超音波診断装置、超音波画像処置装置、医用画像処理装置及び超音波画像処理プログラム
【課題】 三次元画像データを領域分割する場合において、ガイドに用いる二次元画像を観察して期待した分割結果を常に取得できる超音波診断装置等を提供すること。
【解決手段】 一実施形態に係る超音波診断装置は、対象部位を含む被検体の三次元領域を超音波で走査することで、当該三次元領域に対応するボリュームデータを取得するボリュームデータ取得手段と、ボリュームデータを用いて生成され表示される支援画像を用いて、領域分割処理の対象とする分割対象領域を選択する選択手段と、ボリュームデータに対して領域分割処理を実行する領域分割手段と、少なくとも支援画像上において領域分割が発生するまで、領域分割処理を継続するように、領域分割手段を制御する制御手段と、領域分割処理によって領域分割された前記ボリュームデータを用いて、超音波画像を生成する画像生成手段と、超音波画像を表示する表示手段と、を具備するものである。
【解決手段】 一実施形態に係る超音波診断装置は、対象部位を含む被検体の三次元領域を超音波で走査することで、当該三次元領域に対応するボリュームデータを取得するボリュームデータ取得手段と、ボリュームデータを用いて生成され表示される支援画像を用いて、領域分割処理の対象とする分割対象領域を選択する選択手段と、ボリュームデータに対して領域分割処理を実行する領域分割手段と、少なくとも支援画像上において領域分割が発生するまで、領域分割処理を継続するように、領域分割手段を制御する制御手段と、領域分割処理によって領域分割された前記ボリュームデータを用いて、超音波画像を生成する画像生成手段と、超音波画像を表示する表示手段と、を具備するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
三次元画像データを領域分割する場合において、ガイドに用いる二次元画像を操作者が観察して期待した分割結果を常に実現することができる超音波診断装置、超音波画像処置装置、医用画像処理装置及び超音波画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断は、超音波診断装置、X線コンピュータ断層撮像装置、磁気共鳴イメージング装置、X線診断装置、核医学診断装置等の医用画像診断装置によって取得され表示される医用画像を観察し、視覚的に診断を行うものである。例えば、超音波画像診断は、超音波診断装置によって取得され表示される超音波画像を観察することで、腫瘍等を視覚的に診断する。ここで、超音波診断装置は、超音波プローブに設けられた振動素子から発生する超音波パルスを被検体内に送信し、被検体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる超音波反射波を振動素子により受信して生体情報を収集する。この装置は、超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作で画像データのリアルタイム表示が可能となるため、各種臓器の形態診断や機能診断に広く用いられている。
【0003】
特に、近年では、複数の振動素子が1次元配列された超音波プローブを機械的に移動させる方法や複数の振動素子が2次元配列された超音波プローブを用いる方法によって被検体の診断対象部位に対する三次元走査が可能である。この三次元走査にて収集される三次元画像データ(ボリュームデータ)を用いて三次元画像やMPR(Multi-Planar Reconstruction)画像等を生成することにより更に高度な診断や治療を行うことができる。
【0004】
また、上記超音波診断装置に代表される医用画像診断装置によって取得される画像データを用いた画像処理(医用画像処理)において、領域分割を行う場合がある。従来の医用画像処理においては、例えば、モルフォロジー画像処理で領域分割手法の一つであるWatershed法を用いて、この領域分割を行っている(非特許文献1参照)。
【0005】
図17〜図23は、上記Watershed法を二次元画像データに対して適用した場合の典型例を説明するための図である。図17に示すように、二次元画像データに対して、分割対象領域が選択されると、図18に示すように、分割対象領域の境界までの四近傍距離(ランク)が判定される。次に、図19に示すように、孤立になる領域(画素)を分割後の各小領域(サブ領域)のシードとして、ラベル(A,B)を付けて分類後、図20に示すように、ランクの降順で未分類画素を処理する。このとき、ランク3の画素と隣接するラベルはBのみであるから、当該画素にはBのラベルを付けて分類する。次に、図21に示すように、Aだけと隣接するランク2の画素2にAのラベルを付けて分類し、Bだけと隣接するランク2の画素にBのラベルを付けて分類する。また、図22に示すように、Aだけと隣接するランク1の画素にAのラベルを付けて分類し、Bだけど隣接するランク1の画素にBのラベルを付けて分類する。最後に、図23に示すように、A、Bの双方と隣接する画素を分割境界として、領域分割処理を終了する。
【0006】
ところで、一般的に、三次元画像データの領域分割においては、分割領域の選択等のためのガイド用として、当該三次元画像データを用いて生成される所望の二次元画像(例えば、ある断面の断面図、ボリュームレンダリングの投影図など)を表示する。操作者は、表示された二次元画像を観察しながら分割箇所を判断し、当該二次元画像に対して領域分割処理の対象とする領域(分割対象領域)を選択する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Serge Beucher and Fernand Meyer. The morphological approach to segmentation: the watershed transformation. In Mathematical Morphology in Image Processing (Ed. E.R. Dougherty), pages 433-481 (1993).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の医用画像処理において用いられる領域分割の手法には、例えば次のような問題がある。すなわち、従来の手法では、分割アルゴリズムのみによって装置が自動的に領域分割処理を実行する。このため、ガイドに用いた二次元画像に基づき操作者によって判断された(期待された)分割箇所等の情報は、領域分割処理に必ずしも反映されるとは限らない。従って、操作者の期待する分割領域での分割処理でなかったり、ノイズなどの影響による過分割が発生する可能性がある。例えば、分割対象がティーポットの三次元画像である場合、操作者が図24(a)に示すような二次元画像をガイドとして利用して、図24(b)に示すような注ぎ口と本体との境界領域を分割箇所として領域分割を期待したとする。しかしながら、この様な操作者の期待とは関係なく、従来の装置においては、分割アルゴリズムは独立して実行される。その結果、図24(c)映像化されていない取手部分と本体との境界領域を分割箇所として領域分割し、処理を終了してしまう場合がある。
【0009】
なお、上記不具合を避けるため、所定のガイド機能によって、手動で分割後の小領域(サブ領域)のシードを設定したり、サブ領域中心間の距離を限定したりしている。しかしながら、領域分割のための事前作業が煩雑であり、作業効率を低下させる一因となる。
【0010】
上記問題に鑑みてなされたものであり、三次元画像データを領域分割する場合において、ガイドに用いる二次元画像を操作者が観察して期待した分割結果を常に実現することができる超音波診断装置、超音波画像処置装置、医用画像処理装置及び超音波画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態に係る超音波診断装置は、対象部位を含む被検体の三次元領域を超音波で走査することで、当該三次元領域に対応するボリュームデータを取得するボリュームデータ取得手段と、前記ボリュームデータを用いて生成され表示される支援画像を用いて、領域分割処理の対象とする分割対象領域を選択する選択手段と、前記ボリュームデータに対して領域分割処理を実行する領域分割手段と、少なくとも前記支援画像上において領域分割が発生するまで、前記領域分割処理を継続するように、前記領域分割手段を制御する制御手段と、前記領域分割処理によって領域分割された前記ボリュームデータを用いて、超音波画像を生成する画像生成手段と、前記超音波画像を表示する表示手段と、を具備することを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。
【図2】図2は、本領域分割支援処理の流れを示したフローチャートである。
【図3】図3は、映像化対象を示した三次元画像である。
【図4】図4は、支援画像を用いた分割対象領域の選択を説明するための図である。
【図5】図5は、支援画像を用いた分割対象領域の選択を説明するための図である。
