説明

超音波診断装置

【課題】他の超音波診断装置からの干渉および他の超音波診断装置への干渉を抑制して、複数の超音波診断装置を同時に使えるようにする。
【解決手段】超音波トランスデューサ10と、信号処理部15と、無線通信によって伝送信号を外部に送信し制御信号を受信する第1の無線通信部17と、無線通信の搬送波周波数を設定する第1の制御部22とを有する超音波プローブ1と、伝送信号を受信し制御信号を送信する第2の無線通信部31と、無線通信の搬送波周波数を決定する第2の制御部42と、受信信号の搬送波と他機の搬送波との混信を検知する混信検知部37とを有する超音波診断装置本体2と、を具備し、混信検知部37が、無線通信に先立って、第2の無線通信部31が受信した搬送波と重複しない周波数帯域を検知して無線通信の搬送波とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブを用いて超音波を送受信することにより生体内の臓器等の撮像を行って得られた信号を、無線通信で装置本体に送信する無線通信式の超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野においては、被検体の内部を観察して診断を行うために、様々な撮像技術が開発されている。特に、超音波を送受信することによって被検体の内部情報を取得する超音波撮像は、リアルタイムで画像観察を行うことができる上に、X線写真やRI(radio isotope)シンチレーションカメラ等の他の医用画像技術と異なり、放射線による被曝がない。そのため、超音波撮像は、安全性の高い撮像技術として、産科領域における胎児診断の他、婦人科系、循環器系、消化器系等を含む幅広い領域において利用されている。
【0003】
超音波撮像の原理は、次のようなものである。超音波は、被検体内における構造物の境界のように、音響インピーダンスが異なる領域の境界において反射される。そこで、超音波ビームを人体等の被検体内に送信し、被検体内において生じた超音波エコーを受信して、超音波エコーが生じた反射位置や反射強度を求めることにより、被検体内に存在する構造物(例えば、内臓や病変組織等)の輪郭を抽出することができる。
【0004】
一般に、超音波診断装置においては、超音波の送受信機能を有する複数の超音波トランスデューサ(振動子)を含む超音波プローブが用いられる。超音波プローブと超音波診断装置本体とは、ケーブルを介して接続されることが多いが、ケーブルを用いることによる煩わしさを解消するために、超音波プローブと超音波診断装置本体との間の情報通信を無線で行う無線通信式の超音波診断装置が開発されている。
【0005】
無線通信式の超音波診断装置においては、超音波プローブと超音波診断装置本体との配置状況によって無線信号の受信状態が変化するので、超音波プローブと超音波診断装置本体の間の無線通信における受信状態を良好に保つことが問題となる。
【0006】
これに関連して、特許文献1には、超音波プローブから装置本体に無線送信される信号の伝送品質を向上させることを目的とするワイヤレス超音波診断装置が開示されている。このワイヤレス超音波診断装置は、超音波プローブから装置本体に信号が無線送信されるワイヤレス超音波診断装置であって、超音波プローブが、取得されたエコーデータに基づいて生成された送信信号を無線送信する複数のアンテナを有し、複数のアンテナが、その送信方向が互いに異なる複数の方向に向けられて、装置本体の位置にかかわらず無線通信を確保することを特徴とする。
【0007】
また、特許文献2には、超音波プローブと装置本体との間で送受信される無線送信の受信感度を向上させることを目的とするワイヤレス超音波診断装置が開示されている。このワイヤレス超音波診断装置は、超音波プローブと装置本体との間で無線信号を送受信する超音波診断装置であって、装置本体が、超音波プローブから送信される無線信号を受信するアンテナの受信方向を変化させて検出される受信電力に基づいて、アンテナを最適な受信方向に制御することにより、超音波プローブと装置本体の位置関係にかかわらず無線通信を確立させることを特徴とする。
【0008】
しかし、複数の無線通信式超音波診断装置を同室内などにおいて接近して使用する場合には、超音波診断装置相互間で無線通信時の電波の干渉が発生し、超音波プローブと装置本体との間の無線通信の伝送品質が劣化するという問題がある。
また、超音波プローブと装置本体との間の電波通信が、院内で広範に使用される院内無線LANと独立に制御される場合には、超音波診断装置の無線通信系と院内無線LANとが干渉する可能性がある。
【0009】
特許文献3には、超音波プローブが取得されたエコーデータと搬送波に基づいて生成される信号を無線送信し、装置本体が参照波を利用して受信した信号からエコーデータを復元するワイヤレス超音波診断装置であって、搬送波と参照波のうちの少なくとも一方の周波数を調整することにより搬送波と参照波の周波数を同調させて、超音波プローブと装置本体の間の無線接続を確立するようにしたワイヤレス超音波診断装置が開示されている。
特許文献3に開示された技術によれば、たとえば2基のワイヤレス超音波診断装置が接近して使用される場合でも、一方の超音波診断装置における搬送波や参照波の周波数を他方の超音波診断装置における搬送波や参照波と異なる周波数に同調させることにより、2基の超音波診断装置同士の混信を避けることができる。
【0010】
しかし、この開示装置では、無線通信において別の診断装置や既存の院内LANなどとの混信を避けるために、複数のプローブについて互いに異なる周波数の搬送波を予め設定しておく必要があり、また複数の超音波診断装置がある場合には、装置本体についても相互に異なる周波数を予め決めて使う必要があることから、多数の無線帯域を使用する必要があるうえ、初期調整が煩雑になる。また、各装置における周波数を安定に維持しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−244580号公報
