説明

超音波空間合成映像を提供する超音波システムおよび方法

【課題】本発明は、超音波空間合成映像を提供する超音波システムおよび方法に関する。
【解決手段】本発明における超音波システムは、超音波信号を複数のステアリング角度(steering angle)で対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して、複数の超音波データを取得する超音波データ取得部と、前記複数の超音波データを用いて複数の超音波映像を形成し、前記複数の超音波映像のそれぞれを低域通過映像および高域通過映像に分解し、前記低域通過映像および前記高域通過映像にブレンディング(blending)処理を行い、前記ブレンディング処理された低域通過映像および高域通過映像を合成して前記複数の超音波映像に対応する複数の復元映像を形成し、前記複数の復元映像を空間合成して超音波空間合成映像を形成するプロセッサとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波システムに関し、特に超音波空間合成映像を提供する超音波システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波システムは、無侵襲および非破壊特性を有しており、対象体内部の情報を得るために医療分野で広く用いられている。超音波システムは、対象体を直接切開して観察する外科手術の必要がなく、対象体の内部組織を高解像度の映像で医師に提供することができるため、医療分野で非常に重要なものとして用いられている。
【0003】
超音波システムは、超音波信号を対象体に送信し、対象体から反射される超音波信号(即ち、超音波エコー信号)を受信して対象体の超音波映像を形成する。最近、超音波映像の解像度を向上させるために、超音波システムは、スキャンラインを複数のステアリング角度(steering angles)でステアリングして超音波信号を対象体に送信し、対象体から反射される超音波エコー信号を受信して複数の超音波映像を形成し、複数の超音波映像を空間合成(spatial compound)して超音波空間合成映像を形成している。
【0004】
このように、複数の超音波映像を空間合成して超音波空間合成映像を形成する場合、超音波映像の境界線が超音波合成空間映像に表示される、いわゆるシームアーティファクト(seam artifact)が発生して超音波空間合成映像の画質を低下させる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2002−526229号公報
【特許文献2】特開2004−290393号公報
【特許文献3】特開2009−153918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、複数の超音波映像を低域通過映像および高域通過映像に分解し、その分解された低域通過映像および高域通過映像にブレンディング(blending)処理を行って超音波空間合成映像を形成する超音波システムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における超音波システムは、超音波信号を複数のステアリング角度(steering angle)で対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して、前記複数のステアリング角度に対応する複数の超音波データを取得する超音波データ取得部と、前記複数の超音波データを用いて複数の超音波映像を形成し、前記複数の超音波映像のそれぞれを低域通過映像および高域通過映像に分解し、前記低域通過映像および前記高域通過映像にブレンディング(blending)処理を行い、前記ブレンディング処理された低域通過映像および高域通過映像を合成して前記複数の超音波映像に対応する複数の復元映像を形成し、前記複数の復元映像を空間合成して超音波空間合成映像を形成するプロセッサとを備える。
【0008】
また、本発明における超音波空間合成映像提供方法は、a)複数のステアリング角度(steering angle)に対応する複数の超音波データに基づいて、複数の超音波映像を形成する段階と、b)前記複数の超音波映像のそれぞれを低域通過映像および高域通過映像に分解する段階と、c)前記複数の超音波映像のそれぞれにの前記低域通過映像および高域通過映像にシームアーティファクトを除去するためのブレンディング処理を行う段階と、d)前記ブレンディング処理された低域通過映像および高域通過映像を合成して前記複数の超音波映像に対応する複数の復元映像を形成する段階と、e)前記複数の復元映像を合成して超音波空間合成映像を形成する段階とを備える。
【0009】
