説明

超音波診断装置及び超音波診断プログラム

【課題】超音波診断装置に係る処理負荷を軽減すること。
【解決手段】実施の形態の超音波診断装置では、超音波プローブから被検体の撮影領域に送信された超音波の反射波を時系列に沿って収集する。また、撮影領域に対し超音波を送信する第1の送信と、撮影領域の一部からなる部分領域に対し超音波を送信する第2の送信とを任意の順番で行うように超音波プローブを制御する。また、第1の送信によって得られた反射波に基づいて第1の超音波画像を生成し、第2の送信によって得られた反射波に基づいて第2の超音波画像を生成する。また、第1の超音波画像と、第2の超音波画像とを合成した合成画像を生成する。そして、第1の送信及び第2の送信が行われた時刻に基づいて、第1の超音波画像と、合成画像とを時系列に沿って出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波診断装置及び超音波診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被検体に送信された超音波の反射波を受信し、受信した反射波に基づいて超音波画像を生成する超音波診断装置がある。超音波診断装置は、時系列に沿った複数の超音波画像を生成し、生成した超音波画像各々を時系列に沿って出力する。
【0003】
ここで、超音波診断装置により生成される超音波画像のフレームレートを高くすることがある。フレームレートとは、単位時間あたりに超音波画像が何回更新されるかを示す。例えば、心拍数に応じて自動的にフレームレートを高くする手法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−22418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、超音波診断装置にかかる処理負荷を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態の超音波診断装置は、収集部と、送信制御部と、第1の超音波画像生成部と、第2の超音波画像生成部と、超音波画像合成部と、超音波画像出力部とを備える。収集部は、超音波プローブから被検体の撮影領域に送信された超音波の反射波を時系列に沿って収集する。送信制御部は、撮影領域に対し前記超音波を送信する第1の送信と、前記撮影領域の一部からなる部分領域に対し前記超音波を送信する第2の送信とを任意の順番で行うように前記超音波プローブを制御する。第1の超音波画像生成部は、前記第1の送信によって得られた反射波に基づいて第1の超音波画像を生成する。第2の超音波画像生成部は、前記第2の送信によって得られた反射波に基づいて第2の超音波画像を生成する。超音波画像合成部は、前記第1の超音波画像と、前記第2の超音波画像とを合成した合成画像を生成する。超音波画像出力部は、前記第1の送信及び前記第2の送信が行われた時刻に基づいて、前記第1の超音波画像と、前記合成画像とを時系列に沿って出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置により生成される超音波画像の一例について簡単に示す図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置による超音波画像の生成処理の全体像を示す図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4−1】図4−1は、第1の実施形態における部分領域の形状の一例を示す図である。
【図4−2】図4−2は、第1の実施形態における部分領域の形状の一例を示す図である。
【図4−3】図4−3は、第1の実施形態における部分領域の形状の一例を示す図である。
【図4−4】図4−4は、第1の実施形態における部分領域の形状の一例を示す図である。
【図4−5】図4−5は、第1の実施形態における部分領域の形状の一例を示す図である。
【図5】図5は、第1の実施形態におけるフレームレート向上範囲リファレンス表示部により出力される位置情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態に係る超音波診断装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示す図である。
【図8】図8は、第2の実施形態における画素値とフレームレートとの関係の一例を示す図である。
【図9−1】図9−1は、第2の実施形態における保存制御部による格納処理の一例を示す図である。
【図9−2】図9−2は、第2の実施形態における保存制御部による格納処理の一例を示す図である。
【図10】図10は、第2の実施形態における超音波スキャン制御部による処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
(第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体像)
第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体像について簡単に説明する。以下に詳細に説明するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、被検体の撮影領域について、時系列に沿って複数の超音波画像を生成する。また、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、被検体の撮影領域のうち任意の部分領域については、撮影領域のうち部分領域を除く他の領域と比較してフレームレートが高くなるように、時系列に沿って複数の超音波画像を生成する。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置により生成される超音波画像の一例について簡単に示す図である。図1において、超音波画像101は、超音波診断装置により生成される超音波画像の一例を示す。図1に示す例では、超音波画像101は、画像領域102と画像領域103と画像領域104とを有する。
【0010】
ここで、撮影領域は、超音波画像101により示される範囲全体を示す。例えば、図1に示す例では、画像領域102と画像領域103と画像領域104とが該当する。また、部分領域は、撮影領域の任意の一部を示す。図1に示す例では、部分領域は、画像領域103が該当する。また、他の領域は、撮影領域のうち部分領域を除く領域を示す。図1に示す例では、他の領域は、画像領域102及び画像領域104が該当する。
【0011】
すなわち、図1の例では、超音波診断装置は、画像領域103のフレームレートが、画像領域102及び画像領域104のフレームレートと比較して高くなるように、被検体の撮影領域の超音波画像を時系列に沿って複数生成する。例えば、超音波診断装置は、画像領域102と画像領域104とについて、30Hzで新たな画像となり、画像領域103について、90Hzで新たな画像となるような時系列に沿った複数の超音波画像を生成する。
【0012】
図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置による超音波画像の生成処理の全体像を示す図である。図2において、スキャン範囲111からスキャン範囲114は、超音波診断装置により時系列に沿って反射波が収集された範囲を示す。図2に示す例では、スキャン範囲111とスキャン範囲114により示される範囲は、撮影領域全面となる。また、スキャン範囲112とスキャン範囲113により示される範囲は、同一の部分領域となる。なお、スキャン範囲112とスキャン範囲113については、参考までに、撮影領域全面を示す点線を併せて示した。
【0013】
また、超音波画像121から超音波画像124は、超音波診断装置により生成される超音波画像を示す。また、超音波画像121から超音波画像124は、それぞれ、スキャン範囲111からスキャン範囲114がスキャンされた時点における超音波画像を示す。
【0014】
ここで、超音波診断装置は、撮影領域に対し超音波を送信する第1の送信と、撮影領域の一部からなる部分領域に対し超音波を送信する第2の送信とを任意の順番で行うように超音波プローブを制御する。
【0015】