【特許文献2】特開2008−183184号公報
【特許文献3】特開2007−275087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、他の超音波診断装置からの干渉および他の超音波診断装置への干渉を抑制し無線LANとの干渉を抑制して、複数の超音波診断装置を同時に使えるようにする、汎用的な手段により品質の高い無線通信を行う無線通信式超音波診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る超音波診断装置は、複数の駆動信号に従って超音波を送信すると共に超音波エコーを受信して複数の受信信号を出力する複数の超音波トランスデューサと、その複数の超音波トランスデューサから出力される複数の受信信号に対して信号処理を施すことにより伝送信号を生成する信号処理部と、無線通信によって伝送信号を外部に送信すると共に制御信号を受信する第1の無線通信部と、第1の無線通信部における搬送波周波数を設定する第1の制御部とを有する超音波プローブと、第1の無線通信部から送信される伝送信号を受信すると共に制御信号を外部に送信する第2の無線通信部と、制御信号を生成すると共に第2の無線通信部における搬送波周波数を設定する第2の制御部と、受信信号の搬送波と他の超音波診断装置の搬送波との混信を検知する混信検知部とを有する超音波診断装置本体と、を具備する超音波診断装置であって、混信検知部が、第1の無線通信部が伝送信号を送信するのに先立って、第2の無線通信部が受信した信号の搬送波と重複しない周波数帯域を検知して、その情報を第2の無線通信部を介して第1の無線通信部に送信し、第1の無線通信部がその重複しない周波数帯域の搬送波を使用して伝送信号を送信する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の超音波プローブのうちから1つの超音波プローブを選択して超音波診断装置本体と組み合わせるときに、周囲で使用されている搬送波周波数帯域を検出して、これを避けた周波数帯域を搬送波の周波数帯域として設定して、双方向データリンクを構成する。したがって、周辺の超音波診断装置や無線LANで送受信している無線信号と混信することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波プローブの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る超音波診断装置本体の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す受信信号処理部の構成例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る超音波プローブ及び超音波診断装置本体における無線通信部とその周辺の構成を示すブロック図である。
【図5】本実施形態に係る超音波プローブと超音波診断装置本体の間の無線通信における搬送波決定の方法を説明する図面である。
【図6】本実施形態に係る超音波診断装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る超音波プローブと超音波診断装置本体の間の無線通信において周波数ホッピングで搬送波を決定する場合を説明する図面である。
【図8】本実施形態に係るアレイアンテナの指向特性とプローブの位置関係を示す図面である。
【図9】本発明の一実施形態に係る無線通信式超音波診断装置において電波干渉が発生したときの動作例を説明するためのフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る無線通信式超音波診断装置において許容できる最小限の信号電力を設定する方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
図1は本発明の一実施形態に係る超音波プローブの構成例を示すブロック図、図2は本実施形態に係る超音波診断装置本体の構成例を示すブロック図である。本実施形態に係る超音波診断装置は、図1に示す超音波プローブ1と、図2に示す超音波診断装置本体2とによって構成することができる。超音波プローブ1は、リニアスキャン方式、コンベックススキャン方式、セクタスキャン方式等の体外式プローブでも良いし、ラジアルスキャン方式等の超音波内視鏡用プローブでも良い。
【0017】
図1に示すように、超音波プローブ1は、1次元又は2次元のトランスデューサアレイを構成する複数の超音波トランスデューサ10と、送信遅延パターン記憶部11と、送信制御部12と、駆動信号発生部13と、受信制御部14と、複数チャンネルの受信信号処理部15と、パラレル/シリアル変換部16と、無線通信部17と、通信制御部18と、操作スイッチ21と、制御部22と、格納部23とを有している。ここで、受信信号処理部15及びパラレル/シリアル変換部16は、複数の超音波トランスデューサ10から出力される複数の受信信号に対して信号処理を施すことにより伝送信号を生成する信号処理部を構成している。
【0018】
複数の超音波トランスデューサ10は、印加される複数の駆動信号に従って超音波を送信すると共に、伝搬する超音波エコーを受信して複数の受信信号を出力する。各超音波トランスデューサ10は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(lead) zirconate titanate)に代表される圧電セラミックや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン:polyvinylidene difluoride)に代表される高分子圧電素子等の圧電性を有する材料(圧電体)の両端に電極を形成した振動子によって構成される。