また、本発明における、超音波空間合成映像を提供する方法を行うためのプログラムを格納するコンピュータ読み出し可能の記録媒体は、前記方法が、a)複数のステアリング角度(steering angle)に対応する複数の超音波データに基づいて、複数の超音波映像を形成する段階と、b)前記複数の超音波映像のそれぞれを低域通過映像および高域通過映像に分解する段階と、c)前記複数の超音波映像のそれぞれにの前記低域通過映像および高域通過映像にシームアーティファクトを除去するためのブレンディング処理を行う段階と、d)前記ブレンディング処理された低域通過映像および高域通過映像を合成して前記複数の超音波映像に対応する複数の復元映像を形成する段階と、e)前記複数の復元映像を合成して超音波空間合成映像を形成する段階とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、超音波映像の空間合成により発生するシームアーティファクトを超音波空間合成映像で低減させることができ、超音波空間合成映像の画質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例における超音波システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例における超音波データ取得部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例におけるステアリング角度および複数のステアリング角度に対応する複数の超音波映像を示す例示図である。
【図4】本発明の実施例における超音波合成映像を形成する順序を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例におけるN(N≧2)レベル低域通過映像およびNレベル高域通過映像の例を示す例示図である。
【図6】本発明の実施例によって超音波映像にブレンディング処理を行う例を示す例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施例における超音波システムの構成を示すブロック図である。図1を参照すると、超音波システム100は、超音波データ取得部110、プロセッサ120、格納部130およびディスプレイ部140を備える。
【0014】
超音波データ取得部110は、超音波信号を対象体に送信し、対象体から反射される超音波信号(即ち、超音波エコー信号)を受信して、複数のステアリング角度(steering angle)のそれぞれに対応するフレームの超音波データを取得する。
【0015】
図2は、本発明の実施例における超音波データ取得部の構成を示すブロック図である。図2を参照すると、超音波データ取得部110は、送信信号形成部210、複数の電気音響変換素子(transducer element:以下単に変換素子と呼ぶ)(図示せず)を含む超音波プローブ220、ビームフォーマ230および超音波データ形成部240を備える。
【0016】
送信信号形成部210は、変換素子の位置および集束点を考慮して送信信号を形成する。本実施例において、送信信号形成部210は、スキャンラインが互いに異なるステアリング角度(steering angle)でステアリングされる互いに異なる送信パターンに対応する複数の送信信号を形成する。従って、複数のステアリング角度に対応する複数の超音波映像を取得することができる。超音波映像は、Bモード(brightness mode)映像を含む。しかし、超音波映像は、必ずしもこれに限定されない。
【0017】
図3は、本発明の実施例におけるステアリング角度および複数のステアリング角度に対応する複数の超音波映像を示す例示図である。図3を参照すると、送信信号形成部210は、スキャンラインS〜Sをステアリングしない第1の超音波映像Fを得るための第1の送信信号、スキャンラインS〜Sを第1のステアリング角度θでステアリングした第2の超音波映像Fを得るための第2の送信信号、およびスキャンラインS〜Sを第2のステアリング角度θでステアリングした第3の超音波映像Fを得るための第3送信信号を形成する。なお、ステアリング角度θは、ステアリングしないスキャンラインに対するスキャンラインの角度のことをいい、0〜90°の範囲で設定される。
【0018】
超音波プローブ220は、送信信号形成部210から提供される送信信号を超音波信号に変換して対象体に送信し対象体から反射される超音波エコー信号を受信して受信信号を形成する。受信信号は、アナログ信号である。
【0019】
