説明

超音波診断装置

【課題】 複数の超音波探触子により超音波画像を撮像して同時に表示する際に、好適に撮像方法を設定して撮像して、それによって得られた画像を好適に表示することが可能な超音波診断装置を提供する。
【解決手段】 被検体内へ超音波を送受信するための複数個の超音波探触子と、前記複数個の超音波探触子による超音波の送受信を同時に所定の走査角度範囲や走査線密度により行わせる制御を行う制御部と、前記超音波の送受信により得られた超音波信号を基に、信号処理や画像再構成を行い超音波画像を得るための超音波画像生成部と、前記複数個の超音波探触子による複数個の超音波画像を同時に表示する表示部を備えた超音波診断装置において、前記制御部に対して、それぞれの超音波探触子による超音波走査の走査角度範囲や走査線密度を別々に可変設定するためのパラメータ設定手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波診断装置に係り、特に、複数の超音波探触子により複数の超音波画像を撮影して同時に表示する際に、好適に撮影方法を設定して、撮影によって得られた画像を好適に表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は一般的に、被検体内に超音波を送受信する超音波探触子と、この超音波探触子を駆動して超音波を送信させると共に受信した反射エコー信号を増幅する超音波送受信部と、超音波送受信部から得られる一次元の超音波信号を元に二次元の画像を構築する超音波信号変換部と、超音波診断装置から送られてくる超音波画像を表示する表示部等を備え、細い超音波ビームを被検体内に走査して、2次元画像である診断用Bモード像等を得るものである。
【0003】
特許文献1では、2つの超音波探触子を組み合わせて、それらにより得られた超音波画像を同時に表示することについて開示されている(特許文献1、[0022])。
【0004】
2つ以上の超音波探触子を組み合わせて同時に表示できるようにすれば、鉗子等を使ってバイオプシを行ったり、ラジオ波熱凝固療法を行う際に、被検体の患部の状態を超音波探触子一つのみを用いる場合より、的確に把握しやすくなるといった利点がある。(ラジオ波熱凝固法に関連する技術については、特許文献2参照。)
一方、超音波探触子による超音波の走査方法がコンベックス走査等の場合には、円弧状に配列された振動子により、振り子のように超音波を走査する方向を変えて、各方向から反射してきたエコー信号を基に超音波画像を作成する。その際、走査する超音波の走査角度範囲を撮影の途中等で調整することがあった。例えば、観察できる視野が狭まったとしても高いフレームレートで時間分解能の良い画像を得ることが必要であれば、走査角度範囲を狭くして撮影し、大きな視野で被検体の患部を観察する必要がある場合には、走査角度範囲を広くして撮影する等の調整を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-342131号公報
【特許文献2】特開2004-215701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、上記従来技術を検討した結果、以下の問題点を見出した。
【0007】
すなわち、2つ以上の超音波探触子による画像を表示しながらバイオプシを行ったり、ラジオ波熱凝固療法を行う際に、それぞれの超音波探触子それぞれで、独立に走査角度範囲を調節する必要がある場合があるが、従来の超音波診断装置ではそれができない。例えば、一方の超音波探触子について走査角度範囲を広げたり狭めたりすると、他の超音波探触子も走査角度範囲も追随して広がったり狭まったりしている。
【0008】
また、超音波診断装置で得られる画像としては、被検体の2次元画像であるB像以外に、被検体の運動機能を表したM像や、被検体の組織の硬さを画像化する歪み弾性画像(特開2004-89362号公報参照)、カラーで表示された血流情報(血流の方向や強度を含む)等があるが、2つ以上の超音波探触子を用いてそれらによる画面を同時に表示しながらバイオプシやラジオ波熱凝固療法等を行う場合、各種類の超音波画像による撮影を2つ以上の超音波探触子それぞれでどのように選択して撮影し、撮影の結果得られた画像をどのように好適に表示するかに関する技術は、上記特許文献には開示されていない。
【0009】
一方近年、X線CT装置やMRI装置によるボリューム画像を予め求めておいて、超音波探触子により撮影している断面と同位置のX線CT画像やMRI画像を逐次計算して表示する技術が近年開発されている(特開平10-151131号公報参照)。しかしながら、上記従来技術では、2つ以上の超音波探触子による画像を同時に表示しながら、更にX線CT装置やMRI装置等による画像を併せてどのように表示するかに関する技術は開示されていない。
