説明

超音波画像診断装置及び超音波画像のタイマ表示プログラム

【課題】少なくとも造影剤投与と連動して時間の計測を開始すること。
【解決手段】連動表示部によって画像信号収集メモリ等に超音波画像データを保存開始したときからタイマ部により時間の計測を開始たり、被検体への造影剤の投与に連動して時間の計測を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体等の被検体に超音波造影剤(以下、造影剤と省略する)を投与して診断するための超音波画像を表示すると共に、造影剤を投与した被検体に対する診断時間等を計測するためのタイマ表示機能を備えた超音波画像診断装置及び超音波画像のタイマ表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像診断装置には、人体等の被検体に造影剤を投与し、この造影剤のみを高感度に画像化するコントラストハーモニック法(CHI法)が用いられる。このCHI法は、図14に示すように当該CHI法による画像化をオンすると、モード遷移の後、一定間隔で超音波ビームを送信してフラッシュ・オンとし、マニュアル操作を可能とし、被検体に造影剤を投与する。これにより、超音波画像診断装置のモニタには、造影剤が投与されていく被検体の超音波画像が表示される。
【0003】
医師等の操作者により操作パネル上の画像保存用のスイッチが押下操作されると、超音波画像データの保存が開始される。次に、医師等の操作者により操作パネル上の被検体に対する診断時間を計測するためのタイマスイッチが押下操作されると、タイマ表示機能による時間の計測が開始される。図15はモニタに表示される超音波画像Pとタイマ表示機能による計測時間Tとを示す。被検体に対する診断が終了すると、タイマ表示機能も停止する。このタイマ表示機能は、被検体に対する造影検査を中心とする全体の検査時間を計測すること、超音波画像データの保存開始や造影剤の補充の開始などからの期間を計測すること、造影剤の有効時間を確認すること等の補助として用いる。
【0004】
造影剤を投与したときの超音波画像の表示と被検体に対する診断時間等のタイマ表示とを行う超音波画像診断装置に関する技術としては、例えば特許文献1乃至5がある。特許文献1は、超音波診断装置に関し、被検体に投与する造影剤の時間的な分布の変化を視認可能とするもので、造影剤投与による超音波画像の輝度分布を画像化し、グラフ表示することを開示する。
特許文献2は、超音波診断装置に関し、超音波画像データを表示すると共に、超音波診断における任意の時間を計測するためのストップウォッチを備えたことを開示する。
特許文献3は、超音波診断装置に関し、フリーズ解除後の経過時間や、フリーズ継続時間、造影剤投与時間、次の操作を行うまでのカウントダウン時間の各表示を行うことを開示する。
特許文献4は、超音波診断装置に関し、超音波画像を生成するための第1の超音波探触子と、造影剤が投与されたときにドプラ成分を検知するための第2の超音波探触子を備え、これら超音波探触子により造影剤が上腕の静脈に流入したことを検知し、造影剤が流入したときから操作者が調整した遅延時間の後、コントラストタイマヘスタート信号を送ることを開示する。
特許文献5は、超音波診断装置に関し、1回の測定でエコー強度の時間変化のデータを複数得て分析するもので、例えば造影剤を複数回投与する場合、これら造影剤の投与毎の超音波画像の各輝度の変化の各グラフを重ね合わせて表示し、各造影剤投与時の各輝度の変化を一度に確認可能とすることを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−178820号公報
【特許文献2】特開2001−178717号公報
【特許文献3】特開2004−148015号公報
【特許文献4】特開2008−259738号公報
【特許文献5】特開2008−92986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、タイマ表示機能は、超音波画像診断装置においてCHI法での機能でしか使用することができず、CHIの終了と共に終了する。又、タイマスイッチは、従来の装置の機能としては、1つしか設けられておらず、1つの計測対象しか計測できない。さらに、タイマ表示機能は、タイマスイッチに対するマニュアル操作により時間の計測を開始することができないので、被検体に造影剤を投与してからの造影効果と連動してタイマ表示を機能することができず、かつ造影剤投与後の超音波画像の輝度の変化を観察するために造影剤投与と連動してタイマ表示機能を開始することができない。
【0007】
本発明の目的は、少なくとも造影剤投与と連動して時間の計測を開始することができる超音波画像診断装置及び超音波画像のタイマ表示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に対応する超音波画像診断装置は、超音波探触子から被検体に対して超音波ビームを送信し、前記被検体からの反射波を受信して前記被検体の超音波画像データを作成する超音波画像診断装置であって、少なくとも前記被検体への造影剤の投与に連動して時間の計測を開始する時間計測部と、前記超音波画像データを表示すると共に、前記時間計測部により計測された時間を表示する表示部とを具備する。
【0009】
