説明

超音波診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理方法

【課題】 構造が特定の方向へ揃った組織とそれ以外の組織のそれぞれについて、適切なフィルタリングを行うことができる超音波診断装置等を提供すること。
【解決手段】 実施形態に記載の超音波診断装置は、超音波画像を取得する画像取得ユニットと、超音波画像における局所領域のエッジの方向と、局所領域におけるエッジの大きさと、局所領域におけるエッジの方向一様性と、を算出する第1の算出ユニットと、エッジの大きさとエッジの方向一様性とを用いて合成係数を算出する第2の算出ユニットと、合成係数に基づいて、局所領域に対応する領域のフィルタリング係数を算出する第3の算出ユニットと、フィルタリング係数を用いて、超音波画像の鮮鋭化又は平滑化を行うためのフィルタリング処理を、超音波画像に施すフィルタリングユニットと、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
被検体内に超音波を送信し、被検体内からの反射波に基づいて被検体内の診断情報を得る超音波診断装置、当該超音波診断装置によって取得された超音波データ等に対して画像処理を行う医用画像処理装置及び医用画像処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波診断は、超音波プローブを体表から当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きの様子がリアルタイム表示で得られ、かつ安全性が高いため繰り返して検査が行えるほか、システムの規模がX線、CT、MRIなど他の診断機器に比べて小さく、ベッドサイドへ移動していっての検査も容易に行えるなど簡便である。また、超音波診断はX線などのように被曝の影響がなく、産科や在宅医療等においても使用することができる。
【0003】
また、超音波診断は、整形領域においても頻繁に利用される。例えば、腱、筋肉、骨或いはこれらの表面等の比較的微細な組織を観測部位として、リューマチや組織の断裂の診断を形態学的に診断する場合等に用いられる。この様に整形領域において超音波画像診断を用いる利点は、上記のように微細な構造の変化を捉えることの他、リアルタイム観察による動きの状態をも観察できることである。
【0004】
ところで、超音波診断装置によって得られる画像には、被検体組織に関する情報以外に、各種のノイズや、超音波受信信号の干渉現象によって起こるスペックルが存在し、それらは被検体組織の境界の位置・形状を正確に観測するのをしばしば妨げる。このようなノイズやスペックルを低減するとともに、被検体組織に関する情報を強調する画像のフィルタリング方法として、例えば、画像のエッジ情報を検出し、エッジ方向を平滑化し、それと垂直方向を鮮鋭化するものがある。この様なフィルタリング方法においては、筋組織構造のように、局所領域でみた場合に組織構造がおよそ特定の方向へ揃っているときには、その構造をはっきりとさせるようにフィルタの各パラメータを調整する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−153918号公報
【特許文献2】特願2009−51145
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の超音波診断において用いられる上記フィルタリング方法には、多くの場合、次のような問題がある。すなわち、画像全体の中には複数の組織が存在するため、構造が特定の方向へ揃った組織にとって最適なフィルタの調整は、必ずしも他の組織にとって最適とは限らない。例えば、筋組織構造をはっきりさせようとすると、それ以外の部分に不自然なパターンが生じてしまう。その一方で、不自然なパターンを解消しようとすると、筋組織構造の強調処理が十分に行えなくなってしまう。
【0007】
上記事情を鑑み、構造が特定の方向へ揃った組織とそれ以外の組織のそれぞれについて、適切なフィルタリングを行うことができる超音波診断装置、医用画像処理装置、医用画像処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る超音波診断装置は、超音波画像を取得する画像取得ユニットと、前記超音波画像における局所領域のエッジの方向と、前記局所領域におけるエッジの大きさと、前記局所領域におけるエッジの方向一様性と、を算出する第1の算出ユニットと、前記エッジの大きさと前記エッジの方向一様性とを用いて合成係数を算出する第2の算出ユニットと、前記合成係数に基づいて、前記局所領域に対応する領域のフィルタリング係数を算出する第3の算出ユニットと、前記フィルタリング係数を用いて、前記超音波画像の鮮鋭化又は平滑化を行うためのフィルタリング処理を、前記超音波画像に施すフィルタリングユニットと、を具備するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図の変形例を示している。
【図3】図3は、組織強調処理ユニット26において実行される組織強調フィルタリング処理の流れを示した図である。
【図4】図4は、本第2の実施形態に係る超音波診断装置のブロック構成を示した図である。
【図5】図5は、スペックル除去処理ユニット31において実行される、組織強調フィルタリング機能を用いたスペックル除去処理を説明するための図である。
【図6】図6は、第3の実施形態に係る超音波診断装置1の構成を示した図である。