【0010】
本発明の目的は、複数の超音波探触子により超音波画像を撮影して同時に表示する際に、好適に撮影方法を設定して撮影して、それによって得られた画像を好適に表示することが可能な超音波診断装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために、被検体内へ超音波を送受信するための複数個の超音波探触子と、前記超音波の送受信を、所定の走査角度範囲や走査線密度により行うための制御を行う制御部と、前記超音波の送受信により得られた超音波信号を基に、信号処理や画像再構成を行い超音波画像を得るための超音波画像生成部と、前記複数個の超音波探触子による複数個の超音波画像を同時に表示する表示部を備えた超音波診断装置において、前記複数個の超音波画像を同時に表示しながら、前記走査角度範囲や走査線密度を、それぞれの超音波探触子について別々に設定するためのパラメータ設定手段を備え、前記パラメータ設定手段は、前記走査角度範囲や走査線密度を、それぞれの超音波探触子について同じであるようにも設定できるし、同じでないようにも設定できることを特徴としている。
【0012】
また、前記パラメータ設定手段は、前記複数個の超音波探触子それぞれについての走査角度範囲や走査線密度を、それぞれ対応させて記憶するための記憶手段を含んでいることを特徴としている。
【0013】
また、前記複数個の超音波探触子の少なくとも一つ以上により歪み断層像あるいはカラーで表示された血流情報を得て、前記複数個の超音波画像の一部に前記歪み断層像あるいはカラーで表示された血流情報を重畳あるいは嵌め込んで表示する手段を備えたことを特徴としている。
【0014】
また、いずれかの超音波探触子で2種類以上の情報を超音波を用いて得て、それらを同時に表示する手段を備えたことを特徴としている。
【0015】
また、各超音波探触子により取得している超音波画像の位置を検出する手段と、該位置と同位置のX線CT装置やMRI装置等の他のモダリティによる画像を前記他のモダリティにより得られたボリュームデータより算出する手段と、前記超音波画像と前記他のモダリティによる画像を同時に表示する手段を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の超音波探触子により超音波画像を撮影して同時に表示する際に、好適に撮影方法を設定して撮影して、それによって得られた画像を好適に表示することが可能な超音波診断装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1に係る超音波診断装置の全体構成を示す図。
【図2】撮影パラメータを2つの超音波探触子で独立して設定する制御の手順を示すフローチャート。
【図3】走査角度範囲を入力する際の表示例を示す図。
【図4】本発明の実施例2に係る超音波診断装置の全体構成を示す図。
【図5】本発明の実施例2における超音波画像の表示例を示す図。
【図6】本発明の実施例3に係る超音波診断装置の全体構成を示す図。
【図7】本発明の実施例3における超音波画像の表示例を示す図。
【図8】本発明の実施例4における超音波画像の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る超音波診断装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1を図1〜図3を用い説明する。先ず図1は、本発明の実施例1に係る超音波診断装置の全体構成を示す図である。
【0020】
図1において、1は超音波診断装置全体の動作を制御する中央制御部、2A及び2Bは中央制御部1内に収容され、2つの超音波探触子により撮影する際に必要な走査角度範囲等のパラメータを2つの超音波探触子それぞれについて記憶するための撮影パラメータ記憶メモリであり、2Aは超音波探触子3Aに対応したパラメータを記憶するためのもの、2Bは超音波探触子3Bに対応したパラメータを記憶するためのもの、3A及び3Bそれぞれは被検体内に超音波を送受信するための2つの超音波探触子A及びB、4は超音波探触子3Aと超音波探触子3Bのどちらで超音波を送受信するかを中央制御部1からの制御の下に切り替える探触子切替器、5は超音波探触子3Aあるいは3Bにおいて超音波を送信するための駆動パルスを中央制御部1からの制御の下に超音波探触子3Aあるいは3Bへ送信すると共に、超音波探触子3Aあるいは3Bで受けた超音波を増幅し、A/D変換し、適切な遅延時間付与整相後に加算し、信号処理するビームフォーマ部、6はビームフォーマ部から送られてくる複数フレーム分の信号を時系列的に記録するシネメモリ、7はシネメモリを介した信号をDSC(デジタルスキャンコンバータ)へ送るかシネメモリを介しない信号をDSCへ送るかを中央制御部1からの制御の基に選択するための切替器、8は超音波の走査により得られた超音波信号に、アドレス情報を付加して超音波画像を構成するためのDSC部、9は後述する表示部15へ超音波画像を表示する際に必要な補助的なグラフィック情報を記憶するためのグラフィックメモリ、10A及び10Bは超音波探触子3A及び3Bに設置され、それらの位置及び方向を公知の方法により検出するための磁気信号を検出する磁気センサ、11は磁気センサ10A及び10Bで得られた磁気信号を基に、超音波探触子の位置及び方向を計算する探触子位置方向計算部、12はX線CT装置やMRI装置等で撮影した被検体の3次元ボリュームデータを外部より読み込み、記憶するための外部情報記憶部、13は探触子位置方向計算部11によって得られた超音波探触子3A及び3Bの位置と方向に関する情報より、超音波探触子3A及び3Bにより撮影している超音波画像と同位置のX線CT装置やMRI装置による画像を構築するためのバーチャル画像記憶部、14はDSC部8からの超音波画像、グラフィックメモリ9からの情報、バーチャル画像構築部13からのバーチャル画像を合成して次に説明する表示部15へ表示するための合成処理等を行うための合成部、15は合成部14で合成された画面を表示するための表示部、16は撮影するための条件、撮影の開始の合図等を中央制御部1へ入力するための操作パネルである。
【0021】
中央制御部1は、探触子切替部4、ビームフォーマ部5、シネメモリ6、切替器7、DSC部8、グラフィックメモリ9、磁気センサ10A及び10B、探触子位置方向計算部11、外部情報記憶部12、バーチャル画像構築部13、操作パネル16と接続され、超音波探触子3A及び3Bは探触子切替器4と接続され、探触子切替器4はビームフォーマ部5と接続され、ビームフォーマ部5は、シネメモリ6、切替器7と接続され、シネメモリ6は切替器7と接続され、切替器7は、DSC部8と接続され、DSC部8は、合成部14、バーチャル画像構築部13と接続され、グラフィックメモリ9は合成部14と接続され、磁気センサ10A及び10Bは、探触子位置方向計算部11と接続され、探触子位置方向計算部11は、バーチャル画像構築部13と接続され、外部情報記憶部12はバーチャル画像構築部13と接続され、バーチャル画像構築部13は合成部14と接続され、合成部14は表示部15と接続されている。ただし、中央制御部1は図1では図示していないが、必要に応じて超音波探子3A及び3B、合成部14、表示部15等とも接続される。
【0022】
本実施例では、中央制御部1内に、2つの超音波探触子により撮影する際に必要な走査角度範囲等のパラメータを記憶するための撮影パラメータ記憶メモリ2A及び2Bが、2つの超音波探触子それぞれに対して設けられているので、2つの超音波探触子についての走査角度範囲等の撮影パラメータを独立して制御できる。以下にその制御の具体的ステップを撮影パラメータが走査角度範囲である場合に例をとって図2のフローチャートを用い詳細に説明する。
【0023】
(ステップ21)
先ず、術者は超音波探触子3Aと超音波探触子3Bのどちらについて走査角度範囲を入力するかを選択する。具体的に、術者は操作パネル16上のボタンを押すことによって超音波探触子3Aと超音波探触子3Bのどちらについて走査角度範囲を入力するかを選択できる。図3(a)及び(b)はその際の表示例を示した図であり、左側の画面31aは、超音波探触子3Aによる超音波画像、右側の画面31bは、超音波探触子3Bによる超音波画像、32a及び32bは被検体の患部、33a及び33bはコンベックス走査の外枠、34で描かれた破線のラインは穿刺等を行うガイドライン、35は超音波探触子3Aあるいは超音波探触子3Bのどちらかについて、走査角度範囲を調整するためのレバー、36は超音波探触子3A及び超音波探触子3Bのどちらかの走査角度範囲を調節するかを選択するためのボタン(ボタンA及びB)である。
【0024】
ただし、レバー35及びボタン36は図1における操作パネル16上に設けられている。例えば、術者はボタンAを押すと、ボタンAが押されたことが中央制御部1へ伝達される。すると、中央制御部1はグラフックメモリ9へ制御信号を送り、グラフィックメモリ9内に記憶されているグラフィック情報を用い、表示部に表示されている画面のうち左側の31aの外枠が、明るくなるように制御する。画面31aの外枠が明るくなることにより、超音波探触子3Aについて走査角度範囲が入力可能となったことが示される。また、術者はボタンBを押すと、ボタンBを押したことが中央制御部1へ伝わる。すると、中央制御部1はグラフックメモリ9へ制御信号を送り、グラフィックメモリ9内に記憶されているグラフィック情報を用い、表示部に表示されている画面のうち左側の31bの外枠が、明るくなるように制御をする。画面31aの外枠が明るくなることにより、超音波探触子3Aについて走査角度範囲が入力可能となったことが示される。3Aを選択した場合は(ステップ22)へ、3Bを選択した場合は(ステップ23)へ移行する。
