説明

超音波診断装置、超音波画像処理方法及び超音波画像処理プログラム

【課題】3次元画像と立体画像とを同時に表示することが可能な超音波診断装置を提供する。
【解決手段】実施形態に記載の超音波診断装置は、被検体に対して超音波を送受信する超音波振動子を有する超音波プローブを有する。また、画像処理部は、超音波振動子によって受信された信号に基づいて被検体のボリュームデータを形成するボリュームデータ形成部と、ボリュームデータに対して所定の処理を行い、第1の画像データを作成する第1画像データ作成部と、ボリュームデータに対して所定の処理を行い、第1の画像データとは異なる第2の画像データと、第1の画像データ及び第2の画像データとは異なる第3の画像データとを作成する第2画像データ作成部と、第2の画像データと第3の画像データとを合成して立体画像データを作成する立体画像データ作成部とを有する。また超音波診断装置は、第1の画像データに基づく3次元画像及び立体画像データに基づく立体画像を表示する表示部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波診断装置、超音波画像処理方法及び超音波画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、被検体に対して超音波ビームを3次元的に走査し、被検体の3次元的な情報を収集する、いわゆる3次元超音波診断装置が実現されている。
【0003】
超音波ビームを3次元的に走査することにより収集された被検体の3次元的な情報(ボリュームデータ)は、ボリュームレンダリング処理やMPR処理(Multi Plannar Reconstruction)などの画像処理が施され、3次元画像データや任意断面における画像データなどに変換される。
【0004】
その3次元画像データや任意断面における画像データは所定の加工が施された後(例えば、患者情報等との重畳処理)、2次元平面のディスプレイに投影表示される。
【0005】
一方、医療機器の分野において、被検体の3次元的な情報をそのまま立体表示する立体表示装置の使用が試みられている。
【0006】
立体表示は、例えば人間が3次元空間における物体の配置状態を認識する際に両眼の視差を用いていることを再現するものである。例えば、左眼用と右眼用の画像を独立に作成し、それぞれの画像を左眼のみ右眼のみで見えるようにモニタ等に表示することにより立体表示を実現することができる。またレンティキュラーレンズを用いて左眼用と右眼用の視差画像を分離して表示することにより立体表示を実現する方法や、表示部に表示された視差画像を立体的に観察するために光学的な偏光フィルタを用いた専用眼鏡を用いる方法も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−197631号公報
【特許文献2】特開2000−148983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
立体表示については超音波診断の分野においてもニーズが高まっている。一方で超音波診断においては、高精細な3次元画像(3次元画像情報が2次元平面に投影表示された画像)を用いた診断も必要となる。
【0009】
更に、例えば超音波観察下で観察対象の特定部位に対する穿刺を行う場合、その手技を確実に行うために、立体表示によって穿刺する特定部位と穿刺針の3次元的な位置関係を把握すると共に、観察対象全体の中で特定部位と穿刺針がどこに位置しているかを把握することが望まれている。
【0010】
上記課題を解決するため、本実施形態では、3次元画像と立体画像とが同時に表示可能となるような超音波診断装置の構成を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、実施形態に記載の超音波診断装置は、被検体に対して超音波を送受信する超音波振動子を有する超音波プローブを有する。また、画像処理部は、超音波振動子によって受信された信号に基づいて被検体のボリュームデータを形成するボリュームデータ形成部と、ボリュームデータに対して所定の処理を行い、第1の画像データを作成する第1画像データ作成部と、ボリュームデータに対して所定の処理を行い、第1の画像データとは異なる第2の画像データと、第1の画像データ及び第2の画像データとは異なる第3の画像データとを作成する第2画像データ作成部と、第2の画像データと第3の画像データとを合成して立体画像データを作成する立体画像データ作成部とを有する。また超音波診断装置は、第1の画像データに基づく3次元画像及び立体画像データに基づく立体画像を表示する表示部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る処理の概要を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施形態に係る処理の概要を示すフローチャートである。