【図6】図6は、支援画像を用いた分割対象領域の選択を説明するための図である。
【図7】図7は、支援画像上における領域分割の発生の判定処理を説明するための図である。
【図8】図8は、支援画像上における領域分割の発生の判定処理を説明するための図である。
【図9】図9は、支援画像上における領域分割の発生の判定処理を説明するための図である。
【図10】図10は、後処理を説明するための図である。
【図11】図11は、後処理を説明するための図である。
【図12】図12は、支援画像としてMPR画像を用いた場合の領域分割支援処理の実施例を説明するための図である。
【図13】図13は、支援画像としてMPR画像を用いた場合の領域分割支援処理の実施例を説明するための図である。
【図14】図14は、支援画像としてMPR画像を用いた場合の領域分割支援処理の実施例を説明するための図である。
【図15】図15は、支援画像としてMPR画像を用いた場合の領域分割支援処理の実施例を説明するための図である。
【図16】図16は、支援画像としてMPR画像を用いた場合の領域分割支援処理の実施例を説明するための図である。
【図17】図17は、Watershed法を二次元画像データに対して適用した場合の典型例を説明するための図である。
【図18】図18は、Watershed法を二次元画像データに対して適用した場合の典型例を説明するための図である。
【図19】図19は、Watershed法を二次元画像データに対して適用した場合の典型例を説明するための図である。
【図20】図20は、Watershed法を二次元画像データに対して適用した場合の典型例を説明するための図である。
【図21】図21は、Watershed法を二次元画像データに対して適用した場合の典型例を説明するための図である。
【図22】図22は、Watershed法を二次元画像データに対して適用した場合の典型例を説明するための図である。
【図23】図23は、Watershed法を二次元画像データに対して適用した場合の典型例を説明するための図である。
【図24】図24は、従来の領域分割処理の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0014】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、本超音波診断装置1は、超音波プローブ12、入力装置13、モニター14、超音波送信ユニット21、超音波受信ユニット22、Bモード処理ユニット23、血流検出ユニット24、RAWデータメモリ25、ボリュームデータ生成ユニット26、領域分割支援処理ユニット27、画像処理ユニット28、制御プロセッサ(CPU)29、表示処理ユニット30、記憶ユニット31、インタフェースユニット32を具備している。以下、個々の構成要素の機能について説明する。
【0015】
超音波プローブ12は、被検体に対して超音波を送信し、当該送信した超音波に基づく被検体からの反射波を受信するデバイス(探触子)であり、その先端に複数に配列された圧電振動子、整合層バッキング材等を有している。圧電振動子は、超音波プローブ12は、超音波送信ユニット21からの駆動信号に基づきスキャン領域内の所望の方向に超音波を送信し、当該被検体からの反射波を電気信号に変換する。整合層は、当該圧電振動子に設けられ、超音波エネルギーを効率良く伝播させるための中間層である。バッキング材は、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止する。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0016】
なお、本実施形態に係る超音波プローブ12は、ボリュームデータを取得可能なものとして、二次元アレイプローブ(複数の超音波振動子が二次元マトリックス状に配列されたプローブ)、又はメカニカル4Dプローブ(超音波振動子列をその配列方向と直交する方向に機械的に煽りながら超音波走査を実行可能なプローブ)であるとする。しかしながら、当該例に拘泥されず、超音波プローブ12として例えば一次元アレイプローブを採用し、これを手動によって揺動させながら超音波走査をすることでも、ボリュームデータを取得することは可能である。
【0017】
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード等を有している。例えば、操作者が入力装置13の終了ボタンやFREEZEボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、当該超音波診断装置は一時停止状態となる。
【0018】
モニター14は、画像処理ユニット28からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や、血流情報を画像として表示する。
【0019】
超音波送信ユニット21は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を有している。トリガ発生回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのトリガパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各トリガパルスに与えられる。パルサ回路は、このトリガパルスに基づくタイミングで、プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0020】
なお、超音波送信ユニット21は、制御プロセッサ28の指示に従って所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に送信駆動電圧の変更については、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0021】
超音波受信ユニット22は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、加算器等を有している。アンプ回路では、プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定し、受信ダイナミックフォーカスを行うのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0022】
Bモード処理ユニット23は、受信ユニット22からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。
【0023】
血流検出ユニット24は、受信ユニット22から受け取ったエコー信号から血流信号を検出し、血流データを生成する。血流信号の検出は、通常CFM(Color Flow Mapping)で行われる。この場合、血流信号を解析し、血流データとして平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。
【0024】
RAWデータメモリ25は、Bモード処理ユニット23から受け取った複数のBモードデータを用いて、三次元的な超音波走査線上のBモードデータであるBモードRAWデタを生成する。また、RAWデータメモリ25は、血流検出ユニット24から受け取った複数の血流データを用いて、三次元的な超音波走査線上の血流データである血流RAWデータを生成する。なお、ノイズ低減や画像の繋がりを良くすることを目的として、RAWデータメモリ25の後に三次元的なフィルタを挿入し、空間的なスムージングを行うようにしてもよい。
【0025】
ボリュームデータ生成ユニット26は、RAW−ボクセル変換を実行することにより、RAWデータメモリ25から受け取ったBモードRAWデタからBモードボリュームデータを生成する。このRAW−ボクセル変換は、空間的な位置情報を加味した補間処理により、Bモードボクセルデータを生成するものである。同様に、ボリュームデータ生成ユニット26は、RAW−ボクセル変換を実行することにより、RAWデータメモリ25から受け取った血流RAWデタから血流ボリュームデータを生成する。
【0026】
領域分割支援処理ユニット27は、制御プロセッサ29からの制御に基づいて、ボリュームデータ生成ユニット26において生成されるボリュームデータに対して、後述する領域分割支援機能に従う処理を実行する。
【0027】
画像処理ユニット28は、ボリュームデータ生成ユニット26、領域分割支援処理ユニット27から受け取るボリュームデータに対して、ボリュームレンダリング、多断面変換表示(MPR)、最大値投影表示(MIP:maximum intensity projection)等の所定の画像処理を行う。なお、ノイズ低減や画像の繋がりを良くすることを目的として、画像処理ユニット28の後に二次元的なフィルタを挿入し、空間的なスムージングを行うようにしてもよい。
【0028】
