説明

超音波診断装置、超音波診断装置の制御方法、及び超音波プローブ管理システム

【課題】超音波プローブにおける劣化度情報からその超音波プローブの精度検証の実施の要否を判断し報知する超音波診断装置を提供する。
【解決手段】超音波プローブ001と、超音波プローブ001にパルス電圧を出力する送受信部002と、超音波断層像を生成する信号処理部003及び画像処理部004と、超音波プローブ001の劣化度情報を取得する劣化度情報取得部101と、劣化度情報を記憶しておく劣化度情報記憶部102と、実施された検証項目及び検証日時を少なくとも含む精度検証情報を記憶する精度検証情報記憶部104と、入力された識別情報に対応する超音波プローブ001の劣化度情報及び精度検証情報を基に精度検証の実施の要否を判定する精度検証要否判定部105とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブを介して被検体に対して超音波の送受信を行うことで超音波断層像を生成し、また超音波プローブの品質管理を行う超音波診断装置、その制御方法、及び超音波プローブの品質管理を行う超音波プローブ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、圧電素子を備えた超音波プローブを介して被検体に対して超音波の送受信を行い、その受信した信号(エコー信号)を基に被検体の超音波断層像を生成する装置である。
【0003】
前述した超音波プローブは長期間使用すると、その超音波プローブの感度が劣化する。この劣化は、超音波プローブに対する通電の繰り返しにより、圧電素子や電極材料が啓示的に変化することで発生すると考えられる。この様な超音波プローブの劣化により、生成される超音波断層像の画質が劣化するおそれがある。この超音波プローブがどの程度劣化しているかを定量的に評価する指標として劣化度情報がある。この劣化度情報とは、超音波プローブへの通電時間、超音波プローブにかけた電圧の累積積分、及び超音波プローブから送られてくるエコー信号を増幅するゲインコントローラの検査時の平均値などが用いられる。
【0004】
この様な超音波断層像の画質の劣化は、誤診等を誘発するおそれがあり非常に危険である。そのため、超音波プローブを含む超音波診断装置の品質の管理は十分に行われなければならない。
【0005】
そのため、従来から超音波診断装置の品質管理の様々な技術が提案されている。この品質管理の技術としては、超音波プローブの使用期間を累積していき、その累積時間を出力する技術(例えば、特許文献1参照。)がある。また他にも、超音波プローブの各モードにおける使用期間やフリーズ回数などのログデータを保存しておき故障検知を行う技術(例えば、特許文献2参照。)がある。さらに、故障発生の判断のために超音波プローブ毎の劣化度情報を記憶し提供する技術(例えば、特許文献3参照。)がある。
【0006】
また、近年は故障検知とは別に、超音波診断装置の性能管理として精度管理(精度検証)が求められている(例えば、非特許文献1参照)。精度管理とは、プローブが仕様通りの性能を発揮していることを定量的に検証する作業及びその作業で得られるデータ(検証結果)を指す。この精度管理は具体的には、音速測定、距離計測精度測定、スライス幅測定、距離分解能測定、及び方位分解能測定などが含まれる。この精度管理は特に医師や技師などの超音波診断装置を管理している者(以下では、単に「操作者」という。)の義務として認識されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平07−391号公報
【特許文献2】特開2003−290224号公報
【特許文献3】特開2006−20749号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「放射線機器管理実践マニュアル超音波画像診断装置・核医学検査」(著者:社団法人日本放射線技師会放射線機器管理士部会)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、近年では操作者が日常的かつ効率的に装置の性能管理を行う必要性が出てきている。しかし、超音波プローブの精度管理には次のような課題がある。使用期間、及び使用頻度などで劣化する、本来であればその影響で画質が劣化してしまうが、プローブの多少の劣化は超音波診断装置のゲインコントローラによるゲイン調整でカバーできてしまい、超音波プローブの劣化に操作者が気付かないおそれがある。そこで、操作者は超音波プローブの劣化を判断するために精度検証を行う必要があるが、超音波プローブの劣化は常時進行していくのに対し、操作者が毎日精度検証を行うことは煩雑であり、非効率である。さらに超音波プローブは多数あるのが通常であり、複数の装置で共有される場合もあるため、装置間で超音波プローブの使用状況を統合して管理することは困難である。
【0010】
この点、特許文献1乃至特許文献3に記載されているような従来の技術では、故障の検知のみを提供しており、精度検証の管理は行っていない。この様な従来の方法では、精度検証は台帳などに記載することによって別途管理されている。そして、いつどのような精度検証を実施するか等は操作者が独自に判断している。そのため、超音波プローブの精度検証を画一的に実施するなど非効率的になる。これは例えば、日にちを決めて全てのプローブの精度検証の実施といった方法であるが、これでは各超音波プローブの劣化の状態にあった精度検証ではないため不要な精度検証も行うことになり非効率的である。また、精度検証の項目を操作者が決めるため、必要な項目の精度検証を行いわないおそれがある。
【0011】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、各超音波プローブにおける劣化度情報からその超音波プローブの精度検証の実施の要否を判断し報知する超音波診断装置、その制御方法、及び超音波プローブ管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の超音波診断装置は、入力されたパルス電圧を超音波に変えて被検体に送信し被検体から反射した超音波エコーを受信し電気信号に変えて出力する超音波プローブと、前記超音波プローブにパルス電圧を出力し、前記超音波プローブから前記電気信号を受信する送受信手段と、前記電気信号に信号処理を施し超音波断層像を生成する画像生成手段と、前記超音波画像を表示部に表示させる表示制御手段と、前記超音波プローブの劣化度情報を前記超音波プローブの識別情報とともに取得する劣化度情報取得手段と、前記劣化度情報を前記超音波プローブの識別情報と対応させて記憶しておく劣化度情報記憶手段と、複数の検証項目を有する精度検証の過去に実施された検証における実施された前記検証項目及び検証日時を少なくとも含む精度検証情報の入力を受けて記憶する精度検証情報記憶手段と、前記超音波プローブの識別情報の入力を受けて、前記入力された識別情報に対応する超音波プローブの前記劣化度情報及び前記精度検証情報を基に精度検証の実施の要否を判定する精度検証要否判定手段と、前記精度検証が必要と判断された場合その旨を操作者に報知する報知手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項10に記載の超音波プローブ管理システムは、超音波診断装置及び超音波プローブ管理装置を有する超音波プローブ管理システムであって、前記超音波診断装置は、入力されたパルス電圧を超音波に変えて被検体に送信し被検体から反射した超音波エコーを受信し電気信号に変えて出力する超音波プローブと、前記超音波プローブの劣化度情報を前記超音波プローブの識別情報とともに取得する劣化度情報取得手段と、前記劣化度情報を前記超音波プローブの識別情報と対応させて記憶しておく劣化度情報記憶手段と、記超音波プローブ管理装置に前記劣化度情報及び対応する前記超音波プローブの識別情報を出力する劣化度情報転送手段と、を備え、前記超音波プローブ管理装置は、複数の検証項目を有する精度検証の過去に実施された検証における実施された前記検証項目及び検証日時を少なくとも含む精度検証情報の入力を受けて記憶する精度検証情報記憶手段と、前記劣化度情報転送手段から前記劣化度情報及び対応する前記超音波プローブの識別情報の入力を受けて、前記入力された識別情報に対応する超音波プローブの前記劣化度情報及び前記精度検証情報を基に精度検証の実施の要否を判定する精度検証要否判定手段と、前記精度検証が必要と判断された場合その旨を操作者に報知する報知手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項12に記載の超音波診断装置の制御方法は、入力されたパルス電圧を超音波に変えて被検体に送信し被検体から反射した超音波エコーを受信し電気信号に変えて出力する超音波プローブを備えた超音波診断装置の制御方法であって、前記超音波プローブの劣化度