説明

超音波診断装置

【課題】超音波診断装置において、超音波プローブのプローブコネクタ内で発生した熱を、放熱する。
【解決手段】プローブコネクタ18にコネクタ側伝熱板44、装置本体側に本体側伝熱板42を設ける。プローブコネクタ18を装着し、ロックする際に、平行リンクで構成される伝達機構50によりロックハンドル56の動きをコネクタ側伝熱板44に伝達する。コネクタ側伝熱板44は、お互いに離れる方向に移動し、それぞれ相対する本体側伝熱板42に面接触する。これらの伝熱板44,42を伝って、プローブコネクタ18内で発生した熱が装置本体側へ放熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体内に対し超音波を送受し、これに基づき超音波画像を得る超音波診断装置に関し、特に装置本体に対し超音波プローブを着脱するためのプローブコネクタの放熱に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の内部に対し超音波を送信し、受信された超音波により対象部位の超音波画像を得る超音波診断装置が知られている。超音波診断装置は、対象部位や得たい画像に合わせて超音波の送受を行う超音波プローブが交換可能となっている。超音波プローブは、被検体に接触し、超音波の送受を行うプローブヘッドと、超音波診断装置の本体に装着されるプローブコネクタと、プローブヘッドとプローブコネクタとを接続するプローブケーブルを含む。プローブコネクタを本体側に装着することにより、これに設けられた端子ピンと、本体側に設けられた端子穴が接続して装置本体側の回路とプローブヘッド内の超音波振動子が電気的に接続される。
【0003】
従来のプローブコネクタには、プローブヘッドの超音波振動子と端子ピンを結ぶ配線が収められている。
【特許文献1】特開2001−353147号公報
【特許文献2】米国特許第5560362号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、より高い解像度、また三次元超音波画像を取得するために、より多くの超音波振動子を備えた、すなわち多チャンネルの超音波プローブが要望されている。超音波振動子と端子ピンは1対1で接続されているため、超音波振動子が増加するとプローブコネクタの端子ピンの数も増加し、コネクタに収まり切らなくなる。このため、装置本体側で行っていた振動子の駆動制御および受信信号の処理等を、プローブコネクタ内に設けた回路で行うことが考えられる。
【0005】
しかし、プローブコネクタ内に超音波振動子の駆動回路、受信信号の信号処理回路等を収めるとこれらの回路の発熱が問題となる。
【0006】
上記の特許文献1,2には、超音波プローブのプローブヘッドの温度を制御する技術が開示されているが、プローブコネクタの発熱に関しては考慮されていない。つまり、従来、超音波プローブのコネクタに電気回路等を搭載した際に生じる発熱に係る問題を解決する技術はなかった。
【0007】
本発明は、電気回路等を搭載したプローブコネクタを放熱する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る超音波診断装置は、装置本体とプローブコネクタの双方に伝熱体を設け、プローブコネクタを装置本体に装着した際に、これらの伝熱体が面接触、すなわち、伝熱体同士が広い面積で接触するようにして、プローブコネクタ内で生じた熱を装置本体側に伝えて放熱する。本体側の伝熱体と、コネクタ側の伝熱体を確実に密着させるために、少なくとも一方の伝熱体を駆動する伝熱体駆動機構を有している。伝熱体駆動機構は、プローブコネクタを装置本体に装着したとき、本体側、コネクタ側の伝熱体を少なくとも一方を、互いが接近する方向に移動させ、これらを面接触させる。
【0009】
本体側伝熱体、コネクタ側伝熱体はそれぞれ対をなすようにできる。一方の伝熱体の対が、他方の伝熱体の対を外側から挟むようにして、これらを面接触させるようにできる。また、一方の伝熱体の対が拡がって、他方の伝熱体の対の内側から突っ張るようにして面接触させるようにもできる。
【0010】
プローブコネクタには、このコネクタを装置本体に装着した際に、はずれないようにロックするロック機構が設けられており、伝熱体駆動機構は、このロック機構と連動して動作するようにできる。これにより、プローブコネクタを装着した際に確実に伝熱体を面接触させることができる。
【0011】
