大よその時間t5を求める。時間t5がわかれば、実施例2の図6に示した方法と同様に正確な相互相関の最大ピーク到達時間を正確に求める。このように、本実施例によれば、正,逆両方の流れを測定できるようになる。
【0076】
上述した各実施例で説明した相互相関波形の位相を用いてゼロクロス時間を求める方法は、位相が一次式で変化することからサンプリング周波数を荒くしても精度よく時間差を求められる利点がある。これにより、AD変換器を高速で高価なものでなくともよく、解析式により相互相関波形や位相を計算できる方法としたため、任意の遅れ時間で相互相関値や位相を算出できる。
【0077】
上述した各実施例によれば、ゼロクロス時間の推定に際してゼロクロス時間を中心として45°相当の時間間隔離れた2点の位相を算出して、ゼロクロス時間を推定した。使用する演算装置は演算語長に制限があるので、そのような場合は、例えば60°相当の時間間隔をあけて位相を求めることも可能となる。これにより、ゼロクロス推定に2倍のデータを用いることが可能になり演算精度が向上する。この点で解析式により相互相関波形や位相を計算できる方式はゼロクロス時間精度向上に寄与する。
【0078】
上述した各実施例によれば、上流,下流の2信号の相互相関を取っている。超音波流量計は、本質的には上流だけ、下流だけの超音波の伝播時間を測定できれば流速の測定、すなわち流量の測定は可能である。例えば、上流もしくは下流の超音波受信信号と、超音波発生に用いる電気パルス(超音波トランスデューサ11aもしくは11bへの印加信号)の相互相関を取ることで、各実施例の適用は可能である。また、予め、超音波受信波形を記憶しておき、上流もしくは下流の超音波受信信号と、この電気パルス発生タイミングに応じて記憶信号を取出し、その相関を取ることで各実施例の適用は可能である。
【0079】
各実施例の超音波流量計は、既存の原子炉の炉心流量計としての適用の他に、本発明の流量計では炉壁の外部に超音波トランスデューサを設置するため圧損がないので、流量計を設置することで圧損が増えることが問題となる自然循環型の原子炉への適用が有効である。圧損を生じないため、本体の設計変更無しで熱交換器など容器壁に沿う流れを伴う流体の流量測定にも適用可能である。また、信号処理量が低減されて経済性もあり、一般的な超音波流量測定系にも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施例1であるABWRプラントの超音波炉心流量測定装置の構成図。
【図2】本実施例の超音波炉心流量測定装置の周方向における配置を示す横断面図。
【図3】超音波送受信ユニットおよび超音波流量計の構成図。
【図4】クロススペクトルの例と、解析式係数抽出周波数範囲の例を示す図。
【図5】解析式係数抽出器内部動作を示すフローチャート。
【図6】ゼロクロス時間算出方法の説明図。
【図7】遅れ時間に対する流速0%における相互相関波形と位相変化の関係を示す図。
【図8】遅れ時間に対する流速25%における相互相関波形と位相変化の関係を示す図。
【図9】遅れ時間に対する流速50%における相互相関波形と位相変化の関係を示す図。
【図10】遅れ時間に対する流速100%における相互相関波形と位相変化の関係を示す図。
【図11】本発明に実施例2の時間差演算器の内部動作を示すフローチャート。
【図12】本発明の実施例3の時間差演算器の内部動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0081】
1 炉心流量演算器
2 シュラウド
3 圧力容器
4 ダウンカマ
5 インターナルポンプ
6 炉心
7 上部プレナム
8 汽水分離器
10 超音波送受信ユニット
11a,11b 超音波トランスデューサ
20 超音波流量計
201 超音波送受信制御器
202 下流側AD変換器
203 上流側AD変換器
204 クロススペクトル演算器
205 解析式係数抽出器
206 時間差演算器
207 流量演算器
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を使った流体の流速測定結果から流量を求める超音波流量計において、アナログの超音波信号をディジタル変換して、流速に依存して変化する超音波信号の到達時間差を精度良く測定でき、原子炉圧力容器内の炉心流量を測定するのに好適な超音波炉心流量測定装置及び超音波流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子炉内の炉心流量測定方法として、〔特許文献1〕,〔特許文献2〕で開示されるように、超音波による流量測定方法が提案されている。いずれの従来技術も、原子炉圧力容器の外周に超音波トランスデューサを配置し、炉心に導かれる流体の流速を複数点で測定して、流量に換算している。