【0025】
(ステップ22)
(ステップ21)で選択した超音波探触子3Aについて、走査角度範囲を入力する。具体的には、図3(a)におけるレバー35を上下に動かすことによって、走査角度範囲を入力できる。
例えば、レバー35を上に動かすと、どのように動かしたかが中央制御部1へ伝達される。
【0026】
すると、中央制御部1はグラフィックメモリ9へ制御信号を送り、グラフィックメモリ9内に記憶されているグラフィック情報を用い、表示部に表示されている画面のうちコンベックス走査の外枠33aの幅が大きくなり図3(b)のようになるように制御をする。コンベックス走査の外枠33aの幅が大きくなることにより、超音波探触子3Aについて走査角度範囲を大きくして撮影が開始されることが示される。また、レバー35を下に動かすと、その情報が中央制御部1へ伝わる。すると、中央制御部1はグラフィックメモリ9へ制御信号を送り、グラフィックメモリ9内に記憶されているグラフィック情報を用い、表示部に表示されている画面のうちコンベックス走査の外枠33aの幅が小さくなるように制御をする。コンベックス走査の外枠33aの幅が小さくなることにより、超音波探触子3Aについて走査角度範囲を小さくして撮影が開始されることが示される。入力された超音波探触子3Aに関する走査角度範囲(撮影開始時に使用するもの)は、中央制御部1内の撮影パラメータ記憶メモリ2Aに記憶される。
【0027】
(ステップ23)
(ステップ21)で選択した超音波探触子3Bについて、走査角度範囲を入力する。具体的には、図3(a)におけるレバー35を上下に動かすことによって、走査角度範囲を入力できる。
例えば、レバー35を上に動かすと、どのように動かしたかが中央制御部1へ伝達される。
【0028】
すると、中央制御部1はグラフィックメモリ9へ制御信号を送り、グラフィックメモリ9内に記憶されているグラフィック情報を用い、表示部に表示されている画面のうちコンベックス走査の外枠33bの幅が大きくなるように制御をする。コンベックス走査の外枠33bの幅が大きくなることにより、超音波探触子3Bについて走査角度範囲を大きくして撮影が開始されることが示される。また、レバー35を下に動かすと、その情報が中央制御部1へ伝わる。すると、中央制御部1はグラフィックメモリ9へ制御信号を送り、グラフィックメモリ9内に記憶されているグラフィック情報を用い、表示部に表示されている画面のうちコンベックス走査の外枠33aの幅が小さくなるように制御をする。コンベックス走査の外枠33bの幅が小さくなることにより、超音波探触子3Aについて走査角度範囲を小さくして撮影が開始されることが示される。入力された超音波探触子3Bに関する走査角度範囲(撮影開始時に使用するもの)は、中央制御部1内の撮影パラメータ記憶メモリ2Bに記憶される。
【0029】
(ステップ23)
3Aと3Bにおける走査角度範囲の入力が終了したかを判断する。3Aと3Bにおける走査角度範囲の入力が終了したら(ステップ25)へ移り、終了しなければ(ステップ21)へ戻る。
【0030】
(ステップ25)
撮影をスタートする。術者は、操作パネル16のスタートボタンを押して、撮影スタートの合図を中央制御部1へ送る。中央制御部1は、操作パネル16から撮影スタートの合図に関する信号が送られると、次に示す(ステップ26)から(ステップ27)の手順に従って(ステップ26),(ステップ27)の順に撮影を始める。
【0031】
(ステップ26)
中央制御部1は、超音波探触子3Aにより撮影を行うための制御を始める。具体的に中央制御部1は先ず、超音波切替器4、ビームフォーマー部5、シネメモリ6、DSC部8、グラフィックメモリ9、磁気センサ10A等に超音波探触子3Aによる撮影を始めるための準備信号を送る。すると超音波切替器4等の上記準備信号を送られた各部は、超音波探触子3Aによる撮影が可能であるように切り替わる。次に、中央制御部1は、超音波送信開始のための合図をビームフォーマ部5送り、ビームフォーマ部5は超音波送信のための駆動パルスを超音波探触子3Aへ送り始め、超音波の送信が開始される。その際、超音波探触子3Aでの撮影は(ステップ22)で入力された走査角度範囲、あるいは後述する(ステップ28)で更新した走査角度範囲について行われる。
【0032】