ロック機構はハンドルを有し、このハンドルを回転することにより、プローブコネクタのロックを行うことができる。そして、このハンドルの動きをコネクタ側伝熱体に機械的に伝達する伝達機構、例えばリンク機構を設けることができる。
【0012】
また、ロック機構に、ロックおよびロック解除を検出するロックセンサを設け、このセンサの検出結果に基づきモータを駆動して本体側伝熱体を移動させるようにできる。モータの回転を本体側伝熱体に伝える機構としてカムを含む機構を採用することができる。カムは、本体側伝熱体をコネクタ側伝熱体に面接触させる位置と、コネクタ側伝熱体から離隔させる位置とが交互に設けられたプロフィールとすることができる。このカムプロフィールにより、モータの1方向の回転により順次、本体側伝熱体を面接触位置、離隔位置とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、面接触する本体側伝熱体とコネクタ側伝熱体により、プローブコネクタ内で発生した熱を、本体側に伝熱し、コネクタの放熱を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。図1は、本実施形態に係る超音波診断装置10の概略構成を示すブロック図である。超音波診断装置10は、被検体に対し超音波を送受するプローブヘッド12を含む超音波プローブ14と、超音波プローブを制御して超音波の送受信を行い、得られた受信信号に基づき超音波画像を提供する装置本体16とに大別される。
【0015】
超音波プローブ14は、装置本体16に着脱可能なプローブコネクタ18を有し、これには接続ピン20を備えたプラグ22が設けられている。接続ピン20と、プローブヘッド12の各振動子とは、プローブケーブル24によって接続されている。また、プローブコネクタ18には、プローブヘッド12からの超音波の送受信の制御や、超音波振動子の駆動、受信された信号に対し所定の処理を行うコネクタ側送受信回路装置26が収容されている。
【0016】
装置本体16には、プローブコネクタのプラグ22を受けるレセプタクル28が設けられ、レセプタクル28は、プラグ22の接続ピン20と接続する接続穴30が設けられている。プローブコネクタ18を装置本体16に装着すると、プラグ22とレセプタクル28が結合し、接続ピン20は接続穴30に接触する。これにより、超音波プローブ14と装置本体16とが電気的に接続される。
【0017】
装置本体16は、本体側送受信回路装置32を備えている。本体側送受信回路装置32は、コネクタ側の送受信回路装置26と協働して、超音波プローブ14の超音波の送受等に係る制御を行う。本体側送受信回路装置32は、送受制御部34の制御に従い動作し、また、送受制御部34は、操作パネル36より入力されたユーザからの指示に応じて送受信回路装置32の制御を行う。取得された受信信号は、画像形成部38に送られ、ここで所定の処理が実行されて、Bモード断層画像等の所定の画像が形成される。この形成された画像は、例えばディスプレイ40に表示され、ユーザに提供される。
【0018】
前述のようにプローブコネクタ18には、超音波の送受信、受信信号の処理等を行う回路の一部が備えられている。これらの回路は、従来装置本体16に備えられている送受信回路装置の一部を分離し、更に新たな機能を追加して超音波プローブ14側に設けたものである。このような構成を採るのは、一つには、超音波振動子数の増加等に伴い、回路規模が増大し、装置本体のスペースが足りないこと、さらに配線数の増加により、プローブコネクタ18に設けられる接続ピン20が、コネクタの装置本体16に対向する面に収まらなくなる等の理由による。一部の信号処理を超音波プローブ14側で行うことにより、接続ピン、接続穴の数の減少を図っている。
【0019】
このように、プローブコネクタ18に回路を内蔵した場合、回路デバイスなどの回路素子からの発熱が問題となる。この発熱は、回路デバイスそのものの故障、コネクタのケースの変形などの問題を生じさせる可能性があり、適切に放熱する必要がある。
【0020】
図2−4は、プローブコネクタ18と装置本体16の伝熱に係る構成を示す図である。図2は、装置本体16のレセプタクル28周囲の構成およびプローブコネクタ18の伝熱に係る構成を示した分解斜視図であり、他の構成は省略、または透視された状態で示されている。図3は要部の正面図、図4は要部の側面図である。なお、以下の説明における上下、左右、前後方向は、それぞれ、図3における上下、左右、紙面を貫く方向で定義され、現実の装置における方向とは必ずしも一致するものではない。