情報を前記超音波プローブの識別情報とともに取得する劣化度情報取得段階と、前記劣化度情報を前記超音波プローブの識別情報と対応させて記憶しておく劣化度情報記憶段階と、複数の検証項目を有する精度検証の過去に実施された検証における実施された前記検証項目及び検証日時を少なくとも含む精度検証情報の入力を受けて記憶する精度検証情報記憶段階と、前記超音波プローブの識別情報の入力を受けて、前記入力された識別情報に対応する超音波プローブの前記劣化度情報及び前記精度検証情報を基に精度検証の実施の要否を判定する精度検証要否判定段階と、前記精度検証が必要と判断された場合その旨を操作者に報知する検証要否報知段階と、前記精度検証が不要と判断された場合、前記入力された識別情報に対応する超音波プローブの前記劣化度情報及び前記精度検証情報を基に前記精度検証を実施する次のタイミングを求める精度検証タイミング判定段階と、前記報知手段は前記精度検証のタイミングを操作者に報知するタイミング報知段階と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の超音波診断装置、請求項8に記載の超音波プローブ管理システム、及び請求項10に記載の超音波診断装置の制御方法は、超音波プローブの劣化度情報及び精度検証情報を基に各検査項目の精度検証の実施の要否を自動的に判定し報知する構成である。これにより、超音波プローブの劣化度に合わせて精度検証の必要な検証項目が確実に報知でき、いずれの検証項目の精度検証を実施する必要があるかを容易に把握でき、効率的かつ適切な精度検証を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係る超音波診断装置のブロック図
【図2】精度検証情報入力画面の一例の図
【図3】精度検証情報入力画面の一例の図
【図4】超音波プローブの選択を行うプローブ切替画面の一例の図
【図5】第1の実施形態における現在の超音波プローブの累積通電時間を表すグラフ
【図6】精度検証の実施が必要である旨の表示の一例
【図7】第1の実施形態に係る超音波診断装置における精度検証の実施の要否の判定のフローチャート
【図8】第2の実施形態に係る超音波診断装置のブロック図
【図9】第3の実施形態における現在の超音波プローブの累積通電時間を表すグラフ
【図10】劣化度情報とそれに対応する精度検証項目を表すテーブルの一例
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1の実施形態〕
以下、この発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置について説明する。図1は本発明に係る超音波診断装置の機能を表すブロック図である。ただし、一点鎖線で示される精度検証タイミング判定部110は本実施形態には含まれず、第3の実施形態で説明する。
【0018】
ユーザインタフェース107は、入力部108及び表示部109を備えている。医師や検査技師等の操作者(以下では、単に「操作者」という。)は、ユーザインタフェース107を用いて撮像開始の命令や使用する超音波プローブ001の選択を入力する。この表示部109が本発明における「表示手段」にあたる。
【0019】
操作者は、超音波診断装置を用いて精度検証を行う。精度検証には音速測定、距離精度、距離計測、精度測定、スライス幅測定、距離分解能測定、方位分解能測定、機械軸方向の方位精度測定などが含まれる。これらを精度検証の検証項目という。この精度検証は、超音波測定装置、精度検証用のファントム、及び水槽などを用いて各値の測定を行うことで実施される。操作者は、この精度検証の情報を、ユーザインタフェース107を用いて、表示部109に表示された図2に示すような精度検証情報入力画面200を参照し入力部108により入力を行う。ここで、図2は精度検証情報入力画面の一例の図である。この精度検証の情報には、少なくとも精度検証の検証項目(例えば、音速測定、距離計測精度測定、スライス幅測定、距離分解能測定、方位分解能測定など。)及び精度検証実施日(年月日)を含むものである。本実施形態では、操作者は、精度検証の情報として図2に示すように実施した精度検証の検証項目の項目名欄201、実施日欄203、及び検証結果欄204を入力する。具体的には、操作者は、項目名欄201では検査を実施した検証項目のチェックボックス202をチェックする。また、操作者は、実施日欄203では、検査を実施した年月日を入力する。また、操作者は、検証結果欄204では、チェックボックス205をチェックすることにより結果がOKかNGかの入力を行う。そして、操作者は、記録ボタン206をクリックすることにより入力した精度検証の情報の入力を確定する。そして、確定された情報は表示制御部103を介して精度検証情報記憶部104に入力される。さらに、操作者は、この精度検証の情報の入力とともに精度検証を行った超音波プローブ001の識別情報の入力を行う。この超音波プローブ001の識別情報の入力は、操作者が精度検証を行った超音波プローブ001の識別情報を確認して直接識別情報の入力を行う方法や、超音波診断装置で使用されたことのある超音波プローブ001の識別情報を劣化度情報記憶部102などから取得して選択可能に一覧として表示部109に表示し、操作者がその一覧から精度検証を行った超音波プローブ001の識別情報を選択することで入力する方法でもよい。本実施形態では前者の方法を採用している。さらに、精度検証の情報として、精度検証の詳細データ(例えば、ファントムを撮影し計測した距離値や温度)や、精度検証の結果を受けて対策を実施したという情報(例えば、修理実施済みといった情報。)などを含めてもよい。
【0020】
また、操作者は、表示部109に表示された図3のような精度検証情報入力画面300を用いてこれから行う超音波診断装置を用いた検査の検査情報(患者名や生年月日など)を入力する。ここで、図3は精度検証情報入力画面の一例の図である。その検査情報の入力時に、操作者は、検査で使用する超音波プローブ001の選択を行う。具体的には、操作者は、精度検証情報入力画面300のプローブ切替ボタン301を選択し画面を図4に示すプローブ切替画面400に切り替える。ここで、図4は超音波プローブの選択を行うプローブ切替画面の一例の図である。図4に示すプローブ切替画面400に示すように、本実施形態に係る超音波診断装置では、セクタ型の超音波プローブとしてプローブ1〜プローブ3まで、コンベックス型の超音波プローブとしてプローブ4及びプローブ5が選択できる。そして操作者は、プローブ切替画面400の中から検査で用いる超音波プローブ001に対応するセクタ型の超音波プローブのプローブ選択ボタン401又はコンベックス型の超音波プローブのプローブ選択ボタン402をクリックすることで、現在の超音波プローブ001を選択する。以下では、現在行う検査で使用する超音波プローブとして選択された超音波プローブ001のことを「現在の超音波プローブ001」又は単に「超音波プローブ001」という。この操作者による現在の超音波プローブ001の選択が行われると、その超音波プローブ001を特定するための情報(接続されているポート番号など)が後述する劣化度情報取得部101及び精度検証要否判定部105へ出力される。ここで、本実施形態では、現在の超音波プローブ001の選択時に精度検証要否判定部105へ超音波プローブ001の特定情報を送信し、精度検証の実施の要否の判定を行う構成にしているが、これは、検査を行う超音波プローブ001を特定できるタイミングであれば他のタイミングでもよく、例えば、精度検証情報入力画面300又は検査開始画面に精度検証の実施の要否の判定のボタンを設けて、そのボタンが押下されたとき、超音波プローブ001を装着したとき、超音波診断装置のシステムの起動時、ログイン時、又は日常時自主点検メニュー表示時などでもよい。一例として検査開始画面の場合、検査開始画面で検査部位・種別を選択した場合に、その検査に使用される可能性のある超音波プローブ001に限定して、該当する超音波プローブ001に関してのみ精度検証の実施の要否を問い合わせる構成となる。また、日常自主点検メニューとは、操作者が毎日自主点検しなければならない項目をナビゲートする画面を指し、この日常点検メニューを用いて、ウィルスチェックの実行、装置時刻合わせ実施、プローブの確認、といった点検作業が実施できる。
【0021】
そして、現在の超音波プローブ001の選択や患者情報といった検査情報の入力が全て終わると、操作者は図3の検査開始ボタン302をクリックし、入力した検査情報に基づいた超音波診断装置を用いた検査を開始する。
【0022】
超音波プローブ001は、複数の振動子を有している。振動子は、送受信部002から入力されたパルス信号を超音波に変換し被検体に向けて送信する。さらに、振動子は、被検体で反射した超音波(以下では、「超音波エコー」と言う。)を受信し電気信号であるエコー信号に変換して送受信部002に出力する。
