超音波診断装置及び制御プログラム
【課題】無線通信回線を介して接続された受信側ユニットへ連続性とリアルタイム性に優れた画像情報を供給する。
【解決手段】超音波診断装置は、被検体から得られた時系列的な画像情報を分割して複数のパケットデータを生成する送信データ分割部71と、前記パケットデータを、無線通信回線150を介して受信側ユニットへ送信する送信用IF73と、前記パケットデータの受信期間と所定の許容受信期間とに基づいて前記許容受信期間にて受信された第1のパケットデータと非許容受信期間にて受信された第2のパケットデータを弁別する受信データ弁別部112と、前記第2のパケットデータに対応する第3のパケットデータを前記第1のパケットデータに基づいて新たに生成し、得られた第3のパケットデータと前記第1のパケットデータとの合成により実時間観測用画像データを生成する受信データ合成部114を備える。
【解決手段】超音波診断装置は、被検体から得られた時系列的な画像情報を分割して複数のパケットデータを生成する送信データ分割部71と、前記パケットデータを、無線通信回線150を介して受信側ユニットへ送信する送信用IF73と、前記パケットデータの受信期間と所定の許容受信期間とに基づいて前記許容受信期間にて受信された第1のパケットデータと非許容受信期間にて受信された第2のパケットデータを弁別する受信データ弁別部112と、前記第2のパケットデータに対応する第3のパケットデータを前記第1のパケットデータに基づいて新たに生成し、得られた第3のパケットデータと前記第1のパケットデータとの合成により実時間観測用画像データを生成する受信データ合成部114を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被検体に対する超音波送受信によって得られた画像情報を無線通信回線を介して伝送することが可能な超音波診断装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された振動素子から発生する超音波パルスを被検体内に放射し、生体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる超音波反射波を前記振動素子により受信して種々の生体情報を収集するものである。複数の振動素子に供給する駆動信号や前記振動素子から得られる受信信号の遅延時間を制御することにより超音波の送受信方向や集束点を電子的に制御することが可能な近年の超音波診断装置では、超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作でリアルタイムの画像データを容易に観察することができるため、生体臓器の形態診断や機能診断に広く用いられている。
【0003】
生体内の組織あるいは血球からの反射波により生体情報を得る超音波診断法は、超音波パルス反射法と超音波ドプラ法の2つの大きな技術開発により急速な進歩を遂げ、上記技術を用いて得られるBモード画像データやカラードプラ画像データは、今日の超音波検査において不可欠なものとなっている。
【0004】
このような超音波検査における超音波プローブの配置や画像データの生成条件及び表示条件の設定等は、超音波診断装置を保有する医療施設の医師や検査師(以下では、医療従事者と呼ぶ。)の判断によって行なわれてきた。しかしながら、上述の超音波診断装置が設置された被検体の自宅や診療所等の小さな医療施設において十分な検査経験や専門知識を有する医療従事者が存在しない場合、遠隔診断により中央の大きな医療施設に所属する超音波専門医の指示を受ける方法が提案されている。
【0005】
例えば、遠隔診断を可能とする超音波診断装置は、上述の小さな医療施設に設けられ、被検体に対する超音波送受信により時系列的な画像データ(動画像データ)を生成する機能及び得られた画像データを有線通信回線あるいは無線通信回線を介して大きな医療施設へ供給する機能を有した送信側ユニットと、大きな医療施設に設けられ、上述の送信側ユニットから供給された画像データを表示する機能を有した受信側ユニットを備えている。そして、大きな医療施設の超音波専門医は、送信側ユニットから供給され受信側ユニットの表示部にリアルタイム表示された画像データの観察下で当該超音波検査に好適な超音波プローブの配置や画像データに対する各種条件の設定等に関する指示を別途設置された通信回線を用いて行なうことにより、専門医を有さない小さな医療施設においても正確な超音波検査を行なうことが可能となる。
【0006】
特に、超音波診断装置が備える上述の送信側ユニットと受信側ユニットを無線通信回線によって接続することにより、例えば、送信側ユニットを被検体のベッドサイドへ移動させた場合等においても、超音波専門医に対する画像データの供給を容易に行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−115986号公報
【特許文献2】特開2008−142150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
超音波診断装置が備える送信側ユニットと受信側ユニットを無線通信回線によって接続し、送信側ユニットにおいて収集された時系列的な画像データを受信側ユニットの表示部にリアルタイム表示することにより、超音波専門医は当該超音波検査に好適な各種の指示を容易に行なうことができる。
【0009】
しかしながら、無線通信回線を介して上述の時系列的な画像データを供給する場合、無線通信回線が有する通信帯域幅の時間的変動等により、受信側ユニットに対する画像データの供給に許容されない遅延が発生する場合があり、このような場合には、連続性に優れた画像データをリアルタイムで観察することが困難になるという問題点を有していた。
【0010】
本開示は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、送信側ユニットから無線通信回線を介して接続された受信側ユニットへ時系列的な画像情報を供給する際、無線通信回線の回線状況に影響されることなく、連続性に優れた画像情報の供給が可能な超音波診断装置及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本開示の実施形態における超音波診断装置は、被検体に対する超音波送受信によって得られた受信信号に基づいて時系列的な画像情報を生成する送信側ユニットと、無線通信回線を介して前記送信側ユニットから供給された前記画像情報に基づいて画像データを生成する受信側ユニットを備えた超音波診断装置であって、前記送信側ユニットは、前記時系列的な画像情報を所定の長さに分割して時系列的な複数のパケットデータを生成する送信データ分割手段と、この送信データ分割手段によって生成された前記パケットデータを、前記無線通信回線を介して前記受信側ユニットへ送信する送信手段を備え、前記受信側ユニットは、前記無線通信回線を介して供給された前記パケットデータの受信期間と予め設定された許容受信期間との比較結果に基づいて前記許容受信期間において受信された第1のパケットデータと非許容受信期間において受信された第2のパケットデータを弁別する受信データ弁別手段と、前記第2のパケットデータの受信期間に対応する第3のパケットデータを前記第1のパケットデータに基づいて新たに生成し、得られた前記第3のパケットデータと前記第1のパケットデータを合成することによりリアルタイム性と連続性に優れた時系列的な実時間観測用画像データを生成する受信データ合成手段と、前記実時間観測用画像データを表示する受信データ表示手段とを備えたことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態の超音波診断装置が備える送受信部の具体的な構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態の超音波診断装置が備える受信信号処理部の具体的な構成を示すブロック図。
【図4】本実施形態の超音波診断装置が備えるデータ送信部及びデータ受信部の具体的な構成を示すブロック図。
【図5】本実施形態におけるパケットデータの送受信を説明するためのタイムチャート。
【図6】本実施形態におけるパケットデータの送受信手順を示すフローチャート。
【図7】本実施形態の変形例におけるパケットデータの送受信を説明するためのタイムチャート。
【図8】本実施形態の変形例におけるパケットデータの送受信手順を示すフローチャート。
【図9】本実施形態の変形例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図10】本実施形態の他の変形例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図11】本実施形態の他の変形例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。
【0014】
(実施形態)
以下に述べる本実施形態の超音波診断装置が備えるデータ送信部は、被検体に対する超音波送受信によって生成された時系列的な画像データ(原画像データ)をフレーム単位で分割して複数のパケットデータを生成し、これらのパケットデータをMチャンネルからなる無線通信回線を介して前記超音波診断装置のデータ受信部へ送信する。一方、上述のデータ受信部は、交互送信方式によりデータ送信部から無線通信回線を介して供給された上記パケットデータの各々の受信期間と予め設定された許容受信期間との比較結果に基づき、許容受信期間において受信された伝送遅延が比較的少ないパケットデータと無線通信回線の回線状況等に起因した顕著な伝送遅延により許容受信期間外(非許容受信期間)において受信されたパケットデータを弁別する。そして、顕著な伝送遅延が発生した期間(データ欠損期間)におけるパケットデータを前記データ欠損期間に隣接した前期間及び後期間のパケットデータを用いた補間処理によって新たに生成し、得られたパケットデータと上述の許容受信期間において受信されたパケットデータとを合成することにより連続性とリアルタイム性に優れた時系列的な画像データ(実時間観測用画像データ)を生成する。
【0015】
尚、以下の実施形態では、被検体の検査対象部位近傍に配置された超音波プローブから得られる受信信号に基づいて時系列的な原画像データを生成する第1の医療施設に設けられた送信側ユニットと複数チャンネルの無線通信回線を介し前記送信側ユニットから供給された前記原画像データの画像情報に基づいて実時間観測用画像データ及び精密検査用画像データを生成する第2の医療施設に設けられた受信側ユニットを有する超音波診断装置について述べるが、これらに限定されるものではなく、例えば、送信側ユニット及び受信側ユニットは、同一の医療施設内に設けられていてもよく、又、受信側ユニットは、各種画像データの保存や解析を目的として別途設置された画像サーバやワークステーション等の一部であっても構わない。
【0016】
更に、上述の送信側ユニットから受信側ユニットへ供給される画像情報は、画像データに限定されるものではなく、例えば、超音波プローブから出力される複数チャンネルの受信信号や送受信部から出力される整相加算後の受信信号であってもよく、受信信号処理部から送受信方向単位で出力される画像信号であっても構わない。
【0017】
(装置の構成及び機能)
本実施形態における超音波診断装置の構成と機能につき図1乃至図4を用いて説明する。但し、図1は、超音波診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図2乃至図4は、この超音波診断装置が備える送受信部、受信信号処理部及びデータ送信部/データ受信部の具体的な構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示す本実施形態の超音波診断装置100は、第1の医療施設に設けられた送信側ユニット151と第2の医療施設に設けられた受信側ユニット152を備え、送信側ユニット151と受信側ユニット152は、Mチャンネルの無線通信回線150を介して接続されている。
【0019】
送信側ユニット151は、被検体の診断対象部位を含む検査領域に対して超音波パルス(送信超音波)を放射し、前記診断対象部位から得られた超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する複数個の振動素子を有した超音波プローブ2と、前記検査領域に対し送信超音波を放射するための駆動パルスを超音波プローブ2の振動素子に供給し、これらの振動素子から得られた複数チャンネルの受信信号を整相加算する送受信部3と、整相加算後の受信信号を処理して画像信号としてのBモードデータ及びカラードプラデータを生成する受信信号処理部4と、検査領域に対する超音波走査によって得られた上述の画像信号に基づいて時系列的な画像データ(原画像データ)を生成する画像データ生成部5と、得られた原画像データを表示する表示部6を備えている。
【0020】
更に、送信側ユニット151は、画像データ生成部5において時系列的に生成された上述の原画像データをパケット単位で受信側ユニット152へ順次送信するデータ送信部7と、被検体情報の入力、撮影モードの選択、画像データ生成条件の設定、各種指示信号の入力等を行なう入力部8と、送信側ユニット151が有する上述の各ユニットを統括的に制御する送信ユニット制御部9を備えている。
【0021】
以下、超音波診断装置100の送信側ユニット151が備える上記ユニットの具体的な構成とその機能につき更に詳しく説明する。
【0022】
図1に示した超音波プローブ2は、図示しないN個の振動素子をその先端部に有し、これら振動素子の各々は、Nチャンネルの多芯ケーブルを介して送受信部3の入出力端子に接続されている。振動素子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルス(駆動パルス)を超音波パルス(送信超音波)に変換し、受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気的な受信信号に変換する機能を有している。
【0023】