制御プロセッサ29は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する。制御プロセッサ29は、記憶ユニット31から後述する領域分割支援機能を実現するための専用プログラムを読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する。
【0029】
表示処理ユニット30は、画像処理ユニット28において生成・処理された各種画像データに対し、ダイナミックレンジ、輝度(ブライトネス)、コントラスト、γカーブ補正、RGB変換等の各種を実行する。
【0030】
記憶ユニット31は、後述する領域分割支援機能を実現するための専用プログラムや、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件、スペックル除去機能を実現するためのプログラム、ボディマーク生成プログラムその他のデータ群が保管されている。また、必要に応じて、RAWデータメモリ中の画像の保管などにも使用される。記憶ユニット31のデータは、インタフェースユニット32を経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
【0031】
インタフェースユニット32は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインタフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インタフェースユニット32よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0032】
(領域分割支援機能)
次に、本超音波診断装置1が有する領域分割支援機能について説明する。この機能は、所定の分割アルゴリズムを用いて三次元画像データを領域分割する場合に、操作者が領域分割処理を実行する際にガイドとして利用する所望の二次元画像(支援画像)上において領域分割処理の進捗状況を監視し、当該支援画像上において所望の領域分割が発生するまで分割アルゴリズムを繰り返し実行するものである。
【0033】
なお、本実施形態においては、説明を具体的にするために、超音波診断装置において実行される画像処理において領域分割支援機能を適用する場合を例とする。しかしながら、当該例に拘泥されず、例えば、X線コンピュータ断層撮像装置、磁気共鳴イメージング装置、X線診断装置、核医学診断装置等の医用画像診断装置や、医用ワークステーション(医用画像参照装置)において実行される画像処理においても、本領域分割支援機能は適用可能である。
【0034】
図2は、本領域分割支援機能に従う処理(領域分割支援処理)の流れを示したフローチャートである。以下、各ステップにおける処理の内容について説明する。本実施形態では、説明を具体的にするため、本領域分割支援処理を、図3に示すようなティーポット(トレー付き)に関するBモードボリューム(三次元画像データ)に対して実行する場合を例として説明する。なお、処理対象となる三次元データは、ボリュームデータ生成ユニット26から出力されたBモードボリュームデータに拘泥されず、例えば、RAWデータメモリ25から出力された三次元RAWデータに対して実行するようにしてもよい。
【0035】
[患者情報・送受信条件を入力受:ステップS1]
入力装置13を介して患者情報の入力、送受信条件(被走査領域の大きさを決めるための画角、焦点位置、送信電圧等)、被検体の所定領域を超音波走査するための撮像モード、スキャンシーケンス等の選択が実行される(ステップS1)。入力、選択された各種情報・条件等は、自動的に記憶ユニット31に記憶される。
【0036】
[三次元画像データの取得:ステップS2]
超音波プローブ12が被検体表面の所望の位置に当接され、診断部位を含む三次元領域を被走査領域として、Bモードによる超音波同時走査が実行される。Bモードによる超音波走査によって取得されたエコー信号は、逐次超音波受信ユニット22を経由してBモード処理ユニット23に送られる。Bモード処理ユニット23は、対数増幅処理、包絡線検波処理等を実行し複数のBモードデータを生成する。また、RAWデータメモリ25は、Bモード処理ユニット23から受け取った複数のBモードデータを用いてBモードRAWデータを生成する。ボリュームデータ生成ユニット26は、BモードRAWデータをRAW−ボクセル変換により、ボクセル毎にV(x,y,z)としてX−Y−Z座標系に変換し、処理対象の三次元画像データとして取得する(ステップS2)。
【0037】
なお、当該三次元画像データは、処理を受けていない原始画像データでもよく、或いはスムージング等の所定の処理を受けたものであってもよい。また、領域が明記されたラベル画像を用いるようにしてもよい。
【0038】
[所望する二次元画像(支援画像)の生成・表示:ステップS3]
次に、画像処理ユニット28は、取得した三次元画像データを用いて、分割対象領域を選択する際に用いる所望の二次元画像を支援画像として生成する(ステップS3)。この支援画像は、三次元画像データの特徴を二次元的に表示するものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、直交断面像、レンダリング投影像、透視像など様々な画像を採用することができる。また、表示形態は、観察角度、投影方法、断面座標などのパラメータを調整することで制御することが可能である。
【0039】
なお、支援画像の表示形態によっては、診断対象について視認できない領域が存在する。例えば、トレー付きティーポットについて図3に示すようなボリュームレンダリング像を支援画像とした場合、ティーポットの取手部分は、当該支援画像では視認することができない。
【0040】
[支援画像を用いた分割対象領域の選択:ステップS4]
次に、領域分割支援処理ユニット27は、操作者が支援画像を利用して入力装置13から入力される条件等に基づいて、三次元画像データ上における分割対象領域を選択する(ステップS4)。例えば、図3のトレー付きティーポットの例において、支援画像を観察しながらティーポットのみを分割対象領域とする場合には、領域分割支援処理ユニット27は、操作者が入力装置13のGUIを用いて支援画像に対し入力する領域に基づいて、図4に示すようなトレー付きティーポットに関する三次元画像データから、図5に示すようなティーポットに関する三次元画像データを特定することで、分割対象領域を選択する。
【0041】
なお、この分割対象領域の選択は、上記の様に操作者による入力装置13からの入力等を基準として画素毎に行うことが可能であるが、半自動の処理で一括して特定することも可能である。例えば、図4の場合、GUIを介してティーポットに対応するボクセルの色や値といった各ボクセルの属性を特定することで、分割対象領域の選択を半自動的に実行することができる。
【0042】
また、ステップS3において生成・表示される支援画像は、例えば図6に示すように、選択された分割対象領域を反映するように更新される。
【0043】
[領域分割アルゴリズムの実行:ステップS5]
次に、領域分割支援処理ユニット27は、選択された分割対象領域に対応する三次元画像データを用いて領域分割アルゴリズムを実行する(ステップS5)。この領域分割アルゴリズムにおいては、分割対象領域内の各ボクセルが所定の領域に属するか否か(連結するか否か)によって分割対象領域の形状を特定し、領域分割を行う。各ボクセルが所定の領域に属するか否かは、画像の次元数及び近傍範囲の定義により判断される。例えば、三次元画像に六近傍を採用する場合、連結となる領域は、その領域に属する各画素(ボクセル)に対して、「座標(i, j, k)である注目ボクセルの近傍ボクセル座標(i+1, j, k)、(i, j+1, k)、(i, j, k+1)、(i-1, j, k)、(i, j-1, k)、(i, j, k-1)において、少なくとも一つの画素が所定画素集合に属する。」という条件等を満足するものである。本実施形態では、便宜上三次元画像データに六近傍を用いる手法を説明したが、次元数と近傍定義に限らず、例えば三次元画像データに26近傍を用いるようにしてもよい。
【0044】
なお、本実施形態においては、説明を具体的にするため、Watershedの手法として領域分割アルゴリズムを採用する。しかしながら、これに拘泥されず、例えばClustering法等の種々のものを採用することができる。
【0045】
[領域分割アルゴリズムの結果を反映した支援画像の生成・表示:ステップS6]
画像処理ユニットは、領域分割アルゴリズムの結果を反映した支援画像を生成する。生成された支援画像は、表示処理ユニット30において所定の処理を受け、モニター30にリアルタイムで表示される(ステップS6)。この様な支援画像の生成・表示は、領域分割アルゴリズムの実行に対応して逐次実行される。操作者は、リアルタイムに表示される支援画像を観察・監視することで、領域分割処理の進捗を視認することができる。
【0046】
[支援画像上における領域分割の発生有無の判定:ステップS7]