【0023】
また、超音波プローブ001は、メモリなどの記憶領域を有しており、その記憶領域に自己の識別情報(シリアルナンバーなど)を記憶している。超音波プローブ001は、図4の画面で操作者により現在行う検査で使用する超音波プローブ001として選択された後、後述する劣化度情報取得部101及び精度検証要否判定部105から識別情報の出力要求を受けて、記憶している自己の識別情報を劣化度情報取得部101及び精度検証要否判定部へ出力する。
【0024】
送受信部002は、パルス電圧(パルス信号)を発生する。そして、送受信部002は、送信超音波を所定の深さに集束するための遅延時間と所定の方向に送信するための遅延時間とをパルス電圧に与える。そして、送受信部002は、遅延時間を与えたパルス電圧を超音波プローブ001の振動子へ送信することで、振動子において超音波を発生させる。
【0025】
送受信部002は、振動子から入力される超音波が被検体で反射したエコー信号の入力を受ける。このエコー信号は、前述したように元となるパルス電圧が送受信部002により送信超音波毎に遅延時間が与えられているため、それぞれずれて送受信部002に入力される。さらに、送受信部002は、各エコー信号をアンプ(不図示)で増幅しA/Dコンバータ(不図示)でディジタル信号に変換して信号処理部003へ出力する。
【0026】
また、送受信部002は、超音波プローブ001へのパルス電圧の通電を開始すると劣化度情報取得部101に通電を開始された旨の信号を出力する。さらに、送受信部002は、超音波プローブ001へのパルス電圧の通電を停止すると劣化度情報取得部101に通電が終了した旨の信号を出力する。この送受信部002が本発明における「送受信手段」にあたる。ここで、本実施形態では送受信部002からパルス電圧の通電の開始及び停止の情報を劣化度情報取得部101に出力しているが、これはパルス電圧の通電を受けた段階で超音波プローブ001がパルス電圧の通電開始の情報を劣化度情報取得部101に出力し、パルス電圧の通電が止まった段階で超音波プローブ001がパルス電圧の通電停止の情報を劣化度情報取得部101に出力する構成でもよい。
【0027】
信号処理部003は、送受信部002から信号の入力を受ける。信号処理部003は、入力された信号にバンドパスフィルタ処理を施す。さらに、信号処理部003は、バンドパスフィルタ処理を施した信号に対し遅延加算、包絡線検波、及び対数圧縮といった処理を施す。そして、信号処理部003は、前述の処理を施した信号を画像処理部004へ出力する。ここで、本実施形態では、A/D変換後に信号処理部003においてバンドパスフィルタ処理を行っているが、これは、A/D変換前に行ってもよい。この場合、例えば、アンプとA/Dコンバータとの間にバンドパスフィルタを配置してそこでバンドパスフィルタ処理を実施する構成などがある。
【0028】
画像処理部004は、信号処理部003から信号の入力を受ける。そして、画像処理部004は、入力された信号に対し走査線の座標からモニタ上の座標への座標変換などを実施して画像データを生成する。画像処理部004は生成した画像データを表示制御部103へ出力する。
【0029】
この信号処理部003及び画像処理部004を合わせたものが本発明における「画像生成手段」にあたる。
【0030】
統括制御部005は、各機能部の動作タイミングなどを制御する。また、統括制御部005は、各機能部間の情報の受け渡しの仲介を行う。ただし、ここでの説明では都合上、各機能部間で直接情報の受け渡しを行っているように説明することがある。図1に示す点線は統括制御部005と各機能部間のデータの流れを示している。
【0031】
統括制御部005は、操作者による入力部108からの検査終了の入力を表示制御部103を介して受ける。そして、統括制御部005は、検査終了の通知を劣化度情報取得部101へ出力する。ここで、本実施形態では、統括制御部005は操作者からの検査終了の入力を受けているが、これは検査が終了したことを把握できれば他の方法でもよく、例えば、あらかじめ検査計画が入力されており、その計画に沿って検査が行われ、統括制御部005が検査計画を参照し、その検査計画に沿った検査が終了したことを把握する構成でもよい。
【0032】
劣化度情報取得部101は内部にタイマー(不図示)を備えている。さらに、劣化度情報取得部101は、内部に日時を表す時計(不図示)を備えている。ここで、本実施形態では、タイマーと時計を別々に備えているが、時計をタイマーとして使用する構成でもよい。劣化度情報取得部101は、超音波プローブ001が選択された時点で、現在の超音波プローブ001から識別情報の入力を受ける。劣化度情報取得部101は、識別情報を基に劣化度情報記憶部102を参照しその識別情報を入力した超音波プローブ001(現在の超音波プローブ001)が初めて使用する超音波プローブか否か(詳しくは、この超音波診断装置において初めて使用されるか否か)を判断する。具体的には、劣化度情報取得部101は、劣化度情報記憶部102に識別情報が記憶されていれば現在の超音波プローブ001は過去に使用されたことがあると判断し、また、劣化度情報記憶部102に識別情報が記憶されていなければ現在の超音波プローブ001は過去に使用されたことがない、すなわち初めての使用と判断する。劣化度情報記憶部102は、現在の超音波プローブ001が初めての使用と判断した場合、劣化度情報記憶部102に現在の超音波プローブ001の識別情報及び識別情報の入力を受けた日時を使用開始の日時として出力する。
【0033】
次に、劣化度情報取得部101は、送受信部002から超音波プローブ001へパルス電圧の通電が開始された時点で、送受信部002から超音波プローブ001へパルス電圧の通電が開始された旨の信号の入力を受ける。この信号の入力を受けて、劣化度情報取得部101は、自己のタイマーによる時間のカウントを開始する。そして、劣化度情報取得部101は、送受信部002からの超音波プローブ001へのパルス電圧の通電が停止した時点で、送受信部002からの超音波プローブ001へのパルス電圧の通電が終了した旨の信号の入力を受ける。パルス電圧の通電が終了した旨の信号の入力を受けて、劣化度情報取得部101は、自己のタイマーによる時間のカウントを停止する。
【0034】
劣化度情報取得部101は、現在の超音波プローブ001が過去に使用したことのある超音波プローブの場合、現在の超音波プローブ001の識別情報を基に劣化度情報記憶部102を参照して、現在の超音波プローブ001の現在までの累積の通電時間を取得し、その取得した累積の通電時間にカウントした時間を加えて、現在の超音波プローブ001の新しい累積の通電時間として現在の超音波プローブ001の識別情報及び出力する日付と対応させて劣化度情報記憶部102に出力する。また、現在の超音波プローブ001が初めて使用する超音波プローブの場合、カウントした時間を現在の超音波プローブ001の累積通電時間として現在の超音波プローブ001の識別情報及び出力する日付と対応させて劣化度情報記憶部102に出力する。
【0035】
また、劣化度情報取得部101は、内部に時計を有しており(不図示)、現在の日時を取得できる。そして、劣化度情報取得部101は、統括制御部005から検査終了の入力を受けると、劣化度情報記憶部102から使用開始の日時を取得し、自己の時計で取得した現在の日時から使用開始の日時を減算することで累積使用期間を求める。ここで、本実施形態では使用している使用期間とは最初に超音波診断装置に接続されてから現在までの期間のことを指す。そして、劣化度情報取得部101は、求めた使用期間を劣化度情報記憶部102へ出力する。この劣化度情報取得部101が本発明における「劣化度情報取得手段」にあたる。
【0036】
ここで、本実施形態では劣化度情報の例として累積通電時間及び累積使用期間を挙げているが、これは超音波プローブの劣化度を表す指標となるものであれば他の情報を用いてもよく、例えば、通電された日における1日の累積電圧などを用いてもよい。また、超音波プローブ001が機械駆動方式を有する超音波プローブ(例えば、4Dプローブ。)である場合には、モータへの累積通電時間やモータへの累積電圧を含めてもよい。そして、これらの劣化度情報のうちいずれの劣化度情報かを特定する情報を劣化度情報の種類という。
【0037】
劣化度情報記憶部102は、ハードディスクなどの記憶媒体を備えている。そして、劣化度情報記憶部102は、劣化度情報取得部101から入力された、現在の超音波プローブ001の使用開始の日時、累積通電時間、及び累積使用期間を、現在の超音波プローブ001の識別情報及び入力された日付とともに記憶する。ここで、ここで、同じ日付の劣化度情報が既に存在する場合には、その日付で最も新しい劣化度情報を既にある同じ日付の劣化度情報に上書きすることで、その日付での劣化度情報として記憶する。この劣化度情報記憶部102が本発明における「劣化度情報記憶手段」にあたる。
【0038】
