説明

超音波診断装置、超音波画像処理装置、超音波画像処理プログラム、医用画像診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラム

【課題】サムネイル機能で表示された複数のサムネイル画像について、それぞれ対応する超音波画像の臨床的情報を把握しやすくすること。
【解決手段】超音波診断装置は、超音波プローブと、超音波プローブを介して被検体へ向けて超音波を送信し、送信された超音波に対応する反射波を前記被検体から受信し、受信した反射波に基づいて受信信号を発生する超音波送受信部と、受信信号に基づいて超音波画像を発生する超音波画像発生部と、超音波画像に基づいてサムネイル画像を発生するサムネイル画像発生部と、超音波画像に関する第1の付加情報を発生する第1付加情報発生部と、第1の付加情報の少なくとも一部を用いてサムネイル画像に付加する第2の付加情報を発生する第2付加情報発生部と、サムネイル画像と第2の付加情報とから構成されるサムネイル合成画像を発生するサムネイル合成画像発生部と、サムネイル合成画像を表示する表示部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断に用いられる超音波画像から発生されるサムネイル画像と超音波画像に関する臨床的情報とを合成する機能を有する超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラムや、医用画像診断に用いられる医用画像から発生されるサムネイル画像と医用画像に関する臨床的情報とを合成する機能を有する医用画像診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断装置には、超音波診断装置、X線診断装置、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT)、磁気共鳴映像装置(MRI)、核医学診断装置(ガンマカメラ、SPECT、PET)などがある。また上記医用画像診断装置において、実時間表示が可能、装置が小型で安価、X線などの被曝がなく安全性が高いといった優位点を有する医用画像診断装置として、例えば超音波診断装置がある。上記優位点に加えて超音波診断装置は、超音波ドプラ法により血流イメージングが可能であるといった超音波診断にしかできない特有の特徴を有している。このため超音波画像診断の活用範囲は、心臓、腹部、乳腺、泌尿器、および産婦人科等々多岐に渡っている。以下、医用画像診断装置として、超音波診断装置を例にとり、背景技術を説明する。
【0003】
超音波検査時に取得された超音波画像は、超音波診断装置内の内部記憶装置に保存される。また、超音波診断装置を用いてECG(electrocardiogram)波形と同期させて超音波画像を取得する場合、超音波画像取得時に対応する心時相といった臨床的情報(以下第1の付加情報と呼ぶ)とフルサイズ画像としての超音波画像とを合成したフルサイズ合成画像が表示部に表示される。また、フルサイズ合成画像を縮小した画像(以下縮小画像と呼ぶ)は、フルサイズ合成画像を検索すること等の便宜のため、例えば図14のように表示される。
【0004】
超音波診断装置を用いて例えば被検体の心臓を画像診断する際、所定の期間(例えば複数の心拍)に亘る複数の超音波画像を取得する場合がある。この時、発生される複数のフルサイズ合成画像のそれぞれは、超音波画像が類似し臨床的情報が異なる画像となる。表示画面上における複数の縮小画像それぞれに対する臨床的情報は、フルサイズ合成画像に対する縮小画像の縮小率と同じ縮小率で表示される。
【0005】
読影医等は、一覧表示された複数の縮小画像の中から任意の縮小画像を選択することで、所望するフルサイズ画像としての超音波画像を、効率的に選択し表示することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術に関しては次のような問題がある。すなわち、臨床的情報は、フルサイズ合成画像に対する縮小画像の縮小率と同じ縮小率であるため、図14に示すように小さくなる。従って、読影医等が所望する超音波画像を選択する際、縮小画像から臨床的情報を迅速且つ容易に把握することは困難となる問題がある。
【0007】
また、読影医等が縮小画像から臨床的情報を把握できない場合、縮小画像毎にわざわざフルサイズ合成画像を表示する必要がある。その結果、読影時の画像選択時における操作性が低下し、読影医等の作業負担が増大するという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、読影医等が臨床的情報を迅速且つ容易に把握できる縮小画像を発生することができる超音波診断装置、超音波画像処理装置、超音波画像処理プログラム、医用画像診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、超音波プローブと、超音波プローブを介して被検体へ向けて超音波を送信し、送信された超音波に対応する反射波を前記被検体から受信し、受信した反射波に基づいて受信信号を発生する超音波送受信部と、受信信号に基づいて超音波画像を発生する超音波画像発生部と、超音波画像に基づいてサムネイル画像を発生するサムネイル画像発生部と、超音波画像に関する第1の付加情報を発生する第1付加情報発生部と、第1の付加情報の少なくとも一部を用いてサムネイル画像に付加する第2の付加情報を発生する第2付加情報発生部と、サムネイル画像と第2の付加情報とから構成されるサムネイル合成画像を発生するサムネイル合成画像発生部と、サムネイル合成画像を表示する表示部と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
請求項13に記載の発明は、超音波診断装置を用いて取得された超音波画像に基づいてサムネイル画像を発生するサムネイル画像発生部と、超音波画像に関する第1の付加情報を発生する第1付加情報発生部と、第1の付加情報の少なくとも一部を用いてサムネイル画像に付加する第2の付加情報を発生する第2付加情報発生部と、サムネイル画像と第2の付加情報とから構成されるサムネイル合成画像を発生するサムネイル合成画像発生部と、サムネイル合成画像を表示する表示部と、を具備することを特徴とする超音波画像処理装置である。
【0011】