【図5】第3の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【図6】第3の実施形態に係る処理の概要を示すフローチャートである。
【図7】第4の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【図8】第4の実施形態に係る処理の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
図1と図2を用いて第1の実施形態の説明を行う。
【0014】
図1は本実施形態における超音波診断装置1の構成を示している。
【0015】
超音波プローブ2は内部に超音波振動子3を有する。超音波振動子3は被検体に対して超音波を送受信する機能を有している。超音波振動子3から発せられる超音波ビームを3次元的に走査することで被検体の3次元的な情報を有するエコー信号を取得することができる。
【0016】
送受信部4は、図示しない送信部と受信部を備える。送信部は、超音波プローブ2及び超音波振動子3に電力を供給して超音波振動子3から超音波を発生させる。受信部は、超音波振動子3で受信されたエコー信号を電気信号として受信し、後述の信号処理部5に出力する機能を有している。
【0017】
信号処理部5は受信部から出力された電気信号に対してフィルタリング処理等の信号処理を施し、画像処理部6に出力する機能を有している。
【0018】
画像処理部6は、ボリュームデータ形成部7、第1画像データ作成部8、第2画像データ作成部9、立体画像データ作成部10、第1出力ポート部11a、第2出力ポート部11bを有する。
【0019】
ボリュームデータ形成部7は、信号処理部5から出力された電気信号から被検体のボリュームデータを形成する機能を有している。なお、ボリュームデータ形成部7では、形成されたボリュームデータを任意の断面で切断し、その切断面における画像(Multi Plannar Recounstraction image。いわゆるMPR画像)に関するデータを求めることも可能である。
【0020】
第1画像データ作成部8は、ボリュームデータ形成部7で形成されたボリュームデータに対して所定の処理を行い、所望の視点から見た場合の画像データを第1の画像データとして作成する機能を有している。「所定の処理」としては、例えばボリュームレンダリングの手法が用いられる。
【0021】
一方、第2画像データ作成部9は、ボリュームデータ形成部7で形成されたボリュームデータに対して所定の処理を行い、所望の視点から見た場合の画像データを第2の画像データとして作成すると共に、第2の画像データとは異なる視点からボリュームデータを見た場合の画像データを第3の画像データとして作成する機能を有している。「所定の処理」としては、第1画像データ作成部8と同様、例えばボリュームレンダリングの手法が用いられる。なお、第2の画像データまたは第3の画像データのうちいずれか一方は第1の画像データと同じ視点から見た場合の画像であってもよい。
【0022】
立体画像データ作成部10は、第2画像データ作成部9で作成された画像データに基づいて立体画像データを作成する。本実施形態においては、第2の画像データと第3の画像データとを合成し、立体画像データを作成する。
【0023】
第1の画像データは、3次元画像を表示するための3次元画像データとして、第1出力ポート部11aを介して第1表示部12に送信される。第1表示部12は、3次元画像データに基づく3次元画像を表示する機能を有している。
【0024】
立体画像データは、第2出力ポート部11bを介して第2表示部13に送信される。第2表示部13は、立体画像データに基づく立体画像を表示する機能を有している。なお立体画像は例えば視差を利用する方法で表示される。つまり第2の画像データに基づく右眼用画像と、第3の画像データに基づく左眼用画像とを、第2表示部13に別々に表示することにより、それを見る観察者は立体画像として把握できる。
【0025】
なお、第1表示部12と第2表示部13は別体である必要はない。つまり、3次元画像の表示と立体画像の表示を同時に行うことができる表示部を1つ設ける構成であってもよい。
【0026】
