説明

超音波視覚化内視鏡用アクセス装置

外側カニューレ(102)と、貫入用スタイレット(104)とを備えている内視鏡用アクセス装置が提供されている。スタイレットは、患者の体内での超音波視覚化における効率の良い誘導を提供する構造とされているエコー源性の高い外形(106)を提供している。カニューレは、ガイドワイヤのような器具のカニューレ遠位端を介する効率の良い貫通を付与する構造とされている丸味を付けられた遠位の端縁(112)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して医療器具に関する。更に特定すると、本発明は、カニューレのようなアクセス器具であって該アクセス器具の超音波視覚化手段を備えているアクセス器具に関する。
(関連出願)
【0002】
本願は2008年12月22日に出願された米国特許出願第61/139,706号に基づく優先権を主張している。該米国特許出願は、これに言及することによりその全体が参考として本明細書に組み入れられている。
【背景技術】
【0003】
侵襲性が最少の方法及び器具の開発は、近年、医療処置に急激な変化をもたらして来た。これらの方法及び器具は、医師が広範囲の処置を患者に対する創傷を最小化しつつ行なうことができるようにする。このような技術は更に、内視鏡のような侵襲性が最少の器具によってさえ観察できない哺乳類の体の中の塞栓された領域へアクセスすることができるようにする最少侵襲性技術(器具及び方法)が必要としている。これは、目標領域を視覚化することが好ましいけれどもビデオによる監視(例えば、カメラ又はその他の内視鏡ビデオ部品による監視)が実用上できないところで、そこを十分な位置的特徴によって特定する必要がある領域である場合に特に必要とされ、また、特にカニューレを目標部位まで誘導するのに必要とされる長時間に亘るX線透視による視覚化の使用を最少化することが望ましい領域である場合に、必要とされる。
【0004】
幾つかの従来技術によるカテーテル、カニューレ、又はこれらに類似のアクセス器具は、体内の正確な位置へ誘導するのが難しい。このことは、器具が配置される場所を、X線透視法の過剰な使用に伴う危険性を来すことなく示す案内装置が無いことにより生じる。このような問題点のうちの1つ以上を抑制する最少アクセス器具及びその使用方法を提供することは有益である。
【発明の概要】
【0005】
外側カニューレと貫入用スタイレットとを備えている内視鏡用アクセス装置が提供されている。スタイレットは、患者の体内で超音波透視法による効率の良い誘導を提供する構造とされたエコー源性の高い外形を備えている。このカニューレは丸味を付けられた遠位の端縁を有しており、該遠位の端縁は、該カニューレの遠位端からガイドワイヤのような器具が効率の良く通過できるようにする構造とされている。
【0006】
一つの実施例においては、内視鏡用アクセス装置は、カニューレの遠位端から近位端に向かって伸長している第一のカニューレ管腔を備えた可撓性の外側カニューレと、前記第一のカニューレ管腔を介して取り外すことができるように設けられたスタイレットとを備えており、該スタイレットは、穿刺用の遠位端と、該穿刺用の遠位端から近位方向へ伸長している可撓性の本体長さ部分と、前記穿刺用の遠位端のすぐ隣に配置されているエコー源性のスタイレット部分とを備えており、該エコー源性のスタイレット部分は、体内でカニューレの効率の良い誘導を提供する解像度で前記エコー源性スタイレットの超音波映像を映し出すのに十分な超音波の反射を提供する構造とされている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は以下の図面及び説明を参照することによって更に良く理解できる。図面内の構成要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、むしろ本発明の原理を示す際には強調されている。
【図1】図1は、超音波視覚化内視鏡用のアクセス装置の実施例を示す図である。
【図2A】図2Aは、エコー源性のスタイレットを備えている超音波視覚化内視鏡用のアクセス装置の使用方法を示している図である。
【図2B】図2Bは、エコー源性のスタイレットを備えている超音波視覚化内視鏡用のアクセス装置の使用方法を示している図である。
【図2C】図2Cは、エコー源性のスタイレットを備えている超音波視覚化内視鏡用のアクセス装置の使用方法を示している図である。
【図3】図3は、超音波視覚化内視鏡用のアクセス装置の別の実施例を示している図である。
【図4A】図4Aは、エコー源性のカニューレを備えた超音波内視鏡用のアクセス装置を使用する方法を示している図である。