請求項14に記載の発明は、被検体をスキャンして得られたデータに基づいて画像データを発生する画像データ発生部と、画像データに基づいてサムネイル画像を発生するサムネイル画像発生部と、画像データに関する第1の付加情報を発生する第1付加情報発生部と、第1の付加情報の少なくとも一部を用いてサムネイル画像に付加する第2の付加情報を発生する第2付加情報発生部と、サムネイル画像と第2の付加情報とから構成されるサムネイル合成画像を発生するサムネイル合成画像発生部と、サムネイル合成画像を表示する表示部と、を具備することを特徴とする医用画像診断装置である。
【0012】
請求項15に記載の発明は、医用画像機器を用いて取得された医用画像に基づいてサムネイル画像を発生するサムネイル画像発生部と、医用画像に関する第1の付加情報を発生する第1付加情報発生部と、第1の付加情報の少なくとも一部を用いてサムネイル画像に付加する第2の付加情報を発生する第2付加情報発生部と、サムネイル画像と第2の付加情報とから構成されるサムネイル合成画像を発生するサムネイル合成画像発生部と、サムネイル合成画像を表示する表示部と、を具備することを特徴とする医用画像処理装置である。
【0013】
請求項16に記載の発明は、コンピュータに、超音波画像からサムネイル画像を発生させるサムネイル画像発生機能と、超音波画像に関する第1の付加情報を発生させる第1付加情報発生機能と、第1の付加情報の少なくとも一部を用いてサムネイル画像に付加する第2の付加情報を発生させる第2付加情報発生機能と、サムネイル画像と第2の付加情報とから構成されるサムネイル合成画像を発生させるサムネイル合成画像発生機能と、を実現させることを特徴とする超音波画像処理プログラムである。
【0014】
請求項17に記載の発明は、コンピュータに、医用画像からサムネイル画像を発生させるサムネイル画像発生機能と、医用画像に関する第1の付加情報を発生させる第1付加情報発生機能と、第1の付加情報の少なくとも一部を用いてサムネイル画像に付加する第2の付加情報を発生させる第2付加情報発生機能と、サムネイル画像と第2の付加情報とから構成されるサムネイル合成画像を発生させるサムネイル合成画像発生機能と、を実現させることを特徴とする医用画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
以上本発明によれば、読影医等が臨床的情報を迅速且つ容易に把握できる縮小画像を発生することができる超音波診断装置、超音波画像処理装置、超音波画像処理プログラム、医用画像診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、第1の実施形態における超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施形態において、超音波画像に関する臨床的情報を用いて、サムネイル画像用の臨床的情報を発生する手順を示すフローチャートである。
【図3】図3は、フルサイズ画像としての超音波画像と当該超音波画像に関する複数の心拍に亘るECG波形とを合成したフルサイズ合成画像の一例を示す図である。
【図4】図4は、図3の超音波画像が得られた心時相を記した1心拍に亘るサムネイル画像用のECG波形と、図3の超音波画像のサムネイル画像とを合成したサムネイル合成画像の一例を示す図である。
【図5】図5は、フルサイズ画像としての超音波画像と当該超音波画像に関する複数の心拍に亘るECG波形とを合成したフルサイズ合成画像の一例を示す図である。
【図6】図6は、図5の超音波画像が得られた心時相を示すサムネイル画像用の文字列と、図5の超音波画像のサムネイル画像とを合成したサムネイル合成画像の一例を示す図である。
【図7】図7は、フルサイズ画像としての超音波画像と当該超音波画像に関する複数の心拍に亘るECG波形・所見を示す文字列とを合成したフルサイズ合成画像の一例を示す図である。
【図8】図8は、図7の超音波画像に関するサムネイル画像用の所見を示す文字列と、図7の超音波画像のサムネイル画像とを合成したサムネイル合成画像の一例を示す図である。
【図9】図9は、フルサイズ画像としての超音波画像と当該超音波画像に関する複数の心拍に亘るECG波形・ドプラ波形を用いた計測に関する情報を示す文字列とを合成したフルサイズ合成画像の一例を示す図である。
【図10】図10は、図9の超音波画像に関するドプラ波形を用いた計測に関する情報を示すサムネイル画像用の文字列と、図9の超音波画像のサムネイル画像とを合成したサムネイル合成画像の一例を示す図である。
【図11】図11は、フルサイズ画像としての超音波画像と当該超音波画像に関するボディマークとを合成したフルサイズ合成画像の一例を示す図である。
【図12】図12は、図9の超音波画像に関するサムネイル画像用のボディマークと、図11の超音波画像のサムネイル画像とを合成したサムネイル合成画像の一例を示す図である。
【図13】図13は、第1の実施形態を適用させて得られる表示画面上のサムネイル合成画像の一覧を示す図である。
【図14】図14は、表示画面上のフルサイズ合成画像を縮小した従来の画像の一覧を示す図である。
【図15】図15は、第5の変形例において、サムネイル画像用の臨床用情報を発生する手順を示すフローチャートである。
【図16】図16は、第6の変形例における、医用画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0018】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
【0019】
図1は本実施形態に係る超音波診断装置のブロック構成図を示している。同図に示すように、本超音波診断装置は、超音波プローブ11、超音波送受信部21、Bモード処理部23、ドプラ処理部25、超音波画像発生部27、画像合成部29、インターフェース部31、内部記憶装置33、制御プロセッサ(CPU)35、血流評価部37、第1付加情報発生部39、サムネイル画像発生部41、第2付加情報発生部43、入力装置45、表示部47を有している。加えて本超音波診断装置には、心電計、心音計、脈波計、呼吸センサに代表される生体信号計測部49が、インターフェース部31を介して接続されてもよい。なお、本超音波診断装置の技術的思想を超音波画像処理装置で実現する場合には、例えば点線内の構成を有するものとなる。
【0020】