尚、以下では、セクタ走査方式に対応した超音波プローブ2を用い、この超音波プローブ2に設けられたN個の振動素子を送信用振動素子及び受信用振動素子として用いる場合について述べるが、リニア走査方式やコンベックス走査方式等が適用した超音波プローブであってもよい。即ち、本実施形態では、N個からなる送信用振動素子の各々が送受信部3から供給されるNチャンネルの駆動パルスにより駆動されて被検体内に送信超音波を放射し、この送信超音波によって被検体内から得られる受信超音波は、N個からなる受信用振動素子によってNチャンネルの電気的な受信信号に変換される。
【0024】
次に、図2に示す送受信部3は、当該被検体に対して送信超音波を放射するためのNチャンネルからなる駆動パルスを超音波プローブ2の送信用振動素子に供給する送信部31と、超音波プローブ2の受信用振動素子から得られたNチャンネルの受信信号を整相加算(所定方向からの受信超音波に対応する受信信号の位相を合わせて加算合成)する受信部32を備えている。
【0025】
送信部31は、送信遅延設定部311、駆動制御信号生成部312及び駆動パルス発生部313を備え、送信遅延設定部311は、送信ユニット制御部9から供給される走査制御信号に従い、送信超音波を所定の方向へ偏向するための偏向用遅延時間と所定の距離に集束させるための集束用遅延時間とに基づいた送信遅延時間を設定する。この場合の送信遅延時間は、送信振動素子数N、振動素子の配列間隔、送信方向及び送信焦点距離等によって一義的に決定され、例えば、図示しない演算回路を用いて算出してもよいが、ルックアップテーブルとして予め保管された各種遅延時間データの中から選択して用いてもよい。
【0026】
一方、駆動制御信号生成部312は、送信遅延設定部311から供給される送信遅延時間の設定情報に基づいてNチャンネルからなる駆動制御信号を生成し駆動パルス発生部313へ供給する。
【0027】
駆動パルス発生器313は、超音波プローブ2に内蔵されたN個の送信用振動素子を駆動する機能を有し、例えば、上述の集束用遅延時間と偏向用遅延時間を有する上述の駆動制御信号に基づいてBモード及びカラードプラモードの各々に対応した駆動パルスを生成する。
【0028】
次に、送受信部3の受信部32は、超音波プローブ2に設けられた受信用振動素子の各々に対応するNチャンネルのプリアンプ321及びA/D変換器322と、整相加算部323を備えている。プリアンプ321は、超音波プローブ2の受信用振動素子から供給された受信信号を増幅して十分なS/Nを確保するためのものであり、その初段部には、送信部31の駆動パルス発生部313が発生する大振幅の駆動パルスからプリアンプ321を保護するためのリミッタ回路が設けられている。そして、受信用振動素子によって得られたNチャンネルの受信信号は、プリアンプ321において所定の大きさに増幅され、A/D変換器322にてデジタル信号に変換された後整相加算部323へ供給される。
【0029】
一方、整相加算部323は、図示しない受信遅延設定部と加算部を有し、受信遅延設定部は、A/D変換器322においてデジタル信号に変換されたNチャンネルの受信信号に対し所定方向に強い受信指向性を設定するための偏向用遅延時間と所定の深さからの受信超音波を集束するための集束用遅延時間に基づいた受信遅延時間を設定する。そして、加算部は、上述の受信遅延時間が与えられたNチャンネルの受信信号を加算合成(整相加算)する。
【0030】
次に、図1に示した受信信号処理部4の具体的な構成につき図3のブロック図を用いて説明する。この受信信号処理部4は、受信部32の整相加算部323から出力される整相加算後の受信信号を信号処理してBモードデータを生成するBモードデータ生成部41と、前記受信信号を信号処理してカラードプラデータを生成するカラードプラデータ生成部42を備えている。
【0031】
Bモードデータ生成部41は、整相加算部323から出力された受信信号の各々に対して包絡線検波を行なう包絡線検波器411と、包絡線検波後の受信信号に対する対数変換処理により小さな信号振幅を相対的に強調してBモードデータを生成する対数変換器412を備えている。
【0032】
一方、カラードプラデータ生成部42は、π/2移相器421、ミキサ422−1及び422−2、LPF(低域通過フィルタ)423−1及び423−2を備え、受信部32の整相加算部323から出力された受信信号を直交位相検波して複素信号(I信号及びQ信号)を生成する。
【0033】
更に、カラードプラデータ生成部42は、ドプラ信号記憶部424、MTIフィルタ425及び自己相関演算器426を備え、直交位相検波によって得られた複素信号は、ドプラ信号記憶部424に一旦保存される。一方、高域通過用デジタルフィルタであるMTIフィルタ425は、ドプラ信号記憶部424に保存された上述の複素信号を読み出し、この複素信号に含まれた臓器の固定反射体あるいは臓器の呼吸性移動や拍動性移動等に起因するドプラ成分(クラッタ成分)を除去する。そして、自己相関演算器426は、MTIフィルタ425によって抽出された血流情報のドプラ成分に対して自己相関値を算出し、更に、この自己相関値に基づいて血流の平均流速値、分散値、パワー値等を算出してカラードプラデータを生成する。
【0034】
図1へ戻って、画像データ生成部5は、図示しないBモード画像データ生成部とカラードプラ画像データ生成部を備え、Bモード画像データ生成部は、受信信号処理部4のBモードデータ生成部41が生成したBモードデータを超音波の送受信方向に対応させて順次保存することによりBモード画像データを生成する。同様にして、カラードプラ画像データ生成部は、受信信号処理部4のカラードプラデータ生成部42が超音波送受信方向単位で生成したカラードプラデータを順次保存することによりカラードプラ画像データを生成する。
【0035】
尚、以下では、上述のBモード画像データやカラードプラ画像データを原画像データと呼ぶ。
【0036】
表示部6は、図示しない表示データ生成部、データ変換部及びモニタを備え、表示データ生成部は、画像データ生成部5において生成された時系列的な原画像データを所定の表示フォーマットに変換して表示データを生成し、データ変換部は、表示データ生成部から供給された表示データに対してD/A変換やテレビフォーマット変換等の変換処理を行なってモニタに表示する。
【0037】
一方、データ送信部7は、図4に示すように画像データ生成部5から時系列的に供給された原画像データを1つあるいは複数の画像フレーム(以下、フレームと呼ぶ。)からなる複数のパケットデータに分割する送信データ分割部71と、分割された上述のパケットデータにその配列順序に対応した識別情報を付加して一旦保存するMチャンネルの送信データ記憶部72と、送信データ記憶部72から読み出した上述のパケットデータをMチャンネルの無線通信回線150へ出力する送信用IF(インターフェース)73と、入力部8から供給されたデータ送信方式の選択情報や無線通信回線150の回線状態(例えば、通信帯域幅)等に基づいて送信データ分割部71、送信データ記憶部72及び送信用IF73を制御する送信制御部74を備えている。尚、データ送信部7に設けられた上記ユニットの具体的な動作手順については後述する。
【0038】
次に、図1に示した入力部8は、操作パネル上に表示パネルやキーボード、トラックボール、マウス、選択ボタン、入力ボタン等の入力デバイスを備え、被検体情報の入力、超音波プローブの選択、撮影モードの選択、画像データ生成条件の設定、画像データ表示条件の設定、無線通信回線数Mの設定、パケット長(パケットデータにおけるフレーム数)の設定、データ送信方式の選択、各種コマンド信号の入力等を行なう。尚、撮影モードとしてBモードやカラードプラモード等があり、画像データ生成条件として超音波周波数、走査密度、走査領域、超音波送受信の繰り返し周波数(レート周波数)、フレーム周波数等がある。又、データ送信方式として、Mチャンネルの無線通信回線150に対しパケット単位で行なわれる交互送信方式及び並列送信方式がある。
【0039】
送信ユニット制御部9は、図示しないCPUと記憶回路を備え、上述の入力部8において入力/設定/選択された各種情報は前記記憶回路に保存される。一方、前記CPUは、前記記憶回路に保存された各種情報に基づいて送信側ユニット151に備えられた上述の各ユニット及び受信側ユニット152に備えられた後述の各ユニットを統括的に制御し、当該被検体に対する超音波送受信及びこの超音波送受信によって得られた受信信号に基づく時系列的な原画像データの生成、更には、Mチャンネルの無線通信回線150を用いた前記原画像データの送受信を実行させる。
【0040】
次に、図1に示した受信側ユニット152は、送信側ユニット151のデータ送信部7からMチャンネルの無線通信回線150を介して供給されたパケットデータに対しデータ補間を適用した合成処理を行なうことによりリアルタイム性と連続性に優れた時系列的な画像データ(以下では、実時間観測用画像データと呼ぶ。)と前記パケットデータに対しデータ挿入を適用した合成処理を行なうことにより原画像データと同等の画像情報を有した時系列的な画像データ(以下では、精密検査用画像データと呼ぶ。)を生成するデータ受信部11と、送信側ユニット151の表示部6と略同様の構成及び機能を有し、データ受信部11から出力された実時間観測用画像データや後述の受信データ保管部13から読み出された精密検査用画像データを表示する受信データ表示部12と、大容量の記憶媒体を有しデータ受信部11において生成された精密検査用画像データを保存する受信データ保管部13と、受信側ユニット152が備える上述の各ユニットを制御する受信ユニット制御部14を備えている。
【0041】
そして、受信側ユニット152に備えられた上述のデータ受信部11は、図4に示すように受信用IF(インターフェース)111、受信データ弁別部112、受信データ記憶部113、受信データ合成部114及び受信制御部115を備え、受信用IF111は、送信側ユニット151のデータ送信部7からMチャンネルの無線通信回線150を介して供給されたパケットデータを受信する。
【0042】
一方、受信データ弁別部112は、画像データ生成部5において生成された時系列的な原画像データの各々がパケットデータとして上述の受信用IF111によって受信されるまでの期間を計測する図示しない受信期間計測部を備え、この受信期間計測部の計測結果に基づき、受信用IF111によって順次受信されたパケットデータの中から所定の許容受信期間において受信されたパケットデータ(第1のパケットデータ)と無線通信回線150の回線状態等に起因した伝送遅延により許容されない期間(非許容受信期間)において受信されたパケットデータ(第2のパケットデータ)を弁別する。そして、受信データ弁別部112によって弁別された許容受信期間のパケットデータは受信データ記憶部113に設けられた第1のデータ記憶領域に保存され、非許容受信期間のパケットデータは第2のデータ記憶領域に保存される。
【0043】
受信データ合成部114は、受信データ記憶部113の第1のデータ記憶領域から読み出したパケットデータをその付帯情報であるパケットデータの配列順序に対応した識別情報に基づいて合成することにより時系列的な実時間観測用画像データを生成し、更に、受信データ記憶部113の第1のデータ記憶領域及び第2のデータ記憶領域から読み出したパケットデータをその識別情報に基づいて合成することにより時系列的な精密検査用画像データを生成する。
【0044】
具体的には、第1のデータ記憶領域から読み出したパケットデータの連続性を上述の識別情報に基づいて判定する。そして、非許容受信期間におけるパケットデータの受信により第1のデータ記憶領域から読み出した一連のパケットデータにデータ欠損期間が発生した場合、このデータ欠損期間に隣接した前期間のパケットデータ及び後期間のパケットデータを用いた補間処理によりデータ欠損期間におけるパケットデータ(第3のパケットデータ)を新たに生成する。次いで、得られたデータ欠損期間のパケットデータを第1のデータ記憶領域から読み出した上述のパケットデータに追加することによりリアルタイム性と連続性に優れた時系列的な実時間観測用画像データを生成する。そして、得られた実時間観測用画像データは、受信側ユニット152の受信データ表示部12において略リアルタイムで表示される。
【0045】
更に、受信データ合成部114は、非許容受信期間におけるパケットデータの受信により第1のデータ記憶領域から読み出した一連のパケットデータにデータ欠損期間が発生している場合、受信データ記憶部113の第2のデータ記憶領域から読み出した当該データ欠損期間のパケットデータを第1のデータ記憶領域から読み出した時系列的なパケットデータに挿入することにより、原画像データと同一の画像情報を有する時系列的な精密検査用画像データを生成する。そして、得られた精密検査用画像データは、受信側ユニット152の受信データ保管部13に保存され、更に、この精密検査用画像データは、必要に応じて受信データ保管部13から読み出されて受信データ表示部12に表示される。
【0046】
(無線通信回線によるパケットデータの送受信手順)
次に、複数チャンネルの無線通信回線を用いた交互送信方式によるパケットデータの送受信手順につき図5のタイムチャートと図6のフローチャートを用いて説明する。但し、以下では、送信側ユニット151の画像データ生成部5において生成された時系列的な原画像データをフレーム単位で分割することにより複数のパケットデータを生成し、これらのパケットデータを2チャンネル(M=2)の無線通信回線150a及び150bを用いて受信側ユニット152へ送信する場合について述べる。又、説明を簡単にするために、フレーム1乃至フレーム5を有する時系列的な原画像データについて述べるが、実際の原画像データは極めて多くのフレーム数によって構成されている。
【0047】