請求項15に対応する超音波画像のタイマ表示プログラムは、超音波探触子から被検体に対して超音波ビームを送信し、前記被検体からの反射波を受信して前記被検体の超音波画像データの輝度曲線を作成するものであって、コンピュータに、少なくとも前記被検体への造影剤の投与に連動して時間の計測を開始させ、前記超音波画像データを表示すると共に、前記計測された時間を表示部に表示させる表示機能と、前記時間の計測中に、当該時間の計測開始時刻を変更可能とする変更機能と、前記超音波画像データの輝度値と連動して時間の計測を開始する輝度値計測機能と、それぞれ異なる時間帯となる複数の期間を設定し、これら期間においてそれぞれ前記時間の計測開始時刻を設定する期間設定機能と、前記被検体に前記造影剤が投与される毎に、これら造影剤の各投与に連動して各時間の計測を開始する連続投与計測開始機能と、前記造影剤に関する情報に基づいて前記被検体に前記造影剤を投与したときの前記超音波画像データの輝度値の変化を予測して当該予測曲線を作成し、この予測曲線と共に前記造影剤の投与による前記超音波画像データの輝度値の変化を前記表示部に表示する予測曲線作成機能と、前記特定の輝度値までの前記予測時間を前記造影剤の投与前から事前に表示する事前表示機能とのうち少なくとも1つの機能を実現させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、少なくとも造影剤投与と連動して時間の計測を開始することができる超音波画像診断装置及び超音波画像のタイマ表示プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る超音波画像診断装置の一実施の形態を示す構成図。
【図2】同装置におけるタイマ表示フローチャート。
【図3】同装置における連動表示部によるタイマ計測開始の流れを示す図。
【図4】同装置における連動表示部によるCHI法を用いたときの超音波画像データの輝度曲線Hとタイマ表示である計測時間Tとの関係を示す図。
【図5】同装置における表示変更部による時間の計測開始時刻の変更を示す図。
【図6】同装置における表示変更部による時間計測の開始時刻を超音波画像データの保存を開始した時刻に遡って変更した場合の超音波画像データの輝度曲線Hとタイマ表示である計測時間Tとの関係を示す図。
【図7】同装置における輝度値計測部による超音波画像データの輝度値と連動しての複数のタイマによる時間の計測の開始を示す図。
【図8】同装置における期間設定部による超音波画像データの輝度値と連動しての複数の期間等における各時間の計測の開始を示す図。
【図9】同装置における連続投与計測開始部による複数回に分けて造影剤が被検体に投与されたときの各時間の計測の開始を示す図。
【図10】同装置における連続投与計測開始部による実際の複数回に分けて同一の造影剤が被検体に投与されたときの実際の超音波画像データの輝度曲線を示す図。
【図11】同装置における連続投与計測開始部による造影剤投与の促進を報知の一例を示す図。
【図12】同装置における予測曲線Eと造影剤の投与による超音波画像データの輝度曲線Hとの表示例を示す図。
【図13】同装置における造影剤を投与してからある時間経過後の予測曲線Eと造影剤の投与による超音波画像データの輝度曲線Hとの表示例を示す図。
【図14】従来におけるCHI法によるタイマ表示機能のタイマ計測開始を示す流れ図。
【図15】モニタ上のタイマ表示機能による計測時間の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は超音波画像診断装置の構成図を示す。超音波探触子1は、装置本体に対して着脱自在に設けられ、被検体に対して超音波ビームを送信すると共に、被検体からの反射波を受波する。超音波送受信部2は、超音波探触子1により受信した被検体からの反射波を電気的に処理する。エコー信号処理部3は、超音波送受信部2の出力信号に対してエコー信号処理を行い、超音波画像データを生成する前の画像データ(ローデータ)を生成する。
画像データ生成部4は、エコー信号処理部3によりエコー信号処理された信号から超音波画像データを生成する。画像信号収集メモリ5は、画像データ生成部4により生成された超音波画像データを蓄える。
【0013】
画像データ制御部6は、画像信号収集メモリ5に蓄えられている超音波画像データをユーザインタフェース(UI)9におけるモニタ91に表示するための表示画像データを生成する。表示制御部7は、画像データ制御部6により生成された表示画像データをモニタ91に表示する。又、エコー信号処理部3には、ローデータ収集メモリ8が接続されている。このローデータ収集メモリ8には、エコー信号処理部3により生成された超音波画像データを生成する前の画像データ(ローデータ)を保存する。
【0014】
制御処理部10は、超音波探触子1から超音波ビームを送信し、被検体からの反射波を受波し、超音波画像データを生成してモニタ91に表示するという一連の動作を制御するもので、例えばCPUやRAM、プログラムROM等から成るマイクロプロセッサにより成る。制御処理部10は、ユーザインタフェース(UI)9と、記憶部11とが接続され、かつローデータ収集メモリ8と画像信号収集メモリ5とに対してデータの読み出しを可能とする。ユーザインタフェース(UI)9は、モニタ91と、造影剤の投与を指示するためのタイマスイッチ等を備えた操作パネル92とを有する。記憶部11には、画像再生条件データベース11aと、予想曲線データベース11bとが形成されている。
【0015】