【0019】
そのような振動子の電極に、パルス状又は連続波の電圧を印加すると、圧電体が伸縮する。この伸縮により、それぞれの振動子からパルス状又は連続波の超音波が発生し、それらの超音波の合成によって超音波ビームが形成される。また、それぞれの振動子は、伝搬する超音波を受信することによって伸縮し、電気信号を発生する。それらの電気信号は、超音波の受信信号として出力される。
【0020】
送信遅延パターン記憶部11は、複数の超音波トランスデューサ10から送信される超音波によって超音波ビームを形成する際に用いられる複数の送信遅延パターンを記憶している。送信制御部12は、制御部22によって設定された送信方向に応じて、送信遅延パターン記憶部11に記憶されている複数の送信遅延パターンの中から1つの送信遅延パターンを選択し、その送信遅延パターンに基づいて、複数の超音波トランスデューサ10の駆動信号にそれぞれ与えられる遅延時間を設定する。あるいは、送信制御部12は、複数の超音波トランスデューサ10から一度に送信される超音波が被検体の撮像領域全体に届くように遅延時間を設定しても良い。
【0021】
駆動信号発生部13は、例えば、複数のパルサを含んでおり、送信制御部12によって選択された送信遅延パターンに基づいて、複数の超音波トランスデューサ10から送信される超音波が超音波ビームを形成するように複数の駆動信号の遅延量を調節して複数の超音波トランスデューサ10に供給し、あるいは、複数の超音波トランスデューサ10から一度に送信される超音波が被検体の撮像領域全体に届くように複数の駆動信号を複数の超音波トランスデューサ10に供給する。
【0022】
受信制御部14は、複数チャンネルの受信信号処理部15の動作を制御する。各チャンネルの受信信号処理部15は、対応する超音波トランスデューサ10から出力される受信信号に対して直交検波処理又は直交サンプリング処理を施すことにより複素ベースバンド信号を生成し、複素ベースバンド信号をサンプリングすることによりサンプルデータを生成して、サンプルデータをパラレル/シリアル変換部16に供給する。
【0023】
図3は、図1に示す受信信号処理部の構成例を示す図である。図3に示すように、各チャンネルの受信信号処理部15は、プリアンプ151と、ローパスフィルタ(LPF)152と、アナログ/ディジタル変換器(ADC)153と、直交検波処理部154と、サンプリング部155a及び155bと、メモリ156a及び156bとを含んでいる。
【0024】
プリアンプ151は、超音波トランスデューサ10から出力される受信信号(RF信号)を増幅し、LPF152は、プリアンプ151から出力される受信信号の帯域を制限することにより、A/D変換におけるアライアシングを防止する。ADC153は、LPF152から出力されるアナログの受信信号をディジタルの受信信号に変換する。
【0025】
RF信号のままでデータの直列化を行うと、伝送ビットレートが極めて高くなり、通信速度やメモリの動作速度がそれに追いつかない。一方、受信フォーカス処理の後でデータの直列化を行うと、伝送ビットレートを低減することができるが、受信フォーカス処理のための回路は規模が大きく、超音波プローブの中に組み込むことは困難である。そこで、本実施形態においては、受信信号に対して直交検波処理等を施して受信信号の周波数帯域をベースバンド周波数帯域に落としてからデータの直列化を行うことにより、伝送ビットレートを低減させている。
【0026】
直交検波処理部154は、受信信号に対して直交検波処理を施し、複素ベースバンド信号(I信号及びQ信号)を生成する。図3に示すように、直交検波処理部154は、ミキサ(掛算回路)154a及び154bと、ローパスフィルタ(LPF)154c及び154dとを含んでいる。ミキサ154aが、局部発振信号cosωtを受信信号に掛け合わせて、LPF154cが、ミキサ154aから出力される信号にローパスフィルタ処理を施すことにより、実数成分を表すI信号が生成される。一方、ミキサ154bが、位相をπ/2だけ回転させた局部発振信号sinωtを受信信号に掛け合わせて、LPF154dが、ミキサ154bから出力される信号にローパスフィルタ処理を施すことにより、虚数成分を表すQ信号が生成される。
【0027】
サンプリング部155a及び155bは、直交検波処理部154によって生成された複素ベースバンド信号(I信号及びQ信号)をサンプリング(再サンプリング)することにより、2チャンネルのサンプルデータをそれぞれ生成する。生成された2チャンネルのサンプルデータは、メモリ156a及び156bにそれぞれ格納される。
【0028】
再び図1を参照すると、パラレル/シリアル変換部16は、複数チャンネルの受信信号処理部15によって生成されたパラレルのサンプルデータを、シリアルのサンプルデータ(伝送信号)に変換する。例えば、パラレル/シリアル変換部16は、128チャンネルのパラレルのサンプルデータを、1〜4チャンネルのシリアルのサンプルデータに変換する。これにより、超音波トランスデューサ10の数と比較して、伝送チャンネルの数が大幅に低減される。
【0029】
無線通信部17は、伝送信号に基づいてキャリア(搬送波)を変調して送信信号を生成し、送信信号をアンテナに供給してアンテナから電波を送信することにより、伝送信号を送信する。変調方式としては、例えば、ASK(Amplitude Shift Keying)、PSK(Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)等が用いられる。ASK又はPSKを用いる場合には、1系統で1チャンネルのシリアルデータを伝送することが可能であり、QPSKを用いる場合には、1系統で2チャンネルのシリアルデータを伝送することが可能であり、16QAMを用いる場合には、1系統で4チャンネルのシリアルデータを伝送することが可能である。