超音波プローブ11は、圧電セラミックス等の音響/電気可逆的変換素子としての圧電振動子を有する。複数の圧電振動子は並列され、超音波プローブ11の先端に装備される。なお、一つの振動子が一チャンネルを構成するものとして説明する。
【0021】
超音波送受信部21は、図示しないレートパルス発生器、送信遅延回路、パルサ、アンプ回路、A/D変換器、ビームフォーマ、加算器等を有する。レートパルス発生器では、所定のレート周波数で送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。送信遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に収束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。パルサは、このレートパルスに基づくタイミングで、所定のスキャンラインに向けて超音波ビームが形成されるように、振動子毎に駆動パルスを印加する。アンプ回路は、超音波プローブ11を介して取り込まれた被検体からのエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器は、アナログ信号である増幅されたチャンネル毎のエコー信号をディジタル信号に変換する。ビームフォーマは、ディジタル信号に変換されたエコー信号に、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、制御プロセッサ(CPU)35からの受信遅延パターンに従って複数のエコー信号を加算する。この加算により受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。この送信指向性と受信指向性とにより超音波送受信の総合的な指向性が決定される(この指向性により、いわゆる「超音波走査線」が決まる。)。
【0022】
Bモード処理部23は、超音波送受信部21からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるBモードデータを生成する。生成されたBモードデータは、超音波画像発生部27において、所定の処理を受ける。
【0023】
ドプラ処理部25は、超音波送受信部21からエコー信号に基づいてドプラ処理を行う。ドプラ処理とは、速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報の計算を含む処理である。
【0024】
超音波画像発生部27は、一般的には、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバータ)し、フルサイズ画像としての超音波画像を発生する。なお、超音波画像発生部27へ入力される前のデータを「生データ」と呼ぶ。
【0025】
インターフェース部31は、入力装置45、ネットワーク、図示していない外部記憶装置、生体信号計測部49に関するインターフェースである。本超音波診断装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インターフェース部31によって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0026】
血流評価部37は、ドプラ処理部25において時系列的に得られた複数のドプラスペクトラムの最大周波数に対応する最高流速のトレース波形(左室流入血流波形)と、生体信号計測部49から供給される心電図における被検体の心拍周期と、予め設定された選定基準とに基づいて、当該トレース波形の特徴量であるE波(拡張早期血流波形:early diastolic flow)及びA波(心房収縮期血流波形:atrial contraction flow)を選定する。血流評価部37は、選定されたE波及びA波の振幅、あるいは形状に基づいて各種診断パラメータ(E/AやDcT(減速時間:deceleration time)など)を計測する。
【0027】
第1付加情報発生部39は、超音波画像に関する臨床的情報である第1の付加情報を発生する。臨床的情報とは、例えば、心電波形、心音波形、脈波波形、呼吸曲線それぞれにおける当該超音波画像が得られた時相、血液評価部37で得られた種々の診断パラメータの文字情報、フルサイズ画像としての当該超音波画像に付されるボディマーク、アノテーションなどである。
【0028】
サムネイル画像発生部41は、超音波画像発生部27で発生されたフルサイズ画像としての超音波画像を縮小し、超音波画像のサムネイル画像を発生する。なお、内部記憶装置33に記憶された超音波画像を用いて、超音波画像のサムネイル画像を発生することも可能である。
【0029】
第2付加情報発生部43は、第1の付加情報の少なくとも一部を用いて、サムネイル画像用の情報(以下第2の付加情報と呼ぶ)を発生する。第2の付加情報は、超音波画像に関する第1の付加情報に基づくサムネイル画像用の付加情報であって、フルサイズ画像に対するサムネイル画像の縮小率とは異なる縮小率または拡大率で第1の付加情報の一部から発生され、臨床的情報を端的に示す情報である。例えば、第2付加情報発生部43は、表示部47で表示された第1の付加情報を示す表示部47における座標情報に基づいて、第2の付加情報を発生することができる。第2付加情報発生部43は、超音波画像を内部記憶装置33に保存する操作をトリガとして、第2の付加情報を発生する。なお、第2の付加情報は、内部記憶装置33に記憶された超音波画像を読み出す操作をトリガとして発生されてもよいし、予め内部記憶装置33にデフォルトとして保存された上記トリガのいずれか一つに基づいて発生されてもよい。なお、これらのトリガは、入力装置45を介してユーザにより選択されてもよい。
【0030】
制御プロセッサ(CPU)35は、ユーザにより入力装置45から入力されたモード選択、ROI設定、受信遅延パターンリストの選択、送信開始・終了に基づいて、内部記憶装置33に記憶された送受信条件と装置制御プログラムを読み出し、これらに従って、本超音波診断装置を制御する。制御プロセッサ35は、超音波画像発生部27で発生された超音波画像に対応する第1の付加情報からサムネイル画像用の第2の付加情報を生成する機能を実現するための専用プログラム、所定の画像生成・表示等を実行するための制御プログラムを、内部記憶装置33から読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・処理等を実行する。