本実施例において、超音波プローブ220は、送信信号形成部210から第1の送信信号が提供されると、第1の送信信号を超音波信号に変換して対象体に送信し、対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第1の受信信号を形成する。超音波プローブ220は、送信信号形成部210から第2の送信信号が提供されると、第2の送信信号を超音波信号に変換して対象体に送信し、対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第2の受信信号を形成する。超音波プローブ220は、送信信号形成部210から第3の送信信号が提供されると、第3の送信信号を超音波信号に変換して対象体に送信し、対象体から反射される超音波エコー信号を受信して第3の受信信号を形成する。
【0020】
ビームフォーマ230は、超音波プローブ220から提供される受信信号をアナログデジタル変換してデジタル信号を形成する。また、ビームフォーマ230は、変換素子の位置および集束点を考慮して、デジタル信号を受信集束させて受信集束信号を形成する。
【0021】
本実施例において、ビームフォーマ230は、超音波プローブ220から第1の受信信号が提供されると、第1の受信信号をアナログデジタル変換して第1のデジタル信号を形成する。ビームフォーマ230は、変換素子の位置および集束点を考慮して、第1のデジタル信号を受信集束させて第1の受信集束信号を形成する。また、ビームフォーマ230は、超音波プローブ220から第2の受信信号が提供されると、第2の受信信号をアナログデジタル変換して第2のデジタル信号を形成する。ビームフォーマ230は、変換素子の位置および集束点を考慮して、第2のデジタル信号を受信集束させて第2の受信集束信号を形成する。また、ビームフォーマ230は、超音波プローブ220から第3の受信信号が提供されると、第3の受信信号をアナログデジタル変換して第3のデジタル信号を形成する。ビームフォーマ230は、変換素子の位置および集束点を考慮して、第3のデジタル信号を受信集束させて第3の受信集束信号を形成する。
【0022】
超音波データ形成部240は、ビームフォーマ230から提供される受信集束信号を用いて超音波データを形成する。超音波データは、RF(radio frequency)データまたはIQ(in−phase/quadrature)データである。また、超音波データ形成部240は、超音波データを形成するのに必要な様々な信号処理(例えば、利得(gain)調節等)を受信集束信号に行うこともできる。
【0023】
本実施例において、超音波データ形成部240は、ビームフォーマ230から第1の受信集束信号が提供されると、第1の受信集束信号を用いて第1の超音波映像Fに対応する第1の超音波データを形成する。また、超音波データ形成部240は、ビームフォーマ230から第2の受信集束信号が提供されると、第2の受信集束信号を用いて第2の超音波映像Fに対応する第2の超音波データを形成する。また、超音波データ形成部240は、ビームフォーマ230から第3の受信集束信号が提供されると、第3の受信集束信号を用いて第3の超音波映像Fに対応する第3の超音波データを形成する。
【0024】
再び図1を参照すると、プロセッサ120は、超音波データ取得部110に連結される。図4は、本発明の実施例における超音波空間合成映像を形成する順序を示すフローチャートである。図4を参照すると、プロセッサ120は、超音波データ取得部110から提供される複数の超音波データを用いて複数の超音波映像を形成する(S402)。
【0025】
本実施例において、プロセッサ120は、超音波データ取得部110から第1の超音波データが提供されると、第1の超音波データを用いて、図3に示すように、第1の超音波映像Fを形成する。プロセッサ120は、超音波データ取得部110から第2の超音波データが提供されると、第2の超音波データを用いて、図3に示すように、第2の超音波映像Fを形成する。プロセッサ120は、超音波データ取得部110から第3の超音波データが提供されると、第3の超音波データを用いて、図3に示すように、第3の超音波映像Fを形成する。
【0026】
プロセッサ120は、複数の超音波映像のそれぞれを、低周波数成分を有する低域通過映像(以下、単に「低域通過映像」という)および高周波数成分を有する高域通過映像(以下、単に「高域通過映像」という)に分解する(S404)。
【0027】
一例として、プロセッサ120は、下記の式のように低域通過フィルタ(low pass filter)Gを用いて超音波映像Iを低域通過映像Iおよび高域通過映像Iに分解する。ここで、低域通過フィルタは、2次元ガウシアンフィルタ(Gaussian filter)を含む。なお、低域通過フィルタは、離散周波数(discrete frequency)空間でサンプルの数より小さい遮断周波数(cutoff frequency)を有することが好ましい。
【0028】
【数1】

【0029】
式1において、*は畳込み(convolution)を表す。
【0030】