【0021】
装置本体16とプローブコネクタ18には、それぞれ本体側伝熱体である本体側伝熱板42と、コネクタ側伝熱体であるコネクタ側伝熱板44が1対設けられている。本体側伝熱板42は、レセプタクル28の左右に位置し、装置本体等の筐体などの、熱伝導性の良好な構造物に接続している。コネクタ側伝熱板44は、プローブコネクタ18を装置本体16に装着した際に、対をなす本体側伝熱板42の内側となる位置に配置されている。コネクタ側伝熱板44は、対応する本体側伝熱板42に対し、接近する方向、離隔する方向に、ガイド46(図4参照)に沿って移動可能となっている。本体側伝熱板とコネクタ側伝熱板が面接触してプローブコネクタ内部で発生した熱が装置本体側に伝えられる。コネクタ側伝熱板44の上下の端にフォロワ48が設けられており、これが左右方向に延びるガイド46に係合して、コネクタ側伝熱板44の動きを左右のみに規制している。また、コネクタ側伝熱板44には、伝達機構50のスライドピン52が挿入されるガイドスリット54が設けられている。ガイドスリット54は、図3によく示されるように、上下方向に延びている。
【0022】
プローブコネクタ18には、これを装置本体16からはずれないようにロックするためのロック機構が設けられている。ロック機構のロックハンドル56には、後方に向けて延びるロックシャフト58が一体に結合されている。ロックシャフト58は、プローブコネクタ18が装着された際には、装置本体のロック穴60内まで進入する。ロックシャフト58の先端には、ロックピン62が半径方向に立設されており、ロック穴60にロックシャフト58が進入するときには、ロックピン62の位置は、ロック穴60の溝部分60aの位置に一致している。ロックハンドル56を回転させると、ロックピン62も装置本体16内で回転し、溝部分60aとの位置がずれて、ロック穴60の周縁に係合する。これによって、プローブコネクタ18がはずれることが防止される。したがって、ロックハンドル56、ロックシャフト58、ロック穴60およびロックピン62等が、ロック機構として機能する。
【0023】
コネクタ側伝熱板44の左右方向の移動は、ロックハンドル56の回転動作に連動する。ロックシャフト58には、さらに、係合片64が半径方向外側に向けて立設されている。この係合片64は、平行四辺形のリンク機構を有する伝達機構50のリンク66の一つに設けられた係合穴68に係合している。以下において、この係合穴68の設けられたリンクを特定する必要があるときはリンク66aと記す。係合片64と係合穴68の係合の様子が、図5に示されている。係合穴64は、係合端面68a,68bの間で、係合片64の移動を許容している。ロックシャフト58の回動、すなわち係合片64の移動が係合端面68a,68bの範囲を越えたとき、ロックシャフト58の回動が、リンク66aに伝達される。リンク66aが回動すると、この回動は、連結リンク70を介して、上下の2本のリンク66にも伝達される。このリンク66の回動により、各リンク66の先端に設けられたスライドピン52は、左右方向に移動し、これに合わせて対をなすコネクタ側伝熱板44も左右方向に移動する。
【0024】
図6は、プローブコネクタ18の着脱の際のコネクタ側伝熱板44の動きを動作を示す図である。プローブコネクタ18のプラグ22を、装置本体16のレセプタクル28に差し込んだときには、コネクタ側伝熱板44は、図6(a)に示すように本体側伝熱板42の内側に、間隔を空けて位置している。ロックハンドル56を反時計回り(図3中の矢印の方向)に回転させると、ロックピン62が回転し、ロック穴60の周縁部に係合し、ロックされる。リンク66は、係合片64が、係合端面68bに達してから回動する。この回動により、コネクタ側伝熱板44が駆動され、図6に示す矢印方向に拡がって突っ張るようにして、外側に位置する本体側伝熱板42に当接する。この状態が図6(b)に示されており、二つの伝熱板42,44は、対向する面全体で接触する。プローブコネクタ18を外すときは、ロックハンドル56を時計回りに回転させる。係合片64が係合端面68aに達すると、リンク66が回動し、コネクタ側伝熱板44が内側に移動し、本体側伝熱板42との接触状態が解消される。また、ロックピン62にもロック穴の溝部分60aの位置に来て、ロックが解除される。これにより、プローブコネクタ18を取り外すことができる。