精度検証情報記憶部104は、ハードディスクなどの記憶媒体を備えて構成されている。精度検証情報記憶部104は、操作者から入力された精度検証の情報及び精度検証が行われた超音波プローブ001の識別情報を表示制御部103を介して受信する。そして、精度検証情報記憶部104は、超音波プローブ001の識別情報に対応させて精度検証の情報を記憶する。この精度検証情報記憶部104が本発明における「精度検証情報記憶手段」にあたる。
【0039】
精度検証要否判定部105は、メモリやハードディスクなどの記憶領域を有している。そして、精度検証要否判定部105は、劣化度情報に応じて精度検証の必要度を算出する算出式f(x)を自己の記憶領域に記憶している。この算出式が本発明における「精度検証必要度算出式」にあたる。この算出式は劣化度情報の種類毎に記憶している。本実施形態では、必要度f(x)=α×x(α:定数、x:劣化度情報を基に算出される値)である。ここで本実施形態では説明を簡単にするためf(x)を1次関数として説明しているが、劣化度情報に対応する精度検証の必要度の算出するための式は、他の式でもよく、例えば、精度検証の必要度は劣化度情報から求められる値の2乗や3乗に比例するような場合には、f(x)=α×xやf(x)=α×xといった式になる。また、精度検証要否判定部105は、精度検証の必要度の閾値(以下では、閾値をΑとする。)を記憶している。この必要度を算出する算出式f(x)及びその閾値Αは通常は検証項目毎に異なるものである。ただし、検証項目によっては同じ式や同じ閾値を用いてもよい。
【0040】
精度検証要否判定部105は、図4のプローブ切替画面400で現在の超音波プローブ001が選択を受けて、対応する現在の超音波プローブ001から識別情報を取得する。ここで、本実施形態では操作者が超音波プローブ001を選択したときにその選択した超音波プローブ001が接続されているポート番号などの超音波プローブ001の特定情報を出力し、精度検証要否判定部105は、その特定情報を基に対応する超音波プローブ001の識別情報を取得する構成としている。ただし、これは他の構成でもよく、例えば、予め統括制御部005が超音波診断装置に接続されている超音波プローブ001の識別情報を取得しておき、操作者の選択した超音波プローブ001の入力をうけて、統括制御部005が超音波プローブ001の識別情報を精度検証要否判定部105に出力する構成でもよい。
【0041】
次に精度検証要否判定部105の精度検証の実施の要否の判定を図5を参照して説明する。図5は、本実施形態における現在の超音波プローブ001の累積通電時間を表すグラフである。図5のグラフは縦軸として累積通電時間を、横軸として日付を採っている。
【0042】
精度検証要否判定部105は、取得した現在の超音波プローブ001の識別情報を基に、劣化度情報記憶部102を参照し、現在の超音波プローブ001の現在の日付における劣化度情報(累積通電時間及び累積使用期間)を取得する。現在の日付における劣化度情報とは、詳しくは、現在の超音波プローブ001の識別情報を取得した時点における最新の劣化度情報を指す。ここで、劣化度情報の種類は複数存在するが、以下では、劣化度情報として累積通電時間を例に精度検証の実施の要否の判断を説明する。精度検証要否判定部105は、累積使用期間についても同様の方法で精度検証の実施の要否の判断を行う。ここでは、現在の日付を日付D0とし、精度検証要否判定部105は、日付D0における累積通電時間としてT0(時間)を取得したとして説明する。
【0043】
さらに、精度検証要否判定部105は、取得した現在の超音波プローブ001の識別情報を基に、精度検証情報記憶部104を参照し、現在の超音波プローブ001の検証項目毎の前回検証を行った日付を取得する。検証項目は複数存在するが、以下では、検証項目として音速測定を例に音速測定の精度検証の実施の要否の判断を説明する。精度検証要否判定部105は、他の検証項目についても同様の方法で精度検証の実施の要否の判定を行う。ここでは、精度検証要否判定部105は、前回音速測定の精度検証が行われた日付として日付D1を取得したものとする。
【0044】
精度検証要否判定部105は、前回音速測定の精度検証が行われた日付である日付D1を基に、劣化度情報記憶部102を参照し、その日付D1での現在の超音波プローブ001の劣化度情報である前回の精度検証時の累積通電時間を取得する。ここでは、精度検証要否判定部105は、前回の精度検証時の累積通電時間としてT1(時間)を取得したとして説明する。
【0045】
そして、精度検証要否判定部105は、現在の累積通電時間T0から前回の精度検証時の累積通電時間T1を減算する。ここで、本実施形態では精度検証要否判定部105は、T0−T1=Δtと算出した場合で説明する。
【0046】
そして、精度検証要否判定部105は、自己が記憶している精度検証の必要度を算出する算出式f(x)にΔtを代入し精度検証の必要度を算出する。本実施形態では、精度検証要否判定部105は、精度検証の必要度をf(Δt)=α×Δtと算出する。
【0047】
そして、精度検証要否判定部105は、自己が記憶している閾値Αと算出した精度検証の必要度(α×Δt)とを比較する。そして、精度検証要否判定部105は、精度検証の必要度(α×Δt)が閾値Α以上の場合、すなわちα×Δt≧Αの場合、音速測定の精度検証の実施が必要と判断する。また、精度検証要否判定部105は、精度検証の必要度(α×Δt)が閾値Αより小さい場合、すなわちα×Δt<Αの場合、音速測定の精度検証の実施が不要と判断する。
【0048】
精度検証要否判定部105は、音速測定の精度検証の実施が必要と判断した場合、音速測定の精度検証の実施が必要である旨の情報を報知部106に出力する。この精度検証要否判定部105が本発明における「精度検証要否判定手段」にあたる。
【0049】
報知部106は、精度検証要否判定部105から音速測定の精度検証の実施が必要である旨の情報の入力を受けて、表示制御部103を介して表示部109に、音速測定の精度検証の実施が必要である旨を表示させる。ここで、本実施形態では報知手段として表示部109への表示で説明したが、これは操作者が超音波プローブ001の精度検証が必要であると把握できればどのような報知方法でもよく、例えば、音声やメールなどでもよい。この報知部106が本発明における「報知手段」にあたる。
【0050】
表示制御部103は、画像処理部004から画像データの入力を受ける。表示制御部103は、入力された画像データを基に、表示部109に超音波画像を表示させる。
【0051】
また、表示制御部103は、報知部106から音速測定の精度検証の実施が必要である旨の表示を行う命令の入力を受ける。そして、表示制御部103は、表示部109に音速測定の精度検証の実施が必要である旨の表示を行う。本実施形態では、図6のように、プローブ切替画面400に精度検証の実施が必要なことを表すマーク601及び、その必要とされる精度検証の検証項目を通知するための通知ボックス602を表示させる。図6は精度検証の実施が必要である旨の表示の一例の図である。ここで、本実施形態では、分かり易いように選択された超音波プローブ001の脇にマーク601及び通知ボックス602を表示させたが、これは他の方法でもよく、例えば通知ボックス602だけでもよいし、又プローブ切替画面400の他の位置に超音波プローブ001の名前などと共に実施が必要な精度検証の検証項目を表示させる構成でもよい。この表示制御部103が本発明における「表示制御手段」にあたる。
【0052】
次に、図7を参照して、本実施形態に係る超音波診断装置における精度検証の実施の要否の判定の動作を説明する。図7は、本実施形態に係る超音波診断装置における精度検証の実施の要否の判定のフローチャートである。
【0053】
ステップS001:操作者は、超音波診断装置を用いて精度検証を行い、少なくとも精度検証の検証項目及び精度検証実施日を含む精度検証情報の入力を行う。
【0054】
ステップS002:精度検証情報記憶部104は、入力された精度検証情報を、精度検証に用いられた超音波プローブの識別情報と対応させて記憶する。
【0055】
ここで、ステップS001及びステップS002を含む図7で示すフローAの部分は、操作者による精度検証が行われたタイミングで実施されるステップであり、実際には、精度検証の実施の要否の判定を行う以前に、フローAは何度行われていてもよい。
【0056】
ステップS003:劣化度情報取得部101は、超音波プローブ001から識別情報を受けると共に、送受信部002から通電開始の通知及び通電終了の通知を受けて、自己のタイマーを用いることで超音波プローブ001の通電時間を求める。また、超音波プローブ001が初めての使用の場合には使用開始の日時を取得する。
【0057】