【0030】
無線通信部17は、超音波診断装置本体2との間で無線通信を行うことにより、制御信号及び伝送信号を超音波診断装置本体2に送信すると共に、超音波診断装置本体2から返信される各種の制御信号を受信して、受信した信号を通信制御部18に出力する。通信制御部18は、制御信号及び伝送信号の送信が行われるように無線通信部17を制御すると共に、無線通信部17が受信した各種の制御信号を制御部22に出力する。制御部22は、超音波診断装置本体2から受信する各種の制御信号に基づいて、超音波プローブ1の各部を制御する。制御部22は搬送波を生成させる搬送波設定部221を備える。超音波診断装置本体2から受信する制御信号には、超音波診断装置本体2が指定する搬送波周波数帯域の情報も含まれる。搬送波周波数帯域が指定されたときは、搬送波設定部221が、指定された周波数帯域の搬送波を生成させて、通信制御部18に供給させる。
【0031】
操作スイッチ21は、超音波診断装置をライブモードやフリーズモードに設定するためのスイッチを含んでいる。ここで、ライブモードとは、超音波の送受信を行うことによって順次得られる受信信号に基づいて動画像を表示するモードのことであり、フリーズモードとは、メモリ等に格納されている受信信号又は音線信号に基づいて静止画像を表示するモードのことである。ライブモード又はフリーズモードの設定信号は、伝送信号と共に送信信号に含まれて、超音波診断装置本体2に送信される。なお、ライブモードとフリーズモードとの切換は、超音波診断装置本体2において行われるようにしても良い。
【0032】
以上において、送信制御部12、受信制御部14、受信信号処理部15における直交検波処理部とサンプリング部、パラレル/シリアル変換部16、通信制御部18、及び、制御部22は、ディジタル回路によって構成しても良いし、中央演算装置(CPU)と、CPUに各種の処理を行わせるためのソフトウェア(プログラム)とによって構成しても良い。上記のソフトウェア(プログラム)は、格納部23に格納される。あるいは、直交検波処理部をアナログ回路によって構成しても良い。その場合には、ADCが省略され、サンプリング部によって複素ベースバンド信号のA/D変換が行われる。
【0033】
一方、図2を参照すると、超音波診断装置本体2は、無線通信部31と、通信制御部32と、シリアル/パラレル変換部33と、画像形成部34と、表示制御部35と、表示部36と、混信検出部37と、操作部41と、制御部42と、格納部43とを有している。
【0034】
無線通信部31は、アンテナによって受信した無線信号を復調して、シリアル/パラレル変換部33に伝送する。無線通信部31は、超音波プローブ1との間で無線通信を行うことにより、伝送信号を超音波プローブ1から受信すると共に、各種の制御信号を超音波プローブ1に送信する。無線通信部31は、アンテナによって受信された信号を復調することにより、複数の超音波トランスデューサから出力される受信信号から得られる複素ベースバンド信号を表すシリアルのサンプルデータ(伝送信号)を出力する。
【0035】
通信制御部32は、所定の周波数帯域の搬送波を使って無線通信部31で受信した信号を復調して制御部42に出力すると共に、制御部42により決められた搬送波を使って制御信号を送信するように無線通信部31を制御する。シリアル/パラレル変換部33は、無線通信部31から出力されるシリアルのサンプルデータを、複数の超音波トランスデューサに対応するパラレルのサンプルデータに変換する。制御信号は、制御チャンネルを使って送受信するようにしてもよい。制御チャンネルは、無線通信において端末と基地局の間で通信用のチャンネルを割り当てるために使われる通信チャンネルで、一般に、端末はこの制御チャンネルをまずサーチして基地局の存在とパラメータを取得し、それに合わせて接続要求をこの制御チャンネルで送信し、基地局は制御チャンネルを通して端末に割り当てメッセージを送るようになっている。超音波プローブ1と超音波診断装置本体2の間の無線通信においても、制御チャンネルが有用である。
【0036】
画像形成部34は、シリアル/パラレル変換部33から出力されるパラレルのサンプルデータに基づいて、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。画像形成部34は、受信遅延パターン記憶部341と、整相加算部342と、メモリ343と、画像処理部344とを含んでいる。
【0037】
受信遅延パターン記憶部341は、複数の超音波トランスデューサから出力される受信信号から得られる複素ベースバンド信号に対して受信フォーカス処理を行う際に用いられる複数の受信遅延パターンを記憶している。整相加算部342は、制御部42において設定された受信方向に基づいて、受信遅延パターン記憶部341に記憶されている複数の受信遅延パターンの中から1つの受信遅延パターンを選択し、その受信遅延パターンに基づいて、複数の複素ベースバンド信号にそれぞれの遅延を与えて加算することにより、受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、超音波エコーの焦点が絞り込まれたベースバンド信号(音線信号)が生成される。
【0038】
