説明

超音波発生装置

【課題】生体の老化による変化を予防できるとともに、動脈硬化の検査を容易にできる超音波発生装置を提供すること。
【解決手段】生体の老化による変化を予防する超音波発生装置1であって、超音波を生体に照射する超音波照射手段10を備え、超音波照射手段10は、生体の部位に当接され、所定の出力周波数において、所定の出力強度で超音波を発生する超音波照射パッド110と、超音波照射パッド110の駆動制御を行う駆動制御手段11と、生体の部位に装着される袋状体であり、その内部に気体が注入されることで、生体の部位を圧迫し駆血する圧接パッド120と、圧接パッド120の内部への気体の注出入による圧迫制御を行う圧迫制御手段12とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波発生装置に関する。特に、生体の老化による変化を予防する超音波発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、超音波を生体に照射することで、肥満を低減・防止、及び健康・美容上の肥満を改善する超音波照射装置が提案されている(特許文献1参照)。
この超音波照射装置は、特定の範囲の周波数域で、特定の範囲の照射音響パワー面密度超音波を生体に照射する。
これにより、生体の交感神経末端が刺激されてノルアドレナリン等の脂肪分解促進ホルモンが放出され、或いはリン脂質層及び油滴自体に擾乱が発生して、油滴と分解酵素とが接触できるようになり、生体内の脂肪を分解する効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第34160909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、実験により、所定の出力周波数において所定の出力強度で、生体に対して超音波を照射することで、従来技術における肥満を改善するという効果とは全く異なる、生体の老化による変化を予防する(アンチエイジング)効果を発見した。具体的には、動脈硬化を改善する効果を発見した。
【0005】
ところで、動脈硬化の初期像を早期に発見できる検査として現在、血管内皮機能検査が知られている。この血管内皮機能検査は、被験者を安静にし、片側上腕部に所定の圧力をかけ駆血し、その前後において、指先脈波の変化による血流量の変化を測定する。また、別の血管内皮機能検査では、被験者を安静にし、片側上腕部に所定の圧力をかけ駆血し、その前後において、超音波エコー画像上から動脈壁の拡張率(血管内皮依存性血管拡張率)を測定する。そして、これらの測定値から、臨床検査的な意義と、臨床応用化を検討する。
【0006】
そこで、本発明は、生体の老化による変化を予防できるとともに、動脈硬化の検査を容易にできる超音波発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、具体的には次のようなものを提供する。
【0008】
(1) 生体の老化による変化を予防する超音波発生装置であって、超音波を前記生体に照射する超音波照射手段を備え、前記超音波照射手段は、生体の部位に当接され、所定の出力周波数において、所定の出力強度で超音波を発生する超音波照射パッドと、前記超音波照射パッドの駆動制御を行う駆動制御手段と、生体の部位に装着される袋状体であり、その内部に気体が注入されることで、当該生体の部位を圧迫し駆血する圧接パッドと、前記圧接パッドの前記内部への気体の注出入による圧迫制御を行う圧迫制御手段とを備えることを特徴とする超音波発生装置。
【0009】
(1)の超音波発生装置によれば、超音波照射パッドは、駆動制御手段の駆動制御により、生体の部位に、所定の出力周波数において、所定の出力強度で超音波を照射できるとともに、生体の部位を駆血できる。
【0010】
これにより、本発明は超音波照射手段を備え、所定の出力周波数において、所定の出力強度で超音波を生体に照射することで、生体の老化による変化を予防できる。生体の老化による変化の予防とは、抗加齢効果であり、発明者が新規に発見した以下の2つの効果を包含する。
【0011】
1)抗動脈硬化効果を奏する。具体的には、血管内皮機能を改善できる。
そして、本発明を適用した超音波発生装置は、動脈硬化予防機器としての臨床応用化、動脈硬化治療機器としての臨床応用化、動脈硬化検査機器としての臨床応用化が期待できる。
【0012】
2)抗酸化ストレス効果を奏する。酸化ストレスは、上記動脈硬化以外にも複数の疾患の原因と関連がある。本発明によれば、この酸化ストレスを予防できる。
【0013】
さらに、本発明は圧迫制御手段により圧迫制御される圧接パッドを備えたので、超音波照射と駆血とを互いに連動させて行うことができるので、動脈硬化の検査を容易にでき、上記各種臨床応用化や上記各種臨床検査応用化を促進できる。