例えば、図2のスキャン範囲111やスキャン範囲114に示すように、超音波診断装置は、撮影領域全体について反射波を収集する。そして、図2の超音波画像121や超音波画像124に示すように、超音波診断装置は、撮影領域全面についての超音波画像を生成する。以下では、撮影領域全体について反射波が収集された時点を「第1の送信時点」とも称し、第1の送信時点について生成された超音波画像を「第1の超音波画像」とも称する。つまり、超音波診断装置は、第1の送信によって得られた反射波に基づいて第1の超音波画像を生成する。
【0016】
また、図2のスキャン範囲112やスキャン範囲113に示すように、超音波診断装置は、部分領域について反射波を収集する。以下では、部分領域について反射波が収集された時点を「第2の送信時点」とも称する。また、第2の送信時点について生成された超音波画像を「第2の超音波画像」とも称する。第2の送信時点は、連続する二つの第1の送信時点の間にある。つまり、超音波診断装置は、第2の送信によって得られた反射波に基づいて第2の超音波画像を生成する。図2に示す例では、スキャン範囲112やスキャン範囲113についての超音波画像となる。
【0017】
また、超音波診断装置は、図2の超音波画像122や超音波画像123に示すように、第1の超音波画像と第2の超音波画像とを合成した合成画像を生成する。つまり、超音波診断装置は、第2の送信時点における超音波画像として、部分領域については、第2の送信時点において収集された反射波に基づき、他の領域については第1の送信時点において収集された反射波に基づく超音波画像となる合成画像を生成する。
【0018】
より詳細な一例をあげて、第2の送信時点について合成される合成画像について説明する。例えば、スキャン範囲112に超音波が送信された第2の送信時点を用いて説明する。この場合、超音波診断装置は、スキャン範囲112に対応する部分については、第2の超音波画像となり、スキャン範囲112以外の部分については、超音波画像121となる合成画像を生成する。
【0019】
より詳細な一例をあげて説明する。超音波診断装置は、第1の送信時点については、撮影領域全体に超音波を送信し、第2の送信時点については、撮影領域のうち部分領域に超音波を送信する一方他の領域に超音波を送信しないよう制御する。また、超音波診断装置は、第1の送信を行うごとに、1回あるいは複数回前記第2の送信を行うよう制御する。
【0020】
なお、図2に示す例では、連続する2つの第1の送信時点の間に2つの第2の超音波画像を生成する場合を示したが、これに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置は、1つの第2の超音波画像を生成しても良く、3つ以上の第2の超音波画像を生成しても良い。
【0021】
このように、第1の実施形態に係る超音波診断装置によれば、部分領域のフレームレートを向上することが可能であり、超音波診断装置にかかる処理負荷を抑えることが可能である。すなわち、利用者がフレームレートを上げたい部分については、フレームレートが向上する超音波画像を表示可能である。また、第1の実施形態に係る超音波診断装置によれば、部分領域についての超音波画像だけでなく、その他の領域についての超音波画像も表示される結果、広い範囲について時系列に沿った超音波画像も利用者が確認しつつ、利用者がフレームレートを上げたい部分についてはフレームレートを向上することが可能である。また、この結果、撮影領域全面のフレームレートを向上する手法と比較して超音波診断装置にかかる処理負荷を軽減可能である。
【0022】
(第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成)
第1の実施形態に係る超音波診断装置について説明する。図3は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、超音波診断装置は、超音波探触子10と、超音波送受信部20と、信号処理部30と、画像データ収集部40と、画像信号収集メモリ50と、操作パネル60と、表示制御部70と、モニタ71と、制御処理部80と、記憶部90と、演算処理部100とを有する。
【0023】
超音波探触子10は、超音波画像診断装置に着脱自在に接続される。超音波探触子10は、被検体に超音波を送信し、送信した超音波の反射波を受信する。なお、超音波探触子10は、「超音波プローブ」とも称する。
【0024】
超音波送受信部20は、制御処理部80による制御に従って、超音波探触子10から被検体の撮影領域に送信された超音波の反射波を時系列に沿って収集する。超音波送受信部20は、「収集部」とも称する。具体的には、超音波送受信部20は、超音波を発生させるための高周波パルスを超音波探触子10に送信する。また、超音波送受信部20は、超音波探触子10によって受信された反射波を収集する。また、超音波送受信部20は、収集した反射波を電気的に処理し、処理結果となる信号である反射波データを信号処理部30に送信する。反射波を「エコー信号」とも称する。
【0025】
より詳細には、超音波送受信部20は、第1の送信時点において、被検体の撮影領域全体に超音波を送信するための高周波パルスを超音波探触子10に送信する。また、第2の送信時点において、超音波送受信部20は、被検体の部分領域に超音波を送信するための高周波パルスを超音波探触子10に送信する。すなわち、超音波送受信部20は、超音波探触子10に、第1の送信時点において撮影領域全体に超音波を送信させ、第2の送信時点において部分領域に超音波を送信させる一方他の領域に超音波を送信させないようにする。すなわち、超音波送受信部20は、撮影領域に対し超音波を送信する第1の送信と、撮影領域の一部からなる部分領域に対し超音波を送信する第2の送信とを任意の順番で行うように超音波探触子10を制御する。この結果、撮影領域全体に超音波を送信させた場合には、超音波送受信部20は、撮影領域全面について反射波を収集する。また、部分領域に超音波を送信させる一方他の領域に超音波を送信させないようにした場合には、超音波送受信部20は、部分領域についての反射波を収集する一方、他の領域についての反射波を収集されない。
【0026】
信号処理部30は、超音波送受信部20から受信した反射波データを処理する。信号処理部30は、各種目的別の信号処理ユニットを有する。図3に示す例では、信号処理部30は、エコー信号処理部31と、トレース信号処理部32と、ビデオ信号処理部33とを有する。
【0027】
エコー信号処理部31は、図示しないBモード処理ユニットとドプラ処理ユニットとを含む。ここで、Bモード処理ユニットは、超音波送受信部20から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理などを行うことで、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。Bモード処理ユニットにより生成されたデータは、「Bモードデータ」とも称される。
【0028】
また、ドプラ処理ユニットは、超音波送受信部20から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワーなどの移動体情報を多点について抽出したデータを生成する。ドプラ処理ユニットにより生成されたデータは、「ドプラデータ」とも称される。
【0029】
なお、ドプラ処理ユニットやBモード処理ユニットにより生成されたデータは、反射波ごとの信号列で表される信号処理後の超音波ラスタデータであり、「ローデータ(Raw Data)」とも称する。
【0030】
また、トレース信号処理部32は、ドップラ画像や、Bモード像の時間軸像(モーション画像(M像))を生成する。また、ビデオ信号処理部33は、ローデータをビデオ信号とする。なお、ビデオ信号は、ローデータをもとにスキャンコンバージョンし、モニタに表示した画像および、文字や数値、マーク類を表示した画像を1フレーム単位で変換した信号である。
【0031】
画像データ収集部40は、超音波送受信部20により収集された反射波に基づいて、被検体の撮影領域の超音波画像を時系列に沿って複数生成する。具体的には、画像データ収集部40は、第1の送信時点について、撮影領域全面についての超音波画像を生成する。また、画像データ収集部40は、第2の送信時点について、部分領域についての超音波画像を生成する。図3に示す例では、画像データ収集部40は、画像データ制御部41と、画面データ生成部42と、スキャン部位制御部43とを有する。
【0032】
画面データ生成部42は、ローデータから超音波画像データを生成する。スキャン部位制御部43は、フレームレートや部分領域を示す情報を制御処理部80から受信し、受信した情報を画像データ制御部41に入力する。