超音波診断装置1には、観察モードの切換や表示情報の入力を含む、超音波診断装置1に対する操作入力を行うための入力部14が設けられている。
【0027】
制御部15は、入力部14からの入力に基づいて送受信部4、信号処理部5、画像処理部6等の動作を制御する制御信号を送る機能を有している。
【0028】
次に図2を用いて本実施形態の動作を説明する。
【0029】
信号処理部5は、信号処理を行った電気信号をボリュームデータ形成部7に入力する(S10)。
【0030】
ボリュームデータ形成部7は、S10で入力された電気信号に基づいてボリュームデータを形成する(S11)。
【0031】
第1画像データ作成部8は、S11で形成されたボリュームデータから第1の画像データDa(図示せず)を作成する(S12)。具体的には、第1画像データ作成部8は、ボリュームデータに対してある視点を設定し、ボリュームレンダリングを行い、3次元画像の表示に用いる第1の画像データDaを作成する処理を行う。
【0032】
第1表示部12は、S12で作成された第1の画像データに基づいて3次元画像を表示する(S13)。
【0033】
一方、第2画像データ作成部9は、S11で形成されたボリュームデータから第2の画像データDb、第3の画像データDc(各々図示せず)を作成する(S14)。具体的には、第2画像データ作成部9は、ボリュームデータに対して2つの異なる視点を設定し、ボリュームレンダリングを行い、立体表示に用いる第2の画像データDbと第3の画像データDcとを作成する処理を行う。
【0034】
立体画像データ作成部10は、S14で作成された第2の画像データDbと第3の画像データDcとを合成して立体画像データの作成を行う(S15)。ここで、本実施形態における「立体画像データ」とは、第2の画像データDbに基づく右眼用の立体画像データと、第3の画像データDcに基づく左眼用の立体画像データを合わせたものをいう。
【0035】
第2表示部13は、S15で作成された立体画像データに基づいて立体画像を表示する(S16)。
【0036】
なお、S13及びS16で表示される画像は、同じ3次元画像データから得られた3次元画像と立体画像である。このため、制御部15からは第1画像データ作成部8と立体画像データ作成部10からの出力の同期をとるための同期信号が送られる。
【0037】
このように、本実施形態における超音波診断装置は、ある被検体に対する3次元画像と立体画像を同時に表示することが可能となる。
【0038】
(第2の実施形態)
次に図3と図4を用いて第2の実施形態の説明を行う。なお、第1の実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0039】
図3は本実施形態における超音波診断装置1の構成を示している。
【0040】
本実施形態における第2画像データ作成部9は、ボリュームデータ形成部7で形成されたボリュームデータに対して、第1の画像データを選択した視点とは異なる視点から第2の画像データを作成する機能を有している。第2の画像データ作成には、例えばボリュームレンダリングの手法が用いられる。
【0041】
また、立体画像データ作成部10は、第1画像データ作成部8で作成された第1の画像データと第2画像データ作成部9で作成された第2の画像データとを組み合わせて立体画像データを作成する。
【0042】
次に図4を用いて本実施形態の動作を説明する。
【0043】
信号処理部5は、信号処理を行った電気信号をボリュームデータ形成部7に入力する(S20)。
【0044】
ボリュームデータ形成部7は、S20で入力された電気信号に基づいてボリュームデータを形成する(S21)。
【0045】
第1画像データ作成部8は、S21で形成されたボリュームデータから第1の画像データDa(図示せず)を作成する(S22)。具体的には、第1画像データ作成部8は、ボリュームデータに対してある視点を設定し、ボリュームレンダリングを行い、3次元画像の表示に用いる第1の画像データDaを作成する処理を行う。
【0046】
第1表示部12は、S22で作成された第1の画像データDaに基づいて3次元画像を表示する(S23)。
【0047】
一方、第2画像データ作成部9は、S21で形成されたボリュームデータから第2の画像データDbを作成する(S25)。具体的には、第2画像データ作成部9は、ボリュームデータに対して第1の画像データDaとは異なる視点を設定し、ボリュームレンダリングを行い、立体表示に用いる第2の画像データDbを作成する処理を行う。
【0048】