具体的には、超音波探触子3Aにおいて、(ステップ22)あるいは(ステップ28)において入力した走査角度範囲の超音波の走査を行い、得られた超音波信号を超音波探触子3Aから探触子切替器4、探触子切替器4からビームフォーマ部5、ビームフォーマ部5から切替器7、切替器7からDSC部8ヘ順次送り、DSC部8で画像再構成を行う。DSC部8は再構成した超音波画像を合成部114送り、合成部14はグラフィックメモリ9から送られてくる情報や、バーチャル画像構築部13から送られてくるバーチャル画像と共に、表示部15へ表示する。あるいは、DSC部8は再構成した超音波画像をバーチャル画像構築部13へ送り、バーチャル画像構築部13でバーチャル画像と合成して、合成部14へ送り、合成部14はグラフィックメモリ9から送られてくるグラフィック情報と伴に超音波画像やバーチャル画像等を表示部15へ表示する。該走査角度範囲の端から端までについて走査が終わり、表示部15へ表示が終わると、(ステップ27)へ移行する。ただし、超音波探触子3Aについての表示画面は、次に(ステップ26)が開始を始めるまで同じ画像を表示し続ける。
【0033】
(ステップ27)
中央制御部1は、超音波探触子3Bにより撮影を行うための制御を始める。具体的に中央制御部1は先ず、超音波切替器4、ビームフォーマー部5、シネメモリ6、DSC部8、グラフィックメモリ9、磁気センサ10B等に超音波探触子3Bによる撮影を始めるための準備信号を送る。すると超音波切替器4等の上記準備信号を送られた各部は、超音波探触子3Aによる撮影が可能であるように切り替わる。次に、中央制御部1は、超音波送信開始のための合図をビームフォーマ部5送り、ビームフォーマ部5は超音波送信のための駆動パルスを超音波探触子3Bへ送り始め、超音波の送信が開始される。その際、超音波探触子3Bでの撮影は(ステップ22)で入力された走査角度範囲、あるいは後述する(ステップ28)で更新した走査角度範囲について行われる。
【0034】
具体的には、超音波探触子3Bにおいて、(ステップ22)あるいは(ステップ28)において入力した走査角度範囲の超音波の走査を行い、得られた超音波信号を超音波探触子3Aから探触子切替器4、探触子切替器4からビームフォーマ部5、ビームフォーマ部5から切替器7、切替器7からDSC部8ヘ順次送り、DSC部8で画像再構成を行う。DSC部8は再構成した超音波画像を合成部14送り、合成部14はグラフィックメモリ9から送られてくる情報や、バーチャル画像構築部13から送られてくるバーチャル画像と共に、表示部15へ表示する。あるいは、DSC部8は再構成した超音波画像をバーチャル画像構築部13へ送り、バーチャル画像構築部13でバーチャル画像と合成して、合成部14へ送り、合成部14はグラフィックメモリ9から送られてくるグラフィック情報と伴に超音波画像やバーチャル画像等を表示部15へ表示する。該走査角度範囲の端から端までについて走査が終わり、表示部15へ表示が終わると、(ステップ28)へ移行する。ただし、超音波探触子3Bについての表示画面は、次に(ステップ27)が開始を始めるまで同じ画像を表示し続ける。
【0035】
(ステップ28)
術者は(ステップ26)あるいは(ステップ27)を繰り返している際に、中央制御部1内に収容され、撮影パラメータ記憶メモリ2内に記憶されている超音波探触子3A及び超音波探触子3Bの走査角度範囲に関する情報を更新したければ、操作パネル16を操作して更新する。
更新する走査角度範囲の入力の方法は、(ステップ21)から(ステップ24)に記載されている方法に準じる。
【0036】
(ステップ29)
撮影を終了しフリーズするかを判断する。撮影を終了しなければ、(ステップ26)へ移行する。撮影を終了しフリーズする場合には、術者は操作パネル16のフリーズボタンを押して、撮影終了の合図を中央制御部1へ送る。中央制御部1は、操作パネル16から撮影ストップの合図に関する信号が送られると、撮影を終了する。
【0037】
上記実施例によれば、2つの超音波探触子3A及び3Bの撮影パラメータである走査角度範囲を、撮影開始前においては、(ステップ21)から(ステップ24)の手順により各超音波探触子に対してそれぞれ入力でき、撮影の最中においては、(ステップ28)の手順により各超音波探触子に対してそれぞれ入力できる。
【実施例2】
【0038】
以下、本発明の実施例2〜4の説明を行うが、以下の実施例2〜4に示す超音波診断装置では、実施例1で示した特徴、すなわち超音波探触子3A及び3Bそれぞれに対して走査角度範囲を入力可能であるという特徴も併せ持っている。先ず本発明の実施例2を図4〜5を用い説明する。
【0039】