図5は、送信側ユニット151の画像データ生成部5において生成された時系列的な原画像データを構成するフレーム1乃至フレーム5のパケットデータを交互送信方式によって受信側ユニット152へ供給する場合のタイムチャートを示したものであり、図5(a)は、画像データ生成部5において生成された時系列的な原画像データを構成するフレーム1乃至フレーム5の生成期間、又、図5(b)及び図5(c)は、交互送信方式の適用によりデータ送信部7の送信用IF73aから第1の無線通信回線150aへ出力されるフレーム1、フレーム3及びフレーム5のパケットデータ出力期間及び送信用IF73bから第2の無線通信回線150bへ出力されるフレーム2及びフレーム4のパケットデータ出力期間を夫々示している。但し、上述の送信用IF73aは、第1の無線通信回線150aに対応した送信用のインターフェースであり、送信用IF73bは、第2の無線通信回線150bに対応した送信用のインターフェースである。
【0048】
即ち、データ送信部7の送信データ分割部71は、画像データ生成部5から供給された時系列的な原画像データを入力部8から送信制御部74を介して供給されるパケット長の設定情報に基づいて分割することにより図5(a)に示すようなフレーム単位で構成される複数のパケットデータを生成し(図6のステップS1)、同様にして入力部8から送信制御部74を介して供給される交互送信方式の選択情報に基づき、上述のパケットデータを送信データ記憶部72に設けられた第1の無線通信回線150aに対応する第1のバッファ領域及び第2の無線通信回線150bに対応する第2のバッファ領域において交互に保存する(図6のステップS2)。
【0049】
一方、第1の無線通信回線150aに対応した送信用IF73aは、図5(b)に示すように、画像データ生成部5によって生成され送信データ記憶部72の第1のバッファ領域に一旦保存された生成期間[t1−t2]のフレーム1、生成期間[t3−t4]のフレーム3及び生成期間[t5−t6]のフレーム5のパケットデータを順次読み出して第1の無線通信回線150aへ出力し、送信用IF73bは、図5(c)に示すように、画像データ生成部5によって生成され送信データ記憶部72の第2のバッファ領域に一旦保存された生成期間[t2−t3]のフレーム2及び生成期間[t4−t5]のフレーム4のパケットデータを順次読み出して第2の無線通信回線150bへ出力する(図6のステップS3)。
【0050】
次に、図5(d)及び図5(e)は、データ送信部7の送信用IF73aから第1の無線通信回線150aを介して供給されデータ受信部11の受信用IF111aによって受信された上述のフレーム1、フレーム3及びフレーム5のパケットデータ受信期間と、データ送信部7の送信用IF73bから第2の無線通信回線150bを介して供給されデータ受信部11の受信用IF111bによって受信されたフレーム2及びフレーム4のパケットデータ受信期間を示しており、図5(f)は、受信データ合成部114が、上述のフレーム1、フレーム3及びフレーム5のパケットデータとフレーム2及びフレーム4のパケットデータに基づいて生成する実時間観測用画像データの生成期間を示している。
【0051】
但し、図5(d)及び図5(e)に示した破線は、フレーム1の許容受信期間[t11−t21]、フレーム2の許容受信期間[t21−t31]、フレーム3の許容受信期間[t31−t41]、フレーム4の許容受信期間[t41−t51]及びフレーム5の許容受信期間[t51−t61]を示しており、期間[t1−t11]、期間[t2−t21]、期間[t3−t31]・・・は、正常動作時における無線通信回線150の伝送遅延Δτを示している。そして、上述の許容受信期間は、第1の無線通信回線150a及び第2の無線通信回線150bの伝送遅延Δτに基づいて予め設定される。尚、受信用IF111aは、第1の無線通信回線150aに対応した受信用のインターフェースであり、受信用IF111bは、第2の無線通信回線150bに対応した受信用のインターフェースである。
【0052】
このような伝送遅延を有した第1の無線通信回線150a及び第2の無線通信回線150bから受信用IF111a及び受信用IF111bを介して供給される上述のパケットデータを受信したデータ受信部11の受信データ弁別部112は、フレーム1乃至フレーム5のパケットデータの中から許容受信期間において受信されたフレーム1乃至フレーム3及びフレーム5のパケットデータ(第1のパケットデータ)と許容受信期間外(非許容受信期間)において受信されたフレーム4のパケットデータ(第2のパケットデータ)を弁別する。そして、許容受信期間において受信されたフレーム1乃至フレーム3及びフレーム5のパケットデータを受信データ記憶部113に設けられた第1のデータ記憶領域に保存し、非許容受信期間において受信されたフレーム4のパケットデータを第2のデータ記憶領域に保存する(図6のステップS4)。
【0053】
次いで、データ受信部11の受信データ合成部114は、受信データ記憶部113の第1のデータ記憶領域から読み出したパケットデータの連続性をその配列順序に対応した識別情報に基づいて判定する(図6のステップS5)。そして、パケットデータの非許容受信期間における受信により第1のデータ記憶領域から読み出した一連のパケットデータにデータ欠損期間[t41−t51]が存在している場合、このデータ欠損期間[t41−t51]に隣接した前期間[t31−t41]のパケットデータ(フレーム3)及び後期間[t51−t61]のパケットデータ(フレーム5)を用いた補間処理によりデータ欠損期間[t41−t51]におけるパケットデータ(フレームX=第3のパケットデータ)を生成する(図6のステップS6)。
【0054】
そして、新たに生成したフレームXのパケットデータと第1のデータ記憶領域から読み出したフレーム1乃至フレーム3及びフレーム5のパケットデータとを各々のパケットデータに付加されている識別情報に基づいて合成することによりリアルタイム性と連続性に優れた時系列的な実時間観測用画像データを生成する(図6のステップS7)。
【0055】
一方、上述のステップ5におけるパケットデータの連続性判定においてデータ欠損期間の存在が認められなかった場合、受信データ合成部114は、受信データ記憶部113の第1の記憶領域から読み出したフレーム1乃至フレーム5のパケットデータを合成することにより上述の性能を有した実時間観測用画像データを生成する(図6のステップS7)。そして、得られた実時間観察用画像データは受信データ表示部12において略リアルタイムで表示される(図6のステップS8)。
【0056】
尚、図5に示したΔτxは、送信側ユニット151の画像データ生成部5における原画像データの生成時刻から受信側ユニット152の受信データ合成部114における実時間観測用画像データの生成時刻までの遅延時間を示しており、数フレーム分の画像データ生成時間に相当するこの遅延時間は、動画像の実時間観察において許容される小さな値である。即ち、受信データ合成部114において生成される時系列的な画像データは、リアルタイム性と連続性に優れた実時間観測用画像データとして受信データ表示部12において表示することができる。
【0057】
(変形例)
次に、本実施形態の変形例として、複数チャンネルの無線通信回線を用いた並列送信方式によるパケットデータの送受信手順を図7のタイムチャートと図8のフローチャートを用いて説明する。但し、ここでも送信側ユニット151の画像データ生成部5において生成されたフレーム1乃至フレーム5を有する時系列的な原画像データをフレーム単位で分割することによって複数のパケットデータを生成し、これらのパケットデータを2チャンネル(M=2)の無線通信回線150a及び150bを用いて受信側ユニット152へ送信する場合について述べる。
【0058】
図7は、送信側ユニット151の画像データ生成部5において生成された時系列的な原画像データを構成するフレーム1乃至フレーム5のパケットデータを並列送信方式の適用により受信側ユニット152へ供給する場合のタイムチャートを示したものであり、図7(a)は、画像データ生成部5において生成された原画像データを構成するフレーム1乃至フレーム5の生成期間、図7(b)及び図7(c)は、並列送信方式の適用によりデータ送信部7の送信用IF73aから第1の無線通信回線150aへ出力されるフレーム1a乃至フレーム5aのパケットデータ出力期間及び送信用IF73bから第2の無線通信回線150bへ出力されるフレーム1b乃至フレーム5bのパケットデータ出力期間を夫々示している。但し、上述のフレーム1a及びフレーム1bは、フレーム1と同一の画像情報を有し、同様にして、フレームna及びフレームnb(n=2乃至5)は、フレームn(n=2乃至5)と同一の画像情報を有している。
【0059】
即ち、データ送信部7の送信データ分割部71は、画像データ生成部5から供給される時系列的な原画像データを入力部8からデータ送信部7の送信制御部74を介して供給されるパケット長の設定情報に基づいて分割することにより図7(a)に示すようなフレーム単位で構成される複数のパケットデータを生成し(図8のステップS11)、同様にして入力部8から送信制御部74を介して供給される並列送信方式の選択情報に基づき、フレーム1乃至フレーム5のパケットデータを送信データ記憶部72に設けられた第1の無線通信回線150aに対応する第1のバッファ領域及び第2の無線通信回線150bに対応する第2のバッファ領域にフレーム1a乃至フレーム5a及びフレーム1b乃至フレーム5bとして並列保存する(図8のステップS12)。
【0060】
一方、第1の無線通信回線150aに対応した送信用IF73aは、図7(b)に示すように、画像データ生成部5によって生成され送信データ記憶部72の第1のバッファ領域に一旦保存されたフレーム1a乃至フレーム5aのパケットデータを順次読み出して第1の無線通信回線150aへ出力し、送信用IF73bは、図7(c)に示すように、画像データ生成部5によって生成され送信データ記憶部72の第2のバッファ領域に一旦保存されたフレーム1b乃至5bのパケットデータを順次読み出して第2の無線通信回線150bへ出力する(図8のステップS13)。
【0061】
次に、図7(d)及び図7(e)は、データ送信部7の送信用IF73aから第1の無線通信回線150aを介して供給されデータ受信部11の受信用IF111aによって受信されたフレーム1a乃至フレーム5aのパケットデータ受信期間と、データ送信部7の送信用IF73bから第2の無線通信回線150bを介して供給されデータ受信部11の受信用IF111bによって受信されたフレーム1b乃至フレーム5bのパケットデータ受信期間を示しており、図7(f)は、受信データ合成部114が、受信用IF111aから供給されるフレーム1a乃至フレーム5aと、補充用パケットデータとして受信用IF111bから供給されるフレーム1b乃至フレーム5bに基づいて生成する実時間観測用画像データの生成期間を示している。
【0062】
但し、図7(d)及び図7(e)に示した破線は、図5の場合と同様にしてフレーム1a乃至フレーム5a及びフレーム1b乃至フレーム5bの許容受信期間を示している。又、Δτは、正常動作時における無線通信回線150の伝送遅延Δτを示しており、上述の許容受信期間は、第1の無線通信回線150a及び第2の無線通信回線150bにおける伝送遅延Δτに基づいて予め設定される。
【0063】
このような伝送遅延を有した第1の無線通信回線150a及び第2の無線通信回線150bから受信用IF111a及び受信用IF111bを介して供給される上述のパケットデータを受信したデータ受信部11の受信データ弁別部112は、例えば、受信用IF111aから供給されるフレーム1a乃至フレーム5aのパケットデータの中から上述の許容受信期間において受信されたパケットデータ(第1のパケットデータ)と許容受信期間外(非許容受信期間)において受信されたパケットデータ(第2のパケットデータ)を弁別することによりフレーム1a乃至フレーム5aのパケットデータにおけるデータ欠損期間を検出する(図8のステップS14及びステップS15)。
【0064】
そして、例えば、期間[t41−t51]が、データ欠損期間として検出された場合、受信データ合成部114は、受信用IF111bから供給されるフレーム1b乃至フレーム5bのパケットデータの中からデータ欠損期間[t41−t51]におけるフレーム4bのパケットデータを補充用パケットデータ(第3のパケットデータ)として抽出する(図8のステップS16)。
【0065】
次いで、受信データ合成部114は、許容受信期間において受信されたフレーム1a乃至フレーム3a及びフレーム5aのパケットデータと補充用パケットデータとして抽出したフレーム4bのパケットデータを各々のパケットデータに付加されている識別情報に基づいて合成することによりリアルタイム性と連続性に優れ原画像データと同一の画像情報を有した時系列的な実時間観測用画像データを生成する(図8のステップS17)。
【0066】
一方、上述のステップ15においてデータ欠損期間が検出されなかった場合、受信データ合成部114は、受信用IF111aから供給されるフレーム1a乃至フレーム5aのパケットデータを合成することにより上述の性能を有した実時間観測用画像データを生成する(図8のステップS17)。そして、得られた実時間観察用画像データは、受信データ表示部12において略リアルタイムで表示される(図8のステップS18)。
【0067】
以上述べた本実施形態によれば、被検体に対する超音波送受信によって得られた時系列的な原画像データを複数のパケットデータに分割し、複数チャンネルの無線通信回線を介して送信側ユニットから受信側ユニットへ供給する際、予め設定された許容受信期間における受信が不可能なデータ欠損期間におけるパケットデータを、このデータ欠損期間に隣接した前期間及び後期間におけるパケットデータを用いて新たに生成することにより、無線通信回線の通信状況に影響されることなく、リアルタイム性と連続性に優れた時系列的な実時間観測用画像データを生成することができる。
【0068】
この場合、原画像データの生成から実時間観察用画像データの生成までの遅延は、数フレーム分以内に抑えることができるため、上述の実時間観察用画像データは表示部において略リアルタイムで観察することが可能となる。
【0069】
又、交互送信方式を適用した本実施形態によれば、許容受信期間において受信されたパケットデータと非許容受信期間において受信されたパケットデータを、パケットデータの配列順序に対応する付帯情報に基づいて合成することにより、画像情報の欠落がなく連続性に優れた時系列的な精密検査用画像データを生成することが可能となる。
【0070】
一方、並列送信方式を適用した本実施形態の変形例によれば、被検体に対する超音波送受信によって得られた時系列的な原画像データを複数のパケットデータに分割し、複数チャンネルの無線通信回線を介して超音波診断装置の送信側ユニットから受信側ユニットへ供給する際、予め設定された許容受信期間での受信が不可能なデータ欠損期間におけるパケットデータを同一期間の他のチャンネルにて受信されたパケットデータを用いて補充することにより、原画像データと同一の画像情報を有しリアルタイム性と連続性に優れた時系列的な実時間観測用画像データ及び精密検査用画像データを無線通信回線の回線状態に影響されることなく生成することができる。
【0071】
特に、データ欠損期間におけるパケットデータの補充は、このデータ欠損期間に後続した後期間におけるパケットデータの受信を待たずに行なうことができるため、原画像データの生成から実時間観測用画像データの生成までの遅延を上述の実施形態より更に短くすることが可能となる。
【0072】
以上、本開示の実施形態及びその変形例について述べてきたが、本開示は、上述の実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、更に変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施形態及びその変形例では、被検体の検査対象部位近傍に配置された超音波プローブ2から得られる受信信号に基づいて時系列的な原画像データを生成する第1の医療施設に設けられた送信側ユニット151と、複数チャンネルの無線通信回線150を介し前記送信側ユニット151から供給された前記原画像データの画像情報に基づいて実時間観察用画像データ及び精密検査用画像データを生成する第2の医療施設に設けられた受信側ユニット152を有する超音波診断装置100について述べたが、これらに限定されるものではなく、例えば、送信側ユニット151及び受信側ユニット152は、同一の医療施設に設けられていてもよく、又、受信側ユニット152は、各種画像データの保存や解析を目的として別途設置された画像サーバやワークステーション等の一部であっても構わない。
【0073】
更に、送信側ユニット151から受信側ユニット152へ供給される画像情報は、画像データ(原画像データ)に限定されるものではなく、例えば、図9に示すような超音波プローブ2から出力される複数チャンネルの受信信号や図10に示すような送受信部3の受信部32から出力される整相加算後の受信信号であってもよく、図11に示すような受信信号処理部4から出力される送受信方向単位の画像信号であっても構わない。
【0074】
又、複数チャンネルの無線通信回線150を介して受信用ユニット152へ供給されるパケットデータの各々は、1フレーム分の画像情報である場合について述べたが、受信用ユニット152へ供給されるパケットデータの各々は、複数フレーム分の画像情報を有していてもよい。
【0075】
更に、時系列的な原画像データの画像情報を2チャンネルの無線通信回線を用いて送受信する場合について述べたが、3チャンネル以上の無線通信回線を用いた送受信であってもよい。
【0076】
一方、上述の実施形態では、セクタ走査方式の超音波診断装置100について述べたが、リニア走査方式やコンベックス走査方式等に対応した超音波診断装置であってもよい。又、送信側ユニット151において生成されたBモードデータ及びカラードプラデータに基づく原画像データを複数のパケットデータに分割して受信側ユニット152へ送信する場合について述べたが、無線通信回線150を介して供給される画像情報はこれらに限定されるものではなく、例えば、ドプラスペクトラムデータやMモードデータ等に基づいた画像情報であっても構わない。
【0077】
又、データ欠損期間に隣接した前期間及び後期間のパケットデータを用いて前記データ欠損期間におけるパケットデータを新たに生成する場合について述べたが、前期間のパケットデータあるいは後期間のパケットデータの何れかを用いてデータ欠損期間におけるパケットデータを生成してもよい。
【0078】
又、精密検査用画像データを生成する際、画像データ生成部5において生成された原画像データに基づくパケットデータをデータ送信部7から受信側ユニット152のデータ受信部11へ再度供給することによりデータ欠損期間におけるパケットデータを生成してもよい。特に、原画像データのフレームレートが受信側ユニット152のデータ受信部11において生成される精密検査用画像データのフレームレートより大きい場合、余った原画像データに基づくパケットデータ(即ち、正規のパケットデータ送受信において用いられなかった原画像データのパケットデータ)を後刻データ受信部11へ供給することによりデータ欠損期間におけるパケットデータを生成しても構わない。
【0079】
尚、本開示の実施形態及びその変形例に係る超音波診断装置100乃至400の一部は、コンピュータをハードウェアとして用いることでも実現することができる。例えば、送信ユニット制御部9等は、上述のコンピュータに搭載されたCPU等のプロセッサに所定の制御プログラムを実行させることにより各種機能を実現することができる。この場合、送信ユニット制御部9等は上述の制御プログラムをコンピュータに予めインストールしてもよく、又、コンピュータによる読み取りが可能な記憶媒体への保存あるいはネットワークを介して配布された制御プログラムのコンピュータへのインストールであっても構わない。
【0080】
以上、本発明のいくつかの実施形態やその変形を説明したが、これらの実施形態や変形は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
2…超音波プローブ
3…送受信部
31…送信部
32…受信部
4…受信信号処理部
5…画像データ生成部
6…表示部
7…データ送信部
71…送信データ分割部
72…送信データ記憶部
73…送信用IF
74…送信制御部
8…入力部
9…送信ユニット制御部
11…データ受信部
111…受信用IF
112…受信データ弁別部
113…受信データ記憶部
114…受信データ合成部
115…受信制御部
12…受信データ表示部
13…受信データ保管部
14…受信ユニット制御部
150…無線通信回線
151…送信側ユニット
152…受信側ユニット
100、200、300、400…超音波診断装置
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被検体に対する超音波送受信によって得られた画像情報を無線通信回線を介して伝送することが可能な超音波診断装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された振動素子から発生する超音波パルスを被検体内に放射し、生体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる超音波反射波を前記振動素子により受信して種々の生体情報を収集するものである。複数の振動素子に供給する駆動信号や前記振動素子から得られる受信信号の遅延時間を制御することにより超音波の送受信方向や集束点を電子的に制御することが可能な近年の超音波診断装置では、超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作でリアルタイムの画像データを容易に観察することができるため、生体臓器の形態診断や機能診断に広く用いられている。
【0003】
生体内の組織あるいは血球からの反射波により生体情報を得る超音波診断法は、超音波パルス反射法と超音波ドプラ法の2つの大きな技術開発により急速な進歩を遂げ、上記技術を用いて得られるBモード画像データやカラードプラ画像データは、今日の超音波検査において不可欠なものとなっている。
【0004】
このような超音波検査における超音波プローブの配置や画像データの生成条件及び表示条件の設定等は、超音波診断装置を保有する医療施設の医師や検査師(以下では、医療従事者と呼ぶ。)の判断によって行なわれてきた。しかしながら、上述の超音波診断装置が設置された被検体の自宅や診療所等の小さな医療施設において十分な検査経験や専門知識を有する医療従事者が存在しない場合、遠隔診断により中央の大きな医療施設に所属する超音波専門医の指示を受ける方法が提案されている。
【0005】
例えば、遠隔診断を可能とする超音波診断装置は、上述の小さな医療施設に設けられ、被検体に対する超音波送受信により時系列的な画像データ(動画像データ)を生成する機能及び得られた画像データを有線通信回線あるいは無線通信回線を介して大きな医療施設へ供給する機能を有した送信側ユニットと、大きな医療施設に設けられ、上述の送信側ユニットから供給された画像データを表示する機能を有した受信側ユニットを備えている。そして、大きな医療施設の超音波専門医は、送信側ユニットから供給され受信側ユニットの表示部にリアルタイム表示された画像データの観察下で当該超音波検査に好適な超音波プローブの配置や画像データに対する各種条件の設定等に関する指示を別途設置された通信回線を用いて行なうことにより、専門医を有さない小さな医療施設においても正確な超音波検査を行なうことが可能となる。
【0006】
特に、超音波診断装置が備える上述の送信側ユニットと受信側ユニットを無線通信回線によって接続することにより、例えば、送信側ユニットを被検体のベッドサイドへ移動させた場合等においても、超音波専門医に対する画像データの供給を容易に行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−115986号公報
【特許文献2】特開2008−142150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
超音波診断装置が備える送信側ユニットと受信側ユニットを無線通信回線によって接続し、送信側ユニットにおいて収集された時系列的な画像データを受信側ユニットの表示部にリアルタイム表示することにより、超音波専門医は当該超音波検査に好適な各種の指示を容易に行なうことができる。
【0009】
しかしながら、無線通信回線を介して上述の時系列的な画像データを供給する場合、無線通信回線が有する通信帯域幅の時間的変動等により、受信側ユニットに対する画像データの供給に許容されない遅延が発生する場合があり、このような場合には、連続性に優れた画像データをリアルタイムで観察することが困難になるという問題点を有していた。
【0010】
本開示は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、送信側ユニットから無線通信回線を介して接続された受信側ユニットへ時系列的な画像情報を供給する際、無線通信回線の回線状況に影響されることなく、連続性に優れた画像情報の供給が可能な超音波診断装置及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本開示の実施形態における超音波診断装置は、被検体に対する超音波送受信によって得られた受信信号に基づいて時系列的な画像情報を生成する送信側ユニットと、無線通信回線を介して前記送信側ユニットから供給された前記画像情報に基づいて画像データを生成する受信側ユニットを備えた超音波診断装置であって、前記送信側ユニットは、前記時系列的な画像情報を所定の長さに分割して時系列的な複数のパケットデータを生成する送信データ分割手段と、この送信データ分割手段によって生成された前記パケットデータを、前記無線通信回線を介して前記受信側ユニットへ送信する送信手段を備え、前記受信側ユニットは、前記無線通信回線を介して供給された前記パケットデータの受信期間と予め設定された許容受信期間との比較結果に基づいて前記許容受信期間において受信された第1のパケットデータと非許容受信期間において受信された第2のパケットデータを弁別する受信データ弁別手段と、前記第2のパケットデータの受信期間に対応する第3のパケットデータを前記第1のパケットデータに基づいて新たに生成し、得られた前記第3のパケットデータと前記第1のパケットデータを合成することによりリアルタイム性と連続性に優れた時系列的な実時間観測用画像データを生成する受信データ合成手段と、前記実時間観測用画像データを表示する受信データ表示手段とを備えたことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態の超音波診断装置が備える送受信部の具体的な構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態の超音波診断装置が備える受信信号処理部の具体的な構成を示すブロック図。
【図4】本実施形態の超音波診断装置が備えるデータ送信部及びデータ受信部の具体的な構成を示すブロック図。
【図5】本実施形態におけるパケットデータの送受信を説明するためのタイムチャート。
【図6】本実施形態におけるパケットデータの送受信手順を示すフローチャート。
【図7】本実施形態の変形例におけるパケットデータの送受信を説明するためのタイムチャート。
【図8】本実施形態の変形例におけるパケットデータの送受信手順を示すフローチャート。
【図9】本実施形態の変形例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図10】本実施形態の他の変形例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図11】本実施形態の他の変形例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。
【0014】
(実施形態)