立体画像データ作成部10は、S22で作成された第1の画像データDaとS25で作成された第2の画像データDbに基づいて立体画像データの作成を行う(S26)。ここで、本実施形態における「立体画像データ」とは、第1の画像データDaに基づく右眼用の立体画像データと、第2の画像データDbに基づく左眼用の立体画像データとを合わせたものをいう。
【0049】
第2表示部13は、S26で作成された立体画像データに基づいて立体画像を表示する(S27)。
【0050】
つまり、本実施形態においては、第1の画像データDaが3次元画像用のデータに用いられると共に、立体表示用のデータとしても用いられる。
【0051】
このように、本実施形態における超音波診断装置は、3次元画像用のデータと立体画像用のデータを一部共通化させるため、第1の実施形態の効果に加え、処理の簡素化を図ることができる。
【0052】
(第3の実施形態)
次に図5と図6を用いて第3の実施形態の説明を行う。なお、第1の実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0053】
図5に示すように、本実施形態は第1の実施形態の構成に加え、画像処理部6内に表示情報作成部16、第1表示情報合成部17、第2表示情報合成部18を有する。なお、第1の実施形態の画像処理部6内に同様の構成を設けることも可能である。
【0054】
表示情報作成部16は、被検体の患者情報や検査条件等の文字情報及びアイコン等のグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)(以下、まとめて「表示情報」という)を作成する機能を有している。具体的に述べると、例えば、検査する際に入力部14により所望の表示情報に関する入力が行われると、表示情報作成部16は、その入力された情報に基づいて表示情報の少なくとも一部を作成する。そして作成された表示情報は後述の第1表示情報合成部17及び/または第2表示情報合成部18に送信される。
【0055】
なお、これらの表示情報は画像処理部6外に設けられた記憶部(図示しない)に記憶されていてもよい。この場合、入力部14からの入力に基づいて記憶部から所望の表示情報を読み出し、後述の第1表示情報合成部17及び/または第2表示情報合成部18に送信される。
【0056】
第1表示情報合成部17は、表示情報作成部16から表示情報についての送信があった場合、表示情報と第1の画像データとを合成する機能を有している。合成手法としては例えばオーバーレイ表示を用いる。
【0057】
一方、第2表示情報合成部18は、立体画像データ作成部10で作成された立体画像データと表示情報とを合成する機能を有している。この合成手法としては例えば、以下のような手法が上げられる。
【0058】
被検体の画像を立体画像として表示し、表示情報を2次元画像として表示する場合、立体画像を構成する左眼用の画像データと右眼用の画像データの双方に対して、挿入される位置やサイズ等が等しくなるように表示情報を挿入する処理を行う。
【0059】
一方、被検体の画像と表示情報の双方を立体画像として表示する場合、3次元空間内で表示情報をどの位置に表示するかを予め決定し、その位置に表示情報が表示されるように左眼用の画像データと右眼用の画像データの双方に対して表示情報を挿入する処理を行う。この場合、表示情報は左眼用の画像データと右眼用の画像データに対して異なる位置、サイズ等で挿入されることとなる。なお、表示情報の表示位置によっては同じ位置、サイズ等になる場合もありうる。
【0060】
第1表示情報合成部17で合成された画像データは、第1出力ポート部11aを介して第1表示部12に送信される。第1表示部12は、第1表示情報合成部17で合成された画像データに基づく3次元画像を表示する機能を有している。
【0061】
第2表示情報合成部18で合成された画像データは、第2出力ポート部11bを介して第2表示部13に送信される。第2表示部13は、第2表示情報合成部18で合成された画像データに基づく立体画像を表示する機能を有している。なお立体画像は例えば視差を利用する方法で表示される。つまり第2の画像データに基づく右眼用画像と、第3の画像データに基づく左眼用画像とを、第2表示部13に別々に表示することにより、それを見る観察者は立体画像として把握できる。
【0062】
次に図6を用いて本実施形態の動作を説明する。
【0063】
信号処理部5は、信号処理を行った電気信号をボリュームデータ形成部7に入力する(S30)。
【0064】
ボリュームデータ形成部7は、S30で入力された電気信号に基づいてボリュームデータを形成する(S31)。
【0065】
