説明

超音波診断装置およびプログラム

【課題】操作者が検査室から離れても、経過時間を容易に確認できるようにする。
【解決手段】早期相検査が終了したら、早期相検査の開始時点から所定時間が経過した時点で、造影タイマー6bを拡大するための拡大表示モードを実行する。所定時間は、早期相検査時間よりも長く且つ早期相検査に待ち時間が足された時間よりも短くなるように、予め設定されているので、拡大表示モードは、待ち時間の途中で実行される。拡大表示モードが実行されることによって、造影タイマー6bが拡大して表示部6に表示される。したがって、操作者は、待ち時間の間、別室から拡大された造影タイマー6cを視認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造影剤が投与された被検体からエコー信号を取得する超音波診断装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波検査を行う場合、被検体に造影剤を投与し、早期相検査と後期相検査とを行う造影検査が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-075586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
造影検査を行う場合、操作者は、被検体に造影剤を投与してからの経過時間を確認しながらスキャンをしなければならない場合がある。そこで、この経過時間を表示部に表示することができる超音波診断装置が普及している。この超音波診断装置では、表示部に経過時間が表示されているので、操作者は経過時間を容易に確認することができる。
しかし、早期相検査と後期相検査とを行う造影検査では、後期相検査の性質上、早期相検査と後期相検査との間に、一定の待ち時間を設けなければならない場合がある。一般的に、操作者は、待ち時間の間、検査室を離れることが多いが、検査室から離れてしまうと、表示部に表示されている経過時間が見づらくなってしまうという問題がある。したがって、操作者が検査室から離れても、経過時間を容易に確認できることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、プローブから超音波を送信し、造影剤が投与された被検体からエコー信号を取得し、前記エコー信号に基づいて超音波画像を得る超音波診断装置であって、
表示部と、
前記造影剤の投与からの経過時間を表す造影タイマーを、前記表示部に表示させる標準表示モードと、前記造影タイマーを前記標準表示モードよりも拡大して前記表示部に表示させる拡大表示モードとを実行する造影タイマー表示制御部と、
を有する、超音波診断装置である。
【0006】
本発明の第2の態様は、プローブから超音波を送信し、造影剤が投与された被検体からエコー信号を取得し、前記エコー信号に基づいて超音波画像を得る超音波診断装置のプログラムであって、
前記造影剤の投与からの経過時間を表す造影タイマーを、表示部に表示させる標準表示モードと、前記造影タイマーを前記標準表示モードよりも拡大して前記表示部に表示させる拡大表示モードとを実行する造影タイマー表示制御処理、
を計算機に実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
拡大表示モードを実行することによって、造影タイマーを視認しやするすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態の超音波診断装置100の概観図である。
【図2】超音波診断装置100のブロック図である。
【図3】超音波診断装置100の表示制御部5の詳細構成を示すブロック図である。
【図4】肝臓の造影検査の一例を説明するための図である。
【図5】被検体を検査するための検査室21と、検査室21に隣接する別室22とを示す概略図である。
【図6】図5に示す表示部6の表示画面の一例を示す図である。
【図7】待ち時間Wの間に、操作者11が別の作業をしている様子を示す図である。
【図8】第1の実施形態の超音波診断装置100を用いて、造影検査を行うときの手順を説明する図である。
【図9】造影タイマーが拡大して表示されたときの検査室21および別室22を示す図である。
【図10】図9に示す表示部6の表示画面の一例を示す図である。
【図11】拡大された造影タイマー6cが消えたときの画面を示す図である。
【図12】第3の実施形態の超音波診断装置を用いて造影検査を行うときの手順を説明する図である。
【図13】第4の実施形態の超音波診断装置を用いて造影検査を行うときの手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、以下の形態に限定されることはない。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態の超音波診断装置100の概観図、図2は、超音波診断装置100のブロック図、図3は、超音波診断装置100の表示制御部5の詳細構成を示すブロック図である。