【図7】図7は、第3の実施形態に係る組織強調フィルタリング機能を説明するための図である。
【図8】図8は、第4の実施形態に係る超音波診断装置1の構成を示した図である。
【図9】図9は、第4の実施形態に係る組織強調フィルタリング機能を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1実施形態乃至第4実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0011】
(第1実施形態)
実施形態に記載の超音波診断装置は、超音波画像を取得する画像取得ユニットと、超音波画像における局所領域のエッジの方向と、局所領域におけるエッジの大きさと、局所領域におけるエッジの方向一様性と、を算出する第1の算出ユニットと、エッジの大きさとエッジの方向一様性とを用いて合成係数を算出する第2の算出ユニットと、合成係数に基づいて、局所領域に対応する領域のフィルタリング係数を算出する第3の算出ユニットと、フィルタリング係数を用いて、超音波画像の鮮鋭化又は平滑化を行うためのフィルタリング処理を、超音波画像に施すフィルタリングユニットと、を具備する。
【0012】
以下、実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0013】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、本超音波診断装置1は、超音波プローブ12、入力装置13、モニター14、超音波送信ユニット21、超音波受信ユニット22、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24、画像生成ユニット25、組織強調処理ユニット26、画像処理ユニット27、制御プロセッサ(CPU)28、記憶ユニット29、インタフェースユニット30を具備している。以下、個々の構成要素の機能について説明する。
【0014】
超音波プローブ12は、被検体に対して超音波を送信し、当該送信した超音波に基づく被検体からの反射波を受信するデバイス(探触子)であり、その先端に複数に配列された圧電振動子、整合層バッキング材等を有している。圧電振動子は、超音波プローブ12は、超音波送受信ユニット21からの駆動信号に基づきスキャン領域内の所望の方向に超音波を送信し、当該被検体からの反射波を電気信号に変換する。整合層は、当該圧電振動子に設けられ、超音波エネルギーを効率良く伝播させるための中間層である。バッキング材は、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止する。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分を依存して、周波数偏移を受ける。
【0015】
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボール13s、マウス13c、キーボード13d等を有している。例えば、操作者が入力装置13の終了ボタンやFREEZEボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、当該超音波診断装置は一時停止状態となる。
【0016】
モニター14は、画像処理ユニット27からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や、血流情報を画像として表示する。
【0017】
超音波送信ユニット21は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を有している。パルサ回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0018】
なお、超音波送信ユニット21は、制御プロセッサ28の指示に従って所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に送信駆動電圧の変更については、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0019】
超音波受信ユニット22は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、加算器等を有している。アンプ回路では、プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0020】
Bモード処理ユニット23は、送受信ユニット21からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。このデータは、画像生成ユニット25に送信され、反射波の強度を輝度にて表したBモード画像としてモニター14に表示される。
【0021】
ドプラ処理ユニット24は、送受信ユニット21から受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。得られた血流情報は画像生成ユニット25に送られ、平均速度画像、分散画像、パワー画像、これらの組み合わせ画像としてモニター14にカラー表示される。
【0022】
画像生成ユニット25は、超音波スキャンの走査線信号列を、Bモード処理部23、ドプラ処理部24、スペックル除去処理ユニット26から受け取ったデータを種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバージョン)し、表示画像としての超音波診断画像を生成する。画像生成ユニット25は、画像データを格納する記憶メモリを搭載しており、例えば診断の後に操作者が検査中に記録された画像を呼び出すことが可能となっている。なお、当該画像生成ユニット25に入る以前のデータは、例えば空間的位置毎の振幅値或いは輝度値の集合であり、「生データ」と呼ばれる。