【0003】
【特許文献1】特開2003−329792号公報
【特許文献2】特許3813358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波流量計を用いて原子炉圧力容器の外周から炉心に導かれる流体の流速を測定する場合、超音波の伝播距離が長くなるため超音波がより減衰すること、測定流体が280℃を超える高温のため、常温用に比べて低感度の耐高温用の超音波トランスデューサの使用が必要なこと、圧力容器壁と超音波トランスデューサ間には常温用に比べて超音波透過率が劣る高温用カプラントの使用が必要など、常温用の超音波流量計に比べて多くの感度劣化要因が存在する。さらに、冷却材中には気泡がわずかに存在する場合もあり、これも感度劣化の要因となる。
【0005】
このように、原子炉の炉心流量計に超音波流量計を適用する場合、常温用の超音波流量計に比べて超音波信号の送受信感度が低いため、超音波の到達時間差を精度良く測定することが課題となっている。
【0006】
本発明の目的は、信号処理の演算処理量を減らすことができ、超音波の到達時間差の測定精度が向上できる超音波炉心流量測定装置及び超音波流量計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の超音波炉心流量測定装置は、ダウンカマ部の圧力容器の外側の複数箇所に設置された超音波送受信ユニットにより検出されたダウンカマを通過する流体の上流受信信号と下流側受信信号を入力して上流,下流の2信号からクロススペクトルを算出し、クロススペクトルから2信号の相互相関波形を算出するための係数を抽出し、係数を用いて予め設定した時間領域における相互相関波形の最大ピーク到達時間を算出してダウンカマ部の流速を算出する超音波流量計と、超音波流量計により算出された複数位置の流速から前記ダウンカマ部の流路断面積,流量補正係数を用いて炉心流量を算出する炉心流量演算器を備えたものである。
【0008】
又、超音波流量計は、上流側及び下流側の超音波トランスデューサに検出される通過する流体の上流側受信信号と下流側受信信号を入力して、上流,下流の2信号からクロススペクトルを算出し、クロススペクトルから2信号の相互相関波形を解析的に算出するための係数を抽出し、この係数を用いて予め設定した時間領域における相互相関波形の最大ピーク到達時間を算出して前記流体の流速を算出するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原子炉炉心流量測定に超音波流量計を適用した場合に、超音波送受信感度が低いという問題を、信号処理により解決でき、従来技術で問題となっている信号処理の演算処理量を減らすことができる。又、超音波の到達時間差の測定精度が向上できるため、超音波流量計の性能向上の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の各実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明の実施例1を図1から図6により説明する。図1は、本実施例のABWRプラントの超音波炉心流量測定装置の設置状態を示す縦断面図である。
【0012】
図1に示すように、圧力容器3内の中央部の下方側には炉心6が設けられ、炉心6の外側に設けられたシュラウド2と圧力容器3との間に円環状の空間領域であるダウンカマ4が形成されている。ダウンカマ4の下部にはインターナルポンプ5が設置されている。炉心6の上部には上部プレナム7が設置され、上部プレナム7の上部には汽水分離器8が設置されている。
【0013】
ダウンカマ4部分の圧力容器3の外側には、周方向の複数箇所に超音波送受信ユニット10が設けられ、超音波送受信ユニット10には超音波流量計20が接続され、各超音波流量計20は炉心流量演算器1に接続されている。
【0014】
炉心6で発生した熱は、炉心6の下方から上方に向かって流れる冷却材(冷却水)に伝えられる。冷却材は、上部プレナム7,汽水分離器8を通り、乾燥した蒸気となり、汽水分離器の上の圧力容器3の壁に設けられた主蒸気ノズル(図示していない)を通って、圧力容器3外のタービン(図示していない)に導かれる。