メモリ343は、整相加算部342によって生成された音線信号を順次格納する。画像処理部344は、ライブモードにおいては整相加算部342によって生成される音線信号に基づいて、フリーズモードにおいてはメモリ343に格納されている音線信号に基づいて、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。
【0039】
画像処理部344は、STC(sensitivity time control)部と、DSC(digital scan converter:ディジタル・スキャン・コンバータ)とを含んでいる。STC部は、音線信号に対して、超音波の反射位置の深度に応じて、距離による減衰の補正を施す。DSCは、STC部によって補正された音線信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)し、階調処理等の必要な画像処理を施すことにより、Bモード画像信号を生成する。
【0040】
表示処理部35は、画像形成部34によって生成されるBモード画像信号に基づいて、表示部36に超音波診断画像を表示させる。表示部36は、例えば、LCD等のディスプレイ装置を含んでおり、表示処理部35の制御の下で、超音波診断画像を表示する。
制御部42は、操作部41を用いたオペレータの操作に従って、超音波診断装置の各部を制御する。
【0041】
以上において、通信制御部32、シリアル/パラレル変換部33、整相加算部342、画像処理部344、表示制御部35、及び、制御部42は、中央演算装置(CPU)と、CPUに各種の処理を行わせるためのソフトウェア(プログラム)とによって構成されるが、それらをディジタル回路で構成しても良い。上記のソフトウェア(プログラム)は、格納部43に格納される。格納部43における記録媒体としては、内蔵のハードディスクの他に、フレキシブルディスク、MO、MT、RAM、CD−ROM、又は、DVD−ROM等を用いることができる。
【0042】
図4は、本実施形態に係る超音波プローブ及び超音波診断装置本体における無線通信部とその周辺の構成を示すブロック図である。図4に示すように、超音波プローブ1の無線通信部17は、変調部171と、アンテナ共用器172と、アンテナ173と、復調部174とを含んでいる。また、超音波プローブ1の制御部22は、搬送波設定部221を含んでいる。
【0043】
搬送波設定部221は、超音波診断装置本体2により指定された搬送波周波数帯域に基づく搬送波指令信号を生成し、通信制御部18を介して変調部171に供給する。変調部171は、指定された搬送波を伝送信号に基づいて変調することにより送信信号を生成し、送信信号をアンテナ共用器172を介してアンテナ173に供給することにより電波送信する。
【0044】
一方、超音波診断装置本体2の無線通信部31は、復調部311と、アンテナ共用器312と、複数のアンテナ素子からなるアレイアンテナ313と、変調部314と、アンテナ素子毎に送受信信号の位相を調整する可変位相器315と、アンテナ指向制御部316を含んでいる。また、超音波診断装置本体2の制御部42は、搬送波設定部422を含んでいる。
【0045】
複数のアンテナ素子からなるアレイアンテナ313は、受信した信号をアンテナ共用器312を介して復調部311に出力する。復調部311は、受信した信号を復調して伝送信号を生成しシリアル/パラレル変換部33に供給すると共に、受信信号の搬送波周波数帯域など、搬送波と信号波に係る情報を混信検出部37に伝達する。混信検出部37は、受信信号の搬送波及び信号波に基づいて他機の無線通信の干渉や自機の通信の不整合を検出する。
【0046】
搬送波設定部422は、混信検出部37の判定結果に基づいて、自機における超音波プローブ1と超音波診断装置本体2で使用する搬送波周数帯域を決め、搬送波周数帯域を指定する指令信号を通信制御部32を介して変調部314に供給する。変調部314は、供給された指令信号に基づいて送信信号を生成し、送信信号をアンテナ共用器312を介して複数のアンテナ素子からなるアレイアンテナ313に供給することにより超音波プローブ1に送信する。
【0047】
超音波プローブ1において、返信用ID情報信号の電波を受信したアンテナ173は、受信された信号をアンテナ共用器172を介して復調部174に出力する。復調部174は、受信された信号を復調して指令信号を生成する。通信制御部18は、指令信号を検出して制御部22に出力する。制御部22の搬送波設定部221は、受け取った指令信号に基づいて搬送波を選択し、通信制御部18を介して指令することにより無線通信部17に所定の搬送波を生成させる。変調部171は、パラレル/シリアル変換部16から供給される伝送信号に基づいて搬送波を変調することにより送信信号を生成する。通信制御部18は、送信信号をアンテナ共用器172を介してアンテナ173に出力させることにより電波を送信する。
【0048】
超音波診断装置本体2におけるアンテナ313は、複数のアンテナ素子からなるアレイアンテナである。アレイアンテナは、アンテナ素子が平面状に配置されたアンテナで、アンテナ素子毎に電波の位相をずらすと合成波がアンテナ面から位相に応じた方向に発射されるので、アンテナの指向性を制御することができる。逆に受信の場合は、アンテナ毎に受信する信号の位相差に基づいて電波の入射方向を知ることができる。そこで、本実施形態では、アンテナ313のアンテナ素子が受信する信号における位相差に基づいて電波の発信方向を知り、さらに、アンテナ指向制御部316により可変位相器315を調整することによりアンテナ313を電波発信源の方向に向くように制御することができる。
【0049】