【0023】
組織強調処理ユニット26は、制御プロセッサ28からの制御に基づいて、画像生成ユニット25において生成された超音波画像に対して、後述する組織強調フィルタリング機能に従う処理を実行する。
【0024】
制御プロセッサ28は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する。制御プロセッサ28は、記憶ユニット29から後述する組織強調フィルタリング機能を実現するための専用プログラムを読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する
記憶ユニット29は、後述する組織強調フィルタリング機能を実現するための専用プログラムや、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件、スペックル除去機能を実現するためのプログラム、ボディマーク生成プログラムその他のデータ群が保管されている。また、必要に応じて、画像メモリ26中の画像の保管などにも使用される。記憶ユニット29のデータは、インタフェースユニット30を経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
【0025】
インタフェースユニット30は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインタフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インタフェースユニット30よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0026】
(組織強調フィルタリング機能)
次に、本超音波診断装置が有する組織強調フィルタリング機能について説明する。この機能は、超音波画像のエッジの大きさだけでなく、超音波画像の二階微分の局所領域を例えば主成分分析することでエッジの一様性も合わせて計算し、エッジの大きさ及びエッジの一様性に関する情報を用いて、エッジの方向に応じたフィルタリング処理を実行するものである。これにより、腱、筋肉、骨等の組織(筋組織)が強調され、且つ筋組織以外の部分の不自然なパターンが軽減された超音波画像を取得することができる。
【0027】
なお、以下の説明においては、画像生成ユニット25において生成された超音波画像に対して、組織強調フィルタリング機能に従う処理(組織強調フィルタリング処理)を実行する場合を例とする。しかしながら、これに拘泥されず、例えば、画像生成ユニット25に入力される前の生データに対して、組織強調フィルタリング処理を実行するようにしてもよい。図2に、係る場合の超音波診断装置1のブロック構成図の一例を示した。
【0028】
図3は、組織強調処理ユニット26において実行される組織強調フィルタリング処理の流れを示した図である。以下、各ステップにおいて実行される処理の内容について説明する。
【0029】
[勾配ベクトルI、Iの計算:ステップS201]
まず、組織強調処理ユニット26は、画像生成ユニット25より受け取った画像のx(水平)方向・y(垂直)方向の空間微分(すなわち勾配ベクトル(I,I))を算出する(ステップS201)。
【0030】
[エッジの大きさの計算:ステップS211〜S215]
次に、組織強調処理ユニット26は、ステップS211〜S215においてエッジの大きさを計算する。すなわち、組織強調処理ユニット26は、勾配ベクトル(I,I)の各画素とその周辺について局所的なデータ集合を取得し(ステップS211)、取得したデータ集合の共分散行列を計算する(ステップS212)。入力画像の空間微分(I,I)の局所的なデータ集合の範囲が(M・M)ピクセルで要素数がN=M・Mとすると、そのデータの共分散行列Sは次の式(1)のようになる。
【数1】

【0031】
ただしE(I),E(I)はI,Iの期待値である。
【0032】
次に、組織強調処理ユニット26は、共分散行列の固有値・固有ベクトルの組み合わせを計算し(ステップS213)、得られた固有値の組み合わせのうち第1固有値と第2固有値の差分を計算し(ステップS214)、当該差分からエッジの大きさを計算する(ステップS215)。
【0033】
共分散行列の固有値・固有ベクトルをとれば、主成分分析における第1主成分は共分散行列の第1固有値に属する固有ベクトルであり、エッジの方向を表す。また第1固有値は画像のエッジの大きさを表す。エッジの大きさは、第1固有値と他の固有値(画像が二次元の場合、第2固有値)との差をとって表してもよい。ただし、本実施形態においては、エッジの大きさ(P)は、0から1の範囲に収まるように、例えば次の式(2)で計算する。
【数2】

【0034】
ここで、λS1,λS2は共分散行列の固有値である。また、kは、エッジ強調を調整するパラメータである。例えばkの値を小さくすることで、エッジをより強調することができる。共分散行列の固有ベクトルは、後述の段階において、異方性非線形拡散フィルタの方向に関する情報を与える。
【0035】
[エッジの一様性の計算:ステップS221〜S226]