【0033】
画像データ制御部41は、信号処理部30による処理結果となるローデータを信号処理部30から受信し、受信したローデータを画面データ生成部42に送信する。また、画像データ制御部41は、画面データ生成部42から超音波画像データを受信する。ここで、画像データ制御部41は、スキャン部位制御部43により入力された情報に基づいて、第1の送信時点について生成された超音波画像については、そのまま画像信号収集メモリ50に格納し、第2の送信時点について生成された部分領域についての超音波画像については、部分領域の超音波画像として画像信号収集メモリ50に格納する。
【0034】
画像信号収集メモリ50は、画像データ収集部40により生成された超音波画像データを記憶する。すなわち、画像信号収集メモリ50は、時系列に沿って生成された超音波画像データを記憶する。なお、実施例1では、画像信号収集メモリ50に記憶された超音波画像データは、スキャンコンバージョン前の超音波画像データであるものとして説明する。
【0035】
操作パネル60は、超音波診断装置の利用者が各種設定を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示し、超音波画像診断装置に対する操作内容を利用者から受け付ける。例えば、操作パネル60は、例えば、超音波画像の生成する旨の指示を利用者から受け付け、超音波画像を表示する旨の指示を利用者から受け付ける。なお、利用者から受け付ける操作内容の詳細については、適宜後述する。
【0036】
表示制御部70は、後述するように、スキャンコンバージョンが行われた後の超音波画像データを制御処理部80から受信すると、モニタ71に表示する。具体的には、表示制御部70は、第1の超音波画像と合成画像とを時系列に沿って出力する。すなわち、第1の送信及び第2の送信が行われた時刻に基づいて、第1の超音波画像と、合成画像とを時系列に沿って出力する。表示制御部70は、「超音波画像出力部」とも称する。なお、実施例1では、モニタ71が、超音波診断装置の一部である場合を用いて説明するが、これに限定されるものではなく、超音波診断装置とは別の外部装置であっても良い。また、モニタ71は、操作パネル60と同一の装置であっても良い。
【0037】
制御処理部80は、各種の処理手順などを規定したプログラムを記憶する内部メモリを有し、超音波診断装置による処理全体を制御する。制御処理部80は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などが該当する。
【0038】
具体的には、制御処理部80は、操作パネル60を介して利用者から入力された各種設定や、記憶部90から読み込んだ各種制御プログラム及び各種設定情報に基づき、超音波送受信部20と信号処理部30と画像データ収集部40とを制御する。また、制御処理部80は、後述するように、スキャンコンバージョン後の超音波画像データを表示制御部70に送信することで、モニタ71から超音波画像を表示する。
【0039】
制御処理部80は、以下に詳細に説明するように、被検体の撮影領域のうち任意の部分領域については、他の領域と比較してフレームレートが高くなるように、超音波診断装置の各部を制御する。制御処理部80による処理の詳細な一例については、フローチャートを用いて後述するため、ここでは説明を省略する。
【0040】
図3に示す例では、制御処理部80は、フレームレート向上範囲設定制御部81と、フレームレート向上範囲描画制御部82と、フレームレート値設定制御部83と、超音波スキャン制御部84と、フレームレート向上範囲リファレンス表示部85と、シネ再生制御部86と、保存制御部87とを有する。
【0041】
フレームレート向上範囲設定制御部81は、フレームレートを高くする部分領域を設定した上で超音波画像を生成するかを判定する。すなわち、部分領域からの指示や予め利用者に設定された条件に基づいて、フレームレートを高くする部分領域を設定した上で超音波画像を生成するか、撮影領域全面についてフレームレートが同一となるように超音波画像を生成するかを判定する。
【0042】
すなわち、フレームレート向上範囲設定制御部81は、フレームレートを高くする部分領域を設定した上で超音波画像を生成するか否かを判定する。この結果、通常の超音波画像生成処理を実行するか、部分領域を設定した上で超音波画像を生成する生成処理を実行するかについて、利用者が選択可能となる。例えば、任意に変更可能なユーザインターフェースを介して、部分領域を設定した上で超音波画像を生成するか否かが利用者によって選択されても良い。
【0043】
以下では、フレームレート向上範囲設定制御部81がフレームレートを高くする部分領域を設定した上で超音波画像を生成すると判定した場合について説明する。なお、フレームレート向上範囲設定制御部81がフレームレートを高くする部分領域を設定した上で超音波画像を生成しないと判定した場合には、制御処理部80は、撮影領域全面についてレートが同一となるように超音波画像を生成し、生成された超音波画像を表示する。
【0044】
フレームレート向上範囲設定制御部81は、フレームレートを高くする部分領域を設定した上で超音波画像を生成すると判定した場合には、プレスキャンを実行し、プレスキャン結果を表示する。そして、フレームレート向上範囲設定制御部81は、部分範囲を設定する処理を実行する。
【0045】
例えば、撮影領域のうち一部の領域が選択する操作を利用者が操作パネル60に対して行われると、フレームレート向上範囲設定制御部81は、利用者により選択された領域を部分領域とする。
【0046】
ここで、フレームレート向上範囲設定制御部81は、撮影領域のうち、任意の形状の領域を部分領域として設定して良い。図4−1から図4−5は、第1の実施形態における部分領域の形状の一例を示す図である。
【0047】
例えば、図4−1に示すように、フレームレート向上範囲設定制御部81は、撮影領域のうち一部の領域がビーム単位で利用者に選択されると、選択された領域を部分領域として設定する。図4−1に示すように、ビーム単位で部分領域を設定する場合には、部分領域の大きさはビーム単位で利用者により増減される。
【0048】
また、例えば、図4−2に示すように、フレームレート向上範囲設定制御部81は、撮影領域のうち局所的な一意の領域が利用者に選択されると、選択された局所的な一意の領域を部分領域として設定する。図4−2に示すように、局所的な一意の領域を部分領域として設定する場合には、利用者によって大きさも任意に拡大/縮小可能となる。
【0049】
なお、局所的な一意の領域を部分領域として設定する場合には、制御処理部80は、超音波探触子10が部分領域の最深部にフォーカスポイントを合わせた上でスキャンするように超音波送受信部20を制御しても良い。
【0050】
また、例えば、図4−3に示すように、フレームレート向上範囲設定制御部81は、カラーモード時にカラーで表示される領域を選択する旨の操作が利用者により行われると、カラーモード時にカラーで表示される領域を部分領域として設定する。なお、カラーモード時とは、Bモード画像にカラードプラ画像が合成されるモードを示す。また、カラーモード時におけるカラーで表示される領域とは、カラードプラ画像が表示される領域を示す。
【0051】
なお、カラーモード時にカラーで表示される領域を部分領域として設定する場合には、例えば、カラーモードが「ON」になると、部分領域を自動的に設定するようにしても良い。また、カラーモードが「ON」となっていない場合であっても、ある一定以上の流速値を自動認識し、認識した箇所を部分領域として設定しても良い。
【0052】
また、カラーモード以外にも画像スキャンにおける関心領域と連動して、部分領域を設定しても良い。例えば、ドプラサンプリング位置、Mモードのラスタ位置、組織ドプラ関心領域などを用いても良い。なお、心臓の壁運動などの組織の運動量を「組織ドプラ」と称し、組織ドプラ関心領域とは、組織ドプラに関心領域を設けることを示す。組織ドプラは、TDI(Tissue Doppler Imaging)とも称する。
【0053】
また、例えば、図4−4に示すように、フレームレート向上範囲設定制御部81は、動きがある部分を選択する旨の操作が利用者により行われると、超音波画像において一定以上の速度がある部分を抽出し、抽出した部分を部分領域として設定する。例えば、超音波診断装置が被検体の心臓の超音波画像を生成する場合には、フレームレート向上範囲設定制御部81は、動いている心臓の弁に対応する領域を部分領域として設定する。また、例えば、超音波診断装置が胎児の超音波画像を生成する場合には、フレームレート向上範囲設定制御部81は、胎児の心臓に対応する領域を部分領域として設定する。