【0014】
(2) (1)に記載の超音波発生装置であって、前記圧接パッドは、前記超音波照射パッドが当接された生体の部位と略同一の部位に装着されることを特徴とする。
【0015】
(2)の超音波発生装置によれば、圧接パッドと超音波照射パッドとを一体に装着することができるので、動脈硬化の検査をより容易にできる。
【0016】
(3) (1)に記載の超音波発生装置であって、前記圧接パッドは、前記超音波照射パッドが当接された生体の部位と異なる部位に装着されることを特徴とする。
【0017】
(3)の超音波発生装置によれば、圧接パッドと超音波照射パッドとが生体における異なる部位に装着されているので、それぞれ脱着することが可能となり、動脈硬化の検査をより容易にできる。
【0018】
(4) (1)から(3)のいずれかにに記載の超音波発生装置であって、前記駆動制御手段は、前記駆動制御を所定のタイミングで所定時間行うことを特徴とする。
【0019】
(4)の超音波発生装置によれば、超音波照射パッドの駆動制御を、所定のタイミングで所定時間行うことができる。
これにより、適切なタイミングで適切な時間で、生体の部位へ超音波照射を行うことができるので、動脈硬化の検査をより容易にできる。
ここで、適切なタイミングとは、例えば、圧接パッドによる駆血後安静状態で5分経過した後等であり、適切な時間とは、例えば、20分間等である。
【0020】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の超音波発生装置であって、前記圧迫制御手段は、前記圧迫制御において、前記生体の部位を圧迫する圧力を所定時間一定に保つことを特徴とする。
【0021】
(5)の超音波発生装置によれば、圧接パッドによる駆血時に、前記圧接パッドにおける生体の部位を圧迫する圧力を所定時間一定に保つことができる。
これにより、駆血時における圧接パッドによる生体の部位を圧迫する圧力が下がってしまうことを防止できるので、動脈硬化の検査をより容易にできる。
【0022】
(6) (1)から(5)のいずれかに記載の超音波発生装置であって、前記超音波照射手段は、前記駆動制御手段による前記駆動制御と前記圧迫制御手段による前記圧迫制御を交互に行うことを特徴とする。
【0023】
(6)の超音波発生装置によれば、超音波照射パッドの駆動制御と、圧接パッドの圧迫制御とを交互に行うので、例えば、駆血後に超音波の照射を行うことができる。
これにより、駆血して超音波の照射といった動脈硬化の検査を一連で行うことができるので、動脈硬化の検査をより容易にできる。
【0024】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載の超音波発生装置であって、前記脈波解析手段は、前記生体に装着され、前記生体の動脈の状態を測定する脈波測定手段と、前記脈波測定手段の測定結果を解析する測定結果解析手段とを有することを特徴とする。
【0025】
(7)の超音波発生装置によれば、生体の動脈の状態を測定し、測定結果を解析できる。
これにより、安静時、駆血時、超音波照射時、超音波照射後といった各処置における動脈の状態を測定できる。また、超音波を照射した場合と、照射しない場合と、の動脈の状態を解析し、各場合同士の相違を同定できる。
よって、生体の老化による変化を予防できるとともに、動脈硬化の検査を容易に解析できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、生体の老化による変化を予防できるとともに、動脈硬化の検査を容易にできる超音波発生装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係る超音波発生装置の全体構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る超音波照射パッドと圧接パッドとの説明図である。
【図3】第1実施形態に係る超音波照射パッドの構成を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る超音波発生装置の機能構成を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る超音波照射手段の入力手段を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る超音波発生装置を被験者に適用した状態を示す図である。
【図7】第1実施形態の別態様に係る超音波発生装置を被験者に適用した状態を示す図である。
【図8】第1実施形態に係る超音波発生装置による制御処理を示すフローチャートである。