【図4B】図4Bは、エコー源性のカニューレを備えた超音波内視鏡用のアクセス装置を使用する方法を示している図である。
【図5】図5は、超音波視覚化内視鏡用のアクセス装置の別の実施例を示している図である。
【図6】図6は、超音波視覚化内視鏡用のアクセス装置の多管腔の実施例を示している図である。
【図7】図7は、超音波視覚化内視鏡用のアクセス装置の別の多管腔の実施例を示している図である。
【図8】図8は、カニューレによって持続する損傷を受けている器具がその中を貫通して伸長している一般的なカニューレを断面図で示している図である。
【図9】図9は、遠位の端縁が丸味を付けられている先端が斜めのカニューレの実施例を示している図である。
【図9A】図9Aは、図9の線A−Aに沿った長手方向断面図である。
【図10】図10は、遠位の端縁が丸味を付けられているカニューレの実施例を示している図である。
【図10A】図10Aは、図10の線A−Aに沿った長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
特許請求の範囲を含む本願において使用されている“エコー源性”という用語は、高い反響性(反射性)を有するものとして定義されている。特にこの用語は、カニューレ/カテーテル及び/又はスタイレット用として使用される標準的な材料よりも高い超音波の反射率を有するように作られ又は処理されている材料又は材料の部分を示すために使用されている。当該技術においては、カニューレ又はスタイレット用として使用されているほとんどの材料は幾らかの超音波を反射することは知られているが、ここで使用されている“エコー源性”という用語は、面を、凹みすなわちディンプル、ディボット等を設けること(及び/又は特別に言及されるときには高いエコー源性形状を提供することが知られている材料を使用すること)を含んでおり、これらの凹み等は(例えば患者の)体内での器具の正確な配置及び誘導を可能とする解像度で明確な超音波視覚化を提供する構造とされている。
【0009】
超音波視覚化内視鏡用アクセス装置100の第一の実施例を、図1〜2Cを参照して説明する。該装置は細長い可撓性の外側カニューレ102を備えており、該外側カニューレは、丸味を付けられた遠位端112からカニューレ102の近位端(図示せず)に向かって伸長しているカニューレ管腔110を有している。(ここで使用されている“カニューレ“という用語は、カテーテルのような可撓性のものであるとして特定されている場合に可撓性の細長い管状の医療器具及び概ね剛性の針のような更に堅牢な器具を含んでいる。)取り外し可能なスタイレット104が、カニューレ管腔110の中を通され且つ該カニューレ管腔から遠位方向に伸長している状態で示されている。スタイレット104は、閉塞部を貫通する構造とされている穿刺用先端108を備えている。閉塞部は、例示的な例として、膵仮性嚢胞、胃壁、腸管壁、又は内視鏡によってアクセス可能な部位と目標部位との間の別の人工的な若しくは本来存在する構造があり、経管腔的内視鏡手術(NOTES)のためにオリフィスを形成することを含んでいる。スタイレット104は、形状記憶合金を含むニッケルチタン合金、ステンレス鋼のような合金によって作ることができ、又は例えばWheatleyらによるPCT特許出願公開WO02/078611号に記載されているもののようなエコー源性重合体を含む重合体によって作られるか又はコーティングされても良い。
【0010】
カニューレ102の少なくとも一部分の可撓性は、管腔110が折れ曲がり又はさもなければ管腔110が閉塞する虞が著しくない状態での体内管腔又はその他の導管内での誘導を可能にするのに十分な押動機能及び追従機能を提供するので好ましい。一つの実施例においては、カニューレは、ステンレス鋼製の強化管又はニッケル−チタン合金によって作られる。別の例として、一つの実施形態は、ポリエーテル・ブロック・アミド(PEBA)、PEBAX、ポリ・エーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ePTFE、PTFE、又はPET製のカニューレを備えており、編物構造及び/又は金属構成要素を備えた重合体を含んでいるその他のポリマー材料もまた本発明の範囲内で使用することができることがわかるであろう。この押動機能及び追従機能はスタイレット104によって高められる。
【0011】