アンテナ313で受信した伝送信号の電波は、可変位相器315でアンテナ素子毎の位相を調整し、アンテナ共用器312を介して復調部311に出力される。復調部311は、受信された信号を復調して伝送信号を生成する。伝送信号は、シリアル/パラレル変換部33(図2)に供給され、画像生成部34においてBモード画像信号が生成される。なお、超音波プローブ1と超音波診断装置本体2の間に構成される双方向データリンクは、超音波プローブ1から超音波診断装置本体2の方向では超音波エコーの検出信号を送信するのに対して、超音波診断装置本体2から超音波プローブ1の方向には制御信号を送信すれば足りるので、非対称に構成することができる。
【0050】
次に、本実施形態に係る超音波診断装置の動作例を、図5と図6を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る超音波プローブと超音波診断装置本体の間の無線通信における搬送波決定の方法を説明する図面、図6は、本実施形態に係る超音波診断装置の動作例を説明するためのフローチャートである。図5は、横軸に周波数を取って使用周波数帯域を概念的に表したグラフで、図5(a)は、電波通信を確立する前に周囲の通信状態を探索する態様を説明する図面、図5(b)は、電波通信を確立したときの状態を説明する図面である。
【0051】
無線通信式の超音波プローブ1の使用を開始するときは、超音波プローブ1の起動スイッチを入れることにより(S11)、あるいは超音波診断装置本体2の操作スイッチで超音波プローブとの接続を指示することにより、超音波診断装置本体2が指定の超音波プローブ1との無線通信に利用できる搬送波周波数帯域の探索を開始する。超音波診断装置本体2の混信検出部37が、無線通信部31のアンテナ313で受信した信号から抽出した搬送波周波数帯域の情報を取得して周辺の機器間で無線通信に使われている搬送波を検知し(S12)、搬送波設定部422が空いた周波数帯域を判定し自機が使用する周波数帯域として指定する指令信号を生成する(S13)。
【0052】
たとえば、図5(a)に示すように、自機に割り当てられた通信用電波の搬送波を順次生成して、受信電波の搬送波と照合することにより、第3帯域(CH3)が空いていると判定することができる。この場合、搬送波設定部422は、第3帯域を超音波プローブ1との無線通信に使う搬送波として指定した指令信号を生成し、通信制御部32および無線通信部31を介し制御チャンネルを使って、指令信号を超音波プローブ1に伝送する。超音波プローブ1では、制御部22が無線通信部17および通信制御部18を介して指令信号を受信し、制御部22の搬送波設定部221が指令信号に応じて無線通信用搬送波を設定し、通信制御部18を介して無線通信部17で生成した搬送波を伝送信号で変調して送信することにより、超音波診断装置本体2との無線通信が確立される(S14)。
【0053】
また、超音波診断装置本体2は、アレイアンテナ313のアンテナ素子が超音波プローブ1から受信する信号の位相差に基づいて、アンテナ指向制御部316により可変位相器315を調整して、アレイアンテナの受信方向を超音波プローブ1のアンテナ173の方向に向けるように制御して、良質な無線通信を確保することができる(S15)。
さらに、無線通信中において、混信検出部37により他機による周波数干渉が検出されるときは、干渉波の受信方向にヌル点(不感点)が来るようにアレイアンテナの指向性を調整して干渉軽減を行うことができる。
【0054】
また、超音波診断装置本体2は、選択された搬送波周波数帯域を超音波プローブ1との間で占有するため、たとえば図5(b)に示す例において、第3帯域の搬送波をアンテナ313から発信し続けることにより、他機に同じ周波数帯域を選択させないようにする。なお、LANや制御チャンネルを使って他機に自機の使用する周波数帯域を告知することによって、他機に同じ周波数帯域を選択させないようにすることもできる(S16)。
【0055】
また、一連の全てのデータを送信し終わるまで一つの周波数帯域を占有する代わりに、1単位のデータ(スロット)ごとに一つの周波数帯域を占有して使用するものとして、次のスロットを送信するときには、送信直前に空いている周波数を見つけて利用するようにした、周波数ホッピングを使用してもよい。図7は、本実施形態に係る超音波プローブと超音波診断装置本体の間の無線通信において周波数ホッピングで搬送波を決定する場合を説明する図面である。図7は、横軸に時刻、縦軸に周波数を取って、超音波診断装置が使用周波数帯域を非同期でホッピングする様子を概念的に表したグラフである。
【0056】
図7で例示された周波数ホッピングでは、初めに起動した超音波診断装置(A機という)は、第1チャンネル(CH1)を使用している(A1)。途中から起動した超音波診断装置もしくは他の無線通信使用装置(B機という)は、起動時に空いていた第3チャンネル(CH3)を使用した(B1)。A機が1スロット分のデータを送信し終えて、次のスロットを送信しようとしたときには、そのときに空いていた第5チャンネル(CH5)を使用することになった(A2)。一方、B機が1スロット分のデータを送信し終えたときは、第1チャンネル(CH1)が空いていたので、これを採用した(B2)。また、A機が次の周波数ホップをしようとしたときに第3チャンネル(CH3)が空いていたので、これを使って通信した(A3)。B機は、次のスロットで適当なホッピング先が見あたらなかったので、同じ第1チャンネル(CH1)を使うことになった(B3)。
周波数ホッピングは、極めて短い時間ごとに信号を送信する周波数を次々に変更していくので、伝送速度の面では劣るが、特定周波数でノイズが発生した場合も他の周波数で通信したデータによって訂正が可能であり、また、ノイズの少ない周波数を選択して使用することもできる。
【0057】
