説明

超音波診断装置及びその制御プログラム

【課題】造影画像の観察に支障をきたすことなく、断面を容易に確認することができる超音波診断装置を提供する。
【解決手段】造影画像HGを表示させる造影画像表示制御部と、前記造影画像HGに設定された所定の領域R内に、被検体内における造影剤に関わりなく被検体の断面を特定可能な断面特定画像として、Bモード画像BGを表示させるBモード画像表示制御部と、を備えることを特徴とする。領域Rには、Bモード画像BGの代わりに、カラードプラ画像、パワードプラ画像、Bフロー画像を表示してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造影画像を表示する超音波診断装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
造影画像は、被検体に造影剤を注入して超音波の送受信を行ない、得られたエコー信号に基づいて高調波を抽出して作成された画像である(例えば、特許文献1参照)。例えば、肝臓を対象とした造影画像においては、造影剤が肝臓に浸潤していく様子や、肝臓に浸潤した造影剤が抜け落ちていく様子などを継続的に観察している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−77788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、肝臓を対象とする造影画像においては、例えば造影剤が浸潤するまでは全体の輝度が低く、組織や血管などを視認することが困難である。従って、造影画像において、観察したい所望の断面を特定することが困難な場合がある。一方、Bモード画像は、造影剤が浸潤していない場合であっても組織や血管などを視認することができる。このようなことから、所望の断面についての造影画像の観察を行なうにあたり、Bモード画像を表示して所望の断面であることを確認した後に、造影画像の表示を行なう必要があり煩雑である。
【0005】
また、リアルタイムの造影画像を比較的長時間にわたって観察する場合には、超音波プローブを手で保持しながらスキャンを行なっているため、スキャン位置がずれて造影画像の断面が移動してしまう場合がある。従って、例えば造影画像とBモード画像とを切り替えて表示したり、造影画像とBモード画像とを並べて表示したりすることによって、Bモード画像において、所望の断面が表示されているかを確認している。しかし、両画像の切替えは面倒であり、また並べて表示するといずれか一方のみを表示する場合と比べて画像が小さくなるとともに、操作者が視線を移動させる必要があるので、造影画像の観察に支障をきたす。以上のことから、造影画像の観察に支障をきたすことなく、断面を容易に確認することができる超音波診断装置及びその制御プログラムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するためになされた第1の観点の発明は、造影画像を表示させる造影画像表示制御部と、前記造影画像に設定された所定の領域内に、被検体内における造影剤に関わりなく被検体の断面を特定可能な断面特定画像を表示させる断面特定画像表示制御部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0007】
第2の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記断面特定画像は、Bモード画像であることを特徴とする超音波診断装置である。
【0008】
第3の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記断面特定画像は、カラードプラ画像であることを特徴とする超音波診断装置である。
【0009】
第4の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記断面特定画像は、パワードプラ画像であることを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
第5の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記断面特定画像は、Bフロー画像であることを特徴とする超音波診断装置である。
【0011】
第6の観点の発明は、第1〜5のいずれか一の観点の発明において、前記所定の領域を設定する入力を行なう操作部を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0012】
第7の観点の発明は、第1〜6のいずれか一の観点の発明において、被検体に対して超音波を送信してエコーを受信する超音波プローブの三次元空間における位置を検出するための位置センサと、該位置センサの位置検出情報に基づいて、前記三次元空間におけるエコーデータの位置を算出する位置算出部と、予め取得された医用画像のデータを記憶する記憶部と、該記憶部に記憶された前記医用画像のデータに基づく医用画像を表示させる医用画像表示制御部と、を備え、前記造影画像表示制御部及び前記断面特定画像表示制御部は、前記超音波プローブによって取得されるエコーに基づく造影画像及び断面特定画像を表示させ、前記医用画像表示制御部は、前記位置算出部によって算出された前記エコーデータの位置に基づいて、前記造影画像及び前記断面特定画像と同一断面の医用画像を表示させることを特徴とする超音波診断装置である。