他の例として、プロセッサ120は、第1の低域通過フィルタを用いて超音波映像を、図5に示すように、第1の低域通過映像Iおよび第1の高域通過映像Iに分解する。プロセッサ120は、第2の低域通過フィルタを用いて、第1の低域通過映像Iを第2の低域通過映像ILLおよび第2の高域通過映像ILHに分解する。第2の低域通過フィルタは、第1の低域通過フィルタより低い遮断周波数を有する。プロセッサ120は、第3の低域通過フィルタを用いて、第2の低域通過映像ILLを第3の低域通過映像ILLLおよび第3の高域通過映像ILLHに分解する。第3の低域通過フィルタは第2の低域通過フィルタより低い遮断周波数を有する。
【0031】
プロセッサ120は、低域通過映像および高域通過映像のそれぞれにブレンディング処理を行う(S406)。ブレンディング処理は、アルファブレンディング(alpha−blending)を含む。しかし、ブレンディング処理は、必ずしもこれに限定されない。
【0032】
より詳細には、プロセッサ120は、複数の超音波映像に対応する複数の低域通過映像および高域通過映像のそれぞれを互いに重畳した時、重畳された低域通過映像間および重畳された高域通過映像間の境界線を検出する。プロセッサ120は、その検出された境界線を基準として予め設定された大きさを有するブレンディング領域を、互いに重畳された低域通過映像および互いに重畳された高域通過映像のそれぞれに設定する。
【0033】
本実施例において、プロセッサ120は、図6に示すように、第1の超音波映像Fの低域通過映像IL1と第2の超音波映像Fの低域通過映像IL2とを重畳した時の低域通過映像IL1と低域通過映像IL2との間の境界線Lを検出する。プロセッサ120は、境界線Lを基準として予め設定された大きさを有するブレンディング領域Dを、低域通過映像IL1および低域通過映像IL2上に設定する。プロセッサ120は、低域通過映像IL1と低域通過映像IL2が重畳しない領域NA12に隣接したブレンディング領域Dのピクセルに第1の加重値aを加え、低域通過映像IL1と低域通過映像IL2が重畳する領域CA12に隣接したブレンディング領域Dのピクセルに第2の加重値a(a=1−a)を加える。第1の加重値aは、0〜1の範囲の値を有する。即ち、ブレンディング領域D内の加重値は、ブレンディング領域Dと領域NA12との境界から、ブレンディング領域Dと領域CA12との境界に行くに従いaからaに移行する。
【0034】
また、プロセッサ120は、図6に示すように、第1の超音波映像Fの低域通過映像IL1と第3の超音波映像Fの低域通過映像IL3とを重畳した時の低域通過映像IL1と低域通過映像IL3との間の境界線Lを検出する。プロセッサ120は、境界線Lを基準として予め設定された大きさを有するブレンディング領域Dを、低域通過映像IL1および低域通過映像IL3上に設定する。プロセッサ120は、低域通過映像IL1と低域通過映像IL3が重畳しない領域NA13に隣接したブレンディング領域Dのピクセルに第1の加重値aを加え、低域通過映像IL1と低域通過映像IL3が重畳する領域CA13に隣接したブレンディング領域Dのピクセルに第2の加重値aを加える。即ち、ブレンディング領域D内の加重値は、ブレンディング領域Dと領域NA13との境界から、ブレンディング領域Dと領域CA13との境界に行くに従いaからaに移行する。
【0035】
プロセッサ120は、超音波映像F〜Fに対応する高域通過映像に対しても前述したようにブレンディング処理を行う。
【0036】
プロセッサ120は、ブレンディング処理された複数の低域通過映像および複数の高域通過映像を合成して、複数の超音波映像のそれぞれに対応する復元映像を形成する(S408)。
【0037】
本実施例において、プロセッサ120は、第1の超音波映像Fに対してブレンディング処理された低域通過映像および高域通過映像を合成して、第1の超音波映像Fに対応する第1の復元映像を形成する。また、プロセッサ120は、第2の超音波映像Fに対してブレンディング処理された低域通過映像および高域通過映像を合成して、第2の超音波映像Fに対応する第2の復元映像を形成する。また、プロセッサ120は、第3の超音波映像Fに対してブレンディング処理された低域通過映像および高域通過映像を合成して、第3の超音波映像Fに対応する第3の復元映像を形成する。
【0038】
プロセッサ120は、複数の復元映像を空間合成して超音波空間合成映像を形成する(S410)。本実施例において、プロセッサ120は、第1の復元映像、第2の復元映像および第3の復元映像を空間合成して超音波空間合成映像を形成する。
【0039】
再び図1を参照すると、格納部130は、超音波データ取得部110で取得された複数の超音波データを格納する。また、格納部130は、プロセッサ120で形成された複数の超音波映像を格納することができる。
【0040】
ディスプレイ部140は、プロセッサ120で形成された超音波空間合成映像を表示する。また、ディスプレイ部140は、プロセッサ120で形成された複数の超音波映像を表示することもできる。