第1画像データ作成部8は、S31で形成されたボリュームデータから第1の画像データDaを作成する(S32)。具体的には、第1画像データ作成部8は、ボリュームデータに対してある視点を設定し、ボリュームレンダリングを行い、3次元画像の表示に用いる第1の画像データDaを作成する処理を行う。
【0066】
第1表示情報合成部17は、表示情報作成部16から表示情報Ia(図示せず)の出力を受け、第1の画像データDaと表示情報Iaを合成し、画像データを作成する(S33)。
【0067】
第1表示部12は、S33で作成された画像データに基づいて3次元画像を表示する(S34)。
【0068】
一方、第2画像データ作成部9は、S31で形成されたボリュームデータから第2の画像データDbを作成する(S35)。具体的には、第2画像データ作成部9は、ボリュームデータに対して第1の画像データDaとは異なる視点を設定し、ボリュームレンダリングを行い、立体表示に用いる第2の画像データDbを作成する処理を行う。
【0069】
立体画像データ作成部10は、S32で作成された第1の画像データDaと第2の画像データDbに基づいて立体画像データの作成を行う(S36)。ここで、本実施形態における「立体画像データ」とは、第1の画像データDaに基づく右眼用の立体画像データと、第2の画像データDbに基づく左眼用の立体画像データを合わせたものをいう。
【0070】
第2表示情報合成部18は、表示情報作成部16から表示情報Ib(図示せず)の出力を受け、立体画像データと表示情報Ibを合成し、画像データを作成する(S37)。なお、表示情報IaとIbは同じ情報であってもよい。
【0071】
第2表示部13は、S37で作成された画像データに基づいて立体画像を表示する(S38)。
【0072】
なお、S34及びS38で表示される画像は、同じボリュームデータから得られた3次元画像と立体画像である。このため、制御部15からは第1画像データ作成部8と立体画像データ作成部10からの出力の同期をとるための同期信号が送られる。
【0073】
このように本実施形態における超音波診断装置は、第1、第2表示部にあった形式でそれぞれの表示情報を表示することが可能となる。従って、第1の実施形態の効果に加え、表示情報も同時に表示することが可能となる。
【0074】
(第4の実施形態)
次に図7と図8を用いて第4の実施形態の説明を行う。なお、第2の実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0075】
図7は本実施形態における超音波診断装置1の構成を示している。
【0076】
本実施形態では、画像処理部6内に取得部19を有している。立体表示用の表示部は、その仕様により、視差数や画素数等がそれぞれ異なる。取得部19は、例えば入力部14により第2表示部13の仕様情報が入力された場合、その仕様情報を取得し、第2画像データ作成部9及び立体画像データ作成部10へその仕様情報を送る機能を有している。仕様情報に関しては、例えば取得部19が図示しない記憶部に記憶された仕様情報を読み出すことによって取得することも可能である。ここで「仕様情報」とは、立体表示用の表示部において立体画像を表示する際に影響を及ぼす情報(例えば視差数や画素数)をいう。なお、第1、第3の実施形態の画像処理部6内に同様の構成を設けることも可能である。
【0077】
次に図8を用いて本実施形態の動作を説明する。なお以下の説明においては、第2表示部13の仕様情報が「視差数が2の仕様(2つの視差画像に基づいて立体画像を表示させる)」である場合について述べる。
【0078】
信号処理部5は、信号処理を行った電気信号をボリュームデータ形成部7に入力する(S40)。
【0079】
ボリュームデータ形成部7は、S30で入力された電気信号に基づいてボリュームデータを形成する(S41)。
【0080】
第1画像データ作成部8は、S41で形成されたボリュームデータから第1の画像データDaを作成する(S42)。具体的には、第1画像データ作成部8は、ボリュームデータに対してある視点を設定し、ボリュームレンダリングを行い、3次元画像の表示に用いる第1の画像データDaを作成する処理を行う。
【0081】
第1表示情報合成部17は、表示情報作成部16から表示情報Iaの出力を受け、第1の画像データDaと表示情報Iaを合成し、画像データを作成する(S43)。
【0082】
第1表示部12は、S43で作成された画像データに基づいて3次元画像を表示する(S44)。
【0083】
一方、取得部19は、第2表示部13の仕様情報を取得し、その仕様情報を第2画像データ作成部9及び立体画像データ作成部10に送る(S45)。
【0084】