【図9】第1実施形態に係る超音波発生装置を被験者に適用した実施例を説明する図である。
【図10】第2実施形態に係る超音波発生装置の機能構成を示す図である。
【図11】第2実施形態に係る超音波発生装置を被験者に適用した状態を示す図である。
【図12】第2実施形態の別態様に係る超音波発生装置を被験者に適用した状態を示す図である。
【図13】第2実施形態に係る超音波発生装置を被験者に適用した実施例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0029】
〈第1実施形態〉
[超音波発生装置1の構成]
図1は、第1実施形態に係る超音波発生装置1の全体構成を示す図である。
【0030】
超音波発生装置1は、超音波を生体に照射する超音波照射手段10と、生体の動脈の状態を解析する脈波解析手段20と、超音波照射手段10及び脈波解析手段20が設置されたラック30とを備える。
【0031】
超音波照射手段10は、入力手段10bを有する本体10Aと、本体10Aのコネクタ10aに複合ケーブル110aを介して接続された超音波照射パッド110と、本体10Aにチューブ120aを介して接続された圧接パッド120とを備える。
【0032】
脈波解析手段20は、生体に装着される2個の脈波測定手段210(生体の左右の腕に1つずつ装着される)と、ケーブル210aを介して脈波測定手段210に接続される測定結果解析手段21とを備える。
【0033】
ラック30は、超音波照射手段10と脈波解析手段20とが略垂直方向に配置され、最下部に4つの車輪を有し可動可能に形成されている。
【0034】
超音波照射手段10の本体10Aと脈波解析手段20とについての詳細は、図4を用いて後述する。
【0035】
図2は、第1実施形態に係る超音波照射パッド110と圧接パッド120との説明図である。
図2に示すように、超音波照射パッド110と圧接パッド120とは生体の上腕50に巻き付けられる。超音波照射パッド110は、被験者の上腕50に直接当接するように巻き付けられる。圧接パッド120は、超音波照射パッド110の上から生体の上腕50に巻き付けられ、端部が固定可能に形成されている。
【0036】
[超音波照射パッド110の構成]
図3は、第1実施形態に係る超音波照射パッド110の構成を示す図である。
超音波照射パッド110は、生体の部位に巻付け可能な長辺を有する略矩形の袋状体であるパッド本体111と、パッド本体111の内部に収容され超音波を発生する8個の超音波発振素子112と、パッド本体111の内部に収容され振動を発生する2つの振動モーター113とを備える。
【0037】
パッド本体111は、上面がシリコンラバーで形成され、生体の部位に当接される下面が導電性シリコンラバーで形成されている。
パッド本体111の大きさは、超音波発振素子112の数量に応じて異なる。すなわち、超音波発振素子112の数が8個のパッド本体111(Sサイズ)の大きさは、超音波発振素子112の数が12個のパッド本体111(Lサイズ)の大きさより小さい。
【0038】
超音波発振素子112は、パッド本体111の下面側に超音波を発生するように配置されている。
超音波発振素子112は、発生する超音波の固有周波数を有している。1つの超音波照射パッド110は、同一の固有周波数の超音波を発生可能な超音波発振素子112が8個、又は12個収容されている。超音波発振素子112は、後述の駆動制御手段11により駆動制御される。詳しくは後述するが、第1実施形態の超音波照射手段10では、4種類の出力周波数の超音波を発生可能である。
【0039】
振動モーター113は、パッド本体111の下面を振動するように配置されている。振動モーター113は、後述のモーター制御手段13により振動制御される。
【0040】
第1実施形態の超音波照射パッド110は、上記4種類の出力周波数及び上記2種類のパッド本体111の大きさ毎、すなわち、合計8種類備えることができる。
【0041】
[超音波発生装置1の機能構成]
図4は、第1実施形態に係る超音波発生装置1の機能構成を示す図である。
超音波発生装置1には、超音波照射手段10と、脈波解析手段20とが含まれる。
【0042】
超音波照射手段10は、入力手段10bを有する本体10Aと、本体10Aのコネクタ10aに接続され、超音波発振素子112と振動モーター113とを有する超音波照射パッド110及び圧接パッド120とを備える。
【0043】
本体10Aは、超音波発振素子112の駆動制御を行う駆動制御手段11と、圧接パッド120の内部への気体の注出入による圧迫制御を行う圧迫制御手段12と、振動モーター113を振動制御するモーター制御手段13と、駆動制御手段11と圧迫制御手段12とモーター制御手段13とに時間情報を送信するタイマー設定手段14とを有する。