【0041】
以上、本発明の超音波空間合成映像を提供する超音波システムおよび方法を説明したが、当該方法は、コンピュータで読出し可能な記録媒体に記録させることができる。この記録媒体は、コンピュータシステムによって読み出されるデータが保存される全ての種類の記録装置を含む。このコンピュータで読み出し可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CDROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ格納装置などの他、キャリアウェーブ(例えば、インターネットを通じた伝送)の形態で具現されるものも含む。また、コンピュータで読み出し可能な記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散され、読み出しをコードにより行うようにすることも可能である。上述した実施例を具現するための機能的なプログラム、コードおよびコードセグメント方法は、本発明が属する技術分野の各プログラマにとっては容易に推定されることである。
【0042】
本発明は、望ましい実施例によって説明および例示をしたが、当業者であれば添付した特許請求の範囲の事項および範疇を逸脱することなく、様々な変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
100 超音波システム
110 超音波データ取得部
120 プロセッサ
130 格納部
140 ディスプレイ部
210 送信信号形成部
220 超音波プローブ
230 ビームフォーマ
240 超音波データ形成部
〜S スキャンライン
、F、F 超音波映像
θ、θ ステアリング角度
L1、IL2、IL3 低域通過映像
、L 境界線
、D ブレンディング領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波信号を複数のステアリング角度(steering angle)で対象体に送信し、前記対象体から反射される超音波エコー信号を受信して、前記複数のステアリング角度に対応する複数の超音波データを取得する超音波データ取得部と、
前記複数の超音波データを用いて複数の超音波映像を形成し、前記複数の超音波映像のそれぞれを低域通過映像および高域通過映像に分解し、前記低域通過映像および前記高域通過映像にブレンディング(blending)処理を行い、前記ブレンディング処理された低域通過映像および高域通過映像を合成して前記複数の超音波映像に対応する複数の復元映像を形成し、前記複数の復元映像を空間合成して超音波空間合成映像を形成するプロセッサと
を備えることを特徴とする超音波システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記複数の超音波映像に対する、各前記低域通過映像を互いに重畳した時の前記重畳された低域通過映像間の第1の境界線および各前記高域通過映像を互いに重畳した時の前記重畳された高域通過映像間の第2の境界線を検出し、
前記第1の境界線を基準として前記重畳された低域通過映像に第1のブレンディング領域を設定し、
前記第2の境界線を基準として前記重畳された高域通過映像に第2のブレンディング領域を設定し、
前記第1のブレンディング領域および前記第2のブレンディング領域に基づいて前記重畳された低域通過映像および前記重畳された高域通過映像に前記ブレンディング処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の超音波システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記重畳された低域通過映像において、前記低域通過映像が互いに重畳しない領域に隣接した前記第1のブレンディング領域のピクセルに第1の加重値を加え、前記低域通過映像が互いに重畳する領域に隣接した前記第1のブレンディング領域のピクセルに第2の加重値を加え、
前記重畳された高域通過映像において、前記高域通過映像が互いに重畳しない領域に隣接した前記第2のブレンディング領域のピクセルに前記第1の加重値を加え、前記高域通過映像が互いに重畳する領域に隣接した前記第2のブレンディング領域のピクセルに前記第2の加重値を加えることを特徴とする請求項3に記載の超音波システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、低域通過フィルタ(low pass filter)を用いて、前記複数の超音波映像のそれぞれを前記低域通過映像および前記高域通過映像に分解することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の超音波システム。