【0015】
ダウンカマ4には、汽水分離器8で蒸気から分離された冷却材が流れ落ちる。また、上部プレナムと汽水分離器8の間の圧力容器3の間に設置されている給水ノズル(図示していない)から供給される冷却材も、ダウンカマ4を通って、汽水分離器8で分離された冷却材と共に複数のインターナルポンプ5により、炉心6に送り込まれる。
【0016】
圧力容器3の外壁に設置してあるダウンカマ4の流速を測定するための超音波送受信ユニット10の出力として得られるダウンカマ4の流速を、超音波流量計20で流量に変換する。各超音波送受信ユニット10で測定した流量は、超音波送受信ユニット10を設置した位置におけるダウンカマ4の流量であり、ダウンカマ4の全周を流れる総流量、すなわち炉心流量は、圧力容器3の外壁に設置した複数の超音波送受信ユニット10および超音波流量計20により得た流量を基に炉心流量演算器1で算出する。
【0017】
図2は、流速検出部分である超音波送受信ユニット10と超音波流量計20の配置を示した図である。圧力容器3の周囲に複数の超音波送受信ユニット10a〜10hを配置してある。図2で示したように、圧力容器3の複数の位置で流量を測定することで、周方向の流速分布の変化を考慮している。
【0018】
図3は、流速検出部分である超音波送受信ユニット10と超音波流量計20の縦方向の取付け位置を示した図である。圧力容器3の壁に超音波送受信ユニット10を配置し、2つの超音波トランスデューサ11a,11bを圧力容器3に取付けている。超音波の伝播経路を図3に太い矢印で示しているように、超音波トランスデューサ11aから斜めにダウンカマ4中の冷却材に伝播させた超音波は、シュラウド2で反射して超音波トランスデューサ11bで受信される。
【0019】
超音波流量計20は、超音波の送受信のタイミングを制御する超音波送受信制御器201,上流側,下流側超音波到達信号をそれぞれAD変換する上流側AD変換器203,下流側AD変換器202,クロススペクトル演算器204,解析式係数抽出器205,時間差演算器206,流量演算器207からなる。超音波流量計20の流量演算結果は、炉心流量演算器1に入力され、炉心流量が演算される。
【0020】
本実施例の流速検出部分では、伝搬時間差法を用いて流速を検出する。冷却材は、図3に示すように、上方から下方に流れている。流れの速さにより超音波の伝播時間は変化する。
【0021】
超音波送受信ユニット10は、送受信兼用の超音波トランスデューサ11a,11bを有し、矢印に示す方向に超音波を伝播させるため、超音波送受信用の振動子をくさび材を介して配置してある。超音波は、圧力容器3を通り、冷却材の流れに対し、角度θで伝播する。図3に示すように、θは、圧力容器3内面の法線と超音波の伝播経路とのなす角度である。流速測定に際しては、超音波を、流れの上流側,下流側に交互に伝播させる。上流側と下流測への到達時間差Δtとすると、冷却材の流速Vは、数1で表わされる。
【0022】
【数1】
【0023】
ここで、Cは冷却材の音速、Lはダウンカマ4の幅、すなわち圧力容器3の内壁とシュラウド2の間の距離である。
【0024】
ダウンカマ4における冷却材の流速は分布を有している。冷却材の流速Vをダウンカマ4の位置xの関数として、V(x)と表す。超音波で測定した流速Vは、数2となる。
【0025】
【数2】
【0026】
すなわち、超音波の伝播経路上のV(x)の平均値である線平均流速とている。この線平均流速から、炉心流量を演算する手順について、以下に示す。流速測定点nの流量をQnとすると、数3となる。
【0027】
【数3】
【0028】
ここで、K1nは軸方向の流量補正係数であり、Vnは線平均流速、Aは流路断面積である。
【0029】
各流速測定点の流量から炉心流量Q0を数4で演算する。
【0030】
【数4】
【0031】
ここで、K2nは、径方向の流量補正係数である。K1n,K2nは、実験,計算などを通じて、あらかじめ算出した値を使用している。
【0032】
次に、超音波流量計20について説明する。図3において、超音波送受信制御器201は、超音波トランスデューサ11a,11bに超音波発生のための電気信号を送出し、超音波トランスデューサ11a,11bで検出した信号を増幅する。また、上流側,下流側に交互に超音波を送出するためのタイミングを制御している。