【0054】
動きがある部分を部分領域として設定する場合についてより詳細な一例をあげて説明すると、例えば、一定以上の速度範囲を自動抽出することで、心臓の弁の動きに着目して部分領域を設定しても良い。また、例えば、エコー信号の輝度の高低に合わせて、動きがある部分を自動抽出し、部分領域を設定しても良い。なお、動きがある部分を抽出する手法については、任意の手法を用いても良い。
【0055】
また、例えば、図4−5に示すように、フレームレート向上範囲設定制御部81は、1つ又は2つ以上の部分領域を設定しても良い。図4−5に示す例では、フレームレート向上範囲設定制御部81が、2つの部分領域を設定する場合を示した。複数の部分領域を設定する場合には、部分領域ごとに異なる手法を用いて設定しても良い。例えば、フレームレート向上範囲設定制御部81は、一方の部分領域については、ビーム単位で設定し、他方の部分領域については、局所的な一意な領域を設定しても良い。部分領域を複数設定する場合には、部分領域を1つ設定した後に、部分領域を設定する処理を再度行えば良い。
【0056】
例えば、フレームレート向上範囲設定制御部81は、1度設定した部分領域の位置を変えることなく固定して用いても良く、動かしても良い。また、例えば、超音波画像が生成される撮影領域の位置が変動することがあることを踏まえ、フレームレート向上範囲設定制御部81は、設定時における部分領域に含まれる画像と同一の画像を含む領域が部分領域となるように、パターンマッチングを用いて部分領域の位置を動かしても良い。
【0057】
なお、部分領域の設定は、手動で行っても良く、自動で行っても良い。また、設定した部分領域については、画面上に表示したままにしても良く、表示しなくても良い。また、なお、プレスキャンとは、通常の超音波画像生成処理と同様の処理を示す。すなわち、フレーム向上範囲設定制御部81は、プレスキャン時には、超音波探触子10が撮影領域全面に超音波を送信するように超音波送受信部20を制御し、撮影領域全面についての超音波画像が生成されるように信号処理部30や画像データ収集部40を制御する。
【0058】
フレームレート向上範囲描画制御部82は、フレームレート向上範囲設定制御部81で決定された部分領域の範囲を出力する。例えば、フレームレート向上範囲描画制御部82は、フレームレート向上範囲設定制御部81により設定された部分領域を、スキャン部位制御部43や超音波送受信部20に設定する。
【0059】
フレームレート値設定制御部83は、部分領域のフレームレートと撮影領域全体についてのフレームレートとを決定する。例えば、フレームレート値設定制御部83は、部分領域のフレームレートや撮影領域全体についてフレームレート利用者から受け付け、受け付けたフレームレートを決定する。
【0060】
また、例えば、フレームレート値設定制御部83は、部分領域のフレームレートを自動的に設定したり、予め設定したりしても良い。また、撮影領域全面についての超音波画像を生成するフレームレートは、深部方向の距離の変更や、スキャンレンジ幅、周波数の変更により変更されることがある。このことを踏まえ、フレームレート値設定制御部83は、部分領域のフレームレートを予め設定する場合には、通常のフレームレートの1.5倍、2倍といった設定の仕方を用いても良い。
【0061】
また、フレームレート値設定制御部83は、決定したフレームレートをスキャン部位制御部43や超音波送受信部20に設定する。その後、例えば、超音波送受信部20は、設定されるフレームレートに基づいて、超音波探触子10に撮影領域の全面に超音波を送信させるタイミングや、超音波探触子10に撮影領域の部分領域に超音波を送信させるタイミングを決定する。例えば、撮影領域全面についてのフレームレートが「30Hz」であり、部分領域のフレームレートが「90Hz」であると設定された場合を用いて説明する。この場合、超音波送受信部20は、「30Hz」で超音波探触子10に撮影領域の全面に超音波を送信させるとともに、部分領域のフレームレートが「90Hz」となるように、「30Hz」で超音波が撮影領域の全面に送信されるタイミングとタイミングとの間に、「90Hz」間隔にて2回部分領域に超音波を送信させる。すなわち、部分領域のフレームレートは、部分領域に超音波が送信されるタイミングにおける超音波画像だけでなく、撮影領域全面に超音波が送信されるタイミングにおける超音波画像も含めて実現すればよいフレームレートであることを踏まえ、部分領域に超音波が送信されるタイミングが決定される。
【0062】
なお、フレームレート値設定制御部83は、決定したフレームレートをスキャン部位制御部43や超音波送受信部20に設定するのではなく、撮影領域全面に超音波を送信するタイミングと、部分領域に超音波を送信するタイミングとを設定しても良い。
【0063】
超音波スキャン制御部84は、超音波スキャンを開始し、フレームレート値に応じたスキャン制御を行う。具体的には、超音波スキャン制御部84は、超音波送受信部20や信号処理部30、画像データ収集部40を制御することで、画像データ収集部40に、第1の送信時点について、第1の超音波画像を生成させて画像信号収集メモリ50に格納させ、第2の送信時点について部分領域についての第2の超音波画像を生成させて画像信号収集メモリ50に格納させる。つまり、超音波スキャン制御部84は、第1の送信によって得られた反射波に基づいて第1の超音波画像を生成させて画像信号収集メモリ50に格納させ、第2の送信によって得られた反射波に基づいて第2の超音波画像を生成させて画像信号収集メモリ50に格納させる。
【0064】
また、超音波スキャン制御部84は、時系列に沿った超音波画像データを生成して表示する。具体的には、画像信号収集メモリ50に記憶された超音波画像を取得し、取得した超音波画像に対してスキャンコンバージョンを実行する。そして、超音波スキャン制御部84は、スキャンコンバージョン後の超音波画像を表示制御部70に送ることでモニタ71から時系列に沿って生成された複数の超音波画像を表示する。すなわち、超音波スキャン制御部84は、第1の超音波画像と合成画像とを時系列に沿って出力する。なお、超音波スキャン制御部84は、「第1の超音波画像生成部」や「第2の超音波画像生成部」、「超音波画像合成部」とも称する。
【0065】
また、ここで、超音波スキャン制御部84は、超音波画像の合成処理を実行する。具体的には、画像信号収集メモリ50に記憶された部分領域についての第2の超音波画像と、撮影領域についての第1の超音波画像とを合成することで、第2の送信時点における超音波画像となる合成画像を生成する。すなわち、超音波スキャン制御部84は、2つの第1の送信時点間にある任意の時点における超音波画像である合成画像として、部分領域については、第2の送信時点において収集された反射波に基づき、他の領域については、第2の送信時点の直前にある第1の送信時点において収集された反射波に基づく超音波画像となる合成画像を生成する。言い換えると、超音波スキャン制御部84は、第2の送信時点における超音波画像として、直前の第1の送信時点について生成された超音波画像のうち、部分領域に対応する画像部分について、第2の送信時点において収集された反射波に基づいて生成された部分領域についての超音波画像に更新された超音波画像を生成する。
【0066】
フレームレート向上範囲リファレンス表示部85は、表示制御部70によりモニタ71に出力される超音波画像内における部分領域の位置を示す位置情報を出力する。フレームレート向上範囲リファレンス表示部85は、「位置情報出力部」とも称する。図5は、第1の実施形態におけるフレームレート向上範囲リファレンス表示部により出力される位置情報の一例を示す図である。図5において、画面領域141は、超音波画像が表示される画面を示し、画面領域142は、超音波画像のうち部分領域を示すリファレンス143を表示する画面を示す。
【0067】
図5に示す例では、フレームレート向上範囲リファレンス表示部85は、画面領域141とは別に、部分領域を示すリファレンス143を含む画面領域142を表示する。なお、図5に示す例は一例であり、フレームレート向上範囲リファレンス表示部85は、任意の手法にて、任意の形態の位置情報を表示して良い。例えば、図5に示す例では、リファレンスが表示されると煩わしい場合があることを踏まえ、画面領域141とは別画面となる画面領域142にリファレンス143を表示する場合を示した。すなわち、フレームレート向上範囲リファレンス表示部85が、超音波画像と重ならない領域に、部分領域がどの範囲かを示すリファレンス画面を表示する場合を例に示した。ただし、これに限定されるものではない。例えば、画面領域141の超音波画像においてもリファレンスを表示しても良い。