【0025】
本体側伝熱板42、コネクタ側伝熱板44は、熱伝導性の良い材料、例えば金属、特にアルミニウム、銅などの金属とすることが好ましい。また、二つの伝熱板42,44の一方に(図6の例においてはコネクタ側伝熱板44に)、柔軟性があり、かつ熱伝導性の良好な熱伝導シート72でできた層を設けるようにすることもできる。これにより、伝熱板42,44の密着性が高まり、接触面での熱伝導性が向上する。熱伝導シート72は、シリコンゴムなどの材料で構成することができる。また、シリコンゴムを基材とし、熱伝導性を改善する添加物、例えば炭素の微粉末を混ぜた材料を用いることもできる。
【0026】
図7は、本体側伝熱板42とコネクタ側伝熱板44の配置を変えた例である。この変形例では、対をなすコネクタ側伝熱板44が、本体側伝熱板42の対の外側に位置し、本体側伝熱板42を外側より挟んで、伝熱板どうしが面接触する。図6の例と対応する構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0027】
図7(a)は、伝熱板が離隔しているとき、すなわちコネクタ側伝熱板44が開いているときの状態を示している。ロックハンドルを、ロック方向に回動させると、この例においては伝達機構は、コネクタ側伝熱板44を図中矢印のように内側に向けて移動させるよう動作する。この動作によって、本体側伝熱板42とコネクタ側伝熱板が面接触する。ロックハンドルを解除する方向に回動させると、コネクタ側伝熱板44が開き、本体側伝熱板42から離隔する。
【0028】
図8−10は、装置本体16とプローブコネクタ18との伝熱に係る構成の他の形態を示す図である。この実施形態は、図2−4等に示した実施形態と同様に、本体側伝熱体と、コネクタ側伝熱体を有しているが、この実施形態においては、本体側伝熱体が移動してコネクタ側伝熱体に面接触する。図8は、装置本体の、伝熱機構に係る要部をコネクタ側から視た状態を示す正面図であり、図9は平面図、図10は右側面図である。この実施形態においても上下、左右、前後の方向は、それぞれ図8の上下、左右、紙面を貫く方向で定め、現実の装置における方向とは必ずしも一致するものではない。
【0029】
装置本体16とプローブコネクタ18には、それぞれ本体側伝熱体である本体側伝熱板80とコネクタ側伝熱体であるコネクタ側伝熱部82が1対設けられている。コネクタ側伝熱部82は、実際には、レセプタクル28に係合するプローブコネクタのプラグ22の周縁に設けられた導電性、好ましくは金属製の方形の囲い84の、ひと組の対辺に相当する部分である。本体側伝熱板80の前後には、ガイドスリット86が設けられたガイドプレート88が設けられている。ガイドプレート88の上下の端部には、装置本体に固定されたガイド89に係合するフォロワ90が設けられている。ガイド89により、ガイドプレート88は、左右方向の動きのみ許容されている。
【0030】
ガイドスリット86には、スライドピン91が挿入され、ガイドスリット86に沿ってスライド可能となっている。スライドピン91は、前後に配置された2本のリンク92(92a,92b)を接続するように配置され、2本のリンク92と、スライドピン90で方形が形成されている。リンク92は、上下に2本、略平行に配置され、リンク92とガイドプレート88が略平行四辺形を形成している。後方の2本のリンク(図9には符号92bで示す)には、ガイドスリット86に略平行に延びる、2本の連結リンク94が結合され、さらに連結リンク94には、駆動リンク96が結合されている。リンク92と駆動リンク96は略平行に配置されている。駆動リンク96は、ギア列98を介してモータ100が結合されており、モータ100の回転により揺動する構成となっている。
【0031】
モータ100の回転は、駆動リンク96、連結リンク94、リンク92およびスライドピン91を介してガイドプレート88および本体側伝熱板80に伝わり、これらが左右に移動する。この移動は、左右の本体側伝熱板80がお互いに近づく、または遠ざかるように移動する。
【0032】