実施例2は、実施例1と比べて、2つの超音波探触子それぞれでいろいろな種類(例えば、歪み弾性画像や、カラーで表示された血流画像(CFM像))の超音波画像を撮像して表示することが可能となっていることが異なっている。先ず図4は、本発明の実施例2に係る超音波診断装置の全体構成を示す図である。図4が実施例1の図1と違う点は、ビームフォーマ部5に接続される形で、Bモード像(以下、B像という。)を生成するため以外に歪み弾性画像を生成するための信号処理部5Aと、カラーで表示された血流画像の生成のための信号処理部5Bが設けられている点である。
【0040】
信号処理部5A及び信号処理部5Bはそれぞれビームフォーマ部5以外に、中央制御部1、シネメモリ6、切替器7へ接続されていて、中央制御部1の制御の下に動作するようになっている。信号処理部5Aはビームフォーマ部5で整相加算された信号を基に歪み弾性画像を生成するための信号処理を公知の技術により行い、その結果をシネメモリ6あるいは切替器7へ送る。信号処理部5Bはビームフォーマ部5で整相加算された信号を基にカラーで表示された血流画像(CFM像)を生成するための信号処理を公知の技術により行い、その結果をシネメモリ6あるいは切替器7へ送る。本実施例ではビームフォーマ部5等に接続される形で歪み弾性画像や、カラーで表示された血流画像(CFM像)等の画像を生成するための信号処理部5A及び5Bが設けられたので、B像と伴に、歪み弾性画像や、カラーで表示された血流画像等を並列して表示することができる。
【0041】
次に、図5(a)〜(c)を用いて実施例2における超音波画像の表示例を示す。図5(a)〜(c)において左側の画面51aは超音波探触子3Aによる超音波画像、右側の画面51bは、超音波探触子3Bによる超音波画像である。また、それぞれの画像のなかで、52a〜52fで示した外側の枠は、それぞれの超音波探触子で得たB像を示し、52a、52b、52c、52fの中に記載された小さな内枠53a、53b、53c、53fは、その小さな部分だけ、歪み弾性画像やカラーで表示された血流情報(CFM像)を重ねて、あるいは嵌め込んで表示することを示す。
【0042】
このようにすれば、外側の枠のB像で被検体の患部の全体を観察しながら、その中央の重要な部位を、歪み弾性画像やカラーで表示された血流情報(CFM像)等で別の観点から観察することができる。超音波探触子3Aと超音波探触子3Bのいずれかあるいは両方のどの場合について歪み弾性画像やカラーで表示された血流情報(CFM像)等を組み合わせて表示するかに関しては、上述した図1における操作パネル16で任意に入力できるようにすれば良い。
【実施例3】
【0043】
本発明の実施例3を図6〜7を用い説明する。2つの超音波探触子それぞれでいろいろな種類の超音波画像を撮像して、表示する別の例が示されている。先ず図6は、本発明の実施例2に係る超音波診断装置の全体構成を示す図である。図6が実施例1の図1と違う点は、ビームフォーマ部5に接続される形で、B像を生成するため以外にM像を生成するための信号処理部5Cと、D像(周波数解析像)を生成のための信号処理部5Dが設けられている点である。信号処理部5C及び信号処理部5Dはそれぞれビームフォーマ部5以外に、中央制御部1、シネメモリ6、切替器7へ接続されていて、中央制御部1の制御の下に動作するようになっている。信号処理部5Cはビームフォーマ部5で整相加算された信号を基にM像を生成するための信号処理を公知の技術により行い、その結果をシネメモリ6あるいは切替器7へ送る。信号処理部5Dはビームフォーマ部5で整相加算された信号を基にD像を生成するための信号処理を公知の技術により行いその結果を、シネメモリ6あるいは切替器7へ送る。
【0044】
本実施例ではビームフォーマ部5等に接続される形でM像や、D像を生成するための信号処理部5C及び5Dが設けられたので、Bモード像と伴に、M像や、D像等を並列して表示することができる。
【0045】
次に、図7(a)〜(e)を用いて実施例3における超音波画像の表示例を示す。図7(a)は超音波診断装置の画面を4分割した例である。図7(a)において、左上の71aは超音波探触子3AによるB像を表し、左下の71bは超音波探触子3BによるB像を表し、右上の71cは超音波探触子3AによるM像を表し、右下の71dは超音波探触子3BによるM像を表す。このように表示すれば、超音波探触子3A及び超音波探触子3Bによる B像及びM像を好適に表示することができる。
【0046】
次に図7(b)も超音波診断装置の画面を4分割した例であるが、左上の72aは超音波探触子3AによるB像を表し、左下の72bは超音波探触子3BによるB像を表し、右上の72cは超音波探触子3AによるD像(ドップラー像)を表し、右下の72dは超音波探触子3BによるD像を表す。このように表示すれば、超音波探触子3A及び超音波探触子3Bによる B像及びD像を好適に表示することができる。