以下に述べる本実施形態の超音波診断装置が備えるデータ送信部は、被検体に対する超音波送受信によって生成された時系列的な画像データ(原画像データ)をフレーム単位で分割して複数のパケットデータを生成し、これらのパケットデータをMチャンネルからなる無線通信回線を介して前記超音波診断装置のデータ受信部へ送信する。一方、上述のデータ受信部は、交互送信方式によりデータ送信部から無線通信回線を介して供給された上記パケットデータの各々の受信期間と予め設定された許容受信期間との比較結果に基づき、許容受信期間において受信された伝送遅延が比較的少ないパケットデータと無線通信回線の回線状況等に起因した顕著な伝送遅延により許容受信期間外(非許容受信期間)において受信されたパケットデータを弁別する。そして、顕著な伝送遅延が発生した期間(データ欠損期間)におけるパケットデータを前記データ欠損期間に隣接した前期間及び後期間のパケットデータを用いた補間処理によって新たに生成し、得られたパケットデータと上述の許容受信期間において受信されたパケットデータとを合成することにより連続性とリアルタイム性に優れた時系列的な画像データ(実時間観測用画像データ)を生成する。
【0015】
尚、以下の実施形態では、被検体の検査対象部位近傍に配置された超音波プローブから得られる受信信号に基づいて時系列的な原画像データを生成する第1の医療施設に設けられた送信側ユニットと複数チャンネルの無線通信回線を介し前記送信側ユニットから供給された前記原画像データの画像情報に基づいて実時間観測用画像データ及び精密検査用画像データを生成する第2の医療施設に設けられた受信側ユニットを有する超音波診断装置について述べるが、これらに限定されるものではなく、例えば、送信側ユニット及び受信側ユニットは、同一の医療施設内に設けられていてもよく、又、受信側ユニットは、各種画像データの保存や解析を目的として別途設置された画像サーバやワークステーション等の一部であっても構わない。
【0016】
更に、上述の送信側ユニットから受信側ユニットへ供給される画像情報は、画像データに限定されるものではなく、例えば、超音波プローブから出力される複数チャンネルの受信信号や送受信部から出力される整相加算後の受信信号であってもよく、受信信号処理部から送受信方向単位で出力される画像信号であっても構わない。
【0017】
(装置の構成及び機能)
本実施形態における超音波診断装置の構成と機能につき図1乃至図4を用いて説明する。但し、図1は、超音波診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図2乃至図4は、この超音波診断装置が備える送受信部、受信信号処理部及びデータ送信部/データ受信部の具体的な構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示す本実施形態の超音波診断装置100は、第1の医療施設に設けられた送信側ユニット151と第2の医療施設に設けられた受信側ユニット152を備え、送信側ユニット151と受信側ユニット152は、Mチャンネルの無線通信回線150を介して接続されている。
【0019】
送信側ユニット151は、被検体の診断対象部位を含む検査領域に対して超音波パルス(送信超音波)を放射し、前記診断対象部位から得られた超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する複数個の振動素子を有した超音波プローブ2と、前記検査領域に対し送信超音波を放射するための駆動パルスを超音波プローブ2の振動素子に供給し、これらの振動素子から得られた複数チャンネルの受信信号を整相加算する送受信部3と、整相加算後の受信信号を処理して画像信号としてのBモードデータ及びカラードプラデータを生成する受信信号処理部4と、検査領域に対する超音波走査によって得られた上述の画像信号に基づいて時系列的な画像データ(原画像データ)を生成する画像データ生成部5と、得られた原画像データを表示する表示部6を備えている。
【0020】
更に、送信側ユニット151は、画像データ生成部5において時系列的に生成された上述の原画像データをパケット単位で受信側ユニット152へ順次送信するデータ送信部7と、被検体情報の入力、撮影モードの選択、画像データ生成条件の設定、各種指示信号の入力等を行なう入力部8と、送信側ユニット151が有する上述の各ユニットを統括的に制御する送信ユニット制御部9を備えている。
【0021】
以下、超音波診断装置100の送信側ユニット151が備える上記ユニットの具体的な構成とその機能につき更に詳しく説明する。
【0022】
図1に示した超音波プローブ2は、図示しないN個の振動素子をその先端部に有し、これら振動素子の各々は、Nチャンネルの多芯ケーブルを介して送受信部3の入出力端子に接続されている。振動素子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルス(駆動パルス)を超音波パルス(送信超音波)に変換し、受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気的な受信信号に変換する機能を有している。
【0023】
尚、以下では、セクタ走査方式に対応した超音波プローブ2を用い、この超音波プローブ2に設けられたN個の振動素子を送信用振動素子及び受信用振動素子として用いる場合について述べるが、リニア走査方式やコンベックス走査方式等が適用した超音波プローブであってもよい。即ち、本実施形態では、N個からなる送信用振動素子の各々が送受信部3から供給されるNチャンネルの駆動パルスにより駆動されて被検体内に送信超音波を放射し、この送信超音波によって被検体内から得られる受信超音波は、N個からなる受信用振動素子によってNチャンネルの電気的な受信信号に変換される。
【0024】
次に、図2に示す送受信部3は、当該被検体に対して送信超音波を放射するためのNチャンネルからなる駆動パルスを超音波プローブ2の送信用振動素子に供給する送信部31と、超音波プローブ2の受信用振動素子から得られたNチャンネルの受信信号を整相加算(所定方向からの受信超音波に対応する受信信号の位相を合わせて加算合成)する受信部32を備えている。
【0025】
送信部31は、送信遅延設定部311、駆動制御信号生成部312及び駆動パルス発生部313を備え、送信遅延設定部311は、送信ユニット制御部9から供給される走査制御信号に従い、送信超音波を所定の方向へ偏向するための偏向用遅延時間と所定の距離に集束させるための集束用遅延時間とに基づいた送信遅延時間を設定する。この場合の送信遅延時間は、送信振動素子数N、振動素子の配列間隔、送信方向及び送信焦点距離等によって一義的に決定され、例えば、図示しない演算回路を用いて算出してもよいが、ルックアップテーブルとして予め保管された各種遅延時間データの中から選択して用いてもよい。
【0026】
一方、駆動制御信号生成部312は、送信遅延設定部311から供給される送信遅延時間の設定情報に基づいてNチャンネルからなる駆動制御信号を生成し駆動パルス発生部313へ供給する。
【0027】
駆動パルス発生器313は、超音波プローブ2に内蔵されたN個の送信用振動素子を駆動する機能を有し、例えば、上述の集束用遅延時間と偏向用遅延時間を有する上述の駆動制御信号に基づいてBモード及びカラードプラモードの各々に対応した駆動パルスを生成する。
【0028】
次に、送受信部3の受信部32は、超音波プローブ2に設けられた受信用振動素子の各々に対応するNチャンネルのプリアンプ321及びA/D変換器322と、整相加算部323を備えている。プリアンプ321は、超音波プローブ2の受信用振動素子から供給された受信信号を増幅して十分なS/Nを確保するためのものであり、その初段部には、送信部31の駆動パルス発生部313が発生する大振幅の駆動パルスからプリアンプ321を保護するためのリミッタ回路が設けられている。そして、受信用振動素子によって得られたNチャンネルの受信信号は、プリアンプ321において所定の大きさに増幅され、A/D変換器322にてデジタル信号に変換された後整相加算部323へ供給される。
【0029】
一方、整相加算部323は、図示しない受信遅延設定部と加算部を有し、受信遅延設定部は、A/D変換器322においてデジタル信号に変換されたNチャンネルの受信信号に対し所定方向に強い受信指向性を設定するための偏向用遅延時間と所定の深さからの受信超音波を集束するための集束用遅延時間に基づいた受信遅延時間を設定する。そして、加算部は、上述の受信遅延時間が与えられたNチャンネルの受信信号を加算合成(整相加算)する。
【0030】
次に、図1に示した受信信号処理部4の具体的な構成につき図3のブロック図を用いて説明する。この受信信号処理部4は、受信部32の整相加算部323から出力される整相加算後の受信信号を信号処理してBモードデータを生成するBモードデータ生成部41と、前記受信信号を信号処理してカラードプラデータを生成するカラードプラデータ生成部42を備えている。
【0031】
Bモードデータ生成部41は、整相加算部323から出力された受信信号の各々に対して包絡線検波を行なう包絡線検波器411と、包絡線検波後の受信信号に対する対数変換処理により小さな信号振幅を相対的に強調してBモードデータを生成する対数変換器412を備えている。
【0032】
一方、カラードプラデータ生成部42は、π/2移相器421、ミキサ422−1及び422−2、LPF(低域通過フィルタ)423−1及び423−2を備え、受信部32の整相加算部323から出力された受信信号を直交位相検波して複素信号(I信号及びQ信号)を生成する。
【0033】
更に、カラードプラデータ生成部42は、ドプラ信号記憶部424、MTIフィルタ425及び自己相関演算器426を備え、直交位相検波によって得られた複素信号は、ドプラ信号記憶部424に一旦保存される。一方、高域通過用デジタルフィルタであるMTIフィルタ425は、ドプラ信号記憶部424に保存された上述の複素信号を読み出し、この複素信号に含まれた臓器の固定反射体あるいは臓器の呼吸性移動や拍動性移動等に起因するドプラ成分(クラッタ成分)を除去する。そして、自己相関演算器426は、MTIフィルタ425によって抽出された血流情報のドプラ成分に対して自己相関値を算出し、更に、この自己相関値に基づいて血流の平均流速値、分散値、パワー値等を算出してカラードプラデータを生成する。
【0034】
図1へ戻って、画像データ生成部5は、図示しないBモード画像データ生成部とカラードプラ画像データ生成部を備え、Bモード画像データ生成部は、受信信号処理部4のBモードデータ生成部41が生成したBモードデータを超音波の送受信方向に対応させて順次保存することによりBモード画像データを生成する。同様にして、カラードプラ画像データ生成部は、受信信号処理部4のカラードプラデータ生成部42が超音波送受信方向単位で生成したカラードプラデータを順次保存することによりカラードプラ画像データを生成する。
【0035】
尚、以下では、上述のBモード画像データやカラードプラ画像データを原画像データと呼ぶ。
【0036】
表示部6は、図示しない表示データ生成部、データ変換部及びモニタを備え、表示データ生成部は、画像データ生成部5において生成された時系列的な原画像データを所定の表示フォーマットに変換して表示データを生成し、データ変換部は、表示データ生成部から供給された表示データに対してD/A変換やテレビフォーマット変換等の変換処理を行なってモニタに表示する。
【0037】
一方、データ送信部7は、図4に示すように画像データ生成部5から時系列的に供給された原画像データを1つあるいは複数の画像フレーム(以下、フレームと呼ぶ。)からなる複数のパケットデータに分割する送信データ分割部71と、分割された上述のパケットデータにその配列順序に対応した識別情報を付加して一旦保存するMチャンネルの送信データ記憶部72と、送信データ記憶部72から読み出した上述のパケットデータをMチャンネルの無線通信回線150へ出力する送信用IF(インターフェース)73と、入力部8から供給されたデータ送信方式の選択情報や無線通信回線150の回線状態(例えば、通信帯域幅)等に基づいて送信データ分割部71、送信データ記憶部72及び送信用IF73を制御する送信制御部74を備えている。尚、データ送信部7に設けられた上記ユニットの具体的な動作手順については後述する。
【0038】
次に、図1に示した入力部8は、操作パネル上に表示パネルやキーボード、トラックボール、マウス、選択ボタン、入力ボタン等の入力デバイスを備え、被検体情報の入力、超音波プローブの選択、撮影モードの選択、画像データ生成条件の設定、画像データ表示条件の設定、無線通信回線数Mの設定、パケット長(パケットデータにおけるフレーム数)の設定、データ送信方式の選択、各種コマンド信号の入力等を行なう。尚、撮影モードとしてBモードやカラードプラモード等があり、画像データ生成条件として超音波周波数、走査密度、走査領域、超音波送受信の繰り返し周波数(レート周波数)、フレーム周波数等がある。又、データ送信方式として、Mチャンネルの無線通信回線150に対しパケット単位で行なわれる交互送信方式及び並列送信方式がある。
【0039】
送信ユニット制御部9は、図示しないCPUと記憶回路を備え、上述の入力部8において入力/設定/選択された各種情報は前記記憶回路に保存される。一方、前記CPUは、前記記憶回路に保存された各種情報に基づいて送信側ユニット151に備えられた上述の各ユニット及び受信側ユニット152に備えられた後述の各ユニットを統括的に制御し、当該被検体に対する超音波送受信及びこの超音波送受信によって得られた受信信号に基づく時系列的な原画像データの生成、更には、Mチャンネルの無線通信回線150を用いた前記原画像データの送受信を実行させる。
【0040】
次に、図1に示した受信側ユニット152は、送信側ユニット151のデータ送信部7からMチャンネルの無線通信回線150を介して供給されたパケットデータに対しデータ補間を適用した合成処理を行なうことによりリアルタイム性と連続性に優れた時系列的な画像データ(以下では、実時間観測用画像データと呼ぶ。)と前記パケットデータに対しデータ挿入を適用した合成処理を行なうことにより原画像データと同等の画像情報を有した時系列的な画像データ(以下では、精密検査用画像データと呼ぶ。)を生成するデータ受信部11と、送信側ユニット151の表示部6と略同様の構成及び機能を有し、データ受信部11から出力された実時間観測用画像データや後述の受信データ保管部13から読み出された精密検査用画像データを表示する受信データ表示部12と、大容量の記憶媒体を有しデータ受信部11において生成された精密検査用画像データを保存する受信データ保管部13と、受信側ユニット152が備える上述の各ユニットを制御する受信ユニット制御部14を備えている。