【0044】
駆動制御手段11は、超音波発振素子112を所定の出力周波数において、所定の出力強度で超音波を発生させるように駆動制御する。
第1実施形態における所定の出力強度は、10mWcm〜120mW/cmである。
第1実施形態における所定の出力周波数には、200kHz±5kHz、517kHz±5kHz、800kHz±5kHz、及び1MkHz±5kHzの4種類がある。駆動制御手段11は、これら4種類の出力周波数を切替えて、超音波発振素子112を駆動制御する。
【0045】
また、駆動制御手段11は、タイマー設定手段14から送信された時間情報に基づき、予め設定されたタイミングで、超音波発振素子112の駆動制御を開始し、所定時間(例えば、20分間)継続して超音波を発生させるように駆動制御する。
【0046】
圧迫制御手段12は、圧接パッド120における生体の部位を圧迫する圧力を、タイマー設定手段14から送信された時間情報に基づき、所定時間一定に保つように圧迫制御を行う。圧迫制御手段12は、圧接パッド120の内部の気体圧を計る圧力センサ(図示無し)を備える。
圧迫制御手段12は、タイマー設定手段14から送信された時間情報に基づき、予め設定されたタイミングで、圧接パッド120の内部に気体を注入し、200mmHgまで圧力をかけ、所定時間(例えば、5分間)一定に保ち、その後、気体を一気に注出するように圧迫制御を行う。生体の部位は、圧迫制御手段12により圧接パッド120の内部に200mmHgまで圧力をかけている間、駆血されることとなる。
【0047】
モーター制御手段13は、タイマー設定手段14から送信された時間情報に基づき、駆動制御手段11が超音波発振素子112の駆動制御を行っている間、間欠的に、振動モーター113を振動制御する。これにより、被験者は、超音波発振素子112から超音波が発生していることを、振動モーター113による振動によって感知することができる。
【0048】
タイマー設定手段14は、時間をカウントし、入力手段10bから入力されたタイミングで、駆動制御手段11、圧迫制御手段12、及びモーター制御手段13に時間情報を送信する。
タイマー設定手段14は、0〜30分間カウントし、1分単位で時間情報を送信するタイミングを受付け可能である。また、タイマー設定手段14は、各タイミングにおいて音を発生する音発生手段(図示無し)を有する。
【0049】
コネクタ10aは、上記4種類の出力周波数及び上記2種類のパッド本体111の大きさ毎、すなわち、合計8箇所設けられている(図1参照)。
【0050】
入力手段10bは、操作者から超音波照射手段10に対する各種の設定入力を受付ける。詳しくは、図5を用いて後述する。
【0051】
次に、脈波解析手段20について説明する。
脈波解析手段20は、生体の動脈の状態を測定する脈波測定手段210と、脈波測定手段210の測定結果を解析する測定結果解析手段21とを有する。また、脈波解析手段20は、超音波照射手段10の圧迫制御手段12及びタイマー設定手段14と接続されている。
【0052】
脈波測定手段210は、被験者の指先を覆うプローブと、プローブ内部で被験者の指先を圧迫する圧迫手段(図示無し)と、血流の状態を感知する血流センサ(図示無し)とを有する。また、脈波測定手段210は、右腕用と左腕用とを備える。
【0053】
測定結果解析手段21は、圧迫手段による被験者の指先の圧迫を制御する圧迫制御手段(図示無し)と、血流センサから得た血流の状態に関するデータを解析し、測定時間中の脈波のグラフ化及び血管の状態を数値化する解析手段(図示無し)とを備える。
第1実施形態における数値化される血管の状態は、RHI(血管の内皮機能を反映する数値)と、AI(血管(動脈壁)の硬さを反映する数値)とが含まれる。
測定結果解析手段21は、被験者の駆血された腕と駆血されていない腕にそれぞれ装着されたプローブの血流センサから、血管の状態を測定し、両測定値を対比することで、RHI及びAIを算出する。
【0054】
第1実施形態に係る超音波発生装置1の本体10Aにおける各手段は、コンピュータ及びその周辺装置が備えるハードウェア並びに該ハードウェアを制御するソフトウェア備える。
【0055】
図5は、第1実施形態に係る超音波照射手段10の入力手段10bを示す図である。
第1実施形態における駆動制御手段11の駆動制御に関する各種の設定入力には、所定の出力周波数、所定の出力強度、駆動制御の開始時間、及び駆動制御の継続時間の設定入力が含まれる。
また、圧迫制御手段12の圧迫制御に関する各種の設定入力には、圧接パッド120の内部にかける圧力の大きさ、圧力をかけている時間、気体を注出入するタイミングの設定入力が含まれる。