プログラムROMには、予め超音波画像のタイマ表示プログラムが記憶されている。この超音波画像のタイマ表示プログラムは、超音波探触子から被検体に対して超音波ビームを送信し、被検体からの反射波を受信して被検体の超音波画像データの輝度曲線を作成する超音波画像表示プログラムであって、マイクロプロセッサ等のコンピュータに、少なくとも被検体への造影剤の投与に連動して時間の計測を開始させ、超音波画像データの輝度曲線を表示すると共に、計測された時間を表示部に表示させる連動表示機能と、時間の計測中に、当該時間の計測開始時刻を変更可能とする表示変更機能と、超音波画像データの輝度値と連動して時間の計測を開始する輝度値計測機能と、それぞれ異なる時間帯となる複数の期間を設定し、これら期間においてそれぞれ時間の計測開始時刻を設定する期間設定機能と、被検体に造影剤が投与される毎に、これら造影剤の各投与に連動して各時間の計測を開始する連続投与計測開始機能と、造影剤に関する情報に基づいて被検体に造影剤を投与したときの超音波画像データの輝度値の変化を予測して当該予測曲線を作成し、この予測曲線と共に造影剤の投与による超音波画像データの輝度値の変化を表示部に表示する予測曲線作成機能と、特定の輝度値までの予測時間を造影剤の投与前から事前に表示する事前表示機能とのうち少なくとも1つの機能を実現させる。
【0016】
制御処理部10は、超音波画像のタイマ表示プログラムを実行することにより、連動表示部101(パネル操作/マクロと連動)と、表示変更部(遡って設定)102と、輝度値計測部(輝度状態と連動)103と、期間設定部(フェーズ状態と連動)104と、連続投与計測開始部(造影剤連続投入と連動)105と、予測曲線作成部106と、事前表示部107とを有するものとなる。
又、制御処理部10は、タイマ部108を有する。このタイマ部108は、複数の時間をそれぞれ別々に計測することを可能とするもので、例えば複数のタイマを有する。
【0017】
制御処理部10は、操作パネル92に操作入力されるタイマ開始条件に応じて連動表示部101と、表示変更部102と、輝度値計測部103と、期間設定部104と、連続投与計測開始部105と、予測曲線作成部106と、事前表示部107とのうち1つを実行する。
連動表示部101は、少なくとも被検体への造影剤の投与に連動して時間の計測を開始し、超音波画像データと共に、計測された時間をモニタ91に表示する。この連動表示部101は、操作パネル92のスイッチに対して造影剤の投与の指示が与えられとき、又は画像信号収集メモリ5等に超音波画像データを保存開始したときからタイマ部108により時間の計測を開始する。
表示変更部102は、タイマ部108により時間の計測中に、当該時間の計測開始時刻を変更可能とする。
【0018】
輝度値計測部103は、超音波画像データの強度を示す輝度値と連動して時間の計測を開始する。この輝度値計測部103は、時間の計測開始時刻を複数設定可能である。この輝度値計測部103は、例えば、被検体に造影剤を投与しての診断時に要するトータルの時間の計測開始時、被検体への造影剤の投与時、造影剤の投与による超音波画像データの輝度値の上昇開始時、又は超音波画像データの輝度値が予め設定された輝度範囲内に達した時のうち少なくとも1つに計測開始時刻を設定する。
期間設定部104は、それぞれ異なる時間帯となる複数の期間を設定し、これら期間においてそれぞれ時間の計測開始時刻を設定する。
【0019】
連続投与計測開始部105は、複数回に分けて造影剤が被検体に投与される毎に、これら造影剤の各投与に連動して各時間の計測を開始する。この連続投与計測開始部105は、予め設定された2回目以降の造影剤の各投与時よりも所定期間以前から次の造影剤投与の促進を報知する。
【0020】
予測曲線作成部106は、造影剤等に関する情報に基づいて被検体に造影剤を投与したときの超音波画像データの輝度値の変化を予測して当該予測曲線を作成し、この予測曲線と共に造影剤の投与による超音波画像データの実際の輝度値の変化をモニタ91に表示する。造影剤等に関する情報は、予想曲線データベース11bに記憶されている。この造影剤等に関する情報は、例えば、複数の造影剤の特徴のデータ、これら造影剤による造影効果のデータ、人体等の被検体の各部位の特徴のデータ、人体等の被検体の疾患状態、年齢、体重、血量等を有する。
この予測曲線作成部106は、造影剤の投与による超音波画像データの実際の輝度値の変化に追従して予測曲線を変更する。又、予測曲線作成部106は、予測曲線と超音波画像データの輝度値の変化とに基づいて特定の輝度値までの予測時間をモニタ91に表示する。この予測曲線作成部106は、造影剤の投与による超音波画像データの輝度値の変化と、特定の輝度値までの予測時間とをリアルタイムに更新する。
【0021】
事前表示部107は、特定の輝度値までの予測時間を造影剤の投与前から事前に表示する。
制御処理部10には、心電計12が接続されている。この心電計12は、被検体の心臓の電気現象を表す生体信号を出力する。この心電計12から出力される生体信号は、心電図信号として制御処理部10に入力される。制御処理部10は、心電波形に連動する診断の開始を指示すると、超音波探触子1を被検体の腫瘍等の患部の部位に位置合わせすることにより被検体の腫瘍等の患部の部位を含んで超音波ビームをスキャン制御する。
【0022】
超音波探触子1は、被検体に対して超音波ビームを送信すると共に、被検体からの反射波を受波する。超音波送受信部2は、超音波探触子1により受信した反射波を電気的に処理し、エコー信号処理部3は、超音波送受信部2の出力信号に対してエコー信号処理を行って画像データ(ローデータ)を生成する。この画像データ(ローデータ)は、ローデータ収集メモリ8に保存される。画像データ生成部4は、エコー信号処理部3から出力される画像データ(ローデータ)から超音波画像データを生成する。この超音波画像データは、画像信号収集メモリ5に保存される。画像データ制御部6は、画像信号収集メモリ5に蓄えられている超音波画像データを用いて表示画像データを生成する。表示制御部7は、画像データ制御部6により生成された表示画像データをモニタ91に表示する。
【0023】
次に、本装置におけるタイマ表示機能ついて図2に示すタイマ表示フローチャートに従って説明する。