図1〜2Cには、スタイレットは、押動機能及び追従機能のための所望の特性を提供する該技術において公知の合金によって作られ且つランセット構造内の斜めに切られている斜角を付けられた遠位先端108又は組織を効率良く穿刺する構造の設計を有している何個かの他の斜角形状を備えたものとして示されている。スタイレット104の遠位の凹みを付けられたエコー源性の領域106は、医療用超音波装置(例えば、外部超音波装置、内視鏡超音波装置)を使用して視認画像を映し出すために超音波を反射させる構造とされている。スタイレットがエコー源性の重合体によって作られるか又はコーティングされているものを含んでいる別の実施例においては、領域106は、凹みとは異なる表面構造を有していても良いが、重ね合わせ構造のカニューレ102の配置(位置の決定)及び誘導を提供する超音波視覚化輪郭描写を提供するのが最も好ましい。カニューレ102はまた、重合体、合金、又は公知で且つ内視鏡によって配備できるカテーテル及びカニューレを作るために使用される材料のような他の材料によって作ることもできる。内視鏡作動通路が比較的大きい内視鏡(例えば、内径が約3.7mm)において使用できる構造とされている実施例においては、ポリマーチューブは、剛性、追従機能、及び押動機能に関して所望の輪郭を提供するためには好ましく、一方、ポリマー又は合金製のチューブ(例えば、ステンレス鋼製強化管)は、比較的小さな(例えば、内径が約1.5〜2.8mm、又はそれ未満の)作動通路において使用するのに望ましい特性を提供することができる。
【0012】
図3には、超音波視覚化内視鏡用アクセス装置の別の実施例300が示されている。この装置は、外側カニューレ302と、カニューレ302の管腔312内を長手方向に伸長しているスタイレット304とを備えている。スタイレット304は、エコー源性の面306を有しており、該面は、例えば内視鏡用超音波によって画像を提供するのに十分な超音波を反射するように凹みを付けられたものとして示されている。カニューレ302の遠位領域にもまたエコー源性の領域303が設けられている。エコー源性の領域303は、カニューレ本体302に連続しており且つ該カニューレ本体をエコー反射性とする凹み又はディボットを含んでいる薄い金属製の帯として示されている。しかしながら、エコー源性の重合体を使用しても良いこと、又はカニューレ302の超音波視覚化を提供するその他の何らかのエコー源性構造を使用しても良いことができることはわかるであろう。スタイレット304は、概ね円錐形の遠位の穿刺用先端308を備えている。
【0013】
図4A及び4Bは、遠位のエコー源性領域403を有しているカニューレ402を備えている超音波視覚化内視鏡用アクセス装置400を使用する方法を示している。該装置はカニューレ402の管腔内を長手方向に貫通しているスタイレット404を備えている。スタイレット404は、概ね斜角にされた遠位の穿刺用先端408を有している。カニューレ402の遠位領域は、エコー源性領域403を備えると共に斜めに切られた先端411を備えており、該斜めに切られた先端411は、その角度が斜めに切られたスタイレットの先端408の角度に一致している。機械加工された斜めの先端408、411は、目標質量450内への貫入によるアクセスのために設けられており、これは、図4Aに示されているように超音波により所望の位置へと注意深くガイドされる。好ましい使用方法においては、斜めに切られている先端は、(目標質量ヘの貫入を含む)閉塞部を貫通する穿刺動作中に整合せしめられるか又は(整合されていない場合には、スタイレット先端408のガイドによって)ほぼ整合せしめられる。次いで、図4Bに示されているように、スタイレットが引っ込められ、その後に、(例えば、細胞学的試料採取器具、生検用器具、治療溶液、又はその他の物品若しくは物質のような)治療若しくは診断装置又は試薬がカニューレ402を介して質量450内の目標部位へと導かれる。特別な別の方法として、スタイレットは、単独で又はカニューレと組み合わせてエコー源性領域を備えた針として機能させても良い。該エコー源性領域は、遠位端又は遠位端の極めて近くにあって、誘導中の効率の良い視覚化のために超音波を使用する機能を提供する構造とされている。
【0014】
図5は、目標質量550内に配置されている超音波視覚化内視鏡用アクセス装置のもう別の実施例500を示している。該装置はカニューレ502を備えており、カニューレ502は遠位のエコー源性部分を備えている。遠位のエコー源性部分は1以上の基準線503によって提供されている。“基準線”という用語は、ここでは、エコー源性を示す輪郭を提供するための当該技術において公知のタイプの基準線或いは基準線状の構造を含むものとして定義され、このようなエコー源性の外形構造としては、金、白金、レニウム、これらの合金、又はその他の物質からなる円筒形の金属片がある。このような基準線は、一般的には、他の処置のための誘導用マーカーとして使用するために体内に配置される。しかしながら、この実施例においては、1以上の基準線503はカニューレの壁502内に埋め込まれている。基準線は、他の実施例においては、カニューレの壁502の外面又は内面上にも又は択一的に設けることができることがわかるはずである。