さらに、アレイアンテナは、可変位相器や可変減衰器を利用してアンテナ素子における受信信号の位相や振幅を調整することにより、アンテナ指向特性を適当に制御することができる。図8は、アレイアンテナの指向特性とプローブの位置関係を示す図面である。図8に示したように、アレイアンテナの位相調整を行うことにより、特定の方向に電波を指向することができるので、対象プローブの方向に感度を高めて電波の到達距離を伸ばし、データ送受信の信頼性を向上させることができる。また、複数の機器を稼働させている空間では、目的外の干渉プローブからの電波受信方向に指向特性のヌル点を形成して、他の装置からの電波に対する感度を低下させることにより電波干渉を抑制することができる。
複数の装置間の電波干渉をアンテナの調整により低減することができるので、室内に複数の診断装置が密集して設置された場合にも、無線通信式超音波診断装置を使用することができる。
【0058】
なお、アレイアンテナでなくても、複数のアンテナを設けた超音波診断装置本体は、干渉プローブからの干渉が小さいアンテナを選択して使用することにより、対象プローブとの無線通信を確立することができる。
【0059】
さらに、他機と自機の干渉が生じたときには、両者共に譲ることにより両者共に良好な無線通信を確保することが好ましい。図9は、本発明の一実施形態に係る無線通信式超音波診断装置において電波干渉が発生したときの動作例を説明するためのフローチャートである。
【0060】
図9において、混信検出器37は、超音波診断装置が稼働している間、自機の受信信号に他機からの電波干渉が含まれないか監視している(S21)。電波干渉が発生すると、干渉を起こしている装置を干渉電波の入射方向や周囲の状況から特定して(S22)、干渉装置に干渉電波の原因になっていることを通知する(S23)。その上で、自機の無線通信出力を低減させる(S24)。また、干渉装置においても、その信号出力を低減させる(S25)。干渉装置の出力を低下させるだけでは、干渉装置側の無線通信の信頼性が低下するばかりなので、干渉装置にとってはノイズになる自機の信号出力も低下させて、干渉装置で低下した信号出力でも通信ができるようにするのである。両者が信号出力を低下させることにより、電波干渉が解消すれば(S26)、この動作は終了する。また、電波干渉が解消しなければ、ステップS23に戻って、自機と干渉装置の信号出力をさらに低減させるようにする。
【0061】
なお、図9の自機と他機の信号出力低減により無線通信を確立する方法において、信号出力を低減したときにもデータレートを維持する必要があるため、テストパターンを利用して実際に無線通信した結果に基づいて許容できる最小限の電力であることを判定する方法がある。図10は、許容できる最小限の信号電力を設定する方法を説明するためのフローチャートである。
【0062】
図10において、信号品質を維持した状態で最も小さい信号出力をセットするときは、まず、予め決められたテストパターンを記録部から読み出して、搬送波を変調して無線通信する信号とする(S31)。信号出力が予め想定した最低値より小さいかを判定して(S32)、最低値より小さい場合は、何らかの困難があり得るので、警報を発して(S38)、この手順を終了する。信号出力がまだ低減できる状態であれば、信号出力を所定の割合で低減して(S33)、実際に超音波プローブから超音波診断装置本体に向けて、あるいは超音波診断装置本体から超音波プローブに向けて、信号出力を無線通信で伝送する(S34)。なお、超音波診断装置本体から超音波プローブに向けて伝送した後に、今度は超音波プローブから超音波診断装置本体に向けて無線通信すると、双方向データリンクとしての性能を一挙に検査することができる。
【0063】
次に、無線通信語のテストパターン信号について、エラーレートを算定して(S35)、エラーレートを予定した許容限界値と比較する(S36)。エラーレートが許容限界値より低い場合は、まだ信号出力を低下させてもよいので、ステップS32に戻って、信号出力が閾値以下にならない限り信号出力を1段ずつ低減させては通信試験を繰り返す。算定されたエラーレートが許容限界値を超えてしまった場合は、これ以上信号出力を低下させることはできないので、ステップS37に進んで、試験した最後の信号出力に所定の余裕代を加えた値を、実際の無線通信に利用する信号出力として設定する。
このようにして設定された信号出力は、よく検討されたテストパターンについてエラーレートが許容できる範囲で最低のレベルであるので、他の装置に対する干渉が最小に抑制されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明により、他の超音波診断装置からの干渉および他の超音波診断装置への干渉を抑制しまた院内無線LANなどとの干渉を抑制して、複数の超音波診断装置を同時に使えるようにする、汎用的な手段により品質の高い無線通信を行う無線通信式超音波診断装置を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 超音波プローブ
2 超音波診断装置本体
10 超音波トランスデューサ
11 送信遅延パターン記憶部
12 送信制御部
13 駆動信号発生部
14 受信制御部
15 受信信号処理部
16 パラレル/シリアル変換部
17 無線通信部
18 通信制御部
21 操作スイッチ
22 制御部
23 格納部
31 無線通信部
32 通信制御部
33 シリアル/パラレル変換部
34 画像形成部
35 表示制御部
36 表示部
37 混信検出部
41 操作部
42 制御部
43 格納部
151 プリアンプ
152 ローパスフィルタ(LPF)
153 アナログ/ディジタル変換器(ADC)
154 直交検波処理部
154a、154b ミキサ(掛算回路)
154c、154d ローパスフィルタ(LPF)
155a、155b サンプリング部
156a、156b メモリ
171 変調部
172 アンテナ共用器
173 アンテナ
174 復調部
221 搬送波設定部