【0033】
同じ構成の上流側AD変換器203,下流側AD変換器202は、上流および下流の超音波トランスデューサ11a,11bで受信した超音波信号それぞれをディジタルに変換する。
【0034】
クロススペクトル演算器204は、上流,下流の受信超音波信号が揃った時点で、クロススペクトルを演算する。クロススペクトルは、上流,下流の2信号をそれぞれFFT(フーリエ変換)し、その複素乗算により求めることができる。クロススペクトルは、各周波数成分毎の実数と虚数成分からなる。なお、上流,下流の信号系列にあらかじめ設定した個数のゼロのデータを付加できるようにして、時間軸上で演算した相互相関波形と同じになるようにしている。
【0035】
本実施例では、SN比(信号対雑音比)を向上することによって感度を上げる方法をとる。雑音には、連続して混入するものと突発的に混入するものがある。フィルタリングにより連続して混入する雑音と突発的に生じる雑音を抑制し、受信した超音波信号の到達時間を相互相関波形の最大ピーク到達時間として捉える。突発性の雑音は、振幅は大きいが、信号系列全体でみるとそのパワは必ずしも大きくないので、相互相関波形に与える突発性雑音の影響は小さいことが多い。特に、相関処理をするうちの両信号に混入する突発性雑音波形に類似性がなければ、相互相関波形に突発性雑音の影響はほとんど表れない。通常、相互相関法を適用する場合、演算量が多いという欠点があるが、本実施例ではこの点の克服を図っている。
【0036】
解析式係数抽出器205は、求めたクロススペクトルから、実際に超音波信号として冷却材中を伝播していると思われる周波数成分の実数と虚数成分を選択して相互相関波形推定のための解析式の係数を抽出する。
【0037】
本実施例においては、実際に超音波信号として冷却材中を伝播していると思われる周波数成分として、クロススペクトルの振幅の絶対値があらかじめ設定した設定値よりも大きな周波数成分を抽出する。具体的には、振幅の絶対値が設定値よりも大きな周波数とその絶対値と位相を記憶することになる。
【0038】
上記したように、係数の抽出は信号のうちの必要な周波数成分の選択の側面もあり、この点で受信超音波信号のSN比を向上させる。また、クロススペクトルからの係数抽出はアナログフィルタに比べて急峻な周波数の選択性があるので、有効にノイズ除去が可能となる。
【0039】
図4に、クロススペクトルの分布の例を示す。横軸が対数軸で示した周波数、縦軸が対数で示した振幅の絶対値である。点線の部分が超音波信号として冷却材中を伝播している周波数成分である。周波数,絶対値の振幅ともに対数表示としてある。解析式算出に用いる周波数部分を太線の矢印で示してある。多数のクロススペクトルデータの一部を抽出していることがわかる。
【0040】
図5は、解析式係数抽出器205の内部動作であり、クロススペクトルから振幅の大きい周波数成分の振幅と位相を抽出する処理を示す。振幅として、クロススペクトルの絶対値で判定するようにして、最終的には係数表として保存する。
【0041】
時間差演算器206は、時間差を演算するに必要な相互相関波形の値を数5により算出する。図4に示す矢印の範囲の抽出した絶対値Aiと位相Φiを用いて数5を用いて相互相関波形S12r(t)を計算する。
【0042】
【数5】
【0043】
ここで、iは選択した周波数のインデックス(番号)、ωiは角周波数、Aiはクロススペクトルの実数および虚数項から算出した絶対値、Φiはクロススペクトルの実数および虚数項の逆正接として算出した位相である。
【0044】
相互相関波形のピーク到達時間算出が容易にできるように相互相関波形のピーク到達時間にゼロクロスする関数として、相互相関波形の位相α(t)を定義する。数5のCOSをSINとしてS12i(t)を数6で求める。
【0045】
【数6】
【0046】
位相α(t)は数7で算出できる。
【0047】
【数7】
【0048】
位相α(t)は、±90°の範囲で、時間に対して一次の関数となるので、2点の時間における位相の値を求めることで、ゼロクロス時間を求めることができる。
【0049】
図6を用いて位相のゼロクロス時間、すなわち相互相関波形のピーク到達時間算出方法を具体的に説明する。横軸は、遅れ時間であり、相互相関演算の場合に上流,下流の2信号間の時間軸をずらせた量に相当する。実線は、遅れ時間を与えて数5により算出した相互相関波形、破線は遅れ時間を与えて数7により算出した位相である。流速により変化する上流,下流の受信信号の到達時間差は、測定体系と流速測定範囲から予め知ることができるので、相互相関波形のピークが存在すると予想される遅れ時間の前後に図示するようにt1,t2を設定し、設定した遅れ時間に応じた位相α1,α2を数7を用いて算出する。