【0013】
第8の観点の発明は、造影画像を表示させる造影画像表示制御機能と、前記造影画像に設定された所定の領域内に、被検体内における造影剤に関わりなく被検体の断面を特定可能な断面特定画像を表示させる断面特定画像表示制御機能と、をコンピュータに実行させることを特徴とする超音波診断装置の制御プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
上記観点の発明によれば、前記造影画像に設定された所定の領域内に、例えばBモード画像、カラードプラ画像、パワードプラ画像、Bフロー画像など、被検体内における造影剤に関わりなく被検体の断面を特定可能な断面特定画像が表示されるので、造影画像の観察に支障をきたすことなく、断面を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の第一実施形態の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】造影画像に設定された領域にBモード画像が表示された表示部の表示の一例を示す図である。
【図4】血管が分岐している部分のBモード画像が表示された表示部の表示の一例を示す図である。
【図5】第一実施形態の第一変形例の超音波診断装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図6】図5に示す超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図7】第一実施形態の第二変形例の超音波診断装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図8】図7に示す超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図9】第一実施形態の第三変形例の超音波診断装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図10】図9に示す超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明に係る超音波診断装置の第二実施形態の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図12】図11に示す超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図13】Bモード画像及び医用画像が並んで表示された表示部の表示の一例を示す図である。
【図14】同一断面のBモード画像及び医用画像が並んで表示された表示部の表示の一例を示す図である。
【図15】同一断面の造影画像及びBモード画像と医用画像とが並んで表示された表示部の表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図4に基づいて詳細に説明する。図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信部3、Bモード処理部4、造影モード処理部5、表示制御部6、表示部7、操作部8、制御部9、HDD(ハードディスクドライブ:Hard Disk Drive)10を備える。
【0017】
前記超音波プローブ2は、アレイ状に配置された複数の超音波振動子(図示省略)を有して構成され、この超音波振動子によって被検体に対して超音波を送信し、そのエコー信号を受信する。前記送受信部3は、前記超音波プローブ2を所定の送信条件で駆動させ、スキャン面を超音波ビームによって音線順次で走査させる。前記送受信部3は前記制御部9からの制御信号によって前記超音波プローブ2を駆動させる。
【0018】
また、前記送受信部3は、前記超音波プローブ2で得られたエコー信号について、整相加算処理等の信号処理を行ない、信号処理後のエコーデータを前記Bモード処理部4及び前記造影モード処理部5へ出力する。
【0019】
前記Bモード処理部4は、前記送受信部3から出力されたエコーデータに対し、対数圧縮処理、包絡線検波処理等の所定の処理を行ってBモードデータを作成する。前記Bモード処理部4から出力されたBモードデータは前記表示制御部6に入力される。
【0020】
前記造影モード処理部5は、エコーデータに含まれる高調波成分(例えば2次高調波成分)を抽出して造影モードデータを作成する。前記造影モード処理部5から出力された造影モードデータは、前記表示制御部6に入力される。
【0021】
ちなみに、高調波成分には造影剤からのエコーが支配的に含まれるため、後述のように前記造影モードデータに基づいて作成される造影画像HGは、主に造影剤を明瞭に映し出した画像である。
【0022】