先ず、制御処理部10は、ステップS1において、タイマ開始条件を判断する。すなわち、制御処理部10は、このタイマ開始条件が操作パネル92に対する操作を受け、連動表示部101による連動表示、表示変更部102による表示変更、輝度値計測部103による輝度値計測、期間設定部104による期間設定、連続投与計測開始部105による連続投与計測開始のうちのいずれかであるのかを判断する。
このタイマ開始条件の判断の結果、連動表示であれば、連動表示部101は、ステップS2からステップS3に移り、連動表示に関する演算処理、すなわち画像信号収集メモリ5への超音波画像データの保存開始に連動して時間の計測を開始し、超音波画像データと共に、計測された時間をモニタ91に表示する。なお、連動表示部101は、操作パネル92のスイッチに対して造影剤の投与の指示が与えられたときからタイマ部108により時間の計測を開始してもよい。
【0024】
ここで、本装置における連動表示におけるタイマ計測開始を示す流れについて図3を参照して説明する。
本装置では、人体等の被検体に造影剤を投与し、この造影剤を高感度に画像化するコントラストハーモニック法(CHI法)が用いられる。このCHI法は、当該CHI法による画像化をオンすると、モード遷移の後、一定間隔で超音波ビームを送信してフラッシュ・オンとし、マニュアル操作を可能とし、被検体に造影剤を投与する。これにより、本装置のモニタ91には、造影剤が投与されていく被検体の超音波画像が表示される。なお、造影剤は、その種類によって造影効果が異なる。すなわち、造影剤は、超音波画像データの輝度値の時間変化が異なる。例えば造影剤Levovist,Sonazoidは、比較的長時間造影が続く。造影剤Definity,SonoVue,Imagentは、輝度高点後、減退する。
【0025】
医師等の操作者により操作パネル92上の画像保存用のスイッチが押下操作されると、制御処理部10は、超音波画像データの画像信号収集メモリ5への保存を開始する。
このとき、連動表示部101は、画像信号収集メモリ5への超音波画像データの保存開始したときからタイマ部108による時間の計測を開始する。この連動表示部101は、画像信号収集メモリ5への超音波画像データの保存開始に連動して時間の計測を開始し、超音波画像データと共に、計測された時間をモニタ91に表示する。モニタ91に表示される計測時間Tは、例えば上記図15に示す計測時間Tと同様である。
【0026】
又、制御処理部10は、画像信号収集メモリ5に保存される超音波画像データを逐次読み出し、これら超音波画像データから輝度曲線をリアルタイムに作成し、モニタ91に表示する。図4はCHI法を用いたときの超音波画像データの輝度曲線Hとタイマ表示である計測時間Tとの関係を示す。超音波画像データの輝度曲線Hとタイマ表示である計測時間Tとの関係は、制御処理部10によってモニタ91に表示される。タイマ部108は、超音波画像データが画像信号収集メモリ5に保存開始に連動して時間の計測を開始し、例えば超音波画像データが画像信号収集メモリ5への保存を終了した時点で時間の計測を終了する。超音波画像データを保存開始したタイマ開始時SAから超音波画像データの保存終了SEまでのタイマ部108による計測時間Tは、例えば09:55を表示する。
【0027】
上記タイマ開始条件の判断(ステップS1)の結果、表示変更であれば、表示変更部102は、ステップS4からステップS5に移り、表示変更に関する演算処理、すなわちタイマ部108により時間の計測中に、当該時間の計測開始時刻を変更する。通常、タイマ部108は、画像信号収集メモリ5への超音波画像データの保存開始と連動して時間の計測を開始する。
【0028】
しかしながら、図5に示すように画像信号収集メモリ5への超音波画像データの保存を開始した時点でタイマ部108が時間の計測を開始しなかった場合、表示変更部102は、画像信号収集メモリ5への超音波画像データの保存を開始した後、タイマ部108による時間の計測を開始すると共に、当該時間の計測開始時刻を画像信号収集メモリ5への超音波画像データの保存を開始した時刻に遡って変更して時間の計測を開始する。
【0029】
図6は時間計測の開始時刻を超音波画像データの保存を開始した時刻に遡って変更した場合の超音波画像データの輝度曲線Hとタイマ表示である計測時間Tとの関係を示す。超音波画像データの輝度曲線Hとタイマ表示である計測時間Tとの関係は、制御処理部10によってモニタ91に表示される。超音波画像データを保存開始したタイマ開始時SAからリアルタイムに表示される現在の超音波画像データの輝度曲線Hの位置Uまでのタイマ部108による計測時間Tは、例えば03:25を表示する。
なお、表示変更部102は、時間の計測開始時刻を画像信号収集メモリ5への超音波画像データの保存を開始した時刻に遡って変更するのに限らず、任意の時刻に遡って時間の計測開始時刻を変更することが可能である。
【0030】
上記タイマ開始条件の判断(ステップS1)の結果、輝度値計測であれば、輝度値計測部103は、ステップS6からステップS7に移り、画像信号収集メモリ5に保存されている超音波画像データの輝度値と連動して時間の計測を開始する。
【0031】
図7は超音波画像データの輝度値の変化と連動しての複数のタイマによる時間の計測を開始する例を示す。かかる複数のタイマによる時間の計測は、制御処理部10によってモニタ91に表示される。輝度値計測部103は、時間の計測開始時刻を複数設定可能、タイマ部108に例えば4つのタイマを設定可能である。図7に示す例として第1のタイマは、被検体に造影剤を投与しての診断時に要するトータルの経過時間T1を計測するもので、診断の開始時から時間の計測を開始し、診断の終了時に時間の計測を終了する。