本体側伝熱板80、コネクタ側伝熱部82に対向する面には、これらの伝熱板80、伝熱部82の接触圧を検出する圧力センサ102が設けられている。本体側伝熱板80がモータ100によりコネクタ側伝熱部82に向けて移動され、当接したとき、圧力センサ102により所定の圧力に達したことが検出されると、モータ100が停止する。また、本体側伝熱板80の、コネクタ側伝熱部82に対向する面とは反対側の面に対向して圧力センサ104が配置されている。この圧力センサ104は、装置本体16のフレーム、又はフレームに対して固定された部材上に設けられている。この圧力センサ104は、本体側伝熱板80が、圧力センサ104を設けた部材に当接するときの圧力を検出する。本体側伝熱板80がモータ100によりコネクタ側伝熱部82から離れる方向に移動され、圧力センサ104に当接したとき、圧力センサ104により所定の圧力に達したことが検出されるとモータ100が停止される。
【0033】
本体側伝熱板80とコネクタ側伝熱部82は、熱伝導性の良い材料、例えば金属、特にアルミニウム、銅などの金属とすることが好ましい。また、これらの伝熱板80、伝熱部82の一方に、柔軟性があり、かつ熱伝導性の良好な熱伝導シート106でできた層を設けるようにすることもできる。これにより、伝熱板80と伝熱部82の密着性が高まり、接触面での熱伝導性が改善される。さらに、圧力センサ104を設けた装置本体側の部材に、柔軟性があり、熱伝導性の良好な熱伝導シート108を設けることもできる。これらの熱伝導シート106,108は、シリコンゴムなどの材料で構成することができる。また、シリコンゴムを基材とし、熱伝導性を改善する添加物、例えば炭素の微粉末を混ぜた材料を用いることもできる。
【0034】
図11は、プローブコネクタ18をロックしたこと、およびロック解除をしたことを検出するためのセンサの構成である。図11(a)がロック解除状態を示す図であり、図11(b)がロック状態を示す図である。各々の図において、左側にある装置本体16に対しプローブコネクタ18を右側より装着している。装置本体のレセプタクル28には、発光ダイオード(LED)光源110が設けられている。また、このLED光源110を受光するフォトセンサ112が、レセプタクル28に立設された支持片113に固定されている。(a)に示すロックが解除されている状態においては、LED光源110から照射された光は、フォトセンサ112に受光される。(b)に示すロック状態では、LED光源110からの光は、ロックピン62に遮られて、フォトセンサ112に受光されない。これにより、プローブコネクタ18のロック、ロック解除が判断される。
【0035】
プローブコネクタ18を装着する際、ロックハンドル56を、反時計回りに回転させてロックすると、フォトセンサ112がLED光源110の光を受光しなくなる。制御部は、これを検知すると、モータ100を回転させる。このときの回転方向は、本体側伝熱板80をコネクタ側伝熱部82に近接させる向きの回転である。本体側伝熱板80がコネクタ側伝熱部82に当接し、所定の接触圧に達すると圧力センサ102が信号を出力し、この信号に基づき制御部がモータ100を停止する。ロックを解除するために、ロックハンドル56を時計回りに回転させると、再びフォトセンサ112がLED光源110からの光を受光する。圧力センサ102が所定の圧力を検出している状態で、光が受光されると、制御部はモータ100を回転させる。この回転方向は、本体側伝熱板80がコネクタ側伝熱部82から離れる向きである。そして、圧力センサ104が信号を出力すると、制御部はこれに基づき、モータ100の回転を停止する。
【0036】
図12−14は、超音波診断装置の装置本体16とプローブコネクタ18の伝熱に係る構成の更に他の形態を示す図である。この実施形態は、本体側伝熱体を移動させて、コネクタ側伝熱体に面接触する構成となっている。図12は要部を示す斜視図、図13,14は、伝熱板の動作を示す図である。前述の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。以下の説明においても、上下、左右、前後の方向は、それぞれ図13又は14の左右、上下、紙面を貫く方向で定め、現実の装置における方向とは必ずしも一致しないものである。
【0037】