【0031】
画像合成部29は、超音波画像発生部27から受け取ったフルサイズ画像としての超音波画像と、種々のパラメータ、第1付加情報発生部から受け取った第1の付加情報、生体信号計測部49から受け取った生体信号(例えば、心電波形、心音波形、脈波波形、呼吸曲線など)、目盛り等とを合成し、合成したフルサイズ合成画像をビデオ信号として表示部47に出力する。また画像合成部29は、サムネイル画像発生部41から受け取った超音波画像のサムネイル画像と第2付加情報発生部43から受け取った第2の付加情報とを合成し、合成したサムネイル合成画像をビデオ信号として表示部47に出力する。
【0032】
内部記憶装置33は、フォーカス深度の異なる複数の受信遅延パターン、当該装置の制御プログラム、診断プロトコル、送受信条件等の各種データ群、Bモード処理部23やドプラ処理部25において走査方向単位で生成されたBモードデータとドプラデータ、超音波画像、フルサイズ合成画像、サムネイル合成画像、心電波形・心音波形・脈波波形・呼吸曲線のテンプレートおよび計測された生体信号等を記憶する。また内部記憶装置33は、超音波画像発生部27で発生された超音波画像に対応する第1の付加情報からサムネイル画像用の第2の付加情報を生成する機能(後述するサムネイル画像用付加情報発生機能)を実現するための専用プログラムを格納する。また、内部記憶装置33は、いずれの操作に基づいて第2付加情報発生部で第2の付加情報を発生させるのかといったトリガを記憶する。
【0033】
生体信号計測部49は、例えば、心電計、心音計、脈波計、呼吸センサ等の生体信号を計測する機器である。以下、これらの生体信号計測機器について説明する。
【0034】
心電計は、被検体の心臓の電気現象による時間的変化を検出する。検出された心臓の電気現象の時間的変化(以下心電波形と呼ぶ)の信号は、インターフェース部31を介して内部記憶装置33に記憶されると共に、第1付加情報発生部39に送られる。また、心電波形の信号は、必要であれば画像合成部29を介して表示部47に送られ、心電図(ECG(electrocardiogram)波形)として表示される。なお、心電計で検出された心電波形の信号は、心電計のモニタ等で表示することも可能である。
心音計は、被検体の体表面に伝達された心臓の弁膜および大血管による振動音の時間的変化を検出する。検出された振動音の時間的変化(以下心音波形と呼ぶ)の信号は、インターフェース部31を介して内部記憶装置33に記憶されると共に、第1付加情報発生部39に送られる。また、心音波形の信号は、必要であれば画像合成部29を介して表示部47に送られ、心音図(PCG(phonocardiogram)波形)として表示される。なお、心音計で検出された心音波形の信号は、心音計のモニタ等で表示することも可能である。
脈波計は、心臓の収縮により血液を大動脈起始部へ押し出したときに発生する血管内の圧力変化が抹消方向に伝わっていくときの波動の時間的変化を検出する。検出された波動の時間的変化(以下脈波波形と呼ぶ)の信号は、インターフェース部31を介して内部記憶装置33に記憶されると共に、第1付加情報発生部39に送られる。また、脈波波形の信号は、必要であれば画像合成部29を介して表示部47に送られ、脈波波形として表示される。なお、脈波計で検出された脈波波形の信号は、脈波計のモニタ等で表示することも可能である。
呼吸センサは、例えば被検体の腹部の動きによって呼吸運動を示す波動の時間的変化を検出する。検出された呼吸運動を示す波動の時間的変化(以下呼吸曲線と呼ぶ)の信号は、インターフェース部31を介して内部記憶装置33に記憶されると共に、第1付加情報発生部39に送られる。また、呼吸曲線の信号は、必要であれば画像合成部29を介して表示部47に送られ、呼吸曲線として表示される。
【0035】
入力装置45は、インターフェース部31に接続されユーザからの各種指示・命令・情報・選択・設定を本超音波診断装置に取り込む。入力装置45は、図示しないが、関心領域(ROI)の設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボードを有する。例えば、ユーザが入力装置45の終了ボタンやFREEZEボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、本超音波診断装置は一時停止状態となる。
【0036】
表示部47は、画像合成部29からのビデオ信号に基づいて、フルサイズ合成画像もしくはサムネイル合成画像を表示する。
【0037】
(サムネイル画像用付加情報発生機能)
サムネイル画像用付加情報発生機能とは、超音波画像に関する臨床的情報を端的に示すサムネイル画像用の付加情報を発生し、発生された付加情報を当該超音波画像のサムネイル画像に付加し、サムネイル合成画像として表示等を行う機能である。
【0038】
以下、サムネイル用付加情報発生機能に従う処理(以下サムネイル用付加情報発生処理と呼ぶ)を説明する。
図2は、サムネイル用付加情報発生処理の流れを示すフローチャートである。
被検体に対する超音波送受信に先立って、ユーザは、入力装置45にて患者情報の入力、送受信条件、第2の付加情報を発生させるトリガの選択、第1の付加情報に対する第2の付加情報の縮小率もしくは拡大率の設定、さらには種々の超音波データ収集条件の設定や更新を行う。上記情報は、内部記憶装置33に保存される。これらの入力/選択/設定が終了したならば、術者は超音波プローブ11の先端(超音波送受波面)を被検体体表面の所定の位置に固定する。次いで制御プロセッサ35が、ECG波形と同期しながら複数心拍に亘って、超音波を送信し、送信された超音波に対応する反射波の受信(すなわち超音波スキャン)を実行する(ステップS11)。受信された反射波の受信に基づく受信信号は、Bモード処理部23へ送られ、Bモードデータが生成される。生成されたBモードデータは、超音波画像発生部27へ送られフルサイズ画像が発生される。なお、ステップS11における同期は、心音波形、脈波波形および呼吸曲線との同期でもよい。
【0039】
次に、画像合成部29が、制御プロセッサ35の制御のもとで、フルサイズ画像としての超音波画像と第1の付加情報とを合成したフルサイズ合成画像を発生する。発生されたフルサイズ合成画像が表示部47に表示される(ステップS12)。