【0015】
装置500の使用方法は、超音波を使用してカニューレを目標領域へ誘導する方法を説明している図4A及び4B並びにこれに対応する明細書の記載を参照して理解することができる。装置400と同様に、この実施例はエコー源性の又は非エコー源性のスタイレットと共に使用され、スタイレットの先端は、内視鏡作動通路内を通過する間に先端と通路面との両方を保護するために、カニューレ管腔内へ後退せしめられたままとされることがわかる。非エコー源性のスタイレットを使用している実施例においては、近位の標識(例えば、装置の近位端に設けられてユーザーによって操作される視覚的及び/又は触覚的な標識)が、スタイレット及びカニューレの相対位置の配向を補助するために設けられている。
【0016】
図6は、超音波視覚化内視鏡用アクセス装置の多管腔の実施例600を示している。該装置は可撓性の外側カニューレ602を備えている。該装置はまた、カニューレ602の遠位端から近位端(図示せず)まで伸長している第一のカニューレ管腔610と第二のカニューレ管腔612とを備えている。スタイレット604が、第一のカニューレ管腔610内を貫通し且つ該カニューレ管腔から遠位方向に伸長している状態で示されている。スタイレット604は、閉塞部を貫通する構造とされている穿刺用先端608を備えている。第二のスタイレット(図示せず)が第二のカニューレ管腔612内に設けられ、該第二のスタイレットは、例えば、高い構造的強度を提供するため、異質物質が第二の管腔内へ入るのを防止するため、及び/又は幾つかの他の所望機能を提供するために設けられている。
【0017】
スタイレットは、押動機能及び追従機能のための所望の特性を提供する合金によって作られたものとして図示されており、斜めに切られている遠位先端608を有しているが、先端の幾何学的及び材料的構造は、特定の所望の用途に適するように種々の方法で作ることができる。スタイレット604の遠位の凹みが付けられたエコー源性の領域606は、図1に関して上記した実施例と同じ状態で医療用超音波装置を使用する可視像の形成のために超音波を反射する構造とされている。第二の管腔612は、スタイレット604をその管腔から取り外す必要なく診断又は治療のための装置又は材料のためのアクセスを提供するために使用でき、且つ/又は第一及び第二の管腔の両方はスタイレット604を取り外す際に同じ目的又は異なる目的のために使用しても良い。第二の管腔612はまた、ガイドワイヤ(図示せず)のために使用することもできる。このような実施例用途においては、ガイドワイヤは、最初に閉塞されている目標部位に向けて導かれ、好ましくは閉塞部によって許容され且つガイドワイヤの所望の視覚化手段によって許容される目標部位の近くに達し、次いで、図2A〜2Cに関して上記した方法と似た超音波誘導方法で穿刺用の遠位先端を使用する。
【0018】
図7は、超音波視覚化内視鏡用アクセス装置の多管腔の実施例700を示している。該装置は可撓性の外側カニューレ702を備えている。カニューレ702はテーパーが付けられている遠位端領域720を備えている。このカニューレもまた、カニューレ702の近位端(図示せず)まで伸長している第一のカニューレ管腔710と第二のカニューレ管腔712とを有している。スタイレット704は、第一のカニューレ管腔710内を通り且つ該第一のカニューレ管腔710から遠位方向に伸長した状態で示されている。スタイレット704は、閉塞部を貫通する構造とされている穿刺用先端708を有している。カニューレ702のテーパーが付けられている先端領域720は、穿刺用先端が導入位置と目標部位との間の閉塞部を貫通するために使用される装置700の動作中に穿刺用先端708に追従する構造とされている。特に、テーパーが付けられている遠位領域720は、穿刺用先端708によって孔が形成された閉塞部を容易に貫通し且つ恐らく広げ、テーパーが付けられている遠位領域720が基本的に穿刺用先端の連続部分として機能することができるようになされているのが好ましい。第二のスタイレット(図示せず)が第二の管腔712内に設けられ、該第二のスタイレットは、例えば、高い構造的強度を提供し且つ異質物質が第二の管腔内へ入るのを防止し、且つ/又は幾つかの他の所望の機能を提供する。
【0019】