プローブコネクタ18のプラグ22の周囲には、伝熱部114が設けられる。伝熱部114の外形は略直方体となっている。この直方体の側面、すなわち装置本体に対向する面に直交する面の内、上下に延びる面が、本体側の伝熱体に面接触するコネクタ側伝熱部116となる。装置本体16には、プラグ22に対向するレセプタクル28が設けられて、これを挟むようにして一対の本体側伝熱板118が配置されている。本体側伝熱板118とコネクタ側伝熱部116が、それぞれ面接触してコネクタ内の熱を装置本体に伝える本体側伝熱体およびコネクタ側伝熱体として機能する。本体側伝熱板118は、下端付近を支軸120により支持され、この軸周りに揺動可能となっている。本体側伝熱板118の上端には、開閉カム122が当接している。開閉カム122には同軸にピニオン124が設けられ、このピニオン124にはモータ126の出力軸128上に設けられたウォームギア130が噛み合っている。モータ126には、その出力軸の回転角を検出するロータリエンコーダ132が結合されている。
【0038】
モータ126が、出力軸128を回転駆動すると、ウォームギア130、ピニオン124を介して開閉カム122が回転し、カムプロフィールに従って、本体側伝熱板118が揺動する。本体側伝熱板118には、これが常にカム表面に接触するようにばね134により付勢されている。
【0039】
プローブコネクタ18の脱着時の動作について、図15,16も用いて説明する。図15は、モータ130の制御部136の回路構成を示す図である。プラグ22とレセプタクル28が接続したこと、および切断したことを検出する立ち下がり検出部138および立ち上がり検出部140が設けられ、これらの出力がオアゲート142に送られる。オアゲート142の出力は、リセットセット−フリップフロップ(以下、RS−FFと記す)144のセット端子に送られる。RS−FF144の出力端子にはモータドライバ146が接続され、このモータドライバ146の出力によりモータ130が駆動される。また、RS−FF144の出力はカウンタ148にも送られ、カウンタ148は、この出力がHiの間、ロータリエンコーダ132のパルスを計数し、所定数が数えられたら、RS−FF144のリセット端子をHiとする。
【0040】
図16のA〜Eに示す信号波形は、図15中に示した点A〜Eの信号に対応する。プローブコネクタ18を装着すると、点Aの信号は、HiからLoに立ち下がり、これが立ち下がり検出部138に検出され、立ち下がり検出部138は、Hiのパルス信号を出力する(図16の信号B参照)。このパルス信号を受けると、RS−FFは、Hiの信号を出力して(信号C)モータドライバ146がモータ130を駆動する。これにより、開閉カム122が回転し、本体側伝熱板118を図13の開いた状態から、図14の閉じた状態となるように駆動する。図14の閉じた状態となるまでのモータの回転角は、定まっており、この回転角に対応した数のパルスが、ロータリエンコーダ132から発せられると(信号D)、カウンタ148は、パルス信号を出力し(信号E)、これによりRS−FFの出力がLoとなり(信号C)、モータ130が停止される。このとき、開閉カム122は半回転し、図14のように、二つの伝熱板116,118が面接触する状態となっている。
【0041】
プローブコネクタ18を取り外すときは、点Aの信号はLoからHiに立ち上がりこれが立ち上がり検出部140により検出され、オアゲート142がパルス信号を出力する(信号B)。これにより、RS−FF144の出力がHiとなり、モータ130が回転する。この回転方向は、本体側伝熱板118を開くときと同じ方向である。ロータリエンコーダ132の出力パルス数が、開閉カム122の半回転に相当する所定数に達したら、カウンタ148からの信号によりモータ130が停止され、図13に示す本体側伝熱板118が開いた状態にとなる。
【0042】
上記の実施形態においては、開閉カム122が1回転すると、本体側伝熱板118が開いて閉じる往復運動を1回行うよう構成されているが、開閉カムの形状を適切に選定することにより、開閉カム半回転、1/3回転などで、伝熱板が1往復するようにすることもできる。例えば、カム半回転で伝熱板1往復とするためには、カムのノーズ部を180°間隔で配置すればよい。
【0043】
以上の各実施形態において、コネクタ側伝熱板44およびコネクタ側伝熱部82,116には、プローブコネクタ18内部に収容されている電子回路等の発熱体から金属板、ヒートパイプなどの熱伝導の良好な部材を介して熱が伝えられる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態の超音波診断装置の概略構成を示す図である。
【図2】プローブコネクタと装置本体の伝熱に係る構成を示す斜視図である。
【図3】図2のプローブコネクタの要部を示す正面図である。
【図4】図2のプローブコネクタの要部を示す側面図である。