位相αを一次式で示すと、数8となる。
【0050】
【数8】
【0051】
ここで、aは位相の傾き、αbはいわゆる切片である。Aおよびαbは、数9,数10,数11で計算できる値である。
【0052】
【数9】
【0053】
【数10】
【0054】
【数11】
【0055】
以上示したように、設定した遅れ時間と得られた位相を用いれば、ゼロクロス遅れ時間t0を算出できる。図6では、説明のために多くの遅れ時間で相互相関波形の値と位相の値を計算した例を示してあるが、本実施例では、2点の遅れ時間における位相の値を算出することにより、相互相関の最大ピークの遅れ時間を知ることができる。
【0056】
流量演算器207は、前述の数1により時間差Δtから流速を求め、数3を用いて流速から流量を算出する。流量補正係数は、実験および計算などにより予め算出しており、流路断面積は設計図や実測等により得た値を用いる。
【0057】
炉心流量演算器1は、複数点で測定した流量演算器207の測定結果を用いて、上述の数4により原子炉の炉心流量を算出する。径方向の流量補正係数は、実験,計算などを通じて、予め算出した値を使用している。
【0058】
以上説明したように、本実施例においては、クロススペクトルから解析式係数の抽出に際し、クロススペクトルの振幅が設定値以上の周波数成分を抽出している。原子力などの電力機器が多く設置されているプラントにおいては、大きなノイズが混入する場合がある。このような場合は、本実施例で示したクロススペクトルの振幅が設定値以上とする係数抽出法は、ノイズ除去に有効でない場合がある。そのような場合は、予め係数抽出する周波数を設定しておき、クロススペクトルの振幅によらない係数抽出法の方がノイズ除去に効果があり、本実施例においても、予め係数抽出のための周波数を決めて運用することができる。
【0059】
以上説明したように、本実施例では、流速測定対象の流体中を上流,下流に伝播させた超音波信号をそれぞれFFT(高速フーリエ変換)し、一方の変換信号の複素共役信号を生成し、その積をとることでクロススペクトルを求め、クロススペクトルから時間軸上の相互相関波形を解析的に算出するための係数を抽出し、この係数を用いて予め設定した複数点の時間における相互相関値を算出し、相互相関値を用いて相関のピーク到達時間を決定する。相互相関のピーク時間は伝播時間測定対象の2信号の時間差であり、この時間差を用いて流速,流量を算出する。
【0060】
このように、相互相関をクロススペクトルとして周波数領域上で計算することで直接時間軸上の相互相関を計算するよりも演算量を減らせることができ、クロススペクトルから時間軸上の相互相関波形を算出するための係数の抽出は、雑音成分を取り除きSN比を向上し、不要な周波数成分の演算を削減することができ、抽出した係数から相互相関を演算するため、FFT,IFFTを適用する場合に比べて演算数が限定できるので、演算量を削減することができる。
【0061】
又、クロススペクトルから時間軸上の相互相関波形の再現に必要な係数を抽出する場合、振幅が予め設定した値を超える周波数成分を抽出するようにしているので、発生超音波のうち支配的な成分すなわちSN比良好な成分のみ抽出する作用が得られる。
【0062】
又、クロススペクトルから時間軸上の相互相関波形の再現に必要な係数を抽出する場合、あらかじめ定めた周波数の振幅と位相に関する係数を抽出するようにすることにより、雑音の振幅が超音波の振幅と大きな差がない程度に大きい場合でも、あらかじめ定めたSN比良好な周波数成分のみを抽出する作用が得られる。
【0063】
又、相互相関値のピーク到達時間の決定において、予め抽出した係数を用いて相互相関値(余弦成分)と正弦成分の両方を算出して、これらの値の逆正接から位相を算出し、2点の時間における位相から正確なゼロクロス時間を内挿もしくは外挿で算出しているので、FFT,IFFTを適用し、相互相関波形全体を計算して、さらに高次の関数でフィッティングする場合に比べて演算量がすくなく精度の良い時間差検出が可能となる。
【0064】
