説明

超音波診断装置

【課題】 診断すべき対象箇所に応じてビーム幅を変化させることが可能な超音波診断装置を提供すること。
【解決手段】 固定焦点で血流速度を検出する診断モードを備えた超音波診断装置であって、複数個の超音波振動子11により受信された信号が供給される受信ビームフォーミング制御回路44は、量子化精度選択信号入力装置41と、この入力装置41により供給された量子化精度選択信号に基づいて遅延量子化量を決定する遅延量子化量決定装置42と、この遅延量子化量決定装置42の出力により受信信号に所定の遅延量を付与する信号遅延回路18と、この信号遅延回路18により遅延された前記受信信号を合成する信号合成装置20を備え、受信ビームフォーミングの精度を任意に変更できることを特徴とする超音波診断装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
血流速度情報を提供するドプラ・モードを備えた超音波診断装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、プローブ素子に対応した各チャンネルに対してフォーカス位置に応じた遅延制御を適用し、送信および受信ビームフォーミングを行うことによってフォーカスの合ったエコー信号を得、それをもとに画像を構築している。
【0003】
ビームフォーミングの精度はいわゆるビーム幅にかかわり、フォーカス位置に対する感度と、それ以外の場所からの信号に対する感度の比が大きいことが要求される。フォーカス位置から反射されてくる信号を映像化することが望ましいため、当然このビーム幅は「細い」あるいは「狭い」ほうが望ましいというのが一般的な考え方である。
【0004】
システムがアナログからディジタルに発展するときに期待された効果のひとつに、このビームフォーミング精度向上があった。すなわち、それまでは例えば受信遅延回路としてアナログ遅延線が使われていたが、この分解能は必ずしも必要十分に小さいものでなく、かつ部品間のばらつきもあるため、受信ビームフォーミングの精度も要求される値にとどいているわけではなかった。一方ディジタルでは一定のクロックレートで処理されるため、そのレートが十分小さければ精度向上が期待でき、装置間のばらつきも無視できる程度のものになる。
【0005】
ディジタルで信号を処理する装置においては、クロックレートを小さくできる限りにおいて、あるいは処理方式に依存した誤差(例えば制御データの量子化誤差)の範囲において、ビーム幅を細くできる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特願平3−336589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、固定フォーカスで血流速度を検出するドプラ・モードでは、必ずしもビーム幅が細ければ細いほど良いというわけではない。
【0007】
例えば、局所的に発生している病的高速流を検出しようとした場合、ビームが細すぎると、設定フォーカス(この場合ユーザが装置制御パネル等から設定)が該局所を少しでも外すと血流を逃してしまうという事態に陥る可能性がある。通常、ユーザはカラー・モードで高速流の発生箇所を知り、その速度を定量把握するため、CWドプラ・モードに移り、その検出波形から速度を読み取る。ここで、フォーカスはカラー・モード画像の「色」をガイドにトラックボール等で設定するが、病的高速流発生箇所の体積が小さくかつビームが細いと、より正確なフォーカス設定操作が要求される。図1は本発明の課題を説明するための超音波ビームと血流との位置関係を示す模式図である。図1(a)(b)はそれぞれ超音波振動子11から放射されるビーム12の形状を示しており、前者のビーム幅の方が後者のそれよりも広い。各ビーム12は、ビーム幅が最も小さく絞られた焦点位置が測定すべき病的高速流発生箇所13に合わせられる。しかし、図1(b)に示すように、焦点位置におけるビームの幅が狭くなり、ビームが病的高速流発生箇所13から外れると、ドプラシフトを受けてそこから反射されてくるエコー信号の強度が弱まる。場合によってはノイズに埋まり、本来あるはずの速度成分が検出できなくなる。
【0008】