【0040】
入力装置45を介してユーザからの保存の指示を受け取る(ステップS13)と、これをトリガとして、第1の付加情報(超音波画像が得られた心時相を記した複数の心拍に亘るECG波形)を用いて、サムネイル画像用の第2の付加情報(超音波画像が得られた心時相を記した1心拍に亘るECG波形)が、第2付加情報発生部43において、超音波画像に対するサムネイル画像の縮小率とは異なる縮小率または拡大率で発生される(ステップS14)。
【0041】
なお、第2の付加情報は、内部記憶装置33に記憶された超音波画像を読み出す操作をトリガとして発生されてもよいし、予め内部記憶装置33にデフォルトとして保存された上記トリガのいずれか一つに基づいて発生されてもよい。第2の付加情報における1心拍分のECG波形は、予め内部記憶装置33に記憶されたECG波形のテンプレートを用いることとする。
【0042】
なお、第2の付加情報は、第1の付加情報におけるECG波形を切り出してもよい。この時、切り出された第2の付加情報は、フルサイズ画像に対するサムネイル画像の縮小率とは異なる縮小率または拡大率となる。
【0043】
内部記憶装置33へフルサイズ合成画像が保存されるとき、表示部47では、保存されるフルサイズ合成画像がフリーズ表示される(ステップS15)。図3は、表示部47でフリーズ表示されたフルサイズ合成画像の一例を示す図である。図3において、Ifcは、フルサイズ合成画像を示しており、USfは、フルサイズ画像としての超音波画像を示している。fiiは、第1の付加情報を示している。
【0044】
フリーズ表示されたフルサイズ画像としての超音波画像を用いて、サムネイル画像発生部41において、当該超音波画像のサムネイル画像が発生される(ステップS16)。
続いて、超音波画像のサムネイル画像と第2の付加情報とを合成したサムネイル合成画像が、表示部47で表示される(ステップS17)。
【0045】
図4は、サムネイル合成画像の一例を示す図である。図4において、Ithcは、サムネイル合成画像を示しており、Ithは、超音波画像のサムネイル画像を示している。Siiは、第2の付加情報を示している。Lは、サムネイル合成画像における縦の長さの約3分の1を示している。また、Aiは、当該超音波画像が取得された心時相を示している。図4における1心拍分のECG波形は、概ねサムネイル合成画像の下方3分の1の大きさで示されている。なお、サムネイル合成画像に対する第2の付加情報の大きさは、入力装置45を介したユーザの操作によって適宜変更可能である。
【0046】
続いて、フルサイズ合成画像、サムネイル画像および第2の付加情報をそれぞれ対応付けて内部記憶装置33へ保存する(ステップS18)。
【0047】
スキャンの終了がユーザにより選択されるまで、ステップS12からステップS18までの処理が繰り返される。この繰り返しの処理により保存されたサムネイル合成画像は、ユーザの指示に従って表示部47で一覧表示される。例えば、図13は表示部47で表示されるサムネイル合成画像の一覧であり、図14はフルサイズ合成画像を縮小した従来の画像の一覧である。図13と図14とにおける画像1同士を比較することで、上記サムネイル画像用付加情報発生機能の有無による相違が明確になる。すなわち、図14の従来の縮小画像1では、超音波画像が取得された心時相は容易には把握できないが、図13のサムネイル合成画像1では超音波画像が取得された心時相は容易且つ迅速に把握できるようになる。
【0048】
(第1の変形例)
第1の実施形態との相違は、ECG波形の替わりに心時相を表す文字列を第2の付加情報として発生するものである。また、第2の付加情報の大きさは、サムネイル合成画像の16分の2程度である。
【0049】
入力装置45を介してユーザからの保存の指示を受け取る(ステップS13)と、これをトリガとして、第1の付加情報(超音波画像が得られた心時相を記した複数の心拍に亘るECG波形)を用いて、サムネイル画像用の第2の付加情報(超音波画像が得られた心時相を示す文字列)が、第2付加情報発生部43で発生される。超音波画像が得られた心時相を示す文字列は、例えば、心電図におけるR波を中心とした±100msの範囲内に超音波画像が得られた心時相が存在すればED(拡張末期:end diastole)と表示され、R波から200ms経過した時相とR波から400ms経過した時相との範囲内に超音波画像が得られた心時相が存在すればES(収縮末期:end systole)と表示される。
【0050】
第2の付加情報における超音波画像が得られた心時相を示す文字列は、予め内部記憶装置33に記憶された文字列のテンプレートを用いることとする。なお、ユーザが入力装置45を介して、アノテーション機能を用いて文字列を入力することも可能である。
【0051】
以後の処理は、第1の実施形態における処理と同様である。図5は、表示部47でフリーズ表示されたフルサイズ合成画像の一例を示す図である。図6は、サムネイル合成画像の一例を示す図である。図6において図4と異なる個所の説明を行う。A16は、サムネイル画像を16等分した領域を示している。Siiは、図5における第1の付加情報を用いて発生されたサムネイル画像用の第2の付加情報である。Siiにおける文字列EDは、図5の超音波画像が得られた心時相である拡張末期(end diastole)を示している。
【0052】
(第2の変形例)
第1の実施形態との相違は、ECG波形の替わりに所見を表す文字列を第2の付加情報として発生するものである。また、第2の付加情報の大きさは、第1の変形例と同様である。
【0053】
入力装置45を介してユーザからの保存の指示を受け取る(ステップS13)と、これをトリガとして、第1の付加情報(超音波画像が得られた心時相を記した複数の心拍に亘るECG波形およびアノテーション機能により表示された所見を示す文字列)を用いて、サムネイル画像用の第2の付加情報(所見を示す文字列)が、第2付加情報発生部43で発生される。第2の付加情報における所見を示す文字列は、予め内部記憶装置33に記憶された所見を示す文字列のテンプレートを用いてもよい。
【0054】