又、相互相関波形のピーク到達時間を算出し、複数の位相のゼロクロス点を探査して、探査により得られたそれぞれのゼロクロス点における相互相関の値を算出し、算出した相互相関の値を比較して最大値が存在する位相のゼロクロス点を決定し、ゼロクロス点近傍の位相から正確なゼロクロス時間を決定しているので、小数の位相の値および相互相関値の算出で、ゼロクロス時間すなわち相互相関の最大ピーク到達時間を得ることができるので、演算量を削減できる効果がある。
【実施例2】
【0065】
本発明の実施例2を図7から図11により説明する。実施例1では、時間差演算器206は、流速変化が位相換算で±90°相当の比較的狭い流速変化範囲を対象としていた。
本実施例は、流速変化が位相換算で±360°相当とする場合の時間差演算方式である。
時間差演算器206の内部処理が実施例1と違っているので、以下、時間差演算器206の内部処理について説明する。
【0066】
図7は、流速0における相互相関波形と位相を計算した結果を示す。相互相関演算時の2信号間の遅れ時間を横軸に、縦軸は相互相関の値と、位相の値をとってある。流速0%では、最大ピークは遅れ時間0で発生する。図8,図9,図10は、それぞれ流速25%,50%,100%の場合の相互相関波形と位相を示している。相互相関の最大ピーク位置が流速によってシフトしていることがわかる。前述したように、本実施例においては、流速測定における上流,下流の到達時間差の確定において、相互相関,位相の算出回数を極力少なくして演算量を減らすため、相互相関の最大ピークの遅れ時間を見出し、最大ピーク近傍の位相の時間変化から正確な位相のゼロクロス時間を求めるようにしている。
【0067】
図11に到達時間差を確定する手順についてフローチャートで示す。流れがダウンカマ4の上方から下方に向かう一方向性の流れの場合に、相互相関の最大ピークを見つけだせれば、図6で示したように最大ピーク周りの位相からゼロクロスの時間を正確に求めることができる。
【0068】
相互相関の最大ピークを見つけるため、最初に、遅れ時間0における位相α1を解析式係数抽出器205で得た係数を用いて算出する。位相は直線的に変化し、超音波の主たる周波数も予め分っているので、位相α1が分ればゼロクロスの概略の時間t2は推定できる。ここで、係数aは、時間に対する位相変化の傾きである。
【0069】
図7〜図10の例では、a=1であり、時間t2における相互相関値A2も前述の数5で計算できる。相互相関値A2が正の場合、時間t2から360°に相当する時間ずれた位置の時間t3に相互相関のピークが存在する。時間t2,時間t3どちらの時間のピークが最大かを比較して、最大ピーク時間t5とする。
【0070】
一方、相互相関値A2が負の場合、図9からわかるように相互相関のピークは位相換算で180°ずれた位置にある。相互相関値A2が負の場合で遅れ時間が位相換算で360°以上ずれない条件では、時間t2から180°ずれた隣接するピークが最大ピークとなるので、最大ピーク到達時間t5を時間t2から180°ずれた位置とする。以上の処理により、相互相関の最大ピークのおおよその時間t5を特定することができる。
【0071】
次に、時間t5の前後45°相当の時間における位相を数7で算出し、図6で示した方法と同様に、正確なピーク到達時間を算出する。本実施例では時間t5の前後45°相当としたが、位相が±90°を超えない範囲で他の値の設定も可能である。
【0072】
このように、本実施例によれば、360°に相当する時間変化を伴う比較的広い流速範囲の測定が可能となる。また、同様の考え方で、さらに流速測定範囲を拡大することも可能である。
【実施例3】
【0073】
本発明の実施例3について、図12により説明する。実施例1,2はともに流れの方向は一方向の場合について説明した。しかし、原子炉の特殊な運転状態では、ダウンカマの一部で逆流が生じる場合がありうる。例えば、一部のポンプが固着することで、そのポンプ近くの流れが逆流する場合である。実施例2と同様に、実施例1との違いは、時間差演算器206の内部処理である。
【0074】
本実施例の時間差演算器206の処理内容について図12により説明する。実施例2との違いは、最大ピークの位置が負側にも移動するため、負側に移動することも考慮する必要がある点である。
【0075】