また、モーター制御手段13の振動制御に関する各種の設定入力には、振動制御の有無(バイブレータ機能のオン/オフ)、振動制御の開始時間、及び振動制御の継続時間の設定入力が含まれる。
また、タイマー設定手段14に関する各種の設定入力には、タイマーのスタートやストップ、アラームの有無等の設定入力が含まれる。
【0056】
超音波発生装置1における駆動制御手段11、圧迫制御手段12、モーター制御手段13、タイマー設定手段14、測定結果解析手段21は、コンピュータ及びその周辺装置が備えるハードウェア並びに該ハードウェアを制御するソフトウェアによって構成される。
【0057】
上記ハードウェアには、駆動制御手段11、圧迫制御手段12、モーター制御手段13、タイマー設定手段14、測定結果解析手段21としてのCPU(Central Processing Unit)、及び記憶部が含まれる。記憶部としては、例えば、メモリ(RAM:Random Access Memory、ROM:Read Only Memory等)、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、及び光ディスク(CD:Compact Disk、DVD:Digital Versatile Disk等)ドライブが挙げられる。また、超音波発生装置1には、表示装置として、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の各種ディスプレイを備えることができる。また、超音波発生装置1には、入力装置として、例えば、キーボード及びポインティング・デバイス(マウス、トラッキングボール等)を備えることができる。
【0058】
上記ソフトウェアには、上記ハードウェアを制御するコンピュータ・プログラムやデータが含まれる。コンピュータ・プログラムやデータは、記憶部により記憶され、各制御手段により適宜実行、参照される。
【0059】
図6は、第1実施形態に係る超音波発生装置1を被験者に適用した状態を示す図である。
図6に示すように、第1実施形態では超音波発生装置1を被験者に適用する場合、超音波照射手段10の超音波照射パッド110と圧接パッド120とを一体として被験者の上腕50に巻き付ける。また、脈波解析手段20の脈波測定手段210は被験者の指先に装着する。また、図示していない腕には、超音波照射パッド110と圧接パッド120は巻き付けず、指先に脈波測定手段210のみ装着する。
【0060】
図7は、第1実施形態の別態様に係る超音波発生装置1を被験者に適用した状態を示す図である。
図7に示すように、第1実施形態の別態様では超音波発生装置1を被験者に適用する場合、超音波照射手段10の超音波照射パッド110を被験者の下腕51に巻き付け、圧接パッド120を被験者の上腕50に巻き付ける。また、脈波解析手段20の脈波測定手段210は被験者の指先に装着する。また、図示していない腕には、超音波照射パッド110と圧接パッド120は巻き付けず、指先に脈波測定手段210のみ装着する。
【0061】
[超音波発生装置1の制御フロー]
次に、超音波発生装置1の各制御手段等の制御フローについて説明する。
【0062】
図8は、第1実施形態に係る超音波発生装置1による制御処理を示すフローチャートである。
【0063】
ステップS1では、5分経過したか否かを判定する処理を行う。この処理において、圧迫制御手段12は、タイマー設定手段14から送信される時間情報に基づき、5分経過したか否かを判定する。この5分間は、被験者が安静にする時間である。
【0064】
ステップS2では、気体注入処理を行う。この処理において、圧迫制御手段12は、圧接パッド120の内部に気体を注入し、200mmHgまで圧力をかける処理を行う。この処理により、被験者の部位(例えば、上腕)の駆血が開始される。
【0065】
ステップS3では、5分経過したか否かを判定する処理を行う。この処理において、圧迫制御手段12は、タイマー設定手段14から送信される時間情報に基づき、5分経過したか否かを判定する。この5分間は、被験者の部位(例えば、上腕)を駆血する時間である。
【0066】
ステップS4では、気体注出処理を行う。この処理において、圧迫制御手段12は、圧接パッド120の内部に気体を注出する処理を行う。この処理により、被験者の部位(例えば、上腕)の駆血が終了される。
【0067】
ステップS5では、5分経過したか否かを判定する処理を行う。この処理において、駆動制御手段11は、タイマー設定手段14から送信される時間情報に基づき、5分経過したか否かを判定する。この5分間は、被験者が安静にする時間である。
【0068】
ステップS6では、超音波照射前測定値解析処理を行う。この処理において、測定結果解析手段21は、脈波測定手段210の測定結果を解析する。この処理により、超音波照射前の被験者のRHI及びAIを算出する。