ステップS004:劣化度情報取得部101は、劣化度情報記憶部102に記憶されている通電時間に求めた通電時間を加えて、現在までの累積通電時間を算出する。また、劣化度情報取得部101は、現在の日時から劣化度情報記憶部102に記憶されている使用開始の日時を減算して累積使用期間を算出する。劣化度情報記憶部102は、劣化度情報取得部101が算出した劣化度情報である累積通電時間及び累積使用期間を超音波プローブ001の識別情報及びその時の日付と共に記憶する。ここで、劣化度情報記憶部102は、日付が同じ場合にはその日付に対応する劣化度情報を新しい劣化度情報に変更する。
【0058】
ここで、ステップS003及びステップS004を含む図7で示すフローBの部分は、超音波プローブ001を用いて検査を行う場合に送受信部002からのパルス電圧が送信されたタイミングで実施されるステップであり、実際には、精度検証の実施の要否の判定を行う以前に、フローBは何度行われていてもよい。
【0059】
ステップS005:操作者は、超音波診断装置を用いた検査の開始段階において、検査に使用する超音波プローブ001を選択する。
【0060】
ステップS006:精度検証要否判定部105は、超音波プローブ001の選択に伴う超音波プローブ001の特定情報の入力を受けて、その特定情報に対応する超音波プローブ001から識別情報を取得する。
【0061】
ステップS007:精度検証要否判定部105は、取得した超音波プローブ001の識別情報を基に、劣化度情報記憶部102を参照し、超音波プローブ001の現在の劣化度情報(例えば、上述した音速測定の場合はT0。)を取得する。
【0062】
ステップS008:精度検証要否判定部105は、取得した超音波プローブ001の識別情報を基に、精度検証情報記憶部104を参照し、精度検証の検証項目毎に前回検証を行った日付を取得する。
【0063】
ステップS009:精度検証要否判定部105は、前回精度検証を行った日付における超音波プローブ001の劣化度情報(例えば、上述した音速測定の場合はT1。)を取得する。
【0064】
ステップS010:精度検証要否判定部105は、検証項目毎に現在の劣化度情報と精度検証を行った日付の劣化度情報の差を算出(例えば、上述した音速測定の場合はΔT=T0−T1。)し、算出した差を精度検証の必要度を算出する式f(x)=α×xに代入し、精度検証の必要度を算出する(例えば、上述した音速測定の場合はf(ΔT)=α×ΔT。)。そして、記憶している閾値と算出した必要度を比較する。
【0065】
ステップS011:精度検証要否判定部105は、算出した必要度が閾値以上か否かを判断する。必要度が閾値以上(例えば、上述した音速測定の場合はα×ΔT≧Α)の場合(Yes)には、ステップS011に進む。必要度が閾値より小さい(例えば、上述した音速測定の場合はα×ΔT<Α)の場合(No)には、精度検証の実施は必要なく精度検証の実施の要否の判断を終了する。
【0066】
ステップS012:報知部106は、精度検証要否判定部105から精度検証の実施が必要である旨の情報の入力を受けて、表示制御部103を介して表示部109に精度検証の実施が必要である旨を表示させる。
【0067】
以上に説明したように、本実施形態に係る超音波診断装置は、予め記憶している精度検証を実施した日付及び超音波プローブの劣化度情報を基に、超音波プローブの精度検証の実施の要否を自動的に判定し報知する構成である。
【0068】
これにより、本実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブの劣化度に合わせて精度検証の必要な検証項目を操作者に報知することができる。したがって、操作者は、いずれの検証項目の精度検証を実施する必要があるかを容易に把握でき、効率的かつ適切な精度検証を実施することが可能となる。
【0069】
〔第2の実施形態〕
以下、この発明の第2の実施形態に係る超音波プローブ診断システムについて説明する。本実施形態に係る超音波プローブ診断システムは、超音波プローブ管理装置及び超音波診断装置を備えている。そして、超音波プローブ管理装置は第1の実施形態のうち超音波プローブの精度検証の実施の要否を判断する構成を有するものである。本実施形態に係る超音波プローブ管理装置は、図8に示す実線で囲われた超音波プローブ管理装置140であり、超音波診断装置は、図8に示す実線で囲われた超音波診断装置130である。図8は、本実施形態に係る超音波診断装置の機能を表すブロック図である。
【0070】
図8に示すように、超音波プローブ管理装置140は、超音波診断装置130とネットワークを介して情報の送受信が可能に超音波診断装置と接続されている。
【0071】
超音波診断装置130は、超音波プローブ131、送受信部132、信号処理部133、画像処理部134、表示部135、劣化度情報取得部136、劣化度情報記憶部137、及び劣化度情報転送部138を有している。
【0072】
超音波プローブ131は、第1の実施形態に係る超音波プローブ001と同様の構成を備える。
【0073】
送受信部132は、第1の実施形態に係る送受信部002と同様の構成を備える。
【0074】
信号処理部133は、第1の実施形態に係る信号処理部003と同様の構成を備える。
【0075】
画像処理部134は、第1の実施形態に係る画像処理部004と同様の構成を備える。
【0076】
本実施形態に係る超音波プローブ管理装置140にネットワークを介して接続された他の超音波診断装置130は、操作者から使用する超音波プローブ131(現在の超音波プローブ131)の選択を受けると、その現在の超音波プローブ131の識別情報を劣化度情報取得部136へ出力する。ここで本実施形態では説明を簡単にするため超音波プローブ131の識別情報を出力しているが、これは第1の実施形態と同様に超音波プローブの特定情報でもよくその場合特定情報としては例えば超音波診断装置の識別情報及び超音波プローブ131が接続されているポートなどとなる。
【0077】
また、超音波診断装置130の送受信部132は、超音波プローブ131にパルス電圧の送信を開始すると、超音波診断装置130の劣化度情報取得部136にパルス電圧の送信を開始した旨の通知を出力する。また、超音波診断装置130の送受信部132は、超音波プローブ131にパルス電圧の送信を停止すると、劣化度情報取得部136にパルス電圧の送信を停止した旨の通知を出力する。
【0078】
さらに、他の超音波診断装置130は検査が終了した旨の通知を劣化度情報取得部136へ出力する。
【0079】
劣化度情報取得部136は、入力された現在の超音波プローブ131の識別情報を受けて、取得した識別情報を有する超音波プローブ131の使用が初めてか否かを判断する。使用が初めての場合には、劣化度情報取得部136、現在の日時を取得する。そして、劣化度情報取得部136は、取得した日時を劣化度情報記憶部137に出力する。
【0080】
その後、劣化度情報取得部136は、送受信部132から入力されたパルス電圧送信開始の通知及びパルス電圧送信停止の通知を受けて自己が有するタイマーを用いて超音波プローブ131の今回の通電時間を求める。そして、劣化度情報取得部136は、求めた通電時間を劣化度情報記憶部137に記憶されている累積通電時間に加算し、新しい累積通電時間を求める。そして、劣化度情報取得部136は、求めた累積通電時間を通電が終了した旨の通知を受けたときの日付とともに劣化度情報記憶部137に出力する。
【0081】
さらに、劣化度情報取得部136は、検査が終了した旨の通知の入力を受けて、自己が有する時計を参照しその入力を受けた日時を取得し、初めて使用を開始した日時から取得した日時までの期間である累積使用期間を求める。そして、劣化度情報取得部136は、求めた累積使用期間を検査終了の通知を受けた日付と共に劣化度情報記憶部137へ出力する。
【0082】
劣化度情報記憶部137は、劣化度情報取得部136から入力された累積通電時間及び累積使用期間を超音波プローブ131の識別情報及び入力された日付に対応させて記憶する。
【0083】
劣化度情報転送部138は、タイマーを有しており、予め決められた期間が経過すると、劣化度情報記憶部137を参照し超音波プローブ管理装置140に対し超音波プローブ131の識別情報とともに対応する劣化度情報を出力する。
【0084】
超音波プローブ管理装置140は、統括制御部141、表示制御部142、劣化度情報記憶部143、精度検証情報記憶部144、精度検証要否判定部145、報知部146、ユーザインタフェース147、入力部148、及び表示部149を有している。ここで、一点鎖線で示される機能部は第4の実施形態で説明する。
【0085】
超音波プローブ管理装置140の劣化度情報記憶部143は、ネットワークを介して接続されている各超音波診断装置130の劣化度情報転送部138から入力された劣化度情報を超音波プローブ131の識別情報と対応させて記憶している。
【0086】