図12において,相互相関値A2が負かどうかの判断の部分までは、図11と同じ処理になっている。相互相関値A2が負でない場合、時間t2前後の位相±360°相当の時間の相互相関のピークを算出し、その振幅を比較することで最大ピークに到達する大よその時間t5を求める。一方、相互相関値A2が負の場合、時間t2前後の位相±180°相当の時間の相互相関のピークを算出し、その振幅を比較することで最大ピークに到達する大よその時間t5を求める。時間t5がわかれば、実施例2の図6に示した方法と同様に正確な相互相関の最大ピーク到達時間を正確に求める。このように、本実施例によれば、正,逆両方の流れを測定できるようになる。
【0076】
上述した各実施例で説明した相互相関波形の位相を用いてゼロクロス時間を求める方法は、位相が一次式で変化することからサンプリング周波数を荒くしても精度よく時間差を求められる利点がある。これにより、AD変換器を高速で高価なものでなくともよく、解析式により相互相関波形や位相を計算できる方法としたため、任意の遅れ時間で相互相関値や位相を算出できる。
【0077】
上述した各実施例によれば、ゼロクロス時間の推定に際してゼロクロス時間を中心として45°相当の時間間隔離れた2点の位相を算出して、ゼロクロス時間を推定した。使用する演算装置は演算語長に制限があるので、そのような場合は、例えば60°相当の時間間隔をあけて位相を求めることも可能となる。これにより、ゼロクロス推定に2倍のデータを用いることが可能になり演算精度が向上する。この点で解析式により相互相関波形や位相を計算できる方式はゼロクロス時間精度向上に寄与する。
【0078】
上述した各実施例によれば、上流,下流の2信号の相互相関を取っている。超音波流量計は、本質的には上流だけ、下流だけの超音波の伝播時間を測定できれば流速の測定、すなわち流量の測定は可能である。例えば、上流もしくは下流の超音波受信信号と、超音波発生に用いる電気パルス(超音波トランスデューサ11aもしくは11bへの印加信号)の相互相関を取ることで、各実施例の適用は可能である。また、予め、超音波受信波形を記憶しておき、上流もしくは下流の超音波受信信号と、この電気パルス発生タイミングに応じて記憶信号を取出し、その相関を取ることで各実施例の適用は可能である。
【0079】
各実施例の超音波流量計は、既存の原子炉の炉心流量計としての適用の他に、本発明の流量計では炉壁の外部に超音波トランスデューサを設置するため圧損がないので、流量計を設置することで圧損が増えることが問題となる自然循環型の原子炉への適用が有効である。圧損を生じないため、本体の設計変更無しで熱交換器など容器壁に沿う流れを伴う流体の流量測定にも適用可能である。また、信号処理量が低減されて経済性もあり、一般的な超音波流量測定系にも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施例1であるABWRプラントの超音波炉心流量測定装置の構成図。
【図2】本実施例の超音波炉心流量測定装置の周方向における配置を示す横断面図。
【図3】超音波送受信ユニットおよび超音波流量計の構成図。
【図4】クロススペクトルの例と、解析式係数抽出周波数範囲の例を示す図。
【図5】解析式係数抽出器内部動作を示すフローチャート。
【図6】ゼロクロス時間算出方法の説明図。
【図7】遅れ時間に対する流速0%における相互相関波形と位相変化の関係を示す図。
【図8】遅れ時間に対する流速25%における相互相関波形と位相変化の関係を示す図。
【図9】遅れ時間に対する流速50%における相互相関波形と位相変化の関係を示す図。
【図10】遅れ時間に対する流速100%における相互相関波形と位相変化の関係を示す図。
【図11】本発明に実施例2の時間差演算器の内部動作を示すフローチャート。
【図12】本発明の実施例3の時間差演算器の内部動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0081】
1 炉心流量演算器
2 シュラウド
3 圧力容器
4 ダウンカマ
5 インターナルポンプ
6 炉心
7 上部プレナム
8 汽水分離器
10 超音波送受信ユニット
11a,11b 超音波トランスデューサ
20 超音波流量計
201 超音波送受信制御器
202 下流側AD変換器
203 上流側AD変換器
204 クロススペクトル演算器
205 解析式係数抽出器
206 時間差演算器