【0011】
超音波診断装置100は、超音波プローブ2、送受信部3、エコーデータ処理部4、表示制御部5、表示部6、操作部7、制御部8、およびHDD(ハードディスクドライブ:Hard Disk Drive)9を有している。
【0012】
超音波プローブ2は、アレイ状に配置された複数の超音波振動子(図示省略)を有している。超音波プローブ2は、超音波振動子によって被検体に対して超音波を送信し、そのエコー信号を受信する。
【0013】
送受信部3は、制御部8からの制御信号に応答して、超音波プローブ2を所定の送信条件で駆動させ、スキャン面をスキャンさせる。また、送受信部3は、超音波プローブ2で得られたエコー信号について、整相加算処理等の信号処理を行ない、信号処理後のエコーデータをエコーデータ処理部4へ出力する。
【0014】
エコーデータ処理部4は、送受信部3から出力されたエコーデータに対し、対数圧縮処理、包絡線検波処理等の所定の処理を行う。
【0015】
表示制御部5は、図3に示すように、画像データ作成部51、メモリ52、画像表示制御部53、経過時間カウント部54、および造影タイマー表示制御部55を有する。
【0016】
画像データ作成部51は、エコーデータ処理部4から出力されたエコーデータを、スキャンコンバータ(Scan Converter)によって超音波画像データに変換する。
【0017】
メモリ52は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの半導体メモリ(Memory)で構成される。メモリ52には、例えば、エコーデータ処理部4から出力されたエコーデータや、画像データ作成部51で作成された超音波画像データが記憶される。
【0018】
画像表示制御部53は、画像データ作成部51で作成された超音波画像データが表す超音波画像を、表示部6に表示させる。
【0019】
経過時間カウント部54は、造影剤の投与からの経過時間tをカウントする。また、経過時間カウント部54は、操作部7から、造影剤の投与が開始された時点を表す情報が入力されたときに、経過時間tのカウントを開始する。
【0020】
造影タイマー表示制御部55は、造影剤の投与からの経過時間tを表す造影タイマー(例えば、図10参照)を表示部6に表示させる。造影タイマー表示制御部55は、標準表示モードと拡大表示モードとの2つの表示モードを実行する。標準表示モードは、造影タイマーを標準の大きさで表示部6に表示させる表示モードであり、一方、拡大表示モードは、造影タイマーを標準表示モードよりも拡大して表示部6に表示させる表示モードである。
【0021】
表示部6は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などで構成される。操作部7は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを有している。操作部7は、本発明における操作部の一例である。
【0022】
制御部8は、HDD9に記憶された制御プログラムを読み出し、超音波診断装置100の各部における機能を実行させる。
【0023】
HDD9は、制御プログラムや、画像データ作成部51により作成された超音波画像データなどを記憶する。
【0024】
超音波診断装置100は、上記のように構成されている。
第1の実施形態では、造影タイマー表示制御部55が、標準表示モードの他に、造影タイマーを拡大して表示する拡大表示モードを備えている。このように、標準表示モードと拡大表示モードとの両方を備えることによって、造影検査を行う場合に、標準表示モードのみでは得ることができないような有利な効果を得ることができる。以下に、この有利な効果を説明するために、造影タイマー表示制御部55が標準表示モードのみしか備えていない場合に、どのような問題点があるかについて説明する。
【0025】
図4〜図7は、造影検査を行う場合に、造影タイマー表示制御部が標準表示モードのみしか備えていないときに生じる問題点を説明する図である。尚、以下では、造影検査として、肝臓の造影検査を行う場合について説明するが、本発明は、肝臓以外の別の部位を造影撮影する場合にも適用できる。
【0026】
図4は、肝臓の造影検査の一例を説明するための図である。
肝臓の造影検査は、早期相検査と、後期相検査とを有している。
【0027】
早期相検査は、造影剤を投与してから時間Taが経過するまでの間、行われる。時間Taは、例えば、60秒〜120秒である。後期相検査は、造影剤の肝実質への取込みの有無の確認をするための検査であり、造影剤を投与してから時間Tb(>Ta)が経過した時点で開始される。時間Tbは、例えば、6分〜12分である。また、後期相検査の性質上、早期相検査が終了した後、後期相検査を開始するまでの間には、ある程度の待ち時間Wが設けられる。