ここで、劣化度情報記憶部143は、劣化度情報を超音波プローブ131の識別情報に対応させて記憶するので、いずれの超音波診断装置で超音波プローブ131が使用された場合でも、その超音波プローブ131の劣化度情報は増加していくことになる。すなわち、劣化度情報記憶部143には、各超音波診断装置130で用いられた各超音波プローブ131の劣化度情報が統合されて(例えば、時間であれば加算されて)記憶されることになる。
【0087】
精度検証情報記憶部144は、第1の実施形態における精度検証情報記憶部104と同様に、操作者によるユーザインタフェース147を用いた精度検証情報の入力を対応する超音波プローブ131の識別情報ともに受けて、超音波プローブ131の識別情報ともに、対応する精度検証情報を記憶する。
【0088】
精度検証要否判定部145は、ユーザインタフェース147から操作者による超音波プローブ131の精度検証の要否判定の命令の入力を受ける。このとき、精度検証要否判定部145は、判定を行う超音波プローブ131の識別情報の入力を受ける。そして、精度検証要否判定部145は、精度検証の実施の要否判定の実行命令を受けて、第1の実施形態と同様に精度検証情報記憶部144に記憶されている劣化度情報及び精度検証情報記憶部144に記憶されている精度検証情報を基に選択された超音波プローブ131の精度検証の実施の要否判定を行う。そして、精度検証の実施が必要と判断した場合には報知部146に出力する。ここで、本実施形態では、精度検証の要否命令を直接操作者から受けているが、これは他の方法でもよく、例えば第1の実施形態と同様に、いずれかの超音波診断装置130におうて超音波プローブ131の使用が選択されたという情報を受けて、その情報を基に精度検証の要否の判定を開始する構成にしてもよい。
【0089】
ここで、本実施形態では劣化度情報記憶部143を設けて、劣化度情報を蓄積しているが、この劣化度情報記憶部143はなくてもよく、その場合、精度検証要否判定部145が精度検証の要否の判定を行う時点で、各超音波診断装置130から直接劣化度情報を取得する構成になる。
【0090】
報知部146は、精度検証要否判定部145からの通知を受けて、第1の実施形態における報知部106と同様に、精度検証が必要である旨を表示制御部142を介して表示部149に表示させる。
【0091】
統括制御部141は、超音波プローブ管理装置140の各機能部の動作タイミングの制御や、各機能部間の情報の受け渡しの仲介を行う。
【0092】
以上で説明したように、第3の実施形態に係る超音波プローブ管理システムは、ネットワークを介して接続された超音波診断装置から劣化度情報を取得し、また、ネットワークで接続された超音波診断装置で実施された精度検証の検証情報を記憶しておき、その記憶した劣化度情報及び精度検証の検証情報を基に精度検証の実施の要否を判定する構成である。
【0093】
これにより、複数の超音波診断装置に超音波プローブが共有される場合にも、各超音波プローブの適切な劣化度情報及び精度検証の検証情報を取得することが可能となる。そのため、複数の超音波診断装置に超音波プローブが共有される場合にも、操作者は、超音波プローブの劣化度に合わせて精度検証の実施が必要な検証項目を把握することができる。したがって、操作者は、いずれの検証項目の精度検証を実施する必要があるかを容易に把握でき、効率的かつ適切な精度検証を実施することが可能となる。また、超音波診断断層値とは別の装置により超音波プローブの精度検証の要否の判定を行えるため、超音波診断装置の動作とは別に精度検証の要否の判定を実施でき、好ましいタイミングでの実施が可能となるし、さらには超音波診断装置の負荷軽減も可能となる。
【0094】
(変形例)
以下、この発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置の変形例について説明する。本実変形例に係る超音波診断装置は、ネットワークを介して他の超音波診断装置と接続されており、他の超音波診断装置における超音波プローブの劣化度情報及び精度検証情報も取得する構成であることが第1の実施形態と異なるものである。すなわち、第2の実施形態における超音波プローブ管理装置140の機能を超音波診断装置に備えたものである。そこで、以下の説明では、他の超音波診断装置からの超音波プローブの劣化度情報の取得を主に説明する。本実施形態に係る超音波診断装置は、図2に示すブロック図で表わされる超音波プローブ管理装置140の構成を備える。そこで以下では、超音波診断装置140という。また、超音波診断装置140における他の超音波診断装置は図2に示す超音波診断装置130とする。そして、超音波診断装置140も他の超音波診断装置130と同様の機能を有する。ただし、超音波診断装置140の、精度検証の要否判定機能以外の機能は、他の超音波診断装置130の動作と同様のため特に説明しないので図示しない。以下の説明では、第2の実施形態と同一の符号を付された機能部は特に説明のない限り同じ機能を有するものとする。
【0095】
本実施形態に係る超音波診断装置にネットワークを介して接続された他の超音波診断装置130は、第2の実施形態と同様の構成を備え同様の動作を行う。
【0096】
操作者は、他の超音波診断装置で行った精度検証の検証情報も本実施形態に係る超音波診断装置に対し入力する。精度検証情報記憶部144は、入力された検証情報を超音波プローブ131の識別情報に対応させて記憶する。
【0097】
ここで、以上の説明は他の超音波診断装置から入力された劣化度情報及び他の超音波診断装置で実施された精度検証の検証情報の取得及び記憶について説明しているが、本実施形態に係る超音波診断装置で取得された劣化度情報及び本実施形態に係る超音波診断装置で実施された精度検証の検証情報の取得及び記憶も第1の実施形態と同様に行う。その場合には、劣化度情報記憶部143には図示していない自己が備える超音波プローブ131の劣化度情報が記憶される。
【0098】
超音波診断装置140の劣化度情報記憶部143は、ネットワークを介して接続されている各超音波診断装置130の劣化度情報転送部138から入力された劣化度情報及び自己で使用された超音波プローブ131の劣化度情報を超音波プローブ131の識別情報と対応させて記憶している。
【0099】
精度検証要否判定部145は、他の超音波診断装置及び本実施形態に係る超音波診断装置のいずれかで超音波プローブ131が操作者により使用する超音波プローブ131として選択されたときに、選択された超音波プローブ131の識別情報とともに精度検証の実施の要否判定の実行命令を受ける。そして、精度検証要否判定部145は、精度検証の実施の要否判定の実行命令を受けて、第1の実施形態と同様に記憶されている劣化度情報及び精度検証情報を基に選択された超音波プローブ001の精度検証の実施の要否判定を行う。そして、精度検証の実施が必要と判断した場合には報知部146にその旨を出力する。
【0100】
報知部146は、精度検証要否判定部145からの入力を受けて、表示制御部103を介して精度検証の実施が必要な旨を表示部149に表示させる。ただし、この精度検証の実施が必要な旨の表示は超音波プローブ131が選択された超音波診断装置の表示部135に表示させる構成でもよい。
【0101】
以上で説明したように、本変形例に係る超音波診断装置は、ネットワークを介して接続された超音波診断装置から劣化度情報を取得し、また、ネットワークで接続された超音波診断装置で実施された精度検証の検証情報を記憶しておき、その記憶した劣化度情報及び精度検証の検証情報を基に精度検証の実施の要否を判定する構成である。
【0102】
これにより、複数の超音波診断装置に超音波プローブが共有される場合にも、各超音波プローブの適切な劣化度情報及び精度検証の検証情報を取得することが可能となる。これにより、複数の超音波診断装置に超音波プローブが共有される場合にも、操作者は、超音波プローブの劣化度に合わせて精度検証の実施が必要な検証項目を把握することができる。したがって、操作者は、いずれの検証項目の精度検証を実施する必要があるかを容易に把握でき、効率的かつ適切な精度検証を実施することが可能となる。
【0103】
〔第3の実施形態〕
以下、この発明の第3の実施形態に係る超音波診断装置について説明する。本実施形態に係る超音波診断装置は、現在精度検証を実施する必要がない場合に、次にいつ精度検証を実施する必要があるかの予測を行う構成であることが第1の実施形態及び第2の実施形態と異なるものである。そこで、以下の説明では、精度検証の実施タイミングの予測について主に説明する。本実施形態に係る超音波診断装置の構成も、図1に示すブロック図で表わされる。以下の説明では、第1の実施形態と同一の符号を付された機能部は特に説明のない限り同じ機能を有するものとする。
【0104】
本実施形態に係る超音波診断装置は、図1の一点鎖線で示される精度検証タイミング判定部110が第1の実施形態に加わった構成である。
【0105】