分割対象領域に対して領域分割アルゴリズムを繰り返し実行すると、ティーポットの注ぎ口と胴体とは図7に示すように分割されていないが、ティーポットの取手と胴体の連結部分は図8に示すように先に分割されることになる。これは、注ぎ口と胴体の連結部分が、取手と胴体の連結部分よりも細いためである。従って、取手と胴体とが分割されたことをもって領域分割アルゴリズムを終了した場合には、ティーポットの注ぎ口と胴体の分割処理は実現されない。すなわち、所望する領域分割(今の場合、ティーポットの注ぎ口と胴体との分割)が実現するか否かは、分割アルゴリズムをいつまで繰り返すかに依存する。
【0047】
そこで、本実施形態では、分割アルゴリズムの進捗に伴って支援画像上において領域分割が発生したか否かを監視し、領域分割が発生したことをトリガとして、分割アルゴリズムの繰り返しを制御する。この様に支援画像上において領域分割が発生したか否かを基準とするのは、操作者は、取手は含まないが注ぎ口と胴体を含む支援画像を観察して分割対象領域を選択しており、従って、当該支援画像において領域分割が発生すれば、操作者の所望する領域分割が実現されたと推定できるからである。
【0048】
すなわち、領域分割支援処理ユニット27は、支援画像を監視し、当該支援画像上におけるティーポットの注ぎ口と胴体との分割の発生有無を判定する(ステップS7)。支援画像上においてティーポットの注ぎ口と胴体との分割が発生していない場合には、領域分割支援処理ユニット27は、ステップS5に戻り、分割アルゴリズムを繰り返し実行する。一方、図9に示すように、支援画像上においてティーポットの注ぎ口と胴体との分割が発生した場合には、領域分割支援処理ユニット27は、当該発生に応答して、分割アルゴリズムを終了し、ステップS8に移行する。
【0049】
[後処理:ステップS8]
領域分割支援処理ユニット27は、領域分割された三次元画像データに対して、後処理を実行する(ステップS8)。ここで、後処理とは、分割された領域のうち、過分割となる領域を選択的に連結させる処理を含むものである。例えば、ティーポットの注ぎ口と胴体との分割をするために領域分割をした結果、図10に示すようにティーポットの注ぎ口と取手との双方がティーポット胴体から分割された場合、ティーポットの取手と胴体との分割は過分割となる。従って、領域分割支援処理ユニット27は、図11に示すように、ティーポットの取手と胴体とを連結させる後処理を実行する。なお、この後処理は、例えば、予め「支援画像において映像化されていない領域を分割しない」等の条件を設定しておくことで、自動的に実行することが可能である。
【0050】
[領域分割処理後の画像生成・表示:ステップS9]
画像処理ユニット28は、領域分割処理の結果が反映された三次元画像を生成する。生成された三次元画像は、表示処理ユニット30において処理の処理を受け、モニター14に表示される、このとき、適当なラベル等で分割された領域を示す等により、領域分割処理前の三次元画像と区別できるようにすることが好ましい。
【0051】
(実施例)
図12〜図16は、MPR画像を支援画像とした場合の領域分割処理を説明するための図である。図12に示すように、例えばC面に対応するMPR画像を支援画像として、分割対象領域を選択する。このとき期待される効果は、図13に示すレンダリング画像に示した領域分割である。選択された分割対象領域に対して分割アルゴリズムが繰り返し実行される。当該分割アルゴリズムにより、例えば図14に示すように、A面に対応するMPR画像及びB面に対応するMPR画像において、領域分割の発生を確認することができる。しかしながら、支援画像であるC面に対応するMPR画像においては、領域分割の発生は確認できないため、分割アルゴリズムは継続して実行される。継続して実行される分割アルゴリズムの結果、例えば図15に示すように、支援画像であるC面に対応するMPR画像において領域分割の発生が確認されると、当該発生をトリガとして、分割アルゴリズムは終了する。領域分割処理の結果が反映された三次元画像が生成され、例えば図16に示すように表示される。
【0052】
(効果)
以上述べた本超音波診断装置によれば、所定の分割アルゴリズムを用いて三次元画像データを領域分割する場合に、操作者が領域分割処理を実行する際にガイドとして利用する支援画像上において領域分割処理の進捗状況を監視し、当該支援画像上において所望の領域分割が発生するまで分割アルゴリズムを繰り返し実行する。従って、例えば、手動によりシード設定や分割後の各領域の中心間距離の限定等の事前作業を行わずとも、操作者が支援画像の観察において期待した領域分割と一致する分割処理結果を導くことができる。その結果、領域分割処理における精度向上及び作業負担の軽減を実現することができる。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、本実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0054】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…超音波診断装置、12…超音波プローブ、13…入力装置、14…モニター、21…超音波送信ユニット、22…超音波受信ユニット、23…Bモード処理ユニット、24…血流検出ユニット、25…RAWデータメモリ、26…ボリュームデータ生成ユニット、27…領域分割支援処理ユニット、28…画像処理ユニット、29…制御プロセッサ(CPU)、30…表示処理ユニット、31…記憶ユニット、32…インタフェースユニット
【技術分野】
【0001】
三次元画像データを領域分割する場合において、ガイドに用いる二次元画像を操作者が観察して期待した分割結果を常に実現することができる超音波診断装置、超音波画像処置装置、医用画像処理装置及び超音波画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断は、超音波診断装置、X線コンピュータ断層撮像装置、磁気共鳴イメージング装置、X線診断装置、核医学診断装置等の医用画像診断装置によって取得され表示される医用画像を観察し、視覚的に診断を行うものである。例えば、超音波画像診断は、超音波診断装置によって取得され表示される超音波画像を観察することで、腫瘍等を視覚的に診断する。ここで、超音波診断装置は、超音波プローブに設けられた振動素子から発生する超音波パルスを被検体内に送信し、被検体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる超音波反射波を振動素子により受信して生体情報を収集する。この装置は、超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作で画像データのリアルタイム表示が可能となるため、各種臓器の形態診断や機能診断に広く用いられている。
【0003】
特に、近年では、複数の振動素子が1次元配列された超音波プローブを機械的に移動させる方法や複数の振動素子が2次元配列された超音波プローブを用いる方法によって被検体の診断対象部位に対する三次元走査が可能である。この三次元走査にて収集される三次元画像データ(ボリュームデータ)を用いて三次元画像やMPR(Multi-Planar Reconstruction)画像等を生成することにより更に高度な診断や治療を行うことができる。
【0004】
また、上記超音波診断装置に代表される医用画像診断装置によって取得される画像データを用いた画像処理(医用画像処理)において、領域分割を行う場合がある。従来の医用画像処理においては、例えば、モルフォロジー画像処理で領域分割手法の一つであるWatershed法を用いて、この領域分割を行っている(非特許文献1参照)。
【0005】
図17〜図23は、上記Watershed法を二次元画像データに対して適用した場合の典型例を説明するための図である。図17に示すように、二次元画像データに対して、分割対象領域が選択されると、図18に示すように、分割対象領域の境界までの四近傍距離(ランク)が判定される。次に、図19に示すように、孤立になる領域(画素)を分割後の各小領域(サブ領域)のシードとして、ラベル(A,B)を付けて分類後、図20に示すように、ランクの降順で未分類画素を処理する。このとき、ランク3の画素と隣接するラベルはBのみであるから、当該画素にはBのラベルを付けて分類する。次に、図21に示すように、Aだけと隣接するランク2の画素2にAのラベルを付けて分類し、Bだけと隣接するランク2の画素にBのラベルを付けて分類する。また、図22に示すように、Aだけと隣接するランク1の画素にAのラベルを付けて分類し、Bだけど隣接するランク1の画素にBのラベルを付けて分類する。最後に、図23に示すように、A、Bの双方と隣接する画素を分割境界として、領域分割処理を終了する。
【0006】