次に、組織強調処理ユニット26は、ステップS221〜S226においてエッジの一様性を計算する。すなわち、組織強調処理ユニット26は、勾配ベクトル(I,I)の各画素についての空間微分をさらに実行し、二階微分成分を算出する(ステップ221)。ここでの空間微分は、Iのx方向の微分Ixx、Iのy方向の微分Iyyをとるものとする。このようにして画像の2階微分をとれば、1階微分をとるのに比較してエッジの方向一様性の検出がより明瞭にすることができる。
【0036】
次に、組織強調処理ユニット26は、勾配ベクトル(I,I)の周辺について局所的なデータ集合を取得し(ステップS222)、当該データ集合の共分散行列を計算する(ステップS223)。また、組織強調処理ユニット26は、計算した共分散行列の固有値、第2固有値を計算し(ステップS224、S225)、得られた第2固有値からエッジの方向一様性を算出する。
【0037】
なお、エッジの方向の一様性を計算する際に第2固有値を用いるのは、以下の理由による。すなわち、ベクトル空間の局所的な領域について、そのデータ集合を主成分分析することによって主成分を求めることは、そのデータ集合の主部分空間への2乗平均射影誤差を最小にすることと等しい。この主部分空間への2乗平均射影誤差が、主成分方向に対する方向一様性を表す。そして、主部分空間への2乗平均射影誤差は、主部分空間に直交する固有ベクトルに係わる固有値の和であり、二次元の場合は第2固有値に等しい。こうして(Ixx,Iyy)の局所的な領域について、その共分散行列の第2固有値をとることによって、主成分方向すなわちエッジの方向に対する方向一様性を検出することができる。ただし、本実施形態おいては、方向一様性(P)は、0から1の範囲に収まるように、例えば次の式(3)に示すように、第2固有値の寄与率から1を引いたものをとる。
【数3】

【0038】
[異方性非線形拡散フィルタ処理:ステップS231〜S233]
次に、組織強調処理ユニット26は、ステップS231〜S233において違法性非線形拡散フィルタ処理を実行する。すなわち、組織強調処理ユニット26は、ステップS215において算出されたエッジの大きさと、ステップS226において算出された方向一様性とを用いて、画素毎の最大値をとる合成処理を実行する(ステップS231)。この様にエッジの大きさと方向一様性の画素ごとの最大値を取るのは、画像の「エッジ」と「構造が特定の方向へ揃った組織」の部分は、どちらも同一のフィルタ処理を行わせるためである。この処理の代わりに、エッジの大きさと方向一様性の画素毎の和をとっても同様の効果が得られる(*「画素毎の最大値をとる合成処理」と「画素毎の和」との明確な違いを理解することができませんでした。お手数ですが、加筆戴ければ幸いです)。
【0039】
次に、組織強調処理ユニット26は、得られた最大値を用いて異方性非線形拡散フィルタの係数を計算し(ステップS232)、計算した係数を用いて、異方性非線形拡散フィルタを計算(すなわち、フィルタリング処理)を実行する(ステップS233)。
【0040】
なお、異方性非線形拡散フィルタは、次の式(4)に示される拡散方程式を解くことによって得られるフィルタである。
【数4】

【0041】
ここで、Iは入力画像、∇Iはその勾配ベクトル(I,I)である。また、tは物理現象における「時刻」であるが、ここでは処理の繰り返し回数に関係する。Dは拡散テンソル(Diffusion Tensor)、その各要素をその固有値λD1,λD2、固有ベクトルωD1=(cosψ,sinψ),ωD2=(-sinψ,cosψ)として、次の式(5)によって表すことができる。
【数5】

【0042】
異方性非線形拡散フィルタは、固有ベクトルによって示される各方向に、それらに係わる固有値によって示される拡散の強さ(diffusivity)でもって画像を拡散させるということになる。ステップS232においては、すでに求められている画像のエッジの方向を拡散フィルタの固有ベクトルとし、エッジの大きさと方向一様性の合成結果から固有値を計算する。
【0043】
なお、ステップS232における異方性非線形拡散フィルタの計算は、公知の偏微分方程式の数値解析的解法によって行う。すなわち、「時刻」tにおいて、ある点における画素とその周囲の例えば9点における各画素レベルおよび拡散テンソルの各要素値から、「時刻」t+Δtにおけるその点の新たな画素レベルを求め、次にt+Δtを新たなtとして、同様の計算を1回から数回繰り返す。
【0044】
本実施形態では、エッジの大きさ・方向を求めるのに主成分分析の方法を用いた。しかしながら、当該例に拘泥されず、画像の構造テンソル(structure tensor)をとる方法を適用することもできる。画像Iの構造テンソルは、次の式(6)のように定義される。
【数6】

【0045】
ここでI,Iは処理する画像Iのx(水平)方向・y(垂直)方向の空間微分であり、Gρは二次元ガウス関数、演算子「*」は畳み込みを表す。
【0046】
この様に、構造テンソルの固有値・固有ベクトルをとれば、その第1固有値に属する固有ベクトルはエッジの方向を表し、第1固有値は画像のエッジの大きさを表す。また、エッジの方向一様性の計算においても、画像Iの2階空間微分から画像Iの1階微分の構造テンソルを定義し、その第2固有値から方向一様性を求めることができる。
【0047】
(効果)