【0028】
以下に、操作者がどのように肝臓の造影検査を行うかについて、図5〜図7を参照しながら説明する。
【0029】
図5は、被検体を検査するための検査室21と、検査室21に隣接する別室22とを示す概略図であり、図6は、図5に示す表示部6の表示画面の一例を示す図である。
【0030】
操作者11は、被検体12を検査室21に案内し、被検体12を検査室21のベッド210に寝かせる。そして、被検体12に造影剤を投与し、超音波診断装置100の表示部6を見ながら、早期相検査を行う。
【0031】
操作者11は、操作部7(図2参照)を操作して、被検体12に造影剤を投与するときに、造影剤の投与が開始された時点を表す情報を入力する。第1の実施形態では、操作者11が、スタートボタン6a(図6参照)をクリックすることによって、造影剤の投与が開始された時点を表す情報が入力される。このボタン6aがクリックされると、経過時間カウント部54(図3参照)は、ボタン6aがクリックされた時点t1(図4参照)を、投影剤の投与開始時点として、造影剤の投与からの経過時間tをカウントする。造影タイマー表示制御部55(図3参照)は、標準表示モードを実行し、経過時間カウント部54によってカウントされた経過時間tを、造影剤を投与してからの経過時間tを表す造影タイマー6bとして、表示部6に表示させる。
【0032】
また、操作者11は、超音波プローブ2を用いて、早期相における肝臓をスキャンし、早期相検査を行う。超音波プローブ2は、超音波を送信し、被検体12からのエコー信号を取得する。エコー信号が取得されると、エコーデータ処理部4(図2参照)は、エコーデータに所定の処理を行う。画像データ作成部51(図3参照)は、エコーデータ処理部4から出力されたエコーデータを、超音波画像データに変換する。画像表示制御部53は、超音波画像データが表す超音波画像を表示部6に表示させる。表示部6には、一定のフレームレートで超音波画像が表示される。図5および図6では、造影タイマー6bの表示時間が「0:16」であるので、超音波画像G0は、造影剤を投与してから16秒経過した時点の画像である。
【0033】
早期相検査の検査時間Taは、図4に示すように、例えば、造影剤を投与してから60秒〜120秒経過するまでの時間である。早期相検査を終了した後、操作者11は、造影剤の肝実質への取込みの有無の確認をするための後期相検査を実行する。ただし、後期相検査は、造影剤を投与してから時間Tb(例えば、6分〜12分)が経過した時点で開始されるので、操作者11は、早期相検査が終了した直後に後期相検査を開始するのではなく、図4に示すように、早期相検査が終了した後、ある程度の待ち時間Wを設けて、後期相検査を開始する。したがって、操作者11は、早期相検査の終了時点t2と、後期相検査の開始時点t3との間に、待ち時間Wを設ける。待ち時間Wは、例えば、5分〜10分程度である。待ち時間Wの間、被検体12のスキャンは行われないので、操作者11は、プローブ2から超音波を送信するのを停止し、プローブ2をプローブホルダー2Aに戻す。そして、操作者11は、待ち時間Wの間、別の作業をすることがある(図7参照)。
【0034】
図7は、待ち時間Wの間に、操作者11が別の作業をしている様子を示す図である。
操作者11は、待ち時間Wの間、例えば、検査室21の外に出て、別室22で所見を書くなどの別の作業をすることがある。ただし、操作者11は、造影剤が投与されてから時間Tb(例えば、6分〜12分)が経過したら、後期相検査を開始する必要があるので、待ち時間Wの間も、造影タイマー6bの経過時間tを確認する必要がある。造影タイマー6bは、表示部6に表示されているので、操作者11は表示部6を見ることによって、造影タイマー6bの経過時間tを確認することができる。しかし、図7に示すように、造影タイマーは、表示部6の左下の隅に小さく表示されているので、操作者11は、別室22にいたままでは、造影タイマー6bの表示が小さすぎて、造影タイマー6bの経過時間tを視認することができない。したがって、操作者11は、造影タイマー6bの経過時間tを視認するためには、別室22から検査室21に移動し、表示部6を覗き込む必要がある。表示部6を覗き込んだ操作者11は、造影タイマー6bの経過時間tを確認し、後期相検査を開始するにはまだ早いと判断したら、再び検査室21から別室22に移動する。したがって、待ち時間Wの間、操作者11は、検査室21と別室22の間を何度か往復する必要があり、煩わしく感じる。そこで、第1の実施形態の超音波診断装置100では、この煩わしさを解消するために、造影タイマー表示制御部55は、標準表示モードの他に、拡大表示モードを備えている。以下に、造影タイマー表示制御部55が、拡大表示モードを備えることによって上記の煩わしさを解消できる理由について、図8〜図10を参照しながら説明する。