スタイレットは、押動機能及び追従機能のための所望の特性を提供する合金によって作られ且つ斜めに切られた遠位端708を有しているものとして示されているが、先端の幾何学的構造及び材料構造は、特定の所望の用途に適するように種々の方法で作ることができる。先端708を備えたスタイレット704の遠位の凹みが設けられたエコー源性領域706は、図1に関して上記した実施例と同じ方法で医療用超音波装置を使用して可視像を形成するために超音波を反射する構造とされている。第二の管腔712は、スタイレット704をその管腔から取り外す必要なく診断又は治療装置のためのアクセスを提供するために使用することができ且つ/又は第一と第二の管腔との両方がスタイレット704を取り外した際には同じ目的又は異なる目的のために使用することができる。他の実施例においては、図6及び7の装置600、700にエコー源性の遠位のカニューレ部分を形成しても良く且つ/又は2以上の管腔を備えていても良い。
【0020】
図8は、公知の針アクセス装置800の長手方向断面図である。図8に示されているように、カニューレ804の丈夫な又は堅牢な遠位部分802を有している幾つかの現在の針アクセス装置800においては、カニューレ804の管腔内を誘導されるガイドワイヤ810又はその他の器具のコーティング812が損傷を受ける危険性が高い。特に、これらの装置は、カニューレ804の遠位先端802を貫入用の針として機能させる構造とされる場合が多い。従って、カニューレ804の遠位端部/遠位端縁を形成している外周から内周への移行部分は、1以上の尖った又は角が付けられた端縁806を有している。
【0021】
図8に示されているように、ガイドワイヤ810又はその他の器具の(例えば、潤滑性ポリマーコーティングのような)外面は、遠位のカニューレの穴の中を動かされるときに損傷を受け得る。コーティングの場合には、該コーティングは、傷付けられるか、切れ目を付けられるか、器具810から剥がされるか、さもなければ損傷を受ける。この損傷は、器具810の機能を損なうばかりでなく、損傷の結果として器具810の1以上の部品が器具810から分離せしめられる危険性が増し、このことは患者及び/又は処置に対して他の問題点を惹き起すかも知れないことが感じられる。同様に、処理されたスタイレット、すなわち凹みが付けられるか或いは織り目を付けられた面のような(エコー源性高分子のような塗布材料によって処理された面を含む)面を備えた本発明の器具の場合には、カニューレの端縁806が、その所望のエコー源性機能に悪影響を及ぼす形態でエコー源性の面を損傷させるかも知れない。
【0022】
図9Aは、カニューレアクセス装置900のカニューレ904の遠位部分を(図9の線A−Aに沿った)長手方向断面で示しており、器具910(例えば、スタイレット、ガイドワイヤ、又はその他の器具)がその中心管腔内に配置されている状態で示されている。図10Aは、器具1010がその中心管腔内に配置された状態の(図10の線A−Aに沿った)針アクセス装置1000のカニューレ1004の遠位部分を長手方向断面で示している。カニューレ904、1004の遠位の端縁908、1008の各々は、図8に関して図示し且つ説明したもののような既知の装置内に存在する角が付けられるか或いは角度が付けられた端縁ではなく、(長手方向断面で見た場合に)丸味を付けられている外形を有している。本発明者らは、驚くべきことには、この丸味を付けられた外形を設けることによって、カニューレ内を通されつつある器具の外面(特に、例えば、診断器具、治療器具等に適用可能でもあるガイドワイヤのコーティング)に損傷をもたらす可能性が著しく減少せしめられることを発見した。図9及び9Aは、斜めに切られた(非対称形の)遠位端908を有しているカニューレを示しており、図10及び図10Aは、対称形の遠位端1008を有しているカニューレ1004を示している。これらの実施例の両方において、カニューレの内周と外周との間の移行部分を形成している遠位端は丸味を付けられている。ポリマー製の針又は合金製の針又はその他のタイプのカニューレのようなカニューレの端縁の丸み付けは、レーザー、機械研磨/磨き方法、化学処理、又はカニューレ用として選択されたタイプの材料を細かく整形するために当該技術において知られているその他の技術を使用して行なうことができることがわかるであろう。
【0023】