【0047】
次に図7(c)も超音波診断装置の画面を4分割した例であるが、左上の73aは超音波探触子3AによるB像を表したものであり、左下の73bは超音波探触子3BによるB像を表したものであり、右上の73cは超音波探触子3AによるM像とD像を合わせて表したものであり、右下の73dは超音波探触子BによるM像とD像を合わせて表したものである。このように表示すれば、超音波探触子A及び超音波探触子BによるB像及びM像及びD像を好適に表示することができる。
【0048】
次に図7(d)は超音波診断装置の画面を上下に2分割した例である。図7(d)において、上側の74aは超音波探触子3AによるM像を表し、下側の74bは超音波探触子3BによるM像を表す。このように表示すれば、超音波探触子3A及び超音波探触子3BによるM像を好適に表示することができる。
【0049】
次に図7(e)は超音波診断装置の画面を上下に2した例である。図7(e)において、上側の75aは超音波探触子3AによるD像を表し、下側の75bは超音波探触子3BによるD像を表す。このように表示すれば、超音波探触子3A及び超音波探触子3BによるD像を好適に表示することができる。上記図7(a)〜(e)のどのような組み合わせで撮像して表示するかに関しては、上述した図1における操作パネル16で入力できるようにすれば良い。
【実施例4】
【0050】
本発明の実施例4を図8を用い説明する。本実施例では、2つの超音波探触子により得られた超音波画像と、X線CT装置やMRI装置等の超音波診断装置以外の他のモダリィティによるバーチャル画像とを併せて表示する例について示す。本実施例では、X線CT装置やMRI装置等の医用画像診断装置で撮像された被検者のマルチスライス画像データを用い、超音波診断装置における超音波スキャン面と同一断面のバーチャル画像をリアルタイムに再構成して超音波画像と同一画面に表示している。ただし、実施例4に係る超音波診断装置の全体構成は図1と同じである。
【0051】
実施例4における超音波画像の表示例を図8(a)〜(d)に示す。図8(a)は、2つの超音波探触子による画像を左側、X線CT装置やMRI装置等によるバーチャル画像を右側に表示した例であり、左上の81aは超音波探触子3AによるB像、左下の81bは超音波探触子3BによるB像、右上の81cは超音波探触子3Aによる画像(81a)と同じ位置についてのX線CT装置やMRI装置等によるバーチャル画像、右下の81dは超音波探触子3Bによる画像(81b)と同じ位置についてのX線CT装置やMRI装置等によるバーチャル画像である。
【0052】
次に、図8(b)は、2つの超音波探触子による画像を上側、X線CT装置やMRI装置等によるバーチャル画像を下側に表示した例であり、左上の82aは超音波探触子3AによるB像、左下の82bは超音波探触子3Aによる画像(82a)と同じ位置についてのX線CT装置やMRI装置等によるバーチャル画像、右上の82cは超音波探触子3BによるB像、右下の82dは超音波探触子3Bによる画像(82c)と同じ位置についてのX線CT装置やMRI装置等によるバーチャル画像である。
【0053】
次に、図8(c)は、2つの超音波探触子による画像を右側、X線CT装置やMRI装置等によるバーチャル画像を左側に表示した例であり、右上の83aは超音波探触子3AによるB像、右下の83bは超音波探触子3BによるB像、左上の83cは超音波探触子3Aによる画像(83a)と同じ位置についてのX線CT装置やMRI装置等によるバーチャル画像、左下の83dは超音波探触子3Bによる画像(83b)と同じ位置についてのX線CT装置やMRI装置等によるバーチャル画像である。
【0054】
次に、図8(d)は、2つの超音波探触子による画像を下側、X線CT装置やMRI装置等によるバーチャル画像を上側に表示した例であり、左下の84aは超音波探触子3AによるB像、右下の84bは超音波探触子3BによるB像、左上の84cは超音波探触子3Aによる画像(84a)と同じ位置についてのX線CT装置やMRI装置等によるバーチャル画像、右上の84dは超音波探触子3Bによる画像(84b)と同じ位置についてのX線CT装置やMRI装置等によるバーチャル画像である。本実施例では、以上図8(a)〜(d)のような表示画面を操作者が選択して超音波診断装置に表示できるようにした。このことにより、2つの超音波探触子による画像と、それぞれに対応させたX線CT装置やMRI装置等によるバーチャル画像を隣合わせて好適に表示することができ、それらを見ながら操作者は好適にバイオプシやラジオ波熱凝固療法等を行うことができる。上記図8(a)〜(d)のどのような組み合わせで表示するかに関しては、上述した図1における操作パネル16で入力できるようにすれば良い。