【0068】
なお、リファレンスを表示する画面領域は、利用者が任意の大きさに変更可能にしても良く、任意の位置に移動可能にしても良い。また、リファレンス画面を利用者が選択することをトリガとして、部分領域の設定を利用者から改めて受け付けるようにしても良く、部分領域を設定する手法を利用者から改めて受け付けるようにしても良い。
【0069】
また、一部の領域のみ画像を拡大して表示する既存技術であるスポットズームを実行した際に、ズーム前の全体画像をリファレンス画面として小さく表示し、ズームした画像を画面中央に大きく表示しても良い。この際、ズームされる範囲が、部分領域に対応するようにしても良い。
【0070】
シネ再生制御部86は、利用者によりシネ再生を実行する操作が行われると、利用者により選択された時点より過去の時点における超音波画像を時系列にさかのぼって表示するシネ再生を実行する。また、シネ再生制御部86は、第1の超音波画像と合成画像とのうち、少なくともいずれか一方について、間引いた上でシネ再生しても良い。例えば、シネ再生制御部86は、第1の超音波画像と合成画像とを同じ割合にて間引いた上で、シネ再生しても良い。
【0071】
保存制御部87は、利用者により超音波画像を保存する操作が行われると、超音波画像を保存する。具体的には、第1の超音波画像と合成画像とのうち、少なくともいずれか一方について、間引いた上で記憶部90に格納する。例えば、保存制御部87は、第1の超音波画像と合成画像とについて、同じ割合にて間引いても良い。より詳細な一例をあげて説明すると、保存制御部87は、一律1/2に間引いた上で格納しても良く、一律1/3に間引いた上で格納しても良い。また、例えば、保存制御部87は、第1の超音波画像と合成画像とについて、それぞれ異なる割合にて間引いても良い。保存制御部87は、「格納部」とも称する。
【0072】
記憶部90は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、又は、ハードディスクや光ディスクなどが該当する。記憶部90は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラムを記憶する。また、記憶部90は、画像データ収集部40により超音波画像データが生成された際の状態を示す情報を記憶する。図3に示す例では、記憶部90が、モニタ71に超音波画像を表示させる際の条件を示す画像再生条件91を記憶する場合を例に示した。
【0073】
また、記憶部90は、時系列に沿った超音波画像を記憶する。具体的には、記憶部90は、保存制御部87により格納された超音波画像を記憶する。
【0074】
演算処理部100は、制御処理部80による制御のもと、超音波画像生成処理などの各種演算処理を行う。
【0075】
[超音波診断装置による処理]
図6を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置による処理の流れの一例を示す。図6は、第1の実施形態に係る超音波診断装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0076】
図6に示すように、超音波診断装置では、処理開始タイミングとなると、フレームレートを高くする部分領域を設定した上で超音波画像を生成するかを判定する(ステップS100)。例えば、フレームレートを高くする部分領域を設定した上で超音波画像を生成する旨の条件が予め利用者により超音波診断装置に設定された場合には、生成すると判定する。
【0077】
ここで、フレームレートを高くする部分領域を設定した上で超音波画像を生成しないと判定した場合には(ステップS100否定)、制御処理部80は、撮影領域全面についてフレームレートが同一となるように超音波スキャンを実行し(ステップS410)、生成された超音波画像を表示する(ステップS710)。
【0078】
一方、制御処理部80では、フレームレートを高くする部分領域を設定した上で超音波画像を生成すると判定した場合には(ステップS100肯定)、フレームレート向上範囲設定制御部81が、プレスキャンを実行し(ステップS200)、プレスキャン結果を表示する(ステップS210)。
【0079】
そして、フレームレート向上範囲設定制御部81は、手動で部分領域を設定するか否かを判定する(ステップS300)。例えば、手動で設定する旨の条件が予め利用者により超音波診断装置に設定された場合には、手動で設定すると判定する。
【0080】
ここで、フレームレート向上範囲設定制御部81は、手動で設定すると判定した場合には(ステップS300肯定)、手動で設定する際に用いる条件である手動条件が、ビーム単位であるか否かを判定する(ステップS310)。例えば、ビーム単位で設定する旨の指示を利用者から受け付けた場合や予め設定されていた場合には、フレームレート向上範囲設定制御部81は、ビーム単位で設定すると判定する。一方、例えば、局所的な一意の範囲で設定する旨の指示を利用者から受け付けた場合や予め設定されていた場合には、フレームレート向上範囲設定制御部81は、局所的な一意の範囲で設定すると判定する。
【0081】
ここで、フレームレート向上範囲設定制御部81は、ビーム単位であると判定した場合には(ステップS310肯定)、利用者からビームの選択を受け付け、ビーム単位で部分領域を設定する(ステップS311)。一方、フレームレート向上範囲設定制御部81は、ビーム単位であると判定しなかった場合には(ステップS310否定)、局所的な一意の範囲であると判定し、利用者から任意の領域の選択を受け付け、局所的な一意の範囲で部分領域を設定する(ステップS312)。
【0082】
また、フレームレート向上範囲設定制御部81は、手動で設定すると判定しなかった場合には(ステップS300否定)、自動で設定すると判定し、フレームレート向上範囲設定制御部81は、部分領域を自動設定するのに用いる自動条件を決定する処理を実行する。図6に示す例では、フレームレート向上範囲設定制御部81は、カラーモードの範囲を部分領域として設定するかを判定し(ステップS321)、カラーモードの範囲を部分領域として設定すると判定した場合には(ステップS321肯定)、カラーモードの範囲を部分領域として設定する(ステップS322)。一方、フレームレート向上範囲設定制御部81は、カラーモードの範囲を部分領域として設定すると判定しなかった場合には(ステップS321否定)、一定以上の速度範囲を部分領域として設定する(ステップS323)。
【0083】
なお、部分領域を複数設定する場合には、ステップS300からステップS323のステップのうち該当するステップを繰り返す。
【0084】
そして、フレームレート値設定制御部83は、部分領域のフレームレートを設定する(ステップS400)。例えば、フレームレート値設定制御部83は、利用者から受け付けたフレームレートを設定したり、予め設定されていた値を設定したりする。
【0085】
そして、超音波スキャン制御部84は、超音波スキャンを開始し(ステップS500)、フレームレート値に応じたスキャン制御を行う(ステップS600)。すなわち、超音波スキャン制御部84は、超音波送受信部20や信号処理部30、画像データ収集部40を制御することで、画像データ収集部40に、第1の送信時点について、第1の超音波画像を生成させて画像信号収集メモリに格納させ、第2の送信時点について部分領域についての超音波画像を生成させて画像信号収集メモリに格納させる。
【0086】
そして、超音波スキャン制御部84は、時系列に沿った超音波画像データを生成して表示する(ステップS700)。つまり、超音波スキャン制御部84は、画像信号収集メモリ50に記憶された超音波画像を取得し、取得した超音波画像に対してスキャンコンバージョンを実行する。また、ここで、超音波スキャン制御部84は、部分領域については、第2の送信時点において収集された反射波に基づき、他の領域については、第2の送信時点の直前にある第1の送信時点において収集された反射波に基づく合成画像を生成する。そして、超音波スキャン制御部84は、スキャンコンバージョン後の第1の超音波画像と合成画像とを時系列に沿って出力する。