ところで、一般的に、三次元画像データの領域分割においては、分割領域の選択等のためのガイド用として、当該三次元画像データを用いて生成される所望の二次元画像(例えば、ある断面の断面図、ボリュームレンダリングの投影図など)を表示する。操作者は、表示された二次元画像を観察しながら分割箇所を判断し、当該二次元画像に対して領域分割処理の対象とする領域(分割対象領域)を選択する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Serge Beucher and Fernand Meyer. The morphological approach to segmentation: the watershed transformation. In Mathematical Morphology in Image Processing (Ed. E.R. Dougherty), pages 433-481 (1993).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の医用画像処理において用いられる領域分割の手法には、例えば次のような問題がある。すなわち、従来の手法では、分割アルゴリズムのみによって装置が自動的に領域分割処理を実行する。このため、ガイドに用いた二次元画像に基づき操作者によって判断された(期待された)分割箇所等の情報は、領域分割処理に必ずしも反映されるとは限らない。従って、操作者の期待する分割領域での分割処理でなかったり、ノイズなどの影響による過分割が発生する可能性がある。例えば、分割対象がティーポットの三次元画像である場合、操作者が図24(a)に示すような二次元画像をガイドとして利用して、図24(b)に示すような注ぎ口と本体との境界領域を分割箇所として領域分割を期待したとする。しかしながら、この様な操作者の期待とは関係なく、従来の装置においては、分割アルゴリズムは独立して実行される。その結果、図24(c)映像化されていない取手部分と本体との境界領域を分割箇所として領域分割し、処理を終了してしまう場合がある。
【0009】
なお、上記不具合を避けるため、所定のガイド機能によって、手動で分割後の小領域(サブ領域)のシードを設定したり、サブ領域中心間の距離を限定したりしている。しかしながら、領域分割のための事前作業が煩雑であり、作業効率を低下させる一因となる。
【0010】
上記問題に鑑みてなされたものであり、三次元画像データを領域分割する場合において、ガイドに用いる二次元画像を操作者が観察して期待した分割結果を常に実現することができる超音波診断装置、超音波画像処置装置、医用画像処理装置及び超音波画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態に係る超音波診断装置は、対象部位を含む被検体の三次元領域を超音波で走査することで、当該三次元領域に対応するボリュームデータを取得するボリュームデータ取得手段と、前記ボリュームデータを用いて生成され表示される支援画像を用いて、領域分割処理の対象とする分割対象領域を選択する選択手段と、前記ボリュームデータに対して領域分割処理を実行する領域分割手段と、少なくとも前記支援画像上において領域分割が発生するまで、前記領域分割処理を継続するように、前記領域分割手段を制御する制御手段と、前記領域分割処理によって領域分割された前記ボリュームデータを用いて、超音波画像を生成する画像生成手段と、前記超音波画像を表示する表示手段と、を具備することを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。
【図2】図2は、本領域分割支援処理の流れを示したフローチャートである。
【図3】図3は、映像化対象を示した三次元画像である。
【図4】図4は、支援画像を用いた分割対象領域の選択を説明するための図である。
【図5】図5は、支援画像を用いた分割対象領域の選択を説明するための図である。
【図6】図6は、支援画像を用いた分割対象領域の選択を説明するための図である。
【図7】図7は、支援画像上における領域分割の発生の判定処理を説明するための図である。
【図8】図8は、支援画像上における領域分割の発生の判定処理を説明するための図である。
【図9】図9は、支援画像上における領域分割の発生の判定処理を説明するための図である。
【図10】図10は、後処理を説明するための図である。
【図11】図11は、後処理を説明するための図である。
【図12】図12は、支援画像としてMPR画像を用いた場合の領域分割支援処理の実施例を説明するための図である。
【図13】図13は、支援画像としてMPR画像を用いた場合の領域分割支援処理の実施例を説明するための図である。
【図14】図14は、支援画像としてMPR画像を用いた場合の領域分割支援処理の実施例を説明するための図である。
【図15】図15は、支援画像としてMPR画像を用いた場合の領域分割支援処理の実施例を説明するための図である。
【図16】図16は、支援画像としてMPR画像を用いた場合の領域分割支援処理の実施例を説明するための図である。
【図17】図17は、Watershed法を二次元画像データに対して適用した場合の典型例を説明するための図である。
【図18】図18は、Watershed法を二次元画像データに対して適用した場合の典型例を説明するための図である。
【図19】図19は、Watershed法を二次元画像データに対して適用した場合の典型例を説明するための図である。
【図20】図20は、Watershed法を二次元画像データに対して適用した場合の典型例を説明するための図である。
【図21】図21は、Watershed法を二次元画像データに対して適用した場合の典型例を説明するための図である。
【図22】図22は、Watershed法を二次元画像データに対して適用した場合の典型例を説明するための図である。
【図23】図23は、Watershed法を二次元画像データに対して適用した場合の典型例を説明するための図である。
【図24】図24は、従来の領域分割処理の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0014】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、本超音波診断装置1は、超音波プローブ12、入力装置13、モニター14、超音波送信ユニット21、超音波受信ユニット22、Bモード処理ユニット23、血流検出ユニット24、RAWデータメモリ25、ボリュームデータ生成ユニット26、領域分割支援処理ユニット27、画像処理ユニット28、制御プロセッサ(CPU)29、表示処理ユニット30、記憶ユニット31、インタフェースユニット32を具備している。以下、個々の構成要素の機能について説明する。
【0015】
超音波プローブ12は、被検体に対して超音波を送信し、当該送信した超音波に基づく被検体からの反射波を受信するデバイス(探触子)であり、その先端に複数に配列された圧電振動子、整合層バッキング材等を有している。圧電振動子は、超音波プローブ12は、超音波送信ユニット21からの駆動信号に基づきスキャン領域内の所望の方向に超音波を送信し、当該被検体からの反射波を電気信号に変換する。整合層は、当該圧電振動子に設けられ、超音波エネルギーを効率良く伝播させるための中間層である。バッキング材は、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止する。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0016】
なお、本実施形態に係る超音波プローブ12は、ボリュームデータを取得可能なものとして、二次元アレイプローブ(複数の超音波振動子が二次元マトリックス状に配列されたプローブ)、又はメカニカル4Dプローブ(超音波振動子列をその配列方向と直交する方向に機械的に煽りながら超音波走査を実行可能なプローブ)であるとする。しかしながら、当該例に拘泥されず、超音波プローブ12として例えば一次元アレイプローブを採用し、これを手動によって揺動させながら超音波走査をすることでも、ボリュームデータを取得することは可能である。
【0017】
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード等を有している。例えば、操作者が入力装置13の終了ボタンやFREEZEボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、当該超音波診断装置は一時停止状態となる。
【0018】
モニター14は、画像処理ユニット28からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や、血流情報を画像として表示する。
【0019】
超音波送信ユニット21は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を有している。トリガ発生回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのトリガパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各トリガパルスに与えられる。パルサ回路は、このトリガパルスに基づくタイミングで、プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0020】