図9〜9Aに示されている実施例においては、その遠位端908における内周から外周までに亘るカニューレの壁の断面の湾曲は通常の半円として示されている。図10〜10Aに示されている実施例においては、カニューレの遠位端1008における壁の断面は、非対称な(例えば、内周に近いほど比較的急な角度を有する)放物線を形成している。例えば、対称な放物線、半長円形、その他の非対称な放物線のような他の丸みが付けられた外形もまた、本発明の範囲内で実施することができることがわかるであろう。内周から遠位面への移行部分のみに丸味を付けられているカニューレ、及び一つの端縁のみに丸味が付けられている長手カニューレ軸線に直角かほぼ直角である遠位面を有しているカニューレの場合にも、同じことが言える。壁を形成している丸味が付けられた遠位端を有しているカニューレを備えている本発明の装置の一つの例示的な使用方法においては、遠位のエコー源性領域を含んでいる尖ったスタイレットが、丸味が付けられた先端を有しているカニューレの通過経路にカニューレを挿入するために使用され、この場合には、スタイレットの外傷性の(例えば、穿刺、切断のための)先端は、カニューレの遠位側で/カニューレに先立って、所望の経路に沿って導かれる。
【0024】
当業者は、ここに積極的に示されていない実施例を本発明の範囲内で実施できることがわかるであろう。かかる実施例としては、ここに提供されている特許請求の範囲内に含まれる状態で種々の実施例のために本明細書に記載された特徴を相互に及び/又は現在知られているか将来開発される技術と組み合わせることが含まれる。従って、上記の詳細な説明は、限定的なものではなく例示的なものと考えられることが意図されている。そして、全ての等価物を含む特許請求の範囲は、本発明の精神及び範囲を規定することを意図したものであることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0025】
100 超音波視覚化内視鏡用アクセス装置、
102 外側カニューレ、 104 スタイレット、
106 エコー源性の領域、 108 穿刺用先端、
110 カニューレ管腔、 112 遠位端、
300 超音波視覚化内視鏡用アクセス装置、
302 外側カニューレ、 302 カニューレ本体、
303 エコー源性の領域、 304 スタイレット、
306 エコー源性の面、 308 遠位の穿刺用先端、
312 管腔、
400 超音波視覚化内視鏡用アクセス装置、
402 カニューレ、 403 遠位のエコー源性領域、
404 スタイレット、 408 穿刺用先端、
411 斜めに切られた先端、 450 目標質量、
500 超音波視覚化内視鏡用アクセス装置、
502 カニューレ、 502 カニューレ壁、
503 基準線、 550 目標質量、
600 超音波視覚化内視鏡用アクセス装置、
602 外側カニューレ、 604 スタイレット、
606 エコー源性領域、 608 穿刺用先端、
610 第一のカニューレ管腔、
612 第二のカニューレ管腔、
700 超音波視覚化内視鏡用アクセス装置、
702 外側カニューレ、 704 スタイレット、
706 エコー源性領域、 708 穿刺用先端、
710 第一のカニューレ管腔、
712 第二のカニューレ管腔、
720 遠位端領域、 800 公知の針アクセス装置、
802 遠位部分、 804 カニューレ、
806 端縁、 810 ガイドワイヤ、
812 コーティング、 900 カニューレアクセス装置、
904 カニューレ、 908 遠位の端縁、
910 器具、 1000 針アクセス装置、
1004 カニューレ、 1008 遠位の端縁、
1010 器具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波視覚化内視鏡用のアクセス装置であり、
遠位端から近位端に向かって延びている第一のカニューレ管腔を有している可撓性の外側カニューレと、
前記第一のカニューレ管腔内に取り外し可能に設けられており、
穿刺用の遠位先端と、
該穿刺用の遠位先端から近位方向に伸長している可撓性の本体長さ部分と、
前記穿刺用の遠位先端のすぐ隣に設けられ、体内で前記カニューレを効果的にに誘導するための解像度で超音波映像を映し出すのに十分な超音波の反射を行うエコー源性を有しているスタイレット部分と、を有しているスタイレットと、
を備えている装置。
【請求項2】