以上述べた本超音波診断装置によれば、エッジの大きさだけでなくその方向一様性も求め、両者の画素ごとの最大値をとって、異方性非線形拡散フィルタの拡散の強さをエッジの方向に応じて計算する。従って、単にエッジの大きさから拡散の強さを計算するのに比べ、構造が特定の方向へ揃った組織とそれ以外の組織とのそれぞれに対して、適切なフィルタリングを行うことができる。その結果、腱、筋肉、骨等の組織(筋組織)が強調(鮮鋭化)され、且つ筋組織以外の部分の不自然なパターンが軽減(平滑化)された超音波画像を取得することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、超音波画像データそのものに対して、組織強調フィルタリング機能を適用し、画像の鮮鋭化又は平滑化を行う場合について説明した。これに対し、本第2の本実施形態では、画像を多重解像度分解し、各分解レベルの信号或いはデータに対して、第1の実施形態で説明した組織強調フィルタリング機能を適用する場合について説明する。
【0049】
なお、画像を多重解像度分解し、分解の各レベルに対して異方性非線形拡散フィルタを行う例は、特開2009−153918号公報に記載されている。
【0050】
図4は、本第2の実施形態に係る超音波診断装置のブロック構成を示した図である。図1と比較した場合、組織強調処理ユニット26がスペックル除去処理ユニット31に代わっている点が異なる。
【0051】
スペックル除去処理ユニット32は、図5に示すように、レベル1における多重解像度分解部311、拡散フィルタ312、高域レベル制御部313、再構成部314、レベル2における多重解像度分解部321、拡散フィルタ322、高域レベル制御部323、再構成部324、レベル3における多重解像度分解部331、拡散フィルタ332、高域レベル制御部333、再構成部334を有している。
【0052】
多重解像度分解部311、321、331は、入力した生データ或いは画等データを、レベル1から次々に多重解像度分解する。多重解像度分解の手法としては、例えば、離散ウェーブレット変換、ラプラシアン・ピラミッド法等を採用することができる。この多重解像度分解により、画像は分解前に比べ縦横の長さが半分の低域(LL)、水平方向高域(LH)、垂直方向高域(HL)、対角線方向高域(HH)の各画像に分解される。なお、多重解像度分解の階層(次数)は、いくつであってもよい。本実施形態では、説明を具体的にするため、多重解像度分解する最高次数をレベル3としている。
【0053】
拡散フィルタ312、322、332は、それぞれ入力した生データ或いは画等データに対して、第1の実施形態で説明した組織強調フィルタリング処理を実行する。
【0054】
高域レベル制御部313、323、333は、それぞれ、拡散フィルタ312、322、332から入力したエッジの大きさに従って、多重解像度分解部311、321、331から入力した水平方向高域(LH)、垂直方向高域(HL)、対角線方向高域(HH)に対応する各高域画像を制御する。なお、エッジの大きさは、例えば図3のステップS215の出力と同じである。
【0055】
再構成部314、324、334は、それぞれ、拡散フィルタ312、322、332から受け取った1つの低域画像と、高域レベル制御部313、323、333から受け取った3枚の高域画像とから、1枚の合成画像を再構成する。再構成された画像の縦横の長さは、入力画像の2倍となる。なお、再構成処理としては、例えば、離散ウェーブレット変換によって多重解像度分解した場合には離散ウェーブレット逆変換を、ラプラシアン・ピラミッド法によって多重解像度分解した場合にはその逆演算を、それぞれ採用することができる。
【0056】
スペックル除去処理ユニット31においては、例えば次のようなスペックル除去処理が実行される。すなわち、まず、多重解像度分解部311は、入力した生データ或いは画等データを、低域(LL)、水平方向高域(LH)、垂直方向高域(HL)、対角線方向高域(HH)の各画像に分解し、低域画像(LL)を多重解像度分解部321に、水平方向高域(LH)、垂直方向高域(HL)、対角線方向高域(HH)の各高域画像を高域レベル制御部313に、それぞれ出力する。
【0057】
多重解像度分解部311は、入力した低域画像(LL)を、さらに低域(LL)、水平方向高域(LH)、垂直方向高域(HL)、対角線方向高域(HH)の各画像に分解し、低域画像(LL)を多重解像度分解部331に、水平方向高域(LH)、垂直方向高域(HL)、対角線方向高域(HH)の各高域画像を高域レベル制御部323に、それぞれ出力する。また、多重解像度分解部311においても、入力した低域画像(LL)に対して同様の処理が実行される。
【0058】
レベル3において、多重解像度分解部331は、分解によって取得した低域画像(LL)を拡散フィルタ332に出力する。拡散フィルタ332は、低域画像(LL)を用いて第1の実施形態に示した組織強調フィルタリング処理を実行する。再構成部334は、拡散フィルタ332からの低域画像(LL)と、高域レベル制御部333からの水平方向高域(LH)、垂直方向高域(HL)、対角線方向高域(HH)の各高域画像とから、1枚の画像を再構成する。再構成の結果得られる画像の縦横の長さは、入力画像の2倍となる。
【0059】
レベル2において、拡散フィルタ322は、再構成された画像を再構成部334より受け取り、組織強調フィルタリング処理を実行し、再構成部324へ出力する。一方、高域レベル制御部323は、多重解像度分解部321から出力された各高域画像に対して、拡散フィルタ322から受け取ったエッジに基づいて高域レベル制御を実行する。再構成部324は、レベル3と同様に、拡散フィルタ322からの1つの低域画像と、高域レベル制御部323からの3つの高域画像から1枚の画像を再構成する。
【0060】