第2のタイマは、診断の開始時から時間の計測を開始し、被検体への造影剤の投与時すなわち造影効果により超音波画像データの輝度値が上昇し始める前までの経過時間T2を計測する。
第3のタイマは、造影剤の投与による超音波画像データの輝度値の上昇開始時から時間の計測を開始し、超音波画像データの輝度値が予め設定された輝度範囲、例えば輝度高点範囲Rに到達するまでの経過時間T3を計測する。なお、超音波画像データの輝度値が予め設定された輝度高点範囲Rになると、例えば被検体の心電図等を計測する。
第4のタイマは、超音波画像データの輝度値が予め設定された輝度高点範囲Rに達した時から時間の計測を開始し、超音波画像データの輝度値が予め設定された輝度高点範囲Rを外れた時までの経過時間T4を計測する。
【0032】
これら超音波画像データの輝度曲線Hと第1乃至第4のタイマにより計測された各経過時間T1〜T4は、制御処理部10によってモニタ91に表示される。
なお、第1乃至第4のタイマにより計測された各経過時間は、上記各経過時間T1〜T4に限らず、任意に変更してもよい。又、タイマの個数も4つの限らず、任意の個数に設定可能である。
【0033】
上記タイマ開始条件の判断(ステップS1)の結果、期間設定であれば、期間設定部104は、ステップS8からステップS9に移り、それぞれ異なる時間帯となる複数の期間(フェーズ)を設定し、これら期間においてそれぞれ時間の計測開始時刻を設定する。
図8は超音波画像データの輝度値と連動しての複数の期間「1」〜「6」等における各時間の計測の開始を示す。かかる複数の期間「1」〜「6」等における各時間の計測は、制御処理部10によってモニタ91に表示される。期間設定部104は、時間の計測開始時刻を複数の期間「1」〜「6」等において設定可能である。これら期間「1」〜「6」等は、例えば一定期間(2〜3秒間等)における超音波画像データの輝度値の平均値を逐次求め、この輝度値の平均値によって各期間「1」〜「6」等の開始時を設定してもよい。又、各期間「1」〜「6」等の開始時を設定する場合、期間設定部104は、本来の各期間「1」〜「6」等の開始時を過ぎた場合、上記表示変更部102と連動して本来の各期間「1」〜「6」等の開始時に遡って時間の計測を開始してもよい。期間設定部104は、タイマ部108に例えば4つのタイマを設定可能である。
【0034】
例えば、第1のタイマは、期間「1」〜「6」等における被検体に造影剤を投与しての診断時に要するトータルの経過時間T1を計測するもので、診断の開始時から時間の計測を開始し、診断の終了時に時間の計測を終了する。
第2のタイマは、期間「1」における経過時間を計測するもので、診断の開始時から時間の計測を開始し、被検体への造影剤の投与時すなわち造影効果により超音波画像データの輝度値が上昇し始める前までの経過時間T2を計測する。
第3のタイマは、期間「2」における経過時間を計測するもので、造影剤の投与による超音波画像データの輝度値の上昇開始時から時間の計測を開始し、超音波画像データの輝度値が予め設定された輝度範囲、例えば輝度高点範囲Rに到達するまでの経過時間T3を計測する。
第4のタイマは、期間「3」における経過時間を計測するもので、超音波画像データの輝度値が予め設定された輝度高点範囲Rに達した時から時間の計測を開始し、超音波画像データの輝度値が予め設定された輝度高点範囲Rを外れた時までの経過時間T4を計測する。
【0035】
上記タイマ開始条件の判断(ステップS1)の結果、連続投与であれば、連続投与計測開始部105は、複数回に分けて造影剤が被検体に投与される毎に、これら造影剤の各投与に連動して各時間の計測を開始する。
図9は複数回に分けて同一の造影剤が被検体に投与されたときの各時間の計測の開始を示す。かかる複数回に分けて同一の造影剤が被検体に投与されたときの各時間の計測は、制御処理部10によってモニタ91に表示される。造影剤は、造影効果を持続させるために所定の期間毎に複数回に分けて投与する場合がある。すなわち、造影剤は、比較的長時間造影が続く造影剤Levovist,Sonazoidや、輝度高点後、減退する造影剤Definity,SonoVue,Imagent等があるが、同一の造影剤を複数回に分けて被検体に投与するのが現状である。
【0036】
図9は造影剤を例えば3回に分けて投与した一例であって、1回目に投与した造影剤による超音波画像データの輝度曲線H1と、2回目に投与した造影剤による超音波画像データの輝度曲線H2と、3回目に投与した造影剤による超音波画像データの輝度曲線H3とを示す。これら造影剤は、各超音波画像データの輝度値が輝度高点範囲Rに継続して入るように投与される。
【0037】
連続投与計測開始部105は、タイマ部108に例えば4つのタイマを設定可能である。
例えば、第1のタイマは、被検体に造影剤を投与しての診断時に要するトータルの経過時間T1を計測するもので、診断の開始時から時間の計測を開始し、診断の終了時に時間の計測を終了する。
第2のタイマは、1回目の造影剤の投与に連動して時間の計測を開始し、2回目の造影剤の投与に連動して時間の計測を終了するまでの経過時間T10を計測する。
第3のタイマは、2回目の造影剤の投与に連動して時間の計測を開始し、3回目の造影剤の投与に連動して時間の計測を終了するまでの経過時間T11を計測する。
第4のタイマは、3回目の造影剤の投与に連動して時間の計測を開始し、診断の終了時に時間の計測を終了するまでの経過時間T12を計測する。
なお、実際の複数回に分けて同一の造影剤が被検体に投与されたときの超音波画像データの輝度曲線H1〜H3は、図10に示すように連続してモニタ91に表示される。
【0038】