したがって本発明の目的は、診断すべき対象箇所に応じてビーム幅を変化させることが可能な超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態にかかる超音波診断装置は、超音波信号を発信あるいは受信するように配列された複数個の超音波振動子と、これらの超音波振動子に複数個の送受信切り替えスイッチを介して駆動信号を供給する送信回路と、この送信回路の前記駆動パルスのタイミングを制御する送信ビームフォーミング制御回路と、前記各超音波振動子により受信された前記超音波信号が前記送受信切り替えスイッチ介してそれぞれ供給される複数個の受信回路と、これらの受信回路の出力信号がそれぞれ供給される受信ビームフォーミング制御回路とを備え、固定焦点で血流速度を検出する診断モードを備えた超音波診断装置であって、前記受信ビームフォーミング制御回路は、さらに、量子化精度選択信号入力装置と、この入力装置により供給された量子化精度選択信号に基づいて遅延量子化量を決定する遅延量子化量決定装置と、この遅延量子化量決定装置の出力により前記各受信回路の出力信号に所定の遅延量を付与する信号遅延回路と、この信号遅延回路により遅延された前記各受信回路の出力信号を合成する信号合成装置を備えることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の前記超音波診断装置においては、前記遅延量子化量決定装置の精度情報出力は前記送信ビームフォーミング制御回路にも供給され、送信および受信ビームフォーミングの精度を、それぞれ独立に制御できることを特徴とするものである。
【0011】
さらに、本発明の前記超音波診断装置においては、前記送信および受信ビームフォーミングの精度は前記量子化精度選択信号入力装置により選択されることを特徴とするものである。
【0012】
このように、本発明の実施形態に係る超音波診断装置においては、他のモードで要求されているビームフォーミング精度が確保できているとすると、ディジタルシステムにおいてはそこからビーム幅を太くすること、あるいはビームフォーミング精度を変化させることは比較的容易に実施可能である。すなわち、遅延制御パラメータを計算する過程において、ある量子化範囲を定めて、その精度でパラメータを出力することが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、超音波のビーム幅を、ユーザが使用目的に応じて制御することにより、確度の高い診断に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図2乃至図4は本発明の原理を説明するための図である。図2は本発明が適用される超音波診断装置の受信回路構成の1例を示すブロック図である。Nチャンネル(0、1、2、3、…、N−1)の超音波信号を発信あるいは受信するN個の超音波振動子11−1、11−2、11−3、…、11−Nには、それぞれ、送受信切り替えスイッチ(T/Rスイッチ)14−1、14−2、14−3、…、14−Nを介して送信回路15から駆動パルス信号が供給される。N個の超音波振動子11−1、11−2、11−3、…、11−Nから対象物に出射されそこから反射された超音波パルス信号は再びN個の超音波振動子11−1、11−2、11−3、…、11−Nにより受信され、電気信号に変換される。これらの受信信号はT/Rスイッチ14−1、14−2、14−3、…、14−Nを介して受信回路16−1、16−2、16−3、…、16−Nにより増幅され、AD変換器17−1、17−2、17−3、…、17−Nによりそれぞれディジタル信号に変換される。ディジタル信号に変換された各チャンネルの受信信号は、ファーストイン/ファーストアウトメモリ(FIFOメモリ)18−1、18−2、18−3、…、18−Nに同一のタイミングにより順次記憶される。
【0015】
FIFOメモリ18−1、18−2、18−3、…、18−Nにディジタル情報として記憶された各チャンネルの受信信号は、書き込み/読み出し制御回路19からの書き込み/読み出し制御信号により、各チャンネルが受け持つべき遅延量に対応して決定されるタイミングで読み出され、各FIFOメモリ18−1、18−2、18−3、…、18−Nから読み出された受信信号は加算回路20により加算される。
【0016】
これらのFIFOメモリ18−1、18−2、18−3、…、18−N、書き込み/読み出し制御回路19および加算回路20により、いわゆる、受信ビームフォーミング処理が行われる。
【0017】
ここで、FIFOメモリ18−1、18−2、18−3、…、18−Nによる読み出し制御が受信遅延処理に対応し、具体的には読み出しアドレスを計算し各メモリに供給するということになる。Bモード等、フォーカスを時々刻々更新する受信ダイナミック・フォーカスを適用するモードに関しては、アドレスは次の式で表わされる遅延量dn(t)から求める。
【数1】