なお、超音波送信ユニット21は、制御プロセッサ28の指示に従って所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に送信駆動電圧の変更については、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0021】
超音波受信ユニット22は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、加算器等を有している。アンプ回路では、プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定し、受信ダイナミックフォーカスを行うのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0022】
Bモード処理ユニット23は、受信ユニット22からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。
【0023】
血流検出ユニット24は、受信ユニット22から受け取ったエコー信号から血流信号を検出し、血流データを生成する。血流信号の検出は、通常CFM(Color Flow Mapping)で行われる。この場合、血流信号を解析し、血流データとして平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。
【0024】
RAWデータメモリ25は、Bモード処理ユニット23から受け取った複数のBモードデータを用いて、三次元的な超音波走査線上のBモードデータであるBモードRAWデタを生成する。また、RAWデータメモリ25は、血流検出ユニット24から受け取った複数の血流データを用いて、三次元的な超音波走査線上の血流データである血流RAWデータを生成する。なお、ノイズ低減や画像の繋がりを良くすることを目的として、RAWデータメモリ25の後に三次元的なフィルタを挿入し、空間的なスムージングを行うようにしてもよい。
【0025】
ボリュームデータ生成ユニット26は、RAW−ボクセル変換を実行することにより、RAWデータメモリ25から受け取ったBモードRAWデタからBモードボリュームデータを生成する。このRAW−ボクセル変換は、空間的な位置情報を加味した補間処理により、Bモードボクセルデータを生成するものである。同様に、ボリュームデータ生成ユニット26は、RAW−ボクセル変換を実行することにより、RAWデータメモリ25から受け取った血流RAWデタから血流ボリュームデータを生成する。
【0026】
領域分割支援処理ユニット27は、制御プロセッサ29からの制御に基づいて、ボリュームデータ生成ユニット26において生成されるボリュームデータに対して、後述する領域分割支援機能に従う処理を実行する。
【0027】
画像処理ユニット28は、ボリュームデータ生成ユニット26、領域分割支援処理ユニット27から受け取るボリュームデータに対して、ボリュームレンダリング、多断面変換表示(MPR)、最大値投影表示(MIP:maximum intensity projection)等の所定の画像処理を行う。なお、ノイズ低減や画像の繋がりを良くすることを目的として、画像処理ユニット28の後に二次元的なフィルタを挿入し、空間的なスムージングを行うようにしてもよい。
【0028】
制御プロセッサ29は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する。制御プロセッサ29は、記憶ユニット31から後述する領域分割支援機能を実現するための専用プログラムを読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する。
【0029】
表示処理ユニット30は、画像処理ユニット28において生成・処理された各種画像データに対し、ダイナミックレンジ、輝度(ブライトネス)、コントラスト、γカーブ補正、RGB変換等の各種を実行する。
【0030】
記憶ユニット31は、後述する領域分割支援機能を実現するための専用プログラムや、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件、スペックル除去機能を実現するためのプログラム、ボディマーク生成プログラムその他のデータ群が保管されている。また、必要に応じて、RAWデータメモリ中の画像の保管などにも使用される。記憶ユニット31のデータは、インタフェースユニット32を経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
【0031】
インタフェースユニット32は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインタフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インタフェースユニット32よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0032】
(領域分割支援機能)
次に、本超音波診断装置1が有する領域分割支援機能について説明する。この機能は、所定の分割アルゴリズムを用いて三次元画像データを領域分割する場合に、操作者が領域分割処理を実行する際にガイドとして利用する所望の二次元画像(支援画像)上において領域分割処理の進捗状況を監視し、当該支援画像上において所望の領域分割が発生するまで分割アルゴリズムを繰り返し実行するものである。
【0033】
なお、本実施形態においては、説明を具体的にするために、超音波診断装置において実行される画像処理において領域分割支援機能を適用する場合を例とする。しかしながら、当該例に拘泥されず、例えば、X線コンピュータ断層撮像装置、磁気共鳴イメージング装置、X線診断装置、核医学診断装置等の医用画像診断装置や、医用ワークステーション(医用画像参照装置)において実行される画像処理においても、本領域分割支援機能は適用可能である。
【0034】
図2は、本領域分割支援機能に従う処理(領域分割支援処理)の流れを示したフローチャートである。以下、各ステップにおける処理の内容について説明する。本実施形態では、説明を具体的にするため、本領域分割支援処理を、図3に示すようなティーポット(トレー付き)に関するBモードボリューム(三次元画像データ)に対して実行する場合を例として説明する。なお、処理対象となる三次元データは、ボリュームデータ生成ユニット26から出力されたBモードボリュームデータに拘泥されず、例えば、RAWデータメモリ25から出力された三次元RAWデータに対して実行するようにしてもよい。
【0035】
[患者情報・送受信条件を入力受:ステップS1]
入力装置13を介して患者情報の入力、送受信条件(被走査領域の大きさを決めるための画角、焦点位置、送信電圧等)、被検体の所定領域を超音波走査するための撮像モード、スキャンシーケンス等の選択が実行される(ステップS1)。入力、選択された各種情報・条件等は、自動的に記憶ユニット31に記憶される。
【0036】
[三次元画像データの取得:ステップS2]
超音波プローブ12が被検体表面の所望の位置に当接され、診断部位を含む三次元領域を被走査領域として、Bモードによる超音波同時走査が実行される。Bモードによる超音波走査によって取得されたエコー信号は、逐次超音波受信ユニット22を経由してBモード処理ユニット23に送られる。Bモード処理ユニット23は、対数増幅処理、包絡線検波処理等を実行し複数のBモードデータを生成する。また、RAWデータメモリ25は、Bモード処理ユニット23から受け取った複数のBモードデータを用いてBモードRAWデータを生成する。ボリュームデータ生成ユニット26は、BモードRAWデータをRAW−ボクセル変換により、ボクセル毎にV(x,y,z)としてX−Y−Z座標系に変換し、処理対象の三次元画像データとして取得する(ステップS2)。
【0037】
なお、当該三次元画像データは、処理を受けていない原始画像データでもよく、或いはスムージング等の所定の処理を受けたものであってもよい。また、領域が明記されたラベル画像を用いるようにしてもよい。
【0038】
[所望する二次元画像(支援画像)の生成・表示:ステップS3]
次に、画像処理ユニット28は、取得した三次元画像データを用いて、分割対象領域を選択する際に用いる所望の二次元画像を支援画像として生成する(ステップS3)。この支援画像は、三次元画像データの特徴を二次元的に表示するものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、直交断面像、レンダリング投影像、透視像など様々な画像を採用することができる。また、表示形態は、観察角度、投影方法、断面座標などのパラメータを調整することで制御することが可能である。