レベル1においても、レベル2と実質的に同様の処理が実行される。その結果、多重解像度分解の各分解レベルにおいて組織強調フィルタリング処理が実行された再構成画像が、再構成部314より出力される。この様にして得られた画像は、各レベルにおいて、構造が特定の方向へ揃った組織とそれ以外の組織とのそれぞれに対して、適切なフィルタリング処理が施されている。従って、組織が強調され、且つ筋組織以外の部分の不自然なパターンが軽減(平滑化)されたものとなっている。また、多重解像度解析を行うことにより,より大局的な処理からより局所的な処理へと順を追って処理することで、より高速かつ効率的に処理することが可能となる。
【0061】
なお、本実施形態では、各レベルの異方性非線形拡散フィルタにおいて、入力画像の空間微分(I,I)の代わりに、多重解像度分解部からの水平・垂直方向の高域成分を適用することもできる。また本実施形態では、各レベルの異方性非線形拡散フィルタが独立に空間微分をとることを前提にしているが、多重解像度分解前の入力画像からエッジ情報を計算してから、それらを各レベルの画像サイズに縮小・リサンプリングして異方性非線形拡散フィルタの係数にすることもできる。
【0062】
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、二次元画像データ(或いは二次元生データ)に対してスペックル除去処理を実行する例を示した。これに対し、本実施形態に係る超音波診断装置1は、三次元ボリュームデータに対して、組織強調フィルタリング処理を実行する場合について説明する。なお、本実施形態においては、説明を具体的にするため、スキャンコンバージョン処理前の生データによる三次元ボリュームデータに対して、組織強調フィルタリング処理を実行する場合を例とする。しかしながら、当該例に拘泥されず、スキャンコンバージョン処理後の超音波画像データによる三次元ボリュームデータに対しても適用可能である。
【0063】
図6は、本実施形態に係る超音波診断装置1の構成を示した図である。図1と比較した場合、ボリュームデータ生成ユニット32をさらに具備する点、及び組織強調処理ユニット26がボリュームデータ生成ユニット32からのボリュームデータに対して組織強調フィルタリング処理を行う点、画像処理ニット27がボリュームレンダリング処理等を実行する点が異なる。
【0064】
ボリュームデータ生成ユニット32は、Bモード処理ユニット23から受け取ったBモード画像データを用いて、Bモードボリュームデータを生成する。また、ボリュームデータ生成部31は、ドプラ処理ユニット24から受け取ったドプラモードデータを用いて、ドプラモード画像ボリュームデータを生成する。
【0065】
画像処理ユニット27は、画像生成ユニット25から受け取るボリュームデータ、又はスペックル除去処理ユニット26から受け取るスペックル除去処理されたBモードボリュームデータに対して、ボリュームレンダリング、多断面変換表示(MPR:multi planar reconstruction)、最大値投影表示(MIP:maximum intensity projection)等の所定の画像処理を行う。
【0066】
図7(a)、(b)は、本実施形態に係る組織強調フィルタリング機能を説明するための図である。図7(a)に示すように、ボリュームデータの断面のうち、超音波プローブ12を用いて実行される超音波走査の対象領域(超音波走査領域)の中心軸に交差し互いに垂直に交わる2つの面をA面及びB面と定義し、中心軸およびA面・B面に垂直な面をC面と定義する。
【0067】
組織強調処理ユニット26は、ボリュームデータ生成ユニット32から、例えばBモードボリュームデータを受ける。このボリュームデータは、図7(b)に示すように、A面に平行なm個の平面A、A、・・・Am−1の集合(すなわち、A面に平行な二次元画像データの集合)と捉えることができる。組織強調処理ユニット26は、A面に平行な全ての二次元画像データに対して、第1の実施形態で述べた組織強調フィルタリング処理を施す。このとき、入力画像の空間微分は(I,I,I)〔2階の場合は(Ixx,Iyy,Izz)〕の三次元ベクトルとなるため、その局所的な共分散行列または構造テンソルは3X3の行列となり、エッジ情報を計算する場合、第1から第3までの固有値・固有ベクトルを扱うことになる。その場合、エッジの大きさは、第1固有値と第3固有値との差から算出するのが望ましいが、エッジの方向一様性は、第1の実施形態に説明したように、第1以外の固有値の和、すなわち第2固有値と第3固有値との和から算出されるのが望ましい。
【0068】
画像生成ユニット25は、組織強調フィルタリング処理が施された、ボリュームデータを構成する二次元画像データに対して、スキャンコンバージョン等を実行し、超音波画像データによるボリュームデータを生成する。画像処理ユニット27は、画像生成ユニット25からボリュームデータを受け取り、これらに基づいてボリュームレンダリング、多断面変換表示(MPR:multi planar reconstruction)、最大値投影表示(MIP:maximum intensity projection)等の所定の画像処理を実行する。当該画像処理によって生成された三次元画像データは、モニター14において所定の形態で表示される。
【0069】
本実施形態に係る超音波診断装置では、Bモードボリュームデータを構成する二次元画像データの全てに組織強調フィルタリング処理を施すことで、当該Bモードボリュームデータ全体に対して、組織を強調し、且つ筋組織以外の部分の不自然なパターンを軽減することができる。その結果、A面のみならず、任意断面となるB面・C面についても、好適な超音波画像を生成することができる。