【0069】
ステップS7では、超音波照射開始処及び振動開始処理を行う。この処理において、駆動制御手段11は、超音波発振素子112を所定の出力周波数において、所定の出力強度で超音波を発生させるように駆動制御を開始する。この処理により、被験者の部位(例えば、上腕)への超音波照射が開始される。
また、この処理において、モーター制御手段13は、間欠的に、振動モーター113の振動制御を開始する。この処理により、被験者の部位(例えば、上腕)への超音波照射が開始されていることを知らせるバイブレーションを開始する。
【0070】
ステップS8では、20分経過したか否かを判定する処理を行う。この処理において、駆動制御手段11は、タイマー設定手段14から送信される時間情報に基づき、20分経過したか否かを判定する。この20分間は、被験者の部位(例えば、上腕)に超音波照射する時間である。
【0071】
ステップS9では、超音波照射終了処理及び振動終了処理を行う。この処理において、駆動制御手段11は、超音波発振素子112の駆動制御を終了する。この処理により、被験者の部位(例えば、上腕)への超音波照射が終了される。
また、この処理において、モーター制御手段13は、振動モーター113の振動制御を終了する。この処理により、被験者の部位(例えば、上腕)への超音波照射が開始されていることを知らせるバイブレーションを終了する。
【0072】
ステップS10では、超音波照射後測定値解析処理を行う。この処理において、測定結果解析手段21は、脈波測定手段210の測定結果を解析する。この処理により、超音波照射後の被験者のRHI及びAIを算出する。
【0073】
[超音波発生装置1を被験者に適用した実施例]
図9は、超音波発生装置1を被験者に適用した実施例を説明する図である。
本実施例では、超音波照射パッド110を被験者(年齢の異なる2人の男性)の片側上腕部に巻き付け、超音波照射手段10における出力強度を50mW、出力周波数を517kHz±5kHzとした超音波を20分間照射した。
図9は、超音波を照射した前後における脈波解析手段20の測定結果を整理した表である。上段の表は、47歳男性の測定結果であり、下段の表は、60歳男性の測定結果である。
【0074】
RHIとAIとは、血管の状態を判断する指標である。
RHIは、血管内皮機能を反映する数値である。RHI値の正常値は“1.67”であり、この値が大きい程、血管内皮機能が良好であることを示す。
AIは、血管(動脈)壁の硬さを反映する数値である。AI値の“0%”は、血管壁が硬くないことを示し、この値が大きい程、血管壁が硬くなっていることを示す。
【0075】
図9上段の表に示すとおり、被験者が47歳男性の場合、超音波照射前のRHI値は“1.64”であり、AI値は“0%”である。そして、超音波照射後のRHI値は“1.98”であり、AI値は“0%”である。
よって、超音波照射により、RHI値が上昇し、血管内皮機能が改善されたことが分かる。
【0076】
図9下段の表に示すとおり、被験者が60歳男性の場合、超音波照射前のRHI値は“1.93”であり、AI値は“17%”である。そして、超音波照射後のRHI値は“1.81”であり、AI値は“9%”である。
よって、超音波照射により、AI値が降下し、血管壁の硬化が改善されたことが分かる。
【0077】
〈第2実施形態〉
第2実施形態に係る超音波発生装置1Aは、脈波解析手段20の代わりに、血管内皮依存性血管拡張率を測定する血管内皮機能解析手段30を備える。
【0078】
図10は、第2実施形態に係る超音波発生装置1の機能構成を示す図である。
血管内皮機能解析手段30は、超音波エコー画像を解析する超音波エコー解析手段31と、被験者の部位に当接され、被験者の部位から超音波エコーを測定し超音波エコー解析手段31に送信する超音波エコー測定手段310とを有する。また、血管内皮機能解析手段30は、超音波照射手段10の圧迫制御手段12及びタイマー設定手段14と接続されている。
【0079】
図11は、第2実施形態に係る超音波発生装置1Aを被験者に適用した状態を示す図である。
図11に示すように、第2実施形態では超音波発生装置1Aを被験者に適用する場合、超音波照射手段10の超音波照射パッド110と圧接パッド120とを一体として被験者の上腕50に巻き付ける。そして、超音波照射パッド110から超音波を照射した前後において、下腕51に超音波エコー測定手段310を当接し、超音波エコーを測定する。
【0080】
図12は、第2実施形態の別態様に係る超音波発生装置1Aを被験者に適用した状態を示す図である。