又、連続投与計測開始部105は、予め設定された2回目以降の造影剤の各投与時よりも所定期間以前、例えば20秒前から次の造影剤投与の促進を報知する。
【0039】
図11は造影剤投与の促進を報知の一例を示す。造影剤投与の促進を報知は、例えばカウントダウンタイマにより次の投与時までの時間のカウントダウンKDをモニタ91に表示し、かつ当該カウントダウンKDの表示を点滅する。同図は、2回目の造影剤の投与の例えば20秒前からカウントダウンKD「00:20→00:19→00:18…→00:00」をモニタ91に表示し、かつ当該カウントダウンKDの表示を点滅する。なお、2回目の造影剤の投与のカウントダウンKDは、既に1回目の造影剤の投与が終了しているので「00:00」を表示する。
【0040】
次に、制御処理部10は、ステップS12において、グラフ表示条件として、造影剤投与による超音波強度である輝度値を時間経過と共に超音波画像データの輝度曲線Hとしてモニタ91に表示するか否かを判断する。
この判断の結果、超音波画像データの輝度曲線Hをモニタ91に表示すると判断すると、制御処理部10は、ステップS13において、グラフ表示に関連する例えばスケール、タイマ開始位置、超音波画像データの輝度曲線Hの現在位置、超音波画像データの輝度曲線Hの現在曲線、補助線等をモニタ91に描画する。
【0041】
次に、制御処理部10は、ステップS14において、造影剤を投与したときの超音波画像データの輝度値の変化を予測した予測曲線を描画するか否かを判断する。
この判断の結果、予測曲線を描画すると判断すると、予測曲線作成部106は、ステップS15において、予想曲線データベース11bに記憶されている造影剤等に関する情報、例えば複数の造影剤の特徴のデータ、これら造影剤による造影効果のデータ、人体等の被検体の各部位の特徴のデータ、人体等の被検体の疾患状態、年齢、体重、血量等に基づいて被検体に造影剤を投与したときの超音波画像データの輝度値の変化を予測して当該予測曲線を作成し、この予測曲線と共に造影剤の投与による超音波画像データの輝度値の変化をモニタ91に表示する。
又、予測曲線作成部106は、造影剤の投与による超音波画像データの輝度曲線Hの変化に追従して予測曲線Eを変更する。
【0042】
図12は予測曲線Eと造影剤の投与による超音波画像データの輝度曲線Hとの表示例を示す。予測曲線作成部106は、超音波画像データの輝度曲線Hをリアルタイムに更新する。予測曲線作成部106は、超音波画像データの輝度曲線Hの現在位置を現在位置バーBにより表示する。又、予測曲線作成部106は、超音波画像データの輝度曲線Hをリアルタイムに更新すると共に、現在位置バーBよりも以前の予測曲線Eを非表示にする。このとき予測曲線作成部106は、超音波画像データの輝度曲線Hの変化の状況に基づいて予測曲線Eを再予想し、再描写する。なお、図13は造影剤を投与してからある時間経過後の予測曲線Eと造影剤の投与による超音波画像データの輝度曲線Hとの表示例を示す。
【0043】
リアルタイムに更新される超音波画像データの輝度曲線Hと予測曲線Eとが予め設定された輝度値以上著しく異なると、予測曲線作成部106は、かかる超音波画像データの輝度曲線Hが予測曲線Eと著しく異なる旨をモニタ91上に表示する。
予測曲線Eに基づいては、今から開始する造影診断の内容が予め決められている場合があるので、この場合、初期の予測曲線Eを随時再予想して再描画せず、初期の予測曲線Eを残したままの状態で、再予想した分を別の予想曲線として、予測曲線Eと重畳してモニタ91上に表示してもよい。
【0044】
次に、制御処理部10は、ステップS16において、タイマ表示条件に合ったタイマ表示を描画するか否かを判断する。この判断の結果、タイマ表示を描画するのであれば、制御処理部10は、ステップS17において、タイマ部108によるタイマの表示を行う。
【0045】
次に、制御処理部10は、ステップS18において、予測曲線Eに基づいて特定の輝度値までの予測時間を造影剤の投与前から事前にモニタ91上に表示するか否か、すなわち特定の輝度値までの予測時間をカウントダウンタイマとして表示するか否かを判断する。この判断の結果、カウントダウンタイマを表示するのであれば、事前表示部107は、ステップS19において、カウントダウンタイマを用いて特定の輝度値までの予測時間を造影剤の投与前から事前に表示する。
【0046】
例えば、図12に示すように第1乃至第3のカウントダウンタイマT20〜T21がタイマ部108によって表示される。第1のカウントダウンタイマT20は、被検体への造影剤の投与時から超音波画像データの輝度値が上昇する時まで予測時間をカウントダウン表示するもので、ここでは現在位置バーBが超音波画像データの輝度値が上昇する時点をと通過しているので、「00:00」を表示する。
【0047】
第2のカウントダウンタイマT21は、被検体への造影剤の投与時から超音波画像データの輝度値が予め設定された輝度高点範囲Rに達する時点まで予測時間をカウントダウン表示するもので、ここでは予測時間「00:15」を表示する。なお、この予測時間は、現在位置バーBの位置から超音波画像データの輝度値が輝度高点範囲Rに達する時点までの時間である。
第3のカウントダウンタイマT22は、被検体への造影剤の投与時から超音波画像データの輝度値が予め設定された輝度高点範囲Rから外れる時点まで予測時間をカウントダウン表示するもので、ここでは予測時間「18:00」を表示する。なお、この予測時間は、現在位置バーBの位置から輝度高点範囲Rから外れる時点までの時間である。
【0048】