【0041】
そして、受信側ユニット152に備えられた上述のデータ受信部11は、図4に示すように受信用IF(インターフェース)111、受信データ弁別部112、受信データ記憶部113、受信データ合成部114及び受信制御部115を備え、受信用IF111は、送信側ユニット151のデータ送信部7からMチャンネルの無線通信回線150を介して供給されたパケットデータを受信する。
【0042】
一方、受信データ弁別部112は、画像データ生成部5において生成された時系列的な原画像データの各々がパケットデータとして上述の受信用IF111によって受信されるまでの期間を計測する図示しない受信期間計測部を備え、この受信期間計測部の計測結果に基づき、受信用IF111によって順次受信されたパケットデータの中から所定の許容受信期間において受信されたパケットデータ(第1のパケットデータ)と無線通信回線150の回線状態等に起因した伝送遅延により許容されない期間(非許容受信期間)において受信されたパケットデータ(第2のパケットデータ)を弁別する。そして、受信データ弁別部112によって弁別された許容受信期間のパケットデータは受信データ記憶部113に設けられた第1のデータ記憶領域に保存され、非許容受信期間のパケットデータは第2のデータ記憶領域に保存される。
【0043】
受信データ合成部114は、受信データ記憶部113の第1のデータ記憶領域から読み出したパケットデータをその付帯情報であるパケットデータの配列順序に対応した識別情報に基づいて合成することにより時系列的な実時間観測用画像データを生成し、更に、受信データ記憶部113の第1のデータ記憶領域及び第2のデータ記憶領域から読み出したパケットデータをその識別情報に基づいて合成することにより時系列的な精密検査用画像データを生成する。
【0044】
具体的には、第1のデータ記憶領域から読み出したパケットデータの連続性を上述の識別情報に基づいて判定する。そして、非許容受信期間におけるパケットデータの受信により第1のデータ記憶領域から読み出した一連のパケットデータにデータ欠損期間が発生した場合、このデータ欠損期間に隣接した前期間のパケットデータ及び後期間のパケットデータを用いた補間処理によりデータ欠損期間におけるパケットデータ(第3のパケットデータ)を新たに生成する。次いで、得られたデータ欠損期間のパケットデータを第1のデータ記憶領域から読み出した上述のパケットデータに追加することによりリアルタイム性と連続性に優れた時系列的な実時間観測用画像データを生成する。そして、得られた実時間観測用画像データは、受信側ユニット152の受信データ表示部12において略リアルタイムで表示される。
【0045】
更に、受信データ合成部114は、非許容受信期間におけるパケットデータの受信により第1のデータ記憶領域から読み出した一連のパケットデータにデータ欠損期間が発生している場合、受信データ記憶部113の第2のデータ記憶領域から読み出した当該データ欠損期間のパケットデータを第1のデータ記憶領域から読み出した時系列的なパケットデータに挿入することにより、原画像データと同一の画像情報を有する時系列的な精密検査用画像データを生成する。そして、得られた精密検査用画像データは、受信側ユニット152の受信データ保管部13に保存され、更に、この精密検査用画像データは、必要に応じて受信データ保管部13から読み出されて受信データ表示部12に表示される。
【0046】
(無線通信回線によるパケットデータの送受信手順)
次に、複数チャンネルの無線通信回線を用いた交互送信方式によるパケットデータの送受信手順につき図5のタイムチャートと図6のフローチャートを用いて説明する。但し、以下では、送信側ユニット151の画像データ生成部5において生成された時系列的な原画像データをフレーム単位で分割することにより複数のパケットデータを生成し、これらのパケットデータを2チャンネル(M=2)の無線通信回線150a及び150bを用いて受信側ユニット152へ送信する場合について述べる。又、説明を簡単にするために、フレーム1乃至フレーム5を有する時系列的な原画像データについて述べるが、実際の原画像データは極めて多くのフレーム数によって構成されている。
【0047】
図5は、送信側ユニット151の画像データ生成部5において生成された時系列的な原画像データを構成するフレーム1乃至フレーム5のパケットデータを交互送信方式によって受信側ユニット152へ供給する場合のタイムチャートを示したものであり、図5(a)は、画像データ生成部5において生成された時系列的な原画像データを構成するフレーム1乃至フレーム5の生成期間、又、図5(b)及び図5(c)は、交互送信方式の適用によりデータ送信部7の送信用IF73aから第1の無線通信回線150aへ出力されるフレーム1、フレーム3及びフレーム5のパケットデータ出力期間及び送信用IF73bから第2の無線通信回線150bへ出力されるフレーム2及びフレーム4のパケットデータ出力期間を夫々示している。但し、上述の送信用IF73aは、第1の無線通信回線150aに対応した送信用のインターフェースであり、送信用IF73bは、第2の無線通信回線150bに対応した送信用のインターフェースである。
【0048】
即ち、データ送信部7の送信データ分割部71は、画像データ生成部5から供給された時系列的な原画像データを入力部8から送信制御部74を介して供給されるパケット長の設定情報に基づいて分割することにより図5(a)に示すようなフレーム単位で構成される複数のパケットデータを生成し(図6のステップS1)、同様にして入力部8から送信制御部74を介して供給される交互送信方式の選択情報に基づき、上述のパケットデータを送信データ記憶部72に設けられた第1の無線通信回線150aに対応する第1のバッファ領域及び第2の無線通信回線150bに対応する第2のバッファ領域において交互に保存する(図6のステップS2)。
【0049】
一方、第1の無線通信回線150aに対応した送信用IF73aは、図5(b)に示すように、画像データ生成部5によって生成され送信データ記憶部72の第1のバッファ領域に一旦保存された生成期間[t1−t2]のフレーム1、生成期間[t3−t4]のフレーム3及び生成期間[t5−t6]のフレーム5のパケットデータを順次読み出して第1の無線通信回線150aへ出力し、送信用IF73bは、図5(c)に示すように、画像データ生成部5によって生成され送信データ記憶部72の第2のバッファ領域に一旦保存された生成期間[t2−t3]のフレーム2及び生成期間[t4−t5]のフレーム4のパケットデータを順次読み出して第2の無線通信回線150bへ出力する(図6のステップS3)。
【0050】
次に、図5(d)及び図5(e)は、データ送信部7の送信用IF73aから第1の無線通信回線150aを介して供給されデータ受信部11の受信用IF111aによって受信された上述のフレーム1、フレーム3及びフレーム5のパケットデータ受信期間と、データ送信部7の送信用IF73bから第2の無線通信回線150bを介して供給されデータ受信部11の受信用IF111bによって受信されたフレーム2及びフレーム4のパケットデータ受信期間を示しており、図5(f)は、受信データ合成部114が、上述のフレーム1、フレーム3及びフレーム5のパケットデータとフレーム2及びフレーム4のパケットデータに基づいて生成する実時間観測用画像データの生成期間を示している。
【0051】
但し、図5(d)及び図5(e)に示した破線は、フレーム1の許容受信期間[t11−t21]、フレーム2の許容受信期間[t21−t31]、フレーム3の許容受信期間[t31−t41]、フレーム4の許容受信期間[t41−t51]及びフレーム5の許容受信期間[t51−t61]を示しており、期間[t1−t11]、期間[t2−t21]、期間[t3−t31]・・・は、正常動作時における無線通信回線150の伝送遅延Δτを示している。そして、上述の許容受信期間は、第1の無線通信回線150a及び第2の無線通信回線150bの伝送遅延Δτに基づいて予め設定される。尚、受信用IF111aは、第1の無線通信回線150aに対応した受信用のインターフェースであり、受信用IF111bは、第2の無線通信回線150bに対応した受信用のインターフェースである。
【0052】
このような伝送遅延を有した第1の無線通信回線150a及び第2の無線通信回線150bから受信用IF111a及び受信用IF111bを介して供給される上述のパケットデータを受信したデータ受信部11の受信データ弁別部112は、フレーム1乃至フレーム5のパケットデータの中から許容受信期間において受信されたフレーム1乃至フレーム3及びフレーム5のパケットデータ(第1のパケットデータ)と許容受信期間外(非許容受信期間)において受信されたフレーム4のパケットデータ(第2のパケットデータ)を弁別する。そして、許容受信期間において受信されたフレーム1乃至フレーム3及びフレーム5のパケットデータを受信データ記憶部113に設けられた第1のデータ記憶領域に保存し、非許容受信期間において受信されたフレーム4のパケットデータを第2のデータ記憶領域に保存する(図6のステップS4)。
【0053】
次いで、データ受信部11の受信データ合成部114は、受信データ記憶部113の第1のデータ記憶領域から読み出したパケットデータの連続性をその配列順序に対応した識別情報に基づいて判定する(図6のステップS5)。そして、パケットデータの非許容受信期間における受信により第1のデータ記憶領域から読み出した一連のパケットデータにデータ欠損期間[t41−t51]が存在している場合、このデータ欠損期間[t41−t51]に隣接した前期間[t31−t41]のパケットデータ(フレーム3)及び後期間[t51−t61]のパケットデータ(フレーム5)を用いた補間処理によりデータ欠損期間[t41−t51]におけるパケットデータ(フレームX=第3のパケットデータ)を生成する(図6のステップS6)。
【0054】
そして、新たに生成したフレームXのパケットデータと第1のデータ記憶領域から読み出したフレーム1乃至フレーム3及びフレーム5のパケットデータとを各々のパケットデータに付加されている識別情報に基づいて合成することによりリアルタイム性と連続性に優れた時系列的な実時間観測用画像データを生成する(図6のステップS7)。
【0055】
一方、上述のステップ5におけるパケットデータの連続性判定においてデータ欠損期間の存在が認められなかった場合、受信データ合成部114は、受信データ記憶部113の第1の記憶領域から読み出したフレーム1乃至フレーム5のパケットデータを合成することにより上述の性能を有した実時間観測用画像データを生成する(図6のステップS7)。そして、得られた実時間観察用画像データは受信データ表示部12において略リアルタイムで表示される(図6のステップS8)。
【0056】
尚、図5に示したΔτxは、送信側ユニット151の画像データ生成部5における原画像データの生成時刻から受信側ユニット152の受信データ合成部114における実時間観測用画像データの生成時刻までの遅延時間を示しており、数フレーム分の画像データ生成時間に相当するこの遅延時間は、動画像の実時間観察において許容される小さな値である。即ち、受信データ合成部114において生成される時系列的な画像データは、リアルタイム性と連続性に優れた実時間観測用画像データとして受信データ表示部12において表示することができる。
【0057】
(変形例)
次に、本実施形態の変形例として、複数チャンネルの無線通信回線を用いた並列送信方式によるパケットデータの送受信手順を図7のタイムチャートと図8のフローチャートを用いて説明する。但し、ここでも送信側ユニット151の画像データ生成部5において生成されたフレーム1乃至フレーム5を有する時系列的な原画像データをフレーム単位で分割することによって複数のパケットデータを生成し、これらのパケットデータを2チャンネル(M=2)の無線通信回線150a及び150bを用いて受信側ユニット152へ送信する場合について述べる。
【0058】
図7は、送信側ユニット151の画像データ生成部5において生成された時系列的な原画像データを構成するフレーム1乃至フレーム5のパケットデータを並列送信方式の適用により受信側ユニット152へ供給する場合のタイムチャートを示したものであり、図7(a)は、画像データ生成部5において生成された原画像データを構成するフレーム1乃至フレーム5の生成期間、図7(b)及び図7(c)は、並列送信方式の適用によりデータ送信部7の送信用IF73aから第1の無線通信回線150aへ出力されるフレーム1a乃至フレーム5aのパケットデータ出力期間及び送信用IF73bから第2の無線通信回線150bへ出力されるフレーム1b乃至フレーム5bのパケットデータ出力期間を夫々示している。但し、上述のフレーム1a及びフレーム1bは、フレーム1と同一の画像情報を有し、同様にして、フレームna及びフレームnb(n=2乃至5)は、フレームn(n=2乃至5)と同一の画像情報を有している。
【0059】
即ち、データ送信部7の送信データ分割部71は、画像データ生成部5から供給される時系列的な原画像データを入力部8からデータ送信部7の送信制御部74を介して供給されるパケット長の設定情報に基づいて分割することにより図7(a)に示すようなフレーム単位で構成される複数のパケットデータを生成し(図8のステップS11)、同様にして入力部8から送信制御部74を介して供給される並列送信方式の選択情報に基づき、フレーム1乃至フレーム5のパケットデータを送信データ記憶部72に設けられた第1の無線通信回線150aに対応する第1のバッファ領域及び第2の無線通信回線150bに対応する第2のバッファ領域にフレーム1a乃至フレーム5a及びフレーム1b乃至フレーム5bとして並列保存する(図8のステップS12)。
【0060】