【0035】
図8は、第1の実施形態の超音波診断装置100を用いて、造影検査を行うときの手順を説明する図である。
【0036】
操作者11は、被検体12に造影剤を投与し、早期相検査を行う。尚、早期相検査における超音波診断装置100の動作および操作者11が行う操作は、図4〜図6を参照しながら説明した手順と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0037】
早期相検査が終了したら、操作者11は、プローブ2からの超音波の送信を停止し、プローブ2をプローブホルダー2Aに戻す。図8では、プローブ2からの超音波の送信が停止された時点を、「t21」で示してある。そして、操作者11は、別室22に移動し(図7参照)、別の作業をする。一方、造影タイマー表示制御部55は、時点t1から時間Tcが経過した時点t22で、造影タイマー6bを拡大するための拡大表示モードを開始する。時間Tcは、Taよりも長く且つTbよりも短くなるように、予め設定されている。したがって、拡大表示モードは、待ち時間Wの途中で開始される。拡大表示モードが開始されることによって、造影タイマー6bが拡大して表示部6に表示される(図9および図10参照)。
【0038】
図9は、造影タイマーが拡大して表示されたときの検査室21および別室22を示す図、図10は、図9に示す表示部6の表示画面の一例を示す図である。
【0039】
表示部6の表示画面には、拡大された造影タイマー6cが表示されている。したがって、操作者11は、別室22から検査室21に移動しなくても、別室22から造影タイマー6cを視認することができる。また、別室22から造影タイマー6cを視認することができるので、操作者11は、待ち時間Wの間に、検査室21と別室22の間を何度も往復する必要がなく、所見を書くなどの別の仕事を効率よく進めることができる。
【0040】
操作者11は、待ち時間Wの間、別室22から造影タイマー6cを確認し、後期相検査を開始すべき時間が近づいたら、別室22から検査室21に戻る。検査室21に戻った操作者11は、先ず、操作部7を操作して、拡大表示モードを終了させるための命令を入力する。第1の実施形態では、操作者11が、拡大表示終了ボタン6dをクリックすることによって、拡大表示モードを終了させるための命令が入力される。この命令が入力されると、造影タイマー表示制御部55は、拡大表示モードを終了する(図8では、拡大表示モードの終了時点は、t23で示されている)。したがって、拡大表示モードは、時間Teの間実行されているが、拡大表示モードを終了させるための命令が入力されることによって、終了する。造影タイマー表示制御部55が拡大表示モードを終了すると、表示部6の画面から、拡大された造影タイマー6cが消える(図11参照)。
【0041】
図11は、拡大された造影タイマー6cが消えたときの画面を示す図である。
操作者11は、表示部6の画面から、拡大された造影タイマー6cを消した後、プローブ2からの超音波の送信を再開し、後期相検査をする。このようにして、造影検査が終了する。
【0042】
第1の実施形態では、待ち時間Wの間に、表示部6に、拡大された造影タイマー6cが表示される。したがって、操作者11は、別室22から検査室21に移動しなくても、別室22から造影タイマー6cを視認することができるので、待ち時間Wの間に、検査室21と別室22の間を何度も往復する必要がなく、所見を書くなどの別の仕事を効率よく進めることができる。
【0043】
尚、拡大表示モードの開始時点t22は、早期相検査の終了時点t2よりもTdだけ遅れているので、操作者11は、時間Tdの間は、別室22から造影タイマーを視認することができない。しかし、時点t22において、拡大された造影タイマー6cが表示されるので、時点t22以降は、操作者11は、別室22から造影タイマー6cを視認できる。したがって、拡大表示モードの開始時点t22から後期相検査の開始時点t3までの時間を十分に確保しておけば、別室22から造影タイマーを視認できない時間Tdがあっても、操作者11は、後期相検査を開始するまで、別室22で慌てることなく別の仕事をすることができる。
【0044】
第1の実施形態では、時間Tcは、時間Taよりも長く設定されている。しかし、時間Tcは、時間Taより短くてもよい。
【0045】
また、第1の実施形態では、操作者11が拡大表示終了ボタン6dをクリックすることによって、造影タイマー表示制御部55が拡大表示モードを終了するようにしている。しかし、操作者11がプローブ2からの超音波の送信を再開したときに、造影タイマー表示制御部55が拡大表示モードを終了するようにしてもよい。
【0046】