【0087】
その後、フレームレート向上範囲リファレンス表示部85は、部分領域を示すリファレンスを表示する(ステップS800)。
【0088】
なお、上記の処理手順は、上記の順番に限定されるものではなく、処理内容を矛盾させない範囲で適宜変更しても良い。例えば、図6に示す例では、フレームレートを高くする部分領域を設定した上で超音波画像を生成するかを判定する場合を例に示したが、これに限定されるものではない。例えば、ステップS100を実行することなく、全ての場合において、フレームレートを高くする部分領域を設定した上で超音波画像を生成しても良い。また、例えば、図6に示す例では、リファレンスを表示する場合を例に示したが、これに限定されるものではなく、リファレンスを表示しなくても良い。
【0089】
(第1の実施形態の効果)
上述したように、第1の実施形態によれば、超音波診断装置は、超音波プローブから被検体の撮影領域に送信された超音波の反射波を時系列に沿って収集する。また、超音波診断装置は、撮影領域に対し超音波を送信する第1の送信と、撮影領域の一部からなる部分領域に対し超音波を送信する第2の送信とを任意の順番で行うように超音波探触子10を制御する。また、超音波診断装置は、第1の送信によって得られた反射波に基づいて第1の超音波画像を生成する。また、超音波診断装置は、第2の送信によって得られた反射波に基づいて第2の超音波画像を生成する。また、超音波診断装置は、第1の超音波画像と、第2の超音波画像とを合成した合成画像を生成する。また、超音波診断装置は、第1の送信及び第2の送信が行われた時刻に基づいて、第1の超音波画像と、合成画像とを時系列に沿って出力する。
【0090】
この結果、部分領域のフレームレートを向上することが可能であり、超音波診断装置にかかる処理負荷を抑えることが可能である。すなわち、利用者がフレームレートを上げたい部分については、フレームレートが向上する超音波画像を表示可能である。また、第1の実施形態に係る超音波診断装置によれば、部分領域についての超音波画像だけでなく、その他の領域についての超音波画像も表示される結果、広い範囲について時系列に沿った超音波画像も利用者が確認しつつ、利用者がフレームレートを上げたい部分についてはフレームレートを向上することが可能である。また、この結果、撮影領域全面のフレームレートを向上する手法と比較して超音波診断装置にかかる処理負荷を軽減可能である。
【0091】
また、第1の実施形態によれば、画像生成処理の負荷を軽減可能であり、画像データサイズを抑制することが可能であり、記憶装置を利用する他の機能に対する負荷分散の低減に寄与することが可能である。また、併せて、検査者が所望する診断部位に限定した送受信速度向上に寄与することが可能である。また、任意の部分についてフレームレートを向上することが可能であり、循環器分野の心疾患診、産科分野における胎児心臓診断及び、腹部分野の造影診断などへの活用及び、診断向上に寄与することが可能である。
【0092】
また、第1の実施形態によれば、超音波診断装置では、超音波プローブは、第1の超音波画像が生成される時点については、撮影領域全体に超音波を送信し、第2の超音波画像が生成される時点については、撮影領域のうち部分領域に超音波を送信する一方他の領域に超音波を送信しない。この結果、超音波診断装置にかかる処理負荷を抑えることが可能であり、スキャン時間の増大を抑制することが可能である。
【0093】
また、第1の実施形態によれば、超音波診断装置では、第1の送信を行うごとに、1回あるいは複数回前記第2の送信を行うよう制御する。この結果、撮影領域内に動きの早い部分がいくつあったとしても、動きの速い部分各々についてフレームレートを向上しつつ、超音波診断装置にかかる処理負荷を抑えることが可能である。
【0094】
また、第1の実施形態によれば、超音波診断装置は、超音波画像内における部分領域の位置を示す位置情報を出力する。この結果、部分領域がどこかを利用者が確実に確認可能である。
【0095】
また、第1の実施形態によれば、超音波診断装置は、時系列に沿った超音波画像を記憶する。また、超音波診断装置は、第1の超音波画像と合成画像とのうち、少なくともいずれか一方について、間引いた上で記憶部に格納する。すなわち、リアルタイム診断では、高いフレームレートで診断したいが、保存画像に関しては、データを間引いても良いという状況があることを踏まえ、表示する際にはレートを上げた上で、保存されるデータ量を抑える。この結果、保存データサイズを抑えることが可能であり、データ容量が抑えられた結果保存データの転送時間についても抑えることが可能である。
【0096】
(第2の実施形態)
(第2の実施形態に係る超音波診断装置の全体像)
第2の実施形態に係る超音波診断装置について説明する。以下では、第1の実施形態における超音波診断装置と同様の点については、説明を省略する。以下に詳細に説明するように、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、被検体に投与された造影剤の染まり具合に合わせて、フレームレートを高くする。
【0097】
具体的には、超音波診断装置は、超音波画像の撮影対象となる被検体に造影剤が投与された後、時系列に沿って複数生成される超音波画像の画素値が第1の閾値を超えると、超音波画像を生成する生成間隔を第1の閾値を超える前と比較して短くする。言い換えると、超音波診断装置は、フレームレートを高くする。その後、超音波診断装置は、画素値が第1の閾値を超えた後画素値の増加度が第2の閾値以下となると、超音波画像を生成する生成間隔を当該第2の閾値以下となる前と比較して長くする。言い換えると、超音波診断装置は、フレームレートを低くする。
【0098】
被検体に造影剤を投与した上で超音波画像を撮影する造影診断は、長時間の収集になることが多く、一般的に5〜20分、長い場合で40分程度要する。また、造影診断において、造影剤を投与した後に、ある一定以上の画素値になってから画素値が増加している間に着目して診断したい場合がある。このことを踏まえ、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、造影剤を投与した後に、ある一定以上の画素値になってから画素値が増加している間、フレームレートを高くする。
【0099】
(第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成)
図7は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示す図である。なお、図7では、第1の実施形態と同様の部については、図3と同一の符号を付与し、説明を省略する。図7に示すように、第2の実施形態に係る超音波診断装置の制御処理部200は、検出部201と、超音波スキャン制御部202と、保存制御部203を有する。
【0100】
検出部201は、第1の超音波画像の画素値に基づいて造影剤を検出する。例えば、検出部201は、画像データ収集部40により生成された超音波画像において、被検体に投与された造影剤の濃度に関する画素値を検出する。検出部201は、「検出部」とも称する。検出部201は、例えば、時系列に沿って生成される複数の超音波画像それぞれについて、画素各々の輝度値の平均値を算出する。
【0101】
なお、上述した説明では、検出部201が輝度値を用いる場合を例に示したが、これに限定されるものではなく、任意の画素値を用いても良い。また、検出部201は、超音波画像のうち、特定の領域内にある画素各々についての画素値の平均値を算出しても良い。
【0102】
超音波スキャン制御部202は、検出部201により検出された画素値が第1の閾値を超えると、超音波画像を生成する生成間隔を当該第1の閾値を超える前と比較して短くする。また、超音波スキャン制御部202は、画素値が第1の閾値を超えた後画素値の増加度が第2の閾値以下となると、超音波画像を生成する生成間隔を第2の閾値以下となる前と比較して長くする。
【0103】
すなわち、超音波スキャン制御部202は、画素値が第1の閾値を超えた後、画素値の増加度が第2の閾値以下となるまでの間、フレームレートを他の期間と比較して高くする。なお、ここで、第1の閾値や第2の閾値は、利用者が任意の値を設定して良い。なお、超音波スキャン制御部202によるフレームレートの変更処理の詳細な一例については、フローチャートを用いて後述する。
【0104】