前記表示制御部6は、図2に示すように、メモリ61、造影画像表示制御部62及びBモード画像表示制御部63を有する。前記メモリ61は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体メモリ(Memory)などで構成される。このメモリ61には、例えば前記Bモードデータや前記造影モードデータなどが記憶される。前記Bモードデータ及び前記造影モードデータは、前記HDD10に記憶されるようになっていてもよい。
【0023】
前記造影画像表示制御部62は、音線毎の前記造影モードデータをスキャンコンバータ(Scan Converter)によって造影モード画像データに変換し、この造影モード画像データに基づく造影画像HGを前記表示部7に表示させる(造影画像表示制御機能)。前記造影画像表示制御部62は、本発明における造影画像表示制御部の実施の形態の一例であり、また前記造影画像表示制御機能は、本発明における造影画像表示制御機能の実施の形態の一例である。
【0024】
前記Bモード画像表示制御部63は、音線毎の前記BモードデータをスキャンコンバータによってBモード画像データに変換し、このBモード画像データに基づくBモード画像BGを前記表示部7に表示させる(Bモード画像表示制御機能)。前記Bモード画像表示制御部62は、図3に示すように、前記造影画像HGに設定された領域R内に、前記Bモード画像BGを表示させる。
【0025】
ここで、前記造影画像HGは、上述のように主に造影剤を明瞭に映し出した画像であるため、前記造影画像HGは、超音波のスキャン領域に造影剤が浸潤していない場合には低輝度の画像になって組織や血管などを視認することが困難になる。また、前記造影画像HGは、スキャン領域の全体に造影剤が浸潤してしまうと、高輝度の画像になって組織や血管などを視認することが困難になる。一方、主に造影剤を明瞭に映し出した画像ではない前記Bモード画像BGは、造影剤がスキャン領域に浸潤していない場合であっても、造影剤がスキャン領域の全体に浸潤した場合であっても、組織や血管などを視認することができ、被検体内における造影剤の浸潤状態に関わりなく被検体の断面を特定可能である。従って、前記Bモード画像BGは、本発明における断面特定画像の実施の形態の一例であり、前記Bモード画像表示制御部62は、本発明における断面特定画像表示制御部の実施の形態の一例である。また、前記Bモード画像表示制御機能は、本発明における断面特定画像表示制御機能の実施の形態の一例である。
【0026】
前記表示部7は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などで構成される。前記操作部8は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。前記操作部8においては、後述するように前記領域Rの位置や大きさなどを調節してこの領域Rを設定する入力が行なわれる。従って、前記操作部8は本発明における操作部の実施の形態の一例である。
【0027】
前記制御部9は、CPU(CentRal Processing Unit)を有して構成される。この制御部9は、前記HDD10に記憶された制御プログラムを読み出し、前記造影画像表示制御機能や前記Bモード画像表示制御機能をはじめとする前記超音波診断装置1の各部における機能を実行させる。
【0028】
さて、本例の超音波診断装置1の作用について説明する。被検体に造影剤を注入して造影モードの撮影を開始すると、前記造影画像表示制御部62は図3に示すように造影画像HGを表示し、また前記Bモード画像表示制御部63は、前記造影画像HGに設定された領域R内にBモード画像BGを表示させる。領域Rの位置は、前記造影画像HGにおける任意の位置であり、例えばデフォルトとして設定された位置である。次に、操作者は、図4に示すように、血管blが分岐している部分など、被検体の断面が特定できる特徴的な部位を表すBモード画像BGが表示されるよう前記領域Rを設定する。操作者は、前記操作部8のポインティングデバイスなどを用いて前記領域Rの位置や大きさなどを調節してこの領域Rの設定を行なう。ただし、前記領域Rの大きさは、前記造影画像HGの観察に支障をきたさない大きさに設定されることが望ましい。
【0029】
以上説明した本例の超音波診断装置1によれば、造影画像HGに設定された領域R内に、被検体内における造影剤の浸潤状態に関わりなく被検体の断面を特定できるBモード画像BGが表示されるので、造影画像の観察に支障をきたすことなく、断面を容易に確認することができる。
【0030】
次に、第一実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。この第一変形例では、前記Bモード画像BGの代わりにカラードプラ(color doppler)画像を表示させるようにしてもよい。具体的に説明すると、図5に示すように、第一変形例の超音波診断装置1′は、前記Bモード処理部4の代わりにカラードプラ処理部11を備え、また図6に示すように、前記表示制御部6は、前記Bモード画像表示制御部63の代わりに、カラードプラ画像表示制御部64を有している。