【0039】
なお、支援画像の表示形態によっては、診断対象について視認できない領域が存在する。例えば、トレー付きティーポットについて図3に示すようなボリュームレンダリング像を支援画像とした場合、ティーポットの取手部分は、当該支援画像では視認することができない。
【0040】
[支援画像を用いた分割対象領域の選択:ステップS4]
次に、領域分割支援処理ユニット27は、操作者が支援画像を利用して入力装置13から入力される条件等に基づいて、三次元画像データ上における分割対象領域を選択する(ステップS4)。例えば、図3のトレー付きティーポットの例において、支援画像を観察しながらティーポットのみを分割対象領域とする場合には、領域分割支援処理ユニット27は、操作者が入力装置13のGUIを用いて支援画像に対し入力する領域に基づいて、図4に示すようなトレー付きティーポットに関する三次元画像データから、図5に示すようなティーポットに関する三次元画像データを特定することで、分割対象領域を選択する。
【0041】
なお、この分割対象領域の選択は、上記の様に操作者による入力装置13からの入力等を基準として画素毎に行うことが可能であるが、半自動の処理で一括して特定することも可能である。例えば、図4の場合、GUIを介してティーポットに対応するボクセルの色や値といった各ボクセルの属性を特定することで、分割対象領域の選択を半自動的に実行することができる。
【0042】
また、ステップS3において生成・表示される支援画像は、例えば図6に示すように、選択された分割対象領域を反映するように更新される。
【0043】
[領域分割アルゴリズムの実行:ステップS5]
次に、領域分割支援処理ユニット27は、選択された分割対象領域に対応する三次元画像データを用いて領域分割アルゴリズムを実行する(ステップS5)。この領域分割アルゴリズムにおいては、分割対象領域内の各ボクセルが所定の領域に属するか否か(連結するか否か)によって分割対象領域の形状を特定し、領域分割を行う。各ボクセルが所定の領域に属するか否かは、画像の次元数及び近傍範囲の定義により判断される。例えば、三次元画像に六近傍を採用する場合、連結となる領域は、その領域に属する各画素(ボクセル)に対して、「座標(i, j, k)である注目ボクセルの近傍ボクセル座標(i+1, j, k)、(i, j+1, k)、(i, j, k+1)、(i-1, j, k)、(i, j-1, k)、(i, j, k-1)において、少なくとも一つの画素が所定画素集合に属する。」という条件等を満足するものである。本実施形態では、便宜上三次元画像データに六近傍を用いる手法を説明したが、次元数と近傍定義に限らず、例えば三次元画像データに26近傍を用いるようにしてもよい。
【0044】
なお、本実施形態においては、説明を具体的にするため、Watershedの手法として領域分割アルゴリズムを採用する。しかしながら、これに拘泥されず、例えばClustering法等の種々のものを採用することができる。
【0045】
[領域分割アルゴリズムの結果を反映した支援画像の生成・表示:ステップS6]
画像処理ユニットは、領域分割アルゴリズムの結果を反映した支援画像を生成する。生成された支援画像は、表示処理ユニット30において所定の処理を受け、モニター30にリアルタイムで表示される(ステップS6)。この様な支援画像の生成・表示は、領域分割アルゴリズムの実行に対応して逐次実行される。操作者は、リアルタイムに表示される支援画像を観察・監視することで、領域分割処理の進捗を視認することができる。
【0046】
[支援画像上における領域分割の発生有無の判定:ステップS7]
分割対象領域に対して領域分割アルゴリズムを繰り返し実行すると、ティーポットの注ぎ口と胴体とは図7に示すように分割されていないが、ティーポットの取手と胴体の連結部分は図8に示すように先に分割されることになる。これは、注ぎ口と胴体の連結部分が、取手と胴体の連結部分よりも細いためである。従って、取手と胴体とが分割されたことをもって領域分割アルゴリズムを終了した場合には、ティーポットの注ぎ口と胴体の分割処理は実現されない。すなわち、所望する領域分割(今の場合、ティーポットの注ぎ口と胴体との分割)が実現するか否かは、分割アルゴリズムをいつまで繰り返すかに依存する。
【0047】
そこで、本実施形態では、分割アルゴリズムの進捗に伴って支援画像上において領域分割が発生したか否かを監視し、領域分割が発生したことをトリガとして、分割アルゴリズムの繰り返しを制御する。この様に支援画像上において領域分割が発生したか否かを基準とするのは、操作者は、取手は含まないが注ぎ口と胴体を含む支援画像を観察して分割対象領域を選択しており、従って、当該支援画像において領域分割が発生すれば、操作者の所望する領域分割が実現されたと推定できるからである。
【0048】
すなわち、領域分割支援処理ユニット27は、支援画像を監視し、当該支援画像上におけるティーポットの注ぎ口と胴体との分割の発生有無を判定する(ステップS7)。支援画像上においてティーポットの注ぎ口と胴体との分割が発生していない場合には、領域分割支援処理ユニット27は、ステップS5に戻り、分割アルゴリズムを繰り返し実行する。一方、図9に示すように、支援画像上においてティーポットの注ぎ口と胴体との分割が発生した場合には、領域分割支援処理ユニット27は、当該発生に応答して、分割アルゴリズムを終了し、ステップS8に移行する。
【0049】
[後処理:ステップS8]
領域分割支援処理ユニット27は、領域分割された三次元画像データに対して、後処理を実行する(ステップS8)。ここで、後処理とは、分割された領域のうち、過分割となる領域を選択的に連結させる処理を含むものである。例えば、ティーポットの注ぎ口と胴体との分割をするために領域分割をした結果、図10に示すようにティーポットの注ぎ口と取手との双方がティーポット胴体から分割された場合、ティーポットの取手と胴体との分割は過分割となる。従って、領域分割支援処理ユニット27は、図11に示すように、ティーポットの取手と胴体とを連結させる後処理を実行する。なお、この後処理は、例えば、予め「支援画像において映像化されていない領域を分割しない」等の条件を設定しておくことで、自動的に実行することが可能である。
【0050】
[領域分割処理後の画像生成・表示:ステップS9]
画像処理ユニット28は、領域分割処理の結果が反映された三次元画像を生成する。生成された三次元画像は、表示処理ユニット30において処理の処理を受け、モニター14に表示される、このとき、適当なラベル等で分割された領域を示す等により、領域分割処理前の三次元画像と区別できるようにすることが好ましい。
【0051】
(実施例)
図12〜図16は、MPR画像を支援画像とした場合の領域分割処理を説明するための図である。図12に示すように、例えばC面に対応するMPR画像を支援画像として、分割対象領域を選択する。このとき期待される効果は、図13に示すレンダリング画像に示した領域分割である。選択された分割対象領域に対して分割アルゴリズムが繰り返し実行される。当該分割アルゴリズムにより、例えば図14に示すように、A面に対応するMPR画像及びB面に対応するMPR画像において、領域分割の発生を確認することができる。しかしながら、支援画像であるC面に対応するMPR画像においては、領域分割の発生は確認できないため、分割アルゴリズムは継続して実行される。継続して実行される分割アルゴリズムの結果、例えば図15に示すように、支援画像であるC面に対応するMPR画像において領域分割の発生が確認されると、当該発生をトリガとして、分割アルゴリズムは終了する。領域分割処理の結果が反映された三次元画像が生成され、例えば図16に示すように表示される。
【0052】
(効果)
以上述べた本超音波診断装置によれば、所定の分割アルゴリズムを用いて三次元画像データを領域分割する場合に、操作者が領域分割処理を実行する際にガイドとして利用する支援画像上において領域分割処理の進捗状況を監視し、当該支援画像上において所望の領域分割が発生するまで分割アルゴリズムを繰り返し実行する。従って、例えば、手動によりシード設定や分割後の各領域の中心間距離の限定等の事前作業を行わずとも、操作者が支援画像の観察において期待した領域分割と一致する分割処理結果を導くことができる。その結果、領域分割処理における精度向上及び作業負担の軽減を実現することができる。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、本実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0054】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…超音波診断装置、12…超音波プローブ、13…入力装置、14…モニター、21…超音波送信ユニット、22…超音波受信ユニット、23…Bモード処理ユニット、24…血流検出ユニット、25…RAWデータメモリ、26…ボリュームデータ生成ユニット、27…領域分割支援処理ユニット、28…画像処理ユニット、29…制御プロセッサ(CPU)、30…表示処理ユニット、31…記憶ユニット、32…インタフェースユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象部位を含む被検体の三次元領域を超音波で走査することで、当該三次元領域に対応するボリュームデータを取得するボリュームデータ取得手段と、