207 流量演算器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダウンカマ部の圧力容器の外側の複数箇所に設置された超音波送受信ユニットと、該送受信ユニットに接続され送受信ユニットにより検出された前記ダウンカマを通過する流体の上流受信信号と下流側受信信号を入力して前記上流,下流の2信号からクロススペクトルを算出し、該算出されたクロススペクトルから2信号の相互相関波形を算出するための係数を抽出し、該抽出された前記係数を用いて予め設定した時間領域における相互相関波形の最大ピーク到達時間を算出して前記ダウンカマ部の流速を算出する超音波流量計と、該超音波流量計により算出された複数位置の流速から前記ダウンカマ部の流路断面積,流量補正係数を用いて炉心流量を算出する炉心流量演算器を備えた超音波炉心流量測定装置。
【請求項2】
上流側及び下流側の超音波トランスデューサに検出される通過する流体の上流側受信信号と下流側受信信号を入力して、前記上流,下流の2信号からクロススペクトルを算出し、該算出されたクロススペクトルから2信号の相互相関波形を解析的に算出するための係数を抽出し、該抽出された前記係数を用いて予め設定した時間領域における相互相関波形の最大ピーク到達時間を算出して前記流体の流速を算出する超音波流量計。
【請求項3】
前記係数が、クロススペクトルの振幅が予め設定したレベルを超える周波数成分の振幅と位相によって抽出される請求項2に記載の超音波流量計。
【請求項4】
前記係数が、予め定めた周波数成分の振幅と位相によって抽出される請求項2に記載の超音波流量計。
【請求項5】
前記最大ピーク到達時間が、解析的に算出する相互相関を正弦関数に置き換えた成分と相互相関の比の逆正接である位相を算出し、該位相のゼロクロス点から求める請求項2から4のいずれかに記載の超音波流量計。
【請求項6】
前記位相のゼロクロス点が、複数の位相のゼロクロス点を探査し、それぞれのゼロクロス点の相互相関の値を算出し、最大値が存在する位相のゼロクロス点の近傍の位相から正確なゼロクロス時間を決定する請求項5に記載の超音波流量計。
【請求項1】
ダウンカマ部の圧力容器の外側の複数箇所に設置された超音波送受信ユニットと、該送受信ユニットに接続され送受信ユニットにより検出された前記ダウンカマを通過する流体の上流受信信号と下流側受信信号を入力して前記上流,下流の2信号からクロススペクトルを算出し、該算出されたクロススペクトルから2信号の相互相関波形を算出するための係数を抽出し、該抽出された前記係数を用いて予め設定した時間領域における相互相関波形の最大ピーク到達時間を算出して前記ダウンカマ部の流速を算出する超音波流量計と、該超音波流量計により算出された複数位置の流速から前記ダウンカマ部の流路断面積,流量補正係数を用いて炉心流量を算出する炉心流量演算器を備えた超音波炉心流量測定装置。
【請求項2】
上流側及び下流側の超音波トランスデューサに検出される通過する流体の上流側受信信号と下流側受信信号を入力して、前記上流,下流の2信号からクロススペクトルを算出し、該算出されたクロススペクトルから2信号の相互相関波形を解析的に算出するための係数を抽出し、該抽出された前記係数を用いて予め設定した時間領域における相互相関波形の最大ピーク到達時間を算出して前記流体の流速を算出する超音波流量計。
【請求項3】
前記係数が、クロススペクトルの振幅が予め設定したレベルを超える周波数成分の振幅と位相によって抽出される請求項2に記載の超音波流量計。
【請求項4】
前記係数が、予め定めた周波数成分の振幅と位相によって抽出される請求項2に記載の超音波流量計。
【請求項5】
前記最大ピーク到達時間が、解析的に算出する相互相関を正弦関数に置き換えた成分と相互相関の比の逆正接である位相を算出し、該位相のゼロクロス点から求める請求項2から4のいずれかに記載の超音波流量計。
【請求項6】
前記位相のゼロクロス点が、複数の位相のゼロクロス点を探査し、それぞれのゼロクロス点の相互相関の値を算出し、最大値が存在する位相のゼロクロス点の近傍の位相から正確なゼロクロス時間を決定する請求項5に記載の超音波流量計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−74879(P2009−74879A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243210(P2007−243210)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】
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