以後の処理は、第1の実施形態における処理と同様である。図7は、表示部47でフリーズ表示されたフルサイズ合成画像の一例を示す図である。図7において、図5の記号の内容と異なる個所について説明を行う。fiiは、第1の付加情報(超音波画像が得られた心時相を記した複数の心拍に亘るECG波形およびアノテーション機能により表示された所見を示す文字列)を示している。図8は、サムネイル合成画像の一例を示す図である。図8において図6と異なる個所の説明を行う。Siiは、図7における第1の付加情報を用いて発生されたサムネイル画像用の第2の付加情報(所見を示す文字列MS:mitral stenosis(僧帽弁狭窄症))である。
【0055】
(第3の変形例)
第1の実施形態との相違は、ECG波形の替わりにドプラ波形を用いた計測に関する情報を示す文字列を第2の付加情報として発生するものである。また、第2の付加情報の大きさは、第1の変形例と同様である。
【0056】
入力装置45を介してユーザからの保存の指示を受け取る(ステップS13)と、これをトリガとして、第1の付加情報(超音波画像が得られた心時相を記した複数の心拍に亘るECG波形およびドプラ波形を用いた計測に関する情報を示す文字列)を用いて、サムネイル画像用の第2の付加情報(ドプラ波形を用いた計測に関する情報を示す文字列)が、第2付加情報発生部43で発生される。第2の付加情報におけるドプラ波形を用いた計測に関する情報を示す文字列は、予め内部記憶装置33に記憶された文字列のテンプレートを用いてもよい。なお、ドプラ波形を用いた計測に関する情報を示す文字列を複数発生することも可能である。
【0057】
以後の処理は、第1の実施形態における処理と同様である。図9は、表示部47でフリーズ表示されたフルサイズ合成画像の一例を示す図である。図9において、図7とは異なるところの説明を行う。USfは、2種のフルサイズ画像を示している。すなわち、Bモード画像とドプラ波形である。fiiは、第1の付加情報(超音波画像が得られた心時相を記した複数の心拍に亘るECG波形およびドプラ波形を用いた計測に関する情報を示す文字列)を示している。図10は、サムネイル合成画像の一例を示す図である。図10において、図8とは異なるところの説明を行う。Siiは、図9における第1の付加情報を用いて発生されたサムネイル画像用の第2の付加情報(ドプラ波形を用いた計測に関する情報を示す文字列:E/A=1.94)である。fiithは、フルサイズ画像に対するサムネイル画像の縮小率と同じ縮小率で第1の付加情報の一部(超音波画像が得られた心時相を記した複数の心拍に亘るECG波形)を縮小した付加情報である。
【0058】
(第4の変形例)
第1の実施形態との相違は、ECG波形の替わりにボディマークを第2の付加情報として発生するものである。また、第2の付加情報の大きさは、サムネイル合成画像の4分の1程度である。
【0059】
入力装置45を介してユーザからの保存の指示を受け取る(ステップS13)と、これをトリガとして、第1の付加情報(超音波プローブ11の先端を接触させた被検体体表面の位置を示すボディマーク)を用いて、サムネイル画像用の第2の付加情報(ボディマーク)が、第2付加情報発生部43で発生される。
【0060】
以後の処理は、第1の実施形態における処理と同様である。図11は、表示部47でフリーズ表示されたフルサイズ合成画像の一例を示す図である。図11において、図5の記号の内容と異なる個所について説明を行う。fiiは、第1の付加情報(超音波プローブ11の先端を接触させた被検体体表面の位置を示すボディマーク)を示している。図12は、サムネイル合成画像の一例を示す図である。図12において図6と異なる個所の説明を行う。Siiは、図11における第1の付加情報を用いて発生されたサムネイル画像用の第2の付加情報(ボディマーク)である。第2の付加情報の大きさは、サムネイル合成画像の4分の1程度の大きさであるが、入力装置を介したユーザの操作により、任意の大きさに変更可能である。なお、ボディマークは、サムネイル合成画像上の任意の場所に設置可能である。
【0061】
(第5の変形例)
第1の実施形態との相違は、サムネイル画像発生部41が静止画の代わりに動画のサムネイル画像を発生する点である。第5の変形例におけるサムネイル合成画像の発生処理の流れを図15に示す。
【0062】
図15のフローチャートにおいて、ステップS21、S22の処理は、第1の実施形態で説明したS11、S12の処理と同じである。図15のフローチャートのステップS23において、制御プロセッサ35が入力部45を介して所定の期間のフルサイズ合成画像を動画として保存する指示、及び動画保存期間の指示を受け取ったとき(ステップS23)、超音波画像発生部27は指示された動画保存期間に対応する動画を画像合成部29及びサムネイル画像発生部41へと出力する。また、第1付加情報発生部39は動画保存期間に対応する心電波形を第1の付加情報として発生する。次に第2付加情報発生ユニット43は、第1の付加情報を、超音波画像に対するサムネイル画像の縮小率とは異なる縮小率または拡大率で変形して発生する(ステップS24)。
【0063】
内部記憶装置33がフルサイズ合成画像を動画として記憶するとき、表示部47は、記憶する動画を表示する(ステップS25)。また、内部記憶ユニット33がフルサイズ合成画像を動画として記憶するとき、サムネイル画像発生部41は、フルサイズ画像としての動画を縮小してサムネイル画像を動画として発生する(ステップS26)。
【0064】
続いて、超音波画像のサムネイル画像と第2の付加情報とを合成したサムネイル合成画像を、表示部47で表示する(ステップS27)。このとき表示部47は、動画として保存されたサムネイル合成画像を繰り返し再生する。
【0065】
制御プロセッサ35は、ステップS28の処理について、第1の実施形態で説明したステップ18と同様の処理を行い、処理を終了する。
【0066】
なお、サムネイル画像発生部41はサムネイル画像を発生するときに、動画の代わりに動画のある時相における静止画を抽出して、抽出した静止画を縮小してサムネイル画像を発生してもよい。静止画を抽出する時相は、例えばフルサイズ画像としての動画の保存を開始した時相や、あるいは入力部45を介して静止画の抽出指示を受け付けた時相である。
【0067】
(第6の変形例)