【0055】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変形して実施できる。特に、実施例1の図2及び図3では2つの超音波探触子で独立して入力できる撮影パラメータを走査角度範囲のみについて示したが、撮影パラメータの種類としては、これ以外に走査線密度や、超音波を照射する方向のどの位置を画像化するか、超音波を照射する方向に沿ってどのようにゲインを変化させるか等に関するパラメータも、2つの超音波探触子でそれぞれ独立に入力できるようにすれば良い。また、上記実施例では超音波探触子の位置と方向を検出するために磁気センサ等を用いたが、これ以外にジャイロ等も用いることができる。また、上記操作パネル6としては、キーボードや各種スイッチ、トラックボール、マウス等を用いれば良い。また、超音波探触子の数は2つでなくても良く、3つ以上でも良い。また、本発明はコンベックス走査型の超音波診断装置以外に、セクタ走査型の超音波診断装置にも適用できる。
【0056】
また、本発明の実施例1に係る超音波診断装置では、2つの超音波探触子で走査角度範囲が異なる場合には、シネメモリ6に記憶されている複数フレーム分の信号も、超音波探触子Aに対応するものと、超音波探触子Bに対応するものでデータ量(信号収集に用いた時間)が異なるが、シネメモリ6再生の際には、それらのデータ量の違いを加味してタイミングを合わせて再生するようにすれば良い。
【符号の説明】
【0057】
31a 超音波探触子Aによる超音波画像、31b 超音波探触子Bによる超音波画像、32a 被検体の患部、32b 被検体の患部、33a 超音波探触子によるコンベックス走査の外枠、33b 超音波探触子によるコンベックス走査の外枠、34 穿刺等を行うガイドライン、35 超音波探触子Aあるいは超音波探触子Bのどちらかについて、走査角度範囲を調整するためのパネル、36 超音波探触子A及び超音波探触子Bのどちらかの走査角度範囲を調節するかを選択するためのボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内へ超音波を送受信するための複数個の超音波探触子と、前記複数個の超音波探触子による超音波の送受信を同時に所定の走査角度範囲や走査線密度により行わせる制御を行う制御部と、前記超音波の送受信により得られた超音波信号を基に、信号処理や画像再構成を行い超音波画像を得るための超音波画像生成部と、前記複数個の超音波探触子による複数個の超音波画像を同時に表示する表示部を備えた超音波診断装置において、前記制御部に対して、それぞれの超音波探触子による超音波走査の走査角度範囲や走査線密度を別々に可変設定するためのパラメータ設定手段を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記パラメータ設定手段は、前記複数個の超音波探触子それぞれについての走査角度範囲や走査線密度を、それぞれ対応させて記憶するための記憶手段を含んでいることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記複数個の超音波探触子の少なくとも一つ以上により歪み断層像あるいはカラーで表示された血流情報を得て、前記複数個の超音波画像の一部に前記歪み断層像あるいはカラーで表示された血流情報を重畳あるいは嵌め込んで表示する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜2記載の超音波診断装置。
【請求項4】
いずれかの超音波探触子で2種類以上の情報を超音波を用いて得て、それらを同時に表示する手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項5】
各超音波探触子により取得している超音波画像の位置を検出する手段と、該位置と同位置のX線CT装置やMRI装置等の他のモダリティによる画像を前記他のモダリティにより得られたボリュームデータより算出する手段と、前記超音波画像と前記他のモダリティによる画像を同時に表示する手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−173008(P2011−173008A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131812(P2011−131812)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【分割の表示】特願2005−166394(P2005−166394)の分割
【原出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】