【請求項5】
前記ブレンディング処理は、アルファブレンディング処理を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の超音波システム。
【請求項6】
a)複数のステアリング角度(steering angle)に対応する複数の超音波データに基づいて、複数の超音波映像を形成する段階と、
b)前記複数の超音波映像のそれぞれを低域通過映像および高域通過映像に分解する段階と、
c)前記複数の超音波映像のそれぞれの前記低域通過映像および高域通過映像にシームアーティファクトを除去するためのブレンディング処理を行う段階と、
d)前記ブレンディング処理された低域通過映像および高域通過映像を合成して前記複数の超音波映像に対応する複数の復元映像を形成する段階と、
e)前記複数の復元映像を合成して超音波空間合成映像を形成する段階と
を備えることを特徴とする超音波空間合成映像提供方法。
【請求項7】
前記段階c)は、
c1)前記複数の超音波映像に対する、各前記低域通過映像を互いに重畳した時の前記重畳された低域通過映像間の第1の境界線および各前記高域通過映像を互いに重畳した時の前記重畳された高域通過映像間の第2の境界線を検出する段階と、
c2)前記第1の境界線を基準として前記重畳された低域通過映像に第1のブレンディング領域を設定する段階と、
c3)前記第2の境界線を基準として前記重畳された高域通過映像に第2のブレンディング領域を設定する段階と、
c4)前記第1のブレンディング領域および前記第2のブレンディング領域に基づいて前記重畳された低域通過映像および前記重畳された高域通過映像に前記ブレンディング処理を行う段階と
を備えることを特徴とする請求項6に記載の超音波空間合成映像提供方法。
【請求項8】
前記段階c4)は、
前記重畳された低域通過映像において、前記低域通過映像が互いに重畳しない領域に隣接した前記第1のブレンディング領域のピクセルに第1の加重値を加える段階と、
前記低域通過映像が互いに重畳する領域に隣接した前記第1のブレンディング領域のピクセルに第2の加重値を加える段階と、
前記重畳された高域通過映像において、前記高域通過映像が互いに重畳しない領域に隣接した前記第2のブレンディング領域のピクセルに前記第1の加重値を加える段階と、
前記高域通過映像が互いに重畳する領域に隣接した前記第2のブレンディング領域のピクセルに前記第2の加重値を加える段階と
を備えることを特徴とする請求項7に記載の超音波空間合成映像提供方法。
【請求項9】
前記段階b)は、
低域通過フィルタを用いて、前記複数の超音波映像のそれぞれを前記低域通過映像および前記高域通過映像に分解する段階
を備えることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の超音波空間合成映像提供方法。
【請求項10】
前記ブレンディング処理は、アルファブレンディング処理を含むことを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の超音波空間合成映像提供方法。
【請求項11】
超音波空間合成映像を提供する方法を行うためのプログラムを格納するコンピュータ読み出し可能の記録媒体であって、前記方法は、
a)複数のステアリング角度(steering angle)に対応する複数の超音波データに基づいて、複数の超音波映像を形成する段階と、
b)前記複数の超音波映像のそれぞれを低域通過映像および高域通過映像に分解する段階と、
c)前記複数の超音波映像のそれぞれの前記低域通過映像および高域通過映像にシームアーティファクトを除去するためのブレンディング処理を行う段階と、
d)前記ブレンディング処理された低域通過映像および高域通過映像を合成して前記複数の超音波映像に対応する複数の復元映像を形成する段階と、
e)前記複数の復元映像を合成して超音波空間合成映像を形成する段階と
を備えることを特徴とするコンピュータ読み出し可能記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−104361(P2011−104361A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250088(P2010−250088)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(597096909)株式会社 メディソン (269)
【氏名又は名称原語表記】MEDISON CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】114 Yangdukwon−ri,Nam−myun,Hongchun−gun,Kangwon−do 250−870,Republic of Korea
【Fターム(参考)】