【0031】
前記カラードプラ処理部11は、前記送受信部3からのエコーデータに基づいて、移動するエコー源の流速や分散を求める。そして、前記カラードプラ画像表示制御部64は、前記カラードプラ処理部11で得られた流速や分散に基づくカラードプラ画像CdG(図示省略)を前記造影画像HGに設定された前記領域R内に表示させる。
【0032】
ここで、エコー源である血流の流速や分散を表すカラードプラ画像も、造影剤の浸潤状態に関わりなく血流を観察することができ被検体の断面を特定可能である。従って、この第一変形例のように、前記Bモード画像BGの代わりに前記カラードプラ画像CdGを断面特定画像として表示してもよい。この第一変形例における前記カラードプラ画像表示制御部64は、本発明における断面特定画像表示制御部の実施の形態の一例である。
【0033】
次に、第二変形例について説明する。この第二変形例では、前記Bモード画像BGやカラードプラ画像CdGの代わりにパワードプラ(power doppler)画像を表示させるようにしてもよい。具体的に説明すると、図7に示すように、第二変形例の超音波診断装置1′′は、前記Bモード処理部4や前記カラードプラ処理部11の代わりにパワードプラ処理部12を備え、また図8に示すように、前記表示制御部6は、前記Bモード画像表示制御部63や前記カラードプラ画像表示制御部64の代わりに、パワードプラ画像表示制御部65を有している。
【0034】
前記パワードプラ処理部12は、前記送受信部3からのエコーデータに基づいて、移動するエコー源のパワーを求める。そして、前記パワードプラ画像表示制御部65は、前記パワードプラ処理部12で得られたパワーに基づくパワードプラ画像PdG(図示省略)を前記造影画像HGに設定された前記領域R内に表示させる。
【0035】
ここで、エコー源のパワーを表すパワードプラ画像も、造影剤の浸潤状態に関わりなく血流を観察することができ被検体の断面を特定可能である。従って、この第二変形例のように、前記Bモード画像BGや前記カラードプラ画像CdGの代わりに前記パワードプラ画像PdGを断面特定画像として表示してもよい。この第二変形例における前記パワードプラ画像表示制御部65は、本発明における断面特定画像表示制御部の実施の形態の一例である。
【0036】
次に、第三変形例について説明する。この第三変形例では、前記Bモード画像BG、カラードプラ画像CdG、前記パワードプラ画像PdGの代わりに、血流を画像化したBフロー(B−flow)画像を表示させるようにしてもよい。具体的に説明すると、図9に示すように、第三変形例の超音波診断装置1′′′は、前記Bモード処理部4、前記カラードプラ処理部11、前記パワードプラ処理部12の代わりにBフロー処理部13を備え、また図10に示すように、前記表示制御部6は、前記Bモード画像表示制御部63、前記カラードプラ画像表示制御部64、前記パワードプラ画像表示制御部65の代わりに、Bフロー画像表示制御部66を有している。
【0037】
前記Bフロー処理部13は、前記送受信部3からのエコーデータについてBフロー処理を行なって、静止している周囲組織からの信号を抑制しつつ、血流における赤血球などの微小な反射体からの反射信号を取り出してBフローデータを作成する。そして、前記Bフロー画像表示制御部66は、前記Bフロー処理部13で得られたBフローデータに基づくBフロー画像BfG(図示省略)を前記造影画像HGに設定された前記領域R内に表示させる。
【0038】
ここで、Bフロー画像も、造影剤の浸潤状態に関わりなく血流を観察することができ被検体の断面を特定可能である。従って、この第三変形例のように、前記Bモード画像BG、前記カラードプラ画像CdG、前記パワードプラ画像PdGの代わりに前記Bフロー画像BfGを断面特定画像として表示してもよい。この第三変形例における前記Bフロー画像表示制御部66は、本発明における断面特定画像表示制御部の実施の形態の一例である。
【0039】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。図11に示す本例の超音波診断装置20は、磁気センサ21及び磁気発生部22を備えている。その他の構成については、前記Bモード処理部4を備える第一実施形態と同様であり、同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0040】
前記磁気センサ21は、例えばホール素子で構成され、前記超音波プローブ2に設けられている。前記磁気センサ21により、例えば磁気発生コイルで構成される前記磁気発生部22から発生する磁気が検出されるようになっている。前記磁気センサ21における検出信号は、前記表示制御部6へ入力されるようになっている。前記磁気センサ21における検出信号は、図示しないケーブルを介して前記表示制御部6へ入力されてもよいし、無線で前記表示制御部6へ入力されてもよい。前記磁気センサ21及び前記磁気発生部22は、本発明における位置センサの実施の形態の一例である。
【0041】