図8は、第2の実施形態における輝度値とフレームレートとの関係の一例を示す図である。図8に示す表において、縦軸は、超音波画像の画素各々の輝度値の平均値を示し、横軸は、時間を示す。図8に示す例では、第1の閾値が輝度値「10」であり、第2の閾値が「10(輝度値)/1s」となる場合を例に示した。また、「0s(秒)」において、造影剤が被検体に投与され、「5s」に輝度値の平均値が「10」を超え、「10s(秒)」に輝度値の増加度が「2(輝度値)/1s(秒速)」以下となった場合を用いて説明する。
【0105】
図8に示す例では、「5s(秒)」の段階において、検出部201により検出された輝度値の平均値が「10」を超えており、超音波スキャン制御部202は、超音波画像を生成するフレームレートを「5s(秒)」前と比較して高くする。その後、「10s(秒)」の段階において、検出部201により検出された輝度値の増加度が「2(輝度値)/1s(秒速)」以下となり、超音波スキャン制御部202は、超音波画像を生成するフレームレートを「5s(秒)」から「10s(秒)」において用いていたフレームレートと比較して低くする。つまり、超音波スキャン制御部202は、「5s(秒)」から「10s(秒)」の間において、フレームレートが高くなるように制御する。
【0106】
保存制御部203は、超音波スキャン制御部202により時系列に沿って複数生成された超音波画像を間引いた上で記憶部90に格納する。なお、超音波画像を間引く意義について簡単に説明する。リアルタイム診断では、高いフレームレートで診断したいが、保存画像に関しては、データを間引いても良い場合がある。このことを踏まえ、保存制御部203は、格納時に、超音波画像を間引いた上で格納する。
【0107】
なお、保存制御部203は、任意の割合にて間引いて良い。例えば、保存制御部203は、一律間引きとしても良く、フレームレートによって間引く割合を変化させても良い。
【0108】
図9−1及び図9−2は、第2の実施形態における保存制御部による格納処理の一例を示す図である。図9−1及び図9−2において、(1)は、間引く前の超音波画像各々を示し、(2)は、間引いた後の超音波画像各々を示す。また、図9−1及び図9−2の(2)では、説明の便宜上、間引かれた超音波画像を点線にて示した。図9−1に示す例では、保存制御部203が、一律で間引く場合を示した。図9−2に示す例では、保存制御部203が、フレームレートによって間引く割合を変える場合を例に示した。
【0109】
図9−1に示す例では、保存制御部203は、1/2の割合にて超音波画像を間引いた上で、記憶部90に格納する。また、図9−2に示す例では、保存制御部203は、フレームレートが高い時間帯の超音波画像については、2/3に間引いた上で記憶部90に格納し、フレームレートが低い時間帯の超音波画像については、1/2に間引いた上で記憶部90に格納する。
【0110】
(第2の実施形態における超音波スキャン制御部による処理)
図10は、第2の実施形態における超音波スキャン制御部による処理の一例を示す図である。具体的には、図10を用いて、超音波スキャン制御部202によるフレームレートの変更処理について説明する。
【0111】
図10に示すように、超音波画像の生成が開始されると、超音波スキャン制御部202は、画素値が第1の閾値以上であるかを判定する(ステップS901)。ここで、第1の閾値以上でないと判定した場合には(ステップS901否定)、超音波スキャン制御部202は、通常のフレームレートで超音波画像を生成する(ステップS902)。
【0112】
一方、超音波スキャン制御部202は、第1の閾値以上であると判定した場合には(ステップS901肯定)、フレームレートを上げた上で超音波画像を生成する(ステップS903)。
【0113】
そして、超音波スキャン制御部202は、フレームレートを上げた上後、画素値の増加度が第2の閾値以下であるかを判定する(ステップS904)。ここで、超音波スキャン制御部202は、画素値の増加度が第2の閾値以下でないと判定した場合には(ステップS904否定)、フレームレートそのままで超音波画像を生成する(ステップS905)。つまり、ステップS903にて上げた後のフレームレートを用いて超音波画像を生成する。
【0114】
一方、超音波スキャン制御部202は、画素値の増加度が第2の閾値以下であると判定した場合には(ステップS904肯定)、フレームレートを下げた上で超音波画像を生成する(ステップS906)。つまり、例えば、超音波スキャン制御部202は、通常のフレームレートに戻した上で超音波画像を生成する。
【0115】
(第2の実施形態に係る超音波診断装置の効果)
上述したように、第2の実施形態によれば、超音波診断装置は、超音波プローブから被検体に送信された超音波の反射波を時系列に沿って収集する。また、超音波診断装置は、収集した反射波に基づいて、被検体の超音波画像を時系列に沿って複数生成する。また、超音波診断装置は、第1の超音波画像の画素値に基づいて造影剤を検出する。また、超音波診断装置は、検出した画素値が第1の閾値を超えると、超音波画像を生成する生成間隔を第1の閾値を超える前と比較して短くする。そして、超音波診断装置は、画素値が第1の閾値を超えた後画素値の増加度が第2の閾値以下となると、超音波画像を生成する生成間隔を第2の閾値以下となる前と比較して長くする。この結果、造影剤の染まり具合に併せてフレームレートを向上することが可能である。
【0116】
また、第2の実施形態によれば、超音波診断装置は、超音波プローブから被検体に送信された超音波の反射波を時系列に沿って収集する。また、超音波診断装置は、収集した反射波に基づいて、被検体の超音波画像を時系列に沿って複数生成する。そして、超音波診断装置は、生成した超音波画像をモニタ71にて表示する。また、超音波診断装置は、時系列に沿って複数生成された超音波画像を間引いた上で所定の記憶部に格納する。この結果、表示する際にはレートを上げた上で、保存されるデータ量を抑えることができ、保存データサイズを抑えることが可能であり、データ容量が抑えられた結果保存データの転送時間についても抑えることが可能である。
【0117】
(第3の実施形態)
さて、上述した実施形態以外にも、その他の実施形態にて実施されても良い。そこで、以下では、その他の実施形態を示す。
【0118】
(画像合成)
例えば、上述した第1の実施形態では、画像データ収集部40により生成された超音波画像に基づいて、制御処理部80が第2の送信時点における合成画像を生成する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、制御処理部80は、超音波送受信部20により収集される反射波データに基づいて合成画像を生成しても良い。つまり、制御処理部80は、第1の送信時点において収集された反射波データのうち、部分領域についての反射波データについて、第2の送信時点において収集された反射波データで上書きし、上書き後の反射波データに基づいて超音波画像を生成することで、合成画像を生成しても良い。
【0119】
(画像データ収集部)
また、例えば、上述した第1の実施形態では、制御処理部80が合成画像を生成する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、画像データ収集部40が合成画像を生成しても良い。
【0120】
(第2の送信時点におけるスキャン範囲)
また、例えば、上述した第1の実施形態では、第2の送信時点において、その他の領域に超音波を送信しない場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1の送信時点だけでなく、第2の送信時点においても、撮影領域全面に超音波を送信するようにしても良い。この場合、第2の送信時点において収集された反射波データのうち、部分領域に対応する反射波データのみを信号処理部30が処理しても良く、画像データ収集部40が部分領域に対応する反射波データについての信号処理部30による処理結果のみを使用しても良い。
【0121】
(検出部)
また、例えば、上述した第1の実施形態では、超音波診断装置が検出部201を有さない場合を例に示したが、これに限定されるものではない。例えば、上述した第1の実施形態における制御処理部80が、検出部201を有しても良い。この場合、制御処理部80は、検出部により検出された画素値が第1の閾値を超えると、第2の超音波画像の生成を開始し、画素値が第1の閾値を超えた後画素値の増加度が第2の閾値以下となると、第2の超音波画像の生成を終了する。この結果、造影剤の染まり具合に併せて、部分領域のフレームレートを向上しつつ、装置への処理負荷を軽減することが可能である。