劣化度情報取得部101、劣化度情報記憶部102、及び精度検証情報記憶部104は第1の実施形態と同様に動作し、劣化度情報記憶部102は劣化度情報を精度検証情報記憶部104は精度検証の検証情報を記憶する。
【0106】
精度検証要否判定部105は、まず第1の実施形態と同様に劣化度情報及び精度検証の検証情報を基に現在(超音波プローブ001が操作者により使用するとして選択された時点)における精度検証の実施の要否を検証項目毎に判断する。
【0107】
そして、精度検証要否判定部105は、現在での精度検証の実施が必要と判断した場合には、第1の実施形態と同様に表示部109に精度検証の実施が必要な旨を表示させる。
【0108】
さらに、本実施形態では、精度検証要否判定部105は、現在での精度検証の実施が不要と判断した場合には、精度検証タイミング判定部110に対し次の精度検証を実施するタイミングの予測の実施命令を現在の超音波プローブ001の識別情報とともに出力する。
【0109】
精度検証タイミング判定部110は、メモリなどの記憶領域を有している。そして、精度検証タイミング判定部110は、精度検証要否判定部105が記憶している閾値と同じ閾値(Α)を記憶している。さらに、精度検証タイミング判定部110は、劣化度情報、現在の日付、前回精度検証が実施された日付、及び記憶している閾値から次に精度検証の実施が必要となるタイミングを算出する式を記憶している。この式は、精度検証要否判定部105が記憶している算出式(f(x))の逆関数、すなわちf−1(x)でよい。
【0110】
次に、図9を参照して精度検証タイミング判定部110の精度検証タイミングの判定について説明する。ここで、図9は本実施形態における現在の超音波プローブ001の累積通電時間を表すグラフである。図9のグラフは縦軸として累積通電時間を、横軸として日付を採っている。
【0111】
精度検証タイミング判定部110は、精度検証要否判定部105から次の精度検証を実施するタイミングの予測の実施命令の入力を現在の超音波プローブ001の識別情報とともに受ける。そして、精度検証タイミング判定部110は、精度検証情報記憶部104から各検証項目における前回の精度検証の実施の日付を取得する。本実施形態では、前回の精度検証の実施の日付として日付D11が取得されたものとする。さらに、精度検証タイミング判定部110は、劣化度情報記憶部102から現在の超音波プローブ001の前回の精度検証の実施時点の劣化度情報としてT11及び現在の劣化度情報としてT10を取得する。さらに、精度検証タイミング判定部110は、時計を有しており、その時計から現在の日付を取得する。こここで、現在の日付として日付D10を取得したものとする。ここで、本実施形態では精度検証タイミング判定部110自身が劣化度情報記憶部102や精度検証情報記憶部104を参照することで各日付及び各劣化度情報を取得しているが、これは精度検証要否判定部105から取得する構成でもよい。
【0112】
精度検証タイミング判定部110は、記憶している式f−1(x)に閾値Αを代入して、精度検証の実施が必要となる劣化度情報の差を求める。ここでは、精度検証の実施が必要となる劣化度情報の差をΔTと表す。すなわちΔT=f−1(Α)となる。
【0113】
さらに、精度検証タイミング判定部110は、日付D11から日付D10までの劣化度情報の変化を基に、劣化度情報の差がΔTとなる日付(ここでは、D12とする。)を算出する。例えば、精度検証タイミング判定部110は、日付D11から日付D10の劣化度情報が一次関数的に増加したとする場合に、その増加と同様に劣化度情報が一次関数的に増えていったときに、日付D11における劣化度情報との差がΔTになる日付D12を求める。ここで、日付D12における劣化度情報をT12とすると、ΔT=T12−T11となる日付D12を求める。具体的には、精度検証タイミング判定部110は、D12=D11+ΔD、ΔD=(D10−D11)×ΔT/(T10−T11)=Δd×ΔT/Δt(Δd=D10−D11、Δt=T10−T11、ΔT=T12−T11)を満たすD12を求めることになる。ここで、D10−D11は、日付D11から日付D10までの期間を表すものであり、具体的には日数である。
【0114】
そして、精度検証タイミング判定部110は、求めた日付D2に次の精度検証の実施が必要となる旨の情報を報知部106へ出力する。この精度検証タイミング判定部110が本発明における「精度検証タイミング判定手段」にあたる。
【0115】
報知部106は、精度検証タイミング判定部110から求めた日付D2に次の精度検証の実施が必要となる旨の情報の入力を受けて、表示制御部103を介して表示部109に日付D2に次の精度検証の実施が必要となる旨を表示させる。
【0116】
以上に説明したように、本実施形態に係る超音波診断装置は、現在の時点では精度検証の実施が不要な場合に、次に精度検証を実施する必要があるタイミングを予測し通知する構成である。
【0117】
これにより、操作者はいつ頃精度検証を実施する必要があるかを容易に把握することができ、計画的に精度検証を実施することが可能となり、適切なタイミングで精度検証を実施することが可能となる。
【0118】
以上の説明では、第1の実施形態に精度検証を行うタイミングを予測する構成を付加した構成で説明したが、これは第2の実施形態に付加した構成としても同様に動作する。さらに、第2の実施形態に精度検証を行うタイミングを予測する構成を付加する場合には、図8の一点鎖線で示される精度検証タイミング判定部150を付加した構成となる。この場合、精度検証タイミング判定部150は、本実施形態で説明した精度検証タイミング判定部110と同様の構成となる。
【0119】
〔第4の実施形態〕
以下、この発明の第4の実施形態に係る超音波診断装置について説明する。本実施形態に係る超音波診断装置は、劣化度情報に応じて精度検証の実施の要否を判定する検証項目を絞り込んで判定する構成であることが第1の実施形態、及び第2の実施形態と異なるものである。そこで、以下の説明では、劣化度情報に応じた検証項目の絞り込みについて主に説明する。本実施形態に係る超音波診断装置の構成も、図1に示すブロック図で表わされる。以下の説明では、第1の実施形態と同一の符号を付された機能部は特に説明のない限り同じ機能を有するものとする。
【0120】
精度検証要否判定部105は、図10のような劣化度情報とそれに対応する精度検証の検証項目を記載したテーブル900を予め記憶している。図10は劣化度情報とそれに対応する検証項目を表すテーブルの一例の図である。テーブル900は劣化度情報901を行に、精度検証の検証項目である精度検証項目902を列に有するテーブルである。そして、劣化度情報901のそれぞれが閾値に達したときに精度検証を実施しなければならない精度検証項目902の対応するようにチェック903が記載されている。例えば、劣化度情報901として累積通電時間が閾値に達した場合には、チェック903が付いている精度検証項目902である音速測定、距離精度、距離計測精度測定、スライス幅測定、距離分解能測定、方位分解能測定を実施する必要がある。言い換え得れば、機械軸方向の方位精度測定は実施する必要がない。
【0121】
精度検証要否判定部105は、操作者による使用する超音波プローブ001の選択を受けて、精度検証情報記憶部104から検証項目毎の前回の検証日時を取得する。そして、精度検証要否判定部105はテーブル900を参照し、各劣化度情報に対応する検証項目を取得する。そして、精度検証要否判定部105は、劣化度情報記憶部102から、現在の各劣化度情報を取得するとともに、各劣化度情報に対応する検証項目毎の取得した検証日時におけるその劣化度情報を取得する。
【0122】
そして、精度検証要否判定部105は、劣化度情報毎に、対応する各検証項目それぞれの精度検証の実施の要否を判定する。
【0123】
精度検証要否判定部105は、精度検証の実施が必要と判断した場合には、必要と判断した検証項目の情報を表示制御部103を介して表示部109に表示させる。
【0124】
ここで、以上の説明では、精度検証要否判定部105について説明したが、精度検証タイミング判定部110でも同様にテーブル900を用いて各劣化度情報に対応する検証項目に対して次の精度検証を実施するタイミングを判定する構成にすることができる。
【0125】
以上に説明したように、本実施形態に係る超音波診断装置は、各劣化度情報に対応する精度検証の検証項目についてその精度検証の実施の要否及び次回の精度検証を実施するタイミングを判定する構成である。
【0126】
これにより、操作者は超音波プローブの劣化度情報に合わせて実施が必要な精度検証の検証項目を特定することが可能となり、必要のない検証項目の精度検証を実施することを回避でき、効率的な精度検証を行うことが可能となる。
【0127】
また、本実施形態では、超音波診断装置での劣化度情報に対応する検証項目の精度検証の実施の要否及び次回の実施のタイミングの判定を説明したが、これは上述した超音波プローブ管理システム及び超音波プローブ管理装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0128】