第2画像データ作成部9は、S45で取得された仕様情報に基づいて、1つの視差画像の元となる第2の画像データDbを作成する(S46)。S46のステップについて詳細に述べると、例えば、図示しない記憶部に第2画像データ作成に用いられる複数のプログラムを記憶しておく。そしてS45で取得された仕様情報に基づき、第2画像データ作成部9は、記憶部から画像データ作成に用いるプログラムを読み出し、実行することにより第2の画像データDbを作成する。なお本実施形態では、立体画像を作成するために用いられる複数の視差画像のうち、一方は第1画像データ作成部8で作成された第1の画像データDaを使用する。
【0085】
立体画像データ作成部10は、S45で取得された仕様情報に基づいて、第1の画像データDaと第2の画像データDbとを使用して立体画像データの作成を行う(S47)。S47のステップもS46のステップと同様に、例えば、図示しない記憶部に立体画像データ作成に用いられる複数のプログラムを記憶しておく。そしてS45で取得された仕様情報に基づき、立体画像データ作成部10は、立体画像データ作成に用いるプログラムを読み出し、実行することにより立体画像データを作成する。
【0086】
このように仕様情報に基づいて第2画像データ作成部9と立体画像データ作成部10の双方の処理が決定されることとなる。
【0087】
また、第2画像データ作成部9及び/または立体画像データ作成部10に予め所定のプログラムが記憶されている場合、仕様情報の内容に基づいてプログラムを書き換えるという構成も可能である。
【0088】
なお仕様情報の内容によっては、第2画像データ作成部9或いは立体画像データ作成部10のいずれか一方にのみ仕様情報を反映させることも可能である。
【0089】
第2表示情報合成部18は、表示情報作成部16から表示情報Ibの出力を受け、立体画像データと表示情報Ibを合成し、画像データを作成する(S48)。なお、表示情報IaとIbは同じ情報であってもよい。
【0090】
第2表示部13は、S48で作成された画像データに基づいて立体画像を表示する(S49)。
【0091】
このように、本実施形態における超音波診断装置は、立体画像を表示するための表示部(第2表示部)の仕様に合わせて立体画像データの作成方法等を変更することができる。従って、立体画像の用途に合わせて表示部を変更した場合であっても、表示部の仕様に合わせた立体画像を3次元画像と同時に表示することができる。
【0092】
(第1から第4の実施形態に共通の事項)
第1の実施形態から第4の実施形態に記載の構成については適宜組み合わせることが可能である。
【0093】
また第1の実施形態から第4の実施形態までの制御に関しては、その内容をプログラム化しコンピュータに実行させることも可能である。
【符号の説明】
【0094】
2 超音波プローブ
3 超音波振動子
4 送受信部
5 信号処理部
7 ボリュームデータ形成部
8 第1画像データ作成部
9 第2画像データ作成部
10 立体画像データ作成部
12 第1表示部
13 第2表示部
14 入力部
15 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して超音波を送受信する超音波振動子を有する超音波プローブと、
前記超音波振動子によって受信された信号に基づいて被検体のボリュームデータを形成するボリュームデータ形成部と、
前記ボリュームデータに対して所定の処理を行い、第1の画像データを作成する第1画像データ作成部と、
前記ボリュームデータに対して所定の処理を行い、前記第1の画像データとは異なる第2の画像データと、前記第1の画像データ及び前記第2の画像データとは異なる第3の画像データとを作成する第2画像データ作成部と、
前記第2の画像データと前記第3の画像データとを合成して立体画像データを作成する立体画像データ作成部と、
前記第1の画像データに基づく3次元画像及び前記立体画像データに基づく立体画像を表示する表示部と、
を有する超音波診断装置。
【請求項2】
被検体に対して超音波を送受信する超音波振動子を有する超音波プローブと、
前記超音波振動子によって受信された信号に基づいて被検体のボリュームデータを形成するボリュームデータ形成部と、
前記ボリュームデータに対して所定の処理を行い、第1の画像データを作成する第1画像データ作成部と、
前記ボリュームデータに対して所定の処理を行い、前記第1の画像データとは異なる第2の画像データを作成する第2画像データ作成部と、
前記第1の画像データと前記第2の画像データとを合成して立体画像データを作成する立体画像データ作成部と、