311 復調部
312 アンテナ共用器
313 アンテナ(アレイアンテナ)
314 変調部
315 可変位相器
316 アンテナ指向制御部
341 受信遅延パターン記憶部
342 整相加算部
343 メモリ
344 画像処理部
422 搬送波設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動信号に従って超音波を送信すると共に超音波エコーを受信して複数の受信信号を出力する複数の超音波トランスデューサと、前記複数の超音波トランスデューサから出力される複数の受信信号に対して信号処理を施すことにより伝送信号を生成する信号処理部と、無線通信によって伝送信号を外部に送信すると共に制御信号を受信する第1の無線通信部と、前記第1の無線通信部における搬送波周波数を設定する第1の制御部とを有する超音波プローブと、
前記第1の無線通信部から送信される伝送信号を受信すると共に制御信号を外部に送信する第2の無線通信部と、前記制御信号を生成すると共に前記第2の無線通信部における搬送波周波数を設定する第2の制御部と、受信信号の搬送波と他の超音波診断装置の搬送波との混信を検知する混信検知部とを有する超音波診断装置本体と、
を具備し、
前記混信検知部が、前記第1の無線通信部が前記伝送信号を送信するのに先立って、前記第2の無線通信部が受信した信号の搬送波と重複しない周波数帯域を検知して、前記第2の無線通信部を介して前記第1の無線通信部に送信し、前記第1の無線通信部が前記重複しない周波数帯域の搬送波を使用して前記伝送信号を送信する、超音波診断装置。
【請求項2】
前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部の間の無線通信が双方向データリンクである、請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記双方向データリンクが超音波プローブから超音波診断装置本体への通信方向とその逆方向とで非対称である、請求項2記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記混信検知部は、前記第1の無線通信部が前記伝送信号を送信するのに先立って、前記第2の無線通信部が受信した信号について、自らが使用する周波数帯域の全てに亘って検証することにより、他の装置が使用していない周波数帯域を見出して、前記第1の無線通信部がこの周波数帯域を搬送波の使用する周波数帯域とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
さらに専用告知部を備え、該専用告知部が、前記混信検知部が決定した搬送波用の周波数帯域は、超音波診断が終了するまで、占有することを他の超音波診断装置に対して告知する、請求項4記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記専用告知部は、前記占有した周波数帯域の搬送波を出し続けることにより、前記周波数帯域を占有することを告知する、請求項5記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記専用告知部は、制御チャンネルを介して前記占有した周波数帯域の情報を他の超音波診断装置に告知する、請求項5記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記混信検知部は、前記伝送信号の1データを伝送する期間ごとに、前記データを送信する直前に空き周波数帯域を見出し、前記見出した周波数帯域を占有して搬送波とし、前記第1の無線通信部に伝送信号を送信させる、請求項4記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記混信検知部が、前記第2の無線通信部が受信した信号について自機が使用する搬送波との混同を監視し、周波数干渉を確認すると、前記第2の制御部が、前記第1の無線通信部と前記第2の無線通信部の空間特性を変化させて周波数干渉を緩和させる、請求項1から8のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記超音波診断装置本体は、さらに複数のアンテナと、アンテナ制御部を備え、前記アンテナ制御部が、前記複数のアンテナのうち周波数干渉が小さいアンテナを選択して使用する、請求項9記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記超音波診断装置本体は、複数のアンテナ素子で構成されるアレイアンテナと、アンテナ制御部を備え、前記アンテナ制御部が前記アンテナ素子における出力の振幅と位相を制御して前記アレイアンテナの空間指向性を変化させる、請求項9記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記他の超音波診断装置との通信手段を備え、該他の超音波診断装置と自機の間に周波数干渉が生じたときには、前記他の超音波診断装置に対して無線通信出力の減力を要請する信号を出力し、かつ自機の無線通信出力を許容できる範囲内で減力する、請求項1から11のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記自機の無線通信出力の許容範囲は、無線通信出力を段階的に変化させて前記超音波プローブと前記超音波診断装置本体の間にテストパターンを送受信して許容のエラーレートに収まることを確認した結果として得られたものである、請求項12記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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