前記外側カニューレの遠位端に隣接してエコー源性のカニューレ部分を更に備えており、該エコー源性のカニューレ部分は、該エコー源性のカニューレ部分の超音波映像を映し出すのに十分な超音波の反射を行う構造とされている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エコー源性のカニューレ部分の外側面上に超音波反射材料が設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記カニューレと前記スタイレットとのうちの少なくとも一方が、凹みが付けられた合金、エコー源性の基準線、エコー源性の重合体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された超音波反射性材料を含んでいる、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記エコー源性のスタイレット部分が凹みを付けられた面を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記外側カニューレがエコー源性の材料からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記エコー源性の材料が、エコー源性の重合体及び合金から選択されたものであり、前記合金は、少なくとも1つのエコー源性面を含むように処理されている、ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記外側カニューレが剛性の遠位部分を含んでいる、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記外側カニューレが、前記第一のカニューレ管腔と平行に配置されている第二のカニューレ管腔を更に含んでいる、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記外側カニューレの遠位端縁が、長手方向断面で見て丸みが付けられた外形を有している、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記スタイレットが、少なくとも部分的に前記第一のカニューレ管腔内に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
内視鏡用アクセスカニューレ装置であり、
近位端と、遠位端と、前記遠位端から近位方向に伸長しているカニューレ管腔とを有しており、前記遠位端が、その外面と前記カニューレ管腔の面との間に丸みを付けられた端縁を有している、外側カニューレと、
前記カニューレ管腔の少なくとも一部分内を通過できる構造とされているスタイレットと、を備えており、
前記スタイレットが、
前記カニューレが通る通路を形成するために、組織に貫入する構造とされている尖った遠位端と、
該尖った遠位端のすぐ隣の凹みが付けられたエコー源性の領域と、を備えていることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記カニューレの前記遠位端を有している遠位部分が剛性である、ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記カニューレ管腔内に設けられているガイドワイヤを更に備えている、ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記スタイレットの少なくとも一部が、前記第一のカニューレ管腔内に配置されている、ことを特徴とする請求項12に記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9A】
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【図10】
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【図10A】
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【公表番号】特表2012−513286(P2012−513286A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543568(P2011−543568)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/067900
【国際公開番号】WO2010/075039
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(591157154)ウィルソン−クック・メディカル・インコーポレーテッド (135)
【氏名又は名称原語表記】WILSON−COOK MEDICAL INCORPORATED
【出願人】(505055767)クック アイルランド リミテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】COOK IRELAND LTD.
【Fターム(参考)】