尚、第1の実施形態では、標準の大きさの造影タイマー6bと、拡大された造影タイマー6cとの両方が表示されている(図10参照)。しかし、拡大された造影タイマー6cを表示している間は、標準の大きさの造影タイマー6bを非表示にしてもよい。
【0047】
(2)第2の実施形態
第2の実施形態の超音波診断装置については、第1の実施形態の超音波診断装置との相違点を主に説明する。
【0048】
第1の実施形態の超音波診断装置は、造影剤の投与開始時点t1から時間Tcが経過した時点t22で、造影タイマー6bを拡大するための拡大表示モードを開始している。しかし、第2の実施形態の超音波診断装置は、プローブ2からの超音波の送信が停止された時点t21から所定の時間Tfが経過した時点で、拡大表示モードを開始するように構成されている。尚、その他の構成については、第1の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0049】
以下に、第2の実施形態の超音波診断装置を用いて造影検査を行うときの手順について、図8を参照しながら説明する。
【0050】
操作者11は、被検体12に造影剤を投与し、早期相検査を行う。尚、早期相検査における超音波診断装置の動作および操作者が行う操作は、図4〜図6を参照しながら説明した手順と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0051】
早期相検査が終了したら、操作者11は、プローブ2からの超音波の送信を停止し、プローブ2をプローブホルダー2Aに戻す。そして、操作者11は、別室22に移動し(図7参照)、別の作業をする。一方、造影タイマー表示制御部55は、超音波の送信が停止された時点t21から時間Tfが経過した時点t22で、造影タイマー6bを拡大するための拡大表示モードを開始する。時間Tfは、待ち時間Wよりも十分に短い時間(例えば、2分〜3分)に予め設定されているので、拡大表示モードは、待ち時間Wの途中で開始される。拡大表示モードが開始されることによって、図9および図10に示すように、拡大された造影タイマー6cが表示部6に表示される。したがって、操作者11は、別室22から検査室11に移動しなくても、別室22から造影タイマー6cを視認することができる。
【0052】
操作者11は、待ち時間Wの間、別室22から造影タイマー6cを確認し、後期相検査を開始すべき時間が近づいたら、別室22から検査室21に戻る。操作者は、検査室21に戻ったら、第1の実施形態と同様に、表示部6の画面から、拡大された造影タイマー6cを消し、後期相検査をする。このようにして、造影検査が終了する。
【0053】
第2の実施形態では、超音波の送信が停止された時点t21から時間Tfが経過した時点t22で、拡大表示モードが開始されるので、拡大された造影タイマー6cは、待ち時間Wの途中で表示される。したがって、操作者11は、別室22から検査室21に移動しなくても、別室22から造影タイマー6cを視認することができるので、待ち時間Wの間に、検査室21と別室22の間を何度も往復する必要がなく、所見を書くなどの別の仕事を効率よく進めることができる。
【0054】
(3)第3の実施形態
第1および第2の実施形態では、操作者11は、プローブ2からの超音波の送信を停止させてから、別室22に移動している。しかし、第3の実施形態では、操作者11が、プローブ2から超音波を送信させたままで別室22に移動した場合について説明する。
【0055】
尚、第3の実施形態の超音波診断装置については、第1の実施形態の超音波診断装置との相違点を主に説明する。
【0056】
第1の実施形態の超音波診断装置は、造影剤の投与開始時点t1から時間Tcが経過した時点t22で、造影タイマー6bを拡大するための拡大表示モードを開始している。しかし、第3の実施形態の超音波診断装置は、プローブ2が所定の時間Thの間被検体に当てられていない場合に拡大表示モードを開始するように構成されている。尚、その他の構成については、第1の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0057】
以下に、第3の実施形態の超音波診断装置を用いて造影検査を行うときの手順について説明する。
【0058】
図12は、第3の実施形態の超音波診断装置を用いて造影検査を行うときの手順を説明する図である。
【0059】
操作者11は、被検体12に造影剤を投与し、早期相検査を行う。尚、早期相検査における超音波診断装置の動作および操作者が行う操作は、図4〜図6を参照しながら説明した手順と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0060】