【0070】
(第4の実施形態)
第3の実施形態では、三次元画像処理前のBモードボリュームデータに対して組織強調フィルタリング処理を実行する例を示した。これに対し、本実施形態に係る超音波診断装置1は、三次元画像処理後の画像データに対して組織強調フィルタリング処理を実行する場合について説明する。
【0071】
図8は、本実施形態に係る超音波診断装置1の構成を示した図である。図6と比較した場合、画像生成ユニット25の後段にボリュームデータ生成ユニット32が設けられている点、組織強調処理ユニット26がスキャンコンバージョン後のデータに対して組織強調フィルタリング処理を行う点が異なる。
【0072】
図9は、複数の三次元画像(ボリュームレンダリング画像14a、第1の多断面変換表示画像14b、第2の多断面変換表示画像を14c)をモニター14に同時に表示する形態の一例を示した図である。
【0073】
ボリュームデータ生成ユニット32は、画像生成ユニット25から受け取ったBモード画像データ等を用いて、超音波画像としてもボリュームデータを生成する。画像処理ユニット27は、ボリュームデータ生成ユニット32からボリュームデータを受け取り、これらに基づいてボリュームレンダリング、多断面変換表示(MPR:multi planar reconstruction)、最大値投影表示(MIP:maximum intensity projection)等の所定の画像処理を実行する。
【0074】
組織強調処理ユニット26は、画像処理ユニット27から受け取った超音波画像に対して、例えば第3の実施形態で述べたスペックル処理を実行する。このとき、例えば図9に示す表示形態を採用する場合、ボリュームレンダリング画像14a、第1の多断面変換表示画像14b、第2の多断面変換表示画像を14cの少なくとも一つの画像にスペックル除去処理をかけることができる。なお、当然ながら、画像処理ユニット27から受け取る三次元画像データは、上記ボリュームレンダリング画像14a、第1の多断面変換表示画像14b、第2の多断面変換表示画像を14cの例に拘泥されない。例えば、サーフェイスレンダリング(surface rendering)や最大値投影表示など他のレンダリング・再構成処理によって得られる三次元画像データに対しても、本スペックル処理を実行することができる。
【0075】
以上述べた構成によっても、第3の実施形態と同様の効果を実現することができる。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0077】
(1)本実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0078】
(2)上記実施形態においては、超音波画像を用いて組織強調フィルタリング機能を実行する場合を例として説明した。しかしながら、当該例に拘泥されず、上記実施形態に係る組織強調フィルタリング機能は、例えばX線コンピュータ断層撮像装置、磁気共鳴イメージング装置、X線診断装置等の医用画像診断装置によって取得された医用画像に対しても適用可能である。
【0079】
(3)上記第3の実施形態においては、スペックル除去処理を行う断面を、超音波走査領域の中心軸に交差する面とした。しかしながら、当該例に拘泥されず、三次元空間の任意の断面にスペックル除去処理を行うことができる。
【0080】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10…超音波診断装置、12…超音波プローブ、13…入力装置、14…モニター、21…超音波送信ユニット、22…超音波受信ユニット、23…Bモード処理ユニット、24…ドプラ処理ユニット、25…画像生成ユニット、26…スペックル除去処理ユニット、27…画像処理ユニット、28…制御プロセッサ、29…記憶ユニット、30…インタフェースユニット、31…スペックルパタン除去処理ユニット、32…ボリュームデータ生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像を取得する画像取得ユニットと、
前記超音波画像における局所領域のエッジの方向と、前記局所領域におけるエッジの大きさと、前記局所領域におけるエッジの方向一様性と、を算出する第1の算出ユニットと、
前記エッジの大きさと前記エッジの方向一様性とを用いて合成係数を算出する第2の算出ユニットと、
前記合成係数に基づいて、前記局所領域に対応する領域のフィルタリング係数を算出する第3の算出ユニットと、
前記フィルタリング係数を用いて、前記超音波画像の鮮鋭化又は平滑化を行うためのフィルタリング処理を、前記超音波画像に施すフィルタリングユニットと、
を具備する超音波診断装置。
【請求項2】
前記フィルタリングユニットは、異方性非線形拡散フィルタである請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記第2の算出ユニットは、前記エッジの大きさと前記方向一様性の最大値又は和に基づいて前記合成係数を算出し、
前記フィルタリングユニットは、前記合成係数に基づいて、前記異方性非線形拡散フィルタの拡散テンソルの各固有値を変更して前記フィルタリング処理を実行する請求項2記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記第1の算出ユニットは、