前記第1の画像データに基づく3次元画像及び前記立体画像データに基づく立体画像を表示する表示部と、
を有する超音波診断装置。
【請求項3】
表示情報としての画像データを作成する表示情報作成部と、
前記表示情報としての画像データと前記第1の画像データとを合成する第1表示情報合成部と、
前記表示情報としての画像データと前記立体画像データとを合成する第2表示情報合成部と、を更に有し、
前記表示部は、前記第1表示情報合成部において合成された画像データに基づく3次元画像と前記第2表示情報合成部において合成された画像データに基づく立体画像とを表示する請求項1または2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記表示部は前記3次元画像を表示するための第1表示部と、前記立体画像を表示するための第2表示部とを有する請求項1から4の何れかに記載の超音波診断装置
【請求項5】
前記第2表示部の仕様情報を取得する取得部を更に有し、
前記第2画像データ作成部は前記取得部によって取得された仕様情報に基づいて第2の画像データを作成し、
前記立体画像データ作成部は前記取得部によって取得された仕様情報に基づいて立体画像データを作成し、
前記第2表示情報合成部は前記取得部によって取得された仕様情報に基づいて前記立体画像データと表示情報の画像データとを合成する請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
超音波振動子によって受信された信号に基づいて被検体のボリュームデータを形成するボリュームデータ形成ステップと、
前記ボリュームデータに対して所定の処理を行い、第1の画像データを作成する第1画像データ作成ステップと、
前記ボリュームデータに対して所定の処理を行い、前記第1の画像データとは異なる第2の画像データと、前記第1の画像データ及び前記第2の画像データとは異なる第3の画像データとを作成する第2画像データ作成ステップと、
前記第2の画像データと前記第3の画像データとを合成して、立体画像データを作成する立体画像データ作成ステップと、
を有する超音波画像処理方法。
【請求項7】
超音波振動子によって受信された信号に基づいて被検体のボリュームデータを形成するボリュームデータ形成ステップと、
前記ボリュームデータに対して所定の処理を行い、第1の画像データを作成する第1画像データ作成ステップと、
前記ボリュームデータに対して所定の処理を行い、前記第1の画像データとは異なる第2の画像データを作成する第2画像データ作成ステップと、
前記第1の画像データと前記第2の画像データとを合成して、立体画像データを作成する立体画像データ作成ステップと、
を有する超音波画像処理方法。
【請求項8】
被検体に対して超音波を送受信する超音波振動子を有する超音波プローブと、
前記超音波振動子によって受信された信号に基づいて被検体のボリュームデータを形成するボリュームデータ形成部と、
を有する超音波診断装置における画像処理を行うコンピュータに対して、
前記ボリュームデータに対して所定の処理を行い、第1の画像データを作成させるステップと、
前記ボリュームデータに対して所定の処理を行い、前記第1の画像データとは異なる第2の画像データと、前記第1の画像データ及び前記第2の画像データとは異なる第3の画像データとを作成させるステップと、
前記第2の画像データと前記第3の画像データとを合成して立体画像データを作成させるステップと、
を実行させる超音波画像処理プログラム。
【請求項9】
被検体に対して超音波を送受信する超音波振動子を有する超音波プローブと、
前記超音波振動子によって受信された信号に基づいて被検体のボリュームデータを形成するボリュームデータ形成部と、
を有する超音波診断装置における画像処理を行うコンピュータに対して、
前記ボリュームデータに対して所定の処理を行い、第1の画像データを作成させるステップと、
前記ボリュームデータに対して所定の処理を行い、前記第1の画像データとは異なる第2の画像データを作成させるステップと、
前記第1の画像データと前記第2の画像データとを合成して立体画像データを作成させるステップと、
を実行させる超音波画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−234788(P2011−234788A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106421(P2010−106421)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】