【0018】
図3は上記の式(1)で表される遅延量dn(t)の求め方を説明するための図である。
同図において、X−Y座標は超音波ビームによりスキャンが行われる2次元平面を表し、超音波フロー部を形成する複数個の超音波振動子11はY軸上に、フォーカス開始座標(初期フォーカス位置)(xini、yini)を中心として対称に配列されている。これらの超音波振動子11のうちの任意の振動子の一座標を(xn、yn)とし、ある時刻tでのフォーカス座標を(xf, yf)とする。ここで、vは音速であり、θはX軸と超音波ビームの進行方向との角度、すなわち、時刻tにおけるスキャン角度である。
【0019】
このようにして得られた遅延量dn(t)を、システムクロックレートで割ったものがアドレスとなる。
【数2】

ここで、Tがクロックレートで、[ ] は整数化処理を表わす。
【0020】
以上はダイナミック・フォーカス適用時の例であるが、本発明が適用されるCWドプラ等固定焦点モードでは、遅延量dn(t)およびアドレスは次の式(3)(4)で与えられる。すなわち、この場合においては、時々刻々更新されるフォーカス(xf, yf)は存在しなくなり、初期フォーカス位置(xini, yini)で固定焦点位置を表わす。
【数3】

整数化処理について第1項と2項を分けると、
【数4】

【0021】
第2項は時間をクロックレート、すなわち量子化時間で割ったものなので、アドレスの単調増加’k’に相当する。これも含めて、上式を次のように書きなおす。
【数5】

で、焦点位置から決まる各チャンネルに固有の定数である。
【0022】
上式は、次のことを示している。すなわち、固定焦点時の読み出しアドレスは、チャンネルに固有のオフセット[Dn/T]を持つ単調増加となる。
【0023】
ここでビーム幅を決めるのは、[Dn/T]の精度である。従来は、システムクロックレート’T’で量子化し、この場合そのシステムが持つ最高精度でビームフォーミングすることになる。別のいい方をすると、ビーム幅を最小に絞ることになる。ここで、前述したように、ビーム幅が細いことはいつでもいいとは限らず、特に微小血流を検出するような場合に、細すぎるビーム幅はそれらを「とりづらく」する可能性がある。
【0024】
そこで、本発明においては前述したように、量子化精度を可変にする。ビームフォーミングの精度を議論するときは、送受信中心周波数の波長を基準にしてなされるが、例えば波長の1/32、1/16、1/8および1/4の量子化精度を想定し、切りかえられるようにする。送受信中心周波数2MHzを例に取ると、1波長に相当する周期は500nsなので、上の量子化精度は、15.625ns、31.25ns、62.5nsおよび125nsとなる。これを「TQ」として上式「T」の代わりに適用する。
【数6】