一方、第1の無線通信回線150aに対応した送信用IF73aは、図7(b)に示すように、画像データ生成部5によって生成され送信データ記憶部72の第1のバッファ領域に一旦保存されたフレーム1a乃至フレーム5aのパケットデータを順次読み出して第1の無線通信回線150aへ出力し、送信用IF73bは、図7(c)に示すように、画像データ生成部5によって生成され送信データ記憶部72の第2のバッファ領域に一旦保存されたフレーム1b乃至5bのパケットデータを順次読み出して第2の無線通信回線150bへ出力する(図8のステップS13)。
【0061】
次に、図7(d)及び図7(e)は、データ送信部7の送信用IF73aから第1の無線通信回線150aを介して供給されデータ受信部11の受信用IF111aによって受信されたフレーム1a乃至フレーム5aのパケットデータ受信期間と、データ送信部7の送信用IF73bから第2の無線通信回線150bを介して供給されデータ受信部11の受信用IF111bによって受信されたフレーム1b乃至フレーム5bのパケットデータ受信期間を示しており、図7(f)は、受信データ合成部114が、受信用IF111aから供給されるフレーム1a乃至フレーム5aと、補充用パケットデータとして受信用IF111bから供給されるフレーム1b乃至フレーム5bに基づいて生成する実時間観測用画像データの生成期間を示している。
【0062】
但し、図7(d)及び図7(e)に示した破線は、図5の場合と同様にしてフレーム1a乃至フレーム5a及びフレーム1b乃至フレーム5bの許容受信期間を示している。又、Δτは、正常動作時における無線通信回線150の伝送遅延Δτを示しており、上述の許容受信期間は、第1の無線通信回線150a及び第2の無線通信回線150bにおける伝送遅延Δτに基づいて予め設定される。
【0063】
このような伝送遅延を有した第1の無線通信回線150a及び第2の無線通信回線150bから受信用IF111a及び受信用IF111bを介して供給される上述のパケットデータを受信したデータ受信部11の受信データ弁別部112は、例えば、受信用IF111aから供給されるフレーム1a乃至フレーム5aのパケットデータの中から上述の許容受信期間において受信されたパケットデータ(第1のパケットデータ)と許容受信期間外(非許容受信期間)において受信されたパケットデータ(第2のパケットデータ)を弁別することによりフレーム1a乃至フレーム5aのパケットデータにおけるデータ欠損期間を検出する(図8のステップS14及びステップS15)。
【0064】
そして、例えば、期間[t41−t51]が、データ欠損期間として検出された場合、受信データ合成部114は、受信用IF111bから供給されるフレーム1b乃至フレーム5bのパケットデータの中からデータ欠損期間[t41−t51]におけるフレーム4bのパケットデータを補充用パケットデータ(第3のパケットデータ)として抽出する(図8のステップS16)。
【0065】
次いで、受信データ合成部114は、許容受信期間において受信されたフレーム1a乃至フレーム3a及びフレーム5aのパケットデータと補充用パケットデータとして抽出したフレーム4bのパケットデータを各々のパケットデータに付加されている識別情報に基づいて合成することによりリアルタイム性と連続性に優れ原画像データと同一の画像情報を有した時系列的な実時間観測用画像データを生成する(図8のステップS17)。
【0066】
一方、上述のステップ15においてデータ欠損期間が検出されなかった場合、受信データ合成部114は、受信用IF111aから供給されるフレーム1a乃至フレーム5aのパケットデータを合成することにより上述の性能を有した実時間観測用画像データを生成する(図8のステップS17)。そして、得られた実時間観察用画像データは、受信データ表示部12において略リアルタイムで表示される(図8のステップS18)。
【0067】
以上述べた本実施形態によれば、被検体に対する超音波送受信によって得られた時系列的な原画像データを複数のパケットデータに分割し、複数チャンネルの無線通信回線を介して送信側ユニットから受信側ユニットへ供給する際、予め設定された許容受信期間における受信が不可能なデータ欠損期間におけるパケットデータを、このデータ欠損期間に隣接した前期間及び後期間におけるパケットデータを用いて新たに生成することにより、無線通信回線の通信状況に影響されることなく、リアルタイム性と連続性に優れた時系列的な実時間観測用画像データを生成することができる。
【0068】
この場合、原画像データの生成から実時間観察用画像データの生成までの遅延は、数フレーム分以内に抑えることができるため、上述の実時間観察用画像データは表示部において略リアルタイムで観察することが可能となる。
【0069】
又、交互送信方式を適用した本実施形態によれば、許容受信期間において受信されたパケットデータと非許容受信期間において受信されたパケットデータを、パケットデータの配列順序に対応する付帯情報に基づいて合成することにより、画像情報の欠落がなく連続性に優れた時系列的な精密検査用画像データを生成することが可能となる。
【0070】
一方、並列送信方式を適用した本実施形態の変形例によれば、被検体に対する超音波送受信によって得られた時系列的な原画像データを複数のパケットデータに分割し、複数チャンネルの無線通信回線を介して超音波診断装置の送信側ユニットから受信側ユニットへ供給する際、予め設定された許容受信期間での受信が不可能なデータ欠損期間におけるパケットデータを同一期間の他のチャンネルにて受信されたパケットデータを用いて補充することにより、原画像データと同一の画像情報を有しリアルタイム性と連続性に優れた時系列的な実時間観測用画像データ及び精密検査用画像データを無線通信回線の回線状態に影響されることなく生成することができる。
【0071】
特に、データ欠損期間におけるパケットデータの補充は、このデータ欠損期間に後続した後期間におけるパケットデータの受信を待たずに行なうことができるため、原画像データの生成から実時間観測用画像データの生成までの遅延を上述の実施形態より更に短くすることが可能となる。
【0072】
以上、本開示の実施形態及びその変形例について述べてきたが、本開示は、上述の実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、更に変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施形態及びその変形例では、被検体の検査対象部位近傍に配置された超音波プローブ2から得られる受信信号に基づいて時系列的な原画像データを生成する第1の医療施設に設けられた送信側ユニット151と、複数チャンネルの無線通信回線150を介し前記送信側ユニット151から供給された前記原画像データの画像情報に基づいて実時間観察用画像データ及び精密検査用画像データを生成する第2の医療施設に設けられた受信側ユニット152を有する超音波診断装置100について述べたが、これらに限定されるものではなく、例えば、送信側ユニット151及び受信側ユニット152は、同一の医療施設に設けられていてもよく、又、受信側ユニット152は、各種画像データの保存や解析を目的として別途設置された画像サーバやワークステーション等の一部であっても構わない。
【0073】
更に、送信側ユニット151から受信側ユニット152へ供給される画像情報は、画像データ(原画像データ)に限定されるものではなく、例えば、図9に示すような超音波プローブ2から出力される複数チャンネルの受信信号や図10に示すような送受信部3の受信部32から出力される整相加算後の受信信号であってもよく、図11に示すような受信信号処理部4から出力される送受信方向単位の画像信号であっても構わない。
【0074】
又、複数チャンネルの無線通信回線150を介して受信用ユニット152へ供給されるパケットデータの各々は、1フレーム分の画像情報である場合について述べたが、受信用ユニット152へ供給されるパケットデータの各々は、複数フレーム分の画像情報を有していてもよい。
【0075】
更に、時系列的な原画像データの画像情報を2チャンネルの無線通信回線を用いて送受信する場合について述べたが、3チャンネル以上の無線通信回線を用いた送受信であってもよい。
【0076】
一方、上述の実施形態では、セクタ走査方式の超音波診断装置100について述べたが、リニア走査方式やコンベックス走査方式等に対応した超音波診断装置であってもよい。又、送信側ユニット151において生成されたBモードデータ及びカラードプラデータに基づく原画像データを複数のパケットデータに分割して受信側ユニット152へ送信する場合について述べたが、無線通信回線150を介して供給される画像情報はこれらに限定されるものではなく、例えば、ドプラスペクトラムデータやMモードデータ等に基づいた画像情報であっても構わない。
【0077】
又、データ欠損期間に隣接した前期間及び後期間のパケットデータを用いて前記データ欠損期間におけるパケットデータを新たに生成する場合について述べたが、前期間のパケットデータあるいは後期間のパケットデータの何れかを用いてデータ欠損期間におけるパケットデータを生成してもよい。
【0078】
又、精密検査用画像データを生成する際、画像データ生成部5において生成された原画像データに基づくパケットデータをデータ送信部7から受信側ユニット152のデータ受信部11へ再度供給することによりデータ欠損期間におけるパケットデータを生成してもよい。特に、原画像データのフレームレートが受信側ユニット152のデータ受信部11において生成される精密検査用画像データのフレームレートより大きい場合、余った原画像データに基づくパケットデータ(即ち、正規のパケットデータ送受信において用いられなかった原画像データのパケットデータ)を後刻データ受信部11へ供給することによりデータ欠損期間におけるパケットデータを生成しても構わない。
【0079】
尚、本開示の実施形態及びその変形例に係る超音波診断装置100乃至400の一部は、コンピュータをハードウェアとして用いることでも実現することができる。例えば、送信ユニット制御部9等は、上述のコンピュータに搭載されたCPU等のプロセッサに所定の制御プログラムを実行させることにより各種機能を実現することができる。この場合、送信ユニット制御部9等は上述の制御プログラムをコンピュータに予めインストールしてもよく、又、コンピュータによる読み取りが可能な記憶媒体への保存あるいはネットワークを介して配布された制御プログラムのコンピュータへのインストールであっても構わない。
【0080】
以上、本発明のいくつかの実施形態やその変形を説明したが、これらの実施形態や変形は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
2…超音波プローブ
3…送受信部
31…送信部
32…受信部
4…受信信号処理部
5…画像データ生成部
6…表示部
7…データ送信部
71…送信データ分割部
72…送信データ記憶部
73…送信用IF
74…送信制御部
8…入力部
9…送信ユニット制御部
11…データ受信部
111…受信用IF
112…受信データ弁別部
113…受信データ記憶部
114…受信データ合成部
115…受信制御部
12…受信データ表示部
13…受信データ保管部
14…受信ユニット制御部
150…無線通信回線
151…送信側ユニット
152…受信側ユニット
100、200、300、400…超音波診断装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対する超音波送受信によって得られた受信信号に基づいて時系列的な画像情報を生成する送信側ユニットと、無線通信回線を介して前記送信側ユニットから供給された前記画像情報に基づいて画像データを生成する受信側ユニットを備えた超音波診断装置であって、
前記送信側ユニットは、
前記時系列的な画像情報を所定の長さに分割して時系列的な複数のパケットデータを生成する送信データ分割手段と、
この送信データ分割手段によって生成された前記パケットデータを、前記無線通信回線を介して前記受信側ユニットへ送信する送信手段を備え、
前記受信側ユニットは、
前記無線通信回線を介して供給された前記パケットデータの受信期間と予め設定された許容受信期間との比較結果に基づいて前記許容受信期間において受信された第1のパケットデータと非許容受信期間において受信された第2のパケットデータを弁別する受信データ弁別手段と、
前記第2のパケットデータの受信期間に対応する第3のパケットデータを前記第1のパケットデータに基づいて新たに生成し、得られた前記第3のパケットデータと前記第1のパケットデータを合成することによりリアルタイム性と連続性に優れた時系列的な実時間観測用画像データを生成する受信データ合成手段と、
前記実時間観測用画像データを表示する受信データ表示手段とを
備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記送信手段は、時系列的な前記パケットデータを、複数チャンネルからなる前記無線通信回線を介して前記受信側ユニットへ交互送信することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記受信データ合成手段は、前記第2のパケットデータの受信期間に隣接する前期間あるいは後期間の少なくとも何れかの期間において受信された前記第1のパケットデータに基づいて前記第3のパケットデータを生成することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記受信データ合成手段は、前記第2のパケットデータの受信期間に隣接した前期間及び後期間において受信される前記第1のパケットデータを用いた補間処理により前記第3のパケットデータを生成することを特徴とする請求項3記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記受信データ合成手段は、前記第1のパケットデータ及び前記第2のパケットデータを合成することにより画像情報の欠落が無く連続性に優れた時系列的な精密検査用画像データを生成することを特徴する請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項6】