図16に、第6の変形例としてサムネイル用付加情報発生機能を実現するための医用画像処理装置の構成例を示す。図16において、医用画像処理装置には医用画像診断装置51、記憶ユニット52、サーバ53などがネットワークを介して接続される。図16における医用画像処理装置と第1の実施形態における超音波診断装置との違いは、医用画像を撮影する構成要素(図1における一点鎖線内の構成要素)の代わりに画像取得部50を備える点にある。画像取得部50は、画像取得部50にネットワーク接続された医用画像診断装置51や、記憶ユニット52や、サーバ53からフルサイズ画像としての医用画像と、第1の付加情報を取得する。
【0068】
画像取得部50は取得した医用画像をサムネイル画像発生部41に出力し、第1の付加情報を第2付加情報発生部43に出力する。サムネイル画像発生部41は画像取得部50が取得したフルサイズ画像としての医用画像を縮小して、サムネイル画像を発生する。一方第2付加情報発生部43は、画像取得部50が取得した第1の付加情報を、医用画像に対するサムネイル画像の縮小率とは異なる縮小率または拡大率で変形して、第2の付加情報を発生する。以降の画像合成部29が行うサムネイル合成画像及びフルサイズ合成画像の発生処理は、第1の実施形態に述べたものと同じである。また、第1の付加情報は画像取得部50が取得する他に、第1付加情報発生部39が発生するものであってもよい。
【0069】
第1の実施形態及び各変形例の効果をまとめると以下の通りである。
【0070】
本超音波診断装置によれば、超音波画像に関する臨床的情報を端的に示す第2の付加情報、すなわち、ECG波形と超音波画像取得時の心時相、超音波画像取得時の心時相を示す文字列、所見を示す文字列、ドプラ波形を用いた計測に関する情報を示す文字列、超音波プローブ11の先端を被検体体表面の位置を示すボディマーク等をサムネイル画像用として発生し、当該超音波画像に対応するサムネイル画像に付加し、サムネイル合成画像として表示等を行う。読影医等は、このような付加情報が付加されたサムネイル合成画像の一覧表示を観察することで、各サムネイル合成画像に対応するフルサイズ画像としての超音波画像がいずれの臨床的情報を有するものであるかを容易にかつ迅速に把握することができる。
【0071】
画像選択時においては、このように表示される各サムネイル合成画像のうち、所望する超音波画像に関する臨床的情報を端的に示す付加情報を含むサムネイル合成画像を選択すればよい。こうすることで、選択の都度わざわざ超音波画像を読み出して観察せずとも、保存された多くの超音波画像の中から所望する超音波画像を、容易かつ迅速に選択することができる。このことは、サムネイル合成画像の一覧表示(CIthc)である図13と従来の縮小画像の一覧表示(RIfc)である図14とを比較すれば明らかである。
【0072】
その結果、読影時等における画像選択時において操作性を向上させることができ、読影医等の作業負担を軽減させることができる。
【0073】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。上記実施形態の変形例として、本超音波診断装置の技術的思想を医用画像診断装置で実現する場合には、図1の構成図における一点鎖線内の構成要素全てを画像データ発生部に置換すればよい。サムネイル画像用付加情報発生機能における各処理は、第1の実施形態と同様である。また、本超音波診断装置の技術的思想を医用画像処理装置で実現する場合には、例えば図1の構成図における点線内の構成要素を有するものとなる。サムネイル画像用付加情報発生機能における各処理は、第1の実施形態と同様である。加えて、各実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
【0074】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0075】
11…超音波プローブ、21…超音波送受信部、23…Bモード処理部、25…ドプラ処理部、27…超音波画像発生部、29…画像合成部、31…インターフェース部、33…内部記憶装置、35…制御プロセッサ(CPU)、37…血流評価部、39…第1付加情報発生部、41…サムネイル画像発生部、43…第2付加情報発生部、45…入力装置、47…表示部、49…生体信号計測部、50…画像取得部、51…医用画像診断装置、52…記憶ユニット、53…サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブと、
前記超音波プローブを介して、被検体へ向けて超音波を送信し、前記送信された超音波に対応する反射波を前記被検体から受信し、前記受信した反射波に基づいて受信信号を発生する超音波送受信部と、
前記受信信号に基づいて超音波画像を発生する超音波画像発生部と、
前記超音波画像に基づいてサムネイル画像を発生するサムネイル画像発生部と、
前記超音波画像に関する第1の付加情報を発生する第1付加情報発生部と、
前記第1の付加情報の少なくとも一部を用いて、前記サムネイル画像に付加する第2の付加情報を発生する第2付加情報発生部と、
前記サムネイル画像と前記第2の付加情報とから構成されるサムネイル合成画像を発生するサムネイル合成画像発生部と、
前記サムネイル合成画像を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記第2付加情報発生部は、前記超音波画像に対する前記サムネイル画像の縮小率とは異なる縮小率又は拡大率で、前記第1の付加情報を用いて前記第2の付加情報を発生すること、
を特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記サムネイル画像発生部と前記第2付加情報発生部とは、前記超音波画像を内部記憶装置に保存する操作に応答して、前記サムネイル画像と前記第2の付加情報とを発生すること、
を特徴とする請求項1又は2記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記サムネイル画像発生部と前記第2付加情報発生部とは、前記超音波画像を前記内部記憶装置から読み出す操作に応答して、前記サムネイル画像と前記第2の付加情報とを発生すること、
を特徴とする請求項1又は2記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記第1付加情報発生部は、前記被検体の生体信号における前記超音波画像が得られた生体信号の時相を示す情報を少なくとも含む前記第1の付加情報を発生し、