【0025】
図4(A)はビームフォーミング制御回路へ入力される「TQ」とその決定処理過程を示すブロック図である。同図において、量子化精度選択信号入力装置41は量子化精度をどの段階の精度にするかを選択する装置であり、ユーザにより選定される。この入力装置41により選定された量子化精度値を表す情報は遅延量子化量決定装置42により、上記(8)式中の量子化精度TQが決定され、送信ビームフォーミング制御回路43あるいは受信ビームフォーミング制御回路44に供給される。遅延量子化量決定装置42により決定された量子化精度TQに基づいて送信ビームフォーミング制御回路43あるいは受信ビームフォーミング制御回路44において、上記(8)式により、アドレスAn[k]が出力されることになる。
【0026】
図4(B)は遅延量子化量決定装置42のより具体的な構成例を示すブロック図である。この装置42は、例えば4種の量子化パラメータTQ0、TQ1、TQ2、TQ3の任意の1種を量子化精度選択信号入力装置41からの選択信号により選択して出力信号TQとして出力する。
【0027】
図5は本発明の実施形態を示す超音波診断装置のブロック図である。同図においては、図2乃至図4に示す超音波診断装置の構成要素と同じかあるいはこれに相当する構成要素には同一番号を付し、特に必要な場合を除き詳細な説明は省略する。
【0028】
同図における入力装置41および遅延量子化量決定装置42は、図4において説明した各装置に対応するものである。ここで送信パルス発生回路51は図4の送信ビームフォーミング制御回路43に対応し、遅延量子化量決定装置42により決定された量子化精度TQが入力信号として供給され、これにより決定される遅延量を持った送信タイミングパルスを生成し送信回路15に供給する。送信回路15は送信パルス発生回路51出力の送信タイミング信号を受け、各超音波振動子11−1、11−2、11−3、…、11−Nを駆動するための高圧パルスを発生する回路である。T/Rスイッチ14−1、14−2、14−3、…、14−Nは、送信時は高圧パスルを振動子に伝達しつつ受信回路が高圧で壊れないように保護し、受信時は振動子からのエコー信号を後段に伝達するものである。受信回路53は、図2の受信回路16−1、16−2、16−3、…、16−NおよびAD変換器17−1、17−2、17−3、…、17−Nに相当し、微弱なエコー信号を増幅し、後段で信号処理可能なものにする。ディジタルシステムではAD変換器がここに含まれる。受信ビームフォーマ54は、図4の受信ビームフォーミング制御回路44および図2のFIFOメモリ18−1、18−2、18−3、…、18−N、書き込み/読み出し制御回路19および加算回路20に相当し、各チャンネルエコー信号に適切な遅延を付与し加算する。また、FIFO読出しアドレス発生回路52は図2の書き込み/読み出し制御回路19に対応している。
【0029】
このような本発明の実施形態に拠れば、ユーザの指示により遅延量子化量を遅延量子化決定プロセスによって決め、その情報をビームフォーミング制御回路に出力することにより、ビーム幅の制御が可能になり、診断状況によって適応的にビームを形成できるようになる。
【0030】
図6は本発明の他の実施形態を示す超音波診断装置のブロック図である。同図においては、図5に示す超音波診断装置の構成要素と同じかあるいはこれに相当する構成要素には同一番号を付し、特に必要な場合を除き詳細な説明は省略する。
【0031】
図5の実施形態では送信および受信ビームフォーミングに同じ遅延量子化量を適用しているが、本実施形態においては、たとえば、「送信は太く、受信は細く」あるいはその逆の要求のように、送信ビームと受信ビームの太さを自由に選択できる超音波診断装置を提供するものである。
【0032】
この装置においては、入力装置41および遅延量子化量決定装置42により、送信ビームフォーミング用の量子化精度を「TQT」とし、受信ビームフォーミング用の量子化精度を「TQT」とは異なる値の「TQR」をそれぞれ出力し、それぞれ送信パルス発生回路51およびFIFO読出しアドレス発生回路52に供給する。すなわち、送信ビームフォーミングには「TQT」、受信ビームフォーミングには「TQR」という異なる量子化精度を適用できるようにしている。
【0033】
本実施形態のその他の構成部分は図5の構成と同じであるため、それらの部分についての詳細な説明は省略する。
【0034】
図7は本発明のさらに他の実施形態を示す超音波診断装置の構成を示すブロック図である。これまでの例では、受信ビームフォーマをFIFOメモリと加算器として説明してきたが、本実施形態においては、それとは異なる形態の受信ビームフォーマが用いられる。すなわち、この形態の受信ビームフォーマは、まず入力信号である受信信号に第1の混合器71−1、71−2を用いて直行検波を適用し、同相成分Iと直交成分Qのベースバンド信号をそれぞれバンドパスフィルタ72−1,72−2を介して得る。図中cos(ωc・Dn)と−sin(ωc・Dn)による掛け算が直交検波を表わす。次に同相成分Iと直交成分Qのベースバンド信号をAD変換器73−1、73−2によりディジタル変換する。そして第2の混合器74−1、74−2を用いて、それらI/Q信号に係数を乗じたものどうしを第1の加算器75−1、75−2を用いて加算演算により位相を制御し、そのチャンネルに必要な遅延を付与する。そのようにして位相が揃えられた各チャンネルI/Q信号は、第2の加算器76−1、76−2により足し合わされ、受信ビームフォーミングが完遂される。
【0035】
ここで、ビームフォーミングの精度は、係数coefA/coefBによって決まる。これら遅延係数は一般には次のように表わせる。
【数7】

【0036】
ここで、ωcはエコー信号の中心周波数で、Dnは(7)式で表わせるそのチャンネル固有の遅延時間である。上式で求まる係数を適用すると、各素子とフォーカス設定位置の関係において決まる受信遅延が正確に適用される。別の言い方をすると、受信ビームは最も細くなる。
【0037】
ここで、本発明の趣旨にそってビーム幅を制御するため、前出の量子化パラメータ「TQR」を用いて次のように遅延係数を計算する。
【数8】