被検体に対する超音波送受信によって得られた受信信号に基づいて時系列的な画像情報を生成する送信側ユニットと、無線通信回線を介して前記送信側ユニットから供給された前記画像情報に基づいて画像データを生成する受信側ユニットを備えた超音波診断装置であって、
前記送信側ユニットは、
前記時系列的な画像情報を所定の長さに分割して時系列的な複数のパケットデータを生成する送信データ分割手段と、
この送信データ分割手段によって生成された前記パケットデータを、複数チャンネルからなる無線通信回線を介して前記受信側ユニットへ並列送信する送信手段を備え、
前記受信側ユニットは、
前記複数チャンネルからなる無線通信回線の中から選択した無線通信回線を介して供給されるパケットデータの受信期間と予め設定された許容受信期間との比較結果に基づいて前記許容受信期間において受信された第1のパケットデータと非許容受信期間において受信された第2のパケットデータを弁別する受信データ弁別手段と、
前記第2のパケットデータの受信期間に対応する第3のパケットデータを、他の無線通信回線を介して供給され前記許容受信期間において受信されたパケットデータを用いて生成し、得られた前記第3のパケットデータと前記第1のパケットデータを合成することにより画像情報の欠落が無くリアルタイム性と連続性に優れた画像データを生成する受信データ合成手段と、
前記画像データを表示する受信データ表示手段とを
備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
受信データ保管手段を備え、前記受信データ合成手段によって生成された画像情報の欠落が無く連続性に優れた時系列的な前記精密検査用画像データあるいは画像情報の欠落が無くリアルタイム性と連続性に優れた時系列的な前記画像データは、前記受信データ保管手段によって保存されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載した超音波診断装置。
【請求項8】
前記送信データ分割手段は、前記時系列的な画像情報を画像データのフレーム単位で分割し前記複数のパケットデータを生成することを特徴とする請求項1又は請求項6に記載した超音波診断装置。
【請求項9】
前記送信側ユニットは、前記被検体の家庭あるいは小さな医療施設に設置され、前記受信側ユニットは、超音波専門医等を有する大きな医療施設に設置されることを特徴とする請求項1又は請求項6に記載した超音波診断装置。
【請求項10】
前記画像情報は、超音波プローブから出力される複数チャンネルの受信信号、送受信部から出力される整相加算後の受信信号、受信信号処理部から出力される画像信号あるいは画像データ生成部から出力される原画像データの何れかであることを特徴とする請求項1又は請求項6に記載した超音波診断装置。
【請求項11】
被検体に対する超音波送受信によって得られた受信信号に基づいて時系列的な画像情報を生成する送信側ユニットと、無線通信回線を介して前記送信側ユニットから供給された前記画像情報に基づいて画像データを生成する受信側ユニットを備えた超音波診断装置に対し、
前記時系列的な画像情報を所定の長さに分割して時系列的な複数のパケットデータを生成する分割機能と、
前記パケットデータを、前記無線通信回線を介して前記受信側ユニットへ送信する送信機能と、
前記無線通信回線を介して供給された前記パケットデータの受信期間と予め設定された許容受信期間との比較結果に基づいて前記許容受信期間において受信された第1のパケットデータと非許容受信期間において受信された第2のパケットデータを弁別する弁別機能と、
前記第2のパケットデータの受信期間に対応する第3のパケットデータを前記第1のパケットデータに基づいて新たに生成し、得られた前記第3のパケットデータと前記第1のパケットデータを合成することによりリアルタイム性と連続性に優れた時系列的な実時間観測用画像データを生成する合成機能と、
前記実時間観測用画像データを表示する表示機能を
実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項12】
被検体に対する超音波送受信によって得られた受信信号に基づいて時系列的な画像情報を生成する送信側ユニットと、無線通信回線を介して前記送信側ユニットから供給された前記画像情報に基づいて画像データを生成する受信側ユニットを備えた超音波診断装置に対し、
前記時系列的な画像情報を所定の長さに分割して時系列的な複数のパケットデータを生成する分割機能と、
前記パケットデータを、複数チャンネルからなる無線通信回線を介して前記受信側ユニットへ並列送信する送信機能と、
前記複数チャンネルからなる無線通信回線の中から選択した無線通信回線を介して供給されるパケットデータの受信期間と予め設定された許容受信期間との比較結果に基づいて前記許容受信期間において受信された第1のパケットデータと非許容受信期間において受信された第2のパケットデータを弁別する弁別機能と、
前記第2のパケットデータの受信期間に対応する第3のパケットデータを、他の無線通信回線を介して供給され前記許容受信期間において受信されたパケットデータを用いて生成し、得られた前記第3のパケットデータと前記第1のパケットデータを合成することにより画像情報の欠落が無くリアルタイム性と連続性に優れた画像データを生成する合成機能と、
前記画像データを表示する表示機能を
実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項1】
被検体に対する超音波送受信によって得られた受信信号に基づいて時系列的な画像情報を生成する送信側ユニットと、無線通信回線を介して前記送信側ユニットから供給された前記画像情報に基づいて画像データを生成する受信側ユニットを備えた超音波診断装置であって、
前記送信側ユニットは、
前記時系列的な画像情報を所定の長さに分割して時系列的な複数のパケットデータを生成する送信データ分割手段と、
この送信データ分割手段によって生成された前記パケットデータを、前記無線通信回線を介して前記受信側ユニットへ送信する送信手段を備え、
前記受信側ユニットは、
前記無線通信回線を介して供給された前記パケットデータの受信期間と予め設定された許容受信期間との比較結果に基づいて前記許容受信期間において受信された第1のパケットデータと非許容受信期間において受信された第2のパケットデータを弁別する受信データ弁別手段と、
前記第2のパケットデータの受信期間に対応する第3のパケットデータを前記第1のパケットデータに基づいて新たに生成し、得られた前記第3のパケットデータと前記第1のパケットデータを合成することによりリアルタイム性と連続性に優れた時系列的な実時間観測用画像データを生成する受信データ合成手段と、
前記実時間観測用画像データを表示する受信データ表示手段とを
備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記送信手段は、時系列的な前記パケットデータを、複数チャンネルからなる前記無線通信回線を介して前記受信側ユニットへ交互送信することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記受信データ合成手段は、前記第2のパケットデータの受信期間に隣接する前期間あるいは後期間の少なくとも何れかの期間において受信された前記第1のパケットデータに基づいて前記第3のパケットデータを生成することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記受信データ合成手段は、前記第2のパケットデータの受信期間に隣接した前期間及び後期間において受信される前記第1のパケットデータを用いた補間処理により前記第3のパケットデータを生成することを特徴とする請求項3記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記受信データ合成手段は、前記第1のパケットデータ及び前記第2のパケットデータを合成することにより画像情報の欠落が無く連続性に優れた時系列的な精密検査用画像データを生成することを特徴する請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項6】
被検体に対する超音波送受信によって得られた受信信号に基づいて時系列的な画像情報を生成する送信側ユニットと、無線通信回線を介して前記送信側ユニットから供給された前記画像情報に基づいて画像データを生成する受信側ユニットを備えた超音波診断装置であって、
前記送信側ユニットは、
前記時系列的な画像情報を所定の長さに分割して時系列的な複数のパケットデータを生成する送信データ分割手段と、
この送信データ分割手段によって生成された前記パケットデータを、複数チャンネルからなる無線通信回線を介して前記受信側ユニットへ並列送信する送信手段を備え、
前記受信側ユニットは、
前記複数チャンネルからなる無線通信回線の中から選択した無線通信回線を介して供給されるパケットデータの受信期間と予め設定された許容受信期間との比較結果に基づいて前記許容受信期間において受信された第1のパケットデータと非許容受信期間において受信された第2のパケットデータを弁別する受信データ弁別手段と、
前記第2のパケットデータの受信期間に対応する第3のパケットデータを、他の無線通信回線を介して供給され前記許容受信期間において受信されたパケットデータを用いて生成し、得られた前記第3のパケットデータと前記第1のパケットデータを合成することにより画像情報の欠落が無くリアルタイム性と連続性に優れた画像データを生成する受信データ合成手段と、
前記画像データを表示する受信データ表示手段とを
備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
受信データ保管手段を備え、前記受信データ合成手段によって生成された画像情報の欠落が無く連続性に優れた時系列的な前記精密検査用画像データあるいは画像情報の欠落が無くリアルタイム性と連続性に優れた時系列的な前記画像データは、前記受信データ保管手段によって保存されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載した超音波診断装置。
【請求項8】
前記送信データ分割手段は、前記時系列的な画像情報を画像データのフレーム単位で分割し前記複数のパケットデータを生成することを特徴とする請求項1又は請求項6に記載した超音波診断装置。
【請求項9】
前記送信側ユニットは、前記被検体の家庭あるいは小さな医療施設に設置され、前記受信側ユニットは、超音波専門医等を有する大きな医療施設に設置されることを特徴とする請求項1又は請求項6に記載した超音波診断装置。
【請求項10】
前記画像情報は、超音波プローブから出力される複数チャンネルの受信信号、送受信部から出力される整相加算後の受信信号、受信信号処理部から出力される画像信号あるいは画像データ生成部から出力される原画像データの何れかであることを特徴とする請求項1又は請求項6に記載した超音波診断装置。
【請求項11】
被検体に対する超音波送受信によって得られた受信信号に基づいて時系列的な画像情報を生成する送信側ユニットと、無線通信回線を介して前記送信側ユニットから供給された前記画像情報に基づいて画像データを生成する受信側ユニットを備えた超音波診断装置に対し、
前記時系列的な画像情報を所定の長さに分割して時系列的な複数のパケットデータを生成する分割機能と、
前記パケットデータを、前記無線通信回線を介して前記受信側ユニットへ送信する送信機能と、
前記無線通信回線を介して供給された前記パケットデータの受信期間と予め設定された許容受信期間との比較結果に基づいて前記許容受信期間において受信された第1のパケットデータと非許容受信期間において受信された第2のパケットデータを弁別する弁別機能と、
前記第2のパケットデータの受信期間に対応する第3のパケットデータを前記第1のパケットデータに基づいて新たに生成し、得られた前記第3のパケットデータと前記第1のパケットデータを合成することによりリアルタイム性と連続性に優れた時系列的な実時間観測用画像データを生成する合成機能と、
前記実時間観測用画像データを表示する表示機能を
実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項12】
被検体に対する超音波送受信によって得られた受信信号に基づいて時系列的な画像情報を生成する送信側ユニットと、無線通信回線を介して前記送信側ユニットから供給された前記画像情報に基づいて画像データを生成する受信側ユニットを備えた超音波診断装置に対し、
前記時系列的な画像情報を所定の長さに分割して時系列的な複数のパケットデータを生成する分割機能と、
前記パケットデータを、複数チャンネルからなる無線通信回線を介して前記受信側ユニットへ並列送信する送信機能と、
前記複数チャンネルからなる無線通信回線の中から選択した無線通信回線を介して供給されるパケットデータの受信期間と予め設定された許容受信期間との比較結果に基づいて前記許容受信期間において受信された第1のパケットデータと非許容受信期間において受信された第2のパケットデータを弁別する弁別機能と、
前記第2のパケットデータの受信期間に対応する第3のパケットデータを、他の無線通信回線を介して供給され前記許容受信期間において受信されたパケットデータを用いて生成し、得られた前記第3のパケットデータと前記第1のパケットデータを合成することにより画像情報の欠落が無くリアルタイム性と連続性に優れた画像データを生成する合成機能と、
前記画像データを表示する表示機能を
実行させることを特徴とする制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−223352(P2012−223352A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93337(P2011−93337)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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