前記局所領域における画素値の変化の空間微分に基づいて、前記エッジの方向及び前記エッジの大きさを算出する請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記第1の算出ユニットは、
前記局所領域における画素値の空間微分、又は前記局所領域の画素値の高域成分を空間微分して第1ベクトルを算出し、
前記第1ベクトルを用いて、構造テンソルの第1固有値又は局所領域におけるデータの共分散行列の第1固有値を少なくとも算出し、
前記第1固有値又は当該第1固有値と他の固有値との差に基づいて、前記エッジの大きさを算出する請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記第1の算出ユニットは、前記局所領域における画素値の2階空間微分、又は前記局所領域の画素値の高域成分の空間微分に基づいて前記方向一様性を算出する請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記第1の算出ユニットは、
前記局所領域における画素値の2階空間微分、又は前記局所領域の画素値の高域成分を空間微分して第2ベクトルを算出し、
前記第2ベクトルを用いて、構造テンソルの第1固有値又は局所領域におけるデータの共分散行列の第1固有値を少なくとも算出し、
前記第1固有値又は当該第1固有値と他の固有値との差に基づいて、前記方向一様性を算出する請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項8】
医用画像診断装置によって取得された医用画像を記憶する記憶ユニットと、
前記医用画像における局所領域のエッジの方向と、前記局所領域におけるエッジの大きさと、前記局所領域におけるエッジの方向一様性と、を算出する第1の算出ユニットと、
前記エッジの大きさと前記エッジの方向一様性とを用いて合成係数を算出する第2の算出ユニットと、
前記合成係数に基づいて、前記局所領域に対応する領域のフィルタリング係数を算出する第3の算出ユニットと、
前記フィルタリング係数を用いて、前記医用画像の鮮鋭化又は平滑化を行うためのフィルタリング処理を、前記医用画像に施すフィルタリングユニットと、
を具備する医用画像処理装置。
【請求項9】
前記フィルタリングユニットは、異方性非線形拡散フィルタである請求項8記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記第2の算出ユニットは、前記エッジの大きさと前記方向一様性の最大値又は和に基づいて前記合成係数を算出し、
前記フィルタリングユニットは、前記合成係数に基づいて、前記異方性非線形拡散フィルタの拡散テンソルの各固有値を変更して前記フィルタリング処理を実行する請求項9記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記第1の算出ユニットは、
前記局所領域における画素値の変化の空間微分に基づいて、前記エッジの方向及び前記エッジの大きさを算出する請求項8乃至10のうちいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【請求項12】
前記第1の算出ユニットは、
前記局所領域における画素値の空間微分、又は前記局所領域の画素値の高域成分を空間微分して第1ベクトルを算出し、
前記第1ベクトルを用いて、構造テンソルの第1固有値又は局所領域におけるデータの共分散行列の第1固有値を少なくとも算出し、
前記第1固有値又は当該第1固有値と他の固有値との差に基づいて、前記エッジの大きさを算出する請求項8乃至10のうちいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【請求項13】
前記第1の算出ユニットは、前記局所領域における画素値の2階空間微分、又は前記局所領域の画素値の高域成分の空間微分に基づいて前記方向一様性を算出する請求項8乃至10のうちいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【請求項14】
前記第1の算出ユニットは、
前記局所領域における画素値の2階空間微分、又は前記局所領域の画素値の高域成分を空間微分して第2ベクトルを算出し、
前記第2ベクトルを用いて、構造テンソルの第1固有値又は局所領域におけるデータの共分散行列の第1固有値を少なくとも算出し、
前記第1固有値又は当該第1固有値と他の固有値との差に基づいて、前記方向一様性を算出する請求項8乃至10のうちいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【請求項15】
医用画像診断装置によって取得された医用画像における局所領域のエッジの方向と、前記局所領域におけるエッジの大きさと、前記局所領域におけるエッジの方向一様性と、を算出し、
前記エッジの大きさと前記エッジの方向一様性とを用いて合成係数を算出し、
前記合成係数に基づいて、前記局所領域に対応する領域のフィルタリング係数を算出し、
前記フィルタリング係数を用いて、前記医用画像の鮮鋭化又は平滑化を行うためのフィルタリング処理を、前記医用画像に施すこと、
を具備する医用画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−75882(P2012−75882A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197698(P2011−197698)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】