図12に示すように、第2実施形態の別態様では超音波発生装置1Aを被験者に適用する場合、超音波照射手段10の超音波照射パッド110を被験者の下腕51に巻き付け、圧接パッド120を被験者の上腕50に巻き付ける。そして、超音波照射パッド110から超音波を照射した前後において、下腕51に超音波エコー測定手段310を当接し、超音波エコーを測定する。
【0081】
[超音波発生装置1Aを被験者に適用した実施例]
図13は、超音波発生装置1Aを被験者に適用した実施例を説明する図である。
本実施例では、超音波照射パッド110を被験者(男性と女性)の片側上腕部に巻き付け、超音波照射手段10における出力強度を50mW、出力周波数を517kHz±5kHzとした超音波を20分間照射した。
図13は、超音波を照射前と照射後10分経過時における血管内皮機能解析手段30の測定結果を整理した表である。上段の表は、47歳男性の測定結果であり、下段の表は、28歳女性の測定結果である。
【0082】
図13上段の表に示すとおり、被験者が47歳男性の場合、超音波照射前の血管内皮依存性血管拡張率は“3.5%”である。そして、超音波照射後10分経過時の血管内皮依存性血管拡張率は“8.4%”である。
よって、超音波照射により、血管内皮依存性血管拡張率が上昇し、血管内皮機能が改善されたことが分かる。
【0083】
図13下段の表に示すとおり、被験者が28歳女性の場合、超音波照射前の血管内皮依存性血管拡張率は“7.2%”である。そして、超音波照射後10分経過時の血管内皮依存性血管拡張率は“10.2%”である。
よって、超音波照射により、血管内皮依存性血管拡張率が上昇し、血管内皮機能が改善されたことが分かる。
【0084】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0085】
1 超音波発生装置
10 超音波照射手段
11 駆動制御手段
110 超音波照射パッド
12 圧迫制御手段
120 圧接パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の老化による変化を予防する超音波発生装置であって、
超音波を前記生体に照射する超音波照射手段を備え、
前記超音波照射手段は、
生体の部位に当接され、所定の出力周波数において、所定の出力強度で超音波を発生する超音波照射パッドと、
前記超音波照射パッドの駆動制御を行う駆動制御手段と、
生体の部位に装着される袋状体であり、その内部に気体が注入されることで、当該生体の部位を圧迫し駆血する圧接パッドと、
前記圧接パッドの前記内部への気体の注出入による圧迫制御を行う圧迫制御手段とを備えることを特徴とする超音波発生装置。
【請求項2】
前記圧接パッドは、前記超音波照射パッドが当接された生体の部位と略同一の部位に装着されることを特徴とする請求項1に記載の超音波発生装置。
【請求項3】
前記圧接パッドは、前記超音波照射パッドが当接された生体の部位と異なる部位に装着されることを特徴とする請求項1に記載の超音波発生装置。
【請求項4】
前記駆動制御手段は、前記駆動制御を所定のタイミングで所定時間行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の超音波発生装置。
【請求項5】
前記圧迫制御手段は、前記圧迫制御において、前記圧接パッドにおける前記生体の部位を圧迫する圧力を所定時間一定に保つことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の超音波発生装置。
【請求項6】
前記超音波照射手段は、前記駆動制御手段による前記駆動制御と前記圧迫制御手段による前記圧迫制御を交互に行うことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の超音波発生装置。
【請求項7】
前記生体の動脈の状態を解析する脈波解析手段を備え、
前記脈波解析手段は、
前記生体に装着され、前記生体の動脈の状態を測定する脈波測定手段と、
前記脈波測定手段の測定結果を解析する測定結果解析手段とを有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の超音波発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−92285(P2011−92285A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246917(P2009−246917)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(500156896)
【出願人】(596015343)有限会社三輪サイエンス研究所 (2)
【Fターム(参考)】