前記第2付加情報発生部は、前記生体信号の時相を示す情報を含む前記第2の付加情報を発生すること、
を特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記第1付加情報発生部は、前記被検体の心電波形における前記超音波画像が得られた心時相を示す情報を少なくとも含む前記第1の付加情報を発生し、
前記第2付加情報発生部は、前記心時相を示す情報を含む前記第2の付加情報を発生すること、
を特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記第1付加情報発生部は、前記被検体の心音波形における前記超音波画像が得られた心音時相を示す情報を少なくとも含む前記第1の付加情報を発生し、
前記第2付加情報発生部は、前記心音時相を示す情報を含む前記第2の付加情報を発生すること、
を特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記第1付加情報発生部は、前記被検体の脈波波形における前記超音波画像が得られた脈時相を示す情報を少なくとも含む前記第1の付加情報を発生し、
前記第2付加情報発生部は、前記脈時相を示す情報を含む前記第2の付加情報を発生すること、
を特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記第1付加情報発生部は、前記被検体の呼吸曲線における前記超音波画像が得られた呼吸時相を示す情報を少なくとも含む前記第1の付加情報を発生し、
前記第2付加情報発生部は、前記呼吸時相を示す情報を含む前記第2の付加情報を発生すること、
を特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記第1付加情報発生部は、ユーザが入力装置を介して入力した前記超音波画像についての所見を示す文字列を少なくとも含む前記第1の付加情報を発生し、
前記第2付加情報発生部は、前記所見を示す文字列を含む前記第2の付加情報を発生すること、
を特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記第1付加情報発生部は、前記超音波画像を用いた計測に関する情報を示す文字列を少なくとも含む前記第1の付加情報を発生し、
前記第2付加情報発生部は、前記計測に関する情報を示す文字列を含む前記第2の付加情報を発生すること、
を特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記第1付加情報発生部は、前記超音波画像に付されるボディマークを少なくとも含む前記第1の付加情報を発生し、
前記第2付加情報発生部は、前記ボディマークを含む前記第2の付加情報を発生すること、
を特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項13】
超音波診断装置を用いて取得された超音波画像に基づいてサムネイル画像を発生するサムネイル画像発生部と、
前記超音波画像に関する第1の付加情報を発生する第1付加情報発生部と、
前記第1の付加情報の少なくとも一部を用いて、前記サムネイル画像に付加する第2の付加情報を発生する第2付加情報発生部と、
前記サムネイル画像と前記第2の付加情報とから構成されるサムネイル合成画像を発生するサムネイル合成画像発生部と、
前記サムネイル合成画像を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項14】
被検体をスキャンして得られたデータに基づいて画像データを発生する画像データ発生部と、
前記画像データに基づいてサムネイル画像を発生するサムネイル画像発生部と、
前記画像データに関する第1の付加情報を発生する第1付加情報発生部と、
前記第1の付加情報の少なくとも一部を用いて、前記サムネイル画像に付加する第2の付加情報を発生する第2付加情報発生部と、
前記サムネイル画像と前記第2の付加情報とから構成されるサムネイル合成画像を発生するサムネイル合成画像発生部と、
前記サムネイル合成画像を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項15】
医用画像機器を用いて取得された医用画像に基づいてサムネイル画像を発生するサムネイル画像発生部と、
前記医用画像に関する第1の付加情報を発生する第1付加情報発生部と、
前記第1の付加情報の少なくとも一部を用いて、前記サムネイル画像に付加する第2の付加情報を発生する第2付加情報発生部と、
前記サムネイル画像と前記第2の付加情報とから構成されるサムネイル合成画像を発生するサムネイル合成画像発生部と、
前記サムネイル合成画像を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項16】
コンピュータに、
超音波画像からサムネイル画像を発生させるサムネイル画像発生機能と、
前記超音波画像に関する第1の付加情報を発生させる第1付加情報発生機能と、
前記第1の付加情報の少なくとも一部を用いて、前記サムネイル画像に付加する第2の付加情報を発生させる第2付加情報発生機能と、
前記サムネイル画像と前記第2の付加情報とから構成されるサムネイル合成画像を発生させるサムネイル合成画像発生機能と、
を実現させることを特徴とする超音波画像処理プログラム。
【請求項17】
コンピュータに、
医用画像からサムネイル画像を発生させるサムネイル画像発生機能と、
前記医用画像に関する第1の付加情報を発生させる第1付加情報発生機能と、
前記第1の付加情報の少なくとも一部を用いて、前記サムネイル画像に付加する第2の付加情報を発生させる第2付加情報発生機能と、
前記サムネイル画像と前記第2の付加情報とから構成されるサムネイル合成画像を発生させるサムネイル合成画像発生機能と、
を実現させることを特徴とする医用画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−139896(P2011−139896A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268483(P2010−268483)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】