【0038】
ここで[ ]は前出同様、整数化処理である。遅延時間を量子化するので、結果として制御されるI/Q信号の位相もある変化幅で段階的に変化することになる。形成される受信ビームは、正確なものでなくなり、そこからある変位を持ったものになる。つまり、ビーム幅が太くなる。
【0039】
図8は本発明のさらに他の実施形態を示す超音波診断装置の構成を示すブロック図である。この実施形態においては、図7に示したようなI/Q信号を用いる受信ビームフォーマ(仮にI/Q受信ビームフォーマと呼ぶ)が適用されている。同図においては、図5に示す超音波診断装置の構成要素と同じかあるいはこれに相当する構成要素には同一番号を付し、特に必要な場合を除き詳細な説明は省略する。
【0040】
この実施形態では、図5のFIFO読出しアドレス発生回路52の代わりに遅延係数計算装置81が用いられ、図5の受信ビームフォーミング制御回路54の代わりにI/Q受信ビームフォーマ82が用いられる。I/Q受信ビームフォーマ82は図7に示すような動作を行う回路であり、量子化精度パラメータ「TQR」を受け、上記の式(11)(12)に示すような遅延係数を出力する。
【0041】
以上説明した本発明の実施形態によれば、従来一律に決まっていた超音波のビーム幅を、ユーザが使用目的に応じて制御できるようになる。特に微小血流を検出するような場合において、細く絞ったビームによってそれらを検出しにくくなる可能性のある場合に有効である。例えば、スキャン開始時は血流の有無をまず確認するため比較的太いビームを形成する。そのために、これまでの例でいうと例えば用いている周波数の波長の1/8の量子化精度で遅延を量子化する。この結果より広い範囲に対する感度を設定できるので、「カラーモードで見えたと思った血流がとれない」、というような事態をより少なくすることができる。血流の有無が確認できたら、次はより正確に位置を特定し、速度を確定する必要がある。そのためにビーム幅を絞り、システムが持っている最高の精度でより細かいスキャンをすることも可能である。
このように、特に微小血流検出能を上げることができ、確度の高い診断に寄与することができる。
【0042】
以上、本発明をいくつかの実施形態により詳細に説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の課題を説明するための超音波ビームと血流との位置関係を示す模式図である。
【図2】本発明が適用される超音波診断装置の受信回路構成の1例を示すブロック図である。
【図3】図3は遅延量dn(t)の求め方を説明するための図である。
【図4】図4(A)はビームフォーミング制御回路へ入力される「TQ」とその決定処理過程を示すブロック図であり、(B)は遅延量子化量決定装置のより具体的な構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態を示す超音波診断装置のブロック図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す超音波診断装置のブロック図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態を示す超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態を示す超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
11−1、11−2、11−3、…、11−N1 超音波振動子
12 ビーム
13 血流
14−1、14−2、14−3、…、14−N T/Rスイッチ
15 送信回路
16−1、16−2、16−3、…、16−N 受信回路
17−1、17−2、17−3、…、17−N AD変換器
18−1、18−2、18−3、…、18−N FIFOメモリ
19 書き込み/読み出し制御回路
20 加算回路
41 量子化精度選択信号入力装置
42 遅延量子化量決定装置
43 送信ビームフォーミング制御回路
44 受信ビームフォーミング制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波信号を発信あるいは受信するように配列された複数個の超音波振動子と、これらの超音波振動子に複数個の送受信切り替えスイッチを介して駆動信号を供給する送信回路と、この送信回路の前記駆動パルスのタイミングを制御する送信ビームフォーミング制御回路と、前記各超音波振動子により受信された前記超音波信号が前記送受信切り替えスイッチ介してそれぞれ供給される複数個の受信回路と、これらの受信回路の出力信号がそれぞれ供給される受信ビームフォーミング制御回路とを備え、固定焦点で血流速度を検出する診断モードを備えた超音波診断装置であって、前記受信ビームフォーミング制御回路は、さらに、量子化精度選択信号入力装置と、この入力装置により供給された量子化精度選択信号に基づいて遅延量子化量を決定する遅延量子化量決定装置と、この遅延量子化量決定装置の出力により前記各受信回路の出力信号に所定の遅延量を付与する信号遅延回路と、この信号遅延回路により遅延された前記各受信回路の出力信号を合成する信号合成装置を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記遅延量子化量決定装置の出力は前記送信ビームフォーミング制御回路にも供給され、送信および受信ビームフォーミングの精度を、それぞれ独立に制御できることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記送信および受信ビームフォーミングの精度は前記量子化精度選択信号入力装置により選択されることを特徴とする請求項2記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−115418(P2010−115418A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292168(P2008−292168)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】