このように上記一実施の形態によれば、連動表示部101によって画像信号収集メモリ5等に超音波画像データを保存開始したときからタイマ部108により時間の計測を開始たり、被検体への造影剤の投与に連動して時間の計測を開始するので、例えば図4に示すように被検体に造影剤を投与してからの超音波画像の輝度の変化である造影効果を観察するために、被検体に造影剤を投与時と連動したタイマ部108による経過時間を表示できる。
【0049】
表示変更部102によってタイマ部108による計測開始時刻を例えば遡って変更可能とするので、例えば図5に示すように画像信号収集メモリ5への超音波画像データの保存を開始した時点でタイマ部108が時間の計測を開始しなかった場合でも、時間の計測開始時刻を画像信号収集メモリ5への超音波画像データの保存を開始した時刻に遡って変更できる。
【0050】
輝度値計測部103によって超音波画像データの輝度値と連動して時間の計測を開始できる。例えば、図7に示すように第1のタイマによって被検体に造影剤を投与しての診断時に要するトータルの経過時間T1を計測し、第2のタイマによって診断の開始時から時間の計測を開始し、造影効果により超音波画像データの輝度値が上昇し始める前までの経過時間T2を計測し、第3のタイマによって造影剤の投与による超音波画像データの輝度値の上昇開始時から時間の計測を開始し、超音波画像データの輝度値が輝度高点範囲Rに到達するまでの経過時間T3を計測し、第4のタイマによって超音波画像データの輝度値が輝度高点範囲Rに達した時から時間の計測を開始し、輝度高点範囲Rを外れた時までの経過時間T4を計測できる。これにより、造影剤を投与しての診断時に要するトータルの経過時間T1と、超音波画像データの輝度値が上昇し始める前までの経過時間T2等の各経過時間T3、T4とを視覚的に判断でき、CHI法により診断や、モニタ91に表示される超音波画像の画質の調整等に有効利用できる。
【0051】
期間設定部104によってそれぞれ異なる時間帯となる複数の期間(フェーズ)において時間の計測開始時刻を設定するので、例えば、図8に示すように期間「1」〜「6」における造影剤を投与しての診断時に要するトータルの経過時間T1を第1のタイマにより計測し、期間「1」における診断の開始時から超音波画像データの輝度値が上昇し始める前までの経過時間T2を第2のタイマによって計測し、期間「2」における造影剤の投与による超音波画像データの輝度値の上昇開始時から輝度高点範囲Rに到達するまでの経過時間T3を第3のタイマによって計測し、期間「3」における超音波画像データの輝度値が輝度高点範囲Rに達した時から輝度高点範囲Rを外れた時までの経過時間T4を第4のタイマにより計測できる。
【0052】
連続投与計測開始部105によって複数回に分けて造影剤が被検体に投与される毎に、これら造影剤の各投与に連動して各時間の計測を開始するので、図9に示すように例えば、第1のタイマによって造影剤を投与しての診断時に要するトータルの経過時間T1を計測し、第2のタイマによって1回目から2回目の造影剤の投与までの経過時間T10を計測し、第3のタイマによって2回目から3回目の造影剤の投与までの経過時間T11を計測し、第4のタイマによって3回目の造影剤の投与から診断の終了時までの経過時間T12を計測できる。
【0053】
又、連続投与計測開始部105によって予め設定された2回目以降の造影剤の各投与時よりも所定期間以前、例えば20秒前から次の造影剤投与の促進を、例えばカウントダウンKDをモニタ91に表示し、かつ当該カウントダウンKDの表示を点滅することにより行うことができる。
これにより、医師等の観察者の超音波画像上の輝度変化を観察しての感覚に拠らずに、複数回に分けての造影剤の投与が可能になる。
【0054】
予測曲線作成部106によって予想曲線データベース11bに記憶されている造影剤等に関する情報に基づいて被検体に造影剤を投与したときの超音波画像データの輝度値の変化を予測した予測曲線Eをモニタ91に表示できる。これにより、造影効果を有する期間に診断を行うことができる。
【0055】
事前表示部107によってカウントダウンタイマを用いて特定の輝度値までの予測時間を造影剤の投与前から事前に表示するので、例えば、図12に示すように第1のカウントダウンタイマT20により被検体への造影剤の投与時から超音波画像データの輝度値が上昇する時まで予測時間をカウントダウン表示し、第2のカウントダウンタイマT21により被検体への造影剤の投与時から超音波画像データの輝度値が輝度高点範囲Rに達する時点まで予測時間をカウントダウン表示し、第3のカウントダウンタイマT22により被検体への造影剤の投与時から超音波画像データの輝度値が輝度高点範囲Rから外れる時点まで予測時間をカウントダウン表示できる。
【0056】
なお、超音波画像診断装置におけるCHI法を用いた被検体に対する診断の対象としては、例えば循環器、腹部等がある。循環器としては、造影剤を用いたコントラスト心エコーの主な臨床の応用として、例えば心腔の造影並びに左室心内膜面の同定、ドプラ信号の増強、心筋染影である。腹部としては、例えば肝腫瘍における造影超音波検査、肝動脈閉塞術(TAE)治療後の血管相の濃染の有無を知り治療、臓器のパーフュージョン観察、腫瘍の血流や血管構築から見た鑑別診断である。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1:超音波探触子、2:超音波送受信部、3:エコー信号処理部、4:画像データ生成部、5:画像信号収集メモリ、6:画像データ制御部、7:表示制御部、8:ローデータ収集メモリ、9:ユーザインタフェース(UI)、91:モニタ、92:操作パネル、10:制御処理部、11:記憶部、11a:画像再生条件データベース、11b:予想曲線データベース、12:心電計、101:連動表示部、102:表示変更部、103:輝度値計測部、104:期間設定部、105:連続投与計測開始部、106:予測曲線作成部、107:事前表示部、108:タイマ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波探触子から被検体に対して超音波ビームを送信し、前記被検体からの反射波を受信して前記被検体の超音波画像データを作成する超音波画像診断装置において、