前記表示制御部6は、図12に示すように、前記メモリ61、前記造影画像表示制御部62及び前記Bモード画像表示制御部63のほかに、位置算出部67及び医用画像表示制御部68を有している。前記位置算出部67は、前記磁気センサ21からの磁気検出信号に基づいて、前記磁気発生部22を原点とする三次元空間における前記超音波プローブ2の位置及び傾きの情報(以下、「プローブ位置情報」と云う)を算出する。さらに、前記位置算出部67は、前記プローブ位置情報に基づいてエコーデータの前記三次元空間における位置情報を算出する。前記位置算出部67は、本発明における位置算出部の実施の形態の一例である。
【0042】
ここで、本例において、前記メモリ61には、予め取得された医用画像MGのデータが記憶される。医用画像MGは、前記超音波診断装置20以外の装置で取得されたMRI(Magnetic Resonance Imaging)画像やX線CT(Computed Tomography)画像などである。予め取得された医用画像MGのデータは、前記HDD10に記憶されてもよい。前記メモリ61及び前記HDD10は、本発明における記憶部の実施の形態の一例である。
【0043】
前記医用画像表示制御部68は、前記メモリ61や前記HDD10に記憶された医用画像のデータに基づく医用画像MGを前記表示部7に表示させる。前記医用画像表示制御部68は、本発明における医用画像表示制御部の実施の形態の一例である。
【0044】
次に、本例の超音波診断装置20の作用について説明する。先ず、本例では、前記磁気発生部22を原点とする座標系である超音波画像(造影画像HG及びBモード画像BG)の座標系と医用画像の座標系との位置合わせ処理を行なう。具体的には、図13に示すように、前記Bモード画像表示制御部63は、リアルタイムのBモード画像BGを表示し、また前記医用画像表示制御部68は、医用画像MGを前記Bモード画像BGと並べて前記表示部7に表示させる。前記Bモード画像BG及び前記医用画像MGが前記表示部7に並べて表示されると、操作者は前記Bモード画像BG及び前記医用画像MGを見比べながら、いずれか一方又は両方の画像の断面を移動させ、図14に示すように、被検体において同一位置のBモード画像BG及び医用画像MGを表示させる。同一位置であるか否かは、例えば操作者が血管blの分岐部分など特徴的な部位を参照するなどして判断する。
【0045】
ちなみに、前記Bモード画像BGの断面の移動は、前記超音波プローブ2の位置を変えることによって行なう。また、前記医用画像MGの断面の移動は、前記操作部8を操作して断面を変更する指示を入力することにより行なう。
【0046】
同一位置についてのBモード画像BG及び医用画像MGが表示されると、操作者は同一位置の表示がなされたことを表す指示入力を操作部8において行なう。これにより、超音波画像(造影画像HG及びBモード画像BG)の座標系と医用画像の座標系との位置合わせが終了し、両座標系の間の座標変換式が確定されて座標変換が可能になる。
【0047】
前記位置合わせ後においては、前記医用画像表示制御部68は、リアルタイムのBモード画像BGと同一位置の医用画像MGを表示させる。前記医用画像表示制御部68は、前記位置算出部67によって算出されたエコーデータの位置情報を前記医用画像MGの座標系における位置情報に座標変換して、前記Bモード画像BGと同一位置の医用画像MGを表示させる。前記医用画像表示制御部68は、後述のように造影画像HGの表示後においても、この造影画像HG及び前記Bモード画像BGと同一位置の医用画像MGを表示させる。
【0048】
第一実施形態と同様に、造影モードの撮影を開始すると、前記造影画像表示制御部62は図15に示すようにリアルタイムの造影画像HGを表示し、また前記Bモード画像表示制御部63は、前記造影画像HGに設定された領域R内にリアルタイムのBモード画像BGを表示させる。そして、第一実施形態と同様に、前記Bモード画像BGに被検体の断面が特定できる特徴的な部位が表示されるように前記領域Rの位置や大きさなどを調節する。
【0049】
ここで、前記超音波プローブ2の位置が変わっても、前記医用画像表示制御部68は、リアルタイムの前記Bモード画像BG及び造影画像HGと原則的には同一位置の医用画像MGを表示させる。しかし、前記磁気センサ21による前記超音波プローブ2の位置検出の誤差などが原因で、前記Bモード画像BG及び造影画像HGと異なる位置の医用画像MGが表示される場合もある。この場合、操作者は、前記造影画像HGにおける領域R内の前記Bモード画像BGと前記医用画像MGを見ながら、再度位置合わせを行なう。
【0050】
再度の位置合わせについて詳細に説明すると、先ず操作者は前記Bモード画像BG及び前記医用画像MGのいずれか一方の画像において所望の断面を表示させ、画像上において特徴的な部分をマークする。その後、他方の画像においても所望の断面を表示して、一方の画像においてマークした部分と同一部分をマークする。これにより、座標変換式が再度求められ、新たな座標変換式にしたがって座標変換が行なわれる。
【0051】