早期相検査が終了したら、操作者11は、プローブ2からの超音波を送信させたままでプローブ2をプローブホルダー2Aに戻す。そして、操作者11は、別室22に移動し(図7参照)、別の作業をする。待ち時間Wの間、プローブ2は被検体に当てられていないので、造影タイマー表示制御部55は、待ち時間Wの開始時点(早期相検査の終了時点)t2から時間Thが経過した時点t22で、造影タイマー6bを拡大するための拡大表示モードを開始する(尚、プローブ2が被検体に当てられていないか否かを判断する手法としては、例えば、特許2987723に記載されている技術を使用することができる)。時間Thは、待ち時間Wよりも十分に短い時間(例えば、2分〜3分)に予め設定されているので、拡大表示モードは、待ち時間Wの途中で開始される。拡大表示モードが開始されることによって、図9および図10に示すように、拡大された造影タイマー6cが表示部6に表示される。したがって、操作者11は、別室22から検査室11に移動しなくても、別室22から造影タイマー6cを視認することができる。
【0061】
操作者11は、待ち時間Wの間、別室22から造影タイマー6cを確認し、後期相検査を開始すべき時間が近づいたら、別室22から検査室21に戻る。操作者は、検査室21に戻ったら、第1の実施形態と同様に、表示部6の画面から、拡大された造影タイマー6cを消し、後期相検査をする。このようにして、造影検査が終了する。
【0062】
第3の実施形態では、プローブ2が所定の時間Thの間被検体に当てられていない場合に拡大表示モードが開始されるので、拡大された造影タイマー6cは、待ち時間Wの途中で表示される。したがって、操作者11は、別室22から検査室21に移動しなくても、別室22から造影タイマー6cを視認することができるので、待ち時間Wの間に、検査室21と別室22の間を何度も往復する必要がなく、所見を書くなどの別の仕事を効率よく進めることができる。
【0063】
(4)第4の実施形態
第4の実施形態の超音波診断装置については、第1の実施形態の超音波診断装置との相違点を主に説明する。
【0064】
第1の実施形態の超音波診断装置は、造影剤の投与開始時点t1から時間Tcが経過した時点t22で、造影タイマー6bを拡大するための拡大表示モードを開始している。しかし、第4の実施形態の超音波診断装置は、操作者11が操作部7から造影タイマーを拡大する命令を入力したときに、拡大表示モードが開始されるように構成されている。
【0065】
以下に、第4の実施形態の超音波診断装置を用いて造影検査を行うときの手順について説明する。
【0066】
図13は、第4の実施形態の超音波診断装置を用いて造影検査を行うときの手順を説明する図である。
【0067】
操作者11は、被検体12に造影剤を投与し、早期相検査を行う。尚、早期相検査における超音波診断装置の動作および操作者が行う操作は、図4〜図6を参照しながら説明した手順と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0068】
早期相検査が終了したら、操作者11は、別室22に移動する前に、時点t22において、操作部7を操作して、造影タイマーを拡大して表示するための拡大命令を入力する。拡大命令が入力されると、造影タイマー表示制御部55は、拡大表示モードを開始する。拡大表示モードが実行されることによって、図9および図10に示すように、拡大された造影タイマー6cが表示部6に表示される。したがって、操作者11は、別室22から検査室11に移動しなくても、別室22から造影タイマー6cを視認することができる。
【0069】
操作者11は、待ち時間Wの間、別室22から造影タイマー6cを確認し、後期相検査を開始すべき時間が近づいたら、別室22から検査室21に戻る。操作者は、検査室21に戻ったら、第1の実施形態と同様に、表示部6の画面から、拡大された造影タイマー6cを消し、後期相検査をする。このようにして、造影検査が終了する。
【0070】
第4の実施形態では、操作者11が操作部7を操作して拡大命令を入力することによって、拡大表示モードが開始されるので、操作者11が別室22に行く前に、拡大された造影タイマー6が表示される。したがって、別室22に移動した操作者11は、別室22から検査室21に再び移動しなくても、別室22から造影タイマー6cを視認することができるので、待ち時間Wの間に、検査室21と別室22の間を何度も往復する必要がなく、所見を書くなどの別の仕事を効率よく進めることができる。
【0071】
尚、第1〜第4の実施形態では、拡大された造影タイマー6cは、超音波画像G0に重ならないように表示されているが、超音波画像G0に重なるように表示させてもよい。
【0072】
また、第1〜第4の実施形態では、拡大された造影タイマー6cは、超音波画像G0と一緒に、表示部6に表示されている。しかし、拡大された造影タイマー6cを表示部6に表示させる場合、超音波画像G0は非表示にしてもよい。
【0073】