少なくとも前記被検体への造影剤の投与に連動して時間の計測を開始し、前記超音波画像データと共に、前記計測された時間を表示する連動表示部と、
を具備することを特徴とする超音波画像診断装置。
【請求項2】
少なくとも前記造影剤の投与を指示する操作部と、
前記被検体に前記造影剤が投与されたときからの前記被検体の前記超音波画像データを保存する保存部と、
前記連動表示部は、前記操作部に対して前記造影剤の投与の指示が与えられとき、又は前記保存部に前記超音波画像データを保存開始したときから前記時間の計測を開始する、
ことを特徴とする請求項1記載の超音波画像診断装置。
【請求項3】
前記時間の計測中に、当該時間の計測開始時刻を変更可能とする表示変更部を有することを特徴とする請求項1記載の超音波画像診断装置。
【請求項4】
前記超音波画像データの輝度値と連動して時間の計測を開始する輝度値計測部を有することを特徴とする請求項1記載の超音波画像診断装置。
【請求項5】
前記輝度値計測部は、前記被検体に前記造影剤を投与しての診断時に要するトータルの時間の計測開始時、前記被検体への造影剤の投与時、前記造影剤の投与による前記超音波画像データの輝度値の上昇開始時、又は前記超音波画像データの輝度値が予め設定された輝度範囲内に達した時のうち少なくとも1つに前記計測開始時刻を設定することを特徴とする請求項4記載の超音波画像診断装置。
【請求項6】
それぞれ異なる時間帯となる複数の期間を設定し、これら期間においてそれぞれ前記時間の計測開始時刻を設定する期間設定部を有することを特徴とする請求項1記載の超音波画像診断装置。
【請求項7】
前記被検体に前記造影剤が複数回に分けて投与される毎に、これら造影剤の各投与に連動して各時間の計測を開始する連続投与計測開始部を有することを特徴とする請求項1記載の超音波画像診断装置。
【請求項8】
前記連続投与計測開始部は、予め設定された2回目以降の前記造影剤の各投与時よりも所定期間以前から次の前記造影剤投与の促進を報知することを特徴とする請求項7記載の超音波画像診断装置。
【請求項9】
前記造影剤に関する情報に基づいて前記被検体に前記造影剤を投与したときの前記超音波画像データの輝度値の変化を予測して当該予測曲線を作成し、この予測曲線と共に前記造影剤の投与による前記超音波画像データの輝度値の変化を前記表示部に表示する予測曲線作成部を有することを特徴とする請求項1記載の超音波画像診断装置。
【請求項10】
前記予測曲線作成部は、前記造影剤の投与による前記超音波画像データの輝度値の変化に追従して前記予測曲線を変更することを特徴とする請求項9記載の超音波画像診断装置。
【請求項11】
前記予測曲線作成部は、前記予測曲線と前記超音波画像データの輝度値の変化とに基づいて特定の輝度値までの予測時間を前記表示部に表示することを特徴とする請求項9記載の超音波画像診断装置。
【請求項12】
前記予測曲線作成部は、前記造影剤の投与による前記超音波画像データの輝度値の変化と、前記特定の輝度値までの前記予測時間とをリアルタイムに更新することを特徴とする請求項11記載の超音波画像診断装置。
【請求項13】
前記特定の輝度値までの前記予測時間を前記造影剤の投与前から事前に表示する事前表示部を有することを特徴とする請求項9記載の超音波画像診断装置。
【請求項14】
前記事前表示部は、前記予測時間を事前に表示するカウントダウンタイマを有することを特徴とする請求項13記載の超音波画像診断装置。
【請求項15】
超音波探触子から被検体に対して超音波ビームを送信し、前記被検体からの反射波を受信して前記被検体の超音波画像データの輝度曲線を作成する超音波画像のタイマ表示プログラムであって、
コンピュータに、
少なくとも前記被検体への造影剤の投与に連動して時間の計測を開始させ、前記超音波画像データの前記輝度曲線を表示すると共に、前記計測された時間を表示部に表示させる連動表示機能と、
前記時間の計測中に、当該時間の計測開始時刻を変更可能とする表示変更機能と、
前記超音波画像データの輝度値と連動して時間の計測を開始する輝度値計測機能と、
それぞれ異なる時間帯となる複数の期間を設定し、これら期間においてそれぞれ前記時間の計測開始時刻を設定する期間設定機能と、
前記被検体に前記造影剤が複数回に分けて投与される毎に、これら造影剤の各投与に連動して各時間の計測を開始する連続投与計測開始機能と、
前記造影剤に関する情報に基づいて前記被検体に前記造影剤を投与したときの前記超音波画像データの輝度値の変化を予測して当該予測曲線を作成し、この予測曲線と共に前記造影剤の投与による前記超音波画像データの輝度値の変化を前記表示部に表示する予測曲線作成機能と、
前記特定の輝度値までの前記予測時間を前記造影剤の投与前から事前に表示する事前表示機能と、
のうち少なくとも1つの機能を実現させることを特徴とする超音波画像のタイマ表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−87629(P2011−87629A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−241555(P2009−241555)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】