本例の超音波診断装置20によれば、同一位置についての造影画像HG及びBモード画像BGと医用画像MGとを表示して観察を行なう場合に、造影画像HGを表示させつつもBモード画像BGも表示されているので、造影画像HGを観察しながらも前記Bモード画像BGと前記医用画像MGとが同一断面についての画像になっているか否かを把握することができる。また、前記Bモード画像BGと前記医用画像MGとが同一断面になっていないことが確認された場合には、造影画像HGを表示させてこの造影画像HGを観察可能な状態で、Bモード画像BGと医用画像MGとを見ながら再度の位置合わせを行なうこともできる。
【0052】
ちなみに、本例においても、第一実施形態の各変形例と同様に、前記Bモード画像BGの代わりに、前記造影画像HGに設定された領域R内に、前記カラードプラ画像CdG、前記パワードプラ画像PdG又は前記Bフロー画像Bfdを表示してもよい。
【0053】
また、本例において、前記医用画像MGは、前記超音波診断装置20において予め取得されて前記HDD10や前記メモリ61に記憶されたBモードデータやBモード画像データに基づくBモード画像であってもよい。
【0054】
さらに、前記造影画像HGを表示し、またこの造影画像HGに設定された領域R内にBモード画像BGを表示して本例における前記位置合わせ処理を行なってもよい。この場合においても、前記領域R内のBモード画像BG及び前記医用画像MGを見比べながら位置合わせを行なうことが可能である。
【0055】
以上、本発明を前記実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。
【符号の説明】
【0056】
1,20 超音波診断装置
2 超音波プローブ
8 操作部
10 HDD(記憶部)
21 磁気センサ(位置センサ)
22 磁気発生部(位置センサ)
61 メモリ(記憶部)
62 造影画像表示制御部
63 Bモード画像表示制御部(断面特定画像表示制御部)
64 カラードプラ画像表示制御部(断面特定画像表示制御部)
65 パワードプラ画像表示制御部(断面特定画像表示制御部)
66 Bフロー画像表示制御部(断面特定画像表示制御部)
67 位置算出部
68 医用画像表示制御部
HG 造影画像
BG Bモード画像
CdG カラードプラ画像
PdG パワードプラ画像
BfG Bフロー画像
MG 医用画像


【特許請求の範囲】
【請求項1】
造影画像を表示させる造影画像表示制御部と、
前記造影画像に設定された所定の領域内に、被検体内における造影剤に関わりなく被検体の断面を特定可能な断面特定画像を表示させる断面特定画像表示制御部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記断面特定画像は、Bモード画像であることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記断面特定画像は、カラードプラ画像であることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記断面特定画像は、パワードプラ画像であることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記断面特定画像は、Bフロー画像であることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記所定の領域を設定する入力を行なう操作部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
被検体に対して超音波を送信してエコーを受信する超音波プローブの三次元空間における位置を検出するための位置センサと、
該位置センサの位置検出情報に基づいて、前記三次元空間におけるエコーデータの位置を算出する位置算出部と、
予め取得された医用画像のデータを記憶する記憶部と、
該記憶部に記憶された前記医用画像のデータに基づく医用画像を表示させる医用画像表示制御部と、を備え、
前記造影画像表示制御部及び前記断面特定画像表示制御部は、前記超音波プローブによって取得されるエコーに基づく造影画像及び断面特定画像を表示し、前記医用画像表示制御部は、前記位置算出部によって算出された前記エコーデータの位置に基づいて、前記造影画像及び前記断面特定画像と同一断面の医用画像を表示させる
ことを特徴とする請求項1〜6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
造影画像を表示させる造影画像表示制御機能と、
前記造影画像に設定された所定の領域内に、被検体内における造影剤に関わりなく被検体の断面を特定可能な断面特定画像を表示させる断面特定画像表示制御機能と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする超音波診断装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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