前記ボリュームデータを用いて生成され表示される支援画像を用いて、領域分割処理の対象とする分割対象領域を選択する選択手段と、
前記ボリュームデータに対して領域分割処理を実行する領域分割手段と、
少なくとも前記支援画像上において領域分割が発生するまで、前記領域分割処理を継続するように、前記領域分割手段を制御する制御手段と、
前記領域分割処理によって領域分割された前記ボリュームデータを用いて、超音波画像を生成する画像生成手段と、
前記超音波画像を表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記画像生成手段は、前記領域分割処理が実行された前記ボリュームデータを用いて前記支援画像を更新し、
前記表示手段は、前記更新された支援画像をリアルタイム表示すること、
を特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記領域分割処理によって領域分割された前記ボリュームデータに対して後処理を実行する後処理手段をさらに具備し、
前記画像生成手段は、前記後処理後の前記ボリュームデータを用いて、前記分割対象領域が分割された画像を生成すること、
を特徴とする請求項1又は2記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記後処理手段は、前記支援画像上において発生した領域分割以外の領域分割によって分割された領域同士を連結させる前記後処理を実行することを特徴とする請求項3記載の超音波診断装置。
【請求項5】
対象部位を含む被検体の三次元領域を超音波で走査することで取得され、前記三次元領域に対応するボリュームデータを記憶する記憶手段と、
前記ボリュームデータを用いて生成され表示される支援画像を用いて、領域分割処理の対象とする分割対象領域を選択する選択手段と、
前記ボリュームデータに対して領域分割処理を実行する領域分割手段と、
少なくとも前記支援画像上において領域分割が発生するまで、前記領域分割処理を継続するように、前記領域分割手段を制御する制御手段と、
前記領域分割処理によって領域分割された前記ボリュームデータを用いて、超音波画像を生成する画像生成手段と、
前記超音波画像を表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項6】
対象部位を含む被検体の三次元領域に対応するボリュームデータを記憶する記憶手段と、
前記ボリュームデータを用いて生成され表示される支援画像を用いて、領域分割処理の対象とする分割対象領域を選択する選択手段と、
前記ボリュームデータに対して領域分割処理を実行する領域分割手段と、
少なくとも前記支援画像上において領域分割が発生するまで、前記領域分割処理を継続するように、前記領域分割手段を制御する制御手段と、
前記領域分割処理によって領域分割された前記ボリュームデータを用いて、医用画像を生成する画像生成手段と、
前記医用画像を表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項7】
コンピュータに、
対象部位を含む被検体の三次元領域を超音波で走査することで取得された、当該三次元領域に対応するボリュームデータを用いて、前記対象部位に関する二次元画像である支援画像を生成させる支援画像生成機能と、
前記支援画像を用いて、領域分割処理の対象とする分割対象領域を選択させる選択機能と、
前記ボリュームデータに対して領域分割処理を実行させる領域分割機能と、
少なくとも前記支援画像上において領域分割が発生するまで、前記領域分割処理を継続するように、前記領域分割手段を制御させる制御機能と、
前記領域分割処理によって領域分割された前記ボリュームデータを用いて、超音波画像を生成させる画像生成機能と、
前記超音波画像を表示させる表示機能と、
を実現させることを特徴とする超音波画像処理プログラム。
【請求項1】
対象部位を含む被検体の三次元領域を超音波で走査することで、当該三次元領域に対応するボリュームデータを取得するボリュームデータ取得手段と、
前記ボリュームデータを用いて生成され表示される支援画像を用いて、領域分割処理の対象とする分割対象領域を選択する選択手段と、
前記ボリュームデータに対して領域分割処理を実行する領域分割手段と、
少なくとも前記支援画像上において領域分割が発生するまで、前記領域分割処理を継続するように、前記領域分割手段を制御する制御手段と、
前記領域分割処理によって領域分割された前記ボリュームデータを用いて、超音波画像を生成する画像生成手段と、
前記超音波画像を表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記画像生成手段は、前記領域分割処理が実行された前記ボリュームデータを用いて前記支援画像を更新し、
前記表示手段は、前記更新された支援画像をリアルタイム表示すること、
を特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記領域分割処理によって領域分割された前記ボリュームデータに対して後処理を実行する後処理手段をさらに具備し、
前記画像生成手段は、前記後処理後の前記ボリュームデータを用いて、前記分割対象領域が分割された画像を生成すること、
を特徴とする請求項1又は2記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記後処理手段は、前記支援画像上において発生した領域分割以外の領域分割によって分割された領域同士を連結させる前記後処理を実行することを特徴とする請求項3記載の超音波診断装置。
【請求項5】
対象部位を含む被検体の三次元領域を超音波で走査することで取得され、前記三次元領域に対応するボリュームデータを記憶する記憶手段と、
前記ボリュームデータを用いて生成され表示される支援画像を用いて、領域分割処理の対象とする分割対象領域を選択する選択手段と、
前記ボリュームデータに対して領域分割処理を実行する領域分割手段と、
少なくとも前記支援画像上において領域分割が発生するまで、前記領域分割処理を継続するように、前記領域分割手段を制御する制御手段と、
前記領域分割処理によって領域分割された前記ボリュームデータを用いて、超音波画像を生成する画像生成手段と、
前記超音波画像を表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項6】
対象部位を含む被検体の三次元領域に対応するボリュームデータを記憶する記憶手段と、
前記ボリュームデータを用いて生成され表示される支援画像を用いて、領域分割処理の対象とする分割対象領域を選択する選択手段と、
前記ボリュームデータに対して領域分割処理を実行する領域分割手段と、
少なくとも前記支援画像上において領域分割が発生するまで、前記領域分割処理を継続するように、前記領域分割手段を制御する制御手段と、
前記領域分割処理によって領域分割された前記ボリュームデータを用いて、医用画像を生成する画像生成手段と、
前記医用画像を表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項7】
コンピュータに、
対象部位を含む被検体の三次元領域を超音波で走査することで取得された、当該三次元領域に対応するボリュームデータを用いて、前記対象部位に関する二次元画像である支援画像を生成させる支援画像生成機能と、
前記支援画像を用いて、領域分割処理の対象とする分割対象領域を選択させる選択機能と、
前記ボリュームデータに対して領域分割処理を実行させる領域分割機能と、
少なくとも前記支援画像上において領域分割が発生するまで、前記領域分割処理を継続するように、前記領域分割手段を制御させる制御機能と、
前記領域分割処理によって領域分割された前記ボリュームデータを用いて、超音波画像を生成させる画像生成機能と、
前記超音波画像を表示させる表示機能と、
を実現させることを特徴とする超音波画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−70772(P2012−70772A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215821(P2010−215821)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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