また、第1〜第4の実施形態では、早期相検査と後期相検査とが実行される造影検査について説明されている。しかし、本発明は、早期相検査と後期相検査とが実行される場合に限定されることはなく、造影タイマーを表示させる必要がある各種の造影剤検査に適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
2 超音波プローブ
3 送受信部
4 エコーデータ処理部
5 表示制御部
6 表示部
7 操作部
8 制御部
9 HDD
51 画像データ作成部
52 メモリ
53 画像表示制御部
54 経過時間カウント部
55 造影タイマー表示制御部
100 超音波診断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブから超音波を送信し、造影剤が投与された被検体からエコー信号を取得し、前記エコー信号に基づいて超音波画像を得る超音波診断装置であって、
表示部と、
前記造影剤の投与からの経過時間を表す造影タイマーを、前記表示部に表示させる標準表示モードと、前記造影タイマーを前記標準表示モードよりも拡大して前記表示部に表示させる拡大表示モードとを実行する造影タイマー表示制御部と、
を有する、超音波診断装置。
【請求項2】
前記造影タイマー表示制御部は、
前記造影剤の投与から所定の時間が経過した時点で、前記拡大表示モードを開始する、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記造影タイマー表示制御部は、
前記プローブからの超音波の送信が停止された時点から所定の時間が経過した時点で、前記拡大表示モードを開始する、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記造影タイマー表示制御部は、
前記プローブが所定の時間の間被検体に当てられていない場合、前記拡大表示モードを開始する、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記造影タイマー表示制御部は、
操作部から前記造影タイマーを拡大して表示するための拡大命令が入力されたときに、前記拡大表示モードを開始する、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記拡大された造影タイマーは、前記超音波画像と一緒に、前記表示部に表示される、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記拡大された造影タイマーが前記表示部に表示される場合、前記超音波画像は非表示にされる、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記造影タイマー表示制御部は、
操作部から前記拡大表示モードを終了させるための命令が入力されたときに、前記拡大表示モードを終了する、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記造影タイマー表示制御部は、
前記プローブからの超音波の送信が再開されたときに、前記拡大表示モードを終了する、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記経過時間をカウントする経過時間カウント部を有する、請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記経過時間カウント部は、
操作部から、前記造影剤の投与が開始された時点を表す情報が入力されたときに、前記経過時間のカウントを開始する、請求項10に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記造影タイマー表示制御部は、
早期相検査と後期相検査との間の待ち時間に、前記拡大表示モードを開始する、請求項1〜11のうちのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
プローブから超音波を送信し、造影剤が投与された被検体からエコー信号を取得し、前記エコー信号に基づいて超音波画像を得る超音波診断装置のプログラムであって、
前記造影剤の投与からの経過時間を表す造影タイマーを、表示部に表示させる標準表示モードと、前記造影タイマーを前記標準表示モードよりも拡大して前記表示部に表示させる拡大表示モードとを実行する造影タイマー表示制御処理、
を計算機に実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−24232(P2012−24232A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164656(P2010−164656)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】