001 超音波プローブ
002 送受信部
003 信号処理部
004 画像処理部
005 統括制御部
101 劣化度情報取得部
102 劣化度情報記憶部
103 表示制御部
104 精度検証情報記憶部
105 精度検証要否判定部
106 報知部
107 ユーザインタフェース
108 入力部
109 表示部
110 精度検証タイミング判定部
130 超音波診断装置
136 劣化度情報取得部
137 劣化度情報記憶部
138 劣化度情報転送部
140 超音波プローブ管理装置
143 劣化度情報記憶部
144 精度検証情報記憶部
145 精度検証要否判定部
146 報知部
150 精度検証タイミング判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたパルス電圧を超音波に変えて被検体に送信し被検体から反射した超音波エコーを受信し電気信号に変えて出力する超音波プローブと、
前記超音波プローブにパルス電圧を出力し、前記超音波プローブから前記電気信号を受信する送受信手段と、
前記電気信号に信号処理を施し超音波断層像を生成する画像生成手段と、
前記超音波画像を表示部に表示させる表示制御手段と、
前記超音波プローブの劣化度情報を前記超音波プローブの識別情報とともに取得する劣化度情報取得手段と、
前記劣化度情報を前記超音波プローブの識別情報と対応させて記憶しておく劣化度情報記憶手段と、
複数の検証項目を有する精度検証の過去に実施された検証における実施された前記検証項目及び検証日時を少なくとも含む精度検証情報の入力を受けて記憶する精度検証情報記憶手段と、
前記超音波プローブの識別情報の入力を受けて、前記入力された識別情報に対応する超音波プローブの前記劣化度情報及び前記精度検証情報を基に精度検証の実施の要否を判定する精度検証要否判定手段と、
前記精度検証が必要と判断された場合その旨を操作者に報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記精度検証要否判定手段は、前記入力を受けた時点における前記検証項目毎の前記検証の実施の要否を判定することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記精度検証要否判定手段は、
前記劣化度情報の値を基に各検証項目の精度検証の必要度を算出するためのそれぞれの精度検証必要度算出式及び前記精度検証の必要度に対応する閾値を前記検証項目毎に予め記憶しており、前記精度検証必要度算出式及び前記閾値に基づき精度検証が必要かを判断する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記精度検証要否判定手段は、
前記入力された識別情報に対応する超音波プローブの前記各検証項目の前記精度検証が実施された時点の前記劣化度情報及び前記入力された時点の劣化度情報との差を算出し、前記算出した差に対し前記精度検証必要度算出式を用いて、前記入力された識別情報に対応する超音波プローブの各前記検証項目の前記精度検証の必要の度合いを算出し、前記算出した度合いが、前記閾値を超えている場合に前記入力された識別情報に対応する超音波プローブの精度検証が必要と判断する、
ことを特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記精度検証要否判定手段は、
前記劣化度情報の種類に対応する前記検証項目を予め記憶しており、前記劣化度情報の種類毎に対応する前記検証項目の前記精度検証の実施の要否を判定する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記入力を受けた時点における前記精度検証が不要と判断された場合に、前記入力された識別情報に対応する超音波プローブの前記劣化度情報及び前記精度検証情報を基に前記精度検証を実施する次のタイミングを求める精度検証タイミング判定手段をさらに備え、
前記報知手段は前記精度検証のタイミングを操作者に報知する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記精度検証タイミング判定手段は、
前記劣化度情報の値を基に各検証項目の精度検証の必要度を算出するための精度検証必要度算出式及び前記精度検証の必要度に対応する閾値を前記検証項目毎に予め記憶しており、前記入力された識別情報に対応する超音波プローブの前記各検証項目の前記精度検証が実施された時点の前記劣化度情報及び前記入力された時点の劣化度情報を基に、前記識別情報が入力された時点の劣化度情報の値との差が前記閾値を超える前記劣化度情報となる前記タイミングを求める、
ことを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記精度検証タイミング判定手段は、
前記劣化度情報の種類に対応する前記検証項目を予め記憶しており、前記劣化度情報の種類毎に対応する前記検証項目の前記精度検証のタイミングを求める、
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記劣化度情報取得手段は、他の超音波診断装置からも劣化度情報を取得することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項10】
超音波診断装置及び超音波プローブ管理装置を有する超音波プローブ管理システムであって、
前記超音波診断装置は、
入力されたパルス電圧を超音波に変えて被検体に送信し被検体から反射した超音波エコーを受信し電気信号に変えて出力する超音波プローブと、
前記超音波プローブの劣化度情報を前記超音波プローブの識別情報とともに取得する劣化度情報取得手段と、
前記劣化度情報を前記超音波プローブの識別情報と対応させて記憶しておく劣化度情報記憶手段と、
前記超音波プローブ管理装置に前記劣化度情報及び対応する前記超音波プローブの識別情報を出力する劣化度情報転送手段と、を備え、
前記超音波プローブ管理装置は、
複数の検証項目を有する精度検証の過去に実施された検証における実施された前記検証項目及び検証日時を少なくとも含む精度検証情報の入力を受けて記憶する精度検証情報記憶手段と、
前記劣化度情報転送手段から前記劣化度情報及び対応する前記超音波プローブの識別情報の入力を受けて、前記入力された識別情報に対応する超音波プローブの前記劣化度情報及び前記精度検証情報を基に精度検証の実施の要否を判定する精度検証要否判定手段と、
前記精度検証が必要と判断された場合その旨を操作者に報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする超音波プローブ管理システム。
【請求項11】
前記入力を受けた時点における精度検証が不要と判断された場合に、前記入力された識別情報に対応する超音波プローブの前記劣化度情報及び前記精度検証情報を基に前記精度検証を実施する次のタイミングを求める精度検証タイミング判定手段、
をさらに備えたことを特徴とする請求項8に記載の超音波プローブ管理システム。
【請求項12】
入力されたパルス電圧を超音波に変えて被検体に送信し被検体から反射した超音波エコーを受信し電気信号に変えて出力する超音波プローブを備えた超音波診断装置の制御方法であって、
前記超音波プローブの劣化度情報を前記超音波プローブの識別情報とともに取得する劣化度情報取得段階と、
前記劣化度情報を前記超音波プローブの識別情報と対応させて記憶しておく劣化度情報記憶段階と、
複数の検証項目を有する精度検証の過去に実施された検証における実施された前記検証項目及び検証日時を少なくとも含む精度検証情報の入力を受けて記憶する精度検証情報記憶段階と、
前記超音波プローブの識別情報の入力を受けて、前記入力された識別情報に対応する超音波プローブの前記劣化度情報及び前記精度検証情報を基に精度検証の実施の要否を判定する精度検証要否判定段階と、
前記精度検証が必要と判断された場合その旨を操作者に報知する検証要否報知段階と、
前記精度検証が不要と判断された場合、前記入力された識別情報に対応する超音波プローブの前記劣化度情報及び前記精度検証情報を基に前記精度検証を実施する次のタイミングを求める精度検証タイミング判定段階と、
前記報知手段は前記精度検証のタイミングを操作者に報知するタイミング報知段階と、
を有することを特徴とする超音波診断装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−36412(P2011−36412A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186491(P2009−186491)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】