【0122】
(間引き)
また、例えば、上述した第1の実施形態では、保存制御部87が、超音波画像を間引いた上で格納する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、保存制御部87は、超音波画像を間引くことなく格納しても良い。
【0123】
また、上述した第2の実施形態では、造影剤の染まり具合にあわせてフレームレートを高くする手法と、超音波画像を間引いた上で格納する手法とをあわせて実行する場合を例に示したが、これに限定されるものではない。例えば、造影剤の染まり具合にあわせてフレームレートを高くする手法と、超音波画像を間引いた上で格納する手法とのうち、いずれか一方のみを実行しても良い。
【0124】
(システム構成)
また、本実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。例えば、部分領域について適用するフレームレートを自動的に設定しても良く、手動にて設定しても良い。
【0125】
この他、上述文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については(図1〜図10)、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0126】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、図3に示す例では、記憶部90を超音波診断装置の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしても良い。
【0127】
(その他)
なお、本実施形態で説明した超音波診断プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、超音波診断プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0128】
(実施形態の効果)
以上述べた少なくともひとつの実施形態に係超音波診断装置によれば、超音波プローブから被検体の撮影領域に送信された超音波の反射波を時系列に沿って収集する。また、撮影領域に対し超音波を送信する第1の送信と、撮影領域の一部からなる部分領域に対し超音波を送信する第2の送信とを任意の順番で行うように超音波プローブを制御する。また、第1の送信によって得られた反射波に基づいて第1の超音波画像を生成し、第2の送信によって得られた反射波に基づいて第2の超音波画像を生成する。また、第1の超音波画像と、第2の超音波画像とを合成した合成画像を生成する。そして、第1の送信及び第2の送信が行われた時刻に基づいて、第1の超音波画像と、合成画像とを時系列に沿って出力することにより、超音波診断装置に係る処理負荷を軽減可能である。
【0129】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0130】
10 超音波探触子
20 超音波送受信部
30 信号処理部
40 画像データ収集部
41 画像データ制御部
42 画面データ生成部
43 スキャン部位制御部
50 画像信号収集メモリ
70 表示制御部
71 モニタ
80 制御処理部
81 フレームレート向上範囲設定制御部
82 フレームレート向上範囲描画制御部
83 フレームレート値設定制御部
84 超音波スキャン制御部
85 フレームレート向上範囲リファレンス表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブから被検体の撮影領域に送信された超音波の反射波を時系列に沿って収集する収集部と、
撮影領域に対し前記超音波を送信する第1の送信と、前記撮影領域の一部からなる部分領域に対し前記超音波を送信する第2の送信とを任意の順番で行うように前記超音波プローブを制御する送信制御部と、
前記第1の送信によって得られた反射波に基づいて第1の超音波画像を生成する第1の超音波画像生成部と、
前記第2の送信によって得られた反射波に基づいて第2の超音波画像を生成する第2の超音波画像生成部と、
前記第1の超音波画像と、前記第2の超音波画像とを合成した合成画像を生成する超音波画像合成部と、
前記第1の送信及び前記第2の送信が行われた時刻に基づいて、前記第1の超音波画像と、前記合成画像とを時系列に沿って出力する超音波画像出力部と
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記送信制御部は、前記第1の送信時点については、前記撮影領域全体に超音波を送信し、前記第2の送信時点については、前記撮影領域のうち前記部分領域に超音波を送信する一方前記他の領域に超音波を送信しないよう制御することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記送信制御部は、前記第1の送信を行うごとに、1回あるいは複数回前記第2の送信を行うよう制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記超音波画像出力部により出力される超音波画像内における前記部分領域の位置を示す位置情報を出力する位置情報出力部を更に備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記第1の超音波画像の画素値に基づいて造影剤を検出する検出部を更に備え、
前記第2の超音波画像生成部は、前記検出部により検出された画素値が第1の閾値を超えると、前記第2の超音波画像の生成を開始し、前記画素値が当該第1の閾値を超えた後当該画素値の増加度が第2の閾値以下となると、前記第2の超音波画像の生成を終了することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項6】
時系列に沿った前記超音波画像を記憶する記憶部と、
前記第1の超音波画像と前記合成画像のうち、少なくともいずれか一方について、間引いた上で前記記憶部に格納する格納部と
を更に備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項7】
超音波プローブから被検体に送信された超音波の反射波を時系列に沿って収集する収集部と、
前記収集部により収集された前記反射波に基づいて、前記被検体の超音波画像を時系列に沿って複数生成する超音波画像生成部と、
前記超音波画像生成部により生成された超音波画像において、前記被検体に投与された造影剤の濃度に関する画素値を検出する検出部とを備え、
前記超音波画像生成部は、前記検出部により検出された画素値が第1の閾値を超えると、前記超音波画像を生成する生成間隔を当該第1の閾値を超える前と比較して短くし、画素値が第1の閾値を超えた後当該画素値の増加度が第2の閾値以下となると、前記超音波画像を生成する生成間隔を当該第2の閾値以下となる前と比較して長くすることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項8】
超音波プローブから被検体の撮影領域に送信された超音波の反射波を時系列に沿って収集する収集手順と、
撮影領域に対し前記超音波を送信する第1の送信と、前記撮影領域の一部からなる部分領域に対し前記超音波を送信する第2の送信とを任意の順番で行うように前記超音波プローブを制御する送信制御手順と、
前記第1の送信によって得られた反射波に基づいて第1の超音波画像を生成する第1の超音波画像生成手順と、
前記第2の送信によって得られた反射波に基づいて第2の超音波画像を生成する第2の超音波画像生成手順と、
前記第1の超音波画像と、前記第2の超音波画像とを合成した合成画像を生成する超音波画像合成手順と、
前記第1の送信及び前記第2の送信が行われた時刻に基づいて、前記第1の超音波画像と、前記合成画像とを時系列に沿って出力する超音波画像出力手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする超音波診断プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図4−5】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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