【図5】伝熱板の接触、離隔動作を示す平面図である。
【図6】ロックシャフト58とリンク66aの係合状態を示す図である。
【図7】伝熱板の接触、離隔動作の他の例を示す平面図である。
【図8】プローブコネクタと装置本体の伝熱に係る他の構成例の要部を示す正面図である。
【図9】図8のプローブコネクタの要部を示す平面図である。
【図10】図8のプローブコネクタの要部を示す右側面図である。
【図11】プローブコネクタのロック、ロック解除の検出についての説明図である。
【図12】プローブコネクタと装置本体の伝熱に係るさらに他の構成例を示す斜視図である。
【図13】図12のプローブコネクタの動作説明図である。
【図14】図12のプローブコネクタの動作説明図である。
【図15】図12のモータの制御部の回路構成を示す図である。
【図16】図15の回路の信号波形を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
10 超音波診断装置、16 装置本体、18 プローブコネクタ、22 プラグ、28 レセプタクル、42,80,118 本体側伝熱板、44 コネクタ側伝熱板、52,91 スライドピン、54,86 ガイドスリット、56 ロックハンドル、58 ロックシャフト、60 ロック穴、62 ロックピン、66,92 リンク、70,94 連結リンク、82,116 コネクタ側伝熱部、96 駆動リンク、100 モータ、122 開閉カム、126 モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対し超音波を送受して超音波画像を得る超音波診断装置であって、
装置本体と、
被検体に対し超音波を送受する超音波プローブに含まれ、当該超音波プローブを装置本体に着脱可能に接続するプローブコネクタと、
装置本体に備えられた本体側伝熱体と、
プローブコネクタに備えられ、当該プローブコネクタを装置本体に装着したときに本体側伝熱体に面接触するコネクタ側伝熱体と、
本体側伝熱体とコネクタ側伝熱体の少なくとも一方を、これらが互いに近接、離隔する方向に移動させる伝熱体駆動機構と、
を有し、
伝熱体駆動機構は、プローブコネクタを装置本体に装着したとき、本体側伝熱体とコネクタ側伝熱体の少なくとも一方を駆動して、これらを面接触させ、本体側伝熱体とコネクタ側伝熱体によりプローブコネクタ内で発生した熱を装置本体に伝える、
超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波診断装置であって、
本体側伝熱体とコネクタ側伝熱体は、それぞれ対をなしており、本体側伝熱体の対またはコネクタ側伝熱体の一方の対が他方の対を外側から挟んで、または一方の対が拡がって他方の対の内側から突っ張って、面接触する、
超音波診断装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の超音波診断装置であって、
プローブコネクタには、当該プローブコネクタを装置本体に装着した際、はずれないようにロックするロック機構が設けられ、
伝熱体駆動機構は、ロック機構と連動して動作する、
超音波診断装置。
【請求項4】
請求項3に記載の超音波診断装置であって、
ロック機構は、回動させてロックを行うハンドルを有し、
伝熱体駆動機構は、ハンドルの動きをコネクタ側伝熱体に機械的に伝達する伝達機構を有する、
超音波診断装置。
【請求項5】
請求項3に記載の超音波診断装置であって、
さらに、ロック機構によるロックおよびロック解除を検出するロックセンサを有し、
伝熱体駆動機構は、本体側伝熱体を移動させるモータを含み、ロックセンサによりロックが検出されると、本体側伝熱体をモータにより駆動してコネクタ側伝熱体に面接触させ、ロック解除が検出されると、本体側伝熱体をモータにより駆動してコネクタ側伝熱体から離隔させる、
超音波診断装置。
【請求項6】
請求項5に記載の超音波診断装置であって、
伝熱体駆動機構は、前記モータの回転を本体側伝熱体に伝えるカムを含み、
カムは、本体側伝熱体をコネクタ側伝熱体に面接触させる位置と、コネクタ側伝熱体から離隔させる位置とが交互に形成されたカムプロフィールを有し、
モータは、1方向のみに回転して、本体側伝熱体が、前記面接触させる位置と前記離隔させる位置とに交互に移動される、
超音波診断装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate